説明

液体供給装置

【課題】ベローズ等の可撓性のポンプ部材を有する液体供給装置の駆動特性を向上させるとともに耐久性を向上させる。
【解決手段】液体供給装置10aの駆動ポンプ11は、駆動ロッド18により軸方向に弾性変形するポンプ部材としてのベローズ21を有している。ベローズ21とハウジング13aとにより駆動ポンプ室26と連通室25とが形成され、オリフィス部材43により連通室25と駆動ポンプ室26とに仕切られている。駆動ロッド18の駆動動作時には弁体53により貫通孔51が閉塞され、オリフィス部材43とハウジング13aの内周面との間の連通隙間を介して連通室25と駆動ポンプ室26との間で液体が流れることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一定量の液体を高精度で吐出するようにした液体供給装置に関し、特に、高粘度の薬液を高圧で被塗布物に吐出するようにした液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハやガラス基板の被塗布物の表面にフォトレジスト液等の液体を塗布ノズルから塗布するために液体供給装置が使用されている。このような用途に使用される液体供給装置としては、弾性変形自在のポンプ部材を駆動ロッドにより軸方向に往復動するようにした形態の駆動ポンプがある。駆動ロッドは円筒形状のハウジング内に軸方向に往復動自在に装着され、駆動ロッドの先端部とハウジングとの間には軸方向に弾性変形自在のポンプ部材が設けられており、ポンプ部材によりハウジング内には膨張収縮するポンプ室つまり駆動室が形成されている。ポンプ部材としては、特許文献1に記載されるようにベローズを用いた形態と、特許文献2に記載されるようにダイヤフラムを用いた形態とがある。
【0003】
これらの公報に記載された形態の駆動ポンプを有する液体供給装置は、駆動ロッドにより膨張収縮されるポンプ室から被塗布物に直接薬液等の液体を供給するようにしている。これに対し、チューブフラムとも言われポンプ室と駆動室とを仕切る可撓性のチューブが設けられた薬液供給ポンプを上述した形態の駆動ポンプにより駆動するようにした間接作動型の薬液供給装置が、例えば、特許文献3に記載されている。この形態の薬液供給装置においては、薬液供給ポンプの駆動室に駆動ポンプから液体を供給することにより間接的に薬液供給ポンプが駆動される。
【0004】
ベローズを用いた形態の駆動ポンプとしては、特許文献4に記載されるように、ベローズの内部に気体を供給することによってベローズを伸縮させてポンプ動作を行うようにしたものがある。この駆動ポンプにおいては、ベローズ伸縮時のベローズの内方への変形を防止するために、ベローズ内に規制部材が組み込まれている。また、特許文献5に記載されたベローズ形の駆動ポンプにおいては、駆動ロッドにより伸縮駆動されるベローズの外側に環状のベローズ保護部材を取り付けて蛇腹部を変形しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−310838号公報
【特許文献2】特開平8−170744号公報
【特許文献3】特開平11−230048号公報
【特許文献4】特開2007−315295号公報
【特許文献5】特開2005−83250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体や液晶パネルを製造する前処理工程においては、上述した形態の液体供給装置を用いて、半導体ウエハやガラス基板にフォトレジスト液等の薬液を塗布するようにしている。液体容器内に収容された薬液は、液体供給装置により吸引されて塗布ノズルから吐出される。ポンプの形態としては、上述したベローズ式、ダイヤフラム式、チューブ式に加えてシリンジ式がある。これらの用途に用いられる液体供給装置においては、薬液により腐食されないように耐薬品性が求められており、薬液に接する部分は主にフッ素樹脂、ステンレス、セラミックスが用いられている。さらに、被塗布物に対して液体を均一の膜厚で塗布して回路パターンの欠落等の製品不良を無くすために、液体供給装置を低発塵性、清浄性とすることが重要である。
【0007】
特に、ベローズ式やダイヤフラム式の液体供給装置においては、ポンプ部材を吐出動作時や吸入動作時に弾性変形させるために、ポンプ部材としては耐薬品性だけでなく、柔軟性が必要であることからフッ素樹脂が選択されている。
【0008】
薬液を塗布する工程においては、装置や配管条件、薬液の粘度、吐出流速等の諸条件の影響により、ポンプ室および薬液には吐出吸入動作により圧力が発生する。薬液を吐出する際の吐出圧力が高い場合には、フッ素樹脂製のベローズやダイヤフラムからなるポンプ部材は、弾性材料であるために、ポンプ部材に加わる吐出負荷により変形する。一方、薬液を吸引する際の吸引負圧が高い場合には、ポンプ部材はこれに加わる吸引負荷により変形する。その結果、ポンプ室は駆動ロッドのストロークに対応した体積変化量で膨張収縮しなくなり、薬液の吐出量不足や吐出量精度にバラツキが発生することになる。また、ポンプ部材に高い圧力がかかると、ベローズやダイヤフラム等からなるポンプ部材が変形したり、劣化したり、破損したりする原因となる。長期的には薬液供給装置の寿命を低下させる原因となる。
【0009】
ベローズ等のポンプ部材が変形すると、吐出量精度にバラツキが発生するだけでなく、吐出開始時の流量立ち上がりの遅れ、吐出最中の流量変動等のような様々な影響を及ぼすことになる。その結果、半導体ウエハの表面に塗布される薬液の膜厚が不均一となり、半導体製品の製造歩留まりを低下させることになる。実際の半導体製造工程においては、薬液供給装置から吐出される薬液の流量変動による影響を低減するために、吐出流量特性に応じて駆動速度を制御する必要があり、薬液供給装置を作動させるためのプログラムレシピの複雑化が避けられない。一方、薬液を必要以上に厚めに塗布して余分な薬液を飛散させるようにすると、使用薬液が無駄となり、製造効率の悪化、生産コストの上昇が避けられない。
【0010】
薬液供給装置の最も理想的な吐出特性としては、吐出開始から俊敏に吐出流量が立ち上がり、流量変動することなく一定流量で吐出を行えることである。
【0011】
しかし、現状では、吐出圧力が原因となって吐出精度や製造製品の品質に影響が出てしまうので、ポンプ性能により薬液供給装置の駆動条件が制限されており、ポンプの耐圧力性能については、安全マージンを取っているので、低い圧力レベルで使用せざるを得ない。このため、理想的な条件での生産が困難であったり、ポンプ寿命についても吐出圧力の条件に左右されている。結果的には、生産効率、生産コストに関しての限界はポンプ性能により制限されると言っても過言ではない。
【0012】
ベローズやダイヤフラム等の可撓性のポンプ部材は、総括すれば、機能的には柔軟性が必要な部材であると同時に剛性も必要であり、相反する性能が要求される。しかし、実際にはこれらを両立することは現状では困難である。
【0013】
これに対し、シリンジ式のポンプは、剛性や耐圧性能に優れている。シリンジ式はピストンにより液体を加圧するようにした形態であり、耐圧性能が高いので、圧力負荷による吐出精度への影響は少ない。しかし、ピストンがシリンダの内周面に摺動接触することになるので、摺動部からの摩耗粉つまりパーティクルの発生が避けられず、パーティクルによる薬液の汚染や液漏れ等が発生するおそれがあり、シリンジ式のポンプを半導体製造工程に使用することは非常にリスクが高い。このため、摺動部を点検するために頻繁にメンテナンスを行う必要があり、他の形態のポンプに比して運転寿命が短く、メンテナンス費用、装置停止による稼働率の低下などのように使用効率が悪いという問題があり、半導体製造工程においてはあまり使用されていない。
【0014】
本発明の目的は、ベローズ等の可撓性のポンプ部材を有する液体供給装置の吐出精度を向上させることにある。
【0015】
本発明の他の目的は、液体供給装置の耐久性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の液体供給装置は、駆動ロッドにより駆動ポンプ室を膨張収縮させて液体を前記駆動ポンプ室に流入させ、流入した液体を前記駆動ポンプ室から外部に吐出する液体供給装置であって、前記駆動ロッドが前進方向と後退方向とに軸方向に往復動自在に装着される駆動用のハウジングと、前記駆動ロッドと前記ハウジングとの間に設けられ、前記ハウジングの内周面との間に連通室を形成するとともに前記駆動ロッドの移動に伴って軸方向に弾性変形するポンプ部材と、前記駆動ロッドに配置され、前記ハウジング内を前記駆動ポンプ室と前記連通室とに仕切るとともに外周面と前記ハウジングとの間で前記駆動ポンプ室と前記連通室とを連通させる連通隙間を形成するオリフィス部材と、前記オリフィス部材に配置され、前記駆動ロッドを前進移動させるときに前記オリフィス部材に形成された貫通孔を閉塞し、前記駆動ロッドを後退移動させるときに前記貫通孔を開放する弁体とを有し、前記駆動ロッドを前進移動させて前記貫通孔が閉じられた状態のもとで前記ポンプ部材により前記駆動ポンプ室を加圧駆動し、前記駆動ロッドが後退移動するときには前記貫通孔を介して前記駆動ポンプ室内に前記連通室内の液体を案内することを特徴とする。
【0017】
本発明の液体供給装置は、前記弁体を環状の板材により形成し、前記オリフィス部材に形成された複数の前記貫通孔に対向させて前記弁体を配置し、前記弁体の内周面側と外周面側との少なくともいずれか一方側に、前記駆動ロッドが後退して前記弁体が前記貫通孔を開放したときに前記駆動ポンプ室と前記連通室とを連通させる補助隙間を形成することを特徴とする。本発明の液体供給装置は、前記駆動ロッドに取り付けられる環状のバルブガイドの外側に前記弁体を配置し、前記弁体の内周面側に形成される補助隙間を前記駆動ロッドの後退移動時に開放する切欠き部を前記バルブガイドに形成することを特徴とする。
【0018】
本発明の液体供給装置は、薬液の流入管が接続される流入ポート、および薬液の流出管が接続される流出ポートが設けられた薬液用のハウジングと、当該薬液用のハウジング内に組み込まれ、前記流入ポートおよび前記流出ポートに連通する薬液ポンプ室と前記駆動ポンプ室に連通する駆動室とを仕切る弾性変形自在の仕切り膜部材とを備えた薬液ポンプとを有し、前記駆動ロッドが前進移動するときに前記駆動ポンプ室から前記駆動室に供給される液体により前記仕切り膜部材を加圧駆動することを特徴とする。本発明の液体供給装置は、前記駆動ポンプ室に連通させて薬液の流入管が接続される流入ポートと、薬液の流出管が接続される流出ポートとを前記駆動用のハウジングに設け、前記駆動ロッドが前進移動するときに前記駆動ポンプ室から前記流出ポートに直接液体を吐出することを特徴とする。
【0019】
本発明の液体供給装置は、駆動ロッドにより駆動ポンプ室を膨張収縮させて液体を前記駆動ポンプ室に流入させ、流入した液体を前記駆動ポンプ室から外部に吐出する液体供給装置であって、前記駆動ロッドが前進方向と後退方向とに軸方向に往復動自在に装着される駆動用のハウジングと、前記駆動ロッドと前記ハウジングとの間に設けられ、前記ハウジングの内周面との間に連通室を形成するとともに前記駆動ロッドの移動に伴って軸方向に弾性変形するポンプ部材と、前記駆動ロッドに配置され、前記ハウジング内を前記駆動ポンプ室と前記連通室とに仕切るとともに外周面と前記ハウジングとの間で前記駆動ポンプ室と前記連通室とを連通させる連通隙間を形成するオリフィス部材と、前記オリフィス部材に配置され、前記駆動ロッドを後退移動させるときに前記オリフィス部材に形成された貫通孔を閉塞し、前記駆動ロッドを前進移動させるときに前記貫通孔を開放する弁体とを有し、前記駆動ロッドを後退移動させて前記貫通孔が閉じられた状態のもとで前記ポンプ部材により前記駆動ポンプ室を吸引駆動し、前記駆動ロッドが前進移動するときには前記貫通孔を介して前記駆動ポンプ室内に前記連通室内の液体を案内することを特徴とする。
【0020】
本発明の液体供給装置は、前記弁体を環状の板材により形成し、前記オリフィス部材に形成された複数の前記貫通孔に対向させて前記弁体を配置し、前記弁体の内周面側と外周面側との少なくともいずれか一方側に、前記駆動ロッドが前進して前記弁体が前記貫通孔を開放したときに前記駆動ポンプ室と前記連通室とを連通させる補助隙間を形成することを特徴とする。本発明の液体供給装置は、前記駆動ロッドに取り付けられる環状のバルブガイドの外側に前記弁体を配置し、前記弁体の内周面側に形成される補助隙間を前記駆動ロッドの前進移動時に開放する切欠き部を前記バルブガイドに形成することを特徴とする。
【0021】
本発明の液体供給装置は、薬液の流入管が接続される流入ポート、および薬液の流出管が接続される流出ポートが設けられた薬液用のハウジングと、当該薬液用のハウジング内に組み込まれ、前記流入ポートおよび前記流出ポートに連通する薬液ポンプ室と前記駆動ポンプ室に連通する駆動室とを仕切る弾性変形自在の仕切り膜部材とを備えた薬液ポンプとを有し、前記駆動ロッドが後退移動するときに前記駆動室から前記駆動ポンプ室に供給される液体により前記仕切り膜部材を吸引駆動することを特徴とする。本発明の液体供給装置は、前記駆動ポンプ室に連通させて薬液の流入管が接続される流入ポートと、薬液の流出管が接続される流出ポートとを前記駆動用のハウジングに設け、前記駆動ロッドが後退移動するときに前記流入ポートから前記駆動ポンプ室に直接液体を吸引することを特徴とする。
【0022】
本発明の液体供給装置は、前記オリフィス部材の前記外周面の外径寸法と前記駆動用のハウジングの内周面の内径寸法との差は0.1mm以下であることを特徴とする。本発明の液体供給装置は、前記弁体の外径寸法は前記オリフィス部材の外径寸法よりも小さいことを特徴とする。本発明の液体供給装置は、前記弁体をボールまたはポペット弁により形成し、前記オリフィス部材に形成された複数の前記貫通孔にそれぞれの前記弁体を配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の液体供給装置は、駆動ポンプ室と連通室とがオリフィス部材により仕切られている。駆動ロッドを吐出負荷に抗して駆動動作するときにはオリフィス部材と収容孔の内周面との僅かな連通隙間を通して液体が駆動ポンプ室と連通室との間を流れ、この連通隙間の流れ方向の長さは連通隙間に対して充分に長いので、充分な圧力勾配が得られる。一方、駆動ロッドを吸引負荷に抗して駆動動作するときには、僅かな連通隙間を通して液体が駆動ポンプ室と連通室との間を流れ、この連通隙間の流れ方向の長さは連通隙間に対して充分に長いので、充分な圧力勾配が得られる。従って、駆動ポンプ室が加圧状態となっても連通室の圧力は変動せず一定となるので、ポンプ部材が弾性変形することが防止される。一方、駆動ポンプ室が負圧状態となっても連通室の圧力は変動せず一定となるので、ポンプ部材が弾性変形することが防止される。
【0024】
ポンプ部材が弾性変形することが防止され、ポンプ部材は駆動ロッドの移動ストロークにリニアに弾性変形するので、駆動ポンプ室から外部に吐出される液体や外部から駆動ポンプ室に吸引される液体の立ち上がり特性を向上させることができるとともに、ポンプの吐出精度を向上させることができる。
【0025】
ポンプ部材はハウジングの内周面に摺動接触することがなく、オリフィス部材の外周面とハウジングの内周面との間には連通隙間が形成されているので、ポンプ部材が駆動されるときに摺動部からの摩耗粉の発生がなく、液体供給装置の耐久性を向上させることができる。しかも、摺動部からの摩耗粉の発生がないので、駆動ポンプ室から被塗布部材に対して薬液等の液体を直接吐出するようにしても、塗布される液体に異物が混入することがない。
【0026】
ポンプ部材には駆動ポンプ室の圧力がかからないので、ポンプ部材は不要な変形をすることなく、寿命が長くなり、薬液供給装置の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】休止状態における本発明の第1の実施の形態である液体供給装置を示す断面図である。
【図2】薬液吐出状態における第1の実施の形態である液体供給装置を示す断面図である。
【図3】薬液吸入状態における第1の実施の形態である液体供給装置を示す断面図である。
【図4】図2の一部を拡大して示す断面図である。
【図5】図4の一部を拡大して示す断面図である。
【図6】図3の一部を拡大して示す断面図である。
【図7】図6の一部を拡大して示す断面図である。
【図8】図4における8−8線断面図である。
【図9】図6における9−9線断面図である。
【図10】図6における10−10線断面図である。
【図11】本発明の液体供給装置における駆動動作時と戻り動作時における駆動ポンプ室と連通室の圧力の変化を示す特性線図である。
【図12】(A),(B)は本発明の液体供給装置の立ち上がり特性を示す特性線図である。
【図13】薬液吐出状態における本発明の第2の実施の形態である液体供給装置を示す断面図である。
【図14】薬液吸入状態における本発明の第2の実施の形態である液体供給装置を示す断面図である。
【図15】図13の一部を拡大して示す断面図である。
【図16】図14の一部を拡大して示す断面図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態である液体供給装置の一部を示す断面図である。
【図18】本発明の第4の実施の形態である液体供給装置の一部を示す断面図である。
【図19】本発明の第5の実施の形態である液体供給装置の一部を示す断面図である。
【図20】本発明の第6の実施の形態である液体供給装置の一部を示す断面図である。
【図21】オリフィス部材と弁体の変形例を示す断面図である。
【図22】オリフィス部材と弁体の他の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。それぞれの図面においては、共通する部材には同一の符号が付されている。
【0029】
図1〜図3に示される液体供給装置10aは、駆動ポンプ11と薬液ポンプ12とを有している。駆動ポンプ11は駆動用のハウジング13aを有し、薬液ポンプ12は薬液用のハウジング13bを有し、両方のハウジング13a,13bは一体形となったハウジング部材13により形成され、ハウジング部材13は駆動ユニット14に取り付けられるようになっている。駆動用のハウジング13aの内部には円筒形状の収容孔15が形成されており、ハウジング13aの一端部は閉塞壁16により閉塞された閉塞端となっており、ハウジング13aの他端には開口部17が形成されている。
【0030】
ハウジング13aの内部には、駆動ロッド18が直線往復動自在に装着されており、この駆動ロッド18は駆動ユニット14内に組み込まれた電動モータや空気圧シリンダ等からなる図示しない駆動装置により往復動される。駆動ロッド18の閉塞壁16に向かう移動を前進移動とし、閉塞壁16から離れる方向の移動を後退移動とする。
【0031】
ハウジング13a内にはポンプ部材としてのベローズ21が装着されている。このベローズ21は、図4に示されるように、蛇腹部22とこれの一端部に設けられた端板部23と他端部に設けられたリング部24とを有し、フッ素樹脂等によりこれらが一体となって成形されている。端板部23には、駆動ロッド18の先端部に設けられた雄ねじ18aにねじ結合されるねじ孔23aが形成されており、端板部23は駆動ロッド18の先端部に固定される。一方、リング部24はハウジング13aの開口部17に形成された段部17aに当接し、駆動ユニット14とハウジング13aとにより挟み付けられている。
【0032】
ベローズ21は駆動ロッド18が軸方向に往復動すると、端板部23が駆動ロッド18とともに軸方向に移動して蛇腹部22が軸方向に弾性変形する。ベローズ21とハウジング13aの収容孔15の内周面との間には連通室25が形成されている。ベローズ21の内側は駆動ユニット14に形成された図示しない息付き孔を介して外部に連通しており、駆動ロッド18の往復動に伴ってベローズ21の内側には外気が流入するとともに内部の空気は外部に排出される。
【0033】
ベローズ21の端板部23と閉塞壁16との間は駆動ポンプ11の駆動ポンプ室26となっており、この駆動ポンプ室26と連通室25には液体が流入するようになっている。駆動ポンプ室26は駆動ロッド18が前進移動すると収縮し、駆動ポンプ室26の内部の液体がハウジング13aの外部に吐出される。一方、駆動ロッド18が後退移動すると駆動ポンプ室26は膨張し、その内部には外部から液体が吸入される。
【0034】
薬液用のハウジング13bには、図1〜図3に示されるように、長手方向に貫通する収容孔27が形成され、ハウジング13bの下端部には流入側のジョイント部材28が取り付けられ、上端部には流出側のジョイント部材29が取り付けられている。それぞれのジョイント部材28,29はハウジング13bの一部を形成している。流入側のジョイント部材28に形成された流入ポート28aには流入管31が接続され、流出側のジョイント部材29に形成された流出ポート29aには流出管32が接続される。流入管31は薬液容器33に接続され、流出管32の先端には薬液を塗布する吐出ノズル34が設けられる。流入管31には内部の流路を開閉する開閉弁35が設けられ、流出管32には内部の流路を開閉する開閉弁36が設けられている。
【0035】
ハウジング13b内には、図1〜図3に示されるように、フッ素樹脂等の径方向に弾性変形自在の可撓性のチューブ37が仕切り膜部材として装着されている。このチューブ37の流入端部はハウジング13bとジョイント部材28との間に挟み付けられ、流出端部はハウジング13bとジョイント部材29の間に挟み付けられている。チューブ37の流入端部をハウジング13bに溶接するようにしても良く、流出端部についても同様に溶接するようにしても良い。チューブ37によってハウジング13bの内部は、チューブ37の内側の薬液ポンプ室38と外側の駆動室39とに仕切られている。薬液ポンプ室38は流入ポート28aと流出ポート29aとに連通している。流出ポート29aは流入ポート28aの上方に設けられており、両方のポート28a,29aは同軸となっている。これにより、薬液内に気泡が混入されていても、その気泡が薬液ポンプ室38内に止まることが防止される。
【0036】
駆動室39はハウジング部材13に形成された連通孔41により駆動ポンプ室26に連通しており、駆動ポンプ室26と駆動室39と連通孔41と連通室25内には液体が封入されている。封入された液体は図においては点を付して示されている。駆動ロッド18を前進移動させると、駆動ポンプ室26が収縮して駆動ポンプ室26内の液体が駆動室39に供給されて駆動室39が膨張し、チューブ37は径方向に収縮することになる。チューブ37が収縮されるときに、図2に示されるように、開閉弁35により流入管31内の流路を閉じ、開閉弁36により流出管32内の流路を開くと、薬液ポンプ室38内の薬液は吐出ノズル34に供給される。一方、駆動ロッド18を後退移動させると、駆動ポンプ室26が膨張して駆動ポンプ室26内には駆動室39内の液体が吸入され、駆動室39が収縮し、チューブ37は径方向に膨張することになる。チューブ37が膨張されるときに、図3に示されるように、開閉弁35により流入管31内の流路を開き、開閉弁36により流出管32内の流路を閉じると、薬液容器33内の薬液は薬液ポンプ室38内に吸引される。
【0037】
液体供給装置10aはハウジング部材13に駆動ポンプ11と薬液ポンプ12とが設けられているが、駆動ポンプ11と薬液ポンプ12とを分離させるようにしても良い。その場合には駆動ポンプ室26と駆動室39とを配管により接続することになる。
【0038】
図1に示される液体供給装置10aは、駆動ロッド18を前進移動させることによりチューブ37を収縮させて薬液ポンプ室38内の薬液を吐出ノズル34から吐出させる際にベローズ21に加わる吐出負荷が、駆動ロッド18を後退移動させることによりチューブ37を膨張させて薬液ポンプ室38内に薬液容器33内の薬液を吸引する際にベローズ21に加わる吸引負荷よりも大きい場合に使用される。流出ポート29aから吐出ノズル34までの距離が流入ポート28aから薬液容器33までの距離に比して長い場合や、吐出速度が速い場合、または吐出ノズルまでの間にフィルターなど抵抗になるものがある場合には、吐出負荷は吸引負荷よりも大きくなる。
【0039】
液体供給装置10aが図1に示すように休止状態となってチューブ37が径方向外方に膨張した状態となっている状態のもとで、駆動ロッド18を前進させてチューブ37を収縮させる際には、前述の吐出負荷に抗して駆動ロッド18を前進方向に駆動動作させて駆動ポンプ室26を加圧する必要がある。
【0040】
これに対し、駆動室39から駆動ポンプ室26に液体を吸引してチューブ37を膨張させる際には、ベローズ21に加わる吸引負荷は吐出負荷に比して小さくなる。
【0041】
このように、吐出負荷に抗して駆動ロッド18を前進移動させてチューブ37を収縮させるときには、駆動ロッド18は駆動動作となり、駆動ロッド18を後退移動させるときには駆動ロッド18は戻り動作となる。
【0042】
図4および図5に示されように、ベローズ21の端板部23には閉塞壁16に向けて突出する弁保持部42が設けられており、この弁保持部42には環状のオリフィス部材43が組み付けられている。このオリフィス部材43の外径は収容孔15の内径よりも僅かに小さく設定されており、収容孔15の内周面つまりハウジング13aの内周面とオリフィス部材43の外周面との間には、駆動ポンプ室26と連通室25とを僅かに連通させる連通隙間44が形成されている。この連通隙間44を介して、駆動ロッド18の駆動動作時と戻り動作時のいずれにおいても、駆動ポンプ室26と連通室25とが連通される。
【0043】
オリフィス部材43は、図5に示されるように、弁保持部42に固定される環状のバルブガイド45により駆動ロッド18の先端部側に保持されており、バルブガイド45は止めリング46により弁保持部42に固定されている。図5に示されるように、バルブガイド45には径方向にガイド面48が形成されており、このガイド面48と端板部23の端面47との間でオリフィス部材43が保持されてオリフィス部材43の軸方向移動は規制される。さらに、バルブガイド45にはガイド面48から端面47に向けて突出する小径部49が設けられており、小径部49の外径はオリフィス部材43の内径よりも小さく設定されている。これにより、オリフィス部材43は軸方向には移動することなく、径方向に僅かに移動するように駆動ロッド18の先端部側に保持される。
【0044】
オリフィス部材43には、図5および図9に示されるように、円周方向に間隔を隔てて複数の貫通孔51が形成されている。オリフィス部材43には環状の板材からなる弁体53が配置され、この弁体53はバルブガイド45のガイド部52に対して軸方向に移動自在となっている。この弁体53がオリフィス部材43の弁座面56a,56bに接触すると、貫通孔51は弁体53により閉じられる。一方、弁体53がオリフィス部材43から離れると、貫通孔51は開放されて連通室25と駆動ポンプ室26は貫通孔51を介して連通状態となる。
【0045】
弁体53は駆動ロッド18を前進移動させるときにオリフィス部材43に形成された貫通孔51を閉塞し、駆動ロッド18を後退移動させるときに貫通孔51を開放する。したがって、駆動ロッド18を前進移動させてベローズ21により駆動ポンプ室26を加圧駆動させる際には、弁体53により貫通孔51が閉じられた状態となり、連通室25は駆動ポンプ室26に連通隙間44を介して連通するのみとなるので、チューブ37およびベローズ21に大きな吐出負荷が加わり、駆動ポンプ室26の圧力が高められても、連通室25の圧力上昇が抑制される。これにより、駆動ポンプ室26に大きな吐出負荷が加わっても、ベローズ21が径方向に変形することが抑制される。
【0046】
一方、駆動ロッド18を後退移動させてベローズ21により駆動室39から駆動ポンプ室26に液体を吸引する際には、弁体53により貫通孔51が開放されることになるが、吸引負荷は大きくなく、負圧状態の連通室25と大気状態のベローズ21の内側との圧力差は小さいので、ベローズ21が径方向に変形することが抑制される。
【0047】
弁体53の外径はオリフィス部材43の外径よりも小径となっており、図5に示されるように弁体53の外周面と収容孔15の内周面との間の隙間C2は連通隙間44の寸法C1よりも大きく設定されている。また、弁体53の内径はガイド部52の外径よりも大きく設定されており、弁体53とガイド部52との間には補助隙間54aが形成されている。この補助隙間54aは弁体53がオリフィス部材43から離れたときに、貫通孔51を介して連通室25と駆動ポンプ室26とを連通させる。弁体53がオリフィス部材43から離れる位置を規制するために、バルブガイド45の端部にはガイド部52よりも大径のストッパ55が設けられている。このストッパ55には、図8に示されるように、切欠き部55aが形成されており、この切欠き部55aにより補助隙間54aに連通する切欠き隙間54bが形成される。これにより、弁体53がストッパ55に当接したときには、切欠き隙間54bを介して駆動ポンプ室26と連通室25とが連通した状態となる。
【0048】
図5に示されるように、オリフィス部材43の外周部と内周部には、弁体53が接触する弁座面56a,56bが環状に形成されており、両方の弁座面56a,56bの間の面は弁体53には接触しないようになっている。弁体53を弁座面56a,56bのみに接触させることにより、弁体53を円滑にオリフィス部材43から離反させることができる。オリフィス部材43の弁体53に対して反対側の背面の外周部には、図5に示されように、環状の突起57が設けられており、連通隙間44の軸方向寸法はオリフィス部材43の板厚よりも大きく設定されている。オリフィス部材43の外周面には、図5に示されるように、突起57の部分を含めて端面に向けて径方向内方に傾斜したテーパ面が形成されている。
【0049】
上述した液体供給装置10aにおいては、図5に示されるように、ハウジング13aの内周面の内径寸法をD1とし、オリフィス部材43の外径寸法をD2とすると、内径寸法D1は38mm(交差0.01mm)に設定され、外径寸法D2は37.9mm(交差0.005mm)に設定されている。したがって、外径寸法D2と内径寸法D1の差は0.1mmとなっており、連通隙間44の隙間寸法C1は0.05mmに設定されている。また、連通隙間44の直線部分の長さは1.63mmに設定されている。外径寸法D2と内径寸法D1の寸法差を、0.15mm程度まで大きくすると、駆動ポンプ室26内の圧力変動により連通室25の圧力も変動するが、寸法差を0.1mm以下に設定すると、駆動ポンプ室26の圧力が上昇しても、連通室25の圧力は殆ど上昇しなくなった。
【0050】
駆動ポンプ室26内の液体を駆動室39に吐出させる際の吐出流量を、0.1ml/秒(毎秒0.1ミリリットル)としたときには、駆動ポンプ室26内の圧力変動により連通室25に圧力変動が発生したが、吐出流量を0.5ml/秒およびそれ以上に設定すると、弁体53がオリフィス部材43の貫通孔51を確実に塞ぐことになり、駆動ポンプ室26内の圧力変動による連通室25の圧力変動は発生しなかった。
【0051】
図1〜図10に示す液体供給装置10aは、駆動ポンプ11と薬液ポンプ12とを有し、駆動ポンプ室26を膨張収縮させてこの内部に封入された液体を間接媒体とし、薬液ポンプ12を駆動するようにした間接作動型となっている。また、この液体供給装置10aは、吐出負荷が吸引負荷よりも大きい作動形態となっており、薬液を吐出ノズル34から吐出させるときにおける駆動ポンプ室26の圧力とベローズ21の内側の大気圧との圧力差は、薬液容器33内の薬液を薬液ポンプ室38に吸引するときにおける圧力差よりも大きくなる。
【0052】
この液体供給装置10aを作動させて薬液容器33から薬液ポンプ室38内に供給されたフォトレジストや純水等の薬液を吐出ノズル34に供給するには、図2に示すように、駆動ロッド18を前進移動つまり閉塞壁16に向けて突出移動させ、駆動ポンプ室26内の液体を連通孔41を介して駆動室39に吐出させる。駆動ロッド18を前進移動させると、ベローズ21が軸方向に長くなるので、連通室25の容積は大きくなる。
【0053】
このときには、駆動ポンプ室26には吐出負荷が加わっており、駆動ロッド18は駆動ポンプ室26を加圧させる駆動動作となる。この駆動動作時には、図4および図5に示すように、連通室25内には連通隙間44を介して駆動ポンプ室26内の液体が絞られて流入するが、加圧状態の駆動ポンプ室26内の液体により弁体53がオリフィス部材43に密着し、貫通孔51が閉塞される。駆動動作時には、駆動ポンプ室26からは液体が絞られて連通室25に流入するので、その時に軸方向に長い連通隙間44を液体が流れる際に生じる圧力損失により連通室25の圧力上昇が抑制される。つまり、薬液ポンプ室38の圧力をPDとし、駆動ポンプ室26の圧力をP1とし、連通室25の圧力をP2とすると、駆動ポンプ室26の圧力P1は、圧力PDとほぼ同じ圧力となるのに対して、連通室25の圧力P2は圧力PD、P1よりも低い圧力となる。
【0054】
このように、駆動動作時には連通室25は連通隙間44のみを介して駆動ポンプ室26と連通し、絞り作用による圧力損失により連通室25の圧力上昇が抑制されるので、駆動動作時にベローズ21の蛇腹部22が径方向内側に向かって弾性変形することが防止される。これにより、駆動ロッド18が前進移動を開始すると、駆動ポンプ室26の圧力は直ちに上昇するので、直ちに薬液ポンプ室38が収縮されて薬液ポンプ12の立ち上がり特性を向上させることができる。また、ベローズ21の蛇腹部22の変形が防止されるので、薬液ポンプ12の流出ポート29aからの薬液の吐出特性は駆動ロッド18のストロークに応じて直線的に変化することになる。つまり、ベローズ21の蛇腹部22が径方向に変形すると、駆動ロッド18のストロークと駆動室39へ送られる液体の量とは比例しなくなるが、本発明の液体供給装置ではそのようなことはない。さらに、ベローズ21の耐久性を高めることができる。
【0055】
駆動ロッド18を後退移動させて薬液容器33から薬液ポンプ室38に薬液を供給するには、図3に示すように、駆動ロッド18を閉塞壁16から離す方向に後退移動させ、駆動室39内の液体を駆動ポンプ室26に供給する。
【0056】
この戻り動作時には吸引負荷は大きくないので、駆動ポンプ室26の負圧は大気圧に近い圧力となる。この戻り動作時には、図6および図7に示すように、弁体53がオリフィス部材43から離れて貫通孔51が開放されるとともに切欠き隙間54bにより補助隙間54aが開放されるので、連通室25の圧力P2は駆動ポンプ室26の圧力P1とほぼ同一の圧力となる。これにより、駆動ロッド18の後退移動時にはベローズ21は径方向に弾性変形することがない。
【0057】
図11は液体供給装置10aにおける駆動動作時と戻り動作時における駆動ポンプ室26と連通室25の圧力の変化を示す特性線図であり、図12(A)は液体供給装置10aの立ち上がり特性を従来例と比較して示す特性線図である。
【0058】
図11に示されるように、薬液ポンプ室38から薬液を吐出させる際には、駆動ポンプ室26の圧力P1は吐出圧力PDに対応した高い圧力となるのに対して、連通室25の圧力P2はオリフィス部材43により絞られて圧力P1よりも低くなる。図11において一点鎖線は比較例として示す従来の連通室25の圧力を示しており、オリフィス部材43を設けない場合には、薬液の吐出時に連通室25の圧力は駆動ポンプ室26の圧力と同一の圧力となり、ベローズ21は径方向に弾性変形することになる。
【0059】
このため、従来では、図12(A)において一点鎖線で示すように、ベローズの弾性変形によって駆動ロッド18の起動時にベローズが弾性変形し、薬液ポンプ室38から吐出される薬液の立ち上がり時間が長くなっていた。これに対して、本発明の液体供給装置10aにおいては立ち上がり特性が向上した。図12(A)に一点鎖線で示すように、従来の液体供給装置においては、吐出圧力、流速、加速条件等の吐出条件を条件1〜条件3に相違させると、立ち上がり時間はT1〜T3に変化することになったが、薬液供給装置10aにおいては、吐出条件を変化させても、立ち上がり時間Tに変化はなかった。立ち上がり時間がTとT1のように相違すると、図12(A)においてハッチングが付された面積により示される吐出総量が液体供給装置を起動させたときにおける立ち上げ時の吐出総量の差となる。吐出総量は、液体の単位時間当たりの流量と立ち上がり時間との積により算出される。
【0060】
駆動ポンプ室26内の液体が高粘度の場合、駆動ロッド18による駆動ポンプ室26からの液体の吐出速度が速い場合、液体を案内する吐出流路の抵抗が大きい場合などのように、総合的な圧力損失が大きな場合には、吐出開始時の立ち上がり特性には、ベローズを始めとするポンプヘッド部の耐圧力つまり剛性が大きく影響する。動作開始時の圧力負荷をベローズ21の蛇腹部22が受けて瞬間的に蛇腹部22が大きく変形すると、断面積が縮小し、立ち上がり流量が減少し、さらにはダンピング現象(流量変動)の原因ともなる。これらが吐出開始時の不感帯となって立ち上がりの悪さに影響することになる。
【0061】
また、薬液粘度が高い場合、流速が速い場合、加速が速い場合などのように、吐出圧力の負荷が高い程ベローズの変形量が大きくなるため、吐出動作終了までの間のベローズの有効断面積が縮小してしまうことになる。これにより、吐出流量が減少するので、結果的に1ショットの吐出量が設定通りに吐出できなくなる。つまり、薬液粘度、吐出圧力、ポンプ運転条件等が吐出量に大きく影響を及ぼすので、結果的に吐出精度が安定しない。
【0062】
しかし、本発明の液体供給装置10aにおいては、瞬間的な吐出圧力の及ぼす影響を、逆流防止用の弁体とオリフィス抵抗で受けることになり、ベローズ構造の欠点でもある立ち上がり特性を向上させ、全域にわたり流量の安定化を図ることができる。
【0063】
図13〜図16は本発明の他の実施の形態である液体供給装置10bを示す断面図である。この液体供給装置10bは、駆動ロッド18を後退移動させることによりチューブ37を膨張させて薬液ポンプ室38内に薬液容器33内の薬液を吸引する際にベローズ21に加わる吸引負荷が、駆動ロッド18を前進移動させることによりチューブ37を収縮させて薬液ポンプ室38内の薬液を吐出ノズル34から吐出させる際にベローズ21に加わる吐出負荷よりも大きい場合に使用される。流出ポート29aから吐出ノズル34までの距離が流入ポート28aから薬液容器33までの距離に比して短い場合や、吸入速度が速い場合、または流入ポートと薬液容器との間にフィルターなど抵抗になるものがある場合には、吸引負荷は吐出負荷よりも大きくなる。
【0064】
したがって、薬液ポンプ室38から薬液を吐出ノズル34に吐出する際には、ベローズ21には大きな吐出負荷は加わることがない。これに対し、駆動ロッド18を後退移動させて薬液ポンプ室38を膨張させる際には、大きな吸引負荷に抗して駆動ロッド18を後退方向に駆動動作して駆動室39内の液体を駆動ポンプ室26に吸引する必要がある。このときには、駆動ポンプ室26内の負圧は上述した液体供給装置10aに比して大きくなる。このように、吸引負荷が吐出負荷よりも大きい場合に適用される液体供給装置10bにおいては、駆動ロッド18を後退移動させる際には駆動ロッド18は駆動動作となり、駆動ロッド18を前進移動させる際には駆動ロッド18は戻り動作となる。
【0065】
図15および図16に示されるように、上述した液体供給装置10aと相違して、弁保持部42にはオリフィス部材43と弁体53が軸方向に反転された状態となって配置されている。つまり、弁体53はオリフィス部材43とベローズ21の端面47との間に配置されている。したがって、駆動ロッド18を後退移動させるときには貫通孔51は弁体53により閉塞され、駆動ロッド18を前進移動させるときには貫通孔51は弁体53により開放されることになり、駆動ロッド18を後退移動させて貫通孔51が閉じられた状態のもとでポンプ部材としてのベローズ21により駆動ポンプ室26は吸引駆動される。一方、駆動ロッド18が前進移動するときには貫通孔51を介して駆動ポンプ室26内に連通室25内の液体が案内される。
【0066】
駆動ロッド18を後退移動させる駆動動作時に駆動ポンプ室26が負圧状態となると、図16に示すように、弁体53によって貫通孔51が閉塞されるので、駆動ポンプ室26と連通室25は連通隙間44のみにより連通状態となって連通隙間44により絞られることになる。これにより、駆動ポンプ室26の負圧は連通室25には伝達されることがなく、薬液ポンプ室38に薬液に吸入するための駆動動作時にベローズ21が径方向に変形することはない。
【0067】
図12(B)はこの液体供給装置10bの立ち上がり特性を従来例と比較して示す特性線図である。従来では、図12(B)において一点鎖線で示すように、ベローズの弾性変形によって駆動ロッド18の吸引動作時にベローズが弾性変形し、薬液ポンプ室38内へ吸入される薬液の立ち上がり時間が長くなっていた。これに対して、本発明の液体供給装置10bおいては立ち上がり特性が向上した。図12(B)において一点鎖線で示すように、従来の液体供給装置においては、吐出圧力、流速、加速条件等の吸入条件を条件1〜条件3に相違させると、立ち上がり時間はT1〜T3に変化することになったが、薬液供給装置10bにおいては、吸入条件を変化させても、立ち上がり時間Tに変化はなかった。立ち上がり時間がTとT1のように相違すると、図12(B)においてハッチングが付された面積により示される吸入総量が液体供給装置を起動させたときにおける立ち上げ時の吸入総量の差となる。吸入総量は、液体の単位時間当たりの流量と立ち上がり時間との積により算出される。
【0068】
このように、吸入動作するベローズ21に吸引負荷が加わる場合にも、液体供給装置10bにおいては、瞬間的な吸入圧力の及ぼす影響を、逆流防止用の弁体とオリフィス抵抗で受けることになり、ベローズ構造の欠点でもある立ち上がり特性を向上させ、全域にわたり流量の安定化を図ることができる。
【0069】
図17は本発明の他の実施の形態である液体供給装置10cを示す断面図である。この液体供給装置10cは、上述した形態と相違し、仕切り膜部材がチューブ37に代えて弾性変形自在のダイヤフラム61により形成されている。このダイヤフラム61によりハウジング13bの収容孔27内は駆動室39と薬液ポンプ室38とに仕切られている。したがって、ダイヤフラム61が薬液ポンプ室38を収縮させる方向に変形すると、薬液ポンプ室38内の薬液は流出ポート29aを介して吐出ノズル34から吐出され、ダイヤフラム61が薬液ポンプ室38を膨張させる方向に変形すると、薬液容器33内の薬液は流入ポート28aを介して薬液ポンプ室38に吸引される。なお、図示する形態においては、上述したジョイント部材28,29は設けられておらず、流入ポート28aと流出ポート29aはハウジング13bに一体となって形成されている。
【0070】
この液体供給装置10cは、図1に示した液体供給装置10aと同様に、駆動ロッド18を前進移動さて薬液ポンプ室38内の薬液を吐出ノズル34から吐出させる際にベローズ21に加わる吐出負荷が、駆動ロッド18を後退移動させることにより薬液ポンプ室38内に薬液容器33内の薬液を吸引する際にベローズ21に加わる吸引負荷よりも大きい場合に使用される。したがって、オリフィス部材43と弁体53の配置関係は、図1〜図10に示した液体供給装置10aと同様となっている。
【0071】
図18は本発明の他の実施の形態である液体供給装置10dを示す断面図である。この液体供給装置10dにおける駆動ポンプ11のポンプ部材としては、上述したベローズ21に代えてダイヤフラム62が用いられている。このダイヤフラム62は駆動ロッド18の軸方向移動に追従し軸方向に弾性変形する。薬液ポンプ12は、図17に示した液体供給装置10cと同様にダイヤフラム61が仕切り膜部材として使用されている。また、この液体供給装置10dは、ハウジング13aに形成された収容孔15内に両方のダイヤフラム61,62が組み込まれている。したがって、この液体供給装置10dにおいては、駆動ポンプ室26と駆動室39が一体となっており、駆動ポンプ11と薬液ポンプ12を含めた全体のサイズを小型化することができる。
【0072】
図18に示す液体供給装置10dも、図17に示した液体供給装置10cと同様に、吐出負荷が吸引負荷よりも大きい場合に使用される。ただし、それぞれの液体供給装置10c,10dを吸引負荷が吐出負荷よりも大きい場合に使用されるときには、弁保持部42にはオリフィス部材43と弁体53が軸方向に反転された状態となって配置される。つまり、弁体53はオリフィス部材43とベローズ21の端面47との間に配置されることになる。
【0073】
図19は本発明の他の実施の形態である液体供給装置10eを示す断面図である。この液体供給装置10eは、上述した液体供給装置10a〜10dが駆動ポンプ11により駆動された間接液体を駆動源として薬液ポンプ12を駆動するようにした間接作動型であるのに対し、駆動ポンプ11により薬液を吐出ノズルに供給するようにした直接作動型となっている。駆動ポンプ11の構造は上述した液体供給装置10aと同様である。
【0074】
図20は本発明の他の実施の形態である液体供給装置10fを示す断面図である。この液体供給装置10fも図19に示したものと同様に直接作動型であり、駆動ポンプ室26内に薬液容器から供給された薬液を吐出ノズルに向けて供給する。図20に示した液体供給装置10fにおいては、ポンプ部材としては図18に示した液体供給装置10dと同様にダイヤフラム62が用いられており、ダイヤフラム62は軸方向に弾性変形する。
【0075】
図19および図20に示される液体供給装置10e,10fにおける流入側のジョイント部材28と流出側のジョイント部材29は、それぞれハウジング13aと一体に設けられており、流入ポート28aと流出ポート29aはそれぞれ駆動ポンプ室26に連通されている。
【0076】
このように直接作動型の液体供給装置10e,10fにおいては、駆動ロッド18の前進移動により駆動ポンプ室26内の薬液を流出管32に吐出し、駆動ロッド18の後退移動により流入管31から駆動ポンプ室26内に薬液を吸入する。これにより、吐出ノズルに駆動ポンプ室内の薬液を直接吐出することになる。
【0077】
図19に示す液体供給装置10eと、図20に示した液体供給装置10fは、いずれも吐出負荷が吸引負荷よりも大きい場合に使用される。ただし、それぞれの液体供給装置10e,10fを吸引負荷が吐出負荷よりも大きい場合に使用するときには、弁保持部42にはオリフィス部材43と弁体53は位置関係が反転された状態となって配置される。つまり、弁体53はオリフィス部材43とベローズ21の端面47との間に配置されることになる。図19と図20における流入管31と流出管32には、図1に示した開閉弁35,36が設けられることになる。
【0078】
図21と図22はそれぞれオリフィス部材43と弁体53の変形例である。図21に示されるオリフィス部材43には、貫通孔51と同軸となって弁体収容孔63が形成されており、弁体収容孔63は大径孔63aとこれと貫通孔51との間のテーパ孔63bとを有している。貫通孔51は円周方向に間隔を隔てて複数個形成されており、それぞれの貫通孔51に連なって弁体収容孔63が形成され、弁体収容孔63には弁体としてボール64が配置されている。ボール64が弁体収容孔63から外れるのを防止するために、弁体収容孔63の端部にはリテーナ65が取り付けられており、リテーナ65には液体を案内する貫通孔が形成されている。
【0079】
図22に示すオリフィス部材43においては、貫通孔51と同軸となって形成された弁体収容孔63に弁体としてポペット弁66が配置されており、弁軸部66aはリテーナ67に形成されたガイド孔68に摺動自在に嵌合されている。
【0080】
図21と図22に示したオリフィス部材43には、駆動ポンプ室26が加圧されると貫通孔51を閉じるように、ボール64とポペット弁66とが配置されているので、駆動ロッド18が前進移動する際に貫通孔51は閉塞され、後退移動する際には貫通孔51は開放される。これに対し、図13〜図16に示した液体供給装置10bのように、駆動ロッド18を後退移動させるときに、駆動ポンプ室26が負圧状態となる場合には、オリフィス部材43は図21,22において上下が反転された状態で駆動ロッド18の先端側に配置されることになる。
【0081】
本発明の液体供給装置においては、ベローズ21やダイヤフラム62等からなるポンプ部材とハウジング13aとの間に形成される連通室25がオリフィス部材43により駆動ポンプ室26に対して仕切られている。駆動ロッド18により駆動ポンプ室26を吐出負荷に抗して加圧する形態においては、貫通孔51を閉じることにより連通隙間44を介して駆動ポンプ室26内の液体が連通室25に絞られて案内されるので、駆動ポンプ室26の圧力変動は連通室25には伝達されることがない。一方、駆動ロッド18により駆動ポンプ室26を吸引負荷に抗して吸引する形態においては、貫通孔51を閉じることにより連通隙間44を介して連通室25内の液体が駆動ポンプ室26に絞られて案内されるので、駆動ポンプ室26の圧力変動は連通室25には伝達されることがない。
【0082】
したがって、ポンプ部材により駆動ポンプ室26を膨張収縮させるときには、ポンプ部材とハウジングとの間で形成される連通室25は圧力変動がなく、ベローズ21やダイヤフラム62等のポンプ部材は駆動ロッド18の移動ストロークに対して直線的に弾性変形する。
【0083】
特に、駆動動作の初期には、従来技術における可撓性のポンプ部材は、これに加わる圧力により大きく弾性変形して駆動ポンプ11の立ち上がり特性が悪いのに対し、本発明ではオリフィス部材43を用いて駆動ポンプ室26と連通室25とを仕切ることにより、駆動ポンプ室26の圧力変動が連通室25に伝達されないようにしたので、駆動ポンプの立ち上がり特性を高めることができる。
【0084】
本発明の液体供給装置においては、可撓性を有するベローズ21やダイヤフラム62をポンプ部材として用いて駆動ポンプ室26を膨張収縮させるようにしたので、シリンジタイプと相違して、ポンプ部材はハウジングの内周面と摺動接触することがない。これにより、摺動部が摩耗することがないので、駆動ポンプからの液漏れ発生がなく、駆動ポンプの耐久性を向上させることができる。したがって、液体供給装置のメンテナンスを頻繁に行うことが不要となる。また、摺動部がないので、低速で液体を吐出させる場合でもスティックスリップ現象により流量変動の発生がない。摺動部からの摩耗粉の発生がないので、駆動ポンプにより直接薬液を吐出ノズル34から吐出されるようにした直動型の液体供給装置においては、薬液に摩耗粉が混入することがなく、半導体ウエハや液晶パネルの製造歩留まりを高めることができる。
【0085】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、本発明の液体供給装置は、半導体ウエハや液晶基板を被塗布物としてこれに薬液を吐出する場合に限られることなく、液体を高精度で定量供給する場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
10a〜10f 液体供給装置
11 駆動ポンプ
12 薬液ポンプ
13 ハウジング部材
13a 駆動用のハウジング
13b 薬液用のハウジング
15 収容孔
16 閉塞壁
18 駆動ロッド
21 ベローズ(ポンプ部材)
22 蛇腹部
25 連通室
26 駆動ポンプ室
28a 流入ポート
29a 流出ポート
31 流入管
32 流出管
37 チューブ(仕切り膜部材)
38 薬液ポンプ室
39 駆動室
41 連通孔
43 オリフィス部材
44 連通隙間
51 貫通孔
53 弁体
54a 補助隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ロッドにより駆動ポンプ室を膨張収縮させて液体を前記駆動ポンプ室に流入させ、流入した液体を前記駆動ポンプ室から外部に吐出する液体供給装置であって、
前記駆動ロッドが前進方向と後退方向とに軸方向に往復動自在に装着される駆動用のハウジングと、
前記駆動ロッドと前記ハウジングとの間に設けられ、前記ハウジングの内周面との間に連通室を形成するとともに前記駆動ロッドの移動に伴って軸方向に弾性変形するポンプ部材と、
前記駆動ロッドに配置され、前記ハウジング内を前記駆動ポンプ室と前記連通室とに仕切るとともに外周面と前記ハウジングとの間で前記駆動ポンプ室と前記連通室とを連通させる連通隙間を形成するオリフィス部材と、
前記オリフィス部材に配置され、前記駆動ロッドを前進移動させるときに前記オリフィス部材に形成された貫通孔を閉塞し、前記駆動ロッドを後退移動させるときに前記貫通孔を開放する弁体とを有し、
前記駆動ロッドを前進移動させて前記貫通孔が閉じられた状態のもとで前記ポンプ部材により前記駆動ポンプ室を加圧駆動し、前記駆動ロッドが後退移動するときには前記貫通孔を介して前記駆動ポンプ室内に前記連通室内の液体を案内することを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の液体供給装置において、前記弁体を環状の板材により形成し、前記オリフィス部材に形成された複数の前記貫通孔に対向させて前記弁体を配置し、前記弁体の内周面側と外周面側との少なくともいずれか一方側に、前記駆動ロッドが後退して前記弁体が前記貫通孔を開放したときに前記駆動ポンプ室と前記連通室とを連通させる補助隙間を形成することを特徴とする液体供給装置。
【請求項3】
請求項2記載の液体供給装置において、前記駆動ロッドに取り付けられる環状のバルブガイドの外側に前記弁体を配置し、前記弁体の内周面側に形成される補助隙間を前記駆動ロッドの後退移動時に開放する切欠き部を前記バルブガイドに形成することを特徴とする液体供給装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体供給装置において、
薬液の流入管が接続される流入ポート、および薬液の流出管が接続される流出ポートが設けられた薬液用のハウジングと、
当該薬液用のハウジング内に組み込まれ、前記流入ポートおよび前記流出ポートに連通する薬液ポンプ室と前記駆動ポンプ室に連通する駆動室とを仕切る弾性変形自在の仕切り膜部材とを備えた薬液ポンプとを有し、
前記駆動ロッドが前進移動するときに前記駆動ポンプ室から前記駆動室に供給される液体により前記仕切り膜部材を加圧駆動することを特徴とする液体供給装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体供給装置において、
前記駆動ポンプ室に連通させて薬液の流入管が接続される流入ポートと、薬液の流出管が接続される流出ポートとを前記駆動用のハウジングに設け、
前記駆動ロッドが前進移動するときに前記駆動ポンプ室から前記流出ポートに直接液体を吐出することを特徴とする液体供給装置。
【請求項6】
駆動ロッドにより駆動ポンプ室を膨張収縮させて液体を前記駆動ポンプ室に流入させ、流入した液体を前記駆動ポンプ室から外部に吐出する液体供給装置であって、
前記駆動ロッドが前進方向と後退方向とに軸方向に往復動自在に装着される駆動用のハウジングと、
前記駆動ロッドと前記ハウジングとの間に設けられ、前記ハウジングの内周面との間に連通室を形成するとともに前記駆動ロッドの移動に伴って軸方向に弾性変形するポンプ部材と、
前記駆動ロッドに配置され、前記ハウジング内を前記駆動ポンプ室と前記連通室とに仕切るとともに外周面と前記ハウジングとの間で前記駆動ポンプ室と前記連通室とを連通させる連通隙間を形成するオリフィス部材と、
前記オリフィス部材に配置され、前記駆動ロッドを後退移動させるときに前記オリフィス部材に形成された貫通孔を閉塞し、前記駆動ロッドを前進移動させるときに前記貫通孔を開放する弁体とを有し、
前記駆動ロッドを後退移動させて前記貫通孔が閉じられた状態のもとで前記ポンプ部材により前記駆動ポンプ室を吸引駆動し、前記駆動ロッドが前進移動するときには前記貫通孔を介して前記駆動ポンプ室内に前記連通室内の液体を案内することを特徴とする液体供給装置。
【請求項7】
請求項6記載の液体供給装置において、前記弁体を環状の板材により形成し、前記オリフィス部材に形成された複数の前記貫通孔に対向させて前記弁体を配置し、前記弁体の内周面側と外周面側との少なくともいずれか一方側に、前記駆動ロッドが前進して前記弁体が前記貫通孔を開放したときに前記駆動ポンプ室と前記連通室とを連通させる補助隙間を形成することを特徴とする液体供給装置。
【請求項8】
請求項7記載の液体供給装置において、前記駆動ロッドに取り付けられる環状のバルブガイドの外側に前記弁体を配置し、前記弁体の内周面側に形成される補助隙間を前記駆動ロッドの前進移動時に開放する切欠き部を前記バルブガイドに形成することを特徴とする液体供給装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の液体供給装置において、
薬液の流入管が接続される流入ポート、および薬液の流出管が接続される流出ポートが設けられた薬液用のハウジングと、
当該薬液用のハウジング内に組み込まれ、前記流入ポートおよび前記流出ポートに連通する薬液ポンプ室と前記駆動ポンプ室に連通する駆動室とを仕切る弾性変形自在の仕切り膜部材とを備えた薬液ポンプとを有し、
前記駆動ロッドが後退移動するときに前記駆動室から前記駆動ポンプ室に供給される液体により前記仕切り膜部材を吸引駆動することを特徴とする液体供給装置。
【請求項10】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の液体供給装置において、
前記駆動ポンプ室に連通させて薬液の流入管が接続される流入ポートと、薬液の流出管が接続される流出ポートとを前記駆動用のハウジングに設け、
前記駆動ロッドが後退移動するときに前記流入ポートから前記駆動ポンプ室に直接液体を吸引することを特徴とする液体供給装置。
【請求項11】
請求項2または7記載の液体供給装置において、前記オリフィス部材の前記外周面の外径寸法と前記駆動用のハウジングの内周面の内径寸法との差は0.1mm以下であることを特徴とする液体供給装置。
【請求項12】
請求項2または7記載の液体供給装置において、前記弁体の外径寸法は前記オリフィス部材の外径寸法よりも小さいことを特徴とする液体供給装置。
【請求項13】
請求項1または6記載の液体供給装置において、前記弁体をボールまたはポペット弁により形成し、前記オリフィス部材に形成された複数の前記貫通孔にそれぞれの前記弁体を配置することを特徴とする液体供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2011−226375(P2011−226375A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96630(P2010−96630)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000145611)株式会社コガネイ (142)
【Fターム(参考)】