説明

汚染土壌仕分け装置

【課題】 重金属で汚染された土壌の汚染度検出及び検出にあたっての前処理をオンラインで正確に行うとともに、検出結果に正確に対応して汚染土壌を仕分けることができる汚染度樹仕分け装置を提供する。
【解決手段】 間欠して所定の角度ずつ回転するターンテーブル10上に、複数の容器11を周方向に配列する。これらの容器にホッパー12から重金属で汚染された土壌の所定量を順次に投入する。前記土壌の投入位置の下流側で停止する位置には前処理装置13が設けられ、容器内で堆積する土壌の高さを調整し、その下流側で蛍光X線分析装置14により汚染度を検出する。さらに下流側には複数の停止位置に対応して、それぞれにベルトコンベア16,17,18が設けられ、制御装置15が上記蛍光X線分析装置の検出結果に基づいて移載するコンベアを選択し、対応するコンベアが設けられた位置で停止したときに容器内の土壌を移載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油や重金属で汚染した土壌を浄化する設備を構成し、汚染土壌が搬送されるライン上で順次に複数の処理を行うものであって、汚染土壌の汚染度合いや汚染物質を検出し、この検出結果に基づいて土壌を仕分けして、仕分けられたそれぞれの土壌に異なる処理を行うことを可能とする、汚染土壌仕分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業活動によって、市街地や工場跡地、射撃場などで、油分、有機溶剤、重金属による汚染が顕在化し社会問題になっている。一般的に汚染土壌の浄化処理方法は、処理に先立ち、対象地を水平、垂直方向に区分してサンプルを採取分析し、汚染分布を把握して処理土壌を限定する方法が採用される。この方法は対象地の区分を細分化するほど正確に汚染分布を把握できるが、費用がかかるために細分化には限度がある。
【0003】
特に重金属による汚染では、土壌を均等に汚染せずに塊状に分布することがあって、サンプリングによる分析では区分された領域の汚染度を代表できないことがある。さらに過去に造成された土地には外部から汚染土壌が搬入された場合があり、この場合にも塊状に汚染度が分布してサンプリングから外れるおそれがある。このため、通常は対象地の全量を処理設備に投入処理することになって、浄化設備が大型となるばかりでなく、浄化の必要のない清浄土壌を含めて処理することになるので処理コストが上昇するおそれがある。
【0004】
これらの問題を解決する方法として、特許文献1には浄化設備へ汚染土壌を投入する前にオンラインで汚染物質、汚染度合いを検出し、予め定めた管理基準と比較して汚染土壌を選別する土壌選別装置が開示されている。オンラインで汚染度を分析する手段として蛍光X線分析装置を採用するもので、このような手段を採用することによって、汚染物質、汚染度を迅速に分析判断することができ、浄化方法の選定が容易となる。また、この土壌選別装置ではベルトコンベアで搬送される土壌をオンラインで分析する前に均し部材にて土壌の層厚を調整する機構を備えており、蛍光X線分析装置と測定対象土壌の距離を一定に保ち測定精度を高く維持しようとするものである。
【特許文献1】特開2003−166956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の装置では、次にような改良が望まれる課題がある。
ベルト上で連続して搬送される土壌の汚染度を蛍光X線分析法で測定しようとすると、土壌に大きな塊、例えば20mmから30mm程度のものが含まれている場合、それらの塊が均し部材通過後に跳ね上がり、土壌の均し具合を劣化させる。このようにして生じた対象土壌との測定距離の変動は測定精度に影響を及ぼす。通常の蛍光X線分析法では、予め濃度既知の標準試料を用いて検量線を作り、該検量線によって定量分析を行なうが、蛍光X線分析器と測定対象土壌の距離が3mmを超えると該検量線が該距離によって異なってしまうため、同一の検量線を用いて定量分析を行なうと汚染濃度と測定結果とに誤差が生じる。従って、蛍光X線分析器と測定対象土壌の距離を3mm以下に保ち精度を維持する必要がある場合には、別途に対策が必要となり、例えば汚染土壌の汚染度を検出するにあたってオフラインで前処理を施す必要がある。このため、処理の効率が著しく低下することになる。
【0006】
また、上記従来の技術では、汚染度の検出結果に基づいて土壌を選別するときに、ベルト上で連続して搬送されてくる土壌を空気の噴射で仕分けるものとなっている。このため、汚染の分布によっては連続して搬送されている土壌を正確に仕分けるのが難しくなることがある。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、汚染土壌の汚染度検出前処理をオンラインで正確に行なうことを可能にする機構を具備し、測定誤差の少ないオンライン汚染度検出を可能にするとともに、検出結果に正確に対応して汚染土壌を仕分けることことができる、汚染土壌仕分け装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に係る発明は、 間欠して所定の角度ずつ回転するターンテーブルと、 前記ターンテーブル上で周方向に配列された複数の容器と、 所定の位置に停止する前記容器に、重金属で汚染された土壌の所定量を順次に投入するホッパーと、 前記土壌の投入位置の下流側で停止する容器内の土壌の汚染度を検出する汚染度検出手段と、 汚染度を検出する位置の下流側で停止する複数の停止位置に対応して、それぞれに設けられた複数の搬送手段と、 前記搬送手段と対応した位置に停止した容器から前記搬送手段に該容器内の土壌を移載する移載手段と、 前記汚染度検出手段の検出結果に基づき、前記搬送手段と対応した位置に停止した容器内の土壌の汚染度が、予め搬送手段毎に設定された汚染度の範囲と対比し、一致するときに該搬送手段に容器内の土壌を移載するように前記移載手段を制御する制御手段を備える汚染土壌仕分け装置を提供する。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の汚染土壌仕分け装置において、 前記汚染度検出手段が、蛍光X線分析装置であるものとする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の汚染土壌仕分け装置において、 前記汚染度検出手段が設けられた位置の上流側で前記容器が停止する位置に、前記容器内に投入された土壌の堆積高さを調整する前処理手段を有するものとする。
【0011】
本発明は、同一のラインの中で汚染土壌の汚染度検出前処理と汚染度検出とが実施できることを可能にするキーデバイスとして、ターンテーブルを導入している。そして、汚染度の検出の精度を向上するとともに、汚染度の検出結果に正確に対応した仕分けを可能すするために、汚染土壌を所定量ずつに分割してそれぞれを容器に収容し、これらの分割部分毎に処理を行うものとしている。さらに、ターンテーブル上で行われる複数の処理を精度良く行うともに、処理の必要時間が各々異なることを、土壌の搬送を間欠して行う(インデックス送りにする)ことで解決している。
【0012】
つまり、この発明では、ターンテーブル上に支持された容器に所定量毎に分割して汚染土壌を収容し、この所定量毎に処理を行うので汚染度検出の前処理、及び汚染度の検出を正確に行うことができる。そして、ターテーブルが間欠して回転駆動されるものとなっているので、処理は静止した状態で行うことができ、処理の精度を向上させることが可能となる。さらに、容器毎に汚染度の検出が行われ、この容器毎に仕分けが行われるので、汚染後の検出結果との対応が明確となり、精度の良い仕分けが可能となる。そして、各処理工程で必要となる時間が異なる場合にも、間欠駆動の静止時間を適切に設定することにより、円滑な処理工程とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明による汚染土壌の仕分け装置は、汚染土壌の汚染度を正確に測定できるとともに、検出結果に正確に対応して土壌を仕分けることができる。したがって、重金属等の有害物質により汚染された土地の修復において浄化が必要な土壌のみを対象に浄化処理を行い、浄化設備の適正化、処理期間の短縮,処理コストの削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る汚染土壌仕分け装置の一実施形態を示す概略平面図である。
この装置は、間欠して回転駆動されるターンテーブル10を有しており、このターンテーブル10の上に複数の容器11が周方向に配列されている。そして、ターンテーブル10の1回の移動量つまり回転角度は、周方向に配列された容器11が順次同じ位置で停止るように、容器が配列される中心角と一致するように制御される。上記容器11は30リットル程度の土壌を収容することができるものであり、この容器毎に汚染度を検出し、この検出値に基づいて、容器毎に土壌を仕分けるものである。この装置は、土壌を、処理が不要でそのまま埋め戻し等に用いることができる未処理再利用土壌、浄化処理をを行った後に埋め戻し等の利用が可能になる浄化再利用土壌、及び産業廃棄物として厳重に管理された処理施設に収容するか又は厳重な処理が必要となる浄化不可能土壌の3段階に仕分ける例を示している。
【0015】
上記ターンテーブル10の周囲には、支持された容器11が停止する位置に対応して、容器11に所定量の土壌を計量して投入するホッパー12と、容器11に収容された土壌22の汚染度を検出する前の処理つまり土壌が堆積する高さを調整する動作を行う前処理装置(土壌平坦化ジグ)25と、容器内の土壌の汚染度を検出する汚染度検出手段として設けられた蛍光X線分析装置14と、容器内の土壌が移載され次の処理工程に搬送する搬送手段としてのベルトコンベア16,17,18とが備えられている。ベルトコンベア16,17,18は、複数の停止位置に対応して複数(この例では3機)が設けられており、それぞれは異なる処理工程つまり第1のベルトコンベア16は、未処理再利用土壌として処理する工程へ、第2のベルトコンベア17は浄化再利用土壌として処理する工程へ、第3のベルトコンベア18は浄化不可能土壌として処理する工程へ土壌を搬送するものとなっている。
【0016】
また、ベルトコンベア16,17,18が設けられた停止位置4,5,6では、容器内の土壌をベルトコンベアに移載するための手段がそれぞれに設けられ、上記蛍光X線分析装置14からの検出結果に基づき、制御装置15が容器内の土壌をベルトコンベアに移載するか、次のベルトコンベアが設けられた位置へそのまま移動するかを判別し、上記移載手段を制御する。これにより、3つのベルトコンベアから選択されたものに容器内の土壌を移載するものとなっている。
【0017】
上記構成の詳細を次に説明する。
上記ターンテーブル10は、周方向に配列して支持された複数の容器11の配置間隔に対応して、これらの容器11が同じ位置に順次停止するように間欠して回転駆動されるものである。この間欠駆動の1ステップつまり駆動を開始してから一旦停止し、次に駆動を開始するまでの時間は、例えば5秒程度に設定され、静止時間が3秒程度、容器が停止位置から次の停止位置へ移動する時間が2秒程度となっている。静止時間は、このターンテーブル上で行われる処理に必要な時間に応じて定めることができるものであり、必要な範囲でできるだけ短く設定される。また、1ステップ毎の駆動時間は、ターンテーブルの規模、停止位置の間隔、駆動装置の性能等によって定まるものであるが、できるだけ短くするのが望ましい。
【0018】
上記ホッパー12は、図2に示すようにベルトコンベア20から重金属等によって汚染された土壌21が投入されるものであり、これを所定量(この例では30リットル)毎に計量して、間欠して移動するターンテーブル10上の容器11に順次投入するものである。
【0019】
上記前処理装置である土壌平坦化ジグ25は、次のように容器内に収容された土壌22の高さを調整する。図3及び図4は、この前処理装置による土壌の高さを調整する工程を示すものである。
この土壌22の入った容器が停止位置2に送られてきて停止する。そのタイミングに合わせ、図3に示すように土壌22が入った容器11の上部より1軸または平行複数軸でガイドされた土壌平坦化ジグ25が降下する。これにより、図4に示すように土壌平坦化ジグ25が土壌の上部を押さえつけ、堆積された土壌の上面を決められた位置まで押す下げる。この操作により、図5に示すように堆積する土壌の上面の高さを次の工程で汚染度を検出する蛍光X線分析装置14に対して、その検出面から3mm以内に容易に設定することができる。
【0020】
汚染度検出手段である蛍光X線分析装置14は、低価格、小型サイズでメンテナンス性に優れている市販のエネルギー分散方式の蛍光X線分析装置を用いることができる。本実施例では、接触型エネルギー分散方式蛍光X線分析装置(アワーズテック社製、型式100FII)を用いており、2〜3秒で所望の濃度測定が可能であ
る。より高パワーの同型蛍光X線分析装置を用いることで、さらに濃度測定時間は短縮できる。
そして、上記前処理装置によって、容器内の土壌22の上面の高さが正確に調整されていることにより、蛍光X線分析の精度は±20%以内が可能となる。なお、図6に示されるようにホッパーから容器に供給された土壌の高さが調整されないままであると容器内で土壌の高さが変動し、蛍光X線分析法を行ったときの誤差が大きくなり正確な汚染度測定ができない。
【0021】
上記蛍光X線分析装置14を用いて汚染度を検出することができる土壌としては、その汚染源として例えば、鉛、カドミウム、砒素、水銀、セレン、クロムなどの重金属類の1種または複数種を含んだ汚染土壌を挙げることができる。
【0022】
上記搬送手段であるベルトコンベア16,17,18は、対応する位置4,5,6で停止した容器11から土壌が移載され、次の処理工程つまり未処理再利用土壌として処理する工程、浄化再利用土壌として処理する工程、浄化不可能土壌として処理する工程へ土壌をそれぞれ搬送するものとなっている。
【0023】
容器から上記ベルトコンベア16,17,18に土壌22を移載する手段は、容器を反転させて収容する土壌をベルトコンベアに投下する手段や、図7に示すように容器11を分割して収容する土壌22をベルトコンベア16上に落下させる手段を採用することができる。
【0024】
上記移載手段は、蛍光X線分析装置14による検出結果に基づき、制御装置15によって動作が制御されるものとなっている。例えば、未処理再使用土壌を搬送する第1のベルトコンベア16に対応する停止位置4では、該停止位置4にある容器内の土壌の汚染度が未処理再利用土壌として処理できるものであるか否かを判別し、未処理再利用土壌に該当するときにのみ移載手段を動作させて、容器内の土壌を第1のベルトコンベア16に移載する。そして、未処理再利用土壌に該当しないときには移載手段を動作させず、ターンテーブル10の回転によって次の停止位置5へ移動させる。浄化再利用土壌を搬送する第2のベルトコンベア17と対応する停止位置5及び浄化不可能土壌を搬送する第3のベルトコンベア18と対応する停止位置6でも移載手段が同様に制御されるものとなっている。
【0025】
次に、図8に示すフローに基づいて仕分け方法を具体的に説明する。
停止位置1にある容器11に、ホッパー12から所定量(本例では30リットル)の汚染した土壌が投入される。ターンテーブル10の間欠駆動により停止位置2へ移動して停止したときに、土壌平坦化ジグ25により、図3及び図4に示すように堆積する土壌22の上面が調整される。さらにターンテーブル10が回転駆動され、停止位置3で停止したときには、蛍光X線分析装置14の検知面と3mm以下の間隔で対向し、蛍光X線の照射によって汚染度の検出が行われる。この検出値は、制御装置15に入力される。
【0026】
ターンテーブル10の回転により汚染土壌を収容した容器11が、未使用再利用土壌を搬送する第1のベルトコンベア16が設けられた停止位置4に停止すると、制御装置15において上記蛍光X線分析装置14によって検出された汚染度が未処理再利用土壌に該当するものであるか否かが判定され、未処理再利用土壌である判定されたときには、移載手段が作動される。これにより土壌22は、浄化再利用土壌として搬送する第1のベルトコンベア16に移載され、未処理再利用土壌置き場に搬送される。この土壌は汚染度が低く浄化の必要がないためバックホウなどで埋め戻すことができる。蛍光X線分析装置14による検出結果が、未処理再利用土壌に該当しないと判定されたときには、移載手段は動作されず、容器11に土壌22を収容したまま次の停止位置5に移動される。
【0027】
土壌22を収容した容器11が、第2のベルトコンベア17つまり浄化再利用土壌を搬送するベルトコンベアが設けられている停止位置5に停止すると、土壌の汚染度が浄化再利用土壌に該当するが否かが判定される。そして、浄化再利用土壌であると判定されたときには、移載手段が動作して容器内の土壌が第2のベルトコンベア17に移載され、浄化装置(図示しない)へ搬送される。その後、浄化装置において浄化処理が行われる。汚染度が浄化再利用土壌に該当するものではないと判別されたときには移載手段は動作されず、次の停止位置6へ移動する。
【0028】
停止位置6に容器が停止したときには、土壌の汚染度が浄化不可能土壌に該当するが否かが判定される。そして、浄化不可能土壌であると判定されたときには、移載手段が動作して、容器内の土壌が第3のベルトコンベア18に移載され、所定の場所に搬送される。浄化不可能土壌は、浄化設備で複数回浄化して再利用するか運転条件を調整して浄化し再利用するか、又は産業廃棄物として廃棄するかは別途判断する。
【0029】
停止位置6に停止した容器内に土壌が収容されているときには、その土壌は浄化不可能土壌に該当するものであり、全て第3のベルトコンベア18に移載されるものであるが、停止位置4又は停止値5において既に土壌が第1又は第2のベルトコンベアに移載されているときには、、収容していた土壌が浄化不可能土壌に該当するものではなく、移載手段は動作せずに次の位置に移動する。
なお、停止位置7は予備的に設けられているものであり、この部分に第4のベルトコンベアを設置して、土壌を4段階に仕分けることもできる。またこの停止位置7で容器の清掃等の他の工程を行うように設定することもできる。
【0030】
図8に基づいて説明した上記工程は、一つの容器及びこれに収容された土壌に注目して、これらについて行われる工程を順次に説明したものであるが、次にこの汚染土壌仕分け装置に設けられた複数の容器及びこれらに投入された土壌についての処理のタイミングを図9に基づいて説明する。
【0031】
図9は、間欠して所定の角度ずつ回転駆動(インデックス動作)されるターンテーブル10の動作及び仕分け処理のタイミングを示すものであり、横方向に時間の経過を示し、縦方向に処理を行う停止位置を示すものである。
最初に土壌を投入するホッパー12が設けられた停止位置1では、この位置に停止した容器に所定量の土壌Aが投入される。そして、ターンテーブル10のインデックス動作により停止位置1には順次別の容器が停止し、これらに土壌B、土壌C、土壌D、土壌Eというように所定量の土壌が次々に投入される。そして、これらの容器にが順次に前処理装置13が設けられた停止位置2,蛍光X線分席装置14が設けられた停止位置3へと移動する。つまり、一つの容器に土壌Aが投入された後、最初のインデックス動作が行われた時には、土壌Aを収容する容器は、前処理装置13が設けられた停止位置2に移動し、土壌の高さが調整される。このとき停止位置1では次の容器が準備され、土壌Bが投入される。2回目のインデックス動作では、土壌Aの載った容器は停止位置3に移動し、土壌Bの載った容器は土壌の高さを調整する停止位置2に、さらに土壌が投入される停止位置1には次の容器が準備される。そして、土壌Aは停止位置3で蛍光X線分析装置14により汚染濃度の検出が行われる。
【0032】
3回目のインデックス動作では土壌Aを収容する容器は、未処理再利用土壌を搬送する第1のベルトコンベア16が設けられた停止位置4に移動し、土壌Aの汚染度が未処理再利用土壌に該当するものであると判定されていることにより、移載手段によりこの停止位置で土壌Aは第1のベルトコンベア16に移載される。4回目のインデックス動作で土壌Bを収容する容器が停止位置4に停止したときには、土壌Bが浄化再利用土壌であると判定されていることにより、停止位置4では移載手段が作動せず、5回目のインデックス動作によって次の停止位置5に移動する。また、この5回目のインデックス動作によって土壌Cが収容された容器は停止位置4に移動している。停止位置5には浄化再利用土壌を搬送する第2のベルトコンベア17が設けられ、この位置に移動した土壌Bの判定結果と第2のベルトコンベア17の搬送対象とが一致するため、この位置で移載手段が動作し、土壌Bは第2のベルトコンベア17に移載される。また停止位置4にある土壌Cは、浄化不可能土壌と判定されており、移載手段は動作しない。
【0033】
6回目のインデックス動作によって土壌Cが停止位置5に、土壌Dが停止位置4に到達したときには、浄化不可能土壌である土壌Cは、停止位置5が浄化再利用土壌を搬送する第2のベルトコンベア17が設けられていることと対応せず、浄化再利用土壌と判別された土壌Dは、停止位置4が未処理再利用土壌を搬送する第1のベルトコンベア16が設けられていることと対応せず、いずれの位置でも移載手段は動作しない。そして、次の7回目のインデックス動作によって、土壌Cは停止位置6に、土壌Dは停止位置5に至り、停止位置4には土壌Eが移動する。このときには、浄化不可能土壌である土壌Cは、停止位置6が浄化不可能土壌を搬送する位置であることと対応し、浄化再利用土壌である土壌Dは、停止位置5が浄化再利用土壌を搬送する位置であることと対応しているので、停止位置6及び停止位置5において移載手段が動作し、土壌Cは第3のベルトコンベア18に、土壌Dは第2のベルトコンベア17に移載されて搬送される。また、土壌Eは、浄化再利用土壌と判別されていることにより、停止位置4では移載されず、次のインデックス動作で次の停止位置5に移動する。
【0034】
以上のように、ターンテーブル10の回転が停止している時間に、容器への汚染土壌の投入、容器内に収容された汚染土壌の汚染度検出前処理、容器内の土壌の汚染度検出、および容器内の汚染土壌を選択された搬送経路へ移載する動作が、それぞれ異なる位置でほぼ同時に行われる。
【0035】
以上に説明した実施の形態では、ターンテーブル10上の土壌の移動方向における上流側から下流側に向けて順に、未処理再利用土壌を移載する位置、浄化再利用土壌を移載する位置、浄化不可能土壌を移載する位置が設けられた例となっているが、この移載する位置の数および並べ方については、取り扱う汚染土壌に応じて適宜に定められるものでありこの実施例に限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態である汚染土壌仕分け装置の構成を示す概略平面図である。
【図2】図1に示す汚染土壌仕分け装置におけるホッパー及びターンテーブルの動作を示す概略図である。
【図3】容器内に収容された汚染土壌の堆積高さを調整する機構の構成と動作を示す概略図である。
【図4】容器内に収容された汚染土壌の堆積高さを調整する機構の構成と動作を示す概略図である。
【図5】容器内で堆積高さが調整された土壌に蛍光X線分析装置が対向した状態を示す概略図である。
【図6】容器内で堆積高さが調整されていない土壌に蛍光X線分析装置が対向した状態を比較のために示す概略図である。
【図7】土壌の移載手段の一例を示す概略断面図である。
【図8】図1に示す汚染土壌仕分け装置の動作を示すフロー図である。
【図9】図1に示す汚染土壌仕分け装置におけるターンテーブルの動作と仕分け処理とのタイミングを示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1:停止位置1[土壌を容器に投入する位置]
2:停止位置2[容器内土壌の高さ調整を行う位置]
3:停止位置3[汚染度を検出する位置]
4:停止位置4[未処理再利用土壌を移載する位置]
5:停止位置5[浄化再利用土壌を移載する位置]
6:停止位置6[浄化不可能土壌を移載する位置]
7:停止位置7[予備停止位置]
10:ターンテーブル、
11:容器、
12:ホッパー、
14:蛍光X線分析装置、
15:制御装置、
16:第1のベルトコンベア(未処理再利用土壌搬送用のコンベア)、
17:第2のベルトコンベア(浄化再利用土壌搬送用のコンベア)、
18:第3のベルトコンベア(浄化不可能土壌搬送用のコンベア)、
20:土壌投入用ベルトコンベア、
21:汚染土壌、
22:容器に収容された土壌、
25:土壌平坦化ジグ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠して所定の角度ずつ回転するターンテーブルと、
前記ターンテーブル上で周方向に配列された複数の容器と、
所定の位置に停止する前記容器に、重金属で汚染された土壌の所定量を順次に投入するホッパーと、
前記土壌の投入位置の下流側で停止する容器内の土壌の汚染度を検出する汚染度検出手段と、
汚染度を検出する位置の下流側で停止する複数の停止位置に対応して、それぞれに設けられた複数の搬送手段と、
前記搬送手段と対応した位置に停止した容器から前記搬送手段に該容器内の土壌を移載する移載手段と、
前記汚染度検出手段の検出結果に基づき、前記搬送手段と対応した位置に停止した容器内の土壌の汚染度が、予め搬送手段毎に設定された汚染度の範囲と対比し、一致するときに該搬送手段に容器内の土壌を移載するように前記移載手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする汚染土壌仕分け装置。
【請求項2】
前記汚染度検出手段が、蛍光X線分析装置であることを特徴とする請求項1に記載の汚染土壌仕分け装置。
【請求項3】
前記汚染度検出手段が設けられた位置の上流側で前記容器が停止する位置に、前記容器内に投入された土壌の堆積高さを調整する前処理手段を有することを特徴とする請求項1に記載の汚染土壌仕分け装置。






【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−7576(P2007−7576A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192600(P2005−192600)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】