説明

気泡生成剤

【課題】体内で造影剤および塞栓剤として用いることのできる気泡生成物質を提供する。
【解決手段】気泡生成物質の製造方法であって、以下の工程:(a)両親媒性物質と、両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質と、大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質と、生理的に許容される等張液とを混合して混合液を調製する工程、(b)前記混合液に圧力を印加する工程、および(c)前記圧力の印加の後に前記混合液を遠心分離する工程を含み、工程(a)で調製される混合液において前記両親媒性物質のモル濃度が前記両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質のモル濃度の10倍以上である、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温状態では液体であって、温度上昇または物理刺激により気化し気泡を形成する気泡生成物質、その製造方法および該気泡生成物質を用いた治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内で気泡を生成することができれば、血管を閉塞することが可能であり、栄養血管を閉塞することによって治療効果が得られる疾患、例えば悪性新生物や子宮筋腫に対する治療手段として有効である。また、超音波診断装置およびMRI診断装置等の画像診断装置用の造影剤として用いることも可能である。
【0003】
気泡を生成する手段としては発泡剤が広く工業的に用いられており、特にプラスチック製造時などに、100℃以上で分解し、その際窒素ガスなどを生成する有機化合物が一般的に用いられている。しかしながら、これら一般に用いられている発泡剤は生体、特に血管内で用いることはほぼ不可能である。それは、100℃以上の高温に生体を曝すことが極めて侵襲的であることと、熱分解でガスを生成する化学物質そのものの毒性が高いことによる。生体内で気泡化を行う手法としては、例えば、非特許文献1にあるように、揮発性の高い物質を液体の状態で安定化し、収束超音波を照射して目的の部位のみで気泡化するという手法が提案されている。また、特許文献1にあるような、投与前にあらかじめ体外で気泡化させた物質または気泡として最初から調製した物質を用いる手法も一般的である。
【0004】
上記のように悪性新生物や子宮筋腫などを、栄養血管を気泡によって閉塞することにより治療する場合、気泡が互いに密着した状態で同じ部位に留まることが肝要であるが、上述のあらかじめ体外で気泡化した物質を投入する手法では拡散により気泡同士が離れてしまうことから密着した状態にならず、効果を挙げることが困難である。また、液体の揮発性物質を体内投与後に目的部位のみ気泡化するという手法も、栄養血管を広い領域に渡って閉塞するには超音波焦域の移動が必要となるため、効果を得るのに時間がかかってしまう。
【0005】
また、気泡生成物質を造影剤として用いる場合、これら二つの手法においては、前者が気泡化用の収束超音波が照射されたごく一部の領域を選択的に観察する手段として、また、後者が全身特に血管をくまなく観察するのに適しているものの、特定の臓器の全体を観察するといった中程度の領域の観察には適さない。
【特許文献1】米国特許第4,718,433号公報
【非特許文献1】K.Kawabata et al:(2005)Jpn.J.Appl.Phys.44:4548−4552
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術における生体に投与可能な液体揮発性物質、または最初から気泡として投与される気泡生成物質を用いた場合は、超音波等の物理刺激の与えられた部位のみに気泡が存在するか、または逆に全身くまなく気泡が存在するかの二者択一であって、投与した部位の近傍の一定の領域でのみ気泡を生じせしめることができない。従って、従来技術における気泡生成物質は、その造影剤または塞栓剤としての効果が限定されたものになっている。
【0007】
本発明は、液体の状態で体内に投与された後、短時間で気泡化を生じ、かつ、超音波等の物理刺激により気泡化が促進される気泡生成物質を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決する気泡生成物質としては、低温での保存時には液体として存在し、体内に投与されると徐々に気化が進行し30分程度以内に気泡を生成する気泡生成物質が適していることに想到し、鋭意研究を重ねた。
【0009】
その結果、揮発性の難水溶性物質と、両親媒性物質と、両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質とが弱い相互作用を有する複合体を形成して生じた物質系が目的とする性質を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)気泡生成物質の製造方法であって、以下の工程:
(a)両親媒性物質と、両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質と、大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質と、生理的に許容される等張液とを混合して混合液を調製する工程、
(b)前記混合液に圧力を印加する工程、および
(c)前記圧力の印加の後に前記混合液を遠心分離する工程
を含み、
工程(a)で調製される混合液において前記両親媒性物質のモル濃度が前記両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質のモル濃度の10倍以上である、前記方法。
【0011】
(2)前記の各両親媒性物質が同一または異なるリン脂質であり、前記高分子がポリアルキレンオキシドである、(1)に記載の気泡生成物質の製造方法。
(3)前記大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質がパーフルオロカーボンである、(1)に記載の気泡生成物質の製造方法。
(4)前記遠心分離の後、粒径が200nm以下の分画を得る、(1)に記載の気泡生成物質の製造方法。
【0012】
(5)両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質に、両親媒性物質と大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質とが結合してなる気泡生成物質を保持する気泡生成物質保持部と、前記気泡生成物質保持部から前記気泡生成物質を検体の特定部位へ搬送するためのカテーテルを保持するカテーテル保持部と、前記特定部位へ超音波を照射する超音波照射部とを有する超音波照射装置。
【0013】
(6)前記超音波照射部が強度200W/cm以下の超音波を照射するものである、(5)に記載の超音波照射装置。
(7)前記特定部位から超音波を受信するための超音波受信部と、前記超音波受信部の受信情報に基づいて超音波画像を作成する画像作成部と、前記超音波画像を表示する表示部とをさらに有する、(5)に記載の超音波照射装置。
(8)両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質に、両親媒性物質と大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質とが結合してなる気泡生成物質を、カテーテルを介して被検体の特定部位へ搬送することを含む治療方法。
(9)前記特定部位へ超音波を照射することをさらに含む、(8)に記載の治療方法。
【0014】
(10)前記特定部位が筋腫または腫瘍への栄養血管である、(8)に記載の治療方法。
(11)前記気泡生成物質の粒径が200nm以下である、(8)に記載の治療方法。
(12)前記大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質がパーフルオロカーボンであり、前記超音波照射によってその相変化が促進される、(9)に記載の治療方法。
(13)前記超音波の強度が200W/cm以下である(9)に記載の治療方法。
(14)(1)〜(4)のいずれかに記載の方法によって製造された気泡生成物質を有効成分として含む、血管閉塞剤。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、体内にて目的の部位で必要に応じた量の気泡を生成することが可能になる。これらの効果により安全な治療技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
一実施形態において本発明は、
(a)両親媒性物質と、両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質と、大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質と、生理的に許容される等張液とを混合して混合液を調製する工程、
(b)前記混合液に圧力を印加する工程、および
(c)前記圧力の印加の後に前記混合液を遠心分離する工程
を含み、工程(a)で調製される混合液において前記両親媒性物質のモル濃度が前記両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質のモル濃度の10倍以上である、気泡生成物質の製造方法に関する。
【0017】
両親媒性物質は、親水基と疎水基の双方を有する物質をさし、極性溶媒および無極性溶媒のいずれにも親和性を有する。両親媒性物質としては、特に制限はないが、生体に投与するために毒性が低いものが好ましい。毒性が低い両親媒性物質としては、例えば、リン脂質、糖脂質等が挙げられる。また、両親媒性物質と共存させ安定性の高い膜構造体を形成する安定化剤として、コレステロールおよびトコフェロール等が挙げられる。リン脂質としては、グリセロリン脂質およびスフィンゴリン脂質が挙げられ、具体的には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピンおよびスフィンゴミエリンなどが挙げられる。糖脂質としては、グリセロ糖脂質およびスフィンゴ糖脂質が挙げられ、具体的には、ガラクトセレブロシド、グルコセレブロシド、グロボシドなどの中性スフィンゴ糖脂質、ガングリオシドなどの酸性スフィンゴ糖脂質、モノおよびジガラクトシルジアシルグリセロールなどが挙げられる。両親媒性物質は、天然のものでも合成のものでもよい。両親媒性物質は、単一のものを用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質における両親媒性物質としては、上記と同様のものが挙げられる。上記両親媒性物質と、両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質における両親媒性物質とは、同一でもよいし、異なっていてもよい。グリセロリン脂質が好ましく、ホスファチジルエタノールアミンがより好ましい。ホスファチジルエタノールアミンの具体例としては、例えば、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン、ジリノレイルホスファチジルエタノールアミン、ジリノレニルホスファチジルエタノールアミン、ジリノレノイルホスファチジルエタノールアミン、ジアラキドイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミンなどが挙げられる。
【0019】
両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質における水溶性高分子としては、生体に対する毒性が低ければ特に制限されない。例えば、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー)およびそのモノエステルまたはジエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、セルロース、デキストラン、ジュランガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ならびにこれらに官能基が付加された誘導体などが挙げられる。官能基を付加した水溶性高分子を用いることにより、該官能基を介して生理活性物質を結合させることができる。本発明において水溶性高分子は、好ましくはポリアルキレンオキシドおよびそのモノエステル、ならびにこれらに官能基が付加された誘導体であり、より好ましくはポリエチレングリコールおよびそのモノエステル、ならびにこれらに官能基が付加された誘導体である。官能基としては、例えば、マレイミド基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、ハロホルミル基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基等が挙げられる。ペプチドや抗体といったアミノ酸を含む分子を結合させる目的では、官能基として、アミド基、マレイミド基、メルカプト基が好ましい。
【0020】
両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質における水溶性高分子部分の分子量は、通常500〜20000、好ましくは1000〜10000である。例えば、水溶性高分子がポリエチレングリコールである場合、その分子量は、通常500〜20000、好ましくは1000〜10000である。
【0021】
水溶性高分子として、上記官能基を介して生理活性物質を結合したものを用いてもよい。水溶性高分子に結合しうる生理活性物質は、目的に応じて適宜選択でき特に制限されないが、特定の分子に対して選択性を有する物質、例えば、ペプチド、抗体およびその免疫反応性の断片など;抗癌剤、例えば、アドリアマイシン、ダウノマイシン、ピノルビン、メトトレキセート、マイトマイシンC、エトポシド、シスプラチンおよびその誘導体など;生体組織の器質化を促進し血管を閉塞させることが可能な各種成長因子、例えば、血小板由来増殖因子、上皮増殖因子、形質転換増殖因子α、インスリン様増殖因子、インスリン様増殖因子結合蛋白、肝細胞増殖因子、血管内皮増殖因子、アンジオポイエチン、神経増殖因子、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、形質転換増殖因子β、潜在型形質転換増殖因子β、アクチビン、骨形質タンパク、繊維芽細胞増殖因子、腫瘍増殖因子β、二倍体繊維芽細胞増殖因子、ヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子、シュワノーマ由来増殖因子、アンフィレグリン、ベーターセルリン、エピグレリンおよびリンホトキシンなど;血栓促進剤、例えば、トロンビン、フィブリノーゲン、血液凝固因子、ヘモコアグラーゼ、酸化セルロース、アルギン酸ナトリウム、塩化アルミニウム、ゼラチンなどの血液凝固剤が挙げられる。
【0022】
一実施形態において、両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質として、以下の式:
【0023】
【化1】

【0024】
[式中
RおよびR’は、同一または異なって、炭素数7〜30、好ましくは10〜20の、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の脂肪族基、例えば、アルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基を表し、
R’’は、直接結合、または酸素、窒素および硫黄から選ばれる複素原子を有していてもよい鎖員1〜15の炭化水素基を表し、
nは、10〜300、好ましくは20〜100の整数を表し、
Xは、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基もしくはアシル基、またはマレイミド基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、ハロホルミル基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、もしくはメルカプト基を表す]
で表される物質が挙げられる。
【0025】
大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質は、生体に対する毒性が高くなければ特に制限されない。好ましくは、大気圧での沸点が29〜58℃の難水溶性物質を用いる。上記難水溶性物質としては、超音波照射によってその相変化、すなわち液相から気相への相変化が促進されるものを用いるのが好ましい。好ましくは、フルオロカーボンおよびその水素化誘導体、より好ましくはパーフルオロカーボンおよびその水素化誘導体を用いる。炭素数3〜10のパーフルオロカーボンおよびその水素化誘導体が好ましい。具体的には、パーフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロメチルシクロペンタン、パーフルオロジメチルシクロヘキサン、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、パーフルオロジメチルシクロペンタンおよびこれらの水素化誘導体が挙げられる。難水溶性物質は、単一のものを用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
等張液は、細胞(または生物体)を浸したとき,正味の水の移動が全く見られないような溶液をさし、通常、生理的に許容される等張液を用いる。生理的に許容される等張液としては、当技術分野で通常用いられるものを使用でき、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝液およびクエン酸緩衝液等を使用できる。等張液のpHは、通常pH6〜8程度である。
【0027】
両親媒性物質と、両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質と、大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質と、生理的に許容される等張液とを混合して得られる混合液において、前記両親媒性物質のモル濃度は、前記両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質のモル濃度の10倍以上、好ましくは20倍以上、より好ましくは50倍以上である。両親媒性物質と、前記両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質とを上記混合比とすることにより、血管を閉塞する観点から適度に気泡を生成させることができる。
【0028】
これは、上記比率での混合によれば、両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質は水溶性物質と難水溶性物質のいずれとも混和するため、共存させた難水溶性物質をリポソームあるいはエマルションよりもやや弱い保持力で包むキャリアとして機能するためである。
【0029】
本発明の気泡生成物質の製造方法において、上記混合液への圧力の印加は、例えば、当技術分野で通常用いられる乳化器等において、通常大気圧〜250MPa、好ましくは50〜200MPaの圧力を、通常10秒〜30分間、好ましくは1〜15分、より好ましくは1〜3分間印加することにより実施できる。圧力を印加した後、混合液を遠心分離に付す。遠心分離は、通常1500〜20000Gで、通常10秒〜20分間実施する。
【0030】
本発明の気泡生成物質の製造方法では、上記遠心分離の後、好ましくはフィルターなどにより、粒径が200nm以下、好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下の分画を得る。従って、用いるフィルターのポアサイズは、必要に応じて変化させればよく、例えば、ポアサイズが0.1μm〜0.45μmのメンブレンフィルターを用いることができる。また、複数回フィルター処理を行ってもよい。
【0031】
本発明の方法によって得られる気泡生成物質は、両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質に、両親媒性物質と大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質とが結合した構造を有すると考えられる。そして、上記粒径の分画を得ることにより、粒径が200nm以下、好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下、平均粒径が70〜200nm、好ましくは70〜100nmの気泡生成物質が得られる。
【0032】
本発明の製造方法によって得られる気泡生成物質は、体温付近の温度、すなわち35〜40℃の温度で自発的に気泡を生成することができ、100分程度で完全に気泡化する。本発明の気泡生成物質によって生成する気泡は、拡散することなく、気泡が互いに密着した状態で同じ部位に留まることができる。従って、本発明の気泡生成物質を体内に投与すると、徐々に気泡が生成し、気泡が互いに密着した状態となるため、投与した部位の近傍の一定の領域でのみ血管を閉塞させることができる。気泡が全身に拡散して望ましくない部位に到達することもない。体内温度で自発的に気泡化することから、超音波を照射し続ける必要がないという点でも有利である。
【0033】
本発明の気泡生成物質は、生体内で自発的に気泡を生成するが、超音波を照射することにより、気泡の生成を促進することができる。従来の超音波により気泡を生成させる気泡生成物質は、超音波を照射している間だけ気泡が生成し超音波を停止すると気泡が消失するものであった。しかし、本発明の気泡生成物質は、超音波を照射して気泡化を促進した後、超音波照射を停止しても、気泡が消失することなく維持される。従って、超音波を照射している限られた領域のみだけでなく、目的の疾患領域や器官全体といった特定の領域にわたって気泡を生成させ、血管を閉塞することができる。
【0034】
本発明はまた、本発明の方法によって製造される気泡生成物質を、カテーテルを介して被検体の特定部位へ搬送することを含む治療方法または血管閉塞方法に関する。換言すれば、本発明は、両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質に、両親媒性物質と大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質とが結合してなる気泡生成物質を、カテーテルを介して被検体の特定部位へ搬送することを含む治療方法または血管閉塞方法に関する。気泡生成物質およびその製造方法については、すでに記載したとおりである。
【0035】
本発明の治療方法により、血管を閉塞することにより治療しうる疾患、例えば、血管新生が関与する疾患を治療できる。例えば、腫瘍、筋腫、動脈瘤、眼内血管新生性疾患、慢性関節リウマチ、血管腫、Basedow病、加齢性黄斑変性、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症、ポリープ状脈絡膜血管症、糖尿病黄斑浮腫、尋常性乾癬および粥状動脈硬化などが挙げられる。疾患部位につながる血管に気泡生成物質を搬送し、気泡化させて血管を閉塞させ、疾患部位への血液の流れを阻害することにより、疾患を治療することができる。例えば、腫瘍または筋腫を治療する場合は、対象とする腫瘍または疾患への栄養血管に気泡生成物質を搬送して気泡化させ、腫瘍または筋腫への栄養分の供給を阻害することにより、治療効果が得られる。本発明の治療方法は、腫瘍、特に固形腫瘍、例えば、肺癌、脳腫瘍、上咽頭癌、舌癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、肝癌、直腸癌、結腸癌、子宮癌、卵巣癌、精巣癌および骨肉腫など、筋腫、特に、子宮筋腫などの治療に好適に用いられる。
【0036】
本発明の治療方法は、好ましくは、上記特定部位、すなわち疾患部位またはその周辺部位に超音波を照射することをさらに含む。強度が、通常5W/cm〜200W/cm、好ましくは10〜100W/cm、周波数が、通常0.5MHz〜10MHzの超音波を照射する。
前記超音波を照射することにより、気泡生成物質の気泡化を促進することができる。
【0037】
本発明における治療方法においては、超音波診断装置により、生成した気泡をリアルタイムに可視化することにより閉塞の効果判定を行いながら治療を行うこともできる。
【0038】
本発明の治療方法の対象としては、哺乳動物、例えば、ヒト、家畜(ウシ、ウマ等)、愛玩動物(イヌ、ネコ等)、実験動物(マウス、ラット、ハムスター等)が含まれるが、特に限定されるものではない。
【0039】
本発明はまた、上記本発明の方法によって製造される気泡生成物質を有効成分として含む医薬組成物としての血管閉塞剤に関する。本発明の血管閉塞剤をカテーテルを介して特定部位に投与することにより、上記のような疾患を治療することができる。本発明の血管閉塞剤には、本発明の特性を損なわない範囲で広く公知の添加剤を使用することができる。このような添加剤として、例えば、担体、賦形剤、防腐剤、安定剤、結合剤、酸化防止剤、膨化剤、等張剤、溶解補助剤、保存剤、緩衝剤、希釈剤等が挙げられる。
【0040】
本発明はまた、上記治療方法に用いるための超音波照射装置に関する。該超音波装置は、本発明の方法によって製造される気泡生成物質、換言すれば、両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質に、両親媒性物質と大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質とが結合してなる気泡生成物質を保持する気泡生成物質保持部と、前記気泡生成物質保持部から前記気泡生成物質を検体の特定部位へ搬送するためのカテーテルを保持するカテーテル保持部と、前記特定部位へ超音波を照射する超音波照射部とを有する。
【0041】
前記超音波照射部は、強度が、通常5W/cm〜200W/cm、好ましくは10〜100W/cm、周波数が、通常0.5MHz〜10MHzの超音波を照射するものである。
【0042】
また、本発明の超音波照射装置は、超音波診断装置と組み合わせて用いることにより、生成した気泡をリアルタイムに可視化して閉塞の効果判定を行い、気泡生成を調節しながらより効果的な治療を行うことができる。すなわち本発明の超音波照射装置は、好ましくは、前記特定部位から超音波を受信するための超音波受信部と、前記超音波受信部の受信情報に基づいて超音波画像を作成する画像作成部と、前記超音波画像を表示する表示部とを備えた超音波診断装置をさらに有する。
【0043】
上記カテーテルは、通常、圧力負荷手段を有し、気泡生成物質に圧力を付加し先端部より吐出する。また、カテーテルは、気泡生成物質の気泡化を促進するための加熱手段を有していてもよい。カテーテル本体部やカテーテル先端部には、生体適合性および潤滑性を備えるコート層を形成してもよい。コート層により、カテーテル表面での血栓形成の防止、カテーテルによる血管内膜損傷の防止、血管内壁との摩擦低下によるスムーズな血管内走行が可能となる。
【0044】
以下に本発明の試験例および実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
【実施例】
【0045】
実施例1 気泡生成物質の調製
温度を4℃に保った状態で以下の成分を一緒に添加し、そして20mlのリン酸緩衝液(pH=7.4)をゆっくり添加しながら、ULTRA−TURRAX T25(Janke&Knukel、Staufen、Germany)中にて9500rpmで1分間ホモジナイズした。
【0046】
【表1】

【0047】
MPEG2000−DSPEの化学構造を以下に示す。
【0048】
【化2】

【0049】
得られたエマルションを、Emulsiflex−C5(Avestin、Ottawa Canada)中で20MPaにて高圧乳化処理を10分間行い、10,000G×15分間の遠心分離を行い、残渣を除去した後、0.1μmのメンブレンフィルターでろ過を行いほぼ透明な微粒子分散液を得た。分散液は使用時まで冷蔵保存し、使用直前に室温に戻してから使用した。得られた微粒子の粒径分布をLB−550(堀場製作所、東京)にて測定した。結果を図1に示す。図からわかるように、平均粒径0.070μmの微粒子が得られた。
【0050】
以下、上記方法にて調製された気泡生成物質の効果に関する試験を行った結果について説明する。
【0051】
試験例1 体温(37℃)における気泡化時間に関する試験
図2に気泡生成物質の気泡化時間に関する試験結果を示す。図2は、実施例1で調製された気泡生成物質を保存状態の4℃から常温に戻した上で蛍光測定用1cmセルに入れ、セルを37℃に設定された恒温槽に固定して、溶液の散乱強度の変化および液相からのパーフルオロカーボンの消失率を指標に気泡生成に要する時間を調べた結果を示すものである。
【0052】
溶液の散乱強度の変化は、655nmの半導体レーザ(350μW)をセルに照射し、レーザ光軸と90度をなす角度に設置した受光器に入射したレーザの強度変化に基づき測定した。また、液相からのパーフルオロカーボンの消失の測定は、1cmセル内のサンプルの液相を10μl取り出し、ガスクロマトグラフ装置によりパーフルオロカーボンの濃度を測定することにより行った。図2より、時間と共に散乱強度が高くなり、また液相からパーフルオロカーボンが消失していることがわかる。一般に散乱は界面で生じることから散乱強度の高まりにより界面が増えていることがわかり、また目視でも微小な気泡が確認できた。さらに散乱強度の増加に伴い液相中のパーフルオロカーボンは消失していった。
【0053】
これらの結果から、本実施例における気泡生成物質が体温において気泡化することが示された。また、散乱強度およびパーフルオロカーボンの消失いずれからも、本実施例における気泡生成物質が完全に気泡化するのに必要な時間はほぼ100分であることがわかる。
【0054】
試験例2 気泡化に対する超音波照射による効果に関する試験
図3に本実施例の気泡生成物質の気泡化における超音波照射の効果に関する試験の結果を示す。図3は、実施例1で調製された気泡生成物質を保存状態の4℃から常温に戻した上で蛍光測定用1cmセルに入れ、セルを37℃に設定された恒温槽に固定して、溶液の散乱強度の変化を指標に気泡生成に要する時間を測定しつつ、20分経過した後に超音波照射を行った際の結果を示すものである。溶液の散乱強度の変化は、試験例2と同じく、655nmの半導体レーザ(350μW)をセルに照射し、レーザ光軸と90度をなす角度に設置した受光器に入射したレーザの強度変化により測定した。白丸が超音波照射を行わない場合を示し、黒丸が周波数2MHzで強度10W/cmの超音波を1分間照射した場合の結果を示している。両者とも時間経過と共に散乱が増大しており試験例1で記載したように気泡化が進行していることがわかる。また、図3より、超音波照射により気泡化が促進されること、100%気化が進行するのに必要な時間(散乱強度がそれ以上増大しなくなる時間)は、超音波を照射しない場合には約100分であるのに対し超音波を照射した場合には約60分であり、約半分の時間で気泡化が完了することがわかる。ほぼ同様の試験結果が、超音波の周波数を0.5MHz〜10MHzまで変化させて強度を5W/cm〜200W/cmで10ms以上照射した際にも得られた。
【0055】
試験例3 パーフルオロカーボンの種類による影響に関する試験
図4に本実施例の気泡生成物質の気泡化に対するパーフルオロカーボンの種類による影響に関する試験結果を示す。図4は、実施例1で調製された気泡生成物質および上記調製工程においてパーフルオロペンタンをパーフルオロヘキサンまたはパーフルオロヘプタンに変更して同様に調製した気泡生成物質を、保存状態の4℃から常温に戻した上で蛍光測定用1cmセルに入れ、セルを37℃に設定された恒温槽に固定して、溶液の散乱強度の変化を指標に気泡生成に要する時間を調べた結果を示すものである。溶液の散乱強度の変化は、試験例2、3と同じく、655nmの半導体レーザ(350μW)をセルに照射し、レーザ光軸と90度をなす角度に設置した受光器に入射したレーザの強度変化に基づいて測定した。
【0056】
丸、四角、三角が、それぞれパーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタンを用いた場合の結果を示している。三種類いずれにおいても時間経過と共に散乱が増大しておりパーフルオロカーボンの種類を変更しても気泡化が進行していることを示している。気泡化の程度は用いるパーフルオロカーボンにより異なり、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタンの順に気化しにくいという結果であった。パーフルオロペンタン以外では100%気化に達しなかったため、50%気化に要する時間で比較すると、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタンはそれぞれ20、40、60分であった。
【0057】
以上の試験例より、本発明における気泡生成物質が体温にて気泡化を生じることは明らかである。
【0058】
実施例2 官能基を有する高分子を用いる気泡生成物質の調製
温度を4℃に保った状態で以下の成分を一緒に添加し、そして20mlのリン酸バッファ(pH=7.4)をゆっくり添加しながら、ULTRA−TURRAX T25(Janke&Knukel、Staufen Germany)中にて9500rpmで1分間ホモジナイズした。
【0059】
【表2】

【0060】
MPEG2000−DSPE−MAの構造を以下に示す。
【0061】
【化3】

【0062】
得られたエマルションを、Emulsiflex−C5(Avestin、Ottawa Canada)中で20MPaにて高圧乳化処理を10分間行い、10,000G×15分間の遠心分離を行い、残渣を除去した後、0.1ミクロンのメンブレンフィルターにてろ過を行いほぼ透明な微粒子分散液を得た。分散液は使用時まで冷蔵保存し、使用直前に室温に戻してから使用する。得られた微粒子の粒径分布をLB−550(堀場製作所、東京)にて測定し、平均粒径0.070μmの微粒子が得られたことを確認した。
【0063】
実施例3 超音波照射装置
本発明における気泡生成物質と組み合わせて用いる超音波照射装置の一例を図5、6,7を用いて説明する。図5は気泡生成物質を患部に投与するためのカテーテルの構造を示す図である。図5(a)はカテーテルの外観を示す図であり、カテーテル本体部1、カテーテル先端部2、カテーテル基部3よりなる。カテーテル基部3は気泡生成物質導入ポート4およびガイドワイヤーポート5よりなる。使用時には、気泡生成物質導入ポート4には気泡生成物質を貯留した容器を接続し、圧力負荷手段を用いて気泡生成物質に圧力を付加し先端部2より吐出する。図5(b)はカテーテル本体部1の断面図である。この図に示されるように、カテーテル本体部1は気泡生成物質通路すなわちカテーテル基部3の導入ポート4から気泡生成物質を導入してカテーテル先端部2より吐出する通路6およびガイド通路、すなわちガイドワイヤーもしくは観察鏡等を挿通する通路7を有している。また、図5(c)に示すように、通路5内に気泡化を促進するための加熱手段8を具備することができる。なお、カテーテル本体部1およびカテーテル先端部2表面には図示しない生体適合性および潤滑性を備えるコート層を有している。このコート層により、カテーテル表面での血栓形成の防止、カテーテルによる血管内膜損傷の防止、血管内壁との摩擦低下によるスムーズな血管内走行が可能となる。
【0064】
図6は、図5に示すカテーテルと組み合わせて用いる超音波照射装置を示す図である。カテーテル9、気泡生成物質貯留・導入制御部10、超音波照射装置11、および超音波プローブ12より構成される。また、超音波プローブ12はさらに詳細には、図7における診断用超音波送受信用プローブ13および気泡化用超音波送信用プローブ14とからなる。実際の使用時には対象とする臓器15および対象とする血管16に対して適切に配置されたカテーテル先端部2より気泡生成物質貯留・導入制御部10を介して気泡生成物質17を吐出する。加熱手段8および気泡化用超音波送信用プローブ14より照射される周波数0.5MHz〜10MHz、5W/cm以上の超音波により気泡18を生成する。気泡生成の程度は診断用超音波送受信用プローブ13によりリアルタイムにモニタし、適切な範囲に気泡化が生じた時点で加熱手段8を停止させ、気泡化用超音波送信用プローブ14より照射される超音波を停止させる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の気泡生成物質の粒径分布の一例を示す。
【図2】本発明の気泡生成物質を体温(37℃)に保持した際のパーフルオロカーボンの消失率および散乱強度の時間変化の一例を示す。
【図3】本発明の気泡生成物質を体温(37℃)に保持し、さらに超音波照射を行った際の散乱強度の時間変化の一例を示す。
【図4】本発明の気泡生成物質を体温(37℃)に保持した際の散乱強度の時間変化の一例を示す。
【図5】本発明の気泡生成物質と組み合わせて用いるカテーテルの構造の一例を示す。
【図6】本発明の気泡生成物質と組み合わせて用いる超音波照射装置の構成の一例を示す。
【図7】本発明の気泡生成物質と組み合わせて用いる超音波照射装置の構成の一例を示す。
【符号の説明】
【0066】
1・・・カテーテル本体部、2・・・カテーテル先端部、3・・・カテーテル基部、4・・・気泡生成物質導入ポート、5・・・ガイドワイヤーポート、6・・・気泡生成物質通路、7・・・ガイド通路、8・・・過熱手段、9・・・カテーテル、10・・・気泡生成物質貯留・導入制御部、11・・・超音波照射装置、12・・・超音波プローブ、13・・・診断用超音波送受信用プローブ、14・・・気泡化用超音波送信用プローブ、15・・・対象とする臓器、16・・・対象とする血管、17・・・気泡生成物質、18・・・気泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡生成物質の製造方法であって、以下の工程:
(a)両親媒性物質と、両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質と、大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質と、生理的に許容される等張液とを混合して混合液を調製する工程、
(b)前記混合液に圧力を印加する工程、および
(c)前記圧力の印加の後に前記混合液を遠心分離する工程
を含み、
工程(a)で調製される混合液において前記両親媒性物質のモル濃度が前記両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質のモル濃度の10倍以上である、前記方法。
【請求項2】
前記の各両親媒性物質が同一または異なるリン脂質であり、前記高分子がポリアルキレンオキシドである、請求項1に記載の気泡生成物質の製造方法。
【請求項3】
前記大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質がパーフルオロカーボンである、請求項1に記載の気泡生成物質の製造方法。
【請求項4】
前記遠心分離の後、粒径が200nm以下の分画を得る、請求項1に記載の気泡生成物質の製造方法。
【請求項5】
両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質に、両親媒性物質と大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質とが結合してなる気泡生成物質を保持する気泡生成物質保持部と、
前記気泡生成物質保持部から前記気泡生成物質を検体の特定部位へ搬送するためのカテーテルを保持するカテーテル保持部と、
前記特定部位へ超音波を照射する超音波照射部と
を有する超音波照射装置。
【請求項6】
前記超音波照射部が強度200W/cm以下の超音波を照射するものである、請求項5に記載の超音波照射装置。
【請求項7】
前記特定部位から超音波を受信するための超音波受信部と、前記超音波受信部の受信情報に基づいて超音波画像を作成する画像作成部と、前記超音波画像を表示する表示部とをさらに有する、請求項5に記載の超音波照射装置。
【請求項8】
両親媒性物質に水溶性高分子が化学結合した物質に、両親媒性物質と大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質とが結合してなる気泡生成物質を、カテーテルを介して被検体の特定部位へ搬送することを含む治療方法。
【請求項9】
前記特定部位へ超音波を照射することをさらに含む、請求項8に記載の治療方法。
【請求項10】
前記特定部位が筋腫または腫瘍への栄養血管である、請求項8に記載の治療方法。
【請求項11】
前記気泡生成物質の粒径が200nm以下である、請求項8に記載の治療方法。
【請求項12】
前記大気圧での沸点が60℃を超えない難水溶性物質がパーフルオロカーボンであり、前記超音波照射によってその相変化が促進される、請求項9に記載の治療方法。
【請求項13】
前記超音波の強度が200W/cm以下である請求項9に記載の治療方法。
【請求項14】
請求項1〜4のいずれか1項記載の方法によって製造された気泡生成物質を有効成分として含む、血管閉塞剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−24604(P2008−24604A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195666(P2006−195666)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】