説明

検査方法

【課題】 本発明は検査方法に関し、より詳細には基板の検査方法を提供する。
【解決手段】 基板を検査するために、先に基板上に測定領域を設定し、測定領域に対する基準データ及び測定データを取得する。 続いて、測定領域に対して変換条件を設定し、基準データと測定データとの間の歪曲量に従う変換関係を取得する。次に、比較用特徴客体が変換関係を充足するか、比較用特徴客体を除いた特徴客体から選択された検証用特徴客体が変換関係を充足するか及び基板上に形成された検査対象パッドが変換関係を充足するかを検証する検証方法うち少なくとも一つの方法を用いて変換関係の有効性を検証する。続いて、変換関係が有効であると判断された場合変換条件を確定し、確定された変換条件に従って検査領域を設定する。これにより、歪曲を補償した正確な検査領域を設定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検査方法に関し、より詳細には基板の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子装置内には少なくとも一つの印刷回路基板(Printed circuit board;PCB)が設けられており、このような印刷回路基板上には回路パターン、連結パッド部、前記連結パッド部と電気的に接続された駆動チップ等多様な回路素子が実装されている。
【0003】
一般的に、前記のような多様な回路素子が前記印刷回路基板に適切に形成または配置されているかを確かめるために形状測定装置が使用される。
【0004】
従来の形状測定装置は、所定の検査領域を設定して、前記検査領域内において所定の回路素子が適切に形成されているかを検査する。従来の検査領域設定方法では、理論的に回路素子が存在すべき領域が単純に検査領域として設定される。
【0005】
検査領域が測定を所望する位置に正確に設定できれば測定を所望する回路素子の測定が適切に遂行される。しかしながら、印刷回路基板のような測定対象物はベース基板の撓み(warpage)、捩れ(distortion)などの歪曲(distortion)が発生し得るので、従来の検査領域の設定方法では測定領域を所望する位置に正確に設定できず、撮影部のカメラから取得されるイメージに対応する位置は実際の回路素子が存在する位置から若干の差異が発生するという問題点がある。
【0006】
従って、前記のような測定対象物の歪曲を適切に補償する検査領域を設定する必要性が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明が解決しようとする課題は、測定対象物の歪曲量が補償される検査領域を設定し、歪曲の補償において活用される変換関係をより正確に定義することのできる検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例示的な一実施形態に係る検査方法は、基板上に測定領域を設定し、前記測定領域の基準データ及び測定データを取得し、前記測定領域に関する比較用特徴客体を含む変換条件を設定し、前記比較用特徴客体に対応する基準データと測定データとを比較して、歪曲量による変換関係を取得し、前記比較用特徴客体が前記変換関係を充足することを検証する第1検証方法、前記比較用特徴客体以外の特徴客体から選択された検証用特徴客体が前記変換関係を充足することを検証する第2検証方法、及び前記基板上に形成された検査対象に対応するパッド(以下、「検査対象パッド」ともいう。)が前記変換関係を充足することを検証する第3検証方法のうち少なくとも一つの方法を用いて前記変換関係の有効性を検証する。そして、前記変換関係が有効であると判断された場合、前記変換条件を確定し、前記確定された変換条件に従って測定対象物を検査するための検査領域を設定する。
【0009】
例えば、前記変換関係の有効性を検証する段階は、前記第1検証方法、前記第2検証方法、及び前記第3検証方法の順序で遂行されてよい。
【0010】
一実施形態として、前記変換関係の有効性の検証の結果、前記変換関係が有効でないと判断された場合、前記の検査方法は、前記変換条件を変化させ、前記変換関係を取得する処理及び当該処理以降の処理を繰り返すことをさらに含むこともできる。
【0011】
例えば、前記変換条件は、座標変換モデル及び照明装置の照明設定(illumination setting)のうち、少なくとも一つをさらに含んでいてもよい。
【0012】
一実施形態として、前記変換関係の有効性の検証の結果、前記変換関係が有効でないと判断された場合、前記の検査方法は、前記測定領域に隣接した測定領域の前記変換条件を用いて、前記変換関係を取得する処理及び当該処理以降の処理を繰り返すことができる。
【0013】
例えば、前記測定領域は複数で設定され、前記変換条件は各測定領域別に設定されてよい。
【0014】
本発明の例示的な他の実施形態による検査方法は、基板上に測定領域を設定し、前記測定領域の基準データ及びオフライン(off-line)測定データを取得し、前記測定領域に関する比較用特徴客体を含む変換条件を設定し、前記比較用特徴客体に対応する基準データとオフライン測定データとを比較して、予め決定された座標変換モデルに従うオフライン変換関係を取得し、前記比較用特徴客体が前記オフライン変換関係を充足することを検証する第1検証方法、前記比較用特徴客体を除いた特徴客体から選択された検証用特徴客体が前記オフライン変換関係を充足することを検証する第2検証方法、及び前記基板上に形成された検査対象パッドが前記オフライン変換関係を充足することを検証する第3検証方法のうち少なくとも一つの方法を用いて、前記オフライン変換関係の有効性を検証し、前記オフライン変換関係が有効であると判断された場合、前記変換条件を確定し、前記確定された変換条件に従って測定対象物を検査するための検査領域を設定すること、を含む。
【0015】
本発明の例示的なさらに他の実施形態による検査方法は、基板上に測定領域を設定し、前記測定領域の基準データを取得し、前記測定領域のインライン(in-line)測定データを取得し、比較用特徴客体に対応する基準データとインライン測定データとを比較して、所定の座標変換モデルに従うインライン変換関係を取得し、前記比較用特徴客体が前記インライン変換関係を充足することを検証する第1検証方法、及び前記比較用特徴客体を除いた特徴客体から選択された検証用特徴客体が前記インライン変換関係を充足することを検証する第2検証方法のうち少なくとも一つの方法を用いて、前記インライン変換関係の有効性を検証し、前記インライン変換関係が有効であると判断された場合、前記インライン変換関係を用いて測定対象物を検査するための検査領域を設定すること、を含む。
【0016】
例えば、前記比較用特徴客体及び前記検証用特徴客体は、ブロック(block)単位により特徴ブロックとして定義することも可能である。
【0017】
本発明の例示的な更なる他の実施形態による検査方法は、基板上に測定領域を設定し、前記測定領域の基準データ及び測定データを取得し、前記測定領域に関して少なくとも2個以上の特徴客体を含む変換条件を設定し、前記特徴客体のうち少なくとも一つ以上に対応する基準データと測定データとを比較して、歪曲量に従う変換関係を取得し、前記変換関係の有効性を検証すること、を含む。
【0018】
例えば、前記特徴客体は、前記変換関係の取得に用いられた比較用特徴客体及び前記比較用特徴客体を除いた検証用特徴客体のうち少なくとも一つであってよい。
【0019】
一実施形態として、前記変換関係の有効性を検証することは、前記変換関係の取得に用いられた比較用特徴客体、前記比較用特徴客体を除いた検証用特徴客体及び前記基板に形成されたパッドのうち少なくとも一つが前記変換関係を充足することを検証することによって実施できる。
【0020】
一実施形態として、インライン検査の場合、前記変換関係の有効性を検証することは、前記変換関係の取得に用いられた比較用特徴客体及び前記比較用特徴客体を除いた検証用特徴客体のうち少なくとも一つが前記変換関係を充足することを検証することによって実施できる。
【0021】
他の実施形態として、オフライン検査の場合、前記変換関係の有効性を検証することは、前記変換関係の取得に利用された比較用特徴客体、前記比較用特徴客体を除いた検証用特徴客体及び前記基板に形成されたパッドのうち少なくとも一つが前記変換関係を充足することを検証することによって実施できる。
【0022】
前記変換関係の有効性の検証の結果、前記変換関係が有効でないと判断された場合、前記検査方法は、前記変換条件を変化させることを更に含み、前記変換関係を取得することと当該取得する処理以降の処理を繰り返すことができる。
【0023】
例えば、前記変換条件は、座標変換モデル及び照明装置の照明の設定のうち少なくとも一つをさらに含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、基板上に設定された測定領域内の特徴客体を比較用特徴客体と検証用特徴客体に活用し、基準データと測定データとの間の変換関係を設定し検証することで、より正確に検査領域を設定することができる。
【0025】
また、インライン及びオフラインの際の検証基準を別々にすることで、段階別に適切な検証を実施することができる。
【0026】
また、前記のように設定された測定領域に基づいて部品の不良検査等の作業を実施できるので、より正確に前記基板の良否等を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態による検査方法を示すフローチャートである。
【図2】図1の検査方法における基準データの一例を示す平面図である。
【図3】図1のオフライン変換関係の有効性を検証する一実施形態を示すフローチャートである。
【図4】検査領域を設定する方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図5】図4のインライン変換関係の有効性を検証する一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することできる。ここでは、特定の実施形態を図面に例示し本文に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むこととして理解されるべきである。
【0029】
第1、第2などの用語は多用な構成要素を説明するのに使用されることがあるが、前記構成要素は前記用語によって限定解釈されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみとして使用される。例えば、本発明の権利範囲を外れることなく第1構成要素を第2構成要素ということができ、同様に第2構成要素も第1構成要素ということができる。
【0030】
本出願において使用した用語は単なる特定の実施形態を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に示さない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書に記載された特徴、数字、ステップ、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを意味し、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないこととして理解されるべきである。
【0031】
特別に定義しない限り、技術的、科学的用語を含んでここで使用される全ての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。
【0032】
一般的に使用される辞書に定義されている用語と同じ用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的またも過度に形式的な意味に解釈されない。
【0033】
以下、図面を参照して本発明の望ましい一実施形態をより詳細に説明する。
【0034】
図1は本発明の一実施形態による検査方法を示すフローチャートであり、図2は図1の検査方法における基準データの一例を示す平面図である。
【0035】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態に従って歪曲が補償される検査領域を設定するために、まず、基板100上に測定領域FOVを設定する(S110)。
【0036】
前記測定領域FOVは、前記基板100の不良可否を検査するために前記基板100上に設定された所定の領域を意味し、例えば、3次元形状測定装置等の検査装置に装着されたカメラの撮影範囲(field of view)を基準として設定することができる。
【0037】
続いて、前記測定領域FOVの基準データRI及びオフライン(off−line)測定データを取得する(S120)。
【0038】
前記基準データRIは、例えば、図2に示すように、前記基板100の仮想的な平面図(theoretical plan view)でもよい。
【0039】
一実施形態として、前記基準データRIは、前記基板100の形状を記録したCAD情報やガーバ形式のデータ等のガーバ情報(gerber information)から取得することもできる。前記CAD情報やガーバ情報は、前記基板の設計情報を含み、一般的にパッド10、回路パターン30、ホールパターン40等に関する配置情報を含み得る。
【0040】
他の実施形態において、前記基準データRIは、学習モードによって得られた学習情報から取得することもできる。前記学習モードは、例えば、データベースで基板情報を検索して前記データベース検索結果基板情報がなければベア基板の学習を実施し、前記ベア基板の学習によって基板情報が生成された後、前記基板情報を前記データベースに保存する等の処理によって実現される。即ち、前記学習モードにおいて、印刷回路基板のベア基板を学習して印刷回路基板の設計基準情報が取得され、前記学習モードを通じて学習情報を取得することによって前記基準データRIを取得することが可能である。
【0041】
一方、前記オフライン測定データは、図2に示された前記基板100上に部品等を形成する前に前記基板100を測定することによって取得されたデータに対応する。前記オフライン測定データは、例えば、前記基準データRIに関する前記基板100を3次元形状測定装置等の検査装置を用いて実際撮影された画像(image)であっても良い。前記オフライン測定データは、図2に示された前記基準データRIに類似する画像を有するが、前記基板100の撓み、捩れ等によって前記基準データRIに比べて多少歪んでいる。
【0042】
一実施形態として、前記オフライン測定データは、前記検査装置の照明部を用いて前記測定領域FOVに光を照射し、前記照射された光の反射イメージを前記検査装置に装着されたカメラを用いて撮影することによって取得される。或いは、前記オフライン測定データは、前記検査装置の格子パターン照明部を用いて前記測定領域FOVに格子パターン光を照射し、前記照射された格子パターン光の反射イメージを撮影して3次元形状に関するデータを取得した後、前記3次元形状に関するデータを平均化することで取得することができる。
【0043】
次に、前記測定領域FOVに関して変換条件を設定する(図1の処理S130)。
【0044】
前記変換条件は、後述されるオフライン変換関係を取得するために予め定めておくことも可能であって、所定の変換条件下で前記基準データと前記オフライン測定データとの間の変化に従う変換関係が取得される。
【0045】
前記測定領域FOVは複数で設定することも可能であって、一実施形態において、前記変換条件は各測定領域別に設定することができる。
【0046】
前記変換条件は比較用特徴客体を含み、前記比較用特徴客体は多様な特徴客体のうち形状、位置、分布等により適切に選択されて前記変換条件を形成することができる
【0047】
前記比較用特徴客体は、後述される前記基準データRIと前記オフライン測定データとの間の変換関係を取得するために比較の基準用に活用される。即ち、前記変換関係は、前記比較用特徴客体が前記基準データRIと前記オフライン測定データとの間で前記基板100の歪曲によって変化した程度を用いて定義される
【0048】
前記比較用特徴客体は、前記基準データRIと前記オフライン測定データ内の特定の座標上に位置する所定の形状を有する客体を含むことができる。例えば、前記比較用特徴客体は、前記基板100に形成されたホール(hole)パターン、曲がった回路パターンの角部分(corner portion)及び変換関係を含み得る。また、変換関係は、前記ホールパターンの中心点の座標及び曲がった回路パターンの角部の点の座標を基準として前記基準データRIと前記オフライン測定データとを比較するによって、後述される変換関係を取得することができる。
【0049】
或いは、前記比較用特徴客体は、図2に示すように、ブロックを単位とした特徴ブロック(feature block)(FT)として定義することもできる。前記比較用特徴客体を特徴ブロックとして定義する場合、前記特徴ブロックFT内に含まれた多様な形状に基づいて前記基準データRI及び前記オフライン測定データが互いに比較されるので、前記基準データRI及び前記オフライン測定データは、相互に正確に比較される。
【0050】
前記比較用特徴客体は、前記基準データRIと前記オフライン測定データとの間の変換関係を取得するための比較基準として活用されるので、前記基準データRI及び前記オフライン測定データにおいて前記比較用特徴客体を正確に特定することが望まれる。このような正確な特定のために前記比較用特徴客体として選定可能な対象は、前記測定領域FOVにおいて存在しないか殆ど存在しない場合ことがあり得る。従って、十分な比較用特徴客体を確保するために、前記測定領域FOVに隣接した隣接測定領域からも比較用特徴客体を選定することができる。
【0051】
前記変換条件は、座標変換モデルをさらに含んでいてもよい。
【0052】
前記オフライン測定データは、前記基板の撓み、捩れ等によって理論的な基準情報に該当する前記基準データRIに比べて歪んでいる。前記基準データRIと前記オフライン測定データとの間には、前記歪んだ程度を示す歪曲量に従って、変換関係を設定することができる。前記変換関係は種々の形態の数学的モデルで表すことができ、前記数学的モデルが座標変換モデルに相当する。
【0053】
前記座標変換モデルと前記変換関係に関する具体的な内容は、後述する。
【0054】
前記変換条件は、例えば、3次元形状測定装置等の検査装置の照明設定(illumination setting)を更に含むこともできる。即ち、検査装置の照明によってオフライン測定データは異なってくるので、前記変換条件は照明設定を更に含めることができる。例えば、前記照明セッティングは前記オフライン測定データを取得するための照明の照射角度、色彩、明るさ等を含んでいてよい。
【0055】
続いて、前記比較用特徴客体に対応する基準データとオフライン測定データとを互いに比較して、前記基準データと前記オフライン測定データとの間における前記歪曲量に従い、オフライン変換関係を取得する(図1の処理S140)。
【0056】
前記オフライン変換関係は、前記比較用ブロックに対応する前記基準データRIと前記測定データPIとを相互に比較して取得された位置変化、傾き変化、大きさ変化及び変形度のうち少なくとも一つを用いて規定してよい。
【0057】
前記変換関係は、前記座標変換モデルを用いて数式1のように表現することができる。
<数式1>

【0058】
前記数式1で、PCADはCAD情報やガーバ情報によるターゲット(target)の座標、即ち、前記基準データRIでの座標であり、f(tm)は変換行列(conversion matrix)又は転送行列(transfer matrix)としての役目を果たす前記座標変換モデルに該当し、Prealはカメラによって取得された前記オフライン測定データにおける前記ターゲットの座標である。前記基準データRIでの理論座標PCADと前記オフライン測定データでの実際座標Prealを求めると、前記変換行列を知ることができる。
【0059】
例えば、前記変換行列は、n次元空間上の点対応関係が1次式によって表現されるアフィン(affine)変換またはパースペクティブ(perspective)変換による座標変換行列を含んでいてもよい。前記座標変換行列を定義するために、前記特徴客体の個数を適切に設定することも可能であって、一例で、アフィン変換の場合3個以上の特徴客体を、パースペクティブ変換の場合4個以上の特徴客体を正確に設定することができる。
【0060】
前記座標変換モデルは前記変換条件としての役割を有し、いずれか一つのモデルにおいて前もって設定されているが、後述される検証過程に従って、他の座標変換モデルに修正することも可能である。
【0061】
次に、前記オフライン変換関係の有効性を検証する(図1の処理S150)。
【0062】
前記オフライン変換関係の有効性を検証する方法は、第1検証方法、第2検証方法及び第3検証方法のうち少なくとも一つを含む。
【0063】
前記第1検証方法は、前記比較用特徴客体が前記オフライン変換関係を充足することを検証する方法に相当する。
【0064】
前記比較用特徴客体は、前記オフライン変換関係を取得するのに使われた特徴客体に相当するが、前記取得されたオフライン変換関係を適用する際に大きい誤差が発生する可能性がある。従って、前記の誤差が予め設定された許容誤差範囲を超過する場合、前記変換関係を有効でないと判断することもできる
【0065】
前記第2検証方法は、前記比較用特徴客体を除いた特徴客体から選択された検証用特徴客体が前記オフライン変換関係を充足することを検証する方法に相当する。
【0066】
前記検証用特徴客体は、前記オフライン変換関係を取得するのに使われていない特徴客体に相当するので、前記取得されたオフライン変換関係を適用する際に大きい誤差が発生しなければ前記オフライン変換関係はより高い信頼性を有すると判断することができる。従って、前記検証用特徴客体は、予め設定された許容誤差範囲を超過しなければ、前記変換関係を有効であると判断することができる。
【0067】
一方、前記検証用特徴客体は、例えば、前記比較用特徴客体の抽出の際、同時に抽出することができ、後述する変換条件を変更する際、新たに抽出することも可能である。
【0068】
前記第3検証方法は、前記基板上に形成された検査対象パッドが前記オフライン変換関係を充足することを検証する方法に相当する。
【0069】
前記第1及び第2検証方法によって前記変換関係が有効であると判断された場合でも、不良可否の検査対象が、例えばハンダが塗布されるパッドの場合、前記検査対象パッドが前記オフライン変換関係を充足できなければ検査結果は信頼性を確保することは難しい。従って、実際の検査対象に相当するパッドが特徴客体としての役目をする際、そのパッドが予め設定された許容誤差範囲を超過するのであれば、前記変換関係は有効でないと判断することができる
【0070】
一例として、前記誤差は、特徴客体の実際座標と基準データに前記変換関係を適用した後予想される座標との間の差によって算出することができる。
【0071】
前記のような検証方法を通じて、前記取得されたオフライン変換関係の信頼性を確保することができる。
【0072】
前記第1、第2及び第3検証方法は選択的にまたは全部活用することが可能である。 前記第1、第2及び第3検証方法のうち少なくとも二つ以上が活用される場合、前記第1検証方法、前記第2検証方法及び前記第3検証方法の順序で遂行されることが望ましい。
【0073】
図3は、図1のオフライン変換関係の有効性を検証する一実施形態を示すフローチャートである。
【0074】
図1及び図3を参照すると、まず、前記第1検証方法により比較用特徴客体を検証し(S152)、前記オフライン変換関係が有効であるかを判断する(S153)。前記オフライン変換関係が有効でなければ変換条件を変化させ(S170)、前記オフライン変換関係を取得する処理(S140)にリターンする。
【0075】
続いて、前記オフライン変換関係が有効であれば、前記第2検証方法により検証用特徴客体を検証し(S154)、前記オフライン変換関係が有効であるかを判断する(S155)。前記オフライン変換関係が有効でなければ変換条件を変化させ(S170)、前記オフライン変換関係を取得する処理(S140)にリターンする。
【0076】
次に、前記オフライン変換関係が有効であれば、前記第3検証方法により検査対象パッドを検証し(S154)、前記オフライン変換関係が有効であるかを判断する(S155)。前記オフライン変換関係が有効でなければ、変換条件を変化させ(S170)、前記オフライン変換関係を取得する処理(S140)にリターンする。
【0077】
そして、前記オフライン変換関係が有効であると判断された場合、前記変換条件を確定する(S160)。
【0078】
前記オフライン変換関係の有効性の検証の結果、前記オフライン変換関係が有効でないと判断された場合、前述したように前記変換条件を変化させ(S170)、前記オフライン変換関係を取得する段階(S140)にリターンして、以後の処理が繰り返される。
【0079】
次に、前記確定された変換条件に従って、前記測定領域FOV内の測定対象物を検査するための検査領域を、歪曲を補償することによって設定する(S180)。
【0080】
図4は検査領域を設定する方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【0081】
図2及び図4を参照すると、まず、前記測定領域FOVのインライン(in-line)測定データを取得する(S182)。
【0082】
前記インライン測定データは、前記基板100上に実装された部品、端子22、前記部品に形成された極性表示(polar indication)24、回路パターン、ホール等が存在する実物の印刷回路基板を測定したデータに相当し、一例で、部品、パターン等が前記基準データRIに対応する前記基板100上に形成されている印刷回路基板を3次元形状測定装置等の検査装置を用いて実際に撮影したイメージ(image)であってよい。前記インライン測定データは、図2に示された前記基準データRIに類似するイメージであるが、前記基板100の撓み、捩れ等によって前記基準データRIに比べて多少歪んでいる。
【0083】
前記インライン測定データの取得方式は、前記オフライン測定データの取得方式と実質的に同一なので、重複する詳細な説明は省略する。
【0084】
次に、前記比較用特徴客体に対応する基準データとインライン測定データとを相互に比較することによって、前記基準データと前記インライン測定データとの間の歪曲量に従い、インライン変換関係を取得する(S183)。
【0085】
前記インライン変換関係を取得する方法は、インラインで実行されるという点を除き、オフライン変換関係を取得する方法と実質的に同一であるので、重複する詳細な説明は省略する。
【0086】
次に、前記インライン変換関係の有効性を検証する(S184)。
【0087】
前記インライン変換関係の有効性を検証する方法は、第4検証方法及び第5検証方法のうち少なくとも一つを含む
【0088】
前記第4検証方法及び前記第5検証方法は、インラインで遂行される点と、前記インライン変換関係が有効でない場合に隣接測定領域の変換条件を用いるという点を除いて、前記第1検証方法及び前記第2検証方法にそれぞれ実質的に同一であるので、重複する詳細な説明は省略する。
【0089】
以下、図面を参照して、インライン変換関係の有効性を検証する一実施形態を詳細に説明する。
【0090】
図5は、図4のインライン変換関係の有効性を検証する一実施形態を示すフローチャートである。
【0091】
図4及び図5を参照すると、まず、前記第4検証方法に従って比較用特徴客体を検証し(S184a)、前記インライン変換関係が有効であるかを判断する(S184b)。前記インライン変換関係が有効でなければ変換条件を変化させ(S186)、前記インライン変換関係を取得する処理(S183)にリターンする。この時、変換条件は、隣接測定領域の変換条件を用いて変化させることができる。隣接測定領域が複数である場合には、前記の隣接測定領域のうちの一つを選択し、或いは二以上の隣接測定領域の平均等を用いて変換条件を変化させることができる。
【0092】
次に、前記インライン変換関係が有効であれば、前記第5検証方法に従って検証用特徴客体を検証し(S184c)、前記インライン変換関係が有効であるかを判断する(S184d)。前記インライン変換関係が有効でなければ、変換条件を変化させ(S186)、その後、前記インライン変換関係を取得する処理(S183)にリターンする。この時、変換条件は、隣接測定領域の変換条件を用いて変化させることができる。隣接測定領域が複数である場合には、前記の隣接測定領域一つを選択し、或いは二以上の隣接測定領域の平均等を用いて変換条件を変化させることができる。
【0093】
次に、前記インライン変換関係が有効であると判断された場合、前記インライン変換関係を用いて前記検査領域を設定する(S185)。
【0094】
前記インライン変換関係の有効性の検証の結果、前記インライン変換関係が有効でないと判断された場合、前述の説明通り、前記測定領域FOVに隣接した測定領域の変換条件を用いて前記変換条件を変化させ(S186)、その後、前記インライン変換関係を取得する処理(S183)にリターンして、以後の処理が繰り返される。
【0095】
前記のように本発明によれば、基板上に設定された測定領域内の特徴客体を比較用特徴客体及び検証用特徴客体に使用し、基準データと測定データとの間の変換関係を設定し検証することで、より正確に検査領域を設定することができる。
【0096】
また、インライン及びオフラインに関する検証基準を別々にすることによって、処理毎に適切な検証を実施することができる。
【0097】
また、前記のように、設定された測定領域に基づいて部品の不良検査等の作業を遂行できるので、前記基板の良否等を更に正確に判断することができる
【0098】
以上、本発明の実施形態によって詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の思想と精神を離れることなく、本発明を修正または変更できる。
【符号の説明】
【0099】
10 パッド
30 回路パターン
40 サークル
100 基板
FT 特徴ブロック
RI 基準データ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に測定領域を設定し、
前記測定領域の基準データ及び測定データを取得し、
前記測定領域に関する比較用特徴客体を含む変換条件を設定し、
前記比較用特徴客体に対応する基準データと測定データとを比較して、前記基準データと前記測定データとの間の歪曲量による変換関係を取得し、
前記比較用特徴客体が前記変換関係を充足することを検証する第1検証方法、前記比較用特徴客体以外の特徴客体から選択された検証用特徴客体が前記変換関係を充足することを検証する第2検証方法、及び前記基板上に対応する検査対象パッドが前記変換関係を充足することを検証する第3検証方法のうち少なくとも一つの方法を用いて前記変換関係の有効性を検証し、
前記変換関係が有効であると判断された場合、前記変換条件を確定し、
前記確定された変換条件に従って測定対象物を検査するための検査領域を設定すること、
を含むことを特徴とする検査方法。
【請求項2】
前記変換関係の有効性を検証する段階は、前記第1検証方法、前記第2検証方法、及び前記第3検証方法の順序で遂行されることを特徴とする請求項1記載の検査方法。
【請求項3】
前記変換関係の有効性の検証の結果、前記変換関係が有効でないと判断された場合、前記変換条件を変化させることをさらに含み、
前記変換関係を取得する処理及び当該処理以降の処理を繰り返すことをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の検査方法。
【請求項4】
前記変換条件は座標変換モデル及び照明装置の照明設定のうち、少なくとも一つをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の検査方法。
【請求項5】
前記変換関係の有効性の検証の結果、前記変換関係が有効でないと判断された場合、
前記測定領域に隣接した測定領域の前記変換条件を用いて、前記変換関係を取得する処理及び当該処理以降の処理を繰り返すことを特徴とする請求項1記載の検査方法。
【請求項6】
前記測定領域は複数で設定され、前記変換条件は各測定領域別に設定されることを特徴とする請求項1記載の検査方法。
【請求項7】
基板上に測定領域を設定し、
前記測定領域の基準データ及びオフライン測定データを取得し、
前記測定領域に関する比較用特徴客体を含む変換条件を設定し、
前記比較用特徴客体に対応する基準データとオフライン測定データとを相互に比較して、予め決定された座標変換モデルに従うオフライン変換関係を取得し、
前記比較用特徴客体が前記オフライン変換関係を充足することを検証する第1検証方法、前記比較用特徴客体を除いた特徴客体から選択された検証用特徴客体が前記オフライン変換関係を充足することを検証する第2検証方法、及び前記基板上に形成された検査対象パッドが前記オフライン変換関係を充足することを検証する第3検証方法のうち少なくとも一つの方法を用いて、前記オフライン変換関係の有効性を検証し、
前記オフライン変換関係が有効であると判断された場合、前記変換条件を確定し、
前記確定された変換条件に従って測定対象物を検査するための検査領域を設定すること、
を含むことを特徴とする検査方法。
【請求項8】
基板上に測定領域を設定し、
前記測定領域の基準データを取得し、
前記測定領域のインライン測定データを取得し、
比較用特徴客体に対応する基準データとインライン測定データとを比較して、所定の座標変換モデルに従うインライン変換関係を取得し、
前記比較用特徴客体が前記インライン変換関係を充足することを検証する第1検証方法、及び前記比較用特徴客体を除いた特徴客体から選択された検証用特徴客体が前記インライン変換関係を充足することを検証する第2検証方法のうち少なくとも一つの方法を用いて、前記インライン変換関係の有効性を検証し、
前記インライン変換関係が有効であると判断された場合、前記インライン変換関係を用いて測定対象物を検査するための検査領域を設定すること、
を含むことを特徴とする検査方法。
【請求項9】
前記比較用特徴客体及び前記検証用特徴客体は、ブロック単位により特徴ブロックとして定義することを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちいずれか一つに記載の検査方法。
【請求項10】
基板上に測定領域を設定し、
前記測定領域の基準データ及び測定データを取得し、
前記測定領域に関して少なくとも2個以上の特徴客体を含む変換条件を設定し、
前記特徴客体のうち少なくとも一つ以上に対応する基準データと測定データとを比較して、歪曲量による変換関係を取得し、
前記変換関係の有効性を検証すること、
を含むことを特徴とする検査方法。
【請求項11】
前記特徴客体は、
前記変換関係の取得に用いられた比較用特徴客体及び前記比較用特徴客体を除いた検証用特徴客体のうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項10記載の検査方法。
【請求項12】
前記変換関係の有効性を検証することは、
前記変換関係の取得に用いられた比較用特徴客体、前記比較用特徴客体を除いた検証用特徴客体及び前記基板に形成されたパッドのうち少なくとも一つが前記変換関係を充足することを検証することによって実施されることを特徴とする請求項10記載の検査方法。
【請求項13】
インライン検査の場合、前記変換関係の有効性を検証することは、
前記変換関係の取得に用いられた比較用特徴客体及び前記比較用特徴客体を除いた検証用特徴客体のうち少なくとも一つが前記変換関係を充足することを検証することによって実施されることを特徴とする請求項10記載の検査方法。
【請求項14】
オフライン検査の場合、前記変換関係の有効性を検証することは、
前記変換関係の取得に利用された比較用特徴客体、前記比較用特徴客体を除いた検証用特徴客体及び前記基板に形成されたパッドのうち少なくとも一つが前記変換関係を充足することを検証することによって実施されることを特徴とする請求項10記載の検査方法。
【請求項15】
前記変換関係の有効性の検証の結果前記変換関係が有効でないと判断された場合、前記変換条件を変化させることを更に含み、
前記変換関係を取得することと当該取得する処理以降の処理を繰り返すことを特徴とする請求項10記載の検査方法。
【請求項16】
前記変換条件は、座標変換モデル及び照明装置の照明設定のうち少なくとも一つをさらに含むことを特徴とする請求項10記載の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−112961(P2012−112961A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255578(P2011−255578)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(506414749)コー・ヤング・テクノロジー・インコーポレーテッド (37)
【出願人】(508151080)慶北大學校 産學協力團 (5)
【Fターム(参考)】