説明

洗浄装置

【課題】階層状に並んだ複数の洗浄ラインに設けられる、ロールブラシ等の回転洗浄ロールの使用本数を低減可能な基板の洗浄装置の提供。
【解決手段】本発明の洗浄装置1は、載せられた基板Wを各々が上流側から下流側へ向けて搬送し、互いに間隔を置いて階層状に並んだ複数の搬送路2と、各搬送路2上を通過する基板Wをその上面側とその下面側とから挟むように配置する複数の回転洗浄ロール3を備える。前記回転洗浄ロールは、最上階の搬送路上を通過する基板をその上面側から接触して回転洗浄する最上階専用回転洗浄ロールと、最下階の搬送路上を通過する基板をその下面側から接触して回転洗浄する最下階専用回転洗浄ロールと、上下方向で隣り合う搬送路の間に配置し、上階側の搬送路上を通過する基板をその下面側から接触して回転洗浄し、かつ下階側の搬送路上を通過する基板をその上面側から接触して回転洗浄する兼用回転洗浄ロールとからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路上を通過する基板を洗浄する洗浄装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ、テレビ、携帯電話等の表示部として、液晶表示パネルが広く用いられている。液晶表示パネルは、主として、液晶層と、この液晶層を挟んで互いに向かい合う一対のガラス基板とからなり、種々の工程を経て製造される。
【0003】
この種の液晶表示パネル(基板)は、その製造工程において、表面に付着している汚れ(異物)を除去する等の目的で、例えば、特許文献1に示されるような、ロールブラシを備えた洗浄装置を利用して、洗浄されている。このような洗浄装置は、液晶表示パネルの製造ラインに配置され、前記基板が搬送される搬送ラインをその上下方向から挟むような一対のロールブラシを備える。前記基板上には、適宜、洗浄液が供給され、その洗浄液が供給された前記基板の上下面を、前記ロールブラシが挟んで、回転しながら洗浄する。
【0004】
ところで、液晶表示パネルは、並列に配置された複数の製造ラインをそれぞれ利用して製造されることがある。また、1つの製造ラインにおいて、一部の工程(例えば、洗浄工程)のライン部分が並列に配置されて、液晶表示パネルが製造されることがある。つまり、洗浄工程部分の製造ラインが並列に配置されて、液晶表示パネルが製造されることがある。このような場合、従来は、製造ライン毎に、それぞれ別個の洗浄装置が用意され、各々が独立して使用されている。
【0005】
なお、本願発明に関連する技術を開示する文献としては、例えば、特許文献2が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−296088号公報
【特許文献2】特開2001−137790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、複数の製造ライン毎に、それぞれ別個の洗浄装置を配置すると、複数の製造ラインからなる製造装置が、全体として大きくなり、問題となっている。また、製造ライン毎にそれぞれ別個の洗浄装置を用意する必要があり、洗浄装置のコストがかかり、問題となっている。また、前記洗浄装置のロールブラシは、定期的に新しい物に取り替えられながら、使用する必要がある。その為、使用する前記洗浄装置数が増加すると、取り替えなければならないロールブラシの本数も増加し、維持コストが高くなり、問題となっている。
【0008】
また、複数の製造ライン毎に、それぞれ別個の乾燥装置(例えば、一対のエアーナイフを備える乾燥装置)を配置する場合、又はそれぞれ別個の他の洗浄装置(一対のシャワーユニットを備える洗浄装置)を配置する場合も、同様に、各装置のコストがかかり、問題となっている。
【0009】
本発明の目的は、階層状に並んだ複数の洗浄ラインに設けられる、ロールブラシ等の回転洗浄ロールの使用本数を低減可能な基板の洗浄装置を提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、階層状に並んだ複数の乾燥ラインに設けられる、エアーナイフユニットの使用個数を低減可能な基板の乾燥装置を提供することである。
【0011】
また、本発明の他の目的は、階層状に並んだ複数の洗浄ラインに設けられる、シャワーユニットの使用個数を低減可能な基板の洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る洗浄装置は、以下の通りである。
<1> 載せられた基板を各々が上流側から下流側へ向けて搬送し、互いに間隔を置いて階層状に並んだ複数の搬送路と、各搬送路上を通過する基板をその上面側とその下面側とから挟むように配置する複数の回転洗浄ロールと、を備える洗浄装置であって、
前記回転洗浄ロールが、
最上階の搬送路上を通過する基板をその上面側から接触して回転洗浄する最上階専用回転洗浄ロールと、
最下階の搬送路上を通過する基板をその下面側から接触して回転洗浄する最下階専用回転洗浄ロールと、
上下方向で隣り合う搬送路の間に配置し、上階側の搬送路上を通過する基板をその下面側から接触して回転洗浄し、かつ下階側の搬送路上を通過する基板をその上面側から接触して回転洗浄する兼用回転洗浄ロールと、からなることを特徴とする洗浄装置。
【0013】
<2> 前記回転洗浄ロールは、基板の進行方向に沿うように回転する前記<1>に記載の洗浄装置。
【0014】
<3> 前記兼用回転洗浄ロールは、上階側の搬送路上を通過する基板を回転洗浄する場合と、下階側の搬送路上を通過する基板を回転洗浄する場合とで、回転方向が切り替えられる前記<1>又は<2>に記載の洗浄装置。
【0015】
<4> 前記複数の搬送路の何れかに、その上流側から基板を供給する基板供給装置を備える前記<1>〜<3>の何れか1つに記載の洗浄装置。
【0016】
また、本発明に係る乾燥装置は、以下の通りである。
<5> 互いに間隔を置いて配列した複数本の搬送ローラを各々が有し、前記搬送ローラ上に載せられた基板を各々が上流側から下流側へ向けて搬送し、互いに間隔を置いて階層状に並んだ複数の搬送路と、
前記搬送路上を通過する基板の上面側に向けてエアーを吹き付ける上側エアーナイフユニットと、前記搬送ローラの間から前記搬送路上を通過する基板の下面側に向けてエアーを吹き付ける下側エアーナイフユニットとを有し、前記上側エアーナイフユニットと前記下側エアーナイフユニットとが前記搬送路を介して対向するように配置されるエアーナイフ手段と、を備える乾燥装置であって、
前記エアーナイフ手段が、配置される搬送路を変更するための移動手段を備える乾燥装置。
【0017】
<6> 各搬送路は、その途中に、隣り合う搬送ローラの間に形成される、前記エアーナイフ手段を通過させるための通過穴を有し、
前記移動手段は、前記エアーナイフ手段が前記通過穴を通過して、配置される搬送路を変更する前記<5>に記載の乾燥装置。
【0018】
<7> 前記複数の搬送路の何れかに、その上流側から基板を供給する基板供給装置を備える前記<5>又は<6>に記載の乾燥装置。
【0019】
本発明に係る他の洗浄装置は、以下の通りである。
<8> 互いに間隔を置いて配列した複数本の搬送ローラを各々が有し、前記搬送ローラ上に載せられた基板を各々が上流側から下流側へ向けて搬送し、互いに間隔を置いて階層状に並んだ複数の搬送路と、
前記搬送路上を通過する基板の上面に向けて水流を吹き下ろして前記基板を洗浄する上側シャワーユニットと、
前記搬送ローラの間から前記搬送路上を通過する基板の下面に向けて水流を吹き上げて前記基板を洗浄する、前記上側シャワーユニットと向かい合うように配置される下側シャワーユニットと、を備え、
前記搬送路上を通過する基板の上面及び下面に対して同時に水流が当てられる洗浄装置であって、
前記下側シャワーユニットが吹き上げた水流を通過させる、各搬送路における前記搬送ローラの間が、階層方向に沿って一列に並び、
前記上側シャワーユニットは、最上階の搬送路の上方に配置され、かつ前記基板が通過する搬送路の階に応じて、吹き下ろす水流量が切り替えられ、
前記下側シャワーユニットは、最下階の搬送路の下方に配置され、かつ前記基板が通過する搬送路の階に応じて、吹き上げる水流量が切り替えられる洗浄装置。
【0020】
<9> 前記上側シャワーユニットは、基板が通過する搬送路が下側の階になるにつれて、前記基板の上面に当てられる水流量が多くなり、前記下側シャワーユニットは、基板が通過する搬送路が上側の階になるにつれて、前記基板の下面に当てられる水流量が多くなる前記<8>に記載の洗浄装置。
【0021】
<10> 前記複数の搬送路の何れかに、その上流側から基板を供給する基板供給装置を備える前記<8>又は<9>に記載の洗浄装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明の階層状に並んだ複数の洗浄ラインに設けられる洗浄装置は、ロールブラシ等の回転洗浄ロールの使用本数を低減可能である。
【0023】
本発明の階層状に並んだ複数の乾燥ラインに設けられる乾燥装置は、エアーナイフユニットの使用個数を低減可能である。
【0024】
また、本発明の他の階層状に並んだ複数の洗浄ラインに設けられる洗浄装置は、シャワーユニットの使用個数を低減可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】一実施形態に係る回転洗浄方式の洗浄装置の構成を模式的に表した説明図である。
【図2】回転洗浄方式の洗浄装置の動作を示した説明図である。
【図3】回転洗浄方式の洗浄装置の動作を示した説明図である。
【図4】回転洗浄方式の洗浄装置の動作を示した説明図である。
【図5】回転洗浄方式の洗浄装置の動作を示した説明図である。
【図6】他の実施形態に係る回転洗浄方式の洗浄装置の構成を模式的に表した説明図である。
【図7】一実施形態に係る乾燥装置の構成を模式的に表した説明図である。
【図8】乾燥装置の動作を示した説明図である。
【図9】乾燥装置の動作を示した説明図である。
【図10】乾燥装置の動作を示した説明図である。
【図11】乾燥装置の動作を示した説明図である。
【図12】乾燥装置の動作を示した説明図である。
【図13】一実施形態に係るシャワー洗浄方式の洗浄装置の構成を模式的に表した説明図である。
【図14】シャワー洗浄方式の洗浄装置の動作を示した説明図である。
【図15】シャワー洗浄方式の洗浄装置の動作を示した説明図である。
【図16】シャワー洗浄方式の洗浄装置の動作を示した説明図である。
【図17】シャワー洗浄方式の洗浄装置の動作を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る洗浄装置等の実施形態を説明する。なお、本発明は、本明細書に例示する実施形態に限定されるものではない。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する場合がある。
【0027】
図1は、一実施形態に係る回転洗浄方式の洗浄装置1の構成を模式的に表した説明図である。この洗浄装置1は、液晶表示パネル(以下、基板W)の上面(表面)及び下面(裏面)を主として洗浄する装置である。洗浄装置1は、上下方向に並列に並んだ2つの搬送路2(2A及び2B)と、3本の回転洗浄ロール3(3A,3B及び3C)を備える。また、洗浄装置1は、搬送路2(2A及び2B)の上流側に、基板供給装置4を備え、搬送路2(2A及び2B)の下流側に、基板受取装置5を備える。
【0028】
なお、基板供給装置4の上流側には、1つの他の搬送路6が配置され、基板受取装置5の下流側には、上下方向に並列に並んだ2つの他の搬送路7(7A及び7B)が配置されている。
【0029】
洗浄装置1の搬送路2A及び2Bは、上下方向において互いに間隔を置いて階層状に配置されている。各搬送路2A及び2Bは、図示されない支持手段を用いて、略水平に固定されている。各搬送路2A及び2Bは、それぞれ複数本の搬送ローラ21を有し、これらの搬送ローラ21が各搬送路2A及び2Bにおいて、それぞれ所定の間隔を置いて配列するように設けられている。なお、図1において、左側が、搬送路2の上流側であり、右側が、搬送路2の下流側に対応する。各搬送ローラ21は、搬送路2が備える平行に配置された枠部材24の間に掛け渡されている。
【0030】
搬送ローラ21は、中心部に駆動軸22を有する。この駆動軸22は、図示されない回転駆動手段に接続されており、所定方向に等速回転するように構成されている。また、駆動軸22の外周部23は、PTFE等のフッ素樹脂、シリコン等の摩擦力の高い樹脂材料で形成されている。本実施形態において、搬送ローラ21は、通常、図1において時計回りに回転するように構成されている。搬送路2の各搬送ローラ21上に基板Wが載せられると、基板Wは、上流側から下流側へ向かって搬送される。基板Wは、搬送路2上を水平に搬送される。なお、他の実施形態においては、搬送方向に又は搬送方向と直交する方向に基板Wが傾斜された状態で搬送されてもよい。
【0031】
回転洗浄ロール3は、搬送路2の途中に設けられている。回転洗浄ロール3(3A,3B及び3C)は、主として、それぞれ回転軸31(31A,31B及び31C)と、回転軸31の周りを囲むブラシ部32(32A,32B及び32C)とから構成される。ブラシ部32は、例えば、ナイロン毛、スポンジ等を円筒形状に構成したものからなる。ブラシ部32は、回転軸31の回転に伴って回転する。なお、本実施形態において、回転洗浄ロール3Cは、最上階専用回転洗浄ロールに相当し、回転洗浄ロール3Aは、最下階専用回転洗浄ロールに相当する。
【0032】
回転洗浄ロール3Bと、回転洗浄ロール3Aとは、下階側の搬送路2A上を通過する基板Wをその上面側とその下面側とから挟むように、配置している。回転洗浄ロール3Bは、搬送路2Aの上方に配置し、回転洗浄ロール3Aは、搬送路2Aの下方に配置している。ただし、下側の回転洗浄ロール3Aは、搬送路2Aの一部を成すように、搬送ローラ21の高さと略同じ高さとなるように、設けられている。上側の回転洗浄ロール3Bと、下側の回転洗浄ロール3Aとの間隔(隙間)は、基板Wの厚みよりも小さく設定されている。この隙間を通る際に、基板Wの上面及び下面は、回転洗浄ロール3A及び3Bによって挟まれるように擦られて、洗浄(回転洗浄)される。なお、基板Wがこの隙間を通過する直前に、図示されない洗浄液供給手段により洗浄液が基板Wと、回転洗浄ロール3A及び3Bに供給される。
【0033】
また、回転洗浄ロール3Cと、回転洗浄ロール3Bとは、上階側の搬送路2B上を通過する基板Wをその上面側とその下面側とから挟むように、配置している。回転洗浄ロール3Cは、搬送路2Bの上方に配置し、回転洗浄ロール3Bは、搬送路2Bの下方に配置している。ただし、下側の回転洗浄ロール3Bは、搬送路2Bの一部を成すように、搬送ローラ21の高さと略同じ高さとなるように、設けられている。上側の回転洗浄ロール3Cと、下側の回転洗浄ロール3Bとの間隔(隙間)は、基板Wの厚みよりも小さく設定されている。この隙間を通る際に、基板Wの上面及び下面は、回転洗浄ロール3B及び3Cによって挟まれるように擦られて、洗浄(回転洗浄)される。なお、基板Wがこの隙間を通過する直前に、図示されない洗浄液供給手段により洗浄液が基板Wと、回転洗浄ロール3B及び3Cに供給される。
【0034】
上記のように、回転洗浄ロール3Bは、搬送路2A上を通過する基板Wを洗浄する場合と共に、搬送路2B上を通過する基板Wを洗浄する場合にも利用される。この回転洗浄ロール3Bは、兼用回転洗浄ロールに相当する。この回転洗浄ロール3Bは、上下方向で隣り合う搬送路2A及び2Bの間に配置し、上階側の搬送路2B上を通過する基板Wをその下面側から接触して回転洗浄し、かつ下階側の搬送路2A上を通過する基板Wをその上面側から接触して回転洗浄する。
【0035】
各回転軸31の一端は、それぞれ軸受(不図示)に回転可能に支持されており、他端は、駆動源であるモータ(不図示)に連結されている。このモータの駆動により、各回転洗浄ロール3は、回転される。
【0036】
各回転洗浄ロール3の回転方向及び回転速度は、図示されない制御装置(コンピュータ)からの指令(信号)に基づいて、適宜、変更可能に構成されている。なお、本実施形態においては、最上階専用回転洗浄ロール3Cは、反時計回りに回転するように構成されており、最下階専用回転洗浄ロール3Aは、時計回りに回転するように構成されている。そして、回転洗浄ロール3Bは、基板Wが搬送路2Aを通過する際は、反時計回りに回転し、かつ基板Wが搬送路2Bを通過する際は、時計回りに回転するように構成されている。要するに、各回転洗浄ロール3は、基板Wの進行方向(基板Wを送り出す方向)に沿うように回転する。
【0037】
回転洗浄ロール3Bの回転方向の切り替えは、例えば、各搬送路2の上流側にそれぞれ設けられている基板検出手段(不図示)を利用して行われる。基板検出手段は、搬送路2の搬送ローラ21上に載せられて搬送される基板Wの通過を検出する手段である。この基板検出手段は、投光部及び受光部を備え、投光部から光が投射される位置に受光部が配置される。各搬送路2において、投光部又は受光部のうち何れか一方が搬送ローラ21の上方に配置され、他方が下方に配置される。投光部と受光部との間に基板Wがある場合と無い場合とで、受光の態様が変化するため、これによって基板Wの通過を検出することができる。
【0038】
各基板検出手段は、前記制御装置(不図示)に電気的に接続されており、基板Wの検出結果を制御装置に出力する。例えば、搬送路2Aに設けられている基板検出手段が基板Wの通過を検出すると、その旨の信号が制御装置に対して出力される。この場合、制御装置は、前記信号に基づいて回転洗浄ロール3Bの回転方向が反時計回りになるように調節する。これに対し、搬送路2Bに設けられている基板検出手段が基板Wの通過を検出すると、その旨の信号が制御装置に対して出力される。この場合、制御装置は、前記信号に基づいて、回転洗浄ロール3Bの回転方向が時計回りになるように調節する。なお、他の実施例においては、電気的な手段、機械的な手段等の他の手段によって、基板Wの通過を検出してもよい。
【0039】
基板供給装置4は、基板Wを、洗浄装置1が備える複数の搬送路2のうちの何れか1つに供給する装置である。本実施形態においては、基板供給装置4は、2つの搬送路2A及び2Bに対して、交互に、基板Wを供給する。また、基板供給装置4は、それよりも上流側に配置されている他の搬送路6から供給された基板Wを受け取る。この基板供給装置4は、主として、搬送ローラ41と、枠部材44と、昇降手段(不図示)を備える。搬送ローラ41の構成は、基本的には、前記搬送ローラ21と同様であり、中心部に駆動軸42を有し、この駆動軸42の周りに、外周部43を有する。この外周部43は、PTFE等のフッ素樹脂、シリコン等の摩擦力の高い樹脂材料で形成されている。ただし、基板供給装置4の搬送ローラ41は、基板Wを載せた際に、基板Wを載せて静止できるように、停止する。搬送ローラ41の回転・停止の制御は、制御装置(不図示)からの指示に基づいて行われる。搬送ローラ41は、平行に配置された枠部材44間に掛け渡されている。
【0040】
基板供給装置4の昇降手段は、基板供給装置4の位置(高さ)を上下方向において、往復移動(昇降移動)して変更できるように構成されている。この昇降手段は、モータ(不図示)及びボールスクリュー(不図示)を有し、ボールスクリューが前記枠部材44に接続されている。前記モータの駆動によって、基板供給装置4は搬送路2に基板Wを供給するために昇降移動する。なお、他の実施形態においては、昇降手段として、リニアモータ、シリンダ、ベルト及びプーリ等の公知の直動機構が利用されてもよい。
【0041】
基板供給装置4は、その上流側の搬送路6から基板Wが供給される前は、搬送路6の高さと、同じ高さで静止している。この際、基板供給装置4は、搬送路2Aの位置(高さ)と、搬送路2Bの位置(高さ)との中間の位置(高さ)に配置している。
【0042】
基板受取装置5は、複数の搬送路2(2A及び2B)の何れか1つから基板Wを受け取る装置である。本実施形態においては、基板受取装置5は、搬送路2A及び2Bから交互に搬送されてくる基板Wを、受け取る。基板受取装置5は、基板Wを受け取った後、更に下流側に配置する複数の搬送路7(7A及び7B)のうちの何れか1つに基板Wを供給する。本実施形態においては、搬送路7A及び7Bに対して、交互に基板Wを供給する。
【0043】
この基板受取装置5の構成は、基本的には、基板供給装置4と同様であり、主として、搬送ローラ51と、枠部材54と、昇降手段(不図示)を備える。搬送ローラ51は、中心部に駆動軸52を有し、この駆動軸52の周りに、外周部53を有する。この外周部53は、PTFE等のフッ素樹脂、シリコン等の摩擦力の高い樹脂材料で形成されている。基板受取装置5の搬送ローラ51は、基板Wを載せた際に、基板Wを載せて静止できるように、停止する。搬送ローラ51の回転・停止の制御は、制御装置(不図示)からの指示に基づいて行われる。搬送ローラ51は、平行に配置された枠部材54間に掛け渡されている。
【0044】
基板受取装置5の昇降手段は、基板受取装置5の位置(高さ)を上下方向において、往復移動(昇降移動)して変更できるように構成されている。この昇降手段は、モータ(不図示)及びボールスクリュー(不図示)を有し、ボールスクリューが前記枠部材54に接続されている。前記モータの駆動によって、基板受取装置5は搬送路2から基板Wを受け取るために昇降移動する。なお、他の実施形態においては、昇降手段として、リニアモータ、シリンダ、ベルト及びプーリ等の公知の直動機構が利用されてもよい。
【0045】
基板受取装置5は、搬送路2から基板Wを受け取る前は、搬送路2Aの位置(高さ)と、搬送路2Bの位置(高さ)との中間の位置(高さ)で静止している。この際、基板受取装置5は、搬送路7Aの位置(高さ)と、搬送路7Bの位置(高さ)との中間の位置(高さ)に配置している。
【0046】
なお、搬送路6及び搬送路7は、それぞれ複数本の搬送ローラ121を有し、これらの搬送ローラ121が各搬送路6及び7において、それぞれ所定の間隔を置いて配列するように設けられている。搬送ローラ121は、搬送路6及び7がそれぞれ備える平行に配置された枠部材124の間に掛け渡されている。搬送ローラ121は、中心部に駆動軸122を有する。この駆動軸122は、図示されない回転駆動手段に接続されており、所定方向に等速回転するように構成されている。また、駆動軸122の外周部123は、PTFE等のフッ素樹脂、シリコン等の摩擦力の高い樹脂材料で形成されている。本実施形態において、搬送ローラ21は、図1において時計回りに回転するように構成されている。
【0047】
ここで、図1〜図5を参照しつつ、洗浄装置1の動作を説明する。図2〜図5は、回転洗浄方式の洗浄装置1の動作を示した説明図である。先ず、上階側の搬送路2Bと、この搬送路2Bを挟むように配置する回転洗浄ロール3B及び3Cを利用して、基板Wを洗浄する動作を説明する。図1に示されるように、前段の処理工程(マザー基板を、液晶表示パネル片に分割する工程)が施された基板Wが搬送路6上に載せられて搬送されている。基板Wは、図2に示されるように、基板供給装置4に受け渡される。基板Wが基板供給装置4に受け渡され、基板供給装置4上に載せられると、それまで回転していた基板供給装置4の搬送ローラ41の回転が停止される。そして、図2に示されるように、基板供給装置4は、基板Wを載せた状態で、搬送路2Bの位置(高さ)まで上昇する。その後、搬送路ローラ41は、回転して、基板Wを搬送路2Bの上流側へ送り出し、供給する。
【0048】
搬送路2Bの上流側に供給され、搬送路2Bの搬送ローラ21上に載せられた基板Wは、搬送ローラ21の回転によって下流側に向かって進む。この際、搬送路2Bに備えられている基板検出手段(不図示)により、基板Wの通過が検出され、その検出結果に基づいて、回転洗浄ロール3Bの回転方向が決定される。この場合、回転洗浄ロール3Bは、図3に示されるように、時計回りに回転される。なお、回転洗浄ロール3Cは、反時計回りに回転するように構成されている。
【0049】
基板Wは、回転洗浄ロール3Bと、回転洗浄ロール3Cとの間に進入する直前に、図示されない洗浄液供給手段より洗浄液が回転洗浄ロール3B及び3C等に供給される。そして、回転洗浄ロール3Bのブラシ部32Bと、回転洗浄ロール3Cのブラシ部32Cとの間で挟まれて擦られながら、洗浄(回転洗浄)される。その後、基板Wは、回転洗浄ロール3B及び3Cを通過して、回転する搬送ローラ21に載って更に搬送路2B上を進む。この際、図3に示されるように、基板受取装置5は、図2に示される状態から上昇して、搬送路2Bと、搬送路7(7B)との間を連絡するように配置する。基板受取装置5がこのように配置することによって、搬送路2Bと、搬送路7Bとが一本の搬送路として繋がる。
【0050】
洗浄後の基板Wは、搬送路2Bから、基板受取装置5上を通過し、更に、搬送路7B上を通過する。搬送路7Bは、後段の処理工程(液晶表示パネルの表示検査工程)に接続されおり、基板Wを後段の処理工程まで搬送する。このようにして、洗浄装置1は、上側の搬送路2Bと、この搬送路2Bを挟むように配置する回転洗浄ロール3B及び3Cとを利用して、基板Wを洗浄することができる。
【0051】
次いで、下階側の搬送路2Aと、この搬送路2Aを挟むように配置する回転洗浄ロール3A及び3Bを利用して、基板Wを洗浄する動作を説明する。図1に示されるように、基板Wが搬送路6上に載せられて搬送されてくると、基板供給装置4が、その基板Wを受け取る。基板供給装置4が基板Wを受け取ると、それまで回転していた搬送ローラ41の回転が停止され、図4に示されるように、搬送路2Aの位置(高さ)まで下降する。そして、基板供給装置4の搬送ローラ41が再び回転して、搬送路2Aの上流側へ基板Wを送り出し、供給する。
【0052】
搬送路2Aの上流側に供給され、搬送路2Aの搬送ローラ21上に載せられた基板Wは、搬送ローラ21の回転によって下流側に向かって進む。この際、搬送路2Aに備えられている基板検出手段(不図示)により、基板Wの通過が検出され、その検出結果に基づいて、回転洗浄ロール3Bの回転方向が決定される。この場合、回転洗浄ロール3Bは、図5に示されるように、反時計回りに回転される。なお。回転洗浄ロール3Aは、時計回りに回転するように構成されている。
【0053】
基板Wは、回転洗浄ロール3Aと、回転洗浄ロール3Bとの間に進入する直前に、図示されない洗浄液供給手段より洗浄液が回転洗浄ロール3A及び3B等に供給される。そして、回転洗浄ロール3Aのブラシ部32Aと、回転洗浄ロール3Bのブラシ部32Bとの間で挟まれて擦られながら、洗浄(回転洗浄)される。その後、基板Wは、回転洗浄ロール3A及び3Bを通過して、回転する搬送ローラ21に載って更に搬送路2A上を進む。この際に、図5に示されるように、基板受取装置5は、図4に示される状態から下降して、搬送路2Aと、搬送路7(7A)との間を連絡するように配置する。基板受取装置5がこのように配置することによって、搬送路2Aと、搬送路7Aとが一本の搬送路として繋がる。
【0054】
洗浄後の基板Wは、搬送路2Aから、基板受取装置5上を通過し、更に、搬送路7A上を通過する。搬送路7Aは、後段の処理工程(液晶表示パネルの表示検査工程)に接続されおり、基板Wを後段の処理工程まで搬送する。このようにして、洗浄装置1は、上側の搬送路2Aと、この搬送路2Aを挟むように配置する回転洗浄ロール3A及び3Bを利用して、基板Wを洗浄することができる。
【0055】
本実施形態の洗浄装置1は、搬送路2毎に、一対の回転洗浄ロール3を設ける必要がない。つまり、一部の回転洗浄ロール3Bを、互いに隣接する異なった搬送路2上を通過する基板Wを洗浄する際に兼用するため、洗浄装置1全体として、回転洗浄ロール3の使用本数を低減でき、コストを抑えることができる。また、回転洗浄ロール3の使用本数を低減できることによって、上下方向において、装置1の小型化を図れる。
【0056】
図6は、他の実施形態に係る洗浄装置1Aの構成を模式的に表した説明図である。図6には、上下方向に並列に(階層状に)並んだ3つの搬送路2(2A,2B及び2C)と、4本の回転洗浄ロール(3A,3B,3C及び3D)を備える。このように、他の実施形態においては、搬送路2が、3つであってもよい。なお、この洗浄装置1Aの場合、最も下階側の回転洗浄ロール3Aが、最下階専用回転洗浄ロールであり、最も上階側の回転洗浄ロール3Dが、最上階専用回転洗浄ロールであり、回転洗浄ロール3B及び3Cが、兼用回転洗浄ロールである。これらの回転洗浄ロール3B及び3Cは、共に、基板Wが通過する搬送路2に対応して、回転方向を切り替えられるように構成されている。
【0057】
次いで、図7を参照しつつ、一実施形態に係る乾燥装置10について、説明する。図7は、一実施形態に係る乾燥装置10の構成を模式的に表した説明図である。この乾燥装置10は、基板Wに付着している水滴等の液体を、エアーで吹き飛ばして(液切りして)基板Wを乾燥させる装置である。図7に示されるように、乾燥装置10は、上下方向に並列に(階層状に)並んだ2つの搬送路2(2A及び2B)と、エアーナイフ手段8を備える。
【0058】
各搬送路2(2A及び2B)の基本的な構成は、図1に示される洗浄装置1におけるものと同様である。但し、本実施形態の乾燥装置10で利用される各搬送路2(2A及び2B)は、それぞれ途中に、通過穴25(25A及び25B)を備える。この通過穴25(25A及び25B)は、エアーナイフ手段8が上下方向に移動する際に、エアーナイフ手段8が通過可能なように構成されており、例えば、平行に配置した一対の枠部材24と、これらの間に掛け渡されている搬送ローラ21とによって囲まれた空間からなる。基板Wは、各搬送ローラ21の回転によって、搬送路2上を上流側から下流側へ向けて移動する。
【0059】
エアーナイフ手段8は、一対のエアーナイフユニット81,82を備える。これらの内の一方は、搬送路2上を通過する基板Wの上面側に向けてエアーを吹き付ける上側エアーナイフユニット81であり、他方は、搬送路上2を通過する基板Wの下面側に向けてエアーを吹き付ける下側エアーナイフユニット82である。図7に示されるように、上側エアーナイフユニット81と、下側エアーナイフユニット82とは、搬送路2を介して対向するように配置される。
【0060】
各エアーナイフユニット81,82は、それぞれナイフ状の細長いノズル(不図示)を含み、このノズルから気体をナイフ状(カーテン状)に吹き出す。上側エアーナイフユニット81のノズルは、基板Wの上面に向けられ、下側エアーナイフユニット82のノズルは、基板Wの下面に向けられるように設定される。各エアーナイフユニット81,82の各ノズルの向きは、基板Wの上面又は下面に対して、傾斜するように設けられている。
【0061】
エアーナイフ手段8は、各搬送路2を通過する基板Wをそれぞれ乾燥できるように、配置される搬送路2を変更するための移動手段(不図示)を備える。この移動手段は、エアーナイフ手段8の各エアーナイフユニット81,82を上下方向(鉛直方向)に沿って昇降移動させるものである。移動手段は、各搬送路2の通過穴25(25A及び25B)を貫くように上下方向に設けられたガイドレール(不図示)を備える。なお、ガイドレールは、搬送路2上を通過する基板Wと衝突しない個所に設けられている。各エアーナイフユニット81,82にはそれぞれ移動子が取り付けられており、各移動子がガイドレールに沿って上下方向にそれぞれ移動できるように構成されている。各移動子には、チェーンが連動連結されており、このチェーンが駆動モータの正逆駆動によって巻き上げ、及び巻き下ろし操作されることによって、各エアーナイフユニット81,82が上下方向に昇降移動する。なお、エアーナイフ手段8を上下方向に移動させる距離、タイミング等の制御は、制御装置(コンピュータ)からの指令に基づいて行われる。なお、他の実施形態においては、エアーナイフ手段8の移動手段として、リニアモータ、シリンダ等の他の公知の直動機構を用いてもよい。また、各エアーナイフユニット81,82のノズルからエアーを吹き出すタイミング等も、制御装置からの指令に基づいて行われる。
【0062】
乾燥装置10は、図1に示される洗浄装置1と同様、搬送路2(2A及び2B)の上流側に、基板供給装置4を備え、搬送路2(2A及び2B)の下流側に、基板受取装置5を備える。基板供給装置4は、搬送路2(2A及び2B)に対して、交互に基板Wを供給し、基板受取装置5は、搬送路2(2A及び2B)から交互に搬送されてくる基板Wを受け取る。そして、基板供給装置4の上流側には、1つの他の搬送路6が配置され、基板受取装置5の下流側には、上下方向に並列に並んだ2つの他の搬送路7(7A及び7B)が配置されている。これらの搬送路6及び7の基本的な構成は、図1に示されるものと同様である。
【0063】
ここで、図7〜図12を参照しつつ、乾燥装置10の動作を説明する。図8〜図12は、乾燥装置10の動作を示した説明図である。先ず、上側の搬送路2B上を通過する基板Wを乾燥する際の乾燥装置10の動作を説明する。
【0064】
図7に示されるように、前段の処理工程(基板Wの洗浄工程)が施された基板Wが搬送路6上に載せられて搬送されている。この基板Wは、図8に示されるように、基板供給装置4に受け渡される。基板Wが基板供給装置4に受け渡され、基板供給装置4上に載せられると、それまで回転していた基板供給装置4の搬送ローラ41の回転が停止される。そして、図8に示されるように、基板供給装置4は、基板Wを載せた状態で、搬送路2Bの位置(高さ)まで上昇する。その後、搬送ローラ41は、再び回転して基板Wを送り出し、搬送路2Bの上流側に供給する。
【0065】
搬送路2Bの上流側に供給され、搬送路2Bの搬送ローラ21上に載せられた基板Wは、搬送ローラ21の回転によって下流側に向かって進む。基板Wが、搬送路2Bを挟むように配置されている上側エアーナイフユニット81と、下側エアーナイフユニット82との間に進入すると、基板Wの上面及び下面には、これらのエアーナイフユニット81,82からのエアーが吹き付けられる。基板Wは、エアーナイフ手段8を通過する際に、液切りされ、乾燥される。その後、基板Wは、エアーナイフ手段8を通過して、更に搬送路2Bの下流側へ進む。この際、図9に示されるように、基板受取装置5は、図8に示される状態から上昇して、搬送路2Bと、搬送路7(7B)との間を連絡するように配置する。基板受取装置5がこのように配置することによって、搬送路2Bと、搬送路7Bとが一本の搬送路として繋がる。
【0066】
乾燥後の基板Wは、搬送路2Bから、基板受取装置5上を通過し、更に、搬送路7B上を通過する。搬送路7Bは、後段の処理工程に接続されており、基板Wを後段の処理工程まで搬送する。このようにして、乾燥装置10は、上側の搬送路2Bと、この搬送路2Bを挟むように配置するエアーナイフ手段8を利用して、基板Wを乾燥(液切り)することができる。
【0067】
次いで、下側の搬送路2A上を通過する基板Wを乾燥する際の乾燥装置10の動作を説明する。先ず、図10に示されるように、これまで上側の搬送路2Bに対して配置していたエアーナイフ手段8が、移動手段(不図示)の作動により、下側の搬送路2Aに対して配置するように移動する。この際、エアーナイフ手段8の上側エアーナイフユニット81が、搬送路2Bの通過穴25B内を通過し、下側エアーナイフユニット82が、搬送路2Aの通過穴25A内を通過する。移動後、上側エアーナイフユニット81は、搬送路2Aの上方に配置し、下側エアーナイフユニット82は、搬送路2Aの下方に配置する。
【0068】
そして、図10に示されるように、基板Wが搬送路6上に載せられて搬送されてくると、基板供給装置4が、その基板Wを受け取る。基板供給装置4が基板Wを受け取ると、それまで回転していた搬送ローラ41の回転が停止され、図11に示されるように、搬送路2Aの位置(高さ)まで下降する。そして、基板供給装置4の搬送ローラ41が再び回転して、搬送路2Aの上流側に向けて送り出し、基板Wを供給する。
【0069】
搬送路2Aの上流側に供給され、搬送路2Aの搬送ローラ21上に載せられた基板Wは、搬送ローラ21の回転によって下流側に向かって進む。基板Wが、搬送路2Aを挟むように配置されている上側エアーナイフユニット81と、下側エアーナイフユニット82との間に進入すると、基板Wの上面及び下面には、これらのエアーナイフユニット81,82からのエアーが吹き付けられる。基板Wは、エアーナイフ手段8を通過する際に、液切りされ、乾燥される。その後、基板Wは、エアーナイフ手段8を通過して、更に搬送路2Aの下流側へ進む。この際、図12に示されるように、基板受取装置5は、図11に示される状態から下降して、搬送路2Aと、搬送路7(7A)との間を連絡するように配置する。基板受取装置5がこのように配置することによって、搬送路2Aと、搬送路2Aとが一本の搬送路として繋がる。
【0070】
乾燥後の基板Wは、搬送路2Aから、基板受取装置5上を通過し、更に、搬送路7A上を通過する。搬送路7Aは、後段の処理工程に接続されており、基板Wを後段の処理工程まで搬送する。このようにして、乾燥装置10は、下側の搬送路2Aと、この搬送路2Aを挟むように配置するエアーナイフ手段8を利用して、搬送路2A上を通過する基板Wを乾燥(液切り)することができる。
【0071】
なお、再び上側の搬送路2Bを利用する場合は、エアーナイフ手段8は、移動手段の作動により、上昇して図7に示される位置まで上昇して、搬送路2Bに対して配置される。
【0072】
本実施形態の乾燥装置10は、搬送路2毎に、エアーナイフ手段8を設ける必要がない。エアーナイフ手段8は、上下方向に移動可能であり、かつ所定位置で停止可能な移動手段を備えるため、各搬送路2に対応して配置することができる。つまり、乾燥装置10全体として、エアーナイフ手段8(エアーナイフユニット81,82)の使用個数を低減でき、そのコストを抑えることができる。そして、搬送路2間の幅を、搬送路毎にエアーナイフ手段が設けられていた従来の乾燥装置のもの比べて、狭くすることができ、上下方向において乾燥装置10の小型化を図れる。
【0073】
次いで、図13を参照しつつ、他の実施形態に係る洗浄装置100について、説明する。この洗浄装置100は、シャワー洗浄方式で基板Wを洗浄するものである。図13に示されるように、洗浄装置100は、上下方向に並列に(階層状に)並んだ2つの搬送路2(2A及び2B)と、シャワー手段9を備える。各搬送路2(2A及び2B)の基本的な構成は、図1に示される洗浄装置1におけるものと同様である。但し、本実施形態の洗浄装置100で利用される各搬送路2(2A及び2B)は、それぞれ途中に、シャワー手段9から噴射される水流を通過させる通過穴26(26A及び26B)を備える。この通過穴26(26A及び26B)は、平行に配置した一対の枠部材24と、これらの間に掛け渡されている搬送ローラ21とによって囲まれた空間からなる。基板Wは、各搬送ローラ21の回転によって、搬送路2上を上流側から下流側へ向けて移動する。
【0074】
シャワー手段9は、一対のシャワーユニット91,92を備える。これらの内の一方は、搬送路2上を通過する基板Wの上面側に向けて水流(洗浄液)を吹き下ろすように噴射する上側シャワーユニット91であり、他方は、搬送路2上を通過する基板Wの下面側に向けて水流(洗浄液)を吹き上げるように噴射する下側シャワーユニット92である。図13に示されるように、上側シャワーユニット91は、上側の搬送路2Bの上方に配置し、下側シャワーユニット92は、下側の搬送路2Bの下方に配置している。これらのシャワーユニット91,92は、各搬送路2(2A及び2B)の通過穴26(26A及び26B)を介して、互いに向かい合うように配置されている。搬送路2Aの通過穴26Aと、搬送路2Bの通過穴2Bとは、階層方向(上下方向)に沿って一列に並んでいる。
【0075】
各シャワーユニット91,92は、それぞれ噴射する水流量(噴射圧、噴射量)を調節可能なノズル(不図示)を含む。各ノズルからは、洗浄液(例えば、超純水)が基板Wの表面(上面又は下面)に向けて噴射される。基板Wの表面(上面又は下面)に対して、水流は、略垂直の方向から当てられる。各ノズルには、洗浄液が供給される供給配管(不図示)がそれぞれ接続されている。そして、各供給配管には、それぞれ電磁弁が備えられている。各電磁弁は、図示されない制御装置と電気的に接続されており、制御装置からの制御信号により開閉制御される。この開閉制御によって、各シャワーユニット91,92の各ノズルから噴射される水流量が調節される。
【0076】
洗浄装置100は、図1に示される洗浄装置1と同様、搬送路2(2A及び2B)の上流側に、基板供給装置4を備え、搬送路2(2A及び2B)の下流側に、基板受取装置5を備える。基板供給装置4は、搬送路2(2A及び2B)に対して、交互に基板Wを供給し、基板受取装置5は、搬送路2(2A及び2B)から交互に搬送されてくる基板Wを受け取る。そして、基板供給装置4の上流側には、1つの他の搬送路6が配置され、基板受取装置5の下流側には、上下方向に並列に並んだ2つの他の搬送路7(7A及び7B)が配置されている。これらの搬送路6及び7の基本的な構成は、図1に示されるものと同様である。
【0077】
ここで、図13〜図17を参照しつつ、洗浄装置100の動作を説明する。図14〜図17は、シャワー洗浄方式の洗浄装置100の動作を示した説明図である。先ず、上側の搬送路2B上を通過する基板Wを洗浄する際の洗浄装置100の動作を説明する。
【0078】
図13に示されるように、前段の処理工程が施された基板Wが搬送路6上に載せられて搬送されている。この基板Wは、図14に示されるように、基板供給装置4に受け渡される。基板Wが基板供給装置4に受け渡され、基板供給装置4上に載せられると、それまで回転していた基板供給装置4の回転が停止される。そして、図14に示されるように、基板供給装置4は、基板Wを載せた状態で、搬送路2Bの位置(高さ)まで上昇する。その後、搬送ローラ41は、再び回転して基板を送り出し、搬送路2Bの上流側に供給する。
【0079】
搬送路2Bの上流側に供給され、搬送路2Bの搬送ローラ21上に載せられた基板Wは、搬送ローラ21の回転によって下流側に向かって進む。搬送路2Bの上流側には、図1に示される洗浄装置1と同様、基板検出手段(不図示)が備えられている。この基板検出手段は、制御装置と電気的に接続されており、基板Wの検出結果を制御装置に出力する。制御装置は、この検出結果に基づいて、上側シャワーユニット91の水流量と、下側シャワーユニット92の水流量が調節される。この場合、下側シャワーユニット92が基板Wの下面側に向けて吹き上げる水流量が、上側シャワーユニット91が基板Wの上面側に向けて吹き下ろす水流量よりも多く(強く)なるように、設定される。このように、下側シャワーユニット92から噴射される水流量を多くして、上側の遠い搬送路2B上に載っている基板Wの下面に対して確実に水流を当てることができる。
【0080】
基板Wが搬送路2B上を移動して、上側シャワーユニット91の下方に進入すると、上側シャワーユニット91からの水流が基板Wの上面に当てられ、そして、搬送路2Aの下方に配置されている下側シャワーユニット92から吹き上げられ、搬送路2Aの通過穴26Aを通過した水流が基板Wの下面に当てられる。搬送路2B上を通過する基板Wの上面及び下面に対して、同時に水流が当てられる。基板Wは、これらのシャワーユニット91,92の間を通過する際に、洗浄される。その後、基板Wは、シャワー手段9を通過して、更に搬送路2Bの下流側へ進む。基板Wが搬送路2B上のシャワー手段9を通過すると、各シャワーユニット91,92からの噴射が停止される。また、この際、図15に示されるように、基板受取装置5は、図14に示される状態から上昇して、搬送路2Bと搬送路7(7B)との間を連絡するように配置する。基板受取装置5がこのように配置することによって、搬送路2Bと、搬送路7Bとが一本の搬送路として繋がる。
【0081】
洗浄後の基板Wは、搬送路2Bから、基板受取装置5上を通過し、更に、搬送路7B上を通過する。搬送路7Bは、後段の処理工程に接続されており、基板Wを後段の処理工程まで搬送する。このようにして洗浄装置100は、シャワー手段9(各シャワーユニット91,92)を利用して、上側の搬送路2B上を通過する基板Wを洗浄することができる。
【0082】
次いで、下側の搬送路2A上を通過する基板Wを洗浄する際の洗浄装置100の動作を説明する。先ず、図13に示されるように、基板Wが搬送路6上に載せられて搬送されてくると、基板供給装置4が、その基板Wを受け取る。基板供給装置4が基板Wを受け取ると、それまで回転していた搬送ローラ41の回転が停止され、図16に示されるように、搬送路2Aの位置(高さ)まで下降する。そして、基板供給装置4の搬送ローラ41が再び回転して、搬送路2Aの上流側に向けて送り出し、基板Wを供給する。
【0083】
搬送路2Aの上流側に供給され、搬送路2Aの搬送ローラ21上に載せられた基板Wは、搬送ローラ21の回転によって下流側に向かって進む。搬送路2Aの上流側には、図1に示される洗浄装置1と同様、基板検出手段(不図示)が備えられている。この基板検出手段は、制御装置と電気的に接続されており、基板Wの検出結果を制御装置に出力する。制御装置は、この検出結果に基づいて、上側シャワーユニット91の水流量と、下側シャワーユニット92の水流量が調節される。この場合、上側シャワーユニット91が基板Wの上面側に向けて吹き下ろす水流量が、下側シャワーユニット92が基板Wの下面側に向けて吹き上げる水流量よりも多く(強く)なるように、設定される。このように、上側シャワーユニット91から噴射される水流量を多くして、下側の遠い搬送路2A上に載っている基板Wの上面に対して確実に水流を当てることができる。
【0084】
基板Wが搬送路2A上を移動して、下側シャワーユニット92の上方に進入すると、下側シャワーユニット92からの水流が基板Wの下面に当てられ、そして、搬送路2Bの上方に配置されている上側シャワーユニット91から吹き下ろされ、搬送路2Bの通過穴26Bを通過した水流が基板Wの上面に当てられる。搬送路2A上を通過する基板Wの上面及び下面に対して、同時に水流が当てられる。基板Wは、これらのシャワーユニット91,92の間を通過する際に、洗浄される。その後、基板Wは、シャワー手段9を通過して、更に搬送路2Aの下流側へ進む。基板Wが搬送路2A上のシャワー手段9を通過すると、各シャワーユニット91,92からの噴射が停止される。また、この際、図17に示されるように、基板受取装置5は、図16に示される状態から下降して、搬送路2Aと搬送路7(7A)との間を連絡するように配置する。基板受取装置5がこのように配置することによって、搬送路2Aと、搬送路7Aとが一本の搬送路として繋がる。
【0085】
洗浄後の基板Wは、搬送路2Aから、基板受取装置5上を通過し、更に、搬送路7A上を通過する。搬送路7Aは、後段の処理工程に接続されており、基板Wを後段の処理工程まで搬送する。このようにして洗浄装置100は、シャワー手段9(各シャワーユニット91,92)を利用して、下側の搬送路2A上を通過する基板Wを洗浄することができる。
【0086】
上側シャワーユニット91の噴射量(水流量)と、下側シャワーユニット92の噴射量(水流量)とは、上記のように、基板Wが通過する搬送路2に応じて、切り替えられる。このように、各シャワーユニット91,92を、基板Wが通過する搬送路2に応じて、それらの噴射量(水流量)を切り替えて使用することによって、使用するシャワーユニットの個数を低減でき、コストを抑えることができる。また、使用するシャワーユニットの個数を低減できることによって、階層状に並べる搬送路の間隔を狭くすること等が可能となり、上下方向において、装置の小型化を図れる。
【符号の説明】
【0087】
1 洗浄装置
2 搬送路
3 回転洗浄ロール
3A 最下階専用回転洗浄ロール
3B 兼用回転洗浄ロール
3C 最上階専用回転洗浄ロール
4 基板供給装置
5 基板受取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載せられた基板を各々が上流側から下流側へ向けて搬送し、互いに間隔を置いて階層状に並んだ複数の搬送路と、各搬送路上を通過する基板をその上面側とその下面側とから挟むように配置する複数の回転洗浄ロールと、を備える洗浄装置であって、
前記回転洗浄ロールが、
最上階の搬送路上を通過する基板をその上面側から接触して回転洗浄する最上階専用回転洗浄ロールと、
最下階の搬送路上を通過する基板をその下面側から接触して回転洗浄する最下階専用回転洗浄ロールと、
上下方向で隣り合う搬送路の間に配置し、上階側の搬送路上を通過する基板をその下面側から接触して回転洗浄し、かつ下階側の搬送路上を通過する基板をその上面側から接触して回転洗浄する兼用回転洗浄ロールと、からなることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記回転洗浄ロールは、基板の進行方向に沿うように回転する請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記兼用回転洗浄ロールは、上階側の搬送路上を通過する基板を回転洗浄する場合と、下階側の搬送路上を通過する基板を回転洗浄する場合とで、回転方向が切り替えられる請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記複数の搬送路の何れかに、その上流側から基板を供給する基板供給装置を備える請求項1〜3の何れか1項に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−20210(P2012−20210A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158041(P2010−158041)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】