説明

機能膜の製造装置および製造方法

【課題】長尺な基板をドラムに巻き掛けて長手方向に搬送しつつ、基板に成膜を行なう際に、ドラムに高いバイアス電位を印加する場合でも、高品質な膜を効率よく連続成膜することができ、かつ、製造装置の損傷を防止することができる機能膜の製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】ドラムの端面に対面して設けられる、接地される導電性の板であるアース板と、ドラムの端面とアース板との間に配置される絶縁部材とを有することで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性フィルムの製造等に好適な機能膜の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイなどの表示装置、光学素子、半導体装置、または薄膜太陽電池など、各種の装置に、ガスバリアフィルム、保護フィルム、光学フィルタ、反射防止フィルム等の光学フィルムなど、各種の機能性フィルム(機能性シート)が利用されている。
また、これらの機能性フィルムの製造に、スパッタリングやプラズマCVD等の真空成膜法による成膜(薄膜形成)が利用されている。
【0003】
真空成膜法によって、効率良く、高い生産性を確保して成膜を行なうためには、長尺な基板に連続的に成膜を行なうのが好ましい。
このような成膜を実施する成膜装置としては、長尺な基板(ウェブ状の基板)をロール状に巻回してなる供給ロールと、成膜済の基板をロール状に巻回する巻取りロールとを用いる、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)の成膜装置が知られている。このロール・ツー・ロールの成膜装置は、基板に成膜を行なう成膜室を通過する所定の経路で、供給ロールから巻取りロールまで長尺な基板を挿通し、供給ロールからの基板の送り出しと、巻取りロールによる成膜済基板の巻取りとを同期して行いつつ、成膜室において、搬送される基板に連続的に成膜を行なう。
また、このようなロール・ツー・ロールの成膜装置では、真空チャンバ内に円筒状のドラムを設け、この周面に対面する位置に電極や反応ガス供給手段等の成膜手段を設けると共に、ドラムの周面に基板を巻き掛けて搬送しつつ、成膜手段によって連続的に成膜を行なう装置も知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、一つのチャンバ内に、第1および第2巻き取りローラと、複数のドラム(成膜ローラ)とを有し、基板(被成膜テープ)が、第1巻き取りローラに巻き取られる方向と、第2巻き取りローラに巻き取られる方向とに走行するようにされ、ドラム各々に対応して配置された、CVD膜を形成するCVD部が、それぞれ個別に制御されるようにしたCVD装置が記載されている。
また、特許文献2には、連続した基板(フレキシブル基体)を、真空槽内に配置した回転ドラムに沿って走行させながら、RF発信器によるRFプラズマとマイクロ波プラズマとを併用したプラズマ中にさらすことによって、連続的に薄膜を形成する連続プラズマCVD法が記載されている。
【0005】
この特許文献1および特許文献2には、CCP−CVD(容量結合型プラズマCVD)において、基板を搬送するドラムを、プラズマ励起電力を供給されるメイン電極の対向電極として作用させると共に、ドラムにRF電源を接続して、バイアス電位を印加することにより、成膜効率を向上し、また、成膜する膜の膜質を向上させることが記載されている。また、ドラムをメイン電極としてプラズマ励起電力を供給してもよいことも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2007−505971号公報
【特許文献2】特開2000−239849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プラズマCVD等によって成膜を行なう場合に、ウェブ状の基板に高品質な膜を効率よく連続成膜するためには、ドラムを大型化したり、ドラムに高いバイアス電位を印加するのが好ましい。特に、より高品質な膜を連続的に安定して形成するためには、ドラムおよび対向電極の両方に高電位を印加し、ドラムと対向電極との間のバイアス電圧をより高くする必要がある。
しかしながら、引用文献1および引用文献2のようにドラムに高電位を印加すると、ドラムの端面と製造装置の壁面(チャンバ壁面)等との間で異常放電が発生してしまうため、成膜のためのプラズマ形成が不安定になり、これに起因して成膜された膜の品質が低下したり、また、異常放電のダメージによって製造装置が損傷したりする場合がある。
【0008】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解消し、長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、ドラムに電力を供給して成膜を行なう場合であっても、ドラムからの異常放電を抑制することにより、高品質な膜を効率よく連続成膜することができ、かつ、製造装置の損傷を防止することができる機能膜の製造装置および製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、前記基板に成膜を行なう機能膜の製造装置であって、前記基板を周面の所定領域に巻き掛けて搬送する円筒状のドラムと、前記ドラムに電位を印加する電源と、前記ドラムの周面に対面して設けられる成膜手段と、前記ドラムの端面に対面して設けられる、接地される導電性の板であるアース板と、前記ドラムの端面と前記アース板との間に配置される絶縁部材とを有することを特徴とする機能膜の製造装置を提供するものである。
【0010】
ここで、前記アース板と前記ドラムの端面との隙間が5mm以下であることが好ましい。
また、前記絶縁部材が前記アース板に貼着されることが好ましい。
また、前記絶縁部材がフッ素樹脂で形成されることが好ましい。
また、前記成膜手段がプラズマCVDによって前記基板に成膜を行なうことが好ましい。
また、前記ドラムの温度調節手段を有することが好ましい。
【0011】
また、本発明は、長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、ドラムの周面の所定領域に巻き掛けて、前記ドラムの周面に対面して設けられる成膜手段によって前記基板に成膜を行なう機能膜の製造方法であって、前記ドラムに電位を印加するとともに、前記ドラムの端面に対面して設けられる、接地される導電性の板であるアース板と、前記ドラムの端面と前記アース板との間に配置される絶縁部材とを有して成膜を行なうことを特徴とする機能膜の製造方法を提供するものである。
【0012】
ここで、前記アース板と前記ドラムの端面との隙間が5mm以下であることが好ましい。
また、前記絶縁部材が前記アース板に貼着されることが好ましい。
また、前記絶縁部材がフッ素樹脂で形成されることが好ましい。
また、前記成膜手段がプラズマCVDによって前記基板に成膜を行なうことが好ましい。
また、前記ドラムの温度を調節して成膜を行なうことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、長尺な基板をドラムに巻き掛けて長手方向に搬送しつつ、基板に成膜を行なう際に、ドラムに高いバイアス電位を印加する場合でも、ドラムの端面と製造装置の壁面等との間で異常放電が発生することを抑制することができるので、成膜のためのプラズマ形成が不安定になり成膜された膜の品質が低下したり、製造装置が損傷したりすることを防止し、高品質な膜を効率よく連続成膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の機能膜の製造装置の一例を概念的に示す図である。
【図2】図1に示す機能膜の製造装置の一部を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の機能膜の製造装置および製造方法について、添付の図面に示される好適例を基に、詳細に説明する。
【0016】
図1に、本発明の機能膜の製造装置の一例を概念的に示す。なお、図1においては、製造装置の構成を示すため、図中手前側の放電防止部材62の図示を一部省略している。
図示例の機能膜の製造装置10は、長尺な基板Z(フィルム原反)を長手方向に搬送しつつ、この基板Zの表面にプラズマCVDによって各種の機能膜を成膜(製造/形成)して、機能性フィルムを製造するものである。
また、この製造装置10は、長尺な基板Zをロール状に巻回してなる基板ロール20から基板Zを送り出し、長手方向に搬送しつつ機能膜を成膜して、機能膜を成膜した基板Z(すなわち、機能性フィルム)をロール状に巻き取る、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)による成膜を行なう装置である。
【0017】
なお、本発明において、基板Zには、特に限定はなく、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの樹脂フィルム、金属フィルム等、プラズマCVDによる成膜が可能な長尺なフィルム状物(シート状物)が、全て利用可能である。
また、樹脂フィルム等を基材として、平坦化層、保護層、密着層、反射層、反射防止層等の各種の機能を発現するための層(膜)を成膜してなるフィルム状物を、基板として用いてもよい。
【0018】
前述のように、図1に示す製造装置10は、長尺な基板Zを巻回してなる基板ロール20から基板Zを送り出し、基板Zを長手方向に搬送しつつ機能膜を成膜して、再度、ロール状に巻き取る、いわゆるロール・ツー・ロールによる成膜を行なう装置である。この製造装置10は、供給室12と、成膜室14と、巻取り室16とを有する。
なお、製造装置10は、図示した部材以外にも、各種のセンサ、搬送ローラ対や基板Zの幅方向の位置を規制するガイド部材など、基板Zを所定の経路で搬送するための各種の部材(搬送手段)等、ロール・ツー・ロールによってプラズマCVDによる成膜を行なう装置が有する各種の部材を有してもよい。加えて、プラズマCVDによる成膜室が複数あってもよいし、プラズマCVD以外の蒸着やフラッシュ蒸着、スパッタ等の何らかの成膜を行う成膜室やプラズマ処理等の表面処理室が1つ以上連結されていてもよい。
【0019】
供給室12は、回転軸24と、ガイドローラ26と、真空排気手段28とを有する。
長尺な基板Zを巻回した基板ロール20は、供給室12の回転軸24に装填される。
回転軸24に基板ロール20が装填されると、基板Zは、供給室12から、成膜室14を通り、巻取り室16の巻取り軸30に至る所定の搬送経路を通される(送通される)。
製造装置10においては、基板ロール20からの基板Zの送り出しと、巻取り室16の巻取り軸30における基板Zの巻き取りとを同期して行なって、長尺な基板Zを所定の搬送経路で長手方向に搬送しつつ、成膜室14において、基板Zに、プラズマCVDによる機能膜の成膜を連続的に行なう。
【0020】
供給室12は、図示しない駆動源によって回転軸24を図中時計方向に回転して、基板ロール20から基板Zを送り出し、ガイドローラ26によって所定の経路を案内して、基板Zを、隔壁32に設けられたスリット32aから、成膜室14に送る。
【0021】
図示例の製造装置10においては、好ましい態様として、供給室12に真空排気手段28を、巻取り室16に真空排気手段60を、それぞれ設けている。これらの室に真空排気手段を設け、成膜中は、後述する成膜室14と同じ真空度(圧力)とすることにより、隣接する室の圧力が、成膜室14の真空度(機能膜の成膜)に影響を与えることを防止している。
真空排気手段28には、特に限定はなく、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ドライポンプ、ロータリーポンプなどの真空ポンプ、さらには、クライオコイル等の補助手段、到達真空度や排気量の調整手段等を利用する、真空成膜装置に用いられている公知の(真空)排気手段が、各種、利用可能である。この点に関しては、後述する他の真空排気手段50および60も同様である。
【0022】
なお、本発明においては、全ての室に真空排気手段を設けるのに限定はされず、処理として真空排気が不要な供給室12および巻取り室16には、真空排気手段は設けなくてもよい。但し、これらの室の圧力が成膜室14の真空度に与える影響を小さくするために、スリット32a等の基板Zが通過する部分を可能な限り小さくし、あるいは、室と室との間にサブチャンバを設け、このサブチャンバ内を減圧してもよい。
また、全室に真空排気手段を有する図示例の製造装置10においても、スリット32a等の基板Zが通過する部分を可能な限り小さくするのが好ましい。
【0023】
前述のように、基板Zは、ガイドローラ26によって案内され、成膜室14に搬送される。
成膜室14は、基板Zの表面に、CCP(Capacitively Coupled Plasma 容量結合プラズマ)−CVDによって、機能膜を成膜(形成)するものである。
なお、本発明において、プラズマCVDは、図示例のようなCCP−CVDに限定はされず、ICP(Inductively Coupled Plasma 誘導結合プラズマ)−CVD、マイクロ波CVD、ECR(Electron Cyclotron Resonance)−CVD、大気圧バリア放電CVD等、各種のプラズマCVDが、全て利用可能である。
また、本発明の成膜装置において、CVD成膜室が成膜する膜にも、特に限定はなく、CVDによって成膜可能なものが、全て、利用可能であるが、特に、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン等のガスバリア膜が好ましく例示される。ドラムからの異常放電を抑制することができる本発明は、僅かな異常放電によるフィルムや膜のダメージが性能に大きく影響するガスバリア膜の成膜において、特に効果が大きい。
【0024】
図示例において、成膜室14は、ドラム36と、シャワー電極38と、ガイドローラ40および42と、バイアス電源44と、ガス供給手段46と、高周波電源48と、真空排気手段50と、放電防止部材62とを有する。
【0025】
成膜室14のドラム36は、中心線を中心に図中反時計方向に回転する円筒状の部材で、ガイドローラ40によって所定の経路に案内された基板Zを、周面の所定領域に掛け回して、基板Zを後述するシャワー電極38に対面する所定位置に保持しつつ、長手方向に搬送する。
【0026】
このドラム36は、CCP−CVDにおける対向電極としても作用(ドラム36とシャワー電極38とで電極対を形成)するものであり、バイアス電源44が接続されている。
ドラム36にバイアス電位を印加することにより、ガス供給手段46により供給され、シャワー電極38に供給されるプラズマ励起電力によりプラズマ状態に励起された原料ガスの分子や原子を、ドラム36(基板Z)の方向に引き寄せることができるので、基板Z上に形成される膜の密度が高くなり、膜質を向上させることができ、また、成膜効率(すなわち生産性)を向上させることができる。
【0027】
なお、必要に応じて、ドラム36には、バイアス電源44のみならず、アース(接地手段)も接続して、バイアス電源44とドラム36との接続と、アースとドラム36との接続とを切り替え可能にしてもよい。またドラム36をフローティング電位(絶縁電位)と切り替え可能にしても良い。
【0028】
ここで、本発明の製造方法においては、基板Zの温度を調整して成膜するために、ドラム36は、温度調節手段を兼ねるのが好ましく、すなわち、温度調節手段を内蔵するのが好ましい。
例えば、耐熱性の低いPEN等のプラスチックフィルム基板や、耐熱性の低い有機材料を基材として用いる基板に成膜を行なう場合は、基板の温度を低く保つことが好ましく、これにより、耐熱性の低い基板にも、好適に高い品質を有する機能膜を成膜することができる。
また、逆に、基板の耐熱性が十分ある範囲で、基板の温度を高くすることにより、より効率よく高品質の膜を成膜することができる。
従って、ドラム36が温度調節手段を内蔵することにより、基板の材質や、成膜の条件等に応じて、基板Zの温度を好適な範囲とし、より好適に成膜を行なうことができる。
なお、ドラム36の温度調節手段には、特に限定はなく、温冷媒等を循環する温度調節手段、ピエゾ素子等を用いる冷却手段等、各種の温度調節手段が、全て利用可能である。
【0029】
バイアス電源44は、ドラム36に、バイアス電力を供給する高周波電源である。
なお、バイアス電源44は、各種のプラズマCVD装置で利用されている、バイアスを印加するための高周波電源やパルス電源等の公知の電源が、全て利用可能であり、ドラムに供給するバイアス電力は、高周波電力に限定はされず、直流電力でもよく、交流もしくは直流のパルス電力でもよい。
【0030】
なお、本発明において、ドラム36にバイアス電位を印加するための投入電力には、特に限定はない。ここで、電位が高い程、膜質の向上効果および生産性の向上効果が得られる反面、バイアス電位が高い程、後述するドラム36の異常放電が発生し易くなる。しかしながら、後述するように、本発明によれば、高電位のバイアス電位を印加しても、ドラム36の端面からの異常放電を抑制できる。
以上の点を考慮すると、本発明において、膜質向上効果および生産性の向上効果を十分に得られ、かつ、異常放電抑制という本発明の効果が十分に発現できる等の点で、バイアス電位を印加するための投入電力は、50W以上とするのが好ましい。
【0031】
シャワー電極38は、CCP−CVDによる成膜に利用される、公知のシャワー電極である。
図示例において、シャワー電極38は、一例として、中空の直方体であり、1つの最大面をドラム36の周面に対面して、この最大面の中心からの垂線がドラム36の法線と一致するように配置される。また、シャワー電極38のドラム36との対向面には、多数の貫通穴が全面的に形成される。
【0032】
なお、図示例の製造装置10において、成膜室14には、図示例においては、シャワー電極(CCP−CVDによる成膜手段)が、1個、配置されているが、本発明は、これに限定はされず、基板Zの搬送方向に、複数のシャワー電極を配列してもよい。この点に関しては、CCP−CVD以外のプラズマCVDを利用する際も同様であり、例えば、ICP−CVDによって機能膜を成膜(製造)する際には、誘導電界(誘導磁場)を形成するため(誘導)コイルを、基板Zの搬送方向に、複数、配置してもよい。
また、本発明は、シャワー電極を用いて機能膜を成膜するのにも限定はされず、通常の板状の電極と、ガス供給ノズルとを用いるものであってもよい。
【0033】
ガス供給手段46は、プラズマCVD装置等の真空成膜装置に用いられる公知のガス供給手段であり、シャワー電極38の内部に、原料ガスを供給する。
前述のように、シャワー電極38のドラム36との対向面には、多数の貫通穴が供給されている。従って、シャワー電極38に供給された原料ガスは、この貫通穴から、シャワー電極38とドラム36との間に導入される。
【0034】
原料ガスは、成膜する機能膜に応じて、公知のガスを利用すればよい。
例えば、機能膜として窒化シリコン膜を形成する場合であれば、原料ガスとして、シランガスおよび/またはジシランと、アンモニアガスおよび/またはヒドラジンおよび/または窒素ガスとを用いればよい。
また、原料ガスとしては、これらに加え、窒素ガス、水素ガス、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンなどの不活性ガスを併用してもよい。
【0035】
なお、本発明の製造方法は、機能膜の原料として、ガス(気体状の原料)を使用するのに限定はされず、液体状の原料を用い、液体の原料を気化して機能膜を成膜してもよい。あるいは、ガス状の原料と、液体状の原料との両者を併用して、機能膜を成膜してもよい。
【0036】
高周波電源48は、シャワー電極38に、プラズマ励起電力を供給する電源である。高周波電源48は、各種のプラズマCVD装置で利用されている、公知の高周波電源が、全て利用可能である。
【0037】
真空排気手段50は、プラズマCVDによる機能膜の成膜のために、成膜室14内を排気して、所定の成膜圧力に保つものであり、前述のように、真空成膜装置に利用されている、公知の真空排気手段である。
【0038】
図2は、図1に示した機能膜の製造装置10のドラム36および放電防止部材62を概念的に示す図で、ドラム36を図1中矢印aの方向に見た図である。
図1および図2に示すように、放電防止部材62は、ドラム36の両端面(円筒の上下面)に対面して配置され、ドラム36の端面からの異常放電を抑制するためのものであり、アース板64と絶縁部材66とから構成される。
【0039】
アース板64は、ドラム36の端面に対面して配置される導電性の板材で、公知の手段によって接地(アース)されている。また、アース板64のドラム36と対面する面には、後述する絶縁部材66が貼着されている。
アース板64の形成材料には、特に限定はなく、アルミニウム、ステンレス綱(SUS)、鉄、あるいは、メッキ処理品等の公知の導電体材料が、各種、利用可能である。
また、アース板64は、図1と同方向(ドラム36の端面方向)から見た際に、ドラム36の端面が完全に隠れるように、サイズおよび配置位置を設定するのが好ましい。これにより、ドラム36の端面の全域に対応して、異常放電を抑制できる。なお、図示例においては、アース板64は円盤状であるが、本発明は、これに限定はされず、各種の形状が利用可能であり、例えば、正方形の板状等、多角形の板状であってもよい。
【0040】
アース板64とドラム36の端面との間隙cは5mm以下が好ましい。この間隙cを5mm以下とすることにより、ドラム36の端面からの異常放電を好適に防止することができる。特に、間隙cを3mm以下とすることにより、より好適にドラム36の端面からの異常放電を抑制することができ、より好ましい。
なお、図示は省略しているが、アース板64は、ドラム36の回転軸に対応して貫通穴を有している。すなわち、図示例においては、ドラム36の回転駆動源および回転の軸受け(図示省略)は、ドラム36から見てアース板64の外側に配置される。
【0041】
絶縁部材66は、アース板64の、ドラム36と対面する面に貼り付けられる板状の部材であり、ドラム36の端面からの異常放電を抑制するための絶縁体である。
絶縁部材66は、異常放電を抑制することができる絶縁体であれば良く、例えば、テフロン(登録商標)等のフッ素樹脂が好適に利用可能である。
【0042】
また、アース板64と同様に、絶縁部材66は、図1と同方向から見た際に、ドラム36の端面が完全に隠れるようにサイズおよび配置位置を設定するのが好ましい。これにより、ドラム36の端面の全域に対応して、異常放電を抑制できる。なお、図示例においては、絶縁部材66は、円盤状であるが、アース板64と同様、本発明は、これに限定はされず、正方形(多角形)の板状等、各種の形状が利用可能である。
【0043】
なお、絶縁部材66の厚さには特に限定はなく、形成材料の絶縁性に応じて、十分な絶縁性を発現し、かつ、ドラム36と接触しない厚さを適宜、設定すればよい。
また、図示は省略しているが、アース板64と同様に、ドラム36の回転軸に対応した貫通孔を有している。
【0044】
アース板64と絶縁部材66との固定方法には特に限定はなく、例えば、ボルトを用いて固定してもよいし、接着剤を用いて固定してもよい。
また、図示例では、アース板64と絶縁部材66とを接触させた状態で固定したが、本発明はこれに限定はされず、アース板と絶縁部材とが離間していてもよい。
【0045】
前述のとおり、特許文献1および特許文献2のようにプラズマCVDにおいて、基板を搬送するドラムを、プラズマ励起電力を供給されるメイン電極の対向電極として作用させると共に、ドラムにバイアス電位を印加することで、成膜効率や膜質を向上させることができる。
しかしながら、バイアス電位の印加など、ドラムに高出力の電力を供給すると、ドラムの端面と製造装置の壁面(チャンバ壁面)等との間で異常放電が発生してしまい、成膜のためのプラズマ形成が不安定になり成膜された膜の品質が低下したり、製造装置が損傷したりしてしまう。特に、成膜効率や膜質をより向上させるためには、ドラムに高いバイアス電位を印加する必要があり、ドラムの端面からの異常放電がより顕著になる。
【0046】
これに対して、本発明は、このように、ロール・ツー・ロールで、基板をドラムに巻き掛けて搬送し、かつ、ドラムにバイアス電位を印加して、プラズマCVDによる成膜を行なう製造装置において、導電性のアース板64と絶縁性の絶縁部材66とからなる放電防止部材62を、ドラム36の両端面に対面して配置する。これにより、ドラム36に高いバイアス電位を印加しても、ドラム36の端面と製造装置10の壁面等との間で異常放電が発生することを抑制することができ、ドラム36の端面からの異常放電により成膜のためのプラズマ形成が不安定になることがないので、安定して高品質な膜を基板Z上に効率よく連続成膜することができる。また、ドラム36の端面からの異常放電を抑制することができるので、ドラム36により高いバイアス電位を印加することができ、より高品質な膜を形成することができ、成膜効率を向上させることができる。また、ドラム36の端面と製造装置10の壁面等との間の異常放電を抑制するので、異常放電により製造装置10が損傷することを防止できる。
【0047】
ところで、アース板64に貼り付けている絶縁部材66を、ドラムの端面に貼り付ける構成、すなわち、ドラムの端面に板状の絶縁部材を貼り付け、ドラムの端面(すなわち絶縁部材)と対面する位置に板状の導電体であるアース板を配置する構成としても、ドラムの端面からの異常放電を抑制することができる。
しかしながら、ロール・ツー・ロールによって連続して成膜を行なうと、プラズマを生成(放電)し続けるため、ドラムの温度が上昇する。また、図示例のようにドラムが温度調節手段を内蔵する場合には、基板を加熱するために、ドラムを加熱する場合も多い。従って、ドラムの端面に絶縁部材を貼り付けた場合には、ステンレス鋼等で形成されるドラムと、テフロン等で形成される絶縁部材とで熱膨張率が異なるため、熱により絶縁部材が変形したり、絶縁部材を固定しているボルトが外れたりして、絶縁部材の一部がドラムから浮いてしまい、やはり、ドラムの端面からの異常放電が発生し、成膜のためのプラズマ形成が不安定になり形成した膜の品質が低下し、また、製造装置が損傷してしまう。特に、成膜効率を向上させるために、ドラムを大型化した場合には、ドラムと絶縁部材との熱による膨張量(変形量)の差が大きくなり、ドラムと絶縁部材との固定が外れ易くなるので、異常放電が発生しやすくなる。
【0048】
これに対して、本発明のように、導電性のアース板64と絶縁性の絶縁部材66とからなる放電防止部材62を、ドラム36の端面に対面して配置することにより、成膜の際のプラズマ形成等によってドラム36の温度が上昇した場合でも、ドラム36の端面からの異常放電を抑制することができ、安定して高品質な膜を効率よく連続成膜することができ、また、製造装置10の損傷も防止できる。また、成膜効率を向上させるためにドラムを大型化した場合でも、絶縁部材が熱変形しないので、異常放電の発生を好適に抑制することができる。
【0049】
以下、成膜室14における機能膜の成膜の作用を説明する。
前述のように、回転軸24に基板ロール20が装填されると、基板Zは、供給室12からガイドローラ26によって案内されて成膜室14に至り、成膜室14において、ガイドローラ40に案内されて、ドラム36の周面の所定領域に掛け回され、ガイドローラ42によって案内されて、巻取り室16の巻取り軸30に至る所定の搬送経路を通される。
【0050】
供給室12から供給され、ガイドローラ40によって所定の経路に案内された基板Zはドラム36に支持/案内されつつ、所定の搬送経路を搬送される。なお、成膜室14内は、真空排気手段50によって所定の真空度に減圧され、また、供給室12は真空排気手段28によって、巻取り室16は真空排気手段60によって、それぞれ所定の真空度に減圧されている。
さらに、シャワー電極38には、ガス供給手段46から原料ガスが供給される。これにより、シャワー電極38から、シャワー電極38と基板Z(ドラム36)との間に、原料ガスが供給される。
【0051】
原料ガスの供給量および成膜室14の真空度が安定したら、ドラム36には、バイアス電源44から、バイアス電力が供給され、シャワー電極38には、高周波電源48から、プラズマ励起電力が供給される。すなわち、ドラム36とシャワー電極38とがCCP−CVDにおける電極対を構成する。
【0052】
シャワー電極38へのプラズマ励起電力の供給によって、シャワー電極38とドラム36との間でプラズマが励起され、原料ガスからラジカルが生成されて、ドラム36によって支持されつつ搬送される基板Zの表面に、CCP−CVDによって機能膜が成膜される。
また、ドラム36へのバイアス電力の供給によって、基板Z上に成膜される膜は緻密なものとなり、膜質が向上する。
【0053】
ここで、導電性のアース板64の、ドラム36の端面と対面する面に、絶縁性の絶縁部材66を貼り付けて形成された放電防止部材62を、ドラム36の両端面に対面して配置しているので、ドラム36にバイアス電力を供給する場合でも、ドラム36の端面と製造装置10の壁面等との間で異常放電が発生することを抑制することができる。
【0054】
このように、本発明は、ドラムの端面からの異常放電を抑制することができるので、成膜のためのプラズマを安定して形成することができ、安定して高品質な膜を基板Z上に効率よく連続成膜することができる。また、ドラムの端面からの異常放電を抑制することができるので、ドラムにより高いバイアス電位を印加することができ、より高品質な膜を形成することができ、また、製造装置の損傷も防止できる。
【0055】
なお、本発明において、成膜室14内での成膜の際の成膜レートには、特に限定はない。ここで、成膜レートを上げて成膜効率を向上するためには、ドラム36に高いバイアス電位を印加することが好ましい。前述のとおり、ドラム36に高いバイアス電位を印加するとドラム36の異常放電が発生しやすくなる。しかしながら、前述のとおり、本発明によれば、ドラム36の端面からの異常放電を抑制できる。
以上の点を考慮すると、本発明において、成膜効率(生産性)の向上効果を十分に得られ、かつ、異常放電の抑制という本発明の効果が十分に発現できる等の点で、成膜レートは、100nm/min以上とするのが好ましい。
【0056】
機能膜を成膜された基板Z(すなわち、機能性フィルム)は、ドラム36からガイドローラ42に搬送され、ガイドローラ42によって案内されて、成膜室14と巻取り室16とを隔離する隔壁56に形成されたスリット56aから、巻取り室16に搬送される。
【0057】
図示例において、巻取り室16は、ガイドローラ58と、巻取り軸30と、真空排気手段60とを有する。
巻取り室16に搬送された基板Z(機能性フィルム)は、ガイドローラ58に案内されて巻取り軸30に搬送され、巻取り軸30によってロール状に巻回され機能性フィルムロールとして、次の工程に供される。
また、先の供給室12と同様、巻取り室16にも真空排気手段60が配置され、成膜中は、巻取り室16も、成膜室14における成膜圧力に応じた真空度に減圧される。
【0058】
以上の例では、シャワー電極とドラムとで電極対を形成し、シャワー電極にプラズマ励起電力を、ドラムにバイアス電力を、それぞれ供給するものであったが、本発明は、これに限定はされず、ドラムにプラズマ励起電力を印加し、シャワー電極にはアースを接続し、シャワー電極からガスを放出することで、プラズマCVDによる成膜を行なうものであってもよい。
【0059】
また、本発明において、成膜方法はプラズマCVDに限定はされず、スパッタリング等、各種の成膜方法が利用可能である。
すなわち、本発明は、長尺な基板をドラムに掛け回して搬送して、ドラムに電力を供給しつつ、ドラムの周面に支持された基板に成膜を行なうものであれば、各種の成膜方法や成膜装置が、全て、利用可能である。
なお、特に、プラズマCVDは、成膜の際の圧力が高い(低真空度)ので異常放電が起きやすく、従って、異常放電を抑制できる本発明をより好適に利用できる。
【0060】
また、図示例の製造装置10では、放電防止部材62をドラム36の両端面に対面して配置する構成としたが、本発明は、これに限定はされず、ドラムの一方の端面のみに対面して、放電防止部材を配置する構成としてもよい。
【0061】
以上、本発明の機能膜の製造装置および製造方法について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
【実施例】
【0062】
図1および図2に示すCVD装置を用いて、基板に、ガスバリア膜を形成した。
【0063】
基板は、厚さ100μm、幅700mmのPENフィルム(帝人社製 テオネックス)を用いた。なお、膜を形成する長さは300mとした。
また、原料ガスとして、シランガス(SiH)(流量100sccm)、アンモニアガス(NH)(流量100sccm)、窒素ガス(N)(流量500sccm)を用いた。
また、ドラムとして、材質SUSで、直径1500mmのドラムを用いた。
さらに、ドラムに接続されるバイアス電源として、周波数400kHzの電源を用い、シャワー電極に接続される高周波電源として、周波数13.56MHzの高周波電源を用いた。
【0064】
また、成膜室(真空チャンバ)の圧力は50Paとした。
また、ドラムに供給するバイアス電力は、500Wとし、シャワー電極に供給されるプラズマ励起電力は、1kWとした。
さらに、成膜中は、ドラムが内蔵する温度調節手段によって、基板温度が70℃となるように調節した。
また、成膜する機能膜の膜厚は100nmとした。
【0065】
このような機能性フィルムの作製を、アース板とドラム端面との距離、および、アース板に貼り付ける絶縁部材の絶縁抵抗とを、適宜、変更して行なった。
実施例1は、アース板として、アルミを用いた。
また、絶縁部材として、絶縁抵抗1×1018Ωcm、絶縁破壊電圧20kV/mmのテフロン(登録商標)を用いた。
また、アース板とドラムの端面との距離は、3.0mmとした。
【0066】
実施例2は、絶縁部材として、絶縁抵抗1×1016Ωcm、絶縁破壊電圧18kV/mmのフッ素系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様とした。
また、実施例3は、アース板とドラムの端面との距離を、5.0mmとした以外は、実施例1と同様とした。
また、比較例1として、絶縁部材をドラムの端面に貼り付けた製造装置により機能性フィルムの作製を行なった。なお、比較例1のその他の条件は、実施例1と同様とした。
【0067】
各機能性フィルム作製中の、ドラム端面からの異常放電の有無、装置のダメージ(変形)、および、作製した各機能性フィルムの基板および膜のダメージ(欠陥の有無等)をそれぞれ目視により検査した。
【0068】
[異常放電]
機能性フィルム作製中のドラム端面からの異常放電の有無を目視により検査した。
異常放電の発生頻度について、
300m長の成膜で異常放電の発生無しを◎;
300m長の成膜で異常放電の発生が5回未満を○;
300m長の成膜で異常放電の発生が5回以上を×; とした。
【0069】
[変形]
機能性フィルム作製中の異常放電による装置へのダメージや、熱膨張による絶縁部材の変形を、機能性フィルムの作製後に目視により検査した。
装置へのダメージが見られない場合を○;
装置へのダメージがある場合を×; とした。
【0070】
[膜質変動]
作製した機能性フィルムの基板および膜のダメージ(膜質変動)を検査した。具体的には、300m長の成膜を行なった機能性フィルムから10mおきに計30箇所からサンプル(各300mm角)を切り出し、目視によりフィルムおよび膜のダメージを検査し、フィルムの熱負けや、膜割れ・膜剥離、異物付着等の有無を検査した。
膜質変動が見られないものを○;
膜質変動が1箇所でも見られるものを×; とした。
結果を下記表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
上記表1より明らかなように、導電性のアース板の、ドラムの端面と対面する面に、絶縁性の絶縁部材を貼り付けて形成された放電防止部材を、ドラムの両端面に対面して配置するという本発明の製造装置の実施例である実施例1〜3は、いずれも、ドラムの端面からの異常放電が少なく、従って、異常放電による装置へのダメージ等もなく、また、作製した機能性フィルムも基板および膜にダメージがなく、膜質が均一なものが得られた。
特に、ドラムの端面と放電防止部材との距離を3.0mmとした実施例1は、ドラムの端面からの異常放電がほとんど無く、より好適であることがわかる。
【0073】
これに対して、絶縁部材をドラムの端面に貼り付けた比較例1は、成膜開始からしばらくは、ドラム端面からの異常放電を抑制できたものの、成膜長さが100mを超えたあたりから、異常放電が発生し始めた。300mの成膜後、装置内を確認したところ、絶縁部材が熱により変形していた。また、作製した機能性フィルムも長さ100m以降のサンプルにおいて、基板および膜にダメージがあるものが見られた。
以上の結果より、本発明の効果は、明らかである。
【符号の説明】
【0074】
10 製造装置
12 供給室
14 成膜室
16 巻取り室
20 基板ロール
24 回転軸
26、40、42、58 ガイドローラ
28、50、60 真空排気手段
30 巻取り軸
32、56 隔壁
32a、56a スリット
36 ドラム
38 シャワー電極
44 バイアス電源
46 ガス供給手段
48 高周波電源
62 放電防止部材
64 アース板
66 絶縁部材
Z 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、前記基板に成膜を行なう機能膜の製造装置であって、
前記基板を周面の所定領域に巻き掛けて搬送する円筒状のドラムと、
前記ドラムに電位を印加する電源と、
前記ドラムの周面に対面して設けられる成膜手段と、
前記ドラムの端面に対面して設けられる、接地される導電性の板であるアース板と、
前記ドラムの端面と前記アース板との間に配置される絶縁部材とを有することを特徴とする機能膜の製造装置。
【請求項2】
前記アース板と前記ドラムの端面との隙間が5mm以下である請求項1に記載の機能膜の製造装置。
【請求項3】
前記絶縁部材が前記アース板に貼着される請求項1または2に記載の機能膜の製造装置。
【請求項4】
前記絶縁部材がフッ素樹脂で形成される請求項1〜3のいずれかに記載の機能膜の製造装置。
【請求項5】
前記成膜手段がプラズマCVDによって前記基板に成膜を行なう請求項1〜4のいずれかに記載の機能膜の製造装置。
【請求項6】
前記ドラムの温度調節手段を有する請求項1〜5のいずれかに記載の機能膜の製造装置。
【請求項7】
長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、ドラムの周面の所定領域に巻き掛けて、前記ドラムの周面に対面して設けられる成膜手段によって前記基板に成膜を行なう機能膜の製造方法であって、
前記ドラムに電位を印加するとともに、
前記ドラムの端面に対面して設けられる、接地される導電性の板であるアース板と、
前記ドラムの端面と前記アース板との間に配置される絶縁部材とを有して成膜を行なうことを特徴とする機能膜の製造方法。
【請求項8】
前記アース板と前記ドラムの端面との隙間が5mm以下である請求項7に記載の機能膜の製造方法。
【請求項9】
前記絶縁部材が前記アース板に貼着される請求項7または8に記載の機能膜の製造方法。
【請求項10】
前記絶縁部材がフッ素樹脂で形成される請求項7〜9のいずれかに記載の機能膜の製造方法。
【請求項11】
前記成膜手段がプラズマCVDによって前記基板に成膜を行なう請求項7〜10のいずれかに記載の機能膜の製造方法。
【請求項12】
前記ドラムの温度を調節して成膜を行なう請求項7〜11のいずれかに記載の機能膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−68970(P2011−68970A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222598(P2009−222598)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】