説明

液剤塗布装置および液剤塗布方法

【課題】液剤の微小ロッドの転写が可能で、しかも作業時間の短縮を図ることができて作業効率の優れた液剤塗布装置および液剤塗布方法を提供する。
【解決手段】液剤供給手段16にて、所定量の液剤を液剤吐出用ガイド体16の軸心方向孔15に供給することができる。液剤押出用ロッド18を軸心方向孔内をその軸心方向に沿って摺動させることによって、軸心方向孔15の液剤を液剤被塗布部位Mに押出すことができる。これによって、液剤吐出用ガイド体16に一旦液剤を供給し、この供給した液剤を液剤押出用ロッド18にて押出すことになって、この押出時に液剤押出用ロッド18の押出面18aに液剤Sが転写された状態となり、この状態のまま液剤被塗布部位Mに液剤を押出して転写することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液剤塗布装置、例えば、リードフレームに半導体チップ(ダイ)を接着材接合する際に接着材接合部(被接合部材)に液剤を塗布するための液剤塗布装置および液剤塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の液剤塗布装置としては、従来からディスペンサを使用したものがある(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。すなわち、従来の液剤塗布装置は、図2に示すように、吐出用ノズル(ニードル)1を有し液剤(接着材)が供給されているシリンジ2と、このシリンジ2に高圧エアを供給するディスペンサ3とを備える。
【0003】
すなわち、ディスペンサ3から高圧エアを吐出し、シリンジ2内に高圧エアを送り込む。これによって、ノズル1の開口部からシリンジ2内の液剤(接着材)が押出される。この押出された液剤が図3に示すように、リードフレーム4のマウント部5に接地することによって、マウント部5に液剤が塗布(転写)される。
【0004】
また、他の液剤塗布装置として、図4に示すようないわゆるスタンプ法がある。この装置は、接着材(液剤)Sが塗布された回転テーブル(回転皿)10と、この回転皿10とリードフレーム4のマウント部5との間を、矢印Aのように移動する転写ピン11とを備える。なお、回転皿10はその軸心廻りに回転する。
【0005】
すなわち、転写ピン11を回転皿10の液剤塗布部の上方に位置させ、その後、転写ピン11を下降させて、この転写ピン11の先端に液剤Sを転写させた後、この転写ピン11をリードフレーム4のマウント部5の上方に位置させる。次に、転写ピン11を下降させて、この転写ピン11の先端に付着している液剤をマウント部5に転写するものである。
【特許文献1】特開平5−206179号公報
【特許文献2】特開2000−125672号公報
【特許文献3】特開2002−110709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図2と図3に示すように、ディスペンサを用いる液剤塗布装置では、シリンジ内に液剤Sが保存されているため揮発しにくい利点がある。しかしながら、マウント部5への塗布量を安定させるためには、ノズル1の先端とフレーム4のマウント部5とのギャップGを正確に設定する必要がある。ギャップGを設定する場合、フレーム4の厚さに基づいて設定される。ところが、フレーム4の厚さにはバラツキがあり、このギャップGの設定を精度よく行うことができない。
【0007】
また、ディスペンサを用いる液剤塗布装置では、ノズル1から液剤Sが押し出されるので、ノズル1としては、この押出を可能とする内径を確保する必要がある。このため、ノズル1の内径寸法には限界がある。しかも、ノズル1を介して液剤Sを押出せば、ノズル1の先端とマウント部5との間に押出された液剤Sは、ノズル1の外径まで拡がることになる。このため、ディスペンサを用いる液剤塗布装置では、微小ドット(例えば、直径0.20mm程度のドット)の転写が困難であった。
【0008】
図4に示すスタンプ方式では、フレーム4に転写ピン11を押し付けるものであるので、転写ピン11のフレーム4に対する位置移動制御が容易である。また、フレーム4の厚さのバラツキや供給高さのバラツキがあっても安定した転写が可能である。しかも、ノズルの孔に液剤Sが押出されるものではなく、転写ピン11の先端に転写されるものであるので、微小なドットの成形が可能である。
【0009】
しかしながら、転写ピン11を図4に示す矢印Aのように移動させる必要があり、この移動距離が大となる。このため、この移動距離を確保するためのスペースを必要として装置全体として大型化を招くことになり、しかも転写ピン11の移動に時間が掛かり生産性の向上を図ることができない。さらには、回転皿10の液剤の転写ピン11による転写作業、転写ピン11の付着された液剤のフレーム4のマウント部5への転写作業とのタイミングの調整を行う必要があり、制御性に問題がある。また、液剤Sを転写ピン11の先端に付着させた状態で転写ピン11を移動させるもので、高速で移動させれば、付着させた液剤が転写ピン11から飛散するおそれがある。このため、転写ピン11の移動速度を遅くする必要があり、作業時間がより大となる問題がある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みて、液剤の微小ロッドの転写が可能で、しかも作業時間の短縮を図ることができて作業効率の優れた液剤塗布装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の液剤塗布装置は、軸心方向孔を有する液剤吐出用ガイド体と、この液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔に所定量の液剤を供給する液剤供給手段と、液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔内をその軸心方向に沿って摺動して軸心方向孔の液剤を液剤被塗布部位に液剤吐出用ガイド体の吐出口から押出す液剤押出用ロッドとを備えたものである。
【0012】
本発明の液剤塗布装置によれば、液剤供給手段にて、所定量の液剤を液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔に供給することができる。また、液剤押出用ロッドを軸心方向孔内をその軸心方向に沿って摺動させることによって、軸心方向孔の液剤を液剤被塗布部位に押出すことができる。すなわち、液剤吐出用ガイド体に一旦液剤を供給し、この供給した液剤を液剤押出用ロッドにて押出すことになって、この押出時に液剤押出用ロッドの押出面に液剤が転写された状態となり、この状態のまま液剤被塗布部位に液剤を押出して転写することができる。
【0013】
液剤供給手段は、液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔へ液剤を供給するシリンジを備えたディスペンサ装置にて構成することができる。液剤供給手段をディスペンサ装置にて構成することによって、ディスペンサからの高圧エアにてシリンジ内の液剤を液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔に供給することができる。
【0014】
液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔を円孔とするとともに、液剤押出用ロッドを軸心方向孔に内径面に摺接する丸棒とすることができる。この場合、液剤吐出用ガイド体から押出されて液剤被塗布部位に転写される液剤は円盤状となる。
【0015】
液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔を角孔とするとともに、液剤押出用ロッドを軸心方向孔に各内面にそれぞれ各側面が摺接する角棒とすることができる。この場合、液剤吐出用ガイド体から押出されて液剤被塗布部位に転写される液剤は角形(例えば、四角形)の平盤状となる。
【0016】
液剤押出用ロッドによる液剤押出時に液剤押出用ロッドの液剤押出面が液剤被塗布部位に当接するものであってもよい。このように押出時に液剤押出用ロッドの液剤押出面を液剤被塗布部位に当接させることによって、液剤押出用ロッドにて押出される液剤を安定して液剤被塗布部位に転写することができる。
【0017】
液剤押出用ロッドの液剤押出面の径を0.15mmから0.50mmに設定できる。
【0018】
チップ状のワークを被接合部材に接合するための接合剤塗布に用いることができる。
【0019】
本発明の液剤塗布方法は、液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔に所定量の液剤を一旦供給した後、この軸心方向孔内の液剤を液剤押出用ロッドにて液剤被塗布部位に押出すものである。
【0020】
本発明の液剤塗布方法によれば、軸心方向孔内の液剤を液剤押出用ロッドにて液剤被塗布部位に押出すものであるので、この押出時に液剤押出用ロッドの押出面に液剤が転写された状態となり、この状態のまま液剤被塗布部位に液剤を押出して転写することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、液剤吐出用ガイド体内の液剤を液剤押出用ロッドにて押出すことになり、この状態のまま液剤被塗布部に液剤を押付けることができる。すなわち、液剤押出用ロッドが従来の転写ピンの機能を発揮して、微小ドットを成形することができる。しかも、液剤押出用ロッドは、液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔に沿って摺動するものであり、かつ液剤押出用ロッドの動きはシンプル(上下動するのみ)である。このため、液剤押出用ロッドの押出面に転写状とされている液剤が他の部位に飛散するおそれはなく、高速での転写作業が可能となって、生産性に優れる。
【0022】
しかも、液剤吐出用ガイド体内へは、液剤供給手段にて所定量の液剤が供給され、液剤押出用ロッドによる液剤被塗布部位への液剤の転写量が安定する。特に、液剤供給手段をディスペンサ装置にて構成した場合、液剤吐出用ガイド体内への液剤の供給が安定して、信頼性の高い液剤塗布装置を構成することができる。
【0023】
液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔を円孔とするとともに、液剤押出用ロッドを丸棒とすることによって、液剤を円盤状に液剤被塗布部位に転写することができる。また、液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔を角孔とするとともに、角棒とすることによって、液剤を角形(例えば、四角形)の平盤状に液剤被塗布部位に転写することができる。すなわち、液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔及び液剤押出用ロッドの断面形状を変更することによって、液剤被塗布部位の形状に応じた液剤の転写が可能となり、転写後の作業(例えばダイを接合する作業)が安定する。
【0024】
押出時に液剤押出用ロッドの液剤押出面を液剤被塗布部位に当接させることによって、液剤押出用ロッドにて押出される液剤を安定して液剤被塗布部位に転写することができる。ロッドを液剤被塗布部位に当接する場合、ロッドと液剤被塗布部位との間のギャップ、及び液剤吐出用ガイド体と液剤被塗布部位との間のギャップ等を一定値に設定する必要がない。このため、フレームの厚さのバラツキ等を考慮することなく、安定した転写が可能となる。
【0025】
液剤押出用ロッドの液剤押出面の径を0.15mmから0.50mmに設定でき、これによって、径が0.15mmから0.50mm程度の液剤の微小ドットを形成することができる。
【0026】
このため、本発明の液剤塗布装置は、チップ状のワークを被接合部材に接合するための接合剤塗布に用いる溶剤(接合剤)塗布作業に最適な装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
【0028】
図1は本発明に係る液剤塗布装置の簡略断面図を示し、この液剤塗布装置は、例えば、チップ状のワークとしてのダイを被接合部材としてのリードフレームに接着するダイボンダにおけるリードフレームへ接合剤塗布に用いるものである。液剤塗布装置は、軸心方向孔15を有する液剤吐出用ガイド体16と、この液剤吐出用ガイド体16の軸心方向孔に所定量の液剤S(ダイボンダ用であれば、ぺースト状のハンダ)を供給する液剤供給手段17と、液剤吐出用ガイド体16の軸心方向孔15内をその軸心方向に沿って摺動して軸心方向孔15の液剤Sを液剤被塗布部位Mに押出す液剤押出用ロッド18とを備える。ここで、液剤被塗布部位Mとは、本実施形態では、リードフレーム19のアイランド部19aである。
【0029】
液剤吐出用ガイド体16は筒体からなり、その周壁16aに軸心方向孔15に連通される横孔20を有し、液剤供給手段17から横孔20を介して液剤Sが軸心方向孔15内に供給される。この場合の軸心方向孔15は断面円形の丸孔である。
【0030】
液剤供給手段17は、液剤吐出用ガイド体16の軸心方向孔15へ液剤Sを供給するシリンジ21を備えたディスペンサ装置22にて構成することができる。すなわち、ディスペンサ装置22は、横孔20に連通路23を介して連通される前記シリンジ21と、このシリンジ21に高圧エアを供給するディスペンサ24と、このディスペンサ24へのエア圧等を制御する図示省略のコントローラとを備える。
【0031】
このため、コントローラにて制御された高圧エアがディスペンサ24からシリンジ21に供給されることによって、シリンジ21内の液剤Sが連通路23を介して軸心方向孔15内に液剤Sが図1(b)のように押出される。この場合、ディスペンサ24からシリンジ21に供給される高圧エアの吐出量が制御され、横孔20から軸心方向孔15内に押出される液剤Sの押出量は所定量、つまりリードフレーム19のアイランド部19aへ液剤S(ハンダ)の必要塗布量である。
【0032】
液剤押出用ロッド18は断面円形の丸棒からなり、駆動手段25を介して、軸心方向孔15内を矢印A、Bのように軸心方向に沿って往復動する。駆動手段25は、例えば、図例のようにソレノイドにて構成することができる。すなわち、この場合の駆動手段25は、コイル部を有する本体部26と、本体部26のコイル部に電流を流すことによって、軸心方向に沿って往復動するプランジャ27とを備える。このため、図1(b)に示す状態から、プランジャ27が矢印A方向にスライドすることよって、図1(c)に示すように、液剤押出用ロッド18が押し下げられる。また、図1(c)に示す状態から、プランジャ27が図1(b)に示すように矢印B方向にスライドすることによって、液剤押出用ロッド18が上昇する。
【0033】
軸心方向孔15の孔径(内径)と液剤押出用ロッド18の外径とは、液剤押出用ロッド18が軸心方向孔15内を摺動することができ、しかも、軸心方向孔15の内径面と液剤押出用ロッド18の外径面との間に液剤が浸入しない程度とされる。液剤押出用ロッド18の外径としては、例えば、0.15mmから0.50mmに設定できる。
【0034】
次に、前記のように構成された液剤塗布装置を用いた液剤Sの塗布方法を説明する。まず、図1(a)に示すように、液剤被塗布部位M(リードフレーム19のアイランド部19a)に対して、僅かなギャップG1をもって液剤吐出用ガイド体16の下面16bを対向させる。この場合、液剤吐出用ガイド体16は固定され、リードフレーム19が図示省略の搬送手段(搬送レール等)にて順次アイランド部19aが対向するように間欠的に搬送される。なお、前記ギャップG1は常時一定値に設定されるものではなく、リードフレーム19のバラツキに応じて種々変動することになる。
【0035】
次に、図1(b)に示すように、液剤供給手段17によって所定量(アイランド部19aに必要とする最適量)が液剤吐出用ガイド体16の軸心方向孔15に押出される。その後、液剤吐出用ガイド体16の軸心方向孔15に挿通された押出用ロッド18が、図1(b)の矢印A方向へ摺動する。これによって、横孔20から軸心方向孔15に押出されている液剤Sが押出用ロッド18の押出面18aにて掻き取られ、押出面18aにて液剤Sが液剤被塗布部位M側へ液剤吐出用ガイド体16の吐出口(液剤吐出用ガイド体16の軸心方向孔15の下方開口部)を介して押出される。
【0036】
液剤被塗布部位M側へ押出されることによって、液剤Sが液剤被塗布部位Mに押付けられて、液剤被塗布部位Mに転写される。その後は、押出用ロッド18を上昇させて、図1(a)に示す状態に戻す。押出用ロッド18を図1(a)に示す状態に戻した場合、次の液剤被塗布部位M(アイランド部19a)を対応させる。以上の工程を順次行うことによって、リードフレーム19のアイランド部19aに順次液剤Sを塗布していくことができる。
【0037】
本発明によれば、液剤吐出用ガイド体16内の液剤を液剤押出用ロッド18にて押出すことになり、この状態のまま液剤被塗布部位Mに液剤Sを押付けることができる。すなわち、液剤押出用ロッド18が従来の転写ピンの機能を発揮して、微小ドットを成形することができる。しかも、液剤押出用ロッド18は、液剤吐出用ガイド体16の軸心方向15に沿って摺動するものであり、かつ液剤押出用ロッド18の動きはシンプル(上下動するのみ)である。このため、液剤押出用ロッド18の押出面18aに転写状とされている液剤Sが他の部位に飛散することがなく、高速での転写作業が可能となって、生産性に優れる。
【0038】
しかも、液剤吐出用ガイド体16内へは、液剤供給手段17にて所定量の液剤が供給され、液剤押出用ロッド18による液剤被塗布部位Mへの液剤Sの転写量が安定する。特に、液剤供給手段17をディスペンサ装置にて構成した場合、液剤吐出用ガイド体16内への液剤の供給が安定して、信頼性の高い液剤塗布装置を構成することができる。
【0039】
押出時に液剤押出用ロッド18の液剤押出面18aを液剤被塗布部位Mに当接させることによって、液剤押出用ロッド18にて押出される液剤を安定して液剤被塗布部位Mに転写することができる。ロッド18を液剤被塗布部位Mに当接する場合、ロッド18と液剤被塗布部位Mとの間のギャップ、及び液剤吐出用ガイド体16と液剤被塗布部位Mとの間のギャップを一定に設定する必要がない。このため、フレーム19の厚さのバラツキ等を考慮することなく、安定した転写が可能となる。
【0040】
液剤押出用ロッド18の液剤押出面18aの径を0.15mmから0.50mmに設定でき、これによって、径が0.15mmから0.50mm程度の液剤Sの微小ドットを形成することができる。
【0041】
このため、本発明の液剤塗布装置は、ダイをリードフレーム19に接着するダイボンダにおけるリードフレーム19へ接合剤塗布作業に最適な装置となる。
【0042】
前記実施形態では、軸心方向孔15を円孔とするとともに、液剤押出用ロッド18を丸棒としているが、液剤吐出用ガイド体16の軸心方向孔15を角孔とするとともに、液剤押出用ロッド18を角棒とすることができる。このように、液剤吐出用ガイド体16の軸心方向孔15を円孔とするとともに、液剤押出用ロッド18を丸棒とすることによって、液剤Sを円盤状に液剤被塗布部位Mに転写することができる。また、液剤吐出用ガイド体16の軸心方向孔15を角孔とするとともに、液剤押出用ロッド18を角棒とすることによって、液剤を角形(例えば、四角形)の平盤状に液剤被塗布部位Mに転写することができる。すなわち、液剤吐出用ガイド体16の軸心方向孔15及び液剤押出用ロッド18の断面形状を変更することによって、液剤被塗布部位Mの形状に応じた液剤Sの転写が可能となり、転写後の作業(例えばダイを接合する作業)が安定する。
【0043】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、液剤供給手段17として、圧力制御方式のディスペンサ装置であっても、容積計量方式のディスペンサ装置であってもよい。圧力制御方式のディスペンサ装置とは、一般的には、液剤を圧力容器に入れ、ディスペンサから圧縮空気を直接液剤に与え、吐出する方法(本実施形態の方法)である。容積計量方式のディスペンサ装置とは、流路中に一定あるいは可変の計量室を設け、その容積分の計算・吐出を行う方法である。また、所定量の液剤を供給できればよいので、ディスペンサ装置を使用することなく、ギアポンプ等の他の装置を用いてもよい。
【0044】
駆動手段25としても、シリンダ機構、ボールねじ機構等の種々の往復動機構を用いることができる。また、液剤押出用ロッド18の反押出面側に、押出面18aが液剤被塗布部位Mに当接した際の反力を受ける弾性材(スプリング等)を設けてもよい。この弾性材によって、当接時の液剤押出用ロッド18の衝撃を緩和することができ、耐久性に優れるものとなる。さらに、用いる装置としてはダイボンダに限るものではなく、種々の流体(例えば、各種のオイル、樹脂、グリス、ペースト等の高粘度液等)を微小ドットで塗布する場合に用いることができる。すなわち、チップ状のワークとしては、ダイに限るものではなく、他の種々電子部品であってもよく、避接合部材としてはリードフレームに限るものではなく、基板(プリント基板やフレキシブル基板)等であってもよい。
【0045】
液剤吐出用ガイド体16の軸心方向孔15を角孔とするとともに、液剤押出用ロッド18を角棒とする場合、四角に限るものではなく、5角形以上のものであってもよい。なお、前記実施形態では、液剤押出用ロッド18にて液剤被塗布部位Mに転写する際には、液剤押出用ロッド18の押出面18aを液剤被塗布部位Mに当接させていたが、当接させないで、押出面18aにて液剤被塗布部位Mに液剤を押付ける程度のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態を示す液剤塗布装置の簡略断面図である。
【図2】従来の液剤塗布装置の簡略拡大図である。
【図3】前記図2の液剤塗布装置の要部拡大図である。
【図4】従来の他の液剤塗布装置の簡略図である。
【符号の説明】
【0047】
15 軸心方向孔
16 液剤吐出用ガイド体
17 液剤供給手段
18 液剤押出用ロッド
18a 押出面
19 リードフレーム
M 液剤被塗布部位
S 液剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心方向孔を有する液剤吐出用ガイド体と、この液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔に所定量の液剤を供給する液剤供給手段と、液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔内をその軸心方向に沿って摺動して軸心方向孔の液剤を液剤被塗布部位に液剤吐出用ガイド体の吐出口から押出す液剤押出用ロッドとを備えたことを特徴とする液剤塗布装置。
【請求項2】
液剤供給手段は、液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔へ液剤を供給するシリンジを備えたディスペンサ装置にて構成したことを特徴とする請求項1に記載の液剤塗布装置。
【請求項3】
液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔を円孔とするとともに、液剤押出用ロッドを軸心方向孔に内径面に摺接する丸棒としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液剤塗布装置。
【請求項4】
液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔を角孔とするとともに、液剤押出用ロッドを軸心方向孔に各内面にそれぞれ各側面が摺接する角棒としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液剤塗布装置。
【請求項5】
液剤押出用ロッドによる液剤押出時に液剤押出用ロッドの液剤押出面が液剤被塗布部位に当接することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の液剤塗布装置。
【請求項6】
液剤押出用ロッドの液剤押出面の径が0.15mmから0.50mmであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の液剤塗布装置。
【請求項7】
チップ状のワークを被接合部材に接合するための接合剤塗布に用いることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の液剤塗布装置。
【請求項8】
液剤吐出用ガイド体の軸心方向孔に所定量の液剤を一旦供給した後、この軸心方向孔内の液剤を液剤押出用ロッドにて液剤被塗布部位に押出すことを特徴とする液剤塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−82876(P2009−82876A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258891(P2007−258891)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000110859)キヤノンマシナリー株式会社 (179)
【Fターム(参考)】