説明

液体移送装置

【課題】液体流路内の液体の温度変動を抑え、安定して液体を移送することが可能な液体移送装置を提供すること。
【解決手段】インク移送ヘッド1は、インク流路11が形成されたヘッド本体10と、インク流路11の内面に配置された移送電極21と、インク流路11の内面に移送電極21を覆うように配置され、移送電極21の電位に応じてその表面の濡れ角が変化する絶縁層23と、インク流路11内のインクを加熱する発熱体25とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性を有する液体を移送する液体移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録用紙等の被記録媒体に画像等を記録する形式のプリンタには、インク流路内のインクに圧力を付与してノズルへインクを移送し、さらに、ノズルから被記録媒体に向けてインクを噴射するインクジェット方式の記録ヘッドが広く採用されている。しかし、このようなインクジェット方式の記録ヘッドにおいては、インクの移送圧力及び噴射圧力を発生させるための流路構造やアクチュエータの構造が特殊で複雑なものとなり、そのために、複数のノズルを高密度に配置して記録ヘッドの小型化を図るにも限界があった。
【0003】
そこで、本願発明者は、従来のインクジェット方式の記録ヘッドよりも簡単な構成で、インク等の液体を移送することが可能な装置として、エレクトロウェッティング現象を利用して導電性を有する液体を移送する、液体移送装置を提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の液体移送装置は、複数の液体流路が形成された基材と、各液体流路の途中部に配置された個別電極(第1、第2個別電極)と、個別電極を覆う絶縁層とを有する。個別電極に駆動電位が付与されていない状態では、液体と個別電極との間の電位差が小さく、個別電極を覆う絶縁層の表面に対する液体の濡れ角が高くなっており、液体はこの絶縁層の表面には移動できない状態となっている。この状態から、個別電極に駆動電位が付与されて、絶縁層の下側の個別電極と上側の液体との間に所定の電位差が生じると、絶縁層の表面に対する液体の濡れ角が低下し(エレクトロウェッティング現象)、個別電極を覆う絶縁層の表面に液体が移動できるようになる。この構成によれば、液体流路を複雑な構造にすることなく、個別電極(第1、第2個別電極)の電位を切り換えるだけで、複数の液体流路のそれぞれにおいて、独立して液体の移送を行うことが可能である。
【0005】
【特許文献1】特開2006−35640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述した液体移送装置において、環境温度の変動や外部から与えられる熱により、液体流路内の液体の温度が変動すると、液体の粘度や表面張力が変動する。このように、液体の粘度や表面張力が変動すると、個別電極に駆動電位が付与されたときの絶縁層表面における濡れ角の低下度合や液体流路内の液体の流動抵抗などが変動してしまうため、液体移送が不安定になる虞がある。
【0007】
本発明の目的は、液体流路内の液体の温度変動を抑え、安定して液体を移送することが可能な液体移送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明の液体移送装置は、導電性を有する液体が流れる液体流路が形成された、流路形成体と、前記液体流路の内面に配置された移送電極と、前記液体流路の内面に前記移送電極を覆うように配置され、前記移送電極と前記液体との間の電位差に応じてその表面の濡れ角が変化する絶縁層と、前記液体流路内の前記液体を加熱する加熱手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
この構成によれば、加熱手段により液体流路内の液体を加熱することで、液体の温度を安定させることができる。これにより、液体の粘度や表面張力の変動を抑制し、エレクトロウェッティングによる液体移送を安定させることができる。
【0010】
第2の発明の液体移送装置は、前記第1の発明において、前記加熱手段は、通電により発熱する発熱体であることを特徴とするものである。この構成によれば、発熱体からなる簡単な構成の加熱手段で、液体を加熱することができる。
【0011】
第3の発明の液体移送装置は、前記第2の発明において、前記発熱体は、前記液体流路の内面のうちの、少なくとも前記移送電極が配置されている面に設けられ、前記移送電極を覆う前記絶縁層が、前記発熱体をも覆っていることを特徴とするものである。この構成によれば、導電性材料からなる発熱体が、移送電極と共通の絶縁層で覆われていることから、この発熱体を、導電性を有する液体と絶縁するための構成が簡単になる。
【0012】
第4の発明の液体移送装置は、前記第3の発明において、前記液体流路は、共通液室とこの共通液室から分岐する複数の個別流路とを有し、前記複数の個別流路の内面に複数の前記移送電極がそれぞれ配置されていることを特徴とするものである。この構成によれば、複数の移送電極の電位をそれぞれ変更することによって、共通液室から分岐した複数の個別流路において、独立して液体を移送させることができる。
【0013】
第5の発明の液体移送装置は、前記第4の発明において、前記発熱体が、前記複数の個別流路にわたって設けられていることを特徴とするものである。この構成によれば、1つの発熱体に通電することにより、複数の個別流路内の液体を一度に加熱できる。
【0014】
第6の発明の液体移送装置は、前記第4又は第5の発明において、前記発熱体が、前記個別流路の内面の、前記移送電極よりも流動方向上流側の位置に設けられていることを特徴とするものである。この構成によれば、個別流路内において、移送電極上に移動する直前の液体が加熱されるため、電極を覆う絶縁層表面における液体移送をさらに安定させることができる。
【0015】
第7の発明の液体移送装置は、前記第6の発明において、前記発熱体が、前記個別流路の内面の、前記移送電極よりも流動方向下流側の位置にも設けられていることを特徴とするものである。この構成によれば、移送電極の上流側と下流側でそれぞれ液体が加熱されることにより、個別流路内の液体の温度がさらに安定するため、移送電極を覆う絶縁層表面における液体移送を一層安定させることができる。
【0016】
第8の発明の液体移送装置は、前記第4〜第7の何れかの発明において、前記発熱体が、前記共通液室の内面に設けられていることを特徴とするものである。この構成によれば、複数の個別流路に分岐する前の共通液室内において液体が加熱されることから、複数の個別流路間における液体温度のばらつきが抑制される。
【0017】
第9の発明の液体移送装置は、前記第4〜第8の何れかの発明において、前記複数の移送電極の電位を変化させて、これら移送電極を覆う前記絶縁層の表面に対する前記液体の濡れ角を変化させることにより、前記複数の個別流路内において前記液体をそれぞれ流動させる駆動手段を備え、さらに、前記駆動手段は、前記発熱体に通電して、この発熱体により前記液体流路内の液体を加熱することを特徴とするものである。
【0018】
この構成によれば、液体移送のための移送電極への電位付与と、液体加熱のための発熱体への通電を、1つの駆動手段で行うことができる。
【0019】
第10の発明の液体移送装置は、前記第9の発明において、前記複数の移送電極にそれぞれ接続された複数の第1接点部と、前記発熱体に接続された第2接点部が、前記流路形成体の端部まで引き出されていることを特徴とするものである。
【0020】
この構成によれば、移送電極への電位付与を行うための第1接点部と、発熱体への通電を行うための第2接点部が、それぞれ流路形成体の端部まで引き出されているため、これらの接点部と駆動手段とを、フレキシブル基板等を用いて接続することが容易になる。
【0021】
第11の発明の液体移送装置は、前記第9の発明において、前記流路形成体の一端部に、前記複数の個別流路にそれぞれ連なる複数の液体吐出口が設けられており、前記流路形成体の、前記複数の液体吐出口と反対側の端部に、前記複数の第1接点部と前記第2接点部が引き出されていることを特徴とするものである。
【0022】
この構成によれば、流路形成体の、複数の個別流路とそれぞれ連なる複数の液体吐出口とは反対側の端部に、第1、第2接点部が引き出されているため、個別流路(液体吐出口)の数が多い場合でも、これら接点部の引き出し(即ち、移送電極に接続された配線や発熱体の引き回し)が容易になる。
【0023】
第12の発明の液体移送装置は、前記第1〜第11の何れかの発明において、前記液体流路内の液体の温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段により検出された液体温度に基づいて前記加熱手段を制御する温度制御手段と備えていることを特徴とするものである。このように、温度制御手段が、温度検出手段で検出された温度に基づいて加熱手段を制御することにより、液体の温度を確実に安定させることができる。
【0024】
第13の発明の液体移送装置は、前記第12の発明において、前記液体流路内の前記液体が溶融状態のハンダであり、前記温度制御手段は、前記ハンダの温度がその溶融温度以上となるように、前記加熱手段を制御することを特徴とするものである。この構成によれば、ハンダの温度をその溶融温度以上に保つことができるため、流路内でハンダが固化してしまうのを防止できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、加熱手段により液体流路内の液体を加熱することで、液体の温度を安定させることができる。これにより、液体の粘度や表面張力の変動を抑制し、エレクトロウェッティングによる液体移送を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態について説明する。本発明の実施の形態について図1〜図7を参照して説明する。本実施形態は、記録用紙にインクを移送して付着させるインク吐出ヘッドを有し、記録用紙に所望の画像等を記録するプリンタに本発明を適用した一例である。
【0027】
図1は、本実施形態のプリンタ100を概略的に示す斜視図である。図1に示すように、プリンタ100は、それぞれが吐出口15aを備えた複数の個別流路15を含むインク吐出ヘッド1(液体移送装置)と、このインク吐出ヘッド1にチューブ4を介して接続されたインクタンク2と、インク吐出ヘッド1による吐出口15aへのインクの移送動作を制御する制御装置3(図2参照)とを備えている。そして、プリンタ100は、インク吐出ヘッド1の前端面に設けられた複数の吐出口15aから、それらの前方に位置する記録用紙P(図7参照)に向けてそれぞれインクを吐出させて、記録用紙Pに所望の画像等を記録する。尚、図1における前後左右の方向を前後左右と定義して以下説明する。
【0028】
次に、インク吐出ヘッド1について説明する。図2はインク吐出ヘッド1の一部分の水平断面図、図3は図2のIII−III線断面図である。図2、図3に示すように、インク吐出ヘッド1は、導電性を有するインクが流れるインク流路11が形成されたヘッド本体10と、インク流路11の内面に配置された複数の移送電極21と、インク流路11の内面に移送電極21を覆うように配置された絶縁層23とを有する。そして、このインク吐出ヘッド1は、移送電極21の電位を変化させたときに、この移送電極21を覆う絶縁層23の表面に対するインクの濡れ角が変化する現象(エレクトロウェッティング現象)を利用して、インク流路11内においてインクを吐出口15aまで移送させ、吐出口15aから記録用紙に向けて液滴を吐出するように構成されている。
【0029】
図1に示すように、ヘッド本体10(流路形成体)は、左右に長い矩形の平面形状をそれぞれ有し、相対向した状態で接合された略平板状の2枚の流路形成部材30,31を主要構成として備えている。これら2枚の流路形成部材30,31は、それぞれ、ポリイミド等の合成樹脂材料、ガラス材料、表面に酸化膜が形成されたシリコン等からなり、少なくとも、後述する電極17,21、配線17a,21a、及び、発熱体25(図2参照)が形成される面や、インクが接触する面において絶縁性を有する。
【0030】
図4は、上側の流路形成部材30の水平断面図、図5は、下側の流路形成部材31の上面図である。図2、図4に示すように、上側の流路形成部材30の裏面側(下面側)には、その後端部において長手方向(左右方向)に延びる壁部30aと、その前端部において短手方向(前後方向)に延びる複数の隔壁部30bとが形成されている。そして、下側の流路形成部材31の平坦な上面に、上側の流路形成部材30の下面が接合されることで、上下2枚の流路形成部材30,31の間には、壁部30aと複数の隔壁部30bによって区画されたインク流路11が形成される。
【0031】
より具体的には、インク流路11は、流路形成部材30,31の長手方向に延びる共通インク室14(共通液室)と、複数の隔壁部30bによって互いに隔てられるとともに、共通インク室14から分岐してそれぞれ前方へ延びる複数の個別流路15とを有する。図2においては、ヘッド本体10に設けられた複数の個別流路15のうちの、3つの個別流路15が示されている。尚、このインク吐出ヘッド1に供給されてインク流路11を流れるインクとしては、水を主成分とし、染料と溶剤を添加した水系染料インク、又は、顔料と溶剤を添加した水系顔料インクなどの、導電性を有するインクが用いられる。
【0032】
また、図1、図2に示すように、上側の流路形成部材30の短手方向(前後方向)長さは、下側の流路形成部材31よりも短く、両者が接合されたときに、下側の流路形成部材31の後端部が後方へ張り出してその上面は露出している。そして、この張出部31aの露出した上面には、後述する移送電極21に接続された配線21aや発熱体25の端部が引き出されるようになっている。
【0033】
共通インク室14は、2枚の流路形成部材30,31の後側部分の内部において左右方向に延びるように形成されている。また、共通インク室14は、インクタンク2(図1参照)とチューブ4を介して接続されている。そして、インクタンク2からインク吐出ヘッド1に供給されたインクは、共通インク室14を介して複数の個別流路15にそれぞれ供給される。尚、インクタンク2はインク吐出ヘッド1内の個別流路15よりも若干高い位置に配置されており、個別流路15内のインクには、吐出口15aへ向かう流れを生じさせるように、インクタンク2のヘッド圧が常に作用している。
【0034】
図2、図3に示すように、共通インク室14の底面(下側の流路形成部材31の後側部分上面)には、その長手方向である左右方向に延びる共通電極17が形成されており、共通インク室14内のインクは共通電極17と直接接触する。また、共通電極17には後方へ延びる配線17aが接続され、さらに、この配線17aの端部の接点部17bは、流路形成部材31の張出部31aの露出した上面まで引き出されている。そして、この接点部17bは、フレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuit)などの配線部材(図示省略)を介して、ドライバIC20(駆動手段)に接続され、ドライバIC20によって共通電極17は、常にグランド電位(基準電位)に保持される。従って、この共通電極17と接触する共通インク室14内のインクの電位は、常にグランド電位に保持されることになる。
【0035】
複数の個別流路15は、上側の流路形成部材30に形成された複数の隔壁部30bにより互いに隔てられ、それぞれ前後方向に沿って平行に延びている。各個別流路15には、前方へ開口した吐出口15a(液体吐出口)が、その流路先端に連なって設けられている。図1、図2に示すように、複数の吐出口15aは、ヘッド本体10の前面において左右方向に一列に配置されている。
【0036】
図2、図5に示すように、複数の個別流路15の吐出口15a近傍部の底面(下側の流路形成部材31の上面)には、複数の矩形状の移送電極21がそれぞれ形成されている。各移送電極21には配線21aが接続されている。この配線21aは、移送電極21から左右何れかの方向に引き出され、さらに、個別流路15よりも左右方向外側の領域(隔壁部30bが接合される領域)において後方へ延在している。尚、一部の配線21aは、共通インク室14を横切って後方へ延びている。さらに、配線21aの端部に設けられた接点部21b(第1接点部)は、流路形成部材31の後端部に設けられた張出部31aの上面まで引き出されている。尚、後述するように、移送電極21の表面には絶縁層23が設けられているが、図2、図3に示すように、この絶縁層23は、移送電極21から引き出された配線21aをも覆っている。これにより、配線21aは、インク流路11内を流れる導電性を有するインク、及び、共通インク室14内の共通電極17と絶縁されている。
【0037】
さらに、複数の移送電極21から張出部31aまで引き出された複数の接点部21bは、フレキシブル基板などの配線部材(図示省略)を介して、ドライバIC20(駆動手段)に接続されている。そして、制御装置3からの指令に基づいて、ドライバIC20から、接点部21b及び配線21aを介して、移送電極21に対して、グランド電位と、このグランド電位とは異なる所定の駆動電位の、何れか一方の電位が選択的に付与されるようになっている。
【0038】
尚、以上説明した、移送電極21、配線21a、接点部21b、及び、共通電極17、配線17a、接点部17bは、スクリーン印刷法、蒸着法、スパッタ法等を用いて、下側の流路形成部材31の上面に形成することが可能である。
【0039】
図2、図3に示すように、個別流路15の、移送電極21が配置されている吐出口15a近傍部の底面には、絶縁層23が移送電極21を完全に覆うように設けられている。この絶縁層23は、例えば、スピンコート等により、フッ素系樹脂で、移送電極21を含む流路形成部材31の上面をコーティングするなどして形成することができる。また、先ほど少し触れたように、この絶縁層23は、移送電極21から引き出された配線21aをも覆っている。そのため、配線21aに、インク流路11内を流れる導電性を有するインクが付着するのが確実に防止される。また、共通インク室14内において移送電極21の配線21aと共通電極17とを重ね合わせることができる。従って、配線21aを、共通電極17を避けるように引き回す必要がなく、共通インク室14を横切るように後方へ真っ直ぐ引き出すことができ、配線21aの引き回しが容易になる。
【0040】
ここで、ドライバIC20により移送電極21の電位がグランド電位に保持され、この移送電極21と、共通電極17によってグランド電位となっているインクとの間に電位差がない状態では、絶縁層23の表面の撥液性は、個別流路15の底面を構成する流路形成部材30,31の表面よりも高くなっている。言い換えれば、絶縁層23の表面に対するインクの濡れ角θは、個別流路15の内面の、絶縁層23が形成されていない領域における濡れ角よりも大きくなっている。そのため、この状態では、絶縁層23の表面にインクが移動することができない。
【0041】
一方、ドライバIC20により、移送電極21に、グランド電位とは異なる電位である所定の駆動電位が付与されて、個別流路15内のインクと移送電極21との間に電位差が生じると、この電位差に起因して、インクと絶縁層23との間の界面エネルギーが変化し、それに伴って絶縁層23の表面の濡れ角が変化する。
【0042】
図6は、インクと移送電極21の間の電位差Vと、移送電極21を覆う絶縁層23の表面の濡れ角θとの関係を示す図である。この図6に示すように、インクと移送電極21との間の電位差Vが大きくなるほど、絶縁層23の表面に対するインクの濡れ角θが小さくなることがわかる(エレクトロウェッティング現象)。そして、個別流路15内において、インクと電極21の間の電位差Vが、図6に示す限界電位差Va以上になったときには、絶縁層23の表面の濡れ角θが所定の限界濡れ角θa以下まで低下して、インクが、絶縁層23の、駆動電位が付与された移送電極21を覆う領域に移動できるようになる。
【0043】
このドライバIC20により移送電極21の電位が切り換えられることによって行われる一連のインク移送動作を、図7を参照して説明する。尚、この図7において、“+”は、移送電極21に駆動電位(例えば、+30V)が付与されている状態を示し、“GND”は、移送電極21にグランド電位が付与されている状態を示す。
【0044】
まず、図7(a)に示すように、ドライバIC20により移送電極21の電位がグランド電位に保持されている状態では、絶縁層23の、移送電極21を覆う領域に対するインクの濡れ角θは限界濡れ角θaよりも大きい状態となっており、インクIはこの領域に移動することができない。そのため、絶縁層23の上流端の位置にインクIのメニスカスが形成され、インクIは吐出口15aから吐出されない状態(待機状態)となる。
【0045】
次に、図7(b)に示すように、ドライバIC20により、移送電極21の電位がグランド電位から駆動電位に切り換えられると、移送電極21を覆っている絶縁層23に対するインクIの濡れ角θが限界濡れ角θa以下まで低下し、上流側から絶縁層23の表面へインクIのメニスカスが移動しはじめる。さらに、図7(c)に示すように、上流から移動してきたインクIは、背圧(インクタンク2のヘッド圧)の作用により吐出口15aに到達し、さらに、吐出口15aから押し出されて記録用紙Pに付着する。
【0046】
その後、図7(d)に示すように、ドライバIC20により、移送電極21の電位が駆動電位がグランド電位に切り換えられると、移送電極21を覆っている絶縁層23に対するインクIの濡れ角θが再び限界濡れ角θaより大きくなり、インクIが絶縁層23の表面に存在できなくなる。すると、インクIのメニスカスは後退し、図7(a)に示す待機状態に戻る。
【0047】
ところで、絶縁層23の移送電極21を覆う領域にインクが移動し始めるときの限界濡れ角θaは、個別流路15内のインクに作用しているインクタンク2のヘッド圧や、個別流路15の流路形状によって変わるが、それだけではなく、さらに、インクの表面張力やインクの粘度の影響も受ける。
【0048】
しかし、環境温度の変動や外部から与えられる熱により、インク流路11内のインクの温度が変動すると、それに応じて、インクの表面張力が変動する。従って、インクの温度変動によって、濡れ角が変動してしまうことになる。そのため、例えば、表面張力の変動によって濡れ角が想定されている値よりも高くなってしまうと、その想定されている値に応じた駆動電位が移送電極21に付与されたときに濡れ角が限界濡れ角θaを下回ることができず、その個別流路15でインクが流れなくなるという問題が生じる。また、粘度が変動することによって、インクの絶縁層23上での移動速度や液体流路内でのインクの流動抵抗が変化し、吐出口15aに到達するタイミングが変わってしまうという問題も生じ得る。このように、インクの温度変動によって、エレクトロウェッティング現象を利用したインクの移送が不安定になる虞がある。
【0049】
そこで、本実施形態のインク吐出ヘッド1には、インク流路11内のインクの温度を安定させるために、インクを加熱する発熱体25(加熱手段)が設けられている。図2、図3、図5に示すように、1本の長尺な発熱体25が、移送電極21が配置されている個別流路15の底面(下側の流路形成部材31の上面)に引き回されており、インクの流動方向に関して、移送電極21よりも上流側の位置と下流側の位置の両方に発熱体25の一部分がそれぞれ配置されている。さらに、1本の発熱体25が複数の個別流路15(図2では3つの個別流路15)にわたって設けられている。
【0050】
この発熱体25の両端部はそれぞれ後方へ延在しており、これら両端部にそれぞれ設けられた2つの接点部25b(第2接点部)は、流路形成部材31の後端部に設けられた張出部31aの上面まで引き出されている。さらに、2つの接点部25bは、フレキシブル基板などの配線部材(図示省略)を介して、ドライバIC20(駆動手段)に接続されている。そして、ドライバIC20によって、2つの接点部25b間に電圧が印加されることにより発熱体25への通電がなされると、その通電により電気抵抗体である発熱体25が発熱し、個別流路15内のインクが加熱されるようになっている。
【0051】
尚、このような発熱体25に使用される、通電によって発熱する発熱材料としては、グラファイト、カーボン、PG/PBN(高純度カーボン/パイロリティックボロンナイトライド)、窒化アルミニウム又はタングステン等を採用することができる。そして、これらの発熱材料を、エアロゾルデポジション法、スパッタ法、蒸着法又はゾルゲル法などの成膜法を用いて、流路形成部材31の上面に直接付着させることにより、発熱体25を形成することができる。
【0052】
また、発熱体25は、移送電極21と同じく、個別流路15の底面に形成されている。そして、図2、図3に示すように、前述した移送電極21を覆う絶縁層23がこの発熱体25をも覆うように、個別流路15の底面に設けられることにより、発熱体25と導電性を有するインクとが絶縁されている。これにより、発熱体25への通電によってインクの電位が変動することはなく、漏電も生じない。また、導電性材料である発熱体25が、移送電極21と共通の絶縁層23で覆われていることから、この発熱体25をインクと絶縁するための構成が簡単になる。つまり、流路形成部材31の上面に、移送電極21(及び配線21a)と発熱体25とをそれぞれ形成し、これらを共通の絶縁層23で覆うことによって、移送電極21の絶縁と発熱体25の絶縁とを同時に行うことができる。
【0053】
また、発熱体25が、移送電極21よりも流動方向上流側に配置されていることにより、各個別流路15内において、移送電極21上に移動する直前のインクが加熱されるため、移送電極21を覆う絶縁層23表面におけるインクの移送をより安定させることができる。但し、移送電極21の上流側に発熱体25が配置されていると、移送電極21に駆動電位が付与されて、その電極21を覆う領域において絶縁層23表面の濡れ角が局所的に低下しても、その手前に、発熱体25を覆う絶縁層23からなる高撥液性領域が存在するために、上流側のインクが、絶縁層23の撥液性が低下した領域まで到達しにくい。そこで、本実施形態では、移送電極21の上流側においては、発熱体25が、個別流路15の流路幅方向に関する一部領域(流路幅のほぼ半分を占める片側領域)にのみ配置されており、移送電極21上で絶縁層23の撥液性が低下したときに、個別流路15の上流側からその領域へインクが容易に移動できるように構成されている。
【0054】
さらに、発熱体25が、移送電極21よりも流動方向上流側に設けられていることに加えて、移送電極21よりも流動方向下流側にも設けられていることから、移送電極21の上流側と下流側でそれぞれ同時にインクが加熱されることになり、個別流路15内のインクの温度がさらに安定する。
【0055】
また、発熱体25が複数の個別流路15にわたって設けられていることから、1つの発熱体25で複数の個別流路15のインクをそれぞれ加熱することができ、インクを加熱するための構成が簡単になる。
【0056】
さらに、移送電極21に駆動電位を付与するドライバIC20が、発熱体25の2つの接点部25b間に電圧を印加することで、発熱体25への通電も行うことができるようになっている。つまり、1つのドライバIC20により、移送電極21への電位付与と発熱体25への通電の両方を行うことができるため、電気的な構成が簡単になる。
【0057】
尚、図2、図5に示すように、下側の流路形成部材31の張出部31aの上面には、インク流路11内のインクの温度を検出するサーミスタ27が設けられている。このサーミスタ27は、フレキシブル基板などの配線部材(図示省略)を介して、制御装置3に接続されている。
【0058】
以上説明したように、移送電極21の接点部21b、共通電極17の接点部17b、発熱体25の接点部25b、及び、サーミスタ27(の接点部27b)が、全て、ヘッド本体10の流路形成部材31の後端部(張出部31a)に設けられている。そのため、フレキシブル基板等を用いて、これらの接点部をドライバIC20や制御装置3に接続することが容易になる。さらに、これらの接点部は、ヘッド本体10の複数の吐出口15aと反対側の端部に設けられている。そのため、ヘッド本体10に設けられる個別流路15及び吐出口15aの数が多く、ヘッド本体10の前端部においてこれらを高密度に配置することが要求される場合でも、これとは関係なしにヘッド本体10の後端部へ接点部を引き出すことが可能になり、移送電極21の配線21aや発熱体25の引き回しが容易になる。
【0059】
次に、制御装置3の構成について簡単に説明しておく。図2に示される制御装置3は、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、プリンタ100の全体動作を制御する為の各種プログラムやデータ等が格納されたROM(Read Only Memory)と、CPUで処理されるデータ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等を備えている。そして、この制御装置3は、PC等からの外部入力データに基づいてインク吐出ヘッド1の所望の吐出口15aからインクを吐出させるように、移送電極21に電位を付与するドライバIC20を制御したり、あるいは、記録用紙Pの搬送を行う紙送り機構(図示省略)を制御したりするなど、プリンタ100の各種動作を制御するように構成されている。
【0060】
さらに、この制御装置3(温度制御手段)には、サーミスタ27からの温度検出信号が入力される。そして、制御装置3は、このサーミスタ27で検出されたインクの温度に基づいて、インクの温度がある範囲内に収まるように発熱体25(具体的には、ドライバIC20による発熱体25への通電)を制御する。これにより、インクの温度を確実に安定させることができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のインク吐出ヘッド1は、インク流路11内のインクを加熱する発熱体25を有するため、インクの温度を安定させることができる。従って、インクの温度変動に起因する粘度や表面張力の変動を抑制し、エレクトロウェッティングによるインクの移送を安定させることができる。
【0062】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0063】
1]前記実施形態においては、ドライバIC20と接続される発熱体25の両端の接点部は、移送電極21の接点部21bと同様に、流路形成部材31の上面において引き出されている(図2参照)。しかし、図8、図9に示すように、発熱体25の、各移送電極21に対応する部分の両端が、流路形成部材31に貫通状に設けられたスルーホール40,41を介して流路形成部材31の裏面(下面)まで引き出されてもよい。
【0064】
2]前記実施形態においては、個別流路15の底面の、移送電極21よりも流動方向上流側と下流側の両方に、発熱体25が設けられていたが、発熱体25が設けられる位置はこの形態に限られない。
【0065】
例えば、移送電極21の上流側と下流側の発熱体の一方を省略することができる。但し、発熱体が移送電極21の上流側に設けられている方が、移送電極21上に移動する直前のインクを加熱できるため、インクの移送を安定させる効果は大きい。この観点からは、上流側と下流側の発熱体の一方を省略するなら、図10に示すように、流動方向下流側の発熱体が省略されて、上流側にのみ発熱体25が設けられている形態が好ましい。尚、図10では、発熱体25がスルーホール40,41を介して、流路形成部材31の裏面に引き出された例が示されているが、前記実施形態と同様に、移送電極21の上流側に設けられた発熱体25が、流路形成部材31の上面において後方へ引き出されてもよい。
【0066】
また、図11に示すように、共通インク室の底面にも発熱体25(図11における延在部25a)が設けられていてもよい。この場合には、複数の個別流路15に分岐する前の共通インク室14内においてインクが加熱されることから、複数の個別流路15間におけるインク温度のばらつきが抑制される。尚、図11においては、共通インク室14と個別流路15の双方の底面に発熱体25が設けられているが、上流側の共通インク室14にのみ発熱体25が設けられ、個別流路15においては発熱体が省略されてもよい。
【0067】
また、インク流路11(共通インク室14や個別流路15)の底面(移送電極21が配置された面)に発熱体25が設けられる必要は必ずしもない。例えば、図12に示すように、発熱体25が、インク流路11(この図では個別流路15)の天井面に設けられてもよい。尚、この場合には、移送電極21と発熱体25とが異なる面に配置されていることから、発熱体25は、移送電極21を覆う絶縁層23とは別の絶縁層43によって覆われる。また、インク流路11の側面に発熱体25が設けられてもよい。
【0068】
さらに、発熱体25が、ヘッド本体10(流路形成部材30,31)の外面に設けられ、その熱が、ヘッド本体10の外面から内面へ伝わることによって、ヘッド本体10内部のインク流路11を流れるインクが加熱されるように構成されてもよい。
【0069】
3]前記実施形態は、流路形成部材30,31が、少なくとも、電極17,21、配線17a,21a、及び、発熱体25が形成される面や、インクが接触する面において絶縁性を有するように構成されていたが、電極17,21、配線17a,21a、及び、発熱体25が形成される面においては絶縁性が必要とされるものの、それ以外の部分(少なくともインクが接触する部分)においては導電性を有するように構成してもよい。
この構成によれば、インクの電位をグランド電位にすることができるので、共通電極17を省略し構成を簡素化することができる。
【0070】
4]前記実施形態は、導電性を有するインクを吐出口15aまで移送して、記録用紙Pに向けてインクを吐出するプリンタに本発明を適用した一例であるが、本発明の適用対象は、このようなプリンタに限られるものではない。
【0071】
例えば、錫(Sn)や鉛(Pb)、あるいは、亜鉛(Zn)等の合金からなり、溶融状態(液状)のハンダを吐出口15aへ移送して基板に付着させる装置に、本発明を適用することが可能である。このように、液体移送装置が、溶融ハンダを移送する装置である場合には、発熱体25を、エレクトロウェッティングによる溶融ハンダの移送を安定させるという目的の他、ハンダの温度をその溶融温度(例えば、200℃程度)以上に保持する目的にも使用できる。即ち、サーミスタ27(前記実施形態の図2参照)等の温度検出手段により検出された温度に基づいて、制御装置3が、ハンダの温度がその溶融温度以上となるように、発熱体25(発熱体25に通電するドライバIC20)を制御することで、流路内でハンダが固化してしまうのを確実に防止することができる。
【0072】
尚、液体移送装置で移送される液体が溶融ハンダである場合には、ハンダが流路内で固化するのを一層確実に防止するためには、先の図11に示す形態のように、共通液室(前記実施形態における共通インク室14に相当)の内面と、この共通液室から分岐する複数の個別流路15の内面に、それぞれ、発熱体25が設けられていることが好ましい。
【0073】
その他、金属ナノ粒子を分散した導電性液体を基板に転写して配線パターンを形成する装置、DNAを分散した溶液を用いてDNAチップを製造する装置、有機化合物などのEL発光材料を分散した溶液を用いてディスプレイパネルを製造する装置、カラーフィルタ用顔料が分散された液体を用いて液晶ディスプレイ用のカラーフィルタを製造する装置などにも本発明を適用することができる。
【0074】
また、本発明の液体移送装置に用いられる液体は、液体自体が導電性のものである場合に限られず、絶縁性の液体に導電性の添加剤が分散されることによって、導電性の液体と同様の導電性を備えるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成を示す斜視図である。
【図2】インク吐出ヘッドの一部分の水平断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】上側の流路形成部材の水平断面図である。
【図5】下側の流路形成部材の上面図(絶縁層を除いた状態)である。
【図6】インクと移送電極の間の電位差Vと、移送電極を覆う絶縁層の表面の濡れ角θとの関係を示す図である。
【図7】インク移送動作の説明図であり、(a)は待機状態、(b)は移送開始時の状態、(c)はインク排出時の状態、(d)は排出終了時の状態をそれぞれ示す。
【図8】変更形態に係るインク吐出ヘッドの水平断面図である。
【図9】図8のIX-IX線断面図である。
【図10】別の変更形態に係るインク吐出ヘッドの水平断面図である。
【図11】さらに別の変更形態に係るインク吐出ヘッドの水平断面図である。
【図12】さらに別の変更形態に係るインク吐出ヘッドの図3相当の縦断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 インク吐出ヘッド(液体移送装置)
3 制御装置
10 ヘッド本体(流路形成体)
11 インク流路
14 共通インク室
15 個別流路
15a 吐出口
20 ドライバIC
21 移送電極
21b 接点部(第1接点部)
23 絶縁層
25 発熱体
25b 接点部(第2接点部)
27 サーミスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する液体が流れる液体流路が形成された、流路形成体と、
前記液体流路の内面に配置された移送電極と、
前記液体流路の内面に前記移送電極を覆うように配置され、前記移送電極と前記液体との間の電位差に応じてその表面の濡れ角が変化する絶縁層と、
前記液体流路内の前記液体を加熱する加熱手段と、
を備えていることを特徴とする液体移送装置。
【請求項2】
前記加熱手段は、通電により発熱する発熱体であることを特徴とする請求項1に記載の液体移送装置。
【請求項3】
前記発熱体は、前記液体流路の内面のうちの、少なくとも前記移送電極が配置されている面に設けられ、
前記移送電極を覆う前記絶縁層が、前記発熱体をも覆っていることを特徴とする請求項2に記載の液体移送装置。
【請求項4】
前記液体流路は、共通液室とこの共通液室から分岐する複数の個別流路とを有し、
前記複数の個別流路の内面に複数の前記移送電極がそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項3に記載の液体移送装置。
【請求項5】
前記発熱体が、前記複数の個別流路にわたって設けられていることを特徴とする請求項4に記載の液体移送装置。
【請求項6】
前記発熱体が、前記個別流路の内面の、前記移送電極よりも流動方向上流側の位置に設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の液体移送装置。
【請求項7】
前記発熱体が、前記個別流路の内面の、前記移送電極よりも流動方向下流側の位置にも設けられていることを特徴とする請求項6に記載の液体移送装置。
【請求項8】
前記発熱体が、前記共通液室の内面に設けられていることを特徴とする請求項4〜7の何れかに記載の液体移送装置。
【請求項9】
前記複数の移送電極の電位を変化させて、これら移送電極を覆う前記絶縁層の表面に対する前記液体の濡れ角を変化させることにより、前記複数の個別流路内において前記液体をそれぞれ流動させる駆動手段を備え、
さらに、前記駆動手段は、前記発熱体に通電して、この発熱体により前記液体流路内の液体を加熱することを特徴とする請求項4〜8の何れかに記載の液体移送装置。
【請求項10】
前記複数の移送電極にそれぞれ接続された複数の第1接点部と、前記発熱体に接続された第2接点部が、前記流路形成体の端部まで引き出されていることを特徴とする請求項9に記載の液体移送装置。
【請求項11】
前記流路形成体の一端部に、前記複数の個別流路にそれぞれ連なる複数の液体吐出口が設けられており、
前記流路形成体の、前記複数の液体吐出口と反対側の端部に、前記複数の第1接点部と前記第2接点部が引き出されていることを特徴とする請求項9に記載の液体移送装置。
【請求項12】
前記液体流路内の液体の温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段により検出された液体温度に基づいて前記加熱手段を制御する温度制御手段と備えていることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の液体移送装置。
【請求項13】
前記液体流路内の前記液体が溶融状態のハンダであり、
前記温度制御手段は、前記ハンダの温度がその溶融温度以上となるように、前記加熱手段を制御することを特徴とする請求項12に記載の液体移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−45883(P2009−45883A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215600(P2007−215600)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】