説明

活性汚泥処理水の回収方法および装置

【課題】 凝集処理により活性汚泥処理水に残留する糖、夕ンパク等の有機物を効率よく除去するとともに、アルミニウムイオンのような凝集剤成分の残留を防止して、後段における分離膜の負荷を小さくでき、保安フィルタの閉塞を防止できる活性汚泥処理水の回収方法および装置を得る。
【解決手段】 第1凝集工程として活性汚泥処理水を第1凝集槽1にて、アルミニウム系凝集剤とpH調整剤を添加し、pH4.5〜5.5に調整して凝集処理し、第2凝集工程として第1凝集槽1の第1凝集処理液を第2凝集槽2にて、pH調整剤を加えpHを6.0〜7.0に調整して凝集処理する。第2凝集槽の第2凝集処理液は膜濾過装置3に導入して膜濾過を行い、その濾過液を活性炭処理装置4に導入して活性炭処理を行い、その処理液を保安フィルタ5に導入してさらに膜濾過を行い、その濾過液をRO膜分離装置に導入してRO膜分離を行い、RO膜の透過水を処理水として回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性排液を活性汚泥処理して生成する処理水を利用可能な状態で回収する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水、し尿、食品排水、その他の有機性排液は活性汚泥処理することにより、含まれる有機物を分解して無害化されている。有機性排液が高濃度の場合は、嫌気性処理その他の処理法で処理される場合もあるが、最終的には好気性処理である活性汚泥処理法で処理されることが多い。活性汚泥処理法は、好気性細菌を含む活性汚泥と有機性排液を混合して、空気を吹き込み曝気することにより、好気性細菌の生物酸化作用により有機物を分解して無害化し、曝気液を固液分離して放流する方法であり、有機性排液の処理法として広く行われている。このような活性汚泥処理では、微生物の作用による有機物分解が主たる分解手段であるため、微生物により分解できる易生物分解性の有機物は容易に分解除去されるが、微生物により分解できない難生物分解性の有機物や無機物は分解されないで処理水中に残留する。このような処理水を利用目的で回収する場合、分解されないで処理水中に残留する難生物分解性の有機物や無機物を除去するための高度処理が行われている。このような活性汚泥処理を回収するための処理方法として、凝集処理とRO膜分離を組み合わせる方法が行われている。
【0003】
特許文献1には、生物処理が施されたし尿廃水に凝集剤を添加するに際して、pH値を無機凝集剤の添加のみによってpH4.5〜6.5の範囲に調整する凝集剤の添加方法が開示されている。しかし、pH4.5〜5.5に設定するとタンパクや糖は除去できるが、無機凝集剤からの金属イオンが溶解状態で存在するため、後段の膜分離工程におけるRO膜などの分離膜に負荷がかかり、分離膜が目詰まりを起こしやすい。これを避けるために無機凝集剤の最適pH領域であるpH6.0〜6.5に設定すると、無機凝集剤からの金属イオンは水酸化物としてフロック化するが、タンパクや糖などの溶解性CODの除去率が十分ではなくなる。
【0004】
特許文献2には、生物処理水を凝集剤調整槽にて凝集剤を加えて凝集処理水とし、該凝集処理水にアルカリを加えてpHをCOD除去率が最も高くなるpHより高くし、その後さらに酸を加えてCOD除去率を高くすることにより、COD成分の除去率を高くできるとともに、分離膜が閉塞するのを防止できる廃水処理方法が示されている。しかし、最後に酸性にするとCOD除去率は高くなるが、無機凝集剤からの金属イオンが溶解状態で処理水中に残留してしまい、後段に分離膜としてRO膜を設けた場合はRO膜に負荷がかかってしまう。特許文献2では、分離膜が閉塞するのを防止できるとされているが、RO膜の保護のために設置している保安フィルタを1日に2回程度で交換しなければならず、処理が困難であるという問題点がある。
【特許文献1】特開平3−21392号
【特許文献2】特開平8−290170号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、凝集処理により活性汚泥処理水に残留する糖、夕ンパク等の有機物を効率よく除去するとともに、アルミニウムイオンのような凝集剤成分の残留を防止して、後段における分離膜の負荷を小さくでき、保安フィルタの閉塞を防止できる活性汚泥処理水の回収方法および装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の活性汚泥処理水の回収方法および装置である。
(1) 活性汚泥処理水にアルミニウム系凝集剤を添加し、pH4.5〜5.5において凝集処理する第1凝集工程と、第1凝集工程の第1凝集処理液にアルカリを加えてpHを6.0〜7.0に調整する第2凝集工程とを含む活性汚泥処理水の回収処理方法。
(2) アルミニウム系凝集剤がポリ塩化アルミニウムである上記(1)記載の方法。
(3) 第2凝集工程による第2凝集処理液を固液分離する濾過工程を含む(1)または(2)記載の方法。
(4) 濾過工程において、濾過膜により濾過する(3)記載の方法。
(5) 濾過工程の後に活性炭処理工程と、保安フィルタを具備したRO膜分離装置により膜分離する膜分離工程とを含む(3)または(4)記載の方法。
(6) 活性汚泥処理水にアルミニウム系凝集剤を添加し、pH4.5〜5.5において凝集処理する第1凝集槽と、第1凝集槽の第1凝集処理液にアルカリを加えてpHを6.0〜7.0に調整する第2凝集槽とを備えた活性汚泥処理水の回収処理装置。
(7) アルミニウム系凝集剤がポリ塩化アルミニウムである(6)記載の装置。
(8) 第2凝集槽の第2凝集処理液を固液分離する濾過装置を備えた(6)または(7)記載の装置。
(9) 濾過装置が、濾過膜で濾過する膜濾過装置である(8)記載の装置。
(10) 濾過装置の後段に活性炭処理装置と、保安フィルタを具備したRO膜分離装置とを備えた(8)または(9)記載の装置。
【0007】
本発明において処理の対象となる活性汚泥処理水は、下水、し尿、食品排水、その他の有機性排液は活性汚泥処理することにより含まれる有機物を分解し、曝気液を固液分離して固形分を汚泥として分離し、分離液として得られる処理水である。このような活性汚泥処理水は通常、難生物分解性の有機物や無機物が残留しており、その中にはタンパクや糖などが含まれているが、他の有機物などが含まれていてもよい。上記の固液分離には、沈降分離のほか、濾過、膜分離等の通常の固液分離が含まれる。活性汚泥処理の前処理として、嫌気性処理、固液分離、その他の処理が行われたものでもよい。また活性汚泥処理の後処理として、さらに濾過、膜分離等の処理が行われたものでもよい。
【0008】
活性汚泥処理水に添加するアルミニウム系凝集剤は、通常の水処理において無機凝集剤として用いられているアルミニウム系の凝集剤であり、ポリ塩化アルミニウム、硫酸バンドなどが挙げられるが、ポリ塩化アルミニウムが好ましい。このようなアルミニウム系凝集剤は、凝集の最適pH領域がpH6.0〜7.0にあるものが好ましい。
pH調整に用いるpH調整剤としては、塩酸、硫酸等の酸、水酸化ナトリウム等のアルカリなどが用いられる。
【0009】
本発明では第1凝集工程として、第1凝集槽において活性汚泥処理水にアルミニウム系凝集剤を添加し、pH4.5〜5.5において凝集処理を行う。アルミニウム系凝集剤の添加量は、予め凝集試験により決めることができる。アルミニウム系凝集剤の添加によりpHが4.5〜5.5になる場合は、pH調整剤を添加しなくてもよい場合があるが、一般には酸を添加してpH4.5〜5.5に調整する。pH4.5〜5.5に調整することにより、アルミニウム系凝集剤は一部が析出して凝集フロックを形成し、同時にタンパクは等電点析出により凝集フロック中に析出し、糖類もpH4.5〜5.5において凝集し易い傾向にあるため、多量の糖、夕ンパク等の有機物が凝集フロック中に析出する。
【0010】
第2凝集工程では、第2凝集槽において、第1凝集工程の第1凝集処理液にアルカリを加えてpHを6.0〜7.0に調整する。これにより第1凝集工程のpH4.5〜5.5の状態において析出せず、溶解状態で残留したアルミニウム系凝集剤の残部が析出して2次凝集フロックを形成し、第1凝集工程において凝集されないで残留した有機物、無機物を抱き込んで凝集効果を上げる。第1凝集工程で等電点析出したタンパクは変性しているためpHが上昇しても溶解せず、また第1凝集工程でフロック中に凝集した糖類もフロックが溶解しないため、凝集状態を保つ。
【0011】
第2凝集工程で形成された凝集フロックを含む第2凝集処理液は、固液分離工程においてフロックを含む固形分を汚泥として分離し、分離液を回収する。固液分離手段としては、沈降分離装置、濾過装置、膜分離装置など、一般的な固液分離装置が使用できるが、濾過装置が好ましい。濾過装置としては、UF膜、MF膜等の濾過膜で濾過する膜濾過装置、または砂、アンスラサイト等の粒状濾材で濾過する粒状濾材濾過装置が好ましく、特に膜濾過装置が好ましい。濾過膜は固形分の分離に限らず、残留する有機物を分離するものでもよい。
【0012】
固液分離工程における分離液をそのまま回収液として回収使用してもよいが、分離液をさらにRO膜で膜分離するRO膜分離装置によって膜分離することにより、さらに高度処理された処理液を回収して使用することができる。RO膜は前記濾過膜よりも小さい口径の細孔を有し、逆浸透(RO)によって塩類を分離する分離膜であり、塩類よりも大きい分子も分離可能である。RO膜分離装置によって膜分離する際、RO膜の汚染による閉塞を防止するために、活性炭処理装置、保安フィルタ等の前処理装置を設けるのが好ましい。活性炭処理装置は活性炭を充填して主として有機物を除去する装置である。保安フィルタは、微粒子等がRO膜分離装置に導入されるのを防止するものであり、不繊布を積層したフィルタ、糸巻きタイプのフィルタなど、一般にRO膜分離装置の保安フィルタとして用いられているフィルタが用いられる。
【0013】
上記の濾過装置の濾過膜は、RO膜分離装置のRO膜よりも細孔の口径が大きく、前記のとおり分離対象も異なる。濾過膜の材質としては、酢酸セルロース、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスルフォン、ポリオレフィン、2フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン(テフロン:登録商標)等が使用可能であるが、分離対象に適した材質の膜が好ましい。RO膜の材質としては、酢酸セルロース、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエーテルスルフォン等が使用可能であるが、分離対象に適した材質の膜が好ましい。また、濾過膜およびRO膜のモジュールの形態としては、スパイラル型膜モジュールや中空糸型膜モジュールなどが使用可能であるが、スパイラル型膜モジュールが好ましい。保安フィルタとしては材質はポリプロピレン、ポリエチレン、コットン等が好ましく、フィルタの形態としては積層タイプや糸巻きタイプ等が好適に用いられるが、その形態は得に限定されない。
【0014】
前記RO膜分離装置によって膜分離することにより、固液分離工程における分離液中に含まれる塩類、ならびに残留する固形物、有機物その他の物質が分離除去されて、高水質の透過液が得られ、これを回収液として回収利用することができる。膜分離に供給する固液分離工程の分離液は、2段凝集によりタンパク、糖類を含む有機物等を析出させ、しかもアルミニウム系の凝集剤成分が溶解状態で残留しないようにしているため、RO膜に対する閉塞性はなく、このためRO膜分離装置の前段に設けられる活性炭処理装置や保安フィルタ等に対する負荷も小さくなる。
【0015】
このように本発明では凝集槽を2段にし、前段の凝集槽でアルミニウム系凝集剤を添加しpH4.5〜5.5(タンパクの等電点付近)にて凝集させることにより、タンパクや糖などの溶解性のCODを析出させ、後段の凝集槽でpH6.0〜7.0(アルミニウムイオンの凝集pH)にて凝集させることにより、アルミニウムイオンを析出させることができるので、形成される凝集フロックは濾過装置で確実に除去することができ、その後の活性炭処理装置、保安フィルタおよびRO膜等の負荷を小さくすることができ、長期にわたって高水質の処理水を回収することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、第1凝集工程において活性汚泥処理水にアルミニウム系凝集剤を添加してpH4.5〜5.5で凝集処理し、第2凝集工程において第1凝集工程の凝集処理液にアルカリを加えてpHを6.0〜7.0に調整して凝集処理するようにしたので、活性汚泥処理水に残留する糖、夕ンパク等の有機物を効率よく除去するとともに、アルミニウムイオンのような凝集剤成分の残留を防止して、後段における分離膜の負荷を小さくでき、保安フィルタの閉塞を防止して、高水質の処理水を長期にわたって回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。図1は実施形態の活性汚泥処理水の回収方法および装置を示すフロー図である。図1において、1は第1凝集槽、2は第2凝集槽、3は膜濾過装置、4は活性炭処理装置、5は保安フィルタ、6はRO膜分離装置である。第1凝集槽1は攪拌装置1aを備え、原水路L1および薬注路L2、L3が連絡している。第2凝集槽2は撹拌装置2aを備え、薬注路L4が連絡している。膜濾過装置3はMF膜からなる濾過膜3aを備え、活性炭処理装置4は活性炭層4aを備え、保安フィルタ5はポリプロピレン製不繊布からなる積層フィルタを備え、RO膜分離装置6はRO膜6aを備え、それぞれの間に連絡路L5、L6、L7、L8、処理水路L9が連絡している。
【0018】
上記の活性汚泥処理水の回収装置による回収水の回収方法は、第1凝集工程として活性汚泥処理水を原水路L1から第1凝集槽1に導入し、薬注路L2からアルミニウム系凝集剤および薬注路L3からpH調整剤(酸)を添加し、pH4.5〜5.5に調整して凝集処理する。第2凝集工程として第1凝集槽1の第1凝集処理液を第2凝集槽2に導入し、薬注路L4からpH調整剤(アルカリ)を加えてpHを6.0〜7.0に調整して凝集処理する。第2凝集槽の第2凝集処理液は膜濾過装置3に導入して膜濾過を行い、その濾過液を活性炭処理装置4に導入して活性炭処理を行い、その処理液を保安フィルタ5に通し、その後RO膜分離装置6に導入してRO膜分離を行い、RO膜の透過水を回収水(処理水)として回収する。
【0019】
従来の処理方法では、生物処理水を凝集濾過して後段のRO膜に導入した場合、悪いときはROの保安フィルタを1日に2回程度で交換しなければならなかったが、本発明の2段凝集および膜濾過による処理により、保安フィルタは2〜3ケ月に1回程度の交換頻度で良好な水質を安定して得られるようになり、RO膜のフラックスも高く維持できるようになる。2段凝集により糖、夕ンパクの除去することができ、処理水中のアルミニウムイオンの残留もなくすことができる。また、2段凝集と膜濾過を組み合わせることにより、さらに糖、夕ンパクを低濃度まで除去することができる。
【実施例】
【0020】
実施例1:
活性汚泥処理水を沈殿槽により分離した固液分離水(pH=6.8、糖=10.2mg/L、タンパク=7.8mg/L)を流量15m/hで第1凝集槽(容積5m)に導入してポリ塩化アルミニウムを200mg/Lの割合で添加し、塩酸または水酸化ナトリウムを注入してpH5.0に調整しながら30分間攪拌した。その後、第1凝集槽の凝集処理液を第2凝集槽(容積5m)に導入し、水酸化ナトリウムを注入してpH6.5に調整しながら30分間攪拌した。その後、第2凝集槽の凝集処理液を、孔径0.2μmのテトラフルオロエチレン製MF膜からなるスパイラル型膜モジュールを備えた膜濾過装置で膜濾過した。膜濾過装置の透過水の回収率は76%であった。
【0021】
実施例2:
MF膜による膜濾過に替えて砂濾過(粒径0.6Omm、層高600mm)で濾過した以外は実施例1と同じ条件で実験を行った。
【0022】
比較例1:
活性汚泥処理水を沈殿槽により分離した固液分離水(pH=6.8、糖=10.2mg/L、タンパク=7.8mg/L)を流量15m/hで凝集槽(容積10m)に導入してポリ塩化アルミニウムを200mg/Lの割合で添加し、塩酸と水酸化ナトリウムによりpH5.0に調整しながら60分間攪拌した。その後凝集槽の凝集処理液を、孔径0.2μmのテトラフルオロエチレン製MF膜からなるスパイラル型膜モジュールを備えた膜濾過装置で膜濾過した。膜濾過装置の透過水の回収率は76%であった。
【0023】
比較例2:
MF膜による膜濾過に替えて砂濾過(粒径0.6Omm、層高600mm)で濾過した以外は比較例1と同じ条件で実験を行った。
【0024】
以上の実施例1、2および比較例1、2において、濾過水中の糖、タンパクの濃度、ならびにMFF値を測定した結果を表1に示す。
MFF値は、孔径0.45μmのメンブレンフィルタを用いて1Lの濾過水を500mmHgで吸引濾過し、最初の500mLの濾過時間T1と、最後の500mLの濾過時間T2を計測し、(T2/T1)で得られる値であり、膜分離における閉塞しやすさの指標となり、汚い水程MFF値が高くなる。
【0025】
【表1】

【0026】
表1より、比較例2(1段凝集+砂濾過)は、糖とタンパクいずれも除去率が悪く、フィルタが目詰まりを起こし、MFF値は測定不能となった。比較例1(1段凝集+膜濾過)はタンパクの除去率は改善したが、糖の除去率が悪く、処理が十分とはいえない。一方実施例2(2段凝集+砂濾過)では、糖、タンパクともに低濃度まで除去できており、2段凝集により溶解性CODを除去できることがわかる。実施例1(2段凝集+膜濾過)では、実施例2よりもさらに低濃度まで糖、タンパクを除去できている。MFF値も低く、後段にRO膜を設けた場合でもRO膜の負荷を最小限に抑えられることがわかる。
【0027】
実施例3:
活性汚泥処理水を沈殿槽により分離した固液分離水(pH=6.8、糖=10.2mg/L、タンパク=7.8mg/L)を流量15m/hで第1凝集槽(容積5m)に導入して、ポリ塩化アルミニウムを200mg/Lの割合で添加し、塩酸または水酸化ナトリウムを注入してpH5.0に調整しながら30分間攪拌した。その後、第1凝集槽の第1凝集処理液を第2凝集槽(容積5m)に導入し、水酸化ナトリウムを注入してpH6.5に調整しながら30分間攪拌した。その後、第2凝集槽の凝集処理液を、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)製MF膜からなるスパイラル型膜モジュールを備えた膜濾過装置で膜濾過した。膜濾過装置の透過水回収率は76%であった。その後、膜濾過装置の濾過液を、平均粒径0.75mmの活性炭を充填した3.75m容量の活性炭処理塔で活性炭処理した。その後、活性炭処理液を、公称孔径8μmのポリプロピレン積層型保安フィルタにとおし、その後、ポリアミドRO膜からなる内径20cmのスパイラル型膜モジュールを備えたRO膜分離装置に導入してRO膜分離を行った。RO膜分離装置の透過水回収率は60%であった。90日間通水したが保安フィルタは目詰まりを起こさず、良好は処理が行われた。
【0028】
実施例4:
活性炭処理を行わないでRO膜分離を行った以外は実施例3と同じ条件で実験を行った。RO膜分離装置の透過水回収率は60%であった。42日間通水後に目詰まりを起こしたが、長時間にわたり良好な処理が行われた。
【0029】
比較例3:
活性汚泥処理水を沈殿槽により分離した固液分離水(pH=6.8、糖=10.2mg/L、タンパク=7.8mg/L)を流量15m/hで第1凝集槽(容積10m)に導入して、ポリ塩化アルミニウムを200mg/Lの割合で添加し、塩酸または水酸化ナトリウムを注入してpH5.0に調整しながら60分間攪拌した。その後、凝集槽の凝集処理液を、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)製MF膜からなるスパイラル型膜モジュールを備えた膜濾過装置で膜濾過した。膜濾過装置の透過水回収率は76%であった。その後、膜濾過装置の濾過液を、平均粒径0.75mmの活性炭を充填した3.75m容量の活性炭処理塔で活性炭処理した。その後、活性炭処理液を、公称孔径8μmのポリプロピレン積層型保安フィルタにとおし、その後、ポリアミドRO膜からなる内径20cmのスパイラル型膜モジュールを備えたRO膜分離装置に導入してRO膜分離を行った。RO膜分離装置の透過水回収率は60%であったが、68時間で保安フィルタが目詰まりを起こした。
【0030】
比較例4:
活性炭処理を行わないでRO膜分離を行った以外は比較例3と同じ条件で実験を行った。RO膜分離装置の透過水回収率は60%であったが、22時間で保安フィルタが目詰まりを起こした。
【0031】
以上の実施例3、4において、RO膜分離装置のフラックスの経時変化を図2に示す。
図2より、実施例3、4共にRO膜のフラックスは高い値を維持しており、良好な膜処理が行なわれていることがわかる。実施例3と4とを比較すると、保安フィルタの前段に活性炭処理塔を置いた実施例3の方が活性炭処理を行わない実施例4よりもフラックスが大きく、水質が良いことがわかる。
【0032】
実施例3、4および比較例3、4を保安フィルタの交換頻度で比較すると、比較例3では68時間で保安フィルタが目詰まりを起こし、比較例4では、22時間で保安フィルタが目詰まりを起こして通水不能となった。それに対して、実施例3においては、90日間通水したが保安フィルタは目詰まりを起こさず、良好は処理が行われ、実施例4においては、42日間通水後に目詰まりを起こしたが、長時間にわたり良好な処理が行われた。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、有機性排液を活性汚泥処理して生成する処理水を利用可能な状態で回収する方法および装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態の活性汚泥処理水の回収方法および装置を示すフロー図である。
【図2】実施例の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0035】
1 第1凝集槽
2 第2凝集槽
3 膜濾過装置
4 活性炭処理装置
5 保安フィルタ
6 RO膜分離装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性汚泥処理水にアルミニウム系凝集剤を添加し、pH4.5〜5.5において凝集処理する第1凝集工程と、第1凝集工程の第1凝集処理液にアルカリを加えてpHを6.0〜7.0に調整する第2凝集工程とを含む活性汚泥処理水の回収処理方法。
【請求項2】
アルミニウム系凝集剤がポリ塩化アルミニウムである請求項1記載の方法。
【請求項3】
第2凝集工程による第2凝集処理液を固液分離する濾過工程を含む請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
濾過工程において、濾過膜により濾過する請求項3記載の方法。
【請求項5】
濾過工程の後に活性炭処理工程と、保安フィルタを具備したRO膜分離装置により膜分離する膜分離工程とを含む請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
活性汚泥処理水にアルミニウム系凝集剤を添加し、pH4.5〜5.5において凝集処理する第1凝集槽と、第1凝集槽の第1凝集処理液にアルカリを加えてpHを6.0〜7.0に調整する第2凝集槽とを備えた活性汚泥処理水の回収処理装置。
【請求項7】
アルミニウム系凝集剤がポリ塩化アルミニウムである請求項6記載の装置。
【請求項8】
第2凝集槽の第2凝集処理液を固液分離する濾過装置を備えた請求項6または7記載の装置。
【請求項9】
濾過装置が、濾過膜で濾過する膜濾過装置である請求項8記載の装置。
【請求項10】
濾過装置の後段に活性炭処理装置と、保安フィルタを具備したRO膜分離装置とを備えた請求項8または9記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−43611(P2006−43611A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−229788(P2004−229788)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】