説明

止水栓装置

【課題】メンテナンスを容易に行うことができる止水栓装置を提供する。
【解決手段】流入口34bが形成された止水栓装置本体20と、止水栓装置本体20内に螺合された第1回転軸部材46と、第1回転軸部材46に取り付けられ、第1回転軸部材46が回転されると、軸方向に移動され、流入口34bを開閉する弁部材56とを備えた止水弁ユニット2aと、止水栓装置本体20内の止水弁ユニット2aの下流側に配置され、第1回転軸部材46と同軸に延びかつその一方の端に第1回転軸部材46の端部と係合可能な係合端が形成された第2回転軸部材48と、第2回転軸部材48の他方の端に取り付けられ、回転操作することにより第1回転軸部材46を回転させる操作部48cとを備え、止水栓装置本体20に組み込まれた調圧弁ユニット2bとを有し、調圧弁ユニット2bは、弁部材56が流入口34bを閉鎖したままの状態で止水栓装置本体20から取り外し可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調圧機能付き止水栓装置、及び、それを備えた水栓装置及び湯水混合水栓装置に係わり、特に、通水路を止水状態又は通水状態に切り替え、流出する水の圧力を調整する調圧機能付き止水栓装置、及び、調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置、及び、調圧機能付き止水栓装置を備えた湯水混合水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗面所、浴室、キッチン等で用いられている水栓装置の一例として、電気温水器等の給湯システムの給湯源から供給される湯を水と混合し、サーモスタット等の温度調節装置によって所定温度に調節した湯水を開閉弁の開閉により吐水状態又は止水状態に切り替える湯水混合水栓装置が知られている。
このような従来の湯水混合水栓装置においては、その上流側に接続されている電気温水器の安全規格上、給水源の水圧に対し所定圧力まで減圧された湯が水栓装置本体に供給されており、湯とは別の経路で水栓装置本体に供給される水側の水圧が湯側の水圧より高くなるため、湯と水を混合する際に、湯側と水側で大きな差圧が生ずる。しかしながら、従来の湯水混合水栓装置では、供給される湯側と水側においてこのような大きな差圧が生じても、これらを調圧する機能を備えていないため、この差圧が原因でサーモスタット等の温度調節装置による湯水の温度調節をうまく追従させることができないという問題がある。
また、従来の湯水混合水栓装置は、その水栓装置本体とその上流側の通水路との間を接続する通水路を含む脚部材を備えているが、この脚部材には、止水栓が組み込まれている。従来から、水栓装置本体に供給される湯水の流量や水圧を調整する際に、この止水栓の開閉具合を調整しているが、このような止水栓の開閉の調整は手作業によって行われおり、流量や水圧を定量的に設定することが難しいため、止水栓の調整不良による水の浪費をまねきやすい。また、止水栓の調整に伴って、流量や水圧に応じた温度調節装置の初期設定も行わなければならないため、面倒な作業となることが問題となっている。
したがって、湯水混合水栓装置に流入する水の圧力を調整する調圧手段を湯水混合水栓装置にいかに組み込むかが従来から課題となっている。
一方、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されているように、調圧用の弁体と止水用の弁体を一体的に組み込まれ、調圧機能と止水機能とを兼ね備えた水栓装置が知られている。しかしながら、このような水栓装置においては、調圧用弁体と止水用弁体が一体に組み込まれているため、例えば、調圧用弁体のみについてメンテナンスを行いたい場合にも、止水用弁体を止水させた状態で調圧用弁体のみを取り外すことができず、メンテナンスが不便であるという問題がある。
また、上述した従来の水栓装置において、調圧用弁体のシート部付近には、調圧用弁体のごみ噛み等を防止するために通水をろ過するストレーナが必要に応じて設けられている。このストレーナについては、そこに付着したごみ等を定期的に取り除き、清掃というメンテナンスをしなければならないが、このようなメンテナンスを行う際に、水栓装置のさらに上流側に位置する大元の止水栓によって止水しなればならないため、ストレーナや調圧弁等に関するメンテナンスが面倒な作業となっているという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平8−7456号公報
【特許文献2】実開平5−20109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、止水機能を有する止水弁ユニットと調圧機能を有する調圧弁ユニットが水栓脚部および止水栓本体等に係合可能に組み込まれ、止水弁ユニットによって止水しながら調圧弁ユニットのみを取り外してメンテナンスを容易に行うことができる調圧機能付き止水栓装置、及び、それを備えた水栓装置及び湯水混合水栓装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の発明は、通水路を止水状態又は通水状態に切り替え、流出する水の圧力を調整する調圧機能付き止水栓装置であって、流入口が形成された止水栓装置本体と、この止水栓装置本体内に螺合された第1回転軸部材と、この第1回転軸部材に取り付けられ、上記第1回転軸部材が回転されると、軸方向に移動され、上記流入口を開閉する弁部材と、を備えた止水弁ユニットと、上記止水栓装置本体内の上記止水弁ユニットの下流側に配置され、流出する水の圧力を調整する調圧弁と、上記第1回転軸部材と同軸に上記調圧弁を貫いて延び、かつその一方の端に上記第1回転軸部材の端部と係合可能な係合端が形成された第2回転軸部材と、この第2回転軸部材の他方の端に形成され、回転操作することにより上記第1回転軸部材を回転させる操作部と、を備え、上記止水栓装置本体に組み込まれた調圧弁ユニットと、を有し、上記調圧弁ユニットは、上記弁部材が上記流入口を閉鎖したままの状態で上記止水栓装置本体から取り外し可能であることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、止水弁ユニットの弁部材が開放され、止水栓装置本体の流入口から流入した水は、調圧弁ユニットの調圧弁によって所定圧力に調圧される。また、調圧弁ユニットについてメンテナンスする場合には、調圧弁ユニットの第2回転軸部材の操作部を操作して第2回転軸部材を回転させる。これにより、止水弁ユニットの第1回転軸部材が回転すると共にその軸方向に移動して弁部材が流入口を閉鎖した後、調圧弁ユニットのみを止水栓装置本体から取り外す。これにより、止水弁ユニットによって止水しながら調圧弁ユニットについてメンテナンスを容易に行うことができる。
【0006】
本発明において、調圧弁ユニットには、通水をろ過するストレーナが設けられていることが好ましい。これにより、調圧弁ユニットを取り外すだけで、ストレーナのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0007】
本発明において、第1回転軸部材の端部は、第2回転軸部材の係合端を受け入れる嵌合凹部を備えていることが好ましい。これにより、止水弁ユニットの第1回転軸部材と調圧弁ユニットの第2回転軸部材とを容易に係合させることができる。
【0008】
本発明において、調圧弁ユニットは、止水栓装置本体に螺合されることによって組み込まれ、嵌合凹部は、第1回転軸部材の軸方向に延びるように間隔を置いて形成された2つの突出部を備え、これら2つの突出部の各端面は、互いに反対方向に傾斜した傾斜面を形成しており、調圧弁ユニットを止水栓装置本体に螺合させる際、第2回転軸部材は、その係合端が傾斜面に沿って摺動しながら、突出部の間に受け入れられる向きに自動的に回転されることが好ましい。これにより、調圧弁ユニットを止水栓装置本体に組み込む際に調圧弁ユニットを止水栓装置本体に螺合させることにより、調圧弁ユニットの第2回転軸部材と止水弁ユニットの第1回転軸部材とを容易に係合させることができる。また、調圧弁ユニットと止水栓装置本体との螺合を解除することにより、調圧弁ユニットのみを止水栓装置本体から容易に取り外すことができる。
【0009】
本発明の第2の発明は、上記本発明の第1の発明の調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置であって、吐水口が形成された水栓装置本体と、吐水状態と止水状態に切り替える吐止水切替手段と、を有し、上記水栓装置本体には、上記調圧機能付き止水栓装置が、上記操作部が操作可能に且つ上記調圧弁ユニットが取り外し可能に組み込まれていることを特徴としている。これにより、調圧弁ユニットの操作部を操作するだけで容易に止水弁ユニットに止水させることができ、水栓装置のメンテナンスが容易となる。また、調圧弁ユニットと止水栓装置本体との螺合を解除することにより、調圧弁ユニットのみを止水栓装置本体から容易に取り外すことができ、調圧弁ユニットについてのメンテナンスが容易となる。
【0010】
本発明の第3の発明は、湯と水を混合して所定温度に調節した湯水を吐水又は止水する、上記本発明の第1の発明の調圧機能付き止水栓装置を備えた湯水混合水栓装置であって、湯と水が混合される湯水混合水栓装置本体と、この湯水混合水栓装置本体に設けられた吐水部と、吐水状態と止水状態に切り替える吐止水切替手段と、上記湯水混合水栓装置本体の上流側に接続され、湯側通水路を形成する湯側脚部材と、上記湯水混合水栓装置本体の上流側に接続され、水側通水路を形成する水側脚部材と、を有し、上記湯側脚部材又は上記水側脚部材には、上記調圧機能付き止水栓装置が、上記操作部が操作可能に且つ上記調圧弁ユニットが取り外し可能に組み込まれていることを特徴としている。これにより、調圧弁ユニットの操作部を操作するだけで容易に止水弁ユニットに止水させることができ、湯水混合水栓装置のメンテナンスが容易となる。また、調圧弁ユニットと止水栓装置本体との螺合を解除することにより、調圧弁ユニットのみを湯側脚部材又は水側脚部材から容易に取り外すことができ、調圧弁ユニットについてのメンテナンスが容易となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の調圧機能付き止水栓装置、及び、それを備えた水栓装置及び湯水混合水栓装置によれば、止水機能を有する止水弁ユニットと調圧機能を有する調圧弁ユニットが水栓脚部に係合可能に組み込まれ、止水弁ユニットによって止水しながら調圧弁ユニットのみを取り外してメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態による調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による水栓装置における調圧機能付き止水栓装置を含む水側脚部材を示す正面図である。
【図3】図2に示す調圧機能付き止水栓装置を含む通水非調圧時の水側脚部材におけるA−A側面断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による水栓装置における調圧機能付き止水栓装置について、調圧弁ユニットと止水弁ユニットとを分解した分解斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態の水栓装置における通水調圧時の調圧機能付き止水栓装置を示す拡大断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の水栓装置における止水時の調圧機能付き止水栓装置を示す拡大断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の水栓装置における止水時の調圧機能付き止水栓装置を含む水側脚部材について調圧弁ユニットのみ取り外した状態を示す断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態の水栓装置における調圧機能付き止水栓装置の止水弁ユニットの第1スピンドルと調圧弁ユニットの第2スピンドルとの係合関係を説明する、図4と同様な分解斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態の水栓装置における通水調圧時の調圧機能付き止水栓装置を示す、図5と同様な拡大断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態の水栓装置における止水時の調圧機能付き止水栓装置を示す、図9と同様な拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の調圧機能付き止水栓装置、及び、調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置を示す概略斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置(湯水混合水栓装置)1は、調圧機能付き止水栓装置2(詳細は後述する)と湯水混合水栓装置本体4とを有し、湯水混合水栓装置本体4は、その背面側に突出する湯側流入口6及び水側流入口8、吐水口10、シャワーホース12、温度調節装置14、流量調整機能を備えた吐水口/シャワー切替装置16を備えている。このような温度調節装置14を備えた湯水混合水栓装置1は、いわゆる「サーモスタット混合栓」と呼ばれている。
また、湯水混合水栓装置1は、湯水混合水栓装置本体4の湯側流入口6に接続された湯側脚部材18と、水側流入口8に接続され、かつ調圧機能付き止水栓装置2が取り付けられる本体(以下「調圧機能付き止水栓装置本体」と呼ぶ)を形成する水側脚部材20とを有する。これら湯側脚部材18及び水側脚部材20の上流側は、壁裏側に配管された湯側通水路22及び水側通水路24にそれぞれ接続されている。
なお、湯側脚部材18の構成については、水側脚部材20の基本構成と同様であるため、説明を省略して水側脚部材20のみについて具体的に説明する。
【0014】
図2は、本実施形態の水栓装置1の調圧機能付き止水栓装置2を含む水側脚部材20を示す正面図であり、図3は、通水非調圧時の調圧機能付き止水栓装置2を含む水側脚部材20を示すA−A側面断面図である。ここで、図3において、通水時の水の流れを矢印で示している。
図2及び図3に示すように、水側脚部材20は、水側通水路24に接続される上流側接続口26と、湯水混合水栓装置本体4の水側流入口8に接続される下流側接続口28とを備え、水側脚部材20の内部には、上流側接続口26から下流側接続口28にかけてクランク状に通水路30が形成されている。
また、このクランク状の通水路30は、上流側接続口26から水側脚部材20の正面20aを貫くように延びる1次側通水路30aと、この1次側通水路30aの下流側から水側脚部材20の正面20a及び背面20bとほぼ平行に延びて下流側接続口28に通ずる2次側通水路30bとを備えている。
【0015】
さらに、1次側通水路30aの下流側には、調圧機能付き止水栓装置2の雌ねじ付き取付部34が形成されており、調圧機能付き止水栓装置2の調圧弁ユニット2bの一部分が水側脚部材20の正面20a側から雌ねじ付き取付部34に螺合されている。
調圧機能付き止水栓装置2が雌ねじ付き取付部34の雌ねじ52aに螺合されて取り付けられた状態では、雌ねじ付き取付部34の下流側端部(取付口)34aは、調圧機能付き止水栓装置2の保持部材36によって覆われている。一方、雌ねじ付き取付部34の上流側端部には、調圧機能付き止水栓装置2の止水口となる流入口34bが形成され、この流入口34bは、調圧機能付き止水栓装置2の止水弁ユニット2aの止水弁38によって開閉可能となっている。
なお、図3に示す調圧機能付き止水栓装置2では、止水弁38が流入口34bを開放して1次側通水路30aが通水され、調圧弁42が流出口60bを全開にし、調圧を行っていない状態を示している。
【0016】
つぎに、本実施形態の水栓装置1における調圧機能付き止水栓装置2の詳細について説明する。
図3に示すように、本実施形態の調圧機能付き止水栓装置2は、雌ねじ付き取付部34内の上流側に組み込まれて1次側通水路30aを止水状態と通水状態とに切り替える止水弁ユニット2aと、雌ねじ付き取付部34内の下流側において止水弁ユニット2aと係合可能に組み込まれて1次側通水路30aが通水状態のときに2次側通水路30b内を調圧する調圧弁ユニット2bと、を備えている。
【0017】
また、図4は、本実施形態の水栓装置1における調圧機能付き止水栓装置2について、止水弁ユニット2aと調圧弁ユニット2bとの係合を外した状態を示す分解斜視図である。
図3及び図4に示すように、止水弁ユニット2aは、第1スピンドル(第1回転軸部材)46を含む止水弁38によって構成されている。
調圧弁ユニット2bについては、雌ねじ付き取付部34の上流側から下流側にかけて、中間部材40、圧縮コイルばね44a,44b、調圧弁42、保持部材36、第2スピンドル(第2回転軸部材)48が組み込まれた構成となっている。
【0018】
つぎに、図3及び図4を参照して、調圧機能付き止水栓装置2の止水弁ユニット2aの詳細について説明する。
図3及び図4に示すように、止水弁ユニット2aでは、止水弁38の本体を形成する第1スピンドル46が、その径方向に突出しかつ円周方向に間隔を置いて一体に形成された雄ねじ付き突起54を備えている。この雄ねじ付き突起54の外周面に形成された雄ねじ54aは、1次側通水路30aの壁面50に形成された雌ねじ52bに螺合されている。
また、第1スピンドル46の上流側端部46aは、弁部材(シートパッキン)56を備えており、第1スピンドル46及び雄ねじ付き突起54の回転に応じて、第1スピンドル46と共にシートパッキン56が1次側通水路30aに沿って第1スピンドル46の軸方向に移動し、流入口34bに対するシートパッキン56の相対位置を変えることができるようになっている。流入口34bは、弁部材(シートパッキン)56の弁座となり、シートパッキン56によって開閉可能になっている。
【0019】
なお、図3では、止水弁38のシートパッキン56が流入口34bを開放して1次側通水路30aを通水させている状態が示されている。
また、止水弁38の第1スピンドル46の下流側係合端部である嵌合凹部46bは、調圧弁ユニット2bを雌ねじ付き取付部34に螺合して取り付けた際、調圧弁ユニット2bの第2スピンドル48の上流側係合端部であるキー状突起48aと係合されるようになっている(詳細は後述する)。
【0020】
つぎに、調圧機能付き止水栓装置2の調圧弁ユニット2bの詳細について説明する。
図3及び図4に示すように、中間部材40は、その下流側に位置する保持部材36に一体的に組み込まれている。調圧弁ユニット2bを調圧機能付き止水栓装置本体である水側脚部材20の雌ねじ付き取付部34に螺合して取り付けた状態では、調圧弁ユニット2bの中間部材40は、止水弁ユニット2a(止水弁38)の下流側に配置されている。この中間部材40の上流側端部の流入口60aから内部にかけて流路58が形成されており、中間部材40の外周部には、この流路58の流出口60bが形成されている。
さらに、この流出口60bには、通水中に含まれるごみをろ過して流出口60b及び調圧用流入路64におけるごみ噛みを防止するストレーナ62が取り付けられている。
【0021】
調圧弁42は、中間部材40の流出口60bを開閉可能に覆うように設けられ、中間部材40に対して第2スピンドル48の軸方向に摺動可能になっている。この中間部材40の流出口60bは、調圧弁42により開放された状態では、2次側通水路30bと連通している。
【0022】
中間部材40と調圧弁42との間には、ばね室44が形成されている。このばね室44内には、コイル平均径の異なる2つの圧縮コイルばね44a,44bが、互いのコイル中心軸線が同軸となるように配置されている。
これらの2つの圧縮コイルばね44a,44bは、予め所定の圧縮荷重(予荷重)を与えた状態で中間部材40と調圧弁42との間に嵌め込まれており、調圧弁42から圧縮コイルばね44a,44bのコイル中心軸線方向に作用する圧縮荷重が所定値未満の場合には、これらの圧縮コイルばね44a,44bは、たわまないようになっている。
【0023】
保持部材36は、外周面に形成された雄ねじ36cを備え、この雄ねじ36cを雌ねじ付き取付部34の雌ねじ52aに螺合させることにより、保持部材36が調圧弁42を正面側から覆うようにして雌ねじ付き取付部34に固定されて、調圧弁42を保持するようになっている。
また、保持部材36の内面と調圧弁42外面との間には、通水状態の2次側通水路30b内の水が流入可能な調圧用流入路64が形成され、この調圧用流入路64に流入した水の圧力に応じて、流出口60bから流出する水の圧力を調圧弁42が調整するようになっている。この調圧用流入路64の下流側はシールパッキン66によってシールされており、調圧用流入路64内の水が外部(保持部材36の正面36a側)へ漏出しないようになっている。
【0024】
図5は、本実施形態の水栓装置1における通水調圧時の調圧機能付き止水栓装置2を示す拡大断面図である。ここで、図5において、通水時の水の流れを矢印で示している。
図5に示すように、調圧時における調圧弁ユニット2bの調圧用流入路64において、保持部材36の背面36bと対向する調圧弁42の段部を形成する面は、調圧用流入路64内の水圧の受圧面42aとなっており、この受圧面42aが受圧した水圧に応じて、調圧弁42がばね室44の圧縮コイルばね44a,44bを押圧して移動することによって、中間部材40の流出口60bの開度が調整されるようになっている。
なお、図5に示す調圧機能付き止水栓装置2では、止水弁38が流入口34bを開放して1次側通水路30aが通水され、調圧弁42が流出口60bの一部を閉鎖して調圧を行っている状態を示している。
【0025】
また、図3及び図5に示すように、第2スピンドル48は、正面側から背面側へ順に、保持部材36、調圧弁42、圧縮コイルばね44a,44b、中間部材40のすべての要素を貫いて延びように構成されている。調圧弁ユニット2bの保持部材36を雌ねじ付き取付部34に螺合して取り付けた状態では、第2スピンドル48は、第1スピンドル46と同軸に延び、第2スピンドル48の上流側係合端部であるキー状突起48aは、止水弁ユニット2aにおける止水弁38の第1スピンドル46の下流側係合端部である嵌合凹部46bと係合されるように構成されている。
さらに、第2スピンドル48の下流側端部48bには、マイナスドライバー(図示せず)等の工具と嵌合可能なキー溝48cが形成されている。この第2スピンドル48の下流側端部48bのキー溝48cは、第2スピンドル48を回転操作する回転操作部となっており、キー溝48cにマイナスドライバー(図示せず)等の工具を嵌め込んで回すことにより、第2スピンドル48を保持部材36、調圧弁42、圧縮コイルばね44a,44b、中間部材40に対して回転操作することができるようになっている。
【0026】
さらに、ばね室44は、第2スピンドル48の外周面と調圧弁42の内周面との間に形成される隙間44cを介して大気開放されている。また、第2スピンドル48と中間部材40との間はシール部材40aでシールされ、上流側からの水が第2スピンドル48と中間部材40との間からばね室44内に浸入しないようになっている。
また、第1スピンドル46と第2スピンドル48が係合されている状態では、第2スピンドル48の回転操作部であるキー溝48cを回転操作して第2スピンドル48を回転させると、第1スピンドル46が第2スピンドル48と一体的に回転し、1次側通水路30aに沿って軸方向に移動されるようになっている。
【0027】
つぎに、図6は、本実施形態の水栓装置1における止水時の調圧機能付き止水栓装置2を示す拡大断面図である。
図6に示すように、本実施形態では、湯水混合水栓装置本体4側の各部や、ストレーナ62等の調圧弁ユニット2bの各部についてメンテナンスを行う際には、止水弁38が流入口34bを閉鎖するように、第2スピンドル48の回転操作部であるキー溝48cを回転させることにより、第1スピンドル46を回転させると共に軸方向上流側に移動させて、1次側通水路30aを止水状態にするようになっている。
【0028】
また、図7は、本実施形態の水栓装置1における止水時の調圧機能付き止水栓装置2を含む水側脚部材20について、止水弁ユニット2aが止水した状態で調圧弁ユニット2bのみ取り外した状態を示す断面図である。
図7に示すように、止水弁ユニット2aの止水弁38によって1次側通水路30aを止水した状態では、調圧弁ユニット2bの保持部材36の雄ねじ36cと雌ねじ付き取付部34の雌ねじ52aとの螺合を解除するように保持部材36を回転させると、止水弁ユニット2aの止水弁38が流入口34bを閉鎖して1次側通水路30aを止水した状態にしたまま、調圧機能付き止水栓装置本体である水側脚部材20から調圧弁ユニット2bのみを取り外すことができるようになっている。
さらに、取り外した状態の調圧弁ユニット2bを水側脚部材20に再び組み込む際には、後述するように、調圧弁ユニット2bの保持部材36の雄ねじ36cと雌ねじ付き取付部34の雌ねじ52aとが螺合するように保持部材36を回転させることにより、調圧弁ユニット2bが水側脚部材20に取り付けられ、調圧弁ユニット2bの第2スピンドル48が止水弁ユニット2aの第1スピンドル46と容易に係合することができるようになっている。
【0029】
図8は、止水弁ユニット2aの第1スピンドル46と調圧弁ユニット2bの第2スピンドル48との係合関係を説明する、図4と同様な分解斜視図である。
図8に示すように、調圧弁ユニット2bの第2スピンドル48の上流側係合端部には、第2スピンドル48の軸方向に延びるキー状突起48aが形成されている。また、止水弁ユニット2aの第1スピンドル46の下流側係合端部には、このキー状突起48aを受け入れ可能にする嵌合凹部46bが形成されている。
この嵌合凹部46bは、第1スピンドル46の軸方向に延び、かつ第2スピンドル48のキー状突起48aをはさみ込む2つの突出部68a,68bにより形成されている。
【0030】
さらに、これら2つの突出部68a,68bの各端面70a,70bは、互いに反対方向に傾斜した傾斜面を形成しており、調圧弁ユニット2bを調圧機能付き止水栓装置本体である水側脚部材20の雌ねじ付き取付部34に螺合させる際、図8中に示す矢印の回転方向に調圧弁ユニット2b(保持部材36)を回転させると、この回転と共に中間部材40及び第2スピンドル48が回転するようになっている。第2スピンドル48のキー状突起48aの端面48dが第1スピンドル46の突出部68a,68bの傾斜面70a,70bに接触すると、この第2スピンドル48のキー状突起48aが第1スピンドル46の突出部68a,68bの傾斜面70a,70bに沿って摺動しながら突出部68a,68bの間に受け入れられる向きに自動的に回転されて、第2スピンドル48のキー状突起48aと第1スピンドル46の嵌合凹部46bが嵌合するようになっている。
【0031】
つぎに、上述した本発明の第1実施形態による調圧機能付き止水栓装置2を備えた水栓装置1の動作(作用)について説明する。
まず、図3に示すように、止水弁ユニット2aの止水弁38によって、流入口34bが開放された状態では、流入口34bから下流側の水側脚部材20内に水が流れ込む。この流れ込んだ水は、1次側通水路30a内の止水弁ユニット2aを通過し、調圧弁ユニット2bの中間部材40内の流路58を通過し、流出口60bに取り付けられたストレーナ62を通過して、流出口60bから2次側通水路30bへ流出する。
【0032】
また、通水状態の2次側通水路30b内の水は、下流側接続口28(湯水混合水栓装置本体4の水側流入口8)から湯水混合水栓装置本体4内に流れ込み、この本体4内で湯側脚部材18から流れ込んだ湯と混合される。この湯水混合水栓装置本体4内で湯水が混合される際、温度調節装置14によって混合された湯水の温度が調整され、その後、吐水口10またはシャワーホース12へ送られて吐水される。
【0033】
さらに、通水状態の2次側通水路30b内における水の一部は、保持部材36の内面と調圧弁42の外面との間に形成される調圧用流入路64に流入し、調圧弁42の受圧面42aによって水圧が受圧される。
2次側通水路30b内の水圧が所定値未満であり、調圧弁42の受圧面42aで受圧した水圧も所定値未満である場合には、調圧弁42から圧縮コイルばね44a,44bのコイル中心軸線方向に作用する圧縮荷重も所定値未満となり、圧縮コイルばね44a,44bはたわまず、調圧弁42は全く移動せずに非調圧の状態となるため、中間部材40の流出口60bは全開状態となる(図3参照)。
【0034】
一方、2次側通水路30b内の水圧が所定値以上となり、調圧弁42の受圧面42aで受圧した圧力も所定値以上となった場合には、調圧弁42から圧縮コイルばね44a,44bのコイル中心軸線方向に作用する圧縮荷重も所定値以上となり、圧縮コイルばね44a,44bがたわむと共に調圧弁42が中間部材40に向かって移動し、中間部材40の流出口60bは調圧弁42によって一部閉鎖された状態となる(図5参照)。すなわち、調圧弁42は、2次側通水路30b内の水圧が所定値未満になるように、中間部材40の流出口60bの開度を調整して2次側通水路30b内の調圧を行う。
一例として、本実施形態の調圧機能付き止水栓装置2を含む水側脚部材20をサーモスタット混合栓に適用する場合には、2次側通水路30b内の水圧値が、0.15〜0.2MPa程度になるように調圧されることが好ましい。
【0035】
また、湯水混合水栓装置本体4側の各部や、ストレーナ62等の調圧弁ユニット2bの各部についてメンテナンスを行う際には、まず、吐水口/シャワー切替装置16によって水栓装置1の吐水口10とシャワーホース12を閉鎖する。つぎに、調圧機能付き止水栓装置2の止水弁ユニット2aの止水弁38が流入口34bを閉鎖するように、第2スピンドル48の回転操作部であるキー溝48cを回転させて、第1スピンドル46を回転させる。第1スピンドル46が回転すると、1次側通水路30aの壁面50に形成された雌ねじ52bと第1スピンドル46の雄ねじ付き突起54の雄ねじ54aによって、第1スピンドル46は、1次側通水路30aに沿って軸方向上流側に移動する。これにより、止水弁38は、シートパッキン56によって流入口34bを閉鎖し、1次側通水路30a及び2次側通水路30bが止水状態となる(図6参照)。
なお、給水、給湯圧力が0.15〜0.2MPa以上となる調圧域の圧力の場合には、調圧弁42は流出口60bを全閉させる位置まで移動する。
一方、給水、給湯圧力が0.15〜0.2MPaよりも低い非調圧域の圧力の場合には、調圧弁42は流出口60bを全開した状態のままである。
その後、調圧弁ユニット2bの保持部材36の雄ねじ36cと雌ねじ付き取付部34の雌ねじ52aとの螺合を解除するように保持部材36を回転させて、止水弁ユニット2aの止水弁38が1次側通水路30aを止水した状態にしたまま、調圧機能付き止水栓装置本体である水側脚部材20から調圧弁ユニット2bのみを取り外す(図7参照)。
【0036】
さらに、取り外した状態の調圧弁ユニット2bを調圧機能付き止水栓装置本体である水側脚部材20に再び組み込む際には、調圧弁ユニット2bの保持部材36の雄ねじ36cと雌ねじ付き取付部34の雌ねじ52aとが螺合するように保持部材36を回転させて、調圧弁ユニット2bを水側脚部材20の雌ねじ付き取付部34に取り付ける。
また、保持部材36の回転と共に中間部材40及び第2スピンドル48が回転し、第2スピンドル48のキー状突起48aの端面48dが第1スピンドル46の突出部68a,68bの傾斜面70a,70bに接触すると、この第2スピンドル48のキー状突起48aが第1スピンドル46の突出部68a,68bの傾斜面70a,70bに沿って摺動しながら突出部68a,68bの間に受け入れられる向きに自動的に回転される。この結果、調圧弁ユニット2bの第2スピンドル48の上流側係合端部であるキー状突起48aが止水弁ユニット2aの第1スピンドル46の下流側係合端部である嵌合凹部46bに係合される。
【0037】
また、止水状態の水側脚部材20を再び通水状態に設定する場合には、止水弁38が流入口34bを開放するように、第2スピンドル48の回転操作部であるキー溝48cを回転させて、第1スピンドル46を回転させる。第1スピンドル46が回転すると、1次側通水路30aの壁面50に形成された雌ねじ52bと第1スピンドル46の雄ねじ付き突起54の雄ねじ54aによって、第1スピンドル46は、1次側通水路30aに沿って軸方向下流側に移動する。これにより、流入口34bが開放される(図3参照)。
【0038】
上述した本発明の第1実施形態の調圧機能付き止水栓装置2を備えた水栓装置1によれば、湯水混合水栓装置本体4側の各部や、ストレーナ62等の調圧弁ユニット2bの各部についてメンテナンスを行う際、調圧弁ユニット2bの第2スピンドル48の回転操作部であるキー溝48cを回転操作することにより、止水弁ユニット2aの止水弁38を閉鎖して、通水路30を容易に止水することができる。また、止水弁ユニット2aにより止水状態を保ちながら調圧弁ユニット2bのみを調圧機能付き止水栓装置本体である水側脚部材20から容易に取り外すことができ、湯水混合水栓装置本体4側の各部や、ストレーナ62等の調圧弁ユニット2bの各部についてメンテナンスを容易に行うことができる。
また、取り外した状態の調圧弁ユニット2bを調圧機能付き止水栓装置本体である水側脚部材20に再び組み込む際には、調圧弁ユニット2bの保持部材36の雄ねじ36cと雌ねじ付き取付部34の雌ねじ52aとが螺合するように保持部材36を回転させるだけで、調圧弁ユニット2bを調圧機能付き止水栓装置本体である水側脚部材20の雌ねじ付き取付部34に容易に取り付けることができ、さらに、調圧弁ユニット2bの第2スピンドル48と止水弁ユニット2aの第1スピンドル46とを容易に係合させることができる。
さらに、止水弁ユニット2aが、調圧弁ユニット2bが通水状態の通水路30内を正確に調圧することができ、湯水混合水栓装置本体4に供給される湯水の差圧を低減させることができるため、温度調節装置14による湯水の温度調節を容易に行うことができる。
また、調圧弁ユニット2bによる調圧機能によって、止水弁ユニット2aによる通水路30の流量調整が不要となるため、止水弁ユニット2aの流量調整不良による湯水の浪費を防ぐことができ、節水効果が得られる。
さらに、調圧機能付き止水栓装置2を高水圧地域で使用した場合でも、調圧弁ユニット2bによる調圧機能が流量を自動的に調整するため、止水時のウォーターハンマー作用を低減させることもできる。
【0039】
なお、上述した本実施形態では、一例として、調圧機能付き止水栓装置2を湯水混合水栓装置1の湯側脚部材18及び水側脚部材20に適用させた形態について説明したが、このような形態に限定されず、湯側脚部材18については、調圧機能を備えずに止水機能のみを備えた脚部材となるように構成し、水側脚部材20のみに調圧機能付き止水栓装置2を適用させた形態であってもよい。また、このような形態とは逆に、湯側脚部材18のみに調圧機能付き止水栓装置2を適用させてもよい。
【0040】
つぎに、本発明の第2実施形態による調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置について説明する。
図9は、本実施形態の水栓装置における通水調圧時の調圧機能付き止水栓装置を示す、図5と同様な拡大断面図であり、図10は、本実施形態の水栓装置における止水時の調圧機能付き止水栓装置を示す、図9と同様な拡大断面図である。
ここで、図9及び図10において、図5と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0041】
図9及び図10に示すように、本実施形態の水栓装置における調圧機能付き止水栓装置80は、1次側通水路30aを止水状態と通水状態とに切り替える止水弁ユニット80aを備え、さらに、止水弁ユニット80aに係合可能に取り付けられ、かつ上述した第1実施形態の調圧弁ユニット2bと構成が同じである調圧弁ユニット80bを備えている。
ここで、本実施形態の水栓装置における調圧機能付き止水栓装置80の構成については、第1実施形態の水栓装置における調圧機能付き止水栓装置2の構成と止水栓ユニットの部分のみが異なっているため、以下、本実施形態の止水栓ユニット部分の構成についてのみ詳細に説明する。
図9及び図10に示すように、止水弁ユニット80aは、第1スピンドル46と、この第1スピンドル46の上流側に取り付けられた止水弁装置82とを備えている。
さらに、止水弁装置82は、1次側通水路30aに取り付けられた止水弁装置本体84と、この止水弁装置本体84の上流側端部に止水口として形成された流入口86と、この流入口86に開閉可能に取り付けられた弁部材88と、この弁部材88を下流側から支持するように取り付けられ、止水弁装置本体84に対して摺動可能に設けられた摺動支持部材90とを備えている。
【0042】
摺動支持部材90は、環状に形成され、複数の開口90aが円周方向に間隔を置いて配置されており、第1スピンドル46の上流側端部46aを受け入れ可能となっている。また、摺動支持部材90と第1スピンドル46との間には、流路92が形成されている。
また、摺動支持部材90の周面94と止水弁装置本体84との間には、圧縮コイルばね96が設けられている。第1スピンドル46を軸方向上流側へ前進させると、第1スピンドル46の上流側端部46aが弁部材88の下流側端面88aを上流側へ押し出して、流入口86を開放し、摺動支持部材90の開口90aを介して通水させるようになっている(図9参照)。この際、摺動支持部材90も弁部材88と共に上流側へ移動し、この摺動支持部材90の下流側端部で半径方向に突出した突起90bが圧縮コイルばね96を圧縮するようになっている。
さらに、第2スピンドル48の回転操作部であるキー溝48cを回転操作して第1スピンドル46を下流側へ後退させると、圧縮されていた圧縮コイルばね96の反発力によって摺動支持部材90が下流側に後退し、弁部材88も同時に下流側へ移動し、流入口86を閉鎖して止水するようになっている(図10参照)。
【0043】
上述した構成による本発明の第2実施形態の調圧機能付き止水栓装置80を備えた水栓装置においては、弁部材88と流入口86との間が開放されて1次側通水路30a及び2次側通水路30bが通水されている状態では、摺動支持部材90の突起90bが圧縮コイルばね96を圧縮している(図9参照)。
一方、調圧弁ユニット80bについては、第1実施形態の調圧弁ユニット2bと同様に、2次側通水路30b内の水圧が所定値未満であり、受圧面42aで受圧した圧力も所定値未満である場合には、調圧弁42から圧縮コイルばね44a,44bのコイル中心軸線方向に作用する圧縮荷重も所定値未満となり、圧縮コイルばね44a,44bはたわまず、調圧弁42も移動せずに非調圧の状態となり、中間部材40の流出口60bは全開状態となる。
【0044】
さらに、2次側通水路30b内の水圧が所定値以上となり、受圧面42aで受圧した圧力も所定値以上となった場合には、調圧弁42から圧縮コイルばね44a,44bのコイル中心軸線方向に作用する圧縮荷重も所定値以上となり、圧縮コイルばね44a,44bがたわむと共に調圧弁42が中間部材40に向かって移動し、中間部材40の流出口60bは調圧弁42によって一部閉鎖された状態となる(図9参照)。すなわち、調圧弁42は、2次側通水路30b内の水圧が所定値未満になるように、中間部材40の流出口60bの開度を調整して2次側通水路30b内の調圧を行う。
【0045】
また、湯水混合水栓装置本体4側の各部や、ストレーナ62等の調圧弁ユニット80bの各部についてメンテナンスを行う際には、1次側通水路30a及び2次側通水路30bを止水状態にするために、まず、吐水口/シャワー切替装置16によって水栓装置1の吐水口10とシャワーホース12を閉鎖する。つぎに、調圧弁ユニット80bの第2スピンドル48の回転操作部であるキー溝48cを所定方向(止水方向)に回転操作することにより、第1スピンドル46の雄ねじ付き突起54が調圧弁ユニット80bの中間部材40の上流側端面(流入口)60aに位置するまで第1スピンドル46が軸方向下流側へ移動され、圧縮されていた圧縮コイルばね96の復元力と1次側通水路30aの上流側からの水圧によって摺動支持部材90及び弁部材88が下流側へ移動して流入口86を閉鎖する(図10参照)。このとき、圧縮コイルばね96は、摺動支持部材90の突起90bによる圧縮荷重がかからない状態となる。
なお、給水、給湯圧力が0.15〜0.2MPa以上となる調圧域の圧力の場合には、調圧弁42は流出口60bを全閉させる位置まで移動する。
一方、給水、給湯圧力が0.15〜0.2MPaよりも低い非調圧域の圧力の場合には、調圧弁42は流出口60bを全開した状態のままである。
【0046】
つぎに、弁部材88が流入口86を閉鎖している状態で、第1実施形態と同様に、調圧弁ユニット80bの保持部材36の雄ねじ36cと雌ねじ付き取付部34の雌ねじ52aとの螺合を解除するように保持部材36を回転させて、止水弁ユニット2aの弁部材88が1次側通水路30aを止水した状態にしたまま、水側脚部材20から調圧弁ユニット80bのみを取り外す。
【0047】
さらに、取り外した状態の調圧弁ユニット80bを再び水側脚部材20に組み込む際には、調圧弁ユニット80bの保持部材36の雄ねじ36cと雌ねじ付き取付部34の雌ねじ52aとが螺合するように保持部材36を回転させて、調圧弁ユニット80bを水側脚部材20の雌ねじ付き取付部34に取り付ける。
また、保持部材36の回転と共に中間部材40及び第2スピンドル48が回転し、第2スピンドル48のキー状突起48aの端面48dが第1スピンドル46の突出部68a,68bの傾斜面70a,70bに接触すると、この第2スピンドル48のキー状突起48aが第1スピンドル46の突出部68a,68bの傾斜面70a,70bに沿って摺動しながら突出部68a,68bの間に受け入れられる向きに自動的に回転される。この結果、調圧弁ユニット80bの第2スピンドル48の上流側係合端部であるキー状突起48aが止水弁ユニット80aの第1スピンドル46の下流側係合端部である嵌合凹部46bに係合される。
【0048】
また、止水状態の水側脚部材20を再び通水状態に設定する場合には、弁部材88が流入口86を開放するように、第2スピンドル48の回転操作部であるキー溝48cを回転させて、第1スピンドル46を回転させる。第1スピンドル46が回転すると、1次側通水路30aの壁面50に形成された雌ねじ52bと第1スピンドル46の雄ねじ付き突起54の雄ねじ54aによって、第1スピンドル46は、1次側通水路30aに沿って軸方向上流側に移動し、弁部材88を上流側へ押圧し、流入口86が開放され、通水路30が通水される(図9参照)。
【0049】
上述した本発明の第2実施形態調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置によれば、上述した第1実施形態の調圧機能付き止水栓装置1の作用効果と同様に、ストレーナ62等の調圧弁ユニット80bの各部についてメンテナンスを行う際、調圧弁ユニット80bの第2スピンドル48の回転操作部であるキー溝48cを回転操作することにより、止水弁ユニット80aの弁部材88によって流入口86を閉鎖して、通水路30を容易に止水することができる。また、止水弁ユニット80aにより止水状態を保ちながら調圧弁ユニット80bのみを水側脚部材(止水栓装置本体)20から容易に取り外すことができ、湯水混合水栓装置本体4側の各部や、ストレーナ62等の調圧弁ユニット80bの各部についてメンテナンスを容易に行うことができる。
また、取り外した状態の調圧弁ユニット80bを再び水側脚部材(止水栓装置本体)20に組み込む際には、調圧弁ユニット80bの保持部材36の雄ねじ36cと雌ねじ付き取付部34の雌ねじ52aとが螺合するように保持部材36を回転させるだけで、調圧弁ユニット80bを止水栓装置本体20の雌ねじ付き取付部34に容易に取り付けることができ、さらに、調圧弁ユニット80bの第2スピンドル48と止水弁ユニット80aの第1スピンドル46とを容易に係合させることができる。
【0050】
なお、上述した2つの実施形態では、調圧機能付き止水栓装置を適用した水栓装置の一例として、湯水混合水栓装置であるサーモスタット混合栓に適用した形態ついて説明したが、このような形態に限定されず、例えば、湯水混合水栓装置については、サーモスタット混合栓以外にも、吐水及び止水を切り替える開閉弁について湯側用と水側用を共用するシングルレバータイプの混合栓や、開閉弁を湯側用と水側用で別々に設けた2ハンドルタイプの混合栓等に適用してもよい。あるいは、単水栓等にも適用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 水栓装置(湯水混合水栓装置)
2,80 調圧機能付き止水栓装置
2a 止水弁ユニット
2b 調圧弁ユニット
4 湯水混合水栓装置本体
6 湯側流入口
8 水側流入口
10 吐水口
12 シャワーホース
14 温度調節装置
16 吐水口/シャワー切替装置
18 湯側脚部材
20 水側脚部材
22 湯側通水路
24 水側通水路
26 水側脚部材の上流側接続口
28 水側脚部材の下流側接続口
30 水側脚部材の通水路
30a 1次側通水路
30b 2次側通水路
34 調圧機能付き止水栓装置の雌ねじ付き取付部
34a 調圧機能付き止水栓装置の取付口
34b 調圧機能付き止水栓装置の流入口
36 保持部材
36a 保持部材の正面
36b 保持部材の背面
36c 雄ねじ
38 止水弁
40 中間部材
42 調圧弁
42a 受圧面
44 ばね室
44a,44b 圧縮コイルばね
46 第1スピンドル
46a 第1スピンドルの上流側端部
46b 第1スピンドルの嵌合凹部
48 第2スピンドル
48a 第2スピンドルのキー状突起
48b 第2スピンドルの下流側端部
48c キー溝
48d キー状突起の端面
50 1次側通水路の壁面
52a,52b 雌ねじ
54 雄ねじ付き突起
54a 雄ねじ
56 弁部材(シートパッキン)
58 流路
60a 中間部材の流入口
60b 中間部材の流出口
62 ストレーナ
64 調圧用流入路
66 シールパッキン
68a,68b 突出部
70a,70b 傾斜端面
82 止水弁装置
84 止水弁装置本体
86 止水弁装置の流入口
88 弁部材
90 摺動支持部材
90a 開口
90b 突起
92 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通水路を止水状態又は通水状態に切り替え、流出する水の圧力を調整する調圧機能付き止水栓装置であって、
流入口が形成された止水栓装置本体と、
この止水栓装置本体内に螺合された第1回転軸部材と、この第1回転軸部材に取り付けられ、上記第1回転軸部材が回転されると、軸方向に移動され、上記流入口を開閉する弁部材と、を備えた止水弁ユニットと、
上記止水栓装置本体内の上記止水弁ユニットの下流側に配置され、流出する水の圧力を調整する調圧弁と、上記第1回転軸部材と同軸に上記調圧弁を貫いて延び、かつその一方の端に上記第1回転軸部材の端部と係合可能な係合端が形成された第2回転軸部材と、この第2回転軸部材の他方の端に形成され、回転操作することにより上記第1回転軸部材を回転させる操作部と、を備え、上記止水栓装置本体に組み込まれた調圧弁ユニットと、
を有し、上記調圧弁ユニットは、上記弁部材が上記流入口を閉鎖したままの状態で上記止水栓装置本体から取り外し可能であることを特徴とする調圧機能付き止水栓装置。
【請求項2】
上記調圧弁ユニットには、通水をろ過するストレーナが設けられている請求項1記載の調圧機能付き止水栓装置。
【請求項3】
上記第1回転軸部材の端部は、上記第2回転軸部材の上記係合端を受け入れる嵌合凹部を備えている請求項1又は2に記載の調圧機能付き止水栓装置。
【請求項4】
上記調圧弁ユニットは、上記止水栓装置本体に螺合されることによって組み込まれ、上記嵌合凹部は、上記第1回転軸部材の軸方向に延びるように間隔を置いて形成された2つの突出部を備え、これら2つの突出部の各端面は、互いに反対方向に傾斜した傾斜面を形成しており、上記調圧弁ユニットを上記止水栓装置本体に螺合させる際、上記第2回転軸部材は、その係合端が上記傾斜面に沿って摺動しながら、上記突出部の間に受け入れられる向きに自動的に回転される請求項3記載の調圧機能付き止水栓装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置であって、
吐水口が形成された水栓装置本体と、
吐水状態と止水状態に切り替える吐止水切替手段と、
を有し、上記水栓装置本体には、上記調圧機能付き止水栓装置が、上記操作部が操作可能に且つ上記調圧弁ユニットが取り外し可能に組み込まれていることを特徴とする調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置。
【請求項6】
湯と水を混合して所定温度に調節した湯水を吐水又は止水する、請求項1乃至4の何れか1項に記載の調圧機能付き止水栓装置を備えた湯水混合水栓装置であって、
湯と水が混合される湯水混合水栓装置本体と、
この湯水混合水栓装置本体に設けられた吐水部と、
吐水状態と止水状態に切り替える吐止水切替手段と、
上記湯水混合水栓装置本体の上流側に接続され、湯側通水路を形成する湯側脚部材と、 上記湯水混合水栓装置本体の上流側に接続され、水側通水路を形成する水側脚部材と、 を有し、上記湯側脚部材又は上記水側脚部材には、上記調圧機能付き止水栓装置が、上記操作部が操作可能に且つ上記調圧弁ユニットが取り外し可能に組み込まれていることを特徴とする調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−186014(P2009−186014A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87416(P2009−87416)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【分割の表示】特願2005−44009(P2005−44009)の分割
【原出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】