説明

液晶パネル検査装置の焦点合わせ方法

【課題】画像の一部だけに明暗差がある場合でも、液晶パネル検査装置の焦点合わせを高速に、かつ、精度良く実施できるようにする。
【解決手段】液晶パネル10を撮像装置12で撮影して、N画素(例えば4008×2672)の輝度データからなる全領域データを取得する。この全領域データをM個(例えば20×20=400個)の小領域データに分割する。小領域データのそれぞれについて、輝度データの分散を算出する。M個の小領域データの分散を合計して合計値を算出する。撮像装置の焦点合わせ条件を変更して、上述の動作を繰り返す。複数の焦点合わせ条件のそれぞれについて前記合計値を取得して、その合計値が最大となる焦点合わせ条件を最適な焦点合わせ条件であると決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル検査装置において撮像装置で液晶パネルを撮影する際の焦点合わせの方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル検査装置において、撮像装置で液晶パネルを撮影して、その撮影データに基づいて液晶パネルの良否を判定するものがある。そのような撮影の際に、撮像装置の焦点合わせが必要になる。焦点合わせの手法のひとつとして画像のコントラストを用いるものが知られている。すなわち、画像のコントラストが鮮明であればあるほど(画素の輝度のばらつきが大きれば大きいほど)、焦点が合っている、と判断するものである。この場合、画像を構成する多数の画素の輝度について、分散または標準偏差(分散の平方根)を求めて、その分散または標準偏差が最大になる条件(コントラストが鮮明であるところ)を合焦条件と決定する。そのような手法は、例えば、次の特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2004−294965号公報
【0003】
しかし、画像全体の分散に基づいてコントラストの鮮明さを判断すると、次のような問題がある。画像の一部だけに明暗差があり、その他の領域では明暗差がほとんどない場合に、画像全体の分散を求めると、コントラストが鮮明である場合(焦点が合っている場合)と、コントラストが鮮明でない場合(焦点が合っていない場合)とで、分散の違いがあまり目立たない。そこで、画像の一部だけに明暗差があるような場合でも、焦点合わせを高速で、かつ、精度良く実施できる手法が期待されている。
【0004】
ところで、本発明は画像を複数の小領域に分割してそれぞれの小領域の分散を求めることに関係しているが、そのような手法に関連するものとして次の特許文献2と特許文献3が知られている。
【特許文献2】特開2002−277725号公報
【特許文献3】特表2008−504575号公報
【0005】
特許文献2は、画像信号の高周波成分を焦点評価値として用いるものであるが、画像を複数のブロックに分割して、ブロック毎に焦点評価値を求めている。そして、高輝度のブロックの焦点評価値と低コントラストのブロックの焦点評価値を焦点評価には使わないようにすることで、合焦精度を向上させている。
【0006】
特許文献3は、画像信号の標準偏差に基づいて焦点合わせをするものであるが、画像を複数の部分領域に分割して、部分領域毎に標準偏差を算出している。撮影対象の表面に高さのばらつきがあると、場所ごとに合焦位置が異なってくるが、部分領域毎に標準偏差を算出することで、部分領域毎に合焦位置を求めることができる。そして、例えば、それらの複数の合焦位置の平均をとることで最適な合焦位置を選ぶことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1〜3に開示された従来技術は、液晶パネルを撮像して焦点合わせをする場合に、画像の一部だけに明暗差があるときにも焦点合わせを高速で、かつ、精度良く実施することには適していない。
【0008】
本発明の目的は、画像の一部だけに明暗差がある場合でも、焦点合わせを高速に、かつ、精度良く実施できる、液晶パネル検査装置の焦点合わせ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る液晶パネル検査装置の焦点合わせ方法は次の段階を備えている。(a)液晶パネルを撮像装置で撮影して、N画素(Nは3以上の自然数)の輝度データからなる全領域データを取得する段階。(b)前記全領域データをM個(MはNより小さい2以上の自然数)の小領域データに分割する段階。(c)前記M個の小領域データのそれぞれについて、輝度データの分布のばらつきの程度を表す統計量を算出する段階。(d)前記M個の小領域データの前記統計量を合計して合計値を算出する段階。(e)前記撮像装置の焦点合わせ条件を変更して、前記(a)から(d)までの段階を繰り返す段階。(f)複数の前記焦点合わせ条件のそれぞれについて前記合計値を取得して、その合計値が最大となる焦点合わせ条件を最適な焦点合わせ条件であると決定する段階。
【0010】
分割数Mは100〜1000の範囲内とすることが好ましい。分割数Mが小さすぎると、本発明の効果が低くなる。分割数Mが大きすぎると、焦点合わせに時間がかかる割には本発明の効果が頭打ちになる。ばらつきの程度を表わす統計量は、例えば、分散または標準偏差である。焦点合わせ条件は、例えば、撮像装置の焦点距離を表す指標である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液晶パネルの撮像装置について焦点合わせを実施する場合に、明暗差が一部にしかない画像であっても、高速かつ高精度に焦点合わせを実施できる。焦点合わせ条件の広い範囲で焦点合わせの感度が高くなるので、焦点合わせ条件のサンプリング間隔を広くとることができて、焦点合わせを高速に実施できる。また、焦点合わせ用の画像パターンを表示しなくても、撮影画像内に小さなコントラスト差があるだけで焦点合わせが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳しく説明する。図1は撮像装置と液晶パネルの位置関係を示した正面図である。液晶パネル10は液晶検査装置のパネル設置面の上に載っている。液晶パネル10の上方には撮像装置12が配置されている。撮像装置12は、例えばCCDカメラであって、撮影した画像を多数の画素のデジタルデータとして記録することができる。この撮像装置12を用いて、点灯状態の液晶パネル10を撮影して、液晶パネル10の良否の検査をすることができる。撮像装置12のレンズ系の焦点距離は、フォーカスリング13を回すことで変えることができる。実施例では、レンズ系の焦点距離は60cmから無限遠の範囲内で変化する。フォーカスリング13はパルスモータで回転させることができ、パルスモータのパルス数がフォーカスリング13の回転角度に対応している。実施例では、1パルスがフォーカスリングの約0.01度の回転に相当する。このパルス数が撮像装置の焦点距離を表す指標に該当し、これが焦点合わせ条件になる。レンズ系の焦点をちょうど液晶パネル10の表面のところに合わせてから、撮像装置12によって液晶パネル10を撮影することができる。本発明は、その焦点合わせの方法に特徴がある。
【0013】
図2は本発明の原理を説明する説明図である。撮像装置で撮影された画像データを全領域データ14と呼ぶことにすると、この全領域データを複数の小領域データ16に分割することに特徴がある。全領域データ14は、多数の画素についての座標と輝度からなるデータである。全領域データ14は、画素の座標の位置に輝度データを割り当てることで、XY平面上の2次元配列のデータとして表現できる。これは、ちょうど液晶パネルの各位置における輝度データに相当する。画素(すなわち、それに対応する液晶パネル上の位置)のX軸方向の座標がxであり、Y軸方向の座標がyである。図2は全領域データ14を10×10=100個の小領域データ16に分割した例を示している。すなわち、全領域データ14をX軸方向に10分割し、Y軸方向に10分割している。分割個数をM個で表わせば、M=100である。
【0014】
本発明は、小領域データ16ごとに分散を算出して、それを合計することに特徴がある。小領域データ16の分散は次のようにして算出する。小領域データ16に属する画素の座標を(x,y)とし、その画素の輝度をd(x,y)とする。小領域データ16の分散σは図2に示す(1)式で算出される。小領域データ16に属するすべての画素の輝度について平均値を求めて、その平均輝度をDとする。各画素について、平均輝度Dと、画素の輝度d(x,y)との差分を求める。その差分を自乗する。この自乗した値を小領域データ16のすべての画素について合計する。その合計値を小領域データ16の画素数nで割り算する。その結果として得られるものが小領域データ16の分散σである。この分散σは、小領域データ16における輝度のばらつきの程度を表している。そして、M個の小領域データ16の分散を合計して、この合計値(これを、分散和と呼ぶことにする)を焦点合わせの評価量として用いる。分散和は(2)式で算出する。すなわち、1番目の小領域データからM番目の小領域データまでの分散σを合計する。
【0015】
図3は本発明の効果を説明するグラフである。図3(A)は、全領域データに対して単一の分散を算出して焦点合わせをしたことを想定した、焦点合わせ条件の探索グラフである。横軸は撮像装置の焦点距離を表す指標であり、これをフォーカス位置と呼ぶことにする。縦軸は全領域データを対象にして算出した単一の分散である。曲線18はフォーカス位置に応じた分散の変化を示すものである。フォーカス位置を変えて、その都度、分散を算出すると、分散が上昇する位置が見つかる。その付近ではコントラストが鮮明になっており、したがって、この付近で撮像装置の焦点が合っていることが分かる。画像の取り込み位置の刻みを粗くすると、分散が上昇する位置を見失うおそれがあるので、フォーカス位置のサンプリング間隔はあまり粗くできない。一方、サンプリング間隔を小さくすると、焦点合わせに時間がかかるという問題がある。
【0016】
一方、図3(B)は、全領域データをM個の小領域データに分割して分散和を算出して焦点合わせをした、焦点合わせ条件の探索グラフである。横軸はフォーカス位置、縦軸は分散和である。曲線20はフォーカス位置に応じた分散和の変化を示すものである。分散和は分散と比較すると、変化度合が大きくなる傾向がある。どの程度大きくなるかは、画像の輝度の分布状況に依存するが、いずれにしても、逆転する(分散和が分散よりもフォーカス位置に応じた変化度合が小さくなる)ことはない。フォーカス位置に応じた変化度合が大きくなると、取り込み位置を粗くしても、すなわち、フォーカス位置のサンプリング間隔を大きくしても、分散が上昇するフォーカス位置を見失うことがない。したがって、高速で(短時間で)、最適な焦点合わせ条件を見つけることができる。
【0017】
分散和が分散よりも有利であることを以下に詳しく説明する。図4は画像全体の中で、一部の領域だけに明暗差があって、その他の領域では明暗差がほとんどないような画像についての、輝度のヒストグラム(度数分布図)である。図4(A)は、そのような画像についての、焦点が合っていない場合のヒストグラムである。図4(B)は、その同じ画像についての、焦点が合っている場合のヒストグラムである。焦点が合うと、明暗差がある領域において、画素間の輝度の差が大きくなってくるので、輝度の大きい側と小さい側に、度数が大きくなる山22,24が現れる。しかしながら、明暗差のない大部分の領域では、焦点が合っていても合っていなくても、それらの領域の画素はほぼ同じ輝度になっているので、中央の度数の大きな山26は、焦点が合っていても合っていなくても、ほとんど変化しない。したがって、図4(A)のヒストグラムから算出した分散と、図4(B)のヒストグラムから算出した分散を比較すると、図4(B)の分散の方が大きくなってはいるが、その増加分はあまり目立たない。
【0018】
図5は画像全体の多くの領域で明暗差があるような画像についての、輝度のヒストグラム(度数分布図)である。図5(A)は、そのような画像についての、焦点が合っていない場合のヒストグラムである。図5(B)は、その同じ画像についての、焦点が合っている場合のヒストグラムである。焦点が合うと、画素間の輝度の差が大きくなってくるので、輝度の大きい側と小さい側に、度数が大きくなる山28,30が現れる。したがって、図5(A)のヒストグラムから算出した分散と、図5(B)のヒストグラムから算出した分散を比較すると、図5(B)の分散の方が大きくなる。これにより、焦点が合っていると判断することができる。本発明は、全領域データを小領域データに分割することで、明暗差がある小領域においては、図5のような状況を作り出していることになる。
【0019】
次に、分散和が分散よりも有利であることを、簡単なモデルを使って説明する。図6は全領域データが6×6=36画素のデータからなるようなモデルでの分散と分散和を示すものである。図6(A)は焦点が合っていないときの各画素の輝度を示している。36画素を3×3=9個の小領域に分割すると仮定すると、1個の小領域には4個の画素が含まれる。9個の小領域は、横方向にA,B,C,縦方向にa,b,cと名前を付けている。Aa領域の4個の画素の輝度はすべて10である。同様に、Ba,Ca,Ac,Bc,Ccの各小領域の4個の画素の輝度もすべて10である。一方、Ab領域では、2個の画素の輝度が12で、他の2個の画素の輝度が20である。Bb,Cb領域でも同様である。すなわち、b列の三つの小領域だけに明暗差が存在する。
【0020】
図6(B)は、図6(A)と同じ画像について、焦点が合ったときの輝度データである。Aa,Ba,Ca,Ac,Bc,Ccの6個の小領域の4個の画素の輝度はすべて10である。すなわち、これらの小領域では、明暗差がないので、焦点が合っていても、合っていなくても、輝度は変化しない。一方、Ab領域では、2個の画素の輝度が10で、他の2個の画素の輝度が22である。焦点が合うことによって、図6(A)と比較して、輝度12の画素が輝度10に低下し、輝度20の画素が輝度22に上昇する。
【0021】
図6(A)について、分散と分散和を算出する。全領域の分散は、36個の画素を対象として上述の(1)式で計算でき、分散=13.33である。9個の小領域に分割したときの分散和は上述の(2)式で計算でき、分散和=48である。図6(B)についても分散と分散和を算出すると、分散=20であり、分散和=108である。分散を用いて焦点合わせをすることを想定すると、図6(A)から図6(B)に移行することで、分散が13.33から20に変化する。すなわち、分散の増加割合は1.5倍である。これに対して、分散和を用いて焦点合わせをすることを想定すると、図6(A)から図6(B)に移行することで、分散和が48から108に変化する。すなわち、分散和の増加割合は2.25倍である。このように、画像の一部に明暗差がある場合、焦点合わせ条件を変化させた場合に、全領域データを対象とした分散の変化割合と比較して、分散和の変化割合の方が大きくなる。なお、画像のどの領域でも一様に明暗差が存在する場合は、分散の変化割合と分散和の変化割合はほとんど同じになる。いずれにしても、分散和の方が不利になることはない。
【0022】
図8は液晶パネル検査装置における焦点合わせ用の画像パターンの説明図である。図8(A)は液晶パネル10の表示画面34に焦点合わせ用の画像パターンを表示したものである。明るい(または暗い)の地の中に、それと反対の暗い部分(または明るい部分)36が、画面全体に一様に点在している。図8(B)は焦点合わせ用の別の画像パターンの例である。このような焦点合わせ用の画像パターンを用いれば、全領域データについての単一の分散を用いて焦点合わせをしても、図4で説明したような不都合はそれほど生じない。明暗差が画面全体に一様に分布しているからである。図8(C)は焦点合わせ用の画像パターンを使わずに、表示画面34を一様に点灯させた例(全面点灯)である。このような画像に対して、全領域データに対して単一の分散を用いて焦点合わせをすると、焦点合わせがうまくいなかいおそれがある。これに対して、分散和を用いて焦点合わせをすると、このような画像に対しても、焦点合わせが高速でかつ高精度で実施できる。このような一様画面の場合、表示画面34とその周囲の額縁部分38との境界で明暗差が生じるので、この部分の明暗差に起因して、焦点合わせがうまくいく。したがって、液晶パネルの画像を撮影するときは、表示画面34だけではなくて、それよりも外側の額縁部分までを含むようにする。さらに、消灯状態で洩れる光を利用して焦点合わせをすることもできる。なお、図8(A)や図8(B)のような画像パターンを用いる場合でも、本発明は有効に機能することはもちろんである。したがって、本発明は液晶パネルの表示画面にどのような画像が表示されていても、焦点合わせがうまくいくものである。
【0023】
図7は焦点合わせの実測例を示すグラフである。図8(C)に示す一様点灯の液晶パネルに対して、フォーカス位置を変化させて液晶パネルの撮影画像を取得したものである。そして、全画像データ(4008画素×2672画素)をM個の小領域に分割して分散和を算出している。横軸はフォーカス位置であり、具体的には、撮像装置のフォーカスリングを回転させるパルスモータのパルス数である。縦軸は正規化した分散和である。分散和は、分割数Mに依存して絶対値が異なるので、焦点が全く合っていないフォーカス位置での分散和が、分割数Mが異なっても互いに等しくなるように(すなわち、すべて1になるように)、正規化している。グラフに示したものは、分割数が1×1=1個(分割していないもの)、3×3=9個、5×5=25個、10×10=100個、20×20=400個、40×40=1600個の6種類である。実際には、フォーカス位置(パルス数)が0〜5600の間で画像を取得して分散和を算出しているが、図7に示すものは、そのうちのフォーカス位置(パルス数)が2800〜5400の範囲である。それ以外の範囲では、すべてのMに対して、分散和はほぼ1に等しい。図7のグラフから分かるように、焦点が合う付近では分散和が大きくなり、しかも、分割数が多いほど、分散和はより大きくなる。分割数が1の場合と比較すると、分割数を10×10=100にすれば、分散和は十分大きくなることが分かる。したがって、分割数が100以上であれば効果的である。分割数が大きくなればなるほど演算時間が増加して、焦点合わせの時間が増加するので、分割数をあまり多くする利点はない。分割数は100〜1000程度が適切である。
【0024】
図9は焦点合わせ方法のフローチャートである。まず、最初の焦点合わせ条件を設定する(ステップS1)。実施例では、焦点合わせ条件はフォーカス位置であり、最初の焦点合わせ条件は、最初のフォーカス位置である。そのフォーカス位置で液晶パネルを撮影して画像データを取得し、これを全領域データとする(ステップS2)。この全領域データをM個の小領域に分割する(ステップS3)。そして、各小領域データについて分散を算出し(ステップS4)、その分散の合計値(分散和)を算出する(ステップS5)。その後、その焦点合わせ条件が最後の焦点合わせ条件であるか否かを判断する(ステップS6)。最後の焦点合わせ条件とは、実施例では、フォーカス位置のサンプリングの最後の位置である。最後の焦点合わせ条件でなければ、焦点合わせ条件を変更する(ステップS7)。実施例では、次のフォーカス位置を設定する。そして、ステップS2に戻る。ステップS6において、最後の焦点合わせ条件であると判断すると、それまでに取得した合計値(分散和)の中で最大のものを探し出し、そのときの焦点合わせ条件(フォーカス位置)を取得する(S8)。これにより、最適な焦点合わせ条件を見つけることができる。
【0025】
図9のフローチャートは粗い焦点合わせのあとに細かい焦点合わせを実施するように変更することができる。すなわち、最初に、粗いサンプリング間隔で焦点合わせを実施して、分散和が大きくなるフォーカス位置のおおよその位置を決定する。次に、その付近だけを、もっと細かいサンプリング間隔条件で、焦点合わせを実施する。このようなループを例えば3回程度繰り返せば、高精度の焦点合わせが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】撮像装置と液晶パネルの位置関係を示した正面図である。
【図2】本発明の原理を説明する説明図である。
【図3】本発明の効果を説明するグラフである。
【図4】明暗差が一部にしかない画像の輝度ヒストグラムである。
【図5】明暗差を多く含む領域の輝度ヒストグラムである。
【図6】試算モデルの輝度データである。
【図7】焦点合わせの実測例を示すグラフである。
【図8】液晶パネル検査装置における焦点合わせ用の画像パターンの説明図である。
【図9】焦点合わせ方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
10 液晶パネル
12 撮像装置
13 フォーカスリング
14 全領域データ
16 小領域データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を有する液晶パネル検査装置の焦点合わせ方法。
(a)液晶パネルを撮像装置で撮影して、N画素(Nは3以上の自然数)の輝度データからなる全領域データを取得する段階。
(b)前記全領域データをM個(MはNより小さい2以上の自然数)の小領域データに分割する段階。
(c)前記M個の小領域データのそれぞれについて、輝度データの分布のばらつきの程度を表す統計量を算出する段階。
(d)前記M個の小領域データの前記統計量を合計して合計値を算出する段階。
(e)前記撮像装置の焦点合わせ条件を変更して、前記(a)から(d)までの段階を繰り返す段階。
(f)複数の前記焦点合わせ条件のそれぞれについて前記合計値を取得して、その合計値が最大となる焦点合わせ条件を最適な焦点合わせ条件であると決定する段階。
【請求項2】
請求項1に記載の焦点合わせ方法において、前記Mは100〜1000の範囲内であることを特徴とする焦点合わせ方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の焦点合わせ方法において、前記統計量は分散または標準偏差であることを特徴とする焦点合わせ方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の焦点合わせ方法において、前記焦点合わせ条件は前記撮像装置の焦点距離を表す指標であることを特徴とする焦点合わせ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−8438(P2010−8438A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163929(P2008−163929)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000153018)株式会社日本マイクロニクス (349)
【Fターム(参考)】