説明

樹脂部品への部品取付け構造

【課題】樹脂部品にボス部を設ける必要がなく、しかも、補助部品を樹脂部品に強固に取り付けることができる。
【解決手段】ロアグリル16(補助部品)に設けられた当接部26が、バンパカバー14(樹脂部品)に設けられた係止爪28の下側面に当接する。この係止爪28の上側には、ロアグリル16に設けられたボス部34が配置され、このボス部34には押圧片40が締結される。この押圧片40は、係止爪28の上側面に当接し、当該係止爪28を当接部26側へ押圧する。これにより、バンパカバー14の係止爪28がロアグリル16の当接部26と押圧片40との間で挟持されるため、当該挟持力によってロアグリル16をバンパカバー14に強固に取り付けることができる。しかも、ボス部34がロアグリル16に設けられた構成であるため、バンパカバー14にボス部を設ける必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂部品に補助部品を取り付けるための樹脂部品への部品取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂部品にボス部を設定し、このボス部に補助部品(他部品)を締結することが行われている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献に示された部品取付け構造では、車両のインストルメントパネル(樹脂部品)の裏面にボス部が一体成形され、このボス部にグラブボックス用のストライカ(補助部品)がボルト締めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−130287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の如き部品取付け構造では、樹脂部品の裏面にボス部が設定されるため、樹脂部品の意匠面に所謂ヒケ等の成形不良が発生し、見栄えの点で問題が生じてしまう。このため、意匠面の成形不良が目立つ部位にはボス部を設定することができず、爪による嵌合構造などにより補助部品を樹脂部品に取り付けている。しかしながら、爪による嵌合構造などでは、両者を強固に結合することができないため、補助部品が容易に外れたり、結合不良を起こしたりする可能性がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、樹脂部品にボス部を設ける必要がなく、しかも、補助部品を樹脂部品に強固に取り付けることができる樹脂部品への部品取付け構造を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る樹脂部品への部品取付け構造は、係止部を有する樹脂部品と、前記係止部の一側に当接する当接部、及び前記係止部の他側に配置されるボス部を有する補助部品と、前記ボス部に締結されて前記係止部の他側に当接し、前記係止部を前記当接部側へ押圧する押圧片と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の樹脂部品への部品取付け構造では、補助部品に設けられた当接部が、樹脂部品に設けられた係止部の一側に当接する。この係止部の他側には、補助部品に設けられたボス部が配置され、このボス部には押圧片が締結される。この押圧片は、係止部の他側に当接し、当該係止部を当接部側へ押圧する。これにより、樹脂部品の係止部が補助部品の当接部と押圧片との間で挟持されるため、当該挟持力によって補助部品を樹脂部品に強固に取り付けることができる。しかも、ボス部が補助部品に設けられた構成であるため、樹脂部品にボス部を設ける必要がない。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る樹脂部品への部品取付け構造は、請求項1に記載の樹脂部品への部品取付け構造において、前記押圧片は、ネジ部材によって前記ボス部に締結されると共に、前記ボス部への前記ネジ部材のねじ込み量を調節することにより、前記押圧片による前記係止部の押圧力を調節可能とされていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の樹脂部品への部品取付け構造では、ボス部へのネジ部材のねじ込み量を調節することで、押圧片による係止部の押圧力を調節することができる。これにより、押圧片と当接部による係止部の挟持力を調節することができるため、必要に応じて樹脂部品に対する補助部品の取付強度を調節することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明に係る樹脂部品への部品取付け構造は、請求項2に記載の樹脂部品への部品取付け構造において、前記ボス部は、前記押圧片が締結される締結面の一側が他側に対して前記ネジ部材のねじ込み方向に退避していることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の樹脂部品への部品取付け構造では、押圧片がネジ部材によってボス部の締結面の他側に締結された状態で、締結面の一側と押圧片との間に隙間が確保される。このため、この状態から更にネジ部材をねじ込むことで、押圧片の全部又は一部をボス部に対して変位させることができる。したがって、この変位によって押圧片の係止部への当接状態を変更することができるため、押圧片による係止部の押圧力を調節することができる。したがって、簡単な構成で係止部の押圧力を調節することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明に係る樹脂部品への部品取付け構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の樹脂部品への部品取付け構造において、前記補助部品及び前記押圧片は、樹脂材料によって成形されると共に、前記押圧片は、インテグラルヒンジを介して前記ボス部と一体に成形されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の樹脂部品への部品取付け構造では、押圧片がインテグラルヒンジを介して取付部材のボス部と一体に成形されている。このため、押圧片が取付部材と別体に成形される場合に比べて、成形用金型の数を少なくすることができ、製造コストを低減することができる。しかも、押圧片をボス部に締結する際の位置合わせやバラツキを考慮する必要がなくなるため、ボス部に対する押圧片の締結状態を良好にすることができる。これにより、押圧片による係止部の押圧状態を良好にすることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明に係る樹脂部品への部品取付け構造は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の樹脂部品への部品取付け構造において、前記押圧片は、前記ボス部に締結される締結部と、前記締結部から延出され、前記締結状態で前記係止部の他側に当接すると共に、前記ボス部への前記締結部の締結方向とは異なる方向に前記係止部を押圧する片持部とを有することを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の樹脂部品への部品取付け構造では、押圧片の締結部がボス部に締結されると、この締結部から延出された片持部が樹脂部品の係止部に当接する。この片持部は、ボス部への締結部の締結方向とは異なる方向に係止部を押圧する。これにより、係止部が当接部に押圧される。このように、ボス部への締結部の締結方向と、係止部の押圧方向とが異なる方向に設定されているため、締結部の締結作業が容易になるように、締結部の締結方向を設定することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明に係る樹脂部品への部品取付け構造は、請求項5に記載の樹脂部品への部品取付け構造において、前記片持部の先端側には突起が設けられ、当該突起が前記係止部に当接することを特徴としている。
【0017】
請求項6に記載の樹脂部品への部品取付け構造では、押圧片の片持部の先端側に設けられた突起が樹脂部品の係止部に当接する。したがって、例えば片持部が係止部に対して傾斜している場合でも、係止部の押圧状態を良好にすることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明に係る樹脂部品への部品取付け構造は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の樹脂部品への部品取付け構造において、前記係止部には、第1鉤部が設けられ、前記当接部には、前記第1鉤部に係合する第2鉤部が設けられていることを特徴としている。
【0019】
請求項7に記載の樹脂部品への部品取付け構造では、樹脂部品の係止部に設けられた第1鉤部が、補助部品の当接部に設けられた第2鉤部に係合する。これにより、樹脂部品からの補助部品の脱落を防止できるため、樹脂部品に対する補助部品の取付強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、請求項1に係る樹脂部品への部品取付け構造では、樹脂部品にボス部を設ける必要がなく、しかも、補助部品を樹脂部品に強固に取り付けることができる。
【0021】
請求項2に係る樹脂部品への部品取付け構造では、樹脂部品に対する補助部品の取付強度を調節することができる。
【0022】
請求項3に係る樹脂部品への部品取付け構造では、押圧片による係止部の押圧力を簡単な構成で調節することができる。
【0023】
請求項4に係る樹脂部品への部品取付け構造では、製造コストを低減することができると共に、押圧片による係止部の押圧状態を良好にすることができる。
【0024】
請求項5に係る樹脂部品への部品取付け構造では、締結部の締結作業が容易になるように、締結部の締結方向を設定することができる。
【0025】
請求項6に係る樹脂部品への部品取付け構造では、片持部が係止部に対して傾斜している場合でも、係止部の押圧状態を良好にすることができる。
【0026】
請求項7に係る樹脂部品への部品取付け構造では、樹脂部品からの補助部品の脱落を防止でき、樹脂部品に対する補助部品の取付強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る樹脂部品への部品取付け構造が適用されて構成された車両の車体前部の部分的な構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示される車両のロアグリルを裏面側から見た斜視図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】図3の一部を拡大した拡大断面図である。
【図5】ロアグリルの押圧片がボス部に締結される前の状態を示す図4に対応する断面図である。
【図6】ロアグリルの押圧片がボス部に締結される前の状態を示す図3に対応する断面図である。
【図7】本発明の実施形態の比較例を示す断面図である。
【図8】ロアグリルのボス部の締結面の傾斜角度について説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図1〜図8を参照して、本発明の実施形態に係る樹脂部品への部品取付け構造について説明する。
【0029】
本実施形態では、図1に示される車両12のバンパカバー14(樹脂部品)にロアグリル16(補助部品)を取り付けるための取付け構造に対して本発明が適用されている。なお、各図中矢印FRは、この車両12の前方向を示し、矢印UPは、この車両12の上方向を示し、矢印INは、この車両12の車幅内側方向を示している。
【0030】
バンパカバー14は、樹脂材料の射出成形によって形成されたものであり、車体18の前端部に取り付けられている。バンパカバー14の車幅方向両端側には、車幅方向に沿って長尺な略矩形の開口20が形成されている。この開口20にはロアグリル16が嵌合している。
【0031】
ロアグリル16は、樹脂材料の射出成形によって形成されたものであり、図2に示されるように、枠状に形成された枠部22を備えている。この枠部22の内側には、長尺状に形成された複数(本実施形態では3つ)の格子部24が設けられている。これらの格子部24は、長手方向が車幅方向に沿う状態で車体上下方向に略等間隔に並んで配置されており、長手方向両端部が枠部22に結合されている。このロアグリル16は、枠部22が開口20の周縁部に係合することでバンパカバー14に対する車両前方側への変位を規制されている。
【0032】
図3に示されるように、枠部22の上壁22Aの車体前方側端部には、当接部26が設けられている。この当接部26は、開口20の上壁14Aの車両後方側端部に設けられた係止爪28(係合部)の下側面に当接している。また、枠部22の下壁22Bの車両前方側端部には、当接部30が設けられている。この当接部30は、開口20の下壁14Bの車両後方側端部に設けられた係止爪32の上側面に当接している。なお、図示はしないが、枠部22及び開口20の周縁部には、当接部26、30及び係止爪28、32と同様の当接部及び係止爪が所定の間隔をあけて複数設けられている。
【0033】
係止爪28の先端部には、車両下方側へ突出した第1鉤部28Aが設けられており、当接部26の先端部には、車両上方側へ突出した第2鉤部26Aが設けられている。この第2鉤部26Aは、第1鉤部28Aの車両前方側端部に引っ掛かっており、これにより、枠部22(ロアグリル16)が開口20の上壁14Aに係止されている。
【0034】
また、係止爪32の先端部には、車両上方側へ突出した第3鉤部32Aが設けられており、当接部26の先端部には、車両下方側へ突出した第4鉤部30Aが設けられている。この第4鉤部30Aは、第3鉤部32Aの車両前方側端部に引っ掛かっており、これにより、枠部22(ロアグリル16)が開口20の下壁14Bに係止されている。
【0035】
一方、図3及び図4に示されるように、係止爪28(上壁14A)の車体上方側の近傍には、ロアグリル16を構成するボス部34が配置されている。このボス部34は、ロアグリル16と一体に成形されたものであり、図示しない連結部を介して枠部22に連結されている。このボス部34には、車体前後方向に貫通したネジ孔36が形成されている。
【0036】
また、ボス部34の上部の前端側には、インテグラルヒンジ38(薄肉部)を介して押圧片40が連結されている。この押圧片40は、ボス部34すなわちロアグリル16と一体に成形されたものである。なお、押圧片40は、成形時には、図5及び図6に示される状態でボス部34に連結されているが、インテグラルヒンジ38の折り曲げによって図3及び図4に示される位置へ回転させることができるようになっている。
【0037】
図4及び図5に示されるように、押圧片40は、断面形状が略クランク状に形成されており、インテグラルヒンジ38に接続された接続部40Aと、接続部40Aの先端から延出された締結部40Bと、締結部40Bの先端から延出された片持部40Cとを有している。接続部40Aと締結部40Bとの間、及び締結部40Bと片持部40Cとの間は、略直角に屈曲している。押圧片40の締結部40Bには、貫通孔42が形成されており、この貫通孔42を貫通したスクリュー44(ネジ部材)がボス部34のネジ孔36に螺合することで、締結部40B(押圧片40)がボス部34に締結される(図3及び図4図示状態)。なお、ネジ部材としては、ビスやボルト等を用いることもできる。
【0038】
上述の締結状態では、ボス部34の車両後方側端部の上部に設けられた突出部45が貫通孔42の内側に入り込み、スクリュー44の頭部に当接する。また、ボス部34の車両後方側端部の下部側は、締結部40Bが締結される締結面35とされている。この締結面35は、図5に示されるように、ネジ孔36の軸線X(図5参照)に対して傾斜しており、下端側が上端側よりも車両前方向(スクリュー44のねじ込み方向)に退避している。
【0039】
また、上述の締結状態では、図4に示されるように、接続部40Aが車両前後方向に沿って配置され、締結部40Bが車両上下方向に沿って配置されると共に、片持部40Cが車両前後方向に沿って(係止爪28に沿って)配置される。この片持部40Cの先端部には、締結部40Bとは反対側へ向けて突出した突起48が設けられている。この突起48は、係止爪28の第1鉤部28Aの上方で係止爪28の上側面に当接し、係止爪28を当接部26側(車両下方側)へ押圧する(図4の矢印F1参照)。また、片持部40Cの基端側には、片持部40Cを補強するリブ48が設けられており、このリブ48も上記締結状態で係止爪28の上側面に当接し、係止爪28を当接部26側(車両下方側)へ押圧する(図4の矢印F2参照)。
【0040】
ここで、本実施形態では、上述した如くボス部34の締結面35が傾斜しているため、スクリュー44のねじ込み(締め付け)によって締結部40Bが締結面35の上端側に締結された状態(図4図示状態)では、締結面35の下端側と締結部40Bとの間には隙間が確保される。このため、この状態から更にスクリュー44を締め付けると、締結部40Bの下端側が締結面35側へ撓み(変位し)、片持部40Cの突起48及びリブ48が係止爪28の上側面に強く押圧されるようになっている。
【0041】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0042】
本実施形態では、バンパカバー14にロアグリル16が取り付けられる際には、ロアグリル16がバンパカバー14の裏面側(図6では右側)から開口20に装着される。これにより、当接部26の第2鉤部26Aが係止爪28の第1鉤部28Aに引っ掛かると共に、当接部30の第4鉤部30Aが係止爪32の第3鉤部32Aに引っ掛かり、ロアグリル16がバンパカバー14に係止される(図6図示状態)。
【0043】
次に、ロアグリル16の押圧片40がインテグラルヒンジ38周りに回転され、押圧片40の締結部40Bがスクリュー44によってボス部34に締結される(図2及び図3図示状態)。これにより、押圧片40の片持部40Cに設けられた突起46及びリブ48がバンパカバー14の係止爪28の上側面に当接し、当該係止爪28を当接部26側へ押圧する。これにより、係止爪28が当接部26と押圧片40との間で挟持されるため、当該挟持力によってロアグリル16をバンパカバー14に強固に結合することができる。
【0044】
すなわち、本実施形態では、スクリュー44による車両前後方向(水平方向)の締結力を、片持部40Cと当接部26とによる係止爪28の車両上下方向の挟持力に変換することができるため、当接部26と係止爪28との係合状態(第1鉤部28Aと第2鉤部26Aとの引っ掛かり状態)を確実に維持することができる。これにより、バンパカバー14からのロアグリル16の不要な脱落を防止できる。しかも、スクリュー44が水平方向にねじ込まれる構成であるため、スクリュー44の締結作業を容易なものにすることができる。
【0045】
さらに、本実施形態では、ボス部34がロアグリル16に設けられているため、バンパカバー14にボス部34を設ける必要がない。したがって、バンパカバー14の意匠面に所謂ヒケ等の成形不良が発生することを回避できる。すなわち、図7に示される比較例のように、バンパカバー14の裏面に設けられたボス部100に押圧片102が締結される場合、成形の際に必ずバンパカバー14の意匠面にヒケ等の成形不良が発生するが、本実施形態では、バンパカバー14にボス部を設ける必要がないため、このような成形不良の発生を回避することができる。したがって、バンパカバー14の生産性を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、ボス部34の締結面35の下端側がスクリュー44のねじ込み方向(車両前方向)に退避しているため、ボス部34へのスクリュー44のねじ込み量を調節することで、押圧片40による係止爪28の押圧力を調節することができ、簡単な構成で係止爪28の挟持力を調整することができる。すなわち、スクリュー44の締め付けによって締結部40Bが締結面35の上端側に締結された状態(図4図示状態)から更にスクリュー44を締め付けることで、締結部40Bの下端側を締結面35側へ撓ませることができる。これにより、片持部40Cの突起48を係止爪28の上側面に強く押し付けることができる(押圧力F1及びF2を増加させることができる)。これにより、押圧片40と当接部26による係止爪28の挟持力を増加させることができるので、バンパカバー14に対するロアグリル16の取付強度を向上させることができる。
【0047】
しかも、ボス部34の締結面35の傾斜角度θ(図8参照)を変更することにより、スクリュー44の増し締め可能量(締結部35の下端側を撓ませる量)を変更することができるため、片持部40Cによる押圧力の大きさを容易に変更することができる。したがって、要求される挟持力(締結力)を容易に設定することができる。
【0048】
また、本実施形態では、ボス部34からスクリュー44を取り外せば、押圧片40による係止爪28の押圧(保持)が解除されるため、バンパカバー14からのロアグリル16の取り外しが可能になる。したがって、万が一、ロアグリル16等を交換する必要が生じた場合でも、容易に交換することができる。
【0049】
さらに、本実施形態では、押圧片40がインテグラルヒンジ38を介してロアグリル16のボス部34と一体に成形されている。このため、押圧片40がロアグリル16と別体に成形される場合に比べて、成形用金型の数を少なくすることができ、製造コストを低減することができる。また、押圧片40をボス部34に締結する際の位置合わせやバラツキを考慮する必要がなくなるため、ボス部34に対する押圧片40の締結状態を良好にすることができる。これにより、押圧片40による係止爪28の押圧状態を良好にすることができる。
【0050】
なお、上記実施形態では、押圧片40がボス部34(ロアグリル16)と一体に成形された構成にしたが、本発明はこれに限らず、押圧片40がロアグリル16(補助部品)と別体に成形される構成にしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、押圧片40が断面略クランク状に形成された構成にしたが、本発明はこれに限らず、押圧片40の形状は適宜設定変更することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、バンパカバー14にロアグリル16を取り付けるための取付け構造に対して本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、本発明は、樹脂部品に対して補助部品(他部品)を取り付けるための取付け構造であれば適用することができる。例えば、バンパカバーにフォグカバー取り付けるための取付け構造や、バンパカバーにステップボードを取り付けるための取付け構造に対しても本発明を適用することができる。また、補助部品は、樹脂製のものに限らず、金属製のものであってもよい。
【0053】
以上、実施形態を挙げて本発明について説明したが、上記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
12 車両
14 バンパカバー(樹脂部品)
16 ロアグリル(補助部品)
26 当接部
26A 第2鉤部
28 係止片(係止部)
28A 第1鉤部
34 ボス部
35 締結面
38 インテグラルヒンジ
40 押圧片
40B 締結部
40C 片持部
44 スクリュー(ネジ部材)
46 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
係止部を有する樹脂部品と、
前記係止部の一側に当接する当接部、及び前記係止部の他側に配置されるボス部を有する補助部品と、
前記ボス部に締結されて前記係止部の他側に当接し、前記係止部を前記当接部側へ押圧する押圧片と、
を備えた樹脂部品への部品取付け構造。
【請求項2】
前記押圧片は、ネジ部材によって前記ボス部に締結されると共に、前記ボス部への前記ネジ部材のねじ込み量を調節することにより、前記押圧片による前記係止部の押圧力を調節可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂部品への部品取付け構造。
【請求項3】
前記ボス部は、前記押圧片が締結される締結面の一側が他側に対して前記ネジ部材のねじ込み方向に退避していることを特徴とする請求項2に記載の樹脂部品への部品取付け構造。
【請求項4】
前記補助部品及び前記押圧片は、樹脂材料によって成形されると共に、前記押圧片は、インテグラルヒンジを介して前記ボス部と一体に成形されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の樹脂部品への部品取付け構造。
【請求項5】
前記押圧片は、前記ボス部に締結される締結部と、前記締結部から延出され、前記締結状態で前記係止部の他側に当接すると共に、前記ボス部への前記締結部の締結方向とは異なる方向に前記係止部を押圧する片持部とを有することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の樹脂部品への部品取付け構造。
【請求項6】
前記片持部の先端側には突起が設けられ、当該突起が前記係止部に当接することを特徴とする請求項5に記載の樹脂部品への部品取付け構造。
【請求項7】
前記係止部には、第1鉤部が設けられ、前記当接部には、前記第1鉤部に係合する第2鉤部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の樹脂部品への部品取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−242786(P2010−242786A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89190(P2009−89190)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】