説明

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

【課題】異物によるノズル詰まり等の吐出不良を抑制すると共に流路形成基板の破壊を抑制して耐久性を向上させた液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】流路形成基板10は、個別流路に連通する第1壁面10Aと、第1壁面10Aと相対向する第2壁面10Bとを有し、第2壁面10Bは積層板の端部よりもリザーバー100側に突出して設けられ、流路形成基板10の積層板の端部と第2壁面10Bとの間には、積層金属層190の下地層91が設けられており、積層金属層190の金属層92は、第2壁面10Bよりも突出することなく設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドであるインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、ノズル開口に連通すると共に隔壁により区画された圧力発生室と、延設された隔壁により区画された圧力発生室に連通するインク供給路及びインク供給路に連通する連通路と、連通路に連通すると共に複数の圧力発生室に連通する連通部とが形成された流路形成基板と、この流路形成基板の一方面側に振動板を介して形成される圧電素子と、流路形成基板の圧電素子側の面に接合され連通部と共にリザーバーの一部を構成するリザーバー部を有するリザーバー形成基板とを具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のインクジェット式記録ヘッドの製造方法では、流路形成基板の一方面側に設けられた振動板である弾性膜と絶縁体膜との連通部が形成される領域を開口させ、その開口周縁部にリード電極と同一の層からなるが当該リード電極とは不連続の不連続金属層を形成後、この流路形成基板の一方面側にリザーバー部を有するリザーバー形成基板を接合している。そして、流路形成基板を他方面側から振動板及び不連続金属層が露出するまでウェットエッチングにより圧力発生室及び連通部を形成した後、不連続金属層を貫通してリザーバー部と連通部とを連通させてリザーバーを形成している。このような製造方法でインクジェット式記録ヘッドを形成することにより、流路形成基板に圧力発生室及び連通部を形成する際に、不連続金属層によりエッチング液が連通部及びリザーバー部を介してリザーバー形成基板側に流れ出てリザーバー形成基板がエッチングされるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−306022号公報
【特許文献2】特開2007−261215号公報
【0005】
しかしながら、特許文献1のインクジェット式記録ヘッドのように、連通部の開口周縁部が実質的に振動板のみで構成されるように形成されていると、振動板の液体供給路に対応する領域とは反対側の開口縁部にクラックが発生し、剥がれて異物となってしまうことがあった。この異物がノズル詰まりの原因となっていた。
【0006】
また、上述した方法により製造した液体噴射ヘッドは、特許文献1以外にも出願されている(例えば、特許文献2参照)。なお、特許文献2の図2では、振動板の液体供給路に対応する領域とは反対側の開口縁部は、流路形成基板の端部と一致するように描かれているが、実際には、特許文献1と同様、連通部の開口縁部が実質的に振動板のみで構成されるように形成されている。これは、流路形成基板を構成するシリコンは結晶性を有しているため、流路形成基板の端面は、異方性エッチングにより第1の(111)面と第2の(111)面とが交互に配置されて、面方向で階段状に形成されているからである。すなわち、流路形成基板の階段状に形成される端面に合わせて、予め振動板の端面を階段状に形成することは難しく、振動板の端部を流路形成基板の端部よりも突出させる形状としていた。振動板の端部を流路形成基板の端部よりも突出させる形状とすると、振動板の液体供給路に対応する領域とは反対側の開口縁部にクラックが発生しやすいことが問題となっていた。
【0007】
なお、このような問題は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに
限定されず、他の装置に搭載されるアクチュエーター装置においても同様に存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、異物によるノズル詰まり等の吐出不良を抑制すると共に流路形成基板の破壊を抑制して耐久性を向上させた液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室を有する個別流路と、複数の圧力発生室の共通の液体室となるリザーバーの一部を構成する連通部とが形成された流路形成基板と、前記流路形成基板上に形成された圧力発生素子と、前記圧電素子と前記流路形成基板との間に配置されて複数の薄層を積層した積層板と、下地層と該下地層上に形成された金属層とからなり、前記圧力発生素子に接続するリード電極と、前記流路形成基板上方の連通部が開口する開口周縁部に設けられ、前記リード電極と同一の材料からなるが当該リード電極とは不連続の積層金属層と、を具備し、前記流路形成基板は、前記リザーバーの前記個別流路側の面を構成する第1壁面と、前記第1壁面と相対向する第2壁面とを有し、前記第2壁面は前記積層板の端部よりも前記リザーバー側に突出して設けられ、前記流路形成基板の前記積層板の端部と前記第2壁面との間には、前記積層金属層の下地層が設けられており、前記積層金属層の金属層は、前記第2壁面よりも突出することなく設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド
にある。
【0010】
かかる第1の態様では、流路形成基板の第2壁面が振動板の端部よりもリザーバー側に突出していることにより、積層板の耐久性が向上し、積層板のクラックを抑制することができる。また、流路形成基板の圧電素子が形成された面上で且つ積層板の端部と第2壁面との間に下地層が設けられていることにより、液体による侵食から流路形成基板を保護することができる。これにより、異物の発生が抑制されノズル詰まり等の吐出不良を抑制すると共に流路形成基板の破壊を抑制して、耐久性を向上させたものとすることができる。
【0011】
また、前記下地層はニッケルクロム化合物からなり、前記金属層は金からなるのが好ましい。これによれば、積層板と積層金属層を良好に密着させることができ、また、流路形成基板と下地層とを良好に密着させることができる。また、下地層は、サイドエッチングされることがほとんどなく且つ耐インク性に優れるため、流路形成基板を良好に覆うことができ、より耐久性を向上させたものとすることができる。
【0012】
前記流路形成基板が、表面の結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板からなると共に、前記第2壁面が表面に対して垂直で互いに角度をなす2つの(111)面で形成されているのが好ましい。これによれば、個別流路を高密度に配設することができる。また、このように第2壁面が階段状となっていても異物の発生が抑制されノズル詰まり等の吐出不良を抑制したものとできる。
【0013】
また、前記個別流路の内面、並びに前記第1壁面及び前記第2壁面は、耐液体性を有する材料からなる保護膜により覆われているのが好ましい。これによれば、液体による侵食から流路形成基板を確実に保護することができる。
【0014】
さらに本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
【0015】
かかる態様では、信頼性を向上した液体噴射装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図。
【図2】実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図。
【図3】実施形態1に係る記録ヘッドの要部を拡大した断面図。
【図4】実施形態1に係る記録ヘッドの流路形成基板の要部を拡大した平面図。
【図5】実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図。
【図6】実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図。
【図7】実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図。
【図8】実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図。
【図9】実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図。
【図10】実施形態1に係る記録装置の概略構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、流路形成基板の平面図及びそのA−A′断面図であり、図3は、図2(b)の要部を拡大した断面図である。
【0018】
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には酸化膜からなる弾性膜50が形成されている。
【0019】
流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板のリザーバー部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバーの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、圧力発生室12の幅方向両側の隔壁11を連通部13側に延設してインク供給路14と連通部13との間の空間を区画することで形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12と、圧力発生室12の幅方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の幅方向の断面積よりも小さい断面積を有する連通路15とからなる個別流路が複数の隔壁11により区画されて設けられている。
【0020】
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えばガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
【0021】
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、第1電極60と圧電体層70と第2電極80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、第1電極60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。
【0022】
圧電体層70は、第1電極60上に形成される電気機械変換作用を示す圧電材料、特に圧電材料の中でもペロブスカイト構造の強誘電体材料からなる。圧電体層70は、ペロブスカイト構造の結晶膜を用いるのが好ましく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電体材料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したもの等が好適である。
【0023】
ここで、圧電素子300を所定の基板上に設け、当該圧電素子300を駆動させる装置をアクチュエーター装置と称する。本実施形態では、第1電極60を複数の圧電素子300の並設方向に亘って設け、第1電極60の圧力発生室12の長手方向の端部を、圧力発生室12に相対向する位置となるように設けた。また、本実施形態では、弾性膜50、絶縁体膜55及び第1電極60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。
【0024】
また、このような各圧電素子300の第2電極80には、リード電極90が接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。そして、このリード電極90は、例えば、ニッケルクロム(NiCr)からなる下地層91と、この下地層91上に形成され、例えば、金(Au)等からなる金属層92とで構成されている。なお、下地層91は、金属層92と絶縁体膜55等とを密着させる密着層としての役割と、第2電極80と金属層92とを形成する金属同士が化学的に反応するのを防止するバリア層としての役割がある。
【0025】
ここで、流路形成基板10の圧力発生室12、インク供給路14及び連通路15からなる個別流路の内面と、連通部13の内壁表面には、耐インク性を有する材料、例えば、五酸化タンタル(Ta)等の酸化タンタルからなる保護膜16が、約50nmの厚さで設けられている。なお、ここで言う耐インク性とは、アルカリ性のインクに対する耐エッチング性のことである。また、本実施形態では、流路形成基板10の圧力発生室12等が開口する側の表面、すなわち、ノズルプレート20が接合される接合面にも保護膜16が設けられている。勿論、このような領域には、インクが実質的に接触しないため、保護膜16は設けられていなくてもよい。なお、このような保護膜16の材料は、酸化タンタルに限定されず、使用するインクのpH値によっては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等を用いてもよい。
【0026】
ここで、流路形成基板10上方の連通部13が開口する開口周縁部について図3を用いて説明する。図3に示すように、流路形成基板10上には、弾性膜50及び絶縁体膜55が設けられており、弾性膜50及び絶縁体膜55は、連通部13に対応する領域で開口している。具体的には、弾性膜50には開口部52が設けられており、絶縁体膜55には開口部52よりも大きい開口部56が設けられている。なお、本実施形態では、弾性膜50及び絶縁体膜55が、請求項の積層板に相当する。そして、流路形成基板10は、前記リザーバー100の前記個別流路側の面を構成する第1壁面10Aと、第1壁面10Aと相対向する第2壁面10Bとを有し、第2壁面10Bは、積層板の端部、すなわち、絶縁体膜55及び弾性膜50の端部よりもリザーバー100側に突出している。第2壁面10B側では、積層板の一方面が流路形成基板10に覆われており、積層板の応力に対する耐久性が向上し、積層板のクラックが抑制される。ここで、従来のように第2壁面10Bよりも弾性膜50等の積層板が突出していると、積層板の応力に対する耐久性が低くなるだけでなく、積層板の流路形成基板10の階段状の角部に対応する領域において応力が集中しやすく、クラックが発生する虞があるが、本実施形態では応力が集中する虞もない。したがって、クラックが原因の異物によるノズル詰まり等の吐出不良を抑制することができる。
【0027】
また、流路形成基板10上方の連通部13が開口する開口周縁部には、下地層91及び金属層92からなるがリード電極とは不連続の積層金属層190が設けられている。そして、積層金属層190は、上面がエポキシ系の接着剤等からなる接着剤35により覆われている。圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、この接着剤35を介して連通部13に対向する領域にリザーバー部31が設けられたリザーバー形成基板30が接合されている。
【0028】
流路形成基板10の積層板の端部と第2壁面10Bとの間には、積層金属層190の下地層91が設けられている。本実施形態では、下地層91は、絶縁体膜55の上面の一部、絶縁体膜55の開口部56の端面、及び弾性膜50の開口部52の端面、並びに流路形成基板10の弾性膜50の端部と第2壁面10Bとの間を覆うように設けられている。これにより、液体による侵食から流路形成基板10を保護することができる。流路形成基板10と、接着剤35との隙間は非常に狭いため、保護膜16を形成することができないが、下地層91で流路形成基板10の表面を覆うことにより、保護膜16を形成するのと同様の効果を得ることができる。ニッケルクロムからなる下地層91は、金属層92に比べて耐インク性が高く、インクによりエッチングされる虞がないため、インクにより剥離して異物が発生する虞がない。また、ニッケルクロムからなる下地層91は、流路形成基板10との密着性に優れているため、剥離して異物が発生する虞がない。このため、下地層91は、流路形成基板10を好適に保護することができる。なお、本実施形態では、流路形成基板10の第1壁面10A側上では、絶縁体膜55の上面の一部、絶縁体膜55の開口部56の端面、弾性膜50の上面の一部及び弾性膜50の端面が下地層91により覆われている。
【0029】
また、下地層91の端面は、流路形成基板10の第2壁面10B側と一致している。これにより、下地層91が流路形成基板10から剥離して異物となる虞がなくなると共に、液体による侵食から流路形成基板を確実に保護することができる。ここで、流路形成基板10の第2壁面10Bの形状について説明する。流路形成基板10には、異方性エッチングにより、圧力発生室12、インク供給路14、連通路15、及び連通部13が形成されている。異方性エッチングは、結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われる。本実施形態では、流路形成基板10が面方位(110)のシリコン単結晶基板からなるため、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と70.5度の角度をなし且つ上記(110)面に垂直な第2の(111)面とが出現する。かかる異方性エッチングにより二つの平行する面である第1の(111)面と二つの平行する面である第2の(111)面とで形成される平行四辺形状を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12、インク供給路14、連通路15、及び連通部13を高精度に形成することができる。これにより、図4に示すように、連通部13の端面は、第1の(111)面と第2の(111)面とが交互に配置されて面方向で階段状に形成されている。すなわち、連通部13は、圧力発生室12の並設方向の両側の内面が第1の(111)面で形成されており、圧力発生室12の長手方向(連通部13の短手方向)の内面は、具体的には、第2の壁面10Bは、第1の(111)面と第2の(111)面とが交互に配設されて擬似的な直線状に設けられている。なお、図4は、流路形成基板10の要部を拡大した平面図である。本実施形態では、後述する方法により下地層91を形成することで、下地層91の端面は階段状に形成されている流路形成基板10の第2壁面10Bと一致している。
【0030】
なお、積層金属層190の金属層92は、第2壁面10Bよりも突出しないように設けられている。本実施形態では、金属層92は、連通部13に対応する領域よりも外側となるように設けたが、下地層91と同様に流路形成基板10の第2壁面10B側の端面と一致するように設けてもよい。ちなみに、本実施形態では、金属層92の端面の位置は、金属層92の余分な領域をエッチングで除去した際のサイドエッチングの量で決まる。本実施形態では、下地層91は、リザーバー100側に露出していないためインクによるサイドエッチングの影響は小さく、また、下地層91と接着剤35とに挟まれるように設けられているため、剥離する虞がほとんどない。
【0031】
上述したように、弾性膜50上の連通部13周縁部に積層金属層190が設けられていることにより、流路形成基板10とリザーバー形成基板30とを接着する際、連通部13周縁部とリード電極90側に高さのばらつきが生じることなく、余分な接着剤の流出による不具合等を防止することができる。
【0032】
また、リザーバー形成基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子300は、この圧電素子保持部32内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。なお、圧電素子保持部32は、密封されていてもよいし密封されていなくてもよい。このようなリザーバー形成基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料であるシリコン単結晶基板を用いている。
【0033】
また、リザーバー形成基板30上には、所定パターンで形成された接続配線200が設けられ、この接続配線200上には圧電素子300を駆動するための駆動回路210が実装されている。駆動回路210としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、各圧電素子300から圧電素子保持部32の外側まで引き出された各リード電極90の先端部と、駆動回路210とが駆動配線220を介して電気的に接続されている。
【0034】
さらに、リザーバー形成基板30のリザーバー部31に対応する領域上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが数μm程度のポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバー部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが数十μm程度のステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバー100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバー100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
【0035】
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバー100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路210からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加し、圧電素子300及び振動板をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインクが吐出する。
【0036】
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図5〜図9を参照して説明する。
【0037】
まず、図5(a)に示すように、流路形成基板10が複数一体的に形成されるシリコンウェハーである流路形成基板用ウェハー110の表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン(SiO)からなる二酸化シリコン膜51を形成する。次いで、図5(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、例えば、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。
【0038】
次いで、図5(c)に示すように、例えば、白金(Pt)とイリジウム(Ir)とを絶縁体膜55上に積層することにより第1電極60を形成した後、この第1電極60を所定形状にパターニングする。次に、図5(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる第2電極80とを流路形成基板用ウェハー110の全面に形成し、これら圧電体層70及び第2電極80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。
【0039】
なお、圧電素子300を構成する圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。その組成は、圧電素子300の特性、用途等を考慮して適宜選択すればよい。また、圧電体層70の形成方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。なお、圧電体層70の形成方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD法やスパッタリング法などの薄膜形成方法を利用して圧電体層70を形成するようにしてもよい。実際には、圧電体層70は、上述したゾル−ゲル法により厚さの薄い圧電体膜を形成する工程を複数回繰り返し行って、複数層の圧電体膜からなる圧電体層70を形成する。
【0040】
次に、マスクパターン(図示なし)を形成し、このマスクパターンを介して絶縁体膜55及び弾性膜50をイオンミリングすることによりパターニングして、図6(a)に示すように、絶縁体膜55及び弾性膜50に、流路形成基板用ウェハー110の連通部(図示なし)が形成される領域よりも大きい貫通部(それぞれ開口部56、開口部52)を形成する。まず、絶縁体膜55の所定領域を除去して開口部56を形成した後、この開口部56内の弾性膜50を除去することにより、開口部52を形成する。このとき、弾性膜50の開口部52は、流路形成基板用ウェハー110の連通部(図示なし)が形成される領域よりも大きく且つ流路形成基板用ウェハー110に形成される第2壁面10B(図示なし)よりも外側となるようにする。これにより、流路形成基板用ウェハー110の表面を露出させる。
【0041】
次に、図6(b)に示すように、リード電極90を形成する。具体的には、まず流路形成基板用ウェハー110の全面に亘って下地層91を介して金属層92を形成し、下地層91と金属層92とからなる積層金属層190を形成する。そして、この積層金属層190上に、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を形成し、このマスクパターンを介して金属層92及び下地層91を圧電素子300毎にパターニングすることによりリード電極90を形成する。またこのとき、開口部52に対向する領域に、リード電極90とは不連続の積層金属層190を残して、この積層金属層190によって開口部52が封止されるようにする。
【0042】
次に、図6(c)に示すように、リザーバー形成基板用ウェハー130を、流路形成基板用ウェハー110上に接着剤35によって接着する。ここで、このリザーバー形成基板用ウェハー130には、リザーバー部31、圧電素子保持部32等が予め形成されており、リザーバー形成基板用ウェハー130上には、上述した接続配線200が予め形成されている。
【0043】
次いで、図7(a)に示すように、流路形成基板用ウェハー110を所定の厚みにして、図7(b)に示すように、流路形成基板用ウェハー110上に、例えば、窒化シリコン(SiN)からなるマスク膜54を新たに形成し、所定形状にパターニングする。
【0044】
そして、図7(c)に示すように、このマスク膜54を介して流路形成基板用ウェハー110を異方性エッチング(ウェットエッチング)して、流路形成基板用ウェハー110に圧力発生室12、インク供給路14及び連通路15からなる個別流路と、連通部13とを形成する。このような圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15は、弾性膜50とは反対側の面から流路形成基板10を、弾性膜50及び下地層91が露出するまで異方性エッチングすることによって形成されている。流路形成基板用ウェハー110の異方性エッチングは、上述したようにシリコン単結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われる。
【0045】
このように連通部13等を形成する際、リザーバー部31は下地層91及び金属層92からなる積層金属層190によって封止されているため、リザーバー部31を介してリザーバー形成基板用ウェハー130側にエッチング液が流れ込むことがない。これにより、リザーバー形成基板用ウェハー130の表面に設けられている接続配線200にエッチング液が付着することがなく、断線等の不良の発生を防止することができる。また、リザーバー部31内にエッチング液が浸入してリザーバー形成基板用ウェハー130がエッチングされる虞もない。
【0046】
なお、流路形成基板用ウェハー110に個別流路を形成する際、リザーバー形成基板用ウェハー130の流路形成基板用ウェハー110側とは反対側の表面を、耐アルカリ性を有する材料、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPTA(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)等からなる封止フィルムでさらに封止するようにしてもよい。これにより、リザーバー形成基板用ウェハー130の表面に設けられた配線の断線等の不良をより確実に防止することができる。
【0047】
次に、図8(a)に示すように、開口部52内の積層金属層190の一部を連通部13側からウェットエッチング(ライトエッチング)することにより除去する。すなわち、連通部13側に露出されている下地層91と、この下地層91が拡散している金属層92の一部の領域とをエッチングにより除去する。具体的には、例えば、塩酸過水等からなるエッチング液を用いて、連通部13側から下地層91をウェットエッチングすることにより、すなわち、下地層91を、いわゆるSC2処理(SC2洗浄)することにより、リザーバー部31に対向する領域の下地層91を除去する。詳しくは後述するが、これにより、後の工程で積層金属層190上に形成される保護膜16と積層金属層190との密着力が弱められ、積層金属層190上の保護膜16が剥離し易くなる。
【0048】
SC2処理することにより、流路形成基板用ウェハー110上に形成されている下地層91がエッチング(サイドエッチング)される虞があるが、サイドエッチング量は、ほとんど問題のない程度のものである。したがって、流路形成基板用ウェハー110上及び弾性膜50上には、下地層91が残る。このとき、流路形成基板10がレジストの代わりとなり、下地層91の端面は、階段状に形成されている流路形成基板10の端面と一致する。すなわち、下地層91の端面は階段状となる。
【0049】
次に、流路形成基板用ウェハー110表面のマスク膜54を除去し、図8(b)に示すように、個別流路内及び連通部13内、すなわち、圧力発生室12、インク供給路14及び連通路15からなる個別流路と、連通部13との内面に保護膜16を形成する。なお、保護膜16は、上述したように、例えば、酸化物又は窒化物等の耐液体性(耐インク性)を有する材料からなり、本実施形態では、五酸化タンタルからなる。また、保護膜16の形成方法は、特に限定されないが、例えば、CVD法によって形成することができる。このとき、リザーバー部31は積層金属層190によって封止されているため、リザーバー形成基板用ウェハー130の外面等に保護膜16が形成されることはない。したがって、接続配線200等が形成されたリザーバー形成基板用ウェハー130の表面に保護膜16が形成されて駆動回路210などの接続不良等が発生するのを防止することができる。また同時に、余分な保護膜16を除去する工程が不要となって製造工程を簡略化して製造コストを低減することができる。
【0050】
次に、図8(c)に示すように、保護膜16上に、保護膜16とはエッチングの選択性を有する材料からなる剥離層17を、例えば、CVD法等によって形成する。ここで、保護膜16とはエッチングの選択性を有する材料とは、その材料をウェットエッチングするためのエッチング液によって保護膜16がエッチングされ難く、実質的にエッチングされない材料のことをいう。剥離層17は、その内部応力が圧縮応力であることが好ましく、また、保護膜16との密着力が保護膜16と積層金属層190との密着力よりも大きな材料であるのが好ましい。例えば、本実施形態では、剥離層17の材料として、以上の条件を満たすチタンタングステン化合物(TiW)を用いている。
【0051】
次に、図9(a)に示すように、この剥離層17をウェットエッチングによって完全に
除去すると同時に、積層金属層190上の保護膜16を選択的に除去する。ここで、保護膜16の金(Au)からなる金属層92との密着力は、保護膜16の二酸化シリコン(SiO)からなる弾性膜50との密着力よりも弱く、剥離層17の内部応力が圧縮応力であるため、保護膜16上に剥離層17を形成することで、剥離層17の内部応力によって保護膜16は積層金属層190からある程度剥離された状態となる。そして、剥離層17をウェットエッチングにより除去することで、積層金属層190上の保護膜16も同時に選択的に除去される。
【0052】
次に、図9(b)に示すように、積層金属層190の金属層92を連通部13側からウェットエッチングすることによって除去して、リザーバー部31と連通部13とを連通させる。なお、積層金属層190の金属層92は、サイドエッチングされることにより、端部が下地層91の端部よりも外側に設けられる。
【0053】
なお、このような方法でリザーバー100を形成した場合、リザーバー100内に露出している積層金属層190の表面には保護膜16が形成されないことになる。このため、積層金属層190がインクによって浸食される虞はあるが、リザーバー100側に突出している下地層91は、耐インク性に優れるものであり、侵食される量は非常に少なく、ヘッドの寿命としては全く問題ない程度のものである。また、図示しないが、リザーバー部31の内面には、リザーバー形成基板用ウェハー130を熱酸化することによって二酸化シリコン膜が形成されているため、保護膜16は設けられていなくてもよい。
【0054】
その後は、リザーバー形成基板用ウェハー130に形成されている接続配線200上に駆動回路210を実装すると共に、駆動回路210とリード電極90とを駆動配線220によって接続する(図2参照)。そして、流路形成基板用ウェハー110及びリザーバー形成基板用ウェハー130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハー110のリザーバー形成基板用ウェハー130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、リザーバー形成基板用ウェハー130にコンプライアンス基板40を接合し、これら流路形成基板用ウェハー110等を、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって上述した構造のインクジェット式記録ヘッドが製造される。
【0055】
また、これらのインクジェット式記録ヘッド1は、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図10は、そのインクジェット式記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【0056】
図10に示すように、本実施形態の液体噴射装置であるインクジェット式記録装置は、例えば、ブラック(B)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)等の複数の異なる色のインクが貯留される貯留室を有するインクカートリッジ(液体貯留手段)2が装着されたインクジェット式記録ヘッド1(以下、記録ヘッド)を具備する。記録ヘッド1はキャリッジ3に搭載されており、記録ヘッド1が搭載されたキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、キャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙装置等により給紙された紙等の被記録媒体Sがプラテン8上を搬送されるようになっている。
【0057】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、流路形成基板10としてシリコン単結晶基板を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、SOI基板、ガラス基板、MgO基板等においても本発明は有効である。また、振動板の最下層に二酸化シリコンからなる弾性膜50を設けるようにしたが、振動板の構成は、特にこれに限定されるものではない。
【0058】
上述した実施形態では、保護膜16を設けた例を説明したが、この保護膜16は設けられていなくてもよい。
また、上述したインクジェット式記録装置では、インクジェット式記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクジェット式記録ヘッド1が固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
【0059】
なお、上述の実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
【0060】
また、本発明は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに搭載される圧電素子に限られず、他の装置に搭載される圧電素子にも適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
10 流路形成基板、10A 第1壁面、 10B 第2壁面、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 15 連通路、 16 保護膜、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 リザーバー形成基板、 31 リザーバー部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 51 絶縁体膜、 52、56 開口部、 60 第1電極、 70 圧電体層、 80 第2電極、 90 リード電極、 91 下地層、 92 金属層、 100 リザーバー、 110 流路形成基板用ウェハー、 130 リザーバー形成基板用ウェハー、 190 積層金属層、 200 接続配線、 210 駆動回路、 220 駆動配線、 300 圧電素子(圧力発生素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室を有する個別流路と、複数の圧力発生室の共通の液体室となるリザーバーの一部を構成する連通部とが形成された流路形成基板と、
前記流路形成基板上に形成された圧力発生素子と、
前記圧電素子と前記流路形成基板との間に配置されて複数の薄層を積層した積層板と、
下地層と該下地層上に形成された金属層とからなり、前記圧力発生素子に接続するリード電極と、
前記流路形成基板上方の連通部が開口する開口周縁部に設けられ、前記リード電極と同一の材料からなるが当該リード電極とは不連続の積層金属層と、
を具備し、
前記流路形成基板は、前記リザーバーの前記個別流路側の面を構成する第1壁面と、前記第1壁面と相対向する第2壁面とを有し、前記第2壁面は前記積層板の端部よりも前記リザーバー側に突出して設けられ、
前記流路形成基板の前記積層板の端部と前記第2壁面との間には、前記積層金属層の下地層が設けられており、
前記積層金属層の金属層は、前記第2壁面よりも突出することなく設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記下地層はニッケルクロム化合物からなり、前記金属層は金からなることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記流路形成基板は、表面の結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板からなると共に、前記第2壁面が表面に対して垂直で互いに角度をなす2つの(111)面で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記個別流路の内面、並びに前記第1壁面及び前記第2壁面は、耐液体性を有する材料からなる保護膜により覆われていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−228270(P2010−228270A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77845(P2009−77845)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】