棒状回転工具の深度形状合成方法および棒状回転工具の深度形状合成装置
【課題】光学式撮像装置によって被写界深度を越える長さを持つ撮像対象物を、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、各画素を単位として、得られた複数の画像の中から最もピントが合った画像を抽出する際に、コントラストがある境界部を適切に処理し、真にピントが合った画像を見出すこととなる技術を提供する。
【解決手段】棒状回転工具の刃先を順に撮像して得られた画像を基に、各画素位置の画素あるいは当該画素に加えて当該画素に隣接する画素の濃度を順に記録し、記録した画素の濃度の変化について、ラプラシアンフィルタにかけること、記録した画素の濃度の変化について平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理を行って定まる画像が当該画素位置においてピントが合っていると判断する棒状回転工具の深度形状合成方法。
【解決手段】棒状回転工具の刃先を順に撮像して得られた画像を基に、各画素位置の画素あるいは当該画素に加えて当該画素に隣接する画素の濃度を順に記録し、記録した画素の濃度の変化について、ラプラシアンフィルタにかけること、記録した画素の濃度の変化について平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理を行って定まる画像が当該画素位置においてピントが合っていると判断する棒状回転工具の深度形状合成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は棒状回転工具の深度形状合成方法および合成装置に関し、特に軸方向に対して奥行きがある棒状回転工具の刃先に対して、1枚の画像で刃先の全体についてピントが合った合焦点画像を得るための棒状回転工具の深度形状合成方法および棒状回転工具の深度形状合成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
棒状回転工具、例えばドリルの検査は、人による目視検査に代わって、CCDカメラ等を用いた光学式撮像装置によって刃先等を撮像し、得られた画像内の刃面の形状や欠陥を画像処理で抽出し、予め作成してある良品の画像と比較し、良否を判定する検査方法が用いられている。
【0003】
この検査方法では、被検査物(撮像対象物)の像をレンズを通してCCDカメラへ結像させ、そのメモリに画像を記録するが、検査対象箇所の全域にわたって焦点の合った画像を取得する必要がある。この場合、レンズ位置から決まった距離(ワーキングディスタンスと呼ぶ)に在る位置に撮像対象物を配置するが、さらに撮像対象物がワーキングディスタンスの位置から外れたとしてもレンズの焦点が合っていると見なして良い範囲(被写界深度と呼ぶ)内であれば、焦点の合った画像を得ることができる。しかしながら、被写界深度を越える長さを持つ撮像対象物の場合には、1枚の画像で撮像対象物全体に焦点が合うように撮像することは不可能である。
【0004】
そのため、撮像対象物の全体が焦点位置を通るように、例えばドリル位置を固定し、ドリルの外周部のさらに後ろ側にピントが合っている状態から、レンズやCCDカメラで構成する撮像装置をドリルから離れる方向に所定間隔で移動させることにより、レンズ位置と撮像対象物の位置を所定間隔で少しずつ変えながら複数枚の画像を撮像し、各画像から、例えば同じ位置を写した各画像の中から最も焦点の合った画像を選択する等して、当該位置については最も焦点が合った画像の画素を抽出し、これらの画素(部分画像)を合成した合焦点画像を作成する。そして、この合焦点画像を用いて刃面の形状や欠陥を抽出し、外観の検査を行うこととなる。
【0005】
即ち、ドリルの外観検査には、外径、刃面幅といった寸法測定項目があるが、通常のレンズを用いたのでは、被写体(ドリル底刃)の高さ(深さ)によって撮像装置(画像)に写る被写体の大きさが変化するため精度良い測定ができない。従って、寸法測定に適したテレセントリックレンズを用いるが、高倍率になるほど被写界深度(ピントの合う深さ)が浅くなる。そこで、同一被写体に対してピントの合う位置を例えば奥側から手前側に少しずつ変えて複数回撮像し、被写体の各箇所あるいは各画素位置についてピントの合った画像や画素を選択し、それらの画像や画素を合成して、被写体全体がピントの合った合焦点画像を用いて外観の検査を行う。
【0006】
この際、ピントのあった画素か否かを判断するには、判断対象の画素とその周辺の画素との濃度差を用いる。即ち、ピントボケ状態では、その濃度差(明暗の差)が小さくなり、ピントが合っている状態は大きくなる性質を利用する。
【0007】
さらに、前記の方法を実行する際には、例えば所定の画像範囲の濃度の分散値が用いられたり、所定の画像範囲の濃度差の大きい画像を強調するラプラシアンフィルタが用いられたりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記の方法は、撮像対象物の画像範囲内では有効であるが、撮像対象物と背景の境界付近では、両方の焦点を共に合わせることができないため、どうしても撮像対象物からの反射光が背景部分へ広がり、その結果撮像対象物と背景の境界部分を抽出することが困難である。
【0009】
即ち、ドリル先端角(ドリルの軸に平行な面に切れ刃を平行にして投影したときの角度)が鋭角の場合に、合成範囲の一番深い位置(奥側)にある被写体にピントを合わせると、浅い位置(手前)の被写体がピントボケし、そのピントボケの範囲が、被写体外径範囲を超える場合がある。その場合、本来の外周範囲外の画素で深度合成処理が行われ、濃度差の最大になる濃度を合成処理してしまう。具体的には、例えば本来は刃先の境界部と背景部に大きな濃度差が在る筈が、ピントボケのために本来の境界部の少し外(背景側)まで明るくなってしまう為に、ピントボケに関係ない本来の暗い背景箇所とピントボケによりある程度明るくなった背景箇所との濃淡(明暗)の差が大きくなり、このため焦点位置や境界を誤認識してしまう。このようにして外周の外側に本来の濃度ではなく、ピントボケしている濃度を設定してしまうと、合成後の被写体を2値化した場合に輪郭が若干広がる現象が発生する。
【0010】
さらに、コントラストに差がある逃げ面同士(あるいは、明るい欠陥と逃げ面)の境界部に関しても、明るい逃げ面(明るい欠陥)のピントボケ範囲が、暗い逃げ面にかかると、同様の現象が発生する。
【0011】
このため、光学式撮像装置によって被写界深度を越える長さを持つ撮像対象物を奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、各画素を単位として、得られた複数の画像の中から最もピントが合った画像を抽出する際に、コントラストがある境界部を適切に処理し、真にピントが合った画像を見出すこととなる技術(棒状回転工具の深度形状合成方法や装置)の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としてなされたものであり、軸方向に対して奥行きがある棒状回転工具、例えばドリルの刃先をピント位置を奥側から手前にあるいはその逆方向に変えて順に撮像した場合には、ドリルの位置の如何等に応じて順に撮像した複数の画像の抽出対象箇所の画素やその画素に隣接する画素の濃淡に一定の傾向があることを見出し、さらにラプラシアンフィルタにかけること、前記記録した画素の濃度の変化について平均化フィルタにかけること、さらに前記一定の傾向を顧慮の上、順に比較を行なうようにしたものである。以下、各請求項の発明を説明する。
【0013】
請求項1に記載の発明は、
軸方向に対して奥行きがある棒状回転工具の刃先の奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、ピントの合った画像を所定の手順で抽出し、抽出された画像の前記各画素位置毎の画素を合成して全体がピントの合った合焦点画像を合成する棒状回転工具の深度形状合成方法であって、
前記所定の手順とは、
前記棒状回転工具の刃先を順に撮像して得られた画像を基に、各画素位置の画素あるいは当該画素に加えて当該画素に隣接する画素の濃度を順に記録し、
前記記録した画素の濃度の変化について、ラプラシアンフィルタにかけること、前記記録した画素の濃度の変化について平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理を行って定まる画像が当該画素位置においてピントが合っていると判断するものであることを特徴とする棒状回転工具の深度形状合成方法である。
【0014】
請求項1に記載の発明においては、光学式撮像装置によって被写界深度を越える長さを持つ撮像対象物を奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、各画素を単位として、得られた複数の画像の中から最もピントが合った画像を抽出する際に、ラプラシアンフィルタにかけること、前記記録した画素の濃度の変化について平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理を行って定まる画像が当該画素位置においてピントが合っていると判断するため、コントラストがある境界部を適切に処理し、真にピントが合った画像を見出すことが出来る。
【0015】
なお、ピント位置を変えて順に複数回おこなう撮像は、所定間隔であるのが、処理の面からは好ましい。
また、ラプラシアンフィルターにかけるのは、隣接する画像との濃度差が大きい箇所を見出すためであり、平均化フィルタにかけるのは、少し広い範囲で大きな濃度差がある箇所を見出す為である。
【0016】
請求項2に記載の発明は、
前記ラプラシアンフィルタにかけること、前記記録した画素の濃度の変化について平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理とは、
所定の位置について、
前記奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、その前後にピント位置を変えて撮像した画像と濃度を比較し、前記濃度が一旦上昇した後最小値を示し、その後再度上昇し、前記最小値より低いものが無ければ、前記最小値を示す画像が、ピントが合っていると判断し、
かかる最小値が無い場合および前記所定の位置以外の位置では、
各画素位置毎に1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
2番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を合成画像とし、
1番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を合成画像とし、
3番目に撮像した画像については、各画素位置毎に前記2番目における合成画像とその画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
その画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
合成画像の方がピントが合っている場合には、合成画像とその画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
4番目以降に撮像した画像については、前記3番目に撮像した画像に対するのと同じ処理を順に繰り返すものであることを特徴とする請求項1に記載の棒状回転工具の深度形状合成方法である。
【0017】
請求項2に記載の発明においては、所定の位置については順に撮像した画像の濃度の変化を基に見出した最小値を、かかる最小値が無い場合および前記所定の位置以外の位置では、ラプラシアンフィルタや平均化フィルタで処理した画像の濃度と撮像した画像の濃度の変化を基にピントの合った画像を判断する為、濃度が大きく相違する画素の近傍で、ピントが合わない為に誤った濃度処理をする様なことが無くなり、その結果優れた深度合成画像が得られる。
【0018】
ここに、「所定の位置」とは、刃先の各部やその近傍等の特定の場所を指す。
また、「順に撮像した画像の濃度の変化を基に見出した最小値」とは、最小濃度を記録後に、濃度が上昇する傾向を抽出することである。
【0019】
請求項3に記載の発明は、
前記所定の位置とは、刃先の先端周辺部と外周辺部であることを特徴とする請求項2に記載の棒状回転工具の深度形状合成方法である。
【0020】
本請求項の発明においては、刃先の先端周辺部と外周辺部については、順に撮像した画像の濃度の変化を基に見出した最小値が優先される為、請求項2の発明の効果が一層発揮される。
【0021】
また、先端周辺部、外周辺部以外の位置、例えばドリル先端部、側面部、欠陥部に対しても同じ処理を行ったり、他の傾向に着目した処理を行ってもよい(本発明に含まれる)。
【0022】
請求項4に記載の発明は、
軸方向に対して奥行きがある棒状回転工具の刃先の奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、ピントの合った画像を所定の手順で抽出し、抽出された画像の前記各画素位置毎の画素を合成して全体がピントの合った合焦点画像を合成する棒状回転工具の深度形状合成装置であって、
前記棒状回転工具の刃先を順に撮像して得られた画像を基に、各画素位置の画素あるいは当該画素に加えて当該画素に隣接する画素の濃度を順に記録する記録部と、
ラプラシアンフィルタと、
平均化フィルタと、
前記記録した画素の濃度の変化について、前記ラプラシアンフィルタにかけること、前記平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理を行って定まる画像が当該画素位置においてピントが合っていると判断する判断処理部とを有していることを特徴とする棒状回転工具の深度形状合成装置である。
【0023】
請求項4に記載の発明は、方法の発明である請求項1に記載の発明を装置の発明として捉えたものである。
【0024】
請求項5に記載の発明は、
前記判断処理部は、
所定の位置について、
前記奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、その前後にピント位置を変えて撮像した画像と濃度を比較し、前記濃度が一旦上昇した後最小値を示し、その後再度上昇し、前記最小値より低いものが無ければ、前記最小値を示す画像が、ピントが合っていると判断する所定位置判断処理部と、
かかる最小値が無い場合および前記所定の位置以外の位置については、
各画素位置毎に1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
2番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を合成画像とし、
1番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を合成画像とし、
3番目に撮像した画像については、各画素位置毎に前記2番目における合成画像とその画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
その画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
合成画像の方がピントが合っている場合には、合成画像とその画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
4番目以降に撮像した画像については、前記3番目に撮像した画像に対するのと同じ処理を順に繰り返す繰り返し判断処理部を有していることを特徴とする請求項4に記載の棒状回転工具の深度形状合成装置である。
【0025】
請求項5に記載の発明は、方法の発明である請求項2に記載の発明を装置の発明として捉えたものである。
【0026】
請求項6に記載の発明は、
前記所定の位置とは、刃先の先端周辺部と外周辺部であることを特徴とする請求項5に記載の棒状回転工具の深度形状合成装置である。
【0027】
請求項6に記載の発明は、方法の発明である請求項3に記載の発明を装置の発明として捉えたものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明においては、光学式撮像装置によって被写界深度を越える長さを持つ撮像対象物を奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、各画素を単位として、得られた複数の画像の中から最もピントが合った画像を抽出する際に、棒状回転工具の刃先位置ごとにその場所に適した基準で濃度の変化を調べ、極近傍の画素との差をラプラシアンフィルタにかけて求め、少し広い画素範囲での大きな変化を平均化フィルタにかけて求め、比較を含む所定の手順で抽出するので、真にピントが合った深度合成画像が得られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】検査対象のドリルの刃先の各位置を示す図である。
【図2】検査対象の画素の性質を調査する際に参照する当該画素に隣接する画素群を示す図である。
【図3】ドリル先端部についての調査結果の一例を示すグラフである。
【図4】先端周辺部の調査結果の一例を示すグラフである。
【図5】側面部の調査結果の一例を示すグラフである。
【図6】欠陥部の調査結果の一例を示すグラフである。
【図7】外周辺部の調査結果の一例を示すグラフである。画像の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態に用いるラプラシアンフィルタ1の図である。
【図9】前記ラプラシアンフィルタ1にかけた画像の濃淡を示す図である。
【図10】本発明の一実施の形態に用いるラプラシアンフィルタ2から4の図である。
【図11】本発明の一実施の形態に用いる平均化フィルタの図である。
【図12】前記平均化フィルタをかけて得られた濃淡画像の図である。
【図13】本発明の一実施の形態における合成画像の濃度値を変更する処理の内容を示す図である。
【図14】従来技術で合成された、ドリルの刃先の合成画像の一例を示す図である。
【図15】本発明に係るドリルの深度形状合成方法により合成された、ドリルの刃先の合成
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明をその最良の実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0031】
順に撮像した各画像やその近傍の画像の濃度の変化に着目して、境界の濃度を定めることについて説明する。但し、ピントが合った画像を定めることにも関係する。
【0032】
(撮像方法)
最初に、撮像方法について説明する。
(1)被写体の奥から手前へピントの合う位置を、例えばレンズの被写界深度と等しい距離で等間隔に移動しつつ、撮像する。
(2)検査したい被写体範囲よりさらに奥の位置から、被写体範囲よりも手前の位置まで撮像する。これは、ピントが合っている画像を決めるためには、原則としてその奥側と手前のピントが合っていない画像が必要であること、検査に際してドリル等の棒状回転工具を把持するチャックのばらつき等を考慮したものである。
(3)照明は、ドリル等の棒状回転工具の先端を、全周囲から斜めに照らすリング照明で行なう。
【0033】
(着目する刃先位置)
次に、着目する刃先位置について説明する。
図1は検査対象である棒状回転工具の1例としてのドリルの刃先やその近傍の各位置を示す図である。図1に示す以下の5つの刃先やその近傍の位置(以下、「位置」と記す)毎に、所定の画素群の全画像(奥側〜手前へピントの合う位置を移動しながら撮像した画像)の濃度変化の性質を調査する。
【0034】
図1において、1はドリル先端部であり、明るい画素群に注目する。2は先端周辺部であり、逃げ面境界を含まない暗い画素群(近くに明るい画素群有)に注目する。3は側面部であり、逃げ面境界を含まない暗い画素群に注目する。4は欠陥部であり、明るい欠陥内画素群に注目する。5は外周辺部であり、輪郭境界を含む画素群(逃げ面と背景の境界)に注目する。
【0035】
A.所定の刃先位置の示す性質に着目した処理
次に、所定の刃先位置の示す性質、さらにその性質に着目した処理について説明する。
1.検査対象の画素および隣接する画素群
図2に、検査対象の画素の性質を調査する際に参照する当該画素に隣接する画素群を示す。図2において、(0,0)は検査対象の画素、即ち請求項の当該画素位置の画素であり、(0,−1)は一つ上の画素であり、(1,0)は一つ右の画素であり、(0,1)は一つ下の画素であり、(−1,0)は一つ左の画素である。
【0036】
2.各位置における撮像結果の具体例
各位置についての調査結果を、以下の図3から図7に示す。これらの図において、縦(Y)軸は濃度であり、横(X)軸は焦点位置を奥側から手前に移動させて撮像した際の画像の番号であり、奥側が0、手前が22である。これら各図において、◆は(0,0)の画素であり、■は(0,−1)の画素であり、×は(1,0)の画素であり、*は(0,1)の画素であり、▲は(−1,0)の画素である。
【0037】
イ.ドリル先端部
ドリル先端部の調査結果を、即ち画像番号0から同22までの濃度変化の様子を図3に示す。図3において縦軸は画素の濃度、横軸は画像番号である。
前記5箇所の画素はいずれも、ピントが合う画像番号(No.11)まで、濃度が上がり続け、ピントが合う画像番号を境に、濃度は下降する傾向がある。
なお、ピントが合う画像番号で濃度が下降する一部の画素は、表面上の凹凸によって変化したものと考えられる。
【0038】
ロ.先端周辺部
先端周辺部の調査結果を、図4に示す。
前記5箇所の画素はいずれも、ピントが合う画像番号(No.12)まで濃度が下がり、ピントが合う画像番号で最小濃度を記録した後、次第に濃度が上昇する傾向がある。
【0039】
ハ.側面部
側面部の調査結果を、図5に示す。
前記5箇所の画素はいずれも、ピントが合う画像番号(No.11)に近付くにつれて濃度が下がり、ピントが合う画像番号で最小濃度を記録後、次第に濃度が上昇する傾向がある。
【0040】
ニ.欠陥部
欠陥部の調査結果を、図6に示す。
前記5箇所の画素はいずれも、ピントが合う画像番号(No.11)まで濃度が上がり、最大濃度を経た後下がり、ピントが合う画像を境に濃度が上がり、その後再び下降する傾向がある。
【0041】
ホ.外周辺部
外周辺部の調査結果を、図7に示す。
図1と図2を参照した場合に、逃げ面上となる(1,0)と(0,1)の画素は、ピントが合う画像番号(No.10)まで濃度が上がり続け、ピントが合う画像番号を境に濃度は下降する傾向がある。
同じく、背景上となる(0,−1)と(−1,0)の画素は、ピントが合う画像番号(No.10)に近付くにつれて濃度が下がり、ピントが合う画像番号で最小濃度を記録後、一旦濃度が上昇する傾向がある。
【0042】
以上の調査データから、先端周辺部、外周辺部の画素がピントの合った濃度にするには、最小濃度を記録後に、濃度が上昇する傾向を抽出すればよいことがわかる。
また、他の位置に関して同条件を適用したとしても、誤った濃度を設定することはないため、境界周辺部に限定する必要はなく、画像一括で処理を行うことが可能となる。
【0043】
得られた複数の画像の中から最もピントが合った画像を抽出する際の比較を含む所定の手順としての処理では、以上の特徴、性質に着目することとなる。
【0044】
次に、前記の特徴、性質に着目すると共に、順に撮像した各画像やその近傍の画像についてラプラシアンフィルタと平均化フィルタを用いた処理を行い、その上で最もピントが合った画像を定めることについて説明する。
【0045】
B.フィルタを用いた処理
次に、前記処理がなされなかったり、他の刃先位置においてなされるフィルタを用いた処理について説明する。
【0046】
1.ラプラシアンフィルタによる処理
ラプラシアンフィルタによる処理は、急な変化を際立たせる処理であり、本実施の形態では隣接する8個の画素を考慮する。
【0047】
(1)合成画像の初期値の設定
1番目の、即ち一番奥の濃淡画像の濃淡(明度)を合成画像の初期値とする。
(2)ラプラシアン画像の作成
2番目以降に撮像した濃淡画像に対して、1枚ごとに順に以降の処理を行う。
画像に4種類のラプラシアンフィルタをかけ、その合成値を求めラプラシアン画像を作成する。具体的な手順は以下の通りである。
【0048】
(2)−1.濃淡画像のラプラシアン画像1の作成
濃淡画像のラプラシアン画像1の作成は以下に記載する手順で行う。
(2)−1−1.濃淡画像(画素)の外周端1画素を除く画素に対して、自身の画素を中心とした3×3画素の範囲に図8に示すフィルタサイズが3×3のラプラシアンフィルタ1をかける。その結果を、図9に示す。図9において、I11〜I33は各画素の濃度値である。次に、図9に示した濃淡画像の各画素の濃度値を基に次式により濃度値Iを求める。
I=I11×0+I12×(−1)+I13×0+I21×0+I22×2+I23×0+I31×0+I32×(−1)+I33×0
【0049】
(2)−1−2.計算結果の濃度値Iの絶対値I’をとる。
(2)−1−3.I'が1以下の場合、0とする。
(2)−1−4.(2)−1−3の計算結果を自身の画素の濃度値とする。
(2)−1−5.(2)−1−1〜(2)−1−4の処理を濃淡画像の外周端1画素を除く全画素に対して行い、濃淡画像のラプラシアン画像1を作成する。
【0050】
(2)−2.濃淡画像のラプラシアン画像2〜4の作成
濃淡画像に図10の(1)〜(3)示すラプラシアンフィルタ2〜ラプラシアンフィルタ4をかけ、ラプラシアン画像1の作成と同様の方法でラプラシアン画像2〜ラプラシアン画像4を作成する。
【0051】
(2)−3.濃淡画像のラプラシアン画像の作成
次に作成したラプラシアン画像1〜ラプラシアン画像4を加算し、濃度値が1以下の画素については、その濃度値を0として濃淡画像のラプラシアン画像を作成する。
【0052】
(2)−4.合成画像のラプラシアン画像の作成
合成画像に、(2)−1に記載した濃淡画像のラプラシアン画像の作成と同様に4種類のラプラシアンフィルタをかけて合成値をもとめ、前記合成値を基に合成画像のラプラシアン画像を作成する。
【0053】
(3)濃度値の候補1の選定
(3)−1.画素毎の濃度値の候補1の選定
次に濃度値の候補1を選定する。具体的には、前記濃淡画像のラプラシアン画像と合成画像のラプラシアン画像の同一画素における濃度値を比較し、濃淡画像のラプラシアン画像の濃度値が合成画像のラプラシアン画像の濃度値より大きければ、濃淡画像の濃度値を合成画像の濃度値に置き換える候補とする。これを候補1とする。
【0054】
(3)−2.全画素の濃度値の候補1の選定
(3)−1で記載した画素毎の濃度値の候補1の選定を、全画素を対象に行う。
2.平均化フィルタによる処理
平均化フィルタによる処理は、広い範囲における大きな変化を見出す為におこなうものである。本実施の形態では、自身の画素を中心とした9×9画素に着目する。
【0055】
(1)平均化画像の作成
(1)−1.濃淡画像の平均化画像の作成
(1)−1−1.画素毎の濃度値の算定
濃淡画像の外周端4画素を除く画素に対して、自身の画素を中心とした9×9画素の範囲に図11に示すフィルタサイズが9×9の平均化フィルタをかけ、次式により自身の画素の濃度値を算定する。
濃度値I=Σ(Iij×1/81) I:I11〜I99
i、j:1〜9
得られた濃淡画像を、図12に示す。
【0056】
(1)−1−2.全画素の濃度値の算定
(1)−1−1に記載した画素毎の濃度値の算定濃淡画像の外周端4画素を除く全画素に対して行い、濃淡画像の平均化画像を作成する。
【0057】
(1)−2.合成画像の平均化画像の作成
合成画像に(1)−1に記載した濃淡画像の平均化画像の作成と同様の方法で平均化フィルタをかけ、全画素の濃度値を算定して合成画像の平均化画像を作成する。
【0058】
(2)濃度値の候補2の選定
(2)−1.画素毎の濃度値の候補2の選定
次に濃度値の候補2を選定する。具体的には、前記濃淡画像の平均化画像と合成画像の平均化画像の同一画素における合成値を比較し、濃淡画像の平均化画像の濃度値が合成画像の平均化画像の濃度値より大きければ、濃淡画像の濃度値を合成画像の濃度値に置き換える候補とする。これを候補2とする。
【0059】
(2)−2.全画素の濃度値の候補2の選定
(2)−1で記載した画素毎の濃度値の候補2の選定を、全画素を対象に行う。
【0060】
3.濃度変化の調査結果に基づく濃度値の候補3の選定
全濃淡画像の同一画素上の濃度変化を調べ、条件を満たした場合、濃淡画像の濃度値を合成画像の濃度値に置き換える候補とする。これを濃度値の候補3とする。
具体的には、以下に記載する手順により濃度値の候補3を選定する。
【0061】
図13は、合成画像の濃度値を変更する処理の内容を示す図であり、縦軸は濃度値を、横軸は画像番号を示す。以下、図13により濃度値の候補3の選定について説明する。
【0062】
(1)画像上のある1画素の濃度値を調べ、同じ画素位置における連続する4画像の濃度値を比較する。比較対象の画像番号の小さい方から順に1、2、3、4と付番し、それぞれの濃度値をI1、I2、I3、I4とする。
(2)画像番号1を撮像した時、I1がそれまでの濃度値の最小値より小さいか否かを比較し、小さければ最小値をI1にして、フラグ1をオンにする。なお、ここの「1」の画像が、一番奥にあるため、一番最初に撮像された画像であれば(当然比較対象の前期4個の画像の1の画像となる)、その値がそのまま初期値とされる。
(3)画像番号3を撮像した時、下記の条件を満たすか判定し、満たせばフラグ2をオンにする。
I3≧I1
ただし、ここでも条件はドリルの形状や撮像環境の変化に対応できるよう、複数の条件に組合わせることとする。
条件a:I2≧I1
条件b:I3≧I1
条件c:I2≧I1 かつ I3≧I1
条件d:I3≧I1 かつ I3≧I2
条件e:I2≧I1 かつ I3≧I1 かつ I3≧I2
【0063】
(4)画像番号4を撮像した時、下記の条件を満たすか判定し、満たせばフラグ3をオンにする。
I4≧I1
(5)フラグ1、2、3が全てオンのとき、合焦点画像とし、合成画像の濃度値を濃度値の候補3とする。
(6)本機能にて濃度の入れ替えを行った画素について、それ以降、前記ラプラシアンフィルタと平均化フィルタを用いた深度合成機能に関する処理による濃度値入れ替え操作が発生しても、入れ替えを行わない。但し、画像番号が5、6と増加した際の本機能による濃度値の入れ替えは随時行う。
【0064】
4.合成画像の濃度値の変更
以下の処理で合成画像の濃度値を変更する。
【0065】
濃淡画像と合成画像の同一画素において、下記の条件に従い、合成画像の濃度値を変更する。
(1)各画素の濃度値の変更
(1)−1.濃淡画像の濃度が濃度値の候補3となっている場合、濃淡画像の濃度値を合成画像の濃度値とする。以降、候補1、候補2の条件による、この画素の濃度値の変更を行わない。
(1)−2.濃淡画像の濃度が候補1となっている場合、濃淡画像の濃度値を合成画像の濃度値とする。
(1)−3.濃淡画像の濃度が候補1となっておらず、且つ、候補2となっている場合、濃淡画像の濃度値を合成画像の濃度値とする。
(2)全画素の濃度値の変更および深度合成画像の作成
(1)に記載した各画素の濃度値の変更を濃淡画像と合成画像の全画素で行い、最後の濃淡画像を用いて作成した合成画像を深度合成画像とする。
【0066】
なお、上記した2つの実施の形態では何れも、被写体の奥から手前へピントの合う位置を移動しつつ撮像したが、これは逆方向に移動しつつ撮像しても良い。
また、欠陥の有無や欠陥の位置は予め判ってはいない。このため、最初は欠陥がないものとして検査を行い、予め定めた基準で処理できない場合に初めて欠陥を想定した検査がなされる。
【0067】
最後に、本発明の効果を実際に示す為、図14に比較例として従来技術で合成した写真を示し、図15に前記各位置における濃度の変化が示す性質に注意しつつ合成した本発明の実施例の写真を示す。両方の写真を比較すると、図14の従来技術の合成写真では、全体的に各位置の境界が多少ぼけて不明確であったり、ドリル先端の背景に光る箇所があったりしているが、図15の実施例の写真ではそのようなことがなく、各位置とも、またそれらの境界も明瞭であるのが判る。
【符号の説明】
【0068】
1 ドリル先端部
2 先端周辺部
3 側面部
4 欠陥部
5 外周辺部
【技術分野】
【0001】
本発明は棒状回転工具の深度形状合成方法および合成装置に関し、特に軸方向に対して奥行きがある棒状回転工具の刃先に対して、1枚の画像で刃先の全体についてピントが合った合焦点画像を得るための棒状回転工具の深度形状合成方法および棒状回転工具の深度形状合成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
棒状回転工具、例えばドリルの検査は、人による目視検査に代わって、CCDカメラ等を用いた光学式撮像装置によって刃先等を撮像し、得られた画像内の刃面の形状や欠陥を画像処理で抽出し、予め作成してある良品の画像と比較し、良否を判定する検査方法が用いられている。
【0003】
この検査方法では、被検査物(撮像対象物)の像をレンズを通してCCDカメラへ結像させ、そのメモリに画像を記録するが、検査対象箇所の全域にわたって焦点の合った画像を取得する必要がある。この場合、レンズ位置から決まった距離(ワーキングディスタンスと呼ぶ)に在る位置に撮像対象物を配置するが、さらに撮像対象物がワーキングディスタンスの位置から外れたとしてもレンズの焦点が合っていると見なして良い範囲(被写界深度と呼ぶ)内であれば、焦点の合った画像を得ることができる。しかしながら、被写界深度を越える長さを持つ撮像対象物の場合には、1枚の画像で撮像対象物全体に焦点が合うように撮像することは不可能である。
【0004】
そのため、撮像対象物の全体が焦点位置を通るように、例えばドリル位置を固定し、ドリルの外周部のさらに後ろ側にピントが合っている状態から、レンズやCCDカメラで構成する撮像装置をドリルから離れる方向に所定間隔で移動させることにより、レンズ位置と撮像対象物の位置を所定間隔で少しずつ変えながら複数枚の画像を撮像し、各画像から、例えば同じ位置を写した各画像の中から最も焦点の合った画像を選択する等して、当該位置については最も焦点が合った画像の画素を抽出し、これらの画素(部分画像)を合成した合焦点画像を作成する。そして、この合焦点画像を用いて刃面の形状や欠陥を抽出し、外観の検査を行うこととなる。
【0005】
即ち、ドリルの外観検査には、外径、刃面幅といった寸法測定項目があるが、通常のレンズを用いたのでは、被写体(ドリル底刃)の高さ(深さ)によって撮像装置(画像)に写る被写体の大きさが変化するため精度良い測定ができない。従って、寸法測定に適したテレセントリックレンズを用いるが、高倍率になるほど被写界深度(ピントの合う深さ)が浅くなる。そこで、同一被写体に対してピントの合う位置を例えば奥側から手前側に少しずつ変えて複数回撮像し、被写体の各箇所あるいは各画素位置についてピントの合った画像や画素を選択し、それらの画像や画素を合成して、被写体全体がピントの合った合焦点画像を用いて外観の検査を行う。
【0006】
この際、ピントのあった画素か否かを判断するには、判断対象の画素とその周辺の画素との濃度差を用いる。即ち、ピントボケ状態では、その濃度差(明暗の差)が小さくなり、ピントが合っている状態は大きくなる性質を利用する。
【0007】
さらに、前記の方法を実行する際には、例えば所定の画像範囲の濃度の分散値が用いられたり、所定の画像範囲の濃度差の大きい画像を強調するラプラシアンフィルタが用いられたりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記の方法は、撮像対象物の画像範囲内では有効であるが、撮像対象物と背景の境界付近では、両方の焦点を共に合わせることができないため、どうしても撮像対象物からの反射光が背景部分へ広がり、その結果撮像対象物と背景の境界部分を抽出することが困難である。
【0009】
即ち、ドリル先端角(ドリルの軸に平行な面に切れ刃を平行にして投影したときの角度)が鋭角の場合に、合成範囲の一番深い位置(奥側)にある被写体にピントを合わせると、浅い位置(手前)の被写体がピントボケし、そのピントボケの範囲が、被写体外径範囲を超える場合がある。その場合、本来の外周範囲外の画素で深度合成処理が行われ、濃度差の最大になる濃度を合成処理してしまう。具体的には、例えば本来は刃先の境界部と背景部に大きな濃度差が在る筈が、ピントボケのために本来の境界部の少し外(背景側)まで明るくなってしまう為に、ピントボケに関係ない本来の暗い背景箇所とピントボケによりある程度明るくなった背景箇所との濃淡(明暗)の差が大きくなり、このため焦点位置や境界を誤認識してしまう。このようにして外周の外側に本来の濃度ではなく、ピントボケしている濃度を設定してしまうと、合成後の被写体を2値化した場合に輪郭が若干広がる現象が発生する。
【0010】
さらに、コントラストに差がある逃げ面同士(あるいは、明るい欠陥と逃げ面)の境界部に関しても、明るい逃げ面(明るい欠陥)のピントボケ範囲が、暗い逃げ面にかかると、同様の現象が発生する。
【0011】
このため、光学式撮像装置によって被写界深度を越える長さを持つ撮像対象物を奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、各画素を単位として、得られた複数の画像の中から最もピントが合った画像を抽出する際に、コントラストがある境界部を適切に処理し、真にピントが合った画像を見出すこととなる技術(棒状回転工具の深度形状合成方法や装置)の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としてなされたものであり、軸方向に対して奥行きがある棒状回転工具、例えばドリルの刃先をピント位置を奥側から手前にあるいはその逆方向に変えて順に撮像した場合には、ドリルの位置の如何等に応じて順に撮像した複数の画像の抽出対象箇所の画素やその画素に隣接する画素の濃淡に一定の傾向があることを見出し、さらにラプラシアンフィルタにかけること、前記記録した画素の濃度の変化について平均化フィルタにかけること、さらに前記一定の傾向を顧慮の上、順に比較を行なうようにしたものである。以下、各請求項の発明を説明する。
【0013】
請求項1に記載の発明は、
軸方向に対して奥行きがある棒状回転工具の刃先の奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、ピントの合った画像を所定の手順で抽出し、抽出された画像の前記各画素位置毎の画素を合成して全体がピントの合った合焦点画像を合成する棒状回転工具の深度形状合成方法であって、
前記所定の手順とは、
前記棒状回転工具の刃先を順に撮像して得られた画像を基に、各画素位置の画素あるいは当該画素に加えて当該画素に隣接する画素の濃度を順に記録し、
前記記録した画素の濃度の変化について、ラプラシアンフィルタにかけること、前記記録した画素の濃度の変化について平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理を行って定まる画像が当該画素位置においてピントが合っていると判断するものであることを特徴とする棒状回転工具の深度形状合成方法である。
【0014】
請求項1に記載の発明においては、光学式撮像装置によって被写界深度を越える長さを持つ撮像対象物を奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、各画素を単位として、得られた複数の画像の中から最もピントが合った画像を抽出する際に、ラプラシアンフィルタにかけること、前記記録した画素の濃度の変化について平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理を行って定まる画像が当該画素位置においてピントが合っていると判断するため、コントラストがある境界部を適切に処理し、真にピントが合った画像を見出すことが出来る。
【0015】
なお、ピント位置を変えて順に複数回おこなう撮像は、所定間隔であるのが、処理の面からは好ましい。
また、ラプラシアンフィルターにかけるのは、隣接する画像との濃度差が大きい箇所を見出すためであり、平均化フィルタにかけるのは、少し広い範囲で大きな濃度差がある箇所を見出す為である。
【0016】
請求項2に記載の発明は、
前記ラプラシアンフィルタにかけること、前記記録した画素の濃度の変化について平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理とは、
所定の位置について、
前記奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、その前後にピント位置を変えて撮像した画像と濃度を比較し、前記濃度が一旦上昇した後最小値を示し、その後再度上昇し、前記最小値より低いものが無ければ、前記最小値を示す画像が、ピントが合っていると判断し、
かかる最小値が無い場合および前記所定の位置以外の位置では、
各画素位置毎に1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
2番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を合成画像とし、
1番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を合成画像とし、
3番目に撮像した画像については、各画素位置毎に前記2番目における合成画像とその画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
その画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
合成画像の方がピントが合っている場合には、合成画像とその画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
4番目以降に撮像した画像については、前記3番目に撮像した画像に対するのと同じ処理を順に繰り返すものであることを特徴とする請求項1に記載の棒状回転工具の深度形状合成方法である。
【0017】
請求項2に記載の発明においては、所定の位置については順に撮像した画像の濃度の変化を基に見出した最小値を、かかる最小値が無い場合および前記所定の位置以外の位置では、ラプラシアンフィルタや平均化フィルタで処理した画像の濃度と撮像した画像の濃度の変化を基にピントの合った画像を判断する為、濃度が大きく相違する画素の近傍で、ピントが合わない為に誤った濃度処理をする様なことが無くなり、その結果優れた深度合成画像が得られる。
【0018】
ここに、「所定の位置」とは、刃先の各部やその近傍等の特定の場所を指す。
また、「順に撮像した画像の濃度の変化を基に見出した最小値」とは、最小濃度を記録後に、濃度が上昇する傾向を抽出することである。
【0019】
請求項3に記載の発明は、
前記所定の位置とは、刃先の先端周辺部と外周辺部であることを特徴とする請求項2に記載の棒状回転工具の深度形状合成方法である。
【0020】
本請求項の発明においては、刃先の先端周辺部と外周辺部については、順に撮像した画像の濃度の変化を基に見出した最小値が優先される為、請求項2の発明の効果が一層発揮される。
【0021】
また、先端周辺部、外周辺部以外の位置、例えばドリル先端部、側面部、欠陥部に対しても同じ処理を行ったり、他の傾向に着目した処理を行ってもよい(本発明に含まれる)。
【0022】
請求項4に記載の発明は、
軸方向に対して奥行きがある棒状回転工具の刃先の奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、ピントの合った画像を所定の手順で抽出し、抽出された画像の前記各画素位置毎の画素を合成して全体がピントの合った合焦点画像を合成する棒状回転工具の深度形状合成装置であって、
前記棒状回転工具の刃先を順に撮像して得られた画像を基に、各画素位置の画素あるいは当該画素に加えて当該画素に隣接する画素の濃度を順に記録する記録部と、
ラプラシアンフィルタと、
平均化フィルタと、
前記記録した画素の濃度の変化について、前記ラプラシアンフィルタにかけること、前記平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理を行って定まる画像が当該画素位置においてピントが合っていると判断する判断処理部とを有していることを特徴とする棒状回転工具の深度形状合成装置である。
【0023】
請求項4に記載の発明は、方法の発明である請求項1に記載の発明を装置の発明として捉えたものである。
【0024】
請求項5に記載の発明は、
前記判断処理部は、
所定の位置について、
前記奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、その前後にピント位置を変えて撮像した画像と濃度を比較し、前記濃度が一旦上昇した後最小値を示し、その後再度上昇し、前記最小値より低いものが無ければ、前記最小値を示す画像が、ピントが合っていると判断する所定位置判断処理部と、
かかる最小値が無い場合および前記所定の位置以外の位置については、
各画素位置毎に1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
2番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を合成画像とし、
1番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を合成画像とし、
3番目に撮像した画像については、各画素位置毎に前記2番目における合成画像とその画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
その画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
合成画像の方がピントが合っている場合には、合成画像とその画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
4番目以降に撮像した画像については、前記3番目に撮像した画像に対するのと同じ処理を順に繰り返す繰り返し判断処理部を有していることを特徴とする請求項4に記載の棒状回転工具の深度形状合成装置である。
【0025】
請求項5に記載の発明は、方法の発明である請求項2に記載の発明を装置の発明として捉えたものである。
【0026】
請求項6に記載の発明は、
前記所定の位置とは、刃先の先端周辺部と外周辺部であることを特徴とする請求項5に記載の棒状回転工具の深度形状合成装置である。
【0027】
請求項6に記載の発明は、方法の発明である請求項3に記載の発明を装置の発明として捉えたものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明においては、光学式撮像装置によって被写界深度を越える長さを持つ撮像対象物を奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、各画素を単位として、得られた複数の画像の中から最もピントが合った画像を抽出する際に、棒状回転工具の刃先位置ごとにその場所に適した基準で濃度の変化を調べ、極近傍の画素との差をラプラシアンフィルタにかけて求め、少し広い画素範囲での大きな変化を平均化フィルタにかけて求め、比較を含む所定の手順で抽出するので、真にピントが合った深度合成画像が得られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】検査対象のドリルの刃先の各位置を示す図である。
【図2】検査対象の画素の性質を調査する際に参照する当該画素に隣接する画素群を示す図である。
【図3】ドリル先端部についての調査結果の一例を示すグラフである。
【図4】先端周辺部の調査結果の一例を示すグラフである。
【図5】側面部の調査結果の一例を示すグラフである。
【図6】欠陥部の調査結果の一例を示すグラフである。
【図7】外周辺部の調査結果の一例を示すグラフである。画像の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態に用いるラプラシアンフィルタ1の図である。
【図9】前記ラプラシアンフィルタ1にかけた画像の濃淡を示す図である。
【図10】本発明の一実施の形態に用いるラプラシアンフィルタ2から4の図である。
【図11】本発明の一実施の形態に用いる平均化フィルタの図である。
【図12】前記平均化フィルタをかけて得られた濃淡画像の図である。
【図13】本発明の一実施の形態における合成画像の濃度値を変更する処理の内容を示す図である。
【図14】従来技術で合成された、ドリルの刃先の合成画像の一例を示す図である。
【図15】本発明に係るドリルの深度形状合成方法により合成された、ドリルの刃先の合成
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明をその最良の実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0031】
順に撮像した各画像やその近傍の画像の濃度の変化に着目して、境界の濃度を定めることについて説明する。但し、ピントが合った画像を定めることにも関係する。
【0032】
(撮像方法)
最初に、撮像方法について説明する。
(1)被写体の奥から手前へピントの合う位置を、例えばレンズの被写界深度と等しい距離で等間隔に移動しつつ、撮像する。
(2)検査したい被写体範囲よりさらに奥の位置から、被写体範囲よりも手前の位置まで撮像する。これは、ピントが合っている画像を決めるためには、原則としてその奥側と手前のピントが合っていない画像が必要であること、検査に際してドリル等の棒状回転工具を把持するチャックのばらつき等を考慮したものである。
(3)照明は、ドリル等の棒状回転工具の先端を、全周囲から斜めに照らすリング照明で行なう。
【0033】
(着目する刃先位置)
次に、着目する刃先位置について説明する。
図1は検査対象である棒状回転工具の1例としてのドリルの刃先やその近傍の各位置を示す図である。図1に示す以下の5つの刃先やその近傍の位置(以下、「位置」と記す)毎に、所定の画素群の全画像(奥側〜手前へピントの合う位置を移動しながら撮像した画像)の濃度変化の性質を調査する。
【0034】
図1において、1はドリル先端部であり、明るい画素群に注目する。2は先端周辺部であり、逃げ面境界を含まない暗い画素群(近くに明るい画素群有)に注目する。3は側面部であり、逃げ面境界を含まない暗い画素群に注目する。4は欠陥部であり、明るい欠陥内画素群に注目する。5は外周辺部であり、輪郭境界を含む画素群(逃げ面と背景の境界)に注目する。
【0035】
A.所定の刃先位置の示す性質に着目した処理
次に、所定の刃先位置の示す性質、さらにその性質に着目した処理について説明する。
1.検査対象の画素および隣接する画素群
図2に、検査対象の画素の性質を調査する際に参照する当該画素に隣接する画素群を示す。図2において、(0,0)は検査対象の画素、即ち請求項の当該画素位置の画素であり、(0,−1)は一つ上の画素であり、(1,0)は一つ右の画素であり、(0,1)は一つ下の画素であり、(−1,0)は一つ左の画素である。
【0036】
2.各位置における撮像結果の具体例
各位置についての調査結果を、以下の図3から図7に示す。これらの図において、縦(Y)軸は濃度であり、横(X)軸は焦点位置を奥側から手前に移動させて撮像した際の画像の番号であり、奥側が0、手前が22である。これら各図において、◆は(0,0)の画素であり、■は(0,−1)の画素であり、×は(1,0)の画素であり、*は(0,1)の画素であり、▲は(−1,0)の画素である。
【0037】
イ.ドリル先端部
ドリル先端部の調査結果を、即ち画像番号0から同22までの濃度変化の様子を図3に示す。図3において縦軸は画素の濃度、横軸は画像番号である。
前記5箇所の画素はいずれも、ピントが合う画像番号(No.11)まで、濃度が上がり続け、ピントが合う画像番号を境に、濃度は下降する傾向がある。
なお、ピントが合う画像番号で濃度が下降する一部の画素は、表面上の凹凸によって変化したものと考えられる。
【0038】
ロ.先端周辺部
先端周辺部の調査結果を、図4に示す。
前記5箇所の画素はいずれも、ピントが合う画像番号(No.12)まで濃度が下がり、ピントが合う画像番号で最小濃度を記録した後、次第に濃度が上昇する傾向がある。
【0039】
ハ.側面部
側面部の調査結果を、図5に示す。
前記5箇所の画素はいずれも、ピントが合う画像番号(No.11)に近付くにつれて濃度が下がり、ピントが合う画像番号で最小濃度を記録後、次第に濃度が上昇する傾向がある。
【0040】
ニ.欠陥部
欠陥部の調査結果を、図6に示す。
前記5箇所の画素はいずれも、ピントが合う画像番号(No.11)まで濃度が上がり、最大濃度を経た後下がり、ピントが合う画像を境に濃度が上がり、その後再び下降する傾向がある。
【0041】
ホ.外周辺部
外周辺部の調査結果を、図7に示す。
図1と図2を参照した場合に、逃げ面上となる(1,0)と(0,1)の画素は、ピントが合う画像番号(No.10)まで濃度が上がり続け、ピントが合う画像番号を境に濃度は下降する傾向がある。
同じく、背景上となる(0,−1)と(−1,0)の画素は、ピントが合う画像番号(No.10)に近付くにつれて濃度が下がり、ピントが合う画像番号で最小濃度を記録後、一旦濃度が上昇する傾向がある。
【0042】
以上の調査データから、先端周辺部、外周辺部の画素がピントの合った濃度にするには、最小濃度を記録後に、濃度が上昇する傾向を抽出すればよいことがわかる。
また、他の位置に関して同条件を適用したとしても、誤った濃度を設定することはないため、境界周辺部に限定する必要はなく、画像一括で処理を行うことが可能となる。
【0043】
得られた複数の画像の中から最もピントが合った画像を抽出する際の比較を含む所定の手順としての処理では、以上の特徴、性質に着目することとなる。
【0044】
次に、前記の特徴、性質に着目すると共に、順に撮像した各画像やその近傍の画像についてラプラシアンフィルタと平均化フィルタを用いた処理を行い、その上で最もピントが合った画像を定めることについて説明する。
【0045】
B.フィルタを用いた処理
次に、前記処理がなされなかったり、他の刃先位置においてなされるフィルタを用いた処理について説明する。
【0046】
1.ラプラシアンフィルタによる処理
ラプラシアンフィルタによる処理は、急な変化を際立たせる処理であり、本実施の形態では隣接する8個の画素を考慮する。
【0047】
(1)合成画像の初期値の設定
1番目の、即ち一番奥の濃淡画像の濃淡(明度)を合成画像の初期値とする。
(2)ラプラシアン画像の作成
2番目以降に撮像した濃淡画像に対して、1枚ごとに順に以降の処理を行う。
画像に4種類のラプラシアンフィルタをかけ、その合成値を求めラプラシアン画像を作成する。具体的な手順は以下の通りである。
【0048】
(2)−1.濃淡画像のラプラシアン画像1の作成
濃淡画像のラプラシアン画像1の作成は以下に記載する手順で行う。
(2)−1−1.濃淡画像(画素)の外周端1画素を除く画素に対して、自身の画素を中心とした3×3画素の範囲に図8に示すフィルタサイズが3×3のラプラシアンフィルタ1をかける。その結果を、図9に示す。図9において、I11〜I33は各画素の濃度値である。次に、図9に示した濃淡画像の各画素の濃度値を基に次式により濃度値Iを求める。
I=I11×0+I12×(−1)+I13×0+I21×0+I22×2+I23×0+I31×0+I32×(−1)+I33×0
【0049】
(2)−1−2.計算結果の濃度値Iの絶対値I’をとる。
(2)−1−3.I'が1以下の場合、0とする。
(2)−1−4.(2)−1−3の計算結果を自身の画素の濃度値とする。
(2)−1−5.(2)−1−1〜(2)−1−4の処理を濃淡画像の外周端1画素を除く全画素に対して行い、濃淡画像のラプラシアン画像1を作成する。
【0050】
(2)−2.濃淡画像のラプラシアン画像2〜4の作成
濃淡画像に図10の(1)〜(3)示すラプラシアンフィルタ2〜ラプラシアンフィルタ4をかけ、ラプラシアン画像1の作成と同様の方法でラプラシアン画像2〜ラプラシアン画像4を作成する。
【0051】
(2)−3.濃淡画像のラプラシアン画像の作成
次に作成したラプラシアン画像1〜ラプラシアン画像4を加算し、濃度値が1以下の画素については、その濃度値を0として濃淡画像のラプラシアン画像を作成する。
【0052】
(2)−4.合成画像のラプラシアン画像の作成
合成画像に、(2)−1に記載した濃淡画像のラプラシアン画像の作成と同様に4種類のラプラシアンフィルタをかけて合成値をもとめ、前記合成値を基に合成画像のラプラシアン画像を作成する。
【0053】
(3)濃度値の候補1の選定
(3)−1.画素毎の濃度値の候補1の選定
次に濃度値の候補1を選定する。具体的には、前記濃淡画像のラプラシアン画像と合成画像のラプラシアン画像の同一画素における濃度値を比較し、濃淡画像のラプラシアン画像の濃度値が合成画像のラプラシアン画像の濃度値より大きければ、濃淡画像の濃度値を合成画像の濃度値に置き換える候補とする。これを候補1とする。
【0054】
(3)−2.全画素の濃度値の候補1の選定
(3)−1で記載した画素毎の濃度値の候補1の選定を、全画素を対象に行う。
2.平均化フィルタによる処理
平均化フィルタによる処理は、広い範囲における大きな変化を見出す為におこなうものである。本実施の形態では、自身の画素を中心とした9×9画素に着目する。
【0055】
(1)平均化画像の作成
(1)−1.濃淡画像の平均化画像の作成
(1)−1−1.画素毎の濃度値の算定
濃淡画像の外周端4画素を除く画素に対して、自身の画素を中心とした9×9画素の範囲に図11に示すフィルタサイズが9×9の平均化フィルタをかけ、次式により自身の画素の濃度値を算定する。
濃度値I=Σ(Iij×1/81) I:I11〜I99
i、j:1〜9
得られた濃淡画像を、図12に示す。
【0056】
(1)−1−2.全画素の濃度値の算定
(1)−1−1に記載した画素毎の濃度値の算定濃淡画像の外周端4画素を除く全画素に対して行い、濃淡画像の平均化画像を作成する。
【0057】
(1)−2.合成画像の平均化画像の作成
合成画像に(1)−1に記載した濃淡画像の平均化画像の作成と同様の方法で平均化フィルタをかけ、全画素の濃度値を算定して合成画像の平均化画像を作成する。
【0058】
(2)濃度値の候補2の選定
(2)−1.画素毎の濃度値の候補2の選定
次に濃度値の候補2を選定する。具体的には、前記濃淡画像の平均化画像と合成画像の平均化画像の同一画素における合成値を比較し、濃淡画像の平均化画像の濃度値が合成画像の平均化画像の濃度値より大きければ、濃淡画像の濃度値を合成画像の濃度値に置き換える候補とする。これを候補2とする。
【0059】
(2)−2.全画素の濃度値の候補2の選定
(2)−1で記載した画素毎の濃度値の候補2の選定を、全画素を対象に行う。
【0060】
3.濃度変化の調査結果に基づく濃度値の候補3の選定
全濃淡画像の同一画素上の濃度変化を調べ、条件を満たした場合、濃淡画像の濃度値を合成画像の濃度値に置き換える候補とする。これを濃度値の候補3とする。
具体的には、以下に記載する手順により濃度値の候補3を選定する。
【0061】
図13は、合成画像の濃度値を変更する処理の内容を示す図であり、縦軸は濃度値を、横軸は画像番号を示す。以下、図13により濃度値の候補3の選定について説明する。
【0062】
(1)画像上のある1画素の濃度値を調べ、同じ画素位置における連続する4画像の濃度値を比較する。比較対象の画像番号の小さい方から順に1、2、3、4と付番し、それぞれの濃度値をI1、I2、I3、I4とする。
(2)画像番号1を撮像した時、I1がそれまでの濃度値の最小値より小さいか否かを比較し、小さければ最小値をI1にして、フラグ1をオンにする。なお、ここの「1」の画像が、一番奥にあるため、一番最初に撮像された画像であれば(当然比較対象の前期4個の画像の1の画像となる)、その値がそのまま初期値とされる。
(3)画像番号3を撮像した時、下記の条件を満たすか判定し、満たせばフラグ2をオンにする。
I3≧I1
ただし、ここでも条件はドリルの形状や撮像環境の変化に対応できるよう、複数の条件に組合わせることとする。
条件a:I2≧I1
条件b:I3≧I1
条件c:I2≧I1 かつ I3≧I1
条件d:I3≧I1 かつ I3≧I2
条件e:I2≧I1 かつ I3≧I1 かつ I3≧I2
【0063】
(4)画像番号4を撮像した時、下記の条件を満たすか判定し、満たせばフラグ3をオンにする。
I4≧I1
(5)フラグ1、2、3が全てオンのとき、合焦点画像とし、合成画像の濃度値を濃度値の候補3とする。
(6)本機能にて濃度の入れ替えを行った画素について、それ以降、前記ラプラシアンフィルタと平均化フィルタを用いた深度合成機能に関する処理による濃度値入れ替え操作が発生しても、入れ替えを行わない。但し、画像番号が5、6と増加した際の本機能による濃度値の入れ替えは随時行う。
【0064】
4.合成画像の濃度値の変更
以下の処理で合成画像の濃度値を変更する。
【0065】
濃淡画像と合成画像の同一画素において、下記の条件に従い、合成画像の濃度値を変更する。
(1)各画素の濃度値の変更
(1)−1.濃淡画像の濃度が濃度値の候補3となっている場合、濃淡画像の濃度値を合成画像の濃度値とする。以降、候補1、候補2の条件による、この画素の濃度値の変更を行わない。
(1)−2.濃淡画像の濃度が候補1となっている場合、濃淡画像の濃度値を合成画像の濃度値とする。
(1)−3.濃淡画像の濃度が候補1となっておらず、且つ、候補2となっている場合、濃淡画像の濃度値を合成画像の濃度値とする。
(2)全画素の濃度値の変更および深度合成画像の作成
(1)に記載した各画素の濃度値の変更を濃淡画像と合成画像の全画素で行い、最後の濃淡画像を用いて作成した合成画像を深度合成画像とする。
【0066】
なお、上記した2つの実施の形態では何れも、被写体の奥から手前へピントの合う位置を移動しつつ撮像したが、これは逆方向に移動しつつ撮像しても良い。
また、欠陥の有無や欠陥の位置は予め判ってはいない。このため、最初は欠陥がないものとして検査を行い、予め定めた基準で処理できない場合に初めて欠陥を想定した検査がなされる。
【0067】
最後に、本発明の効果を実際に示す為、図14に比較例として従来技術で合成した写真を示し、図15に前記各位置における濃度の変化が示す性質に注意しつつ合成した本発明の実施例の写真を示す。両方の写真を比較すると、図14の従来技術の合成写真では、全体的に各位置の境界が多少ぼけて不明確であったり、ドリル先端の背景に光る箇所があったりしているが、図15の実施例の写真ではそのようなことがなく、各位置とも、またそれらの境界も明瞭であるのが判る。
【符号の説明】
【0068】
1 ドリル先端部
2 先端周辺部
3 側面部
4 欠陥部
5 外周辺部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に対して奥行きがある棒状回転工具の刃先の奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、ピントの合った画像を所定の手順で抽出し、抽出された画像の前記各画素位置毎の画素を合成して全体がピントの合った合焦点画像を合成する棒状回転工具の深度形状合成方法であって、
前記所定の手順とは、
前記棒状回転工具の刃先を順に撮像して得られた画像を基に、各画素位置の画素あるいは当該画素に加えて当該画素に隣接する画素の濃度を順に記録し、
前記記録した画素の濃度の変化について、ラプラシアンフィルタにかけること、前記記録した画素の濃度の変化について平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理を行って定まる画像が当該画素位置においてピントが合っていると判断するものであることを特徴とする棒状回転工具の深度形状合成方法。
【請求項2】
前記ラプラシアンフィルタにかけること、前記記録した画素の濃度の変化について平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理とは、
所定の位置について、
前記奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、その前後にピント位置を変えて撮像した画像と濃度を比較し、前記濃度が一旦上昇した後最小値を示し、その後再度上昇し、前記最小値より低いものが無ければ、前記最小値を示す画像が、ピントが合っていると判断し、
かかる最小値が無い場合および前記所定の位置以外の位置では、
各画素位置毎に1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
2番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を合成画像とし、
1番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を合成画像とし、
3番目に撮像した画像については、各画素位置毎に前記2番目における合成画像とその画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
その画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
合成画像の方がピントが合っている場合には、合成画像とその画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
4番目以降に撮像した画像については、前記3番目に撮像した画像に対するのと同じ処理を順に繰り返すものであることを特徴とする請求項1に記載の棒状回転工具の深度形状合成方法。
【請求項3】
前記所定の位置とは、刃先の先端周辺部と外周辺部であることを特徴とする請求項2に記載の棒状回転工具の深度形状合成方法。
【請求項4】
軸方向に対して奥行きがある棒状回転工具の刃先の奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、ピントの合った画像を所定の手順で抽出し、抽出された画像の前記各画素位置毎の画素を合成して全体がピントの合った合焦点画像を合成する棒状回転工具の深度形状合成装置であって、
前記棒状回転工具の刃先を順に撮像して得られた画像を基に、各画素位置の画素あるいは当該画素に加えて当該画素に隣接する画素の濃度を順に記録する記録部と、
ラプラシアンフィルタと、
平均化フィルタと、
前記記録した画素の濃度の変化について、前記ラプラシアンフィルタにかけること、前記平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理を行って定まる画像が当該画素位置においてピントが合っていると判断する判断処理部とを有していることを特徴とする棒状回転工具の深度形状合成装置。
【請求項5】
前記判断処理部は、
所定の位置について、
前記奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、その前後にピント位置を変えて撮像した画像と濃度を比較し、前記濃度が一旦上昇した後最小値を示し、その後再度上昇し、前記最小値より低いものが無ければ、前記最小値を示す画像が、ピントが合っていると判断する所定位置判断処理部と、
かかる最小値が無い場合および前記所定の位置以外の位置については、
各画素位置毎に1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
2番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を合成画像とし、
1番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を合成画像とし、
3番目に撮像した画像については、各画素位置毎に前記2番目における合成画像とその画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
その画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
合成画像の方がピントが合っている場合には、合成画像とその画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
4番目以降に撮像した画像については、前記3番目に撮像した画像に対するのと同じ処理を順に繰り返す繰り返し判断処理部を有していることを特徴とする請求項4に記載の棒状回転工具の深度形状合成装置。
【請求項6】
前記所定の位置とは、刃先の先端周辺部と外周辺部であることを特徴とする請求項5に記載の棒状回転工具の深度形状合成装置。
【請求項1】
軸方向に対して奥行きがある棒状回転工具の刃先の奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、ピントの合った画像を所定の手順で抽出し、抽出された画像の前記各画素位置毎の画素を合成して全体がピントの合った合焦点画像を合成する棒状回転工具の深度形状合成方法であって、
前記所定の手順とは、
前記棒状回転工具の刃先を順に撮像して得られた画像を基に、各画素位置の画素あるいは当該画素に加えて当該画素に隣接する画素の濃度を順に記録し、
前記記録した画素の濃度の変化について、ラプラシアンフィルタにかけること、前記記録した画素の濃度の変化について平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理を行って定まる画像が当該画素位置においてピントが合っていると判断するものであることを特徴とする棒状回転工具の深度形状合成方法。
【請求項2】
前記ラプラシアンフィルタにかけること、前記記録した画素の濃度の変化について平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理とは、
所定の位置について、
前記奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、その前後にピント位置を変えて撮像した画像と濃度を比較し、前記濃度が一旦上昇した後最小値を示し、その後再度上昇し、前記最小値より低いものが無ければ、前記最小値を示す画像が、ピントが合っていると判断し、
かかる最小値が無い場合および前記所定の位置以外の位置では、
各画素位置毎に1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
2番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を合成画像とし、
1番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を合成画像とし、
3番目に撮像した画像については、各画素位置毎に前記2番目における合成画像とその画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
その画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
合成画像の方がピントが合っている場合には、合成画像とその画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
4番目以降に撮像した画像については、前記3番目に撮像した画像に対するのと同じ処理を順に繰り返すものであることを特徴とする請求項1に記載の棒状回転工具の深度形状合成方法。
【請求項3】
前記所定の位置とは、刃先の先端周辺部と外周辺部であることを特徴とする請求項2に記載の棒状回転工具の深度形状合成方法。
【請求項4】
軸方向に対して奥行きがある棒状回転工具の刃先の奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、ピントの合った画像を所定の手順で抽出し、抽出された画像の前記各画素位置毎の画素を合成して全体がピントの合った合焦点画像を合成する棒状回転工具の深度形状合成装置であって、
前記棒状回転工具の刃先を順に撮像して得られた画像を基に、各画素位置の画素あるいは当該画素に加えて当該画素に隣接する画素の濃度を順に記録する記録部と、
ラプラシアンフィルタと、
平均化フィルタと、
前記記録した画素の濃度の変化について、前記ラプラシアンフィルタにかけること、前記平均化フィルタにかけること、さらに順に比較を行なうことを含む所定の処理を行って定まる画像が当該画素位置においてピントが合っていると判断する判断処理部とを有していることを特徴とする棒状回転工具の深度形状合成装置。
【請求項5】
前記判断処理部は、
所定の位置について、
前記奥側から手前にあるいはその逆方向に、ピント位置を変えて順に複数回撮像し、得られた複数の画像の中から各画素位置毎に、その前後にピント位置を変えて撮像した画像と濃度を比較し、前記濃度が一旦上昇した後最小値を示し、その後再度上昇し、前記最小値より低いものが無ければ、前記最小値を示す画像が、ピントが合っていると判断する所定位置判断処理部と、
かかる最小値が無い場合および前記所定の位置以外の位置については、
各画素位置毎に1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
2番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を合成画像とし、
1番目に撮像した画像の方がピントが合っている場合には、1番目に撮像した画像と2番目に撮像した画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を合成画像とし、
3番目に撮像した画像については、各画素位置毎に前記2番目における合成画像とその画像それぞれにラプラシアンフィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、
その画像の方がピントが合っている場合には、その画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
合成画像の方がピントが合っている場合には、合成画像とその画像それぞれに平均化フィルタをかけ、その計算結果が大きい方がピントが合っていると判断し、ピントが合っている方の画像の濃度を新たに3番目における合成画像とし、
4番目以降に撮像した画像については、前記3番目に撮像した画像に対するのと同じ処理を順に繰り返す繰り返し判断処理部を有していることを特徴とする請求項4に記載の棒状回転工具の深度形状合成装置。
【請求項6】
前記所定の位置とは、刃先の先端周辺部と外周辺部であることを特徴とする請求項5に記載の棒状回転工具の深度形状合成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−164369(P2010−164369A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5544(P2009−5544)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(591124721)立山マシン株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(591124721)立山マシン株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]