説明

流体機械、流体機械運転制御装置

【課題】弁体の開閉に衝撃や衝撃音を発生することなく、風路に進入し換気ファンの回転翼に及ぼす逆風圧を効果的に抑制できる流体機械を提供すること。
【解決手段】各案内翼14は固定案内翼14aと可動案内翼14bとを備え、該固定案内翼14aは胴体10に固定され、該可動内翼14bは胴体12の軸方向に直交する回転軸16を中心に回動可能になっており、胴体の吐出口から吸込口に流れる逆流体流が流入した場合、発生する流体差圧により可動案内翼14bがその翼面が固定案内翼14aの翼面と連続する正規位置である全開位置から全閉位置の方向に回動して逆流体流の方向を転換させ、回転翼15に当接する逆流体流の圧力を削減させる位置に保持する可動翼開度自動制御機構24を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ダクト等の流路内に配置され、該流路の一方端から他方端に気流を送る流体機械の運転制御装置に関し、特に外部から圧力を有する気流(風)が一方端から他方端(正流方向)へ、又他方端から一方端(逆流方向)に進入する流路内に配置された換気ファン等の流体機械、及び該流体機械を運転制御する流体機械運転制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、図1(a)に示すように排気ダクト等の流路100内に配置し、流路100の一方端から他方端に気体を送る流体機械の例として、換気ファン101がある。該換気ファン101は回転翼102を備え、該回転翼102を電動モータ103で矢印Aに示す方向へ回転駆動することにより、流路100の一方端から吸込んだ気流(風)を矢印Bに示すように他方端に送り、吐出している。
【0003】
上記のような換気ファン101において、流路100内に換気ファン101の正常回転が維持できない圧力を有する気流(圧風)が、図1(b)、(c)の矢印C、Dに示すように、逆流方向、正流方向に進入する場合がある。このような場合の対策として、従来は図2に示すように、圧力風遮断装置110と換気ファン保護制御装置202を備え、図3に示す制御フローにより、圧力風遮断装置110の閉鎖により流路100内に設置した換気ファン101に圧力風が及ばないように保護を行うようにしている。なお、図2は圧力風が吹かないときに通常の換気ファンの運転制御を行う換気ファン運転制御装置と、圧力風が進入して通常の換気ファン運転制御ができなくなった時に換気ファンを圧力風から保護するための制御を行うための換気ファン保護装置からなるシステム構成を示す図で、図3は換気ファンの通常制御と保護制御の切換える条件を圧力風遮断装置110の制御方法を示す制御フローを示す図である。
【0004】
図2において、110は流路100に作用する圧力風を抑制する圧力風遮断装置(ダンパ)、112は圧力風遮断装置110の開閉動作を駆動する電動モータ等の駆動機、111は換気ファン101の回転数を検出する回転数発信器、114は換気ファン101の通常制御に用いる流路100内の温度等の制御対象信号、115は通常制御に用いる遠方操作等外部からの通常制御の運転・停止の入力信号、116は通常制御に用いる遠方操作等外部からの強制的な回転数設定信号、113は通常制御と保護制御を切り換える判断に用いる流路100に作用する圧力、又は風量等の外力の状態量である。
【0005】
換気ファン運転操作制御装置201は通常制御において換気ファン101の運転・停止に伴い圧力風遮断装置110への開・閉指令信号を発する圧力風遮断装置開・閉指令機能201aと、温度等の制御対象信号114の入力を得て、換気ファン101の必要回転数を演算し、求められる回転数を速度制御装置120に出力する制御機能201bを備えている。また、換気ファン保護装置202は流路100に作用する圧力、又は風量等の外力113の状態量を得て、通常制御と保護制御の切換を行う判断機能と、通常制御に優先する保護制御として圧力風遮断装置110への開・閉指令を発する圧力風遮断装置開・閉指令機能202aを備えている。また、補機盤130は圧力風遮断装置開・閉指令機能201a、或いは圧力風遮断装置開・閉指令機能202aの開・閉信号の入力を得て、圧力遮断装置110の駆動機112へ開・閉動力を供給する。
【0006】
換気ファン運転操作制御装置201は、制御対象信号発信器114、運転・停止指令信号発信器115、設定回転数を発信する設定回転数発信器116、及び回転数発信器111からの各信号を受け、圧力風遮断装置110の開・閉指令信号及び換気ファン101の設定回転数信号を生成し、それぞれの信号を圧力風遮断装置開・閉指令信号発信器201aから補機盤130へ、設定回転数発信器201bから速度制御装置120へと発信する。換気ファン保護制御装置202は外力状態量発信器113からの外力の状態量信号を受け圧力風遮断装置110を開・閉する開・閉指令信号を生成して補機盤130に発信する。補機盤130は換気ファン運転操作制御装置201の該開・閉指令信号又は換気ファン保護制御装置202からの圧力風遮断装置110の開・閉指令信号を受け、開・閉動力発信部130aから圧力風遮断装置110を駆動する電動モータ112に開・閉動力(電流)を供給する。また、速度制御装置120は換気ファン運転操作制御装置201の設定回転数発信器201bからの設定回転数信号を受け、換気ファン101の電動モータ103の回転数が設定回転数になるよう周波数の電力(電流)を電動モータ103に出力する。
【0007】
図3に示す制御フローにおいて、ステップST1では換気ファン101を通常制御で運転、即ち換気ファン101の回転数が上記設定回転数になるよう運転制御している。この状態でステップST2では、外力状態量発信器113からの外力の状態量(圧力、又は風量等)Bと規定値を比較し、外力の状態量Bが許容の規定値範囲にあるかを判断し、規定値以上又は規定値以下(規定値範囲外)の場合はステップST3に移行する。ステップST3では、換気ファン保護制御を開始し、ステップST4に移行する。該ステップST4では、圧力風遮断装置110を閉とし、ステップST5に移行する。該ステップST5では、外力状態量発信器113からの外力の状態量Bと規定値を比較し、外力の状態量Bが規定値範囲内になるのを待ち、規定値範囲内になったらステップST6に移行し、圧力風遮断装置110を開き、ステップST7に移行し、換気ファン保護制御を終了する。
【0008】
上記従来の換気ファン運転操作制御装置において、圧力風遮断装置110を閉じて流路100を遮断しても、換気ファン101の運転を継続する場合、換気ファン101の運転点は風量ゼロの締め切り運転となる。この場合、換気ファンの「風量−軸動力運転特性」において、軸動力を電動モータ103の定格軸動力と比較して、上回るか下回る場合について次の(1)、(2)の2つの対応に分かれる。
【0009】
(1)換気ファン101の軸動力が電動モータ103の定格軸動力を上回る場合
換気ファン101の軸動力が電動モータ103の定格軸動力を上回る場合には、電動モータ103が過負荷となるため継続運転できない。換気ファン101の運転を停止せず継続運転するためには次の対応を必要としていた。
・図4に示すように、ダンパ108を備えたバイパス流路106を設置する。
圧力風遮断装置110を閉じて流路100を遮断した場合、ダンパ108を開いて送風経路を切り換え、循環送風とし、換気ファン101の定格締切運転を回避する。
・換気ファン101の回転翼102の翼形式が固定翼の場合は回転数制御により回転翼102の回転数を減じ、風量及び全圧力を減じることにより軸動力を強制的に許容範囲に減じる。
・換気ファン101の回転翼102の翼形式が可動翼方式の場合は翼角度をねかせて風量及び全圧力を減じることにより、軸動力を強制的に許容範囲に減じる。
【0010】
(2)換気ファンの軸動力が電動モータ103の定格軸動力を下回る場合
換気ファン101の軸動力が電動モータ103の定格軸動力を下回る場合には、電動モータ103は過負荷とはならないので、継続運転は制約されない。但し、締切運転は換気ファン101内部で気流が大きく乱れて強制的に循環されている状態のため、流体力のアンバランスが生じ、振動が大きくなるなどの悪影響により軸受等を劣化させる等の原因となるため好ましくない。従って、時間的な制限を設ける等の処置を必要としていた。
【0011】
上記従来の対応には、下記のような問題がある。
・流路100に外部から気流(風)が進入するたびに圧力風遮断装置110を閉鎖する必要があるため、制御的に外部からの気流の進入と、気流の影響低下を検知し、時間的余裕を確保して圧力風遮断装置110を開閉制御する必要がある。
・圧力風遮断装置110の閉鎖時には流路100は全く遮断状態となるため、換気機能が全く停止してしまう。
・圧力風遮断装置110が誤操作や故障した場合においては流路100を遮断できなくなる。この場合には程度により換気ファン101が損傷に至る。気流の方向よりそれぞれ以下の問題が発生する。
【0012】
(a)逆流方向に過大な気流が進入した場合
図5に示すように、矢印Aに示す方向に正常回転し、矢印Bに示す正流方向に気流を送っている換気ファン101に時刻t2で矢印Cに示す逆流方向の気流が進入すると、換気ファン101の運転点(風量、圧力)は締め切り方向に移り、必要とする軸動力も換気ファン101の特性によって変化していく。更に時刻t3、t4と気流が強まると換気ファン101の内部を矢印Dに示すように逆流する領域に入り、相前後して電動モータ103の軸動力は定格軸動力値以上に達し、過負荷電流状態に至る。この過負荷状態になると、電路の保護装置により電路開閉器が開放され、以後、換気ファン101の回転体は気流の大きさに応じて無拘束にE方向に逆転し、ランナウェイ回転数に(換気ファン101が気流により回転させられる飽和回転数)に達する。
【0013】
換気ファン101の逆回転数が過大になりランナウェイ回転数に至った場合には、過大な遠心力が回転部に発生し、回転翼102や回転翼102の取付部の許容強度を超えて破損に至る可能性や、軸受の破損や、主軸の回転数が固有振動数に合致して過度な振動発生による回転体の破損等に至る可能性がある。
【0014】
(b)正流方向に過大な気流が進入した場合
図6に示すように、矢印Aに示す方向に正常回転し、矢印Bに示す気流を送っている換気ファン101に時刻t2で矢印Dに示すように正流方向に気流(風)が進入すると、換気ファン101の運転点(風量、圧力)は過大風量方向に移り、必要とする軸動力も換気ファン101の特性によって変化していく。更に時刻t3、t4と気流が強まると該気流による強制回転力が換気ファン101に回転力として作用しはじめ、著しくなると電動モータ103は発電機として仕事を始める。発電された電力は開閉器を通して逆送電(回生)を開始してしまう。回生を許容しない装置であれば、保護装置により電路開閉器が開放され、以後換気ファン101の回転体は無拘束に過回転し、ランナウェイ回転数(換気ファン101が気流により回転させられる飽和回転数)に達する。
【0015】
換気ファン101の回転数が過大になった場合には、過大な遠心力が回転部に発生し、回転翼102や回転翼102の取付部の許容強度を超えて破損に至る可能性や、軸受の破損や、主軸の回転数が固有振動数に合致して過度な振動発生による回転体の破損等に至る可能性がある。
【0016】
また、侵入する過大な気流が逆流方向であっても、正流方向であっても、電路開閉器が開放されてしまうと、過大な気流がおさまって速度制御装置による換気ファン101の運転が可能になっても、電路開閉器を閉じて速度制御装置をリセットしなければならないため、迅速な運転再開が阻害されることがある。更に、過大な気流が繰返し起こるような場合は、電路開閉器の開閉が繰り返され、電路開閉器の寿命を減らしてしまう。また、圧力風遮断装置110の誤操作や故障した場合の問題を回避するためには、圧力風遮断装置110のバックアップ施設(圧力風遮断装置110の2重化等)を設ける必要がある。
【0017】
図7(a)は圧力風遮断装置110としての逆止ダンパの正面図、図7(b)はA−A断面図である。圧力風遮断装置110は正面矩形状の胴体101内に上下方向に所定間隔で複数個(図では3個)の弁体132を配置した構成である。弁体132は弁体軸133に固定され、該弁体軸133の両端は胴体131に取り付けられた軸受134、134に回動自在に支持されている。図示しない換気ファンに設置された風路に該換気ファンによるファン風又は該ファン風と同方向の気流(正風)が進入した場合、弁体132は図1(b)の矢印Bに示すように回動し、破線で示す位置となる。風路内が無風の場合は弁体132は自重により矢印Bと反対方向に回動し、図7(b)の実線で示す閉鎖位置となる。風路に逆風が進入するとその風圧に応じた圧力で弁体132は弁座135に当接する。これにより逆風圧は換気ファン101に作用しない。
【0018】
図8(a)は圧力風遮断装置110としての強制開閉機構(ここでは電動モータを備えた強制開閉機構)を有する圧力風遮断装置の正面図、図8(b)はA−A断面図である。圧力風遮断装置110は正面矩形状の胴体131内に上下方向に所定間隔で複数個(図では3個)の弁体132を配置した構成である。弁体132は弁体軸133に固定され、該弁体軸133の両端は胴体131に取り付けられた軸受134、134に回動自在に支持されている。各弁体軸135の一端には弁体開度レバー136の一端が固定され、各弁体開度レバー1366の他端は弁体開度リンク137に回動自在に枢着されている。138は電動モータであり、該電動モータ138の回転軸138aの一端には駆動レバー140が固定され、該駆動レバー140の一端が弁体開度リンク137の一端に回動自在に枢着されている。
【0019】
上記構成の圧力風遮断装置110において、電動モータ138を起動して駆動レバー140を矢印Cに示すように回動させることにより、弁体開度リンク137が矢印Dに示すように移動し、弁体132を弁体軸133を中心に回動させ、圧力風遮断装置110を開閉させる。風路に逆風が進入した場合はそれを検知し、電動モータ138を起動して圧力風遮断装置110を閉鎖することにより、該逆風圧は換気ファンに作用しなくなる。
【0020】
しかしながら、上記のように風路に逆止ダンパ又は強制開閉ダンパとしての圧力風遮断装置110を設けて逆風圧を抑制する方法は下記のような問題がある。
【0021】
(1)逆止ダンパである圧力風遮断装置110の設置による問題点
図7に示す上記逆止ダンパである圧力風遮断装置110の構造は、ダンパ閉鎖時に逆風を許容しない構造となっている。即ち、閉鎖時に弁体132の弁座135部が合わさる(接触する)ことにより密閉性を確保する構造となっている。更に、正風側、逆風側共に無風の場合には弁体132が自重F等により自然に図9の破線で示す閉鎖位置となるようにしている。このような構造であるため、下記のような問題点がある。
【0022】
・問題点1
過大な逆風が図10の矢印Eに示すように、短時間に発生する場合、弁体132の閉鎖動作が激しくなり、弁体132と弁座135が激しく衝突することになり、過大な衝撃と衝撃音が発生する。
【0023】
・問題点2
逆風の発生頻度が多いと、衝撃と衝撃音を伴う閉鎖の頻度も多くなり、弁座135に該当する部分や荷重支持部が消耗・劣化して故障の確率が高くなる。
【0024】
・問題点3
正風時において弁体132が風量、風圧の変動により弁体軸133を中心に揺動するため、弁体132の角度が閉鎖方向にある場合には通風抵抗を発生し、換気ファンの送風効率を阻害する。
【0025】
(2)強制開閉ダンパである圧力風遮断装置110の設置による問題点
図8に示す強制開閉機構(電動、空圧、油圧等)を有する強制開閉ダンパである圧力風遮断装置110の設置の場合は、弁体132の閉鎖動作を強制的に行うため、開閉動作は強制開閉機構によって所定の開閉速度に制御することができる。よって、弁体132の閉鎖速度は一定に保てるために逆止ダンパのように衝撃を伴う弁体132の閉鎖の問題はなくなる。また、弁体開度が常に制動されているため風量、圧力の変動に対して弁体が揺動することなく固定できる。しかしながら、開閉動作を強制開閉機構により行うため下記の問題点がある。
【0026】
・問題点
強制開閉ダンパである圧力風遮断装置110を動作させるためには、計装設備により逆風を検知し、制御装置により圧力風遮断装置110の動作を制御し、強制開閉機構により弁体を駆動する必要があるため、計装設備、制御設備、駆動設備のいずれかに故障が生じた場合、圧力風遮断装置110は正規の閉鎖動作に至らず、換気ファンに逆風が及んで著しい場合は破壊に至ってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開昭63−138197号公報
【特許文献2】特開平4−175500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、弁体の開閉時の衝撃や衝撃音を抑制・低減し、風路に進入し換気ファン等に及ぼす逆風圧を効果的に抑制できる流体機械を提供することを目的とする。
【0029】
また、本発明は、換気ファン等の流体機械が配置された流路内部に逆流方向及び正流方向に外部から過大な圧力流体が進入した場合に、流路を遮断して流体流効率を低下させることなく、且つこの圧力流体を発生源とする流体機械の電動モータからの電力(電流)の回生や、必要動力値の上昇による過負荷等の電気的な障害の発生を回避し、且つ許容以上の過回転(逆転)となる流体流が進入した場合に自動的(機械的)に圧力風を抑制し、最大の逆風圧時においても回転翼102が危険逆回転数に達しない流体機械と更に強制的な過回転現象を起す圧力流体が去って、落ち着いた時点で速やかに流体機械を正規の回転数に復帰させ流体流を送ることができる流体機械運転制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記の課題を解決するために本発明は、胴体内に配置され、回転翼を回転させることにより前記胴体の吸込口から吸込んだ流体を、前記胴体の内周に周方向に所定の間隔で且つ該胴体の軸方向に沿って設けた複数の案内翼によって案内し、吐出口から吐出す流体機械であって、各案内翼は固定案内翼と可動案内翼とを備え、該固定案内翼は前記胴体に固定され、該可動内翼は胴体の軸方向に直交する回転軸を中心に回動可能になっており、胴体の吐出口から吸込口に流れる逆流体流が流入した場合、発生する流体差圧により可動案内翼がその翼面が固定案内翼の翼面と連続する正規位置である全開位置から全閉位置の方向に回動して逆流体流の方向を転換させ、回転翼に当接する逆流体流の圧力を削減させる位置に保持する可動翼開度自動制御機構を設けたことを特徴とする。
【0031】
また、本発明は、上記流体機械において、可動案内翼は回転軸に固定され、一体で該回転軸回りに回動し、回動角度に応じて流体抵抗が生じ、該流体抵抗は全開位置で最小で全閉位置で最大となる特性を有することを特徴とする。
【0032】
また、本発明は、上記流体機械において、可動翼開度自動制御機構は、正流体流時には可動案内翼を正規位置に復帰させ、回転翼から送られる正流体流を効率よく転換することを特徴とする。
【0033】
また、本発明は、上記流体機械において、固定案内翼と可動案内翼は胴体と該胴体内に配置されている内部ケーシングの間に配置され、該可動案内翼の回転軸は、胴体と内部ケーシングを貫通して配置され、該両貫通部に設けた軸受により回動自在に支持されていることを特徴とする。
【0034】
また、本発明は、上記流体機械において、各可動案内翼の回転軸の胴体側端部にリンク部材の一端部を固定し、該リンク部材の他端部は可動翼開度自動制御機構により常時所定の力で可動案内翼を正規位置に回動するように付勢されていることを特徴する。
【0035】
また、本発明は、上記流体機械において、可動案内翼の回転軸の取付け位置は、逆流体流発生時、受圧面積の差に回転軸回りに回転モーメントが生じるように可動案内翼の側部中心からずれていることを特徴とする。
【0036】
また、本発明は、上記流体機械において、逆流体流発生時に正規位置にある可動案内翼に初動回動力を与える初動回動力発生手段を設けたことを特徴とする。
【0037】
また、本発明は、上記流体機械において、初動回動力発生手段は、固定案内翼の可動案内翼の隣接部又は可動案内翼の固定案内翼の隣接部に設けた空隙であることを特徴とする。
【0038】
また、本発明は、流路内に配置され、回転翼を駆動機で回転させることにより、流体流を流路の一方から他方に送る流体機械の運転制御を行う流体機械運転制御装置において、 速度制御装置と、運転操作制御装置と、保護制御装置とを備え、速度制御装置は、通常は運転操作制御装置から指令される設定回転数で回転翼を回転させる動力を駆動機に出力する通常制御機能と、駆動機に出力する動力を無くし流体機械の回転翼を含む回転体を自由回転にさせるフリーラン制御機能とを備え、運転操作制御装置は、通常制御時に速度制御装置に設定回転数信号を送り前記回転翼を設定回転数で回転させる通常制御指示機能を備え、保護制御装置は、流路に許容範囲外の外部圧力流体流が進入した場合に速度制御装置に回転体をフリーラン状態にさせるフリーラン指示機能を備え、流体機械に請求項1乃至8のいずれか1項に記載の流体機械を用いたことを特徴とする。
【0039】
また、本発明は上記流体機械運転制御装置において、保護制御装置は、速度制御装置にフリーランを指示した場合に運転操作制御装置に保護制御開始したことを通知する保護制御開始通知機能と、流路に作用する外部圧力流体が許容範囲内になった場合に保護制御が終了したことを通知する保護制御終了通知機能を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、各案内翼は固定案内翼と可動案内翼とを備え、胴体の吐出口から吸込口に流れる逆流体流が流入した場合、発生する流体差圧により可動案内翼がその翼面が固定案内翼の翼面と連続する正規位置である全開位置から全閉位置の方向に回動して逆流体流の方向を転換させ、回転翼に当接する逆流体流の圧力を削減させるので、強い逆流体流が流入した場合でも、回転翼に当接する逆流体圧力を大きく削減でき、回転翼の破損に至る高速で逆回転を抑制できる。
【0041】
また、本発明によれば、速度制御装置は通常は運転操作制御装置から指令される設定回転数で回転翼を回転させる動力を駆動機に出力する通常制御機能と、駆動機に出力する動力を無くし流体機械の回転翼を含む回転体を自由回転にさせるフリーラン制御機能とを備え、運転操作制御装置は通常制御時に速度制御装置に設定回転数信号を送り回転翼を設定回転数で回転させる通常制御指示機能を備え、保護制御装置は流路に許容範囲外の外部圧力流体流が進入した場合に速度制御装置に回転体をフリーラン状態にさせるフリーラン指示機能を備えているので、流路内部に逆流方向及び正流方向に外部から過大な圧力流体が進入した場合に、流路を遮断して流体流効率を低下させることなく、且つこの圧力流体を発生源とする流体機械の電気的な障害の発生を回避し、更に外部圧力流体流が去って、落ち着いた時点で速やかに流体機械を正規の回転数に復帰させ流体流を送ることができる流体機械運転制御装置を提供できる。
【0042】
また、本発明によれば、保護制御装置は、回転体がフリーラン状態になり、該回転体の回転数が所定回転数以上となった場合、速度制御装置に回転体の回転制動を指示するフリーラン制動指令機能を備えているので、回転体のフリーラン状態で、過回転による回転体の損傷を防止できると共に、外部圧力流体支流が去って、落ち着いた時点で速やかに流体機械を正規の回転数に復帰し流体流を送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は従来の換気ファンの概略構成例を示す図である。
【図2】図2は従来の換気ファン運転操作制御装置のシステム構成を示す図である。
【図3】図3は図2の換気ファン運転操作制御装置の制御フローを示す図である。
【図4】図4は流路にバイパス流路を設置した場合を示す図である。
【図5】図5は従来の換気ファンが配置されている風路内に外部から逆流方向に気流が進入した場合を説明するための図である。
【図6】図6は従来の換気ファンが配置されている風路内に外部から正流方向に気流が進入した場合を説明するための図である。
【図7】図7は従来の圧力風遮断装置(逆止ダンパ)の構成例を示す図である。
【図8】図8は従来の圧力風遮断装置(強制開閉ダンパ)の構成例を示す図である。
【図9】図9は逆止ダンパの弁体の動作を説明するための図である。
【図10】図10は逆止ダンパの弁体の逆風による動作を説明するための図である。
【図11】図11は本発明に係る換気ファン運転操作制御装置のシステム構成例を示す図である。
【図12】図12は図11の換気ファン運転操作制御装置の制御フローを示す図である。
【図13】図13は換気ファン運転操作制御装置のフリーラン移行基準を説明するための図である。
【図14】図14は本発明に係る換気ファン運転操作制御装置のシステム構成例を示す図である。
【図15】図15は図14の換気ファン運転操作制御装置の制御フローを示す図である。
【図16】図16は換気ファンが配置されている風路内に外部から正流方向に気流が進入した場合を説明するための図である。
【図17】図17は換気ファンが配置されている風路内に外部から逆流方向に気流が進入した場合を説明するための図である。
【図18】図18は固定案内翼を備えた換気ファンの概略構成を示す図である。
【図19】図19は固定案内翼と可動運内翼を備えた本発明に係る換気ファンの概略構成を示す図である。
【図20(a)】図20(a)は案内翼の動作を説明するための図である。
【図20(b)】図20(b)は案内翼の動作を説明するための図である。
【図21】図21は本発明に係る換気ファンの案内翼の構成例を示す図である。
【図22】図22は本発明に係る換気ファンの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図11は本発明に係る流体機械運転制御装置としての換気ファン運転操作制御装置のシステム構成を示す図である。なお、本実施例では流体機械として換気ファンを例に説明するが、本発明は流路内に配置され、該流路の一方端から他方端に流体を送る流体機械運転制御装置に適用できる。図11に示すように、流体機械運転制御装置は、換気ファン運転操作制御装置1、換気ファン保護制御装置2、速度制御装置3、機械的自動逆風圧抑制装置4を備え、風路11内に配置された換気ファン10の運転制御を行うようになっている。ここで換気ファン10は一般的な固定翼を備えた換気ファンである。換気ファン運転操作制御装置1は換気ファン10の通常の運転操作制御を行う装置で、換気ファン保護制御装置2は換気ファン10等の保護を行う装置であり、該換気ファン運転操作制御装置1と換気ファン保護制御装置2は同種類の制御装置であるが機能をわかりやすくするためにここでは区分している。
【0045】
換気ファン運転操作制御装置1は、制御対象信号発信器31からの風路11内の温度等の制御対象検出信号、運転・停止指令信号発信器32からの運転・停止指令信号、設定回転数発信器(遠方操作部)33からの設定回転数信号、及び回転数発信器27からの換気ファン10の実測回転数信号を受け、換気ファン10の設定回転数信号を生成し、設定回転数発信器1aから速度制御装置3に該設定回転数信号を送信するようになっている。
【0046】
換気ファン保護制御装置2は、フリーラン指令信号発信器2a、再起動指令(増速)信号発信器2b、保護制御開始信号発信器2c、保護制御終了信号発信器2dを備え、外力状態量発信器37からの圧力、又は風量等の外力の状態量検出信号、回転数発信器27からの換気ファン10の実測回転数信号、インバータ制御部36からの出力回転数信号、及びインバータ出力部35から電動モータ17に出力される電力(電流)信号を受けるようになっている。
【0047】
また、換気ファン保護制御装置2は、換気ファン10の電動モータ17の電力(電流)の回生や、過負荷になる等電気的な障害が発生した場合において、電動モータ17や速度制御装置3や電路等の設備を保護する必要がある場合に、フリーラン指令信号発信器2aから速度制御装置3にフリーラン指令信号を出力して電気的障害から設備を保護する制御を行う。更に換気ファン保護制御装置2は、速度制御装置3に電力を供給する動力配線上流部の遮断器を開放しない状態を維持する制御を行う。
【0048】
また、換気ファン保護制御装置2は、換気ファン運転操作制御装置1に保護制御開始信号発信器2cを介して保護制御を開始したことを知らせ通常制御を中断させる機能や、外力状態量発信器37で検出した圧力、又は風量の外力の状態量からフリーランを終了することを可能とする条件が整ったことを確認して、再起動指令信号発信器2bから再起動指令信号を速度制御装置3に出力して、換気ファン10の電動モータ17を通常制御時の設定回転数の運転に復帰させる機能や、回転数発信器27で検出した換気ファン10の実測回転数信号により換気ファン10が通常制御時の回転数に復帰したことを検知して保護制御終了信号発信器2dを介して保護制御終了信号を換気ファン運転操作制御装置1に出力する機能を備えている。
【0049】
速度制御装置3はインバータ出力部35を備え、換気ファン運転操作制御装置1の設定回転数発信器1aの設定回転数信号を受けて、インバータ制御部36で換気ファン10の回転数が設定回転数になる周波数信号を生成してインバータ出力部35に出力する。インバータ出力部35は該周波数信号を受けて設定回転数になる周波数の電力(電流)を換気ファン10の電動モータ17に供給する。これにより換気ファン10の回転翼15は正回転(矢印Aに示す方向に回転)し、換気ファン10のケーシング内を通って、該ケーシングに接続された風路11の一方端から他方端に向って矢印Bに示すように風(気流)を送る。
【0050】
また、速度制御装置3は、換気ファン保護制御装置2のフリーラン指令信号発信器2aからのフリーラン指令信号を受け、インバータ出力部35から換気ファン10の電動モータ17に供給する電力を無くして無拘束とし、電動モータ17の回転部を含む換気ファン10の回転体を自由に回転できる状態、即ち回転体をフリーラン状態とするフリーラン機能を備えている。また、速度制御装置3は、換気ファン保護制御装置2の再起動指令信号発信器2bからの再起動指令信号を受けてインバータ出力部35の出力電力を換気ファン10の電動モータ17に供給する。
【0051】
機械式自動逆風圧抑制装置4は、風路11に矢印Cに示す方向の過大逆風圧が進入し、換気ファン10が許容値以上の過回転(逆転)とならないように、逆風の進入があれば風圧により自動的に作動し、風圧に応じた通風抵抗を設定する装置であり、後に詳述するように風圧を得て機械的に動作する機構、即ち動作のための動力と制御を外部から必要としない機構を備えている。なお、図11において、矢印Dは正風の方向を示す。
【0052】
図12は上記換気ファン運転操作制御装置の制御フローを示す図である。先ずステップST11では、換気ファン10の通常制御、即ち速度制御装置3は換気ファン10の回転数が換気ファン運転操作制御装置1の設定回転数発信器1aからの設定回転数になる周波数の電力(電流)をインバータ出力部35から換気ファン10の電動モータ17に供給する制御を行う。ステップST12では、回転数発信器27からの換気ファン10の実測回転数をNとし、該実測回転数Nに対するフリーラン移行基準、即ち図13(a)、(b)に示すように、許容電力(電流)値範囲を演算して、低電力(電流)側規定値ALと高電力(電流)側規定値AHを求める。
【0053】
ステップST13では、インバータ出力部35から電動モータ17に供給される電力値(電流値)をAとし、“フリーラン”の移行基準処理、即ち回生電流自体の検知、若しくは、回生を回避すべき電流値条件の検知A<AL、そして、過負荷(過電流)を回避すべき電流値条件の検知A>AHを調べ、いずれかが成立する(OR)場合にはステップST14に移行する。該ステップST14では、換気ファン10の保護制御を開始し、ステップST15に移行する。これと同時に換気ファン10の通常制御は中断する。
【0054】
ステップST15では、換気ファン保護制御装置2のフリーラン指令信号発信器2aから速度制御装置3にフリーラン指令信号を送信してステップST16に移行する。ステップST16では、外力状態量発信器37で検出した外力の状態量(圧力、又は風量)Bを規定値と比較し、外力の状態量Bが規定値内に復帰するのを待って、規定値内に復帰したら、即ち図13(c)に示すように外力の状態量Bが低圧側外力基準値(−)BLと高圧側外力基準値(+)BHの間内になったらステップST17に移行する。
【0055】
ステップST17では、換気ファン10の回転方向を検出し、該回転方向によって、フローを分岐する。回転方向が逆転の場合にはステップST18に移行する。ステップST18では、換気ファン10の回転数(逆転)が規定値内まで減速したことを検出した後、ステップST20に移行し、フリーランを終了し、その後、ステップST21に移行する。該ステップST21では、換気ファン保護制御装置2はその再起動指令信号発信器2bから再起動指令信号を速度制御装置3に出力して換気ファン10の再起動を行い、ステップST23に移行する。前記ステップST17で換気ファン10の回転方向が正転の場合にはステップST19に移行し、フリーランを終了し、その後、ステップST22に移行する。該ステップST22では、換気ファン10が回転中であってもその回転数から再起動を行い、ステップST23に移行する。該ステップST23では、換気ファン10の増速を行い、ステップST24に移行する。ステップST24では、換気ファン10の回転数を設定回転数にする制御を行い通常制御へ復帰すると共に、ステップST25に移行して換気ファンの保護制御を終了する。
【0056】
また、速度制御装置3には電力回生機能が付属されているものもあり、この場合には回生側(回転体側)のフリーランの移動基準値を回生可能な容量までとし、正転側の過回転時には可能な範囲の動力(電力)回収を行うこともできる。この場合、ステップST13では、回生電流の検知は基準から除外し、ALは負の電流値(回生可能な電流値)として設定される。
【0057】
また、フリーランが終了した時点で再起動可能な回転数に低回転数側に制約がある場合には、自由に回転している換気ファン10の回転翼15を迅速に停止させるため、回生制動により回転翼15及び電動モータ17の回転部からなる回転体の回転を停止させることもできる。
【0058】
また、圧力、又は風量の状態量の変動状況が著しく、規定値の範囲内外に大きく振れる場合には、保護制御の移行とその終了が繰り返されるハンチング現象に陥る可能性もあるため、この場合にはハンチング現象を回避する手段としてフリーラン指令から通常制御に復帰のための外力の状態量確認までに保持時間を設ける等の処置も付加することができる。
【0059】
図14は本発明に係る換気ファン運転操作制御装置のシステム構成例を示す図である。図14に示す換気ファン運転操作制御装置が図11に示す換気ファン運転操作制御装置と異なる点は、図14の換気ファン運転操作制御装置では換気ファン保護制御装置2に、フリーラン制動指令信号発信器2eを設け、フリーランによる換気ファン10の回転体の回転数が規定範囲内に復帰したらフリーラン終了として速度制御装置3にフリーラン制動指令信号を送信するようになっている点である。他は図7の換気ファン運転操作制御装置と同一である。
【0060】
図15は図14に示す換気ファン運転操作制御装置の制御フローを示す図である。先ずステップST31では、換気ファン10の通常制御を行う。ステップST32では、回転数発信器27からの実測回転数をNとし、該実測回転数Nに対する許容電力(電流)値範囲の低電力側規定値ALと高電力側規定値AHを演算して求め(図13(a)、(b)参照)、ステップST33に移行する。ステップST33では、インバータ出力部35から電動モータ17に供給される電力値(電流値)をAとし、“フリーラン”の移行基準処理、即ち回生電流自体の検知、若しくは、回生を回避すべき電流値条件の検知A<AL、そして、過負荷(過電流)を回避すべき電流値条件の検知A>AHを調べ、いずれかが成立する(OR)場合にはステップST34に移行する。該ステップST34では、換気ファン10の保護制御を開始し、ステップST35に移行する。これと同時に換気ファン10の通常制御は中断する。
【0061】
ステップST35では、換気ファン保護制御装置2のフリーラン指令信号発信器2aから速度制御装置3にフリーラン指令信号を送信してステップST36に移行する。ステップST36では、保護制御の移行とその終了が繰り返されるハンチング現象を防止するため、タイマー等で所定のフリーラン保持時間を設定し、該フリーラン保持時間経過後にステップST37に移行する。ステップST37では、外力状態量発信器37で検出した外力の状態量Bを規定値と比較し、規定値内に復帰したか、即ち外力の状態量Bが低圧側外力基準値(−)BLと高圧側外力基準値(+)BHの間に復帰(図13(c)参照)したかを判断し、規定値内に復帰したら、ステップST38に移行する。
【0062】
ステップST38では、フリーラン終了し、ステップST39に移行する。該ステップST39では、換気ファン10の回転方向を検出し、回転方向によって、フローを分岐する。回転方向が逆転の場合にはステップST40に移行する。該ステップST40では、換気ファン保護制御装置2のフリーラン制動指令信号発信器2eから速度制御装置3にフリーラン制動指令信号を送信し、惰性回転している換気ファン10の回転数制動(減速動作)を行いステップST42に移行する。ステップST42では、換気ファン10の回転数が規定値内まで減速したことを検出した後、ステップST43に移行する。ステップST43では、換気ファン保護制御装置2の再起動指令信号発信器2bから再起動指令信号を速度制御装置3に出力して換気ファン10の再起動を行い、ステップST44に移行する。また、前記ステップST39で、換気ファン10の回転方向が正転の場合にはステップST41に移行する。該ステップST41では、換気ファン10が回転中であってもその回転数から再起動を行い、ステップST44に移行する。
【0063】
ステップST44では、換気ファン10の増速を行い、ステップST45に移行する。ステップST45では、換気ファン10の回転数を設定回転数にする制御を行い、通常制御へ復帰すると共に、ステップST46に移行して換気ファンの保護制御を終了する。
【0064】
図16は換気ファン10が矢印A方向に定格回転数で回転し、矢印B方向に100%の正風が風路11を流れている状態にある風路11に矢印B方向と同方向の正風(気流)が進入した場合の換気ファン10に及ぶ圧力(ファンに及ぶ圧力)(Pa)、換気ファン10の風量(ファン風量)(m3/min)、換気ファン10の回転数(ファン回転数)(min-1)、換気ファン10の軸動力(kW)、換気ファン10のトルク(N・m)、及び換気ファン10の電動モータ17の電流値であるファン電流値(A)の関係を示す図である。図示するように、ファンに及ぶ圧力(Pa)が負圧側に時刻t1から時刻t2、時刻t3、時刻t4と増大し、時刻T5で最大となり、時刻t6、時刻t7、時刻t8と減少し、時刻t9で収束している。
【0065】
ファン風量(m3/min)は時刻t1では通常状態であり、ファンの正流側に外部から付加される圧力の強さが大きくなる時刻t2、時刻t3につれて増大する。これと同時に、換気ファン10に必要なファン軸動力は外部から圧力がマイナス側に付加されることにより逆に軽減される方向へ作用する。ファン回転数が一定に維持されていることによりファントルク(N・m)もファン軸動力と同様に軽減される方向へ作用する。ファン電流値(A)もファン軸動力(kW)の低下に応じて低下する方向へ作用する。ここで下限の規定電流値(AL)より下回るG点に達すると通常制御は中断され、保護制御が開始され、換気ファン10はフリーラン状態となる。フリーラン状態にある間は換気ファン10の回転体は無拘束状態にあり、ファンに及ぶ圧力(Pa)に応じたランナウェイ回転数で回転し、時刻t4で増大し、時刻t5のE点で最大となる。同様に時刻t6、時刻t7とファンに及ぶ圧力(Pa)の低下に応じて減少していく。保護制御下にある時刻t3から時刻t7間は換気ファン10への電力供給が停止されるためファン軸動力(kW)、ファントルク(N・m)、ファン電流値(A)は0であるが、この間はインバータのフリーラン機能により電源の開閉器を開放せずに継続することが可能である。外力の状態量37であるファンに及ぶ圧力がF点で規定値より低下すると、保護制御は終了され、通常制御に復帰する。回転数は任意に有するものがインバータから電力供給により再起動・再加速され規定回転数に復帰する。時刻t8でファンに及ぶ圧力(Pa)は減少し、全ての状態量が時刻t9で定格値、或いは、+100%に復帰する。
【0066】
図17は換気ファン10が矢印A方向に定格回転数で回転し、矢印B方向の100%の正風が風路11を流れている状態にある風路11に、矢印Cに示す正風と逆方向の逆風が進入した場合の換気ファン10に及ぶ圧力(ファンに及ぶ圧力)(Pa)、換気ファン10の風量(ファン風量)(m3/min)、換気ファン10の回転数(ファン回転数)(min-1)換気ファン10の軸動力(kW)、換気ファン10のトルク(N・m)、及び換気ファン10の電動モータ17の電流値であるファン電流値(A)の関係を示す図である。図示するように、ファンに及ぶ圧力(Pa)が正圧側に時刻t1から時刻t2、時刻t3、時刻t4と増大し、時刻t5で最大となり、時刻t6、時刻t7、時刻t8と減少し、時刻t9で収束する。
【0067】
ファン風量(m3/min)は時刻t1では通常状態であり、換気ファン10の逆流側に外部から付加される風圧(ファンに及ぶ圧力(Pa))の強さが大きくなる時刻t2、時刻3につれて増大する。これと同時に、換気ファン10に必要なファン軸動力は外部から風圧が付加されることにより増大する方向へ作用する。ファン回転数が一定に維持されることによりファントルク(N・m)もファン軸動力と同様に増大する方向へ作用する。ファン電流値(A)も軸動力の増大に応じて増大する方向へ作用する。ここでファン電流値が上限側の規定電流値(AH)を上回るK点に達すると通常制御は中断され、保護制御が開始され、換気ファン10はフリーラン状態となる。フリーラン状態にある間は換気ファン10の回転体は無拘束状態にある。ここで機械式自動逆風抑制制御装置4が備わっている場合には、換気ファン10はファンに及ぶ圧力(Pa)から機械式自動風圧抑制装置4にて減圧された圧力に応じたランナウェイ回転数で回転し、時刻t4で増大し、時刻t5のH点でとなる。同様に時刻t6、時刻t7と換気ファン10に及ぶ圧力の低下に応じて減少していく。保護制御下にある時刻t3から時刻t7間は換気ファン10への電力供給が停止されるためファン軸動力、ファントルク、ファン電流値は0であるが、この間はインバータ出力部35のフリーラン機能により電源の開閉器を開放せずに継続することが可能である。外力の状態量37である換気ファン10に及ぶ圧力がJ点で規定値より低下すると、保護制御は終了され、通常制御に復帰する。回転数は任意に有るがインバータ出力部35からの電力供給により再起動・再加速され規定回転数に復帰する。時刻t8でファンに及ぶ圧力(Pa)は減少し、全ての状態量が時刻t9で定格値、或いは、+100%に復帰する。また、機械式自動逆風圧抑制装置4の通風抵抗値を調整することで、換気ファン10の逆転側の回転数は0、或いは、極めて低速な範囲に抑制することが可能となる。
【0068】
図18、図19は本発明に係る換気ファンの逆回転数抑制機構の原理を示す図である。図18に示すように、換気ファン10は内部ケーシング13と胴体12の間に案内翼14が内部ケーシング13の外周に所定間隔で軸方向に向って配置されている。風路11(図11、図14参照)に流れ込む逆圧力風は胴体12の吐出側から直線的に矢印C1に示すように流れ込む。そして圧力風は案内翼14の傾斜面に沿って方向転換し、回転翼15の翼面に入射するよりも立った角度(より90°に近い角度)で入射することになる。これにより衝撃形水車(ペルトン水車等)と同じ原理で、逆回転側により効率良く圧力風の動力が伝達されることで、正転・正流側に比べて速いランナウェイ回転数となる。
【0069】
上記逆圧力風による速いランナウェイ回転数を回避するため、ここでは、図19に示すように、案内翼14を逆圧力風の上流側と下流側に分け、上流側を固定案内翼14a、下流側を可動案内翼14bとし、固定案内翼14aは内部ケーシング13と胴体12の間に固定配置し、可動案内翼14bは回転軸16を中心に内部ケーシング13と胴体12の間で回動できるように構成している。このように、案内翼14を固定案内翼14aと可動案内翼14bに分割することにより、風路11から胴体12内に矢印C1に示すように、逆圧力風が流入した場合、可動案内翼14bを回転軸16を中心に矢印R1に示す方向に所定角度回動させることにより、逆圧力風は可動案内翼14bの翼面に沿って方向転換し、回転翼15の翼面に対して鋭角に入射することになる。これにより回転翼15の逆回転側方向へ伝わる回転力が小さくなり、図18の案内翼14に比べ、大幅に逆転ランナウェイ回転数を抑制することができる。
【0070】
図20は案内翼14全体が図18に示すように固定されている場合と、図19に示すように固定案内翼14aと可動案内翼14bに分割されている場合の逆風時の逆圧力の流れの詳細を示す図であり、図20(a)は案内翼14全体が固定翼である場合を、図20(b)は案内翼14が固定案内翼14aと可動案内翼14bに区分されている場合を示す。図20(a)に示すように、逆流側の圧力流が矢印C1に示すように吐出口側から直線的に流入するが、固定の案内翼14の翼面に沿って方向変換し、回転翼15の翼面に対しては、上記のように直線的に入射するより立った角度(より90°に近い角度)で入射することになり、衝動形水車と同じ原理で、逆回転側により効率良く動力が伝達されることになる。また、可動案内翼14bを回転軸16を中心に全閉方向に所定角度回動させると、図20(b)に示すように、逆圧力風は可動案内翼14bの翼面に沿って方向転換し、回転翼15の翼面に対して鋭角に入射し、回転翼15の逆回転側方向へ伝わる回転力が小さくなる。
【0071】
回転翼15に入射する圧力風の翼後部の力をFC1、翼頭部の力をFC2とした場合、図20(a)において、翼後部の逆転成分はFR1、翼頭部の逆転成分はFR2、回転翼方向成分は翼後部でFF1、翼頭部でFF2となる。ここで逆転成分はFR1と翼頭部の逆転成分はFR2は同一方向となり、逆転成分(ランナウェイ量)は概略FR1とFR2を平均化した大きさとなる。また、図20(b)において、翼後部の逆転成分はFR1、翼頭部の逆転成分はFR2、回転翼方向成分は翼後部でFF1、翼頭部でFF2となり、ここでは逆転成分FR1とFR2は図20(a)の逆転成分FR1とFR2より小さく、しかもその方向が互いに反対方向になる場合もある。従って、案内翼14を固定案内翼14aと可動案内翼14bに分割し、入射する圧力風に対して可動案内翼14bを所定角度回動した場合、逆転成分(ランナウェイ量)が案内翼14全体が固定翼である場合に比べて大幅に小さくなる。
【0072】
上記のように案内翼14を固定案内翼14aと可動案内翼14bに分割し、可動案内翼14bを胴体12内部で回転軸16を中心に回動可能にすることにより、逆風流入時に発生する差圧で可動案内翼14bが回動し、送風方向を転換する角度まで回転する構成とすることにより、逆転力成分を大幅に小さくできる。このとき、可動案内翼14bは回転軸16を中心する回動角度に応じて通風抵抗が生じるので、全開時に最小であるものが全閉時に最大となる特性を備えるようにする。そうして正風時には、可動案内翼14bは正規の位置(固定案内翼14aの翼面と可動案内翼14bの翼面が連続する位置)に復帰し、回転翼15から送風される気流方向を効率よく転換するようにする。
【0073】
案内翼14の可動案内翼14bの回転軸16は後述するように(図22参照)、該回転軸16と内部ケーシング13と胴体12を貫通する貫通部に設けられた2個の軸受により、可動案内翼14bが滑らかに回転できるように支枢され、可動案内翼14bの前後(翼頭部と翼後部)にかかる差圧により発生する荷重を支持するものとする。可動案内翼14bの回転軸16の取り付け位置を側面中心位置からずら(オフセット)し、逆流風発生時に回転軸16を挟んだ両側の受圧面積の違いにより、可動案内翼14bに回転軸16回りに回転モーメント力が生じ、逆風流入時に可動案内翼14bが自動的に回転する構成としている。
【0074】
図21は、案内翼14の構成例を示す図である。図示するように、可動案内翼14bが固定案内翼14aに対して翼面が互いに連続する正規の位置にある状態で、可動案内翼14bの固定案内翼14aに隣接する側部に、初動回転力発生用間隙14c(一種のエアポケット)を設けている。可動案内翼14bが正規の位置にあり、固定案内翼14aと可動案内翼14bの翼面が連続している状態では、逆流風が発生しても、可動案内翼14bの閉鎖方向(矢印R1)に回転力が生じにくい。そこで、逆流風流入時点で可動案内翼14bに速やかに閉鎖方向に回転動作を始めさせるために、前記初動回転力発生用間隙14cが必要となる。この初動回転力は可動案内翼14bが風路に対して平行な逆流風を受けて生じるようにするもので、可動案内翼14bの固定案内翼14a隣接側に逆流風が流入する初動回転力発生用間隙14cを設けることにより、可動案内翼14bに回転軸16を中心とした回転モーメント力が発生し、可動案内翼14bは速やかに閉鎖方向に回転動作する。
【0075】
ここでは図示するように、可動案内翼14bの回転軸16の取り付け位置を側面中心位置からずら(オフセット)し、逆流風流入時に回転軸16を挟んだ両側の受圧面積の差により、可動案内翼14bに回転軸16回りに回転モーメント力が生じる構造とし、逆流風が流入すると可動案内翼14bは回転軸16を中心に自動的に回転する。また、複数の可動案内翼14bは、統一して動作するように、図22に示すように、対遇とするリンク機構19を設け、複数の可動案内翼14bの動作の統一化を図っている。
【0076】
図22には本発明に係る逆回転数抑制機構付き換気ファンの側面(一部断面)を示す図である。図示するように、可動案内翼14bは回転軸16の両端部に、該回転軸16が内部ケーシング13と胴体12を貫通する貫通部に固定された軸受20、軸受21により、回動自在に支枢されている。各回転軸16の胴体12側端部には、リンク部材23が取り付けられており、該リンク部材23は可動案内翼開度自動制御機構24により可動範囲ΔLの範囲で可動できるように付勢されている。可動案内翼開度自動制御機構24はバネ部材25を備え、該バネ部材25の一端はリンク部材23の反回転軸16の端部に取り付けられ、他端は胴体12に固定されたブラケット26に固定されている。
【0077】
可動案内翼開度自動制御機構24は、常時はバネ部材25の弾性力により、案内翼14の可動案内翼14bが正規位置(固定案内翼14aの翼面と可動案内翼14bの翼面が連続する位置)になるように付勢しており、逆流風がない状態では可動案内翼14bが正規位置に位置している。この状態で、風路11(図11及び図14参照)に逆流風が流入した場合、案内翼14の初動回転力発生用間隙14cに逆流風が流れ込み、可動案内翼14bを閉鎖方向に回動させる初動回転力が発生し、回転軸16を中心に閉鎖方向に回動させる。可動案内翼14bが回動することにより、多くの逆流風が可動案内翼14bの背面に当たり、可動案内翼14bは発生する回転モーメント力とバネ部材25の弾性力が均衡する角度になるまで回動する。
【0078】
各案内翼14を構成する固定案内翼14a及び可動案内翼14bの形状寸法及び各可動案内翼開度自動制御機構24を構成するバネ部材25の弾性力等を同一にすることにより、複数の可動案内翼14bは、逆流風に対して統一して動作し、各可動案内翼14bは同じ回動角度で回動する。このように、可動案内翼開度自動制御機構24のような機械的な機構により、風路11に流入する逆流風の風圧量に応じた回転翼15への逆流風の向きを自動的に転換することが可能となるので、回転翼15の逆方向の回転力を抑制でき、回転翼15が危険回転数を超えて回転すること抑制できる。また、回転翼15の逆流風による回動動作が激しくなっても、可動案内翼14bには衝突する部分がないので、衝撃、閉鎖音を発することなく、破損等も発生することがない。なお、可動案内翼14bの過渡的な回動変位速度を抑制した場合には、ショックアブソーバー等の抑制機構を付加してもよい。
【0079】
可動案内翼開度自動制御機構24の取付位置は、装置の大きさや維持管理を考慮して、胴体12の外部に独立して設置してもよい。また、案内翼14の初動回転力発生用間隙14cを設ける位置は、可動案内翼14bの固定案内翼14a隣接に限定されるものではなく、固定案内翼14の可動案内翼14b隣接に設けてもよい。また、初動回転力発生用間隙14cの形状も図21に示す形状に限定されるものではなく、逆流風が流れ込み、可動案内翼14bに初動回転力を与える形状であれば、どのような形状であってもよい。また、可動案内翼14bの形状自体を逆流風により初動回転力が発生するような形状としてもよく、要は逆流風の発生により、可動案内翼14bに初動回転力を発生させる構成であれば、どのような構成でもよい。
【0080】
なお、図22に示す構成の逆回転数抑制機能付換気ファンを図11及び図14の流体機械運転制御装置の換気ファン10として用いる場合、機械的自動逆風圧抑制装置4は必ずしも必要ではない。無くともよいが、該機械的自動逆風圧抑制装置4を備えることにより、二重に逆風圧抑を抑制できる。
【0081】
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造であっても、本願発明の作用効果を奏する以上、本願発明の技術範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、流体が通る流路内に設置されるファン等の流体機械を運転制御する流体機械運転制御装置であって、外部から該流体流路内に逆流方向又は正流方向の圧力を有する風(気流)が頻繁に進入し、流路内に設置された流体機械による流体流れに影響する場合に利用することができる。
【0083】
本発明は、換気ファンが設置され、該換気ファンの送風方向と逆方向の圧力を有する気流が進入する風路、例えば高速列車が通る軌道トンネル内を換気する換気用立坑に設置される換気ファン等では、列車が通過する度に立坑内に逆風や正風が侵入し、換気ファンに強い正風、逆風の圧力が作用するが、このような換気ファンがその圧力により過大に正回転又は逆回転させられて換気ファンや動力(電力)供給設備が損傷や破壊に至らないように保護する装置として利用できる。
【符号の説明】
【0084】
1 換気ファン運転操作制御装置
2 換気ファン保護制御装置
3 速度制御装置
4 機械的自動逆風圧抑制装置
10 換気ファン
11 風路
12 胴体
13 内部ケーシング
14 案内翼
14a 固定案内翼
14b 可動案内翼
14c 初動回転力発生用間隙
15 回転翼
16 回転軸
17 電動モータ
19 リンク機構
20 軸受
21 軸受
23 リンク部材
24 可動案内翼開度自動制御機構
25 バネ部材
26 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体内に配置され、回転翼を回転させることにより前記胴体の吸込口から吸込んだ流体を、前記胴体の内周に周方向に所定の間隔で且つ該胴体の軸方向に沿って設けた複数の案内翼によって案内し、吐出口から吐出す流体機械であって、
前記各案内翼は固定案内翼と可動案内翼とを備え、該固定案内翼は前記胴体に固定され、該可動内翼は前記胴体の軸方向に直交する回転軸を中心に回動可能になっており、
前記胴体の吐出口から吸込口に流れる逆流体流が流入した場合、発生する流体差圧により前記可動案内翼がその翼面が前記固定案内翼の翼面と連続する正規位置である全開位置から全閉位置の方向に回動して前記逆流体流の方向を転換させ、前記回転翼に当接する前記逆流体流の圧力を削減させる位置に保持する可動翼開度自動制御機構を設けたことを特徴とする流体機械。
【請求項2】
請求項1に記載の流体機械において、
前記可動案内翼は前記回転軸に固定され、一体で該回転軸回りに回動し、回動角度に応じて流体抵抗が生じ、該流体抵抗は前記全開位置で最小で前記全閉位置で最大となる特性を有することを特徴とする流体機械。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の流体機械において、
可動翼開度自動制御機構は、正流体流時には前記可動案内翼を前記正規位置に復帰させ、前記回転翼から送られる正流体流を効率よく転換することを特徴とする流体機械。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の流体機械において、
前記固定案内翼と可動案内翼は前記胴体と該胴体内に配置されている内部ケーシングの間に配置され、該可動案内翼の回転軸は、前記胴体と前記内部ケーシングを貫通して配置され、該両貫通部に設けた軸受により回動自在に支持されていることを特徴とする流体機械。
【請求項5】
請求項4に記載の流体機械において、
前記各可動案内翼の回転軸の前記胴体側端部にリンク部材の一端部を固定し、該リンク部材の他端部は前記可動翼開度自動制御機構により常時所定の力で前記可動案内翼を前記正規位置に回動するように付勢されていることを特徴する流体機械。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の流体機械において、
前記可動案内翼の回転軸の取付け位置は、前記逆流体流発生時、受圧面積の差に回転軸回りに回転モーメントが生じるように前記可動案内翼の側部中心からずれていることを特徴とする流体機械。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の流体機械において、
逆流体流発生時に前記正規位置にある可動案内翼に初動回動力を与える初動回動力発生手段を設けたことを特徴とする流体機械。
【請求項8】
請求項7に記載の流体機械において、
初動回動力発生手段は、前記固定案内翼の前記可動案内翼の隣接部又は前記可動案内翼の前記固定案内翼の隣接部に設けた空隙であることを特徴とする流体機械。
【請求項9】
流路内に配置され、回転翼を駆動機で回転させることにより、流体流を流路の一方から他方に送る流体機械の運転制御を行う流体機械運転制御装置において、
速度制御装置と、運転操作制御装置と、保護制御装置とを備え、
前記速度制御装置は、通常は前記運転操作制御装置から指令される設定回転数で前記回転翼を回転させる動力を前記駆動機に出力する通常制御機能と、前記駆動機に出力する動力を無くし前記流体機械の前記回転翼を含む回転体を自由回転にさせるフリーラン制御機能とを備え、
運転操作制御装置は、前記通常制御時に前記速度制御装置に前記設定回転数信号を送り前記回転翼を設定回転数で回転させる通常制御指示機能を備え、
前記保護制御装置は、前記流路に許容範囲外の外部圧力流体流が進入した場合に前記速度制御装置に前記回転体をフリーラン状態にさせるフリーラン指示機能を備え、
前記流体機械に請求項1乃至8のいずれか1項に記載の流体機械を用いたことを特徴とする流体機械運転制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の流体機械運転制御装置において、
前記保護制御装置は、前記速度制御装置に前記フリーランを指示した場合に前記運転操作制御装置に前記保護制御開始したことを通知する保護制御開始通知機能と、前記流路に作用する外部圧力流体が前記許容範囲内になった場合に保護制御が終了したことを通知する保護制御終了通知機能を備え、
たことを特徴とする流体機械運転制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20(a)】
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【図20(b)】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−179414(P2011−179414A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44785(P2010−44785)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【出願人】(398040642)ジェイアール東海コンサルタンツ株式会社 (7)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】