説明

水栓用発電機

【課題】ヨークの磁化性能をより細かく調整できる水栓用発電機を提供する。
【解決手段】給水流路に対して略平行な中心軸のまわりに回転可能に給水流路に設けられた動翼と、動翼と一体に回転可能なマグネットと、マグネットに対向して設けられたコイルと、マグネットとコイルとの間でコイルの周方向に互いに離間して並んで配置された複数の極歯を有するとともに、コイルを囲んで設けられたヨークと、を備え、ヨークは、複数のヨーク部材を結合してなり、前記複数のヨーク部材の少なくともいずれかは他と異なる材料を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水の流れを利用して発電する水栓用発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、蛇口の下に手を差し出すことによって、これをセンサが感知し、蛇口から水を自動的に吐水する自動水栓装置が知られている。また、そのような自動水栓装置の流路に小型発電機を配設し、この発電機で得られた電力を蓄電しておき、上述のセンサ等の回路の電力を補う装置も知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、外周面が着磁されたマグネットと、マグネットの外周面に対向するように周方向に等間隔に配置された複数の極歯を有する外ステータコアと、外ステータコアの極歯と同様にマグネットの外周面に対向すると共に外ステータコアの極歯と交互に周方向に等間隔に配置された複数の極歯を有する内ステータコアと、コイルと、を備えた発電機が開示されている。
【0004】
水栓用発電機は水まわりで使用されるため、外ステータコア及び内ステータコアに適した材料としては、ある程度限定されてしまう。そのような条件下で、外ステータコアと内ステータコアとを同材料から構成すると、コイルを鎖交する磁束の流れを形成するためのヨークとして機能する外ステータコア及び内ステータコアにおける磁化性能(透磁率)の調整自由度が、前記限定された材料の選択数に制限されて小さくなり、設置場所の水道水圧や発電機の用途などに応じた細かな仕様要求に柔軟に対応できない。
【特許文献1】特開2002−89429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ヨークの磁化性能をより細かく調整できる水栓用発電機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、給水流路に対して略平行な中心軸のまわりに回転可能に前記給水流路に設けられた動翼と、前記動翼と一体に回転可能なマグネットと、前記マグネットに対向して設けられたコイルと、前記マグネットと前記コイルとの間で前記コイルの周方向に互いに離間して並んで配置された複数の極歯を有するとともに、前記コイルを囲んで設けられたヨークと、を備え、前記ヨークは、複数のヨーク部材を結合してなり、前記複数のヨーク部材の少なくともいずれかは他と異なる材料を含むことを特徴とする水栓用発電機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヨークの磁化性能をより細かく調整できる水栓用発電機が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面中、同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0009】
図4は、本発明の実施形態に係る発電機付自動水栓装置(以下、単に自動水栓装置とも称する)の取付例を表す模式図である。
図5は、同自動水栓装置の内部構成を表す模式図である。
【0010】
本実施形態に係る自動水栓装置3は、例えば洗面台2などに取り付けられる。自動水栓装置3は、配管4を介して、水道水等の流入口5に接続されている。自動水栓装置3は、円筒状の本体3aと、この本体3aの径外方向に延出して本体3aの上部に設けられた吐水部3bとを有する。吐水部3bの先端には、吐水口6が形成され、さらにこの吐水口6の近傍にセンサ7が内蔵されている。
【0011】
自動水栓装置3の内部には、流入口5から流入し配管4を流れてきた給水を、吐水口6へと導く給水流路10が形成されている。自動水栓装置3の本体3aの内部には、その給水流路10を開閉する電磁弁8が内蔵され、さらに電磁弁8の下流側には、吐水量を一定に制限する定流量弁55が内蔵されている。また、水道元圧が使用圧よりも高すぎる場合に減圧するための減圧弁または調圧弁(図示省略)が、電磁弁8より上流側に内蔵されている。なお、定流量弁55、減圧弁、調圧弁は、必要に応じて適宜設けられる。
【0012】
定流量弁55より下流の吐水部3bの内部には、水栓用発電機11が内蔵されている。本体3aの内部には、水栓用発電機11で発電された電力を充電しておく充電器56、センサ7の駆動と電磁弁8の開閉を制御する制御部57が設けられている。水栓用発電機11は、電磁弁8及び定流量弁55よりも下流側に配設されているため、水道元圧(一次圧)が、水栓用発電機11に直接作用しない。したがって、水栓用発電機11は、それほど高い耐圧性を要求されず、信頼性やコストの点で有利である。
【0013】
図1(a)は、本発明の実施形態に係る水栓用発電機におけるヨーク30の斜視図であり、図1(b)は、図1(a)の反対側から見た斜視図である。
図2(a)は、同ヨーク30の中央切断斜視図であり、図2(b)は、図2(a)の反対側から見た中央切断斜視図である。
図3(a)は、同ヨーク30における第3ヨーク33の斜視図であり、図3(b)は、図3(a)の反対側から見た斜視図である。
図6は、同水栓用発電機の内部を表す模式断面図である。
図7は、同水栓用発電機における予旋回静翼14、動翼15、軸受17の斜視図である。
図8は、同水栓用発電機におけるマグネットMの斜視図である。
【0014】
本実施形態に係る水栓用発電機は、図6に表されるように、主として、筒体13、予旋回静翼14、動翼15、マグネットM、ステータ9を備え、これらは、図5に表されるケース12の中に収容されている。
【0015】
筒体13は、小径部13aと大径部13bとからなる段付き形状を呈し、その内部が給水流路に連通した状態で、図4、5に図示される吐水部3bに内蔵され、筒体13の中心軸方向は、流水方向に対して略平行になるよう設置される。筒体13は、小径部13aを上流側に、大径部13bを下流側に向けて配置される。
【0016】
筒体13の内部には、上流側から順に、予旋回静翼14、動翼15、軸受17が設けられている。予旋回静翼14は小径部13aの内部に設けられ、動翼15及び軸受17は大径部13bの内部に設けられている。
【0017】
予旋回静翼14は、円柱体の一方の端面(上流側に位置する面)に、円錐体を一体に設けた形状を呈する。予旋回静翼14の周面には、径外方向に突出した複数の突起状の静翼羽根部18が設けられている。図7に表すように、静翼羽根部18は、予旋回静翼14の軸中心に対して右方向にねじれつつ、上流側から下流側に向けて傾斜している。周方向に見て隣り合う静翼羽根部18間の空間は、静翼流路71として機能する。予旋回静翼14は、筒体13に対して固定され、回転しない。
【0018】
予旋回静翼14に対して間隙を隔てて、予旋回静翼14の下流側に動翼15が設けられている。動翼15は、円柱状を呈し、その周面には径外方向に突出した複数の突起状の動翼羽根部19が設けられている。図7に表すように、動翼羽根部19は、静翼羽根部18とは逆に、軸中心に対して左方向にねじれつつ、上流側から下流側に向けて傾斜している。周方向に見て隣り合う動翼羽根部19間の空間は、動翼流路72として機能する。動翼15は、給水流路に対して略平行な中心軸24を介して、筒体13に対して固定された軸受17上に支持されている。動翼15は、中心軸24のまわりに回転可能となっている。
【0019】
軸受17は、筒体13の内周面に対して固定されたリング部材21と、このリング部材21の中心に設けられた軸支持部22とが、放射状に設けられた連結部材23によって結合されてなる。連結部材23間は、閉塞せず貫通しているため、筒体13内部の給水の流れを妨げない。
【0020】
軸受17の軸支持部22には、動翼15の軸中心に固定された中心軸24が回転可能に支持されている。中心軸24の先端部は、動翼15から突出して予旋回静翼14に嵌め込まれている。中心軸24の先端部と予旋回静翼14とは、互いに固定されておらず、筒体13に対して固定された予旋回静翼14に対して中心軸24は回転可能になっている。あるいは、中心軸24の両端部をそれぞれ軸支持部22と予旋回静翼14に固定させ、その中心軸24に対して回転可能に動翼15を嵌め込む構成としてもよい。
【0021】
筒体13の大径部13bの内部に、動翼流路72を囲むように動翼羽根部19に固定された円筒状のマグネットMが収容されている。図7において2点鎖線で表されるマグネットMの内周面は、動翼羽根部19の径外方側の側端面に固定されている。
【0022】
図8に表すように、マグネットMの軸方向の端面には、周方向に沿ってN極とS極とが交互に着磁されている。
【0023】
筒体13の大径部13bの外側には、マグネットMの上流側端面に対向させてステータ9が配置されている。なお、ステータ9は、マグネットMの下流側端面に対向させて配置してもよく、あるいは、マグネットMの上流側及び下流側の両端面にそれぞれ対向させて1対のステータ9を配置してもよい。
【0024】
ステータ9は、ヨーク30(図1)と、このヨーク30で囲まれた空間内に収容されたコイル線50(図2において1点鎖線で表す)とからなる。円筒状に巻回されたコイル線50は、その内周面部、外周面部および軸方向の両端面部が、ヨーク30によって囲まれている。ヨーク30は、いずれも磁性体からなる第1〜第3ヨーク(ヨーク部材)31〜33を結合してなる。
【0025】
第1ヨーク31は、コイル線50の内側に配置された略円筒状を呈し、その軸方向の一端部には、複数の極歯31aが径外方に向けて一体に設けられている。第1ヨーク31において、コイル線50の内周面部に対向する部分と、極歯31aとは、略直角になっている。極歯31aは、コイル線50の周方向に沿って等間隔で配置されている。
【0026】
第2ヨーク32は、コイル線50の外周面部を囲むように配置された略円筒状を呈し、その軸方向の一端部には、複数の極歯32aが径内方に向けて一体に設けられている。第2ヨーク32において、コイル線50の外周面部に対向する部分と、極歯32aとは、略直角になっている。極歯32aは、コイル線50の周方向に沿って等間隔で配置されるとともに、第1ヨーク31の極歯31aの間に配置されている。すなわち、第1ヨーク31の極歯31aと、第2ヨーク32の極歯32aとが、コイル線50の周方向に沿って、交互に、且つ互いに離間して並んでいる。
【0027】
極歯31a、32aは、コイル線50の一方の端面部に対向している。そのコイル線50の一方の端面部は、極歯31a、32a及び筒体13のフランジ部13aを間に挟んで、マグネットMの端面に対向している。
【0028】
第3ヨーク33は、コイル線50の他方の端面部に対向して設けられたリングプレート状を呈する。第3ヨーク33の内周側には、内周側段部33aが環状に形成されている。第3ヨーク33の外周側には、外周側段部33bが環状に形成されている。内周側段部33a及び外周側段部33bには、それぞれ、凸状の位置決め部34が設けられている。また、第3ヨーク33の一部は切り欠かれて、コイル線取り出し部35が形成されている。
【0029】
第3ヨーク33は、第1ヨーク31及び第2ヨーク32におけるそれぞれ極歯31a、32aが設けられた端部の反対側の端部に結合される。具体的には、第3ヨーク33の内周側段部33aに、第1ヨーク31の端部(図1、2においては下端部)が係合し、第3ヨーク33の外周側段部33bに、第2ヨーク32の端部(図1、2においては下端部)が係合する。第1〜第3ヨーク31〜33によって囲まれた空間内に、コイル線50が収容され、コイル線50は、第3ヨーク33に形成されたコイル線取り出し部35を介して外部に引き出される。
【0030】
第3ヨーク33には、例えば凸状の位置決め部34が設けられており、この位置決め部34を、第1ヨーク31及び第2ヨーク32のそれぞれに形成された凹状の切り欠きに係合させることで、第1ヨーク31及び第2ヨーク32は、それぞれ周方向に位置決めされる。これにより、極歯31a、32a間の所定ピッチを精度良く確保できる。なお、第3ヨーク33に凹状の位置決め部を、第1ヨーク31及び第2ヨーク32のそれぞれに凸状の位置決め部を設けてもよい。
【0031】
次に、本実施形態に係る水栓用発電機及び自動水栓装置の作用について説明する。
【0032】
使用者が、図4、5に表される吐水口6の下に手をかざすと、これをセンサ7が感知して、制御部57が電磁弁8を開にする。これにより、水栓用発電機11の筒体13の内部に流水が供給され、筒体13の内部を流れた水は吐水口6から吐水される。使用者が、吐水口6の下から手を遠ざけると、電磁弁8が閉となり、自動で水が止まる。
【0033】
筒体13内に流れ込んだ流水は、予旋回静翼14の円錐体表面を流れて径外方向に拡散され、本具体例においては、軸中心に対して右方向に旋回するような旋回流となって、静翼羽根部18間の静翼流路71を流れる。
【0034】
静翼流路71を流れた旋回流は、動翼流路72に流入し、動翼羽根部19の上側の傾斜面に衝突する。本具体例では、動翼流路72に流入する旋回流は、軸中心に対して右方向に旋回した流れなので、動翼羽根部19に対して右方向の力が作用し、動翼15は右回りに回転する。そして、マグネットMの内周面より内側の動翼流路72を流れた流水は、軸受17の内側を通過して、筒体13内部を抜け、吐水口6へと至る。
【0035】
動翼15が回転すると、これに固定されたマグネットMも回転する。マグネットMの端面は、前述したようにN極とS極とが周方向(回転方向)に沿って交互に着磁されているため、マグネットMが回転すると、マグネットMの端面に対向している極歯31a、32a及びこれらに一体な第1、第2ヨーク31、32の極性が変化していく。これにより、コイル線50に対する鎖交磁束の向きが変化し、コイル線50に起電力が生じ、発電する。発電した電力は、充電器56へと充電された後、例えば、電磁弁8、センサ7、制御部57の駆動に使用される。
【0036】
水栓用発電機は水まわりで使用されるため、このような使用条件下において、ヨーク30に適した材料としては、ある程度限定されてしまう。ヨーク30の材料を変えることでヨーク30の磁化性能(透磁率)を調整することができるが、ヨーク30を単一材料からなる1つの磁性体から構成してしまうと、磁化性能(透磁率)の調整の自由度が、ヨーク30に用いる材料の選択数となり、前記したように限られた材料選択数では、ヨーク30の磁化性能(透磁率)の調整の自由度が小さく、設置場所の水道水圧や発電機の用途などに応じた細かな仕様要求に柔軟に対応できない。
【0037】
本実施形態では、コイル線50を囲むヨーク30を単一材料からなる1つの磁性体から構成するのではなく、3つに分かれた磁性体である第1〜第3ヨーク31〜33の結合体として構成している。そして、各ヨーク31〜33の材料は、すべて同じではなく、第1〜第3ヨーク31〜33のうち少なくとも1つは、他と異なる材料を含むようにする。具体的には、例えば、ヨーク31を他とは異なる材料により形成する。このようにすると、各ヨーク31〜33を構成する磁性体の材料自体を変えることに加えて、どの材料を用いたヨークどうしをどう組み合わせるかや、どのヨークにはどの材料を用いるかなどによって、材料自体の選択肢は少なくても、ヨーク30を単一材料からなる1つの磁性体から構成した場合に比べて、ヨーク30全体としての磁化性能(透磁率)をより細かく調整することができる。これにより、例えば設置場所の水道水圧や発電機の用途などに応じて、柔軟にコイル出力を設定することができ、発電機の性能を無駄なく有効に発揮させることができる。
【0038】
周方向に交互にN極とS極とが着磁された前記マグネットMによって、互いに逆極性に磁化される隣り合う極歯31aと極歯32aとを別材料で構成すると、極歯31aとマグネットMとの間に生じる磁気吸引力と、極歯32aとマグネットMとの間に生じる磁気吸引力と、が異なることになり、その結果、マグネットMの回転にガタツキを生じやすくなり、騒音や回転軸の摩耗等の問題を引き起こす可能性がある。したがって、極歯31a、32aをそれぞれ一端部に有する第1ヨーク31及び第2ヨーク32は、同材料から構成することが望ましい。
【0039】
それぞれ極歯31a、32aを有する第1ヨーク31及び第2ヨーク32を、透磁率が高い、保磁力が小さい等、磁化性能に優れた、例えば、パーマロイ、電磁ステンレス、ケイ素鋼等で構成した場合には、コイル出力を大きくすることができる。
【0040】
特に、電磁ステンレスは、電気抵抗が高いので渦電流損失が低減できる、保磁力が小さいので磁化の方向転換が効率的である、耐食性がよい、などの利点がある。また、ケイ素鋼は、電気抵抗が高いので渦電流損失が低減できる、保磁力が小さいので磁化の方向転換が効率的である、透磁率が高いので発電量が大きい、などの利点がある。
【0041】
それぞれ極歯31a、32aを有する第1ヨーク31及び第2ヨーク32を、例えば低炭素鋼(JIS(Japan Industry Standard)記号:S10C、S15C)など、それほど磁化性能に優れない材料で構成した場合には、例えば供給水圧が高い地域においてマグネットM及びこれと一体に回転する動翼15が必要以上に発電するのを防ぐことができる。回転軸や軸受の摩耗や、騒音を抑える観点からは、回転体(動翼15及びマグネットM)の回転数を、例えば3000(rpm)プラスマイナス1000(rpm)程度に抑えることが望ましい。
【0042】
前述した各具体例においては、ステータ9を、マグネットMの軸方向に対向配置させた構造のため、ステータ9をマグネットMの径外方向に対向配置させた場合に比べて、径方向寸法を小さくすることができる。さらに、各具体例において、発電機は、流水方向に対して回転軸24を略平行にして動翼15が設けられ、マグネットMは、その動翼15と回転中心を一致させて動翼15の径外方に設けられ、動翼15は、マグネットMの内側を流れる水流の力により回転される、いわゆる軸流式の発電機である。したがって、回転軸を流水方向に対して略垂直にして配置された羽根車を用い、その羽根車の回転軸に連結されて羽根車と共に回転するマグネット及びこのマグネットの外周面に対向するコイルを、流路の外側に出っ張るようにして設ける水車式構造に比べて径方向寸法をさくすることができる。このように、各具体例における構造は、発電機の径方向寸法の小型化に有利なため、例えば図4に表される円筒状の吐水部3bの中に内蔵させても吐水部3bの細くスッキリとしたデザイン性を損ねない。また、動翼15の径外方にステータ9を配置しない分、動翼15の径方向寸法の拡大が図れ、発電効率を向上させることができる。
【0043】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、それらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0044】
本発明の水栓金具は、生活空間において好適に使用される。使用目的としては、例えば、キッチン用水栓金具、リビングダイニング用水栓金具、シャワー用水栓金具、トイレ用水栓金具、洗面所用水栓金具などが挙げられる。また、人体検知センサを用いた自動水栓金具に限らず、例えば、手動スイッチのオン/オフによるワンタッチ水栓金具、流量をカウントして止水する定量吐水水栓金具、設定時間を経過すると止水するタイマー水栓金具などにも適用できる。また、発電された電力を、例えば、ライトアップ、アルカリイオン水や銀イオン含有水などの電解機能水の生成、流量表示(計量)、温度表示、音声ガイドなどに用いてもよい。
【0045】
本実施形態に係る水栓金具において、吐出流量は、例えば、毎分100リットル以下、望ましくは毎分30リットル以下に設定されている。特に、洗面所用水栓においては、毎分5リットル以下に設定されていることが望ましい。また、トイレ用水栓のような吐出流量が比較的多い場合には、給水管から、発電機11に流れる水流を分岐させて、発電機11を流れる流量を毎分30リットル以下に調整することが望ましい。これは、給水管からのすべての水流を発電機11に流すと、動翼15の回転数が大きくなり、騒音や軸摩耗が増大する可能性が懸念され、また、回転数が増大しても適正回転数以下でなければ、渦電流やコイル熱によるエネルギー損失が生じるため、発電量は増大しないからである。また、水栓金具が取り付けられる水道管の給水圧としては、例えば、日本においては0.05(MPa)程度の低水圧である場合もあり得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に係る水栓用発電機におけるヨークの斜視図である。
【図2】図1に表すヨークの中央切断斜視図である。
【図3】図1に表すヨークにおける第3ヨークの斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る発電機付自動水栓装置の取付例を表す模式図である。
【図5】同自動水栓装置の内部構成を表す模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係る水栓用発電機の内部を表す模式断面図である。
【図7】同水栓用発電機における予旋回静翼、動翼、軸受の斜視図である。
【図8】同水栓用発電機におけるマグネットの斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
3…自動水栓装置、7…センサ、8…電磁弁、9…ステータ、11…水栓用発電機、14…予旋回静翼、15…動翼、17…軸受、18…静翼羽根部、19…動翼羽根部、24…中心軸、30…ヨーク、31…第1ヨーク、31a…極歯、32…第2ヨーク、32a…極歯、33…第3ヨーク、33a…内周側段部、33b…外周側段部、34…位置決め部、35…コイル線取り出し部、43〜83…第3ヨーク、50…コイル線、55…定流量弁、56…充電器、57…制御部、71…静翼流路、72…動翼流路、M…マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水流路に対して略平行な中心軸のまわりに回転可能に前記給水流路に設けられた動翼と、
前記動翼と一体に回転可能なマグネットと、
前記マグネットに対向して設けられたコイルと、
前記マグネットと前記コイルとの間で前記コイルの周方向に互いに離間して並んで配置された複数の極歯を有するとともに、前記コイルを囲んで設けられたヨークと、
を備え、
前記ヨークは、複数のヨーク部材を結合してなり、
前記複数のヨーク部材の少なくともいずれかは他と異なる材料を含むことを特徴とする水栓用発電機。
【請求項2】
前記複数のヨーク部材のうち少なくとも1つは、電磁ステンレスからなることを特徴とする請求項1記載の水栓用発電機。
【請求項3】
前記複数のヨーク部材のうち少なくとも1つは、ケイ素鋼からなることを特徴とする請求項1記載の水栓用発電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−54427(P2008−54427A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228320(P2006−228320)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】