説明

樹脂成形体、絶縁電線、及び光ファイバケーブル

【課題】難燃性、耐候性、機械特性に優れ、昨今の環境問題に対応した難燃性樹脂組成物と成形物品を提供する。
【解決手段】 エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体から選ばれる少なくとも1種類の樹脂を主体とする熱可塑性樹脂(A)100質量部に対し、水酸化マグネシウム100〜250質量部含有する樹脂組成物(P)を成形してなる内層の外周に、 熱可塑性樹脂(B)100質量部に対して、リン酸塩化合物の組み合わせからなり、総量が20〜140質量部のリン酸塩化合物を含有する樹脂組成物(Q)からなる外層を被覆してなる樹脂成形体、絶縁電線及び光ファイバケーブル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械特性と柔軟性、耐熱性に優れ、しかも難燃性、耐候性に非常に優れた樹脂成形体と該樹脂成形体を被覆材とする配線材、光ファイバケーブルその他の成形部品に関するものである。
より詳しくは、本発明は、電気・電子機器の内部ないしは外部配線に使用される絶縁電線、電気ケーブル、電気コードや光ファイバ心線、光ファイバコードなどの被覆材として、または電源コード等のモールド材料、チューブ、シートとして好適な樹脂成形体およびそれを用いた配線材その他の成形部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気・電子機器の内部および外部配線に使用される絶縁電線・ケーブル・コードや光ファイバ心線、光ファイバコードなどには、難燃性、耐熱性、耐候性、機械特性(例えば、引張特性、耐摩耗性)など種々の特性が要求されている。
このため、これらの配線材に使用される被覆材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)コンパウンドや、分子中に臭素原子や塩素原子を含有するハロゲン系難燃剤を配合したポリオレフィンコンパウンドが主として使用されていた。
しかし、これらを適切な処理をせずに廃棄し、埋立てた場合には、被覆材料に配合されている可塑剤や重金属安定剤が溶出したり、また燃焼した場合には、被覆材料に含まれるハロゲン化合物から有害ガスが発生することがあり、近年、この問題が議論されている。
【0003】
このため、環境に影響をおよぼすことが懸念されている有害な可塑剤や重金属の溶出や、ハロゲン系ガスなどの発生の恐れがないノンハロゲン難燃材料で被覆した配線材の検討が行われている。
ノンハロゲン難燃材料は、ハロゲンを含有しない難燃剤を樹脂に配合することで難燃性を発現させており、例えばエチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体などのエチレン系共重合体に、難燃剤として水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を多量に配合した材料が配線材に使用されている。
【0004】
電気・電子機器の配線材に求められる難燃性、耐熱性、機械特性(例えば引張特性、耐摩耗性)などの規格は、UL、JISなどで規定されている。特に、難燃性に関しては、要求水準(その用途)などに応じてその試験方法が変わってくる。したがって実際は、少なくとも要求水準に応じた難燃性を有すればよい。例えば、UL1581(電線、ケーブルおよびフレキシブルコードのための関連規格(Reference Standard for Electrical Wires,Cables and Flexible Cords))に規定される垂直燃焼試験(Vertical Flame Test)(VW−1)や、JIS C 3005(ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法)に規定される水平試験や傾斜試験に合格する難燃性などがそれぞれ挙げられる。
【0005】
この中で、これまで、ノンハロゲン難燃材料に、VW−1や傾斜試験に合格するような高度の難燃性を付与する場合、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体などのエチレン系共重合体の樹脂成分100質量部に対して、難燃剤である金属水和物を150〜300質量部配合する必要があり、この結果として、被覆材料の引張特性や耐摩耗性などの機械特性が著しく低下するという問題があり、また材料自体が非常に硬く配線性にも大きな問題があった。この問題を解決するために、金属水和物の配合量を減少させ(例えば、樹脂100質量部に対して、難燃剤である金属水和物を120質量部程度)、赤リンを配合する方法がとられている。
ところで、現在、電気・電子機器に使用されているポリ塩化ビニルコンパウンドやハロゲン系難燃剤を配合したポリオレフィンコンパウンドを被覆材料とする配線材は、配線材の種類や接続部を区別することを目的として、電線・ケーブル・コードの表面に印刷をおこなったり、数種類の色に着色して使用されている。
【0006】
ところが、高度の難燃性と機械特性を両立させるために金属水和物と赤リンを配合したノンハロゲン被覆材料は、赤リンの発色のため、その上に印刷することやまたは任意の色に着色することができず、容易に種類や接続部を区別することができる配線材が得られないという問題がある(例えば、特許文献1〜3参照。)。
また水酸化マグネシウムを大量に配合すると、耐候性が著しく悪くなり例えば屋外や照明の当たる場所で使用すると力学的特性が大幅に低下してしまい、使用出来ないという問題があった。
【特許文献1】特開2000−129064公報
【特許文献2】特開2000−129049公報
【特許文献3】特開2001−60414公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決し、難燃性、耐候性、機械特性に優れ、かつ埋立、燃焼などの廃棄時においては、重金属化合物の溶出や、多量の煙、有害性ガスの発生がなく、昨今の環境問題に対応した樹脂成形体、絶縁電線及び光ファイバケーブルを提供することを目的とする。さらに本発明は、これらの特性を満足しながら、被覆材料の再溶融が可能なために再利用でき、折り曲げても白化することなく、また傷つきにくく、特に高度の難燃性及び柔軟性を併せ持った樹脂成形体およびそれを使用した絶縁電線及び光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、上記課題は下記の手段により達成された。
すなわち、本発明は、
(1) エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体から選ばれる少なくとも1種類の樹脂を主体とする熱可塑性樹脂(A)100質量部に対し、水酸化マグネシウム100〜250質量部含有する樹脂組成物(P)を成形してなる内層の外周に、
熱可塑性樹脂(B)100質量部に対して、リン酸塩化合物(p)として、
(p1)下記一般式(1)で表されるリン酸塩化合物
【0009】
【化1】

【0010】
【化2】

【0011】
又は、(p2)下記一般式(3)と下記一般式(4)でそれぞれ表されるリン酸塩化合物の組み合わせからなり、
【化3】

【0012】
【化4】

【0013】
総量が20〜140質量部のリン酸塩化合物(p)を含有する樹脂組成物(Q)からなる外層を被覆してなる樹脂成形体、
(2) 前記熱可塑性樹脂(A)中の(メタ)アクリル酸成分、(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分及び酢酸ビニル成分の含有量の総量が、前記熱可塑性樹脂(A)中の16〜50質量%であることを特徴とする(1)に記載の樹脂成形体、
(3) 前記樹脂組成物(P)が、前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、カーボンを10質量部以下含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の樹脂成形体、
(4) 前記熱可塑性組成物(B)が、ポリプロピレン樹脂及び/又はその変性樹脂を8〜40質量%含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の樹脂成形体、
【0014】
(5) 前記熱可塑性組成物(B)が、ポリプロピレン樹脂及び/又はその変性樹脂8〜40質量%、密度0.930g/cm以下のポリエチレン樹脂10〜92質量%及びスチレン系エラストマー0〜60質量%含有してなる樹脂100質量部に対し、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種類の樹脂0〜80質量部、及び不飽和カルボン酸誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂0〜20質量部を含有してなることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の樹脂成形体、
(6) 前記樹脂組成物(P)及び/又は(Q)が、前記熱可塑性樹脂(A)及び(B)100質量部に対して、メラミンシアヌレートを5〜120質量部含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の樹脂成形体、
(7) 導体の外周に前記樹脂組成物(P)を被覆し、さらにその外周に前記樹脂組成物(Q)を被覆してなる(1)〜(6)のいずれか1項に記載の樹脂成形体からなる絶縁電線、及び
(8) 光ファイバ素線ないしは光ファイバ心線の外周に前記樹脂組成物(P)を被覆し、さらにその外周に前記樹脂組成物(Q)を被覆してなる(1)〜(6)のいずれか1項に記載の樹脂成形体からなる光ファイバケーブル
を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の樹脂成形体は、水酸化マグネシウムを内層の樹脂組成物(P)に、リン酸塩化合物を外層の樹脂組成物(Q)に、それぞれ含有させることにより難燃性に優れる。
また、本発明の樹脂成形体は、内層の樹脂成分であるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする樹脂組成物(P)と水酸化マグネシウムとが複合化し、難燃性に優れる。
さらに、本発明の樹脂成形体は、リン酸塩化合物を外層に含有させることにより、金属水和物を含有する難燃層を外層とする従来の成形体と比較して格段に高い耐候性を有する。
特に、本発明の樹脂成形体は、内層にカーボンを含有させることにより耐光性に優れる。
本発明の絶縁電線及び光ファイバケーブルは、内層と外層とからなる二層被覆構造であって、内層と外層とが共に金属水和物を含有する従来の絶縁電線ないしは光ファイバケーブルと比較して格段に高い耐候性を有すると共に、高い難燃性を有する。
さらに、本発明の絶縁電線及び光ファイバケーブルは、内層と外層とからなる二層被覆構造であって、内層と外層とが共にリン酸塩化合物で難燃成分が形成されている従来の絶縁電線ないしは光ファイバケーブルと比較して、難燃性、耐水性に優れる。
本発明の絶縁電線及び光ファイバケーブルは、外層に着色を施すことにより、任意の色に着色可能な絶縁電線又は光ファイバケーブルを得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
まず、本発明の樹脂形成体を構成する各成分について説明する。
樹脂組成物(P)
本発明において、内層を構成する樹脂組成物(P)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、及びエチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体から選ばれる少なくとも1種類の樹脂(k)を主体とする熱可塑性樹脂(A)100質量部に対し、(L)水酸化マグネシウム100〜250質量部を含有してなる。
熱可塑性樹脂(A)
本発明において、熱可塑性樹脂成分(A)は、前記樹脂(k)を主体としてなる。
ここで、「主体」とは、前記樹脂(k)が熱可塑性樹脂(A)の樹脂成分100質量%中、50質量%以上であることをいい、60質量%以上であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。
本発明において、前記樹脂(k)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、及びエチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体など)から選択される少なくとも1種の樹脂が用いられる。
【0017】
なかでも、難燃性を向上させる観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いることが好ましい。
本発明において、(メタ)アクリル酸成分、(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分、酢酸ビニル成分の含有量の総量が、前記熱可塑性樹脂(A)中の16〜50質量%であることが好ましく、18〜40質量%であることがより好ましい。この範囲であると高い難燃性を有しつつ、優れた電気特性を有することが出来る。
さらに難燃性を向上させるためには、エチレン以外の共重合成分((メタ)アクリル酸成分、(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分、酢酸ビニル成分)の含有量が前記熱可塑性樹脂(A)中20〜40質量%であることがより好ましく、23〜40質量%であることがさらに好ましく、28質量%以上であることが特に好ましい。具体例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体の場合、例えば、酢酸ビニル(VA)成分の含有量が41質量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を前記熱可塑性樹脂(A)中に75質量%配合したものが挙げられる。
本発明において、前記熱可塑性樹脂(A)のMFRは流動性の面から0.3以上、かつ強度保持の面から35以下が好ましく、22〜34がより好ましい。
【0018】
前記熱可塑性樹脂(A)は、前記樹脂(k)の他に、アクリルゴム、ポリプロピレン、エチレン・α‐オレフィン共重合体、エチレン・α‐オレフィン系共重合体ゴム、スチレン系エラストマー、不飽和カルボン酸で変性された樹脂等を含有することができる。
【0019】
(L)水酸化マグネシウム
本発明において、前記樹脂組成物(P)は、水酸化マグネシウムを含有してなる。
本発明における水酸化マグネシウムの含有量は、前記熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対し100〜250質量部であり、120〜250質量部であることが好ましく、120〜230質量部であることがさらに好ましい。前記含有量が少なすぎると、難燃性に問題があり、多すぎると機械特性が著しく低下したり、耐光性や力学的強度が低下する問題がある。
本発明において、市販されている水酸化マグネシウムを使用することができる。
本発明において、水酸化マグネシウムは、無処理のままでも、表面処理を施されていてもよい。表面処理としては、例えば、脂肪酸処理、リン酸処理、チタネート処理、シランカップリング剤による処理などが挙げられる。本発明において、シランカップリング剤を用いたものを使用するのが好ましい。
【0020】
本発明におけるシランカップリング剤は末端にビニル基、メタクロキシ基、グリシジル基、アミノ基を有するものが好ましい。具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。中でもビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が好ましい。シランカップリング剤による表面処理の方法としては、通常使用される方法で処理を行うことが可能であるが、たとえば、表面処理をしていない水酸化マグネシウムをあらかじめドライブレンドしたり、湿式処理を行ったり、混練時にシランカップリング剤をブレンドすることなどにより得ることが可能である。使用するシランカップリング剤の含有量は、表面処理するに十分な量が適宜加えられるが、具体的には水酸化マグネシウムに対し0.1〜2.5質量%が好ましく、0.2〜1.8質量%がより好ましく、0.3〜1.0質量%がさらに好ましい。
【0021】
また、市販のすでにシランカップリング剤処理を施してある水酸化マグネシウムを用いてもよい。シランカップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウムとしては、具体的には、キスマ5L、キスマ5N、キスマ5P(いずれも商品名、協和化学(株)製)、マグニフィン5A(商品名、アルベマール社製)などが挙げられる。
無処理の水酸化マグネシウムとしては、たとえばキスマ5(商品名、協和化学社製)、マグニフィンH5(商品名、アルベマール社製)などが挙げられる。また脂肪酸処理された水酸化マグネシウムはキスマ5A、キスマ5B(商品名、協和化学社製)が挙げられる。
【0022】
本発明において、水酸化マグネシウムをシランカップリング剤で処理をする場合には、いずれか1種のシランカップリング剤のみでも、2種以上を併用してもよい。
本発明において、表面処理を行っていない水酸化マグネシウムと、表面処理を行った水酸化マグネシウムとをそれぞれ単独で使用しても、併用してもよい。異なる表面処理を行った水酸化マグネシウムを併用することも可能である。
【0023】
(t)カーボン
本発明において、高い耐候性を保持するために、内層となる前記樹脂組成物(P)は、カーボンを含有することが好ましい。前記カーボンの含有量は、前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して10質量部以下含有されることが好ましい。
特に、このカーボンの含有量は前記樹脂組成物(P)に対し、0.5質量%〜3質量%であることが好ましく、0.8質量%〜2.5質量%であることがより好ましい。この含有量が少なすぎると耐候性は著しく低下し、多すぎると力学的特性が低下する。
【0024】
樹脂組成物(Q)
本発明において、外層を構成する樹脂組成物(Q)は、熱可塑性樹脂(B)を含有してなる。
本発明において、前記熱可塑性樹脂(B)は、エチレン・α‐オレフィン共重合体、ポリプロピレン樹脂、スチレン系エラストマー、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及び不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有してなり、エチレン・α‐オレフィン共重合体及びポリプロピレン樹脂を少なくとも含有してなることが好ましい。
特に、前記熱可塑性樹脂(B)が、密度0.930g/cm以下のエチレン・α‐オレフィン共重合体10〜92質量%を含有していることがより好ましく、さらに、ポリプロピレン樹脂及び/又はその変性樹脂8〜40質量%を含有していることが特に好ましい。
より詳細には、前記熱可塑性樹脂(B)が、密度0.930g/cm以下のポリエチレン樹脂10〜92質量%、ポリプロピレン樹脂及び/又はその変性樹脂8〜40質量%及びスチレン系エラストマー0〜60質量%含有してなる樹脂100質量部に対し、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種類の樹脂0〜80質量部、及び不飽和カルボン酸誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂0〜20質量部を含有してなることが最も好ましい。
本発明において、前記熱可塑性樹脂(B)は、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、又はアクリルゴムを含有することができる。
【0025】
エチレン・α−オレフィン共重合体
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの共重合体が好ましく、α−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、1−オクテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられ、1−ブテン又は1−オクテンが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)、EBR(エチレン・ブタジエンゴム)、及びメタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体等が挙げられる。このなかでも、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.930g/cm以下が好ましく、さらに好ましくは0.880〜0.928g/cmである。この密度が高くなると、また、エチレン・α−オレフィン共重合体としては、メルトフローインデックス(ASTM D−1238)が0.5〜30g/10分のものが好ましい。
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒の存在下に合成されるものや通常の直鎖型低密度ポリエチレンや超低密度ポリエチレン等が挙げられる。
本発明において用いられるメタロセン触媒の存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体(c)としては、前記成形加工性を改良したものが好ましく、このようなものとしては、Dow Chemical社から、「AFFINITY」、「ENGAGE」(商品名)が、日本ポリケム社から、「カーネル」(商品名)、三井住友ポリオレフィン「エボリュー」(商品名)が上市されている。
本発明においてエチレン・α−オレフィン共重合体の含有量は、前記熱可塑性樹脂(B)100質量%中10〜92質量%であることが好ましく、15〜80質量%であることがより好ましい。
【0026】
ポリプロピレン樹脂及びその変性樹脂
本発明に用いるポリプロピレン樹脂としては、ホモポリプロピレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体や、プロピレンと他の少量のα−オレフィン(例えば1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等)との共重合体、プロピレンとエチレンプロピレンとの共重合体(TPO)が挙げられる。
ここでエチレン・プロピレンランダム共重合体はエチレン成分含量が1〜4質量%程度のものをいい、エチレン・プロピレンブロック共重合体はエチレン成分含量が5〜20質量%程度のものをいう。
前記「ポリプロピレン樹脂の変性樹脂」とは、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリプロピレン樹脂をいい、「不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリオレフィン樹脂」についての項で後述する。
ポリプロピレン樹脂及び/又はその変性樹脂の含有量は、前記熱可塑性樹脂(B)100質量%中8〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
【0027】
スチレン系エラストマー
本発明に用いるスチレン系エラストマーは、ビニル芳香族化合物をその構成成分の主体とした成分、共役ジエン化合物をその構成成分の主体とした成分のブロック又はランダム共重合体ないしはその水素添加物である。上記共重合体ないしはその水素添加物(以下、水添共重合体とする)は、ビニル芳香族化合物を5〜70質量%含むものが好ましく、10〜60質量%含むものがより好ましい。
前記水添共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
上記水添共重合体の具体例としては、SBS(スチレン・ブタジエンブロックコポリマー)、SIS(スチレン・イソプレンブロックコポリマー)、SEBS(水素化SBS)、SEEPS、SEPS(水素化SIS)、HSBR(スチレン・ブタジエンランダムコポリマー)等を挙げることができる。
前記スチレン系エラストマーの含有量は、前記熱可塑性樹脂(B)100質量%中0〜60質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましい。
【0028】
非芳香族系ゴム用軟化剤
スチレン系エラストマーと併用して非芳香族系の鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤を用いることができる。
ゴム用として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系とよび、ナフテン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。
本発明に用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤は上記区分でパラフィン系およびナフテン系のものである。芳香族系の軟化剤は、その使用により前記スチレン系エラストマーが可溶となり、架橋反応を阻害し、得られる組成物の物性の向上が図れないので好ましくない。
前記非芳香族系ゴム用軟化剤としては、パラフィン系のものが好ましく、更にパラフィン系の中でも芳香族環成分の少ないものが特に好ましい。
【0029】
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
前記樹脂(k)として前述したものと好ましい範囲、具体例とも同様である。
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(例えばエチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体など)から選ばれる少なくとも1種類の樹脂のMFRは流動性の面から0.3以上、強度保持の面から30以下が好ましい。
前記エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種類の樹脂の含有量は、前記熱可塑性樹脂(B)100質量%中0〜80質量%であることが好ましく、0〜60質量%であることがより好ましい。
【0030】
不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリオレフィン樹脂
不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されるポリオレフィン樹脂としては、前述の、ポリプロピレン樹脂、エチレン・α−オレフィン共重合体、スチレン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
本発明において、「不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリオレフィン樹脂」とは、これらの樹脂を不飽和カルボン酸ないしはその誘導体(以下、これらを併せて不飽和カルボン酸等という。)で変性した樹脂のことをいう。
変性に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられ、不飽和カルボン酸の誘導体としては、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、無水マレイン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、無水フマル酸などを挙げることができる。ポリオレフィンの変性は、例えば、ポリオレフィンと不飽和カルボン酸等を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うことができる。マレイン酸による変性量は特に制限ないが、0.1〜7質量%であることが好ましい。
この不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリオレフィン樹脂を含有させることにより、得られる樹脂組成物の伸びを大きくすると共に強度を保持する効果がある。
特に前記不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリオレフィン樹脂の中でも不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリプロピレン樹脂が好ましい。不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリプロピレンを含有させることにより、力学的強度の増大のみならず、高い難燃性が得られる。
【0031】
エチレン・プロピレン共重合体ゴム
本発明において、熱可塑性樹脂(B)に使用されるエチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPM)はエチレンとプロピレンとからなるゴム状共重合体である。ここで、「エチレン・プロピレン共重合体ゴム」とは、エチレン成分含量が、40〜75質量%のものをいう。エチレン、プロピレン以外の第三成分として不飽和基を有する繰返し単位を重合体にもたせたエチレン−プロピレンターポリマー(EPDM)も知られているが、本発明においては二重結合をもたないEPMを用いるのが好ましい。EPDMを用いた場合は、本発明の目的である優れた柔軟性と伸びが損なわれるためである。EPMは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
エチレン・プロピレン共重合体ゴムのムーニー粘度、ML1+4(100℃)は好ましくは10〜120、より好ましくは40〜100である。ムーニー粘度が10未満の場合は、得られるエラストマー組成物のゴム弾性が劣ることがある。また120を越えたものを用いると成形加工性が悪くなることがあり、特に成形品の外観が悪化する。
【0032】
リン酸塩化合物(p)
本発明において、前記熱可塑性樹脂組成物(Q)は、前記熱可塑性樹脂(B)100質量部に対して、リン酸塩化合物(p)を20〜140質量部含有してなる。
前記リン酸塩化合物(p)は、(p1)前記一般式(1)で表されるリン酸塩化合物、又は(p2)前記一般式(3)と前記一般式(4)でそれぞれ表されるリン酸塩化合物の組み合わせからなる。
本発明で用いられる前記一般式(1)で表されるリン酸塩化合物としては、ジアミン化合物と前記一般式(2)で表されるトリアジン化合物又はNH基(N基)を有する化合物とポリリン酸ないしはピロリン酸とからなるリン酸アミン塩等が挙げられる。
【0033】
前記ポリリン酸としては、前記一般式(1)においてnは3〜100の整数である限り特に制限はないが、nが3〜50であることが好ましく、nが、3〜20であることがより好ましい。
本発明で用いるジアミン化合物としては、一般式[RN(CH]で表されるポリメチレンジアミンである。このR、R、R、Rはそれぞれ水素もしくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であり、R、R、R、Rは同一の基であっても異なっていてもよく、mは1〜10の整数である。このアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、第1〜第3ブチル基、ペンチル基、オクチル基等が好ましく、mは、1〜8が好ましい。
また、ジアミン化合物として、本発明では下記の一般式(5)で表されるピペラジン環をもつ化合物が用いられる。この一般式(5)のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が好ましい。
上記ジアミン化合物の具体的な例としては、N,N,N',N'−テトラメチルジアミノメタン、エチレンジジアミン、N,N'−ジメチルエチレンジアミン、N,N'−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−ジエチルエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノへプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9ージアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、ピペラジン、trans−2,5−ジメチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン等が挙げられる。
【0034】
【化5】

【0035】
また、本発明に用いるリン酸塩化合物を構成するのに用いるトリアジン化合物は、前記一般式(2)で表されるものである。
このトリアジン化合物の具体的な例としては、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アクリルグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ノニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ハイドロキシ−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジハイドロキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−エトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−プロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
一般式(1)に含まれる具体的な化合物としては、例えば、ピロリン酸メラミンピペラジン等が挙げられる。
また、上記一般式(3)で表されるリン酸塩化合物は、ポリリン酸、ピロリン酸等のリン酸とジアミン化合物とからなる塩であり、ジアミン化合物としては前記したと同じものを挙げることができ、両者を常法により任意の反応比率で反応させて得ることが出来る。ポリリン酸の好ましい例、nの好ましい範囲、及びジアミン化合物の好ましい例はいずれも一般式(1)の場合と同様である。
また、上記一般式(4)で表されるリン酸塩化合物は、ポリリン酸、ピロリン酸等のリン酸とトリアジン化合物とからなる塩である。
ポリリン酸の好ましい例、nの好ましい範囲、及びトリアジン化合物の好ましい例はいずれも一般式(1)の場合と同様である。
このリン酸塩化合物は、前記一般式(2)で表されるトリアジン化合物またはNH基を有する化合物と(ポリ又はピロ)リン酸とを常法により任意の反応比率で反応させて得ることができる。
例えば、ピペラジン塩酸塩とピロリン酸ナトリウムを水溶液中で反応させ、難溶性のピロリン酸ピペラジン塩が得られる。オルトリン酸ピペラジン塩、ポリリン酸ピペラジン塩等も同様の方法で得ることができる。
本発明において、前記リン酸塩成分(p)は、特に難燃性の観点から、(p2)前記一般式(3)と前記一般式(4)でそれぞれ表されるリン酸塩化合物の組み合わせからなることが好ましい。前記(p2)の物質としては、例えば、アデカスタブFP2100J、FP2200J(ADECA(株)製)の市販の商品がある。
【0036】
本発明で使用する前記リン酸塩化合物の平均粒径は10μm以下が好ましく、7μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。
ここで、前記平均粒径は、粉体をマイクロトラック粒度分布計により、アルコール下に浮遊させて測定した値である。
本発明において、前記リン酸塩化合物(p)の含有量は熱可塑性樹脂(B)100質量部に対し、30〜120質量部であることが好ましく、40〜120質量部であることがさらに好ましい。このリン酸塩化合物(p)が少ないと難燃性が著しく低下し、また多すぎると力学的強度が大幅に低下したり、伸びが著しく低下する。
【0037】
このリン酸塩化合物(p)は内層に使用されているエチレン系共重合体と水酸化マグネシウムとの混和物との相互作用により高い難燃性を付与することが可能となる。リン酸塩化合物と水酸化マグネシウムを難燃剤として混合して使用すると、互いに悪影響を及ぼしむしろ混合しない場合より難燃性は低下する。ところが本発明の如く別の層に前記リン酸塩化合物と水酸化マグネシウムを加えると相乗効果により高い難燃性を得ることが出来る。
前記リン酸塩化合物は熱老化や紫外線が当たると体積固有抵抗が著しく低下し、電線としての絶縁抵抗が大幅に低下してしまう。
本発明において、内層には、リン酸塩化合物を含有せず、さらに水酸化マグネシウムがリン酸塩の分解物をトラップするため、絶縁物が長期熱老化を受けても大きな体積固有抵抗の低下は見られない。
【0038】
本発明において、メラミンシアヌレートは樹脂組成物(P)及び/又は(Q)中に含有させることができ、前記熱可塑性樹脂(A)及び(B)100質量部に対し0〜120質量部含有させることができ、0〜90質量部含有させることが好ましい。
本発明において、前記樹脂組成物(P)又は(Q)には、必要に応じホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛およびヒドロキシスズ酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有させることができ、これにより、難燃性をさらに向上させることができる。これらの化合物を用いることにより、燃焼時の殻形成の速度が増大し、殻形成がより強固になる。従って、燃焼時に内部よりガスを発生する前記メラミンシアヌレートとともに、難燃性を飛躍的に向上させることができ、高度の難燃性を付与することができるようになる。
本発明で用いるホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛は平均粒径が5μm以下が好ましく、3μm以下がさらに好ましい。ここで、前記平均粒径は、リン酸塩化合物の平均粒径について前述した手順と同様に測定できる。
本発明で用いられるホウ酸亜鉛として、具体的には例えば、アルカネックスFRC−500(2ZnO/3B・3.5HO)、FRC−600(いずれも商品名、水澤化学社製)などが挙げられる。また、スズ酸亜鉛(ZnSnO)、ヒドロキシスズ酸亜鉛(ZnSn(OH))として、アルカネックスZS、アルカネックスZHS(いずれも商品名、水澤化学社製)などが挙げられる。
本発明においてホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛またはヒドロキシスズ酸亜鉛の含有量は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して2〜20質量部が好ましく、3〜20質量部であることがより好ましい。その量が少なすぎると難燃性向上の効果が発現せず、多すぎると力学的強度、特に伸びが低下し、電線としたときの外観が悪くなる。
【0039】
本発明において、前記樹脂組成物(P)又は(Q)には、必要に応じ難燃性を向上させるため金属酸化物、シリカ、シリコーン化合物を含有させることが出来る。金属酸化物としては酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ等が挙げられる。シリコ−ン化合物としてはシリコーンゴム、シリコーンガム、シリコーンオイル等があげられる。
これらの物質を含有させることにより、リン酸塩との相互作用により難燃性を向上させることが出来る。本発明においてこれらの含有量は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して2〜20質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。その量が少なすぎると難燃性向上の効果が発現せず、多すぎると力学的強度や特に伸び、外観などに支障をきたす。
本発明において、前記樹脂組成物(P)又は(Q)には、必要に応じ炭酸カルシウムを含有させることが出来る。炭酸カルシウムを含有させることにより、難燃性維持に大きな効果がある。特に本発明の如く内部絶縁層に水酸化マグネシウムを使用した材料を用いる際には、炭酸カルシウムを用いることにより難燃性が向上する。
本発明に用いる炭酸カルシウムの含有量は熱可塑性樹脂(A)及び(B)100質量部に対し5〜70質量部が好ましく、10〜60質量部がより好ましい。
【0040】
本発明において、前記樹脂組成物(P)又は(Q)には、電線、ケーブル、コード、チューブ、電線部品、シート等において、一般的に使用されている各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、難燃(助)剤、充填剤、滑剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜含有させることができる。
前記酸化防止剤としては、4,4'−ジオクチル・ジフェニルアミン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物などのアミン系酸化防止剤、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンヅイミダゾールおよびその亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤などが挙げられる。
金属不活性剤としては、N,N'−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、2,2'−オキサミドビス−(エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などが挙げられる。
【0041】
さらに難燃(助)剤、充填剤としては、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボンなどが挙げられる。
特に、シリコーンゴム、シリコーンオイルなどのシリコーン化合物は、難燃性を付与、向上させるだけでなく、電線・コードにおいては、絶縁体(前記難燃性樹脂組成物を含んでなる被覆層)と導体の密着力の制御をおこなったり、ケーブルにおいては、滑性を付与することで、外傷を低減させる効果がある。このような本発明で用いられるシリコーン化合物の具体例としては、「SFR−100」(商品名、GE社製)、「CF−9150」(商品名、東レ・ダウシリコーン社製)などの市販品が挙げられる。
本発明において、シリコーン化合物を含有させる場合、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜5質量部含有させることが好ましい。0.5質量部より少ないと難燃性や滑性に対して実質的に効果がなく、5質量部を越えると電線・コード・ケーブルの外観が低下したり、押出成形速度が低下し量産性が悪くなる場合がある。
前記滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん系などが挙げられる。
【0042】
本発明において、前記樹脂組成物(P)又は(Q)には、本発明の目的を損なわない範囲で前記添加物や他の樹脂を含有させることができるが、前記樹脂組成物(P)は、少なくとも前記熱可塑性樹脂(A)を主樹脂成分とし、前記樹脂組成物(Q)は、前記熱可塑性樹脂(B)を主樹脂成分とする。
ここで、「主樹脂成分」とは、前記樹脂組成物(P)の樹脂成分中、70質量%以上を前記熱可塑性樹脂(A)が占めることをいい、前記熱可塑性樹脂(A)が85質量%以上占めることが好ましく、樹脂成分の全量を前記熱可塑性樹脂(A)が占めることがさらに好ましい。
前記樹脂組成物(Q)と熱可塑性樹脂(B)との関係における主樹脂成分についても同様である。
【0043】
以下、前記樹脂組成物(P)又は(Q)の製造方法を説明する。
熱可塑性樹脂(A)、水酸化マグネシウム、さらに必要に応じて前記した添加剤や他の樹脂を加え、加熱混練する。混練温度は、好ましくは160〜240℃であり、混練温度や混練時間等の混練条件は、樹脂成分が溶融する温度で適宜設定できる。混練方法としては、ゴム、プラスチックなどで通常用いられる方法であれば満足に使用でき、装置としては例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサーあるいは各種のニーダーなどが用いられる。この工程により、各成分が均一に分散された難燃性樹脂組成物を得ることができる。
同様に熱可塑性樹脂成分(B)、リン酸塩化合物(p)及び添加剤等を加え、加熱混練する。
【0044】
また、本発明は、これまでに述べた樹脂組成物(P)又は(Q)を電気・電子機器の内部および外部配線に使用される配線材である導体や光ファイバ素線、光ファイバ心線などの配線材の樹脂成形体である。
絶縁電線、光コードは特に制限はないが、押出被覆により、導体、光ファイバやその他の熱可塑性樹脂で被覆された絶縁電線、ケーブル、光ファイバ、光ファイバコード等の外周に形成した少なくとも1層の前記樹脂組成物(P)からなる被覆層の外側に少なくとも1層の前記樹脂組成物(Q)の被覆を行うことにより得られる。例えば、導体としては軟銅の単線又は撚線などの任意のものを用いることができる。また、導体としては裸線の他に、錫メッキしたものやエナメル被覆絶縁層を有するものを用いてもよい。
この樹脂組成物(P)、(Q)の押し出し成形は、同時に行っても良いし、1層ずつ又は数層ずつ行っても良い。
本発明の配線材等の樹脂成形体は、前記樹脂組成物(P)又は(Q)を、汎用の押出被覆装置を用いて、導体周囲や絶縁電線周囲に押出被覆することにより製造することができる。このときの押出被覆装置の温度は、シリンダー部で約180℃、クロスヘッド部で約200℃程度にすることが好ましい。
本発明の配線材等の樹脂成形体においては、導体の周りに形成される絶縁層(前記樹脂組成物(P)又は(Q)からなる被覆層)の肉厚は特に限定しないが通常0.15mm〜5mm程度である。
【0045】
また、本発明の配線材等の樹脂成形体においては、前記樹脂組成物(P)又は(Q)を押出被覆してそのまま被覆層を形成することが好ましいが、さらに耐熱性を向上させることを目的として、押出後の被覆層を架橋させることも可能である。
架橋を行う場合の方法として、常法による電子線照射架橋法や化学架橋法が採用できる。
電子線架橋法の場合は、前記樹脂組成物(P)又は(Q)を押出成形して被覆層とした後に常法により電子線を照射することにより架橋をおこなう。電子線の線量は1〜30Mradが適当であり、効率よく架橋をおこなうために、被覆層を構成する前記樹脂組成物(P)又は(Q)に、トリメチロールプロパントリアクリレートなどのメタクリレート系化合物、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物などの多官能性化合物を架橋助剤として含有させてもよい。
化学架橋法の場合は、前記樹脂組成物(P)又は(Q)に有機パーオキサイドを架橋剤として含有させ、押出成形して被覆層とした後に常法により加熱処理により架橋をおこなう。
本発明の光ファイバケーブルは、光ファイバ素線、光ファイバ心線または導体等の周りに熱可塑性樹脂を被覆した配線材を汎用の押出被覆装置を使用して、前記樹脂組成物を被覆層として、または抗張力繊維を縦添えもしくは撚り合わせ、周囲に押出被覆することにより、製造される。このときの押出被覆装置の温度は、シリンダー部で180℃、クロスヘッド部で約200℃程度にすることが好ましい。
なお、本発明の光ファイバケーブルは、前記樹脂組成物(P)又は(Q)を被覆層として、導体、光ファイバ素線または心線の外周に被覆されたものすべてを包含し、特にその構造を制限するものではない。被覆層の厚さ、光ファイバ心線に縦添えまたは撚り合わせる抗張力繊維の種類、量などは、電線ケーブル又は光ファイバケーブルの種類、用途などによって異なり、適宜に設定することができる。
【0046】
図1及び2に、本発明の光ファイバケーブルの構造例を示す。
図1は、複数の抗張力繊維2を縦添えした1本の光ファイバ心線1の外周に被覆層3を形成した本発明の光ファイバケーブルの一実施例の断面図である。
図2は、2本の光ファイバ心線1および1の外周にそれぞれ複数の抗張力繊維2を縦添えし、さらにその外周に被覆層4を形成した本発明の光ファイバケーブル(光ファイバ2心ケーブル)の一実施例の断面図である。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、数字は特に記載がない場合、質量部を示す。
[実施例1〜7、比較例1〜4]
表2に実施例および表3に比較例の樹脂組成物の各成分の含有量(表中の数字は、断りのない限り質量部である)を示す。表2、3に示す各成分を室温25℃にてドライブレンドし、バンバリーミキサーを用いて160〜190℃で溶融混練して、各樹脂組成物を製造した。
【0048】
表中に示す各成分材料は以下の通りである。
(a)スチレン系エラストマー
種類:SEPS
商品名:セプトン4077製造元:クラレ社
(スチレン成分含有量:30質量%、イソプレン成分含有量:70%、
重量平均分子量:320,000、水素添加率:90%以上)

種類:HSBR
商品名:ダイナロン1320P 製造元:JSR社
(スチレン成分含有量:12質量%、水素添加率:90%以上)
(b)ゴム用軟化剤
種類:パラフィンオイル
商品名:ダイアナプロセスオイルPW−90 製造元:シェル社
(重量平均分子量:540、芳香族成分含有量:0.1%以下)
(c)ポリプロピレン樹脂
種類:ブロックポリプロピレン
商品名:PB222A 製造元:サンアロマー社
種類:ブロックポリプロピレン
商品名:PB170A 製造元:サンアロマー社
【0049】
(d−1)メタロセン触媒ポリエチレン(密度:898kg/m
商品名:KF360 製造元:日本ポリエチレン社
(d−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体
商品名:エバフレックス EV180 製造元:三井デュポンポリケミカル社
酢酸ビニル含有量:33質量%
商品名:YX−21K 製造元:東ソー社
酢酸ビニル含有量:41質量%
(d−3)エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
種類:エチレン−アクリル酸エチル共重合体
商品名:エバフレックス−EEA A−714 製造元:三井デュポンポリケミカル社
アクリル酸エチル含有量:25質量%
(d−4)エチレンプロピレン共重合体ゴム
商品名:EP−07P 製造元:JSR社
(エチレン含有量73質量%)
(e)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン
種類:アクリル酸変性ポリプロピレン
商品名:ポリボンドP−1002 製造元:クロンプトン社
アクリル酸変性量:7質量%
種類:アクリル酸変性スチレン系エラストマー
商品名:クレイトン1901FG 製造元:JSRクレイトン社
アクリル酸変性量:6質量%
種類:マレイン酸変性ポリエチレン
商品名:アドマーXE070 製造元:三井化学社
【0050】
(p)リン酸塩化合物
種類:リン酸塩1)
商品名:FP−2100J 製造元:旭電化社
【0051】
【表1】

【0052】
次に、電線製造用の押出被覆装置を用いて、予め溶融混練した各樹脂組成物を次の各導体上に押出し法により被覆して、各々絶縁電線を製造した。
導体(導体径1.14mmφの錫メッキ軟銅撚線,構成:30本/0.18mmφ)上に被覆して、各熱可塑性樹脂組成物(A)を2.34mm、被覆層の肉厚0.6mmとした。その外側に各熱可塑性樹脂組成物(B)を肉厚0.2mmで被覆し、外径を2.74mmとした。
【0053】
製造した樹脂組成物被覆の絶縁電線に対して、下記の評価を行った。得られた実施例1〜7の評価結果を表2に、比較例1〜4の評価結果を表3に示す。
(1)機械特性
UL1571に準拠し、上記電線より管状片を作成し引張試験を行った。表線間25mm、引張速度50mm/分で試験を行った。伸び100%以上、引張り強さ10MPa以上が必要である。
(2)耐候性
管状片をサンシャインウエザロメータ(ブラックパネル温度63℃、120分/18分降雨)に3000時間投入し、引張り強さ、伸びを測定した。引張強さの残率は50%以上、伸びの絶対値は80%以上が必要である。
(3)加熱老化試験
管状片を136℃168hr保持し、引張り強さ、伸びを測定した。引張強さの残率は70%以上、伸びの残率は65%以上が必要である。
【0054】
(4)難燃性(垂直難燃性試験)
各絶縁電線について、UL1581の Vertical Flame Test を行った。サンプルはN=5行い、全数を「合格」、それ以外を「不合格」とした。
(5)加熱変形性
加熱変形性はJIS C 3005に準拠して行った。温度は120℃、荷重5Nで行った。40%以下でなければならない。
【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
表2、3から明らかなように、樹脂組成物(P)中水酸化マグネシウムの含有量が少なすぎる比較例1の絶縁電線は難燃性に劣り、水酸化マグネシウムの含有量が多すぎる比較例2の絶縁電線は、耐候性に劣っている。樹脂組成物(Q)中リン酸塩化合物量が多すぎる比較例3は、機械特性、耐候性、耐加熱老化性いずれも満足できるものではなく、リン酸塩化合物の代わりに水酸化マグネシウムを用いた比較例4は難燃性に劣っている。
これに対し、実施例1〜7の難燃性樹脂組成物を用いた絶縁電線はいずれも、機械特性、耐候性、耐加熱老化性、難燃性、耐加熱変形性に優れたものであった。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の光ファイバケーブルの一例の断面図である。
【図2】本発明の光ファイバケーブルの他の例の断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 光ファイバ心線
2 抗張力繊維
3 被覆層
4 被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体から選ばれる少なくとも1種類の樹脂を主体とする熱可塑性樹脂(A)100質量部に対し、水酸化マグネシウム100〜250質量部含有する樹脂組成物(P)を成形してなる内層の外周に、
熱可塑性樹脂(B)100質量部に対して、リン酸塩化合物(p)として、
(p1)下記一般式(1)で表されるリン酸塩化合物
【化1】

【化2】

又は、(p2)下記一般式(3)と下記一般式(4)でそれぞれ表されるリン酸塩化合物の組み合わせからなり、
【化3】

【化4】

総量が20〜140質量部のリン酸塩化合物(p)を含有する樹脂組成物(Q)からなる外層を被覆してなる樹脂成形体。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂(A)中の(メタ)アクリル酸成分、(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分及び酢酸ビニル成分の含有量の総量が、前記熱可塑性樹脂(A)中の16〜50質量%であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
【請求項3】
前記樹脂組成物(P)が、前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、カーボンを10質量部以下含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂成形体。
【請求項4】
前記熱可塑性組成物(B)が、ポリプロピレン樹脂及び/又はその変性樹脂を8〜40質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
【請求項5】
前記熱可塑性組成物(B)が、ポリプロピレン樹脂及び/又はその変性樹脂8〜40質量%、密度0.930g/cm以下のポリエチレン樹脂10〜92質量%及びスチレン系エラストマー0〜60質量%含有してなる樹脂100質量部に対し、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種類の樹脂0〜80質量部、及び不飽和カルボン酸誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂0〜20質量部を含有してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
【請求項6】
前記樹脂組成物(P)及び/又は(Q)が、前記熱可塑性樹脂(A)及び(B)100質量部に対して、メラミンシアヌレートを5〜120質量部含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
【請求項7】
導体の外周に前記樹脂組成物(P)を被覆し、さらにその外周に前記樹脂組成物(Q)を被覆してなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂成形体からなる絶縁電線。
【請求項8】
光ファイバ素線ないしは光ファイバ心線の外周に前記樹脂組成物(P)を被覆し、さらにその外周に前記樹脂組成物(Q)を被覆してなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂成形体からなる光ファイバケーブル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−94922(P2008−94922A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276865(P2006−276865)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】