説明

椅子型マッサージ機

【課題】 操作装置を備えた肘掛け部を左右で交換可能とし、被施療者が操作し易い腕で操作装置を操作することができる椅子型マッサージ機を提供すること。
【解決手段】 左右に設けた肘掛け部5の一方にマッサージ機構7の施療動作を操作する操作装置33を設け、この操作装置33を設けた肘掛け部5と他方の肘掛け部5とを着脱可能に構成し、この肘掛け部5と前記基台18との間に、前記操作装置33と基台18との間で信号を伝達する着脱可能な伝達部材を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の身体を施療する施療子を操作する操作装置や、被施療者の生体情報を測定する操作装置を肘掛け部に備えた椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被施療者の身体に、もみ、たたき、指圧、ローリング等の刺激を与える椅子型マッサージ機が知られている。この椅子型マッサージ機の多くは、主として被施療者の腰、背中及び肩に対して施療子で前記刺激を与える構成や、空気袋で脹脛部や腿部、尻部等に刺激を与える構成が備えられている。
【0003】
前記施療子は、被施療者の腰、背中及び肩に対して刺激を与えるように、被施療者の背中の上下方向に位置変更が可能なように構成されている。この施療子は、一般的に施療子を被施療者の腰、背中に対して直交する方向から支持するアームにもみ動作やたたき動作を与えることにより、被施療者に対して種々の施療を行うマッサージ機構に設けられている。
【0004】
このマッサージ機構は、一般的に、被施療者の身体中心の左右両側に施療子を備えたアームがそれぞれ設けられ、これらの施療子を被施療者の腰から背中、肩にかけて身長方向に移動させながら被施療者の身体に、もみ、たたき、指圧、ローリング等の刺激を与えて種々のマッサージを行っている。
【0005】
また、前記空気袋は、被施療者の脹脛部や腿部、尻部等を押圧して刺激を与えるように、被施療者の脹脛部や腿部、尻部で膨張・収縮が可能なように構成されている。この空気袋を膨張・収縮させる構成としては、エアー供給源から供給される圧縮空気の供給・排出を制御することによって行われる。
【0006】
この空気袋や前記施療子は、マッサージ機に備えられた操作装置を被施療者が操作することによって動作内容を決定することができる。この操作装置としては、これら施療子や空気袋の動作、及び背凭れ部やフットレストの傾倒角度等を被施療者が選択的に操作するリモートコントロール装置が一般的であるが、例えば、前記肘掛け部に設けられたジョイスティック型操作装置もある。
【0007】
この種のジョイスティック型操作装置を備えたマッサージ機として、例えば、ジョイスティック機構によって複数の動作モードの中からシフトレバー感覚で選択的に動作モードを選択できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。このマッサージ機では、複数の動作モードから所望の動作モードを選択する操作をジョイスティック機構で行っている。このジョイスティックは、肘掛け部の上面部分で折り畳み、肘掛け部の上面に開口する収納凹部内に収納することができるようにしている。
【0008】
また、他の従来技術として、肘掛け部に主操作機を載置するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。このマッサージ機には、片手で保持できるような円筒状のセンサ部が設けられ、このセンサ部で被施療者の脈拍が計測できるようにしている。
【0009】
さらに、マッサージ機に備えることができる他の操作装置として、被施療者の脈拍や皮膚電気抵抗、皮膚温度等の生体情報の変化を計測する生体情報計測装置がある(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2004−57465号公報(第8,9頁、図9−12)
【特許文献2】特開2004−236709号公報(第5,6頁、図1,7)
【特許文献3】特開2002−233506号公報(第3−5頁、図1,9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前記特許文献1のようなジョイスティック機構の操作装置は、一般的に左右一方の肘掛け部の上面に設けられる。例えば、被施療者の右側の肘掛け部にジョイスティック機構が設けられ、被施療者が右腕でジョイスティック機構を操作することにより動作モード選択等の操作が行われる。
【0011】
しかし、このように左右一方の肘掛け部に設けられたジョイスティック機構で動作モードの選択等を行う場合、被施療者によっては利き腕でない方の腕によって操作しなければならない場合があり、スムーズな操作が難しい場合がある。
【0012】
また、被施療者によっては利き腕に限定されることなく、操作し易い腕の方に操作装置を位置させたい場合もある。このことは、前記特許文献2,3のような計測装置も、被施療者によっては測定し易い腕の方に位置させたい場合がある。
【0013】
そこで本発明は、操作装置を備えた肘掛け部を左右で交換可能とし、被施療者が操作し易い腕で操作装置を操作することができる椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は、基台の左右に肘掛け部を備えた椅子型マッサージ機であって、前記左右の肘掛け部の一方に操作装置を設け、該操作装置を設けた肘掛け部と他方の肘掛け部とを着脱可能に構成して左右で交換可能にするとともに、該肘掛け部と前記基台との間に、前記操作装置と基台との間で信号を伝達する着脱可能な伝達手段を設けている。これにより、操作装置が設けられた肘掛け部を、他方の肘掛け部と容易に交換して、被施療者の操作し易い腕側に操作装置を位置させることが容易にできる。
【0015】
また、前記左右の肘掛け部の一方に設ける操作装置を、マッサージ機に設けたマッサージ機構の施療動作を操作する施療操作装置とすれば、被施療者がマッサージ機構の施療動作を操作し易い腕側に施療操作装置を位置させることが容易にできる。
【0016】
さらに、前記施療操作装置を肘掛け部の内部に収納可能に構成し、該肘掛け部の内部に収納した施療操作装置を所定位置に配置する駆動手段を設け、該肘掛け部と前記基台との間に、前記駆動手段の動力を基台から肘掛け部に供給する着脱可能な接続手段を設ければ、肘掛け部内に収納可能な施療操作装置を所定位置に配置する駆動手段の動力も、接続手段の着脱で容易に着脱することができる。
【0017】
また、前記左右の肘掛け部の一方に設ける操作装置を、マッサージ機で施療する被施療者の生体情報を測定する測定操作装置とすれば、被施療者の脈波等の生体情報を測定し易い腕側に測定操作装置を位置させることが容易にできる。
【0018】
さらに、前記伝達部材の接続状態を検知する検知機能を備えた制御装置を設け、該検知機能で検知した接続状態を椅子型マッサージ機のリモートコントロール装置に表示する機能を該制御装置に備えさせれば、操作装置を設けた肘掛け部と基台との接続状態を、被施療者がリモートコントロール装置で容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上説明した手段により、操作装置を備えた肘掛け部を左右で交換して、被施療者が操作し易い腕で操作装置を操作することができる椅子型マッサージ機を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の全体の構成を示す斜視図であり、図2は、同椅子型マッサージ機の平面図である。以下の実施の形態では、操作装置の一例として、施療操作装置たるジョイスティック型操作装置と、測定操作装置たる脈波測定装置とを例にし、このジョイスティック型操作装置を右側の肘掛け部に設け、脈波測定装置を左側の肘掛け部に設けた例を説明する。この実施の形態では、生体情報を測定する測定操作装置として脈波測定装置を例にしているが、他の生体情報(皮膚温度等)を測定するように構成してもよい。まず、本発明の椅子型マッサージ機の全体構成の一例を説明する。なお、この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、椅子型マッサージ機1に着座した被施療者から見たときの方向を基準として前後左右を用いる。例えば、前側は着座した被施療者の前方、左側は同被施療者の左方、右側は同被施療者の右方をいう。
【0021】
図1に示すように、この実施の形態に係る椅子型マッサージ機1は、座部2、背凭れ部3、フットレスト部4(脚載置台)、及び左右の肘掛け部5から主として構成されている。座部2は、基台18の上部に配置されており、この基台18は、両側に設けられた脚部18aで支持されている。この脚部18aは、この明細書の書類中では、基台18に含まれる。また、肘掛け部5の近傍にリモートコントロール装置6が設けられている。このリモートコントロール装置6には、前記椅子型マッサージ機1の動作状態などを表示する表示部が設けられている。19は、基台18に設けられた制御装置である。
【0022】
前記座部2の後部に設けられた背凭れ部3は、その前面視が縦長の略長方形に形成され、下端部が座部2の後部横方向に設けられた支持軸10によって前記基台18に支持されている。背凭れ部3は、この支持軸10を中心に回動して、前後にリクライニングが可能なように構成されている。そして、この背凭れ部3の内部に、着座した被施療者の背中側に刺激を与える施療子8を備えたマッサージ機構7が設けられている。
【0023】
このマッサージ機構7は、被施療者の身体に機械的刺激を与える複数(この図では左右各1つで、合計2つ)のローラ状の施療子8を備えている。これらの施療子8は、マッサージ機構7の前方に位置するように設けられた左右のアーム9の先端にそれぞれ取り付けられている。それぞれのアーム9は、マッサージ機構7に設けられた駆動機構によって、施療子8にもみ動作及びたたき動作をさせるように構成されている。また、このアーム9には、バイブレータ11が設けられており、このバイブレータ11で施療子8を振動させるように構成されている。このマッサージ機構7は、背凭れ部3の左右端部に設けられたレール12に沿って上下移動する昇降台13に設けられている。
【0024】
前記フットレスト部4は、上端が座部2の前端に設けられた支持軸14に支持され、下端が基台18側に接近又は離間するように構成されている。これにより、フットレスト部4の下端を前方に傾けて角度調節することが可能なように構成されている。また、このフットレスト部4の下端は、支持軸14に対し近接又は離間するように、例えばスライド機構を備えている。これにより、フットレスト部4は、支持軸14からフットレスト部4の下端までの距離を調節することができる。なお、フットレスト部4の下端部には、被施療者の足裏部に施療効果を与えることができる施療手段、例えば振動を与えて施療する図示しないバイブレータが設けられている。
【0025】
さらに、座部2には、腿部や尻部を押圧するように膨張・収縮が自在な空気袋15が設けられ、フットレスト部4には、脹脛部を押圧するように膨張・収縮が自在な空気袋16と、足部を押圧するように膨張・収縮が自在な空気袋17とがそれぞれ設けられている。これらの空気袋15,16,17を設ける構成は一例であり、個数や配置は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0026】
そして、左右の肘掛け部5の一方である右側の肘掛け部5にジョイスティック型操作装置33が設けられ、左側の肘掛け部に脈波測定装置42が設けられている。以下の説明では、右側の肘掛け部5に設けられたジョイスティック型操作装置33から説明する。
【0027】
図3は、図1に示す椅子型マッサージ機に設けられる施療操作装置の一例であるジョイスティック型操作装置に設けられたジョイスティックを示す図面であり、(a) は背面側からの斜視図、(b) は正面図である。図4は、同ジョイスティックの内部機構を模式的に示す縦断面図である。
【0028】
図4に示すように、ジョイスティック20には、支持軸21に回動可能に設けられたガイド部材22と、このガイド部材22にガイドローラ23aで上下方向に案内されるジョイスティック本体23とが設けられている。このジョイスティック本体23には、前記ガイド部材22の上部に設けられた段違いの当接板22a,22bに当接するリミットスイッチ24,25が設けられている。図4に実線で示す状態は、ジョイスティック本体23が下端に位置した状態であり、リミットスイッチ24が当接板22aに当接している。図4に点線で示す状態は、ジョイスティック本体23が上端に位置した状態であり、リミットスイッチ25が当接板22bに当接している。図4に一点鎖線で示す状態は、ジョイスティック本体24の中立位置である。これらのリミットスイッチ24,25により、ジョイスティック本体23の昇降動の上端と下端とが検出されている。なお、これらのリミットスイッチ24,25に代えて、ポテンショメータで昇降位置を検出するようにしてもよい。なお、二点鎖線で示す状態は、ジョイスティック20を最大に前傾させた状態を示している。
【0029】
また、前記ガイド部材22の下端には、このガイド部材22と一体的に回動する半円状の歯車26が設けられている。この歯車26は、肘掛け部5側に設けられたポテンショメータ27のピニオンギア27aと噛合している。このポテンショメータ27により、ジョイスティック20の回動角が検出されている。
【0030】
さらに、ジョイスティック本体23の上部には、前後方向に回動させる円形のスピードコントロール部材28,29が設けられている。この実施の形態では、図3(a) に示す右側にもみスピードコントロール部材28が、左側にたたきスピードコントロール部材29が設けられている。これらのスピードコントロール部材28,29の回動量は、ポテンショメータ28a,29aによってそれぞれ検出されている。
【0031】
その上、この実施の形態では、ジョイスティック本体23の前面に、ジョイスティック本体23を握る手でリクライニング操作を行うことが可能なリクライニング操作スイッチ30,31が設けられている。このリクライニング操作スイッチ30,31は、例えば人差し指と中指とで操作できる位置に設けられる。また、このジョイスティック本体23の被施療者側上部には、ジョイスティック20が、例えば電源をON操作した時の初期状態において中立位置にない場合には点滅して、マッサージ機を動作させる前に被施療者に対しジョイスティック20を中立位置に戻すように注意を促すためのLED32が設けられている。このLED32は、ジョイスティック20を中立位置に戻すと常時点灯状態となる。このジョイスティック20の中立位置の検出は、前記ポテンショメータ27などからの信号によって検出される。
【0032】
そして、前記図1,2に示すように、このようなジョイスティック20を設けたジョイスティック型操作装置33が右側の肘掛け部5に設けられており、この右側の肘掛け部5と左側の肘掛け部5とは、取外して交換することが可能なように構成されている。
【0033】
図1,2に示すように、左右の肘掛け部5は、その外形が同一の大きさで形成され、平面視の状態で左右対称形に形成されており、左右のいずれに取付けても同一の取付状態となる。この実施の形態の肘掛け部5は、前部が下部に設けられたブラケット5aを介して前部支持ピン34で前記脚部18aに支持され、後部が後部支持ピン35で前記背凭れ部3に支持されている。この後部支持ピン35は、背凭れ部3をリクライニングさせた時に座部2から遠ざかるように移動するので、前部支持ピン34は、後部支持ピン35の移動に伴って後方へ移動するように支持されている。この前部支持ピン34を前後方向に移動可能に支持する構成としては、後述する図5に示すリンク36や、スラドレール等で前部支持ピン34を支持することにより達成できる。
【0034】
このように肘掛け部5を支持している前部支持ピン34と後部支持ピン35とは、脚部18aと背凭れ部3とに着脱可能に設けられている。前部支持ピン34は、脚部18aの上部外側に設けられた支持ピン挿入口18bから座部2側に向けて挿入して固定することにより、肘掛け部5の前部を脚部18aで支持している。後部支持ピン35は、背凭れ部3の側部から背凭れ部3に向けて挿入して固定することにより、肘掛け部5の後部を背凭れ部3で支持している。したがって、これらの支持ピン34,35を取外すことにより、肘掛け部5を脚部18aと背凭れ部3とから取外すことができる。これにより、肘掛け部5を着脱可能にしている。
【0035】
図5は、図1に示す椅子型マッサージ機のジョイスティック型操作装置を設けた肘掛け部を示す側面図である。この実施の形態では、ジョイスティック型操作装置33のジョイスティック20を肘掛け部5の内部に収納可能なように構成した例を示している。まず、図5に基いて、ジョイスティック型操作装置33を設けた右側の肘掛け部5を説明する。また、この図に示すジョイスティック20は、操作可能な所定位置に配置した状態を実線で示し、肘掛け部5内に収納した状態を二点鎖線で示している。
【0036】
図示するように、右側の肘掛け部5の前部には、前記前部支持ピン34で支持するブラケット5aが設けられ、このブラケット5aは、脚部18aに設けられたフレーム18cにピン18dで支持されたリンク36と前部支持ピン34で連結されている。これにより、肘掛け部5の前部は脚部18a(基台18)に支持されている。肘掛け部5の後部は、前記後部支持ピン35で背凭れ部3に支持されている。このように支持された肘掛け部5は、背凭れ部3を後方へ倒した時に後部支持ピン35が座部2から後方へ遠ざかるように移動するが、これに伴って前部支持ピン34もリンク36の上部(前部支持ピン34側)が後方へ傾くことによって後方へ移動するように構成されている。
【0037】
一方、肘掛け部5の下部には、ジョイスティック20を収納する収納部5bが下方に向けて突出するように設けられている。また、この収納部5bが位置する部分の脚部18aには、収納部5bが収る収納部穴18eが設けられている。
【0038】
前記ジョイスティック20は、前記支持軸21が揺動アーム37の前端に支持され、この揺動アーム37は、後端が肘掛け部5の収納部5bの後部に支持軸38で支持されている。これにより、揺動アーム37が揺動することによって、ジョイスティック20を肘掛け部5の内部に収納、又は肘掛け部5の内部から所定位置に配置することができるようにしている。5cは、ジョイスティック20を収納した時に、収納部5bの上部開口を塞ぐ蓋部材である。揺動アーム37の下部と収納部5bの壁面との間に設けられた空気袋39は、内部にエアーを供給することにより膨張して揺動アーム37を押し上げ、収納したジョイスティック20を所定位置に配置するものである。
【0039】
前記ジョイスティック20を肘掛け部5に収納する場合、被施療者がジョイスティック20を下方へ押すことにより揺動アーム37が支持軸38を中心に揺動して収納部5b内に収納される。また、ジョイスティック20を肘掛け部5の収納部5b内から所定位置に配置する場合、揺動アーム37の下部に設けられた空気袋39にエアーを供給することにより、揺動アーム37の前端側が上昇して、ジョイスティック20が所定位置に配置させられる(図では膨張した空気袋39の上端のみを示している。)。この実施の形態では、ジョイスティック20の収納は被施療者の力で、ジョイスティック20の所定位置への配置は空気袋39の膨張で行うようにしているが、ジョイスティック20を収納、又は所定位置に配置する構成は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0040】
そして、前記収納部5bと収納部穴18eとの間には、肘掛け部5に設けられたジョイスティック型操作装置33と、基台18に設けられた制御装置19との間で信号を伝達する着脱可能な伝達部材40が設けられている。この伝達部材40は伝達手段の一例として、図では収納部5b側を実線で示し、収納部穴18e側を二点鎖線で示した配線ジョイントを用いている。また、この実施の形態では、前記ジョイスティック20を所定位置に配置するために膨張・収縮が自在な空気袋39を使用しているため、この空気袋39を膨張させるための動力となる圧縮空気を基台18側から供給する着脱可能な接続部材41が設けられている。この接続部材41は接続手段の一例であり、図では収納部5b側を実線で示し、収納部穴18e側を二点鎖線で示した、例えば空気を供給することが可能な、流体ジョイントが用いられている。この実施の形態では、伝達部材40に配線ジョイントを、接続部材41に流体ジョイントを用いることにより、ジョイスティック型操作装置33を設けた肘掛け部5を左右で交換するときに、肘掛け部5と基台18との間で信号伝達や動力伝達を行う手段の連結/取外し作業が容易に行えるようにしている。なお、これら伝達部材40と接続部材41の構成は一例であり、他の構成によって操作信号の伝達や動力の供給を行えるような手段を採用してもよい。
【0041】
さらに、前記伝達部材40及び接続部材41の接続状態を検知する機能を前記制御装置19に備えさせている。これにより、伝達部材40及び接続部材41が正常に接続されていなければ、制御装置19がリモートコントロール装置6の機能を無効にするようにしている。しかも、その状態をリモートコントロール装置6に表示する機能を制御装置19に備えさせることにより、被施療者が伝達部材40及び接続部材41の接続状態を容易に確認することができる。この場合、左右どちらの肘掛け部5にジョイスティック型操作装置33が接続されているかを表示するようにしてもよい。また、伝達部材40及び接続部材41の接続状態をそれぞれ検知して、それぞれの状態をリモートコントロール装置6に表示するようにしてもよい。
【0042】
また、肘掛け部5の前後が正しく取付けられているか否かを検知する検知手段を肘掛け部5の取付部に設け、この検知手段からの信号で肘掛け部5の取付状態をリモートコントロール装置6に表示するようにしてもよい。
【0043】
図6は、図1に示す脈波測定装置を設けた肘掛け部の側面図であり、図7は、図6に示す肘掛け部の脈波測定装置を設けた部分の斜視図である。なお、前記図5に示す構成と同一の構成には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0044】
図6,7に示すように、左側の肘掛け部5の前部は、外郭の肘乗せ5dが前方にスライド可能なように構成されている。図では肘乗せ5dを前方にスライドさせた状態を実線で示し、後方にスライドさせて閉じた状態の先端部を二点鎖線で示している。この肘乗せ5dを前方にスライドさせることにより、肘掛け部5の内部に設けられた測定操作装置たる脈波測定装置42が現れる。この時、肘乗せ5dの後端側の肘掛け部5上部に、凹状の手を置く部分も現れる。また、この肘乗せ5dを前方にスライドさせる操作によって脈波測定装置42の電源が入り、肘乗せ5dを後方にスライドさせて閉じることにより脈波測定装置42の電源が切れるように構成されている。この脈波測定装置42は、指尖脈波、脈拍を測定できるようなものが採用されている。具体的な脈波測定装置42としては、例えば、指先で脈拍による動脈血の脈動を光学的に捉え、赤色光と赤外光に対する透過光量の変動を個別に観測して測定するものが利用できる。この実施の形態の脈波測定装置42は一例であり、他の構成であってもよい。
【0045】
図7に示すように、この脈波測定装置42には、センサ部43と表示部42aと操作スイッチ42b,42cとが設けられている。センサ部43には、手を置く隆起部43aと、その中央部に指44を入れる測定部43bとが設けられている。この測定部43bは、指44で押えることにより下向きに揺動するように構成されている(図6)。表示部42aには、選択する測定動作等とのメニューが表示される。図示する例では、中央部の枠内に選択できる項目が表示される。この表示部42aは、LCD表示方式等が採用される。操作スイッチ42b,42cは、この実施の形態では表示部42aの両側に設けられており、左側に、表示部42aに表示されるメニューをスクロールするリスト用操作スイッチ42bが設けられ、右側に、表示部42aに表示されたメニューを選択する選択用操作スイッチ42cが設けられている。左側に設けられたリスト用操作スイッチ42bは、表示部42aに表示された内容に応じて左右にスクロールさせる機能も備えている。また、この脈波測定装置42には、測定結果を記憶しておくメモリ部42dが設けられている。この例では、メモリ部42dが配線42eで伝達部材40と接続されている。
【0046】
さらに、この例では、左側のリスト用操作スイッチ42bで表示部42aに所望の項目を表示させ、右側の選択用操作スイッチ42cで決定するように構成されている。この実施の形態では選択用操作スイッチ42cを表示部42aとは別構成としているが、表示部42aをタッチパネル式で構成して、表示部42aが選択用操作スイッチ42cを兼ねるように構成してもよい。また、他の構成によって所望の項目を選択できるようにしてもよい。
【0047】
このように構成された脈波測定装置42による具体的な操作手順としては、操作前に、利用者、性別、年代等の諸条件を入力し、指44をセンサ部43の測定部43bに入れる。そして、リスト用操作スイッチ42bで「測定開始」の項目を表示部42aに表示させ、選択用操作スイッチ42cの決定ボタンを押す。これにより、所定時間で測定が完了して、結果が表示部42aに表示される。その後、マッサージを行った後に、再度、脈波を測定する。この操作も、指44を測定部43bに入れ、リスト用操作スイッチ42bで「測定開始」の項目を表示部42aに表示させ、選択用操作スイッチ42cの決定ボタンを押す。これにより、所定時間で測定が完了して、結果が表示部42aに表示される。この結果は、マッサージの前後の比較結果として表示される。
【0048】
また、この脈波測定装置42のメモリ部42dには測定履歴を記録しておくことができ、表示部42aに「表示切替」の項目を表示させて決定することにより、現在の測定結果画面と過去の履歴表示画面とを切替えて表示させることもできる。さらに、表示部42aに脈波波形を表示させ、選択用操作スイッチ42cによって左右にスクロールさせて表示することもできる。また、このようにして測定した結果を記録しておき、現在の測定結果画面と履歴表示画面とを切替えることもできる。
【0049】
以上のように構成された椅子型マッサージ機1によれば、ジョイスティック型操作装置33及び脈波測定装置42を設けた肘掛け部5を、被施療者が操作し易い左右いずれかに位置させるように交換することが容易に可能となり、例えば、被施療者の利き腕側にジョイスティック型操作装置33を位置させて、他方の腕側で脈波を測定しながら安定して施療動作の選択等の操作を行うことができる。しかも、これらジョイスティック型操作装置33と脈波測定装置42との電源は、着脱可能な接続部材41をそれぞれ接続することによって、基台18側から安定して得ることができる。
【0050】
なお、前記実施の形態では、左右の肘掛け部5にジョイスティック型操作装置33と脈波測定装置42とをそれぞれ設けた例を説明したが、これらの装置33,42は一方のみを設けた構成であってもよく、この場合も、装置33,42を設けた肘掛け部5を被施療者が操作し易い左右いずれかに位置させることが容易に可能である。
【0051】
また、前記肘掛け部5の取外し位置は一例であり、他の位置でそれぞれの装置33,42を含む肘掛け部5を取外して左右で交換できるように構成してもよく、前記実施の形態に限定されるものではない。しかも、前記肘掛け部5を支持する構成も一例であり、肘掛け部5は脚部18aと背凭れ部3とに支持された構成に限定されるものではなく、脚部18aに前後が支持された構成であっても適用できる。
【0052】
さらに、前述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る椅子型マッサージ機は、肘掛け部に設けた操作装置を左右で使用できるようにしたい椅子型マッサージ機に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の全体の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す椅子型マッサージ機の平面図である。
【図3】図1に示すジョイスティック型操作装置のジョイスティックを示す図面であり、(a) は背面側からの斜視図、(b) は正面図である。
【図4】図3に示すジョイスティックの内部機構を模式的に示す縦断面図である。
【図5】図1に示すジョイスティック型操作装置を設けた肘掛け部の側面図である。
【図6】図1に示す脈波測定装置を設けた肘掛け部の側面図である。
【図7】図6に示す肘掛け部の脈波測定装置を設けた部分の斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 椅子型マッサージ機
2 座部
3 背凭れ部
4 フットレスト
5 肘掛け部
6 リモートコントロール装置
7 マッサージ機構
8 施療子
9 アーム
10 支持軸
11 バイブレータ
12 レール
13 昇降台
14 支持軸
15,16,17 空気袋
18 基台
19 制御装置
20 ジョイスティック
21 支持軸
22 ガイド部材
23 ジョイスティック本体
24,25 リミットスイッチ
26 歯車
27 ポテンショメータ
28 もみスピードコントロール部材
29 たたきスピードコントロール部材
30,31 リクライニングスイッチ
32 LEDランプ
33 ジョイスティック型操作装置(施療操作装置)
34 前部支持ピン
35 後部支持ピン
36 リンク
37 揺動アーム
38 支持軸
39 空気袋(駆動手段)
40 伝達部材(伝達手段)
41 接続部材(接続手段)
42 脈波測定装置(測定操作装置)
43 センサ部
44 指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台の左右に肘掛け部を備えた椅子型マッサージ機であって、
前記左右の肘掛け部の一方に操作装置を設け、該操作装置を設けた肘掛け部と他方の肘掛け部とを着脱可能に構成して左右で交換可能にするとともに、該肘掛け部と前記基台との間に、前記操作装置と基台との間で信号を伝達する着脱可能な伝達手段を設けた椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記左右の肘掛け部の一方に設ける操作装置を、マッサージ機に設けたマッサージ機構の施療動作を操作する施療操作装置とした請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記施療操作装置を肘掛け部の内部に収納可能に構成し、該肘掛け部の内部に収納した施療操作装置を所定位置に配置する駆動手段を設け、該肘掛け部と前記基台との間に、前記駆動手段の動力を基台から肘掛け部に供給する着脱可能な接続手段を設けた請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
前記左右の肘掛け部の一方に設ける操作装置を、マッサージ機で施療する被施療者の生体情報を測定する測定操作装置とした請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
前記伝達手段の接続状態を検知する検知機能を備えた制御装置を設け、該検知機能で検知した接続状態を椅子型マッサージ機のリモートコントロール装置に表示する機能を該制御装置に備えさせた請求項1に記載の椅子型マッサージ機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−37762(P2007−37762A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225091(P2005−225091)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】