説明

樹脂成形品の成形方法及び成形装置

【課題】ソリッド樹脂でなる表層部で覆われた内部の発泡樹脂の発泡の程度を高め、また一次中空成形体で構成される前記表層部の部分的な剛性低下を回避して、外観性、軽量性、剛性に優れた樹脂成形品の提供を課題とする。
【解決手段】樹脂成形品の成形方法は、ソリッド樹脂でパリソンPを成形する工程と、成形したパリソンPを成形型で挟み内部に気体を吹き込んで所定形状に賦形する工程と、得られた中空成形体を成形型内に残した状態で溶融状態の発泡性樹脂を中空成形体内に射出する工程と、射出後、成形型を所定量開きつつ発泡性樹脂を発泡させて該樹脂を中空成形体内に充填する工程とを含む。充填工程において成形型を所定量開くことにより中空成形体が延伸される部分X,Yを、パリソPの成形工程において、予め他の部分よりも厚肉化しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品の成形方法及び成形装置に関し、樹脂成形の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂成形品を自動車部品に用いることがあり、特に、外観性、軽量性、剛性の観点から、内部が発泡樹脂からなり、表層部がソリッド樹脂(非発泡樹脂)からなる樹脂成形品を、例えば自動車の内外装部材に使用することがある。この点、特許文献1には、発泡層を有する中空成形体の内部に熱可塑性樹脂発泡体片を充填して、該発泡体片をスチーム等の加熱媒体により加熱して該発泡体片を相互に融着させることにより表皮付発泡成形体を得ることが開示されている。
【特許文献1】特開2004−284149(段落0025)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記技術は、既に発泡済みの樹脂片同士を加熱融着させることにより、中空成形体の表皮で覆われた発泡成形体を得るものであるため、加熱融着時に気泡が潰れて、発泡の程度が低下し、その結果、軽量性や剛性の点で十分満足のいくものが得られない、という問題がある。また、表層部が発泡層を有するものであるため、表層部に気泡が現れて、外観性の点でも十分満足のいくものが得られない、という問題もある。
【0004】
一方、一次中空成形体の良好な成形性を確保し、かつ最終成形品の良好な外観性や剛性を確保するためには、一次中空成形体をブロー成形にて成形しておき、この一次中空成形体の内部に発泡性樹脂を射出して、その発泡時に成形型を所定量開く(コアバックする)ことが考えられる。しかし、その場合、成形型のコアバックによって、一次中空成形体が部分的に延伸され、その被延伸部分が薄肉化して剛性が低下する、という問題が発生する。
【0005】
本発明は、ソリッド樹脂からなる表層部で覆われた内部の発泡樹脂の発泡の程度を十分高め、また一次中空成形体で構成される前記表層部の部分的な剛性低下を回避して、外観性、軽量性、剛性に優れた樹脂成形品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、内部が発泡樹脂からなり表層部がソリッド樹脂からなる樹脂成形品の成形方法であって、前記ソリッド樹脂でパリソンを成形するパリソン成形工程と、成形したパリソンを成形型で挟み内部に気体を吹き込んで所定形状に賦形する賦形工程と、得られた中空成形体を前記成形型内に残した状態で、溶融状態の発泡性樹脂を前記中空成形体内に射出する射出工程と、射出後、前記成形型を所定量開きつつ前記発泡性樹脂を発泡させて該樹脂を前記中空成形体内に充填する充填工程とを含み、前記充填工程において前記成形型を所定量開くことにより前記中空成形体が延伸される部分を、前記パリソン成形工程において、予め他の部分よりも厚肉化しておくことを特徴とする。
【0007】
次に、本願の請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の樹脂成形品の成形方法であって、前記成形型の一方は、型締め時に前記成形型の他方の外周合せ面と対接する外周型と、この外周型に対し、前記成形型の他方に近接する方向又は前記成形型の他方から離反する方向に相対移動自在の内部型とを有するものであり、前記賦形工程及び前記射出工程では、前記内部型を前記成形型の他方に近接する方向に移動させた状態で、前記成形型を型締めし、前記充填工程では、前記成形型を型締めした状態で、前記内部型を前記成形型の他方から離反する方向に移動させると共に、前記パリソン成形工程では、前記充填工程で前記外周型と前記内部型との境界に位置するパリソンの部分を厚肉化することを特徴とする。
【0008】
次に、本願の請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は2に記載の樹脂成形品の成形方法であって、前記パリソン成形工程において、前記中空成形体が延伸される部分を、予め他の部分よりもソリッド樹脂によって厚肉化しておくことを特徴とする。
【0009】
次に、本願の請求項4に記載の発明は、前記請求項1又は2に記載の樹脂成形品の成形方法であって、前記パリソン成形工程において、前記中空成形体が延伸される部分を、該部分のパリソン層内に溶融状態の発泡性樹脂を介在させ、発泡させることによって、予め他の部分よりも厚肉化しておくことを特徴とする。
【0010】
次に、本願の請求項5に記載の発明は、前記請求項3に記載の樹脂成形品の成形方法であって、厚肉化するためのソリッド樹脂中の基材樹脂として、パリソンの他の部分を成形するソリッド樹脂中の基材樹脂と同種の樹脂を用いることを特徴とする。
【0011】
次に、本願の請求項6に記載の発明は、前記請求項4に記載の樹脂成形品の成形方法であって、厚肉化するための発泡性樹脂中の基材樹脂として、パリソンの他の部分を成形するソリッド樹脂中の基材樹脂と同種の樹脂を用いることを特徴とする。
【0012】
次に、本願の請求項7に記載の発明は、前記請求項1から6のいずれかに記載の樹脂成形品の成形方法であって、前記射出工程では、補強繊維を含有する発泡性樹脂を射出することを特徴とする。
【0013】
次に、本願の請求項8に記載の発明は、前記請求項1から7のいずれかに記載の樹脂成形品の成形方法であって、前記射出工程では、物理発泡剤を含有する発泡性樹脂を射出することを特徴とする。
【0014】
次に、本願の請求項9に記載の発明は、前記請求項8に記載の樹脂成形品の成形方法であって、前記射出工程では、前記物理発泡剤として超臨界状態の流体を含有する発泡性樹脂を射出することを特徴とする。
【0015】
一方、本願の請求項10に記載の発明は、内部が発泡樹脂からなり表層部がソリッド樹脂からなる樹脂成形品の成形装置であって、前記ソリッド樹脂でパリソンを成形するパリソン成形手段と、このパリソン成形手段で成形されたパリソンを間に挟む成形型と、この成形型で挟まれたパリソンの内部に気体を吹き込んで所定形状に賦形する賦形手段と、この賦形手段により得られた前記成形型内の中空成形体内に溶融状態の発泡性樹脂を射出する射出手段と、この射出手段による発泡性樹脂の射出の後、前記成形型を所定量開きつつ前記発泡性樹脂を発泡させて該樹脂を前記中空成形体内に充填する充填手段と、この充填手段により前記成形型が所定量開くことにより前記中空成形体が延伸される部分を、前記パリソン成形手段によるパリソン成形時に、予め他の部分よりも厚肉化しておく厚肉化手段とを備えていることを特徴とする。
【0016】
次に、本願の請求項11に記載の発明は、前記請求項10に記載の樹脂成形品の成形装置であって、前記成形型の一方は、型締め時に前記成形型の他方の外周合せ面と対接する外周型と、この外周型に対し、前記成形型の他方に近接する方向又は前記成形型の他方から離反する方向に相対移動自在の内部型とを有するものであり、前記成形型は、前記賦形手段による賦形時及び前記射出手段による射出時には、前記内部型が前記成形型の他方に近接する方向に移動した状態で、型締め状態となり、前記成形型は、前記充填手段による充填時には、前記型締め状態で、前記内部型が前記成形型の他方から離反する方向に移動すると共に、前記厚肉化手段は、前記充填手段による充填時に前記外周型と前記内部型との境界に位置するパリソンの部分を厚肉化することを特徴とする。
【0017】
次に、本願の請求項12に記載の発明は、前記請求項10又は11に記載の樹脂成形品の成形装置であって、前記厚肉化手段は、前記中空成形体が延伸される部分を、予め他の部分よりもソリッド樹脂によって厚肉化しておくことを特徴とする。
【0018】
次に、本願の請求項13に記載の発明は、前記請求項10又は11に記載の樹脂成形品の成形装置であって、前記厚肉化手段は、前記中空成形体が延伸される部分を、該部分のパリソン層内に溶融状態の発泡性樹脂を介在させ、発泡させることによって、予め他の部分よりも厚肉化しておくことを特徴とする。
【0019】
次に、本願の請求項14に記載の発明は、前記請求項12に記載の樹脂成形品の成形装置であって、前記厚肉化手段は、厚肉化するためのソリッド樹脂中の基材樹脂として、パリソンの他の部分を成形するソリッド樹脂中の基材樹脂と同種の樹脂を用いることを特徴とする。
【0020】
次に、本願の請求項15に記載の発明は、前記請求項13に記載の樹脂成形品の成形装置であって、前記厚肉化手段は、厚肉化するための発泡性樹脂中の基材樹脂として、パリソンの他の部分を成形するソリッド樹脂中の基材樹脂と同種の樹脂を用いることを特徴とする。
【0021】
次に、本願の請求項16に記載の発明は、前記請求項11から15のいずれかに記載の樹脂成形品の成形装置であって、前記射出手段は、物理発泡剤を含有する発泡性樹脂を射出することを特徴とする。
【0022】
次に、本願の請求項17に記載の発明は、前記請求項16に記載の樹脂成形品の成形装置であって、前記射出手段は、前記物理発泡剤として超臨界状態の流体を含有する発泡性樹脂を射出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
まず、請求項1又は請求項10に記載の発明によれば、一次中空成形体の良好な成形性を確保し、かつ最終成形品の良好な外観性や剛性を確保するために、ソリッド樹脂で成形したパリソンを成形型で挟み内部に気体を吹き込んで所定形状に賦形して得られた中空成形体を成形型内に残した状態で溶融状態の発泡性樹脂を中空成形体内に射出し、その後に、成形型を所定量開きつつ発泡性樹脂を発泡させて該樹脂を中空成形体内に充填するようにしたから、発泡樹脂の発泡が十分促進され、軽量性や剛性の向上が図られる。さらに、表層部をソリッド樹脂(非発泡樹脂)で構成したから、表層部に気泡が現れず、外観性の向上も図られる。
【0024】
しかも、成形型を所定量開く(コアバックする)ことにより中空成形体が延伸され薄肉化する部分(中空成形体の被延伸部分、薄肉化部分)を予め他の部分よりも厚肉化しておくようにしたから、たとえ中空成形体で構成される表層部が部分的に延伸されても、その被延伸部分の薄肉化ひいては剛性低下を簡便かつ有効に防止できる。よって、ソリッド樹脂からなる表層部で覆われた内部の発泡樹脂の発泡の程度を十分高め、かつ表層部の部分的な薄肉化ひいては剛性低下も回避して、外観性、軽量性、剛性に優れた樹脂成形品を容易かつ確実に得ることができる。
【0025】
次に、請求項2又は請求項11に記載の発明によれば、成形型の一方は、型締め時に成形型の他方の外周合せ面と対接する外周型と、この外周型に対し、成形型の他方に近接する方向又は成形型の他方から離反する方向に相対移動自在の内部型とを有するものであり、パリソンの賦形時及び発泡性樹脂の射出時は、前記内部型を成形型の他方に近接する方向に移動させた状態で成形型を型締めし、発泡性樹脂の発泡・充填時には、成形型を型締めした状態で前記内部型を成形型の他方から離反する方向に移動させるようにしたから、成形型の構造やその駆動機構等を複雑化することなく、簡単な構成にて成形型を所定量開く(コアバックする)ことが可能となる。
【0026】
しかも、前記外周型と前記内部型との境界に位置するパリソンの部分を厚肉化するようにしたから、パリソンの適正な部分(中空成形体の被延伸部分、薄肉化部分)を狙って確実に厚肉化することができ、もって表層部の部分的な薄肉化ひいては剛性低下をより有効に防止することが可能となる。
【0027】
その場合に、請求項3又は請求項12に記載の発明によれば、前記中空成形体が延伸される部分を、剛性が比較的大きいソリッド樹脂によって厚肉化しておくようにしたから、前記部分の延伸後の剛性低下をより一層有効に防止できることになる。
【0028】
一方、請求項4又は請求項13に記載の発明によれば、前記中空成形体が延伸される部分を、該部分のパリソン層内に溶融状態の発泡性樹脂を介在させ、発泡させることによって厚肉化しておくようにしたから、該部分がコアバック時に延び易くなり、該部分と隣接する他の部分(非厚肉化部分)との境目(厚みが大きく変化する部分:応力が集中し易い)が切断することなく該部分が良好に延伸されて、コアバックする成形型への中空成形体の追従性が低下しない。また、延伸後は、該部分は、パリソン層内に発泡樹脂が充填された閉断面構造となるので、高い剛性が確保される。
【0029】
次に、請求項5又は請求項14に記載の発明によれば、厚肉化するためのソリッド樹脂中の基材樹脂と、パリソンの他の部分を成形するソリッド樹脂中の基材樹脂とを同じ種類としたから、成形方法又は成形装置の構成が簡略化する。また、両樹脂同士のなじみ性も低下せず、両樹脂間の層間剥離等の問題が抑制される。
【0030】
一方、請求項6又は請求項15に記載の発明によれば、厚肉化するための発泡性樹脂中の基材樹脂と、パリソンの他の部分を成形するソリッド樹脂中の基材樹脂とを同じ種類としたから、成形方法又は成形装置の構成が簡略化する。また、両樹脂同士のなじみ性も低下せず、両樹脂間の層間剥離等の問題が抑制される。
【0031】
次に、請求項7に記載の発明によれば、発泡性樹脂の射出時は、補強繊維を含有する発泡性樹脂を射出するようにしたから、成形型を所定量開く際の補強繊維のスプリングバック現象により、発泡樹脂の発泡をより一層促進させることが可能となる。
【0032】
次に、請求項8又は請求項16に記載の発明によれば、発泡性樹脂の射出時は、物理発泡剤を含有する発泡性樹脂を射出するようにしたから、物理発泡剤の効果により、成形品内部の発泡セル径を小さな径に揃えることができ、樹脂成形品の剛性をより一層向上させることが可能となる。
【0033】
次に、請求項9又は請求項17に記載の発明によれば、発泡性樹脂の射出時は、超臨界状態の流体を含有する発泡性樹脂を射出するようにしたから、超臨界状態の流体の機能により、成形品内部の発泡セル径をより微細な径に揃えることができ、樹脂成形品の剛性をなお一層向上させることが可能となる。以下、発明の最良の実施形態を通して本発明をさらに詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
<第1の実施の形態>
図1は、本実施形態に係るパリソンPの押出成形装置(パリソン成形手段)1の構成を示す縦断面図である。この装置1のアキュムレータヘッド2は、シリンダ3とリングピストン4と中子5とを有している。リングピストン4の下方に樹脂貯留室6が形成されている。この樹脂貯留室6は、上部の環状連通路7を経由して、パリソンPの原料となるソリッド樹脂N(図5参照)の押出機8に接続されている。
【0035】
シリンダ3の下端部にダイ9が備えられている。中子5の下端部にコアサポート10が備えられている。コアサポート10にはコア11が上下動自在に嵌合されている。ダイ9とコア11との間に環状のダイスリット12が形成されている。ダイスリット12は前記樹脂貯留室6に連通している。パリソンPはこのダイスリット12からチューブ状に押し出されて垂下する。
【0036】
コア11は、コア駆動用ロッド13を介してコア駆動用油圧シリンダ(厚肉化手段)14により上下動される。これにより、ダイスリット12の間隔、つまりダイスリット12から押し出されて垂下するパリソンPの半径方向の厚さが調整される。
【0037】
リングピストン4は、リングピストン駆動用ロッド15を介してリングピストン駆動用油圧シリンダ16により上下動される。これにより、樹脂貯留室6内の樹脂をダイスリット12側へ圧送するアキュムレータが構成されている。
【0038】
図2は、図1のII−II線断面図である。コア11の外周面には、所定の間隔で、2本の凹溝(厚肉化手段)21,21が上下に延びて設けられている。これにより、図3に示すように、チューブ状に垂下するパリソンPには、前記凹溝21,21と同じ間隔で、他の部分よりも半径方向の厚さが大きい2本の縦厚肉化部Y,Yが上下に延びて形成される。また、このパリソンPには、同じく他の部分よりも半径方向の厚さが大きい周方向に延びる環状の横厚肉化部X,Xも形成されている。この横厚肉化部Xは、前記コア11の上下動によるダイスリット12の間隔調整によって形成される。
【0039】
ここで、これらの横厚肉化部X,X及び縦厚肉化部Y,Yは、後述する成形型31における第2成形型33の外周型34と内部型35との境界に位置するように形成されている(例えば図6等参照)。そして、図3に斜線で囲んだ領域Sは、後述する第2成形型33の内部型35に当接するコアバック当接面である。
【0040】
図4は、本実施形態に係る射出成形装置30の構成を示す縦断面図である。この射出成形装置30は成形型31を有している。成形型31は第1成形型32と第2成形型33とを含む。第1成形型32には、成形品の内部の原料となる発泡樹脂M(図5参照)の射出機(射出手段)40が接続されている。また、第1成形型32には、成形型31で挟んだパリソンPの内部に気体を吹き込むための中空のブローピン(賦形手段)41が進退自在に具備されている。ここで、第1成形型32には、樹脂射出機40の射出口40aを開閉するブロック体43が内蔵されている。このブロック体43は適宜のアクチュエータ(例えば電磁弁)42により上下動する。図例はブロック体43が上位置に移動されて射出口40aを閉じている状態を示している。そして、ブロック体43の内側の面は、第1成形型32に形成された凹穴44に臨んでいる。
【0041】
一方、成形型31の第2成形型33は、型締め時に第1成形型32の外周合せ面と対接する外周型34と、この外周型34に対し、第1成形型32に近接する方向又は第1成形型32から離反する方向に相対移動自在の内部型35とを備えている。
【0042】
次に、本実施形態に係る樹脂成形品Aの成形方法を説明する。ここで、本実施形態に係る樹脂成形品Aは、例えば自動車の内外装部材に使用されるもので、図5に示すように、内部が発泡樹脂M(発泡した後の樹脂のことである。なお、発泡前の樹脂(発泡性樹脂)には符号M’を用いる(図8及び図9参照)。)からなり、表層部がソリッド樹脂Nからなる。まず、前記図1及び図2に示した押出成形装置1にて、溶融状態のチューブ状のパリソンPをソリッド樹脂Nを原料に成形する(図3参照:パリソン成形工程)。
【0043】
次いで、図6に示すように、成形したパリソンPを成形型31で挟む。つまり、第1成形型32と第2成形型33とを型締めする。次いで、同じく図6に示すように、成形型31で挟んだパリソンPの内部に気体を吹き込んで所定形状に賦形する(賦形工程)。
【0044】
ここで、ブローピン41が矢印aで示すようにキャビティ内に進出し、パリソンPの内部に気体(典型的にはエア)を吹き込む。膨らんだパリソンPの一部は、第1成形型32に形成された凹穴44に入り込み、薄く引き延ばされる。前述したように、パリソンの厚肉化部X,X及びY,Yは(図には横厚肉化部X,Xのみ図示)、成形型31における第2成形型33の外周型34と内部型35との境界に位置している。そして、パリソンPのコアバック当接面Sは、第2成形型33の内部型35に当接している。
【0045】
次いで、図7に示すように、前記アクチュエータ42を作動してブロック体43を矢印bで示すように下位置に移動させる。これにより、第1成形型32に形成された凹穴44に入り込み、薄く引き延ばされていたパリソンPの一部がさらに薄肉となって破裂し、中空成形体の内部に、樹脂射出機40の射出口40aを介して発泡性樹脂Mを射出するための穴が生成する。
【0046】
次いで、図8に示すように、得られた中空成形体を成形型31の内部に残した状態で、溶融状態の発泡性樹脂M’を中空成形体の内部に射出する(射出工程)。このとき、溶融状態の発泡性樹脂M’は、樹脂射出機40から、射出口40aと、凹穴44と、中空成形体の一部が破裂して生成した穴とを経由して、中空成形体の内部に射出される。なお、この段階で、ブローピン41が矢印cで示すようにキャビティから退避している。
【0047】
次いで、図9に示すように、溶融状態の発泡性樹脂M’の射出後に、成形型31を所定量開きつつ発泡性樹脂M’を発泡させて該樹脂M’を中空成形体の内部に充填させる(充填工程)。すなわち、図6〜図8では、第2成形型33の内部型35を第1成形型32に近接する方向に移動させた状態で成形型31を型締めしていたが、図9では、成形型31を型締めした状態で(つまり第1成形型32と第2成形型33の外周型34とは対接した状態で)、内部型35だけを第1成形型32から離反する方向(矢印e)に所定量移動(コアバック)させるのである(図示しないが、このように成形型31をコアバックさせる機器が特許請求の範囲における「充填手段」に相当する)。このコアバックをすることにより、成形品の厚みが大きくなり、比重が小さくなる他、発泡樹脂Mの発泡が促進されて、成形品内部に微細な気泡が均一に分散される。これにより、成形品の剛性が向上し、軽量化が図られる。
【0048】
また、このコアバックにより、中空成形体における第2成形型33の外周型34と内部型35との境界に位置する部分が延伸される。しかし、この延伸される部分は、前述したように、パリソンPの成形工程において、予め他の部分よりも厚肉化されている(厚肉化部X,Y:図3参照)。その結果、図9に示したように、厚肉化部X,Yが引き延ばされて(図には延伸した横厚肉化部X’,X’のみ図示)、ソリッド樹脂Nからなる中空成形体で構成される表層部が均一な厚みになる。つまり、コアバックにより中空成形体の一部分が延伸されても、表層部が部分的に薄肉化することがなく、樹脂成形品Aの表層部の剛性低下が回避される。さらに、表層部をソリッド樹脂(非発泡樹脂)Nで構成したから、表層部に気泡が現れず、最終的に得られる樹脂成形品Aの外観性の向上も図られる。
【0049】
なお、この発泡性樹脂M’の充填時、図9に矢印dで示すように、退避状態の中空のブローピン41を介して中空成形体内のエア抜きを行っている。
【0050】
また、樹脂射出機40及び射出口40aないし凹穴44は、第1成形型32の中央部に配置されている。その結果、図8及び図9に示したように、発泡性樹脂M’の射出は、成形型31の正面部から行われることになる。これにより、射出された発泡性樹脂M’のキャビティ内での流動距離が平均化し、発泡樹脂Mが中空成形体の内部で均一に充填されるようになる。
【0051】
以上により、図5に示すように、内部が発泡樹脂Mからなり、表層部がソリッド樹脂Nからなる樹脂成形品Aが最終的に成形される。
【0052】
このように、本実施形態においては、一次中空成形体の良好な成形性を確保し、かつ最終成形品Aの良好な外観性や剛性を確保するために、ソリッド樹脂Nで成形したパリソンP(図3参照)を成形型31で挟み内部に気体を吹き込んで所定形状に賦形して得られた中空成形体(図6、図7参照)を成形型31内に残した状態で溶融状態の発泡性樹脂M’を中空成形体内に射出し(図8参照)、その後に、成形型31を所定量開きつつ(コアバックしつつ)発泡性樹脂M’を発泡させて該樹脂M’を中空成形体内に充填するようにしたから(図9参照)、発泡性樹脂M’の発泡が十分促進され、軽量性や剛性の向上が図られる。しかも、成形型31を所定量開くことにより中空成形体が延伸される部分を予め他の部分よりも厚肉化しておくようにしたから(厚肉化部X,Y)、中空成形体で構成される表層部が部分的に薄肉化して剛性が低下するのを有効に防止できる。さらに、表層部をソリッド樹脂(非発泡樹脂)Nで構成したから、表層部に気泡が現れず、外観性の向上も図られる。よって、ソリッド樹脂Nからなる表層部で覆われた内部の発泡樹脂Mの発泡の程度を十分高め、かつ表層部の部分的な薄肉化も防止して、外観性、軽量性、剛性に優れた樹脂成形品Aを容易かつ確実に得ることができる。[請求項1に相当する構成]
【0053】
また、成形型31の一方(第2成形型33)は、型締め時に成形型31の他方(第1成形型32)の外周合せ面と対接する外周型34と、この外周型34に対し、第1成形型32に近接する方向又は第1成形型32から離反する方向に相対移動自在の内部型35とを有するものであり、パリソンPの賦形時(図6、図7参照)及び発泡性樹脂M’の射出時(図8参照)は、前記内部型35を第1成形型32に近接する方向に移動させた状態で成形型31を型締めし、発泡性樹脂M’の発泡・充填時には(図9参照)、成形型31を型締めした状態で前記内部型35を第1成形型32から離反する方向(矢印e)に移動させるようにしたから、成形型31の構造やその駆動機構等を複雑化することなく、簡単な構成にて成形型31を所定量開く(コアバックする)ことが可能となる。しかも、前記外周型34と前記内部型35との境界に位置するパリソンPの部分を厚肉化するようにしたから(厚肉化部X,Y:例えば図6等参照)、パリソンPの適正な部分を厚肉化することができ、もって表層部の部分的な薄肉化をより有効に防止することが可能となる。[請求項2に相当する構成]
【0054】
ここで、発泡性樹脂M’に、例えばガラスファイバ等の補強繊維を含有しておくことが好ましい。成形型31をコアバックする際に、補強繊維のスプリングバック現象が起き、これにより、発泡樹脂Mの発泡がより一層促進される。[請求項7に相当する構成]
【0055】
また、発泡性樹脂M’は、物理発泡剤を含有することが好ましい。物理発泡剤の効果により、成形品Aの内部の発泡セル径を小さな径に揃えることができ、樹脂成形品Aの剛性がより一層向上する。[請求項8に相当する構成]
【0056】
また、その場合に、物理発泡剤としては、超臨界状態の流体を用いることが好ましい。超臨界状態の流体の機能により、成形品Aの内部の発泡セル径をより微細な径に揃えることができ、樹脂成形品Aの剛性がなお一層向上する。[請求項9に相当する構成]
【0057】
ここで、超臨界状態の流体とは、気体と液体とが共存できる限界の温度(臨界温度)及び圧力(臨界圧力)を超えた状態にある流体のことで、前記臨界温度は、例えば二酸化炭素で31℃、窒素でマイナス147℃であり、前記臨界圧力は、例えば二酸化炭素で7.4MPa、窒素で3.4MPaである。超臨界状態にある流体は、密度が液体に近似し、流動性が気体に類似する。その結果、溶融樹脂中を活発に移動して、樹脂分子の奥深くまで均一に拡散・浸透し、微細発泡の種になり得る。
【0058】
パリソンPの原料であるソリッド樹脂N及び成形品内部の原料である発泡性樹脂Mは、それぞれ熱可塑性樹脂が良好に用いられ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂、ナイロン樹脂等が好適である。
【0059】
なお、前記図4、図6〜図9には、本来ならば、コアバック当接面Sと反対側の第1成形型32の側にも、パリソンPの横厚肉化部X,Xが現れるが、その側の厚肉化部は本発明の特徴ではないので、図示は省略した。
【0060】
<第2の実施の形態>
図10は、本発明の第2の実施形態に係るパリソンPの押出成形装置(パリソン成形手段)1の特徴的部分の構成を示す縦断面図である。以下、第1の実施形態と同じ又は類似の部材には同じ符号を用い、詳しい説明は省略し、この第2実施形態の特徴的部分のみ説明する。この第2実施形態に係る押出成形装置1は、中心部のロッド13ないし中子5の側から外周側に向けて、第1、第2、第3の3つの環状連通路7a,7b,7cが設けられている。そして、それに応じて、第1、第2、第3の3つの樹脂貯留室6a,6b,6c及び第1、第2、第3の3つのリングピストン4a,4b,4cが備えられている。
【0061】
第1環状連通路7a及び第3環状連通路7cには、共に同じ原料供給源から溶融状態のソリッド樹脂が供給され、第2環状連通路7bには、異なる原料供給源から溶融状態の発泡性樹脂が供給される。各リングピストン4a,4b,4cは個別に駆動可能であり、第1樹脂貯留室6a及び第3樹脂貯留室6cからは、ソリッド樹脂が常にダイスリット12側へ送り出されるが、第2樹脂貯留室6bからは、横厚肉化部Xを形成するときだけ発泡性樹脂がダイスリット12側へ送り出される。なお、リングピストン4a,4b,4cに代えて、樹脂貯留室6a〜6cからダイスリット12に至る樹脂通路を開閉する開閉弁を用いることもできる。
【0062】
その結果、図11に示すように、パリソン成形工程において、前記中空成形体が延伸される部分を、該部分のパリソンP層内に溶融状態の発泡性樹脂を介在させ、発泡させることによって、予め他の部分よりも厚肉化しておくことができる。[請求項4に相当する構成]
【0063】
つまり、円筒状のパリソンPの内周面には周方向に延びる横厚肉化部Xが形成される。横厚肉化部Xは、第1環状連通路7aから供給されたソリッド樹脂の層と、第3環状連通路7cから供給されたソリッド樹脂の層との間に、第2環状連通路7bから供給された発泡性樹脂が部分的に介在されることにより、厚肉化された構成である。
【0064】
したがって、図12に示すように、成形したパリソンPを成形型31で挟んだときには、つまり、第1成形型32と第2成形型33とを型締めしたときには、パリソンPの厚肉化部Xは、成形型31における第2成形型33の外周型34と内部型35との境界に位置する。そして、図13に示すように、内部型35を矢印e方向にコアバックさせたときには、中空成形体における第2成形型33の外周型34と内部型35との境界に位置するパリソンPの部分が延伸される(延伸した厚肉化部X’)。しかし、この延伸される部分は、予め他の部分よりも厚肉化されている(厚肉化部X)ので、図13に示したように、厚肉化部Xが引き延ばされて(図には延伸した厚肉化部X’を図示)、ソリッド樹脂Nからなる中空成形体で構成される表層部が均一な厚みになる。
【0065】
しかも、その場合、前記中空成形体が延伸される部分を、該部分のパリソンP層内に溶融状態の発泡性樹脂を介在させ、発泡させることによって厚肉化しておくようにしたから、該部分がコアバック時に延び易くなり、該部分と隣接する他の部分(非厚肉化部分)との境目(厚みが大きく変化する部分:応力が集中し易い)が切断することなく該部分が良好に延伸されて、コアバックする成形型(内部型35)への中空成形体の追従性が低下しない。また、延伸後は、図13に示したように、該部分は、パリソンP層内に発泡樹脂が充填された閉断面構造となるので、高い剛性が確保される。
【0066】
ここで、厚肉化するための発泡性樹脂中の基材樹脂と、パリソンPの他の部分を成形するソリッド樹脂中の基材樹脂とを同じ種類とすると、本実施形態に係る成形方法又は成形装置の構成が簡略化する。また、両樹脂同士のなじみ性も低下せず、両樹脂間の層間剥離等の問題が抑制される。[請求項6に相当する構成]
【0067】
なお、以上は、図10に示した押出成形装置1により、横厚肉化部Xを形成する場合を説明したが、これに準じて、同様の構成の縦厚肉化部を同時にパリソンPに形成することができる。
【0068】
また、厚肉化部を円筒状のパリソンPの内周面に突出するように形成し、パリソンPの外周面が成形型に密着するようにするには、パリソンPの外側のソリッド樹脂の層(図10の第3環状連通路7cから供給されるソリッド樹脂の層)を厚くし、パリソンPの内側のソリッド樹脂の層(同、第1環状連通路7aから供給されるソリッド樹脂の層)を薄くすることによって、達成される(図11の円内拡大図参照)。
【0069】
また、以上に代えて、図10の第2環状連通路7bからも溶融状態のソリッド樹脂を供給してもよい。その結果、パリソン成形工程において、前記中空成形体が延伸される部分を、予め他の部分よりもソリッド樹脂によって厚肉化しておくことができる。[請求項3に相当する構成]
【0070】
その場合は、中空成形体が延伸される部分の延伸後の剛性低下を、発泡性樹脂を用いたときと比べて、より一層有効に防止できることになる。
【0071】
ここで、厚肉化するためのソリッド樹脂中の基材樹脂と、パリソンPの他の部分を成形するソリッド樹脂中の基材樹脂とを同じ種類とすると、本実施形態に係る成形方法又は成形装置の構成が簡略化する。また、両樹脂同士のなじみ性も低下せず、両樹脂間の層間剥離等の問題が抑制される。[請求項5に相当する構成]
【0072】
なお、前記実施形態は、本発明の最良の実施形態ではあるが、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の修正や変更を施してよいことはいうまでもない。
【0073】
例えば、中空成形体の内部に発泡性樹脂M’を射出するための穴を中空成形体に形成する別の方法を図14及び図15に示す(前述と同じ又は類似の部材には同じ符号を用いる)。図14は、第1成形型32の凹穴44の周囲に突起部32aを立ち上がらせて、中空成形体の一部を蛇行させて薄肉にし(図14(a)の状態)、さらに、ブロック体43を矢印fで示すように引くことにより(図14(b)の状態)、中空成形体の一部をより確実に破裂させて、生成した穴や射出口40a等を介して中空成形体の内部に発泡性樹脂M’を射出するようにしたものである。図15は、同じ考え方であるが、図14の場合は、中空成形体の一部を、図14(a)の状態と図14(b)の状態とで同じ方向に引き延ばして破裂させるのに対し、図15の場合は、ブロック体43の先端部を突起部32aから突出させて、中空成形体の一部を、図15(a)の状態と図15(b)の状態とで逆方向に引き延ばして破裂させる点が異なっている。
【0074】
また、発泡性樹脂M’の発泡・充填時に中空成形体内のエア抜きを行うための穴を中空成形体に形成する方法を図16、図17及び図18に示す(前述と同じ又は類似の部材には同じ符号を用いる。図16は、第1成形型32に、エア排出路51と、突出ピン53…53を有する移動体52とを内蔵させて、パリソンPの内部にブローピン41で気体を吹き込む(矢印a)ときに前記突出ピン53…53をキャビティ内に突出させて中空成形体に穴をあけ(図16(a)の状態)、発泡性樹脂M’の射出時〜充填時には、移動体52を矢印gで示すように後退させて突出ピン53…53をキャビティから退避させて(図16(b)の状態)、中空成形体に生成した穴やピン53…53の貫通孔54…54ないしエア排出路51を介して中空成形体内のエア抜きを行うようにしたものである。一方、図17及び図18は、いずれも、エア排出路形成用孔61又はエア排出路形成用凹部71を成形型(図例では第1成形型32)の外周合せ面部に設けるようにしたものである。図17の場合は、エア排出路形成用孔61に中子柱状体62に挿入し(図17(a)の状態)、この状態で、型締め〜エアブローを行い(図17(b)の状態)、発泡性樹脂M’の射出時に中子柱状体62を抜いて(図17(c)の状態)、その抜け穴からエア抜きを行うようにしている。これに対し、図18の場合は、エア排出路形成用凹部71の上面部にピン体72…72を差し込んでおき(図18(a)の状態)、この状態で、型締め〜エアブローを行い(図18(b)の状態)、発泡性樹脂M’の射出時にピン体72…72を抜いて(図18(c)の状態)、その抜け穴及びピン貫通孔73…73からエア抜きを行うようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上、具体例を挙げて詳しく説明したように、本発明は、非発泡樹脂からなる表層部で覆われた内部の発泡樹脂の発泡の程度を十分高め、また一次中空成形体で構成される前記表層部の部分的な剛性低下を回避し、かつ前記表層部への気泡の出現を回避して、外観性、軽量性、剛性に優れた樹脂成形品を提供することが可能な技術であるから、樹脂成形の技術分野において広範な産業上の利用可能性が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態に係るパリソンの押出成形装置の構成を示す縦断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】本発明の最良の実施の形態に係るパリソンの斜視図である。
【図4】本発明の最良の実施の形態に係る射出成形装置の構成を示す縦断面図である。
【図5】本発明の最良の実施の形態に係る樹脂成形品の構造を示す一部切り欠きの斜視図である。
【図6】前記樹脂成形品の成形方法を段階的に説明するための図4と類似の縦断面図であって、図4の次の段階を示すものである。
【図7】同じく図4と類似の縦断面図であって、図6の次の段階を示すものである。
【図8】同じく図4と類似の縦断面図であって、図7の次の段階を示すものである。
【図9】同じく図4と類似の縦断面図であって、図8の次の段階を示すものである。
【図10】本発明の第2実施形態に係るパリソンの押出成形装置の要部構成を示す縦断面図である。
【図11】第2実施形態における厚肉化部の構成を示す図4と類似の縦断面図である。
【図12】第2実施形態におけるパリソンを成形型で挟んだ状態を示す図6と類似の縦断面図である。
【図13】第2実施形態におけるコアバック時の状態を示す図9と類似の縦断面図である。
【図14】中空成形体の内部に発泡性樹脂を射出するための穴を中空成形体に形成する別の方法の説明図である。
【図15】図14と同様の説明図である。
【図16】発泡性樹脂の発泡・充填時に中空成形体内のエア抜きを行うための穴を中空成形体に形成する方法の説明図である。
【図17】図16と同様の説明図である。
【図18】図16と同様の説明図である。
【符号の説明】
【0077】
1 押出成形装置(パリソン成形手段)
8 ソリッド樹脂押出機
12 ダイスリット
14 コア駆動用油圧シリンダ(厚肉化手段)
21 凹溝(厚肉化手段)
30 射出成形装置
31 成形型
32 第1成形型(成形型の他方)
33 第2成形型(成形型の一方)
34 外周型
35 内部型
40 発泡性樹脂射出機(射出手段)
41 ブローピン(賦形手段)
P パリソン
X,Y 厚肉化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が発泡樹脂からなり表層部がソリッド樹脂からなる樹脂成形品の成形方法であって、
前記ソリッド樹脂でパリソンを成形するパリソン成形工程と、
成形したパリソンを成形型で挟み内部に気体を吹き込んで所定形状に賦形する賦形工程と、
得られた中空成形体を前記成形型内に残した状態で、溶融状態の発泡性樹脂を前記中空成形体内に射出する射出工程と、
射出後、前記成形型を所定量開きつつ前記発泡性樹脂を発泡させて該樹脂を前記中空成形体内に充填する充填工程とを含み、
前記充填工程において前記成形型を所定量開くことにより前記中空成形体が延伸される部分を、前記パリソン成形工程において、予め他の部分よりも厚肉化しておくことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載の樹脂成形品の成形方法であって、
前記成形型の一方は、型締め時に前記成形型の他方の外周合せ面と対接する外周型と、この外周型に対し、前記成形型の他方に近接する方向又は前記成形型の他方から離反する方向に相対移動自在の内部型とを有するものであり、
前記賦形工程及び前記射出工程では、前記内部型を前記成形型の他方に近接する方向に移動させた状態で、前記成形型を型締めし、
前記充填工程では、前記成形型を型締めした状態で、前記内部型を前記成形型の他方から離反する方向に移動させると共に、
前記パリソン成形工程では、前記充填工程で前記外周型と前記内部型との境界に位置するパリソンの部分を厚肉化することを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の樹脂成形品の成形方法であって、
前記パリソン成形工程において、前記中空成形体が延伸される部分を、予め他の部分よりもソリッド樹脂によって厚肉化しておくことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項4】
前記請求項1又は2に記載の樹脂成形品の成形方法であって、
前記パリソン成形工程において、前記中空成形体が延伸される部分を、該部分のパリソン層内に溶融状態の発泡性樹脂を介在させ、発泡させることによって、予め他の部分よりも厚肉化しておくことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項5】
前記請求項3に記載の樹脂成形品の成形方法であって、
厚肉化するためのソリッド樹脂中の基材樹脂として、パリソンの他の部分を成形するソリッド樹脂中の基材樹脂と同種の樹脂を用いることを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項6】
前記請求項4に記載の樹脂成形品の成形方法であって、
厚肉化するための発泡性樹脂中の基材樹脂として、パリソンの他の部分を成形するソリッド樹脂中の基材樹脂と同種の樹脂を用いることを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項7】
前記請求項1から6のいずれかに記載の樹脂成形品の成形方法であって、
前記射出工程では、補強繊維を含有する発泡性樹脂を射出することを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項8】
前記請求項1から7のいずれかに記載の樹脂成形品の成形方法であって、
前記射出工程では、物理発泡剤を含有する発泡性樹脂を射出することを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項9】
前記請求項8に記載の樹脂成形品の成形方法であって、
前記射出工程では、前記物理発泡剤として超臨界状態の流体を含有する発泡性樹脂を射出することを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項10】
内部が発泡樹脂からなり表層部がソリッド樹脂からなる樹脂成形品の成形装置であって、
前記ソリッド樹脂でパリソンを成形するパリソン成形手段と、
このパリソン成形手段で成形されたパリソンを間に挟む成形型と、
この成形型で挟まれたパリソンの内部に気体を吹き込んで所定形状に賦形する賦形手段と、
この賦形手段により得られた前記成形型内の中空成形体内に溶融状態の発泡性樹脂を射出する射出手段と、
この射出手段による発泡性樹脂の射出の後、前記成形型を所定量開きつつ前記発泡性樹脂を発泡させて該樹脂を前記中空成形体内に充填する充填手段と、
この充填手段により前記成形型が所定量開くことにより前記中空成形体が延伸される部分を、前記パリソン成形手段によるパリソン成形時に、予め他の部分よりも厚肉化しておく厚肉化手段とを備えていることを特徴とする樹脂成形品の成形装置。
【請求項11】
前記請求項10に記載の樹脂成形品の成形装置であって、
前記成形型の一方は、型締め時に前記成形型の他方の外周合せ面と対接する外周型と、この外周型に対し、前記成形型の他方に近接する方向又は前記成形型の他方から離反する方向に相対移動自在の内部型とを有するものであり、
前記成形型は、前記賦形手段による賦形時及び前記射出手段による射出時には、前記内部型が前記成形型の他方に近接する方向に移動した状態で、型締め状態となり、
前記成形型は、前記充填手段による充填時には、前記型締め状態で、前記内部型が前記成形型の他方から離反する方向に移動すると共に、
前記厚肉化手段は、前記充填手段による充填時に前記外周型と前記内部型との境界に位置するパリソンの部分を厚肉化することを特徴とする樹脂成形品の成形装置。
【請求項12】
前記請求項10又は11に記載の樹脂成形品の成形装置であって、
前記厚肉化手段は、前記中空成形体が延伸される部分を、予め他の部分よりもソリッド樹脂によって厚肉化しておくことを特徴とする樹脂成形品の成形装置。
【請求項13】
前記請求項10又は11に記載の樹脂成形品の成形装置であって、
前記厚肉化手段は、前記中空成形体が延伸される部分を、該部分のパリソン層内に溶融状態の発泡性樹脂を介在させ、発泡させることによって、予め他の部分よりも厚肉化しておくことを特徴とする樹脂成形品の成形装置。
【請求項14】
前記請求項12に記載の樹脂成形品の成形装置であって、
前記厚肉化手段は、厚肉化するためのソリッド樹脂中の基材樹脂として、パリソンの他の部分を成形するソリッド樹脂中の基材樹脂と同種の樹脂を用いることを特徴とする樹脂成形品の成形装置。
【請求項15】
前記請求項13に記載の樹脂成形品の成形装置であって、
前記厚肉化手段は、厚肉化するための発泡性樹脂中の基材樹脂として、パリソンの他の部分を成形するソリッド樹脂中の基材樹脂と同種の樹脂を用いることを特徴とする樹脂成形品の成形装置。
【請求項16】
前記請求項11から15のいずれかに記載の樹脂成形品の成形装置であって、
前記射出手段は、物理発泡剤を含有する発泡性樹脂を射出することを特徴とする樹脂成形品の成形装置。
【請求項17】
前記請求項16に記載の樹脂成形品の成形装置であって、
前記射出手段は、前記物理発泡剤として超臨界状態の流体を含有する発泡性樹脂を射出することを特徴とする樹脂成形品の成形装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2008−80790(P2008−80790A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130662(P2007−130662)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】