機械制御装置
【課題】 先端に重量物が取り付けられた長尺のアームを移動させる場合でも、振動を伴うこともなく目標位置に停止させる機械制御装置を提供する。
【解決手段】 機械制御装置40には、調節動作の際の比例ゲインが可変構造の位置調節器41を備え、さらに、この機械制御装置40には位置指令ブロック24の出力である位置指令値に基づいて、位置調節器41の比例ゲインを可変する指令を送出する比例ゲイン設定手段42を備えている。
この比例ゲイン設定手段42では、位置指令ブロック24からの位置指令値に基づく移動速度が遅いとき、すなわち、移動距離が短い位置指令値のときには位置調節器41の比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく前記移動速度が速いとき、すなわち、移動距離が長い位置指令値のときには前記比例ゲインを小さく設定するようにしている。
【解決手段】 機械制御装置40には、調節動作の際の比例ゲインが可変構造の位置調節器41を備え、さらに、この機械制御装置40には位置指令ブロック24の出力である位置指令値に基づいて、位置調節器41の比例ゲインを可変する指令を送出する比例ゲイン設定手段42を備えている。
この比例ゲイン設定手段42では、位置指令ブロック24からの位置指令値に基づく移動速度が遅いとき、すなわち、移動距離が短い位置指令値のときには位置調節器41の比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく前記移動速度が速いとき、すなわち、移動距離が長い位置指令値のときには前記比例ゲインを小さく設定するようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、この発明は、制御対象機械を目標位置へ移動させて停止させるための機械制御装置に関し、停止時の慣性力による制御対象機械の振動を抑制するようにした機械制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図20は、この種の制御対象機械の模式的概念構成図である。
【0003】
この対象機械10には、重量物11と、アーム12と、スライド移動部13と、スライドレール部14と、送りねじ15と、カップリング16と、モータ17と、機械制御装置20,40,43〜48,50〜54の何れか1台とを備えている。このうち、重量物11,アーム12,スライド移動部13,スライドレール部14,送りねじ15,カップリング16は、制御対象機械として包括されるものである。
【0004】
図20において、スライドレール部14は、スライド移動部13が図示の左右の移動方向のみ移動するように拘束する。さらに、スライドレール部14とスライド移動部13の接触部は低摩擦であり、スライド移動部13がスライドレール部14上を滑らかに移動できるようにされている。また、モータ17の出力軸はカップリング16を介して送りねじ15と連結され、この送りねじ15はスライド移動部13に取り付けられた図示しないねじ部内に螺挿されている。すなわち、前記機械制御装置からの位置制御動作に従って、モータ17が送りねじ15を回転駆動することにより、スライド移動部13が図示の左右方向に移動する。
【0005】
このような位置制御がなされるスライド移動部13には、長尺のアーム12が取り付けられており、このアーム12の先端には重量物11が取り付けられている。従って、スライド移動部13の位置制御により、アーム12の先端の重量物11も位置制御されることとなる。
【0006】
図20に示した構成においては、スライド移動部13が目標位置で停止した場合でも、アーム12の先端にある重量物11は自らの慣性力によりアーム12をたわませて指令位置より先に進み、スライド移動部13が目標位置で停止した後も、即座に停止せず振動する場合があることが知られている。
【0007】
図21は、上述の振動現象を抑制する機能を備えた従来の機械制御装置20の回路構成図であり、下記特許文献1に開示されている回路構成である。
【0008】
この機械制御装置20には、位置調節器21と、速度調節器22と、トルク調節器23と、位置指令ブロック24と、補正ブロック25と、加算器26とを備えている。
【0009】
図21において、位置調節器21では、モータ17に取り付けられたモータエンコーダ17aからの位置検出値が指令される位置指令値に一致するように調節動作が行われ、その出力が速度指令値として速度調節器22に送られる。速度調節器22では、モータエンコーダ17aからの速度検出値が速度指令値に一致するように調節動作が行われ、その出力がトルク指令値としてトルク調節器23に送られる。
【0010】
トルク調節器23では、トルク指令値に従い、このトルク調節器23に内蔵するインバータを介してモータ17を駆動し、対象機械10のスライド移動部13を所定位置に移動させて停止させるような制御が実行される。
【0011】
位置指令ブロック24では、スライド移動部13が目標位置に移動するための位置指令値を出力し、補正ブロック25では、位置指令値の2階微分値(加速度指令値)に所定のゲインを乗じて補正量を求め、この補正量に元の位置指令値を加算器26により加算し、この加算値を新たな位置指令値として位置調節器21に送っている。
【0012】
すなわち図21に示した機械制御装置20では、上述の補正ブロック25と加算器26とに基づく伝達関数が、アーム12のバネ定数と重量物11の重さとから導出される伝達関数が有する振動要素成分を打ち消すように作用して、先述の制御対象機械の振動現象を抑制するようにしている。
【特許文献1】特開2003−76426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図21に示した従来の機械制御装置20において、位置指令値に対する応答を速くするには、位置調節器21での調節動作の際の比例ゲインをより大きくする必要があるが、制御対象機械で急峻な外乱トルクが発生するときなどには、前記比例ゲインを大きくし過ぎると該制御対象機械の振動現象を十分に抑制することができないという問題点があった。
【0014】
また、制御対象機械のアームが長くその剛性が低い場合、または重量物が重くその位置が高い場合にも、従来の機械制御装置20の回路構成では、該制御対象機械の振動現象を十分に抑制することができないという問題点もあった。
【0015】
この発明の目的は、上記問題点を解消した機械制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この第1の発明は、制御対象機械を目標位置へ移動させて停止させるために、位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に基づいて当該指令値のn(nは2以上の自然数)階微分値から補正量を求める補正手段と、前記補正量を位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に加算する加算手段と、この加算手段の出力に従って前記制御対象機械を駆動制御する制御手段とを備えた機械制御装置において、位置調節動作の際の比例ゲインを設定する比例ゲイン設定手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
第2の発明は前記第1の発明の機械制御装置において、
前記比例ゲイン設定手段では、前記位置指令値に基づく移動速度が遅いときには前記比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく移動速度が速いときには前記比例ゲインを小さく設定することを特徴とする。
【0018】
第3の発明は前記第1の発明の機械制御装置において、
前記比例ゲイン設定手段では、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには前記比例ゲインを小さく設定し、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定することを特徴とする。
【0019】
また第4の発明は、制御対象機械を目標位置へ移動させて停止させるために、位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に基づいて当該指令値のn(nは2以上の自然数)階微分値から補正量を求める補正手段と、前記補正量を位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に加算する加算手段と、この加算手段の出力に従って前記制御対象機械を駆動制御する制御手段とを備えた機械制御装置において、前記位置指令値に対するフィルタ処理を行うフィルタを設け、このフィルタの出力値を新たな位置指令値とし、前記フィルタの時定数および前記補正手段の補正ゲインを設定する定数設定手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
第5の発明は前記第4の発明の機械制御装置において、
前記定数設定手段では、前記制御対象機械に搭載される重量物の重さが所定値より重く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが所定値より長いか又は該重量物が高い位置にあるときには、前記フィルタの時定数を大きく設定し、前記重量物の重さが前記所定値より軽く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが前記所定値より短いか又は該重量物が低い位置にあるときには、前記フィルタの時定数を小さく設定することを特徴とする。
【0021】
第6の発明は前記第4の発明の機械制御装置において、
前記定数設定手段では、前記制御対象機械に搭載される重量物の重さが所定値より重く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが所定値より長いか又は該重量物が高い位置にあるときには、前記補正手段の補正ゲインを大きく設定し、前記重量物の重さが前記所定値より軽く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが前記所定値より短いか又は該重量物が低い位置にあるときには、前記補正手段の補正ゲインを小さく設定することを特徴とする機械制御装置。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、前記機械制御装置における位置調節動作の比例ゲインを可変できる構成にしたことにより、その応答を速くしつつ、制御対象機械の振動現象を抑制することができる。また、前記位置指令値にフィルタ処理を行い、この処理の際の時定数と前記補正手段の補正ゲインとを可変できる構成にしたことにより、制御対象機械の振動現象を効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、この発明の第1の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図21に示した従来の機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付して、ここではその説明を省略する。
【0024】
すなわち、図1に示した機械制御装置40が従来の機械制御装置20と異なる点は、調節動作の際の比例ゲインが固定構造の位置調節器21に代えて、調節動作の際の比例ゲインが可変構造の位置調節器41を備え、さらに、この機械制御装置40には位置指令ブロック24の出力である位置指令値に基づいて、位置調節器41の比例ゲインを可変する指令を送出する比例ゲイン設定手段42を備えている。
【0025】
この比例ゲイン設定手段42では、位置指令ブロック24からの位置指令値に基づくスライド移動部13(図20参照)の移動速度が遅いとき、すなわち、移動距離が短い位置指令値のときには位置調節器41の比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく前記移動速度が速いとき、すなわち、移動距離が長い位置指令値のときには前記比例ゲインを小さく設定するようにしている。
【0026】
その結果、この機械制御装置40を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、前記比例ゲインが大きいことに起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0027】
図2は、この発明の第2の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図1に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0028】
すなわち、図2に示した機械制御装置43が機械制御装置40と異なる点は、補正ブロック25に代えて、補正ブロック27を備え、さらに、加算器28を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0029】
この補正ブロック27では、位置指令値の3階微分値(加加速度指令値)に所定のゲインを乗じて補正量を求め、この補正量に位置調節器41の出力である速度指令値を加算器28により加算し、この加算値を新たな速度指令値として速度調節器22に送っている。
【0030】
すなわち図2に示した機械制御装置43では、上述の補正ブロック27と加算器28とに基づく伝達関数が、アーム12のバネ定数と重量物11の重さとから導出される伝達関数が有する振動要素成分を打ち消すように作用して、先述の制御対象機械の振動現象を抑制するようにしている。
【0031】
さらに、比例ゲイン設定手段42では、位置指令ブロック24からの位置指令値に基づくスライド移動部13(図20参照)の移動速度が遅いとき、すなわち、移動距離が短い位置指令値のときには位置調節器41の比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく前記移動速度が速いとき、すなわち、移動距離が長い位置指令値のときには前記比例ゲインを小さく設定するようにしている。
【0032】
その結果、この機械制御装置43を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、前記比例ゲインが大きいことに起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0033】
図3は、この発明の第3の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図1に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0034】
すなわち、図3に示した機械制御装置44が機械制御装置40と異なる点は、補正ブロック25に代えて、補正ブロック29を備え、さらに、加算器30を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0035】
この補正ブロック29では、位置指令値の4階微分値に所定のゲインを乗じて補正量を求め、この補正量に速度調節器22の出力であるトルク指令値を加算器30により加算し、この加算値を新たなトルク指令値としてトルク調節器23に送っている。
【0036】
すなわち図2に示した機械制御装置44では、上述の補正ブロック29と加算器30とに基づく伝達関数が、アーム12のバネ定数と重量物11の重さとから導出される伝達関数が有する振動要素成分を打ち消すように作用して、先述の制御対象機械の振動現象を抑制するようにしている。
【0037】
さらに、比例ゲイン設定手段42では、位置指令ブロック24からの位置指令値に基づくスライド移動部13(図20参照)の移動速度が遅いとき、すなわち、移動距離が短い位置指令値のときには位置調節器41の比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく前記移動速度が速いとき、すなわち、移動距離が長い位置指令値のときには前記比例ゲインを小さく設定するようにしている。
【0038】
その結果、この機械制御装置44を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、前記比例ゲインが大きいことに起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0039】
図4は、この発明の第4の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図1に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0040】
すなわち、図4に示した機械制御装置45が機械制御装置40と異なる点は、補正ブロック25に代えて、補正ブロック231を備え、さらに、加算器32を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0041】
この補正ブロック31では、位置調節器41の出力である速度指令値の2階微分値(加加速度指令値)に所定のゲインを乗じて補正量を求め、この補正量に速度指令値を加算器32により加算し、この加算値を新たな速度指令値として速度調節器22に送っている。
【0042】
すなわち図2に示した機械制御装置45では、上述の補正ブロック31と加算器32とに基づく伝達関数が、アーム12のバネ定数と重量物11の重さとから導出される伝達関数が有する振動要素成分を打ち消すように作用して、先述の制御対象機械の振動現象を抑制するようにしている。
【0043】
さらに、比例ゲイン設定手段42では、位置指令ブロック24からの位置指令値に基づくスライド移動部13(図20参照)の移動速度が遅いとき、すなわち、移動距離が短い位置指令値のときには位置調節器41の比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく前記移動速度が速いとき、すなわち、移動距離が長い位置指令値のときには前記比例ゲインを小さく設定するようにしている。
【0044】
その結果、この機械制御装置45を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、前記比例ゲインが大きいことに起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0045】
図5は、この発明の第5の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図1に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0046】
すなわち、図5に示した機械制御装置46が機械制御装置40と異なる点は、補正ブロック25に代えて、補正ブロック33を備え、さらに、加算器34を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0047】
この補正ブロック33では、位置調節器41の出力である速度指令値の3階微分値に所定のゲインを乗じて補正量を求め、この補正量に速度調節器41の出力であるトルク指令値を加算器34により加算し、この加算値を新たなトルク指令値としてトルク調節器23に送っている。
【0048】
すなわち図5に示した機械制御装置46では、上述の補正ブロック33と加算器34とに基づく伝達関数が、アーム12のバネ定数と重量物11の重さとから導出される伝達関数が有する振動要素成分を打ち消すように作用して、先述の制御対象機械の振動現象を抑制するようにしている。
【0049】
さらに、比例ゲイン設定手段42では、位置指令ブロック24からの位置指令値に基づくスライド移動部13(図20参照)の移動速度が遅いとき、すなわち、移動距離が短い位置指令値のときには位置調節器41の比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく前記移動速度が速いとき、すなわち、移動距離が長い位置指令値のときには前記比例ゲインを小さく設定するようにしている。
【0050】
その結果、この機械制御装置46を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、前記比例ゲインが大きいことに起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0051】
図6は、この発明の第6の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図1に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0052】
すなわち、図6に示した機械制御装置47が機械制御装置40と異なる点は、補正ブロック25に代えて、補正ブロック35を備え、さらに、加算器34を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0053】
この補正ブロック35では、速度調節器22の出力であるトルク指令値の2階微分値に所定のゲインを乗じて補正量を求め、この補正量に前記トルク指令値を加算器34により加算し、この加算値を新たなトルク指令値としてトルク調節器23に送っている。
【0054】
すなわち図6に示した機械制御装置47では、上述の補正ブロック35と加算器34とに基づく伝達関数が、アーム12のバネ定数と重量物11の重さとから導出される伝達関数が有する振動要素成分を打ち消すように作用して、先述の制御対象機械の振動現象を抑制するようにしている。
【0055】
さらに、比例ゲイン設定手段42では、位置指令ブロック24からの位置指令値に基づくスライド移動部13(図20参照)の移動速度が遅いとき、すなわち、移動距離が短い位置指令値のときには位置調節器41の比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく前記移動速度が速いとき、すなわち、移動距離が長い位置指令値のときには前記比例ゲインを小さく設定するようにしている。
【0056】
その結果、この機械制御装置47を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、前記比例ゲインが大きいことに起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0057】
図7は、この発明の第7の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図1に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0058】
すなわち、図7に示した機械制御装置48が機械制御装置40と異なる点は、比例ゲイン設定手段42に代えて、比例ゲイン設定手段49を備えていることである。
【0059】
この比例ゲイン設定手段49では、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定するようにしている。
【0060】
例えば、制御対象機械が急峻な外乱トルクを発生するような場合には、比例ゲイン設定手段49への対象機械の条件として「1」を外部から入力して、位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、逆に、制御対象機械が急峻な外乱トルクを発生しないような場合には、比例ゲイン設定手段49への対象機械の条件として「0」を外部から入力して、位置調節器41の比例ゲインを大きく設定する。
【0061】
その結果、この機械制御装置48を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、該制御対象機械の急峻な外乱トルクの発生に起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0062】
図8は、この発明の第8の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図2に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0063】
すなわち、図8に示した機械制御装置50が機械制御装置43と異なる点は、比例ゲイン設定手段42に代えて、比例ゲイン設定手段49を備えていることである。
【0064】
この比例ゲイン設定手段49では、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定するようにしている。
【0065】
その結果、この機械制御装置50を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、該制御対象機械の急峻な外乱トルクの発生に起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0066】
図9は、この発明の第9の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図3に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0067】
すなわち、図7に示した機械制御装置51が機械制御装置44と異なる点は、比例ゲイン設定手段42に代えて、比例ゲイン設定手段49を備えていることである。
【0068】
この比例ゲイン設定手段49では、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定するようにしている。
【0069】
その結果、この機械制御装置51を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、該制御対象機械の急峻な外乱トルクの発生に起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0070】
図10は、この発明の第10の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図4に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0071】
すなわち、図10に示した機械制御装置52が機械制御装置45と異なる点は、比例ゲイン設定手段42に代えて、比例ゲイン設定手段49を備えていることである。
【0072】
この比例ゲイン設定手段49では、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定するようにしている。
【0073】
その結果、この機械制御装置52を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、該制御対象機械の急峻な外乱トルクの発生に起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0074】
図11は、この発明の第11の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図5に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0075】
すなわち、図11に示した機械制御装置53が機械制御装置46と異なる点は、比例ゲイン設定手段42に代えて、比例ゲイン設定手段49を備えていることである。
【0076】
この比例ゲイン設定手段49では、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定するようにしている。
【0077】
その結果、この機械制御装置53を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、該制御対象機械の急峻な外乱トルクの発生に起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0078】
図12は、この発明の第12の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図6に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0079】
すなわち、図12に示した機械制御装置54が機械制御装置47と異なる点は、比例ゲイン設定手段42に代えて、比例ゲイン設定手段49を備えていることである。
【0080】
この比例ゲイン設定手段49では、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定するようにしている。
【0081】
その結果、この機械制御装置54を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、該制御対象機械の急峻な外乱トルクの発生に起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0082】
図13は、先述の図20とは異なった制御対象機械の模式的概念構成図である。
【0083】
この対象機械60には、重量物61と、門形アーム62と、台車63と、車輪64と、レール65と、カップリング66と、モータ67と、機械制御装置70,74,76,78,80,82の何れか1台とを備えている。このうち、重量物61,門形アーム62,台車63,車輪64,レール65,カップリング66は制御対象機械として包括されるものであり、この制御対象機械は立体倉庫における部品の搬送装置などに供される。
【0084】
図13において、台車63は車輪64を介してレール65上を、図示の左右の移動方向に、滑らかに移動できるようにされている。また、モータ67の出力軸はカップリング66を介して車輪64と連結されている。すなわち、前記機械制御装置からの位置制御動作に従って、モータ67がカップリング66を介して車輪64を回転駆動することにより、台車63が図示の左右方向に移動する。
【0085】
このような位置制御がなされる台車部63には、門形アーム62が取り付けられており、この門形アーム62には、図示のようにレール65上からの高さ位置が可変される重量物61が載置されている。従って、台車63の位置制御により、門形アーム62に支持された重量物61も位置制御されることとなる。
【0086】
図13に示した構成においては、台車63が目標位置で停止した場合でも、門形アーム62に載置された重量物61は自らの慣性力により門形アーム62をたわませて指令位置より先に進み、台車63が目標位置で停止した後も、即座に停止せず振動する場合があることが知られている。
【0087】
なお、図1〜12に示した機械制御装置におけるモータ17および対象機械10を、図13に示した構成におけるモータ67および対象機械60とすることも可能である。
【0088】
また、上記図7〜図12に示した実施例を図13に示す制御対象機械に適用する場合において、制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件とは、例えば、継ぎ目を有するレール65上を台車63が走行する際に、レール65の継ぎ目を台車63が通過するときの衝撃により急峻な外乱トルクが制御対象機械に発生する場合である。
【0089】
このような場合、例えば、レール65に継ぎ目があるような場合には、比例ゲイン設定手段49への対象機械の条件として「1」を外部から入力して、位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、逆に、レール65に継ぎ目がないような場合には、比例ゲイン設定手段49への対象機械の条件として「0」を外部から入力して、位置調節器41の比例ゲインを大きく設定する。
【0090】
あるいは、レール65の継ぎ目の位置情報を予め設定しておき、モータエンコーダ17aからの位置情報に基づいて、台車63がレール65の継ぎ目を通過するときに位置調節器41の比例ゲインを小さく設定するようにしてもよい。
【0091】
図14は、上述の振動現象を抑制する機能を備えたこの発明の第13の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図21に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0092】
すなわち、図14に示した機械制御装置70が従来の機械制御装置20と異なる点は、
位置指令ブロック24が出力する位置指令値に対するフィルタ処理を行うフィルタ71を付加され、このフィルタ71の出力値を新たな位置指令値とし、補正ゲインが固定構造の補正ブロック25に代えて、補正量の導出方法が補正ブロック25と同様ながらも、その補正ゲインが可変構造の補正ブロック72を備え、さらに、フィルタ71におけるフィルタの時定数および補正ブロック72における補正ゲインを指令する定数設定手段73を備えている。
【0093】
この定数設定手段73では、前記制御対象機械に搭載される重量物61の重さが所定値より重く、且つ重量物61が高い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を大きく設定するとともに補正手段72の補正ゲインを大きく設定し、また、重量物61の重さが前記所定値より軽いか、又は重量物61が低い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を小さく設定するとともに補正手段72の補正ゲインを小さく設定するようにしている。
【0094】
補正手段72の補正ゲインは振動周波数の2乗の逆数に比例することから、アームが長いか、または重量物が高い位置にあるときには、振動周波数が低くなるので、補正手段72の補正ゲインを大きくすることになる。
【0095】
その結果、この機械制御装置40を用いた制御対象機械では、フィルタ71が位置指令ブロック24が出力する位置指令値に対するフィルタ処理を行い、これを新たな位置指令値とすることで、上述の振動現象が起こりやすい条件では、新たな位置指令値が緩やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段72の補正ゲインを大きく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0096】
逆に前記振動現象が起こりにくい条件では、新たな位置指令値が速やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段72の補正ゲインを小さく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0097】
図15は、この発明の第14の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図14に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0098】
すなわち、図15に示した機械制御装置74が機械制御装置70と異なる点は、補正ブロック72に代えて、補正量の導出方法が補正ブロック27と同様ながらも、その補正ゲインが可変構造の補正ブロック75を備え、さらに、加算器28を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0099】
図15に示した定数設定手段73では、前記制御対象機械に搭載される重量物61の重さが所定値より重く、且つ重量物61が高い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を大きく設定するとともに補正手段75の補正ゲインを大きく設定し、また、重量物61の重さが前記所定値より軽いか、又は重量物61が低い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を小さく設定するとともに補正手段75の補正ゲインを小さく設定するようにしている。
【0100】
その結果、この機械制御装置40を用いた制御対象機械では、フィルタ71が位置指令ブロック24が出力する位置指令値に対するフィルタ処理を行い、これを新たな位置指令値とすることで、上述の振動現象が起こりやすい条件では、新たな位置指令値が緩やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段75の補正ゲインを大きく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0101】
逆に前記振動現象が起こりにくい条件では、新たな位置指令値が速やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段75の補正ゲインを小さく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0102】
図16は、この発明の第15の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図14に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0103】
すなわち、図15に示した機械制御装置76が機械制御装置70と異なる点は、補正ブロック72に代えて、補正量の導出方法が補正ブロック29と同様ながらも、その補正ゲインが可変構造の補正ブロック77を備え、さらに、加算器30を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0104】
図16に示した定数設定手段73では、前記制御対象機械に搭載される重量物61の重さが所定値より重く、且つ重量物61が高い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を大きく設定するとともに補正手段77の補正ゲインを大きく設定し、また、重量物61の重さが前記所定値より軽いか、又は重量物61が低い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を小さく設定するとともに補正手段77の補正ゲインを小さく設定するようにしている。
【0105】
その結果、この機械制御装置76を用いた制御対象機械では、フィルタ71が位置指令ブロック24が出力する位置指令値に対するフィルタ処理を行い、これを新たな位置指令値とすることで、上述の振動現象が起こりやすい条件では、新たな位置指令値が緩やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段77の補正ゲインを大きく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0106】
逆に前記振動現象が起こりにくい条件では、新たな位置指令値が速やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段77の補正ゲインを小さく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0107】
図17は、この発明の第16の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図14に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0108】
すなわち、図17に示した機械制御装置78が機械制御装置70と異なる点は、補正ブロック72に代えて、補正量の導出方法が補正ブロック31と同様ながらも、その補正ゲインが可変構造の補正ブロック79を備え、さらに、加算器32を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0109】
図17に示した定数設定手段73では、前記制御対象機械に搭載される重量物61の重さが所定値より重く、且つ重量物61が高い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を大きく設定するとともに補正手段79の補正ゲインを大きく設定し、また、重量物61の重さが前記所定値より軽いか、又は重量物61が低い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を小さく設定するとともに補正手段79の補正ゲインを小さく設定するようにしている。
【0110】
その結果、この機械制御装置78を用いた制御対象機械では、フィルタ71が位置指令ブロック24が出力する位置指令値に対するフィルタ処理を行い、これを新たな位置指令値とすることで、上述の振動現象が起こりやすい条件では、新たな位置指令値が緩やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段79の補正ゲインを大きく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0111】
逆に前記振動現象が起こりにくい条件では、新たな位置指令値が速やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段79の補正ゲインを小さく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0112】
図18は、この発明の第17の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図14に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0113】
すなわち、図18に示した機械制御装置80が機械制御装置70と異なる点は、補正ブロック72に代えて、補正量の導出方法が補正ブロック33と同様ながらも、その補正ゲインが可変構造の補正ブロック81を備え、さらに、加算器34を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0114】
図18に示した定数設定手段73では、前記制御対象機械に搭載される重量物61の重さが所定値より重く、且つ重量物61が高い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を大きく設定するとともに補正手段81の補正ゲインを大きく設定し、また、重量物61の重さが前記所定値より軽いか、又は重量物61が低い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を小さく設定するとともに補正手段81の補正ゲインを小さく設定するようにしている。
【0115】
その結果、この機械制御装置40を用いた制御対象機械では、フィルタ71が位置指令ブロック24が出力する位置指令値に対するフィルタ処理を行い、これを新たな位置指令値とすることで、上述の振動現象が起こりやすい条件では、新たな位置指令値が緩やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段81の補正ゲインを大きく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0116】
逆に前記振動現象が起こりにくい条件では、新たな位置指令値が速やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段81の補正ゲインを小さく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0117】
図19は、この発明の第18の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図14に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0118】
すなわち、図19に示した機械制御装置82が機械制御装置70と異なる点は、補正ブロック72に代えて、補正量の導出方法が補正ブロック35と同様ながらも、その補正ゲインが可変構造の補正ブロック82を備え、さらに、加算器34を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0119】
図19に示した定数設定手段73では、前記制御対象機械に搭載される重量物61の重さが所定値より重く、且つ重量物61が高い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を大きく設定するとともに補正手段83の補正ゲインを大きく設定し、また、重量物61の重さが前記所定値より軽いか、又は重量物61が低い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を小さく設定するとともに補正手段83の補正ゲインを小さく設定するようにしている。
【0120】
その結果、この機械制御装置40を用いた制御対象機械では、フィルタ71が位置指令ブロック24が出力する位置指令値に対するフィルタ処理を行い、これを新たな位置指令値とすることで、上述の振動現象が起こりやすい条件では、新たな位置指令値が緩やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段83の補正ゲインを大きく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0121】
逆に前記振動現象が起こりにくい条件では、新たな位置指令値が速やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段83の補正ゲインを小さく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0122】
なお、図14〜19に示した機械制御装置では、図13に示した構成におけるモータ67と対象機械60とについて説明を行っているが、図14〜19に示した機械制御装置に
おけるモータ67および対象機械60を、図20に示した構成におけるモータ17および対象機械10とすることができる。
【0123】
この場合には、定数設定手段73では、前記制御対象機械に搭載される重量物11の重さが所定値より重く、且つアーム12の長さが長いときには、フィルタ71の時定数を大きく設定するとともにそれぞれの補正手段の補正ゲインを大きく設定し、また、アームの長さが短いときには、フィルタ71の時定数を小さく設定するとともに前記補正手段の補正ゲインを小さく設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】この発明の第1の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図2】この発明の第2の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図3】この発明の第3の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図4】この発明の第4の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図5】この発明の第5の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図6】この発明の第6の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図7】この発明の第7の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図8】この発明の第8の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図9】この発明の第9の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図10】この発明の第10の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図11】この発明の第11の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図12】この発明の第12の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図13】制御対象機械の模式的概念構成図
【図14】この発明の第13の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図15】この発明の第14の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図16】この発明の第15の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図17】この発明の第16の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図18】この発明の第17の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図19】この発明の第18の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図20】制御対象機械の模式的概念構成図
【図21】従来例を示す機械制御装置の回路構成図
【符号の説明】
【0125】
10…対象機械、11…重量物、12…アーム、13…スライド移動部、14…スライドレール部、15…送りねじ、16…カップリング、17…モータ、20,40,43〜48,50〜54…機械制御装置、21…位置調節器、22…速度調節器、23…トルク調節器、24…位置指令ブロック、25,27,29,31,33,35,72,75,77,79,81,83…補正ブロック、26,28,30,32,34…加算器、42,49…比例ゲイン設定手段、60…対象機械、61…重量物、62…門形アーム、63…台車、64…車輪、65…レール、66…カップリング、67…モータ、70,74,76,78,80,82…機械制御装置、71…フィルタ、73…定数補正手段。
【技術分野】
【0001】
この発明は、この発明は、制御対象機械を目標位置へ移動させて停止させるための機械制御装置に関し、停止時の慣性力による制御対象機械の振動を抑制するようにした機械制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図20は、この種の制御対象機械の模式的概念構成図である。
【0003】
この対象機械10には、重量物11と、アーム12と、スライド移動部13と、スライドレール部14と、送りねじ15と、カップリング16と、モータ17と、機械制御装置20,40,43〜48,50〜54の何れか1台とを備えている。このうち、重量物11,アーム12,スライド移動部13,スライドレール部14,送りねじ15,カップリング16は、制御対象機械として包括されるものである。
【0004】
図20において、スライドレール部14は、スライド移動部13が図示の左右の移動方向のみ移動するように拘束する。さらに、スライドレール部14とスライド移動部13の接触部は低摩擦であり、スライド移動部13がスライドレール部14上を滑らかに移動できるようにされている。また、モータ17の出力軸はカップリング16を介して送りねじ15と連結され、この送りねじ15はスライド移動部13に取り付けられた図示しないねじ部内に螺挿されている。すなわち、前記機械制御装置からの位置制御動作に従って、モータ17が送りねじ15を回転駆動することにより、スライド移動部13が図示の左右方向に移動する。
【0005】
このような位置制御がなされるスライド移動部13には、長尺のアーム12が取り付けられており、このアーム12の先端には重量物11が取り付けられている。従って、スライド移動部13の位置制御により、アーム12の先端の重量物11も位置制御されることとなる。
【0006】
図20に示した構成においては、スライド移動部13が目標位置で停止した場合でも、アーム12の先端にある重量物11は自らの慣性力によりアーム12をたわませて指令位置より先に進み、スライド移動部13が目標位置で停止した後も、即座に停止せず振動する場合があることが知られている。
【0007】
図21は、上述の振動現象を抑制する機能を備えた従来の機械制御装置20の回路構成図であり、下記特許文献1に開示されている回路構成である。
【0008】
この機械制御装置20には、位置調節器21と、速度調節器22と、トルク調節器23と、位置指令ブロック24と、補正ブロック25と、加算器26とを備えている。
【0009】
図21において、位置調節器21では、モータ17に取り付けられたモータエンコーダ17aからの位置検出値が指令される位置指令値に一致するように調節動作が行われ、その出力が速度指令値として速度調節器22に送られる。速度調節器22では、モータエンコーダ17aからの速度検出値が速度指令値に一致するように調節動作が行われ、その出力がトルク指令値としてトルク調節器23に送られる。
【0010】
トルク調節器23では、トルク指令値に従い、このトルク調節器23に内蔵するインバータを介してモータ17を駆動し、対象機械10のスライド移動部13を所定位置に移動させて停止させるような制御が実行される。
【0011】
位置指令ブロック24では、スライド移動部13が目標位置に移動するための位置指令値を出力し、補正ブロック25では、位置指令値の2階微分値(加速度指令値)に所定のゲインを乗じて補正量を求め、この補正量に元の位置指令値を加算器26により加算し、この加算値を新たな位置指令値として位置調節器21に送っている。
【0012】
すなわち図21に示した機械制御装置20では、上述の補正ブロック25と加算器26とに基づく伝達関数が、アーム12のバネ定数と重量物11の重さとから導出される伝達関数が有する振動要素成分を打ち消すように作用して、先述の制御対象機械の振動現象を抑制するようにしている。
【特許文献1】特開2003−76426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図21に示した従来の機械制御装置20において、位置指令値に対する応答を速くするには、位置調節器21での調節動作の際の比例ゲインをより大きくする必要があるが、制御対象機械で急峻な外乱トルクが発生するときなどには、前記比例ゲインを大きくし過ぎると該制御対象機械の振動現象を十分に抑制することができないという問題点があった。
【0014】
また、制御対象機械のアームが長くその剛性が低い場合、または重量物が重くその位置が高い場合にも、従来の機械制御装置20の回路構成では、該制御対象機械の振動現象を十分に抑制することができないという問題点もあった。
【0015】
この発明の目的は、上記問題点を解消した機械制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この第1の発明は、制御対象機械を目標位置へ移動させて停止させるために、位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に基づいて当該指令値のn(nは2以上の自然数)階微分値から補正量を求める補正手段と、前記補正量を位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に加算する加算手段と、この加算手段の出力に従って前記制御対象機械を駆動制御する制御手段とを備えた機械制御装置において、位置調節動作の際の比例ゲインを設定する比例ゲイン設定手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
第2の発明は前記第1の発明の機械制御装置において、
前記比例ゲイン設定手段では、前記位置指令値に基づく移動速度が遅いときには前記比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく移動速度が速いときには前記比例ゲインを小さく設定することを特徴とする。
【0018】
第3の発明は前記第1の発明の機械制御装置において、
前記比例ゲイン設定手段では、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには前記比例ゲインを小さく設定し、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定することを特徴とする。
【0019】
また第4の発明は、制御対象機械を目標位置へ移動させて停止させるために、位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に基づいて当該指令値のn(nは2以上の自然数)階微分値から補正量を求める補正手段と、前記補正量を位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に加算する加算手段と、この加算手段の出力に従って前記制御対象機械を駆動制御する制御手段とを備えた機械制御装置において、前記位置指令値に対するフィルタ処理を行うフィルタを設け、このフィルタの出力値を新たな位置指令値とし、前記フィルタの時定数および前記補正手段の補正ゲインを設定する定数設定手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
第5の発明は前記第4の発明の機械制御装置において、
前記定数設定手段では、前記制御対象機械に搭載される重量物の重さが所定値より重く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが所定値より長いか又は該重量物が高い位置にあるときには、前記フィルタの時定数を大きく設定し、前記重量物の重さが前記所定値より軽く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが前記所定値より短いか又は該重量物が低い位置にあるときには、前記フィルタの時定数を小さく設定することを特徴とする。
【0021】
第6の発明は前記第4の発明の機械制御装置において、
前記定数設定手段では、前記制御対象機械に搭載される重量物の重さが所定値より重く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが所定値より長いか又は該重量物が高い位置にあるときには、前記補正手段の補正ゲインを大きく設定し、前記重量物の重さが前記所定値より軽く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが前記所定値より短いか又は該重量物が低い位置にあるときには、前記補正手段の補正ゲインを小さく設定することを特徴とする機械制御装置。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、前記機械制御装置における位置調節動作の比例ゲインを可変できる構成にしたことにより、その応答を速くしつつ、制御対象機械の振動現象を抑制することができる。また、前記位置指令値にフィルタ処理を行い、この処理の際の時定数と前記補正手段の補正ゲインとを可変できる構成にしたことにより、制御対象機械の振動現象を効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、この発明の第1の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図21に示した従来の機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付して、ここではその説明を省略する。
【0024】
すなわち、図1に示した機械制御装置40が従来の機械制御装置20と異なる点は、調節動作の際の比例ゲインが固定構造の位置調節器21に代えて、調節動作の際の比例ゲインが可変構造の位置調節器41を備え、さらに、この機械制御装置40には位置指令ブロック24の出力である位置指令値に基づいて、位置調節器41の比例ゲインを可変する指令を送出する比例ゲイン設定手段42を備えている。
【0025】
この比例ゲイン設定手段42では、位置指令ブロック24からの位置指令値に基づくスライド移動部13(図20参照)の移動速度が遅いとき、すなわち、移動距離が短い位置指令値のときには位置調節器41の比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく前記移動速度が速いとき、すなわち、移動距離が長い位置指令値のときには前記比例ゲインを小さく設定するようにしている。
【0026】
その結果、この機械制御装置40を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、前記比例ゲインが大きいことに起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0027】
図2は、この発明の第2の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図1に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0028】
すなわち、図2に示した機械制御装置43が機械制御装置40と異なる点は、補正ブロック25に代えて、補正ブロック27を備え、さらに、加算器28を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0029】
この補正ブロック27では、位置指令値の3階微分値(加加速度指令値)に所定のゲインを乗じて補正量を求め、この補正量に位置調節器41の出力である速度指令値を加算器28により加算し、この加算値を新たな速度指令値として速度調節器22に送っている。
【0030】
すなわち図2に示した機械制御装置43では、上述の補正ブロック27と加算器28とに基づく伝達関数が、アーム12のバネ定数と重量物11の重さとから導出される伝達関数が有する振動要素成分を打ち消すように作用して、先述の制御対象機械の振動現象を抑制するようにしている。
【0031】
さらに、比例ゲイン設定手段42では、位置指令ブロック24からの位置指令値に基づくスライド移動部13(図20参照)の移動速度が遅いとき、すなわち、移動距離が短い位置指令値のときには位置調節器41の比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく前記移動速度が速いとき、すなわち、移動距離が長い位置指令値のときには前記比例ゲインを小さく設定するようにしている。
【0032】
その結果、この機械制御装置43を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、前記比例ゲインが大きいことに起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0033】
図3は、この発明の第3の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図1に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0034】
すなわち、図3に示した機械制御装置44が機械制御装置40と異なる点は、補正ブロック25に代えて、補正ブロック29を備え、さらに、加算器30を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0035】
この補正ブロック29では、位置指令値の4階微分値に所定のゲインを乗じて補正量を求め、この補正量に速度調節器22の出力であるトルク指令値を加算器30により加算し、この加算値を新たなトルク指令値としてトルク調節器23に送っている。
【0036】
すなわち図2に示した機械制御装置44では、上述の補正ブロック29と加算器30とに基づく伝達関数が、アーム12のバネ定数と重量物11の重さとから導出される伝達関数が有する振動要素成分を打ち消すように作用して、先述の制御対象機械の振動現象を抑制するようにしている。
【0037】
さらに、比例ゲイン設定手段42では、位置指令ブロック24からの位置指令値に基づくスライド移動部13(図20参照)の移動速度が遅いとき、すなわち、移動距離が短い位置指令値のときには位置調節器41の比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく前記移動速度が速いとき、すなわち、移動距離が長い位置指令値のときには前記比例ゲインを小さく設定するようにしている。
【0038】
その結果、この機械制御装置44を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、前記比例ゲインが大きいことに起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0039】
図4は、この発明の第4の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図1に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0040】
すなわち、図4に示した機械制御装置45が機械制御装置40と異なる点は、補正ブロック25に代えて、補正ブロック231を備え、さらに、加算器32を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0041】
この補正ブロック31では、位置調節器41の出力である速度指令値の2階微分値(加加速度指令値)に所定のゲインを乗じて補正量を求め、この補正量に速度指令値を加算器32により加算し、この加算値を新たな速度指令値として速度調節器22に送っている。
【0042】
すなわち図2に示した機械制御装置45では、上述の補正ブロック31と加算器32とに基づく伝達関数が、アーム12のバネ定数と重量物11の重さとから導出される伝達関数が有する振動要素成分を打ち消すように作用して、先述の制御対象機械の振動現象を抑制するようにしている。
【0043】
さらに、比例ゲイン設定手段42では、位置指令ブロック24からの位置指令値に基づくスライド移動部13(図20参照)の移動速度が遅いとき、すなわち、移動距離が短い位置指令値のときには位置調節器41の比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく前記移動速度が速いとき、すなわち、移動距離が長い位置指令値のときには前記比例ゲインを小さく設定するようにしている。
【0044】
その結果、この機械制御装置45を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、前記比例ゲインが大きいことに起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0045】
図5は、この発明の第5の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図1に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0046】
すなわち、図5に示した機械制御装置46が機械制御装置40と異なる点は、補正ブロック25に代えて、補正ブロック33を備え、さらに、加算器34を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0047】
この補正ブロック33では、位置調節器41の出力である速度指令値の3階微分値に所定のゲインを乗じて補正量を求め、この補正量に速度調節器41の出力であるトルク指令値を加算器34により加算し、この加算値を新たなトルク指令値としてトルク調節器23に送っている。
【0048】
すなわち図5に示した機械制御装置46では、上述の補正ブロック33と加算器34とに基づく伝達関数が、アーム12のバネ定数と重量物11の重さとから導出される伝達関数が有する振動要素成分を打ち消すように作用して、先述の制御対象機械の振動現象を抑制するようにしている。
【0049】
さらに、比例ゲイン設定手段42では、位置指令ブロック24からの位置指令値に基づくスライド移動部13(図20参照)の移動速度が遅いとき、すなわち、移動距離が短い位置指令値のときには位置調節器41の比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく前記移動速度が速いとき、すなわち、移動距離が長い位置指令値のときには前記比例ゲインを小さく設定するようにしている。
【0050】
その結果、この機械制御装置46を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、前記比例ゲインが大きいことに起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0051】
図6は、この発明の第6の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図1に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0052】
すなわち、図6に示した機械制御装置47が機械制御装置40と異なる点は、補正ブロック25に代えて、補正ブロック35を備え、さらに、加算器34を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0053】
この補正ブロック35では、速度調節器22の出力であるトルク指令値の2階微分値に所定のゲインを乗じて補正量を求め、この補正量に前記トルク指令値を加算器34により加算し、この加算値を新たなトルク指令値としてトルク調節器23に送っている。
【0054】
すなわち図6に示した機械制御装置47では、上述の補正ブロック35と加算器34とに基づく伝達関数が、アーム12のバネ定数と重量物11の重さとから導出される伝達関数が有する振動要素成分を打ち消すように作用して、先述の制御対象機械の振動現象を抑制するようにしている。
【0055】
さらに、比例ゲイン設定手段42では、位置指令ブロック24からの位置指令値に基づくスライド移動部13(図20参照)の移動速度が遅いとき、すなわち、移動距離が短い位置指令値のときには位置調節器41の比例ゲインを大きく設定し、前記位置指令値に基づく前記移動速度が速いとき、すなわち、移動距離が長い位置指令値のときには前記比例ゲインを小さく設定するようにしている。
【0056】
その結果、この機械制御装置47を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、前記比例ゲインが大きいことに起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0057】
図7は、この発明の第7の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図1に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0058】
すなわち、図7に示した機械制御装置48が機械制御装置40と異なる点は、比例ゲイン設定手段42に代えて、比例ゲイン設定手段49を備えていることである。
【0059】
この比例ゲイン設定手段49では、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定するようにしている。
【0060】
例えば、制御対象機械が急峻な外乱トルクを発生するような場合には、比例ゲイン設定手段49への対象機械の条件として「1」を外部から入力して、位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、逆に、制御対象機械が急峻な外乱トルクを発生しないような場合には、比例ゲイン設定手段49への対象機械の条件として「0」を外部から入力して、位置調節器41の比例ゲインを大きく設定する。
【0061】
その結果、この機械制御装置48を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、該制御対象機械の急峻な外乱トルクの発生に起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0062】
図8は、この発明の第8の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図2に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0063】
すなわち、図8に示した機械制御装置50が機械制御装置43と異なる点は、比例ゲイン設定手段42に代えて、比例ゲイン設定手段49を備えていることである。
【0064】
この比例ゲイン設定手段49では、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定するようにしている。
【0065】
その結果、この機械制御装置50を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、該制御対象機械の急峻な外乱トルクの発生に起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0066】
図9は、この発明の第9の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図3に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0067】
すなわち、図7に示した機械制御装置51が機械制御装置44と異なる点は、比例ゲイン設定手段42に代えて、比例ゲイン設定手段49を備えていることである。
【0068】
この比例ゲイン設定手段49では、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定するようにしている。
【0069】
その結果、この機械制御装置51を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、該制御対象機械の急峻な外乱トルクの発生に起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0070】
図10は、この発明の第10の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図4に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0071】
すなわち、図10に示した機械制御装置52が機械制御装置45と異なる点は、比例ゲイン設定手段42に代えて、比例ゲイン設定手段49を備えていることである。
【0072】
この比例ゲイン設定手段49では、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定するようにしている。
【0073】
その結果、この機械制御装置52を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、該制御対象機械の急峻な外乱トルクの発生に起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0074】
図11は、この発明の第11の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図5に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0075】
すなわち、図11に示した機械制御装置53が機械制御装置46と異なる点は、比例ゲイン設定手段42に代えて、比例ゲイン設定手段49を備えていることである。
【0076】
この比例ゲイン設定手段49では、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定するようにしている。
【0077】
その結果、この機械制御装置53を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、該制御対象機械の急峻な外乱トルクの発生に起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0078】
図12は、この発明の第12の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図6に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0079】
すなわち、図12に示した機械制御装置54が機械制御装置47と異なる点は、比例ゲイン設定手段42に代えて、比例ゲイン設定手段49を備えていることである。
【0080】
この比例ゲイン設定手段49では、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定するようにしている。
【0081】
その結果、この機械制御装置54を用いた制御対象機械では、位置制御の性能を高めつつ、該制御対象機械の急峻な外乱トルクの発生に起因するアームの振動現象を抑制することができる。
【0082】
図13は、先述の図20とは異なった制御対象機械の模式的概念構成図である。
【0083】
この対象機械60には、重量物61と、門形アーム62と、台車63と、車輪64と、レール65と、カップリング66と、モータ67と、機械制御装置70,74,76,78,80,82の何れか1台とを備えている。このうち、重量物61,門形アーム62,台車63,車輪64,レール65,カップリング66は制御対象機械として包括されるものであり、この制御対象機械は立体倉庫における部品の搬送装置などに供される。
【0084】
図13において、台車63は車輪64を介してレール65上を、図示の左右の移動方向に、滑らかに移動できるようにされている。また、モータ67の出力軸はカップリング66を介して車輪64と連結されている。すなわち、前記機械制御装置からの位置制御動作に従って、モータ67がカップリング66を介して車輪64を回転駆動することにより、台車63が図示の左右方向に移動する。
【0085】
このような位置制御がなされる台車部63には、門形アーム62が取り付けられており、この門形アーム62には、図示のようにレール65上からの高さ位置が可変される重量物61が載置されている。従って、台車63の位置制御により、門形アーム62に支持された重量物61も位置制御されることとなる。
【0086】
図13に示した構成においては、台車63が目標位置で停止した場合でも、門形アーム62に載置された重量物61は自らの慣性力により門形アーム62をたわませて指令位置より先に進み、台車63が目標位置で停止した後も、即座に停止せず振動する場合があることが知られている。
【0087】
なお、図1〜12に示した機械制御装置におけるモータ17および対象機械10を、図13に示した構成におけるモータ67および対象機械60とすることも可能である。
【0088】
また、上記図7〜図12に示した実施例を図13に示す制御対象機械に適用する場合において、制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件とは、例えば、継ぎ目を有するレール65上を台車63が走行する際に、レール65の継ぎ目を台車63が通過するときの衝撃により急峻な外乱トルクが制御対象機械に発生する場合である。
【0089】
このような場合、例えば、レール65に継ぎ目があるような場合には、比例ゲイン設定手段49への対象機械の条件として「1」を外部から入力して、位置調節器41の比例ゲインを小さく設定し、逆に、レール65に継ぎ目がないような場合には、比例ゲイン設定手段49への対象機械の条件として「0」を外部から入力して、位置調節器41の比例ゲインを大きく設定する。
【0090】
あるいは、レール65の継ぎ目の位置情報を予め設定しておき、モータエンコーダ17aからの位置情報に基づいて、台車63がレール65の継ぎ目を通過するときに位置調節器41の比例ゲインを小さく設定するようにしてもよい。
【0091】
図14は、上述の振動現象を抑制する機能を備えたこの発明の第13の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図21に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0092】
すなわち、図14に示した機械制御装置70が従来の機械制御装置20と異なる点は、
位置指令ブロック24が出力する位置指令値に対するフィルタ処理を行うフィルタ71を付加され、このフィルタ71の出力値を新たな位置指令値とし、補正ゲインが固定構造の補正ブロック25に代えて、補正量の導出方法が補正ブロック25と同様ながらも、その補正ゲインが可変構造の補正ブロック72を備え、さらに、フィルタ71におけるフィルタの時定数および補正ブロック72における補正ゲインを指令する定数設定手段73を備えている。
【0093】
この定数設定手段73では、前記制御対象機械に搭載される重量物61の重さが所定値より重く、且つ重量物61が高い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を大きく設定するとともに補正手段72の補正ゲインを大きく設定し、また、重量物61の重さが前記所定値より軽いか、又は重量物61が低い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を小さく設定するとともに補正手段72の補正ゲインを小さく設定するようにしている。
【0094】
補正手段72の補正ゲインは振動周波数の2乗の逆数に比例することから、アームが長いか、または重量物が高い位置にあるときには、振動周波数が低くなるので、補正手段72の補正ゲインを大きくすることになる。
【0095】
その結果、この機械制御装置40を用いた制御対象機械では、フィルタ71が位置指令ブロック24が出力する位置指令値に対するフィルタ処理を行い、これを新たな位置指令値とすることで、上述の振動現象が起こりやすい条件では、新たな位置指令値が緩やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段72の補正ゲインを大きく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0096】
逆に前記振動現象が起こりにくい条件では、新たな位置指令値が速やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段72の補正ゲインを小さく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0097】
図15は、この発明の第14の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図14に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0098】
すなわち、図15に示した機械制御装置74が機械制御装置70と異なる点は、補正ブロック72に代えて、補正量の導出方法が補正ブロック27と同様ながらも、その補正ゲインが可変構造の補正ブロック75を備え、さらに、加算器28を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0099】
図15に示した定数設定手段73では、前記制御対象機械に搭載される重量物61の重さが所定値より重く、且つ重量物61が高い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を大きく設定するとともに補正手段75の補正ゲインを大きく設定し、また、重量物61の重さが前記所定値より軽いか、又は重量物61が低い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を小さく設定するとともに補正手段75の補正ゲインを小さく設定するようにしている。
【0100】
その結果、この機械制御装置40を用いた制御対象機械では、フィルタ71が位置指令ブロック24が出力する位置指令値に対するフィルタ処理を行い、これを新たな位置指令値とすることで、上述の振動現象が起こりやすい条件では、新たな位置指令値が緩やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段75の補正ゲインを大きく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0101】
逆に前記振動現象が起こりにくい条件では、新たな位置指令値が速やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段75の補正ゲインを小さく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0102】
図16は、この発明の第15の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図14に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0103】
すなわち、図15に示した機械制御装置76が機械制御装置70と異なる点は、補正ブロック72に代えて、補正量の導出方法が補正ブロック29と同様ながらも、その補正ゲインが可変構造の補正ブロック77を備え、さらに、加算器30を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0104】
図16に示した定数設定手段73では、前記制御対象機械に搭載される重量物61の重さが所定値より重く、且つ重量物61が高い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を大きく設定するとともに補正手段77の補正ゲインを大きく設定し、また、重量物61の重さが前記所定値より軽いか、又は重量物61が低い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を小さく設定するとともに補正手段77の補正ゲインを小さく設定するようにしている。
【0105】
その結果、この機械制御装置76を用いた制御対象機械では、フィルタ71が位置指令ブロック24が出力する位置指令値に対するフィルタ処理を行い、これを新たな位置指令値とすることで、上述の振動現象が起こりやすい条件では、新たな位置指令値が緩やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段77の補正ゲインを大きく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0106】
逆に前記振動現象が起こりにくい条件では、新たな位置指令値が速やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段77の補正ゲインを小さく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0107】
図17は、この発明の第16の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図14に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0108】
すなわち、図17に示した機械制御装置78が機械制御装置70と異なる点は、補正ブロック72に代えて、補正量の導出方法が補正ブロック31と同様ながらも、その補正ゲインが可変構造の補正ブロック79を備え、さらに、加算器32を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0109】
図17に示した定数設定手段73では、前記制御対象機械に搭載される重量物61の重さが所定値より重く、且つ重量物61が高い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を大きく設定するとともに補正手段79の補正ゲインを大きく設定し、また、重量物61の重さが前記所定値より軽いか、又は重量物61が低い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を小さく設定するとともに補正手段79の補正ゲインを小さく設定するようにしている。
【0110】
その結果、この機械制御装置78を用いた制御対象機械では、フィルタ71が位置指令ブロック24が出力する位置指令値に対するフィルタ処理を行い、これを新たな位置指令値とすることで、上述の振動現象が起こりやすい条件では、新たな位置指令値が緩やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段79の補正ゲインを大きく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0111】
逆に前記振動現象が起こりにくい条件では、新たな位置指令値が速やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段79の補正ゲインを小さく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0112】
図18は、この発明の第17の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図14に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0113】
すなわち、図18に示した機械制御装置80が機械制御装置70と異なる点は、補正ブロック72に代えて、補正量の導出方法が補正ブロック33と同様ながらも、その補正ゲインが可変構造の補正ブロック81を備え、さらに、加算器34を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0114】
図18に示した定数設定手段73では、前記制御対象機械に搭載される重量物61の重さが所定値より重く、且つ重量物61が高い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を大きく設定するとともに補正手段81の補正ゲインを大きく設定し、また、重量物61の重さが前記所定値より軽いか、又は重量物61が低い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を小さく設定するとともに補正手段81の補正ゲインを小さく設定するようにしている。
【0115】
その結果、この機械制御装置40を用いた制御対象機械では、フィルタ71が位置指令ブロック24が出力する位置指令値に対するフィルタ処理を行い、これを新たな位置指令値とすることで、上述の振動現象が起こりやすい条件では、新たな位置指令値が緩やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段81の補正ゲインを大きく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0116】
逆に前記振動現象が起こりにくい条件では、新たな位置指令値が速やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段81の補正ゲインを小さく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0117】
図19は、この発明の第18の実施例を示す機械制御装置の回路構成図であり、図14に示した機械制御装置と同一機能を有するものには同一符号を付している。
【0118】
すなわち、図19に示した機械制御装置82が機械制御装置70と異なる点は、補正ブロック72に代えて、補正量の導出方法が補正ブロック35と同様ながらも、その補正ゲインが可変構造の補正ブロック82を備え、さらに、加算器34を備えるとともに、加算器26を削除している。
【0119】
図19に示した定数設定手段73では、前記制御対象機械に搭載される重量物61の重さが所定値より重く、且つ重量物61が高い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を大きく設定するとともに補正手段83の補正ゲインを大きく設定し、また、重量物61の重さが前記所定値より軽いか、又は重量物61が低い位置にあるときには、フィルタ71の時定数を小さく設定するとともに補正手段83の補正ゲインを小さく設定するようにしている。
【0120】
その結果、この機械制御装置40を用いた制御対象機械では、フィルタ71が位置指令ブロック24が出力する位置指令値に対するフィルタ処理を行い、これを新たな位置指令値とすることで、上述の振動現象が起こりやすい条件では、新たな位置指令値が緩やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段83の補正ゲインを大きく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0121】
逆に前記振動現象が起こりにくい条件では、新たな位置指令値が速やかに増加または減少するように配慮するとともに、補正手段83の補正ゲインを小さく設定して、前記振動現象を抑制している。
【0122】
なお、図14〜19に示した機械制御装置では、図13に示した構成におけるモータ67と対象機械60とについて説明を行っているが、図14〜19に示した機械制御装置に
おけるモータ67および対象機械60を、図20に示した構成におけるモータ17および対象機械10とすることができる。
【0123】
この場合には、定数設定手段73では、前記制御対象機械に搭載される重量物11の重さが所定値より重く、且つアーム12の長さが長いときには、フィルタ71の時定数を大きく設定するとともにそれぞれの補正手段の補正ゲインを大きく設定し、また、アームの長さが短いときには、フィルタ71の時定数を小さく設定するとともに前記補正手段の補正ゲインを小さく設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】この発明の第1の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図2】この発明の第2の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図3】この発明の第3の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図4】この発明の第4の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図5】この発明の第5の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図6】この発明の第6の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図7】この発明の第7の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図8】この発明の第8の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図9】この発明の第9の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図10】この発明の第10の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図11】この発明の第11の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図12】この発明の第12の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図13】制御対象機械の模式的概念構成図
【図14】この発明の第13の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図15】この発明の第14の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図16】この発明の第15の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図17】この発明の第16の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図18】この発明の第17の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図19】この発明の第18の実施例を示す機械制御装置の回路構成図
【図20】制御対象機械の模式的概念構成図
【図21】従来例を示す機械制御装置の回路構成図
【符号の説明】
【0125】
10…対象機械、11…重量物、12…アーム、13…スライド移動部、14…スライドレール部、15…送りねじ、16…カップリング、17…モータ、20,40,43〜48,50〜54…機械制御装置、21…位置調節器、22…速度調節器、23…トルク調節器、24…位置指令ブロック、25,27,29,31,33,35,72,75,77,79,81,83…補正ブロック、26,28,30,32,34…加算器、42,49…比例ゲイン設定手段、60…対象機械、61…重量物、62…門形アーム、63…台車、64…車輪、65…レール、66…カップリング、67…モータ、70,74,76,78,80,82…機械制御装置、71…フィルタ、73…定数補正手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象機械を目標位置へ移動させて停止させるために、
位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に基づいて当該指令値のn(nは2以上の自然数)階微分値から補正量を求める補正手段と、前記補正量を位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に加算する加算手段と、この加算手段の出力に従って前記制御対象機械を駆動制御する制御手段とを備えた機械制御装置において、
位置調節動作の際の比例ゲインを設定する比例ゲイン設定手段を備えたことを特徴とする機械制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の機械制御装置において、
前記比例ゲイン設定手段では、
前記位置指令値に基づく移動速度が遅いときには前記比例ゲインを大きく設定し、
前記位置指令値に基づく移動速度が速いときには前記比例ゲインを小さく設定することを特徴とする機械制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の機械制御装置において、
前記比例ゲイン設定手段では、
前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには前記比例ゲインを小さく設定し、
前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定することを特徴とする機械制御装置。
【請求項4】
制御対象機械を目標位置へ移動させて停止させるために、
位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に基づいて当該指令値のn(nは2以上の自然数)階微分値から補正量を求める補正手段と、前記補正量を位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に加算する加算手段と、この加算手段の出力に従って前記制御対象機械を駆動制御する制御手段とを備えた機械制御装置において、
前記位置指令値に対するフィルタ処理を行うフィルタを設け、このフィルタの出力値を新たな位置指令値とし、
前記フィルタの時定数および前記補正手段の補正ゲインを設定する定数設定手段を備えたことを特徴とする機械制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の機械制御装置において、
前記定数設定手段では、
前記制御対象機械に搭載される重量物の重さが所定値より重く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが所定値より長いか又は該重量物が高い位置にあるときには、前記フィルタの時定数を大きく設定し、
前記重量物の重さが前記所定値より軽く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが前記所定値より短いか又は該重量物が低い位置にあるときには、前記フィルタの時定数を小さく設定することを特徴とする機械制御装置。
【請求項6】
請求項4に記載の機械制御装置において、
前記定数設定手段では、
前記制御対象機械に搭載される重量物の重さが所定値より重く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが所定値より長いか又は該重量物が高い位置にあるときには、前記補正手段の補正ゲインを大きく設定し、
前記重量物の重さが前記所定値より軽く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが前記所定値より短いか又は該重量物が低い位置にあるときには、前記補正手段の補正ゲインを小さく設定することを特徴とする機械制御装置。
【請求項1】
制御対象機械を目標位置へ移動させて停止させるために、
位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に基づいて当該指令値のn(nは2以上の自然数)階微分値から補正量を求める補正手段と、前記補正量を位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に加算する加算手段と、この加算手段の出力に従って前記制御対象機械を駆動制御する制御手段とを備えた機械制御装置において、
位置調節動作の際の比例ゲインを設定する比例ゲイン設定手段を備えたことを特徴とする機械制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の機械制御装置において、
前記比例ゲイン設定手段では、
前記位置指令値に基づく移動速度が遅いときには前記比例ゲインを大きく設定し、
前記位置指令値に基づく移動速度が速いときには前記比例ゲインを小さく設定することを特徴とする機械制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の機械制御装置において、
前記比例ゲイン設定手段では、
前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生する条件のときには前記比例ゲインを小さく設定し、
前記制御対象機械に急峻な外乱トルクが発生しない条件のときには前記比例ゲインを大きく設定することを特徴とする機械制御装置。
【請求項4】
制御対象機械を目標位置へ移動させて停止させるために、
位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に基づいて当該指令値のn(nは2以上の自然数)階微分値から補正量を求める補正手段と、前記補正量を位置、速度、トルクのいずれか1つの指令値に加算する加算手段と、この加算手段の出力に従って前記制御対象機械を駆動制御する制御手段とを備えた機械制御装置において、
前記位置指令値に対するフィルタ処理を行うフィルタを設け、このフィルタの出力値を新たな位置指令値とし、
前記フィルタの時定数および前記補正手段の補正ゲインを設定する定数設定手段を備えたことを特徴とする機械制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の機械制御装置において、
前記定数設定手段では、
前記制御対象機械に搭載される重量物の重さが所定値より重く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが所定値より長いか又は該重量物が高い位置にあるときには、前記フィルタの時定数を大きく設定し、
前記重量物の重さが前記所定値より軽く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが前記所定値より短いか又は該重量物が低い位置にあるときには、前記フィルタの時定数を小さく設定することを特徴とする機械制御装置。
【請求項6】
請求項4に記載の機械制御装置において、
前記定数設定手段では、
前記制御対象機械に搭載される重量物の重さが所定値より重く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが所定値より長いか又は該重量物が高い位置にあるときには、前記補正手段の補正ゲインを大きく設定し、
前記重量物の重さが前記所定値より軽く、且つ前記重量物を支えるアームの長さが前記所定値より短いか又は該重量物が低い位置にあるときには、前記補正手段の補正ゲインを小さく設定することを特徴とする機械制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−55470(P2010−55470A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221281(P2008−221281)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]