説明

樹脂管用継手とそれの圧入接続方法及びその方法に用いられる圧入装置

【課題】樹脂管との接続作業を能率良く容易に行う。
【解決手段】樹脂管1の接続管部1A内に管軸芯X方向から圧入可能な接続筒部2を備えた継手本体Aと、この継手本体Aの接続筒部2が圧入された樹脂管1の接続管部1Aをそれの径方向外方側から押圧する押圧スリーブ3とを備え、継手本体Aの接続筒部2の先端に、樹脂管1の接続管部1Aの端部を径方向外方側から挾持固定する圧入装置Bの管挾持手段B1の挾持固定作用に連れて縮径変形する接続管部2の端部側の内周面を受止め可能で、かつ、樹脂管1の接続管部1Aの内径よりも小なる外径で直管状又は略直管状に形成された装着筒部4が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂管の接続管部内に管軸芯方向から圧入可能な接続筒部を備えた継手本体と、この継手本体の接続筒部が圧入された樹脂管の接続管部をそれの径方向外方側から押圧する押圧スリーブとを備えている樹脂管用継手とそれの圧入接続方法及びその方法に用いられる圧入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の樹脂管用継手では、特許文献1に示すように、前記継手本体の接続筒部が、樹脂管の接続管部の内周面に喰込み可能な複数の抜止め突起を管軸芯方向に間隔をおいて突設してある嵌合接続筒部と、圧入前の樹脂管の接続管部の内径よりも小径に構成されている外周面先端から最前列の抜止め突起の最大外径位置までの領域において樹脂管の接続管部を拡径案内するテーパー状筒部とから構成されているとともに、前記押圧スリーブの内径が、圧入前の樹脂管の接続管部の外径よりも大で、かつ、圧入後の接続管部の外径よりも小なる内径に構成されている。
【0003】
更に、前記継手本体における接続筒部と他端側に形成された連結フランジ部との間に位置する連結筒には、前記樹脂管の端面に管軸芯方向から当接する圧入位置規制用の鍔部が一体形成されている。
【0004】
また、前記樹脂管用継手と樹脂管を接続するにあたっては、前記樹脂管の接続管部から外れた非接続領域に対して径方向外方から挾持固定可能な割りリングと、前記継手本体のテーパー状筒部の先端を樹脂管の端面の開口内周縁に当て付けた状態で両者を強制的に相対近接移動させる機能及び圧入後の樹脂管の接続管部に対して押圧スリーブを外嵌させるべく両者を強制的に相対近接移動させる機能を備えた圧入装置を用いる。
【0005】
前記圧入装置は、前記継手本体の連結フランジ部に対して管軸芯方向から当て付けられる当て板と、この当て板の管軸芯上に相対回転操作自在に配置したネジ棒と、このネジ棒の回転操作に連れて管軸芯方向に螺進する可動板と、この可動板の周方向二箇所から当て板の外側を通して樹脂管側に延出され、かつ、その先端に樹脂管の非接続領域に挾持固定された割りリング又は樹脂管に外装されている押圧スリーブの各継手本体から離れる側の端面に対して択一的に係合可能な係止爪を備えた一対のアームとから構成されている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−30377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記樹脂管用継手と樹脂管を接続するにあたっては、前記継手本体のテーパー状筒部の先端を樹脂管の端面の開口内周縁に当て付けた不安定な状態で、この継手本体の連結フランジ部に圧入装置の当て板を当て付けるとともに、前記可動板の周方向二箇所から当て板の外側を通して樹脂管側に延出されたアームの係止爪を、樹脂管の非接続領域に挾持固定された割りリングの端面に係合させ、前記ネジ棒を回転操作して当て板と割りリングとを相対近接移動させ、前記樹脂管の接続管部に対して継手本体の接続筒部を管軸芯方向から圧入することになる。
【0008】
そのため、前記継手本体のテーパー状筒部の先端側が樹脂管の接続管部内にある程度喰込み、継手本体のテーパー状筒部と樹脂管の接続管部との相対姿勢が固定されるまでは、組付け当初から樹脂管に対して当て付けた状態にある継手本体及び圧入装置の各構成部材が脱落したり、傾動したりしないように、樹脂管に対して継手本体及び圧入装置の各構成部材を所定装着姿勢に維持する必要があり、その姿勢維持に多くの手間を要するとともに、接続作業能率の低下を招来する要因の一つになっている。
【0009】
また、前記圧入装置のアームとしても、継手本体の連結フランジ部に当て付けられる当て板のネジ棒に螺合された可動板の周方向二箇所から当て板の外側を通して樹脂管の非接続領域に挾持固定された割りリングまで延びる長尺なものが必要で、圧入装置の大型化を招来するばかりでなく、取扱が不便になる不都合がある。
【0010】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その第1の主たる課題は、樹脂管との接続作業を能率良く容易に行うことのできる樹脂管用継手を提供する点にあり、第2の主たる課題は、樹脂管用継手と樹脂管との接続作業を能率良く容易に行うことのできる圧入接続方法を提供する点にあり、更に、第3の主たる課題は、樹脂管用継手の圧入接続方法に適した圧入装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による第1の特徴構成は、樹脂管の接続管部内に管軸芯方向から圧入可能な接続筒部を備えた継手本体と、この継手本体の接続筒部が圧入された樹脂管の接続管部をそれの径方向外方側から押圧する押圧スリーブとを備えている樹脂管用継手であって、
前記継手本体の接続筒部の先端に、前記樹脂管の接続管部の端部を径方向外方側から挾持固定する圧入装置の管挾持手段の挾持固定作用に連れて縮径変形する接続管部の端部側の内周面を受止め可能で、かつ、前記樹脂管の接続管部の内径よりも小なる外径で直管状又は略直管状に形成された装着筒部が形成されている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、前記継手本体の接続筒部と樹脂管の接続管部とを圧入接続する際、前記接続筒部の先端に形成された装着筒部を樹脂管の接続管部に挿入することにより、樹脂管の接続管部に対して継手本体の接続筒部が傾動したり、脱落したりすることを抑制することができる。
【0013】
しかも、前記圧入装置の管挾持手段の挾持固定作用に伴う接続管部の端部側での一定以上の縮径変形を抑制して、樹脂管の接続管部に対する継手本体の接続筒部の圧入作業を良好な状態に維持することができるとともに、前記装着筒部自体が樹脂管の接続管部の内径よりも小なる外径で直管状又は略直管状に形成されているので、これに接する接続管部の端部側も直管状又は略直管状に維持され、圧入装置の管挾持手段を継手本体に近接する接続管部の端部に挾持固定して、圧入装置の管軸芯方向でのコンパクト化を図りながらも、接続管部の端部側でのテーパー状の縮径変形に伴う管挾持手段の抜け出し移動を抑制することができる。
【0014】
従って、前記継手本体の接続筒部の先端側に前記構成の装着筒部を形成するだけの合理的な改造をもって、樹脂管に対する継手本体及び圧入装置の装着姿勢を容易に維持することができ、継手本体と樹脂管との接続作業を能率良く容易に行うことができる。
【0015】
本発明による第2の特徴構成は、樹脂管の接続管部内に管軸芯方向から圧入可能な接続筒部を備えた継手本体と、この継手本体の接続筒部が圧入された樹脂管の接続管部をそれの径方向外方側から押圧する押圧スリーブとを備えている樹脂管用継手であって、
前記継手本体の接続筒部の先端に、前記樹脂管の接続管部の端部を径方向外方側から挾持固定する圧入装置の管挾持手段の挾持幅と略等しい又はそれよりも大なる長さ有し、かつ、前記管挾持手段の挾持固定作用に連れて縮径変形する接続管部の端部側の内周面を受止め得る範囲において前記樹脂管の接続管部の内径よりも小なる外径で直管状又は略直管状に形成された装着筒部が形成されている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、前記継手本体の接続筒部と樹脂管の接続管部とを圧入接続する際、前記接続筒部の先端に形成された装着筒部を樹脂管の接続管部に挿入することにより、樹脂管の接続管部に対して継手本体の接続筒部が傾動したり、脱落したりすることを抑制することができる。
【0017】
しかも、前記圧入装置の管挾持手段の挾持固定作用に伴う接続管部の端部側での一定以上の縮径変形を抑制して、樹脂管の接続管部に対する継手本体の接続筒部の圧入作業を良好な状態に維持することができるとともに、前記装着筒部自体が樹脂管の接続管部の内径よりも小なる外径で直管状又は略直管状に形成され、かつ、圧入装置の管挾持手段の挾持幅と略等しい又はそれよりも大なる長さ有しているので、これに接する接続管部の端部側も管挾持手段の挾持幅又はそれ以上に相当する比較的広い範囲で直管状又は略直管状に維持され、圧入装置の管挾持手段を継手本体に近接する接続管部の端部に挾持固定して、圧入装置の管軸芯方向でのコンパクト化を図りながらも、接続管部の端部側でのテーパー状の縮径変形に伴う管挾持手段の抜け出し移動を抑制することができる。
【0018】
従って、前記継手本体の接続筒部の先端側に前記構成の装着筒部を形成するだけの合理的な改造をもって、樹脂管に対する継手本体及び圧入装置の装着姿勢を容易に維持することができ、継手本体と樹脂管との接続作業を能率良く容易に行うことができる。
【0019】
本発明による第3の特徴構成は、前記第1又は第2の特徴構成を備えた樹脂管用継手において、前記継手本体の接続筒部が、前記樹脂管の接続管部の内周面に喰込み可能な複数の抜止め突起を管軸芯方向に間隔をおいて突設してある嵌合接続筒部と、前記装着筒部の基端から最前列の抜止め突起における最大外径位置又はそれよりも根元側に偏倚した部位にまで樹脂管の接続管部を拡径案内するテーパー状筒部とから構成されている点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、前記樹脂管の接続管部に対して継手本体の接続筒部を圧入し、かつ、この圧入後の接続管部に対して径方向外方側から押圧する押圧スリーブを装着したとき、前記接続筒部を構成する嵌合接続筒部の抜止め突起が樹脂管の接続管部の内周面に喰い込むから、前記樹脂管の接続管部と継手本体の接続筒部との離脱を強力に阻止することができるばかりでなく、このような抜止め突起を設けながらも、前記装着筒部の基端から最前列の抜止め突起における最大外径位置又はそれよりも根元側に偏倚した部位までの領域に形成したテーパー状筒部により、樹脂管の接続管部をスムーズに拡径変形させながら継手本体の接続筒部を圧入することができる。
【0021】
本発明による第4の特徴構成は、前記第1、第2又は第3の特徴構成を備えた樹脂管用継手において、前記継手本体は、一つの前記接続筒部を備え、これに連続する連結筒部の端部には連結フランジ部が形成されているとともに、前記連結筒部の中間部位又は前記接続筒部と連結筒部との境界相当部位には、前記連結フランジ部の外径よりも小なる係止突起が形成され、この係止突起と前記連結フランジ部との間には、前記係止突起に係合可能な前記圧入装置の係合手段が径方向外方から入り込み可能な係入空間が形成されている点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、前記接続筒部に連続する連結筒部の中間部位形成した係止突起に圧入装置の係合手段を係合することにより、前記樹脂管の接続管部に対して継手本体の接続筒部を圧入することができるのであるが、前記係止突起が連結フランジ部の外径よりも小に構成されているため、例えば、前記連結フランジ部を係止突起に利用する場合に比して、圧入装置の径方向及び管軸芯方向でのコンパクト化を図り易い。
【0023】
本発明による第5の特徴構成は、前記第1、第2又は第3の特徴構成を備えた樹脂管用継手において、前記継手本体は、二つの前記接続筒部を備え、かつ、前記両接続筒部を繋ぐ連結筒部には、前記圧入装置の係合手段が係合可能な係止突起が形成されている点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、前記両接続筒部を繋ぐ連結筒部に形成した係止突起に圧入装置の係合手段を係合することにより、前記樹脂管の接続管部に対して継手本体の各接続筒部を圧入することができるので、前記接続筒部が複数ある場合でも係止突起は一つで済み、継手本体の簡素化を図ることができる。
【0025】
本発明による第6の特徴構成は、前記第1、第2又は第3の特徴構成を備えた樹脂管用継手において、前記継手本体は、二つの前記接続筒部を備え、かつ、前記両接続筒部を繋ぐ連結筒部の筒軸芯方向二箇所には、前記圧入装置の係合手段が係合可能な係止突起が形成され、前記両係止突起の対向面間には、前記圧入装置の係合手段が径方向外方から入り込み可能な係入空間が形成されている点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、前記両接続筒部を繋ぐ連結筒部が長尺又は湾曲している場合でも、各接続筒部の基端側に係止突起を配置することができ、圧入装置のコンパクト化を図ることができる。
【0027】
本発明による第7の特徴構成は、樹脂管の接続管部内に管軸芯方向から圧入可能な接続筒部を備えた継手本体と、この継手本体の接続筒部が圧入された樹脂管の接続管部をそれの径方向外方側から押圧する押圧スリーブとを備えている樹脂管用継手の圧入接続方法であって、以下の1)〜3)のステップを備えていることを特徴とする。
1)前記接続筒部の先端部に、前記樹脂管の接続管部の端部を径方向外方側から挾持固定する圧入装置の管挾持手段の挾持固定作用に連れて縮径変形する接続管部の端部側の内周面を受止め可能で、かつ、前記樹脂管の接続管部の内径よりも小なる外径で直管状又は略直管状に形成された装着筒部を形成してある継手本体と、この継手本体の接続筒部が圧入される前の樹脂管の接続管部の外径よりも大で、かつ、圧入後の接続管部の外径よりも小なる内径に構成された押圧スリーブとを準備し、前記押圧スリーブを予め樹脂管に外装したのち、前記樹脂管の接続管部の端部に継手本体の装着筒部を挿入する。
2)前記圧入装置の管挾持手段を、前記樹脂管の接続管部の端部に対して径方向外方側から挾持固定するとともに、前記圧入装置の係合手段を、前記継手本体に形成されている係止突起又は連結フランジ部に対して前記樹脂管の接続管部側に引寄せ可能な状態で係合させたのち、前記圧入装置の管挾持手段と継手本体用の係合手段とを管軸芯方向で相対近接移動させる引寄せ手段により、前記樹脂管の接続管部に対してこれに挿入されている装着筒部に引き続いて継手本体の接続筒部を管軸芯方向から圧入する。
3)前記圧入装置の管挾持手段を、前記押圧スリーブの継手本体から離れる側の端部に係合可能な係合手段に付け替え、前記継手本体用の係合手段とスリーブ用の係合手段を管軸芯方向で相対近接移動させる引寄せ手段により、圧入後の前記樹脂管の接続管部に対して押圧スリーブを外嵌状態で圧入したのち、前記圧入装置を撤去する。
【0028】
上記特徴構成によれば、前記継手本体の接続筒部と樹脂管の接続管部とを圧入接続する際、前記接続筒部の先端に形成された装着筒部を樹脂管の接続管部内に挿入することにより、組付け当初から前記圧入装置の引寄せ手段によって前記接続筒部の先端側が樹脂管の接続管部内にある程度圧入されるまでの間において、樹脂管の接続管部に対して継手本体の接続筒部が傾動したり、脱落したりすることを抑制することができる。
【0029】
しかも、前記圧入装置の管挾持手段の挾持固定作用に伴う接続管部の端部側での一定以上の縮径変形を抑制して、樹脂管の接続管部に対する継手本体の接続筒部の圧入作業を良好な状態に維持することができるとともに、前記装着筒部自体が樹脂管の接続管部の内径よりも小なる外径で直管状又は略直管状に形成されているので、これに接する接続管部の端部側も直管状又は略直管状に維持され、圧入装置の管挾持手段を継手本体に近接する接続管部の端部に挾持固定して、圧入装置の管軸芯方向でのコンパクト化を図りながらも、接続管部の端部側でのテーパー状の縮径変形に起因する管挾持手段の抜け出し移動を抑制することができる。
【0030】
更に、前記圧入装置は、前記樹脂管の接続管部の端部に対して径方向外方側から挾持固定する管挾持手段と、前記押圧スリーブにおける継手本体から離れる側の端部に係合可能なスリーブ用の係合手段とを付け替えることができるから、前記圧入装置の係合手段は、前記継手本体に形成されている係止突起又は連結フランジ部に係合させた又は係合可能な状態に維持することができ、前記押圧スリーブの圧入工程への移行を能率良く容易に行うことができる。
【0031】
従って、前記継手本体の接続筒部の先端側に前記構成の装着筒部を形成するだけの合理的な改造をもって、樹脂管に対する継手本体及び圧入装置の装着姿勢を容易に維持することができ、しかも、押圧スリーブの圧入工程への移行を能率良く容易に行うことができるから、継手と樹脂管との圧入接続作業を能率良く容易に行うことができる。
【0032】
本発明による第8の特徴構成は、前記第7の特徴構成を備えた樹脂管用継手の圧入接続方法に用いられる圧入装置であって、前記樹脂管の接続管部の端部を径方向外方側から挾持固定する管挾持手段と、前記継手本体に形成されている係止突起又は連結フランジ部に対して前記樹脂管の接続管部側に引寄せ可能な状態で係合する係合手段と、前記押圧スリーブの継手本体から離れる側の端部に係合可能なスリーブ用の係合手段と、前記管挾持手段と継手本体用の係合手段又はスリーブ用の係合手段と継手本体用の係合手段を管軸芯方向で相対近接移動させる引寄せ手段とが備えられているとともに、前記管挾持手段とスリーブ用の係合手段とが引寄せ手段に対して択一的に付け替え可能に構成されている点にある。
【0033】
上記特徴構成によれば、前記圧入装置に対して管挾持手段とスリーブ用の係合手段とを付け替え可能に構成し、前記管挾持手段と継手本体用の係合手段又はスリーブ用の係合手段と継手本体用の係合手段を相対近接移動させる引寄せ手段及び前記継手本体の係止突起又は連結フランジ部に係合する係合手段を共有化してあるから、継手と樹脂管との圧入接続作業を能率良く容易に行うことのできる圧入装置の製造コストの低廉化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
〔第1実施形態〕
図1〜図4は、ポリエチレン、ポリブデン等の合成樹脂から製作された水道(流体の一例)用の樹脂管1に対する継手を示し、これには、前記樹脂管1の接続管部1A内に管軸芯X方向から圧入可能な接続筒部2を備えた球状黒鉛鋳鉄等の金属製の継手本体Aと、この継手本体Aの接続筒部2が圧入された樹脂管1の接続管部1Aをそれの径方向外方側から押圧する球状黒鉛鋳鉄等の金属製の押圧スリーブ3とが備えられている。
【0035】
前記継手本体Aは、一つの前記接続筒部2を備え、これに連続して一体形成された少し大径の連結筒部5の端部には、他の配管又は流体機器とフランジ接合するための複数のボルト用の連結孔6aを備えた円環状の連結フランジ部6が一体形成されているとともに、前記接続筒部2と連結筒部5との境界相当部位には、前記連結フランジ部6の外径よりも小なる外径に形成された円環状の係止突起7が形成され、この係止突起7と前記連結フランジ部6との間には、前記係止突起7に対して管軸芯X方向から係合可能な前記圧入装置Bの継手本体用係合手段B2が径方向外方から入り込み可能な円環溝状の係入空間8が形成されている。
【0036】
前記接続筒部2の外径D3は、圧入前の樹脂管1の接続管部1Aの内径D1よりも大径で、かつ、圧入前の樹脂管1の接続管部1Aの外径D4よりも小径に構成されている。
【0037】
前記係止突起7は、圧入装置Bによる継手本体Aの圧入接続作業時に、樹脂管1の接続管部1Aの端面と管軸芯X方向から当接して該接続管部1Aに対する接続筒部2の最大挿入長さを規制するストッパー機能と、圧入装置Bによる押圧スリーブ3の圧入作業時に、押圧スリーブ3の端面と管軸芯X方向から当接して拡径状態にある接続管部1Aに対する押圧スリーブ3の最大外嵌長さを規制するストッパー機能とを有している。
【0038】
前記継手本体Aの接続筒部2の先端には、前記樹脂管1の接続管部1Aの端部を径方向外方側から挾持固定する圧入装置Bの管挾持手段B1の挾持幅よりも大なる長さLを有し、かつ、前記管挾持手段B1の挾持固定作用に連れて縮径変形する接続管部1Aの端部側の内周面1aを受止め得る範囲において、圧入前の前記樹脂管1の接続管部1Aの内径D1よりも小なる外径D2で直管状又は略直管状に形成された装着筒部4が一体形成されている。
【0039】
前記装着筒部4は、その全長にわたって同一外径となる直管状が好ましく、また、それの外径D2は、樹脂管1の接続管部1Aの内径の公差範囲でのバラツキを吸収できる状態で該接続管部1Aの内周面1Aとの間に極力微小な環状の隙間が発生するような外径寸法が好ましい。
この構成であれば、前記継手本体Aの装着筒部4を樹脂管1の接続管部1A内にスムーズに挿入することができ、しかも、挿入状態では、樹脂管1の接続管部1Aに対して継手本体Aの装着筒部4をガタの少ない状態で所定姿勢に安定的に仮保持することができる。
【0040】
前記継手本体Aの接続筒部2は、前記樹脂管1の接続管部1Aの内周面1aに喰込み可能な一つ又は複数(当該実施形態では4つ)の環状の抜止め突起2aを管軸芯X方向に所定間隔をおいて一体的に突設してある嵌合接続筒部2Aと、前記装着筒部4の基端P1から最前列の抜止め突起2aの先端となる最大外径位置P1までの領域において樹脂管1の接続管部1Aを拡径案内するテーパー状筒部2Bとから構成されている。
【0041】
前記押圧スリーブ3の内径D5は、圧入前の樹脂管1の接続管部1Aの外径D4よりも大径で、かつ、圧入後の拡径された接続管部1Aの外径D4よりも小径に構成されているとともに、この押圧スリーブ3の内周面3aの両端部のうち、樹脂管1の先端側に位置する端部には、開口側ほど内径が大きくなるテーパー面3bが形成され、このテーパー面3bの最大外径は、圧入後の拡径された接続管部1Aの外径D4よりも大径に構成されている。
【0042】
前記圧入装置Bは、図5〜図13に示すように、前記樹脂管1の接続管部1Aの端部を径方向外方側から挾持固定する管挾持手段B1と、前記継手本体Aに形成されている係止突起7に対して前記樹脂管1の接続管部1A側に引寄せ可能な状態で係合する継手本体用の係合手段B2と、前記押圧スリーブ3における継手本体Aから離れる側の端部に係合可能なスリーブ用の係合手段B3と、前記管挾持手段B1と継手本体用係合手段B2又はスリーブ用係合手段B3と継手本体用係合手段B2を管軸芯X方向で相対近接移動させる引寄せ手段B4とが備えられているとともに、前記管挾持手段B1とスリーブ用係合手段B3とが引寄せ手段B4に対して択一的に付け替え可能に構成されている。
【0043】
前記管挾持手段B1を構成するに、図5、図6、図8、図9に示すように、前記樹脂管1の接続管部1Aの端部に対して径方向外方から装着可能な略半円弧状の挾持部10Aを備えた一対の分割挾持部材10が、それの周方向一端側において連結リンク11及び連結ピン12を介して揺動開閉自在に枢支連結され、一方の分割挾持部材10の周方向他端部に設けられたブラケット13には、連結ボルト14を螺合又は固着してある枢支ピン15が回動自在に枢着されている。
【0044】
また、他方の分割挾持部材10の周方向他端部に設けられたブラケット16には、前記枢支ピン15周りの起伏揺動によって連結ボルト14の係脱を許容するU字状の係止凹部17が形成され、この係止凹部17内に倒伏状態で係入された連結ボルト14に螺合されているナット18の締付け操作に伴う両分割挾持部材10の相対近接揺動により、前記樹脂管1の接続管部1Aの端部を径方向外方側から挾持固定するように構成されている。
【0045】
前記両分割挾持部材10の挾持部10Aの内周面に形成された溝部内には、前記両分割挾持部材10の挾持固定に連れて樹脂管1の接続管部1Aの外周面に喰い込み可能な略半円弧状の抜止め部材19が設けられているとともに、前記挾持部10Aの溝部内の底面には、両分割挾持部材10の挾持部10Aに対する樹脂管1の接続管部1Aの抜け出し移動に連れて前記抜止め部材19を径方向内方に喰込み移動させる傾斜面(カム面)20が形成されている。
【0046】
前記継手本体用係合手段B2を構成するに、図5、図7、図11に示すように、前記引寄せ手段B4の左右一対の流体圧シリンダ41のピストンロッド41Aの先端に、ブロック状の係合体25を螺合又はネジ止め等の適宜手段で外嵌固定し、この係合体25には、前記継手本体Aの係止突起7に対して樹脂管1の接続管部1A側に引寄せ可能な状態で管軸芯X方向から係合する係合突起25Aを一体形成し、この係合突起25Aに形成された貫通孔25aには、前記係止突起7に形成された係止孔7aに対して管軸芯X方向に沿った方向から係入して両者の相対回転を阻止する位置決め用の係止ピン26が装着されている。
【0047】
前記係合突起25Aと係止ピン26との相対向部位には、前記係合突起25Aの先端が係止突起7の係止孔7a内に係入する係合位置と係止孔7aから抜け出した係合解除位置との二位置で選択的に係止保持可能な位置決め手段(図示せず)が設けられている。
尚、前記係合突起25Aと係止突起7とをボルト・ナット等のネジ式連結手段で固定連結するように構成してもよい。
【0048】
前記スリーブ用係合手段B3を構成するに、図11〜図13に示すように、前記押圧スリーブ3に対して径方向外方から装着可能な略半円弧状の装着筒部30Aを備えた一対の分割装着部材30が、それの周方向一端側において連結リンク31及び連結ピン32を介して揺動開閉自在に枢支連結されているとともに、前記両分割装着部材30の装着筒部30Aの端部には、前記押圧スリーブ3における継手本体Aから離れる側の端部である端面3cに対して管軸芯X方向から係合可能な係合突起33が径方向内方に向かって突出形成されている。
【0049】
また、前記両分割装着部材30の一方の周方向他端部に設けられたブラケット34には、連結ボルト35を螺合又は固着してある枢支ピン36が回動自在に枢着され、他方の分割装着部材30の周方向他端部に設けられたブラケット37には、前記枢支ピン36周りの起伏揺動によって連結ボルト35の係脱を許容するU字状の係止凹部38が形成され、この係止凹部38内に倒伏状態で係入された連結ボルト35のナット39を締付け操作に伴う両分割装着部材30の相対近接揺動により、前記押圧スリーブ3の端面3cに係合突起33を当て付けた状態で前記押圧スリーブ3を径方向外方側から挾持固定するように構成されている。
【0050】
前記引寄せ手段B4を構成するに、図5、図6、図10〜図12に示すように、左右一対の流体圧シリンダ41のシリンダケース41Aの前端部には、前記管挾持手段B1の両分割挾持部材10に設けられた第1受け部材42及び前記スリーブ用係合手段B3の両分割装着部材30に設けられた第2受け部材43に対して択一的に上方から脱着自在に載置支持される装着部材44が螺合固定されているとともに、前記両流体圧シリンダ41のピストンロッド41Bの先端には、前記継手本体用係合手段B2の係合体25が螺合又はネジ止め等の適宜手段で外嵌固定されている。
【0051】
また、前記樹脂管1に対して上方から脱着自在な略半円弧状の内面を備え、その円弧状内面の頂点及び左右両側部の三箇所には樹脂管1に当接する当接部材45を設けてあるシリンダサポート46には、前記両流体圧シリンダ41のシリンダケース41Aの後端側部位を着脱自在に載置支持する載置支持板47がボルト48で固定連結されているとともに、前記流体圧シリンダ41のシリンダケース41Aを必要に応じて載置支持板47に緊締固定するためのゴム製の索状体(ゴムバンドや紐等)48が設けられている。
【0052】
尚、前記圧入装置Bは、継手本体Aの係止突起7に対する係合手段B2の係合位置を逆の引き離し側にして、前記流体圧シリンダ41を伸張作動させることにより、接続されている継手本体Aの接続筒部1Aと樹脂管1の接続管部1Aとの接続を解除する解体装置として用いることができ、この場合、前記引寄せ手段B4が引離し手段として機能する。
【0053】
次に、上述の如く構成された樹脂管用継手及び圧入装置Bを用いての圧入接続方法について説明する。
[1]前記接続筒部2の先端部に、前記樹脂管1の接続管部1Aの端部を径方向外方側から挾持固定する圧入装置Bの管挾持手段B1の挾持固定作用に連れて縮径変形する接続管部1Aの端部側の内周面を受止め可能で、かつ、継手本体Aの接続筒部2が圧入される前の樹脂管1の接続管部1Aの内径D1よりも小なる外径D2で直管状又は略直管状に形成された装着筒部4を形成してある継手本体Aと、圧入前の樹脂管1の接続管部1Aの外径D4よりも大で、かつ、圧入後の接続管部1Aの外径よりも小なる内径D5に構成された押圧スリーブ3とを準備し、図14に示すように、前記押圧スリーブ3を予め樹脂管1における接続管部1A以外の部位に外装したのち、図15に示すように、前記樹脂管1の接続管部1Aの端部に継手本体Aの装着筒部4を挿入する。
【0054】
[2]図16に示すように、前記樹脂管1の接続管部1Aの端部に、前記圧入装置Bの管挾持手段B1を構成する両分割挾持部材10を外装し、連結ボルト14に螺合されたナット18の締付け操作に伴う両分割挾持部材10の相対近接揺動により、前記樹脂管1の接続管部1Aの端部に対して両分割挾持部材10を縮径させながら径方向外方側から挾持固定する。
【0055】
このとき、前記両分割挾持部材10の溝部内に装着されている抜止め部材19が樹脂管1の接続管部1Aの外周面に喰い込み、前記両分割挾持部材10と樹脂管1との相対離脱移動を強力に阻止することができる。
【0056】
前記樹脂管1における接続管部1Aから外れた部位に、前記圧入装置Bの引寄せ手段B4の構成部材であるシリンダサポート46を外装して、それの円弧状内面の三箇所に設けた三つの当接部材45を樹脂管1の外周面に当て付け、このシリンダサポート46に設けた左右の載置支持板47と前記両分割挾持部材10に設けた左右の第1受け部材42とにわたって、流体圧シリンダ41のシリンダケース41Aの後方側部位及び該シリンダケース41Aの先端部に螺合した装着部材44を載置支持状態で架設する。
【0057】
また、前記各流体圧シリンダ41のピストンロッド41Bに、継手本体用係合手段B2の係合体25を螺合又はネジ止め等の適宜手段で外嵌固定し、この係合体25の係合突起25Aを、前記継手本体Aの係止突起7に対して樹脂管1の接続管部1A側に引寄せ可能な状態で管軸芯X方向から係合するとともに、この係合突起25Aの貫通孔25aに挿入された係止ピン26を、前記係止突起7に形成されている係止孔7aに対して管軸芯X方向に沿った方向から係入して、係合体25の係合突起25Aと継手本体Aの係止突起7とを相対回転不能な状態で位置決めする。
【0058】
[3]図17に示すように、前記引寄せ手段B4の両流体圧シリンダ41に流体圧ポンプ(油圧ポンプ)49からの圧力流体(圧油)を供給し、両流体圧シリンダ41を収縮作動させると、各流体圧シリンダ41の係合体25に連繋されている継手本体Aの係止突起7と樹脂管1の端部に挾持固定されている管挾持手段B1の両分割挾持部材10とが管軸芯X方向で相対近接移動し、前記樹脂管1の接続管部1Aに対してこれに挿入されている装着筒部4に引き続いて継手本体Aの接続筒部2が管軸芯X方向から圧入される。
【0059】
[4]図18に示すように、前記管挾持手段B1の連結ボルト14に螺合されたナット18の締付けを解除して、樹脂管1の端部に挾持固定されていた両分割挾持部材10を撤去したのち、前記押圧スリーブ3に、スリーブ用係合手段B3の両分割装着部材30を、それの装着筒部30Aの端部に突出形成された係合突起33を押圧スリーブ3における継手本体Aから離れる側の端部である端面3cに当て付けた状態で外装する。
【0060】
次に、前記連結ボルト35に螺合されているナット39を締付け操作して、両分割装着部材30の相対近接揺動により、前記押圧スリーブ3の端面3cに係合突起33を当て付けたままの状態で前記押圧スリーブ3を径方向外方側から挾持固定する。
【0061】
前記シリンダサポート46に設けた左右の載置支持板47と前記両分割装着部材30に設けた左右の第2受け部材43とにわたって、流体圧シリンダ41のシリンダケース41Aの後方側部位及び該シリンダケース41Aの先端部に螺合した装着部材44を載置支持状態で架設する。
[5]図19に示すように、前記引寄せ手段B4の両流体圧シリンダ41に流体圧ポンプ49からの圧力流体を供給し、両流体圧シリンダ41を収縮作動させると、各流体圧シリンダ41の係合体25に連繋されている継手本体Aの係止突起7と押圧スリーブ3に挾持固定されているスリーブ用係合手段B3の両分割装着部材30とが管軸芯X方向で相対近接移動し、圧入後の樹脂管1の接続管部1Aに対して押圧スリーブ3を管軸芯X方向から外嵌状態で圧入したのち、前記圧入装置Bを撤去する。
【0062】
そして、前記樹脂管1の接続管部1Aに対して継手本体Aの接続筒部2を圧入し、かつ、この圧入後の接続管部1Aに対して径方向外方側から押圧する押圧スリーブ3を管軸芯X方向から圧入した状態では、前記接続筒部2を構成する嵌合接続筒部2Aの抜止め突起2aが樹脂管1の接続管部1Aの内周面1aに喰い込むから、前記樹脂管1の接続管部1Aと継手本体Aの接続筒部2との離脱を強力に阻止することができるばかりでなく、このような抜止め突起2aを設けながらも、前記装着筒部4の基端P1から最前列の抜止め突起2aの最大外径位置P2にまでの領域に形成したテーパー状筒部2Bにより、樹脂管1の接続管部1Aをスムーズに拡径変形させながら継手本体Aの接続筒部2を圧入することができる。
【0063】
〔第2実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記接続筒部2と連結筒部5との境界相当部位に、前記圧入装置Bの係合手段B2が管軸芯X方向から係合可能な円環状の係止突起7を形成したが、このような係止突起7を備えていない継手本体Aに本発明の技術を適用してもよい。
この場合、前記係止突起7の機能を連結フランジ部6に兼用させることになる。つまり、前記継手本体Aに形成されている連結フランジ部6に対して樹脂管1の接続管部1A側に引寄せ可能な状態で係合する継手本体用の係合手段B2を構成することになり、この場合、前記引寄せ手段B4の左右一対の流体圧シリンダ41のピストンロッド41Aの先端に、ブロック状の係合体25を螺合又はネジ止め等の適宜手段で外嵌固定し、この係合体25には、前記継手本体Aの連結フランジ部6に対して樹脂管1の接続管部1A側に引寄せ可能な状態で管軸芯X方向から係合する係合突起25Aを一体形成する。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0064】
〔第3実施形態〕
上述の第1実施形態では、一つの前記接続筒部2を備えた継手本体Aについて説明したが、図22に示すように、前記継手本体Aとしては、二つの前記接続筒部2を同芯状態で備え、かつ、前記両接続筒部2を繋ぐ連結筒部5の管軸芯方向中央位置には、前記圧入装置Bの係合手段B2が係合可能な円環状の係止突起7が一体形成されているものであってもよい。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0065】
〔第4実施形態〕
上述の第1実施形態では、一つの前記接続筒部2を備えた継手本体Aについて説明したが、図23に示すように、前記継手本体Aとしては、二つの前記接続筒部2を同芯状態で備え、かつ、前記両接続筒部2を繋ぐ連結筒部5の管軸芯方向二箇所には、前記圧入装置Bの係合手段B2が係合可能な円環状の係止突起7が一体形成され、前記両係止突起7の対向面間には、前記圧入装置Bの係合手段B2が径方向外方から入り込み可能な係入空間8が形成されているものであってもよい。
【0066】
尚、当該第4実施形態では、前記連結筒部5における両係止突起7の対向面間に位置する部分を直管状に構成したが、この対向面間部分を所定角度範囲で湾曲形成してエルボ形式の継手本体Aに構成してもよい。
【0067】
また、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0068】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、圧入後の樹脂管1の接続管部1Aに対して押圧スリーブ3を管軸芯X方向から外嵌状態で圧入したが、この押圧スリーブ3を、周方向で複数に分割された分割スリーブ体と、この複数の分割スリーブ体を縮径側に締付け連結する連結手段から構成して、前記連結手段の締付け操作に伴う複数の分割スリーブ体を縮径移動により、圧入後の接続管部1Aに対して径方向外方側から押圧するように構成してもよい。
【0069】
(2)上述の第1実施形態では、前記接続筒部2と連結筒部5との境界相当部位に、前記圧入装置Bの係合手段B2が管軸芯X方向から係合可能な円環状の係止突起7を形成したが、この係止突起7を、前記連結フランジ部6との間に圧入装置Bの係合手段B2が径方向外方から入り込み可能な係入空間8を現出する状態で前記連結筒部5の中間部位に形成してもよい。
【0070】
(3)上述の第1実施形態では、前記圧入装置Bの係合手段B2が管軸芯X方向から係合可能な係止突起7を円環状に構成したが、この係止突起7を円周方向に分散形成された複数の小突起から構成してもよい。
【0071】
(4)上述の第1実施形態では、前記圧入装置Bの継手本体用係合手段B2を、継手本体Aに形成されている係止突起7に係合させるように構成したが、前記継手本体用係合手段B2を継手本体Aの連結フランジ部6に係合させるように構成してもよい。
【0072】
(5)上述の第1実施形態では、前記係合突起25Aに形成された貫通孔25aに、前記係止突起7に形成された係止孔7aに対して管軸芯X方向に沿った方向から係入可能な係止ピン26を装着して、前記係合突起25Aと係止突起7とを相対回転不能な状態で位置決めしたが、このような係止ピン26を使用せずに前記係合突起25Aを係止突起7に単に接当させるだけでもよい。
【0073】
(6)上述の第1実施形態では、前記継手本体Aの装着筒部4の管軸芯X方向長さを、脂管1の接続管部1Aの端部を径方向外方側から挾持固定する圧入装置Bの管挾持手段B1の挾持幅よりも大に構成したが、この装着筒部4の管軸芯X方向長さを、管挾持手段B1の挾持幅と略等しい又はそれよりも小に構成してもよい。
【0074】
(7)上述の第1実施形態では、前記継手本体Aの接続筒部2を構成するテーパー状筒部2Bにより、前記装着筒部4の基端P1から最前列の抜止め突起2aの先端となる最大外径位置P1までの領域において樹脂管1の接続管部1Aを拡径案内するように構成したが、このテーパー状筒部2Bをして、前記装着筒部4の基端P1から最前列の抜止め突起2aの根元部となる最小外径位置まで、又は、装着筒部4の基端P1から最前列の抜止め突起2aにおける最大外径位置P1と最小外径位置との間の特定高さ部位までの領域において樹脂管1の接続管部1Aを拡径案内するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1実施形態を示す継手本体及び押圧スリーブの半断面側面図
【図2】図1のII-II線矢視図
【図3】継手本体の接続筒部及び装着筒部の拡大断面側面図
【図4】(イ)〜(ハ)は継手本体及び押圧スリーブの圧入工程図
【図5】圧入装置全体の一部切欠き平面図
【図6】図5のVI−VI線矢視における管挾持手段の拡大断面図
【図7】図5のVII−VII線矢視における継手用係合手段の拡大断面図
【図8】図6のVIII−VIII線矢視における断面図
【図9】図6のIX−IX線矢視における断面図
【図10】図5のX−X線矢視における管挾持手段の拡大断面図
【図11】スリーブ用係合手段に付け替えたときの圧入装置全体の一部切欠き平面図
【図12】図11のXII−XII線矢視におけるスリーブ用係合手段の拡大断面図
【図13】図12のXIII−XIII線矢視における引寄せ手段の要部の拡大断面図
【図14】樹脂管用継手の圧入接続方法における押圧スリーブの装着工程図
【図15】継手本体の装着筒部の装着工程図
【図16】圧入装置の装着工程図
【図17】継手本体の圧入工程図
【図18】スリーブ用係合手段の付け替え工程図
【図19】押圧スリーブの圧入工程図
【図20】圧入完了時の断面図
【図21】第2実施形態を示す樹脂管用継手の半断面側面図
【図22】第3実施形態を示す樹脂管用継手の半断面側面図
【図23】第4実施形態を示す樹脂管用継手の半断面側面図
【符号の説明】
【0076】
A 継手本体
B 圧入装置
B1 管挾持手段
B2 継手本体用係合手段
B3 スリーブ用係合手段
B4 引寄せ手段
L 長さ
P1 基端
P2 最大外径位置
X 管軸芯
1 樹脂管
1A 接続管部
1a 内周面
2 接続筒部
2A 嵌合接続筒部
2B テーパー状筒部
2a 抜止め突起
3 押圧スリーブ
4 装着筒部
5 連結筒部
6 連結フランジ部
7 係止突起
8 係入空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂管の接続管部内に管軸芯方向から圧入可能な接続筒部を備えた継手本体と、この継手本体の接続筒部が圧入された樹脂管の接続管部をそれの径方向外方側から押圧する押圧スリーブとを備えている樹脂管用継手であって、
前記継手本体の接続筒部の先端に、前記樹脂管の接続管部の端部を径方向外方側から挾持固定する圧入装置の管挾持手段の挾持固定作用に連れて縮径変形する接続管部の端部側の内周面を受止め可能で、かつ、前記樹脂管の接続管部の内径よりも小なる外径で直管状又は略直管状に形成された装着筒部が形成されている樹脂管用継手。
【請求項2】
樹脂管の接続管部内に管軸芯方向から圧入可能な接続筒部を備えた継手本体と、この継手本体の接続筒部が圧入された樹脂管の接続管部をそれの径方向外方側から押圧する押圧スリーブとを備えている樹脂管用継手であって、
前記継手本体の接続筒部の先端に、前記樹脂管の接続管部の端部を径方向外方側から挾持固定する圧入装置の管挾持手段の挾持幅と略等しい又はそれよりも大なる長さを有し、かつ、前記管挾持手段の挾持固定作用に連れて縮径変形する接続管部の端部側の内周面を受止め得る範囲において前記樹脂管の接続管部の内径よりも小なる外径で直管状又は略直管状に形成された装着筒部が形成されている樹脂管用継手。
【請求項3】
前記継手本体の接続筒部が、前記樹脂管の接続管部の内周面に喰込み可能な複数の抜止め突起を管軸芯方向に間隔をおいて突設してある嵌合接続筒部と、前記装着筒部の基端から最前列の抜止め突起の最大外径位置又はそれよりも根元側に偏倚した部位にまで樹脂管の接続管部を拡径案内するテーパー状筒部とから構成されている請求項1又は2記載の樹脂管用継手。
【請求項4】
前記継手本体は、一つの前記接続筒部を備え、これに連続する連結筒部の端部には連結フランジ部が形成されているとともに、前記連結筒部の中間部位又は前記接続筒部と連結筒部との境界相当部位には、前記連結フランジ部の外径よりも小なる係止突起が形成され、この係止突起と前記連結フランジ部との間には、前記係止突起に係合可能な前記圧入装置の係合手段が径方向外方から入り込み可能な係入空間が形成されている請求項1、2又は3記載の樹脂管用継手。
【請求項5】
前記継手本体は、二つの前記接続筒部を備え、かつ、前記両接続筒部を繋ぐ連結筒部には、前記圧入装置の係合手段が係合可能な係止突起が形成されている請求項1、2又は3記載の樹脂管用継手。
【請求項6】
前記継手本体は、二つの前記接続筒部を備え、かつ、前記両接続筒部を繋ぐ連結筒部の筒軸芯方向二箇所には、前記圧入装置の係合手段が係合可能な係止突起が形成され、前記両係止突起の対向面間には、前記圧入装置の係合手段が径方向外方から入り込み可能な係入空間が形成されている請求項1、2又は3記載の樹脂管用継手。
【請求項7】
樹脂管の接続管部内に管軸芯方向から圧入可能な接続筒部を備えた継手本体と、この継手本体の接続筒部が圧入された樹脂管の接続管部をそれの径方向外方側から押圧する押圧スリーブとを備えている樹脂管用継手の圧入接続方法であって、以下の1)〜3)のステップを備えていることを特徴とする樹脂管用継手の圧入接続方法。
1)前記接続筒部の先端部に、前記樹脂管の接続管部の端部を径方向外方側から挾持固定する圧入装置の管挾持手段の挾持固定作用に連れて縮径変形する接続管部の端部側の内周面を受止め可能で、かつ、前記樹脂管の接続管部の内径よりも小なる外径で直管状又は略直管状に形成された装着筒部を形成してある継手本体と、この継手本体の接続筒部が圧入される前の樹脂管の接続管部の外径よりも大で、かつ、圧入後の接続管部の外径よりも小なる内径に構成された押圧スリーブとを準備し、前記押圧スリーブを予め樹脂管に外装したのち、前記樹脂管の接続管部の端部に継手本体の装着筒部を挿入する。
2)前記圧入装置の管挾持手段を、前記樹脂管の接続管部の端部に対して径方向外方側から挾持固定するとともに、前記圧入装置の係合手段を、前記継手本体に形成されている係止突起又は連結フランジ部に対して前記樹脂管の接続管部側に引寄せ可能な状態で係合させたのち、前記圧入装置の管挾持手段と継手本体用の係合手段とを管軸芯方向で相対近接移動させる引寄せ手段により、前記樹脂管の接続管部に対してこれに挿入されている装着筒部に引き続いて継手本体の接続筒部を管軸芯方向から圧入する。
3)前記圧入装置の管挾持手段を、前記押圧スリーブにおける継手本体から離れる側の端部に係合可能なスリーブ用の係合手段に付け替え、前記継手本体用の係合手段とスリーブ用の係合手段を管軸芯方向で相対近接移動させる引寄せ手段により、圧入後の前記樹脂管の接続管部に対して押圧スリーブを外嵌状態で圧入したのち、前記圧入装置を撤去する。
【請求項8】
前記請求項7記載の樹脂管用継手の圧入接続方法に用いられる圧入装置であって、前記樹脂管の接続管部の端部を径方向外方側から挾持固定する管挾持手段と、前記継手本体に形成されている係止突起又は連結フランジ部に対して前記樹脂管の接続管部側に引寄せ可能な状態で係合する係合手段と、前記押圧スリーブにおける継手本体から離れる側の端部に係合可能なスリーブ用の係合手段と、前記管挾持手段と継手本体用の係合手段又はスリーブ用の係合手段と継手本体用の係合手段を管軸芯方向で相対近接移動させる引寄せ手段とが備えられているとともに、前記管挾持手段とスリーブ係合手段とが引寄せ手段に対して択一的に付け替え可能に構成されている圧入装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2009−30766(P2009−30766A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197525(P2007−197525)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(396020361)株式会社水道技術開発機構 (113)
【Fターム(参考)】