説明

樹脂組成物、接着フィルムおよび樹脂ワニス

【要約書】
【課題】 基板上に適用したときに、樹脂組成物の適用のための位置合わせ精度に優れる上に、フォトリソグラフィ技術におけるパターニング処理の解像度を向上させる。
【解決手段】 半導体部品と、基板とを接合するために用いる接着層を形成する樹脂組成物であって、ラジカル重合性二重結合を有する樹脂と、熱硬化性樹脂と、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂と、を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、接着フィルムおよび樹脂ワニスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の半導体部品と、インターポーザもしくはマザーボードと呼ばれるようなフレキシブル基板やリジッド基板、リードフレーム、有機物もしくは無機物からなる絶縁基板等の基板とを接合する場合、接着剤となる液状樹脂等をディスペンサー、ポッティング法により選択的に半導体素子や基板の一方に塗布したり、スキージ等で液状樹脂を部分的に塗布することで、適用している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献2には、MEMS(micro electro mechanical systems)の気密密閉に用いられる樹脂組成物であって、特にフォトリソグラフィ技術を利用して接着層を形成するのに好適な樹脂組成物が開示されている。
【特許文献1】特開平10-313070号公報
【特許文献2】特開2003-297876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたような液状樹脂を半導体素子や基板の一方に、ディスペンサー、ポッティング法により選択的に塗布する方法では、数μm〜数十μm程度の微細パターンに接着剤となる液状樹脂を塗布することは非常に困難であり、また、室温もしくは硬化過程において、接着剤となる液状樹脂が軟らかい為、変形し、位置合わせ精度が低下するといった問題が生じる。
【0005】
また、特許文献2に記載の樹脂組成物は、半導体素子のパッケージングに好適であり、特にフォトリソグラフィ技術を用いた樹脂組成物の適用を可能にすることで、より位置合わせ精度を向上させる。
【0006】
一方で、半導体素子のパッケージングにおいて、樹脂組成物を接着層として用いる接着フィルムとして使用する場合に、接着層となる樹脂組成物の保護のための保護フィルムに対する樹脂組成物の剥離性のさらなる向上が要求されることがある。また、接着層の保存性、すなわち接着フィルムとして用いた場合にはそれ自体の保存性、および半導体素子のパッケージングプロセス工程中にあっては基板への接着層のパターニング後の接着層の保存性などの向上が要求されることがある。いずれの要求に対しても、特許文献2には言及がなく、この観点から半導体素子のパッケージングに用いられる樹脂組成物には改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題は、下記(1)〜(8)に記載の技術により達成することができる。
(1)半導体部品と、基板とを接合するために用いる接着フィルムを形成するための樹脂組成物であって、前記樹脂組成物は、光硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂と、光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
(2)前記光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂は、光反応する官能基を有する熱硬化性樹脂を含むものである上記(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記光反応する官能基は、アクリロイル基、メタクリロイル基およびビニル基の中から選ばれる1種以上である上記(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記樹脂組成物が、さらに無機充填材を含むものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)前記光硬化性樹脂は、アクリル系樹脂を含むものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6)前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含むものである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(7)前記熱硬化性樹脂は、シリコーン変性エポキシ樹脂を含むものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(8)上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の樹脂組成物で構成されることを特徴とする接着フィルム。
【0008】
そこで、本発明に係る樹脂組成物は、半導体部品と、基板とを接合するために用いる接着層を形成するための樹脂組成物であって、
ラジカル重合性二重結合を有する樹脂と、熱硬化性樹脂と、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂と、を含む。
【0009】
本発明の樹脂組成物によれば、半導体素子と基板などの半導体用部品との接着に際し、接着対象のいずれか一方に樹脂組成物を適用した後に、マスクを用いた光照射を行うことで樹脂組成物中のラジカル重合性二重結合を有する樹脂が硬化反応を起こし、硬化反応が起こった部分の樹脂組成物が固定化される。続いて、アルカリ性溶液などの現像液により処理することにより、未反応のアルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂が溶解するため、未反応の樹脂組成物が溶解して、半導体素子または基板上に接着層のパターンが形成される。この光硬化した接着層をスペーサとして用いて、半導体素子を保護するガラス板を接着層に冠着した後、熱処理を行うことで後硬化反応を行う。これにより、樹脂組成物中のエポキシ樹脂が反応して、接着層は基板とガラス板との間で硬化するとともに、両者を接着する。
【0010】
この樹脂組成物において、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂の含有量は、樹脂組成物の樹脂成分中の10〜80重量%とすることができる。また、この樹脂組成物において、樹脂組成物の樹脂成分のうち、液状成分量を13重量%以上とすることができる。
【0011】
樹脂組成物の樹脂成分のうち、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂の含有量または樹脂組成物中の液状成分量を上記の範囲とすることで、フォトリソグラフィー法により樹脂をパターニングしたあと、熱圧着できるという機能を有することができる。
【0012】
また、この樹脂組成物において、無機充填剤をさらに含んでいてもよい。
無機充填剤をさらに含めることで、樹脂組成物を硬化させた後の寸法安定性および耐湿性を向上させることができ、また接着フィルムとして用いた場合の保護フィルムに対する剥離性を向上させることができる。
【0013】
また、この樹脂組成物において、可撓性エポキシ樹脂をさらに含んでいてもよい。
可撓性エポキシ樹脂をさらに含めることで、耐熱性を維持しつつ、樹脂組成物の可撓性を向上させることができ、半導体用材料としての信頼性を更に向上することができる。
【0014】
また、本発明に係る樹脂組成物は、半導体部品と、基板とを接合するために用いる接着フィルムを形成するための樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物は、光硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂と、光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂とを含む。
この樹脂組成物において、さらに無機充填材を含んでいてもよい。また、熱硬化性樹脂は、シリコーン変性エポキシ樹脂を含んでいてもよい。
【0015】
本発明に係る接着フィルムは、基材フィルムと、前述した樹脂組成物から形成される接着層とを含む。さらに、接着層の表面に当該接着層を保護するための保護フィルムを設けてもよい。
本発明の接着フィルムによれば、必要に応じて、この接着フィルムから保護フィルムを剥離して、露出する接着層を基板に貼り合わせることで、接着層としての樹脂組成物を効率よく基板上に適用することができるようになる。
【0016】
本発明に係る樹脂ワニスは、前述した樹脂組成物を含んでなる。
本発明の樹脂ワニスによれば、この樹脂ワニスを基板上に塗布することで、樹脂組成物を接着フィルムの接着層として適用したり、基板上に適用することができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板上に適用したときに、液状の樹脂組成物を用いる場合よりも、樹脂組成物の適用のための位置合わせ精度に優れる上に、フォトリソグラフィ技術におけるパターニング処理の解像度を向上させることができるため、半導体素子、例えば光学素子の保護の用途に好適な樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の樹脂組成物、接着フィルムおよび樹脂ワニスについて詳細に説明する。
本発明の実施形態の樹脂組成物は、半導体部品と、基板とを接合するために用いる接着層を形成する樹脂組成物であって、ラジカル重合性二重結合を有する樹脂と、熱硬化性樹脂と、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂と、を含んでいる。
また、言い換えれば、本実施形態の樹脂組成物は、半導体部品と、基板とを接合するために用いる接着フィルムを形成するための樹脂組成物であって、樹脂組成物は、光硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂と、光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂とを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の実施形態の接着フィルムは、基材フィルムと、前述した樹脂組成物から形成される接着層とを含んでなる。
また、本発明の実施形態の樹脂ワニスは、上記の樹脂組成物を含んでなる。
【0019】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態による樹脂組成物は、光硬化性樹脂(主として光照射により硬化する樹脂)であるラジカル重合性二重結合を有する樹脂と、熱硬化性樹脂(主として熱により硬化する樹脂)と、さらにアルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂とを必須成分として含む。なお、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂は、光および熱の両方で硬化可能な熱硬化性樹脂である。
【0020】
この樹脂組成物によれば、半導体素子などから部品を基板上に搭載する際に当該半導体素子の保護のためのガラス板などと前記基板との接着に際し、接着対象のいずれか一方に樹脂組成物を適用した後に、マスクを用いた光照射を行うことで樹脂組成物中のラジカル重合性二重結合を有する樹脂が硬化反応を起こし、硬化反応が起こった部分の樹脂組成物が固定化される。続いて、アルカリ性溶液などの現像液により処理することにより、未反応のアルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂が溶解するため、未反応の樹脂組成物が溶解して、半導体素子または基板上に接着層のパターンが形成される。この光硬化した接着層をスペーサとして用いて、半導体素子を保護するガラス板を接着層に冠着した後、熱処理を行うことで後硬化反応を行う。これにより、樹脂組成物中のエポキシ樹脂が反応して、接着層は基板とガラス板との間で硬化するとともに、両者を接着する。
【0021】
ラジカル重合性二重結合を有する樹脂は、光硬化性樹脂、特に紫外線硬化性樹脂であり、このような樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル、アクリロイル基またはメタクリロイル基を、一分子中に少なくとも1個以上するアクリル系モノマーやオリゴマーなどが挙げられ、これらは単独で用いることも可能であり、また、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0022】
これらの中でもアクリル系化合物を主成分とする紫外線硬化性樹脂が好ましい。アクリル系化合物は光を照射した際の硬化速度が速く、これにより、比較的少量の露光量で樹脂をパターニングすることができる。
【0023】
アクリル系化合物としては、アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルのモノマー等が挙げられ、具体的にはジアクリル酸エチレングリコール、ジメタクリ酸エチレングリコール、ジアクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジメタクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジアクリル酸グリセリン、ジメタクリル酸グリセリン、ジアクリル酸1,10-デカンジオール、ジメタクリル酸1,10-デカンジオール等の2官能アクリレート、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、トリメタクリル酸ペンタエリスリトール、ヘキサアクリル酸ジペンタエリスリトール、ヘキサメタクリル酸ジペンタエリスリトール等の多官能アクリレートなどが挙げられる。これらの中でもアクリル酸エステルが好ましく、特に好ましくはエステル部位の炭素数が1〜15のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。
【0024】
また、光硬化性樹脂は、特に限定されないが、常温で液状であることが好ましい。これにより、紫外線による硬化反応性を向上することができる。さらに、熱硬化性樹脂との混合作業を容易にすることができる。常温で液状の紫外線硬化性樹脂としては、前述したアクリル化合物を主成分とする紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。
【0025】
ここで、光硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂、:ラジカル重合性二重結合を有する樹脂のみで、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂は含まない)の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の5〜60重量%が好ましく、特に8〜30重量%が好ましい。特に、樹脂組成物の樹脂成分(無機充填剤を除く全部の成分)のうち、9重量%以上、好ましくは13重量%以上であることが好ましい。
【0026】
光硬化性樹脂の含有量が大きくなり過ぎると樹脂組成物の耐熱性が損なわれる場合があり、また光硬化性樹脂は樹脂組成物中の液体成分であることから固形分に対する液体成分の量が多くなり樹脂が軟らかくなり過ぎる傾向にあり、一方で光硬化性樹脂の含有量が小さくなり過ぎると可撓性が損なわれる場合があり、また光(例えば紫外線)照射による樹脂のパターニングを十分に行えない場合が生じるおそれがある。したがって、光硬化性樹脂の含有量を上記の範囲にすることで、両者のバランスに優れ、例えば耐熱性、可撓性のバランスを損なわないで、特に接着フィルムに適用したときの保護フィルムなどに対する剥離性が良好な樹脂組成物を提供することができる。
【0027】
また、樹脂組成物には、さらに、光重合開始剤を併用することが好ましい。これにより、光重合により樹脂を効率良くパターニングすることができる。
【0028】
このような光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルフィニルサルファイド、ベンジル、ジベンジル、ジアセチルなどが挙げられる。
【0029】
この光重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の0.5〜5重量%が好ましく、特に0.8〜2.5重量%が好ましい。光重合開始剤の含有量が小さくなり過ぎると光重合開始する効果が低下する場合があり、一方で大きくなり過ぎると反応性が高くなりすぎ、使用前における樹脂組成物の保存性や上記のパターニング後の解像性が低下する場合がある。したがって、光重合開始剤を上記の範囲とすることで、両者のバランスに優れた樹脂組成物を提供することができる。
【0030】
また、熱硬化性樹脂としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾールフェノール樹脂等のフェノール樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても良い。これらの中でもエポキシ樹脂が特に好ましい。これにより、耐熱性および密着性をより向上することができる。
【0031】
ここで、熱硬化性樹脂として、室温で固形のエポキシ樹脂、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂と、可撓性エポキシ樹脂、例えば室温で液状のエポキシ樹脂、例えば室温で液状であるシリコーン変性エポキシ樹脂とを併用してもよい。これにより、耐熱性を維持しつつ、樹脂組成物の可撓性およびフォトリソグラフィ技術による接着層のパターニングの解像性と、接着性のバランスに優れる樹脂組成物を提供することができる。
【0032】
また、熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の10〜40重量%が好ましく、特に15〜35重量%が好ましい。熱硬化性樹脂の含有量が小さくなり過ぎると耐熱性を向上させる効果が低下する場合があり、一方で大きくなりすぎると靭性を向上させる効果が低下する場合がある。したがって、熱硬化性樹脂の含有量を上記の範囲とすることで、両者のバランスに優れる樹脂組成物を提供することができる。
【0033】
また、室温で液状である熱硬化性樹脂を併用する場合、前記の液状である光硬化性樹脂とこの液状熱硬化性樹脂との合計量が、前記樹脂組成物全体の60重量%以下であることが好ましく、特に50重量%以下であることが好ましい。特に、樹脂組成物の樹脂成分(無機充填剤を除く全部の成分)のうち、13重量%以上、さらに好ましくは14重量%以上、より好ましくは18重量%以上であることが好ましい。液状の光硬化性樹脂と液状の熱硬化性樹脂との合計量を上記の範囲とすることで、特に樹脂組成物の耐熱性と、可撓性と、フォトリソグラフィ技術による接着層のパターニングの解像性と接着性のバランスに優れる樹脂組成物を提供することができる。
【0034】
また、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂は、光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂である。ここで、アルカリ可溶性基としては水酸基、カルボキシル基などが挙げられる。また、アルカリ可溶性基は熱硬化反応に寄与することもできる。このような樹脂としては、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等の光反応基を有する熱硬化性樹脂や、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシル基、酸無水物基等の熱反応基を有する光硬化性樹脂等が挙げられる。なお、光硬化性樹脂は、さらにエポキシ基、アミノ基、シアネート基等の熱反応基を有していてもよい。具体的には、アクリル変性フェノール樹脂、アクリロイル基含有アクリル酸重合体等が挙げられる。これらの中でもアクリル変性フェノール樹脂が好ましい。アルカリ可溶性基を含む樹脂を用いることにより、現像処理時に二重結合部分が未反応の樹脂を除去する際に、現像液として通常用いられる有機溶剤の代わりに、環境に対する負荷のより少ないアルカリ水溶液を適用することができると共に、二重結合部分が硬化反応に寄与することから樹脂組成物の耐熱性を維持することができる。
なお、前記硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂で前述したものを用いることができ、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂はこれらの光硬化性樹脂に熱反応基を導入したり、あるいは熱硬化性樹脂に光反応基を導入することにより得られる。
【0035】
ここで、光反応基を有する熱硬化性樹脂を用いる場合、前記光反応基の変性率(置換率)は、特に限定されないが、前記アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂の反応基全体の20〜80%が好ましく、特に30〜70%が好ましい。光反応基の変性量を上記の範囲とすることで、特に解像性に優れる樹脂組成物を提供することができる。
【0036】
一方、熱反応基を有する光硬化性樹脂を用いる場合、前記熱反応基の変性率(置換率)は、特に限定されないが、前記アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂の反応基全体の20〜80%が好ましく、特に30〜70%が好ましい。熱反応基の変性量を上記の範囲とすることで、特に解像性に優れる樹脂組成物を提供することができる。
【0037】
ここで、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の15〜50重量%が好ましく、特に20〜40重量%が好ましい。特に、樹脂組成物の樹脂成分(無機充填剤を除く全部の成分)のうち、10〜80重量%、好ましくは15〜70重量%であってもよい。アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂の含有量が小さくなり過ぎると光硬化性樹脂および熱硬化性樹脂との相溶性を向上させる効果が低下する場合があり、一方で大きくなり過ぎると現像性またはフォトリソグラフィ技術による接着層のパターニングの解像性が低下する場合がある。
【0038】
また、耐熱性や、寸法安定性、耐湿性等の特性が特に要求される場合には、樹脂組成物は、さらに無機充填材を含有することが好ましい。
このような無機充填材としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、溶融シリカ(溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ)、結晶シリカ等のシリカ粉末等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物等を挙げることができる。これら無機充填材は、単独でも混合して使用しても良い。これらの中でも溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末が好ましく、特に球状溶融シリカが好ましい。
【0039】
無機充填剤を樹脂組成物に含めることにより、樹脂組成物を硬化させた後の耐熱性、耐湿性、強度等を向上させることができ、また接着フィルムとして用いた場合の保護フィルムに対する剥離性を向上させることができる。なお、無機充填材の形状は、特に限定されないが、真球状であることが好ましく、これにより、特性に異方性の無い接着フィルムの接着層として好適な樹脂組成物を提供することができる。
【0040】
また、無機充填材の平均粒子径は、特に限定されないが、0.1〜30μmが好ましく、特に0.3〜10μmが好ましい。この平均粒子径が小さくなり過ぎると無機充填材が凝集しやすくなった結果、強度が低下する場合があり、一方で大きくなり過ぎると露光およびフォトリソグラフィ技術による接着層のパターニングの解像性が低下する場合がある。
【0041】
ここで、無機充填材の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の10〜60重量%が好ましく、特に20〜50重量%が好ましい。無機充填剤の含有量が小さくなり過ぎると耐熱性、寸法安定性、吸湿性を向上させる効果が低下する場合があり、一方で大きくなり過ぎるとフォトリソグラフィ技術による接着層のパターニングの解像性が低下する場合がある。
【0042】
また、この樹脂組成物を光硬化直後に試験用の孔を開けて、この孔の直径の5日後の変化率(5日後の直径/光硬化直後の直径)が、95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上であってもよい。この変化率は、光硬化後の樹脂組成物の接着層としての機能保存性の指標として扱うことができ、この値が上記の範囲にあることで、樹脂組成物の接着層としての機能の保存性を向上させることができるようになり、接着フィルムに用いたときには接着フィルム自身の保存性が向上する。また、半導体素子のパッケージングプロセス工程にあっては、パターニング後の接着層の再接着機能に関する保存性も向上するので、パッケージングプロセス自体の時間的な自由度が大きくなる。
【0043】
前記樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で紫外線吸収剤、レベリング剤等
の添加剤を添加することができる。
【0044】
また、本実施形態の樹脂ワニスは、上記の樹脂組成物を含んでなり、例えば樹脂組成物を適当な有機溶剤、例えばN-メチル-2-ピロリドン、アニソール、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル等の中で混合して得られる。
【0045】
この樹脂ワニスを基板上に塗布することで、樹脂組成物を接着フィルムの接着層として適用したり、基板上に適用することができるようになる。
【0046】
図1は、本実施形態の接着フィルムの構成例を示す図である。
接着フィルム10は、基材フィルム11と、前述した樹脂組成物から形成される接着層12とを含んでなる。
【0047】
基材フィルム11は、接着層のフィルム状態を維持するという観点からフィルム特性、例えば破断強度、可撓性などに優れるフィルム支持基材であり、基材フィルム11の上にマスクパターンをおいて露光してパターニングを行う場合、この基材フィルム11は紫外線透過性を有することが好ましい。このような基材フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等が挙げられる。
【0048】
また、接着層12は前述した樹脂組成物を用いることができる。このように、接着フィルム10の接着層12に前記樹脂組成物を用いることで、この接着フィルム10はフォトリソグラフィ技術により露光、現像、パターニングした後でも接着層の接着性を保持することができる。さらに、前述したように、光および熱の両方で硬化可能な熱硬化性樹脂をも併用しているので、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂との相溶性を向上することができる。これにより、光硬化および熱硬化の二段階の各硬化反応により生じる可能性のあるマクロ相分離を低減することができ、接着フィルムの強度を高めることができ、最終製品の信頼性を向上することができる。
【0049】
ここで、樹脂組成物を用いて得られた接着フィルム10が、露光、現像、パターニングした後でも接着層12の接着性を保持することができる理由は、以下のように考えられる。
フォトマスク等を用いて接着フィルムに光を選択的に照射すると、照射された部分の接着フィルムを構成する樹脂組成物に含まれる光硬化性樹脂が光硬化する。このため、現像液、例えばアルカリ水溶液、有機溶剤などで、光照射(露光)後の接着フィルムを現像すると、光照射された部分のみが、現像液に溶解せずに残り、目的の形状に、位置合わせ精度よく、接着フィルムをパターニングする(残す)ことができる。一方、樹脂組成物中の熱硬化性樹脂は、パターニング後の段階では殆ど未反応であるため、加圧処理または加熱加圧処理により熱硬化性樹脂が樹脂表面に染み出し被着体と接着することができる。さらに、光照射で硬化した光硬化性樹脂もガラス転移温度以上で圧着することにより、光硬化性樹脂が軟化し接着性の向上に寄与することができる。また、未反応の熱硬化性樹脂部分が、すでに硬化した光硬化性樹脂部分の可塑剤としても作用し被着体との接着をより強固にする。フィルム厚みを選択することにより、このようにして二つの被着体の間に形成された接着層は、スペーサとして作用することもできる。
【0050】
このように、接着フィルムを、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングした後に、熱圧着で半導体部品と、基板との間の接着に寄与することができるので、従来において調整が困難であった接着層の位置合わせ精度(所定の部位に接着剤成分を配置できる)に優れる接着フィルムを提供することができる。
【0051】
また、接着フィルム10には、表面に接着層12を保護するための保護フィルム13を設けてもよい。この保護フィルム13としては、接着層のフィルム状態を維持するという観点からフィルム特性、例えば破断強度、可撓性などに優れ、特に接着層との剥離性が良好な材質であれば何でもよく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)が挙げられる。なお、保護フィルムは、不透明な材質から形成されていてもよい。
【0052】
本実施形態の接着フィルムによれば、必要に応じて、この接着フィルム10から保護フィルム13を剥離して、露出する接着層12を基板に貼り合わせることで、接着層としての樹脂組成物を効率よく基板上に適用することができるようになる。
【0053】
本実施形態の接着フィルムは、例えば以下のような方法で得ることができる。
前記の樹脂組成物を用いて、前述したように、樹脂ワニスを作成し、この樹脂ワニスを前記のフィルム支持基材にフローコーター、ロールコーター、コンマコーター等で塗布してフィルムを形成することで得ることができる。
【0054】
この接着フィルム10の厚さは、特に限定されないが、10〜100μmが好ましく、特に20〜70μmが好ましい。接着フィルム10の厚さが小さくなり過ぎると接着フィルムを被着体面上に存在する段差にボイド(気泡)がなく、被着体表面の形状に追従するように埋め込んで接着できない場合があり、一方で大きくなり過ぎるとフォトリソグラフィ技術によるパターニングの解像度が低下する場合がある。したがって、接着フィルム10の厚さを上記の範囲とすることで、両者のバランスに優れる接着フィルムを提供することができる。
【0055】
接着フィルム10を接合する一方の被着体として用いる半導体部品としては、例えば、半導体素子、それをパッケージングした半導体パッケージなどが挙げられ、他方の被着体として用いる基板としてはインターポーザーもしくはマザーボードと呼ばれるようなフレキシブル基板やリジッド基板、リードフレーム、有機物もしくは無機物等で構成される絶縁基板、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ガラス等の透明基板が挙げられる。
【0056】
ここで、半導体部品と、透明基板とを接合するために本実施形態の接着フィルムを好適に使用することができる。その理由としては、前述したように、半導体部品(または基板)に、接着フィルムを用いて接着層をフォトリソグラフィ技術によりパターニングした後、圧着して半導体部品と基板とを光硬化により仮接着し、接着フィルムを熱硬化することにより本接着するところ、基板として透明基板を用いた場合は、仮接着後に透明基板を通して接着フィルムに光を照射することができ、未反応の光硬化性樹脂の成分を反応させることができ、それによって仮接着時、すなわち光硬化後であって熱硬化前の状態の接着強度を向上させることができる。
【0057】
基板の厚さは、特に限定されないが、100〜1,000μmが好ましく、特に300〜700μmが好ましい。基板の厚さが小さくなり過ぎると加工時に透明基板が破壊される場合があり、一方で大きくなり過ぎると、特に固体撮像素子用パッケージを作製する場合にあっては、再現する画像にゆがみ等の影響を与え、実像との差が生じる場合がある。
【0058】
さらに、接着フィルムは、被着体として用いる半導体部品または基板の片面側に形成して、フォトリソグラフィ技術によりパターニングした後でも、その後の熱圧着により接着性を有する接着フィルムであって、前記パターニングした後における前記接着フィルムのズリ弾性率が10MPaになる温度が、180℃以下であってもよい。
【0059】
接着フィルムのズリ弾性率が10MPaになる温度は、より好ましくは50〜160℃であり、特に60〜150℃が好ましい。ここで、ズリ弾性率が10MPa以下であると接着フィルムは被着体に接着できる。このため、接着フィルムのズリ弾性率が10MPaになる温度を上記の範囲とすることで、180℃以下で接着できること、つまり、特に低温での加工性に優れることを意味する。低温での加工性に優れることで、熱による半導体部品等の劣化、貼り付け時のボイドの発生や、基板等の反りを防止することができる。
【0060】
また、ズリ弾性率が10MPaになる温度が180℃以下である接着フィルムを得る方法としては、例えば樹脂組成物に液状成分や、融点が180℃以下の固形成分を添加する方法等が挙げられる。
【実施例1】
【0061】
以下、本発明を実験例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実験例1)
1.アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂:メタクリル変性フェノールノボラック樹脂)の合成
フェノールノボラック(大日本インキ化学工業(株)製、フェノライトTD-2090−60M)の不揮発分70%MEK溶液600g(OH約4当量)を、2Lのフラスコ中に投入し、これにトリブチルアミン1g、およびハイドロキノン0.2gを添加し、110℃に加温した。その中へ、グリシジルメタクリレート284g(2モル)を30分間で滴下した後、110℃で5時間攪拌反応させることにより、不揮発分80%メタクリロイル基含有フェノールノボラック(メタクリロイル基変性率50%)を得た。
【0062】
2.樹脂ワニスの調製
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)14.1重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)15.4重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)4.4重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂25.8重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)2.3重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)27.3重量%、溶剤としてメチルエチルケトン10.7重量%を秤量し、ディスパーザーを用い、回転数5,000rpmで1時間攪拌し、樹脂ワニスを調製した。
【0063】
3.接着フィルムの製造
上述の樹脂ワニスをコンマコーターで支持基材ポリエステルフィルム(三菱ポリエステルフィルム(株)製、T100G、厚さ25μm)に塗布し、80℃で、10分乾燥してフィルム化し、膜厚50μmの接着フィルムを得た。
【0064】
(実験例2)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)8.8重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)15.4重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)3.1重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂44.3重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)1.4重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)20.2重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン6.8重量%とした。
【0065】
(実験例3)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)14.8重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)28.4重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)9.8重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂17.1重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)2.3重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)20.2重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン7.4重量%とした。
【0066】
(実験例4)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)14.1重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)15.4重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂30.2重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)2.3重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)27.3重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン10.7重量%とした。
【0067】
(実験例5)
アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)を、カルボキシル基およびアクリル基を有する樹脂(ダイセル化学工業(株)製、サイクロマーP)とした以外は、実験例1と同様にした。
【0068】
(実験例6)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)7.6重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)16.6重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)4.7重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂27.8重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)2.5重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)29.4重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン11.5重量%とした。
【0069】
(実験例7)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)10.7重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)23.5重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)6.7重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂39.3重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)3.5重量%、溶剤としてメチルエチルケトン16.3重量%とした。
【0070】
(実験例8)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)10.7重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)23.5重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)6.7重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)としてカルボキシル基およびアクリル基を有する樹脂(ダイセル化学工業(株)製、サイクロマーP)39.3重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)3.5重量%、溶剤としてメチルエチルケトン16.3重量%とした。
【0071】
(実験例9)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)6.8重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)13.7重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)2.5重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂27.4重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)0.9重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)23.4重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン25.3重量%とした。
【0072】
(実験例10)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)12.4重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)12.9重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)2.4重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂25.8重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)0.8重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)22.0重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン23.8重量%とした。
【0073】
(実験例11)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)19.0重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)11.9重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)2.2重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂23.8重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)0.8重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)20.3重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン22.0重量%とした。
【0074】
(実験例12)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)4.5重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)14.1重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)2.6重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂28.1重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)0.9重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)23.9重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン26.0重量%とした。
【0075】
(実験例13)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)7.9重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)2.1重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂32.1重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)1.0重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)27.3重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン29.6重量%とした。
【0076】
(実験例14)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)7.3重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)7.1重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)2.7重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂29.5重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)0.9重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)25.2重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン27.3重量%とした。
【0077】
(実験例15)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)8.9重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)17.9重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)3.3重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂35.8重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)1.1重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン33.0重量%とした。
【0078】
(実験例16)
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)を用いずに樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)18.4重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)7.4重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂30.9重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)2.3重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)30.3重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン10.7重量%とした。
【0079】
(実験例17)
熱硬化性樹脂を用いずに樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)17.6重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂32.2重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)2.9重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)34.0重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン13.3重量%とした。
【0080】
(実験例18)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)6.8重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)13.7重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)2.5重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂27.4重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)0.9重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)23.3重量%、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP)0.1重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン25.3重量%とした。
【0081】
(実験例19)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)6.7重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)13.6重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)2.5重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂27.2重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)0.9重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)23.2重量%、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP)0.9重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン25.1重量%とした。
【0082】
(実験例20)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)0.9重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)14.6重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)2.7重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂29.2重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)0.9重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)24.8重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン26.9重量%とした。
【0083】
(実験例21)
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実験例1と同様にした。
ランダム重合性二重結合を有する樹脂(光硬化性樹脂)として室温で液状のアクリル樹脂モノマー(三洋化成(株)製、ネオマーPM201)5.2重量%、熱硬化性樹脂としてビスAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンN-865)33.7重量%、シリコーンエポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、BY16-115)1.9重量%、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂)として上記の合成したメタクリル変性フェノールノボラック樹脂21.1重量%、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア651)0.7重量%、無機充填剤としてのシリカフィラー((株)アドマテックス、SE2050)17.9重量%とし、溶剤としてメチルエチルケトン19.5重量%とした。
【0084】
以上の樹脂ワニスを、比較のために以下に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
各実験例で得られた接着フィルムについて、以下の評価を行った。評価項目を、内容と共に示す。得られた結果を表3,4に示す。
【0088】
1)剥離強度
実験例1の「3.接着フィルムの製造」に示した要領で各実施例の接着フィルムを作製し、ロールラミネーター(旭化成製)を用いて、接着樹脂層側にカバーフィルム(王子フィルムセパRL−01(Z))を室温でラミネートする。ラミネート後のサンプルを10mm×200mmに裁断し、5つの剥離強度測定用サンプルを作製した。両面テープを用いて、各測定用サンプルのPET基材面をプラスチック基板(200mm×20mm×2mm)に貼り付け、接着剤層とカバーフィルム界面が180度剥離するように引張試験機に取り付け測定を行った。引張速度は1000mm/分とし、5回の測定の平均値を求めた。
【0089】
2)フィルム特性(引張破壊強さ)
得られた接着フィルムを波長365nmの光が750mJ/cm2照射されるように露光し、120℃で1時間、180℃で2時間硬化して、フィルム硬化物を得た。そのフィルム硬化物をJIS K 7127に準じてダンベル型試験片を作製し、引張試験を行なった。そしてそれぞれの接着フィルムの引張破壊強さを求めた。
【0090】
3)現像性
得られた接着フィルムの現像性を、25℃、3%のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)に浸け、3分以内に樹脂が溶解し、支持基材ポリエステルフィルム上に残っていなければ、「現像性有り(可能)」と判断し、樹脂が残っていれば「現像性無し(不可能)」と判断した。表中では、現像性ありを○で示し、現像性なしを×で示している。
【0091】
4)解像性(開口率)
パターニングの解像性は、以下のように開口率で評価した。
得られた接着フィルムをポリイミドフィルムに55℃でラミネートし、直径200μmのビアが開口できるようなネガティブタイプのフィルムマスクを用いて、波長365nmの光が200mJ/cm2照射されるようにパターン露光した。
その後、3%TMAHを用いて、スプレー圧0.1MPaで90秒現像し、測長顕微鏡でパターニングされたビア(試験用の孔)の直径を測定し、下記の式を用いて開口率を算出した。
開口率(%)=実測された開口部の直径(μm)/マスクの直径200(μm)X100
【0092】
5)保存性(開口率の変化)
接着フィルムを作製し、30℃で5日間保管した。上記の解像性(開口率)評価方法と同様にして、5日間保管後の接着フィルムを加工し、開口率を求め、(5日間保管後の開口部の直径)/(フィルム化直後の開口部の直径)を試験用の孔の変化率として評価した。
【0093】
6)パターン後のズリ弾性率
波長365nmの光を750mJ/cm2照射した接着フィルムのズリ弾性率が10MPaになる温度を、動的弾性測定装置(レオロジカ社製、VAR-50、1Hz)を用いて測定した。
【0094】
表3,4から明らかなように、実験例1〜8は、ラジカル重合性二重結合を有する樹脂であるアクリル樹脂化合物を含まない実験例16、および熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂およびシリコーンエポキシ樹脂のいずれも含まない実験例17と比較して、接着フィルムの引張強度が高く、フィルム特性に優れており、現像性およびパターニングの解像性にも優れていた。
中でも、実験例1,2,4は現像性、解像性、接着性に優れていた。
【0095】
特に、実験例16は、ラジカル重合性二重結合を有する樹脂を含んでいないため、光照射では固まらないため、熱硬化させることで評価したところ、引張強度および現像性には優れるが、パターニングの解像性には劣っていた。また、実験例17は、熱硬化性樹脂を含んでいないため、光照射のみにより硬化させて評価したところ、接着フィルムに適用したときの引張強度が低く、フィルム特性にも劣っていた。
【0096】
また、実験例9,18,19では、それぞれTPPが含まれるか否かの違い以外は、他の成分比がほぼ同じ樹脂組成物が得られたが、保存性を示す開口率の変化、すなわち試験用の孔の直径の変化率(30℃で5日間保管後の変化率)が、実験例9よりも実験例18,19の方が大きかった。また、実験例9、18,19の30℃で5日間保管した後にパターニングしたサンプルの開口部を観察してみると、実験例9の開口部の底には現像後の樹脂残渣が確認できないのに対して、実験例18.19は開口部の底に樹脂残渣が確認された。これは、実験例18,19に含まれる硬化促進剤のトリフェニルホスフィン(TPP)が、室温(30℃)保管時に熱硬化成分の反応を進行させ、解像性の悪化(開口率の低下)を招き、保存性の悪化につながるものであったと考えられる。
【0097】
また、実験例9と実験例15では、無機充填剤であるフィラーの有無で異なっており、フィラーを含む実験例9よりもフィラーを含まない実験例15の方が剥離強度に劣ったと考えられる。
また、実験例20〜21では、液状成分比が低いため、現像を行うことができなかったと考えられる。
【0098】
次に、実験例1〜19の接着フィルムの接着強度、位置合わせ精度、はみ出し等について評価する。
基板としてシリコーン板(厚さ550μm)と、ポリイミドフィルム(厚さ50μm)と、PETフィルム(厚さ180μm)と、銅板(厚さ500μm)と、42アロイの合金板(厚さ300μm)と、ガラスエポキシ板(ガラス不織布入りエポキシ樹脂板(厚さ1mm)とをそれぞれ用い、実験例1〜9で得られた接着フィルムを40〜80℃でラミネートした。そして、図2に示すパターンが残るように設計されたネガタイプのマスクを用い、露光機を使用して、波長365nmの光が750mJ/cm2照射されるように露光した。なお、図2には、フィルム接着強度、位置合わせ精度、はみ出しを評価するためのパターンマスクを示し、接着フィルム2の中の樹脂残存部3が紫外線透過性を有し、それ以外の部分が紫外線非透過性を有する。また、この樹脂残存部3は4mm×4mmの大きさで、8mmの間隔で設けられている。
【0099】
次に、実験例1〜15および17〜19の接着フィルムについては、3%TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を用いて、スプレー圧0.1MPaで90秒現像し、接着フィルムをパターニングした。そして、パターニング後の接着フィルムが接合した基板を12mm角に切断した。
次に、12mm角に切断した基板の接着フィルム面側に、5mm角のシリコーン板(厚さ550μm)をさらに貼り合わせて120℃で1時間、その後160℃で2時間硬化して、前記基板同士が上述の接着フィルムで接着された接着体を得た。
【0100】
また、実験例16の接着フィルムについては、3%TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を用いて、スプレー圧0.1MPaで90秒現像し、接着フィルムをパターニングしたところ、パターニングを行うことができなかった。
【0101】
各実験例1〜19で得られた接着体について、以下の評価を行った。評価項目を、内容と共に示す。得られた結果を表3,4に示す。
1)位置合わせ精度
顕微鏡を用いて、ポリイミド上にパターニング後(さらにシリコーン板を接合する前)の接着フィルムを観察した。図2に示す樹脂残存部3の変形や湾曲が無く、正方形であり、樹脂の端面が凸凹でなく一直線である(凸凹差が10μm以内)場合を合格とした。また、正方形でなく、変形していたり、樹脂の端面が凸凹であったり、パターニングできない場合を不合格とした。
【0102】
2)接着剤成分のはみ出し性
上記ポリイミド上に図2のようにパターニングしたサンプルの樹脂残存部一辺の長さを測長顕微鏡で測定し、樹脂のズリ弾性率が10MPaになる温度より10℃高い温度で、ガラス(1cm×1cm×500μm)を0.5MPaで3秒間熱圧着した。その後、ガラスを通して、測長顕微鏡で樹脂残存部一辺の長さを測定し、下記式により濡れ拡がり率を求めた。
濡れ拡がり率(%)=(圧着後の長さ−圧着前の長さ)×100/圧着前の長さ
なお、この濡れ広がり率が10%以上になると、フォトリソグラフィ技術を用いたパターニング可能な接着剤としては適当ではないため、10%未満の範囲で下記のように二段階で評価した。
A:濡れ拡がり率が5%未満
B:濡れ広がり率が、5%以上10%未満
【0103】
3)接着強度
得られた接着体の基板部を固定して、上部のシリコーン板のみにせん断力を加え、基板とシリコーン板との間のせん断強度を測定した。なお、せん断速度は、1mm/秒と、サンプル数は各5個として、平均値を算出した。
【0104】
【表3】

【0105】
【表4】

【0106】
表3,4から明らかなように、実験例1〜15および17〜19は、接着剤成分の位置合わせ精度に優れていた。
また、実験例1、2、4、6、9〜11、13、14、17、18、19は、接着剤のはみ出しも特に少なかった。
また、実験例1〜15および18〜19は、シリコン板と各基板との接着強度が高く、接着性に優れていることが示された。一方、実験例16は、現像性と解像度不足によるパターニング不良のため、測定を行うことができなかった。
ここで、実験例17の樹脂組成物を用いた接着フィルムは、接着剤成分の位置合わせ精度に優れおよび接着剤のはみ出しも少ないものの、前述したようにフィルム特性に劣り、また実験例18,19の樹脂組成物は、接着剤成分の位置合わせ精度および基板に対する接着性に優れおよび接着剤のはみ出しも少ないものの、前述したように保存性に劣るため、いずれの場合においても実用性において低い。
【0107】
したがって、本発明の樹脂組成物を用いてなる接着フィルムを用いて、半導体部品と、基板とを接着した場合、位置合わせ精度に優れ、接着剤成分のはみ出しを少なくすることができることが予想される。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本実施形態の接着フィルムの構成を示す図である。
【図2】本実施形態の接着フィルムを基板に接合後、パターニングした後の状態を模式的に示す上面図である。
【符号の説明】
【0109】
1 基板
2 接着フィルム
3 樹脂残存部
10 接着フィルム
11 基材フィルム
12 接着層
13 保護フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体部品と、基板とを接合するために用いる接着層を形成する樹脂組成物であって、
ラジカル重合性二重結合を有する樹脂と、熱硬化性樹脂と、アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂と、を含む樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂組成物において、
前記アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂の含有量は、樹脂組成物の樹脂成分中の10〜80重量%であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の樹脂組成物において、
前記樹脂組成物の樹脂成分のうち、液状成分量が13重量%以上であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の樹脂組成物において、
無機充填剤をさらに含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の樹脂組成物において、
可撓性エポキシ樹脂をさらに含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項6】
半導体部品と、基板とを接合するために用いる接着フィルムを形成するための樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物は、光硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂と、光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の樹脂組成物において、
さらに無機充填材を含むものである樹脂組成物。
【請求項8】
請求項6に記載の樹脂組成物において、
前記熱硬化性樹脂は、シリコーン変性エポキシ樹脂を含むものである樹脂組成物。
【請求項9】
基材フィルムと、請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物から形成される接着層とを含む接着フィルム。
【請求項10】
請求項9に記載の接着フィルムであって、
前記接着層の表面に当該接着層を保護するための保護フィルムをさらに設けたことを特徴とする接着フィルム。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物を含んでなる樹脂ワニス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−16610(P2006−16610A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−160356(P2005−160356)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】