説明

検出装置

【課題】監視対象を監視する領域を容易に決定する。
【解決手段】検出装置100は、可視光画像及び不可視光画像を撮像する撮像部101と、少なくとも可視光画像に基づいて、物体の検出しやすさを表す容易度を算出する算出部111と、容易度が閾値より大きいか否かを判定する判定部112と、容易度が閾値より大きい場合に、可視光画像から物体モデルに適合する物体を検出し、物体の周囲の領域を監視領域として決定する決定部114と、前記監視領域を用いて不可視光画像から移動体を検出する移動体検出部113と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離床動作などを検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベッドからの離床を検知する離床検知装置として、圧力を検知するマットを利用する装置が知られている。マットを使用する場合、寝返りなどによる誤検出が多い。そこで、カメラを用いた離床検知装置が提案されている(特許文献1を参照)。カメラを用いた装置は、あらかじめ、カメラで注視すべき領域を決めておき、注視領域(監視領域)を物体が横切った際に、監視対象が離床したと検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−175082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1などの従来の方法では、通常、あらかじめ決定した監視領域を撮像できるようにカメラ位置を手動で固定する。このため、少しベッドを移動した場合などであっても、その都度、カメラ位置を調整する必要があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、監視対象を監視する領域を容易に決定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、検出装置に係り、可視光画像及び不可視光画像を撮像する撮像部と、少なくとも前記可視光画像に基づいて、物体の検出しやすさを表す容易度を算出する算出部と、前記容易度が予め定められた第1閾値より大きいか否かを判定する判定部と、前記容易度が前記第1閾値より大きいと判定された場合に、前記可視光画像から予め定められた物体モデルに適合する物体を検出し、検出した物体の周囲の領域を、前記撮像部による撮像の対象とする監視領域として決定する決定部と、前記監視領域を用いて前記不可視光画像から移動体を検出する移動体検出部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、監視対象を監視する領域を容易に決定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】検出装置のブロック図。
【図2】監視領域決定方法の説明図。
【図3】監視領域決定処理のフローチャートを示す図。
【図4】動作検出処理のフローチャートを示す図。
【図5】撮像された画像の一例を示す図。
【図6】検出される物体の一例を示す図。
【図7】変形例の検出装置のブロック図。
【図8】検出装置のハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態に係る検出装置を詳細に説明する。
【0010】
本実施の形態に係る検出装置は、昼間などのように可視光で画像を高精度に撮像できるときに、撮像空間内の領域のうち、監視対象(物体)を監視すべき監視領域を決定する。そして、夜間などのように可視光で画像を高精度に撮像できないときに、赤外光などの可視光以外の光(以下「不可視光」という。)により、決定した監視領域を撮像し、物体(例えばベッド上の人物)及び物体の動作(例えばベッド上の人物の離床)を検出する。これにより、物体を監視する監視領域を容易に決定することができる。また、決定された監視領域を用いて物体を検出するため、夜間などのように可視光により高精度に撮像できない場合であっても、物体及び物体の動作を高精度に検出できる。
【0011】
以下では、ベッド上の人物を監視対象とし、当該人物がベッド上で離床したかを検出する検出装置を例に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る検出装置100の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、検出装置100は、撮像部101と、算出部111と、判定部112と、移動体検出部113と、決定部114と、移動制御部115と、動作検出部116と、重み分布DB121と、を備えている。
【0013】
撮像部101は、撮像空間を可視光により撮像するための撮像手段と、及び不可視光により撮像するための撮像手段と、を含む。本実施の形態では、撮像部101は、不可視光として赤外光を用いる。不可視光としては、赤外光の他、レーザー光などのように、可視光で高精度に画像を得られない環境でも物体を検出できる程度の画像を撮像可能な任意の光を適用できる。
【0014】
撮像手段は、例えば、可視光から赤外光までの感度分布を有するイメージセンサを用いてもよい。この場合、撮像部101により生成された画像のうち、可視光を受光して得られた画像が可視光画像であり、不可視光を受光して得られた画像が不可視光画像である。なお、撮像部101は、可視光画像を撮像する撮像手段、及び、不可視光画像を撮像する撮像手段が、異なる撮像手段で構成されてもよい。
【0015】
また、後述するように、本実施の形態では、撮像空間の三次元環境地図が作成される。このため、撮像部101が、ステレオ視が可能な複数の撮像手段を備えるように構成してもよい。
【0016】
また、本実施の形態では、撮像部101が、赤外光による画像を撮像可能とするために赤外光を発光する発光部(図示せず)を備えてもよい。赤外光は常時発光してもよいし、撮像空間の照度が低くなってきた場合などの所定の条件を満たすときに発光してもよい。また、発光部は撮像部101に備えられる必要はない。少なくとも撮像部101が撮影する領域に赤外光を照射できるものであれば、検出装置100内のいずれの箇所に備えてもよいし、検出装置100の外部に備えるように構成してもよい。
【0017】
また、撮像部101は、撮像位置及び撮像方向を変更できるように、雲台等に設置されうる。撮像部101の撮像位置及び撮像方向は、決定部114により決定された監視領域を撮像できるように移動制御部115により制御される。
【0018】
算出部111は、可視光画像中の物体の検出しやすさを表す容易度を算出する。算出部111は、例えば、撮像された画像に含まれる各画素の明度の合計値を容易度として算出してもよい。また、算出部111は、撮像された画像に含まれる孤立点の個数の逆数を容易度として算出してもよい。孤立点の個数は画像のノイズの大きさを表すため、孤立点の個数の逆数により、画像中の物体の検出しやすさを表す容易度を表すことができる。容易度の算出に用いる画像は、可視光画像でもよいし、不可視光画像でもよい。なお、容易度は、これらに限られるものではなく、可視光画像中の物体の検出しやすさを表す任意の指標を適用できる。
【0019】
判定部112は、算出された容易度が予め定められた閾値(第1閾値)より大きいか否かを判定する。
【0020】
移動体検出部113は、撮像された画像を解析し、当該画像から移動体を検出する。例えば、移動体検出部113は、撮像部101から時系列に画像を取得し、背景差分によって画像中の移動体領域を検出する。なお、移動体領域を検出できる手法であれば、他の手法で代替してもよい。例えば特徴点トラッキングを用いた手法を用いることができる。
【0021】
なお、移動体検出部113は、可視光画像及び不可視光画像のいずれからも移動体を検出する。可視光画像及び不可視光画像からの移動体の検出方法は、同一であってもよいし、異なる方法であってもよい。例えば、可視光画像及び不可視光画像を物理的に異なる装置によりそれぞれ撮像する場合に、各装置に応じた異なる方法で移動体を検出するように構成してもよい。不可視光画像獲得のために赤外線を用いる場合、赤外線の反射光を受光したカメラ画像から、背景差分などの手法により移動体を検出できる。また、不可視光としてレーザー光を用いる場合、反射されるレーザー光の強度や位相の変化を見て移動体を検出できる。
【0022】
決定部114は、撮像部101による撮像の対象とする監視領域を決定する。まず、決定部114は、判定部112によって容易度が第1閾値より大きいと判定された場合に、撮像空間の三次元環境地図を作成する。三次元環境地図は、例えば、撮像空間内に存在する物体の位置や形状を表す情報を含む。
【0023】
例えば、決定部114は、撮像部101の複数の撮像手段から得られる画像を用いたステレオ視により、三次元環境地図を作成する。なお、三次元環境地図の作成方法はこれに限られず、従来から用いられているあらゆる方法を適用できる。例えば、距離センサなどによって距離情報が得られる場合は、1つの撮像手段から得られる画像から三次元環境地図を作成する方法を用いることができる。また、1つの撮像手段を用いて、ストラクチャフロムモーションにより三次元環境地図を作成してもよい。
【0024】
また、決定部114は、作成した三次元環境地図から、予め定められた物体モデルに適合する物体を検出する。本実施の形態では、物体モデルとして、既知であるベッドの形状及びサイズの立体物を用いる。決定部114は、例えばテンプレートマッチングにより三次元環境地図からベッドのモデルに適合する物体を検出する。
【0025】
次に、決定部114は、検出した物体の周囲の所定範囲に、当該範囲内の領域を分割した仮想的な領域である分割領域(ボクセル)を配置する。ボクセルを配置する範囲及びボクセルのサイズは、監視対象とする物体のサイズ、及び当該物体の動作範囲等に応じて決定する。
【0026】
例えば、決定部114は、検出したベッドの上方の空間にボクセルを配置する。ボクセルは、人間の肩幅くらいの高さから、人間の上半身が入る高さまで配置できればよい。また、ボクセルのサイズは、人間の頭の位置が分かる程度の分解能以上に小さければよい。
【0027】
次に、決定部114は、移動体検出部113により移動体が検出されたときに、移動体を検出した位置が含まれるボクセルの重みを所定値(例えば1)だけ増加させる。ボクセルごとの重みは、重み分布DB121に記憶される。重み分布DB121は、例えば、ボクセルを識別する識別情報と、当該ボクセルの重みを対応づけて記憶する。なお、重み分布DB121は、HDD(Hard Disk Drive)、光ディスク、メモリカード、RAM(Random Access Memory)などの記憶媒体により構成することができる。
【0028】
そして、決定部114は、重み分布DB121の重みを参照して監視領域を決定する。本実施の形態では、より高精度に監視対象を検出できるようにするため、画像から物体が検出しやすい状態の場合(容易度>第1閾値)と、画像から物体が検出しにくい状態の場合(容易度≦第1閾値)とで、監視領域の決定方法を変更する。また、後述するように、容易度が第1閾値より大きいか否かに応じて、動作検出部116による監視対象の動作の検出方法を切り替える。
【0029】
具体的には、決定部114は、容易度が第1閾値より大きい場合、ベッド上方のボクセルのうち、ベッドからの高さが所定の閾値h(第2閾値)より高いボクセルを監視領域として決定する。容易度が第1閾値より大きい場合、ベッド上の広い領域からベッド上の利用者の離床を検出しても誤検出が生じる可能性が小さいためである。なお、高さ閾値hは、例えば人体モデル(例えば図2の人体モデル23)を考慮してベッド上で利用者の離床を検出するために適する値が設定される。
【0030】
また、決定部114は、容易度が第1閾値以下の場合、ベッドからの高さが閾値hより高く、かつ重みが所定の重み閾値Tより大きいボクセルを監視領域として決定する。容易度が第1閾値以下の場合、監視領域を限定することにより、誤検出が生じる可能性を低減できるためである。
【0031】
なお、容易度が第1閾値より大きい場合にも、限定した監視領域を対象として離床を検出するように構成してもよい。また、容易度が第1閾値より大きい場合に、複数の監視領域の決定方法のいずれを実行するかを指定可能とするように構成してもよい。
【0032】
図2は、監視領域の決定方法を説明するための図である。図2では、ベッド22上の領域を垂直方向に5個、水平方向に7個に分割したボクセルの例が示されている。なお、実際には奥行き方向にもボクセルが存在するが、説明の便宜上、図2では省略している。
【0033】
図2では、各ボクセルの重みを表す数値が示されている。図2の例では、決定部114は、ベッド上面からの高さが閾値hより大きく、かつ、重み閾値T(例えば13)より大きい重み(15)を有するボクセル21を監視領域として決定する。
【0034】
なお、重み閾値Tを用いずに、重みが最大であるボクセルを監視領域とするように構成してもよい。また、容易度が第1閾値より大きいか否かに関わらず、同一の方法で監視領域を決定するように構成してもよい。例えば、決定部114が、ボクセルの配置や重みの算出を省略し、所定の物体モデル(ベットなど)に適合する物体の周囲の領域を監視領域として決定するように構成してもよい。図2の例では、決定部114が、ベッド22の上方のボクセル全体を監視領域として決定してもよい。このような構成であっても、画像を高精度に撮像できるときに監視領域を動的に決定できるため、画像を高精度に撮像できないときの物体の検出精度を向上させることができる。
【0035】
図1に戻り、移動制御部115は、決定された監視領域を撮像できるように撮像部101を移動する処理を制御する。移動制御部115は、少なくとも決定された監視領域を撮像できる撮像位置及び撮像方向となるように撮像部101を移動する。
【0036】
上述のように、本実施の形態では、容易度が第1閾値より大きいか否かに応じて、決定される監視領域が異なる。このため、移動制御部115は、容易度が第1閾値より大きいか否かに応じて、以下のように撮像部101の移動(撮像位置及び撮像方向)を制御する。
【0037】
まず、移動制御部115は、容易度が第1閾値より大きいと判定された場合、移動体検出部113によって移動体が検出された領域を含むボクセルのうち、ベッド上に存在するボクセルの重心位置が画像中心となる方向を撮像方向とするように撮像部101を移動する。物体が検出しやすい場合(容易度>第1閾値)、ベッドからの高さが閾値hより高いボクセルが監視領域となるためである。
【0038】
また、移動制御部115は、容易度が第1閾値以下と判定された場合、各ボクセルの重みを重み付けして得られるボクセルの重み付き重心位置Pと、監視領域であるボクセル(ベッド上面からの高さが高さ閾値hより大きいボクセルのうち重みが重み閾値Tより大きいボクセル)の位置Pとの両方が、撮像部101の画角に含まれるような撮像方向とするように撮像部101を移動する。
【0039】
例えば、移動制御部115は、まず画像中心がPとなるように撮像方向を設定する。そして、移動制御部115は、Pが画像中心となる方向に撮像部101の撮像方向を移動させ、Pが含まれるボクセルが画像中に含まれるようになる位置を撮像方向とする。
【0040】
動作検出部116は、監視領域内での監視対象の動作を検出する。本実施の形態では、動作検出部116は、監視領域内でのベッド上の利用者の離床動作を検出する。
【0041】
例えば、動作検出部116は、容易度が第1閾値より大きい場合、重み分布DB121に保存されているボクセルのうち、ベッドからの高さが閾値hより高いボクセルの重みが変化した際に、ベッド上の利用者が離床したことを検出する。
【0042】
一方、動作検出部116は、容易度が第1閾値以下の場合、重み分布DB121に保存されているボクセルのうち、ベッドからの高さが閾値hより高く、かつ重みが重み閾値Tより大きいボクセルを移動体が通過した際に、利用者の離床を検知する。
【0043】
次に、このように構成された本実施の形態に係る検出装置100による監視領域決定処理について図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態における監視領域決定処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0044】
まず、算出部111が、撮像部101により撮像された画像を取得する(ステップS301)。次に、算出部111が、容易度として、取得した画像に含まれる各画素の明度の合計値(以下「画像の明度」という。)を算出する(ステップS302)。次に、判定部112が、画像の明度が所定の閾値(第1閾値)より大きいか否かを判定する(ステップS303)。
【0045】
画像の明度が第1閾値より大きい場合(ステップS303:Yes)、決定部114が、所定の物体モデルであるベッドの位置を検出済みか否かを判断する(ステップS304)。検出済みでない場合(ステップS304:No)、決定部114は、撮像された画像から三次元環境地図を作成する(ステップS305)。なお、三次元環境地図を作成する場合は、例えば移動制御部115が撮像空間の全域を順次撮像するように撮像部101を移動することにより、地図作成に必要な画像を取得できるようにする。
【0046】
次に、決定部114は、テンプレートマッチングにより三次元環境地図からモデルに適合する物体(ベッド)を検出する(ステップS306)。次に、決定部114は、検出したベッド上にボクセルを配置する(ステップS307)。
【0047】
ボクセルを配置後、又は、ステップS304でベッドの位置を検出済みであると判断した場合(ステップS304:Yes)、決定部114は、移動体検出部113により移動体が検出されたか否かを判断する(ステップS308)。なお、移動体検出部113による移動体検出処理は、これまでの処理と並行して実行してもよいし、ベッドを検出してボクセルを配置後に開始するように構成してもよい。
【0048】
移動体が検出された場合(ステップS308:Yes)、決定部114は、移動体が検出されたボクセルの重みに所定値を加算し、重み分布DB121を更新する(ステップS309)。
【0049】
次に、決定部114は、ベッド上方で、ベッドからの高さが閾値hより高いボクセルを監視領域として決定する(ステップS310)。次に、移動制御部115は、ベッド上のボクセルの重心位置を撮像方向に設定し、この撮像方向となるように撮像部101を移動する(ステップS311)。
【0050】
ステップS303で画像の明度が第1閾値以下であると判定された場合(ステップS303:No)、決定部114は、ベッドからの高さが閾値hより高く、かつ、重みが重み閾値Tより大きいボクセルを監視領域として決定する(ステップS312)。なお、ここではベッド位置の検出、ボクセルの設定、及び重み分布DB121の更新(ステップS305〜ステップS309)が事前に実行済みであることを前提としている。
【0051】
次に、移動制御部115は、ボクセルの重み付き重心位置Pを算出する(ステップS313)。また、移動制御部115は、監視領域として決定されたボクセルの位置Pを算出する(ステップS314)。そして、移動制御部115は、位置Pと位置Pとが画像内に含まれる位置を撮像方向に設定し、この撮像方向となるように撮像部101を移動する(ステップS315)。
【0052】
次に、本実施の形態に係る検出装置100による動作検出処理について図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態における動作検出処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0053】
まず、判定部112が、画像の明度が所定の閾値(第1閾値)より大きいか否かを判定する(ステップS401)。画像の明度は、図3の監視領域決定処理のステップS301〜ステップS302で算出された値を用いてもよい。また、監視領域決定処理と独立にステップS301〜ステップS302と同様の処理により算出してもよい。
【0054】
画像の明度が第1閾値より大きい場合(ステップS401:Yes)、動作検出部116は、ベッドからの高さが閾値hより高いボクセルで移動体検出部113によって移動体が検出されたか否かを判断する(ステップS402)。そして、移動体が検出されたときに(ステップS402:Yes)、動作検出部116は、ベッド上の利用者が離床したことを検出する(ステップS404)。移動体が検出されないときは(ステップS402:No)、ステップS401に戻り処理が繰り返される。
【0055】
ステップS401で画像の明度が第1閾値以下であると判断された場合(ステップS401:No)、動作検出部116は、ベッドからの高さが閾値hより高く、かつ重みが重み閾値Tより大きいボクセルを移動体が検出されたか否かを判断する(ステップS403)。そして、移動体が検出された場合(ステップS403:Yes)、動作検出部116は、利用者が離床したことを検知する(ステップS404)。移動体が検出されないときは(ステップS403:No)、ステップS401に戻り処理が繰り返される。
【0056】
このように、動作検出部116は、画像から物体が検出しやすいとき(明度>第1閾値)には、ベッド上の広い範囲に決定された監視領域(高さが閾値hより高いボクセル)で移動体が検出された場合に、ベッドから利用者が離床したと判定する。また、動作検出部116は、画像から物体が検出しにくいとき(明度≦第1閾値)には、ベッド上で移動体が検出される可能性が高い(重みが大きい)範囲に決定された監視領域(重みが閾値Tより大きく、高さが閾値hより高いボクセル)で移動体が検出された場合に、ベッドから利用者が離床したと判定する。
【0057】
次に、本実施の形態による動作検出処理の具体例について図5及び図6を用いて説明する。図5は、撮像部101により撮像された画像の一例を示す図である。図6は、図5の画像から検出される物体の一例を示す図である。
【0058】
なお、図5は、可視光から情報が得にくい状態、すなわち判定部112により容易度が第1閾値以下であると判定された場合に撮像された画像(以下「入力画像」という。)の例を表している。また、図5は、ベッド(図5では明示されていない)から人物501が離床し始めた状態を例示している。
【0059】
図6は、入力画像に対する画像処理の過程と、入力画像からの移動体の検知結果を表している。なお、図6の例では、移動体検出部113により移動体が検出された領域が白で表されるものとしている。そして、図6では、高さ閾値hより高い領域では、図5の人物501の頭部付近に対応するボクセル602と、図5の人物501に無関係なボクセル601との2箇所で、移動体が検出された例が示されている。また、ボクセル601は、例えば図2のボクセル21の2つ右のボクセルのように、移動体が検出されなかったため重みが小さい(例えば0)ボクセルであるものとする。また、ボクセル602は、例えば図2のボクセル21のように、移動体が検出されたため重みが大きい(例えば15)ボクセルであるものとする。
【0060】
この場合、動作検出部116は、ボクセル601の重みが小さいため、移動体検出部113により移動体が検出されたとしても無視し、離床の検知を出力しない(ステップS403:No)。一方、動作検出部116は、重みが大きいボクセル602で移動体が検出されたため、ベッド上の人物が離床したと判断する(ステップS403:Yes、ステップS404)。
【0061】
(変形例)
これまでは、画像の明度や画像中のノイズ(孤立点の個数)により容易度を算出していた。容易度は、このように画像中の情報から算出する必要はなく、撮像空間の状態から容易度を算出してもよい。例えば、撮像空間に設置された照度計から得られる撮像空間の照度を容易度として用いてもよい。
【0062】
図7は、このように構成された本実施の形態の変形例に係る検出装置200の構成の一例を示すブロック図である。図7に示すように、検出装置200は、撮像部101と、照度計測部202と、算出部211と、判定部112と、移動体検出部113と、決定部114と、移動制御部115と、動作検出部116と、重み分布DB121と、を備えている。
【0063】
本変形例では、照度計測部202が追加されたこと、及び、算出部211の機能が、図1の検出装置100と異なっている。その他の構成及び機能は図1と同様であるため、同一の符号を付し説明を省略する。
【0064】
照度計測部202は、撮像空間の照度を計測する。照度計測部202は、フォトダイオードを利用したセンサなどにより構成できる。算出部211は、照度計測部202により計測された照度を容易度として算出する点が、図1の算出部111と異なっている。
【0065】
以上のように、本実施の形態に係る検出装置では、可視光による画像から物体が高精度に検出できる状況で監視領域を決定し、監視領域で移動体が検出されたときに物体が動作したと判定する。これにより、物体を監視する監視領域を適切かつ動的に決定することができる。また、夜間などのように撮像しにくい状況であっても動作を誤検知する可能性を低減することができる。
【0066】
次に、本実施の形態に係る検出装置のハードウェア構成について図8を用いて説明する。図8は、本実施の形態に係る検出装置のハードウェア構成を示す説明図である。
【0067】
本実施の形態に係る検出装置は、CPU(Central Processing Unit)51などの制御装置と、ROM(Read Only Memory)52やRAM(Random Access Memory)53などの記憶装置と、ネットワークに接続して通信を行う通信I/F54と、移動制御部115による制御に応じて撮像部101を駆動する駆動装置55と、撮像部101と、各部を接続するバス61を備えている。
【0068】
本実施の形態に係る検出装置で実行されるプログラムは、ROM52等に予め組み込まれて提供される。
【0069】
本実施の形態に係る検出装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(Compact Disk Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供されるように構成してもよい。
【0070】
さらに、本実施の形態に係る検出装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態に係る検出装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0071】
本実施の形態に係る検出装置で実行されるプログラムは、コンピュータを上述した検出装置の各部(算出部、判定部、移動体検出部、決定部、移動制御部、動作検出部)として機能させうる。このコンピュータは、CPU51がコンピュータ読取可能な記憶媒体からプログラムを主記憶装置上に読み出して実行することができる。
【0072】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0073】
100、200 検出装置
101 撮像部
111、211 算出部
112 判定部
113 移動体検出部
114 決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光画像及び不可視光画像を撮像する撮像部と、
少なくとも前記可視光画像に基づいて物体の検出しやすさを表す容易度を算出する算出部と、
前記容易度が予め定められた第1閾値より大きいか否かを判定する判定部と、
前記容易度が前記第1閾値より大きいと判定された場合に、前記可視光画像から予め定められた物体モデルに適合する物体を検出し、検出した物体の周囲の領域を、前記撮像部による撮像の対象とする監視領域として決定する決定部と、
前記監視領域を用いて前記不可視光画像から移動体を検出する移動体検出部と、
を備えることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記容易度が前記第1閾値より大きいと判定された場合に、前記可視光画像から前記物体モデルに適合する物体を検出し、検出した物体の周囲の領域を分割した分割領域ごとに前記移動体が検出された回数に応じた重みを算出し、前記重みに基づいて前記監視領域を決定すること、
を特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記物体モデルはベッドのモデルであり、
前記決定部は、前記容易度が前記第1閾値より大きいと判定された場合に、前記可視光画像から前記ベッドのモデルに適合する物体を検出し、検出した物体から利用者が離床するときに前記利用者の上半身が通過する領域を少なくとも含む領域を分割した前記分割領域ごとに前記重みを算出し、他の前記分割領域より前記重みが大きい前記分割領域を、前記監視領域として決定すること、
を特徴とする請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記容易度が前記第1閾値より大きいと判定された場合に、前記可視光画像から前記ベッドのモデルに適合する物体を検出し、検出した物体から利用者が離床するときに前記利用者の上半身が通過する領域を少なくとも含む領域を分割した前記分割領域ごとに前記重みを算出し、他の前記分割領域より前記重みが大きい前記分割領域に含まれ、かつ、検出した物体の上面からの高さが予め定められた第2閾値より大きい領域を前記監視領域として決定すること、
を特徴とする請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記容易度は、前記撮像空間の照度、前記可視光画像に含まれる画素の明度の合計、及び前記可視光画像に含まれる孤立点の個数の逆数の少なくとも1つを含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−103037(P2011−103037A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257210(P2009−257210)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】