説明

水中油乳化剤形の皮膚外用剤

【課題】 PCA変性ジメチルポリシロキサンを含有した水中油乳化剤形でありながら、pH許容性が高く、粉体凝集性も少ない製剤を提供する。
【解決手段】 アルキル変性されていても良い、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のポリマーの塩、並びに、脂肪酸石鹸を実質的に含有しない水中油乳化剤形の化粧料に、ピロリドンカルボン酸変性ジメチルポリシロキサンと、親水性の界面活性剤として、重合度100〜200のポリオキシエチレンの脂肪酸エステルと、重合度20〜60のポリオキシエチレンの脂肪酸のエステルとを含有させる。親油性の界面活性剤として、ステアリン酸モノグリセライドと、少なくともどちらか1方が1気圧25℃の条件下で液状である、2種以上のソルビタン脂肪酸エステルとを含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳しくは、水中油乳化剤形の皮膚外用剤に関する。ここで、水中油乳化剤形とは、空気に面した外側の連続相が水相である乳化剤形の総称を意味し、水中油中水などの複合乳化剤形も、外側の連続相が水相である限り包含する。
【背景技術】
【0002】
ピロリドンカルボン酸(以下、PCA)変性ジメチルポリシロキサンは、乳化剤形、固形粉体剤形、油性ゲル剤形問わず、優れた、経皮的水分損失抑制作用を発現するので、有用な化粧料などの皮膚外用剤原料である。しかしながら、このものは乳化されにくい特性も同時に有しており、唯一製剤化可能な乳化剤形は、アルキル変性されていても良い、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のポリマーの塩、或いは、脂肪酸石鹸等の水性架橋ゲル構造を利用した乳化系であると言われている。(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)しかしながら、カルボン酸の塩を利用している点で、この様な構造を保つためには系が、弱塩基性乃至は塩基性である必要が存すること、或いは、粉体などのように等電点を有する成分を多量に含む場合には、前記カルボン酸部分の電離により、粉体凝集などを誘起し、系が不安定化する場合が存するなどの課題が存したし、系の限界も存した。
【0003】
視点を変えて、PCA変性ジメチルポリシロキサンを水中油乳化剤形などの乳化系に含有せしめる意義であるが、乳化は比重が異なり、互いに混じり合わない2種の相の一方を微細な液滴に加工して、もう一方の相の中に準安定的に分散せしめて得られる系であり、通常は前記二相は、水相と油相とからなる。水中油乳化剤形は、水性の連続相に油性の微細粒子を分散させた乳化剤形であり、外相の性質を反映し、サッパリとした使用感を有し、且つ、ヒアルロン酸などの保湿成分を有効に投与できる剤形であり、有効成分としても、水溶性の有効成分、油溶性の有効成分をともに含有できる点で、複雑に因子の絡み合った疾患の改善或いは予防、例えば、ストレス、免疫、外部刺激などの関与した肌荒れなどの改善或いは予防には、この様な多面的に有効成分を投与できる剤形が好ましく、この点で、PCA変性ジメチルポリシロキサンを水中油乳化剤形に含有せしめる意義が大きい。
【0004】
又、PCA変性ジメチルポリシロキサンについては、乳化系以外の系では、油性化粧料や固形粉末化粧料に保湿の目的で含有せしめる技術が知られている。(例えば、特許文献3、特許文献4を参照)
【0005】
一方、重合度100〜200のポリオキシエチレンの脂肪酸エステルを用いた乳化系としては、ホスファチジルコリンとともにラメラ構造を作り、これを利用して、アルキル変性されていても良い、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のポリマーの塩、並びに、脂肪酸石鹸を実質的に含有しない水中油乳化剤形を具現化する技術が開示されている(例えば、特許文献5を参照)が、ホスファチジルコリンに由来する、他の成分との相溶性、ラメラ構造を利用することによる、系の絶対的な安定性に課題を残している。この為、この様な系には粉体を含有させることが出来ず、前記課題の一つは解決していないと言える。
【0006】
尚、アルキル変性されていても良い、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のポリマーの塩、並びに、脂肪酸石鹸を実質的に含有しない水中油乳化剤形の化粧料であって、ピロリドンカルボン酸変性ジメチルポリシロキサンを含み、親水性の界面活性剤として、重合度100〜200のポリオキシエチレンの脂肪酸エステルと、重合度20〜60のポリオキシエチレンの脂肪酸のエステルとを含有する皮膚外用剤は全く知られていないし、この様な系に於いて、PCA変性ジメチルポリシロキサンを含有した水中油乳化剤形でありながら、pH許容性が高く、粉体凝集性も少ないことも全く知られていない。
【0007】
【特許文献1】特開2007−210893号公報
【特許文献2】特開2007−210892号公報
【特許文献3】特開2006−169207号公報
【特許文献4】特開2003−261415号公報
【特許文献5】特開2007−314442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、PCA変性ジメチルポリシロキサンを含有した水中油乳化剤形でありながら、pH許容性が高く、粉体凝集性も少ない製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、PCA変性ジメチルポリシロキサンを含有した水中油乳化剤形でありながら、pH許容性が高く、粉体凝集性も少ない製剤を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、アルキル変性されていても良い、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のポリマーの塩、並びに、脂肪酸石鹸を実質的に含有しない水中油乳化剤形の化粧料であって、ピロリドンカルボン酸変性ジメチルポリシロキサンを含み、親水性の界面活性剤として、重合度100〜200のポリオキシエチレンの脂肪酸エステルと、重合度20〜60のポリオキシエチレンの脂肪酸のエステルとを含有する皮膚外用剤がその様な特性を有していることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
<1>アルキル変性されていても良い、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のポリマーの塩、並びに、脂肪酸石鹸を実質的に含有しない水中油乳化剤形の化粧料であって、ピロリドンカルボン酸変性ジメチルポリシロキサンを含み、親水性の界面活性剤として、重合度100〜200のポリオキシエチレンの脂肪酸エステルと、重合度20〜60のポリオキシエチレンの脂肪酸のエステルとを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
<2>親油性の界面活性剤として、ステアリン酸モノグリセライドと、少なくともどちらか1方が1気圧25℃の条件下で液状である、2種以上のソルビタン脂肪酸エステルとを含有することを特徴とする、<1>に記載の皮膚外用剤。
<3>更に、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール及びバチルアルコールから選択される1種乃至は2種以上と、分岐の脂肪酸とを含有することを特徴とする、<1>又は<2>に記載の皮膚外用剤。
<4>その皮膚外用剤を皮膚に塗布して得られる皮膜上に、メークアップ化粧料を塗布すべき皮膚外用剤であることを特徴とする、<1>〜<3>何れか1項に記載の皮膚外用剤。
<5>化粧料であることを特徴とする、<1>〜<4>何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、PCA変性ジメチルポリシロキサンを含有した水中油乳化剤形でありながら、pH許容性が高く、粉体凝集性も少ない製剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるピロリドンカルボン酸変性ジメチルポリシロキサン
本発明の皮膚外用剤は、ピロリドンカルボン酸(PCA)変性ジメチルポリシロキサンを必須成分として含有することを特徴とする。かかる成分は、ジメチルポリシロキサン骨格の一部にPCA残基を導入したものであり、既に化粧料原料として使用されており、化粧料原料としての市販品も存在する。この様な市販品の内、特に好適なものとしては、ユニケマ社から販売されている「モナシルPCA」が例示できる。かかる成分は、アトピー性皮膚炎、紫外線照射などで低下した皮膚バリア機能、例えば、経皮的水分散逸の亢進などを抑制する機能を、補完する作用を発揮する。この様な効果を奏するためには、本発明の皮膚外用剤においては、PCA変性ジメチルポリシロキサンを0.1〜10質量%含有することが好ましく、0.5〜5質量%含有することが特に好ましい。これは少なすぎるとこの様な効果を奏さない場合が存し、多すぎても、効果が頭打ちになり、乳化系の安定性を損なう場合が存するためである。
【0012】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分である重合度100〜200のポリオキシエチレンの脂肪酸エステル
本発明の皮膚外用剤は、アルキル変性されていても良い、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のポリマーの塩、並びに、脂肪酸石鹸を実質的に含有しない水中油乳化剤形の化粧料であって、親水性の界面活性剤として、重合度100〜200のポリオキシエチレンの脂肪酸エステルを必須成分として含有することを特徴とする。かかる界面活性剤において、エステルとしてモノ脂肪酸エステルも利用できるし、ジ脂肪酸エステルも利用できるが、乳化特性からはモノ脂肪酸エステルを用いることが好ましい。又、脂肪酸残基としては、ラウリン酸残基、ミリスチン酸残基、パルミチン酸残基、ステアリン酸残基、ベヘン酸残基、イソパルミチン酸残基、イソステアリン酸残基、オレイン酸残基、リノール酸残基、リノレイン酸残基等が好ましく例示でき、具体的には、モノステアリン酸ポリエチレングリコールが好ましく用いられる。ポリエチレングリコールの平均重合度としては、100〜200のものが、より好ましくは、140〜160のものが安定性の高く、ゲル構造もしっかりした水中油乳化系を形成するので好ましい。この様な平均重合度100〜200のポリオキシエチレンの脂肪酸エステルには既に市販のものが存し、かかる市販品を購入して利用することが出来る。この様な市販品としては、例えば、「AEC PEG−100 Stearate」(平均重合度100のモノステアリン酸エステル;A&E Connock社製)、「Botanimulse 100−S」(平均重合度100のモノステアリン酸エステル;Botanigenics社製)、「Crodet S100」(平均重合度100のモノステアリン酸エステル;Crodet Chemicals Europe社製)、「エマレックス6300MST」(平均重合度150のモノステアリン酸エステル;日本エマルジョン株式会社製)などが好ましく例示できる。かかる成分は、唯一種を含有させることも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来、後記の重合度20〜60のポリオキシエチレンの脂肪酸のエステルとともに働いて、pH許容性が高く、粉体凝集性も少ない水中油乳化剤形を実現する。この為には、かかる成分は、皮膚外用剤全量に対して、総量で0.1〜2質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.2〜1質量%である。
【0013】
(3)本発明の皮膚外用剤の必須成分である重合度20〜60のポリオキシエチレンの脂肪酸のエステル
本発明の皮膚外用剤は、アルキル変性されていても良い、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のポリマーの塩、並びに、脂肪酸石鹸を実質的に含有しない水中油乳化剤形の化粧料であって、親水性の界面活性剤として、重合度20〜60のポリオキシエチレンの脂肪酸のエステルを必須成分として含有することを特徴とする。かかる界面活性剤において、エステルとしてモノ脂肪酸エステルも利用できるし、ジ脂肪酸エステルも利用できるが、乳化特性からはモノ脂肪酸エステルを用いることが好ましい。又、脂肪酸残基としては、ラウリン酸残基、ミリスチン酸残基、パルミチン酸残基、ステアリン酸残基、ベヘン酸残基、イソパルミチン酸残基、イソステアリン酸残基、オレイン酸残基、リノール酸残基、リノレイン酸残基等が好ましく例示でき、具体的には、モノステアリン酸ポリエチレングリコールが好ましく用いられる。かかるモノステアリン酸ポリエチレングリコールに於いて、好ましいポリエチレングリコールの平均重合度は、20〜60であり、より好ましくは25〜50である。かかる成分は、前記重合度100〜200のポリオキシエチレンの脂肪酸エステルとともに働いて、pH許容性が高く、粉体凝集性も少ない水中油乳化剤形を実現する。この為には、かかる成分は、皮膚外用剤全量に対して、総量で0.5〜3質量%含有することが好ましく、より好ましくは1〜2質量%である。又、かかる含有量は、前記重合度100〜200のポリオキシエチレンの脂肪酸エステルの含有量の総量に対して、3〜6質量倍であることが好ましい。
【0014】
(4)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分を含有し、アルキル変性されていても良い、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のポリマーの塩、並びに、脂肪酸石鹸を実質的に含有しない水中油乳化剤形の化粧料であることを特徴とする。言い換えれば、本発明の皮膚外用剤は脂肪酸石鹸ゲルや、水溶性増粘剤の架橋ゲル構造に、その安定性を委ねていない水中油乳化剤形であり、この為、pH許容性が高く、粉体凝集性も少ない特性を有する。この様な特性をより明確なものにするためには、親油性の界面活性剤として、ステアリン酸モノグリセライドと、少なくともどちらか1方が1気圧25℃の条件下で液状である、2種以上のソルビタン脂肪酸エステルとを含有することが好ましい。前記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノステアレート(固体)、ソルビタンセスキステアレート(固体)、ソルビタンジステアレート(固体)、ソルビタンモノラウレート(液体)、ソルビタンセスキラウレート(液体)、ソルビタンオレート(液体)、ソルビタンセスキオレート(液体)、ソルビタンモノイソステアレート(液体)、ソルビタンセスキイソステアレート(液体)等が好ましく例示できる。かかる組合せに於いて、好ましい組合せは、ソルビタンジステアレートとソルビタンセスキイソステアレートの組合せが特に好ましい。かかる組合せの質量比は、20:1〜10:1が好ましく例示できる。又、ステアリン酸モノグリセライドと、ソルビタン脂肪酸エステルの好ましい質量比は、3:1〜1:1であり、2:1〜1:1が特に好ましい。更に、親油性の非イオン界面活性剤の含有量は、総量で1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。更に詳細には、ステアリン酸モノグリセライド1〜5質量%とソルビタン脂肪酸エステルを0.5〜3質量%とを含有する形態が好適に例示できる。
【0015】
本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤、エストラジオール、エストリオール、ハイドロコルチゾンなどのステロイド剤、ブテナフィン、アモロルフィン、テルビナフィン、ビフォナゾール、フルコナゾールなどの抗真菌剤、インドメタシン、ブフェキサマクなどの抗炎症剤、鎮痛剤などが好ましく例示できる。
【0016】
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分、任意成分を常法に従って処理することにより製造することが出来る。本発明の皮膚外用剤としては、例えば、医薬部外品を包含する化粧料、皮膚外用医薬品、皮膚外用雑貨等が好ましく例示できる。特に好ましいものは化粧料であり、これは本願発明の皮膚外用剤の使用感の心地よさに起因する。又、アルキル変性されていても良い、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のポリマーの塩、並びに、脂肪酸石鹸を実質的に含有しないことから、これらの成分に起因する化粧崩れ伸しやすさも抑制でき、メークアップ化粧料を塗布すべき形態で使用することが好ましい。この様な形態での使用により、本発明の皮膚外用剤が形成した化粧膜上に塗布された、メークアップ化粧料の化粧持ちを著しく向上することが可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明について、更に詳細に説明を加える。
【実施例1】
【0017】
下記の処方に従って、本発明の皮膚外用剤(化粧料;水中油滴乳化剤形)を作成した。即ち、イ、ロを80℃に加温し、攪拌下徐々にイにロを加え、しかる後に攪拌冷却し、本発明の皮膚外用剤1を乳液として得た。同様に操作して、「エマレックス6000MST」をPOE(45)ステアリン酸に置換した比較例1、POE(45)ステアリン酸を「エマレックス6000MST」に置換した比較例2、POE(20)ベヘニルエーテルに置換した比較例3、「エマレックス6000MST」とPOE(45)ステアリン酸をともにPOE(20)に置換した比較例3、比較例1の「モナシルPCA」をフェニルメチコンに置換した比較例4も作成した。
【0018】
【表1】

【0019】
<試験例1>
皮膚外用剤1、比較例1〜4及び下記に処方を示す参考例(カルボキシビニルポリマーを利用した乳液;表2)について、酸を添加した場合の40℃1ヶ月の条件での温度安定性を調べた。酸としてはクエン酸を用いた。サンプルに所定の酸を加え、1ヶ月間40℃で保存し、これを24時間かけて20℃に恒量化し、状態を観察した。結果を表3に示す。これより、本発明の皮膚外用剤はpH許容性に優れることが分かる。これは、電離性の有効成分を多量に保持できることを意味し、有効成分のベヒクルとして有用であることが分かる。又、水中油乳化剤形に於いては、「モナシルPCA」の添加により、乳化性が損なわれていることも確認できた。本発明の皮膚外用剤は「モナシルPCA」を好適に乳化できる水中油乳化剤形であるとも言える。
【0020】
【表2】

【0021】
【表3】

【0022】
<試験例2>
前腕内側部に2cm×4cmの部位を作成し、ここに皮膚外用剤1、比較例1〜4及び参考例の化粧料を40μl塗布し、パフで下記のファンデーション(表4)を塗布し、10分間静置した後、温水を1分間流し、水気をタオルで軽くぬぐい、地肌との色差をコニカミノルタ社製色彩色差計CR400で測定した。結果を表5に示す。これより、本発明の皮膚外用剤を塗布した上にファンデーションを塗布した場合は、ファンデーションが流水に抵抗して残存していることが分かる。これは、他のサンプルに比較して、本発明の皮膚外用剤の場合、粉体との接触により化粧料の塗布によって出来た化粧膜の構造が変化を受けにくい為であると考えられる。又、このことより、本発明の皮膚外用剤は、メークアップ化粧料をその後に施すことを前提として使用する化粧料に好適であることも分かる。
【0023】
【表4】

【0024】
【表5】

【実施例2】
【0025】
実施例1と同様に本発明の皮膚外用剤2を作成した。このものにクエン酸1質量%を添加して40℃で1ヶ月保存しても、分離は全く観察されなかった。又、試験例2の評価試験の結果はΔEが1.7であり、その効果が確認された。
【0026】
【表6】

【実施例3】
【0027】
実施例1と同様に本発明の皮膚外用剤3を作成した。このものにクエン酸1質量%を添加して40℃で1ヶ月保存しても、分離は全く観察されなかった。又、試験例2の評価試験の結果はΔEが1.8であり、その効果が確認された。
【0028】
【表7】

【実施例4】
【0029】
下記に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤4(美白乳液化粧料)を作成した。このものは電離性の有効成分であるアルブチンを5質量%も含有しているにもかかわらず、40℃1ヶ月の保存条件で肉眼観察に於いて変化を生じなかった。
【0030】
【表8】

【実施例5】
【0031】
下記に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤5(抗真菌乳液状皮膚外用医薬)を作成した。このものは電離性の有効成分であるテルビナフィン塩酸塩を5質量%も含有しているにもかかわらず、40℃1ヶ月の保存条件で肉眼観察に於いて変化を生じなかった。
【0032】
【表9】

【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、化粧料や皮膚外用医薬などの皮膚外用剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル変性されていても良い、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のポリマーの塩、並びに、脂肪酸石鹸を実質的に含有しない水中油乳化剤形の化粧料であって、ピロリドンカルボン酸変性ジメチルポリシロキサンを含み、親水性の界面活性剤として、重合度100〜200のポリオキシエチレンの脂肪酸エステルと、重合度20〜60のポリオキシエチレンの脂肪酸のエステルとを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【請求項2】
親油性の界面活性剤として、ステアリン酸モノグリセライドと、少なくともどちらか1方が1気圧25℃の条件下で液状である、2種以上のソルビタン脂肪酸エステルとを含有することを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
更に、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール及びバチルアルコールから選択される1種乃至は2種以上と、分岐の脂肪酸とを含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
その皮膚外用剤を皮膚に塗布して得られる皮膜上に、メークアップ化粧料を塗布すべき皮膚外用剤であることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
化粧料であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2009−149555(P2009−149555A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328304(P2007−328304)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】