説明

液体供給システム

【課題】 液体を貯留するタンクから、一対のポンプによる交互の圧送により、液中のガスを発泡して排除した液体を吐出先に安定的に供給する液体供給システムにおいて、省スペースで低コストな液体供給システムを提供する。
【解決手段】 薬液供給システム1は、薬液供給源から薬液を供給する供給口53と、供給口53から流入した薬液を一時的に貯留する貯留槽50Tと、貯留槽50Tの下方から薬液を吐出させる吐出口62と、薬液から発泡された気泡を貯留槽50Tの上方から槽50T外に排気する排気口54とを有する脱気装置50と、を備え、脱気装置50は、薬液供給源とべローズポンプ10との間の薬液吸入第1,第2管路Li1,Li2に配設され、供給口53にキャビテーションノズル70を設けていること、べローズポンプ10は、脱気装置50の吐出口63に接続する薬液吸入第2管路Li2に、並列に2つ併設されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、薬液等の液体を貯留するタンクと吐出先とを繋ぐ管路上に設けられ、一対のべローズポンプによる交互の圧送により、液体を連続的に吐出先に供給する液体供給システムに関する。詳しくは、特に半導体製造に用いる薬液について、液中の気体を発泡して排除した薬液をべローズポンプに取り込む薬液供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造工程において、半導体ウエハに塗布するレジスト液等の薬液は、工場外部に設置されたタンクに貯留され、薬液供給システムにより、このタンクから建屋内のクリーンルームに設置されている薬液の吐出ノズルまで、配管路を通じて圧送される。
従来の薬液供給システムについて、図8乃至図11を用いて説明する。
図8は、従来の薬液供給システムの全体構成を示すシステム図である。図9及び図10は、従来の薬液供給システムのべローズポンプを示す図であり、図9にべローズが最も伸張した状態を、図10にべローズが最も収縮した状態をそれぞれ示す。
【0003】
薬液供給システム101は、図8に示すように、4つのべローズポンプ110A,110B,110C,110D(110)と、薬液吸入管路Liと、薬液吐出管路Loと、気泡排出管路Ldと、窒素ガス管路Lnと、操作エア管路La等とからなる。
薬液吸入管路Liは、外部で薬液を貯留するタンクに連通する管路であり、薬液吐出管路Loは、吐出ノズルに向けて薬液を圧送する管路であり、気泡排出管路Ldは、べローズポンプ110内の気泡等の異物を排出口113を通じて排出する管路である。窒素ガス管路Lnは、べローズポンプ110のべローズ116内の容積を膨張または収縮させるのに用いる窒素ガスを流通させる管路である。操作エアを圧送する操作エア管路Laは、エア供給源との間にエジェクタ操作弁83を介してエジェクタ86と接続され、窒素ガス管路Lnの窒素ガスをべローズポンプ110の背室117から吸引させるのに用いる操作エアを流通させる管路である。
はじめに、べローズポンプ110について、図9及び図10を用いて説明した後、薬液供給システム101の作用について、図8を用いて説明する。
べローズポンプ110には、本願出願人が特許出願した特開2000−45952号公報に記載されたべローズポンプが用いられている。
【0004】
べローズポンプ110は、容積可変に形成されたべローズ116の容積を膨張させることにより、タンク側から吸入口111を通じて薬液をべローズ116内に吸入する一方、べローズ116の容積を縮小させることにより、べローズ116内に貯留する薬液を吐出口112を通じてべローズ116外へ吐出させる構造のポンプである。
ベローズ116は、タンク状のケーシング120に収容されており、ベローズ116上端をケーシング120上部に、下端を底板18にそれぞれ固定して封止されている。ケーシング120とベローズ116との間の空間は、べローズポンプ110の背室117となっている。窒素ガス管路Lnより窒素ガスを圧送し背室117を正圧にすることで、ベローズ116が、図9に示す状態から図10に示す状態まで収縮して、べローズ116内の容積が減少する。一方、背室117に充填した窒素ガスを窒素ガス管路Lnに吸引し背室117を負圧にすることにより、ベローズ116が、図10に示す状態から図9に示す状態まで伸張して、べローズ116内の容積が増大する。
各べローズポンプ110には、その吸入口111にキャビテーションノズル170A,170B,170C,170D(170)が配設され、吸入口111に流入した薬液は、キャビテーションノズル170を流通してべローズ116内へ吸入されるようになっている。
【0005】
次に、薬液供給システム101の作用について、図10及び図11を用いて説明する。図11は、薬液供給システム101の各ベローズポンプ110において薬液の吐出状態を表わすタイミングチャート図である。
薬液供給システム101では、薬液吸入弁131の開弁時に、薬液吸入管路Liから供給される薬液が、べローズポンプ110の吸入口111からキャビテーションノズル170を通じてべローズ116内に供給される。このとき、薬液は、キャビテーションノズル170を通過すると、流量が小さく、微小な気泡(キャビテーション)を無数に含んだ流れの状態で、べローズ116に向けて流れる。べローズ116内の液中では、キャビテーションが破壊して発泡した気泡が、液面に向けて浮上し、液面上まで到達した気泡が、べローズ116内から排出口113及び気泡排出管路Ldを通じて外部に排出される。
各べローズポンプ110では、各々のキャビテーションノズル170が薬液中の脱気を行っており、液中の気泡が液面上まで上昇するのを待って、脱気した状態の薬液が、薬液吐出管路Loを通じて吐出ノズルに向けて吐出される。
すなわち、薬液吐出弁132A,132B,132C,132Dが、図11に示すような吐出タイミング帯T1,T2,T3,T3で順に入れ替わりながら開弁すると共に、4つのべローズポンプ110A,110B,110C,110Dを順に交互に作動させて、常時1つのポンプで、脱気した状態の薬液が、一定の流量で吐出ノズルに吐出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−45952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の薬液供給システム101では、薬液供給システムが大型化する問題と、薬液供給システムのコスト高になる問題の2つの問題が生じていた。
このような問題は、以下の理由によって生じていた。
【0008】
(1)大型化する問題
薬液供給システム101では、キャビテーションノズル170が各べローズポンプ110内に設けられているため、キャビテーションノズル170により発泡した薬液中の気泡がべローズ116内の液面上まで上昇するのを待つ分、余分に時間がかかる。その結果、べローズポンプ110内において、単位時間当たりに脱気した薬液を供給できる吐出量は、吐出ノズルから連続的な吐出に必要とされる薬液の必要流量よりも少ない。
半導体製造工程では、品質上、半導体ウエハに塗布する薬液の吐出量に変動がなく、吐出ノズルから安定した薬液の吐出が求められている。そのため、脱気した状態の薬液を、吐出ノズルに向けて安定的に吐出するには、並列接続してスイッチングさせるべローズポンプ110の数量を必然的に増やさざるを得ない。
すなわち、図11に示すように、例えば、吐出タイミング帯T1でべローズポンプ110Aが、脱気した状態の薬液を薬液吐出管路Loに向けて吐出すると、べローズポンプ110Aでは、作動タイミングA1から作動タイミングA3にかけて薬液を薬液吸入管路Liから供給する。その後、薬液中の気泡がべローズ116内の液面上まで上昇するのに作動タイミングA4が必要となる。
一方、作動タイミングA1から作動タイミングA3の間、べローズポンプ110Bが、脱気した状態の薬液を薬液吐出管路Loに向けて吐出し、作動タイミングA4から作動タイミングA6の間、べローズポンプ110Cが、脱気した状態の薬液を薬液吐出管路Loに向けて吐出する。べローズポンプ110Cが薬液を吐出している作動タイミングA6は、べローズポンプ110Aにおいて、べローズ116内の液面上まで上昇した気泡が気
泡排出管路Ldを通じて外部に排出されている最中である。作動タイミングA6でこの気泡は気泡排出管路Ldより排出されるが、薬液の吐出先への吐出が途切れないようにするため、作動タイミングA7から、べローズポンプ110Dが、脱気した状態の薬液を薬液吐出管路Loに向けて吐出する。この間に、べローズポンプ110Aは、次のサイクルで薬液を吐出できるよう待機する。
このように、キャビテーションノズル170が各べローズポンプ110内に設けられているために、脱気した状態の薬液を、吐出ノズルに向けて安定的に吐出しようとすると、並列接続して交互に交替させながら作動させるべローズポンプ110が4つ必然的に必要となる。
従って、脱気した状態の薬液を吐出するべローズポンプ110が4つになることで、薬液供給システム101が大型化し、このシステムの設置もスペース的に広い場所が必要となっていた。
【0009】
(2)コスト高になる問題
また、薬液供給システム101では、吐出ノズルに向けた薬液の圧送を安定的に行うのに、べローズポンプ110を4つも並列接続する必要があった。そのため、べローズポンプ110本体のコスト上昇分のほか、薬液吸入管路Li、薬液吐出管路Lo、気泡排出管路Ld及び窒素ガス管路Lnとの配管経路や、4つのべローズポンプ110の作動させる制御も複雑になり、薬液供給システム101全体がコスト高になる問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、一対のポンプによる交互の圧送により液体供給源から供給される液体から、この液体に包含する気体を発泡して排除した脱気状態の液体を安定的に吐出先に供給する液体供給システムにおいて、省スペースで低コストな液体供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の問題点を解決するために、本発明の液体供給システムは、次の構成を有している。
(1)容積可変に形成されたポンプ室の容積を膨張させて、ポンプ室の吸入口からポンプ室内に液体を吸入する一方、ポンプ室の容積を縮小させて、ポンプ室の吐出口からポンプ室外へ液体を吐出するポンプと、液体供給源から圧送される液体に含まれる気体を発泡させる発泡手段とを備え、発泡手段により発泡させた液体をポンプ室内に供給する液体供給システムにおいて、液体供給源から液体を供給する供給口と、供給口から流入した液体を一時的に貯留する貯留槽と、貯留槽の下方から液体を吐出させる吐出口と、液体から発泡された気泡を貯留槽の上方から槽外に排気する排気孔とを有する脱気装置と、を備え、脱気装置は、液体供給源とポンプとの間の管路に配設され、供給口に発泡手段を設けていること、ポンプは、脱気装置の吐出口に接続する管路に、並列に2つ併設されていることを特徴とする。
(2)(1)に記載する液体供給システムにおいて、2つのポンプを交互に同時に切り換えて作動させ、1つのポンプのポンプ室の吐出口から液体を一定の流れで吐出するよう制御する制御手段を有することを特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載する液体供給システムにおいて、脱気装置では、貯留槽を形成する本体部が、チューブまたはパイプで形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記構成を有する本発明の作用効果について説明する。
本発明の液体供給システムでは、
(1)液体供給源から液体を供給する供給口と、供給口から流入した液体を一時的に貯留する貯留槽と、貯留槽の下方から液体を吐出させる吐出口と、液体から発泡された気泡を貯留槽の上方から槽外に排気する排気孔とを有する脱気装置と、を備え、脱気装置は、液体供給源とポンプとの間の管路に配設され、供給口に発泡手段を設けていること、ポンプは、脱気装置の吐出口に接続する管路に、並列に2つ併設されていることを特徴とするので、液体供給源から供給される液体は、脱気装置においてその供給口から発泡手段を通じることで、気体は発泡し、脱気した液体が貯留槽内に一時的に貯留されるようになる。
液体中で発泡した気泡は、貯留槽に貯留された液体中を液面上に向けて上昇して、排気孔から槽外に排気される。その一方で、貯留槽に貯留された液体は、脱気された状態となり、この状態の液体は、吐出口から2つのポンプのいずれか一方側に吐出される。そのため、ポンプ室内に吸入される液体は、既に脱気された状態であり、そのままポンプ室外へ液体を吐出することができる。
すなわち、従来の薬液供給システムでは、4つのべローズポンプ内に、それぞれキャビテーションノズルを設けて、各べローズポンプ内で薬液中の気体を脱気していたため、脱気した状態の薬液を、吐出ノズルへ安定的に吐出させようとすると、4つのべローズポンプが必要であった。
これに対し、本発明の液体供給システムでは、液体供給源から供給される液体が、脱気装置において、その供給口から発泡手段を通じることで、気体が発泡され、脱気した液体が、脱気装置から2つのポンプに向けて吐出する。これにより、並列に併設した2つのポンプ、すなわち一対のポンプによる交互の圧送により、脱気した液体が吐出ノズルに向けて安定した流れで吐出できる。
従って、従来の薬液供給システムでは、ポンプを4つ必要としていたが、本発明の液体供給システムでは、ポンプを2つにできるため、当該液体供給システムをコンパクトにすることができ、狭いスペースでも当該液体供給システムを設置することができる、という特有かつ顕著な効果を奏する。
また、本発明の液体供給システムでは、従来の薬液供給システムと比しても、ポンプの数量を少なくできる分、コスト低減ができる。また、従来の薬液供給システムにあるような、各ポンプに接続する薬液吸入管路、薬液吐出管路、気泡排出管路及び窒素ガス管路とポンプとの配管経路が簡単になる上、ポンプを作動させるのに必要な制御も簡単になり、その分、コストの低減ができ、ひいては当該液体供給システム全体のコストが安価になる、という特有かつ顕著な効果をも奏する。
【0013】
(2)また、本発明の液体供給システムでは、発泡手段はキャビテーションノズルであること、2つのポンプを交互に同時に切り換えて作動させ、1つのポンプのポンプ室の吐出口から液体を一定の流れで吐出するよう制御する制御手段を有するので、キャビテーションノズルから吐出する液体は、微小な気泡(キャビテーション)を無数に含んだ流れの状態で、貯留槽内に流れ、貯留槽内に貯留した液体から気泡が発泡し易く、脱気した状態の液体を得易くなる。
その結果、より確かに脱気された状態の液体をポンプ室内に吸入させ、そのままポンプ室外へ液体を、安定した状態の流れで吐出することができるようになる。
【0014】
(3)また、本発明の液体供給システムによれば、脱気装置では、貯留槽を形成する本体部が、チューブまたはパイプで形成されているので、市販されている安価な材料を用いて本体部を製造し易くなるため、本体部を形成するのに必要な加工も少なくて済み、結果的に脱気装置全体のコストが安価になる。
なお、本体部に用いるチューブ状またはパイプ状の材料として、例えば、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等、4フッ化エチレン樹脂等のフッ素系樹脂材が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る薬液供給システムの全体構成を示すシステム図である。
【図2】本実施形態に係る薬液供給システムに用いるべローズポンプを示す図であり、べローズが最も伸張した状態を示す。
【図3】図2と同様、本実施形態に係るべローズポンプを示す図であり、べローズが最も収縮した状態を示す。
【図4】本実施形態に係る薬液供給システムの脱気装置を示す説明図である。
【図5】図4に示す脱気装置に設けたキャビテーションノズルを示す図であり、(a)は本実施形態に係るキャビテーションノズルを示し、(b)は変形例に係るキャビテーションノズルを示す。
【図6】本実施形態に係る薬液供給システムの各ベローズポンプにおける薬液の吐出状況を説明するタイミングチャート図である。
【図7】変形形態に係る薬液供給システムの全体構成を示すシステム図である。
【図8】従来の薬液供給システムの全体構成を示すシステム図である。
【図9】図8に示す薬液供給システムのうち、べローズポンプを示す図であり、べローズが最も伸張した状態を示す。
【図10】図9と同様、べローズポンプを示す図であり、べローズが最も収縮した状態を示す。
【図11】従来の薬液供給システムの各ベローズポンプにおいて薬液の吐出状況を表わすタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態)
以下、本発明に係る液体供給システムについて、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態では、液体供給システムは、液体として、工場外部に設置されたタンクに貯留され、半導体製造工程において半導体ウエハに塗布するレジスト液等の薬液を、このタンクから建屋内のクリーンルームに設置されている薬液の吐出ノズルまで、配管路を通じて圧送する薬液供給システムである。
実施形態に係る薬液供給システムの全体構成を示すシステム図を図1に示す。図2及び図3は、本実施形態に係る薬液供給システムに用いるべローズポンプを示す図であり、図2がべローズが最も伸張した状態を示し、図3は、べローズが最も収縮した状態を示す。
【0017】
薬液供給システム1は、図1に示すように、2つのべローズポンプ10A,10B(10)と、制御装置30と、脱気装置50と、薬液吸入第1,第2管路Li1,Li2と、薬液吐出管路Loと、気泡排出管路Ldと、操作エア管路Laと、窒素ガス第1,第2管路Ln1,Ln2等とからなる。
はじめにべローズポンプ10について、図2及び図3を用いて説明する。以下、実施形態では、べローズポンプ10Aとべローズポンプ10Bは同じ構成であるため、べローズポンプ10と総称する。従って、べローズポンプ10A,10Bにおけるべローズ16A,16B、背室17A,17B等の関連部分についても、べローズポンプ10Aとべローズポンプ10Bとで同じあるため、べローズ16、背室17等と総称する。
【0018】
べローズポンプ10は、ベローズタンクをなすケーシング20と、容積が可変に形成されたべローズ16(16A,16B)とを有している。べローズ16は、ケーシング20内に収容され、ベローズ16上端をケーシング20上部に、下端を磁性体の底板18にそれぞれ固定して封止され、べローズ16内に形成される空間がポンプ室10R(10RA,10RB)となっている。また、ベローズ16とケーシング20との間の空間は、べローズポンプ10の背室17(17A,17B)となっている。
ケーシング20上部には、薬液をべローズポンプ10内に吸引する吸入口11(11A,11B)、脱気した薬液を吐出する吐出口12(12A,12B)、及び薬液中に包含する気泡や、不純物等の異物を排出する排出口13(13A,13B)が形成されている。ケーシング20の外側部には、底板18を検出してべローズ16内の状態を確認する2つの磁気センサ22U,22Lが、センサ取付部材21に移動可能に取付けられている。
【0019】
べローズポンプ10には、吐出口12に気泡分離管19が取付けられている。気泡分離管19は、吐出口12からべローズ16内に向けて垂直に延びる垂直側導入孔19Vと、その下端にある傘部19Uで垂直側導入孔19Vを閉塞し、傘部19U付近で、垂直側導入孔19Vと直交して水平方向に延びる円形状の水平側導入孔19Hと、を有している。気泡分離管19は、べローズ16内に貯留する脱気した状態の薬液だけを、水平側導入孔19Hから吸入し、垂直側導入孔19Vを通じて吐出口12に向けて流れるようになっており、ポンプ室10Rの貯留した薬液に気泡がたとえ残存していた場合でも、この気泡は吐出口12に流入し難くなっている。
【0020】
次に、脱気装置50について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る薬液供給システムの脱気装置を示す図であり、その一部を断面で示す説明図である。図5はキャビテーションノズルを示す図である。
脱気装置50は、図4に示すように、内部が貯留槽50Tとなる円筒状の本体部51、本体部51上方の開口を液密に閉塞する蓋部52、及び本体部51下方の開口を液密に閉塞する底部61とからなる。
本体部51は、例えば、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等の材質からなるチューブで形成されている。蓋部52と底部61は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等、4フッ化エチレン樹脂で形成されている。
【0021】
脱気装置50は、薬液を貯留するタンク等の薬液供給源(図示省略)から薬液を供給する供給口53を蓋部52に有し、この供給口53に後述するキャビテーションノズル70(発泡手段)が設けられている。本体部51の径外側では、貯留槽50Tに貯留した薬液の液面(液位)を検出して薬液の貯留量を確認する2つの液面センサ57L,57Uが、蓋部52に設けたセンサ取付部材56に、移動可能に取付けられている。
また、脱気装置50は、供給口53から流入した薬液を一時的に貯留する貯留槽50Tと、薬液から発泡された気泡を貯留槽50Tの上方から貯留槽50T外に排気する排気孔54とを、蓋部52に有している。また、脱気装置50は、貯留槽50Tの下方から薬液を吐出させる吐出口62を底部61に有し、この底部61に、貯留槽50Tと吐出口62とを繋ぐ吐出流路63が形成されている。
【0022】
次に、キャビテーションノズル70について説明する。
キャビテーションノズル70は、脱気装置50の供給口53から貯留槽50Tに薬液が吸入されるとき、その液中に気泡状態として包含する不活性ガス等の気体を脱気するために設けている。本実施形態では、キャビテーションノズル70は、図5(a)に示すように、中心に形成された流入側流路71と、その底部から四方に分岐された4つの流出側流路72と、流出側流路72との間に僅かな隙間74を挟んで設けられた遮断部73とからなる。
キャビテーションノズル70では、流入側流路71に流入した薬液が流入側流路71の底部に衝突すると、薬液に急激な圧力変化が生じてキャビテーションを発生し、キャビテーションを含んだ薬液が脱気装置50の貯留槽50Tに吐出される。この状態の薬液が貯留槽50Tに貯留されると、薬液中のキャビテーションが破壊し、貯留槽50T内で発泡した気泡は薬液の液面に向けて浮上する。
【0023】
なお、本実施形態では、上述したキャビテーションノズル70を脱気装置50の供給口53に設けているが、キャビテーションノズルは、図5(b)に示すようなキャビテーションノズル75を用いても良い。すなわち、キャビテーションノズル75は、キャビテーションノズル70にある遮断部73及び隙間74を設けず、キャビテーションノズル70の流入側流路71に相当する流入側流路76と、流出側流路72に相当する流出側流路72とからなるものである。キャビテーションノズル75を用いることで、薬液中に生じるキャビテーションの発生はキャビテーションノズル70よりも劣るが、ノズル全体のスペースを小さくできるメリットがある。
【0024】
次に、薬液供給システム1全体の構成について、図1を用いて説明する。
本実施形態では、薬液(現像液等)を貯留するタンク等の薬液供給源に連通する薬液吸入第1管路Li1は、薬液第1吸入弁58を介して脱気装置50の供給口53と接続している。脱気装置50の貯留槽50T内で薬液から発泡した気泡(不純物等の異物も含む)を排出する気泡排出管路Ldは、第3エジェクタ操作弁85を介して第2エジェクタ87と接続している。作動ガスである窒素ガスの窒素ガス供給源と連通する窒素ガス第2管路Ln2は、第2エジェクタ操作弁84を介して第2エジェクタ87と接続している。
【0025】
べローズポンプ10Aとべローズポンプ10Bとは、脱気装置50の吐出口62と連通する薬液吸入第2管路Li2において並列に2つ併設されている。薬液吸入第2管路Li2の一方側は、薬液第2吸入弁31Aを介してべローズポンプ10Aの吸入口11Aと接続し、他方側は、薬液第2吸入弁31Bを介してべローズポンプ10Bの吸入口11Bと接続している。すなわち、脱気装置50は、薬液供給源とべローズポンプ10との間の管路である薬液吸入第1管路Li1及び薬液吸入第2管路Li2に配設されている。
【0026】
吐出ノズルに向けて薬液を圧送する薬液吐出管路Loは、この管路から並列に2つに分岐した各管路により、薬液吐出弁32A,32B(32)を介してべローズポンプ10A,10Bの吐出口12A,12B(12)と接続している。窒素ガス供給源と連通する窒素ガス管路Ln1は、べローズポンプ10の背室17(17A,17B)の容積を膨張または収縮させるのに用いる窒素ガスを、作動ガスとして流通させる管路である。窒素ガス第1管路Ln1は、レギューレータ81、逆止弁82を介して供給側と排気側の2つの管路に並列に分岐され、供給側の管路から並列に2つに分岐した管路は、ガス供給弁41A,41B(41)を介してべローズポンプ10A,10Bの背室17A,17B(17)と接続している。また、窒素ガス管路Lnは、排気側の管路から並列に2つに分岐した管路により、背室17A,17Bは、ガス排気弁42A,42B(42)を介してエジェクタ86と接続している。操作エアを圧送する操作エア管路Laは、エア供給源との間にエジェクタ操作弁83を介してエジェクタ86と接続している。
【0027】
薬液供給システム1は、2つのべローズポンプ10A,10Bを交互に同時に切り換えて作動させ、1つのべローズポンプ10のポンプ室10Rの吐出口12から、脱気された状態の薬液を一定の流れで吐出するよう制御する制御装置30を有している。
制御装置30は、磁気センサ22U,22L、薬液第2吸入弁31、薬液吐出弁32、気泡排出弁33、ガス供給弁41、ガス排気弁42、液面センサ57L,57U、薬液第1吸入弁58、第1エジェクタ操作弁83、第2エジェクタ操作弁84、及び第3エジェクタ操作弁85と接続し、これらの弁やセンサの作動を制御する。
【0028】
次に、べローズポンプ10及び脱気装置50の作用について、図6を用いて説明した後、薬液供給システム1全体の作用を説明する。図6は、本実施形態に係る薬液供給システムのベローズポンプにおける薬液の吐出状況を説明するタイミングチャート図である。
最初、べローズポンプ10Bでは、ポンプ室10RBは、図3に示すように、べローズ16Bが最も収縮した状態にある。べローズポンプ10Bのポンプ室10RBに薬液を吸入するには、まず、薬液第1吸入弁58を開路し、薬液吸入第1管路Li1から薬液を脱気装置50の供給口53に供給する。薬液は、キャビテーションノズル70を通じて貯留槽50Tに吐出される。薬液吸入第1管路Li1から供給された薬液には、液中に溶け込んだ不活性ガス等の気体や不純物等の異物が気泡として含まれている。このような薬液が、キャビテーションノズル70を流通して脱気装置50の貯留槽50Tに吐出される
と、薬液中にキャビテーションが発生し、キャビテーションを含んだ薬液が貯留槽50Tに一時的に貯留される。その後、貯留された薬液からキャビテーションが破壊し、貯留槽50T内で発泡した気泡が薬液の液面に向けて浮上して、貯留槽50T内の薬液が脱気される。
【0029】
貯留槽50Tでは、吐出先で、必要とする脱気された状態の薬液を一定の流れで吐出することができるよう、高位側の液面センサ57Uが薬液の液面を確認するまでの間、脱気された薬液を貯留槽50Tに貯留しておく。液面センサ57Uが薬液の液面を検出したら、薬液第1吸入弁58を閉路する。
なお、脱気装置50では、貯留槽50Tに貯留した脱気状態の薬液の液面が、低位側の液面センサ57Lで検出される量まで液位が下がったら、薬液第1吸入弁58を開路して薬液吸入第1管路Li1から薬液を供給し、液面センサ57Uが薬液の液面を確認するまで、脱気状態の薬液を貯留槽50Tに貯める。
【0030】
また、薬液第1吸入弁58の開路と共に、第2エジェクタ操作弁84及び第3エジェクタ操作弁85を開路する。これにより、第2エジェクタ操作弁84を介して窒素ガスが第2エジェクタ87を通過し、貯留槽50T内で薬液から発泡した気泡が、第3エジェクタ操作弁85及び第2エジェクタ87を通じて外部に排気される。
液面センサ57Uが薬液の液面を確認すると、薬液第1吸入弁58を閉路する。その後、図6に示すように、作動タイミングA2及び作動タイミングA2でエジェクタ操作弁83を開路して、操作エア管路Laにおいてエア供給源からエジェクタ操作弁83を介してエジェクタ86へと操作エアを圧送する。これにより、作動タイミングA1から作動タイミングA3の間、ガス排気弁42Bを開路すると、窒素ガス管路Lnの排気側管路内の空気が吸引されてべローズポンプ10Bの背室17Bが負圧となり、べローズポンプ10Bでは、べローズ16Bは膨張し図2に示す状態になる。
【0031】
その一方、作動タイミングA3において、薬液第2吸入弁31Bを開弁しておく。べローズ16Bが膨張することで、脱気装置50の貯留槽50Tに一時的に貯留した脱気状態の薬液が、脱気装置50の吐出流路63から薬液吸入第2管路Li2及び薬液第2吸入弁31Bを通じてべローズポンプ10Bのポンプ室10RBに吸入され、ポンプ室10RBのFULLの位置まで貯留される。
【0032】
薬液第2吸入弁31B及びガス排気弁42Bを閉路した後、作動タイミングB1から作動タイミングB3の間、ガス供給弁41Bを開路して、窒素ガス第1管路Ln1から作動ガスである窒素ガスを圧送してポンプ室10RBを正圧にする。その一方で、作動タイミングB1から作動タイミングB3の間、薬液吐出弁32Bを開路すると、作動タイミングB1から作動タイミングB3の間、すなわち吐出タイミング帯S2において、ポンプ室10RB内の薬液が、窒素ガスにより圧送されて、薬液吐出管路Loを通じて吐出先に向けて吐出する。ポンプ室10RBでは、作動タイミングB3が過ぎると、薬液はEMPTY位置の液位になり、べローズ16Bは、図3に示すような収縮状態に戻り、次のサイクルでの薬液の圧送を待つ。
【0033】
べローズポンプ10Bにおいて、上記のような一連の作動が、作動タイミングA1から作動タイミングA3及び作動タイミングB1から作動タイミングB3の間に実行されているときに、同時にべローズポンプ10Aにおいて、以下の一連の作動が実行されている。
すなわち、べローズポンプ10Aでは、作動タイミングA3から作動タイミングB1に切り替わるタイミングのときには、ポンプ室10RAは、図3に示すように、べローズ16Aが最も収縮した状態にある。
脱気装置50の貯留槽50Tでは、吐出先で、必要とする脱気された状態の薬液を一定の流れで吐出することができるよう、高位側の液面センサ57Uが薬液の液面を検出できる液位まで、脱気された薬液が貯留槽50Tに貯留されている状態にある。作動タイミングB2及び作動タイミングB2でエジェクタ操作弁83を開路して、操作エア管路Laにおいてエア供給源からエジェクタ操作弁83を介してエジェクタ86へと操作エアを圧送する。これにより、作動タイミングB1から作動タイミングB3の間、ガス排気弁42Aを開路すると、窒素ガス管路Lnの排気側管路内の空気が吸引されてべローズポンプ10Aの背室17Aが負圧となり、べローズポンプ10Aでは、べローズ16Aは膨張し図2に示す状態になる。
【0034】
その一方、作動タイミングB3において、薬液第2吸入弁31Aを開弁しておく。べローズ16Aが膨張することで、脱気装置50の貯留槽50Tに一時的に貯留した脱気状態の薬液が、脱気装置50の吐出流路63から薬液吸入第2管路Li2及び薬液第2吸入弁31Aを通じてべローズポンプ10Aのポンプ室10RAに吸入され、ポンプ室10RAのFULLの位置まで貯留される。
【0035】
薬液第2吸入弁31A及びガス排気弁42Aを閉路した後、作動タイミングA1から作動タイミングA3の間、ガス供給弁41Aを開路して、窒素ガス第1管路Ln1から作動ガスである窒素ガスを圧送してポンプ室10RAを正圧にする。その一方で、作動タイミングA1から作動タイミングA3の間、薬液吐出弁32Aを開路すると、作動タイミングA1から作動タイミングA3の間、すなわち吐出タイミング帯S1において、ポンプ室10RA内の薬液が、窒素ガスにより圧送されて、薬液吐出管路Loを通じて吐出先に向けて吐出する。ポンプ室10RAでは、作動タイミングA3が過ぎると、薬液はEMPTY位置の液位になり、べローズ16Aは、図3に示すような収縮状態に戻り、次のサイクルでの薬液の圧送を待つ。
【0036】
次に、薬液供給システム全体の作用について説明する。
薬液吸入第1管路Li1から供給された薬液に、液中に溶け込んだ不活性ガス等の気体や不純物等の異物が含まれている。
しかしながら、薬液供給システム1では、脱気装置50が、薬液供給源とべローズポンプ10との間の管路である薬液吸入第1管路Li1及び薬液吸入第2管路Li2に配設されている。
不活性ガス等の気体や不純物等の異物が含まれた薬液は、前述したように、脱気装置50を流通させることで、脱気された状態の薬液になり、吐出流路63から吐出させてべローズポンプ10に供給されている。
そのため、図6に示すように、並列に併設したべローズポンプ10A,10Bが交互に同時に切り換って作動し、べローズポンプ10A,10Bのうち、1つのべローズポンプ10によるポンプ室10Rの吐出口12から、ポンプ室10Rで貯留された脱気状態の薬液を、一定の流れで薬液吐出管路Loを通じて吐出先に吐出できる。
【0037】
本実施形態の薬液供給システム1によれば、薬液供給源から薬液を供給する供給口53と、供給口53から流入した薬液を一時的に貯留する貯留槽50Tと、貯留槽50Tの下方から薬液を吐出させる吐出口62と、薬液から発泡された気泡を貯留槽50Tの上方から槽50T外に排気する排気孔54とを有する脱気装置50と、を備え、脱気装置50は、薬液供給源とべローズポンプ10との間の薬液吸入第1,第2管路Li1,Li2に配設され、供給口53にキャビテーションノズル70を設けていること、べローズポンプ10は、脱気装置50の吐出口63に接続する薬液吸入第2管路Li2に、並列に2つ併設されていることを特徴とするので、薬液供給源から供給される薬液は、脱気装置50においてその供給口53からキャビテーションノズル70を通じることで、液中に含まれる不活性ガス等の気体が微細で無数の気泡となって発泡され、脱気した薬液が貯留槽50T内に一時的に貯留されるようになる。
【0038】
薬液中で発泡した気泡は、貯留槽50Tに貯留された薬液中を液面上に向けて浮上して、排気口54から槽50T外に排気される。その一方で、貯留槽50Tに貯留された薬液は、脱気された状態となり、この状態の薬液は、吐出口62から2つのべローズポンプ10A,10Bのいずれか一方側に吐出される。そのため、ポンプ室10R内に吸入される薬液は、既に脱気された状態であり、そのままポンプ室10R外へ薬液を吐出することができる。
すなわち、図8を参照する従来の薬液供給システム101では、4つのべローズポンプ110A,110B,110C,110D(110)内に、それぞれキャビテーションノズル170を設けて、各べローズポンプ110A,110B,110C,110D内で薬液中の気体を脱気していた。そのため、脱気した状態の薬液を、吐出ノズルへ安定的に吐出させようとすると、4つのべローズポンプ110A,110B,110C,110Dが必要であった。
【0039】
これに対し、本実施形態の薬液供給システム1では、薬液供給源から供給される薬液が、脱気装置50において、その供給口53からキャビテーションノズル70を通じることで、薬液中に含まれる不活性ガス等の気体が微細で無数の気泡となって発泡し、気泡が脱気され、脱気した薬液が、脱気装置50から2つのべローズポンプ10A,10Bに向けて吐出する。これにより、並列に併設した2つのべローズポンプ10A,10B、すなわち一対のべローズポンプ10A,10Bによる交互の圧送により、脱気した薬液が吐出ノズルに向けて安定した流れで吐出できる。
【0040】
従って、従来の薬液供給システム101では、べローズポンプ110を4つ必要としていたが、本実施形態の薬液供給システム1では、べローズポンプ10を2つにできるため、当該薬液供給システム1をコンパクトにすることができ、狭いスペースでも当該薬液供給システム1を設置することができる、という特有かつ顕著な効果を奏する。
また、本実施形態の薬液供給システム1では、従来の薬液供給システム101と比しても、べローズポンプの数量を少なくできる分、コスト低減ができる。また、従来の薬液供給システム101にあるような、各べローズポンプ110に接続する薬液吸入管路Li、薬液吐出管路Lo、気泡排出管路Ld及び窒素ガス管路Lnと各べローズポンプとの配管経路が簡単になる上、各べローズポンプを作動させるのに必要な制御も簡単になり、その分、コストの低減ができ、ひいては当該薬液供給システム1全体のコストが安価になる、という特有かつ顕著な効果をも奏する。
【0041】
また、本実施形態の薬液供給システム1では、発泡手段はキャビテーションノズル70であること、2つのべローズポンプ10A,10Bを交互に同時に切り換えて作動させ、1つのべローズポンプ10のポンプ室10Rの吐出口12から、脱気された状態の薬液を一定の流れで吐出するよう制御する制御装置30を有しているので、キャビテーションノズル70から吐出する薬液は、微小な気泡(キャビテーション)を無数に含んだ流れの状態で、貯留槽50T内に流れ、貯留槽50T内に貯留した薬液から気泡として気体が発泡し易く、脱気した状態の薬液を得易くなる。
その結果、より確かに脱気された状態の薬液をべローズポンプ10のポンプ室10R内に吸入させ、そのままポンプ室10R外へ薬液を、安定した状態の流れで吐出することができるようになる。
【0042】
また、本実施形態の薬液供給システム1では、脱気装置50では、貯留槽50Tを形成する本体部51が、チューブで形成されているので、市販されている安価な材料を用いて本体部51を製造し易くなるため、本体部51を形成するのに必要な加工も少なくて済み、結果的に脱気装置50全体のコストが安価になる。
【0043】
(変形形態)
次に、本発明に係る液体供給システムの変形形態について、図7を用いて説明する。図7は、変形形態に係る薬液供給システムの全体構成を示すシステム図である。
実施形態に係る薬液供給システム1では、薬液吸入第1管路Li1から供給された薬液は、脱気装置50においてキャビテーションノズル70により液中の気体を発泡させ、脱気した状態の薬液をそのまま薬液吸入第2管路Li2を通じてべローズポンプ10へと吐出した。
これに対し、変形形態に係る薬液供給システム2では、薬液吸入第1管路Li1から供給された薬液は、脱気装置50Rにおいてキャビテーションノズル70(またはキャビテーションノズル75)により液中の気体を発泡させ、脱気した状態の薬液を、吐出口62から供給口53に還流させた後、薬液吸入第2管路Li2を通じてべローズポンプ10に吐出する。
しかしながら、本変形形態の薬液供給システム2では、脱気装置50Rは、実施形態の脱気装置50の構成と一部で異なるが、べローズポンプ10等の構成は、実施形態の薬液供給システム1と同様である。
したがって、実施形態とは異なる部分を中心に説明し、同様な部分は実施形態と同じ符号を用いて、説明を省略または簡単に行う。
【0044】
薬液供給システム2では、脱気装置50Rは、図7に示すように、実施形態の脱気装置50の構成に加え、吐出口62に連通する薬液吸入第2管路Li2にフィルタ91が接続されている。このフィルタ91から並列に分岐した還流管路Lrは、入力側開閉弁92、還流ポンプ93、出力側開閉弁94を通じて脱気装置50Rの蓋部52に延び、貯留槽50T内に連通している。
また、制御装置30Rは、実施形態の制御装置30の構成に加え、入力側開閉弁92、還流ポンプ93、出力側開閉弁94とも接続し、これらの弁、センサ及びポンプの作動を制御する。
薬液供給システム2では、脱気装置50Rの吐出口62から吐出した脱気状態の薬液を、還流ポンプ93により還流管路Lrに一度引き込み、貯留槽50Tに再度貯留させて、吐出口62から再び吐出した脱気状態の薬液が、フィルタ91を通じて薬液吸入第2管路Li2に圧送されるようになっている。これにより、薬液吸入第2管路Li2を流通する脱気状態の薬液は、残存している気泡や不純物等の異物をより高い精度で脱気、濾過することができ、べローズポンプ10から吐出先に吐出される薬液は、高品質な薬液となる。
【0045】
従来の薬液供給システム101において、べローズポンプ110を4つ必要としていたものが、本実施形態の薬液供給システム1と同様、本変形形態の薬液供給システム2でも、べローズポンプ10を2つにできるため、当該薬液供給システム2をコンパクトにすることができ、狭いスペースでも当該薬液供給システム2を設置することができる、という特有かつ顕著な効果を奏する。
また、本変形形態の薬液供給システム2では、従来の薬液供給システム101と比しても、べローズポンプの数量を少なくできる分、コスト低減ができる。また、従来の薬液供給システム101にあるような、各べローズポンプに接続する薬液吸入管路Li、薬液吐出管路Lo、気泡排出管路Ld及び窒素ガス管路Lnと各べローズポンプ110との配管経路が簡単になる上、各べローズポンプを作動させるのに必要な制御も簡単になり、その分、コストの低減ができ、ひいては当該薬液供給システム1全体のコストが安価になる、という特有かつ顕著な効果をも奏する。
【0046】
以上において、本発明を実施形態及び変形形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態及び変形形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
(1)例えば、実施形態及び変形形態では、本体部51をPFA製のチューブで形成したが、本体部は、4フッ化エチレン樹脂等のフッ素系樹脂材のパイプで形成しても良い。
(2)また、実施形態及び変形形態では、薬液供給システム1,2のベローズポンプ10における薬液の吐出するタイミングとして、図6に、タイミングチャート図を一例として示したが、液体供給システムのポンプにおいて液体を吐出するタイミングは、図6に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
1,2 薬液供給システム
10(10A,10B) べローズポンプ(ポンプ)
10R(10RA,10RB) ポンプ室
11(11A,11B) 吸入口
12(12A,12B)吐出口
30,30R 制御装置
50,50R 脱気装置
50T 貯留槽
51 本体部
53 供給口
54 排気口
62 吐出口
70,75 キャビテーションノズル(発泡手段)
Li1 薬液吸入第1管路(液体供給源とポンプとの間の管路)
Li2 薬液吸入第2管路(液体供給源とポンプとの間の管路)
Lo 薬液吐出管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容積可変に形成されたポンプ室の容積を膨張させて、前記ポンプ室の吸入口から前記ポンプ室内に液体を吸入する一方、前記ポンプ室の容積を縮小させて、前記ポンプ室の吐出口から前記ポンプ室外へ液体を吐出するポンプと、液体供給源から圧送される液体に含まれる気体を発泡させる発泡手段とを備え、前記発泡手段により発泡させた液体を前記ポンプ室内に供給する液体供給システムにおいて、
前記液体供給源から液体を供給する供給口と、前記供給口から流入した液体を一時的に貯留する貯留槽と、前記貯留槽の下方から液体を吐出させる吐出口と、液体から発泡された気泡を前記貯留槽の上方から槽外に排気する排気孔とを有する脱気装置と、
を備え、
前記脱気装置は、前記液体供給源と前記ポンプとの間の管路に配設され、前記供給口に前記発泡手段を設けていること、
前記ポンプは、前記脱気装置の前記吐出口に接続する管路に、並列に2つ併設されていることを特徴とする液体供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載する液体供給システムにおいて、
前記発泡手段はキャビテーションノズルであること、
前記2つのポンプを交互に同時に切り換えて作動させ、1つの前記ポンプの前記ポンプ室の吐出口から液体を一定の流れで吐出するよう制御する制御手段を有することを特徴とする液体供給システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する液体供給システムにおいて、
前記脱気装置では、前記貯留槽を形成する本体部が、チューブまたはパイプで形成されていることを特徴とする液体供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−169244(P2011−169244A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34113(P2010−34113)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】