説明

油およびガス工業におけるスチール構造物を接合するための溶接金属組成物

油、ガス、および/または石油化学の用途で用いるための金属構造物、およびこれらの構造物を形成するための方法が提供される。これは、非鉄または高合金溶接金属組成物、若しくは高合金溶接金属組成物と接合される。溶接された金属構造物には、鉄または非鉄部材の二種以上の部分、および融接物、摩擦撹拌溶接物、またはそれらの組み合わせが含まれる。得られる溶接された構造物は、従来の鉄ベースの溶接組成物に比較して、疲労耐性、靭性、変形性能、強度、応力腐食割れ耐性、および水素脆性耐性の向上を示す。構造物、およびこれらの構造物を形成する方法は、天然ガスの輸送および貯蔵、油およびガスの坑井仕上げおよび生産、並びに油およびガスの精製所および石油化学プラントの用途において、金属部材を接合するのに有利である。溶接金属としては、Inconel 625、Ti64、ステンレス鋼、マルエージング鋼、析出硬化鋼が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、スチール構造物および部材を溶接する分野に関する。より詳しくは、本開示は、油およびガス工業におけるスチール構造物および部材を、非鉄溶接金属を用いて溶接して、高性能ジョイントを達成することに関する。
【背景技術】
【0002】
便宜上、本明細書で用いられる種々の溶接用語は、次の用語集に定義される。
【0003】
用語集
「CRA」:腐食耐性合金。腐食問題を示すであろう仕上げ部材に用いられる特定処方の物質。腐食耐性合金は、広範囲の攻撃的条件に対して処方されてもよい。
「HAZ」:熱影響部。
「熱影響部」:溶接線に隣接し、溶接熱によって影響されるベース金属。
「靱性」:割れ開始に対する耐性。
「疲労」:繰返し負荷における疲労に対する耐性。
「フレッティング疲労」:フレッティングは、小さな繰返しの相対接線方向の動きを経る表面間の接触を含む。フレッティング疲労耐性は、切込み金属部品、または孔を有する金属部品における疲労に対する耐性である。
「降伏強度」:変形なしに、負荷に耐える能力。
「FS」:摩擦撹拌。
「FSW」:摩擦撹拌溶接。
「摩擦撹拌溶接」:溶接されたジョイントを二つの加工物の間に作製するための固体状態の接合プロセスであり、金属加工物を接合するための熱は、器具の回転ピンを、加工物の間に押込むことによって生成される。
「FSP」:摩擦撹拌処理。
「摩擦撹拌処理」:ピンを構造物に一部押込んで、FSW器具を表面に押付けることによって、構造物の表面を処理および条件付けをする方法。
「溶接ジョイント」:溶接されたジョイントは、溶融されるかまたは熱加工変質された金属、および溶融金属の「極く近傍」の、しかしそれを超えるベース金属を含む。溶融金属の「極く近傍」内にあると考えられるベース金属の部分は、溶接分野の当業者に知られる要因に従って異なる。
「溶接物」:溶接によって接合された部材部品の組み合わせ。
「溶接性」:特定の金属または合金を溶接する可能性。多数の要因が、溶接性に影響を及ぼす。これには、化学、表面仕上げ、熱処理傾向などが含まれる。
「炭素当量」:スチールの溶接性を定義するのに用いられるパラメータであり、次式によって表される。即ち、
CE=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15
である。式中、すべての単位は、wt%である。
「水素割れ」:溶接の後に、溶接部に生じる割れ。
「TMAZ」:熱加工変質部。
「熱加工変質部」:温度サイクルおよび塑性変形の両方を経ているジョイントの領域。
「TMAZ−HZ」:溶接物における最も硬い領域。
「LNG」:液化天然ガス。常圧および低温下に液化されたガス(主にメタン)。
「CNG」:圧縮天然ガス。高度に圧縮された(但し、液化点まではでない)高圧面コンテナ内の天然ガス。
「PLNG」:加圧液化天然ガス。中圧および中温(LNGより高温)下に液化されたガス(主にメタン)。
「SCR」:スチールカテナリーライザー。プラットホームから単一のカテナリー内に吊下げられ、海底に水平に固定された深海スチールライザー。
「TTR」:最高緊張ライザー。沖合の油掘削装置上のライザーであり、均等な圧力を海洋ライザーパイプ上に保持するように、緊張状態で配置される。
「インバー」:低い熱膨張係数を有するように特に設計された鉄およびニッケルの合金。
「デュープレックス」:二相(特に、オーステナイトおよびフェライト)からなるスチール。
「トリー」:坑井からの油およびガスの流れを制御するのに用いられるバルブ、パイプ、および継手のアセンブリ。
「BOP」:噴出防止装置。坑口に設置されて、掘削中のケーシングおよび掘削パイプまたは管類の間の環状空間、仕上げ、および改修作業における圧力を制御する装置。
「OCTG」:油井管。ケーシング、管類、平端ケーシングライナー、チップジョイント、継手、固定器具、および平端掘削パイプに適用される用語である。
「半潜水型海洋掘削装置」:運転中の安定性を与えるために、水中に沈められた浮体またはポンツーンを有する可動掘削プラットホーム。360m以上までの大深海で用いられる。錨、または動的位置決め(dynamic positioning)によって位置が保持される。
「甲板昇降式海洋掘削装置」:深度100m未満の浅海で用いられる伸縮自在のレグを有する可動式掘削プラットホーム。
「TLP」:緊張係留型プラットホーム。海底に投錨された多数の緊張保持ケーブルによって定位置に保持された浮体沖合構造物。ケーブルは、波作用を減衰して、プラットホームが定位置に保持される。
「DDCV」:深喫水ケーソン船。深喫水表面は、円柱タイプの浮体を貫通し、特に深海に良好に適する。これは、掘削、最高緊張ライザー、および乾式仕上げを付帯する。
「コンプライアントタワー」:掘削および生産運転のための従来のデッキを支持する狭い柔構造の塔、およびパイル基礎である。有意な横方向の振れおよび力に耐えるように設計され、典型的には、水深1,500から3,000フィート(450〜900m)で用いられる。
「FPSO」:浮体生産、貯蔵および荷降ろし船。改装または注文製造の船型浮体であって、油およびガスを処理し、油を、積替え前に一次的に貯蔵するのに用いられる。
「FSO」:浮体貯蔵および荷降ろし船。浮体貯蔵装置(通常、油用)は、普通には、パイプラインを、海岸へ敷設するのが可能でないか、または効率的でない場合に用いられる。生産プラットホームは、油をFSOへ移送するであろう。その際、それは、タンカーが、到着しFSOに固定して、それが荷降ろしされるまで、貯蔵されるであろう。
「係留索」:浮体プラットホームを恒久的に係留する管状繋ぎケーブル。これは、構造物の各コーナーに取りつけられる。
「アンビリカル」:電気ケーブルまたは光ファイバをまた含むことができる油圧ホースアセンブリ。海中構造物またはROV(水中テレビロボット)を、プラットホームまたは船から制御するのに用いられる。
「補給船」:海岸近くの施設へ、およびそこから乗客および補給物を運ぶための支援/供給船。
【0004】
長年の要求
殆どのスチール構造物は、スチール(鉄ベースとも呼ばれる)溶接金属と溶接される。これらのスチール溶接部は、一般に、炭素約0.1wt%および他の合金元素(Mn、Ni、Cu、およびそれらの組み合わせなど)2〜3wt%以下を有する鉄である。これらの鉄溶接部/溶接物に発現される靱性および残留応力は、ベーススチールの性状、溶接金属のタイプ、および溶接過程に伴う熱サイクルの複雑な相互作用の結果である。殆どの溶接された構造物の性能(例えば、負荷能力、疲労、環境割れ)は、溶接物の性状によって制御される。これは、溶接部および熱加工変質部(HAZ)からなる。溶接部の性状は、溶接金属の化学を設計することによって制御されることができるものの、ジョイントの性能は、ベース/溶接金属の化学、および溶接手順の間の複雑な相互作用によって表される。従来、殆どのスチール構造物は、鉄ベース溶接金属を用いて融接することによって接合される。鉄ベース溶接部を用いる主な理由は、それらの低コスト、合金化によるベース金属の強度に匹敵する能力、および工業的な広範な使用である。
【0005】
多くの陸上ベースの構造物の用途に対する溶接物の完全性の不足は、冗長性の増大によって、調整されることができるものの、これらの手法は、部材の重量が決定的である沖合および深海の構造物に対しては実用的でない。これらの構造物においては、構造物の完全性を限定しないように、溶接物の完全性を強化することが必要である。パイプおよび管などの金属部品を接合して、油、ガス、および地熱の坑井などのパイプラインを形成することは、殆どの場合、スチール構造物または部材を、これらの従来の鉄ベース溶接金属と従来のアーク溶接または融接することによって行なわれる。アーク溶接または融接は、典型的には、スチール溶接金属を溶融して、二つの鉄部材または部品を接合するジョイントがもたらされる工程を含む。
【0006】
これらの鉄ベース金属ジョイントは、典型的には、許容可能な性状を有する。しかし、溶接物の強度、靱性、および完全性の向上は、更に、溶接物の性能を向上し、対応して構造物/部材の性能を向上するであろう。例えば、沖合パイプラインのためのスチールパイプを鉄ベース溶接物と溶接する場合には、レイバージの船尾にぶら下がる完成パイプに起因する曲げ応力の問題がある。加えて、従来の鉄ベースの融接されたジョイントは、ジョイントの機械的完全性を低下する他の属性を欠点として有する。これらの属性の例は、引張残留応力、水素割れ、溶融不良の欠陥、および低い靱性である。従って、優れた性能を有するジョイントを達成するために、スチールを迅速に接合するための新規な溶接金属組成物の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第11/643,528号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概して、本開示は、鉄以外の元素(即ち非鉄)、または高鉄含有量の合金から主になる溶接金属の使用を提供する。その際、強度向上は、炭素以外の素材に由来して、油、ガス、および石油化学工業におけるスチール部材および構造物を接合する際に、溶接物の性状および性能が向上される。
【0009】
本開示の一形態においては、好都合な油、ガス、および石油化学の鉄または非鉄物質の構造物が提供される。この構造物は、鉄または非鉄部材の二種以上の部分、および部材の隣接する部分を相互に結合する融接部、摩擦撹拌溶接部、またはそれらの組み合わせを含み、その際溶接部は、二種以上の部材の金属組成物と実質的に異なる、非鉄溶接金属組成物または高合金溶接金属組成物を含む。
【0010】
本開示の他の形態においては、油、ガス、および/または石油化学の用途のための鉄または非鉄物質の構造物を接合する好都合な方法が提供される。この方法は、鉄または非鉄部材の二種以上の部分を提供する工程、および部材の隣接する部分を相互に、融接するか、摩擦撹拌溶接するか、またはそれらの組み合わせを行なう工程を含み、その際溶接部は、二種以上の部材の金属組成物と実質的に異なる、非鉄溶接金属組成物または高合金溶接金属組成物を含む。
【0011】
本開示の更に他の形態においては、目的とする用途のために選択された特定の性状または性状の組を有する溶接部をもたらすための、二種以上の鉄または非鉄部材を溶接するための好都合な方法が提供される。この方法は、複数の条件下に融接するか、摩擦撹拌溶接するか、またはそれらの組み合わせを行なうことによって、種々の溶接金属組成物から形成される溶接部のための溶接性状のデータベースを得る工程、溶接条件および溶接金属組成物を溶接性状に対して相関付ける工程、溶接条件を、目的とする用途に最も適した性状または性状の組を有する溶接部をもたらすであろうデータベースから選択する工程、および部材を、溶接された構造物を形成するように選択された条件下に、融接、摩擦撹拌溶接、またはそれらの組み合わせに付す工程を含み、その際溶接部は、二種以上の部材の金属組成物と実質的に異なる、非鉄溶接金属組成物または高合金溶接金属組成物を含む。
【0012】
本明細書に開示される、強度向上が炭素溶接金属以外の素材に由来する新規な非鉄または高鉄含有量の合金、これらの金属を溶接する方法、並びに油およびガスの用途におけるこれらの金属の用途についての種々の形態は、次の詳細な説明を理解する際に、明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
溶接物の性状は、溶接手順によって影響されてもよいものの、溶接金属が、溶接されるべきベーススチール部材のものと実質的に異なる組成および性状を有する場合に、同等のまたはより大きな効果が達成されることができることが発見されている。特に、(いくつかの系において)溶接金属の熱膨張係数および相転移温度を制御する能力は、溶接金属の性状をより良好に制御する能力を提供する。加えて、溶接金属の結晶構造(例えば、立方晶対六方晶)および機械的な流動に対するその効果は、溶接物の性状に実質的な効果を及ぼすことができる。溶接金属の化学は、物質組成物が溶接金属組成物と実質的に異なるベース金属部材を結合する場合には、溶接物の完全性を高めるための特定の性状を達成するように製作されることができることが発見されている。本開示の目的の実質的な相違は、溶接のための溶接金属組成物および構造部材組成物が、異なる物質からなることを意味する。即ち、溶接金属の主要元素、および/または主要合金元素のタイプは、構造部材の主要元素および/または主要合金元素の対応するタイプと同じではない。
【0014】
本明細書に開示される向上された溶接金属には、適切な合金化による非鉄ベース化学(例えば、Ni、V、Ti、Co、Cr、Mn、Zr、Hfベース合金)、またはこれらの合金の組み合わせのいかなるものも含まれて、必要とされる溶接金属の性状が達成される。これらの非鉄系に添加される合金化元素は系による。しかし、いくつかの限定しない例示の添加には、上記に列記されるもの(Ni、V、Ti、Co、Cr、Mn、Zr、Hf)だけでなく、アルミニウム、スズ、モリブデン、ケイ素、ニオブ、およびそれらの組み合わせも含まれる。
【0015】
本明細書に開示される溶接部として用いるための非鉄合金については、合金の50wt%超、または60wt%超、または70wt%超、または80wt%超、または90wt%超、若しくは合金の95wt%超は、次の元素の一種以上から選択される。即ち、Ni、Mn、V、Ti、Co、Zr、およびHfである。加えて、本明細書に開示される溶接部として用いるためのこれらの非鉄合金にはまた、任意に、鉄50wt%未満、または40wt%未満、または30wt%未満、または20wt%未満、または10wt%未満、または5wt%未満が含まれてもよい。溶接部として用いるためのこれらの非鉄合金の強度は、析出物の形態または主要相(溶接部の50wt%超を構成するものとして定義される)の転移の形態のいずれかにおける、相転移に起因してもよい。溶接部として用いるための非鉄合金は、Ni、Mn、V、Ti、Co、Cr、Zr、またはHf、若しくは二種以上の非鉄元素の組み合わせに基づくいずれの商業合金であってもよい。
【0016】
一例示形態においては、好都合な商業ニッケル合金は、Inconel 625を含んでもよい。これは、次の化学を有するニッケルベース合金である。即ち、Ni−21%Cr−5%Fe−10%Mo−4%Nbである。他の例示形態においては、好都合な商業チタン合金は、Ti64を含んでもよい。これは、次の化学を有するチタンベース合金である。即ち、Ti−6%Al−4%Vである。或いは、溶接部は、商業合金中に見出されるものとは異なるレベルで、これらの元素の他の組み合わせからなってもよい(例えば、ニッケルおよびチタン合金のブレンド)。一般に、溶接金属にされることができる非鉄元素のいかなる組み合わせも、これらの用途のための候補であろう。
【0017】
本明細書に開示される溶接金属の別の形態においては、高合金溶接部に、主元素として鉄が含まれてもよく、また、典型的なスチール中に見出されるより高濃度で、他の元素が含まれてもよい。例は、ステンレススチール(Fe−18%Cr−10%Ni)、析出硬化(PH)スチール(Fe−16%Cr−6%Ni−1%Al)、およびマルエージングスチールを含む他のFe−ベース合金である。先に開示される非鉄合金と区別されるように、これらの本発明の溶接金属は、本明細書においては、「非炭素強化元素を有する高合金溶接金属または鉄合金」と呼ばれるであろう。非炭素強化元素を有するこれらの高合金溶接金属または鉄合金は、炭素以外の元素によって強化される。従って、炭素は、0.05wt%未満、または0.025wt%未満、または0.01wt%未満で存在してもよい。或いは、炭素は、恐らくは痕跡不純物のレベルを除いて、これらの高合金溶接金属から完全に不在であってもよい。
【0018】
本開示はまた、これらの非鉄溶接金属および高合金溶接金属を用いて、(従来用いられるスチール溶接金属に替えて)スチール構造物が接合され、高性能ジョイントが達成されることに関する。溶接金属は、溶接物の性状で重要な役割を果たす。従来のスチール溶接金属を、本明細書の非鉄金属(例えば、ニッケル、チタン、コバルト合金)または開示される高合金溶接金属(スチールと比較して異なる物理的および機械的性状を有する)で置換えることは、溶接物の完全性を、いくつかの点で高める。先ず、本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属は、その固有の微細構造の結果として、溶接部の強度および靭性を高めてもよい。第二に、本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属は、物理的性状(歪硬化係数、熱膨張係数、融解潜熱、より高い相転移温度、および異なる高温流動応力など)に対するその効果の結果として、残留応力に対するその効果により、溶接物の完全性を高めてもよい。溶接されるスチール部材/構造物と比較したこれらの性状の相違は、溶接物の性状を高める機会を提供する。疲労、HAZ、並びに溶接金属の強度および靭性などである。
【0019】
一態様においては、本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物は、鋳鉄および炭素スチール部材を溶接する際に有用である。他の態様においては、本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物は、特に、高炭素スチール(特にCE0.48以上を有するもの)を溶接する際に有用である。例示であるが、限定しない平滑炭素および合金スチールには、AISI 1010、1020、1040、1080、1095、A36、A516、A440、A633、A656、4063、4340、および6150が含まれる。例示であるが、限定しない高炭素スチールには、AISI WI、SI、O1、A2、D2、M1、およびAPI L80が含まれる。本開示の他の態様においては、本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物は、限定されることなくステンレススチールを含めて、鉄腐食耐性合金を溶接する際に有用である。例示であるが、限定しないステンレススチールには、AISI 409、446、304、316L、410、440A、17−7PH、およびデュープレックスステンレススチールが含まれる。本開示の更なる様態においては、本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物は、限定されることなくチタン合金、コバルト合金、鉄−ニッケル合金、およびニッケル合金を含めて、非鉄合金を処理/溶接する際に有用である。
【0020】
本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物は、全ての従来の融接方法を用いて溶接されてもよい。これには、限定されることなく、SMAW(被覆金属アーク溶接)、SAW(サブマージドアーク溶接)、GMAW(ガス金属アーク溶接)、FCAW(フラックス有芯アーク溶接)、PAW(プラズマアーク溶接)、ESW(エレクトロスラグ溶接)、EGW(エレクトロガス溶接)、RW(抵抗溶接)、およびOFW(オキシ燃料ガス溶接)が含まれる。加えて、非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物は、摩擦撹拌溶接(FSW)などの固体状態の方法、または融接方法および固体状態溶接方法(FSW)の組み合わせによって溶接されてもよい。FSWの利点は、主に、次の特徴から導かれる。即ち、(1)接合を行うのに必要とされるより低い温度。ジョイントのより低い温度は、隣接するベース金属に、より少ない有害な影響(例えば、粗粒)をもたらす。(2)細粒サイズ(向上された強度および靭性を導く)をもたらす、器具の回転に起因する高度の塑性変形、および(3)融接(しばしば、アーク中の残留湿分の分解による水素脆化を受けやすい)に比較して、溶接物における水素脆化の回避である。油、ガス、および石油化学用途におけるFSW溶接の使用は、特許文献1に開示される。これは、全体が参照により本明細書に援用される。
【0021】
本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物を用いることによってもたらされる好都合な性状には、次の限定しない性状の一種以上が含まれる。即ち、増大された疲労耐性、増大された靭性、増大された変形性能、増大された強度、増大された応力腐食割れ耐性、およびより高い水素脆性耐性である。
【0022】
用途
本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物は、デュープレックスステンレススチール(デュープレックスSSまたはDSS)を溶接する際に用いられてもよい。デュープレックスSSは、その強度および腐食耐性を、フェライトおよびオーステナイト相の制御された平衡から引き出す。バルクのデュープレックスSSにおける所望の相混合物は、高温加工、および/または低温加工および焼鈍処理の組み合わせを制御することによって達成される。しかし、デュープレックスSSが溶接される場合には、スチールは、単相のフェライト領域で非常に高い温度へ加熱され、室温への冷却時にはデュープレックス相へ冷却する。室温で溶接物に必要な相平衡を達成するためには、溶接部の冷却速度は、制御されなければならない。実際には、冷却速度は変動し、相平衡、従って溶接物の得られる性状が、かなり影響を及ぼされる。本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物を用いるデュープレックスSSの溶接は、向上されたジョイント性状を提供してもよい。非鉄溶接部の場合には、溶接部は、主に、単相(例えば、立方晶または六方晶)からなる。従って、不適切な冷却による溶接性状の低下は、最小化されるであろう。溶接部は、本質的に単相を有し、従って冷却速度には敏感ではないであろう。
【0023】
本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物は、例えば、スポット溶接部および突合わせ溶接部などの溶接部を形成するのに、並びに溶接領域を補修するのに用いられてもよい。より詳しくは、本明細書に開示される溶接組成物は、油、ガス、および石油化学工業に付随するスチール構造物および構造部材を、それぞれ、接合および補修/処理するのに用いられてもよい。本明細書に開示される溶接組成物は、部材が作製される製鋼所などの製造施設か、または部材が組立てられる製作場の作業場のいずれかにおいて用いられてもよい。本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物を用いる融接、FSW、およびそれらの組み合わせはまた、油およびガスの探査、生産、および精製用途において、構造物を形成および補修/処理するのに適切である。FSWは、これらのタイプの用途において、管状部材のスポット溶接部および突合わせ溶接部を形成するのに、特に好都合である。
【0024】
油およびガスの探査、生産、精製工業における、例示であるが、限定しない構造物は、本明細書に開示される新規な非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物が適切であるが、これには、高強度パイプラインの溶接領域、SCRおよびTTRの溶接領域、ねじ切り部材、油掘削装置の溶接領域(即ち、深海油掘削ストリングの二つの部分)、液化天然ガス(LNG)、および加圧液化天然ガス(PLNG)または圧縮天然ガス(CNG)コンテナの溶接領域、ライザー/ケーシングのジョイント、および坑口装置が含まれる。
【0025】
油およびガスの上流部門の用途においては、本明細書に開示される新規な非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物はまた、天然ガスの輸送および貯蔵タイプの用途で用いられる構造物および部材を接合および補修するのに適切である。特に、本明細書に開示される溶接金属は、パイプライン、圧縮天然ガス(CNG)、加圧液化天然ガス(PLNG)、液化天然ガス(LNG)にわたるガス輸送技術、および他の貯蔵/輸送技術を可能にするのに用いられてもよい。天然ガスの輸送および貯蔵タイプの用途における一形態においては、本明細書に開示される溶接組成物は、パイプライン、流動ライン、集合ライン、伸縮曲管、および他の輸送ラインを接合/処理するのに用いられてもよい。天然ガスの輸送および貯蔵タイプの用途における他の形態においては、本明細書に開示される溶接組成物は、炭素スチール、鋳鉄、構造用スチール、または腐食耐性合金(スチール、鋳鉄、ステンレススチール、デュープレックスステンレススチール、ニッケルまたはコバルトベース合金、他のFe−Ni合金(例えばInvar)を含む)から作製される物質を接合/処理するのに、または他の異種金属(例えば、スチールおよびニッケル)を接合するのに用いられてもよい。天然ガスの輸送および貯蔵タイプの用途における更に他の形態においては、本明細書に開示される溶接組成物は、LNG、CNG、およびPLNGの貯蔵および/または輸送構造物を接合/処理するのに用いられてもよい。これには、モジュール型LNG構造物、積込み船、移送部材およびパイプライン、並びに関連する技術(例えば、9%Niタンク、Invarタンク)が含まれる。
【0026】
油およびガスの探査および生産用途においては、本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物はまた、油およびガスの坑井仕上げおよび生産に用いられる種々の構造物を接合および補修するのに用いられてもよい。これらの構造物には、限定されることなく、沖合および陸上生産構造物、油パイプライン、油貯蔵タンク、ケーシング/管類、仕上げおよび生産部材、フローライン固定のための鋳物構造物、海中部材、坑内管状製品(例えば、OCTG)、トップサイドおよび関連構造物、アンビリカル、補給および供給船、並びにフレア塔が含まれる。より詳しくは、例示の沖合生産構造物には、ジャケット型プラットホーム、移動式沖合掘削装置、および関連生産部材(ケーシング、係留索、ライザー、および海中施設など)が含まれる。移動式沖合掘削装置には、限定されることなく、半潜水型および甲板昇降式海洋掘削装置、TLP、DDCV、コンプライアントタワー、FPSO、FSO、船舶、タンカーなどが含まれる。例示の海中部材には、限定されることなく、デュープレックス、マニホールド系、トリー、およびBOPが含まれる。例示のトップサイドおよび関連構造物には、デッキ上部構造物、掘削装置、住居、ヘリデッキ、および関連構造物が含まれる。FSWは、これらの構造物および部材を含む溶接部を形成するのに用いられてもよく、FSPは、これらの構造物を含む溶接部またはジョイントを補修および処理するのに用いられてもよいことが理解されるべきである。
【0027】
下流部門用途においては、本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物は、精製および化学プラントで用いられる構造物および部材を接合および補修するのに適する。本明細書に開示される溶接組成物は、精製および化学プラント用途における利点、とりわけ部材/構造物の補修、異種金属の接合、スチール構造物の接合、および溶接困難な物質(鋳鉄など)の接合による利点を示す。これらの用途には、限定されることなく、鋳鉄、熱交換器の管、並びに高低温プロセスおよび圧力容器が含まれる。例示の高低温プロセスおよび圧力容器には、スチーム分解装置の管、スチーム改質管、および製油所の構造物および部材が含まれる。
【0028】
本開示を実施するに際しては、本明細書に開示される新規な溶接組成物による溶融FSWまたはFSPを実施するか否かによらず、プロセスは、溶接物の所望の使用に基づいて、予め選択された性状または性状の組を有する溶接接合または割れ補修を提供するのに十分な条件下に行なわれる。例えば、溶接物の使用が、疲労より靱性を求める場合には、条件は、それらの性状を有する溶接物を優先するように選択される。
【0029】
本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物を用いる溶接方法の一形態においては、種々のベース金属に対する溶接性状のデータベース(限定されることなく、靱性、強度、硬度、疲労、粒子サイズなどを含む)が得られ、これは、溶接または補修が行なわれる溶接条件に相関される。性状または性状の組が、所望の用途の溶接接合に選択される場合には、用いられる溶接組成物および溶接または補修条件は、選択された性状をもたらすそれらの条件から選択される。
【0030】
容易に理解されるであろうように、上記の実施形態に記載される工作物は、同じベース金属から形成される必要はない。同様に、溶接金属組成物は、一般に、工作物と同じ金属から形成されない。従って、工作物は、一般に、鉄物質および溶接金属から形成される。これは、異なる物質からなる、本明細書に開示される溶接組成物を含む(本明細書に開示される非鉄溶接金属または高合金溶接金属組成物)。従って、溶接組成物、および溶接のための二つの工作物は、一般に、異なる物質から作製される。
【0031】
本出願人は、適切に予知されることができるであろう開示の主題について、全ての形態および用途を開示することを試みている。しかし、均等物として留まる予知不能な実質的でない修正は、存在してもよい。本発明の開示は、それらの特定の例示形態に関して記載されているものの、多くの変更、修正、および変形は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、上記の説明に照らして当業者に明らかであろうことが明白である。従って、本開示は、上記の詳細な説明について、全てのこれらの変更、修正、および変形を包含するものである。
【0032】
本明細書に引用される全ての特許、試験手順、および他の文献は、優先権書類を含めて、これらの開示が本発明と矛盾しない程度に引用することによって、およびこれらの包含が許容される全ての権限に対して完全に包含される。
【0033】
数値の下限および数値の上限が本明細書に列記される場合には、いかなる下限からいかなる上限の範囲も予想される。本明細書の詳細な説明および請求の全ての数値はまた、「約」によって修飾されるものとして理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油、ガスおよび/または石油化学用の鉄または非鉄物質構造物であって、
鉄製または非鉄製部材の二種以上の部分、および
前記部材の隣接する部分を相互に結合する融接部、摩擦撹拌溶接部またはそれらの組み合わせ
を含み、
前記溶接部は、前記二種以上の部材の金属組成物と実質的に異なる、非鉄溶接金属組成物または高合金溶接金属組成物を含むことを特徴とする構造物。
【請求項2】
前記鉄製または非鉄製部材は、普通炭素鋼、鋳鉄、CE0.48以上の高炭素鋼、チタン合金、ニッケルベース合金、コバルトベース合金、鉄ニッケル合金、ステンレス鋼、デュープレックスステンレス鋼またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の構造物。
【請求項3】
前記非鉄溶接金属組成物は、Ni、Mn、V、Ti、Co、Cr、Zr、Hfおよびそれらの組み合わせの合金よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の構造物。
【請求項4】
前記非鉄溶接金属組成物は、鉄50wt%未満を含むことを特徴とする請求項3に記載の構造物。
【請求項5】
前記非鉄溶接金属組成物は、鉄5wt%未満を含むことを特徴とする請求項4に記載の構造物。
【請求項6】
前記非鉄溶接金属組成物は、Inconel 625またはTi64であることを特徴とする請求項3に記載の構造物。
【請求項7】
前記高合金溶接金属組成物は、ステンレス鋼、析出硬化鋼およびマルエージング鋼よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の構造物。
【請求項8】
前記高合金溶接金属組成物は、炭素0.05wt%未満を含むことを特徴とする請求項7に記載の構造物。
【請求項9】
前記高合金溶接金属組成物は、炭素0.01wt%未満を含むことを特徴とする請求項8に記載の構造物。
【請求項10】
前記融接部を形成する方法は、SMAW、SAW、GMAW、FCAW、PAW、ESW、EGW、RWおよびOFWよりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の構造物。
【請求項11】
前記摩擦撹拌溶接の条件は、前記溶接部に影響を及ぼすのに用いられる摩擦撹拌溶接器具の回転速度、負荷および進行速度を含むことを特徴とする請求項1に記載の構造物。
【請求項12】
前記二種以上の部材および溶接部から形成される溶接物は、増大された耐疲労性、増大された靱性、増大された変形性能、増大された強度、増大された応力腐食割れ耐性およびより高い水素脆性耐性よりなる群から選択される一種以上を示すことを特徴とする請求項1に記載の構造物。
【請求項13】
高強度パイプライン、スチールカテナリーライザー、最強緊張ライザー、ねじ切り部材、液化天然ガスコンテナ、加圧液化天然ガスコンテナ、深海油ドリルストリング、ライザー/ケーシングジョイントおよび坑口装置よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の構造物。
【請求項14】
天然ガスの輸送および貯蔵タイプの構造物および部材に用いられることを特徴とする請求項1に記載の構造物。
【請求項15】
前記天然ガスの輸送および貯蔵タイプの構造物および部材は、パイプライン、流動ライン、集合ライン、輸送ライン、積込み船、移送部材、貯蔵タンクおよび伸縮曲管よりなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の構造物。
【請求項16】
前記天然ガスは、LNG、CNGまたはPLNGの形態にあることを特徴とする請求項15に記載の構造物。
【請求項17】
前記部材は、油およびガスの坑井仕上げ、並びに生産構造物および部材で用いられることを特徴とする請求項1に記載の構造物。
【請求項18】
前記油およびガスの坑井仕上げ、並びに生産構造物および部材は、流動固定のための鋳物構造物、海中部材、ケーシング/管類、仕上げおよび生産部材、坑内管状製品、油パイプライン、油貯蔵タンク、沖合生産構造物/部材、トップサイド、デッキ上部構造物、掘削装置、住居、ヘリデッキ、アンビリカル、補給および供給船およびフレア塔よりなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の構造物。
【請求項19】
前記沖合生産構造物/部材は、ジャケット型プラットホーム、移動式沖合掘削装置、ケーシング、係留索、ライザー、海中施設、半潜水型海洋掘削装置、甲板昇降式海洋掘削装置、TLP、DDCV、コンプライアント塔、FPSO、FSO、船舶およびタンカーよりなる群から選択されることを特徴とする請求項18に記載の構造物。
【請求項20】
前記海中部材は、デュープレックス、マニホールド系、トリーおよびBOPよりなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の構造物。
【請求項21】
油およびガスの精製所および化学プラントの構造物および部材に用いられることを特徴とする請求項1に記載の構造物。
【請求項22】
前記油およびガスの精製所および化学プラントの構造物および部材は、鋳鉄部材、熱交換器の管および高低温プロセスおよび圧力容器よりなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載の構造物。
【請求項23】
前記高低温プロセスおよび圧力容器は、スチーム分解装置の管およびスチーム改質管よりなる群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の構造物。
【請求項24】
油、ガスおよび/または石油化学用途のための鉄または非鉄物質構造物を接合する方法であって、
鉄製または非鉄製部材の二種以上の部分を提供する工程、および
前記部材の隣接する部分を、相互に融接、摩擦撹拌溶接またはそれらの組み合わせを行なう工程
を含み、
前記溶接部は、二種以上の前記部材の金属組成物と実質的に異なる、非鉄溶接金属組成物または高合金溶接金属組成物を含むことを特徴とする鉄または非鉄物質構造物の接合方法。
【請求項25】
前記鉄製または非鉄製部材は、普通炭素鋼、鋳鉄、CE0.48以上の高炭素鋼、チタン合金、ニッケルベース合金、コバルトベース合金、鉄ニッケル合金、ステンレス鋼、デュープレックスステンレス鋼またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記非鉄溶接金属組成物は、Ni、Mn、V、Ti、Co、Cr、Zr、Hf、およびそれらの組み合わせの合金よりなる群から選択されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記非鉄溶接金属組成物は、鉄50wt%未満を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記非鉄溶接金属組成物は、Inconel 625またはTi64であることを特徴とする請求項26に記載の構造物。
【請求項29】
前記高合金溶接金属組成物は、ステンレス鋼、析出硬化鋼およびマルエージング鋼よりなる群から選択されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記高合金溶接金属組成物は、炭素0.05wt%未満を含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項31】
前記融接部を形成する方法は、SMAW、SAW、GMAW、FCAW、PAW、ESW、EGW、RWおよびOFWよりなる群から選択されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記二種以上の部材および溶接部から形成される溶接物は、増大された疲労耐性、増大された靱性、増大された変形性能、増大された強度、増大された応力腐食割れ耐性およびより高い水素脆性耐性よりなる群から選択される一種以上を示すことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項33】
高強度パイプライン、スチールカテナリーライザー、最強緊張ライザー、ねじ切り部材、液化天然ガスコンテナ、加圧液化天然ガスコンテナ、深海油ドリルストリング、ライザー/ケーシングジョイントおよび坑口装置よりなる群から選択されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記構造物は、天然ガスの輸送および貯蔵タイプの構造物および部材で用いられることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記構造物は、前記天然ガスの輸送および貯蔵タイプの構造物および部材は、パイプライン、流動ライン、集合ライン、輸送ライン、積込み船、移送部材、貯蔵タンクおよび伸縮曲管よりなる群から選択されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記天然ガスは、LNG、CNGまたはPLNGの形態にあることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記部材は、油およびガスの坑井仕上げ並びに生産の構造物および部材で用いられることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記油およびガスの坑井仕上げおよび生産の構造物および部材は、流動固定に対する鋳物構造物、海中部材、ケーシング/管類、仕上げおよび生産部材、坑内管状製品、油パイプライン、油貯蔵タンク、沖合生産構造物/部材、トップサイド、デッキ上部構造物、掘削装置、住居、ヘリデッキ、アンビリカル、補給および供給船およびフレア塔よりなる群から選択されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記沖合生産構造物/部材は、ジャケット型プラットホーム、移動式沖合掘削装置、ケーシング、係留索、ライザー、海中施設、半潜水型海洋掘削装置、甲板昇降式海洋掘削装置、TLP、DDCV、コンプライアント塔、FPSO、FSO、船舶およびタンカーよりなる群から選択されることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記海中部材は、デュープレックス、マニホールド系、トリーおよびBOPよりなる群から選択されることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記構造物は、油およびガスの精製所および化学プラントの構造物および部材で用いられることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項42】
前記油およびガスの精製所および化学プラントの構造物および部材は、鋳鉄部材、熱交換器の管、および高低温プロセスおよび圧力容器よりなる群から選択されることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記高低温プロセスおよび圧力容器は、スチーム分解装置の管およびスチーム改質管よりなる群から選択されることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
目的とする用途のために選択された特定の性状または性状の組を有する溶接部をもたらすのに、二種以上の鉄製または非鉄製部材を溶接する方法であって、
融接、摩擦撹拌溶接またはそれらの組み合わせによって、複数の条件下に、種々の溶接金属組成物から形成される溶接部についての溶接性状のデータベースを得る工程、
溶接条件および溶接金属組成物を、前記溶接特性と関連付ける工程、
前記データベースから、目的とする用途に最も適した性状または性状の組を有する溶接部をもたらす溶接条件を選択する工程、および
溶接された構造物を形成するのに選択された前記条件下に、部材を融接、摩擦撹拌溶接またはそれらの組み合わせに付す工程
を含み、
前記溶接部は、前記二種以上の部材の金属組成物と実質的に異なる、非鉄溶接金属組成物または高合金溶接金属組成物を含むことを特徴とする溶接方法。
【請求項45】
前記鉄製または非鉄製部材は、普通炭素鋼、鋳鉄、CE0.48以上の高炭素鋼、チタン合金、ニッケルベース合金、コバルトベース合金、鉄ニッケル合金、ステンレス鋼、デュープレックスステンレス鋼またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記非鉄溶接金属組成物は、Ni、Mn、V、Ti、Co、Cr、Zr、Hfおよびそれらの組み合わせの合金よりなる群から選択されることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記高合金溶接金属組成物は、ステンレススチール、析出硬化鋼およびマルエージング鋼よりなる群から選択されることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項48】
高強度パイプライン、スチールカテナリーライザー、最強緊張ライザー、ねじ切り部材、液化天然ガスコンテナ、加圧液化天然ガスコンテナ、深海油ドリルストリング、ライザー/ケーシングジョイントおよび坑口装置よりなる群から選択されることを特徴とする請求項44に記載の方法。

【公表番号】特表2011−501698(P2011−501698A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525825(P2010−525825)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/010856
【国際公開番号】WO2009/038741
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】