説明

標識具

【課題】簡単に設置、又は収納することが可能であるとともに、収納時の標識具全体の省スペース化を図ることが可能な標識具を提供する。
【解決手段】2本の支持脚23a、23bを上枠21で連結し、下枠24を接地側とした外枠2と、前記外枠2の上枠21中央に貫通孔22と、前記外枠2の下枠24中央に支軸25と、前記外枠2の内側に符合する形状の内枠3と、前記内枠3の上枠21中央に連結孔32と、前記内枠3の下端中央にガイド孔35と、把手となる開口部41を有する把持部4と、前記把持部4の下端に、前記外枠2の貫通孔22に挿通させて、前記内枠3の連結孔32と連結する回転軸42とを備え、内枠3を外枠2に対して前記回転軸42を中心に90度の角度を保って立設して使用するとともに、内枠3を外枠2と同一面にして収納する標識具1を提供する。これにより、簡単に設置、収納が可能となり、省スペース化を図ることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標識具に関し、詳しくは、簡単に設置、又は収納することが可能であるとともに、収納時の標識具全体の省スペース化を図ることが可能な標識具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、交通事故の検証現場、交通取締りの検問現場、道路工事、電線工事、建設工事等の工事現場では、立ち入り禁止区域を設けるために標識具が使用されている。
【0003】
当該標識具は、赤色等の視覚的に目立つ着色を付したプラスチックで一体成形され、円錐形状をなして、高さが700mm程度(又は450mm程度)であり、取り扱いが容易である。
【0004】
しかしながら、上述した構成の標識具では特定の固定形状であるため、折り畳むことができず嵩張り、運搬、収納、保管に不便であるという問題がある。
【0005】
当該問題を解決するために、特開平10−102445号公報(特許文献1)では、略四角錐の使用形態に組み立てられる折り畳み式標識具が開示されている。当該折り畳み式標識具では、前記略四角錐の頂点を囲う4面のうち、一対の相対面が、夫々一枚板で成り、残る一対の相対面が、夫々略左右対称形に分割された半割り板同士を折り畳み可能に連結して成ると共に、それら各半割り板が夫々に隣接する前記各一枚板に対して内側に折り畳み可能に連結されている。当該構成により、組立や折り畳みの操作が極めて簡単であると同時に運搬や保管が非常に便利であり、また、見栄えがよく、簡単に傷つけられたり破損するおそれもないという種々の優れた効果があるとしている。
【0006】
又、特開2003−221811号公報(特許文献2)では、周囲に注意を喚起する折り畳み式標識具において、互いに回転自在に取り付けられた複数の板状体からなり、これらの板状体を回転して広げることによって自立し、これとは逆に回転することによって互いに重なるべくなしてあることを特徴とする折り畳み式標識具が開示されている。当該構成により、構成部材の部品点数を少なくすることにとともに、これらを連結する下枠材を少なくして構造を簡素化し、故障を防止することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−102445号公報
【特許文献2】特開2003−221811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の技術では、操作性、作業性が悪いという問題が未だに残っている。即ち、標識具の上下方向の高さが、通常、人の高さと比較して2分の1程度(700mm程度)と低いため、その高さに対応する標識具の面をユーザが手作業で拡げて標識具を展開することは、手間が掛かり、所定の時間(例えば、数十秒以上)を要する。特に、標識具が設置される工事現場等では、標識具を数十個以上設置しなければならない場合もあり、前記構成の標識具では、設置に要する時間が長期化するという問題がある。
【0009】
又、特許文献1又は2に記載の技術では、標識具を折り畳んだ際に、構造上、標識具の面(板状体)が必ず二重に重なり、収納時の標識具は嵩高くなるという問題がある。特に、収納時の標識具を目的の現場に搬送する場合、標識具は数十個以上になるから、嵩高い複数の標識具が占める体積は膨大となる。
【0010】
更に、特許文献1又は2に記載の技術では、構成が複雑であるため、従来から存在する標識具(カラーコーン)と比較して、量産し難く、コストパフォーマンスに劣るという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、簡単に設置、又は収納することが可能であるとともに、収納時の標識具全体の省スペース化を図ることが可能な標識具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る標識具は、周囲に注意を喚起する標識具を前提とする。
【0013】
当該標識具は、二等辺三角形の等辺に相当する2本の支持脚を上枠で連結し、底辺に対応する下枠を接地側とした外枠と、前記外枠の上枠中央に、底辺に対して垂直に設けられた貫通孔と、前記外枠の下枠中央に、前記貫通孔に対向し、上方に向かって所定高さ突出した支軸とを備える。又、当該標識具は、前記外枠の内側に符合する形状の内枠と、前記内枠の上枠中央に、前記貫通孔と対応し、上方に向かって開口する連結孔と、前記内枠の下端中央に、上下方向に対応し、前記支軸が摺動可能に挿通されるガイド孔とを備える。更に、当該標識具は、把手となる開口部を有する把持部と、前記把持部の下端に、前記外枠の貫通孔に挿通させて、前記内枠の連結孔と連結する回転軸とを備える。そして、当該標識具は、内枠を外枠に対して前記回転軸を中心に90度の角度を保って立設して使用するとともに、内枠を外枠と同一面にして収納する。
【0014】
当該構成により、内枠を回転させると、標識具の設置、又は収納を容易に行なうことが可能となるとともに、当該標識具の設置、又は収納に要する時間を短縮することが可能となる。又、内枠が外枠の内側に収納されるため、標識具を収納した場合、内枠が外枠の外側に嵩張ることが無く、内枠の厚さ分だけ省スペース化を図ることが可能となる。更に、標識具の構成が簡単であるため、従来のプラスチック用の標識具と同様に、コストパフォーマンスに優れ、簡単に量産することが可能である。そして、仮に、開脚した標識具が強風により倒れたとしても、標識具が閉脚した状態で倒れるため、強風によって更に遠くに飛ばされることを防止し、強風による標識具の紛失を防止することが可能となる。
【0015】
又、前記把持部の下端と前記外枠の上端との間に、地面から当該外枠の下枠までの間の距離に相当する余裕を設け、前記内枠を前記外枠の内側に収納した際に、当該外枠の下枠の上面から前記距離に相当する余裕の高さだけ上方に窪んだ嵌込凹部を設ける構成を採用することが出来る。
【0016】
当該構成により、外枠に対して内枠を開いたとき、内枠の2つの側縁部の下端、外枠の2本の支持脚の下端をそれぞれ地面に確実に設置することが可能となる。
【0017】
更に、前記内枠の内側に、重りを組み込むことが可能な重りボックスを備えた構成を採用することが出来る。
【0018】
当該構成により、当該重りボックスに、適当な形状の重りを当該重りボックスに組み込むことで、標識具全体として一定の重さを確保することが出来、標識具を安定して地面に設置することが可能となる。
【0019】
又、前記外枠の2本の支持脚は、先端がそれぞれ外側を向いて張り出して屈曲形成した略L字状とされ、前記内枠の2つの側縁部は、先端がそれぞれ外側を向いて張り出した足部を備える構成を採用することが出来る。
【0020】
当該構成により、外枠の2つの支持脚の略L字状の底辺、及び内枠の2つの側縁部の足部とが、地面に十分に当接し、当該当接面積が増えて、標識具を安定して立設させることが可能となる。
【0021】
又、前記内枠の側縁部の先端を、前記外枠の支持脚と交差する程度に張り出させ、当該側縁部の交差部に、コ字状に形成された凹部を備えるとともに、当該支持脚の交差部に、前記凹部に嵌合可能な、コ字状の凹部を備え、前記内枠を前記外枠と同一面にして収納した場合に、当該内枠の側縁部における凹部と当該外枠の支持脚における凹部とが相互に嵌まるように構成出来る。
【0022】
当該構成により、内枠を外枠の内側に収めた際に、前記内枠における凹部と前記外枠における凹部とを相互に嵌め合わせれば、内枠が外枠の内側に確実に固定される。そのため、何らかの原因により標識具が展開することを防止し、標識具を安全に収納、運搬することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る標識具によれば、簡単に設置、又は収納することが可能であるとともに、収納時の標識具全体の省スペース化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る標識具の収納状態を示す正面図(図1(a))と、本発明に係る標識具の収納状態を示す右側面図(図1(b))である。
【図2】本発明に係る標識具の収納状態を示す平面図(図2(a))と、本発明に係る標識具の収納状態を示す底面図((図2(b)))であり、本発明に係る複数の標識具を積み重ねた状態を示す平面図(図2(c))である。
【図3】本発明に係る標識具の設置前の第一状態を示す正面図(図3(a))と、本発明に係る標識具の設置前の第二状態を示す正面図(図3(b))である。
【図4】本発明に係る標識具の設置状態を示す正面図(図4(a))と、本発明に係る標識具の設置状態を示す右側面図(図4(b))である。
【図5】本発明に係る標識具の設置状態を示す平面図(図5(a))と、本発明に係る標識具の設置状態を示す底面図(図5(b))である。
【図6】本発明に係る標識具の設置状態を示す斜視図である。
【図7】回転軸と連結孔との関係を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る標識具に立体表示カバーを被せた状態を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る複数の標識具を相互に連結して使用した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、以下、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
<本発明に係る標識具>
図1(a)は、本発明に係る標識具の収納状態を示す正面図であり、図1(b)は、本発明に係る標識具の収納状態を示す右側面図である。図2(a)は、本発明に係る標識具の収納状態を示す平面図であり、図2(b)は、本発明に係る標識具の収納状態を示す底面図であり、図2(c)は、本発明に係る複数の標識具を積み重ねた状態を示す平面図である。尚、本発明に係る標識具の収納状態を示す背面図は、正面図と同一に表れ、本発明に係る標識具の収納状態を示す左側面図は、右側面図に対して左右対称に表れるため、省略する。
【0027】
2等辺三角形の等辺に相当する2本の支持脚23a、23bを、当該2等辺三角形の頂点付近に配設した上枠21で連結し、底辺付近を下枠24で連結して外枠2を構成する。当該外枠2は、前記底辺側が、後に説明する使用時の接地側となり、前記上枠21の中央には、底辺に対して垂直に貫通孔22が設けられている。更に、前記外枠2の下枠24の中央には、前記貫通孔22と同一軸線上に、上方に向かって所定の高さだけ突出した支軸25が設けられている。
【0028】
一方、前記外枠2とは別の2等辺三角形であり、当該外枠2の内側に符合する形状の内枠3を構成しておく。当該内枠3の頂点に相当する上枠31の中央に、前記外枠2の貫通孔22に対応し、上方に向かって開口する連結孔32を設け、当該2等辺三角形の等辺に相当する2本の側縁部33a、33b(左右の側縁部)の長さを、前記外枠2の上枠21の下面から当該外枠2の下枠24の上面に相当する長さとした構成とする。
【0029】
ここで、外枠2の支持脚23a、23bの接地面と下枠24の上面との間の距離(後に説明する足部を含む)をXとし、また、内枠3が外枠2の下枠24の上側に嵌りこんで、両者が面一になった状態を、「収納状態」(図1参照)とし、外枠2に対して内枠3が開いた状態を「使用状態」として、以下更に構成を説明する。
【0030】
前記内枠3の底辺に対応する下端中央には、前記収納状態で、外枠2の下枠の上面から前記距離Xに相当する余裕Zの高さだけ上方に窪んだ嵌合凹部34が設けられる。この嵌合凹部34の上部34a(図面上、上側)の幅Tは、前記下枠24の幅tと符合し、以下に説明する使用状態では、当該上部34aが下枠24に嵌り込むことになる(図6参照)。嵌合凹部34の前記上部34aの下側は、前期上部34aと同じ幅、もしくはそれより広い幅を持たせることで足りるが、全体に末広がりにしておくと以下に説明するように収納状態から使用状態への移行がスムーズになる。
【0031】
更に、当該嵌合凹部34の上面34bに、前記支軸25の軸芯に符合し、当該支軸25が摺動可能に挿通されるガイド孔35が設けられている。このガイド孔35の深さは、前記収納状態で、前記Xに相当する高さUだけ、当該ガイド孔35に嵌り込んだ支軸25の上面との間(ガイド孔35の上面と支軸25の上面との間)に余裕を持つ深さとなる。
【0032】
上記構成の標識具は、親指とそれ以外の4本の指で把持部4を握り込んで運搬、操作するようになっている。すなわち、把持部4は前記握り込みができる程度の大きさの方形の枠で構成される。当該把持部4の下端には回転軸42が固定され、当該回転軸42は前記外枠2の貫通孔22に摺動自在に挿通され、更に、その先端が、前記内枠3の連結孔32に固定される。この回転軸42は、前記収納状態で、外枠1の上枠21の上面と把持部4の下端との間に、前記Xに相当する高さYだけ、余裕を持たせた状態となっている。
【0033】
また、前記回転軸42の先端を、連結孔32に固定する方法は種々ある。図7に挙げた一例は、以下のようになっている。まず、回転軸42の先端を、2枝42aに分岐し、各枝に径方向の弾性を持たせるとととともに、当該分岐の先端に突起42bを設けておく。一方、前記突起42bに対応して、連結孔32内部から内枠3の幅方向両端に開く窓32aを設け、前記回転軸42を、前記弾性に抗して連結孔32に挿通し、突起42bが窓32aの位置まで挿入されたときに弾性で窓32aに嵌り込むことによって、当該回転軸42が連結孔32に固定されるようになっている。
【0034】
上記の基本的な構成に加えて、外枠2、内枠3の脚部の接地側が以下のように構成されている。
【0035】
外枠2の下枠24の両端には、先端がそれぞれ外側を向いて張り出した足部23a2、23b2が形成される。更に、内枠3の底部には、先端33a1、33b1が、それぞれ外枠2の支持脚23a、23bを越えて外側に張り出した足部33a2、33b2が形成される。これにより、外枠2の支持脚23a、23bと、前記内枠3の足部33a2、33b2が交差することになるが、当該交差部は、支持脚23a、23bと、足部33a2、33b2の双方に互いに嵌り込む凹部23a4、23b4、33a4、33b4が形成され、後に説明する収納時には、凹部23a4と凹部33a4、凹部23b4と凹部33b4が相互に嵌り込む(図6矢印参照)ことになって、収納時に外枠2と内枠3の面一が保たれるようになっている。
【0036】
<標識具の使用方法>
上記構成の標識具は、図1、図3に示すように、収納時には外枠2と内枠3が面一の状態となっている。
【0037】
上記の状態から、把持部4を持って全体を立てた状態で、内枠を足で蹴る(あるいは把持部4を手で回す)ことによって、内枠3は、回転軸42と支軸25を中心として回転し、外枠2から外れる。これによって、前記嵌合凹部34の内縁と上枠24の外縁とが滑り合って内枠3が自重で落下するとともに、更に回転する。内枠3が90度回転すると、嵌合凹部34の上部34aが外枠24に上から嵌りこんで外枠2と内枠3が直角に交差した状態を形成するとともに、前記した各余裕Z、U、YはXと同じになっているので、外枠2の足部23a2、23b2はもちろん、内枠3の足部33a2、33b2も接地することになり、安定した状態となる(図4、図5、図6)。
【0038】
前記したように嵌合凹部23を、例えば、八字状に末広がりにすると、前記自重での落下は、更にスムーズになる。
【0039】
この状態から、把持部4を持って内枠を前記余裕Y引き上げ、90度回転させるとともに、前記凹部23a4に凹部33a4を、また、凹部23b4を凹部33b4に嵌め込むと、全体が面一になって、前記収納状態を形成することになる(図1.図3)。
【0040】
尚、前記使用状態で、当該標識具1が強い風を受けたりして大きな力が加わったとき、その力の内枠3の面に平行な成分が、下枠24から内枠3の嵌合凹部34を外す方向に働く。嵌合凹部34が下枠24から外れると、当該標識具1は倒れることになるが、このときは必ず閉脚しているので、標識具1が閉脚した状態で倒れるため、風によって更に遠くに飛ばされる危険性は極めて少ないことになる。そのため、強風による標識具1の紛失を防止することが可能となる。
【0041】
<その他の構成>
内枠3の内側(2つの側縁部33a、33bで囲まれた内側の空間)には、鋳物や鉄板等の重りを収納することが可能な重りボックス6が設けられ、当該ボックス6の厚み方向の一方の面は固定の蓋が、他方の面は着脱可能な蓋7がはめ込まれている。
【0042】
これにより、必要に応じて、適当な形状と重さの重りを前記重りボックス6に組み込み、標識具1全体として一定の重さを確保することが出来、標識具1を安定して地面に設置(固定)することが出来るとともに、前記、収納時から使用時への内枠3の開脚動作に重りによる自重が加わり、よりスムーズが開脚が可能となる。
【0043】
収納状態の一方の側面の適当な複数箇所(図1上では、外枠2の上枠21の左側近傍、外枠2の右の支持脚23bの中央近傍、外枠2の左の支持脚23aと下枠24との交差部近傍)には、方形の凸部23a5、23b6、23a7が設けられる。又、当該凸部23a5、23b6、23a7の位置と左右対称の位置(図1上では、外枠2の上枠21の右側近傍、外枠2の左の支持脚23aの中央近傍、外枠2の右の支持脚23bと下枠24との交差部近傍)には、方形の凹部23b5、23a6、23b7が設けられる。更に、他方の側面(背面)には、前記凸部23a5、23b6、23a7に対応する位置に凹部が設けられるとともに、前記凹部23b5、23a6、23b7に対応する位置に凸部が設けられる。
【0044】
これにより、収納状態で複数の標識具1を相互に積み重ねるときに、図2(c)に示すように、下側の標識具1の凸部(凹部)に上側の標識具1の凸部が嵌り込みことになり、積み重ね状態が安定する。その結果、積み重ねた複数の標識具1を安全に搬送、収納することが可能となる。例えば、トラック等の搬送用自動車で、相互に積み重ねた複数の標識具1を搬送する場合に、当該搬送用自動車が激しく上下左右に振動したとしても、複数の標識具1が相互に固定されているから、積み重ねた複数の標識具1が離散して崩れることがない。
【0045】
又、把持部4の開口部41には、鉄パイプ、コーンバー等の棒状体、工事用のロープ、コーンチェーン等の綱状体を挿入することが可能である。又、前記開口部41には、下方に、前記棒状体、前記綱状体の周面の半周を取り囲むことが可能な部分円弧の溝部41aが設けられている。
【0046】
これにより、所定間隔毎に設置された複数の標識具1を棒状体(又は綱状体)で相互に連結する場合に、把持部4の開口部41に挿通された棒状体(綱状体)が、当該開口部41の溝部41aに収まり、当該溝部41aに固定される。そのため、風が棒状体(綱状体)に吹き付けたとしても、当該棒状体(綱状体)が激しく振動したり移動したりすることがなく、開口部41内の棒状体(綱状体)の移動に伴う標識具1の転倒を防止することが出来る。
【0047】
尚、コーンバーが、両端に、前記把持部4の周囲を取り囲むことが可能なフック部を備えている場合、当該フック部を当該把持部4に入れて、当該コーンバーで、複数の標識具1を相互に連結しても構わない。
【0048】
又、外枠2の下枠24には、支軸25と、下枠24と支持脚23a、23bとの交差部との間に、前記部分円弧の溝部24a、24bが、当該支軸25を中心として、左右対称にそれぞれ2つ設けられている。これにより、上述した把持部4の開口部41に設けられた溝部41aと同様に、下枠24の2つの溝部24a、24bに前記棒状体、前記綱状体を収めて、複数の標識具1を相互に連結することが可能となる。
【0049】
このように、本発明に係る標識具1は、二等辺三角形の等辺に相当する2本の支持脚23a、23bを上枠21で連結し、底辺に対応する下枠24を接地側とした外枠2と、前記外枠2の上枠21中央に、底辺に対して垂直に設けられた貫通孔22と、前記外枠2の下枠24中央に、前記貫通孔22に対向し、上方に向かって所定の高さ突出した支軸25と、前記外枠2の内側に符合する形状の内枠3と、前記内枠3の上枠21中央に、前記貫通孔22と対応し、上方に向かって開口する連結孔32と、前記内枠3の下端中央に、上下方向に対応し、前記支軸25が摺動可能に挿通されるガイド孔35と、把手となる開口部41を有する把持部4と、前記把持部4の下端に、前記外枠2の貫通孔22に挿通させて、前記内枠3の連結孔32と連結する回転軸42とを備え、内枠3を外枠2に対して前記回転軸42を中心に90度の角度を保って立設して使用するとともに、内枠3を外枠2と同一面にして収納する標識具1である。
【0050】
当該構成により、内枠3を回転させると、標識具1の設置、又は収納を容易に行なうことが可能となるとともに、当該標識具1の設置、又は収納に要する時間を短縮することが可能となる。又、内枠3が外枠2の内側に収納されるため、標識具1を収納した場合、内枠3が外枠2の外側に嵩張ることが無く、内枠3の厚さ分だけ省スペース化を図ることが可能となる。更に、標識具1の構成が簡単であるため、従来のプラスチック用の標識具と同様に、コストパフォーマンスに優れ、簡単に量産することが可能である。そして、仮に、開脚した標識具が強風により倒れたとしても、標識具が閉脚した状態で倒れるため、強風によって更に遠くに飛ばされることを防止し、強風による標識具の紛失を防止することが可能となる。
【0051】
尚、上述した実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。例えば、内枠3の2本の支持脚33a、33bは、棒状の形状であり、外枠2は、下枠24が無い実施形態であっても、上述した作用効果を発揮する。更に、外枠2の2本の支持脚23a、23b、内枠3の2本の支持脚33a、33bが、前記外枠2の貫通孔22の中心軸を介してそれぞれ左右非対称に設けられても、特に問題はない。
【0052】
又、本発明に係る標識具1では、発光部材を設けていないが、更に、周囲に注意を喚起する発光部材を、例えば、外枠2の2本の支持脚23a、23b、内枠3の2本の側縁部33a、33b、下枠24、把持部4、プレート板7等に適宜設けても構わない。発光部材の種類は、光を発する部材でも、光を反射する部材でも構わない。又、光を発する部材を設置する場合、当該発光部材の電源は、どのような電源でもよく、例えば、ボタン電池、乾電池、太陽電池等が適宜採用される。
【0053】
又、本発明に係る標識具1の外枠2の2本の支持脚23a、23b、内枠3の2つの側縁部33a、33bは、各軸の軸方向に伸縮可能なスライド構造(スライド方式)を採用しても構わない。当該構成とすると、更に、標識具1をコンパクトに収納することが出来、省スペース化を図ることが可能となる。
【0054】
又、本発明に係る標識具1の色彩は、どのような色彩でも構わないが、例えば、赤色、青色、緑色、オレンジ色、黄色等の注意を喚起する着色が好ましく適用される。
【0055】
又、本発明に係る標識具1の材料は、どのような材料でも構わないが、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、金属等の軽くて耐衝撃性を有する材料が好ましく適用される。
【0056】
又、本発明に係る標識具1では、外枠2、内枠3の正面視輪郭形状を略二等辺三角形状としているが、当該形状に限定されるものではなく、例えば、外枠2、内枠3の正面視輪郭形状を馬蹄形状、逆U字形状等に適宜変更しても構わない。
【0057】
又、本発明に係る標識具1では、図8に示すように、更に、従来から市販されている標識具の外表を覆う立体表示カバー(例えば、特開2008−138367号公報に示す立体標識)を被せて使用しても構わない。両者を組み合わせて使用すると、周囲への注意喚起をより一層確実なものとする。
【0058】
更に、本発明に係る標識具1では、前記立体表示カバーを被せた状態で、図9に示すように、鉄パイプ、コーンバー等の棒状体9を、標識具1の把持部4の開口部に挿通して、複数の標識具1を相互に連結して使用しても構わない。当該構成とすると、当該立体表示カバーが顕著に目立って、更に、周囲に注意を喚起することが可能となる。
【0059】
又、本発明に係る標識具1は、交通事故の検証現場、交通取締りの検問現場、工事現場等の屋外であっても、トイレ、廊下等の建物内の清掃現場、建物設停工事現場(建物内工事現場)、建物内の電源点検現場等の屋内であっても、周囲に注意を喚起するために使用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明に係る標識具は、交通事故の検証現場、交通取締りの検問現場、工事現場等の屋外でも、建物内の清掃現場、工事現場、点検現場等の屋内でも有効であり、簡単に設置、又は収納することが可能であるとともに、収納時の標識具全体の省スペース化を図ることが可能な標識具として有効である。
【符号の説明】
【0061】
1 標識具
2 外枠
3 内枠
4 把持部
6 重りボックス
7 プレート板
8 立体表示カバー
9 棒状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二等辺三角形の等辺に相当する2本の支持脚を上枠で連結し、底辺に対応する下枠を接地側とした外枠と、
前記外枠の上枠中央に、底辺に対して垂直に設けられた貫通孔と、
前記外枠の下枠中央に、前記貫通孔に対向し、上方に向かって所定高さ突出した支軸と、
前記外枠の内側に符合する形状の内枠と、
前記内枠の上枠中央に、前記貫通孔と対応し、上方に向かって開口する連結孔と、
前記内枠の下端中央に、上下方向に対応し、前記支軸が摺動可能に挿通されるガイド孔と、
把手となる開口部を有する把持部と、
前記把持部の下端に、前記外枠の貫通孔に挿通させて、前記内枠の連結孔と連結する回転軸と
を備え、
内枠を外枠に対して前記回転軸を中心に90度の角度を保って立設して使用するとともに、内枠を外枠と同一面にして収納する標識具。
【請求項2】
前記把持枠の下端と前記外枠の上端との間に、地面から当該外枠の下枠の上面までの間の距離に相当する余裕を設け、
前記内枠を前記外枠の内側に収納した際に、当該外枠の下枠の上面から前記距離に相当する余裕の高さだけ上方に窪んだ嵌込凹部を設ける
請求項1に記載の標識具。
【請求項3】
更に、前記内枠の内側に、重りを組み込むことが可能な重りボックスを備えた
請求項1又は2に記載の標識具。
【請求項4】
前記外枠の2本の支持脚は、先端がそれぞれ外側を向いて張り出して屈曲形成した略L字状とされ、
前記内枠の2つの側縁部は、先端がそれぞれ外側を向いて張り出した足部を備える
請求項1−3のいずれか一項に記載の標識具。
【請求項5】
前記内枠の側縁部の先端を、前記外枠の支持脚と交差する程度に張り出させ、当該側縁部の交差部に、コ字状に形成された凹部を備えるとともに、当該支持脚の交差部に、前記凹部に嵌合可能な、コ字状の凹部を備え、
前記内枠を前記外枠と同一面にして収納した場合に、当該内枠の側縁部における凹部と当該外枠の支持脚における凹部とが相互に嵌まるように構成した
請求項4に記載の標識具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−57420(P2012−57420A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203708(P2010−203708)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【特許番号】特許第4671370号(P4671370)
【特許公報発行日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.カラーコーン
【出願人】(510245348)株式会社ライフクリエ (1)
【出願人】(506398760)株式会社電電広告 (3)
【Fターム(参考)】