説明

油圧制御装置

【課題】異なる変速装置間でのアキュムレータの共用化を図りつつ、当該アキュムレータと接続される油圧式摩擦係合要素の円滑な動作を確保する。
【解決手段】油圧制御装置50は、クラッチC1とC1リニアソレノイドバルブSLC1とを結ぶ油路L1と連通するアキュムレータ55を含み、クラッチC1の係合中に油温Toilが基準温度Tref以下であるときに、C1リニアソレノイドバルブSLC1は、クラッチC1が伝達すべきトルクに応じた油圧よりも高く、かつアキュムレータ55に作動油を充填可能とする油圧を生成するように制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速装置の動力入力部材に入力されたトルクを動力出力部材へと伝達可能な油圧式摩擦係合要素への油圧を制御する油圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の油圧制御装置として、マニュアルシフトバルブからの前進レンジ圧(ライン圧)を調圧して発進時に係合される第1クラッチへの油圧を調圧する第1ソレノイドバルブと、第1ソレノイドバルブからの油圧を第1クラッチへと供給するための油路に接続されたダンパ(アキュムレータ)とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この油圧制御装置では、上記ダンパにより、第1クラッチに給排される油圧の脈動が抑制されると共にサージ圧(急激な変動圧)が吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/084294号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の変速装置のように、クラッチとそれに対応した調圧バルブとを結ぶ油路にアキュムレータ(ダンパ)を接続するのは当該クラッチを円滑に作動させる上で有益である。ここで、変速装置を低コスト化することを考えると、比較的大容量の変速装置と比較的小容量の変速装置とでアキュムレータを共用することが望ましい。ただし、このようにアキュムレータを共用化する場合には、アキュムレータは大容量の変速装置に適合するように設計されることになるので、当該アキュムレータを比較的小容量の変速装置に何ら対策を施すことなく適用すると、却ってクラッチを円滑に作動させ得なくなるおそれもある。
【0005】
そこで、本発明は、異なる変速装置間でのアキュムレータの共用化を図りつつ、当該アキュムレータと接続される油圧式摩擦係合要素の円滑な動作を確保することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の油圧制御装置は、上記主目的を達成するために以下の手段を採っている。
【0007】
本発明の油圧制御装置は、
変速装置の動力入力部材に入力されたトルクを動力出力部材へと伝達可能な油圧式摩擦係合要素への油圧を制御する油圧制御装置において、
前記油圧式摩擦係合要素に供給される油圧を調圧する調圧バルブと、
前記油圧式摩擦係合要素と前記調圧バルブとを結ぶ油路と連通するアキュムレータと、
前記油圧式摩擦係合要素の係合中に該油圧式摩擦係合要素の係合に要する油圧よりも高く、かつ前記アキュムレータに作動油を充填可能とする油圧を生成するように前記調圧バルブを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
この油圧制御装置は、油圧式摩擦係合要素と調圧バルブとを結ぶ油路と連通するアキュムレータを備えるものであり、油圧式摩擦係合要素の係合中、調圧バルブは、当該油圧式摩擦係合要素の係合に要する油圧よりも高く、かつアキュムレータに作動油を充填可能とする油圧を生成するように制御される。これにより、比較的大容量の変速装置に適合されたアキュムレータを比較的小容量の変速装置に適用しても、油圧式摩擦係合要素の係合中にアキュムレータへの作動油の充填に伴う油圧の不足により当該油圧式摩擦係合要素に滑りを生じてしまうのを良好に抑制することが可能となる。従って、この油圧制御装置によれば、異なる変速装置間でのアキュムレータの共用化を図りつつ、当該アキュムレータと接続される油圧式摩擦係合要素の円滑な動作を確保することが可能となる。
【0009】
また、前記制御手段は、前記油圧式摩擦係合要素の係合中に前記作動油の温度が所定温度以下であるときに、該作動油の温度が所定温度を上回っているときに比べて高い油圧を生成するように前記調圧バルブを制御するものであってもよい。これにより、作動油の温度が低いときに、アキュムレータへの作動油の充填に伴う油圧の不足により油圧式摩擦係合要素に滑りを生じてしまうのを良好に抑制することが可能となる。
【0010】
更に、前記制御手段は、前記油圧式摩擦係合要素の係合中に前記作動油の温度が所定温度以下であるときに、前記動力入力部材に入力されたトルクと予め定められた前記油圧式摩擦係合要素のトルク分担比とに応じた油圧と前記作動油の温度に応じた下限油圧との大きい方を生成するように前記調圧バルブを制御するものであってもよい。これにより、油圧式摩擦係合要素に供給される油圧をより適正なものとすることが可能となる。
【0011】
また、前記油圧式摩擦係合要素は、前記変速装置の少なくとも第1速を形成するときに係合されるものであってもよい。これにより、油圧式摩擦係合要素を介して比較的大きなトルクが伝達される変速装置の第1速形成時に油圧式摩擦係合要素に滑りを生じてしまうのを良好に抑制することができる。また、例えば変速装置の第1速が形成された状態でニュートラルレンジ等が設定されたときには、アキュムレータに蓄えられた作動油が油圧式摩擦係合要素と調圧バルブとを結ぶ油路に供給されるので、油圧式摩擦係合要素の係合が急激に解除されること(トルク抜け)に伴うショックの発生を抑制することができる。
【0012】
更に、前記油圧制御装置は、油圧発生源からの油圧を調圧してライン圧を生成するライン圧生成バルブを備えてもよく、前記ライン圧生成バルブは、少なくとも前記第1速の形成時に前記調圧バルブからの油圧に応じた前記ライン圧を生成するものであってもよい。これにより、調圧バルブにより調圧される油圧式摩擦係合要素への油圧が高くなると、それに応じてライン圧も高まることから、油圧式摩擦係合要素に対して、アキュムレータに作動油を充填可能とする油圧を応答性よく供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る油圧制御装置50を含む動力伝達装置20を搭載した車両である自動車10の概略構成図である。
【図2】動力伝達装置20の概略構成図である。
【図3】動力伝達装置20に含まれる自動変速機30の各変速段とクラッチおよびブレーキの作動状態との関係を表した作動表である。
【図4】自動変速機30を構成する回転要素間における回転数の関係を例示する共線図である。
【図5】油圧制御装置50を示す系統図である。
【図6】動力伝達装置20の変速ECU21により実行される油圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図7】トルク分担比マップの一例を示す説明図である。
【図8】下限油圧設定用マップの一例を示す説明図である。
【図9】図6の油圧制御ルーチンが実行されたときに目標油圧Pslc1*やクラッチC1に実際に供給される油圧が変化する様子を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の実施例に係る油圧制御装置50を含む動力伝達装置20を搭載した車両である自動車10の概略構成図であり、図2は、動力伝達装置20の概略構成図である。図1に示す自動車10は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料と空気との混合気の爆発燃焼により動力を出力する内燃機関である原動機としてのエンジン12と、エンジン12を制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)14と、図示しない電子制御式油圧ブレーキユニットを制御するブレーキ用電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という)15と、流体伝動装置(発進装置)23や有段の自動変速機30、これらに作動油(作動流体)を給排する油圧制御装置50、これらを制御する変速用電子制御ユニット(以下、「変速ECU」という)21等を有し、エンジン12のクランクシャフト16に接続されると共にエンジン12からの動力を左右の駆動輪DWに伝達する動力伝達装置20とを備える。エンジンECU14、ブレーキECU15および変速ECU21は、何れも図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)等を有する。そして、エンジンECU14、ブレーキECU15および変速ECU21は、バスライン等を介して相互に接続されており、これらのECU間では制御に必要なデータのやり取りが随時実行される。
【0016】
エンジンECU14には、アクセルペダル91の踏み込み量(操作量)を検出するアクセルペダルポジションセンサ92からのアクセル開度Accや車速センサ99からの車速V、クランクシャフト16の回転を検出する図示しないクランクシャフトポジションセンサといった各種センサ等からの信号、ブレーキECU15や変速ECU21からの信号等が入力され、エンジンECU14は、これらの信号に基づいて何れも図示しない電子制御式スロットルバルブや燃料噴射弁、点火プラグ等を制御する。ブレーキECU15には、ブレーキペダル93が踏み込まれたときにマスタシリンダ圧センサ94により検出されるマスタシリンダ圧や車速センサ99からの車速V、図示しない各種センサ等からの信号、エンジンECU14や変速ECU21からの信号等が入力され、ブレーキECU15は、これらの信号に基づいて図示しないブレーキアクチュエータ(油圧アクチュエータ)等を制御する。動力伝達装置20の変速ECU21は、トランスミッションケース22の内部に収容される。変速ECU21には、複数のシフトレンジの中から所望のシフトレンジを選択するためのシフトレバー95の操作位置を検出するシフトレンジセンサ96からのシフトレンジSRや車速センサ99からの車速V、図示しない各種センサ等からの信号、エンジンECU14やブレーキECU15からの信号等が入力され、変速ECU21は、これらの信号に基づいて流体伝動装置23や自動変速機30等を制御する。
【0017】
動力伝達装置20は、トランスミッションケース22の内部に収容される流体伝動装置23や、油圧発生源としてのオイルポンプ29、自動変速機30等を含む。流体伝動装置23は、ロックアップクラッチ付きの流体式トルクコンバータとして構成されており、図2に示すように、フロントカバー18を介してエンジン12のクランクシャフト16に接続されるポンプインペラ24や、タービンハブを介して自動変速機30のインプットシャフト(動力入力部材)31に固定されるタービンランナ25、ポンプインペラ24およびタービンランナ25の内側に配置されてタービンランナ25からポンプインペラ24への作動油(ATF)の流れを整流するステータ26、ステータ26の回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ27、図示しないダンパ機構を有するロックアップクラッチ28等を含む。流体伝動装置23は、ポンプインペラ24とタービンランナ25との回転速度差が大きいときにはステータ26の作用によりトルク増幅機として機能し、両者の回転速度差が小さくなると流体継手として機能する。ロックアップクラッチ28は、フロントカバー18と自動変速機30のインプットシャフト31とを直結するロックアップと当該ロックアップの解除とを実行可能なものである。そして、自動車10の発進後、所定のロックアップオン条件が成立すると、ロックアップクラッチ28によりフロントカバー18と自動変速機30のインプットシャフト31とが直結(ロックアップ)され、エンジン12からの動力がインプットシャフト31に機械的かつ直接的に伝達されるようになる。この際、インプットシャフト31に伝達されるトルクの変動は、図示しないダンパ機構により吸収される。
【0018】
油圧発生源としてのオイルポンプ29は、ポンプボディとポンプカバーとからなるポンプアッセンブリと、ハブを介して流体伝動装置23のポンプインペラ24に接続された外歯ギヤとを備えるギヤポンプとして構成されており、油圧制御装置50に接続される。エンジン12が運転されているときには、当該エンジン12からの動力により外歯ギヤが回転し、それによりオイルポンプ29によってストレーナを介してオイルパン(何れも図示省略)に貯留されている作動油が吸引されると共に当該オイルポンプ29から吐出される。従って、エンジン12の運転中には、オイルポンプ29により流体伝動装置23や自動変速機30により要求される油圧を発生させたり、各種軸受などの潤滑部分に作動油を供給したりすることができる。
【0019】
自動変速機30は、比較的低出力のエンジン12に適合された比較的小容量の4段変速式変速機として構成されており、図2に示すように、ラビニヨ式遊星歯車機構32と、入力側から出力側までの動力伝達経路を変更するための複数のクラッチC1,C2およびC3と2つのブレーキB1およびB3とワンウェイクラッチF2とを含む。ラビニヨ式遊星歯車機構32は、外歯歯車である2つのサンギヤ33a,33bと、自動変速機30のアウトプットシャフト(動力出力部材)37に固定された内歯歯車であるリングギヤ34と、サンギヤ33aに噛合する複数のショートピニオンギヤ35aと、サンギヤ33bおよび複数のショートピニオンギヤ35aに噛合すると共にリングギヤ34に噛合する複数のロングピニオンギヤ35bと、互いに連結された複数のショートピニオンギヤ35aおよび複数のロングピニオンギヤ35bを自転かつ公転自在に保持すると共にワンウェイクラッチF2を介してトランスミッションケース22に支持されたキャリア36とを有する。そして、自動変速機30のアウトプットシャフト37は、ギヤ機構38および差動機構39を介して駆動輪DWに接続される。
【0020】
クラッチC1は、インプットシャフト31とラビニヨ式遊星歯車機構32のサンギヤ33aとを締結すると共に両者の締結を解除することができる油圧クラッチである。クラッチC2は、インプットシャフト31とラビニヨ式遊星歯車機構32のキャリア36とを締結すると共に両者の締結を解除することができる油圧クラッチである。クラッチC3は、インプットシャフト31とラビニヨ式遊星歯車機構32のサンギヤ33bとを締結すると共に両者の締結を解除することができる油圧クラッチである。ブレーキB1は、ラビニヨ式遊星歯車機構32のサンギヤ33bをトランスミッションケース22に固定すると共にサンギヤ33bのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる油圧クラッチである。ブレーキB3は、ラビニヨ式遊星歯車機構32のキャリア36をトランスミッションケース22に固定すると共にキャリア36のトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる油圧クラッチである。これらのクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB3は、油圧制御装置50による作動油の給排を受けて動作する。図3に、自動変速機30の各変速段とクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB3ならびにワンウェイクラッチF2の作動状態との関係を表した作動表を示し、図4に自動変速機30を構成する回転要素間における回転数の関係を例示する共線図を示す。自動変速機30は、クラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB3を図3の作動表に示す状態にすることで前進1〜4速の変速段と後進1段の変速段とを提供する。
【0021】
図5は、上述のロックアップクラッチ28を含む流体伝動装置23や自動変速機30に対して作動油を給排する油圧制御装置50を示す系統図である。油圧制御装置50は、エンジン12からの動力により駆動されてオイルパンから作動油を吸引して吐出する上述のオイルポンプ29に接続されるものであり、図5に示すように、オイルポンプ29からの作動油を調圧してライン圧PLを生成するプライマリレギュレータバルブ51や、シフトレバー95の操作位置に応じてプライマリレギュレータバルブ51からのライン圧PLの供給先を切り替えるマニュアルバルブ52、マニュアルバルブ52(プライマリレギュレータバルブ51)からのライン圧PLを調圧してクラッチC1へのC1ソレノイド圧Pslc1を生成するC1リニアソレノイドバルブSLC1、マニュアルバルブ52(プライマリレギュレータバルブ51)からのライン圧PLを調圧してクラッチC2へのC2ソレノイド圧Pslc2を生成するC2リニアソレノイドバルブSLC2、マニュアルバルブ52(プライマリレギュレータバルブ51)からのライン圧PLを調圧してブレーキB1へのB1ソレノイド圧Pslb1を生成するB1リニアソレノイドバルブSLB1とを含む。
【0022】
更に、実施例の油圧制御装置50は、C2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2をクラッチC2とブレーキB3とに選択的に供給可能とする切替バルブ53と、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2およびSLB1の出力ポートに接続されると共にC1ソレノイド圧Pslc1、C2ソレノイド圧Pslc2およびB1ソレノイド圧Pslb1の中の最大圧力Pmaxを出力するシャトルバルブ(最大圧選択バルブ)54を含む。
【0023】
プライマリレギュレータバルブ51は、上述のシャトルバルブ54からの最大圧力Pmaxを信号圧として入力し、当該最大圧力Pmaxに応じたライン圧PLを生成する。ただし、プライマリレギュレータバルブ51は、オイルポンプ29側(例えばライン圧PLを調圧して一定の油圧を出力するモジュレータバルブ)からの作動油をアクセル開度Accあるいはスロットルバルブの開度に応じて調圧して制御圧を出力する図示しないリニアソレノイドバルブからの制御圧により駆動されるものであってもよい。
【0024】
マニュアルバルブ52は、シフトレバー95と連動して軸方向に摺動可能なスプールや、ライン圧PLが供給される入力ポート、C1リニアソレノイドバルブSLC1、C2リニアソレノイドバルブSLC2およびB1リニアソレノイドバルブSLB1の入力ポートと油路を介して連通するドライブレンジ出力ポート、クラッチC3の油圧入口と油路を介して連通するリバースレンジ出力ポート等を有する。運転者により前進走行シフトレンジ(ドライブレンジ等)が選択されているときには、マニュアルバルブ52のスプールにより入力ポートがドライブレンジ出力ポートのみと連通され、これにより、C1リニアソレノイドバルブSLC1、C2リニアソレノイドバルブSLC2およびB1リニアソレノイドバルブSLB1にライン圧PLが供給される。また、運転者によりリバース走行用のリバースレンジが選択されたときには、マニュアルバルブ52のスプールにより入力ポートがリバースレンジ出力ポートのみと連通され、これにより、クラッチC3にライン圧PLが供給される。更に、運転者によりパーキングレンジやニュートラルレンジが選択されたときには、マニュアルバルブ52のスプールにより入力ポートとドライブレンジ出力ポートおよびリバースレンジ出力ポートとの連通が遮断される。
【0025】
C1リニアソレノイドバルブSLC1は、マニュアルバルブ52からのライン圧PLを図示しない補機バッテリから印加される電流値に応じて調圧してクラッチC1に供給されるC1ソレノイド圧Pslc1を生成する常開型リニアソレノイドバルブである。C2リニアソレノイドバルブSLC2は、マニュアルバルブ52からのライン圧PLを図示しない補機バッテリから印加される電流値に応じて調圧してクラッチC2に供給されるC2ソレノイド圧Pslc2を生成する常開型リニアソレノイドバルブである。B1リニアソレノイドバルブSLB1は、マニュアルバルブ52からのライン圧PLを図示しない補機バッテリから印加される電流値に応じて調圧してブレーキB1に供給されるB1ソレノイド圧Pslb1を生成する常閉型リニアソレノイドバルブである。実施例では、コスト面や設計の容易さといった観点から、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2およびSLB1として、同一サイズかつ同一の最高出力圧を有するものが採用されている。そして、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2およびSLB1(それぞれに印加される電流)は、予め定められた図示しない変速線図から取得されるアクセル開度Acc(あるいはスロットルバルブの開度)および車速Vに対応した変速段がクラッチC1−C3およびブレーキB1の係脱により形成されるように変速ECU21によって制御される。
【0026】
また、実施例では、自動変速機30の第1速を形成するときに係合される発進クラッチとしてのクラッチC1とそれに対応したC1リニアソレノイドバルブSLC1とを結ぶ油路L1には、図5に示すように、アキュムレータ55が接続される。アキュムレータ55は、ケース55aと、ケース55aの内部に配置されたピストン55bと、ピストン55bを付勢するスプリング55cと、ケース55aおよびピストン55bとにより画成されると共に油路L1と連通する油室55dとを有する。アキュムレータ55は、主として、自動変速機30の第1速が形成された状態で自動車10が停車されてから運転者によりシフトレバー95がドライブレンジ等の前進走行シフトレンジからニュートラルレンジやパーキングレンジへと操作されたときに、クラッチC1から急激に油圧が排出されることによるショック(トルク抜け)の発生を抑制するために用いられる。すなわち、クラッチC1の係合中、アキュムレータ55の油室55dは油路L1からの作動油で充填され、運転者によるシフト操作(ドライブレンジ等からニュートラルレンジ等へのシフト操作)に伴ってクラッチC1から油圧が排出される際には、油室55d内の作動油が油路L1へと流出することによりクラッチC1からの急激な油圧の排出が抑制される。また、実施例では、自動変速機30を含む動力伝達装置20の低コスト化を図るべく、アキュムレータ55として、比較的大容量の変速装置に適用されるものがほぼそのまま(基本構成を変えることなく)用いられる。
【0027】
次に、図6から図9を参照しながら、クラッチC1が係合されているとき、すなわちクラッチC1の係合が完了(完全係合)すると共にクラッチC1が係合状態に保持されるときにクラッチC1に対応したC1リニアソレノイドバルブSLC1やクラッチC1と同時係合される他のクラッチまたはブレーキに対応したリニアソレノイドバルブを制御する手順について説明する。図6は、クラッチC1の係合中に変速ECU21により実行される油圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。図6のルーチンは、クラッチC1の係合中に変速ECU21により所定時間おきに繰り返し実行される。
【0028】
図6のルーチンの開始に際して、変速ECU21の図示しないCPUは、自動変速機30の現変速段γや、自動変速機30のインプットシャフト31に入力される入力トルクすなわちエンジン12から出力されているトルクの推定値であるエンジントルクTe、作動油の温度である油温Toilといった制御に必要なデータの入力処理を実行する(ステップS100)。現変速段γは、上述の変速線図から取得されるアクセル開度Accおよび車速Vに対応したものであり、ここでは、クラッチC1が係合される第1速、第2速および第3速の何れかとなるが、以下、簡単のために現変速段γをC1リニアソレノイドバルブSLC1のみが制御される第1速として本ルーチンを説明する。また、エンジントルクTeは、エンジンECU14により例えばエンジン12の回転数や図示しないエアフローメータにより検出されるエンジン12の吸入空気量あるいはスロットルバルブの開度、予め定められたマップあるいは計算式に基づいて計算されるものであり、エンジンECU14から通信により入力される。更に、油温Toliは、例えばオイルパン等に設置された図示しない温度センサにより検出されるものである。
【0029】
ステップS100のデータ入力処理の後、変速ECU21は、入力した現変速段γに基づいてクラッチC1のトルク分担比を取得する(ステップS110)。トルク分担比は、ある変速段の形成に際して係合されるクラッチやブレーキにより伝達されるべきトルクのエンジントルクTe(入力トルク)に対する比を示すものである。実施例では、自動変速機30の変速段ごとに当該変速段の形成に際して係合されるクラッチやブレーキのトルク分担比を規定した図7に例示するようなトルク分担比マップが予め作成されており(ただし、図7における“R1c1”等は、それぞれ正の実数である)、ステップS110では、当該トルク分担比マップから現変速段γ(第1速)を形成するクラッチC1のトルク分担比が取得される。次いで、変速ECU21は、ステップS110にて取得したトルク分担比に予め定められた安全率を乗じた上で(ステップS120)、エンジントルクTeにトルク分担比と安全率との積を乗じて得られるトルク(要求伝達トルク)をクラッチC1の諸元等に応じた油圧、すなわちクラッチC1の係合に要する油圧に換算してクラッチC1に供給されるC1ソレノイド圧Pslc1の目標値である目標油圧Pslc1*を設定する(ステップS130)。
【0030】
ステップS130の処理の後、変速ECU21は、所定のフラグFが値0であるか否かを判定し(ステップS140)、フラグFが値0であれば、ステップS100にて入力した油温Toilが予め定められた基準温度Tref以下であるか否かを判定する(ステップS150)。基準温度Trefは、作動油の粘性や、アキュムレータ55のスプリング55cのバネ定数、C1リニアソレノイドバルブSLC1からクラッチC1やアキュムレータ55までの油路の長さや断面積等を考慮して実験・解析により例えば−10〜−30℃の範囲内に定められるものである。そして、油温Toliが基準温度Tref以下であると判断した場合、変速ECU21は、上記フラグFを値1に設定した上で(ステップS160)、ステップS100にて入力した油温Toilに基づいてクラッチC1に供給されるC1ソレノイド圧Pslc1の下限油圧Plimを設定する(ステップS170)。
【0031】
実施例のステップS170では、図7に例示するような下限油圧設定用マップから油温Toilに対応した下限油圧Plimが導出・設定される。図7の下限油圧設定用マップは、油温Toilが基準温度Tref以下であるときに下限油圧Plimを一定値P1に設定すると共に、油温Toilが基準温度Tref未満であるときに油温Toilが高まるにつれて下限油圧Plimを低下させる(油温Toilに比例して下限油圧Plimを低下させる)ように作成されている。また、実施例において、値P1は、クラッチC1の係合中に当該クラッチC1が伝達すべきトルク(要求伝達トルク)の最大値に応じた油圧よりも高く、かつアキュムレータ55に作動油を充填可能とする(アキュムレータ55のスプリング55cを完全に収縮させることができる)油圧として実験・解析を経て定められる。こうして下限油圧Plimを設定すると、変速ECU21は、ステップS130にて設定した目標油圧Pslc1*と下限油圧Plimとの大きい方を目標油圧Pslc1*として再設定する(ステップS180)。なお、ステップS150にて油温Toilが基準温度Trefを上回っていると判断された場合には、上述のステップS160−S180の処理はスキップされる。
【0032】
続いて、変速ECU21は、クラッチC1に供給されるC1ソレノイド圧Pslc1がステップS130またはステップS180にて設定された目標油圧Pslc1*になるようにC1リニアソレノイドバルブSLC1を制御し(ステップS190)、再度ステップS100以降の処理を実行する。そして、上述のステップS160にてフラグFが値1に設定された場合、それ以後に図6の油圧制御ルーチンが実行されると、ステップS140にて否定判断がなされ、ステップS130にて設定された目標油圧Pslc1*が本ルーチンの前回実行時に設定された下限油圧Plim以上であるか否かが判定される(ステップS200)。ステップS200にて目標油圧Pslc1*が前回の下限油圧Plim未満であると判断された場合には、上述のステップS170−S190の処理が実行された上で、再度ステップS100以降の処理が実行される。これに対して、ステップS200にて目標油圧Pslc1*が前回の下限油圧Plim以上であると判断された場合には、フラグFが値0に設定された上で(ステップS210)、クラッチC1に供給されるC1ソレノイド圧Pslc1がステップS130にて設定された目標油圧Pslc1*になるようにC1リニアソレノイドバルブSLC1が制御され(ステップS190)、その後、再度ステップS100以降の処理が実行されることになる。
【0033】
図9は、図6の油圧制御ルーチンが実行されたときに目標油圧Pslc1*やクラッチC1に実際に供給される油圧が変化する様子を示すタイムチャートである。図9における時刻t1にてクラッチC1が完全係合すると、上述の油圧制御ルーチンの実行が開始され、図示するように油温Toilが基準温度Tref以下である場合には、C1リニアソレノイドバルブSLC1の目標油圧Pslc1*が油温Toilに対応した下限油圧Plimを下回らないように設定されることから(図6のステップS170,S180)、同図において太い実線で示すように、目標油圧Pslc1*は、基本的に比較的高圧すなわちクラッチC1の係合中に当該クラッチC1が伝達すべきトルク(要求伝達トルク)の最大値に応じた油圧(クラッチC1の係合に要する油圧、図9における圧力Px参照)よりも高く、かつアキュムレータ55に作動油を充填可能とする下限油圧Plim(値P1)に設定される。これにより、クラッチC1を滑らせることなくトルク(要求伝達トルク)をアウトプットシャフト37へと伝達しつつアキュムレータ55に作動油を充填することが可能となる。また、自動車10の走行開始後に油温Toilが上昇して基準温度Trefに達すると(図9における時刻t2)、それ以後、下限油圧Plimが徐々に低下するように設定されることから、それに応じて目標油圧Pslc1*も徐々に低下する。そして、目標油圧Pslc1*が前回の下限油圧Plim以上であると判断されると(図6のステップS200)、それ以後、図6のステップS130にてクラッチC1が伝達すべきトルク(要求伝達トルク)に応じた油圧が目標油圧Pslc1*として設定されることになる。
【0034】
ここで、図9において細い実線で示す比較例のように、クラッチC1の完全係合後にエンジントルクTeにトルク分担比と安全率との積を乗じて得られるトルク(要求伝達トルク)に応じた油圧を目標油圧Pslc1*として設定すると共に、クラッチC1に滑りを生じた段階で目標油圧Pslc1*をそれまでよりも高く設定することも考えられる。しかしながら、実施例の油圧制御装置50において、ライン圧PLを生成するプライマリレギュレータバルブ51は、シャトルバルブ54からの最大油圧Pmax(C1ソレノイド圧Pslc1、C2ソレノイド圧Pslc2およびB1ソレノイド圧Pslb1の中の最大圧力)を信号圧として用いるものであり、C1リニアソレノイドバルブSLC1のみから油圧が出力される自動変速機30の第1速形成時にはC1ソレノイド圧Pslc1を信号圧として用いてライン圧PLを生成することから、図9の比較例のようにクラッチC1の滑りの発生に応じて目標油圧Pslc1*を急激に高めると、オイルパンの作動油が不足してバルブボディー内を流通する作動油にエアが混入してしまうおそれがある。これに対して、上記実施例のように、クラッチC1が完全係合した段階から目標油圧Pslc1*を高めておけば、作動油を良好に循環させることが可能となるので、作動油へのエアの混入を良好に抑制することができる。
【0035】
以上説明したように、実施例の動力伝達装置20に含まれる油圧制御装置50は、クラッチC1とC1リニアソレノイドバルブSLC1とを結ぶ油路L1と連通する油室55dを有するアキュムレータ55を含むものであり、クラッチC1の係合中に油温Toilが基準温度Tref以下であるときに、C1リニアソレノイドバルブSLC1は、クラッチC1が伝達すべきトルク(要求伝達トルク)に応じた油圧、すなわちクラッチC1の係合に要する油圧よりも高く、かつアキュムレータ55に作動油を充填可能とする油圧を生成するように制御される(ステップS170,S180)。これにより、比較的大容量の変速装置に適合されたアキュムレータ55を比較的小容量の自動変速機30に適用しても、クラッチC1の係合中にアキュムレータ55への作動油の充填に伴う油圧の不足により当該クラッチC1に滑りを生じてしまうのを良好に抑制することが可能となる。従って、油圧制御装置50によれば、自動変速機30とそれとは異なる変速装置との間でアキュムレータ55の共用化を図りつつ、当該アキュムレータ55と接続されるクラッチC1の円滑な動作を確保することが可能となる。
【0036】
また、上記実施例では、クラッチC1の係合中に油温Toilが基準温度Tref以下であるときに、油温Toilが基準温度Trefを上回っているときに比べて高い油圧を生成するようにC1リニアソレノイドバルブSLC1が制御される(図9参照)。これにより、油温Toilが低いときに、アキュムレータ55への作動油の充填に伴う油圧の不足によりクラッチC1に滑りを生じてしまうのを良好に抑制することが可能となる。ただし、油温Toilが基準温度Trefを上回っているときに、クラッチC1が伝達すべきトルクに応じた油圧よりも高く、かつアキュムレータ55に作動油を充填可能とする油圧を生成するようにC1リニアソレノイドバルブSLC1を制御してもよいことはいうまでもない。
【0037】
更に、上記実施例では、クラッチC1の係合中に油温Toilが基準温度Tref以下であるときに、インプットシャフト31に入力されたエンジントルクTeに予め定められたクラッチC1のトルク分担比や安全率を乗じて得られるトルク(要求伝達トルク)に応じた油圧と油温Tiolに応じた下限油圧Plimとの大きい方を生成するようにC1リニアソレノイドバルブSLC1が制御される。これにより、クラッチC1に供給されるC1ソレノイド圧Pslc1をより適正に設定することが可能となる。
【0038】
そして、上記実施例のように、自動変速機30の少なくとも第1速を形成するときに係合されるクラッチC1とC1リニアソレノイドバルブSLC1とを結ぶ油路L1にアキュムレータ55を連通させることで、クラッチC1を介して比較的大きなトルクが伝達される自動変速機30の第1速形成時にクラッチC1に滑りを生じてしまうのを良好に抑制することができる。また、自動変速機30の第1速が形成された状態で自動車10が停車されてから運転者によりシフトレバー95がドライブレンジ等の前進走行シフトレンジからニュートラルレンジやパーキングレンジへと操作されたときには、アキュムレータ55に蓄えられた作動油がクラッチC1とC1リニアソレノイドバルブSLC1とを結ぶ油路L1に供給されるので、クラッチC1の係合が急激に解除されること(トルク抜け)に伴うショックの発生を抑制することができる。
【0039】
更に、上記実施例において、プライマリレギュレータバルブ51は、自動変速機30の第1速の形成時にC1リニアソレノイドバルブSLC1からのC1ソレノイド圧Pslc1に応じたライン圧PLを生成するものである。これにより、C1リニアソレノイドバルブSLC1により調圧されるクラッチC1へのC1ソレノイド圧Pslc1が高くなると、それに応じてライン圧PLも高まることから、クラッチC1に対して、アキュムレータ55に作動油を充填可能とするC1ソレノイド圧Pslc1を応答性よく供給することが可能となる。ただし、本発明がアクセル開度Acc等に応じた制御圧を出力する図示しないリニアソレノイドバルブからの制御圧により駆動されるプライマリレギュレータバルブを備えた油圧制御装置に適用され得ることはいうまでもない。
【0040】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。すなわち、上記実施例では、自動変速機30のインプットシャフト31に入力されたトルクをアウトプットシャフト37へと伝達可能なクラッチC1等への油圧を制御する油圧制御装置50が「油圧制御装置」に相当し、クラッチC1に供給されるC1ソレノイド圧Pslc1を調圧するC1リニアソレノイドバルブSLC1が「調圧バルブ」に相当し、クラッチC1とC1リニアソレノイドバルブSLC1とを結ぶ油路L1と連通するアキュムレータ55が「アキュムレータ」に相当し、クラッチC1の係合中に当該クラッチC1が伝達すべきトルクに応じた油圧よりも高く、かつアキュムレータ55に作動油を充填可能とする油圧を生成するようにC1リニアソレノイドバルブSLC1を制御する変速ECU21が「制御手段」に相当し、シャトルバルブ54からの最大油圧Pmaxに応じてオイルポンプ29からの油圧を調圧してライン圧PLを生成するプライマリレギュレータバルブ51が「ライン圧生成バルブ」に相当する。
【0041】
ただし、実施例等の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載された発明の主要な要素との対応関係は、実施例等が課題を解決するための手段の欄に記載された発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例等はあくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一例に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
【0042】
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、油圧制御装置の製造産業において利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 自動車、12 エンジン、14 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、15 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、16 クランクシャフト、18 フロントカバー、20 動力伝達装置、21 変速用電子制御ユニット(変速ECU)、22 トランスミッションケース、23 流体伝動装置、24 ポンプインペラ、25 タービンランナ、26 ステータ、27 ワンウェイクラッチ、28 ロックアップクラッチ、29 オイルポンプ、30 自動変速機、31 インプットシャフト、32 ラビニヨ式遊星歯車機構、33a,33b サンギヤ、34 リングギヤ、35a ショートピニオンギヤ、35b ロングピニオンギヤ、36 キャリア、37 アウトプットシャフト、38 ギヤ機構、39 差動機構、50 油圧制御装置、51 プライマリレギュレータバルブ、52 マニュアルバルブ、54 シャトルバルブ、55 アキュムレータ、55a ケース、55b ピストン、55c スプリング、55d 油室、91 アクセルペダル、92 アクセルペダルポジションセンサ、93 ブレーキペダル、94 マスタシリンダ圧センサ、95 シフトレバー、96 シフトレンジセンサ、99 車速センサ、B1,B3 ブレーキ、C1,C2,C3 クラッチ、F2 ワンウェイクラッチ、L1 油路、SLB1 B1リニアソレノイドバルブ、SLC1 C1リニアソレノイドバルブ、SLC2 C2リニアソレノイドバルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速装置の動力入力部材に入力されたトルクを動力出力部材へと伝達可能な油圧式摩擦係合要素への油圧を制御する油圧制御装置において、
前記油圧式摩擦係合要素に供給される油圧を調圧する調圧バルブと、
前記油圧式摩擦係合要素と前記調圧バルブとを結ぶ油路と連通するアキュムレータと、
前記油圧式摩擦係合要素の係合中に該油圧式摩擦係合要素の係合に要する油圧よりも高く、かつ前記アキュムレータに作動油を充填可能とする油圧を生成するように前記調圧バルブを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする油圧制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧制御装置において、
前記制御手段は、前記油圧式摩擦係合要素の係合中に前記作動油の温度が所定温度以下であるときに、該作動油の温度が所定温度を上回っているときに比べて高い油圧を生成するように前記調圧バルブを制御することを特徴とする油圧制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の油圧制御装置において、
前記制御手段は、前記油圧式摩擦係合要素の係合中に前記作動油の温度が所定温度以下であるときに、前記動力入力部材に入力されたトルクと予め定められた前記油圧式摩擦係合要素のトルク分担比とに応じた油圧と前記作動油の温度に応じた下限油圧との大きい方を生成するように前記調圧バルブを制御することを特徴とする油圧制御装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに一項に油圧制御装置において、
前記油圧式摩擦係合要素は、少なくとも前記変速装置の第1速を形成するときに係合されることを特徴とする油圧制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の油圧制御装置において、
油圧発生源からの油圧を調圧してライン圧を生成するライン圧生成バルブを更に備え、
前記ライン圧生成バルブは、少なくとも前記第1速の形成時に前記調圧バルブからの油圧に応じた前記ライン圧を生成することを特徴とする油圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−211662(P2012−211662A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78179(P2011−78179)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】