説明

検知ゲート装置

【課題】大バルクハウゼン効果を利用して磁性体を検知するシステムにおいて、磁性体同士を識別できる間隔を小さくする。
【解決手段】検知ゲート装置10は、大バルクハウゼン効果を有する磁性体がゲートの進入口と退出口との間の励磁領域内に存在する場合に、前記磁性体の磁化反転を誘起する励磁コイル12と、前記磁性体が前記励磁領域内の一部分である検知領域内に存在する場合に、前記磁性体の磁化反転を検知する検知コイル14と、を備え、前記励磁コイル12と前記検知コイル14とは、前記検知領域の前記進入口側に前記励磁領域内であって前記検知領域に含まれない部分が存在する位置関係で配設されている、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知ゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通過者を検知するセンサーの検知信号と連動して監視カメラにより通過者画像を記録する物品持出しを監視するゲートシステムが知られている。例えば、通過者が物品タグを有する物品を所持している場合、センサーが物品タグからの信号を検知し、このときセンサーが発する検知信号が監視カメラの画像取り込みのトリガー信号となる。これにより、検知時の通過者画像を取り込むことができる。しかし、通過者の通過速度が速い場合、検知時の画像に通過者が映っていないことがあった。また、ゲート内に続けて2人が連続して進入したとき(以下、「共連れ」という)、物品タグを有する物品を持っていない人の画像が取り込まれる恐れもあった。これを避けるために、前の人が通ったら、後の人の進入をバーで防止し、ひとりひとりを分離して通過させる方法がある。しかし、この方法は、バーが必要であり装置が大がかりになり、しかも通過速度を制限することになり、待ち行列ができることもある。一方、常時、動画像を連続で記録する方法もあるが、記憶容量が膨大になり、コストアップにつながり、共連れにも対応できなかった。
【0003】
共連れ防止のための技術として、特許文献1が知られている。この文献のシステムは、ステレオ画像処理方式を利用している。このシステムは、ステレオ画像処理によりゲートを通過する人数を計測する機能と、認証者を認証する認証機能を有するコントローラとを備えている。
【0004】
画像を記録するゲートシステムとしては、この他に特許文献2〜4に開示されるものも知られている。
【0005】
また、特許文献5、6には、機密文書に対して大バルクハウゼン効果を有する磁性ワイヤーを付加し、人がゲートを通過する際に、その人が機密文書を携帯しているか否かを大バルクハウゼン効果により検知するゲートシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−059179号公報
【特許文献2】特開2007−128390号公報
【特許文献3】特開2006−079270号公報
【特許文献4】特開2003−009137号公報
【特許文献5】特開2008−065449号公報
【特許文献6】特開2008−032538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ユーザが持つ磁性体タグを大バルクハウゼン効果により検知するシステムでは、検知ゲートの励磁領域と検知領域が同じ場合、ゲート内に立て続けにタグを有する2人が進入する際(共連れ)、磁性体タグの励磁(磁化反転)と検知に要する時間より2人の進入の時間間隔が短いと、1人目のタグの検知が間に合わないまま2人目が検知領域に進入することとなり、タグが検知されてもどちらがタグを持っていたか分からない(2人のタグが切り分けて検知できない)という問題がある。
【0008】
本発明は、大バルクハウゼン効果を利用して磁性体を検知するシステムにおいて、本発明を用いない場合よりも、磁性体同士を識別できる間隔を小さくできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、大バルクハウゼン効果を有する磁性体がゲートの進入口と退出口との間の励磁領域内に存在する場合に、前記磁性体の磁化反転を誘起する励磁手段と、前記磁性体が前記励磁領域内の一部分である検知領域内に存在する場合に、前記磁性体の磁化反転を検知する検知手段と、を備え、前記励磁手段と前記検知手段とは、前記検知領域の前記進入口側に前記励磁領域内であって前記検知領域に含まれない部分が存在する位置関係で配設されている、ことを特徴とする検知ゲート装置である。
【0010】
請求項2に係る発明は、さらに、前記進入口に設けられた進入センサーと、前記退出口に設けられた退出センサーと、前記進入センサーによる検知および前記検知手段による検知に応じて、前記励磁領域を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影された画像を、前記進入センサーによる検知および前記検知手段による検知のいずれに応じて撮影された画像であるかと、撮影された順序と、を識別できる状態で記憶する画像記憶手段と、前記画像記憶手段に記憶された画像およびその順序に基づいて、前記磁性体を備えた物品を所持して前記ゲートを通過した所持者を特定する所持者特定手段と、を備え、前記検知手段は、前記検知領域内で生じた磁化反転を検知して信号を出力する検知コイルと、前記検知コイルが出力した信号を信号処理して磁性体の磁化反転を検出する信号処理手段と、前記退出センサーによる検知に応じて前記信号処理手段を一時的にリセットするリセット手段と、を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の検知ゲート装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、大バルクハウゼン効果を利用して磁性体を検知するシステムにおいて、本発明を用いない場合よりも、磁性体同士を識別できる間隔を小さくできるようにすることができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、先行する人が励磁領域を退出する前に後続の人が励磁領域に進入する状況が混在していても、磁性体を保有する人物を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態の監視システムの構成例を示す図である。
【図2】実施の形態の検知ゲート装置が備える励磁コイルと検知コイルの配置構成の例を示す図である。
【図3】検知領域内で共連れ状態で撮影される場合の例を示す図である。
【図4】所持者特定装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この実施の形態の検知ゲート装置を備えた監視システムの一例を、図1を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、このシステムは、検知ゲート装置10、監視カメラ30、検知信号処理装置40、画像蓄積装置50、及び所持者特定装置60を備える。ここでは、通過者は、磁性ワイヤー等の大バルクハウゼン効果を有する磁性体が付加された物品(例えば磁性ワイヤーが漉き込まれたセキュリティペーパーなど)を携帯して検知ゲート装置10を通過することを想定する。このシステムは、例えば、検知ゲート装置10が設けられた部屋の中に保管されている文書資料(用紙に磁性ワイヤーが漉き込まれている)を誰が持ち出したかを判定するために用いられる。
【0016】
また、検知ゲート装置10の入口には進入検知センサー20が、出口には退出検知センサー22が設けられている。進入検知センサー20は検知ゲート装置10内へ人が進入したことを検知し、退出検知センサー22は検知ゲート装置10内から人が退出したことを検知する。進入検知センサー20及び退出検知センサー22としては、例えばフォトインタラプタなどのセンサーを用いればよい。進入検知センサー20の出力は監視カメラ30に供給され、退出検知センサー22の出力は検知信号処理装置40に供給される。
【0017】
検知ゲート装置10は、通過者が携帯する物品に取り付けられた磁性体を、大バルクハウゼン効果により検出するゲート装置である。物品に取り付けられた磁性体は、大バルクハウゼン特性を有する細い磁性ワイヤーなどである。検知ゲート装置10は、平行な一対のゲート壁10A及び10Bから構成されている。一対のゲート壁10Aと10Bとの間が、通過者の通る通路となる。図1では、通過者は検知ゲート装置10の図中手前側の進入口から奥側の退出口に向かって、矢印に示す進行方向にゲート壁10Aと10Bとの間を通過する。ゲート壁10Aと10Bとの間隔は、人一人は通れるが2人以上が並んで通ることはできない程度の幅とする。また、進行方向についての検知ゲート装置10の長さは、縦列に並んだ人が2人なら同時に存在できるが、三人は同時に存在できない程度の長さである。
【0018】
物品に取り付けられた磁性体を励磁する励磁コイル及び励磁された磁性体を検知する検知コイルは、ゲート壁10A及び10Bのうちの少なくとも一方に設けられる。
【0019】
図2に、ゲート壁10A又は10Bに内蔵された励磁コイル12と検知コイル14との配置位置の関係を示す。この図は、各ゲート壁10A又は10Bを側面方向から見た状態でのコイル同士の配置関係を示している。
【0020】
励磁コイル12は、物品に取り付けられた磁性体を励磁するための交番磁界を発生させるためのコイルである。一方、検知コイル14は、交番磁界を受けた磁性体が磁化反転時に発する磁気パルスを受信するためのコイルである。この例では、検知コイル14は、励磁コイル12から発信される交番磁界の電磁誘導による誘導電流を打ち消すように8の字ループ形状をなしているが、これは一例に過ぎない。
【0021】
図示例では、励磁コイル12のループはゲート壁10A及び10Bの進入口側端から退出口側端までのほぼ全幅をカバーしているのに対し、検知コイル14のループは退出口側の一部分の幅をカバーするのみである。すなわち、この例では、磁性体を励磁できる励磁領域は検知ゲート装置10の奥行き方向全幅をカバーするのに対し、磁性体を検知できる検知領域は退出口側の一部分の幅しかカバーしない。言い換えれば、退出口側の一部分の幅の範囲Bは励磁領域且つ検知領域であるのに対し、進入口側の残りの部分の幅の範囲Aは励磁領域ではあるが検知領域ではない。
【0022】
また、図示例では、励磁領域ではあるが検知領域ではない範囲Aは、縦列に並んだ2人の人が同時には存在できない程度の幅(長さ)である。これに対し励磁領域であり且つ検知領域でもある範囲Bの幅は、範囲Aの幅よりも大きく、縦列に並んだ2人の人が範囲B内に同時に存在することもあり得る。すなわち、図示例では、先行する通過者Xが検知領域の範囲Bに入る(すなわち検知コイル14により検知される)前に、後続の通過者Yが励磁領域のみの範囲Aに入る(すなわち進入検知センサー20により検知される)ことは起こらない。逆に、先行する通過者Xが検知領域の範囲Bから退出する(すなわち退出検知センサー22により検知される)前に、次の通過者Yがその範囲Bに入ることは起こり得る。
【0023】
図2の構成では、通過者が進入口側の範囲Aに入ると、携帯された物品の磁性体が励磁磁場に曝されることになる。したがって、通過者が退出口側の範囲B(すなわち検知領域)に入る前に磁性体の磁化反転のためのプロセスの少なくとも一部がなされているので、検知領域では従来よりも短い時間で磁性体が検知される。したがって、立て続けに検知ゲート装置10に進入した2人を切り分けて検知できるための2人の間隔の加減が、従来よりも短くなる。
【0024】
例えば、通過者が検知領域に入る前に磁性体の磁化反転がなされているようにすることもでき、この場合、検知領域では純粋にその磁化反転の検知に要する時間のみで磁性体が検知される。したがって、それら2人の間隔が検知に要する時間(正確には、検知に要する時間×通過速度)だけ離れていれば、それら2人が切り分けて検知される。
【0025】
このように、励磁領域を検知領域よりも検知ゲート装置10の進入口側に大きく設ける配置構成により、検知ゲート装置10に連続して進入する2人を切り分けて検知するための2人の間隔の下限値が、励磁領域と検知領域が同幅である構成より小さくなる。別の観点から言えば、この構成の場合、励磁領域と検知領域が同幅である構成よりも検知領域の幅を小さくしても、通過する磁性体を検知することができる。
【0026】
図2のように、励磁コイル12のカバーする励磁領域をゲート全体とする理由は、共連れする2人のうちの後ろの人の所持している磁性体の磁化反転信号を、検知コイル14の検知領域外で常時発生させておき、検知領域に入ったと同時に、検知させるためである。一方、検知コイル14を退出口側に配置した理由は、共連れする2人のうちの後ろの人の所持している磁性体からの磁化反転信号が検出されないようにするためである。
【0027】
再び図1のシステム構成の説明に戻ると、このシステムには、監視カメラ30が含まれる。監視カメラ30は、検知ゲート装置10の出口側に設けられており、該ゲート装置10の出口から入口を見る方向に向かって斜め上方から、該ゲート装置10内を視野に収める。
【0028】
検知信号処理装置40は、交番磁界を発生させるための励磁信号を励磁コイル12に供給すると共に、検知コイル12の出力信号を処理して、監視カメラ30に撮影指示を行う。
【0029】
ここで、励磁信号は極性が短い周期(例えば数ミリ秒から数十ミリ秒)で変化する。大バルクハウゼン効果を有する磁性体が検知コイル12の領域に存在する場合、検知コイル12はその周期で生じる磁気反転によるパルス信号を含んだ検出信号を出力する。検知信号処理装置40は、例えば、微分回路によりパルス信号を抽出し、連続する磁気反転のパルス信号を単安定マルチバイブレータなどの回路により1つの矩形パルスに変換し、パルス幅の短い矩形パルスを除去することでノイズ除去を行う。このような信号処理のための回路としては、例えば特開2009−133733号公報に開示されたものを用いればよい。なお、ノイズ除去後の信号は、磁性体が検知領域にある期間はH(ハイ)レベルとなり、ない期間はL(ロー)レベルとなる信号である。なお、ノイズ除去後の信号のうち、Hレベルの期間の信号のことを、大バルクハウゼン信号と呼ぶ。
【0030】
検知信号処理装置40は、例えば、そのノイズ除去後の信号の立ち上がりのタイミングで、監視カメラ30に対して撮影指示の信号を送出する。また、この代わりに、そのノイズ除去後の信号そのものを監視カメラ30に送り、その信号の立ち上がりのタイミングで監視カメラ30が撮影を行うようにしてもよい。
【0031】
また、検知信号処理装置40が検知コイル14の出力信号のレベルを監視し、大バルクハウゼン信号が検出されている間でも、その出力信号のレベルが閾値以上上昇した場合に、監視カメラ30に撮影指示を送るようにしてもよい。例えば、監視対象物品を所持した通過者Xが検知領域Bからまだ退出していない段階で、監視対象物品を所持した次の通過者Yが検知領域Bに入ると、検知コイル14からは、それら2つの物品の磁性体の磁化反転の検出結果が重畳した信号が出力される。この信号は、それまでの通過者Xのみの磁性体の磁化反転の検出信号よりも大きいので、その変化を検出した検知信号処理装置40が監視カメラ30に撮影指示を行う。これにより、検知領域B内にいる通過者X及びYが撮影される。
【0032】
監視カメラ30は、2つのタイミングで撮影を行う。一つは進入検知センサー20が通過者の進入を検知したタイミングであり、もう一つは前述した検知信号処理装置40が通過者の持つ磁性体の磁化反転を検知したタイミングである。後者は、検知信号処理装置40から撮影指示信号が来るタイミング、或いは前述のノイズ除去後の信号の立ち上がりタイミングである。
【0033】
これら進入及び検知の各タイミングの撮影画像は、画像蓄積装置50に蓄積される。なお、監視カメラ30が常時撮影した画像を画像蓄積装置50に供給し、画像蓄積装置50が、進入検知センサー20及び検知画像信号装置40からタイミング信号を受けた時に供給されている画像を保存するようにしてもよい。
【0034】
画像蓄積装置50には、(A)進入検知センサー20が進入を検知したタイミング、(B)検知信号処理装置40が磁化反転を検知したタイミング、のうちのいずれのタイミングで撮影されたものかが区別可能な形で画像が蓄積される。例えば、前者(A)用のフォルダーと後者(B)用のフォルダーを用意し、画像を対応するフォルダーに蓄積するようにしてもよい。また、前述の2つのうちのいずれのタイミングで撮影された者かを示す情報を画像の属性データとして記録してもよい。また、画像蓄積装置50には、それら画像が、撮影された時間順序が識別できる形で蓄積される。これには、例えば属性データとして、その画像を撮影した時刻(日時)情報を示す情報を記録するようにすればよい。
【0035】
所持者特定装置60は、画像蓄積装置50に蓄積された画像群に基づき、磁性体付きの物品を携帯して検知ゲート装置10を通過した通過者の特定、又はその支援を行う。
【0036】
以下、所持者特定装置60が実行する処理の一例を説明する。
【0037】
ここでは、通過者X及びYがこの順で連続して(すなわち両者の間に別の人が通過することはない)検知ゲート装置10を通過する場合を考える。この場合に起こり得る状況は、大バルクハウゼン効果を有する磁性体が付加されている物品(監視対象物品と呼ぶ)を通過者X及びYがそれぞれ所持しているか否かで、以下の4つの場合に場合分けされる。
ケースI : Xは所持、Yは非所持
ケースII : Xは所持、Yは所持
ケースIII: Xは非所持、Yは非所持
ケースIV : Xは非所持、Yは所持
【0038】
通過者X及びYが検知ゲート装置10に進入してから、この順で検知ゲート装置10から退出するまでには、Xの進入、Yの進入、Xの検知(Xが監視対象物品を所持する場合)、Yの検知(Yが監視対象物品を所持する場合)、Xの退出、Yの退出という6つの検知イベントが発生する。ここでは、通過者が進入検知センサー20で検知されるイベントを「進入」イベント、通過者の所持する監視対象物品が検知コイル14により検知されるイベントを「検知」イベント、通過者が退出検知センサー22で検知されるイベントを「退出」イベントと呼ぶ。
【0039】
「共連れ」の条件は、Xの退出イベントの前に、Yの進入イベントが発生することである。
【0040】
ここで、進入検知センサー20及び退出検知センサー22が通過者を検知した時刻を、それぞれ、その通過者の「進入時刻」及び「退出時刻」と呼ぶ。また、検知信号処理装置40が通過者の所持する物品の磁性体の磁化反転を検知した時刻を、当該通過者の「検知時刻」と呼ぶ。
【0041】
また、監視カメラ30が進入タイミング及び検知タイミングで撮影した通過者Mの画像をそれぞれA(M)及びB(M)と表記する。ここで、画像A(M)は範囲A(図2参照)にいる通過者Mの上半身(又は顔)部分の画像であり、画像B(M)は範囲B(図2参照)にいる通過者Mの上半身部分の画像である。なお、監視カメラ30の視野が検知ゲート装置10内の範囲A及びBの全域をカバーしている場合、進入タイミングではその全域の画像から、範囲Aに対応する部分(より厳密には範囲Aに人が位置する時の上半身に対応する部分)を切り出したものを画像A(M)とすればよい。同様に、検知タイミングではその全域の画像から範囲Bに対応する部分を切り出したものを画像B(M)とすればよい。また、監視カメラ30が視野(又は視線方向)を変更できるものである場合は、進入タイミングでは範囲Aに位置する人の上半身を捉え、検知タイミングでは範囲Bに位置する人の上半身を捉えるよう視野を切り替えればよい。また、範囲Aを視野に収める監視カメラと範囲Bを視野に収める監視カメラとを用意し、進入タイミングでは前者で、検知タイミングでは後者で撮影を行うようにしてもよい。
【0042】
なお、図2に例示した励磁コイル12と検知コイル14の配置関係の場合、範囲Aには高々1人の通過者しか存在し得ないのに対し、範囲Bには2人の通過者が同時に存在し得る。検知タイミングにおいて、範囲Bに通過者M及びNの2人が同時に存在したときの検知タイミングの撮影画像をB(M,N)と表記する。
【0043】
以下、ケースI 、ケースII、ケースIII、ケースIVの順に、イベントを分類する。
【0044】
(1)ケースI(Xは所持、Yは非所持)
範囲Aには高々1人しか存在できないため、通過者Yの進入イベントの前にXの検知イベントが発生することになる。この場合、時系列に並べた撮影画像のファイル列は、
A(X)→B(X)→A(Y)
となる。Yは監視対象物品を所持していないので、検知タイミングの画像B(Y)は記録されない。
【0045】
(2)ケースII(Xは所持、Yは所持)
以下のイ及びロの2通りが起こりえる。なお、後の説明のために、イベントの間に、Xの退出イベントが挟まる部分を二重線の矢印で表記する。
ケースII-イ: Yの進入イベントの前にXの検知のイベントが起こり、Xの退出イベントの後にYの検知のイベントが起こる場合、時系列に並べた画像ファイル列は、
A(X)→B(X)→A(Y)⇒B(Y)
となる。
ケースII-ロ: Yの進入イベントの前にXの検知イベントが起こり、Xの退出イベントの前にYの検知のイベントが起こる場合、時系列に並べたファイル列は、
A(X)→B(X)→A(Y)→B(X,Y)
となる。Xは、画像B(X,Y)が撮影された後、検知ゲート装置10から退出する。
【0046】
(3)ケースIII(Xは非所持、Yは非所持)
時系列に並べたファイル列は、A(X)→A(Y)となる。
【0047】
(4)ケースIV(Xは非所持、Yは所持)
以下のイ及びロの2通りが起こり得る。
ケースIV-イ:Xの退出イベントの後にYの検知のイベントが発生した場合、時系列に並べたファイル列は、
A(X)→A(Y)⇒B(Y)
となる。
ケースIV-ロ:Xの退出イベントの前にYの検知のイベントが発生した場合、時系列に並べたファイル列は、
A(X)→A(Y)→B(X,Y)
となる。
【0048】
以上、通過者X,Yが検知ゲート装置10に「共連れ」するケースの各々について、起こり得る撮影画像のファイル列を挙げた。以下、所持者特定装置60がファイル列から監視対象物品の所持者を特定する方法の一例を説明する。
【0049】
この方法では、基本的には、検知タイミングの撮影画像Bに写っている人を、監視対象物品を所持したまま検知ゲート装置10を通って部屋から出た人(以下、「所持者」と呼ぶ)と判定する。撮影画像Bに写っている人が1人であれば、この方法で所持者が1人に特定される。上述のケース分類のうち以下に列挙するケースでは、そのような基本的な判定により所持者が特定される。
【0050】
(1)ケースI-イ
A(X)→B(X)→A(Y)というファイル列のB(X)よりXが所持者であることが判定される。
【0051】
(2)ケースII-イ
A(X)→B(X)→A(Y)⇒B(Y)→A(Z)(Yの検知タイミングの後、Zの進入イベントが生じたものとする)というファイル列のB(X)及びB(Y)より、X及びYが所持者であることが判定される。
【0052】
(3)ケースIII
A(X)→A(Y)というファイル列には検知タイミングでの画像Bは存在しないので、この共連れイベントには所持者はいないことが判る。
【0053】
(4)ケースIV-イ
A(X)→A(Y)⇒B(Y)→A(Z)というファイル列のB(Y)より、Yが所持者であることが判定される。
【0054】
以上は、検知タイミングの撮影画像Bに1人しか写っていないケースであった。しかし、ケースIV-ロ、ケースII-ロという2つのケースでは、検知タイミングの撮影画像B(X,Y)に2人の通過者が写っているので、この2人の中から所持者を特定する必要が生じる。このためには、通過者Xが退出した直後に、大バルクハウゼン信号が継続して検知されているか否かを判定すればよい。通過者Xの退出イベントの後も大バルクハウゼン信号が発生していれば、そのとき検知ゲート装置10内の検知領域Bに存在する人が所持者である。逆に、退出イベントの直後に大バルクハウゼン信号が発生していない場合は、そのとき検知ゲート装置10内の検知領域に存在する人は所持者でなく、したがって退出した人が所持者であることが判る。なお、この場合において、Xの退出の直後に、別の所持者Zが検知ゲート装置10に進入したとしても、大バルクハウゼン信号の発生には影響しない。
【0055】
以上のような判定のために、検知信号処理装置40は、退出検知センサー22から退出検知信号を受け取ると、内部の信号処理回路を一時的にリセットする。前述したノイズ除去後の信号はそれまでHレベルであったが、このリセットによりいったんL(ロー)レベルに下がる。その後信号処理回路は検知コイル14からの検知信号を処理することになる。これにより、検知コイル14がリセット後に磁気反転を検知した場合には、信号処理回路が生成するノイズ除去後の信号は再びHレベルとなる。その信号の立ち上がりのタイミングで監視カメラ30は撮影を行う。したがって、Xの退出後においても大バルクハウゼン信号が継続検知される場合(すなわち、後続の通過者Yが監視対象物品を所持している場合)には、検知領域B内に存在するYの画像B(Y)が監視カメラ30により撮影される。
【0056】
逆に、Xの退出後に検知領域B内に残るYが非所持者である場合、信号処理回路の生成する信号はリセットの後はLレベルのままとなる。したがって、検知領域B内にYのみが写った画像は撮影されない。
【0057】
以下、ケースIV-ロ、及びケースII-ロの各々の場合について説明する。
【0058】
(5)ケースIV-ロの場合
通過者Xの退出の直後に大バルクハウゼン信号が継続検知されるので、B(Y)が生成される。したがって、撮影される画像の時系列は以下のようになる。
A(X)→A(Y)→B(X,Y)⇒B(Y)
これらの画像を見ることで、画像B(X,Y)は、Yが所持する磁性体がトリガーになって撮影されていたことが判定できる。なぜならば、仮にXが所持者であれば、検知領域BにまずXのみがいる(Yはいない)画像B(X)が記録されているはずであるからである。なお、上述の画像B(X,Y)は、通過者X(非所持)とY(所持)とが図3に例示する位置関係にあるときに撮影されたものである。このときYは磁性体が付加された監視対象物品100を所持しており、この物品100が検知領域B内に入ったことにより、監視カメラ30により撮影が行われる。
【0059】
(6)ケースII-ハ
通過者Xの退出の直後に大バルクハウゼン信号が継続検知されるので、B(Y)が生成される。したがって、撮影される画像の時系列は以下のようになる。
A(X)→B(X)→A(Y)→B(X,Y)⇒B(Y)
この場合、画像B(X)によりXが所持者であることが分かり、上記系列の最後の画像B(Y)によりYも所持者であることが判る。
【0060】
以上、2人が共連れした場合でも、その2人のいずれが所持者であるかを判定する方法を例示した。
【0061】
このような判定のために、所持者特定装置60は、進入タイミングや検知タイミングの画像A,Bから通過者の顔を認識し、その顔から通過者が誰であるかを識別する機能を有していてもよい。このような顔の識別手法は従来から存在しており、そのような従来の手法を用いればよい。例えば、この機能のために、各人の顔をあらかじめ撮影し、その画像から顔の画像特徴を抽出してデータベース化しておく。このデータベースを顔特徴データベースと呼ぶことにする。顔の画像特徴としては、例えば目や鼻といった特徴的な部位の形状やそれら特徴的な部位同士の相対位置関係といった幾何学的特徴や、顔表面の色や濃淡の分布などといったパターン分布特徴がある。撮影され蓄積された画像A又はBに写っている人物を特定するには、まずその画像から顔領域の画像部分の切り出しを行う。次に、顔領域の画像に対し大きさや傾き、輝度の正規化を行い、正規化後の画像からその顔の画像特徴を抽出する。そして、抽出した顔の画像特徴と、顔特徴データベースに登録された各人の画像特徴とを照合することで、蓄積された画像A又はBに写っている人物を特定する。
【0062】
所持者特定装置60は、ユーザーから検索期間の入力を受け付けてもよい。これには、例えば、ユーザーに検索期間の始期tsと終期teの日時を入力させてもよいし、画像蓄積装置に蓄積された画像群を時系列順に一覧表示し、その中から検索期間の始期と終期の画像をユーザーに入力させてもよい。検索期間が指定された場合、画像蓄積装置50に蓄積した画像群のうち、その検索期間に含まれる画像の中から、監視対象物品の所持者を特定する。この特定のための処理手順の例を、図4に示す。
【0063】
図4の手順では。まずユーザーが所持者特定装置60に対し、検索期間P[ts,te]を設定(入力)する(S10)。すると、所持者特定装置60は、画像蓄積装置50から、撮影の日時又は時系列順序がその期間Pに含まれる画像を取り出し、時系列順に並べた画像ファイル列を形成する(S12)。これら時系列順の画像ファイルをF(t1)〜F(tn)と表記する。t1,t2,・・・tnは画像の撮影時刻であり、ts≦t1<t2<…<tn≦teの関係を満たす。なお、それら画像Fは、画像蓄積装置50内で、進入タイミングの画像(A画像と呼ぶ)と、検知タイミングの画像(B画像と呼ぶ)とに分類されている。
【0064】
次に画像蓄積装置50から、時刻t1の直前のA画像とB画像を2つずつ取り出し、画像ファイル列の先頭F(t1)の前に時系列順に追加する(S14)。また、画像蓄積装置50から、時刻tnの直後のA画像とB画像を2つずつ取り出し、画像ファイル列の末尾F(tn)の後に時系列順に追加する(S16)。このように、検索期間の前後の画像をファイル列に追加するのは、検索期間の始期及び終期に生じた共連れイベントの見落としをなくすためである。
【0065】
次に、所持者特定装置60は、画像ファイル列の先頭にA画像が現れるまで、そのファイル列の先頭から順に画像ファイルを1つずつ削除する(S18)。これにより、先頭がA画像である画像ファイル列Sが生成される。
【0066】
次に、所持者特定装置60は、画像ファイル列Sの先頭から順に画像ファイルを調べ、B画像を探す(S20)。B画像を見つけると、顔認識技術(例えば前述の手法)により、そのB画像中に写る人物を特定し、(例えばその人物の識別情報を)記憶する(S22)。そのB画像中から認識された人物の集合を集合αと呼ぶ。次に、所持者特定装置60は、そのB画像の直前のA画像に写る人物を顔認識技術により特定し、特定した人物の集合βを記憶する(S24)。
【0067】
そして、所持者特定装置60は、集合αと集合βとの両方に含まれる人物があれば、その人物(例えばその人物の識別情報)を所持者リストに追加する(S26)。なお、所持者リストには、人物の識別情報に対応づけて、その人物が写っていたB画像(ステップS22で検出された)の撮影時刻を登録する。
【0068】
そして、所持者特定装置60は、画像ファイル列Sの残りを順に探索し、次のB画像を探す(S26)。次のB画像が見つかれば(S30)、ステップS22〜S28の処理を繰り返す。ステップS28で次のB画像が見つからなくなると(S32)、この処理手順を終了する。
【0069】
以上の処理において、例えば、A(X)→B(X)→A(Y)→B(X,Y) ⇒A(Z) →B(Y)の画像ファイル列より、各画像ファイルに写った人物の識別情報(例えば氏名など)を特定し、進入イベント(X)→検知イベント(X)→進入イベント(Y)→検知イベント(X,Y) →進入イベント (Z) →検知イベント(Y)などというように、各人と対応させて、イベントの種類を時系列的に並べたログを作成してもよい。
【0070】
次に、具体的な事例を挙げて、上述の処理手順がどのように実行されるのかを説明する。ここでは、具体的な事例として、X(所持者)とY(非所持者)とによるケースI-イの共連れが発生したのち、Z1からZ8まで非所持者の侵入が続いた後、Z9(所持者)の単発(共連れでない)の進入があり、その後、K(非所持者)とL(所持者)のケースIV-ロの共連れイベントが発生し、その後Z10が進入したものとする。
【0071】
このような一連の流れにより、以下に示すような画像ファイルの時系列が画像蓄積装置50に蓄積されることになる。すなわち、A(X)→B(X)→A(Y)→A(Z1) →A(Z2) →… →A(Z8) →A(Z9) →B(Z9)→A(K)→A(L)→B(K,L)→B(L)→A(Z10)という時系列である。
【0072】
このような画像ファイル群が画像蓄積装置50内に蓄積されているときに、図4の処理手順による処理がどのように実行されるかを以下に例示する。
【0073】
まず、ユーザがステップS10で指定した検索期間P[ts, te]の始期tsがB(X)の撮影時刻以降且つA(Y)の撮影時刻以前であり、終期teがA(Z9)の撮影時刻以降且つB(Z9)の撮影時刻以前であったとする。
【0074】
この場合、ステップS12で得られる時系列順の画像ファイル列は、B(X)→A(Y)→A(Z1) →A(Z2) →…. →A(Z8) →A(Z9)となる。これは、先頭の共連れイベントが切断され、後尾の単一者の検知イベントが切断されている形になる。
【0075】
ステップS14では、B(X)の直前のA画像及びB画像のファイルをそれぞれ2個ずつ過去に遡って選択し、画像ファイル列に追加する。これにより、画像ファイル列にはA(X)が含まれるので、先頭の共連れイベントに関わる画像はすべて取り込まれる。
【0076】
一方、ステップS16では、画像ファイル列の最後尾A(Z9)のあとに、A画像及びB画像のファイルをそれぞれ2個ずつ未来に繰り上げて選択し、追加する。これにより、画像ファイル列にはB(Z9)が含まれることとなり、所持者Z9に関わる画像はすべて取り込まれる。
【0077】
以上の処理の結果、A(X)→B(X)→A(Y)→A(Z1)→A(Z2)→…→A(Z8)→A(Z9) →B(Z9)→A(K)→A(L)→B(K,L)という画像ファイル列が得られる。この画像ファイル列には、指定された期間P内で発生するイベントに関わる画像の取りこぼしがない。
【0078】
次に、ステップS18で、その画像ファイル列の先頭からスキャンをはじめ、先頭にB画像があるときはそのB画像はファイル列から除去する。この例では、先頭がA(X)なので何もしない。これにより、その画像ファイル列がそのままファイル列Sとなる。
【0079】
次に、ステップS20で、ファイル列Sの先頭から順にB画像を探すと、最初にB(X)が検出される。ステップS22で、このB(X)に対し公知の顔認識技術を適用することで、そのB(X)に写る人物を特定する。本例では、Xが特定される。次に、ステップS24では、B(X)の一つ前のA画像であるA(X)に写っている人物Xが特定される。そして、ステップS26では、ステップS22で特定された人物とステップS24で特定された人物がともにXのみであり一致するので、そのXが所持者リストに登録される。
【0080】
そして、ステップS28及びS30で、ファイル列Sから次のB画像であるB(Z9)が検出される。そこから特定される人物はZ9であり(S22)、その一つ前のA画像で特定される人物はZ9であり(S24)、上記同様、Z9が所持者リストに登録される(S26)。
【0081】
そして、更にステップS28及びS30で、ファイル列Sから次のB画像であるB(K,L)が見つかり、そこから人物K,Lが特定され(S22)、その直前の画像A(L)から人物Lが特定される(S24)。そして、それら両画像に共通する人物Lが所持者リストに登録される(S26)。
【0082】
以上のようにしてユーザーから指定された検索期間Pにおいて、監視対象物品を持ち出した人物が、所持者リストに含まれることになる。この所持者リストを、ユーザー(監視対象物品の管理者など)に提示(例えば画面表示)してもよい。
【0083】
また、例えば、指定された検索期間についての所持者リストにあらかじめ定めた回数以上現れる人物を、要注意人物として監視対象物品の管理者などに提示してもよい。この場合管理者は、例えば要注意人物の荷物チェックをすることで、不正行為を警告することも出来る。不正行為は常習性を持つ傾向があるので、一回の行為で警報を出し検知事実を知らしめるよりも、警告を出さずに不正行為履歴を蓄積し、証拠固めを持って警告するようにしてもよい。
【0084】
また、以上の処理において、所持者特定装置60が、所持者リストに登録した人物とB画像中で共連れ状態で撮影された人物を、別のリスト(共連れリストと呼ぶ)に記憶するようにしてもよい。そして、当人自身は所持者リストに登録されていなくても、共連れリストにあらかじめ定められた回数以上現れる人物を、共同不正行為の可能性がある人物として管理者に提示してもよい。
【0085】
以上に例示したシステムにおける所持者特定装置60は、例えば、汎用のコンピュータに上述の各機能モジュールの処理を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、HDD(ハードディスクドライブ)コントローラを経由して接続されたHDD、各種I/O(入出力)インタフェース等が、バスを介して接続された回路構成を有する。バスには、ローカルエリアネットワーク等のネットワークに接続するためのネットワークインタフェースが接続されていてもよい。また、そのバスに対し、例えばI/Oインタフェース経由で、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのディスクドライブ、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのメモリリーダライタなどが接続されてもよい。上に例示した各機能モジュールの処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク等の通信手段経由で、ハードディスクドライブ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。インストールされたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した装置の機能が実現される。
【符号の説明】
【0086】
10 検知ゲート装置、10A,10B ゲート壁、12 励磁コイル、14 検知コイル、30 監視カメラ、40 検知信号処理装置、50 画像蓄積装置、60 所持者特定装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大バルクハウゼン効果を有する磁性体がゲートの進入口と退出口との間の励磁領域内に存在する場合に、前記磁性体の磁化反転を誘起する励磁手段と、
前記磁性体が前記励磁領域内の一部分である検知領域内に存在する場合に、前記磁性体の磁化反転を検知する検知手段と、
を備え、
前記励磁手段と前記検知手段とは、前記検知領域の前記進入口側に前記励磁領域内であって前記検知領域に含まれない部分が存在する位置関係で配設されている、
ことを特徴とする検知ゲート装置。
【請求項2】
さらに、
前記進入口に設けられた進入センサーと、
前記退出口に設けられた退出センサーと、
前記進入センサーによる検知および前記検知手段による検知に応じて、前記励磁領域を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された画像を、前記進入センサーによる検知および前記検知手段による検知のいずれに応じて撮影された画像であるかと、撮影された順序と、を識別できる状態で記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段に記憶された画像およびその順序に基づいて、前記磁性体を備えた物品を所持して前記ゲートを通過した所持者を特定する所持者特定手段と、
を備え、
前記検知手段は、前記検知領域内で生じた磁化反転を検知して信号を出力する検知コイルと、前記検知コイルが出力した信号を信号処理して磁性体の磁化反転を検出する信号処理手段と、前記退出センサーによる検知に応じて前記信号処理手段を一時的にリセットするリセット手段と、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の検知ゲート装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−28357(P2011−28357A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170905(P2009−170905)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】