説明

液体噴射装置

【課題】液体流路内に存在する気泡の排出性を向上させることが可能な液体噴射装置を提供する。
【解決手段】圧電振動子の作動により圧力発生室21内に圧力変動を与え、圧力発生室に充填されたインクをノズル開口から吐出する記録ヘッドと、記録ヘッド近傍の環境温度を検出する温度センサーと、記録紙に対してインクを吐出するための吐出駆動パルスよりも圧力発生室内の圧力変化が高められるように設定され、圧力発生室に充填されたインク内の気泡を除去するためのメンテナンス用駆動パルスを発生可能な駆動信号発生回路と、温度センサーにより検出された環境温度に基づいて、圧電振動子に印加するメンテナンス用駆動パルスの印加数を変更する制御部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録ヘッドなどの液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置に関するものであり、特に、ノズルに連通する圧力室に圧力変動を与えて、圧力室内の液体をノズルから噴射する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置は、液体を噴射(吐出)可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射する装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液滴状のインクを記録紙等の記録媒体(吐出対象物)に対して吐出・着弾させることで画像等の記録を行うインクジェット式プリンター(以下、単にプリンターという。)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、或いはFED(面発光ディスプレイ)等のディスプレイ製造装置においては、色材や電極等の液体状の各種材料を、画素形成領域や電極形成領域等に対して噴射するためのものとして、液体噴射装置が用いられている。
【0003】
上記の記録ヘッドでは、液体状のインクを封入したインクカートリッジなどの液体貯留部からのインクが導入されると共に、リザーバーから圧力室を経てノズルに至る一連の液体流路が形成された流路ユニットや圧力室の容積を変動可能な圧力発生素子を有するアクチュエーターユニットなど備えている。この記録ヘッドでは、自然蒸発によるインクの増粘や、インクに混入した気泡の圧力変動の吸収による圧力損失などによって、ノズルからインクが噴射されない、所謂ドット抜けや飛翔曲がり等の吐出不良が発生する虞があった。
【0004】
このようなインクの吐出不良を防止するため、種々のメンテナンス処理が実行されている。例えば、圧力発生素子を駆動させることで圧力室内に圧力変化を与えてノズルから液滴の空吐出を行う(以下、フラッシングという)ことによって、増粘したインクやインクに混入した気泡を強制的に除去することが行われている。このフラッシングによって液体流路内に液体と共に存在する気泡をノズルからより確実に排出するためには、気泡に対して可及的に大きい圧力変動を付与する必要がある。そこで、圧力発生素子によって圧力室内に与える圧力変化を、圧力室内に生じる液体の固有振動に共振させることで、圧力室内に与える圧力変動を大きくしたメンテナンス用駆動パルスを発生可能なプリンターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−73074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、記録ヘッド内のインクの温度は、圧力発生素子の駆動による発熱や記録ヘッド近傍の環境温度に応じて変動する。これにより、例えば、環境温度が常温の25℃から高温の35℃まで上昇したときには、液体(インク)中に溶け込む気泡の溶解度が減少し、この結果、溶解度を超えた気泡が液体中から液体流路内に排出され易くなる傾向があった。このため、気泡がインク内で飽和し易い高温状態において常温状態と同じ条件のフラッシング処理を行なっても、気泡の排出性が悪くなる問題があった。一方、環境温度が常温の25℃から低温の15℃まで低下したときには、液体中の気泡の溶解度が増加するために、フラッシングの回数を高温時用に合わせた場合、液体を無駄に消費してしまう虞があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体流路内に存在する気泡の排出性を向上させることが可能な液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射装置は、圧力発生手段の作動により圧力室内に圧力変動を与え、当該圧力室に充填された液体をノズルから噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッド近傍の環境温度を検出する環境温度検出部と、
着弾対象に対して前記液体を吐出するための吐出駆動パルスよりも前記圧力室内の圧力変化が高められるように設定され、前記圧力室に充填された前記液体内の気泡を除去するためのメンテナンス用駆動パルスを発生可能な駆動信号発生部と、
前記環境温度検出部により検出された環境温度に基づいて、前記圧力発生手段に印加する前記メンテナンス用駆動パルスの印加数を変更する制御部と、を備えたことを特徴とする。
なお、「気泡を除去する」とは、ノズルからの液体の噴射によって液体に残存する気泡を排出するために、気泡を液体内に溶解させる現象を含め、液体及び当該液体に残存する気泡をノズルから排出させる現象を意味する。
【0009】
上記構成によれば、圧力発生手段の作動により圧力室内に圧力変動を与え、圧力室に充填された液体をノズルから噴射する液体噴射ヘッドと、液体噴射ヘッド近傍の環境温度を検出する環境温度検出部と、着弾対象に対して液体を吐出するための吐出駆動パルスよりも圧力室内の圧力変化が高められるように設定され、圧力室に充填された液体内の気泡を除去するためのメンテナンス用駆動パルスを発生可能な駆動信号発生部と、環境温度検出部により検出された環境温度に基づいて、圧力発生手段に印加するメンテナンス用駆動パルスの印加数を変更する制御部と、を備えたので、環境温度の変化よって液体に対する気泡の溶解度が変化したとしても、気泡の溶解度に応じた印加数のメンテナンス用駆動パルスを圧力室に与えることができ、過不足なくメンテナンスを行うことができる。この結果、気泡を液体に効率良く溶け込ませることができ、液体流路内に存在する気泡の排出性を向上させることができる。
【0010】
また、上記構成において、前記制御部は、前記環境温度検出部により検出された環境温度が高い程、前記圧力発生手段に印加する前記メンテナンス用駆動パルスの印加数を増加することが望ましい。
【0011】
この構成によれば、制御部は、環境温度検出部により検出された環境温度が高い程、圧力発生手段に印加するメンテナンス用駆動パルスの印加数を増加するので、環境温度が上昇することで液体に対する気泡の溶解度が低下すると共に溶解度を超えた気泡が液体中から液体流路内に排出されたとしても、気泡を効率良く排出することができる。また、低温時においては、高温時と比べて圧力発生手段に印加されるメンテナンス用駆動パルスの印加数が減少するので、必要以上の液体を消費することが抑制される。そして、気泡を効率良く排出することができることから、メンテナンス処理に要する時間を短縮することができる。
【0012】
また、上記構成において、前記メンテナンス用駆動パルスは、前記圧力発生手段を駆動させることによって前記圧力室の容積を第1の状態へと推移させる第1パルス要素と、前記第1の状態を所定の時間保持させる第2パルス要素と、前記第1の状態から前記圧力室の容積を第1の状態とは異なる容積となる第2の状態へと推移させる第3パルス要素とを含み、
前記制御部は、前記環境温度検出部により検出された環境温度に基づいて、前記圧力発生手段に印加する前記メンテナンス用駆動パルスを補正することが望ましい。
【0013】
この構成によれば、メンテナンス用駆動パルスは、圧力発生手段を駆動させることによって圧力室の容積を第1の状態へと推移させる第1パルス要素と、第1の状態を所定の時間保持させる第2パルス要素と、第1の状態から圧力室の容積を第1の状態とは異なる容積となる第2の状態へと推移させる第3パルス要素とを含み、制御部は、環境温度検出部により検出された環境温度に基づいて、圧力発生手段に印加するメンテナンス用駆動パルスを補正するので、環境温度の変化よって液体に対する気泡の溶解度が変化したとしても、気泡の溶解度に応じた圧力変化を圧力室に与えることができ、過不足なくメンテナンスを行うことができる。この結果、気泡を液体に効率良く溶け込ませることができる。これにより、液体流路内に存在する気泡の排出性を向上させることができる。また、気泡を効率良く排出することができることから、メンテナンス処理に要する時間を短縮することができる。
【0014】
また、上記構成において、前記制御部は、前記環境温度検出部により検出された環境温度が高い程、前記第2パルス要素の時間幅を短くすることが望ましい。
【0015】
この構成によれば、制御部は、環境温度検出部により検出された環境温度が高い程、第2パルス要素の時間幅を短くするので、環境温度が高くなることで液体の粘度が低下したとしても、液体の吐出安定性を確保することができる。
【0016】
また、上記構成において、前記環境温度検出部により検出した環境温度が高い程、前記メンテナンス用駆動パルスの駆動電圧を低下させることが望ましい。
【0017】
この構成によれば、環境温度検出部により検出した環境温度が高い程、メンテナンス用駆動パルスの駆動電圧を低下させるので、環境温度が高くなることで液体の粘度が低下したとしても、液体の吐出安定性を確保することができる。
【0018】
また、上記構成において、前記制御部は、前記環境温度検出部により検出された環境温度が高い程、一のメンテナンス用駆動パルスとそれに続く他のメンテナンス用駆動パルスとの間の時間幅を長くすることが望ましい。
【0019】
この構成によれば、前記制御部は、前記環境温度検出部により検出された環境温度が高い程、一のメンテナンス用駆動パルスとそれに続く他のメンテナンス用駆動パルスとの間の時間幅を長くするので、先のメンテナンス用駆動パルスによる圧力室内の液体に生じる残留振動が、後のメンテナンス用駆動パルスによる圧力変動に影響することを抑制することができる。これにより、液体の吐出安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】プリンターの構成を示す概略図である。
【図2】記録ヘッドを圧力発生ユニット側から見た斜視図である。
【図3】記録ヘッドの構成を説明する要部断面図である。
【図4】プリンターの電気的な構成を説明するブロック図である。
【図5】メンテナンス用駆動パルスを含む駆動信号の構成を説明する波形図である。
【図6】メンテナンス用駆動パルスの構成を説明する波形図である。
【図7】メンテナンス用駆動パルスの印加数と環境温度の関係を説明するグラフである。
【図8】他のメンテナンス用駆動パルスの印加数と環境温度の関係を説明するグラフである。
【図9】さらに他のメンテナンス用駆動パルスの印加数と環境温度の関係を説明するグラフである。
【図10】第2実施形態のメンテナンス用駆動パルスの構成を説明する波形図である。
【図11】第3実施形態のメンテナンス用駆動パルスの構成を説明する波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面等を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、図1に示すインクジェット式記録装置(以下、プリンターと略記する)に適用した場合を例示する。
【0022】
プリンター1は、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド2が取り付けられると共に、インクカートリッジ3が着脱可能に取り付けられるキャリッジ4と、記録ヘッド2が搭載されたキャリッジ4を記録紙5(着弾対象の一種)の紙幅方向に移動させるキャリッジ移動機構6と、紙幅方向に直交する方向である紙送り方向PDに記録紙5を搬送する紙送り機構7と、温度センサー8(本発明における環境温度検出部)と、制御部9と、キャッピング機構10等を備えて概略構成されている。ここで、紙幅方向とは、主走査方向(ヘッド走査方向)であり、紙送り方向PDとは、副走査方向(即ち、ヘッド走査方向に直交する方向)である。なお、本発明におけるプリンター1は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の合計4種類のインク(本発明における液体に相当)を吐出可能に構成されており、各色に対応したインクカートリッジ3C,3M,3Y,3Kを備えている。
【0023】
キャリッジ移動機構6は、パルスモーター(図示せず)の駆動によって回転する駆動プーリー11と、この駆動プーリー11とは紙送り機構7を挟んで反対側に設けられた遊転プーリー12と、これら一対のプーリー11,12の間に架設されたタイミングベルト13とを備えている。そして、キャリッジ移動機構6は、パルスモーターを駆動することで、タイミングベルト13に接続されたキャリッジ4をタイミングベルト13に沿って紙送り方向PDと直交する主走査方向に往復移動するように構成されている。
【0024】
紙送り機構7は、紙送りモーター(図示せず)の駆動によって回転する紙送りローラーリー14と、この紙送りローラー14とはタイミングベルト13を挟んで反対側に設けられた遊転ローラー15と、これら一対のローラー14,15の間に架設された紙搬送ベルト16とを備えており、印刷時に紙送り方向PDに記録紙5を搬送する。
【0025】
キャリッジ4の移動範囲内における記録領域よりも外側(図1における右側)の端部領域には、走査の基点となるホームポジション(メンテナンスポジションMP)が設定されている。本実施形態におけるメンテナンスポジションMPには、記録ヘッド2のノズル形成面(ノズルプレート36:図3参照)を封止するキャッピング機構10が配置されている。そして、プリンター1は、このメンテナンスポジションMPから反対側の端部へ向けてキャリッジ4(記録ヘッド2)が移動する往動時と、反対側の端部からメンテナンスポジションMP側にキャリッジ4が戻る復動時との双方向で記録紙5上に文字や画像等を記録する所謂双方向記録が可能に構成されている。なお、キャッピング機構10のキャップ部材10´は、インク滴の空吐出(捨て打ち)を行うことで、増粘したインクやインクに残存した気泡を排除(除去)するための後述するフラッシング処理においてインク滴を受けるインク受け部として用いられる。
【0026】
温度センサー8は、キャリッジ4の側面に配置されている。温度センサー8は、記録ヘッド2近傍の環境温度を検出し、検出信号を温度情報として制御部9に送信する。制御部9は、マイクロコンピューターを中心として構成されており、記録ヘッド2によるインク滴の吐出制御やその他のプリンター1の各部を制御する。制御部9の詳細については後述する。
【0027】
次に、記録ヘッド2の構成について説明する。ここで、図2は、記録ヘッド2を圧力発生ユニット側から見た斜視図、図3は、記録ヘッド2の要部断面図である。例示した記録ヘッド2は、圧力発生ユニット(又はアクチュエーターユニット)19と、流路ユニット20とから構成されており、これらを重ね合わせた状態で一体化してある。圧力発生ユニット19は、圧電振動子26(本発明における圧力発生手段に相当)と、振動板27と、圧力発生室(本発明における圧力室に相当)21を区画するための圧力発生室プレート22とを積層し、焼成等により一体化することで構成されている。
【0028】
また、流路ユニット20は、供給口30や第2連通口31を形成した供給口形成プレート32と、リザーバー33及び第1連通口34を形成したリザーバープレート35とを積層することで構成されている。また、リザーバープレート35の供給口形成プレート32とは反対側の面には、ノズル開口28(本発明におけるノズルに相当)が形成されたノズルプレート36を設けている。
【0029】
振動板27は、弾性を有する板材で構成されている。圧力発生室21とは反対側となる振動板27の外側表面には、各圧力発生室21に対応した状態で複数の圧電振動子26が配設される。例示した圧電振動子26は撓み振動モードの振動子であり、駆動電極26aと共通電極26bとによって圧電体26cを挟んで構成されている。そして、圧電振動子26の駆動電極に駆動信号が印加されると、駆動電極26aと共通電極26bとの間には電位差に応じた電場が発生する。この電場は圧電体26cに付与され、圧電体26cが付与された電場の強さに応じて変形する。
【0030】
圧力発生室プレート22は、圧力発生室21を形成するのに適した厚さのセラミックス材の薄板、例えばアルミナやジルコニア等によって構成され、圧力発生室21を区画するための空部がプレートの厚さ方向に貫通した状態で形成されている。圧力発生室21は、ノズルプレート36のノズル開口28のピッチと同じ一定のピッチで列状に開設され、列設方向と直交する左右方向に細長い長孔である。
【0031】
供給口形成プレート32は、図3に示すように、ステンレス材等の金属材料によって構成された薄手の板状部材である。この供給口形成プレート32には、板厚方向を貫通する供給口30が複数開設されている。また、板厚方向を貫通する第2連通口31が、リザーバープレート35の第1連通口34に対応させて形成されている。供給口30は、インク流路(液体流路)内のインクに対して流体抵抗(流動抵抗)を付与する部分である。この供給口30に関し、図3に示すように、リザーバー33側の口径が圧力発生室21側の口径よりも広くなっている。この供給口30はプレス加工によって形成される。また、供給口形成プレート32には、肉厚を他の部分よりも十分に薄くしたコンプライアンス部38が形成されている。このコンプライアンス部38は、エッチングなどによってリザーバープレート35のリザーバー33に対応する領域内をリザーバー33とは反対面側から板厚方向に窪ませて凹部39を形成することで作製されている。
【0032】
リザーバープレート35は、ステンレス材等の金属材料によって構成された板状部材である。このリザーバープレート35には、リザーバー33を区画するための空部が板厚方向を貫通した状態で形成されている。この空部がリザーバー33を区画形成する。このリザーバー33は、複数の圧力発生室21に共通な液室として機能する部分であり、インクの種類(色)毎に設けられ、インクカートリッジ3から供給されるインクを貯留する。また、リザーバープレート35には、板厚方向を貫通する第1連通口34が上記の第2連通口31に対応させて複数形成されている。
【0033】
ノズルプレート36は、ステンレス材等の金属材料によって構成された板状部材である。このノズルプレート36には、複数のノズル開口28を列設してノズル列(ノズル開口群)が横並びに形成されており、本実施形態では、ノズル列は一定のピッチ(例えば、180dpi)で開設された180個のノズル開口28によって構成されている。なお、ノズルプレート36は金属材料以外にも、有機プラスチックフィルム等から構成してもよい。
【0034】
そして、各プレート部材は、圧力発生ユニット19と供給口形成プレート32との間、供給口形成プレート32とリザーバープレート35との間、およびリザーバープレート35とノズルプレート36との間を接合して一体化される。これにより、図3に示すように、リザーバー33と圧力発生室21の他端部とが、供給口30を通じて連通する。また、圧力発生室21の一端部とノズル開口28とが、リザーバープレート35の第1連通口34および供給口形成プレート32の第2連通口31を通じて連通する。そして、リザーバー33から圧力発生室21を通って圧力発生ユニット19とノズル開口28とを連通する一連のインク流路(液体流路)がノズル開口28毎に形成される。
【0035】
上記構成の記録ヘッド2では、圧電振動子26を変形させることで対応する圧力発生室21が収縮或いは膨張し、圧力発生室21内のインクに圧力変動が生じる。このインク圧力を制御することで、ノズル開口28からインクを吐出(噴射)させることができる。インクを吐出するのに先だって定常容積の圧力発生室21を予備的に膨張させるとリザーバー33側から供給口30を通じて圧力発生室21内にインクが供給される。また、予備膨張の後に圧力発生室21を急激に収縮させるとノズル開口28からインクが吐出される。
【0036】
次に、プリンター1の電気的な構成を説明する。
図4は、プリンター1の電気的な構成を示すブロック図である。本実施形態におけるプリンター1は、プリンターコントローラー40とプリントエンジン41とで概略構成されている。プリンターコントローラー40は、ホストコンピューター等の外部装置からの印刷データ等が入力される外部インターフェース(外部I/F)42と、各種データ等を記憶するRAM43と、各種制御のための制御プログラム等を記憶したROM44と、EEPROMやフラッシュROM等からなる不揮発性記憶素子45と、ROM44に記憶されている制御プログラムに従って各部の統括的な制御を行う制御部9と、クロック信号を発生する発振回路47と、記録ヘッド2へ供給する駆動信号COMを発生する駆動信号発生回路48(本発明における駆動信号発生部に相当)と、印刷データをドット毎に展開することで得られたドットパターンデータや駆動信号等を記録ヘッド2に出力するための内部インターフェース(内部I/F)49とを備えている。プリントエンジン41は、記録ヘッド2と、キャリッジ移動機構6と、紙送り機構7と、温度センサー8から構成されている。
【0037】
上記の制御部9は、ROM44に記憶された動作プログラム等に従って記録ヘッド2によるインク滴の吐出制御やその他のプリンター1の各部を制御する。この制御部9は、外部I/F42を介して外部装置から入力された印刷データを、記録ヘッド2においてインク滴の吐出に用いられる吐出データに変換する。変換後の吐出データは、内部I/F49を通じて記録ヘッド2に転送され、記録ヘッド2では、この吐出データに基づいて駆動信号COMの圧電振動子26への供給が制御されてインク滴の吐出、つまり、記録動作(吐出動作)が行われる。
【0038】
ここで、記録ヘッド2のインク流路内のインクに残存する気泡について説明する。プリンター1は、時間の経過と共にインク流路の壁面などを介して空気が透過してインク流路内に侵入することなどでインクに気泡が混入する場合がある。そして、このような気泡が圧力変動を吸収することによって、ノズル開口28からインクが噴射されない、所謂ドット抜けや飛翔曲がり等の吐出不良が発生する虞があった。そのため、プリンター1は、吐出駆動パルスを用いて記録紙6に対してインクを吐出させてテキストや画像等の印刷を行なう吐出処理(印刷処理)の後などに、記録ヘッド2をメンテナンスポジションMPに移動させてキャップ部材10´に相対させた状態で、メンテナンス処理としてフラッシングを実行する。このフラッシングでは、後述するメンテナンス用駆動パルスDPを圧電振動子26に繰り返し印加することによって、増粘したインクやインクに混入した気泡を強制的に除去する。しかしながら、記録ヘッド2内のインクの温度は、圧電振動子26の駆動などによる発熱や記録ヘッド22近傍の環境温度に応じて変動する。これにより、例えば、環境温度が常温の25℃から高温の35℃まで上昇したときには、インク中に溶け込む気泡の溶解度が減少し、また、溶解度を超えた気泡がインク中からインク流路内に排出され易くなってしまう。そして、環境温度が上昇した状態において常温状態と同じ条件のフラッシング処理を行なっても、インク流路中の気泡がインクに溶け込めないため、気泡を十分に排出することができない。
【0039】
そこで、本発明のプリンター1は、温度センサー8により検出された環境温度に基づいて、圧電振動子26に印加するメンテナンス用駆動パルスの印加数を変更するように構成されている。これにより、インクの温度が増減することによって気泡の溶解度が変化したとしても、気泡の溶解度に応じた圧力変化を圧力発生室21に与えることで、インクに気泡を効率良く溶け込ませている。
【0040】
図5は、上記構成の駆動信号発生回路48が発生するメンテナンス用駆動パルスDP1を含む駆動信号COMの構成を説明する波形図であり、図6は、メンテナンス用駆動パルスDP1の構成を説明する波形図である。なお、図5,6において、縦軸は駆動信号の電位である。また、横軸は時間である。
第1実施形態におけるプリンター1は、駆動信号発生回路48に電気信号を送ることで、圧電振動子26の駆動を制御するメンテナンス用駆動パルスDP1を1画素分の区間(1吐出周期又は1記録周期)T内に1つ含む駆動信号COMを発生可能に構成されている。このメンテナンス用駆動パルスDP1は、記録紙5に対してインクを吐出するための吐出駆動パルスよりも圧力発生室21内の圧力変化が高まるように設定されており圧力発生室21に充填されたインク内の気泡を除去するための駆動パルスである。なお、本発明のメンテナンス用駆動パルスDP1を含む駆動信号COMでは、この1吐出周期T1内に所定周波数(例えば、5.4kHZ)の駆動信号COMを印加することによる1ショット分の噴射を、フラッシング単位[seg](フラッシングセグメント)としている。そして、フラッシングを行なうメンテナンス処理では、所定のフラッシングセグメント数(例えば、合計数数千〜数万セグメントだけ駆動信号COMが圧電振動子26に繰り返し供給されることで、インク流路内のインクがノズル開口28から排出される。また、駆動信号COMにおけるメンテナンス用駆動パルスDP1同士の時間幅phは、圧力発生室21の固有振動周期に応じて適宜設定されている。
【0041】
なお、上記固有振動周期Tcは、例えば次式(1)で表すことができる。
Tc=2π√[〔(Mn×Ms)/(Mn+Ms)〕×Cc]・・・(1)
式(1)において、Mnはノズル開口28におけるイナータンス、Msは連通口31,34及び供給口30のイナータンス、Ccは圧力発生室21のコンプライアンス(単位圧力あたりの容積変化、柔らかさの度合いを示す。)である。
上記式(1)において、イナータンスMとは、インク流路におけるインクの移動し易さを示し、単位断面積あたりのインクの質量である。そして、インクの密度をρ、流路のインク流れ方向と直交する面の断面積をS、流路の長さをLとしたとき、イナータンスMは次式(2)で近似して表すことができる。
イナータンスM=(密度ρ×長さL)/断面積S ・・・ (2)
また、この式(1)に限らず、圧力発生室21が有している振動周期であればよい。
【0042】
メンテナンス用駆動パルスDP1は、台形状のパルス信号であって、最高電位VHと基準電位VBとの電位差はvh1に設定されている。このメンテナンス用駆動パルスDP1は、始端電位が最高電位VH、終端電位が基準電位VBであり、時間幅t1の間に最高電位VHから基準電位VBまで一定の勾配で電位を降下させる第1パルス要素p1と、第1パルス要素p1の後端電位である基準電位VBを一定時間(時間幅t2)維持する第2パルス要素p2と、始端電位が基準電位VB、終端電位が最高電位VHであり、時間幅t3の間に一定の勾配の電位差vhで電位を上昇させる第3パルス要素p3とから構成されている。
【0043】
このメンテナンス用駆動パルスDP1が圧電振動子26に印加されると、圧力発生室21は、圧電振動子26が撓み変形することで、最高電位VHに対応する最小容積から基準電位VBに対応する最大容積(基準容積)まで第1パルス要素p1の供給期間に亘って膨張し(第1の状態)、その後に最大容積を第2パルス要素p2の供給期間に亘って維持し(第2の状態)、そして、最大容積から最小容積まで第3パルス要素p3の供給期間に亘って収縮させる(第3の状態)。これにより、圧力発生室21の容積を最小容積から最大容積まで変化させた後に最大容積から最小容積まで急激に変化させることができ、印刷処理に用いられる吐出駆動パルスの場合よりも圧力発生室21内のインクに生じる圧力変化が高められる。そして,フラッシングを繰り返し行なうメンテナンス処理においては、このメンテナンス用駆動パルスDP1を用いて圧力発生室21の膨張・収縮が繰り返されることにより、圧力変動を受けた気泡がインクに溶け込み易くなる(即ち、液体への気泡の溶解が促進される)。その結果、メンテナンス処理やこのメンテナンス処理の後の吐出処理の際に、ノズル開口28からインクと共に気泡を排出するように構成されている。
【0044】
ここで、図7は、メンテナンス用駆動パルスDP1の印加数と環境温度の関係を説明するグラフである。なお、図7において、縦軸は圧電振動子26に印加するメンテナンス用駆動パルスDP1の印加数であり、横軸は記録ヘッド2内のインクの温度である。本発明のプリンター1は、図7に示すように、温度センサー8の検出温度(環境温度)に応じて、圧電振動子26に印加するメンテナンス用駆動パルスDP1の印加数を変えている。具体的には、上記の環境温度が高い程、圧電振動子26に印加するメンテナンス用駆動パルスDP1の印加数を増加させている。より具体的には、本発明のプリンター1の制御部46は、圧電振動子26に印加するメンテナンス用駆動パルスDP1の印加数を、例えば、常温時には5000発、高温時には10000発とすることで、環境温度が上昇してインクに対する気泡の溶解度が低下すると共に溶解度を超えた気泡がインク中からインク流路内に排出されたとしても、気泡の溶解度に応じた圧力変化を圧力発生室21に与えることができ、気泡をインクに効率良く溶け込ませることができる。また、気泡をインクに効率良く溶け込ませることができることから、メンテナンス処理に要する時間を短縮することができる。
【0045】
一方で、本発明のプリンター1は、図7に示すように、環境温度が低い程、圧電振動子26に印加するメンテナンス用駆動パルスDP1の印加数を減少させている。即ち、環境温度が常温の25℃から低温の15℃まで低下したときには、インク中の気泡の溶解度が増加するために、フラッシングの回数を減らすことによって、インクの無駄な消費を抑制することができる。
【0046】
このように、本実施形態のプリンター1は、圧電振動子26の作動により圧力発生室21内に圧力変動を与え、圧力発生室21に充填されたインクをノズル開口28から吐出する記録ヘッド2と、記録ヘッド2近傍の環境温度を検出する温度センサー8と、記録紙5に対してインクを吐出するための吐出駆動パルスよりも圧力発生室21内の圧力変化が高められるように設定され、圧力発生室21に充填されたインク内の気泡を除去するためのメンテナンス用駆動パルスDP1を発生可能な駆動信号発生回路48と、温度センサー8により検出された環境温度に基づいて、圧電振動子26に印加するメンテナンス用駆動パルスDP1の印加数を変更する制御部9と、を備えたので、環境温度の変化に応じてインクに対する気泡の溶解度が変化したとしても、気泡の溶解度に応じた印加数のメンテナンス用駆動パルスDP1を圧力発生室21に与え、過不足無くメンテナンスを行うことができる。この結果、気泡をインクに効率良く溶け込ませることができ、インク流路内に存在する気泡の排出性を向上させることができる。
【0047】
なお、図8及び図9は、他のメンテナンス用駆動パルスDP1の印加数と環境温度の関係を説明するグラフである。本発明のプリンター1の制御部9は、図8に示すように、環境温度が予め設定した設定温度(図8に符号aで示す。20℃〜28℃の範囲内であって、例えば、25℃)よりも低い低温〜常温区間においては、設定温度aにおける印加数を一定に保つ一方、環境温度が設定温度aよりも高温な高温区間においては、環境温度が高い程、メンテナンス用駆動パルスDP1の印加数を増加させても良い。また、本発明のプリンター1は、図9に示すように、予め設定した設定温度(図9に符号b,c(c<b)で示す。)が複数(この例では2つ)あっても良い。この場合には、設定温度bと設定温度cとの間の常温区間においては、この温度区間で最適化された印加数を一定に保つ一方、設定温度bよりも高温な高温区間においては、環境温度が高い程、メンテナンス用駆動パルスDP1の印加数を増加させ、設定温度c(c<b)よりも低温な低温区間においては、環境温度が低い程、メンテナンス用駆動パルスDP1の印加数を減少させる。このように、本発明のプリンター1は、気泡の溶解度が低下する高温区間において、環境温度が高い程、メンテナンス用駆動パルスDP1の印加数を増加させることで、気泡を効率良く排出することができる。
【0048】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。本発明のプリンター1は、上記のように温度センサー8により検出された環境温度に基づいてメンテナンス用駆動パルスの印加数を変える構成に加えて、圧力振動子26に印加するメンテナンス用駆動パルスDPを補正する構成を採用することもできる。
図10は、第2実施形態のメンテナンス用駆動パルスDP2の構成を説明する波形図である。この実施形態におけるプリンター1の制御部9は、温度センサー8により検出された環境温度が高い程、メンテナンス用駆動パルスDP2の第2パルス要素t4の時間幅を短くするように設定されている。より具体的には、制御部9は、メンテナンス用駆動パルスDPの時間幅を、常温時には5.0μsとし、高温時には4.5μsとすることで、温度センサー8により検出された環境温度が高い程、メンテナンス用駆動パルスDP1の第2パルス要素p2の時間幅t2よりも短い時間幅t4のメンテナンス用駆動パルスDP2を圧電振動子26に印加するように構成されている。これにより、環境温度が高くなることでインクの粘度が低下したとしても、第1パルス要素p1の供給による圧力発生室21の膨張によって、圧力発生室21内のインクに生じる固有振動を強めない(加振しない)タイミングで、第3パルス要素p3を圧電振動子26に印加することができる。この結果、インクの吐出安定性を確保することができる。なお、圧力発生室21内のインクに生じる固有振動は、時間が経過するにしたがって振幅が減衰する減衰振動を繰り返すために、この固有振動周期Tcに応じて、メンテナンス用駆動パルスDP2の時間幅t4を設定することが望ましい。
【0049】
図11は、第3実施形態のメンテナンス用駆動パルスDP3の構成を説明する波形図である。この実施形態におけるプリンター1の制御部9は、温度センサー8により検出された環境温度が高い程、メンテナンス用駆動パルスDP3の駆動電圧vh2を低下させるように設定されている。具体的には、制御部9は、温度センサー8により検出された環境温度が高い程、メンテナンス用駆動パルスDP1の駆動電圧vh1よりも低い駆動電圧vh2のメンテナンス用駆動パルスDP3を圧電振動子26に印加するように構成されている。これにより、環境温度が高くなることでインクの粘度が低下したとしても、常温時と高温時とでインクの飛翔速度を揃えることができる。この結果、インクの吐出安定性を確保することができる。
【0050】
さらに、本発明のプリンター1の制御部9は、温度センサー8により検出された環境温度が高い程、一のメンテナンス用駆動パルスDP1とそれに続く他のメンテナンス用駆動パルスDP1との間の時間幅(間隔)ph(図5参照)を長くしても良い。より具体的には、制御部9は、メンテナンス用駆動パルスDP1同士の間隔(時間幅)phを、例えば常温時には500μsとし、高温時には650μsとしている。これにより、先のメンテナンス用駆動パルスDP1による圧力発生室21内のインクに生じる残留振動が、後のメンテナンス用駆動パルスDP1による圧力変動に影響することを抑制することができる。この結果、インクの吐出安定性を確保することができる。
【0051】
また、上記各実施形態では、本発明における駆動信号COMの一例として、図5,6,10,11に示す駆動信号COMを挙げたが、パルスの形状は例示したものに限られず、任意の波形のものを用いることができる。即ち、上記実施形態においては、圧力振動子26として、所謂撓み振動型圧電素子を用いる例を示したが、本発明の圧電素子は、これに限らず、例えば、縦振動モードの圧電素子などを採用することもできる。その場合には、最高電位VHと基準電位VBとが逆に入れ替わる。また、圧力振動子26は、磁歪素子などでもよいし、気泡を発生させるインクを使用する場合の発熱素子でもよい。
また、フラッシングを行なうメンテナンス処理のセグメント数については、任意の値に設定することができる。
【0052】
以上は、液体噴射装置の一種であるプリンター1を例に挙げて説明したが、本発明は他の液体噴射装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極製造装置、バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…プリンター、2…記録ヘッド、5…記録紙、8…温度センサー、9…制御部、21…圧力発生室、26…圧電振動子、28…ノズル開口、48…駆動信号発生回路、DP…メンテナンス用駆動パルス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力発生手段の作動により圧力室内に圧力変動を与え、当該圧力室に充填された液体をノズルから噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッド近傍の環境温度を検出する環境温度検出部と、
着弾対象に対して前記液体を吐出するための吐出駆動パルスよりも前記圧力室内の圧力変化が高められるように設定され、前記圧力室に充填された前記液体内の気泡を除去するためのメンテナンス用駆動パルスを発生可能な駆動信号発生部と、
前記環境温度検出部により検出された環境温度に基づいて、前記圧力発生手段に印加する前記メンテナンス用駆動パルスの印加数を変更する制御部と、を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記環境温度検出部により検出された環境温度が高い程、前記圧力発生手段に印加する前記メンテナンス用駆動パルスの印加数を増加することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記メンテナンス用駆動パルスは、前記圧力発生手段を駆動させることによって前記圧力室の容積を第1の状態へと推移させる第1パルス要素と、前記第1の状態を所定の時間保持させる第2パルス要素と、前記第1の状態から前記圧力室の容積を第1の状態とは異なる容積となる第2の状態へと推移させる第3パルス要素とを含み、
前記制御部は、前記環境温度検出部により検出された環境温度に基づいて、前記圧力発生手段に印加する前記メンテナンス用駆動パルスを補正することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記環境温度検出部により検出された環境温度が高い程、前記第2パルス要素の時間幅を短くすることを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記環境温度検出部により検出した環境温度が高い程、前記メンテナンス用駆動パルスの駆動電圧を低下させることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記環境温度検出部により検出された環境温度が高い程、一のメンテナンス用駆動パルスとそれに続く他のメンテナンス用駆動パルスとの間の時間幅を長くすることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−104916(P2011−104916A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263663(P2009−263663)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】