説明

機械的および電気的機能から分離された光学的機能を備えた微小電気機械デバイス

【課題】機械的および電気的機能から分離された光学的機能を備えた微小電気機械デバイスを提供する。
【解決手段】微小電気機械(MEMS)デバイス(800)が、頂部表面(88)を有する基板(20)と、基板(20)の上方の可動エレメント(810)と、駆動電極(82)とを備えている。可動エレメント(810)は、変形可能層(34)および変形可能層(34)に機械的に結合された反射エレメント(814)を備えている。反射エレメント(814)は反射表面(92)を備えている。駆動電極(82)は、反射表面(92)から横方向に配置されている。可動エレメント(810)は、基板(20)の頂部表面(88)に概ね直角の方向に移動することによって、駆動電極(82)と可動エレメント(810)の間に印加される電圧差に応答する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的および電気的機能から分離された光学的機能を備えた微小電気機械デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)は、微小機械エレメント、アクチュエータおよびエレクトロニクスを備えている。微小機械エレメントは、付着プロセス、エッチングプロセス、および/または基板および/または付着した材料層の一部をエッチ除去し、あるいは電気デバイスおよび電気機械デバイスを形成するために層を追加する他の微小機械加工プロセスを使用して生成することができる。あるタイプのMEMSデバイスは分岐干渉変調器と呼ばれている。本明細書において使用される際、分岐干渉変調器または分岐干渉光変調器という用語は、光干渉の原理を使用して光を選択的に吸収および/または反射するデバイスを意味している。特定の実施形態では、分岐干渉変調器は、一対の導電プレートを備えることができ、そのうちの一方または両方を全面的または部分的に透明および/または反射性にすることができ、また、適切な電気信号を印加することによって相対運動させることができる。特定の実施形態では、一方のプレートは、基板の上に付着した固定層を備えることができ、また、もう一方のプレートは、エアギャップによって固定層から分離された金属膜を備えることができる。本明細書においてより詳細に説明するように、一方のプレートのもう一方のプレートに対する位置によって、分岐干渉変調器に入射する光の光干渉を変化させることができる。このようなデバイスは、広範囲にわたる用途を有しており、当分野においては、それらの特徴を利用して既存の製品を改善し、かつ、未だ開発されていない新しい製品を創造することができるよう、これらのタイプのデバイスの特性を利用および/または修正することが有利であると思われる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
特定の実施形態では、微小電気機械(MEMS)デバイスが、頂部表面を有する基板と、基板の上方の可動エレメントと、反射表面から横方向に配置された駆動電極とを備えている。可動エレメントは、変形可能層および変形可能層に機械的に結合された反射エレメントを備えている。反射エレメントは反射表面を備えている。可動エレメントは、基板の頂部表面に概ね直角の方向に移動することによって、駆動電極と可動エレメントの間に印加される電圧差に応答する。
【0004】
特定の実施形態では、微小電気機械(MEMS)デバイスは、デバイスの一部を移動させるための手段と、移動手段をサポートするための手段と、移動手段を駆動するための手段とを備えている。移動手段は、変形させるための手段および反射させるための手段を備えている。駆動手段は、反射させる手段から横方向に配置されている。
【0005】
特定の実施形態では、微小電気機械(MEMS)デバイスを製造する方法が、基板の上方に駆動電極を形成するステップと、駆動電極の上方に犠牲層を形成するステップと、犠牲層の上方に変形可能層を形成するステップと、変形可能層に機械的に結合された反射エレメントを犠牲層の上方に形成するステップと、犠牲層を除去するステップを含む。反射エレメントは、駆動電極から横方向に配置された反射表面を備えている。
【0006】
特定の実施形態では、光を変調する方法が、基板、基板の上方の可動エレメントおよび駆動電極を備えたディスプレイエレメントを提供するステップを含む。可動エレメントは、変形可能層および反射エレメントを備えている。反射エレメントは変形可能層に機械的に結合されており、反射表面を備えている。駆動電極は反射表面から横方向に配置されている。この方法は、駆動電極に電圧を印加するステップをさらに含む。この電圧によって可動エレメントに引力が生成され、それにより基板に向かって可動エレメントが移動する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の分岐干渉変調器の可動反射層が弛緩位置にあり、また、第2の分岐干渉変調器の可動反射層が駆動位置にある分岐干渉変調器ディスプレイの一実施形態の一部を示す等角図である。
【図2】3×3分岐干渉変調器ディスプレイを組み込んだ電子デバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。
【図3】図1の分岐干渉変調器の一例示的実施形態の可動ミラー位置対印加電圧の線図である。
【図4】分岐干渉変調器ディスプレイを駆動するために使用することができる一組の行電圧および列電圧を示す図である。
【図5A】図2の3×3分岐干渉変調器ディスプレイ内のディスプレイデータの一例示的フレームを示す図である。
【図5B】図5Aのフレームを書き込むために使用することができる行信号および列信号の一例示的タイミング図である。
【図6A】複数の分岐干渉変調器を備えた視覚ディスプレイデバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。
【図6B】複数の分岐干渉変調器を備えた視覚ディスプレイデバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。
【図7A】図1のデバイスの断面図である。
【図7B】分岐干渉変調器の一代替実施形態の断面図である。
【図7C】分岐干渉変調器の他の代替実施形態の断面図である。
【図7D】分岐干渉変調器のさらに他の代替実施形態の断面図である。
【図7E】分岐干渉変調器の追加代替実施形態の断面図である。
【図8A】MEMSデバイスの一実施形態例の平面図である。
【図8B】図8AのMEMSデバイスの3×3アレイの平面図である。
【図9A】線A−Aに沿って取った図8AのMEMSデバイスの一実施形態例の断面図である。
【図9B】線A−Aに沿って取った図8AのMEMSデバイスの一実施形態例の断面図である。
【図9C】図8Aの線C−Cに沿って取った図9Aの実施形態の断面図である。
【図9D】図8Aの線C−Cに沿って取った図9Bの実施形態の断面図である。
【図9E】図8Aの線E−Eに沿って取った図9Aの実施形態の断面図である。
【図9F】図8Aの線E−Eに沿って取った図9Dの実施形態の断面図である。
【図9G】図8Aの線G−Gに沿って取った図9Aの実施形態の断面図である。
【図9H】図8Aの線G−Gに沿って取った図9Fの実施形態の断面図である。
【図10A】線A−Aに沿って取った図8AのMEMSデバイスの他の実施形態例の断面図である。
【図10B】線A−Aに沿って取った図8AのMEMSデバイスの他の実施形態例の断面図である。
【図10C】図8Aの線C−Cに沿って取った図10Aの実施形態の断面図である。
【図10D】図8Aの線C−Cに沿って取った図10Bの実施形態の断面図である。
【図11A】線A−Aに沿って取った図8AのMEMSデバイスのさらに他の実施形態例の断面図である。
【図11B】線A−Aに沿って取った図8AのMEMSデバイスのさらに他の実施形態例の断面図である。
【図11C】図8Aの線C−Cに沿って取った図11Aの実施形態の断面図である。
【図11D】図8Aの線C−Cに沿って取った図11Bの実施形態の断面図である。
【図12A】図8Aの線C−Cに沿って取ったMEMSデバイスのさらに他の実施形態例の断面図である。
【図12B】図8Aの線C−Cに沿って取ったMEMSデバイスのさらに他の実施形態例の断面図である。
【図12C】図8Aの線C−Cに沿って取ったMEMSデバイスのさらに他の実施形態例の断面図である。
【図13A】MEMSデバイスのさらに他の実施形態例の平面図である。
【図13B】MEMSデバイスのさらに他の実施形態例の平面図である。
【図13C】図13AのMEMSデバイスの3×3アレイの平面図である。
【図13D】MEMSデバイスの他の実施形態例の平面図である。
【図14A】MEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図14B】MEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図14C】MEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図14D】MEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図14E】MEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図14F】MEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図14G】MEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図14H】MEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図15A】図9AのMEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図15B】図9BのMEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図15C】図9CのMEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図15D】図9DのMEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図15E】図9EのMEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図15F】図9FのMEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図15G】図9GのMEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図15H】図9HのMEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図16A】線A−Aに沿って取った、第2の駆動電極を備えた図8AのMEMSデバイスの一実施形態例の断面図である。
【図16B1】線A−Aに沿って取った、第2の駆動電極を備えた図8AのMEMSデバイスの一実施形態例の断面図である。
【図16B2】線A−Aに沿って取った、第2の駆動電極を備えた図8AのMEMSデバイスの一実施形態例の断面図である。
【図16C】図8Aの線C−Cに沿って取った図16Aの実施形態の断面図である。
【図16D1】図8Aの線C−Cに沿って取った図16B1の実施形態の断面図である。
【図16D2】図8Aの線C−Cに沿って取った図16B2の実施形態の断面図である。
【図16E】図8Aの線E−Eに沿って取った図16Aの実施形態の断面図である。
【図16F1】図8Aの線E−Eに沿って取った図16D1の実施形態の断面図である。
【図16F2】図8Aの線E−Eに沿って取った図16D2の実施形態の断面図である。
【図16G】図8Aの線G−Gに沿って取った図16Aの実施形態の断面図である。
【図16H1】図8Aの線G−Gに沿って取った図16F1の実施形態の断面図である。
【図16H2】図8Aの線G−Gに沿って取った図16F2の実施形態の断面図である。
【図17A】図16A、16C、16Eおよび16GのMEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図17B】図16A、16C、16Eおよび16GのMEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図17C】図16A、16C、16Eおよび16GのMEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図17D】図16A、16C、16Eおよび16GのMEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図17E】図16A、16C、16Eおよび16GのMEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【図17F】図16A、16C、16Eおよび16GのMEMSデバイスを製造する方法の一実施形態例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明は、本発明のある特定の実施形態を対象としたものである。しかしながら、本発明は、多くの異なる方法で具体化することができる。以下の説明には図面が参照されており、図面の同様の数表示はすべての図を通して同様の部品を表している。以下の説明から明らかなように、これらの実施形態は、動画像(たとえばビデオ)であれあるいは静止画像(たとえばスチール画像)であれ、また、文字であれあるいは描画であれ、画像を表示するように構成された任意のデバイスの中で実施することができる。より詳細には、これらの実施形態は、それらに限定されないが、移動電話、無線デバイス、パーソナルデータアシスタント(PDA)、ハンドヘルドすなわち携帯型コンピュータ、GPSレシーバ/ナビゲータ、カメラ、MP3プレーヤ、カムコーダ、ゲームコンソール、腕時計、時計、計算器、テレビジョンモニタ、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニタ、オートディスプレイ(たとえば走行距離計ディスプレイ、等々)、コックピットコントロールおよび/またはディスプレイ、カメラビューのディスプレイ(たとえば車両内のリアビューカメラのディスプレイ)、電子写真、電子ビルボードまたはサイン、プロジェクタ、建築構造、梱包および美感構造(たとえば一片の宝石上へのイメージの表示)などの様々な電子デバイスの中で実施することができ、あるいはこれらの電子デバイスと関連して実施することができることが企図されている。本明細書において説明されているMEMSデバイスと同様の構造のMEMSデバイスを電子スイッチングデバイスなどの非ディスプレイアプリケーションに使用することも可能である。さらに、本明細書におけるこれらの図は、すべて、特定のエレメント間の関係を描写するべく描かれており、したがって極めて図解的であり、スケール通りに描かれていると見なしてはならない。
【0009】
特定の実施形態では、反射エレメントの反射表面から横方向に配置された駆動電極が提供されている。駆動電極は光路に配置されないため、透明ではない導体を備えることができ、また、より分厚くすることができ、したがって電力消費を改善することができる。いくつかの実施形態では、駆動電極は、駆動されると、反射表面ではなく変形可能層がMEMSデバイスの固定部分に接触するように、反射エレメントに機械的に結合された変形可能層に作用しており、そのため、スティクション、ばね定数、静電力およびコンデンサ面積が小さくなり、したがって高速で、かつ、低電力で動作させることができる。いくつかの実施形態では、駆動電極が光路に配置されないため、光学的な性能に影響を及ぼすことなく、駆動電極と変形可能層の間に表面をあらくする特徴および他のアンチスティクション特徴を形成することができる。いくつかの実施形態では、駆動されても反射表面と接触するものがないため、スティクションの危険を伴うことなく、反射表面を実質的に滑らかに、かつ、平らにすることができる。いくつかの実施形態では、反射表面が少なくとも3つの状態で安定するよう、変形可能層および/または反射表面の上方または下方に第2の駆動電極が提供されている。
【0010】
図1は、分岐干渉MEMSディスプレイエレメントを備えた一分岐干渉変調器ディスプレイ実施形態を示したものである。これらのデバイスの場合、ピクセルは、明るい状態にあるか、あるいは暗い状態にあるかのいずれかである。明るい(「オン」または「開」)状態では、ディスプレイエレメントは、入射する可視光の大部分を使用者に向かって反射する。暗い(「オフ」または「閉」)状態にある場合、ディスプレイエレメントは、入射する可視光を使用者に向かってほとんど反射しない。「オン」状態および「オフ」状態における光反射率特性は、実施形態に応じて反転させることができる。MEMSピクセルは、選択された色を主として反射するように構成することができるため、黒および白に加えてカラー表示することができる。
【0011】
図1は、視覚ディスプレイの一連のピクセルのうちの2つの隣接するピクセルを等角図で示したもので、ピクセルはそれぞれMEMS分岐干渉変調器を備えている。いくつかの実施形態では、分岐干渉変調器ディスプレイは、これらの分岐干渉変調器の行/列アレイを備えている。分岐干渉変調器は、それぞれ、互いに可変で、かつ、制御可能な距離を隔てて配置された一対の反射層を備えており、少なくとも1つの可変寸法を備えた共鳴光学ギャップを形成している。一実施形態では、これらの反射層のうちの一方をこれらの2つの位置と位置の間で移動させることができる。本明細書においては弛緩位置と呼ばれている第1の位置には、可動反射層が固定部分反射層から比較的長い距離を隔てて配置される。本明細書においては駆動位置と呼ばれている第2の位置には、可動反射層が部分反射層により緊密に隣接して配置される。これらの2つの層で反射する入射光は、可動反射層の位置に応じて強め合って、あるいは弱め合って干渉し、ピクセル毎に総合反射状態または非反射状態のいずれかを生成する。
【0012】
ピクセルアレイのうちの図1に示されている部分には、隣接する2つの分岐干渉変調器12aおよび12bが含まれている。左側の分岐干渉変調器12aには、部分反射層を備えた光学スタック16aから所定の距離を隔てた弛緩位置に可動反射層14aが示されている。右側の分岐干渉変調器12bには、光学スタック16bに隣接する駆動位置に可動反射層14bが示されている。
【0013】
本明細書において参照されている光学スタック16aおよび16b(集合的に光学スタック16と呼ばれている)は、通常、インジウムスズ酸化物(ITO)などの電極層を含むことができる複数の合成層、クロムなどの部分反射層および透明誘電体を備えている。したがって光学スタック16は、導電性であり、部分的に透明であり、かつ、部分的に反射型であり、たとえば上記の層のうちの1つまたは複数の層を透明基板20の上に付着させることによって製造することができる。部分反射層は、様々な金属、半導体および誘電体などの部分的に反射型である様々な材料から形成することができる。部分反射層は、1つまたは複数の材料層で形成することができ、これらの層の各々は、単一の材料または材料の組合せで形成することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、光学スタック16の層が平行条片にパターン化されており、以下でさらに説明するように、ディスプレイデバイスの中に行電極を形成することができる。可動反射層14a、14bは、ポスト18およびポスト18とポスト18の間に付着された介在犠牲材料の頂部に付着された1つまたは複数の付着金属層(行電極16a、16bに対して直角をなしている)の一連の平行条片として形成することができる。犠牲材料がエッチ除去されると、画定されたギャップ19によって可動反射層14a、14bが光学スタック16a、16bから分離される。反射層14にはアルミニウムなどの高度に導電性で、かつ、反射型である材料を使用することができ、また、これらの条片は、ディスプレイデバイスの中に列電極を形成することができる。
【0015】
電圧が印加されていない場合、図1のピクセル12aによって示されているように、ギャップ19は、可動反射層14aと光学スタック16aの間に留まり、可動反射層14aは、機械的に弛緩した状態にある。しかしながら、選択された行および列に電位差が印加されると、対応するピクセルの行電極と列電極の交点に形成されるコンデンサが充電されるようになり、静電力によって電極が一体に引っ張られる。電圧が十分に高い場合、可動反射層14が変形し、光学スタック16に向かって強制される。光学スタック16内の誘電体層(この図には示されていない)は、図1の右側のピクセル12bによって示されているように、短絡を防止し、かつ、層14と16の間の分離距離を制御することができる。この挙動は、印加される電位差の極性には無関係に同じである。この方法の場合、反射型ピクセル状態対非反射型ピクセル状態を制御することができる行/列駆動は、多くの点で、従来のLCD技術および他のディスプレイ技術に使用されている行/列駆動に類似している。
【0016】
図2ないし5Bは、分岐干渉変調器のアレイをディスプレイアプリケーションに使用するための一例示的プロセスおよびシステムを示したものである。
【0017】
図2は、本発明の態様を組み込むことができる電子デバイスの一実施形態をシステムブロック図で示したものである。この例示的実施形態では、電子デバイスは、ARM、Pentium(登録商標)、Pentium(登録商標) II、Pentium(登録商標) III、Pentium(登録商標) IV、Pentium(登録商標)Pro、8051、MIPS(登録商標)、Power PC(登録商標)、ALPHA(登録商標)などの任意の汎用シングルチップまたはマルチチップマイクロプロセッサであっても、あるいはディジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラまたはプログラム可能ゲートアレイなどの任意の専用マイクロプロセッサであってもよいプロセッサ21を備えている。プロセッサ21は、当分野における慣習に従って、1つまたは複数のソフトウェアモジュールを実行するように構成することができる。プロセッサは、オペレーティングシステムの実行に加えて、ウェブブラウザ、電話アプリケーション、電子メールプログラムまたは他の任意のソフトウェアアプリケーションを始めとする1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成することができる。
【0018】
一実施形態では、プロセッサ21は、また、アレイドライバ22と通信するように構成されている。一実施形態では、アレイドライバ22は、ディスプレイアレイすなわちパネル30に信号を提供する行ドライバ回路24および列ドライバ回路26を備えている。図1に示されているアレイの断面は、線1−1によって図2に示されている。MEMS分岐干渉変調器の場合、行/列駆動プロトコルには、図3に示されているこれらのデバイスのヒステリシス特性を利用することができる。可動層を弛緩状態から駆動状態に変形させるためには、場合によってはたとえば10ボルトの電位差が必要である。しかしながら、電圧がその値から低くなっても、可動層は、電圧が10ボルト未満に降下した時点のその状態を維持する。図3の例示的実施形態の場合、可動層は、電圧が2ボルト未満に降下するまで完全に弛緩しない。したがって、図3に示されている例の場合、約3Vないし7Vの印加電圧の窓が存在しており、その中では、デバイスは、弛緩状態または駆動状態のいずれかで安定している。これは、本明細書においては、「ヒステリシス窓」または「安定窓」と呼ばれている。図3のヒステリシス特性を有するディスプレイアレイの場合、行/列駆動プロトコルは、行をストローブしている間、ストローブされた行の中の駆動すべきピクセルに約10ボルトの電圧差が印加され、また、弛緩させるべきピクセルにゼロボルトに近い電圧差が印加されるように設計することができる。ストローブが終了すると、たとえどのような状態であっても、行ストローブによってそれらが置かれたその状態を維持するよう、約5ボルトの定常状態電圧差がピクセルに印加される。書込みが終了すると、この例では3〜7ボルトである「安定窓」内の電位差が個々のピクセルに印加される。この特徴が、図1に示されているピクセル設計を、駆動状態であれ、あるいは弛緩状態であれ、同じ印加電圧条件の下で既存の状態で安定したものにしている。分岐干渉変調器の個々のピクセルは、駆動状態であれ、あるいは弛緩状態であれ、本質的には、固定反射層および移動反射層によって形成されるコンデンサであるため、ヒステリシス窓内の電圧で、電力散逸をほとんど伴うことなくこの安定状態を保持することができる。印加される電位が一定である場合、本質的にはピクセルには電流は流れない。
【0019】
典型的なアプリケーションの場合、第1の行の中の所望のセットの駆動ピクセルに従ってそのセットの列電極を表明することによってディスプレイフレームを生成することができる。次に、行1電極に行パルスが印加され、表明された列ラインに対応するピクセルが駆動される。次に、第2の行の中の所望のセットの駆動ピクセルに対応するよう、表明されたセットの列電極が変更される。次に、行2電極にパルスが印加され、表明された列電極に従って行2の中の該当するピクセルが駆動される。行1ピクセルは、行2パルスの影響を受けることはなく、行1パルスの間に設定された状態を維持する。連続するすべての行に対して逐次方式でこれを繰り返すことによってフレームを生成することができる。通常、フレームは、新しい表示データを使用して、1秒当たりいくつかの所望のフレーム数でこのプロセスを連続的に繰り返すことによってリフレッシュおよび/または更新される。ピクセルアレイの行電極および列電極を駆動し、それによりディスプレイフレームを生成するための広範囲にわたる様々なプロトコルも同じく良く知られており、本発明と共に使用することができる。
【0020】
図4、5Aおよび5Bは、図2の3×3アレイ上にディスプレイフレームを生成するための可能駆動プロトコルの1つを示したものである。図4には、図3のヒステリシス曲線を示すピクセルのために使用することができる列電圧レベルおよび行電圧レベルの可能セットが示されている。図4の実施形態の場合、ピクセルを駆動するためには、該当する列を−Vbiasに設定し、かつ、該当する行を+ΔVに設定する必要がある。−Vbiasおよび+ΔVは、それぞれ−5ボルトおよび+5ボルトに対応していてもよい。ピクセルの弛緩は、該当する列を+Vbiasに設定し、かつ、該当する行を同じ+ΔVに設定して、ピクセルの両端間にゼロボルトの電位差を生成することによって達成される。これらの行のうち、行電圧がゼロボルトに保持されている場合、その行のピクセルは、列が+Vbiasであれ、あるいは−Vbiasであれ、それには無関係に、それらの最初の状態が何であれ安定である。また、同じく図4に示されているように、上で説明した極性とは逆の極性の電圧を使用することも可能であり、その場合、たとえばピクセルを駆動するためには、該当する列を+Vbiasに設定し、かつ、該当する行を−ΔVに設定しなければならないことになることは明らかであろう。この実施形態の場合、ピクセルの開放は、該当する列を−Vbiasに設定し、かつ、該当する行を同じ−ΔVに設定して、ピクセルの両端間にゼロボルトの電位差を生成することによって達成される。
【0021】
図5Bは、図2の3×3アレイに印加される、図5Aに示されているディスプレイ構造が得られることになる一連の行信号および列信号のタイミング図を示したもので、駆動されるピクセルは非反射型である。図5Aに示されているフレームを書き込む前のピクセルの状態は任意であり、この例では、すべての行が0ボルトに設定され、また、すべての列が+5ボルトに設定されている。このような印加電圧を使用することにより、すべてのピクセルがそれらの既存の駆動状態または弛緩状態で安定である。
【0022】
図5Aのフレームでは、ピクセル(1、1)、(1、2)、(2、2)、(3、2)および(3、3)が駆動されている。これを達成するために、行1のための「ライン時間」の間、列1および2が−5ボルトに設定され、また、列3が+5ボルトに設定される。すべてのピクセルが3〜7ボルトの安定窓内に留まっているため、この設定によっては、どのピクセルの状態も全く変化しない。次に、0ボルトから5ボルトまで立ち上がり、次にゼロに戻るパルスで行1がストローブされる。これにより(1、1)ピクセルおよび(1、2)ピクセルが駆動され、(1、3)ピクセルが弛緩する。アレイ内の他のピクセルは全く影響されない。必要に応じて行2を設定するために、列2が−5ボルトに設定され、また、列1および3が+5ボルトに設定される。次に、行2に印加される同じストローブによってピクセル(2、2)が駆動され、ピクセル(2、1)およびピクセル(2、3)が弛緩する。この場合も、アレイの他のピクセルは全く影響されない。行3も、列2および3を−5ボルトに設定し、また、列1を+5ボルトに設定することによって同様に設定される。行3ストローブによって、図5Aに示されているように行3ピクセルが設定される。フレームの書込みが終了すると、行電位がゼロになり、また、列電位は、+5ボルトまたは−5ボルトのいずれかを維持することができ、それにより図5Aの構造でディスプレイが安定する。数十個または数百個の行および列のアレイにも同じ手順を使用することができることは理解されよう。また、行駆動および列駆動を実行するために使用される電圧のタイミング、シーケンスおよびレベルは、上でその概要を示した一般原理の範囲内で広範囲にわたって変更することができ、上に示した例は単なる例示的なものにすぎず、任意の駆動電圧方式を本明細書において説明されているシステムおよび方法と共に使用することができることについても理解されよう。
【0023】
図6Aおよび6Bは、ディスプレイデバイス40の一実施形態をシステムブロック図で示したものである。ディスプレイデバイス40は、たとえばセルラすなわち移動電話であってもよい。しかしながら、ディスプレイデバイス40の同じコンポーネントまたはその若干異なる変形形態も、テレビジョンおよび携帯型メディアプレーヤなどの様々なタイプのディスプレイデバイスの実例である。
【0024】
ディスプレイデバイス40は、ハウジング41、ディスプレイ30、アンテナ43、スピーカ45、入力デバイス48およびマイクロホン46を備えている。ハウジング41は、通常、当業者に良く知られている、射出成形および真空成形を始めとする任意の様々な製造プロセスを使用して形成される。また、ハウジング41は、それらに限定されないが、プラスチック、金属、ガラス、ゴムおよびセラミックまたはそれらの組合せを始めとする任意の様々な材料から構築することも可能である。一実施形態では、ハウジング41は、色が異なる他の取外し可能部分または異なるロゴ、ピクチャあるいはシンボルを含んだ他の取外し可能部分と交換することができる取外し可能部分(図示せず)を備えている。
【0025】
例示的ディスプレイデバイス40のディスプレイ30は、本明細書において説明されている双安定ディスプレイを始めとする任意の様々なディスプレイであってもよい。他の実施形態では、ディスプレイ30は、上で説明した、プラズマ、EL、OLED、STN LCDまたはTFT LCDなどのフラットパネルディスプレイ、または当業者に良く知られているCRTあるいは他の真空管デバイスなどの非フラットパネルディスプレイを備えている。しかしながら、ディスプレイ30は、この実施形態の説明を目的として、本明細書において説明されている分岐干渉変調器ディスプレイを備えている。
【0026】
図6Bは、例示的ディスプレイデバイス40の一実施形態のコンポーネントの概要を示したものである。図に示されている例示的ディスプレイデバイス40はハウジング41を備えており、その中に少なくとも部分的に密閉された追加コンポーネントを備えることができる。たとえば、一実施形態では、例示的ディスプレイデバイス40は、トランシーバ47に結合されたアンテナ43を備えたネットワークインタフェース27を備えている。トランシーバ47は、条件付けハードウェア52に接続されているプロセッサ21に接続されている。条件付けハードウェア52は、信号を条件付ける(たとえば信号をフィルタリングする)ように構成することができる。条件付けハードウェア52は、スピーカ45およびマイクロホン46に接続されている。また、プロセッサ21は、入力デバイス48およびドライバコントローラ29に接続されている。ドライバコントローラ29は、フレームバッファ28およびアレイドライバ22に結合されている。アレイドライバ22は、ディスプレイアレイ30に結合されている。電源50は、特定の例示的ディスプレイデバイス40設計に必要なすべてのコンポーネントに電力を提供している。
【0027】
ネットワークインタフェース27は、アンテナ43およびトランシーバ47を備えており、したがってこの例示的ディスプレイデバイス40は、ネットワークを介して1つまたは複数のデバイスと通信することができる。また、一実施形態では、ネットワークインタフェース27は、プロセッサ21の要求事項を軽減するためのいくつかの処理機能を有することも可能である。アンテナ43は、当業者に知られている、信号を送受信するための任意のアンテナである。一実施形態では、アンテナは、IEEE 802.11(a)、(b)または(g)を含むIEEE 802.11規格に従ってRF信号を送受信している。他の実施形態では、アンテナは、BLUETOOTH規格に従ってRF信号を送受信している。セルラ電話の場合、アンテナは、CDMA、GSM(登録商標)、AMPSまたは無線セル電話ネットワーク内での通信に使用される他の知られている信号を受信するように設計される。トランシーバ47は、プロセッサ21が受け取り、かつ、さらに操作することができるよう、アンテナ43から受け取った信号を予備処理している。また、トランシーバ47は、アンテナ43を介して例示的ディスプレイデバイス40から送信することができるよう、プロセッサ21から受け取った信号を処理している。
【0028】
代替実施形態では、トランシーバ47をレシーバに置き換えることができる。さらに他の代替実施形態では、ネットワークインタフェース27を、プロセッサ21に送信されるイメージデータを記憶し、あるいは生成することができるイメージソースに置き換えることができる。イメージソースは、たとえば、ディジタルビデオディスク(DVD)またはイメージデータを含んだハードディスクドライブあるいはイメージデータを生成するソフトウェアモジュールであってもよい。
【0029】
プロセッサ21は、通常、例示的ディスプレイデバイス40の動作を総合的に制御している。プロセッサ21は、ネットワークインタフェース27またはイメージソースから圧縮イメージデータなどのデータを受け取り、受け取ったデータを生イメージデータに処理し、あるいは容易に生イメージデータに処理することができるフォーマットに処理している。プロセッサ21は、次に、処理したデータをドライバコントローラ29に送信し、あるいは記憶するためにフレームバッファ28に送信する。生データは、一般に、イメージ内の個々の位置におけるイメージ特性を識別する情報と呼ばれている。たとえば、このようなイメージ特性は、色、飽和およびグレースケールレベルを含むことができる。
【0030】
一実施形態では、プロセッサ21は、例示的ディスプレイデバイス40の動作を制御するためのマイクロコントローラ、CPUまたは論理ユニットを備えている。条件付けハードウェア52は、通常、信号をスピーカ45に送信し、また、マイクロホン46から信号を受信するための増幅器およびフィルタを備えている。条件付けハードウェア52は、例示的ディスプレイデバイス40内の離散コンポーネントであってもよく、あるいはプロセッサ21または他のコンポーネント内に組み込むことも可能である。
【0031】
ドライバコントローラ29は、プロセッサ21によって生成される生イメージデータをプロセッサ21から直接受け取るか、あるいはフレームバッファ28から受け取り、受け取った生イメージデータをアレイドライバ22に高速転送するために適切に書式変更している。詳細には、ドライバコントローラ29は、ディスプレイアレイ30全体を走査するのに適した時間順序を有するよう、ラスタ様フォーマットを有するデータフローに生イメージデータを書式変更している。ドライバコントローラ29は、次に、フォーマット化された情報をアレイドライバ22に送信する。LCDコントローラなどのドライバコントローラ29は、しばしば、独立型集積回路(IC)としてシステムプロセッサ21に結合されているが、このようなコントローラは、多くの方法で実施することができる。それらは、ハードウェアとしてプロセッサ21の中に埋め込むことも、ソフトウェアとしてプロセッサ21の中に埋め込むことも、あるいはハードウェアの中にアレイドライバ22と共に完全に統合することも可能である。
【0032】
通常、アレイドライバ22は、ドライバコントローラ29からフォーマット化された情報を受け取ってビデオデータを並列波形セットに書式変更しており、この並列波形セットがディスプレイのx−yマトリックスのピクセルからの数百、場合によっては数千に及ぶリード線に、1秒当たり多数回にわたって印加される。
【0033】
一実施形態では、ドライバコントローラ29、アレイドライバ22およびディスプレイアレイ30は、本明細書において説明されているあらゆるタイプのディスプレイに適している。たとえば、一実施形態では、ドライバコントローラ29は、従来のディスプレイコントローラまたは双安定ディスプレイコントローラ(たとえば分岐干渉変調器コントローラ)である。他の実施形態では、アレイドライバ22は、従来のドライバまたは双安定ディスプレイドライバ(たとえば分岐干渉変調器ディスプレイ)である。一実施形態では、ドライバコントローラ29は、アレイドライバ22と共に統合されている。このような実施形態は、セルラ電話、時計および他の微小面積ディスプレイなどの高度に集積化されたシステムではごく当たり前である。さらに他の実施形態では、ディスプレイアレイ30は、典型的なディスプレイアレイまたは双安定ディスプレイアレイ(たとえば分岐干渉変調器のアレイを備えたディスプレイ)である。
【0034】
入力デバイス48は、使用者による例示的ディスプレイデバイス40の動作の制御を可能にしている。一実施形態では、入力デバイス48は、QWERTYキーボードまたは電話キーパッドなどのキーパッド、ボタン、スイッチ、タッチセンシティブスクリーンまたは圧力感応膜あるいは熱感応膜を備えている。一実施形態では、マイクロホン46は、例示的ディスプレイデバイス40のための入力デバイスである。マイクロホン46を使用してデバイスにデータを入力する場合、使用者は、例示的ディスプレイデバイス40の動作を制御するための音声コマンドを提供することができる。
【0035】
電源50は、当分野で良く知られている様々なエネルギー蓄積デバイスを備えることができる。たとえば、一実施形態では、電源50は、ニッケルカドミウム電池またはリチウムイオン電池などの蓄電池である。他の実施形態では、電源50は、再生可能エネルギー源、コンデンサまたはプラスチック太陽電池および太陽電池ペイントを始めとする太陽電池である。他の実施形態では、電源50は、壁付きコンセントから電力を受け取るように構成されている。
【0036】
いくつかの実施形態では、制御プログラム可能性は、上で説明したように、電子ディスプレイシステム内の複数の場所に配置することができるドライバコントローラ内に存在している。いくつかの実施形態では、制御プログラム可能性は、アレイドライバ22内に存在している。上で説明した最適化は、任意の数のハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアコンポーネントの中で、様々な構成で実施することができることは当業者には認識されよう。
【0037】
上で説明した原理に従って動作する分岐干渉変調器の構造の細部は、広範囲に変更することができる。たとえば図7A〜7Eは、可動反射層14およびそのサポート構造の5つの異なる実施形態を示したものである。図7Aは、図1の実施形態の断面図であり、直角に展開しているサポート18の上に金属材料14の条片が付着されている。図7Bでは、可動反射層14は、サポートの隅のテザー32のみに取り付けられている。図7Cでは、可動反射層14は、可撓性金属から構成することができる変形可能層34から懸垂されている。変形可能層34は、その周囲が基板20に直接または間接的に接続されている。これらの接続は、本明細書においては、サポートポストと呼ばれている。図7Dに示されている実施形態は、サポートポストプラグ42を有しており、その上に変形可能層34が載っている。可動反射層14は、図7A〜7Cに示されているように、ギャップの上方に懸垂された状態を維持しているが、変形可能層34は、この変形可能層34と光学スタック16の間の孔を充填することによってサポートポストを形成していない。その代わりに、サポートポストプラグ42を形成するために使用される平坦化材料でサポートポストが形成されている。図7Eに示されている実施形態は、図7Dに示されている実施形態に基づいているが、図7A〜7Cに示されているすべての実施形態、ならびに図には示されていない追加実施形態と共に動作するように適合させることも可能である。図7Eに示されている実施形態では、金属または他の導電材料の追加層を使用してバス構造44が形成されている。そのため、分岐干渉変調器の背面に沿って信号を経路化することができ、したがって、そうでないと基板20の上に形成しなければならないことになる多くの電極が除去される。
【0038】
図7に示されている実施形態などの実施形態では、分岐干渉変調器は、イメージが透明基板20の前面側から観察され、その反対側に変調器が配置される直視デバイスとして機能している。これらの実施形態では、反射層14は、反射層の基板20とは反対側の、変形可能層34を含む側の分岐干渉変調器部分を光学的に遮蔽している。したがって、画像品質に悪影響を及ぼすことなく遮蔽領域を構成し、かつ、動作させることができる。このような遮蔽が、アドレス指定およびそのアドレス指定によって生じる運動などの変調器の電気機械特性から変調器の光学特性を分離する能力を提供する図7Eのバス構造44を可能にしている。この分離可能な変調器アーキテクチャにより、変調器の電気機械的な面および光学的な面のために使用される構造設計および材料を選択することができ、かつ、互いに独立して機能させることができる。さらに、図7C〜7Eに示されている実施形態は、変形可能層34によって実行される反射層14の光学特性と機械特性の分離によって得られる追加利点を有している。この追加利点により、反射層14のために使用される構造設計および材料を光学特性に対して最適化することができ、また、変形可能層34のために使用される構造設計および材料を所望の機械特性に対して最適化することができる。
【0039】
特定の実施形態では、駆動電極を反射エレメントの反射表面から横方向に配置することにより、可動エレメントの光学特性が可動エレメントの電気的特性および機械的特性の両方から分離されている。このような実施形態の場合、可動エレメントは、基板の頂部表面に概ね直角の方向に移動することによって、駆動電極と可動エレメントの間に印加される電圧差に応答する。詳細には、反射エレメント14ではなく変形可能層34が静電力によって駆動電極に向かって引き付けられる。反射エレメント14は、変形可能層34が駆動電極に向かって引き付けられると、反射エレメント14が同じく基板の頂部表面に概ね直角の方向に移動するように、変形可能層34に機械的に結合されている。特定の実施形態では、駆動電極と可動エレメントの間に電圧差を印加することにより、変形可能層34が変位し、かつ、変形可能層34の変位に対して平行に反射エレメント14の反射表面が変位する。
【0040】
図8Aは、MEMSデバイス800(たとえば分岐干渉変調器)の一実施形態例の上面図を示したもので、可動エレメント810の光学特性が可動エレメント810の電気的特性および機械的特性の両方から分離されている。図9A〜9Hは、図8AのMEMSデバイス800の一実施形態例の断面図を示したものである。図9Aは、MEMSデバイス800が非駆動状態(つまり「弛緩」状態)にある場合の線A−Aに沿って取った断面図であり、また、図9Cは、同じ状態の線C−Cに沿って取った断面図である。図9Bおよび9Dは、それぞれ、MEMSデバイス800が駆動状態にある場合の線A−AおよびC−Cに沿った断面図を示したものである。図9Eは、MEMSデバイス800が非駆動状態にある場合の線E−Eに沿って取った断面図であり、また、図9Gは、同じ状態の線G−Gに沿って取った断面図である。図9Fおよび9Hは、それぞれ、MEMSデバイス800が駆動状態にある場合の線E−EおよびG−Gに沿った断面図を示したものである。
【0041】
MEMSデバイス800は、頂部表面88を有する基板20を備えており、また、基板20の上方に可動エレメント810を備えている。可動エレメント810は、変形可能層34および変形可能層34に機械的に結合された、反射表面92を備えた反射エレメント814を備えている。MEMSデバイス800は、さらに、反射表面92から横方向に配置された駆動電極82を備えている。可動エレメント810は、基板20の頂部表面88に概ね直角の方向に移動することによって、駆動電極82と可動エレメント810の間に印加される電圧差に応答する。
【0042】
特定の実施形態では、MEMSデバイス800は、駆動電極82に電圧を印加することによって光を変調する(たとえば分岐干渉的に光を変調する)ために使用することができる。この電圧によって可動エレメント810に引力が生成され、それにより駆動電極82に向かって可動エレメント810が移動する。
【0043】
基板20は、少なくとも部分的に透明または半透明で、かつ、少なくとも部分的に反射型の材料からなっていてもよく、このような材料の例には、それらに限定されないが、ガラスまたはプラスチックがある。また、基板20は、それらに限定されないが、均質な実体または非均質な実体、あるいは一様な厚さまたは非一様な厚さを有する形態を始めとする様々な形態で製造することができる。また、基板20は、いくつかの副層、より短い広がりすなわち領域、あるいは複数の広がりすなわち領域を有することも可能である。特定の実施形態では、基板20は、上で説明した光学スタック16を備えている。たとえば、基板20は、第1の反射層94、ブラックマスク(図示せず)または他の層あるいは構造と共に統合することができる。
【0044】
本明細書において使用される際、「基板の頂部表面」という表現は、それには限定されないが、反射エレメント814の反射表面92の下方の構造の一番上の表面を含む広義の表現である。たとえば、それらに限定されないが、基板20の頂部表面88は、基板20自体の頂部表面、絶縁層86の頂部表面、絶縁層87(たとえば図10C、10D、11Cおよび11Dに示されている)の頂部表面、第1の反射層94(たとえば図9C、9D、9Gおよび9Hに示されている)の頂部表面あるいはブラックマスクの頂部表面であってもよい。特定の実施形態では、基板20の頂部表面88は、1つまたは複数の絶縁構造(たとえば駆動電極82および/または第1の反射層94の上に配置された絶縁バンプまたは導電バンプ)の頂部表面である。
【0045】
変形可能層34は、導電性可撓材料(たとえばニッケル)からなっていることが好ましい。いくつかの実施形態では、変形可能層34は、上で説明した駆動プロトコルを実施するために、MEMSデバイス800の行を横切って展開しており(たとえば図8Bに示されているように)、また、一行のMEMSデバイス800の変形可能層34は、MEMSデバイス800の他の行の変形可能層34から電気的に分離されている。いくつかの実施形態では、変形可能層34は、上で説明した駆動プロトコルを実施するために、MEMSデバイス800の列を横切って展開しており、また、一列のMEMSデバイス800の変形可能層34は、MEMSデバイス800の他の列の変形可能層34から電気的に分離されている。反射エレメント814は、必ずしも何らかの特定の電気特性を有している必要はないが、反射エレメント814の反射表面92は、アルミニウムなどの反射型材料からなっていることが好ましい。本明細書において使用される際、「反射表面」という用語は、それには限定されないが、反射エレメント814のうちの光を反射するように構成された部分を含む広義の用語である。図9A〜9Hに示されている実施形態では、可動エレメント810は、変形可能層34の頂部表面に機械的に結合された反射エレメント814を備えている。他の構成も可能である(たとえば図10A〜11Dに示されている実施形態)。
【0046】
特定の実施形態では、可動エレメント810は、1つまたは複数の接続エレメント84を備えており、反射エレメント814は、1つまたは複数の接続エレメント84によって変形可能層34に機械的に結合されている。いくつかの実施形態では、接続エレメント84は、反射エレメント814から展開している、変形可能層34に機械的に結合された少なくとも1つの突起を備えている(たとえば図8Aに示されているように)。接続エレメント84は、適切な機械的特性を有する材料からなっていることが好ましいが、必ずしも何らかの特定の光学的および/または電気的特性を接続エレメント84に持たせる必要はない。たとえば、特定の実施形態の接続エレメント84は、反射エレメント814のバルクの内部応力および/または熱膨張率と同様の内部応力および/または熱膨張率を有する材料からなっている。特定の実施形態では、接続エレメント84は、反射エレメント814および変形可能層34の材料と合成することができる材料からなっている。特定の実施形態では、アルミニウムの層が反射エレメント814の接続エレメント84および反射表面92を構成している。
【0047】
いくつかの実施形態では、変形可能層34はポスト18によってサポートされている。ポスト18は酸化物(たとえばSiO)からなっていることが好ましいが、適切な任意の剛直材料からなっていてもよい。図9A〜9Hに示されている変形可能層34は、図7Aおよび7Dの変形可能層34の場合と同様の方法でポスト18によってサポートされているが、変形可能層34の構成は、図7B、7Cおよび7Eに示されている実施形態または他の構成に対応させることも可能であることは理解されよう。
【0048】
駆動電極82は図8Aおよび8Bには破線で示されており、いくつかの実施形態では駆動電極82の少なくとも一部が変形可能層34の少なくとも一部の下方に位置していることを示している(たとえば図9A〜9Hの断面図に示されているように)。特定の実施形態では、MEMSデバイス800は、複数の駆動電極82を備えている(たとえば駆動電極82の各々の少なくとも一部は変形可能層34の少なくとも一部の下方に位置している)。駆動電極82は、駆動電極82が可動エレメント810および第1の反射層94から絶縁されるよう、絶縁層86、87(たとえばSiOからなっている)によって覆われている(たとえば封入されている)ことが好ましい。絶縁層86、87は、同じ材料(たとえばSiO)からなっていても、あるいは異なる材料(たとえばSiOとAl)からなっていてもよい。駆動電極82は、上で説明した駆動プロトコルを実施するために、MEMSデバイス800の列と列の間に接続することができ(たとえば図8Bに示されているように)、あるいはMEMSデバイス800の行と行の間に接続することができる。
【0049】
駆動電極82は、反射エレメント814の反射表面92から横方向に配置されており、したがって有利には駆動電極82を上で説明したITOなどの透明な導体ではなく、不透明な導体から構成することができる。さらに、不透明な駆動電極82を使用することができるため、透明導体より抵抗が小さい材料を使用して駆動電極82を形成することができ、したがって電力消費が少なくなり、また、応答時間τが短くなる。たとえば、駆動電極82は、ニッケル、アルミニウム、銅、銀、金およびそれらの合金からなっていてもよい。さらに、駆動電極82を反射表面92から横方向に配置することにより、特定の実施形態では、透明導体が光路内に配置される実施形態と比較すると、より良好なコントラスト比が有利に提供される。
【0050】
ITOなどの特定の透明導体は高温プロセスに対して敏感であり、そのため、駆動電極82が形成された後のMEMSデバイスの最大処理温度が制限されている。たとえばITOは約350℃以上の温度で劣化し、ITOからなる駆動電極の抵抗率が大きくなる。したがって特定のプロセス(たとえば温度が350℃より高い化学気相成長(CVD))は、一般的にはITOからなる構造に対しては実施されない。しかしながら、反射表面92から横方向に配置された駆動電極82を備えたMEMSデバイスは、高温処理に耐えることができる様々な導体からなる駆動電極82を有することができ、したがってMEMSデバイス800のコンポーネントのプロセス柔軟性を改善することができる。たとえば、特定の付着(たとえばサポート構造18の付着)は高温で実施することができる。他の例の場合、特定の付着プロセスは、物理気相成長(PVD)(たとえばスパッタ)ではなく、付着の整合性および一様性を改善することができるCVDであってもよい。
【0051】
光路内における駆動電極の厚さは、MEMSデバイスの光学特性に対する悪影響を回避するために制限されているが、反射表面92から横方向に配置された駆動電極82は光路内に配置されないため、様々な厚さを有することができる。駆動電極の厚さを分厚くすることができるため、たとえば導電率を有利に大きくすることができ、したがってMEMSデバイスの応答時間および/または電力消費が低減される。さらに、駆動電極82を分厚くすることにより、製造コストを下げることができる代替付着方法(たとえばコーティング、インクジェット印刷、印刷可能導体)の使用が可能になる。
【0052】
もう一度図8Aを参照すると、反射エレメント814の反射表面92は、駆動電極82から横方向に配置されている。図7A〜7Eに関連して上で説明したMEMSデバイスとは対照的に、可動エレメント810のうちの静電力による電気引力に遭遇する部分は光を変調していない。いくつかの実施形態では、MEMSデバイス800の部分のうちの、光の望ましくない変調を防止するために可動エレメント810が電気引力に遭遇する部分の基板20の上にブラックマスク(図示せず)が配置されている(たとえば基板20と駆動電極82の間に)。いくつかの実施形態では、たとえば光を変調しない領域の反射率を最小化し、それによりコントラスト比を改善するために、反射エレメント814によって覆われていない領域の基板20の上にブラックマスク(図示せず)が配置されている(たとえばサポート構造18の下方の駆動電極82と反射表面92の間に)。
【0053】
上で説明したように、変形可能層34は、静電力によって駆動電極82に向かって引き付けることができる可撓性材料からなっている。したがって駆動電極82に電圧が印加されると、静電力によって変形可能層34が駆動電極82に向かって引き付けられる。この方向は、図に示されている実施形態では同じく基板20に向かう方向である。この引力に応答して、変形可能層34のうちのポスト18によってサポートされていない部分が矢印96の方向に偏向する(たとえば図9B、9D、9Fおよび9Gに示されているように)。反射エレメント814は変形可能層34に機械的に結合されているため、この反射エレメント814も、駆動電極82に印加される電圧に応答して同じく矢印96の方向に移動する。したがって可動エレメント810は、基板20の頂部表面88に概ね直角の方向に移動する。
【0054】
図8Bは、図8AのMEMSデバイス800の3×3アレイを示したものである。変形可能層34は、上で説明した駆動プロトコルを実施するために、左側から右側までの行の中で接続されており、また、駆動電極82は、上から下までの列の中で接続されている。特定の実施形態では、駆動電極82が、左側から右側までの行の中で接続されており、また、変形可能層34が、上から下までの列の中で接続されている。いくつかの実施形態では、サポート構造18は、複数のMEMSデバイス800の変形可能層34をサポートしている(たとえば一番上の行と真中の行の間に示されているように)。いくつかの実施形態では、サポート構造18は、1つのMEMSデバイス800の変形可能層34をサポートしている(たとえば真中の行と一番下の行の間に示されているように)。いくつかの実施形態では、MEMSデバイス800の行と行の間を展開している駆動電極82の一部は、変形可能層34の実質的に下方にのみ位置している(たとえば一番上の行と真中の行の間に示されているように)。いくつかの実施形態では、MEMSデバイス800の行と行の間を展開している駆動電極82の一部は、変形可能層34および変形可能層34と変形可能層34の間の領域の実質的に下方に位置している(たとえば真中の行と一番下の行の間に示されているように)。
【0055】
図9A〜9Hに示されている実施形態では、反射エレメント814は、変形可能層34の頂部表面に機械的に結合されている。しかしながら、他の結合方法も可能である。
【0056】
図10Aは、MEMSデバイス800が非駆動状態にある場合の図8Aの線A−Aに沿って取ったMEMSデバイス800の他の実施形態例の断面図であり、また、図10Cは、同じ状態の図8Aの線C−Cに沿って取った断面図である。図10Bおよび10Dは、それぞれ、MEMSデバイス800が駆動状態にある場合の線A−AおよびC−Cに沿った断面図を示したものである。図8Aに示されている平面図では、接続エレメント84は変形可能層34と重畳している。しかしながら、図10A〜10Dに示されている実施形態では、反射エレメント814の縁または側面は、変形可能層34に隣接しているが重畳していない接続エレメント84を介して変形可能層34の縁または側面に機械的に結合されている。図10Bの破線は、変形可能層34と接続エレメント84の間の接触領域が変形可能層34の後側に存在していることを示している。他の実施形態も可能である。たとえば、接続エレメント84の複数の側面を変形可能層34の複数の側面に隣接させることができる。可動エレメント810は、MEMSデバイス800が駆動状態にある場合に、反射エレメント814の反射表面92と基板20の頂部表面88が接触しないように構成されている(たとえば図10Dに示されているように)。たとえば、反射エレメント814は、変形可能層34が基板20の頂部表面88と接触し、一方、反射表面92は基板20の頂部表面88とは接触しないようよう、変形可能層34より薄くすることができ(たとえば図10Cおよび10Dに示されているように)、あるいは反射表面92と基板20の頂部表面88の間の接触を回避するために変形可能層34を特殊な形状にすることができる(たとえば垂直方向に隆起した部分を持たせることができる)。図8Aの線E−EおよびG−Gに沿って取った断面などの断面は、図10A〜10Dおよび9A〜9Hの断面図から当業者には明らかであろう。
【0057】
図11Aは、MEMSデバイス800が非駆動状態にある場合の図8Aの線A−Aに沿って取ったMEMSデバイス800の他の実施形態例の断面図であり、また、図11Cは、同じ状態の図8Aの線C−Cに沿って取った断面図である。図11Bおよび11Dは、それぞれ、MEMSデバイス800が駆動状態にある場合の線A−AおよびC−Cに沿った断面図を示したものである。線E−EおよびG−Gに沿った断面は、図9E〜9Hの断面図から当業者には明らかであろう。反射エレメント814は、変形可能層34の底部表面に機械的に結合されている。しかしながら、可動エレメント810は、MEMSデバイス800が駆動状態にある場合に、反射エレメント814の反射表面92と基板20の頂部表面88が接触しないように構成されている。たとえば変形可能層34は、垂直方向に隆起した、反射エレメント814に結合された部分1102を備えることができる(たとえば図11Aおよび11Bに示されているように)。他の構成も可能である。
【0058】
図9A〜9HのMEMSデバイス800の変形可能層34は、MEMSデバイス800が駆動状態にある場合、変形可能層34とMEMSデバイス800の固定部分(たとえば基板20の頂部表面88、絶縁層87の頂部表面)が接触するように構成されている。しかしながら、図9C、9D、9Gおよび9Hに示されているように、反射エレメント814の反射表面92は、それぞれ弛緩状態にあるにせよ、あるいは駆動状態にあるにせよ、基板20の頂部表面88とは接触しない。反射エレメント814の反射表面92と基板20の頂部表面88の間の距離は、変形可能層34と基板20の頂部表面88の間の距離より長い。可動エレメント810の反射表面92と基板20の頂部表面88が接触しない実施形態によれば、変形可能層34と基板20の頂部表面88の間の機械的な接触面積がより小さくなるため、スティクションの危険が有利に低減される。スティクションの危険が減少すると、機械力が打ち勝つのは変形可能層34と駆動状態における固定部分との間の小さい接触面積の粘着力のみであるため(たとえばMEMSデバイス800を弛緩させるために)、より小さいばね定数を変形可能層34に使用することができる。より小さいばね定数を変形可能層34に使用することができるため、より少量の静電力を使用して弛緩状態における機械力に打ち勝つことができる(たとえばMEMSデバイス800を駆動するために)。より少量の静電力を使用してMEMSデバイス800を駆動することができるため、延いてはより小さいコンデンサを駆動することができる。したがって、特定のこのような実施形態は、たとえ反射エレメント814が大きい場合であっても、駆動電極82と変形可能層34の重畳面積によるMEMSデバイス800のキャパシタンスの方が、可動エレメント810のより大きい部分が駆動電極82と相互作用して静電引力を生成する実施形態のキャパシタンスより小さいため、MEMSデバイス800を高速で、かつ、少ない電力で動作させることができる。その上、有利には、反射エレメント814と基板20の頂部表面88が接触しないため、また、反射エレメント814が駆動時の静電力によって動作的に引き付けられないため、反射エレメント814の寸法は、機械エレメントおよび電気的エレメント(たとえば変形可能層34および駆動電極82)の寸法とは無関係である。さらに、MEMSデバイス800の駆動状態または非駆動状態のいずれかの状態において、反射表面92と基板20の頂部表面88が接触しない場合、スティクションの危険が著しく小さくなるため、反射エレメント814の反射表面92を滑らかに、かつ、平らにすることができる。反射表面92をより滑らかに、かつ、より平らにすることにより、カラーガムトを有利に改善することができる。
【0059】
反射表面92および頂部表面88が平らな実施形態の場合(たとえばカラーガムトを改善するために)、それらの表面と表面の間のスティクションは、それらが接触するMEMSデバイスの動作に不利な影響を及ぼすことがある。表面をあらくし、また、アンチスティクション層を設けるなどの特定の特徴を使用してこのようなスティクションを抑制することができるが、これらの特徴は、MEMSデバイスの光学性能に悪影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、変形可能層34と固定部分が接触する実施形態(たとえば図9Bおよび9Dに示されているような実施形態)の場合、駆動電極82を反射表面92から横方向に配置することにより、光学性能に影響を及ぼすことなくスティクションが抑制されるように変形可能層34の下部表面および/または光路内に配置されていない固定部分の上部表面を適合させることができる。たとえば、表面の表面トポロジーをあらくすることによって接触点の数を少なくすることができ、あるいはそれらの間にアンチスティクション層を形成することができる。
【0060】
反射エレメント814および第1の反射層94は、あらゆる静電力を小さくし、あるいはアークを発生する可能性があるそれらの間の電界を小さくするためには、それらを同じ電位にすることが好ましい。特定の実施形態では、反射エレメント814は、反射エレメント814と第1の反射層94が同じ電位になるように変形可能層34を介して第1の反射層94に電気的に結合されている。特定の実施形態では、反射エレメント814は変形可能層34から絶縁されており(たとえば誘電体接続エレメント84を使用して)、また、第1の反射層94もそれらが同じ電位になるように絶縁されている。
【0061】
また、変形可能層34と基板20の頂部表面88の間の距離が反射エレメント814の反射表面92と基板20の頂部表面88の間の距離より長い実施形態も可能である。図12A〜12Cは、それぞれ、MEMSデバイス800が駆動状態になると反射エレメント814の反射表面92と基板20の頂部表面88が接触する点を除き、図9D、10Dおよび11Dと同様の実施形態を示したものである。特定の実施形態では、反射表面92と基板20の頂部表面88の間の接触が、MEMSデバイス800が反射率が小さい(つまりより暗い)ブラックを有利に生成するアプリケーションにおけるこのMEMSデバイス800の使用を可能にしている。基板20の頂部表面88が約90nmと110nmの間(たとえば約100nm)の厚さを有する絶縁層87を備えている場合、MEMSデバイス800は、反射表面92と基板20の頂部表面88が接触すると、反射率が小さいブラックを生成することができる。特定の実施形態では、反射表面92と基板20の頂部表面88の間の接触が、MEMSデバイス800が反射率が大きい広帯域ホワイトを有利に生成するアプリケーションにおけるこのMEMSデバイス800の使用を可能にしている。基板20の頂部表面88が第1の反射層94を備えている場合(たとえば絶縁層87を備えていない場合、あるいは約100Å未満の厚さを有する絶縁層87を備えている場合)、MEMSデバイス800は、反射表面92が接触するか、あるいは第1の反射層94から約100Å未満の間隔を隔てると(たとえば約100Å未満の厚さを有する絶縁層87に接触することによって)、反射率が大きい広帯域ホワイトを生成することができる。特定のこのような実施形態では、アークが発生する機会を少なくするために、反射エレメント814および第1の反射層94の電位は同じである。特定の実施形態では、このような接触によってMEMSデバイス800の製造を単純化することができる。
【0062】
反射率が小さいブラックおよび反射率が大きい広帯域ホワイトは、図9D、10Dおよび11Dに示されている、基板20の頂部表面88が第1の反射層94を備え、かつ、反射表面92が基板20の頂部表面88から約100Å未満または約90nmと110nmの間(たとえば約100nm)だけ間隔を隔てた実施形態のMEMSデバイスを使用して生成することも可能である。
【0063】
図8Aの実施形態では、反射エレメント814は複数の縁(たとえば4つの縁)を有しており、反射エレメント814は、その個々の縁で少なくとも1つの接続エレメント84(たとえば4つの縁の各々に対して1つ、合計4つの接続エレメント84)によって変形可能層34に機械的に結合されている。図13A、13Bおよび13Dは、MEMSデバイス800の追加実施形態例を示したもので、駆動電極82は、反射エレメント814の反射表面92から横方向に配置されている。図13Aでは、MEMSデバイス800は、反射エレメント814の縁毎に複数の接続エレメント84(たとえば2個)を備えており、それらは、反射エレメント814を変形可能層34に機械的に結合している。
【0064】
図13Bでは、MEMSデバイス800は、それぞれ反射エレメント814の一方の側を変形可能層34に機械的に結合している一対の接続エレメント84を備えている。さらに、図13Bの実施形態では、MEMSデバイス800は駆動電極82を備えており、その少なくとも一部は、変形可能層34の少なくとも一部の下方に位置している。このような実施形態の場合、接続エレメント84は、反射エレメント814と基板20の頂部表面88が実質的に平行になるように構成されていることが好ましい(たとえば第1の接続エレメント84を反射エレメント814の第1の縁に機械的に結合し、かつ、第2の接続エレメント84を反射エレメント814の第1の縁とは実質的に反対側の第2の縁に機械的に結合することによって)。このような実施形態によれば、MEMSデバイス800のアレイ内の隣接するMEMSデバイス800の反射エレメント814を個々の行全体にわたって互いに直ぐ近くに配置することができるため、「フィルファクタ」(つまりMEMSデバイス800の総面積に対する反射表面92の実効面積)をより大きくすることも可能である。
【0065】
図13Cは、図13BのMEMSデバイス800の3×3アレイを示したものである。変形可能層34は、上で説明した駆動プロトコルを実施するために、左側から右側までの行の中で接続されており、また、駆動電極82は、上から下までの列の中で接続されている。しかしながら、個々のMEMSデバイス800の駆動電極82は、一列の駆動電極82がE字形構造を形成するよう、列方向に沿って片側にのみ配置されている。駆動電極82を反射エレメント814の一方の側に行をなして接続する場合、反射エレメント814のもう一方の側の駆動電極82を接続するために既に使用された空間(たとえば図8Bに示されているように)を隣接するMEMSデバイス800の反射エレメント814のために使用することができる。したがって図13Cのアレイ内のMEMSデバイス800は、図13Bのアレイ内および図13Cのアレイ内のMEMSデバイス800より互いに近接しており、したがって図8Bのアレイより大きいフィルファクタを有している。
【0066】
図8Aに示されているMEMSデバイス800の場合、反射表面92は、基板20の頂部表面88に概ね平行の方向に沿って変形可能層34から間隔を隔てている。図13Dは、MEMSデバイス800の他の実施形態を示したもので、反射表面92は、基板20の頂部表面88に概ね平行の方向に沿って変形可能層34から間隔を隔てているが、反射エレメント814は変形可能層34の上方を展開している。複数の接続エレメント84は、変形可能層34を反射エレメント814から分離している垂直方向のエレメント(反射エレメント814の下方の接触点に点線で示されている)を備えている。反射エレメントのうちのポストに近い部分(たとえば図13Dに示されている反射エレメント814の隅)は、MEMSデバイス800を駆動する際に反射エレメント814と変形可能層34が接触しないように形状化されている。特定の実施形態では、反射エレメント814を変形可能層34のより近くへ、さらには変形可能層34を越えて横方向に展開させることにより、図13Dの反射エレメント814の反射表面92は、変形可能層34からさらに横方向に間隔を隔てている反射エレメント814の反射表面92(たとえば図8A、13Aおよび13Bに示されているように)の場合より広い面積を有している。他の構成も可能である。
【0067】
図14A〜14Hは、図9A〜9Hに示されているMEMSデバイス800に類似したMEMSデバイス800を製造する方法の一例を示したものである。しかしながら、第1の反射層94は、一行のMEMSデバイス800全体にわたって展開する代わりに(たとえば図8Bに示されているように)、実質的に反射エレメント814の反射表面92の下方にのみ配置されている。このような実施形態は、場合によっては、第1の反射層94を接地する必要がない、個々のMEMSデバイス800内で接地することができる、等々の場合に有利である。さらに、図14A〜14Hに示されている絶縁層86は光路から除去されないため、製造の複雑性が緩和される(たとえばパターン化ステップが除去されるため)。図14A〜14Hの左側は、図8Aの線A−Aに沿った断面図であり(たとえば図9Aと同様の)、また、図14A〜14Hの右側は、図8Aの線C−Cに沿った断面図である(たとえば図9Cと同様の)。
【0068】
図14Aは、第1の反射層94がその上に形成されている基板20を備えた構造140を示したものである。上で説明したように、第1の反射層94は、基板20の中の光学スタック中に統合することができる。第1の反射層94は、MEMSデバイス800によって変調される光の光路内に配置され、光路内に存在しない領域、たとえばポスト18または駆動電極82の下方に形成する必要はない(たとえば図14A〜14Hに示されているように)。特定のこのような実施形態では、第1の反射層94は、駆動電極82の平面と同じ平面に配置することができる(たとえば図14Bに示されているように)。
【0069】
図14Bは、駆動電極82が基板20の上方に形成された後の構造140を示したものである。図8Bおよび13Cに関連して上で説明したように、駆動電極82は、反射エレメント814の反射表面92の周囲の条片の中に形成することができる。いくつかの実施形態では、第1の反射層94は、駆動電極82の後に形成される。第1の反射層94および駆動電極82は、異なる厚さを有することができる。図14Cは、第1の反射層94および駆動電極82が絶縁体86によって覆われた後の(たとえば封入された後の)構造140を示したものである。特定の実施形態では、絶縁体86は、MEMSデバイス800が駆動状態になった場合の変形可能層34と駆動電極82の間の電気絶縁を提供している。変形可能層34を駆動電極82から絶縁するための他の実施形態も可能である。特定の実施形態では、絶縁体86は、変形可能層34と駆動電極82の間に形成された1つまたは複数の層を備えており、この1つまたは複数の層は、接触点の形状および表面エネルギーの最適化および/または変形可能層34と変形可能層34の下方の層との間のスティクションの最小化に有利に使用することができる。たとえば、特定の実施形態では、駆動電極82と変形可能層34の間の絶縁体86の上部表面をあらくし、それにより変形可能層34との接触時のスティクションを抑制している。特定の実施形態では、絶縁層86の頂部表面は、基板20の頂部表面88として画定されている。
【0070】
図14Dは、ポスト18が形成された後の構造140を示したものである。上で説明したように、特定の実施形態では、ポスト18は、変形可能層34を基板20に機械的に結合しており、様々な構成を有することができる(たとえば図7B、7Cおよび7Eに示されているように)。特定の実施形態では、ポスト18の下方にブラックマスク(図示せず)が形成されており、基板に統合することができる。
【0071】
図14Eは、駆動電極82および絶縁体86の上方に犠牲層142が形成された後の構造140を示したものである。犠牲層142は、たとえば、モリブデン、フォトレジスト、ポリシリコンまたは他の適切な材料からなっていてもよい。特定の実施形態では、犠牲層142の厚さによって変形可能層34とMEMSデバイス800の固定部分との間の距離および/または反射エレメント814の反射表面92と基板20の頂部表面88の間の距離が決まる。いくつかの実施形態では、犠牲層142は、変形可能層34を形成する材料を付着させるための準備の一環としてパターン化されている。
【0072】
図14Fは、犠牲層142の上方に変形可能層34が形成された後の構造140を示したものである。図8Aと同様、図14Fに示されている実施形態の変形可能層34は、ポスト18とポスト18の間を展開している1つまたは複数の部分を備えている。図14Gは、犠牲層142の上方に反射エレメント814が形成された後の構造140を示したものである。反射エレメント814は、接続エレメント84によって変形可能層34に機械的に結合されている。特定の実施形態では、接続エレメント84は、反射表面92および反射エレメント814と同時に形成される(たとえばアルミニウムの単一層を付着させることによって)。特定の代替実施形態では、接続エレメント84は、反射表面92および/または反射エレメント814とは別に形成される。反射エレメント814は反射表面92を備えている。反射表面92は、駆動電極82および変形可能層34から横方向に配置されている。いくつかの実施形態では、犠牲層142は、MEMSデバイス800が駆動状態になった場合に、基板20の頂部表面88との接触が回避されるように反射エレメント814の反射表面92が変形可能層34に対して配置されるようにパターン化されている。いくつかの実施形態では、反射表面92は、滑らかで、かつ、平らな犠牲層142の上(たとえばフォトレジストまたは研磨されたモリブデンの上)に反射エレメント814を形成することによって滑らかに、かつ、平らになるように構築されている。図14Hは、犠牲層142が除去された後の(たとえば犠牲層142がモリブデンからなる実施形態の場合、XeFを使用したエッチングによって除去された後の)、可動エレメント810を有するMEMSデバイス800を形成する構造140を示したものである。
【0073】
図15A〜15Hは、図9A〜9Hに示されているMEMSデバイス800に類似したMEMSデバイス800を製造する方法の他の例を示したものである。図8Bに示されているように、第1の反射層94は複数のMEMSデバイス800全体にわたって展開している。このような実施形態の場合、複数のMEMSデバイス800の第1の反射層94をいくつかのポイントで有利に接地することができる。図15A〜15Hの個々の図には、それぞれ、製造プロセスの同じポイントにおける4つの断面図が示されている。上から下へ、第1の断面図(「A」)は図8Aの線A−Aに沿った断面図であり(たとえば図9Aと同様の)、第2の断面図(「C」)は線C−Cに沿った断面図であり(たとえば図9Cと同様の)、第3の断面図(「E」)は線E−Eに沿った断面図であり(たとえば図9Eと同様の)、第4の断面図(「G」)は線G−Gに沿った断面図である(たとえば図9Gと同様の)。
【0074】
図15Aは、第1の反射層94および第1の絶縁層86がその上に形成されている基板20を備えた構造150を示したものである。上で説明したように、第1の反射層94は、基板20の中の光学スタック中に統合することができる。第1の反射層94は、MEMSデバイス800によって変調される光の光路内に配置され、光路内に存在しない領域、たとえばポスト18または駆動電極82の下方に形成する必要はない。しかしながら、特定の実施形態では(たとえば図15A〜15Hに示されているような)、第1の反射層94は、変形可能層34の方向と同じ方向に沿った連続条片の中(たとえば行の中)に形成されている。特定のこのような実施形態では、第1の反射層94は、その行の変形可能層34と電気的に連絡している。第1の反射層94が形成されると、絶縁層86(たとえばSiOまたはAlからなる)を付着させ、たとえば列の中で電気連絡している駆動電極82から第1の反射層94を絶縁することができる。C−C断面およびG−G断面から分かるように、絶縁層86のうちの光路内の部分は除去されている。代替実施形態では、絶縁層86のうちの光路内の部分を残すか、あるいはもっと後のステップで除去することができる。
【0075】
図15Bは、基板20の上方(たとえば絶縁層86の上方)に駆動電極82が形成された後の構造150を示したものである。図8Bに関連して上で説明したように、駆動電極82は、反射エレメント814の反射表面92の周囲の条片の中に形成することができる。
【0076】
特定の実施形態では、MEMSデバイス800のうちの駆動電極82および第1の反射層94が重畳している部分は、ブラックマスク152を備えることができる。特定のこのような実施形態では、絶縁層86の厚さは、ブラックマスク152に入射する光が使用者には黒に見えるよう、絶縁体86の屈折率に応じて約90nmと110nmの間(たとえば約100nm)であることが好ましい。絶縁層86が薄すぎると、場合によっては寄生コンデンサが形成される危険および/または電気破壊の危険が存在することになる。絶縁層86が分厚すぎると、マスク152が黒以外の色に見えることになり、したがってコントラストが低下することがある。たとえば、絶縁体86がSiOからなっているいくつかの実施形態では、絶縁体86の厚さは、二次ブルーを生成するために約280nmと300nmの間(たとえば約290nm)である。空気が第1の反射層94と駆動電極82の間のブラックマスク152を占有しているいくつかの実施形態では、空気の厚さは、二次ブルーを生成するために約400nmと500nmの間(たとえば約440nm)である。SiOが第1の反射層94と駆動電極82の間のブラックマスク152を占有しているいくつかの実施形態では、SiOの厚さは、二次ブルーを生成するために約250nmと350nmの間(たとえば約280nmと300nmの間)である。
【0077】
図15Cは、駆動電極82が絶縁体87によって覆われた後(たとえば封入された後)の構造150を示したものである。特定の実施形態では、絶縁体87は、MEMSデバイス800が駆動状態になった場合の駆動電極82と変形可能層34との間の電気絶縁を提供している。変形可能層34を駆動電極82から絶縁するための他の実施形態も可能である。特定の実施形態では、絶縁体87は、変形可能層34と駆動電極82の間に形成された1つまたは複数の層を備えており、この1つまたは複数の層は、接触点の形状および表面エネルギーの最適化および/または変形可能層34と変形可能層34の下方の層との間のスティクションの最小化に有利に使用することができる。たとえば、特定の実施形態では、駆動電極82と変形可能層34の間の絶縁体87の上部表面をあらくし、それにより変形可能層34との接触時のスティクションを抑制している。図15Cに示されている実施形態では、絶縁層87をパターニングしている間に、第1の反射層94への開口が光路内に形成される。いくつかの実施形態、たとえば絶縁層86、87が同じ材料からなっている実施形態では、絶縁層86中の開口は、絶縁層87をパターニングしている間に形成される。特定の実施形態では、第1の反射層94の頂部表面は、基板20の頂部表面88として画定されている。特定の実施形態では、絶縁層87の頂部表面は、MEMSデバイス800の固定部分として画定されている。
【0078】
特定の実施形態では、絶縁層86、87は、それらが光路内に存在しないように形成され、したがって反射表面の数を少なくすることができ、また、反射表面92と頂部表面88の間をさらに分離することができる。また、絶縁体86、87が光路から除去されるため、光学性能に悪影響を及ぼすことなく絶縁体86を分厚くすることができ、したがって電気破壊強度を改善し、かつ、第1の反射層94と駆動電極82の間の寄生キャパシタンスを小さくすることができる。
【0079】
図15Dは、ポスト18が形成された後の構造150を示したものである。上で説明したように、特定の実施形態では、ポスト18は、変形可能層34を基板20に機械的に結合しており、様々な構成を有することができる(たとえば図7B、7Cおよび7Eに示されているように)。特定の実施形態では、ポスト18の下方にブラックマスクが形成されており(たとえば駆動電極82と第1の反射層94の間のブラックマスク152)、基板20に統合することができる。
【0080】
図15Eは、駆動電極82、絶縁体87および第1の反射層94の上方に犠牲層142が形成された後の構造150を示したものである。犠牲層142は、たとえば、モリブデン、フォトレジスト、ポリシリコンまたは他の適切な材料からなっていてもよい。特定の実施形態では、犠牲層142の厚さによって変形可能層34とMEMSデバイス800の固定部分との間の距離および/または反射エレメント814の反射表面92と基板20の頂部表面88の間の距離が決まる。いくつかの実施形態では、犠牲層142は、変形可能層34を形成する材料を付着させるための準備の一環としてパターン化されている。
【0081】
図15Fは、犠牲層142の上方に変形可能層34が形成された後の構造150を示したものである。図8Aと同様、図15Fに示されている実施形態の変形可能層34は、ポスト18とポスト18の間を展開している1つまたは複数の部分を備えている。図15Gは、犠牲層142の上方に反射エレメント814が形成された後の構造150を示したものである。反射エレメント814は、接続エレメント84によって変形可能層34に機械的に結合されている。特定の実施形態では、接続エレメント84は、反射表面92および反射エレメント814と同時に形成される(たとえばアルミニウムの単一層を付着させることによって)。特定の代替実施形態では、接続エレメント84は、反射表面92および/または反射エレメント814とは別に形成される。反射エレメント814は反射表面92を備えている。反射表面92は、駆動電極82および変形可能層34から横方向に配置されている。いくつかの実施形態では、犠牲層142は、MEMSデバイス800が駆動状態になった場合に、基板20の頂部表面88との接触が回避されるように反射エレメント814の反射表面92が変形可能層34に対して配置されるようにパターン化されている。いくつかの実施形態では、反射表面92は、滑らかで、かつ、平らな犠牲層142の上(たとえばフォトレジストまたは研磨されたモリブデンの上)に反射エレメント814を形成することによって滑らかに、かつ、平らになるように構築されている。図15Hは、犠牲層142が除去された後の(たとえば犠牲層142がモリブデンからなる実施形態の場合、XeFを使用したエッチングによって除去された後の)、可動エレメント810を有するMEMSデバイス800を形成する構造150を示したものである。上から下まで、図に示されているMEMSデバイス800は、それぞれ図9A、9C、9Eおよび9Gの断面図に対応していることは理解されよう。
【0082】
図10A〜13Bおよび13Cに示されているMEMSデバイス800、ならびに駆動電極82が反射エレメント814の反射表面92から横方向に配置されている他のMEMSデバイスは、特定の実施形態では、所望の構成を達成するために、上で説明したセットのステップを適切に修正した同様のセットのステップを使用して形成することができる(たとえば異なる付着厚さ、異なるパターニングマスク、等々)。
【0083】
図16A〜16H2は、図8AのMEMSデバイス800の他の実施形態例の断面図を示したもので、第2の駆動電極164を備えている。図16Aは、MEMSデバイス800が非駆動状態(つまり「弛緩」状態)にある場合の線A−Aに沿って取った断面図であり、また、図16Cは、同じ状態の線C−Cに沿って取った断面図である。図16B1および16D1は、それぞれ、MEMSデバイス800が第1の駆動状態にある場合の線A−AおよびC−Cに沿った断面図を示したものである。図16B2および16D2は、それぞれ、MEMSデバイス800が第2の駆動状態にある場合の線A−AおよびC−Cに沿った断面図を示したものである。図16Eは、MEMSデバイス800が非駆動状態にある場合の線E−Eに沿って取った断面図であり、また、図16Gは、同じ状態の線G−Gに沿って取った断面図である。図16F1および16H1は、それぞれ、MEMSデバイス800が第1の駆動状態にある場合の線E−EおよびG−Gに沿った断面図を示したものである。図16F2および16H2は、それぞれ、MEMSデバイス800が第2の駆動状態にある場合の線E−EおよびG−Gに沿った断面図を示したものである。
【0084】
可動エレメント810は、上で説明したように概ね第1の方向に移動することによって変形可能層34と反射エレメント814の間の駆動電極82に印加される電圧に応答する(たとえば図16B1、16D1、16F1および16H1に示されているように)。可動エレメント810は、さらに、概ね第2の方向に移動することによって第2の駆動電極164に印加される電圧に応答する。特定の実施形態では、第2の方向は第1の方向とは実質的に逆方向である(たとえば図16B2、16D2、16F2および16H2に示されているように)。したがってMEMSデバイス800は、弛緩状態における第1の色、第1の方向の駆動状態における第2の色、および第2の方向の駆動状態における第3の色の少なくとも3つの色を安定して生成することができる。
【0085】
図16A、16C、16Eおよび16Hに示されている実施形態では、第2の駆動電極164は可動エレメント810の上方に位置している。MEMSデバイス800は、さらに、第2の駆動電極164および任意選択の絶縁層162をサポートしているサポート構造18aを備えている。特定の実施形態では、サポート構造18aは、反射エレメント814の反対側にサポート構造18として形成されている。
【0086】
第2の駆動電極164に電圧が印加されると、可動エレメント810に静電力が作用する。変形可能層34は、この引力に応答して矢印168の方向に第2の駆動電極164に向かって撓む(たとえば図16B2、16D2、16F2および16G2に示されているように)。反射エレメント814は変形可能層34に機械的に結合されているため、この反射エレメント814も、第2の駆動電極164に印加される電圧に応答して同じく矢印168の方向に移動する。したがって可動エレメント810は、基板20の頂部表面88に概ね直角の方向に移動する。
【0087】
MEMSデバイス800の固定部分は、可動エレメント810の運動の停止として作用している。特定の実施形態では、絶縁層162は固定部分を備えている(たとえば図16H2に示されているように)。特定の実施形態では、第2の駆動電極164は固定部分を備えている。特定のこのような実施形態では、反射エレメント814(図示せず)の上部表面に形成された絶縁層は、可動エレメント810を第2の駆動電極164から絶縁している。
【0088】
第2の駆動電極164は、第2の駆動電極164がMEMSデバイスの光路内に存在しないよう、反射エレメント814の反射表面92の上方に配置されている。したがって第2の駆動電極164は、透明および/または不透明導電材料からなっていてもよい。駆動電極が不透明導電材料からなっている実施形態は、場合によっては、たとえば上で説明した電気特性の場合に有利である。
【0089】
図15A〜15Gおよび17A〜17Fは、図16A〜16H2のMEMSデバイス800を製造する方法の一実施形態例を示したものである。反射エレメント814が図15Gの犠牲層142の上方に形成されると、変形可能層34の上方にサポート構造18aが形成される(たとえば図17Aに示されているように)。
【0090】
図17Bは、変形可能層34の上方に第2の犠牲層1702(たとえばモリブデンからなる)が形成された後の図17AのMEMS構造1700を示したものである。第2の犠牲層1702は、変形可能層34を第2の駆動電極164から分離している。第2の犠牲層1702は、第1の犠牲層142の材料と同じ材料からなっていても、あるいは第1の犠牲層142の材料とは異なる材料からなっていてもよい。特定の実施形態では、第2の犠牲層1702の厚さは、駆動状態のMEMSデバイス800の色に影響を及ぼしている。
【0091】
図17Cは、第2の犠牲層1702の上方に絶縁層162(たとえばSiOからなる)が形成された後の図17BのMEMS構造1700を示したものである。特定の実施形態では、第2の犠牲層1702の形成に先立って反射エレメント814の上部表面に絶縁層が形成される。図に示されている実施形態では、第2の犠牲層1702の前にサポート構造18aが形成されている。特定の実施形態では、サポート構造18aは、絶縁層162を形成している間に形成される(たとえばSiOを付着させ、かつ、SiOをパターニングすることによって)。
【0092】
図17Dは、絶縁層162の上方に第2の駆動電極164(たとえばニッケル、アルミニウム、銅、銀、金、それらの合金からなる)が形成された後の図17CのMEMS構造1700を示したものである。特定の実施形態では、第2の駆動電極164および絶縁層162は、犠牲層142、1702のより容易なエッチングを可能にするための少なくとも1つの開口を備えている。
【0093】
図17Eは、第2の駆動電極164の上方に任意選択の絶縁層166(たとえばSiO、ポリイミドからなる)が形成された後の図17DのMEMS構造1700を示したものである。この絶縁層166を使用して、MEMSデバイス800を備えたディスプレイ内のコンポーネントを第2の駆動電極164から絶縁することができる。
【0094】
図17Fは、第1および第2の犠牲層142、1702が除去され、図16A、16C、16Eおよび16GのMEMSデバイス800が得られた後の図17EのMEMS構造1700を示したものである。犠牲層142、1702がそれぞれモリブデンからなっている実施形態の場合、たとえばXeFを使用したエッチングによってそれらを除去することができる。犠牲層がフォトレジストからなっている実施形態の場合、たとえば灰化(たとえばOおよび/またはHOを使用したエッチング)によってそれを除去することができる。反射エレメント814中の1つまたは複数の開口を使用してエッチング用試薬を補助し、反射エレメント814の下方の第1の犠牲層142を除去することができる。絶縁層162および第2の駆動電極164中の1つまたは複数の開口を使用してエッチング用試薬を補助し、第2の駆動電極164の下方の第2の犠牲層1702を除去することができる。犠牲層142、1702が除去されると、駆動電極82、164に印加される電圧に応答して可動エレメント810を移動させることができる。
【0095】
駆動電極82が反射エレメント814の反射表面92から横方向に配置されている特定の実施形態では、反射表面92は基板20の反対側に向いており、使用者はMEMSデバイス800を可動エレメント810の基板20とは反対側の方から見ることができる。いくつかの実施形態では、第1の反射層94は、可動エレメント810の下方に形成されている。特定のこのような実施形態では、可動エレメント810は、部分的に反射型で、かつ、部分的に透過型の材料からなっており、また、第1の反射層94は完全に反射型の材料からなっている。いくつかの実施形態では、第1の反射層94は、可動エレメント810の上方に形成されている。特定のこのような実施形態では、可動エレメント810は完全に反射型の材料からなっており、また、第1の反射層94は、部分的に反射型で、かつ、部分的に透過型の材料からなっている。
【0096】
いくつかの実施形態では、駆動電極82は、反射エレメント814の反射表面92から横方向に配置されており、かつ、可動エレメント810の上方に配置されている。可動エレメント810は、駆動電極82に向かって、基板20から遠ざかる方向に引き付けられる。可動エレメント810は、弛緩状態では基板20の頂部表面88の近傍に位置しており(たとえば接触している)、駆動されると基板20の頂部表面88に概ね直角の方向に移動する。駆動電極82が可動エレメント810の上方に配置されているいくつかの実施形態では、第1の反射層94は、可動エレメント810の上方に形成されている。駆動電極82が可動エレメント810の上方に配置されているいくつかの代替実施形態では、可動エレメント810は完全に反射型の材料からなっており、また、第1の反射層94は、部分的に反射型で、かつ、部分的に透過型の材料からなっている。
【0097】
MEMSデバイス800を駆動することによって反射エレメント814が基板20から遠ざかる方向に移動する特定の実施形態では、弛緩状態にある場合、可動エレメント810が負の方向(たとえば基板20に向かって)「展開する」ように変形可能層34を構成することができる。たとえば、犠牲層が除去されると変形可能層34が下に向かって偏向するように変形可能層34とサポート構造18の間の残留応力を設計することができる。
【0098】
駆動電極82が可動エレメント810の上方に配置されているいくつかの実施形態の場合、使用者は基板20を通してMEMSデバイス800を見ることができる。可動エレメント810が弛緩状態において負の方向に展開する特定のこのような実施形態の場合、反射率が大きい広帯域ホワイト(たとえば可動エレメント810の反射表面92を基板20の頂部表面88に接触させることによって、あるいは第1の反射層94から約100Å未満の間隔を隔てることによって)、反射率が小さいブラック(たとえば可動エレメント810の反射表面92を第1の反射層94から約100nmだけ間隔を隔てることによって)、グレー(たとえば可動エレメント810の反射表面92を第1の反射層94から約100Åと100nmの間の間隔を隔てることによって)または何らかの1つの色(たとえば黄、赤、青、等々)が生成されるように弛緩状態を構成することができる。いくつかの実施形態では、可動エレメント810は、部分的に反射型で、かつ、部分的に透過型の材料からなっており、また、第1の反射層94は完全に反射型の材料からなっている。
【0099】
駆動電極82が可動エレメント810の上方に配置されているいくつかの代替実施形態では、使用者はMEMSデバイス800を可動エレメント810の基板20とは反対側の方から見ることができる。可動エレメント810が弛緩状態において負の方向に展開する特定のこのような実施形態の場合、反射率が大きい広帯域ホワイト(たとえば可動エレメント810の反射表面92を第1の反射層94から約100Å未満の間隔を隔てることによって)、反射率が小さいブラック(たとえば可動エレメント810の反射表面92を第1の反射層94から約100nmだけ間隔を隔てることによって)、グレー(たとえば可動エレメント810の反射表面92を第1の反射層94から約100Åと100nmの間の間隔を隔てることによって)または何らかの1つの色(たとえば黄、赤、青、等々)が生成されるように弛緩状態を構成することができる。
【0100】
使用者がMEMSデバイス800を可動エレメント810の基板20とは反対側の方から見ることができる実施形態の場合、使用者には基板20を通して反射表面92は見えない。特定のこのような実施形態では、基板20は、光に対して実質的に不透明の材料からなっている(たとえば不透明材料、高度に反射性の材料、半透明材料)。特定のこのような実施形態では、基板20は、金属(たとえばステンレス鋼、アルミニウム)、陽極処理金属、ケイ素(たとえばシリコンウェーハ)、ポリシリコン、プラスチック、セラミック、重合体(たとえばポリイミド、MYLAR(商標))および炭素(たとえば黒鉛)ならびにこのような材料の合金および複合物からなっていてもよい。実質的に不透明な基板20は、それらに限定されないが、フォトリソグラフィ中の光散乱のために処理上の問題が回避される、下方に位置している回路が迷光から遮蔽される、標準の半導体処理要求事項を使用してMEMSデバイスを製造することができる、MEMSデバイスの製造と下方に位置している制御回路の製造を統合することができる、制御回路のための面積が広くなる、MEMSデバイス内への制御回路の統合に関連する制約が緩和される、およびMEMSデバイス(たとえば分岐干渉変調器)のアレイ中に統合された照明源の使用が容易になる、などを始めとする多くの製造上および動作上の利点を提供することができる。
【0101】
第2の駆動電極164を備えたいくつかの実施形態では、第2の駆動電極164は、第2の駆動電極164がMEMSデバイスの光路内に存在するよう、反射エレメント814の反射表面92と基板20の間に配置されている。したがって、MEMSデバイス800を可動エレメント810の基板20とは反対側の方から見ることができる実施形態の場合、第2の駆動電極164は不透明材料からなっていてもよく、また、MEMSデバイス800を基板20を通して見ることができる実施形態の場合、第2の駆動電極164は透明な導電材料からなっていてもよい。駆動電極が不透明導電材料からなる実施形態は、場合によっては、たとえば上で説明した電気特性の場合に有利である。
【0102】
以上、様々な特定の実施形態について説明した。本発明は、これらの特定の実施形態を参照して説明されているが、以上の説明には、本発明を実例で示すことが意図されており、本発明を限定することは意図されていない。当業者には、特許請求の範囲で定義されている本発明の真の範囲を逸脱することなく、様々な修正およびアプリケーションが可能である。
【符号の説明】
【0103】
12a、12b 分岐干渉変調器
14、14a、14b 可動反射層(金属材料の条片、反射エレメント)
16、16a、16b 光学スタック(行電極)
18、18a ポスト(サポート、サポート構造)
19 ギャップ
20 基板
21 プロセッサ(システムプロセッサ)
22 アレイドライバ
24 行ドライバ回路
26 列ドライバ回路
27 ネットワークインタフェース
28 フレームバッファ
29 ドライバコントローラ
30 パネル(ディスプレイ、ディスプレイアレイ)
32 テザー
34 変形可能層
40 ディスプレイデバイス
41 ハウジング
42 サポートポストプラグ
43 アンテナ
44 バス構造
45 スピーカ
46 マイクロホン
47 トランシーバ
48 入力デバイス
50 電源
52 条件付けハードウェア
82 駆動電極
84 接続エレメント
86、87、162 絶縁層(絶縁体、第1の絶縁層)
88 基板の頂部表面
92 反射エレメントの反射表面
94 第1の反射層
96 変形可能層が偏向する方向(反射エレメントが移動する方向)
140、150 構造
142 犠牲層(第1の犠牲層)
152 ブラックマスク
164 第2の駆動電極
166 任意選択の絶縁層
168 変形可能層が撓む方向
800 MEMSデバイス
810 可動エレメント
814 反射エレメント
1102 変形可能層の垂直方向に隆起した部分
1700 MEMS構造
1702 第2の犠牲層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動エレメントであって、
導電性変形可能層と、
前記変形可能層に結合された反射エレメントであって、前記反射エレメントが完全な反射表面を含む、反射エレメントと、
を含む可動エレメントと、
前記変形可能層の少なくとも一部の下方の、前記完全な反射表面から横方向に配置された駆動電極であって、前記可動エレメントが、前記駆動電極と前記変形可能層の間に印加される電圧差に応答して第1の位置から第2の位置へ移動するような、駆動電極と、
を有する電気機械デバイス。
【請求項2】
前記完全な反射表面が、前記完全な反射表面に概ね平行の方向に沿って前記変形可能層から間隔を隔てられる、請求項1に記載の電気機械デバイス。
【請求項3】
前記反射エレメントが第1の位置にある時に第1の色を反射し、また前記反射エレメントが第2の位置にある時に第2の色を反射するように、前記電気機械デバイスが構成された、請求項1または2に記載の電気機械デバイス。
【請求項4】
前記可動エレメントの上方に第2の駆動電極をさらに有し、前記可動エレメントが、前記第2の駆動電極と前記可動エレメントの間に印加される電圧差に応答して第1の位置から第3の位置へさらに移動する、請求項1から3のいずれか1項に記載の電気機械デバイス。
【請求項5】
前記可動エレメントの上部表面、及び第2の駆動電極の下部表面の少なくとも1つに、絶縁層をさらに有する、請求項4に記載の電気機械デバイス。
【請求項6】
前記反射エレメントが第1の位置にある時に第1の色を反射し、前記反射エレメントが第2の位置にある時に第2の色を反射し、また前記反射エレメントが第3の位置にある時に第3の色を反射するように、前記電気機械デバイスが構成された、請求項4または5に記載の電気機械デバイス。
【請求項7】
前記反射エレメントが前記変形可能層の頂部表面に機械的に結合されるか、または前記反射エレメントが前記変形可能層の底部表面に機械的に結合される、請求項1から6のいずれか1項に記載の電気機械デバイス。
【請求項8】
前記可動エレメントが少なくとも1つの接続エレメントをさらに含み、前記少なくとも1つの接続エレメントが前記反射エレメントを前記変形可能層に機械的に結合している、請求項1から7のいずれか1項に記載の電気機械デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの接続エレメントが、
前記反射エレメントの第1の縁に機械的に結合された第1の接続エレメントと、
前記反射エレメントの第2の縁に機械的に結合された第2の接続エレメントと、
を含み、前記第1の縁が実質的に前記第2の縁の反対側に位置している、請求項8に記載の電気機械デバイス。
【請求項10】
前記反射エレメントが複数の縁を含み、前記少なくとも1つの接続エレメントが前記複数の縁の各々を前記変形可能層に機械的に結合している、請求項8または9に記載の電気機械デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの接続エレメントが、前記反射エレメントから展開している少なくとも1つの突起を含む、請求項8から10のいずれか1項に記載の電気機械デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの接続エレメントが、前記反射エレメントのバルクの内部応力と同様の内部応力を有する材料を含む、請求項8から11のいずれか1項に記載の電気機械デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの接続エレメントが、前記反射エレメントのバルクの熱膨張率と同様の熱膨張率を有する材料を含む、請求項8から12のいずれか1項に記載の電気機械デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの接続エレメントの厚さが、前記反射エレメントの厚さよりも薄い、請求項8から13のいずれか1項に記載の電気機械デバイス。
【請求項15】
前記駆動電極と前記変形可能層の間に電圧差を印加することによって前記変形可能層が変位し、かつ、前記完全な反射表面が変位し、前記変形可能層の前記変位が前記完全な反射表面の前記変位に対して平行であり、前記変形可能層の前記変位の平面が前記完全な反射表面の前記変位の平面とは異なる、請求項1から14のいずれか1項に記載の電気機械デバイス。
【請求項16】
前記変形可能層と前記駆動電極の間の表面があらくされる、請求項1から15のいずれか1項に記載の電気機械デバイス。
【請求項17】
前記変形可能層と前記駆動電極の間にアンチスティクション層をさらに有する、請求項1から16のいずれか1項に記載の電気機械デバイス。
【請求項18】
前記駆動電極と前記変形可能層の間に電圧差が印加されても、前記完全な反射表面が前記電気機械デバイスの表面と接触しないように、前記電気機械デバイスが構成された、請求項1から17のいずれか1項に記載の電気機械デバイス。
【請求項19】
ディスプレイと、
前記ディスプレイと通信するように構成されたプロセッサであって、イメージデータを処理するように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサと通信するように構成されたメモリデバイスと
をさらに有する、請求項1から18のいずれか1項に記載の電気機械デバイス。
【請求項20】
前記ディスプレイに少なくとも1つの信号を送信するように構成されたドライバ回路をさらに有する、請求項19に記載の電気機械デバイス。
【請求項21】
前記ドライバ回路に前記イメージデータの少なくとも一部を送信するように構成されたコントローラをさらに有する、請求項20に記載の電気機械デバイス。
【請求項22】
前記プロセッサに前記イメージデータを送信するように構成されたイメージソースモジュールをさらに有する、請求項19から21のいずれか1項に記載の電気機械デバイス。
【請求項23】
前記イメージソースモジュールが、レシーバ、トランシーバおよびトランスミッタのうちの少なくとも1つを含む、請求項22に記載の電気機械デバイス。
【請求項24】
入力データを受け取り、かつ、前記入力データを前記プロセッサに伝達するように構成された入力デバイスをさらに有する、請求項19から23のいずれか1項に記載の電気機械デバイス。
【請求項25】
電気機械デバイスを製造する方法であって、
駆動電極の上方に犠牲層を形成するステップと、
前記犠牲層の上方に導電性変形可能層を形成するステップであって、前記駆動電極が前記変形可能層の少なくとも一部の下方に位置するステップと、
前記犠牲層の上方に、前記変形可能層に機械的に結合された反射エレメントを形成するステップであって、前記反射エレメントが前記駆動電極から横方向に配置された完全な反射表面を含む、ステップと、
前記犠牲層を除去するステップであって、前記犠牲層が除去された後に、可動エレメントが前記変形可能層および前記反射エレメントを含み、前記可動エレメントが、前記駆動電極と前記変形可能層の間に印加される電圧差に応答して、第1の位置から第2の位置へ移動するような、ステップと、
を有する方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法によって製造された電気機械デバイス。
【請求項27】
光を変調する方法であって、
可動エレメントおよび駆動電極を含む電気機械デバイスを提供するステップであって、前記可動エレメントが導電性変形可能層および反射エレメントを含み、前記反射エレメントが前記変形可能層に機械的に結合され、前記反射エレメントが完全な反射表面を含み、前記駆動電極が前記変形可能層の少なくとも一部の下方に位置し、かつ、前記完全な反射表面から横方向に配置される、ステップと、
前記駆動電極と前記変形可能層の間に電圧差を印加し、それによって前記可動エレメントが第1の位置から第2の位置へ移動する、ステップと、
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図9H】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図14G】
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【図14H】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図15F】
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【図15G】
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【図15H】
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【図16A】
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【図16B1】
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【図16B2】
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【図16C】
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【図16D1】
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【図16D2】
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【図16E】
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【図16F1】
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【図16F2】
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【図16G】
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【図16H1】
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【図16H2】
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【図17A1】
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【図17A2】
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【図17B1】
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【図17B2】
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【図17C1】
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【図17C2】
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【図17D1】
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【図17D2】
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【図17E1】
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【図17E2】
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【図17F1】
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【図17F2】
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【公開番号】特開2012−212158(P2012−212158A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−137592(P2012−137592)
【出願日】平成24年6月19日(2012.6.19)
【分割の表示】特願2010−515042(P2010−515042)の分割
【原出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
【出願人】(508095337)クォルコム・メムズ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (133)
【Fターム(参考)】