説明

構造化導波路を有する表面放射半導体レーザ

埋込トンネル接触部を持つ表面放射半導体レーザの単一モード・パワーを増加するために、トンネル接触層(6)は、開口直径(w1)と開口深さ(d1)とを有する開口を具備し、かつnドーピング電流搬送層(7)でカバーされ、隣接する電流搬送層(7)は、開口の領域に、隆起部直径(w2)と隆起部深さ(d2)とを有する隆起部(15)を具備するとともに、隆起部(15)の側面領域の少なくとも周辺で電流搬送層(7)上に構造化層(8; 9)が設けられ、その厚み(d3; d4)が構造化層の光学的厚みが隆起部深さ(d2)の領域において電流搬送層(7)の光学的厚みと少なくとも等しくなるように選択されている構造が提案されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造化導波路を有する表面放射半導体レーザに関する。
【背景技術】
【0002】
垂直空洞型表面放射レーザ(VCSEL)は、光放射が半導体チップの表面に対して垂直に行われる半導体レーザである。垂直空洞型表面放射レーザ・ダイオードは、電力消費量が小さいこと、ウェハー上のレーザ・ダイオードを直接検査できること、光ファイバに長手方向の単一モード・スペクトルを単純に結合できること、2次元マトリクスに表面放射レーザ・ダイオードを接続できることのように、複数の長所を従来の表面放射レーザ・ダイオードと比べると備えている。
【0003】
光ファイバを用いる通信技術の分野では、波長依存性の分散と吸収とのために、約1.3μm〜2μmの波長範囲で特に1.31μm又は1.55μmの波長周辺でVCSELのニーズがある。このタイプの長波長レーザ・ダイオードは、今まで、InPベースの化合物半導体から製造されていた。GaAsベースのVCSELは、1.3μm未満の短い波長範囲に適している。
【0004】
今までの解決方法は、次のように要約される。
【0005】
レーザ・ダイオードの横方向のビームの特性は、対応する導波路の形状にかなり影響される。約1.3μm未満の放射波長を有するGaAsベースVCSELの場合、導波路は、選択的に酸化されたAl(Ga)As層から製造される(“GaInNAs能動領域を有する電気ポンプ式10Gbit/s MOVPE成長型モノリシック1.3μmVCSEL”エレクトロニクスレター、第38巻、No.7(2002年3月28日)、322〜324頁を参照)。
【0006】
特に最良の結果が、パワーと作動温度と単一モードのパワーと変調帯域幅の点から見て、1.3μmを超える波長範囲の長い波長のVCSELに対して、InPベースBTJ(埋込トンネル接合)のVCSELにより得られる。
【0007】
埋込トンネル接触部の製造と構造について、図1を参照しながら事例を用いて説明する。低帯域ギャップを有する高度ドーピングp+/n+層のペア101、102を作るために、分子線エピタキシャル成長(MBE)が用いられる。トンネル接触部103自体は、これらの2層の間に形成されている。円形又は楕円形領域は、n+ドーピング層102とトンネル接触部103とp+ドーピングの層101の一部又は全部とから実質的に形成されていて、反応性イオン・エッチング(RIE)によって形作られている。第2のエピタキシャル・サイクルで、この領域はnドーピングInP(層104)で過剰成長するので、トンネル接触部が“埋め込まれる”。過剰成長層104とp+ドーピング層101との間の接触領域は、電圧印加時に障壁層として作用する。電流は一般的に3×10-6Ωcm2の抵抗でトンネル接触部を介して流れる。電流の流れは、したがって、能動ゾーン108の作動領域に制限される。生成熱量は、電流が高抵抗pドーピング層から低抵抗nドーピング層に流れるので小さい。
【0008】
トンネル接触部の過剰成長は、図2に示すように、その上方に位置する層の厚みにわずかの変動をもたらす。これは、横方向の導波作用に悪い影響を与える。より高い横モードの形成が、特に比較的大きな開口において促進される。したがって、小さい開口と、それに応じた低いレーザ・パワーが、特に光ファイバ通信技術で必要な単一モード動作に使用できる。
【0009】
InPベースVCSELの全体の構造について、図2を参照しながら事例を用いて、ここで説明する。
【0010】
この構造で、埋込トンネル接合部(BTJ)は他の方式で周辺に設けられているので、能動ゾーン106は、p+ドーピング層101とn+ドーピング層102との間でトンネル接触部(直径DBTJ)上に位置している。レーザ放射は、矢印116が示す方向に向かう。能動ゾーン106は、pドーピング層105(例えば、InAlAs)とnドーピング層108(例えば、InAlAs)とで囲われている。能動ゾーン106上の先端側ミラー109は、約35InGa(Al)As/InAlAs層のペアを含有するエピタキシャルDBR(分布反射型レーザ)から成るので、約99.4%の反射率を生じさせる。後端側ミラー112は、DBRとして誘電層のスタックから成り、金の層で仕上げているので、ほぼ99.75%の反射率を生じさせる。絶縁層113は横方向の絶縁に用いる。環状に構造化した更なるp側接触層111が、層104と接触層114との間に設けられている。図2は、過剰成長トンネル接触部の構造が更なる層に伝搬(この場合、下向きに)する様子を示す。
【0011】
誘電ミラー112と統合接触層114とヒートシンク115との組み合わせにより、エピタキシャル多層構造と比べると、熱伝導性が非常に改善される結果になる。電流は、接触層114を経由して又は統合ヒートシンク115とn側接触点110とを経由して注入される。このようなVCSELタイプの製造と特徴についての更なる詳細について、下記の引用文献を参照する。
【0012】
図2に示す構造を有するVCSELは、刊行物である“高効率の低スレッショルド・インデックス・ガイド1.5μm長波長垂直空洞型表面放射レーザ”、応用物理レター、第76巻、No.16(2000年4月17日)、2179〜2181頁の主題となっている。7mW(20℃、CW)までの出力パワーを有する同じタイプのVCSELが、“大出力パワーと高作動温度による1.55μmの垂直空洞型表面放射レーザ・ダイオード”、エレクトロニクスレター、第37巻、No.21(2001年10月11日)1295〜1296頁に発表されている。公開資料“1.83μm垂直空洞型表面放射レーザの90℃連続波作動”IEEEフォトニクス技術レター、第12巻、No.11(2000年11月)1435〜1437頁は、1.83μmのInGaAlAs−InPのVCSELに関するものである。“1.55μmの垂直空洞型表面放射レーザによる高速データ送信”、ポストデッドライン・ペーパー、光通信に関する第28回欧州会議(2002年9月8〜12日)は、10Gbit/sまでの変調周波数での無エラー・データ送信のためのBTJ−VCSELの利用について論じている。最後に、2.01μm(CW)の放射波長を有するVCSELは、“2μmの放射波長による電気ポンプ式室温CW−VCSEL”エレクトロニクスレター、第39巻、No.1(2003年1月9日)、57〜58頁から知られている。
【0013】
1.3μm未満の放射波長を有するGaASベースのVCSELと対照的に、横方向酸化方法は論述のBTJ−VCSELに使用できない。なぜならば、用いる材料はアルミニウム成分が非常に微量であり、他に考えられるAlAsSbのような材料は、十分な品質の酸化層を今まで与えていない。前述のBTJ−VCSELでは、製造プロセスに起因する横方向の導波作用が、共振器の横方向の長さの変動として行われる。その代わりに、選択的にエッチングして離れた層(“AlGaAsSb−AlAsSb DBRを有する1.55μmのImP格子整合VCSEL”、量子電子の選択トピックに関するIEEEジャーナル、第7巻、No.2(2001年3月/4月)、224〜230頁を参照)、陽子注入(“変性DBRとトンネル接合注入: CW RTモノリシック長波長VCSEL”、量子電子の選択トピックに関するIEEEジャーナル、第5巻、No.3(1999年5月/6月)、520〜529頁を参照)、又は選択的に酸化された変性AlAs層(“メトロWDMアプリケーション用の1.5〜1.6μmVCSEL”リン化インジウムと関連材料に関する2001国際会議の議事録、第13IPRM(2001年5月14〜18日)、日本国奈良)は、例えば、他の長波長VCSELデザインに用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、したがって、BTJ−VCSELの場合に従来の強力で好ましい多重モード動作であるインデックス・ガイドを、より弱いインデックス・ガイド又はゲイン・ガイドに置き換え、さらに任意により高い横モードを弱めることにある。横モード特性の調整は、従来のBTJ−VCSELよりも、高い単一モード・パワーを有する大きな開口でも単一モードの動作を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、本発明に基づいて特許請求される表面放射半導体レーザによって実現される。更なる構成は、各々の従属請求項と次に述べる説明から明らかになる。
【0016】
本発明は、p−n接合部を有するとともに第1のnドーピング半導体層と少なくとも1つのpドーピング半導体層とに囲まれた能動ゾーンと、前記能動ゾーンのp側にトンネル接触層とを具備する表面放射半導体レーザであって、前記トンネル接触層は、開口直径と開口深さとを有する開口を具備し、かつnドーピング電流搬送層でカバーされ、隣接する電流搬送層は、前記開口の領域に、隆起部直径と隆起部深さとを有する隆起部を具備するとともに、前記隆起部の側面領域の少なくとも周辺で前記電流搬送層上に構造化層が設けられ、その厚みが前記構造化層の光学的厚みが隆起部深さの領域において前記電流搬送層の光学的厚みと少なくとも等しくなるように選択されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を理解しやすくするために、一般的な表面放射半導体レーザの周知の構造における条件について、説明の導入部で詳細に記したように最初に説明する。そこで、図3を参照して説明するが、ここでは、一般的な表面放射半導体レーザの周知の構造における条件を、拡大縮小せずに、概略的に図示している。図は、電流搬送層(7)とnドーピング接触層8との間の境界領域を示しており、そこを経由して電流が全体的に供給され、厚みd3を有して高度にnドーピングしたInGaAsから層7に好都合に成長する。トンネル接触部の過剰成長によって形成され、かつ厚みd2(=隆起部の深さ)の層7を有する隆起部が15として図示されている。接触層8は、従来からエピタキシャル・ステップで設けられ、隆起部15の領域で選択的にエッチングして除去される。構造化接触層8は、50〜100nmの厚みd3を全体的に備えて、小さい接触抵抗にし、その内部エッジで、トンネル接触隆起部15から数マイクロメーター(典型的に4〜5μm)の距離にある。図示する構造で、共振器の長さは、隆起部15の外部の領域よりも中心ではd2だけ太い。有効屈折率は、外部領域よりも中心では(典型的に1%だけ)高いので、強いインデックス・ガイドになる。これは、特に大きい開口で、より高いモードの形成に寄与する。
【0018】
インデックス・ガイドを弱めるために、本発明は、そこで、隆起部15の横方向の領域の少なくとも周辺に、構造化層を加えることを提案する。その光学的な厚みは、隆起部15の領域の電流搬送層7の光学的厚み、すなわち、厚みd2を有する隆起部15の光学的厚みと少なくとも等しい。本発明に基づく構造化層は、したがって、隆起部15の中心と外部の領域における屈折率の違いを補正するので、インデックス・ガイドが著しく弱まる結果になる。
【0019】
したがって、本発明に基づく構造化層は、隆起部15に隣接するか又は隆起部から指定の最大距離内にあることが必要になる。この最大距離は、2μm以下、好ましくは、1μm以下にすべきことが分かった。この最大距離は、したがって、隆起部15の外部エッジから(オプションの)接触層8のこれまでの典型的な距離の40〜50%、好ましくは20〜25%に対応している(図3を参照)。
【0020】
本発明に基づく構造化層がnドーピング接触層であると、効果的であることが立証された。
【0021】
このタイプの接触層は、従来技術から自明のことである(図3を参照)。本実施例では、接触層の厚みは、したがって、その光学的厚みが、例えば、隆起部15の深さd2の領域における電流搬送層の光学的厚みと等しくなるようにされ(図3を参照)、そこでは、光学的フィールドの十分な影響を受けるために、接触層は隆起部から1〜2μmより大きくすべきでない。
【0022】
別の実施例では、本発明に基づく構造化層が、オプションの接触層から独立して設けられている。前述の構造化層が製造される材料が自由に選択され、層は電流搬送層の隆起部に好都合に直接隣接しており、そこでは、同じ原理が、隆起部から任意の距離と、構造化層としての接触層に関する本構造化層の厚みとに適用される。自由な材料選択は、特に、外部領域における強いフィールドの及ぶ範囲のために、より高いモードを開口のエッジで更に集中的に抑制するために使用できるので、これらのモードが発振することを回避できる。各波長に著しい吸収作用を有する材料は、本趣旨に全体的に適している。1.3μmと1.55μmの間の波長に、アモルファス・シリコンが特に適している。チタンは、例えば、全体的な従来の波長範囲に適している。
【0023】
前述の実施例では、本発明に基づく構造化層を囲む接触層をも設けることができる。該接触層の幾何学的形状は、導波作用が本発明に基づく構造化層によって既に補償されているので、実質的に自由に選択できる。
【0024】
本発明は、インデックス・ガイドが弱められるだけでなく変換されることを可能にするので、反ガイド効果も呈して、高いモードを除去することが分かった。本発明に基づく構造化層の(オプションの)厚みは、したがって、トンネル接触部に起因する隆起部の深さより、かなり太くなるように選択される。したがって隆起部が外部領域に生成され、そこでは、構造化層が吸収作用を有する場合に、高いモードの除去が更に有効になる。反ガイド作用を有する本実施例では、用いられる構造化層は、再びnドーピング接触層又は層の組み合わせになり、その材料は、構造化層とオプションの追加接触層として自由に選択できる。
【0025】
本発明について、図面で図示する種々の実施例を参照して詳細に次に説明する。
【0026】
図1〜3に関して、参照番号は、説明の前述の部分に付記されている。
【0027】
図4は、これから説明する、表面放射半導体レーザの製造中に形成された構造の事例を示す。InP基板1から始まって、nドーピング・エピタキシャル・ブラッグ・ミラー2とnドーピング閉込め層3と能動ゾーン4とpドーピング閉込め層5とが、第1のエピタキシャル成長プロセスで連続して加えられる。この構造は、例えば、高度のp+とn+ドーピングInGaAs層のケースごとに、トンネル接触層6の成長によって完成する。開口は、その寸法が自由に選択できて、層5まで伸長するか又は層6のpドーピング部の内部で終えており、後のリソグラフィック及びエッチング・プロセスで形成される。一般的なエッチングの深さは、このケースで20nmである。
【0028】
第2のエピタキシャル・ステップでは、好都合にInPから成る上部nドーピング電流供給層7と、好都合に高度のnドーピングInGaAsから成るオプションのn−接触層8とが、厚みd3に成長する。この第2のエピタキシャル・ステップで、横方向のセミ軸比は、プロセス・パラメータ又はエピタキシャル方法(例えば、MBE(分子線エピタキシャル成長)、CBE(化学ビーム成長)又はMOVPE(有機金属気相成長)に基づいて、修正又は維持される。修正により、例えば、以前は円形のトンネル接触部の楕円開口になる。
【0029】
その結果が図4に示してあるが、例えば、直径がw1の丸い開口は、エッチングの深さがd1のリソグラフィック形成開口として形作られ、過剰成長後に、高さがd2の直径w2になる。値w2とd2は、開始時のデータw1とd1とに全体的に対応している。
【0030】
本発明は、円形以外の開口にも適用できるので、説明で用いる“直径”又は“半径”という用語は、円形開口の形状に制限することを意味しない。角張った、楕円状、又は任意の他の形状も可能であり、本発明はこのような形状に容易に変更できる。
【0031】
図4に示す構造から始まり、接触層8の選択エッチングの後に得た構造を、図5の第1の実施例として、ここで示す。このケースで、接触層8は本発明に基づく構造化層として作用する。接触層の厚みd3は、例えば、その光学的厚みが層7のエッチング深さd2の領域の光学的厚みに対応するように、導波作用を完全に補正するように選択される。面とほぼ平行する配置が、そこで得られる。具体的な領域では、エッチング直径w3は、ほぼ任意に希望する状態で調整できる。しかし、十分に光学的フィールドを影響させるには、半径は、典型的にトンネル接触部の半径から1μmを超えるべきでない。更に好ましい最大距離は、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9μmである。
【0032】
図5は、図3に示した従来技術の条件と比較した、本発明によって実現した異なる条件を明確に示す。本発明に基づく構造化により、図3に存在する強いインデックス・ガイドが弱いインデックス・ガイドに変わった結果として、中心から開口の外部領域にむけて有効屈折率が平均化されることになる。
【0033】
図6は、本発明に基づく導波路構造の別の実施例を示す。この構成で、接触層8は、オプションとしてだけ設けられ、このケースでは、開口部直径をw3として、前述と類似の状態で選択的に構造化できる。導波特性は、このケースでは、自由に選択できる材料から製作できる追加層9を介して影響を受ける。追加層9は内径がw4、外径がw5であり、例えば、エッチング処理又はリフトオフ方法を用いて構造化される。同じ原理が、図5の構造化層として接触層のケースのように、最終的な厚みd4と内径w4の形状に適用される。本実施例の長所は、構造化層9の材料を自由に選択できることにある。これは、開口のエッジに普通は最大値を有するより極端な高モードを弱めるために特に使用できるので、これらのモードが発振することを防止できる。アモルファス・シリコンは、層9に適した材料である。
【0034】
最後に、図7は、反ガイド作用を持つ、本発明に基づく導波路構造の第3の実施例を示す。本実施例は、このケースでは、接触層8の厚みd3は、トンネル接触部の隆起部の深さd2又はエッチングの深さd1より十分に太くなるように、構造化層として選択される。これは、外部領域を増やす結果になり、反ガイド作用を導くので、高モードを除去することになる。層8が吸収作用を有する場合に、モードの除去は更に効果的になる。図7に示す本実施例は、図6に示す構造と組み合わせることもできる。このケースでは、少なくとも層9は、図示する隆起部を含んでいる。
【0035】
図8は、本発明に基づく仕上げられたBTJ−VCSELを示す。なお半導体レーザを仕上げるための本発明に基づく構造の更なるプロセスは、説明の導入部で図2に関連して詳細に既に、説明済みである。同じ参照番号は、図4の構造と同じ層を意味する。InP1基板は、このケースでは、全体的に除去される。代わりに、例えば、Ti/Pt/Auから成るn側接触部14が、電流供給手段に取り付けられている。図8に示す半導体レーザの導波路構造は、隆起部15に隣接する接触層8により図5のものと対応している。10は絶縁受動層を示し、11はp側接触部(例えば、Ti/Pt/Au)を示し、12は誘電ミラーを示し、13は統合化ヒートシンクを示す。
【0036】
本発明は、高い単一モード・パワーを有するBTJ−VCSELの製造を可能にする。開口の直径は、高いモードを誘発せずにパワーを増加するように拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】周知の表面放射半導体レーザにおける埋込トンネル接触部の構造の略図である。
【図2】事例から周知の、表面放射半導体レーザが完成した構造の略図である。
【図3】接触層と電流搬送層とに関連する表面放射半導体レーザの周知の構造における条件の略図である。
【図4】本発明に基づく表面放射半導体レーザの製造中に形成された構造を示す。
【図5】本発明に基づく構造化層としての接触層の構造の略図である。
【図6】追加層が、本発明に基づく構造化層として、接触層の次に設けられている、更なる実施例を示す。
【図7】反ガイド作用を有する更なる実施例を示す。
【図8】最後に、本発明に基づいて製造された表面放射半導体レーザの実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
p−n接合部を有するとともに第1のnドーピング半導体層(3)と少なくとも1つのpドーピング半導体層(5)とに囲まれた能動ゾーン(4)と、前記能動ゾーン(4)のp側にトンネル接触層(6)とを具備する表面放射半導体レーザであって、前記トンネル接触層(6)は、開口直径(w1)と開口深さ(d1)とを有する開口を具備し、かつnドーピング電流搬送層(7)でカバーされ、隣接する電流搬送層(7)は、前記開口の領域に、隆起部直径(w2)と隆起部深さ(d2)とを有する隆起部(15)を具備するとともに、前記隆起部(15)の側面領域の少なくとも周辺で前記電流搬送層(7)上に構造化層(8; 9)が設けられ、その厚み(d3; d4)が前記構造化層の光学的厚みが隆起部深さ(d2)の領域において前記電流搬送層(7)の光学的厚みと少なくとも等しくなるように選択されている表面放射半導体レーザ。
【請求項2】
前記構造化層(8; 9)の内径(w3; w4)が前記隆起部(15)の直径(w2)より大きいか又は等しいことを特徴とする、請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項3】
前記内径(w3; w4)の半分が、前記隆起部(15)の直径(w2)の半分より、多くても2μmだけ、好ましくは、多くても1μmだけ大きいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の半導体レーザ。
【請求項4】
前記構造化層(8)がnドーピング接触層(8)であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の半導体レーザ。
【請求項5】
前記構造化層(8)がnドーピングInGaAsから成ることを特徴とする、請求項4に記載の半導体レーザ。
【請求項6】
前記構造化層(9)が、前記半導体レーザの波長ごとに、かなりの吸収作用を有する材料から成ることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の半導体レーザ。
【請求項7】
アモルファス・シリコンが、特に1.3〜1.55μmの波長範囲において前記材料として用いられることを特徴とする、請求項6に記載の半導体レーザ。
【請求項8】
チタンが前記材料として用いられることを特徴とする、請求項6に記載の半導体レーザ。
【請求項9】
前記構造化層(9)を側面から囲むnドーピング接触層(8)が、前記構造化層(9)の次に設けられていることを特徴とする、請求項1から3又は6から8のいずれか1つに記載の半導体レーザ。
【請求項10】
前記構造化層(8; 9)及び/又は前記接触層(8)の厚みが、前記隆起部(15)の深さ(d2)の倍数であることを特徴とする、請求項1又は9に記載の半導体レーザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−508702(P2007−508702A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534688(P2006−534688)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011569
【国際公開番号】WO2005/039003
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(503294533)フェルティラス ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】