説明

水性の印刷可能な電気導体

水性の印刷可能な電気導体(APEC)とは、水性のアクリル、スチレン/アクリル、ウレタン/アクリル、天然のポリマー媒体(ゼラチン、大豆タンパク、カゼイン、スターチ、又はこれらに類似した物)中に、又は、結合樹脂を持たない皮膜形成の反応性脂肪酸混合物に、金属粉(固有の表面特性を持つ)を含む分散体として定義される。水性の印刷可能な分散体は、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、ドライオフセット印刷等のような様々な印刷工程により基材に適用することが出来る。例示的な基材としては、(1)コート紙、(2)コーティングしていない紙及び、(3)表面を処理した及び表面を処理していない種々のプラスチックが含まれる。1から8 μmの厚さで印刷する場合、該分散体は周囲温度で硬化するため、加熱硬化の必要はない。該分散体は上記のいずれかの用途に用られた時、インテリジェント・パッケージ及びアクティブ・パッケージ、センサー、無線認証(RFID)タグアンテナ、及び他の電子応用のための電子回路を製造するために十分な電気伝導を提供するであろう。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、基材に印刷可能で、例えばインテリジェント・パッケージ及びアクティブ・パッケージ、センサー、並びにRFIDアンテナのような電子回路として利用することのできる電気導体の調製に関する。本明細書においては、これらの電気導体は、水性の印刷可能な電気導体(Aqueous Printable Electrical Conductor)又は「APEC」と呼ばれる。
【0002】
背景技術
様々な用途に利用可能な、印刷可能なインクは、例えば、米国特許第6,379,745号及び米国特許出願第2003/0151028号において公知である。しかし、これらのインクには限界がある。米国特許第6,379,745号の印刷可能な電気伝導材料は水性ではなく、このようなインクが使用される基材は一般に、耐熱性があり、リサイクル可能ではないプラスチックに限られる。米国特許出願第2003/0151028号の材料は、本明細書に記載の用途のための所望の程度の導電率を達成することができず、また、プラスチックに印刷が可能でない。さらに、どちらの文献にも、水性の媒質を周囲温度の空気による硬化と組み合わせて用い、十分な電気伝導性を確保し、結果として、世界市場でよく見られる多くの現存の印刷機装置において工業利用可能な装置を製造することを可能にする、商業的に実現可能な手段を提供する方法の記載がない。
【0003】
米国特許第5,492,653号、5,286,415号及び4,715,989号のような他の特許には、主な用途がスプレー、塗料又は印刷可能なスクリーンである、水性の銀、他の金属及び炭素薄片を基にした組成物並びに一般にコーティング組成物として使われる水性の導電性厚膜インクが記載されている。それらは常に有機共溶媒と共に用いられる。
【0004】
発明の概要
本発明はa)水性ポリマーエマルジョンを準備する工程と、b)該水性ポリマーエマルジョンに固形分基準で少なくとも80重量%の導電性金属粉を分散させる工程と、c)該ポリマーエマルジョン及び導電性金属粉を均一になるまで混合して導電性コーティングインクを形成する工程と、d)有効量の塩基を加えて、インクのpHの範囲を7.5から10.5の範囲に維持する工程を含む、基材に塗布用の導電性コーティング材料の製造方法である。更なる態様においては、該方法はe)前記基材上に該導電性コーティングインクを被着する工程と、f)該インクを乾燥させ、それにより前記基材に前記導電性コーティングを形成する工程をさらに含む。
【0005】
本明細書及び特許請求の範囲において、導電性粉体には、薄片状及び粒状の形態の金属が包含される。好ましい塩基はNH4OHであるが、他の塩基が許容される。ただし、好ましい塩基はアンモニアのように比較的揮発性がある。
【0006】
ある態様においては、金属の導電性粉体を分散させる前に塩基を加えることができる。更なる態様においては、塩基及び導電性金属粉が同時に加えられる。
【0007】
別の態様においては、該方法は、コートした基材を400°F(204.4℃)以下の温度まで加熱し、それにより導電性を高める工程、及び/又は乾燥させた導電性コーティングにpH1.5以下の酸性水溶液を上塗りして酸性溶液を空気乾燥させ、それにより導電性を高める工程をさらに含む。
【0008】
更なる態様において、該方法は、導電性コーティングインクを、1以上の細線として基材に配置し、それにより少なくとも1つの導電トレースを基材上に形成すること、又は前記基材の表面の少なくとも一部を覆うフィルムとして基材に配置することを含む。
【0009】
前記分散体は、例えばアクリル、スチレン/アクリル又はウレタン/アクリルの水性分散体のような、水性の樹脂又はポリマー媒体中に分散させた、導電性材料の粉体又は薄片を含む。この分散体は種々の装置を製造するために商用の印刷方法を用いて基材に被着することができる。導電性材料の好ましい形態は薄片状である。もっとも、薄片を補足するため金属粒子を加えてもよい。該金属の平均粒径は0.1から15 μmの範囲であり、ある態様においては0.6から8 μmの範囲である。ある態様においては、該金属は銀(Ag)又は銀でコートされた銅である。金属薄片の表面は、典型的には、供給者により通常1以上の脂肪酸で化学的に処理されているが、このことにより当初から未処理の薄片を使用することが除外されるものではなく、その場合、表面処理は、分散体調製前に最初の工程として工場内で行なわれる。
【0010】
従来の印刷インク媒体と比較して、本発明で使用される水性媒体はポリマー樹脂の容量が少なく、該ポリマーに激しい架橋は起きず、接着促進剤、消泡剤、ワックス等のような添加物を非常に少ない量含むか又は含まないことさえある。添加剤を使用する場合、該分散体はこれらの添加剤を、通常従来の印刷インクと比較してごく少量(1 %未満)、2倍から4倍の頻度で印刷中に(on-press)追加する必要があり得る。金属表面の処理は、分散媒体系内での該金属の安定性を向上させるよう選択する必要がある。表面に低分子量脂肪酸の非常に薄い層を有する金属粒子が好ましい。と言うのも、これにより、表面の処理層が導電性に大きな影響を与えないことが確保されるからである。表面処理はまた、金属粒子の表面圧力を規定する。脂肪酸のような表面処理物質は、被着された導体のフィルム形成工程で役立ち、種々の用途のための導電トレースの印刷可能性を決定付けるものとなり得る。
【0011】
水性樹脂媒体中に金属を分散させる工程においては、ゆっくり撹拌することが必要とされる。好ましい方法は、特殊形状のミキシングヘッドを備えた分散混錬機を使用し、良く目に見える層流を確保することである。対照的に、従来のインクを調製する場合、混合面間の表面圧を減じるために、粉砕助剤及び界面活性剤を混合過程で加える。導電性に対して起こり得る影響を避けるために、このような添加物は好ましくは現在の過程では使用されない。一般に、加えられる金属の量は媒体の重量の2倍から4倍(又はそれ以上)である。このように添加量が多い結果、摩擦及び混合速度の増加により、混合過程の間、熱が発生する。このことは、混合中に、混合速度の調整、及び、少量の媒体の一定分量を加えることにより緩和される。該金属が該媒体に完全に組み込まれたら、該分散体を、キャビテーションにより該混合物に空気が入ることを避けるように注意しながら、より速い速度で、短時間混合する。該分散体の温度は、混合中に30〜35℃を超えてはならない。場合によって、最終生成物は、適切な大きさのシルクのメッシュフィルターを用いて濾過する必要がある。混合過程により、視覚的に均一な液状の混合物が生成され、それは周囲温度及び室温(5℃から30℃)で密閉瓶中で保存される。
【0012】
APECの粘度は金属の添加量により直接的に変化する。例として、フレキソ印刷用途のためには、粘度は、ザーンカップ#3(約500から3600センチポアズ、APECの比重2.4から4に基づく)により計測して、25から85秒の範囲でなければならない。グラビア印刷、スクリーン印刷及び他のいくつかのドライオフセット印刷工程は、該ベース組成物の粘度を調整することにより達成することができる。
【0013】
APECの粘度及び印刷特性は、印刷機で印刷をする前に調整しなければならず、また、添加物を適切に使用することによって印刷中一定に保たれなければならない。このことは、アンモニア水、及び必要であれば、最小限の量の特別に選択された消泡剤を加えることにより達成される。印刷方法及び印刷耐久枚数に依存し、1.0から10 %のNH4OH(アンモニア水)及び0.01から0.2 %の消泡剤(共に容量基準で)を加えることが必要であり得る。このような添加は印刷の直前になされるべきで、混合物はよく混合されるべきである。後から添加する量及び頻度は、インクの特性、印刷機の構造、エマルジョンの露出面、周囲温度、湿度、印刷速度及び他の要因に依存する。低速のインク循環ポンプが結合したインク再循環閉鎖系は、印刷された導電体の物理特性を一定に保つのに最適である。
【0014】
発明の詳細な記述
概して、本発明は水性の印刷可能な電気導体(APEC)を調製する方法を提供する。該方法は、種々の基材に導電トレースを印刷するための現存する市販の印刷機と共に使用することのできる組成物を達成するために、適切な成分の選択、及びこれらの成分を一緒に混合することを含む。好ましい態様においては、水性ポリマーエマルジョンに適切に混合された、金属銀又は銀でコートされた銅の微細な薄片を使用することによって導電性が達せられ、結果として得られる分散体は印刷機で使用可能である。
【0015】
使用されるAPECの導電性は数多くの要因に依存する。最も重要な要因は、基材に被着した分散体内の粉体又は薄片の金属粒子間の位置、配置、及び物理的接続である。導電性及び安定性は、フィルム乾燥工程、媒体の加熱/硬化を適用又は操作すること、及び、酸洗浄、加圧力、及び高エネルギー光処理のような外部処理工程の影響を受ける。
【0016】
ポリマー粒子の厚い表面湿潤化層を形成することなく、金属粒子間の適切な配向及び近接した配置を達成することが望ましい。これは原材料の選択及び媒体の正確な調製により達成される。粒子表面処理のような手法を用いることにより混合面を調製することもまた有益である。
【0017】
粒子の適切な配向は、例えば、特に限定されないが、(1)界面活性剤、(2)接着促進剤、及び(3)安定剤のような表面特性調整剤によって促進される。これらの化学物質は、一般に粒子湿潤性及び安定性を良好なものとする。しかし、これらを無分別に用いると、安定な絶縁表層が粒子(この場合は金属粒子)の最表層に形成され、それにより電気伝導率が減少する要因ともなる。従って、表面特性調整剤を使用する際、トレードオフが存在する。これらの添加物がうまく使用されるためには、効果が高く且つ非常に少量で作用しなければならない。また、粒子表面層に働く力を減ずるために、非イオン性安定剤を用いることも好ましい。また、水性媒体による利点も存在する。つまり、混合過程により生ずる摩擦の結果として得られる電荷を除去し、それにより、より良い配向が得られる。粒子の適度な湿潤は、場合によっては振とうにより達成することができる。振とうは少容量に限られ、必ずしも商業的な連続印刷に規模拡張することはできない。
【0018】
許容できる長い商業上の保存期間のために金属粒子上の薄い表面層が必要である。現在の工程により、数ヶ月(例えば、6ヶ月より長い)の貯蔵期間が達成される。しかし、金属粒子をコートするアンモニア水又はいずれかの水媒体及び脂肪酸との間に不相溶性が存在する。この不相溶性により金属粒子が完全に安定となることが妨げられる。最も良い導電特性を達するために、金属粒子は、媒体ポリマー層内で持続的に湿潤であってはならない。
【0019】
金属粒子の最表面にポリマー層を形成することは、印刷工程中に適切な粒子の被着を達成するのに望ましい。ポリマーはまた、粒子が基材へ吸着するのを容易にし、乾燥工程の後粒子間の凝集を促進する。
【0020】
APECは、金属分散体内に低い割合の液体を含むので、素早く乾燥する。APECのpHは典型的には7.5から10.5の範囲のpHに調整され;別の態様においては、8から10の範囲に;更に別の態様においては、9から9.5の範囲に調整される。これらの範囲にある態様においては、pHは最初7.5から8.5であり、アンモニア水が蒸発する時、この範囲がすべて下がる。この過程で、ポリマーシステムは、水溶性状態から不水溶性状態へと変化する。乾燥工程は周囲温度または僅かに高い温度の空気で強制対流によって容易となり得る。この工程は最終生成物の導電特性を決定するための主要な役割を果たす。APECが乾燥すると該ポリマーは収縮する。これは、水素結合による化学的結合で構成される水架橋をポリマーが失うときに起こる。
【0021】
印刷後の乾燥工程は、大部分の液体が蒸発するまで、周囲温度で24時間継続する。これにより、乾燥中に電気伝導度が50 %まで増加する結果となる。更に、乾燥工程の間いくつかの副工程が起きる。例えば、酸化重合により酸素による架橋を形成する結果となりうる。他の副工程は、媒体における反応性のポリマー鎖間の追加的な架橋結合を特徴とする。更なる架橋はディールスアルダー反応の結果生じる。ただし、これは媒体系に二重結合が存在する時のみ生じる。
【0022】
化学的な乾燥の最終局面において、印刷された導電性コーティングインクの容量は有意に減少し、このことは、コーティング厚及び金属粒子の配向に影響する。印刷されたコーティングの容量の減少により、金属粒子は互いに近づく。同時に、より多く架橋したポリマーは誘電特性を増し、それにより、導電性が減少する。しかし、最も大きな効果は金属粒子の配向によるもので、導電性は全体として増加する結果となる。後乾燥または圧力下での後乾燥により導電性は増加し、その結果安定した抵抗値を示し、周囲温度や湿度の依存が少ない導電性コーティングを得る。これらの印刷後操作は所望により選択される。
【0023】
通常、フレキソ印刷法でAPECは特別な加熱を必要としない。有用な印刷を得るためには室温の空気を吹き付ければ十分である。しかし、グラビア印刷及びスクリーン印刷では、APECは、完全な硬化の為に、特に、印刷工程で異なる粘度の物質が使用される時に、更なる加熱及びよりよい性能を必要とする。
【0024】
ある態様において、加熱及び硬化法に、印刷された層にエネルギーを運び、表面からではなく(乾燥のために熱風を使う場合)内部から乾燥を開始させることのできるIR熱源を使用する。これらのAPECはUVによる硬化が可能ではないが、フレキソ印刷中にUV乾燥を適用することにより、2つの利益が得られる:すなわち(1)UV光源が更なる熱を生成し、及び(2)UV光は結合ポリマーに僅かな破壊をもたらし、それにより電気伝導性が増加する。
【0025】
更なる態様において、本明細書に記載されるように、インクを作製し、結合樹脂、並びに、例えばAg、Pd、Pt、Au、Cr、Ni、Cu、Na、K及びMgの金属塩のような金属塩と前反応させた脂肪酸の80〜100%水エマルジョンを用いずに、又は最小限の量で用いて、金属石鹸及び対応する界面活性剤を形成することができる。例としてAgを用いると、反応は以下のようになる:
【0026】
CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH + AgCl = CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOAg + HCl
【0027】
このインクに、例えば200℃で1から3秒間の熱ショックのような高エネルギー処理を行ない、脂肪酸の鎖を壊し金属を放出し、ナノ分散体を形成する。ナノ分散金属(例えばAg)は、銀薄片間に導電性の架橋を形成し、これにより印刷されたトレースの導電性を増加させる。この工程の更なる利点は、この場合は塩酸(HCl)であるが、多少の酸が放出されることである。該酸はpHを減じ、このことはポリマーを同じ固形分量で低粘度に保つのに役立つ。
【0028】
APECの主要な利点は、紙の基材に印刷できるということである。価格の利点(他の基材を必要とする印刷応用品と比較して)及び、環境上の利点(インク除去処理及びリサイクルの利点による)がAPECの持つ他の利点である。
【0029】
(実施例)
実施例1:UHFアンテナをフレキソ印刷法で印刷するために調合されたAPEC導電性コーティングインク
オレイン酸を主とする脂肪酸で処理した銀(粒径1から5μmの薄片形状)を、一般的なオープンエアー型ミキサー中で、固形分38 %でアクリル樹脂を水中に含む水溶液(pHを7.5から8.5の範囲に維持するためのアンモニアトレースを行なった)と、重量部で3.4対1の割合で、添加物を加えずに組み合わせて混合した。平均混合速度1500 rpmでHi-Vaneミキシングヘッド(これにより30℃を超える熱を持たない)を用いて20分間混合した後、予備的に水に希釈した10 %の純粋なアンモニアを、連続的な混合を経て前記インクに加え1.7 wt.%とした。該分散体を更に5分間混合した。オレイン脂肪酸は以下の基本的な化学式に従ってアンモニアと反応しアンモニア石鹸を形成する:
【0030】
CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH + NH4OH = CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COONH4+ H2O
【0031】
この反応は、それぞれ二重結合を2つ及び3つ持つ、オレイン酸−リノール(linolic)酸及びリノール(linoleic)酸を含む他の油でも同様である。不飽和の二重結合を2つ及び3つ持つ脂肪酸は、印刷後に弾性のフィルムを形成する原因となり、また、オレイン酸は全く乾燥しない。オレイン酸はナノ層を金属粒子の最表層に形成し、銀薄片を分散体に添加するアルキル樹脂と銀薄片を親和させることを助けて、安定性及び印刷可能性を供する。このようなオレイン酸のナノ層はAPECの導電性を減ずる。ところが、熱ショック又は他の乾燥方法に曝す間に表面からオレイン酸が除去されると、印刷された導電性コーティングはシート抵抗の増加を示すであろう。
【0032】
得られたアンモニア石鹸は活性のある界面活性剤(active surfactant)であり、金属薄片粒子の表面から脂肪酸のコーティングを洗い落とすことによる銀粒子の部分的な湿潤化の達成の役に立つ。該反応は基本的に混合を容易にする潤滑剤を生成する。
【0033】
更に、酸性基を持つアクリル樹脂が使われた場合、アンモニアは粘度を調整する役割を果たし、pH及び乾燥時間の調整をし、これにより最終的な導電率に寄与する。
【0034】
新たに調製されたAPECの分散体は半光沢の紙に印刷され、結果として得られる印刷物において、導電率、印刷特性、付着力、及び他の特性を調べ、以下の結果を得た:
【0035】
あらゆる熱処理の前に測定されたシート抵抗は、新たに印刷されたサンプル(3から4 μmの厚さのフィルム)において0.4 Ω/□であり、引き続き24時間にわたり0.2 Ω/□まで減少した。熱ショックを与えた後、シート抵抗は同じ厚さにおいて100 %減少し0.1 Ω/□未満となった。
【0036】
この実施例に記載のAPECを用いてUHFのRFIDアンテナのパターンを印刷するために、マークアンディ(Mark’Andy)(商標) 2200フレキソ印刷機を13 BCMプラキサイアー(Praxair)(商標)アニロックスドラムと共に用いて、ヂュポン(Du Pont)(商標)シリル(Cyril)フォトポリマープレート(硬度42)を用いたフレキソ印刷法で印刷する。速度は最大毎分350フィート(106.68メートル)とし、印刷機が印刷を開始する直前に予備的に0.01 %の消泡剤を追加する。結果物はアンモニア水を加えることにより安定に保ち、20分ごとに最初の容量に戻した。適当な高速インライン抵抗フィードバック装置により、安定なインライン導電率が確認された。この工程により、テキサスインスツルメンツ(Texas Instruments)及びエイリアンテクノロジーズ(Alien Technologies)のチップを用いた、チップ付属装置を備えた標準的なフレキソ印刷機でインラインに作製された完全に作動するRFIDトランスポンダーラベルとなる。該トランスポンダーは14から25フィートの範囲のリードレンジを与える。
【0037】
実施例2:フレキソ印刷法でスマートパッケージを印刷するためのインクとして調合されたAPEC
オレイン酸を主とする脂肪酸で処理した銀(粒径1から5μmの薄片形状)を、一般的なオープンエアー型ミキサー中で、固形分38 %のアクリル樹脂水エマルジョンの水溶液と、重量部で2.4対1の割合で、0.1 %のポリエチレン−/ポリプロピレンワックス、シリコンベースの接着促進剤1 %、酸化防止剤0.1 %及び消泡剤0.01 %と共に組み合わせて混合した。可塑剤を製造者推奨の最小限の量の半分だけ加えた。
【0038】
上記混合物を平均速度1500 rpmでハイ-バーン(Hi-Vane)ミキシングヘッド(これにより30℃を超える熱を持たない)を用いて混合し、その結果APECを得、これを周囲温度で6ヶ月貯蔵したが、性能の損失はなかった。
【0039】
実施例1に記載のように、脂肪酸はアンモニアと反応しアンモニア石鹸を形成する。追加のアンモニアは添加しなかったが、最初の容量に戻すため、アンモニアを印刷の際に加えた。最初のアンモニアは、アクリル樹脂のpH調整剤に存在するアンモニア由来である。不飽和の2つ及び3つの二重結合を持つ脂肪酸は印刷後に弾性フィルムを形成する原因となる。室温で空気を吹き付ける以上の特別な加熱は必要ない。もし、延長して更なる加熱をした場合、不飽和脂肪酸は重合して、印刷物の最上面に薄い絶縁層を形成し、導電性を減少させる。もし抵抗の減少が望ましい場合、IRショック、UVショック及び/又は熱ショック(例示的には2から3秒間)が用いられる。しかし、これは、絶縁化合物をAPEC構造体に放出し抵抗を増すという加熱処理の逆効果を避けるため、厳しい制御の下行わなければならない。
【0040】
少量のアンモニア石鹸は、表面を潤滑する活性のある界面活性剤としての挙動を示し、混合を容易にし、印刷可能性を改善する。アンモニアの存在は、pH及び乾燥時間の調整に役立ち、及び最終的な導電率に寄与した。
【0041】
APECの分散体はラベルストック55 Cast Gloss Elite(Avery Denison)に印刷され、印刷物の導電率を調べた。計測されたシート抵抗は、新たな印刷サンプル(1から2μmの厚さのフィルム)において1.5から2 Ω/□であり、このシート抵抗は引き続き24時間にわたり減少し、0.8から1.0Ω/□となった。
【0042】
実施例3:印刷されたフィルムを酸溶液で表面処理することにより得られるAPEC
APEC印刷インクが調合され、実施例2に従って、非PET基材に印刷された。印刷直後、ライン上(on-line)において酸で湿潤した柔らかいドラムに表面を接触させることにより、印刷された表面を、1 NのHClにより処理した。表面の残りの酸は、その直後にライン上(in-line)において柔らかい吸収繊維布で覆われたドラムで拭き取ることによって除去された。導電率は100 %まで上昇した。銀薄片の表面における基本的な反応は:R-COOAg + HCl = R-COOH + AgClであり、式中、RはAg表面において反応した脂肪酸(オレイン酸、パルミトオレイン酸、等)のいずれかである。酸による表面処理の追加的な効果には、乾燥したポリマー層の表面を破壊することにより、印刷されたフィルムの最上層の面が弱化することがある。処理後、これもライン上(in-line)に配置された高温の金属ドラムに該PETを通すことにより(例えば、上記の熱ショック)、表面を即座に乾燥させた。これにより、導電性が更に30から50 %増加した。
【0043】
実施例4.インクの工業的な調合
次に示すものは、紙又は厚紙基材にプリントする電気伝導アンテナとして許容可能な材料を調製する工程の実施例である。アンテナトレースは極端に薄く及び/又は細くすることができ、印刷目的としては非常に少ない量しか必要としないをことに注目すると、示された容量及び重量は、大量の印刷枚数にふさわしいものであろう。印刷枚数に必要とされるであろう印刷インクの量に依存して、成分量は上下する。該材料を調合するために用いられる段階は次の通りである:
【0044】
1.2"Cowlesブレードを備えたRoss Mixerを設置する。
2.重量の分かっている2.5 Lのプラスチック容器に約4 kgの銀薄片を満たす。
3.固形分38重量%のアクリルポリマーエマルジョン水溶液を799.2 g量り取り、別の2 Lのプラスチック容器、「混合容器」に入れる。
4.(この段階は所望によるものであり、一度に製造する分量が多いときに用いられる。もし一度の分量が多くない場合、増量剤として用いるために樹脂を取り置きせず、その代わり、該樹脂を段階3で完全に加える。)88.8 gのアクリルポリマーエマルジョンを量り取り、「増量剤」とラベルされた、より小さなプラスチック容器に入れ、蓋で固く封をし、後に利用するために取り置く。この量は、使用される全アクリルポリマーエマルジョンの10重量%である。
5.「混合容器」をRoss Mixerに置き500 rpmで混合開始する。確実にCowlesブレードがアクリルポリマーエマルジョンで覆われるようにする。
6.時間の計測を開始する。
7.1分の時点で、「混合容器」に銀薄片を加える。(注:「混合容器」に銀薄片を「無造作に(dump)」入れてはいけない;アクリルエマルジョンの上から銀薄片を振り入れる。)必要であれば、ブレードを持ち上げ銀の混合を早める。
8.すべての銀薄片は次の10分から15分にわたって加えるべきである。
9.すべての銀薄片を加えたら、ブレードを「混合容器」の底に近い位置まで下げる。ブレード速度を900 rpmまで上げる。この時点で、混合渦が形成されるはずである。ブレードを上げ、より大きな混合渦を形成させるが、混合過程のいずれの時点においても、ブレードが露出する程高くは上げない。(すなわち、キャビテーションを避ける)
10.900 rpmで2分間混合した後、ブレード速度を1,000 rpmまで上げる。
11.1,000 rpmで2分間混合した後、ブレード速度を1,100 rpmまで上げる。
12.1,100 rpmで2分間混合した後、ブレード速度を1,200 rpmまで上げる。
13.(この段階は所望によるものであり、一度に製造する分量が多く、アクリルエマルジョンを取り置きしてあり、段階3で完全に使用されていない場合にのみ用いられる。)すべての銀薄片が取り入れられ、ブレード速度が1,200 rpmに達した後、ゆっくりと「増量剤」を加え始める。この「増量剤」を、できるだけ混合渦の中心近くに加える。「増量剤」をインクにすべて加えられるまでゆっくりと加え続ける。この工程に2分から3分かかるはずである。
14.すべての「増量剤」を加えた後、「混合容器」に2.8 %のNH4OHを117.2 mL加える。この工程には2分から3分かかるはずである。更に1時間1,200 rpmで混合する。
15.1時間の印が近づくにつれて、ブレード速度を現在速度から500 rpmまで1分間かけてゆっくりと下げる。速度が500 rpmになったらブレードを停止する。pH、及び、ザーンカップ#3を通してインクが流れ落ちるのにかかる秒数を計る(粘度を計測する前にインクが室温まで冷却するための十分な時間を確保する)ことにより粘度を計測する。
【0045】
上記の段階を概略の通り実行し、結果として、測定pHが9.53及び測定粘度がザーンカップ#3で41秒のインクを得た。
【0046】
16.導電性コーティングを基材に配置し、安定した電気伝導度を達成するため24時間から48時間空気乾燥する。導電性コーティングは1秒から2秒後に指触乾燥するので、チップ、ストラップ等を電気伝導度が安定する前に取り付けることができる。
【0047】
実施例5. この実施例は、印刷可能な粘度(最適範囲30から60秒)を達成するために、銀を添加した導電性インクに2.8 %のNH4OHを加えることの効果を示す。固形分総重量に対して銀薄片の重量を変化させることを除いて、大部分は、上記で取り扱った商業的に実行できる量の精製のための工程に従い、大量のインクを調製した。段階16において加えられるNH4OHの量もまた変化させ、結果として得られるpH及び粘度を計測し示した。インクが乾燥した後、シート抵抗を計測し記録した。
【0048】
バリエーション及び結果を下記の表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
実施例6.この実施例は2.8 %のNH4OH溶液の代わりとしての種々の添加剤の効果を調べる。上記と同様の手法を用いて、2.8 %のNH4OH溶液を、〜100 %の脱イオン水及び100 %のN,N−ジメチルエタノールアミンと、別個に、及び、全てのインクの終粘度がおよそ同じとなるような量で置き換えた。この結果は表2に提示され、シート抵抗がNH4OHを用いた場合により低いことを示している。
【0051】
【表2】

【0052】
実施例7.この実施例は、後処理方法が、印刷された銀導電性インクシート抵抗を減ずることができることを示す。使用された2つの処理手法である、熱ショック及び酸洗浄は以下に示される:
【0053】
熱ショック後処理:
1.DrugSeal(商標) Model DS100を250から300°Fに設定する。
2.銀導電性インクの印刷されたサンプルを2枚の未使用の白紙の間に挟み、これを「サンプル」と呼ぶ。
3.DrugSeal(商標) Model DS100を開け、サンプルをゴムパッド上に置く。次に、DrugSeal(商標) Model DS100を素早く1秒間閉じそして開け、サンプルを除去する。
4.次に印刷したサンプルを2枚の未使用の紙から取り除き、測定する前に室温まで冷却する。
【0054】
酸洗浄後処理
1.乾燥させた導電性インクを酸(HCl、H2SO4、HNO3等)又はpHが1.5未満の酸溶液で、該酸で湿潤させたペーパータオルを用いて乾燥させる。又は、乾燥した導電性インクをオーバーコート装置を用いてインクプレスロール上で乾燥させる。測定する前にサンプルを乾燥させる。
これらの手法は種々のサンプルで行なわれ、表3及び表4で報告された結果は、これらの後処理工程を使用した後に、シート抵抗が34から58 %減少することが観測されることを示す。
【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
この実施例における実験に対して、以下の観測がなされた:
1.60ポンドの半光沢紙に印刷すると、該インクの平均測定厚さは1から4ミクロンとなる。
2.該銀導電性インクは、18から23℃;相対湿度0から40 %という周囲条件で、指触乾燥及び硬化する。
3.該インクは、銀を総固形分の80重量 %を超えて添加して作製される。好ましい範囲は、総固形分の86から91重量%の間である。
4.紙及び印刷物は共に385°Fを耐える。この材料は400°F(204.4℃)をも耐えるであろうと予期される。
【0058】
実施例9. 実施例4に従って調合された導電性インクはフレキソ印刷を用いて半光沢紙に印刷され幅1 mm及び長さ190 mmの線を形成した。印刷されたコーティングを24時間空気乾燥した。乾燥したコーティングは89.9重量%の銀を含んだ。端点から端点の測定された抵抗は27.2Ωであり、これは143 mΩ/□のシート抵抗を与えた。乾燥した導電性コーティングの厚さは長さ方向に3点で計測され、平均を計算すると2.7ミクロンであった。このことから、体積抵抗は約4×10-5Ω.cmと計算された。
【0059】
実施例10.工業上の実施例
SOHN(商標)製4色8インチフレキソグラフィーラベル印刷機を10 BCM Praxair Artアニロックスドラムと共に使用し、Du Pont(商標) Cyrilフォトポリマープレート(硬度42)を最大毎分100フィートのスピードで用いてフレキソ印刷法で印刷した。結果物を、追加のインク及び増量剤を印刷中1時間ごとに加えることにより、安定に保った。ラミネーション及びダイシング(die cutting)ステーションをライン上(in-line)に使用することで、追加のRFIDセンサーチップを取りつけ、薬剤のスマートパッケージインレイを形成した。このような印刷されたスマートパッケージは、ブリスターパッケージから何回分の薬剤が取り除かれたかを記録することができ、関連付けられたRFIDリーダー及びソフトウェアーを用いてコンピューター画面に結果を表示することができる。粘度が異なり、また樹脂結合剤を用いるが、同様の技術を用いて、グラビア印刷、スクリーン印刷、ドライオフセット印刷等用のAPECを作製することができる。
【0060】
先述の本発明の概要において、本発明は従来技術及び様々な基材へ印刷するための電気伝導性インクを調製するための一般的な操作と関連する多くの重要な利点及び改善を提供すると理解されるであろう。従って、本発明は以下を包含すると理解することができる:
【0061】
比較的安定であるが、導電性を上げるため、意図的に、部分的に湿潤な銀薄片粒子を含む分散体の調製を含む、水性の印刷可能な電気導体(APEC)を作製する方法。最もよい導電性を達成するために、金属粒子は、媒体ポリマー層内で永続的に湿潤であるべきではない。該工程の基本的な化学作用は明らかに示されている。(実施例1)
【0062】
(a)低分子量ポリマー、(b)激しい架橋を起こすことができないポリマー及び(c)絶縁性の結合剤の影響を最小限にする他のポリマー系を用いた媒体系を(電気伝導度を上げる方法として)含むAPECの作製方法。
【0063】
分散体の調製をする間及び工業印刷機で印刷をする間、アンモニア処理を使用してAPECを作製する方法。(例えば、脂肪酸及び塩と共に)化学的に処理された薄片はアンモニアと適合しないものとして一般に知られているが、提案された方法においては、アンモニアは銀粒子の湿潤を部分的に形成するために使用される。これは、水性印刷インクのpHおよび粘度の調整剤としての一般的なアンモニアの使用法とは無関係である(実施例1参照)。
【0064】
調製の際、添加物(例えば、接着促進剤、消泡剤、ワックス等)をほとんど必要としないか全く使用しないが、被着させた電気導体の導電性を損なうことなく、例えばこれらに限定されないが機械抵抗、貯蔵寿命等のような望ましい印刷特性を達成し維持するAPECの作製方法。
【0065】
ポリマー粒子の厚い表面湿潤化層を形成することなしに、金属粒子間の適切な配向及び密接した配置が達成される、APECの作製方法。これは、原材料の特別な選択、及び媒体の正確な調製により達成される。粒子表面処理のような手法を用いることにより混合面を調製することもまた望ましい。
【0066】
フレキソ印刷工程を用いて1から8μmの範囲の厚さで印刷された場合、空気を吹き付けるか又は吹き付けずに(印刷速度に依存する)周囲温度で硬化するAPECの作製方法。
【0067】
最適な導電性を達成するため赤外(IR)及び紫外(UV)光源を組み合わせることで硬化するスクリーン印刷又はグラビア印刷による厚いフィルムの印刷(>8 μm)に適当なAPECの作製方法。その過程は表面から開始せず、フィルムの全体から開始するため、IR乾燥は高温空気乾燥より均一である。そして、UV光源は熱源でもあり、これによりUV光は油膜の破壊を引き起こし、時に結合剤中の乾燥ポリマー鎖を破壊し、導電性を増加させる。
【0068】
フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷又はオフセット印刷のような様々な印刷方法によって基材に適用するのに適切で、及び、コート紙、コートしていない紙及び表面を処理したプラスチック及び処理していないプラスチックを含むがこれらに限定されない基材に適用するのに適切なAPECの作製方法。
【0069】
紙基材に最適化され、現存のインク及びコーティング剤に比べて及び最も高い品質及び価格上の利点を持ち、環境上の利点(インク除去処理及びリサイクルの利点による)を持つAPECの作製方法。
【0070】
印刷された表面(好ましくは印刷面)に、印刷中、熱ショック(例えば表面を120℃から300℃の高温の金属ドラムに1秒から3秒間接触させることにより)に曝すことによりAPECの導電性を増加させる方法。これにより、初めに印刷したフィルムの厚さに依存して25パーセント以上フィルムの厚さを減ずる一方、印刷物の導電性は50パーセントを超えて増加する。このような衝撃乾燥は必ずしも薄膜のインク(厚さ1から8μm)を硬化しないが、APECの導電性を最大化するのに貢献しうる。
【0071】
印刷された表面に超音波及び熱を組み合わせた作用を与えて、印刷されたトレースの導電性を更に増加させることによりAPECの導電性を増加させる方法。
【0072】
粒子表面を処理する(ナノ層を形成する)ための脂肪酸の種類の選択、及び、部分的に及び石鹸(界面活性剤)を形成する化学反応及び引続いて泡の抑制をすることによる制御された方法でこれらの層を除去することにより、導電特性に対する化学的な制御を容易にするAPECを作製する方法。
【0073】
酸化及び高温の衝撃により破壊されやすく、ナノ単位の泡の中に金属を放出する脂肪酸の金属石鹸を形成することにより、化学的に導電性を増加させるAPECの作製方法。この工程により銀薄片間に更なる架橋が生成され、導電性が増加する。
【0074】
ナノスケールで分散した金属(例えばAg)を形成し、主要な要素(銀薄片)の間で導電架橋を生成することによる、APECの導電性を増加させるナノテクノロジー。
【0075】
0.1から10 N(Nは規定)規定度の硫酸H2SO4、塩化水素HCl、硝酸HNO3、無水酢酸(CH3COO)2O等の無機及び/又は有機酸で、印刷されたフィルム表面を処理することにより、印刷したフィルムの表面層を通じて酸をAg薄片まで通過させ、薄片表面上の脂肪酸Ag石鹸がAgClで化学的に置き換えられ、薄片の表面から絶縁層が除去されAgがより良い導電性を示すようにすることにより、20から200 %の範囲で導電性が増加することとなるAPECの作製方法。
【0076】
本発明は本明細書において、薄いトレース又は線としての基材に塗布する、水性の印刷可能な電気導体の作製に関するものとして記載されているが、電気伝導材料、つまりインクを、より広い導電性の線若しくはトレースとして、又はコーティング若しくはフィルムとしてさえ、基材に塗布することができる。塗布される物質の幅及び/又は厚さは、コート又は印刷された基材の所望の最終用途に依存するだろう。
【0077】
当業者が本発明のある局面を、その一般的な本質から離れることなく改変することができるのは明らかであり、従って、本発明によりもたらされる保護の範囲は添付された特許請求の範囲により決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)水性ポリマーエマルジョンを準備する工程と;
b)少なくとも固形分基準80重量%の導電性金属粉を水性ポリマーエマルジョンに分散させる工程と;
c)ポリマーエマルジョン及び導電性金属粉を均一になるまで混合し導電性コーティングインクを形成する工程と;及び
d)有効量の塩基を加え、インクのpH範囲を7.5から10.5に維持する工程
を含む、基材に塗布用の導電性コーティングインクの製造方法。
【請求項2】
前記水性ポリマーエマルジョンが、アクリル樹脂水性液、低分子量ポリマー及び水性ウレタン/アクリル混合物よりなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記金属粉が前記水性ポリマーエマルジョンに固形分基準で少なくとも85重量%となるように分散した、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属粉が前記水性ポリマーエマルジョンに固形分基準で少なくとも88重量%となるように分散した、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記塩基がNH4OHである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
NH4OHを前記エマルジョンに、pHを8から10の範囲に維持するために有効な量加えた、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記エマルジョンに加えられたNH4OHの量がpHを9から9.5の範囲に維持するために有効である、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記金属粉が0.6から8 μmの範囲の平均粒径を持つ銀薄片によって構成される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属粉が、前記エマルジョンに混合される前に脂肪酸で処理される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
a)水性ポリマーエマルジョンを準備する工程と;
b)水性ポリマーエマルジョンに固形分基準で少なくとも80重量%の導電性金属粉を分散させる工程と;
c)ポリマーエマルジョン及び導電性金属粉を均一になるまで混合して導電性コーティングインクを形成する工程と;
d)有効量のNH4OHを加えインクのpHを7.5から10.5の範囲に維持する工程と、
e)前記基材に導電性コーティングインクを配置する工程と;及び
f)インクを乾燥させ、それにより前記基材に前記導電性コーティングを形成する工程
を含む、基材上に導電性コーティングを製造するための方法。
【請求項11】
導電性を高めるために、コートした基材を400°F(204.4℃)以下の温度まで加熱する工程を更に含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記乾燥工程を最大400°F(204.4℃)の温度で行なう、請求項10記載の方法。
【請求項13】
乾燥した導電性コーティングに1.5以下のpHを持つ水性酸溶液を上塗りし、酸溶液を空気乾燥させる工程を更に含む、請求項10乃至12のいずれかに1項に記載の方法。
【請求項14】
前記導電性コーティングインクが1以上の細線として基材に配置され、それにより前記基材に少なくとも1つの導電トレースを形成する、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記導電性コーティングインクが、前記基材上に、少なくとも前記基材の表面の一部を覆うフィルムとして配置される、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法により調製された、約10-4 Ωcm未満の抵抗率を持つ導電性コーティング。
【請求項17】
請求項10乃至15のいずれか1項に記載の方法により調製された導電性コーティングでコートされた基材。

【公表番号】特表2008−546157(P2008−546157A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515012(P2008−515012)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000939
【国際公開番号】WO2006/130980
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(501394848)ナショナル スターチ アンド ケミカル カンパニー (2)
【Fターム(参考)】