説明

流量制御弁

【課題】 低差圧から高差圧に到るまで安定して流量一定制御が行える流量制御弁を提供する。
【解決手段】 スプール3の外周面に形成した孔15、16は、図示せぬ連通孔を介して中空室19にそれぞれ連通している。メータイン油路21に連通した第1ポート9と孔15との間に第1開口25が形成され、メータアウト油路22に連通した第2ポート10と孔15との間に第2開口26を形成する。また、第2ポート10と孔16との間に第3開口27を形成する。メータイン油路21とメータアウト油路22とは、更に絞り28を介して連通している。第1開口25及び第3開口27におけるフローフォースは、第1開口25及び第3開口27の開口面積を狭める方向に作用するが、同作用は第2開口26におけるフローフォースによって軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量制御弁に関し、特に、流量制御弁のスプールに発生するフローフォースを利用した流量制御弁に関するものである。フローフォースについて、流量制御弁を例にとって説明すると、流量制御弁における弁本体とスプールとの間には、切り欠きによる絞り面積が形成されている。この絞り面積を圧油が斜めに流れると、前記絞り面積を更に減少させるフローフォースが発生する。
【背景技術】
【0002】
一般に、流量制御弁では、流量制御弁における出力側の絞りにおけるフローフォースをセンシングバネのバネ力と対向させた構成となっている。そして、フローフォースが前記バネ力よりも大きくなったときには、フローフォースとバネ力との圧力差によって流量制御弁のスプールを摺動させる。このスプールの摺動によって入力側の絞りを絞り、流量制御弁から出力する流量を一定に保つ構成となっている。
【0003】
しかし、従来から一般に用いられている流量制御弁では、フローフォースが低い低差圧状態において大流量の流量制御を行う場合には、流量が大きくなるとスプールに発生するフローフォースの値も大きくなってしまう問題がある。このため、フローフォースの値が前記センシングバネのバネ力に近い値となってしまい、バネ力による流量一定の特性が得られないという問題があった。
【0004】
また、フローフォースに打ち勝つためにセンシングバネのバネ力を大きく構成すると、バネ力が大きくなってしまう。このため、フローフォースが低い低差圧状態においても大きなバネ力に抗してスプールを作動させるためには、スプールの径を大きく構成しなければならない。従って、流量制御弁自体が大型化してしまい、流量制御弁を配設する場積を大きく取らなければならないという問題があった。
【0005】
流量制御弁において、フローフォースの発生を小さく抑えようとした圧力補償形流量調整弁(特許文献1参照。)が提案されている。特許文献1に記載された圧力補償形流量調整弁を、本発明の従来例としてその縦断面図を図7に示す。図7に示すように、弁本体53に設けたスプール嵌合孔53aにはスプール54が、スプール54の長手方向に対して摺動可能に嵌合している。
【0006】
スプール54は、スプール54の開口他端にはピストン部材が嵌着され、スプール54内には中空室56が画成されている。ピストン部材によってスプールの拡大端部54aが形成されている。スプールの拡大端部54aには、バネ55のバネ力及び可変絞り部51の下流圧P3が、図7の右向きに作用している。また、スプール54の他端部54b及び拡大端部54aには、可変絞り部51の上流圧P2が図の左向きに作用している。
【0007】
中空室56の周壁には、周壁を直角方向に貫通する2列の透孔56aが穿設されている。各列の透孔56aは、スプール54の長手方向に沿って配列されている。スプール54の長手方向への移動において、肩部53cに連なるスプール嵌合孔53aの内周面によって、各列の透孔56aによる開口面積が変化するように配置されている。2列の透孔56aによって、減圧通路が構成されている。
【0008】
中空室56の周壁には、2列の透孔56aとは別に透孔56bが形成されている。透孔56bによって、スプール嵌合孔53aの内周面に形成した環状溝53dを介して中空室56と可変絞り部51とを連通させた構成になっている。環状溝53dの幅は、スプール54の作動ストローク中において、常に透孔56bが環状溝53dに通じる幅となるように構成されている。
【0009】
これにより、定流量ポンプ50から吐出された圧油を、透孔56a、中空室56、透孔56bを介して可変絞り部51に供給することができる。可変絞り部51を介して、可変絞り部51の開口面積に応じた所定流量だけリザーバタンク52に抜き取ることができる。また、2列の透孔56aにおける合計開口面積は、スプール54の長手方向への移動によって増減される構成となっているので、可変絞り部51の前後差圧を予め設定した設定圧に保つことができる。しかも、可変絞り部51の開口面積が変化しても、可変絞り部51の前後差圧を設定圧に保つことができる。
【特許文献1】特開昭58−57571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載された圧力補償形流量調整弁では、2列の透孔56aを中空室56の周壁に対して直角な方向に形成している。これにより、各透孔56aを流れる圧油は、中空室56の周壁に対して直角方向に流れることになり、各透孔56aを流れる圧油によるフローフォースの発生を防止している。
【0011】
可変絞り部51の開口面積に応じてスプール54が長手方向に摺動すると、肩部53cと透孔56aの孔の一部とが重なってしまう状態が発生する。肩部53cと透孔56aの孔の一部とが重なると、肩部53cから透孔56aに流入する圧油の流れの方向は、中空室56の周壁に対して斜めな方向となる。
【0012】
即ち、圧油の流れの方向が、中空室56の周壁に対して直角な方向ではなくなり、周壁に対して斜めな方向となる。この斜めに流れる圧油によってフローフォースが発生し、フローフォースによって前記肩部53cと透孔56aの孔の一部とにより形成された絞り面積を更に減少させることになる。
【0013】
このため、特許文献1に記載された圧力補償形流量調整弁においても、フローフォースが完全に消えてしまった訳ではない。ただ、小径の透孔56aによって、フローフォースの大きさを小さくしているだけである。特に、圧力補償形流量調整弁を流れる流量を大きくするために、多数列の透孔56aを配設した場合や、透孔56aの径を大きく構成した場合には、肩部53cと透孔56aとが重なって形成された絞り面積によって、大きなフローフォースが発生することになる。
【0014】
また、可変絞り部51の前後差圧として微小な差圧によって、スプール54をコントロールするためには、拡大端部54aにおける受圧面積を大きく形成しなければならない。拡大端部54aにおける受圧面積を大きく形成すると、圧力補償形流量調整弁自体が大型化してしまうことになる。
【0015】
本願発明では、フローフォースの発生を抑えるのではなく、まったく新しい発想に基づいて積極的にフローフォースを利用し、流量制御弁としての大きさを大きくすることもなく、しかも低差圧から高差圧に到るまで安定して流量一定制御が行える流量制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明の課題は請求項1〜3に記載された各発明により達成することができる。
即ち、弁本体と、前記弁本体に摺動自在に嵌挿されたスプールと、前記スプールにおいて圧油を流すスプール油路と、前記弁本体において圧油を供給するメータイン油路と、前記弁本体において圧油を排出するメータアウト油路と、を有する流量制御弁において、本願発明では、前記メータイン油路から前記スプール油路へ流入する圧油の流れを制御する第1開口と、前記スプール油路から前記メータアウト油路へ流出する圧油の流れを制御する第2開口と、前記スプール油路から前記メータアウト油路へ流出する圧油の流れを制御する第3開口と、前記第2開口及び第3開口におけるフローフォースと対向する向きのバネ力を有するセンシングバネと、前記メータイン油路と前記メータアウト油路とを繋ぐ絞りと、を備え、前記第1開口、第2開口及び第3開口により制御されて前記メータアウト油路に流出する流量と、前記絞りにより制御されて前記メータアウト油路に流出する流量との合計が一定となるようにしたことを最も主要な特徴となしている。
【0017】
また、本願発明では上記最も主要な構成において、第1開口、第1開口及び第3開口の構成を特定したことを主要な特徴となしている。
更に、本願発明では上述した構成において、絞りの構成を特定したことを主要な特徴となしている。
【発明の効果】
【0018】
本願発明では、フローフォースを積極的に利用してフローフォースによる影響を軽減してしまうという、まったく新しい発想に基づいて流量制御弁が構成されている。このため、小さな弁体によって流量制御弁を構成することができる。しかも、小流量を流す場合から大流量を流す場合に到るまでの制御流量のレンジを大きくとれ、流量制御弁を安定して作動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明の流量制御弁の構成としては、以下で説明する形状、配置構成以外にも本願発明の課題を解決することができる形状、配置構成であれば、それらの形状、配置構成を採用することができるものである。このため、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係わる流量制御弁の要部縦断面図である。流量制御弁1には、弁本体2の内部で長手方向に摺動するスプール3を備えている。尚、弁本体2の構成としては、スプール3近傍の要部のみを示している。スプール3の一端部は、閉塞部材6aによって閉塞され、中間部は同じく閉塞部材6bによって閉塞されている。一対の閉塞部材6a、6bによって、スプール3に中空室19が形成されている。
【0021】
閉塞部材6a、6bは、螺合、溶接、圧入等の固着手段によりスプール3に固定することができる。また、閉塞部材6a、6bのうち一方の閉塞部材は、スプール3とは別体に構成せずにスプール3と一体に構成することもできる。
【0022】
スプール3の他端部には、センシングバネ5が圧接して、スプール3を図1の左方向に付勢している。センシングバネ5の端部は、弁本体2に対して螺合等の固定手段により固定された栓8に当接している。弁本体2に対する栓8の固定位置を調整することにより、センシングバネ5のバネ力を調整することができる。また、栓8によって、スプール3を収納した弁本体2内を液密状態に構成することができる。
【0023】
スプール3の外周面には、孔15、16が形成され、各孔15、16は中空室19と連通している。孔15は、メータイン油路21に連通した第1ポート9に対して、弁本体2の肩部4aとの間に形成される第1開口25を介して連通することができる。また、孔15は、メータアウト油路22に連通した第2ポート10に対して、弁本体2の肩部4bとの間に形成される第2開口26を介して連通することができる。
【0024】
孔16は、メータアウト油路22に連通した第2ポート10に対して、弁本体2の肩部4cとの間に形成される第3開口27を介して連通することができる。また、スプール3の先端部には、タンク31に連通した第3ポート11が配設されている。センシングバネ5を収納したバネ室は、タンク31に連通した第4ポート12に連通している。
【0025】
孔15、孔16と中空室19とによって、スプール油路14が構成されている。また、メータイン油路21とメータアウト油路22とは、スプール油路14を介した連通とは別に、絞り28を介して連通している。絞り28の配設構成としては、弁本体2の内部に配設することも、弁本体2の外部に配設することもできる。
【0026】
次に、スプール3の作動について説明する。メータイン油路21を通って供給された圧油は、絞り28を介してメータアウト油路22に流出するとともに、第1開口25からスプール油路14に導入される。スプール油路14に導入された圧油の一部は、スプール油路14を構成する孔15から第2開口26を介してメータアウト油路22に流出する。また、スプール油路14に導入された圧油の残りは、スプール油路14を構成する孔16から第3開口27を介してメータアウト油路22に流出する。
【0027】
この状態を、図2を用いて説明する。図2は、スプール3のストローク量と、第1開口25、第2開口26及び第3開口27におけるそれぞれの開口面積との関係、更に絞り28における開口面積との関係を示したものである。横軸を、スプール3が図1の右方向にストロークしたときのストローク量とし、縦軸を開口面積としている。点線は、第1開口25及び第3開口27の開口面積とスプール3のストローク量との関係を示している。実線は、第2開口26の開口面積とスプール3のストローク量との関係を示している。一点鎖線は、絞り28の開口面積とスプール3のストローク量との関係を示している。
【0028】
図2に示すようにスプール3が図1の右方向に摺動すると、第1開口25及び第3開口27は、それぞれの開口面積を小さくすることになる。また、第2開口26は、その開口面積を大きくすることになる。また、絞り28の開口面積は、スプール3のストローク量に係わらず一定の値となっている。
【0029】
そして、フローフォースによるスプール3に対する推力と、センシングバネ5によるバネ力とがバランスする位置にスプール3は位置決めされることになる。これにより、第1開口25を通り第2開口26及び第3開口27からメータアウト油路22に流出する流量を一定に制御することができる。
【0030】
しかし、第1開口25を通ってメータイン油路21から孔15に圧油が流入する際、流量が増大すると、流入する圧油の流れはスプール3の中心軸に対して角度を有した状態となる。また、第2開口26を通って孔15からメータアウト油路22に圧油が流出する際においても、及び第3開口27を通って孔16からメータアウト油路22に圧油が流出する際においても、流量が増大すると流出するそれぞれの圧油の流れはスプール3の中心軸に対して角度を有した状態となる。
【0031】
このため、第1開口25、第2開口26及び第3開口27において傾いて流れる圧油によって、スプール3に対してフローフォースが発生する。第1開口25を流れる圧油によって発生するフローフォースは、第1開口25及び第3開口27を狭める方向に作用し、第2開口26を広げる方向に作用する。
【0032】
第2開口26を流れる圧油によって発生するフローフォースは、第2開口26を狭める方向に作用し、第1開口25及び第3開口27を広げる方向に作用する。また、第3開口27を流れる圧油によって発生するフローフォースは、第1開口25及び第3開口27を狭める方向に作用し、第2開口26を広げる方向に作用する。
【0033】
即ち、第1開口25及び第3開口27を流れる圧油によるフローフォースは、スプール3を図1の右方向にストロークさせる推力として作用するが、第2開口26を流れる圧油によるフローフォースは、スプール3を図1の左方向にストロークさせる推力として作用することになる。これによって、第1開口25及び第3開口27の開口面積を狭める方向に作用するフローフォースは、第2開口26を流れる圧油によるフローフォースによって軽減させることができる。
【0034】
第2開口26及び第3開口27を通ってスプール油路14からメータアウト油路22に流出する圧油のフローフォースと、メータアウト油路22に流入する圧油の流量との関係を、図3を用いて説明する。図3では、フローフォースを横軸にとり、流量を縦軸にとっている。一点鎖線は、第1開口25を通り第2開口26及び第3開口27を通ってメータアウト油路22に流出する圧油の流量を示している。
【0035】
点線は、絞り28を通ってメータアウト油路22に流出する圧油の流量を示している。実線は、第1開口25を通り第2開口26及び第3開口27を通ってメータアウト油路22に流出する圧油の流量と、絞り28を通ってメータアウト油路22に流出する圧油の流量との合計流量を示している。
【0036】
図3に示すように、フローフォースが小さくてフローフォースがほとんど問題にならないときには、第2開口26及び第3開口27を通ってメータアウト油路22に流出する圧油の流量は、フローフォースが増大するのに伴って増大する。フローフォースが大きくなるとスプール3に作用するフローフォースも増大する。
【0037】
しかし、第1開口25及び第3開口27の開口面積を狭める方向に作用するフローフォースは、第2開口26を流れる圧油によるフローフォースによって軽減することができる。このため、第2開口26及び第3開口27からメータアウト油路22に流出する圧油の流量は、急激には減少せずに、図3の一点鎖線で示すようになだらかな減少曲線にすることができる。
【0038】
また、絞り28を通ってメータイン油路21からメータアウト油路22に流出する圧油の流量は、図3の点線で示すようにオリフィス流れとしてなだらかな増加曲線に従って増加することになる。従って、第1開口25を通り第2開口26及び第3開口27からメータアウト油路22に流出する圧油の流量と、絞り28を通ってメータイン油路21からメータアウト油路22に流出する圧油の流量との合計流量としては、図3の実線で示すようにフローフォースが、低差圧状態から高差圧状態に亘って略一定の流量とすることができる。
【0039】
即ち、第1開口25を通り第2開口26及び第3開口27からメータアウト油路22に流出する圧油の流量が、フローフォースの影響を受けて減少しても、絞り28を介してメータアウト油路22に流出する流量の増加分によって補うことができる。しかも、第1開口25を通り第2開口26及び第3開口27からメータアウト油路22に流出する流量の減少割合は、逆向きに作用し合う2つのフローフォースによって緩やかな減少割合とすることができる。このため、絞り28を介した流量の増加分によって十分補うことができる。
【0040】
尚、図2において、スプール3のストローク量と第1開口25、第2開口26及び第3開口27におけるそれぞれの開口面積との関係が、直線的な比例関係となっている例について説明を行った。しかし、スプール3のストローク量と第1開口25、第2開口26及び第3開口27におけるそれぞれの開口面積との関係を、直線的な比例関係とせずに曲線的な比例曲線に基づいた関係となるように構成することもできる。
【0041】
この場合、図3における第2開口26及び第3開口27を通りメータアウト油路に流出する流量曲線は、図2における比例曲線に対応した流量曲線となる。また、第1開口25と第3開口27とが、スプール3のストローク量に対して同じ直線状の比例関係とした例を示しているが、スプール3のストローク量に対する第1開口25及び第3開口27の開口面積の関係をそれぞれ異なる関係となるように構成することもできる。
【実施例2】
【0042】
本願発明に係わる別の実施例として、実施例1における孔15を、第1開口25用の孔15と第2開口26用の孔17とに独立させた例について説明する。実施例3における孔17の構成を除いた他の構成は、実施例1の構成と同様の構成となっている。このため、実施例1と同様の構成については、実施例1において用いた部材符号と同じ部材符号を用いることでその説明を省略する。
【0043】
図4には、実施例1における孔15の途中にランド部を形成して、第1開口25用の孔15と第2開口26用の孔17とを形成した例を示している。図4における孔15と孔17とは、図示せぬ連通孔をそれぞれ介して中空室19に連通した構成となっている。このため、第1開口25、第2開口26及び第3開口27を流れる圧油によってスプール3に発生するフローフォースは、実施例1と同様に発生することになる。
【0044】
このため、実施例3における流量制御弁1においても、図3における実線で示したと同様に、フローフォースが低差圧状態から高差圧状態に亘って略一定の流量特性を持たせることができる。
【0045】
尚、実施例1、実施例2では、スプール3内に中空室19を形成した例について説明を行ったが、図5に示すように中空室19内に閉塞部材6a、6b間を連結する連結部材7を配設した構成とすることもできる。尚、図5は、図1で示した実施例1において、中空室19内に連通部材7を配設した構成を示している。図5に示すように、連結部材7によってスプール3内には、環状のスプール内油路18が形成されることになる。
【0046】
また、閉塞部材6a、6bの両端面間を連通する連通路33を、閉塞部材6a、6b及び連結部材7に形成しておくことができる。連通路33によって第3ポート11と第4ポート12とを連通することができる。これにより、第3ポート11又は第4ポート12のいずれか一方のポートをタンク31に連通した構成とすることができる。
【実施例3】
【0047】
図6には、本願発明に係わる更に他の実施例の例を示している。実施例5では、実施例2にける中空室19を設ける構成の代わりに、スプール3内にスプール内油路18を形成し、孔15及び切り孔32をそれぞれスプール内油路18に連通した構成となっている。また、実施例1における孔16の代わりにスプール内油路18に連通する連通孔20が形成されている。実施例3における他の構成は、実施例1の構成と同様の構成となっている。このため、実施例1と同様の構成については、実施例1において用いた部材符号及び実施例1において用いた部材符合と同じ部材符号を用いることでその説明を省略する。
【0048】
図6に示すように、スプール3にはスプール軸方向にスプール内油路18が穿設されている。メータイン油路21とメータアウト油路22とは、スプール油路14を介した連通とは別に、絞り28を介して連通している。絞り28の配設構成としては、弁本体2の内部に配設することも、弁本体2の外部に配設することもできる。
【0049】
また、孔15は、切り孔32を介してスプール内油路18と連通している。連通孔20は、スプール3の外表面からスプール内油路18に向かって穿設されている。スプール内油路18の開放端部は、閉塞部材により密閉されている。
【0050】
実施例5においてスプール油路14は、孔15、切り孔32、スプール内油路18及び連通孔20から構成されている。孔15は、第1開口25及び第2開口26を形成するスプール油路14として機能するとともに、連通孔20への圧油の供給路となっている。連通孔20と肩部4cとの間に第3開口27を形成することができる。
【0051】
実施例5における流量制御弁1においても、図3における実線で示したと同様に、フローフォースが低差圧状態から高差圧状態に亘って略一定の流量特性を持たせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本願発明は、本願発明の技術思想を適用することができる装置等に対しては、本願発明の技術思想を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】流量制御弁の要部縦断面図である。(実施例1)
【図2】スプールのストロークと開口面積との関係を示す図である。(実施例)
【図3】フローフォースとメータアウト油路に流れ込む流量との関係を示す図である。(実施例)
【図4】流量制御弁の要部縦断面図である。(実施例2)
【図5】流量制御弁の要部縦断面図である。(実施例1、2)
【図6】流量制御弁の要部縦断面図である。(実施例3)
【図7】流量制御弁の要部縦断面図である。(従来例)
【符号の説明】
【0054】
1・・・流量制御弁、2・・・弁本体、3・・・スプール、9・・・第1ポート、10・・・第2ポート、14・・・スプール油路、15〜17・・・孔、18・・・スプール内油路、21・・・メータイン油路、22・・・メータアウト油路、25・・・第1開口、26・・・第2開口、27・・・第3開口、28・・・絞り、51・・・可変絞り部、53・・・弁本体、53d・・・環状溝、54・・・スプール、54a・・・拡大端部、54b・・・他端部、56・・・中空室、56a・・・透孔、56b・・・透孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体と、前記弁本体に摺動自在に嵌挿されたスプールと、
前記スプールにおいて圧油を流すスプール油路と、
前記弁本体において圧油を供給するメータイン油路と、
前記弁本体において圧油を排出するメータアウト油路と、
を有する流量制御弁において、
前記メータイン油路から前記スプール油路に流入する圧油の流れを制御する第1開口と、
前記スプール油路から前記メータアウト油路に流出する圧油の流れを制御する第2開口と、
前記スプール油路から前記メータアウト油路に流出する圧油の流れを制御する第3開口と、
前記第2開口及び第3開口におけるフローフォースと対向する向きのバネ力を有するセンシングバネと、
前記メータイン油路と前記メータアウト油路とを繋ぐ絞りと、
を備え、
前記第1開口、第2開口及び第3開口により制御されて前記メータアウト油路に流出する流量と、前記絞りにより制御されて前記メータアウト油路に流出する流量との合計流量が一定となるようにしたことを特徴とする流量制御弁。
【請求項2】
前記第1開口及び第3開口において前記スプールに発生するフローフォースの向きと、第2開口において前記スプールに発生するフローフォースの向きと、が逆向きに構成されてなることを特徴とする請求項1記載の流量制御弁。
【請求項3】
前記絞りが、前記弁本体に配設された固定絞りであることを特徴とする請求項1又は2記載の流量制御弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−107677(P2007−107677A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301324(P2005−301324)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】