説明

水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法及び水溶性重合体

【課題】ケーキング(凝集)を抑制することにより、乾燥効率が高く、短時間で乾燥を行うことができる水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法を実現する。
【解決手段】本発明の水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法は、二段乾燥による水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法であって、連続式振動乾燥機51を用い、微細化した水溶性重合体含水ゲルを乾燥デッキ上に積載し、該水溶性重合体含水ゲルを4mm以上の振動ストロークで振動させると共に、水溶性重合体含水ゲルに乾燥デッキの下部から熱風を通過させることにより一次乾燥を行なった後に、通気乾燥機52を用いて二次乾燥する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法、並びに該乾燥方法により乾燥して得られる水溶性重合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリル酸(塩)系重合体のような水溶性重合体は、凝集性や増粘性等の特性を発揮することが知られている。このため、例えば、医薬分野においては湿布薬、パップ剤の粘着性や保水性の向上を目的とした添加剤や親水性軟膏基材として使用され、塗料分野においては、カーペット用コンパウンドの増粘剤、塗料の増粘剤や粘着剤、粘着性向上剤として使用されている。また、製造プロセスの分野においては、アルミナ製造時の赤泥沈降剤、ソーダ工業における塩水精製用凝集剤として多用されている。更に、土木・建築分野においては、掘削土処理剤や浚渫土処理剤、加泥剤として使用され、その他一般工業分野においては吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤、各種増粘剤としても使用されている。このように、水溶性重合体は様々な分野で多岐にわたって使用されている。
【0003】
上記水溶性重合体は、通常、水溶液重合により調製された含水ゲル状重合体を乾燥させることにより得られる。
【0004】
上記水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法として、重合体含水ゲルを均一に且つ効率良く乾燥するため、(i)所定の含水率まで重合体含水ゲルを静置乾燥した後、解砕を行い、攪拌乾燥又は流動乾燥を行なう方法(例えば、特許文献1参照)、(ii)重合体含水ゲルに振動を加えながら乾燥する方法(例えば、特許文献2参照)等が知られている。また、被乾燥物の均一な混合、分散、撹拌を行い、均一に加熱乾燥して、均一な品質に乾燥処理する振動乾燥機が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平11−240914号公報(1999年9月7日公開)
【特許文献2】特開2001−18222号公報(2001年1月23日公開)
【特許文献3】特開2002−31481号公報(2002年1月31日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では、乾燥効率が十分ではなく、乾燥に長時間を要するという問題を生じる。
【0006】
具体的には、特許文献1に記載の方法は、所定の含水率まで重合体含水ゲルを静置乾燥させた後、解砕を行い、次いで撹拌状態及び/又は流動状態で乾燥を行うものである。この際、所定の含水率まで重合体含水ゲルを静置乾燥させる時にゲルがケーキング(凝集)し、乾燥効率が低下してしまう。
【0007】
また、特許文献2に記載の方法では、重合体含水ゲルが大きな塊となることを防止するため、最初から振動を加えながら加熱乾燥するのではなく、振動を止めた状態、又は振動が弱い状態であらかじめ水分等を除いた後、振動を加えながら加熱乾燥させる。しかし、該方法を用いても、重合体含水ゲルが大きな塊となることを防止することは困難であった。このため、特許文献1の方法と同様に乾燥効率が十分ではなく、乾燥に長時間を要する。更には、乾燥効率が低いため、乾燥を減圧下で行なう必要があり設備が高額化してしまう。また、減圧で乾燥を行なう場合、連続運転を行なうことが困難であり、生産効率が著しく低くなるという問題もあった。
【0008】
また、特許文献3に記載の振動乾燥機を用いて水溶性重合体含水ゲルを乾燥しても、ケーキング(凝集)を抑制し、かつ短時間で乾燥を行うことは困難であった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ケーキング(凝集)を抑制することにより、乾燥効率が高く、短時間で乾燥を行うことができる水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法、並びに該乾燥方法により乾燥して得られる水溶性重合体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、粘着性が強く乾燥途中でケーキング(凝集)を起こし易い、含水率の高い水溶性重合体含水ゲルであっても、連続式振動乾燥機を用い、特定の振動ストローク以上で振動させながら、水溶性重合体含水ゲルに乾燥デッキの下部から熱風を通過させて乾燥を行なうことにより、ケーキング(凝集)の発生を抑制して水溶性重合体含水ゲルを乾燥することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明に係る水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法は、上記課題を解決するため、二段乾燥による水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法であって、連続式振動乾燥機を用い、微細化した水溶性重合体含水ゲルを乾燥デッキ上に積載し、該水溶性重合体含水ゲルを4mm以上の振動ストロークで振動させると共に、水溶性重合体含水ゲルに乾燥デッキの下部から熱風を通過させることにより一次乾燥を行なった後に、通気乾燥機を用いて二次乾燥を行なうことを特徴としている。
【0012】
上記方法によれば、水溶性重合体含水ゲルがケーキング(凝集)を起こし難くなる所定の含水率まで、上記条件下で一次乾燥を行なうことにより水溶性重合体含水ゲルを乾燥させるため、ケーキング(凝集)の発生を抑制して水溶性重合体含水ゲルを乾燥することができる。これにより、水溶性重合体含水ゲルと熱風との接触効率が高い状態を維持できるため、ケーキング(凝集)を抑制し、かつ乾燥効率が高く、短時間で乾燥を行うことができるという効果を奏する。また、乾燥効率が高く、短時間で乾燥を行うことができるため、乾燥工程に掛かるコストを低減することができる。
【0013】
また、ケーキング(凝集)が起こり難いため、乾燥品に未乾燥物が含まれる可能性が低くなり、例えば、その後粉砕を行なう場合に、未乾燥物がゴム弾性を有することによる粉砕トラブルが起こることを回避することができる。
【0014】
これに対して、従来から行なわれてきた乾燥方法の一つに解砕機を振動乾燥機内部に組み込み、ケーキ化物(凝集物)を解砕しながら乾燥を行なう方法がある。しかし該方法は、水溶性重合体含水ゲルが解砕機によって練られ易く、練られた水溶性重合体含水ゲルが乾燥プレートの通気孔を閉塞させるという問題がある。乾燥プレートの通気孔を閉塞させると乾燥効率が著しく低下してしまう。本発明に係る乾燥方法は、これら従来の乾燥方法が有する上記問題点を見事に解決したものである。
【0015】
また、乾燥時間が短く、水溶性重合体含水ゲルが受ける熱履歴が少ないため、架橋反応等の副反応が起こり難く、不溶解成分が少なく着色の少ない乾燥物が得られる。
【0016】
本発明に係る水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法では、微細化した上記水溶性重合体含水ゲルを層高が5mm以上50mm以下の範囲内となるように積載することにより一次乾燥を行うことが好ましい。
【0017】
上記方法によれば、ケーキング(凝集)の発生をより抑制して水溶性重合体含水ゲルを乾燥することができるため、乾燥効率がより高く、より短時間で乾燥を行うことができるという更なる効果を奏する。
【0018】
本発明に係る水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法では、微細化した上記水溶性重合体含水ゲルを層高が10mm以上40mm以下の範囲内となるように積載することにより一次乾燥を行うことが好ましい。
【0019】
上記方法によれば、ケーキング(凝集)の発生をより抑制して水溶性重合体含水ゲルを乾燥することができるため、乾燥効率がより高く、より短時間で乾燥を行うことができるという更なる効果を奏する。
【0020】
本発明に係る水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法では、上記振動ストロークが5mm以上10mm以下の範囲内であることが好ましい。
【0021】
上記方法によれば、ケーキング(凝集)の発生をより抑制して水溶性重合体含水ゲルを乾燥することができるため、乾燥効率がより高く、より短時間で乾燥を行うことができるという更なる効果を奏する。
【0022】
本発明に係る水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法では、微細化した上記水溶性重合体含水ゲルは、ダイス径が2mm以上20mm以下の範囲内である押出機から排出された押出ゲルであることが好ましい。
【0023】
上記方法によれば、ケーキング(凝集)の発生をより抑制して水溶性重合体含水ゲルを乾燥することができるため、乾燥効率がより高く、より短時間で乾燥を行うことができるという更なる効果を奏する。
【0024】
本発明に係る水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法では、二次乾燥で用いる上記通気乾燥機は、連続式通気乾燥機であることが好ましい。
【0025】
上記方法によれば、全ての乾燥工程を連続で行うことができるため、乾燥効率がより高く、より短時間で乾燥を行うことができるという更なる効果を奏する。
【0026】
本発明に係る水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法では、一次乾燥における熱風の通過線速度が0.5m/s以上2m/s以下の範囲内であることが好ましい。
【0027】
上記方法によれば、乾燥効率がより高く、より短時間で乾燥を行うことができるという更なる効果を奏する。具体的には、通過線速度が0.5m/s未満の場合、乾燥に長時間要したり、未乾燥物が発生し易くなる傾向がある。また、通過線速度が2m/sを超える場合、線速度の上昇に対する乾燥効率の上昇が小さくなる傾向がある。
【0028】
本発明に係る水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法では、上記水溶性重合体含水ゲルにおける水溶性重合体の質量平均分子量が100万以上2000万以下の範囲内であることが好ましい。
【0029】
上記水溶性重合体含水ゲルにおける水溶性重合体の質量平均分子量が上記範囲内であれば本発明に係る乾燥方法を好適に適用することができる。具体的には、質量平均分子量が100万未満の水溶性重合体含水ゲルの場合、一次乾燥時にケーキング(凝集)し易い。また、質量平均分子量が2000万を超える水溶性重合体含水ゲルの場合、本発明に係る乾燥方法を用いなくても、通常の乾燥方法で効率良く乾燥を行うことができる。
【0030】
本発明に係る水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法では、上記水溶性重合体含水ゲルにおける水溶性重合体は、アクリル酸若しくはその塩を60モル%以上含む単量体組成物を重合して得られる重合体であることが好ましい。
【0031】
アクリル酸若しくはその塩を60モル%以上含む単量体組成物を重合して得られる重合体は、他の水溶性重合体と比べて乾燥時にケーキング(凝集)を起こし易いため、本発明に係る乾燥方法を好適に適用することができる。本発明に係る乾燥方法を用いることにより、乾燥に伴う品質劣化も少なく、高品質の重合体が得られる点で好ましい。
【0032】
本発明に係る水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法では、一次乾燥における乾燥機出口での上記水溶性重合体含水ゲルの含水率が5質量%以上40質量%以下の範囲内であることが好ましい。
【0033】
上記方法によれば、ケーキング(凝集)の発生をより抑制して水溶性重合体含水ゲルを乾燥することができるため、乾燥効率がより高く、より短時間で乾燥を行うことができるという更なる効果を奏する。
【0034】
具体的には、一次乾燥における乾燥機出口での上記水溶性重合体含水ゲルの含水率を5質量%未満とすると、生産性に問題が生じる場合がある。また、一次乾燥における乾燥機出口での上記水溶性重合体含水ゲルの含水率を40質量%より高くすると、一次乾燥の次工程である二次乾燥でケーキング(凝集)を起こす場合がある。
【0035】
本発明に係る水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法では、乾物換算での単位面積あたりの積載量を、一次乾燥よりも二次乾燥の方を多くすることが好ましい。
【0036】
上記方法によれば、より多くの水溶性重合体含水ゲルを乾燥することができるため、より高効率で乾燥を行うことができるという更なる効果を奏する。
【0037】
本発明に係る水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法では、一次乾燥後の水溶性重合体含水ゲルを解砕した後に、二次乾燥することが好ましい。
【0038】
上記方法によれば、二次乾燥における乾燥効率をより高めることができるため、より高効率で乾燥を行うことができるという更なる効果を奏する。
【0039】
本発明に係る水溶性重合体は、上記課題を解決するため、上記本発明の乾燥方法により水溶性重合体含水ゲルを乾燥して得られることを特徴としている。
【0040】
上記構成によれば、乾燥時間が短く、水溶性重合体含水ゲルが受ける熱履歴が少ないため、架橋反応等の副反応が起こり難く、不溶解成分が少なく着色の少ない水溶性重合体を提供することができるという効果を奏する。
【0041】
本発明に係る水溶性重合体では、不溶解分が1質量%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係る水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法は、以上のように、二段乾燥による水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法であって、連続式振動乾燥機を用い、微細化した水溶性重合体含水ゲルを乾燥デッキ上に積載し、該水溶性重合体含水ゲルを4mm以上の振動ストロークで振動させると共に、積載した水溶性重合体含水ゲルに乾燥デッキの下部より熱風を通過させることにより一次乾燥を行なった後に、通気乾燥機を用いて二次乾燥を行なうことを特徴としている。
【0043】
これにより、ケーキング(凝集)を抑制し、かつ、乾燥効率が高く、短時間で乾燥を行うことができるという効果を奏する。
【0044】
本発明に係る水溶性重合体は、以上のように、上記本発明の乾燥方法により水溶性重合体含水ゲルを乾燥して得られることを特徴としている。
【0045】
これにより、架橋反応等の副反応が起こり難く、不溶解成分が少なく着色の少ない水溶性重合体を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明について詳しく説明する。尚、本明細書では、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「アクリル酸(塩)」はアクリル酸又はアクリル酸塩を意味する。また、「重量」は「質量」と同義語として扱い、「重量%」は「質量%」と同義語として扱い、「重量平均分子量」は「質量平均分子量」と同義語として扱う。また、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示す。
【0047】
本発明に係る水溶性重合体含水ゲル(以下、単に「含水ゲル」と記する場合がある)の乾燥方法は、二段乾燥による水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法であって、連続式振動乾燥機を用い、微細化した水溶性重合体含水ゲルを4mm以上の振動ストロークで振動させると共に、積載した水溶性重合体含水ゲルに乾燥デッキの下部より熱風を通過させることにより一次乾燥を行なった後に、通気乾燥機を用いて二次乾燥を行なう。
【0048】
図1は、本実施の形態に係る乾燥方法で用いられる設備の一例を示す平面図である。
【0049】
図1に示すように、本実施の形態は、前段乾燥機(連続式振動乾燥機)51と後段乾燥機(通気乾燥機)52との二台の乾燥機により構成されており、前段乾燥機51の出口と後段乾燥機52の入り口とが直接接続されている。従って、前段乾燥機51に投入された乾燥原料(水溶性重合体含水ゲル)は、前段乾燥機51で1次乾燥された後、後段乾燥機52へと直接導かれ、後段乾燥機52で二次乾燥される。尚、代表図(図1)では後段乾燥機52として振動乾燥機を記載している。この二次乾燥の工程では、以下の本文に示すように、通気型乾燥機であればよく、多種多様の通気型乾燥機を使用することができる。しかし、乾燥効率、乾燥処理量、乾燥時間や、ゲルの装置への付着性等を考慮した場合、二次乾燥の工程では通気型乾燥機の中でも振動乾燥機を使用することがより好ましい。
【0050】
前段乾燥機51と後段乾燥機52とに用いられる熱風は、循環送風機54及び循環エアヒータ53により得られ、前段乾燥機51及び後段乾燥機52それぞれを通過させた後、乾燥集塵機55、乾燥排風機56を経て、排気若しくは循環送風機へと再度導かれる。また、後段乾燥機52の出口付近では、乾燥した重合体を冷却させる構成となっている。上記冷却に用いられる冷風は、乾燥送風機58により室内空気を吸引し、乾燥エアヒータにより冷却されることにより得られ、後段乾燥機52の出口付近を通過した後、冷却集塵機59及び冷却排風機60により排気される。
【0051】
上記前段乾燥機51は、微細化した水溶性重合体含水ゲルを4mm以上の振動ストロークで振動させると共に、積載した水溶性重合体含水ゲルに乾燥デッキの下部より熱風を通過させる構成のものであれば特には限定されず、例えば、Qユニット(連続式乾燥・冷却機)(三菱マテリアルテクノ株式会社製)等が挙げられる。
【0052】
上記振動ストロークは4mm以上であれば、ケーキングを抑制して乾燥を行なうことができるが、より好ましくは4mm以上25mm以下の範囲内であり、更に好ましくは5mm以上10mm以下の範囲内である。
【0053】
また、1次乾燥における、微細化した水溶性重合体含水ゲルの上記層高は、5mm以上50mm以下の範囲内となるように積載されることが好ましく、10mm以上40mm以下の範囲内となるように積載されることがより好ましい。上記層高が5mm未満では処理量が少なくなるため乾燥効率が低く、上記層高が50mmを超える場合は、水溶性重合体含水ゲルが凝集し易くなる傾向がある。
【0054】
上記振動の周波数(振動数)は、水溶性重合体含水ゲルの種類や含水率等によって適宜設定すればよいが、好ましくは0.046〜0.1Hz(600〜1300cpm)の範囲内であり、より好ましくは0.05〜0.08Hz(750〜1200cpm)の範囲内である。また、加振角度も、水溶性重合体含水ゲルの種類や含水率等によって適宜設定すればよいが、好ましくは10〜88°の範囲内であり、より好ましくは30〜85°の範囲内である。
【0055】
一次乾燥における上記熱風の通過線速度は特には限定されないが、0.5m/s以上2m/s以下の範囲内であることがより好ましい。尚、上記線速度は、乾燥機内の気流全体の平均値であり、例えば、風速計のセンサー部を乾燥機の側壁から挿入することにより測定することができる。また、ブロワー排気能力から計算で求めることもできる。風速計としては、特に限定はされないが、例えば、KANOMAX社製アネモマスター風速計(モデル6162)等が挙げられる。また、上記熱風の温度は特には限定されないが、80〜250℃の範囲内がより好ましく、120〜230℃の範囲内が更に好ましく、160〜210℃の範囲内が特に好ましい。また、上記熱風の露点は特には限定されないが、70℃以下がより好ましく、60℃以下が更に好ましく、50℃以下が特に好ましい。
【0056】
一次乾燥における乾燥機出口での上記水溶性重合体含水ゲルの含水率は、水溶性重合体含水ゲルの種類等に応じて適宜設定すればよく、二次乾燥においてケーキング等の不具合が生じなければ特には限定されないが、好ましくは5質量%以上40質量%以下の範囲内に設定することができる。含水率が上記範囲内であれば、一次乾燥後の水溶性重合体含水ゲルが凝集を起こし難いため、後述する二次乾燥を効率良く行うことができる。
【0057】
微細化した上記水溶性重合体含水ゲルとしては、例えば、顆粒状、紐状の押出ゲル、微解砕ゲル又は微細切断ゲル等が挙げられる。尚、押出ゲルとは、重合により得られた重合体のゲル状物を押出機を用いて押出すことにより、乾燥し易いように押出成形されたゲルを意味する。また、微解砕ゲルとは、重合により得られた重合体のゲル状物を破砕機等によって解砕した微細なゲルを意味する。また、微細切断ゲルとは、重合により得られた重合体のゲル状物を切断機等によって切断した微細なゲルを意味する。
【0058】
微細化した上記水溶性重合体含水ゲルは、含水ゲルの内部まで十分に乾燥が行なわれるため押出ゲルであることがより好ましい。また、上記押出ゲルは、ダイス径が2mm以上20mm以下の範囲内である押出機から排出されたものであることが更に好ましい。
【0059】
上記押出ゲルが顆粒状である場合の最長径は0.5〜20mmの範囲内であることが好ましい。最長径の上限は15mmであることがより好ましく、8mmであることが更に好ましい。また、上記押出ゲルが紐状である場合は、直径が15mm以下、長さが50cm以下であることが好ましい。更に好ましくは直径が10mm以下、長さが40cm以下であり、特に好ましくは直径が8mm以下で長さが30cm以下である。上記押出ゲルの大きさ及び形状はダイス径や押出速度等の条件によって適宜設定することができる。
【0060】
本発明に係る乾燥方法の一次乾燥における、乾物換算での単位面積あたりの積載量は特には限定されないが、好ましくは0.5〜30kg/mの範囲内とすることができ、より好ましくは1〜20kg/mの範囲内であり、特に好ましくは2〜15kg/mの範囲内である。
【0061】
本発明に係る乾燥方法における二次乾燥で用いる通気乾燥機は、通気しながら乾燥を行なう乾燥機であれば特には限定されず、例えば、通気バンド乾燥機、撹拌乾燥機、流動層乾燥機、振動乾燥機等が挙げられる。また、これらの使用条件等は特には限定されず、従来公知の条件を用いることができる。より好ましくは、二次乾燥で振動乾燥機を用いることにより、より効率良く含水ゲルの乾燥を行うことができる。
【0062】
本発明に係る乾燥方法では、上述した一次乾燥により、粘着性が強く乾燥途中でケーキング(凝集)を起こし易い、含水率の高い水溶性重合体含水ゲルを、ケーキング(凝集)を起こし難い、含水率まで乾燥させるため、二次乾燥ではケーキング(凝集)等を考慮せずに乾燥を行うことができる。従って、二次乾燥は、一次乾燥のような制約は無く、乾燥効率が高くなる条件で乾燥を行なうことができる。
【0063】
本発明に係る乾燥方法の二次乾燥では、一次乾燥後の水溶性重合体含水ゲルは凝集を起こし難いため、乾物換算での単位面積あたりの積載量は特には限定されないが、好ましくは0.6〜300kg/mの範囲内とすることができ、より好ましくは1.4〜160kg/mの範囲内であり、特に好ましくは3.2〜80kg/mの範囲内である。また、上記乾燥効率を高めるという観点から、一次乾燥よりも二次乾燥の方を多くすることがより好ましく、具体的には、一次乾燥における乾物換算での単位面積あたりの積載量を1とした場合、二次乾燥における乾物換算での単位面積あたりの積載量は1.2〜10の範囲内が好ましく、1.4〜8の範囲内がより好ましく、1.6〜6の範囲内が特に好ましい。
【0064】
本発明に係る乾燥方法では、更に、一次乾燥後の水溶性重合体含水ゲルを解砕した後に、二次乾燥することを行ってもよい。本発明に係る乾燥方法を用いれば、一次乾燥後の水溶性重合体含水ゲルではほとんどケーキング(凝集)は起こらないが、一次乾燥後の水溶性重合体含水ゲルを解砕することにより、僅かに存在する凝集物を解すことができるため、二次乾燥における乾燥効率をより高めることができる。
【0065】
上記解砕は、具体的には、前段乾燥機51の出口と後段乾燥機52の入口との間に解砕機を設けることにより行うことができる。上記解砕機としては、特には限定されず、従来公知の構成のものを用いることができる。
【0066】
上記水溶性重合体含水ゲルは、単量体成分を重合して得られる重合体により形成される、水を含んでなるゲル状物である。上記重合体としては、水溶性重合体含水ゲルを構成し得るものであれば特には限定されず、例えば、アニオン性重合体、ノニオン性重合体、カチオン性重合体等が挙げられる。
【0067】
上記アニオン性重合体としては、(メタ)アクリル酸(塩)単量体を含む単量体成分を重合して得られる(メタ)アクリル酸(塩)系重合体が挙げられる。上記単量体成分100モル%に対して、上記(メタ)アクリル酸(塩)単量体は60モル%以上であることがより好ましい。つまり、上記アニオン性重合体としては、(メタ)アクリル酸(塩)単量体を60モル%以上含む単量体成分を重合して得られる(メタ)アクリル酸(塩)系重合体がより好ましい。上記(メタ)アクリル酸(塩)単量体の比率が高いほど、本発明の効果がより顕著になるため、上記単量体成分は(メタ)アクリル酸(塩)単量体を70モル%以上含むことが更に好ましい。
【0068】
尚、上記アニオン性重合体としては、酸基を有する酸型重合体でも酸基を有しない塩型重合体であってもよく、塩型重合体を製造する場合、最初から酸部分を中和した塩型の単量体を使用してもよい。
【0069】
上記アニオン性重合体から成る水溶性重合体含水ゲルは、固形分が20〜60質量%の範囲内であることが好ましい。固形分をこのような範囲とすることにより、本発明に係る乾燥方法を適用する上で水溶性重合体含水ゲルを好ましい形態とすることができる。固形分が20質量%未満であっても60質量%を超えても、分子量低下、不溶解分の増加等の品質低下が起こるおそれがある。より好ましい上記固形分の下限は、25質量%であり、更に好ましくは30質量%である。また、より好ましい上記固形分の上限は、55質量%であり、更に好ましくは50質量%である。
【0070】
上記(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は、上述したように、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸塩により構成される(メタ)アクリル酸(塩)単量体を必須とする単量体成分を重合することにより得られる。上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルは、このようにして得られる重合体により形成される、重合溶媒として水を含んで成るゲル状物である。上記(メタ)アクリル酸塩としては、(メタ)アクリル酸を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物、具体的には、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸ナトリウムがより好ましく、アクリル酸ナトリウムが更に好ましい。
【0071】
上記単量体成分としては、(メタ)アクリル酸(塩)単量体以外の酸系単量体やその他の単量体を含んでいてもよい。
【0072】
上記(メタ)アクリル酸(塩)単量体以外の酸系単量体としては、α−ヒドロキシアクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド等の不飽和スルホン酸系単量体;(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸等の不飽和ホスホン酸系単量体及びこれら酸型単量体を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0073】
上記その他の単量体としては、(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性単量体;3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ビニルアルコール等の水酸基を有する不飽和単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のカチオン性単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0074】
上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルの製造方法としては、溶液重合法が好ましい。より好ましくは、水溶液中にて静置重合法で重合する方法であり、このような方法は、不溶解分を少なく、かつ、高分子量の水溶性重合体を容易に製造することができるため好ましい。また、重合の形態としては、注型重合法やベルト重合法を採用することができる。重合時の単量体濃度としては、20〜60質量%の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の範囲内であり、更に好ましくは30〜50質量%の範囲内である。
【0075】
上記重合方式としては、熱重合であってもよいし、光重合であってもよい。尚、熱重合及び光重合等において、重合温度や重合時間、光重合の場合には光強度や波長等の重合条件については、(メタ)アクリル酸(塩)単量体を必須とする単量体成分を重合して(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を調製するときに通常行われている条件で適宜設定すればよい。すなわち、本明細書に開示された原料やその他用いることができる原料を使用して、アクリル酸(塩)系単量体を必須とする単量体成分を重合して目的とする分子量や重合率の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体が調製されるように重合条件を適宜設定すればよい。
【0076】
上記熱重合は、単量体を熱重合開始剤の存在下で重合させる静置重合法が好ましい。静置重合法を行なう際、(メタ)アクリル酸系重合体を調製する場合は、アミン類の存在下で行なうことが好ましく、(メタ)アクリル酸塩系重合体を調製する場合は、多価アルコール及びアミシ類の存在下で行うことが好ましい。
【0077】
上記多価アルコールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリーコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ブタントリオール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら多価アルコ一ルは、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例示の化合物のうち、グリセリンがより好ましい。
【0078】
上記多価アルコールの単量体成分に対する添加量は、特に限定されるものではないが、0.01〜20質量%の範囲内がより好ましく、0.1〜10質量%の範囲内が更に好ましい。これにより、(メタ)アクリル酸塩系水溶性重合体の重合度をより一層高くすることができる。多価アルコールの添加量が0.01質量%よりも少ない場合、又は、多価アルコールの添加量が20質量%を越える場合には、超高分子量でかつ水溶性に優れた(メタ)アクリル酸塩系水溶性重合体を効率的に製造することが困難となるおそれがある。
【0079】
上記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、エチルヘキシルアミン、エトキシプロピルアミン、ジメチルラウリルアミン、ポリエチレンイミン、ピリジン、アミノ安息香酸、アミノフェノール、アニリン、ジメチルアニリン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらアミン類は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例示の化合物のうち、トリエタノールアミンがより好ましい。
【0080】
上記アミン類の単量体成分1モルに対する添加量は、特に限定されるものではないが、1×10−5〜1×10−2モルの範囲内が好ましく、1×10−4〜3×10−3モルの範囲内が更に好ましい。これにより、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の重合度をより一層高くすることができる。アミン類の添加量が1×10−5モルよりも少ない場合には、重合の進行が遅くなる。アミン類の添加量が1×10−2モルを越える場合には、超高分子量でかつ水溶性に優れた(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を効率的に製造することが困難となるおそれがある。
【0081】
上記熱重合の場合の重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス−〔2−(2−イミダゾリン)−2−イル〕プロパン〕二塩酸塩等のアゾ系化合物等の水溶性ラジカル重合開始剤が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。これら熱重合開始剤の中でも、過硫酸塩が特に好ましい。
【0082】
上記熱重合開始剤の使用量は、単量体成分1モルに対して、0.0001〜0.05gの範囲内が好適である。熱重合する時の重合開始温度としては、15〜50℃の範囲内が好ましい。重合時の反応液の最高温度は150℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは110℃以下となるように重合を制御することが好ましい。
【0083】
上記光重合の場合の重合開始剤としては、以下のような化合物を用いることができる。2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、1,1’−アゾビス(1一アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−N−シクロヘキシルアミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノプロパン)及びその塩酸、硫酸、酢酸塩等、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2一メチル−N−1,1’−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ系光重合開始剤。
【0084】
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)とベンゾフェノンとの共融混合物、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369)と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)との3:7の混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:1の混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:1の液状混合物、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1一イル)−フェニル)チタニウム、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの共融混合物、4−メチルベンゾフェノンとベンゾフェノンとの液状混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドとオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]とメチルベンゾフェノン誘導体との液状混合物。
【0085】
1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルファニル)プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、α−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、アクリル化アミンシナジスト、ベンゾイン(iso−及びn−)ブチルエステル、アクリルスルホニウム(モノ、ジ)ヘキサフルオロリン酸塩、2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、2−ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインヒドロキシアルキルエーテル、ジアセチル及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、ジフェニルジスルフィド及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンジル及びその誘導体。
【0086】
上記光重合開始剤の使用量としては、重合に使用される単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、1g以下が好ましい。これにより、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の質量平均分子量や重合率を充分に高いものとすることができる。より好ましくは、0.001g以上であり、また、0.5g以下である。光重合する時の重合開始温度としては、0〜30℃の範囲内が好ましい。重合時の反応液の最高温度は150℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは110℃以下となるように重合を制御することが好ましい。
【0087】
上記光重合を行う場合には、反応液等に近紫外線を照射することが好ましい。近紫外線を照射する装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光ケミカルランプ、蛍光青色ランプ等が好適である。また、近紫外線の波長領域としては、300nm以上であることが好ましく、また、500nm以下であることが好ましい。この範囲の波長を有する紫外線を反応液等に照射することにより、光重合が開始し、適切な速度で重合反応が進行することになる。また、光重合を行う場合には、近紫外線を0.1〜100W/mの強度で照射して重合させることが好ましく、これにより、不溶解分をより少なくすることができる。
【0088】
上記重合方法においてはまた、上記重合開始剤とともに連鎖移動剤を併用することが好ましい。適当量の連鎖移動剤を使用することにより、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の質量平均分子量がより大きく、かつ不溶解分がより少ない重合体を製造することができ、その結果、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
【0089】
上記連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオ酢酸、メルカプトエタノール等の含硫黄化合物;亜燐酸、亜燐酸ナトリウム等の亜燐酸系化合物;次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム等の次亜燐酸系化合物;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n一ブチルアルコール等のアルコール類が好適である。これらの中でも、次亜燐酸系化合物が好ましい。より好ましくは、次亜燐酸ナトリウムである。
【0090】
上記連鎖移動剤の使用量としては、重合濃度や光重合開始剤との組み合わせ等により適宜設定すればよいが、重合に使用される単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また0.2g以下が好ましい。また、更に好ましくは0.001g以上であり、また、0.15g以下であり、特に好ましくは0.005g以下であり、また、0.10g以下である。
【0091】
上記ノニオン性重合体としては、例えば、上述したアクリルアミド系単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリアクリルアミド、上述した水酸基を有する不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られる重合体等が挙げられる。上記ポリアクリルアミドは、例えば、特開昭60−192713号公報に記載の方法により製造することができ、具体的には後述する合成例6に記載の方法により製造することができる。
【0092】
より具体的には、上記ポリアクリルアミドの製造方法は、アクリルアミドモノマーの水溶液を重合させる方法であり、モノマー濃度は好ましくは10〜35質量%の範囲内であり、より好ましくは20〜30重量%の範囲内である。モノマー濃度が高すぎると重合中に高温となり、得られるポリマーの品質が低下する傾向があり、モノマー濃度が低すぎるとポリマーの乾燥に長時間を要する傾向がある。
【0093】
上記ポリアクリルアミドの製造方法では、触媒として公知のアゾ重合触媒と酸性亜硫酸塩又は亜硫酸塩と特定の金属塩とを併用することを必須要件とすることが好ましい。アゾ系重合触媒を単独で使用した場合には、モノマー濃度を高くして重合開始温度を低くしても重合速度が遅く、良好な重合が行なわれない。
【0094】
上記アゾ系重合触媒としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等が挙げられ、より好ましくは2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩である。
【0095】
上記アゾ系重合触媒の添加量は、モノマーに対して100〜2000ppmの範囲内であり、好ましくは400〜1400ppmの範囲内である。上記アゾ系重合触媒の添加量が少なすぎると重合が良好に行なわれず、添加量が多すぎると得られるポリマーの分子量が低下する傾向がある。
【0096】
上記酸性亜硫酸塩又は亜硫酸塩としては、通常ナトリウム塩やカリウム塩等が挙げられる。また、その添加量はモノマーに対して3〜200ppmの範囲内であり、好ましくは5〜100ppmの範囲内である。上記酸性亜硫酸塩又は亜硫酸塩の添加量は、上記アゾ系重合触媒の添加量と同様に、少なすぎると重合が良好に行なわれず、添加量が多すぎると得られるポリマーの分子量が低下する傾向がある。
【0097】
上記金属塩としては、コバルト、マンガン又は鉄から選択される少なくとも1種の金属の塩であり、例えば、水溶性の第二金属塩が用いられる。これら金属塩の種類は、例えば、硫酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩等が挙げられる。これらの中でも硫酸塩が好ましい。上記金属塩の使用量はモノマーに対して、金属として0.1〜20ppmの範囲内であり、好ましくは0.2〜2ppmである。上記金属塩の添加量が少なすぎると重合が良好に行なわれず、添加量が多すぎても効果に差が無い。
【0098】
上記添加剤の重合系内への添加順序は通常、酸性亜硫酸塩又は亜硫酸塩を最後に添加することが好ましく、例えば、金属塩、アゾ系重合触媒、酸性亜硫酸塩又は亜硫酸塩の順で添加することができる。
【0099】
上記ポリアクリルアミドの製造方法では、重合温度は通常、−10〜100℃の範囲内であり、重合開始の温度は、例えば20℃以下、好ましくは10℃以下に設定される。重合時間は通常0.5〜10時間の範囲内である。
【0100】
上記ポリアクリルアミドの製造方法では、例えば、密閉型の重合槽にモノマー水溶液を仕込み、窒素ガスをモノマー水溶液に吹き込み溶存酸素を除去した後、上述した触媒を水溶液として添加して重合を行なう。
【0101】
上記カチオン性重合体としては、例えば、上述したカチオン性単量体を含む単量体成分を重合して得られる重合体、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチルを四級化した後に重合若しくは共重合した重合体(以下、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチル重合体)等が挙げられる。該重合体は、例えば、特開昭63−230714号公報に記載の方法により製造することができる。具体的には、例えば、後述する合成例5に記載の方法により製造することができる。
【0102】
より具体的には、上記(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチルは、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。これら(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチルは、(メタ)アクリル酸メチルとジアルキルアミノエタノールとのエステル交換反応若しくは(メタ)アクリル酸のジアルキルアミノエタノールによるエステル化反応により合成することができる。
【0103】
上記(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチル重合体の製造では、実質的に(メタ)アクリル酸ビニルを含まない(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチルを四級化した後に重合若しくは共重合することが好ましい。(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチルからの(メタ)アクリル酸ビニルの除去は、高段数の蒸留塔を用い、十分な還流比であれば蒸留操作により行なうこともできるが、ゼオライトで処理することにより行なうこともできる。具体的には、以下の方法により(メタ)アクリル酸ビニルを不純物として含まない(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチルを製造することが好ましい。
【0104】
エステル交換反応あるいはエステル化反応により合成した(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチル含有液から、まず低沸点成分を除去した後、減圧蒸留により精製する。蒸留は通常の方法により行なうことが可能で、例えば、理論段数4〜20段の蒸留塔を用いて還流比0.1〜4程度の連続蒸留又は回分蒸留により行なう。
【0105】
上記減圧蒸留により得られる(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチルの純度は一般に97.0〜99.9%の範囲内であり、(メタ)アクリル酸ビニルは30〜500ppmの範囲内で含まれる。
【0106】
次に、不純物を含有する上記(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチルをゼオライトで処理する。ゼオライト処理の方法には、ゼオライトを充填した塔に処理液を流す連続法、又は処理液にゼオライトを添加して処理した後、ゼオライトを濾過、遠心分離等によって分離する回分法があり、どちらを用いてもよい。
【0107】
使用するゼオライトは、市販されている種々のものを使用することができるが、これらの中でも均一な細孔を有し分子ふるい作用を示す合成ゼオライトはモレキュラーシーブスと呼ばれ、好ましく使用することができる。上記モレキュラーシーブスは、5Å以上の細孔径を有するものが特に好ましい。
【0108】
上記ゼオライトの使用量は、処理液の0.1〜5重量%の範囲内が好ましい。処理温度は(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチルの凝固点以上沸点以下の範囲であればよいが、エステルの安定性を考慮すると、0〜50℃の範囲内がより好ましい。
【0109】
尚、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチルの精製条件は、得られる(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチル中の(メタ)アクリル酸ビニルの含有量が20ppm以下となるように制御されていることが好ましく、より好ましくは10ppm以下であり、更に好ましくは3ppm以下である。
【0110】
上述したようにして得られた(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチルを塩酸、硫酸等の鉱酸で中和するか、塩化メチル、ジメチル硫酸等のアルキル化剤と反応させることにより4級塩とすることができる。
【0111】
上記4級塩の重合は、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチル4級塩のみの単独重合であってもよく、アクリルアミド等の他のビニルモノマーとの共重合であってもよい。
【0112】
上記重合で用いる重合開始剤としては、例えば、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシアノバレリックアシドナトリウム塩、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスアミノプロパン塩酸塩等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の無機化酸化物が挙げられる。その他に硫酸第一鉄、塩化第一鉄、重亜硫酸ナトリウム等の無機化合物、ジメチルアニリン、3−ジメチルアミノプロピオニトリル等の有機化合物を添加してもよい。
【0113】
上記水溶性重合体含水ゲルにおける水溶性重合体の質量平均分子量は、含水ゲルを形成すれば特には限定されないが、好ましくは100万以上2000万以下の範囲内である。尚、本明細書における「質量平均分子量」は、光散乱法で測定された値である。上記質量平均分子量は、ダイナミック光散乱光度計を用いて以下の条件により測定することができる。
【0114】
装置:ダイナミック光散乱光度計(大塚電子社製、商品名:DSL−700)
溶媒:0.16MのNaCl水溶液
試料濃度:0.05〜2mg/ml
試料pH:10(at25℃)
測定温度:25℃
本発明に係る水溶性重合体は、上述した本発明に係る乾燥方法により水溶性重合体含水ゲルを乾燥して得られる。このため、乾燥時間が短く、熱履歴が少ないため、架橋反応等の副反応が起こり難く、不溶解成分が少なく着色が少ない。具体的には、上記水溶性重合体の不溶解分は、好ましくは1質量%以下である。また、上記水溶性重合体のハンター白色度(ハンター白度)は好ましくは87%以上である。
【0115】
尚、上述の説明では、前段乾燥機51の出口と後段乾燥機52の入り口とが直接接続されている場合について説明したが、これに限るものではない。前段乾燥機51の出口と後段乾燥機52の入り口とが直接接続されてなく、前段乾燥機51の出口から一次乾燥後の水溶性重合体含水ゲルを容器等で一度充填し、後段乾燥機52の入口に逐次投入してもよい。
【0116】
但し、本実施形態のように、前段乾燥機51の出口と後段乾燥機52の入り口とが直接接続されている場合は、一次乾燥後の水溶性重合体含水ゲルを充填する工程が不要であり、生産コストがより低減されるため、特に効果が大きい。
【0117】
また、上述の説明では、後段乾燥機52は、出口付近で、乾燥した重合体を冷却させる構成となっている場合について説明したが、これに限るものではない。冷却させる構成を備えていなくてもよく、二次乾燥後に別途、冷却させてもかまわない。
【0118】
尚、本発明に係る乾燥方法は言い換えれば、微細化した水溶性重合体含水ゲルを乾燥デッキ上に積載し、該水溶性重合体含水ゲルを4mm以上の振動ストロークで振動させると共に、水溶性重合体含水ゲルに乾燥デッキの下部から熱風を通過させることにより乾燥を行う乾燥方法であるが、上述した実施形態のように、二段乾燥を行なうことにより、水溶性重合体含水ゲルを効率良く乾燥することができる。
【0119】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0120】
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の説明では、便宜上、「質量部」を単に「部」と記すことがある。
【0121】
尚、実施例に先だって、バッチ式振動乾燥機を用いて、以下に示す参考例1〜28を行い、本発明に係る乾燥方法における一次乾燥による効果を確認した。
【0122】
〔合成例1〕(アニオン性重合体、中和度100%、熱重合)
容量5Lのビーカーにアクリル酸ナトリウム37質量%水溶液4865部、グリセリン36部及び重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.111部を入れて攪拌混合することにより、これらを均一に溶解させた。この水溶液に少量の水酸化ナトリウムを添加することにより、該水溶液のpHを12.0に調製した。その後、該水溶液にイオン交換水を加えることにより反応液5000部を調製した。また、反応液に含まれる溶存酸素は、窒素ガスをバブリングすることにより除去した。該反応液におけるアクリル酸ナトリウムの濃度は36質量%であった。そして、アクリル酸ナトリウムに対するグリセリンの添加量は2.0質量%であり、アクリル酸ナトリウム1モルに対する過硫酸ナトリウムの添加量は0.0058g(2.5×10−5モル)であった。
【0123】
上記反応液5000部を図2及び図3に示す重合容器に仕込んだ後、反応液注入口2及び反応液パージ口3のガラスコックを閉じると共に温度計5を挿入して重合容器内部を密閉した。尚、図2及び図3に示すように、上記重合容器は、反応液注入口2と、反応液パージ口3と、温度計5と、重合部6と、パッキン4とを備えた型枠1である。
【0124】
上記重合容器を予め35℃に調製された恒温水槽(加熱装置)に浸漬し、重合(静置重合)を開始させた。従って、重合開始時の水槽温度(加熱温度)は35℃である。
【0125】
重合容器を恒温水槽に浸漬した後、重合が徐々に進行して、浸漬した時点から3.6時間後に重合温度がピークに達して82℃(ピーク温度)となった。この間、水槽温度を35℃に保持した。そして、重合開始温度がピークに達した後、更に0.5時間、水槽温度を35℃に保持した。次いで、水槽温度を35℃から75℃に0.5時間かけて連続的に昇温させた。そして、該温度(加熱温度)を2.0時間保持することにより熟成し重合を完結させた。重合終了後、重合容器を冷却し、ボルト・ナットを緩めて型枠を開き、内容物を取り出した。得られた内容物は透明な板状ゲルであった。固形分は37質量%であった。
【0126】
〔合成例2〕(アニオン性重合体、中和度100%、熱重合)
容量5Lのビーカーにアクリル酸ナトリウム37質量%水溶液1929部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸846.2部、イオン交換水1820部及びグリセリン41.3部を仕込み溶解した。該溶液に水酸化ナトリウム48質量%水溶液約340部を添加することにより、該溶液のpHを12.8に調製した。更に、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.117部を入れて攪拌溶解した後、少量のイオン交換水を加えることにより反応液5000部を調製した。反応液に含まれる溶存酸素は、窒素ガスをバブリングすることにより除去した。該反応液におけるアクリル酸ナトリウム及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムからなる単量体の濃度は33質量%であった。そして、単量体に対するグリセリンの添加量は2.5質量%であり、単量体1モルに対する過硫酸ナトリウムの添加量は0.010gであった。
【0127】
上記反応液5000部を合成例1で用いた重合容器に仕込んだ後、ガラスコックを閉じると共に、温度計を挿入して重合容器内部を密閉した。
【0128】
上記重合容器を予め38℃に調製された恒温水槽(加熱装置)に浸漬し、重合(静置重合)を開始した。従って、重合開始時の水槽温度(加熱温度)は38℃である。
【0129】
重合容器を恒温水槽に浸漬した後、重合が徐々に進行して、浸漬した時点から3.3時間後に重合温度がピークに達して62℃(ピーク温度)となった。この間、水槽温度を38℃に保持した。そして、重合開始温度がピークに達した後、更に0.5時間、水槽温度を38℃に保持した。次いで、水槽温度を38℃から75℃に0.5時間かけて連続的に昇温させた。そして、該温度(加熱温度)を2.0時間保持することにより熟成し重合を完結させた。重合終了後、重合容器を冷却し、ボルト・ナットを緩めて型枠を開き、内容物を取り出した。得られた内容物は、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム=65/35(モル比)の単量体由来の構成単位比を有する重合体からなる透明な板状ゲルであった。固形分は34質量%であった。
【0130】
〔合成例3〕(アニオン性重合体、中和度100%、熱重合)
容量5Lのビーカーにアクリル酸ナトリウム37質量%水溶液1490部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸993.2部、イオン交換水2070部及びグリセリン41.3部を仕込み溶解した。該溶液に水酸化ナトリウム48質量%水溶液約400部を添加することにより、該溶液のpHを12.8に調製した。更に、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.106部を入れて攪拌溶解した後、少量のイオン交換水を加えることにより反応液5000部を調製した。反応液に含まれる溶存酸素は、窒素ガスをバブリングすることにより除去した。該反応液におけるアクリル酸ナトリウム及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムからなる単量体の濃度は33質量%であった。そして、単量体に対するグリセリンの添加量は2.5質量%であり、単量体1モルに対する過硫酸ナトリウムの添加量は0.010gであった。
【0131】
上記反応液5000部を合成例1で用いた重合容器に仕込んだ後、ガラスコックを閉じると共に、温度計を挿入して重合容器内部を密閉した。
【0132】
上記重合容器を予め38℃に調製された恒温水槽(加熱装置)に浸漬し、重合(静置重合)を開始させた。従って、重合開始時の水槽温度(加熱温度)は38℃である。
【0133】
重合容器を恒温水槽に浸漬した後、重合が徐々に進行して、浸漬した時点から3.6時間後に重合温度がピークに達して60℃(ピーク温度)となった。この間、水槽温度を38℃に保持した。そして、重合開始温度がピークに達した後、更に0.5時間、水槽温度を38℃に保持した。次いで、水槽温度を38℃から75℃に0.5時間かけて連続的に昇温させた。そして、該温度(加熱温度)を2.0時間保持することにより熟成し重合を完結させた。重合終了後、重合容器を冷却し、ボルト・ナットを緩めて型枠を開き、内容物を取り出した。得られた内容物は、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム=55/45(モル比)の単量体由来の構成単位比を有する重合体からなる透明な板状ゲルであった。固形分は34質量%であった。
【0134】
〔合成例4〕(アニオン性重合体、中和度60%、光重合)
容量500mlのビーカーにアクリル酸76.1g、アクリル酸ナトリウム37質量%水溶液402.6g、イオン交換水16.58g、光重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩の5%水溶液2.13g及びジ亜リン酸ナトリウム1%水溶液2.64gを添加した。
【0135】
上記反応液中のアクリル酸とアクリル酸ナトリウムとからなる単量体の濃度は50質量%であり、中和度は60モル%であった。2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩の使用量は単量体1モルに対して0.04gの割合であった。また、次亜リン酸ナトリウムの使用量は単量体1モルに対して0.01gの割合であった。
【0136】
上記反応液を攪拌混合した後、該反応液を図4に示す重合容器に導いた。尚、上記重合容器は、SUS304製であり、底面に厚さが0.08mmのテフロン(登録商標)フィルム(接着剤は厚み0.05mmのシリコーン系)を貼り付けると共に下部には温度35℃に調整された水が循環通液している。上記重合容器には、温度計10が備えられ、底面には伝熱性基材8が設けられており、伝熱性基材8の上は離型材7で覆われている。上記重合容器の底部には、水入口12及び水出口13が備えられており、冷却水11が循環できるようになっている。
【0137】
サランラップ9(登録商標)で上記重合容器を覆った後、窒素バブリングすることにより反応液中の溶存酸素を除去した。
【0138】
次に、図5に示すように、高さ35cmの上部より、ランプホルダ15(東芝ライテック株式会社製)により横向きに設置されたブラックライト水銀ランプ14(東芝ライテック株式会社製、H100BL−L)を用い、上記反応液に光を照射した。尚、光強度は反応液の上面位置で3.7W/mとなっている。光強度は、光量計(カスタム社製のUVメータ(モデルUVA−365))を使用した。
【0139】
光照射を開始すると直ちに重合が開始して、16分後に一次ピーク温度の73℃に達した。その後、3分間放置後、図6に示すように、ランプホルダ15(東芝ライテック株式会社製)により、高さ15.5cm上部より縦向きに設置された反射笠17(SN−4057T、東芝ライテック株式会社製)付きブラックライト水銀ランプ16(東芝ライテック株式会社製、H400BL−L)を7分間照射し重合を完結した。尚、光強度は反応液の上面位置で17W/mとなっている。
【0140】
このようにして得られたゲル状重合体を重合容器から取り出したところ、容器に重合体が付着残留することなしに容易に離型した。得られたポリアクリル酸部分中和物からなる重合体の固形分は52質量%であった。
【0141】
〔合成例5〕(カチオン重合体)
容量10Lのガラス製耐圧4つ口フラスコに、メタクリル酸ジメチルアミノエチル2200部、水730部を仕込み、30℃で塩化メチルを吹き込みながら、圧力0.1MPaで5時間反応させた。反応終了後、過剰に吹き込んだ塩化メチルを除去して4級アンモニウム塩水溶液を得た。
【0142】
容量5Lのビーカーに上記4級アンモニウム塩水溶液1500部、アクリルアミド1860部、水1640部をフラスコに仕込み、窒素ガスをバブリングすることにより該溶液中に含まれている溶存酸素を除去した。次いで、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ナトリウム0.65部、過硫酸アンモニウム0.070部、重亜硫酸ナトリウム0.040部を添加混合した。該反応液を合成例1で用いた重合容器に入れ、予め30℃に温度調節された恒温水槽で重合を開始した。重合がピーク温度に到達後、1時間、同温度保持することにより重合を完結した。このようにして、カチオン性の含水ゲル状の重合体を得た。得られた内容物は透明な板状ゲルであり、固形分は60質量%であった。
【0143】
〔合成例6〕(ノニオン性重合体、熱重合)
容量5Lのビーカーに、アクリルアミド25質量%水溶液5000部を仕込み、窒素ガスをバブリングすることにより、該溶液中に含まれている溶存酸素を除去した。次いで、2,2’−アゾビス−2−(アミジノプロパン)2塩酸塩を500ppm、重亜硫酸ナトリウム20ppm及び硫酸第二鉄アンモニウムをFe換算で0.5ppm添加混合した後、該反応液を合成例1で用いた重合容器に入れ、予め18℃に調製された恒温水槽に5時間浸漬することにより重合を完結させた。得られた内容物は透明な板状ゲルであり、固形分は25.5質量%であった。
【0144】
〔合成例7〕
合成例1の重合をスケールを上げて行なった。つまり、重合容器のサイズとして縦1.2m、横1.0m、幅5cmと大きくした。更にこの重合枠50枚を一列に並べることにより1バッチあたり3トンの含水ゲルを得た。得られた含水ゲルの固形分は37質量%であった。
【0145】
〔参考例1〕
合成例1で得られた板状ゲルを短冊状に切断した後、ミートチョッパー(平賀工作所製、No.32E型、ダイス径4.5mmφ)に供給し、紐状に繋がったイクラ状(顆粒状)の押出ゲルを得た。この紐状に繋がったゲル粒子を手で細粒状に解した後、表1の条件で設定及び運転中のバッチ式振動乾燥機(QAD、三菱マテリアルテクノ社製)のデッキに均一に1.1kg積載した。この時のゲル層高は20mmであり、ゲル積載密度(単位面積あたりの積載量)は11.7kg/m(乾物換算での積載密度は4.3kg/m)であった。
【0146】
【表1】

【0147】
ゲルをデッキに積載すると同時に乾燥が開始され、表2に示すデータが得られた。乾燥中、ゲルはケーキング(凝集)することなく、独立粒子状態で振動していた。
【0148】
尚、含水率は乾燥中、所定時間毎に少量のサンプルを採取し、ケット赤外線水分計(FD−230)で測定した。23分で乾燥を終了した。冷却後、卓上型粉砕機で粉砕し、20メッシュの金網で分級することにより重合体(ポリアクリル酸ナトリウム)粉末(A−1)を得た。重合体粉末(A−1)の物性として、溶液粘度、不溶解分、ハンター白色度を以下に示す方法で測定した。その結果を表2に示す。
【0149】
〔溶液粘度の測定方法〕
(a)合成例1〜4及び7の含水ゲルから得られた重合体粉末の場合
容量500mlのビーカーにメタノール20mlを入れた後、重合体粉末を純分換算で1g添加した。この溶液をマグネチックスターラーで攪拌しながら、上記ビーカーにイオン交換水500mlを添加した。その後、ジャーテスターを使用し、100rpmで50分間撹拌させた後、30℃に温度調製してB型粘度計(TOKIMEC社製)で粘度を測定した(30rpm)。
【0150】
(b)合成例5の含水ゲルから得られた重合体粉末の場合
容量500mlのビーカーにイオン交換水500mlを入れ、マグネチックスターラーで撹拌しながら、重合体粉末を純分換算で5g添加した。ジャーテスターを使用し、100rpmで1時間撹拌させた後、塩化ナトリウム5.5gを添加して更に30分間撹拌した。次いで、25℃に温度調製してB型粘度計(TOKIMEC社製)で粘度を測定した(30rpm)。
【0151】
(c)合成例6の含水ゲルから得られた重合体粉末の場合
容量500mlのビーカーに4質量%塩化ナトリウム水溶液500mlを入れ、マグネチックスターラーで撹拌しながら、重合体粉末を純分換算で2.5g添加した。ジャーテスターを使用し100rpmで1時間撹拌させた後、25℃に温度調節してB型粘度計(TOKIMEC社製)で粘度を測定した(30rpm)。
【0152】
〔不溶解分の測定方法〕
容量500mlのビーカーにメタノール20mlを入れた後、重合体粉末を純分換算で1g添加した。マグネチックスターラーで撹拌しながら、イオン交換水500mlを添加した後、ジャーテスターを使用し、100rpmで50分間撹拌させた後、32メッシュのフィルターを用いて濾過することにより含水状態の不溶物(不溶解分)を取り出した。そして、この不溶物(不溶解分)が乾燥しないように素早く秤量し、下記計算式
不溶解分(質量%)=[不溶解分の質量(g)/500(g)]×100
により不溶解分を算出した。
【0153】
〔ハンター白色度の測定方法〕
ハンター白色度の測定は、Spectrophotometer SE2000(日本電色社製)で測定した。
【0154】
〔参考例2,3〕
積載時のゲル層高を表2に示した値とした他は参考例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−2)、(A−3)を得た。重合体粉末(A−2)、(A−3)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。
【0155】
〔参考例4,5〕
振動乾燥機のストローク(振動ストローク)を表2に示した値とした他は参考例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−4)、(A−5)を得た。重合体粉末(A−4)、(A−5)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。
【0156】
〔参考例6〜8〕
表2に示したミートチョッパーのダイス径でゲルを押出し、ゲルの粒子径を変更した他は参考例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−6)〜(A−8)を得た。重合体粉末(A−6)〜(A−8)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。
【0157】
〔参考例9,10〕
振動乾燥機の加振角度を表2に示した値とした他は参考例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−9)、(A−10)を得た。重合体粉末(A−9)、(A−10)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。
【0158】
〔参考例11,12〕
乾燥時の熱風温度を表2に示した値とした他は参考例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−11)、(A−12)を得た。重合体粉末(A−11)、(A−12)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。
【0159】
〔参考例13〜15〕
乾燥時の熱風の通過線速度を表2に示した値とした他は参考例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−13)〜(A−15)を得た。重合体粉末(A−13)〜(A−15)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。
【0160】
〔参考例16〕
合成例1で得られた板状ゲルを用いる替わりに、合成例2で得られたアクリル酸系の重合体を用いたこと以外は、参考例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−16)を得た。重合体粉末(A−16)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。
【0161】
〔参考例17〕
合成例1で得られた板状ゲルを用いる替わりに、合成例3で得られたアクリル酸系の重合体を用いたこと以外は、参考例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−17)を得た。重合体粉末(A−17)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。
【0162】
〔参考例18〕
合成例1で得られた板状ゲルを用いる替わりに、合成例4で得られたアクリル酸系の重合体を用いたこと以外は、参考例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−18)を得た。重合体粉末(A−18)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。
【0163】
〔参考例19〕
合成例1で得られた板状ゲルを用いる替わりに、合成例5で得られたカチオン性重合体を用いたこと以外は、参考例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−19)を得た。重合体粉末(A−19)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。
【0164】
〔参考例20〕
合成例1で得られた板状ゲルを用いる替わりに、合成例6で得られたノニオン性重合体を用いたこと以外は、参考例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−20)を得た。重合体粉末(A−20)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。
【0165】
【表2】

【0166】
〔参考例21〕
積載時のゲル層高を表3に示した値とした他は参考例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−21)を得た。重合体粉末(A−21)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表3に示す。
【0167】
〔参考例22〕
振動乾燥機のストロークを表3に示した値とした他は参考例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−22)を得た。重合体粉末(A−22)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表3に示す。
【0168】
〔参考例23〕
合成例1で得られた板状ゲルを用いる替わりに、合成例2で得られたアクリル酸系の重合体を用いたこと以外は、参考例22と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−23)を得た。重合体粉末(A−23)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表3に示す。
【0169】
〔参考例24〕
合成例1で得られた板状ゲルを用いる替わりに、合成例3で得られたアクリル酸系の重合体を用いたこと以外は、参考例22と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−24)を得た。重合体粉末(A−24)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表3に示す。
【0170】
〔参考例25〕
合成例1で得られた板状ゲルを用いる替わりに、合成例4で得られたアクリル酸系の重合体を用いたこと以外は、参考例22と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−25)を得た。重合体粉末(A−25)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表3に示す。
【0171】
〔参考例26〕
合成例1で得られた板状ゲルを用いる替わりに、合成例5で得られたカチオン性重合体を用い、熱風の温度を表3に示した値としたこと以外は、参考例22と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−26)を得た。重合体粉末(A−26)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表3に示す。
【0172】
〔参考例27〕
合成例5で得られた板状ゲルを用いる替わりに、合成例6で得られたノニオン性重合体を用いたこと以外は、参考例26と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−27)を得た。重合体粉末(A−27)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表3に示す。
【0173】
〔参考例28〕
振動乾燥機のストロークを表3に示した値とした他は、参考例21と同様に乾燥を行い、重合体粉末(A−28)を得た。重合体粉末(A−28)の物性を参考例1と同様に測定し、その結果を表3に示す。
【0174】
【表3】

【0175】
表2、3に示すバッチ式振動乾燥機を用いた結果より、ストロークが4mm以上であればケーキングを抑制して乾燥を行うことができることが確認できた。また、ストロークが4mm以上の条件で乾燥して得られた重合体粉末は、ストロークが4mm未満の条件で乾燥して得られた重合体粉末と比較して、溶液粘度は高く、不溶解分は低く、ハンター白色度は高くなる傾向が確認できた。これは、ストロークが4mm以上の条件で乾燥して得られた重合体粉末は、ストロークが4mm未満の条件で乾燥して得られた重合体粉末と比較して乾燥時間が短く、熱履歴が少ないためである。
【0176】
これらの結果に基づいて、より乾燥時間を短縮するため、以下の実施例に示す二台の連続式乾燥機を用いた二段乾燥を行なった。
【0177】
〔実施例1〕
合成例7で得られた板状ゲルを短冊状に切断した後、ミートチョッパー(平賀工作所製、No.72型、ダイス径4.5mmφ)に9.0kg/minの速度で供給し、紐状に繋がったイクラ状(顆粒状)の押出ゲルを連続的に得た。
【0178】
該紐状に繋がったゲル粒子を、ゲル解砕機(分散機)で細粒状に解しながら、図1に示す連続式乾燥機(前段乾燥機と後段乾燥機との2台で構成される乾燥システム)に供給した。前段乾燥機51及び後段乾燥機52の仕様並びに運転条件を表4に示す。
【0179】
【表4】

【0180】
尚、後段乾燥機52は、二次乾燥機として好ましい形態である振動乾燥機を用いている。一次乾燥並びに二次乾燥の両方で振動乾燥機を用いることで、非常に効率の良い、装置の壁等へのゲルの付着が少ない乾燥方法となる。
【0181】
尚、一次乾燥におけるゲル積載密度(単位面積あたりの積載量)は20.6kg/m(乾物換算での積載密度は7.6kg/m)であり、二次乾燥における乾物換算での積載密度は16.7kg/mに設定した。つまり、一次乾燥における乾物換算での単位面積あたりの積載量を1とした場合の二次乾燥における乾物換算での単位面積あたりの積載量は2.2に設定した。
【0182】
前段乾燥機51の入口付近におけるゲル層高は35mm、滞留時間は約8分であった。前段乾燥機51の出口から排出される乾燥途中品の含水率は32質量%であり、サラサラと流動性のある顆粒状であった。そして、該乾燥途中品の全量を後段乾燥機52に供給した。
【0183】
後段乾燥機52における滞留時間は約35分であった(乾燥ゾーンにおける滞留時間が約33分と冷却ゾーンにおける滞留時間が約2分との合計)。後段乾燥機より排出される乾物の温度は60℃であった。得られた乾物の含水率は1.3質量%であった。該乾物を卓上粉砕機で粉砕し、20メッシュパスとなるように分級し、ポリアクリル酸ナトリウムからなる重合体粉末(B−1)を得た。重合体粉末(B−1)の物性を参考例1と同様に測定した結果、溶液粘度が670mPa・sであり、不溶解分が0.15質量%であり、ハンター白色度が91.6%であった。
【0184】
〔比較例1〕
前段乾燥機51及び後段乾燥機52のストロークを3mmとした他は実施例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(C−1)を得た。
【0185】
尚、実施例1と同様に、一次乾燥におけるゲル積載密度(単位面積あたりの積載量)は20.6kg/m(乾物換算での積載密度は7.6kg/m)であり、二次乾燥における乾物換算での積載密度は16.7kg/mに設定した。つまり、一次乾燥における乾物換算での単位面積あたりの積載量を1とした場合の二次乾燥における乾物換算での単位面積あたりの積載量は2.2に設定した。
【0186】
前段乾燥機51出口から排出される乾燥途中品の含水率は42質量%であり、ケーキ状に凝集していた。
【0187】
重合体粉末(C−1)の含水率は3.4質量%であった。また、重合体粉末(C−1)の物性を参考例1と同様に測定した結果、溶液粘度が590mPa・sであり、不溶解分が3.2質量%であり、ハンター白色度が89.3%であった。
【0188】
〔実施例2〕
ミートチョッパーへの供給を14.1kg/minの速度で行い、前段乾燥機51の入口付近におけるゲル層高を55mmとした他は実施例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(D−1)を得た。
【0189】
尚、一次乾燥におけるゲル積載密度(単位面積あたりの積載量)は32.2kg/m(乾物換算での積載密度は11.9kg/m)であり、二次乾燥における乾物換算での積載密度は26.2kg/mに設定した。つまり、一次乾燥における乾物換算での単位面積あたりの積載量を1とした場合の二次乾燥における乾物換算での単位面積あたりの積載量は2.2に設定した。
【0190】
前段乾燥機51出口から排出される乾燥途中品の含水率は36質量%であり、部分的に若干量の凝集物が認められるものの、大半はサラサラした流動性のある顆粒物であった。
【0191】
後段乾燥機52より排出される乾物の温度は63℃であった。得られた該乾物の含水率は1.8質量%であった。
【0192】
重合体粉末(D−1)の物性を参考例1と同様に測定した結果、溶液粘度が630mPa・sであり、不溶解分が0.42質量%であり、ハンター白色度が90.7%であった。
【0193】
〔実施例3〕
後段乾燥機52における加振角度を変更することにより、後段乾燥機52における滞留時間を20分とした他は実施例1と同様に乾燥を行い、重合体粉末(E−1)を得た。
【0194】
尚、一次乾燥におけるゲル積載密度(単位面積あたりの積載量)は20.6kg/m(乾物換算での積載密度は7.6kg/m)であり、二次乾燥における乾物換算での積載密度は28.9kg/mに設定した。つまり、一次乾燥における乾物換算での単位面積あたりの積載量を1とした場合の二次乾燥における乾物換算での単位面積あたりの積載量は3.8に設定した。
【0195】
前段乾燥機51出口から排出される乾燥途中品の含水率は32質量%であり、サラサラと流動性のある顆粒物であった。
【0196】
後段乾燥機52より排出される乾物の温度は61℃であった。得られた該乾物の含水率は2.1質量%であった。
【0197】
重合体粉末(E−1)の物性を参考例1と同様に測定した結果、溶液粘度が640mPa・sであり、不溶解分が0.36質量%であり、ハンター白色度が90.3%であった。
【産業上の利用可能性】
【0198】
本発明の水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法は、ケーキング(凝集)を抑制し、かつ乾燥効率が高く、短時間で乾燥を行うことができる。よって、得られる水溶性重合体は、架橋反応等の副反応が起こり難く、不溶解成分が少なく着色が少ない。このため、水溶性重合体含水ゲルの乾燥に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】本実施の形態に係る乾燥方法で用いられる設備の一例の概略構成を示す平面図である。
【図2】合成例1で用いられる(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を製造するための反応装置の概略構成を示す平面図である。
【図3】図1の反応装置の概略構成を示す断面図である。
【図4】合成例4で用いられる(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を製造するための反応容器の概略構成を示す側面図である。
【図5】合成例4で用いられる(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を製造するための一次反応における反応装置の概略構成を示す側面図である。
【図6】合成例4で用いられる(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を製造するための二次反応における反応装置の概略構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0200】
51 前段乾燥機(連続式振動乾燥機)
52 後段乾燥機(通気乾燥機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二段乾燥による水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法であって、
連続式振動乾燥機を用い、微細化した水溶性重合体含水ゲルを乾燥デッキ上に積載し、該水溶性重合体含水ゲルを4mm以上の振動ストロークで振動させると共に、水溶性重合体含水ゲルに乾燥デッキの下部から熱風を通過させることにより一次乾燥を行なった後に、通気乾燥機を用いて二次乾燥を行うことを特徴とする水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法。
【請求項2】
微細化した上記水溶性重合体含水ゲルを層高が5mm以上50mm以下の範囲内となるように積載することにより一次乾燥を行うことを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法。
【請求項3】
微細化した上記水溶性重合体含水ゲルを層高が10mm以上40mm以下の範囲内となるように積載することにより一次乾燥を行うことを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法。
【請求項4】
上記振動ストロークが5mm以上10mm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法。
【請求項5】
微細化した上記水溶性重合体含水ゲルは、ダイス径が2mm以上20mm以下の範囲内である押出機から排出された押出ゲルであることを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法。
【請求項6】
二次乾燥で用いる上記通気乾燥機は、連続式通気乾燥機であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法。
【請求項7】
一次乾燥における熱風の通過線速度が0.5m/s以上2m/s以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法。
【請求項8】
上記水溶性重合体含水ゲルにおける水溶性重合体の質量平均分子量が100万以上2000万以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法。
【請求項9】
上記水溶性重合体含水ゲルにおける水溶性重合体は、アクリル酸若しくはその塩を60モル%以上含む単量体組成物を重合して得られる重合体であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法。
【請求項10】
一次乾燥における乾燥機出口での上記水溶性重合体含水ゲルの含水率が5質量%以上40質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法。
【請求項11】
乾物換算での単位面積あたりの積載量を、一次乾燥よりも二次乾燥の方を多くすることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法。
【請求項12】
一次乾燥後の水溶性重合体含水ゲルを解砕した後に、二次乾燥することを特徴とする水溶性重合体含水ゲルの乾燥方法。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項の乾燥方法により水溶性重合体含水ゲルを乾燥して得られることを特徴とする水溶性重合体。
【請求項14】
不溶解分が1質量%以下であることを特徴とする請求項13に記載の水溶性重合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−62570(P2008−62570A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244654(P2006−244654)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)
【Fターム(参考)】