説明

液晶パネル

【課題】液晶を挟む2つの基板のうち一方の基板に、複数の薄膜トランジスタと複数の信号線と複数の走査線とに加えて、カラーフィルタ層が形成された液晶パネルにおいて、各画素の開口率を向上する。
【解決手段】第1の基板10には、カラーフィルタ層を形成する複数の色材膜18が形成されている。隣接する2つの色材膜18の間には、それらを区画する仕切り部32が形成されている。共通電極21は、一方の色材膜18の上側から仕切り部32の上側を越えて他方の色材膜18の上側まで続いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶を挟む2つの基板のうち一方の基板に、複数の薄膜トランジスタと複数の信号線と複数の走査線とに加えてカラーフィルタ層が形成された液晶パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは互いに向き合う2つの基板を有し、それらの間に液晶が封入されている。従来、薄膜トランジスタと、3色の色材膜からなるカラーフィルタ層とが一方の基板に形成された液晶パネルがある(例えば、特許文献1)。この種の液晶パネルでは、互いに隣接する2つの色材膜は、それらの縁が重なるように形成されている。2つの色材膜の重なり部分は、その下方に形成された信号線や、重なり部分の上方に形成されたブラックマトリクスによって遮蔽されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−50387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の液晶パネルでは、隣接する2つの色材膜の重なり部分を隠すために信号線等の幅を広くする必要が有り、これが画素の開口率を下げる要因となっていた。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、一方の基板に薄膜トランジスタとカラーフィルタ層とが形成された液晶パネルにおいて、各画素の開口率を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る液晶パネルは、液晶を挟む2つの基板のうち一方の基板に、複数の薄膜トランジスタと、複数の走査線と、複数の信号線と、複数の画素電極と、少なくとも1つの共通電極と、カラーフィルタ層を形成する複数の色材膜と、を有している。前記複数の色材膜のうち隣接する2つの色材膜の間には、当該2つの色材膜を区画し且つ遮光する仕切り部が形成されている。前記少なくとも1つの共通電極は、前記2つの色材膜のうち一方の色材膜の上側から前記仕切り部を越えて他方の色材膜の上側まで続くよう形成されている。前記複数の画素電極は、前記共通電極と絶縁膜を介して互いに積層され、前記複数の色材膜にそれぞれ対応して配置されている。
【0007】
本発明では、隣接する2つの色材膜の間に、それらを区画する仕切り部が形成されている。このため、隣接する2つの色材膜の縁が重なることを防ぐことができる。また、共通電極は一方の色材膜の上側から仕切り部の上側を越えて他方の色材膜の上側まで続いている。そのため、各色材膜に対応して形成された画素電極の間隔を狭めることができる。その結果、隣接する2つの色材膜の重なりによって混色が生じることを抑えながら、各画素の開口率を向上できる。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記仕切り部は、少なくとも前記信号線の上側に形成され、前記仕切り部の幅は前記信号線の幅よりも小さくてもよい。この態様によれば、さらに画素の開口率を向上できる。
【0009】
また、本発明の他の態様では、前記複数の画素電極は前記共通電極の上側に形成されてもよい。この態様によれば、画素電極と共通電極との間に色材膜が形成される構造に比べて、液晶を安定的に駆動できる。
【0010】
また、本発明の他の態様では、前記一方の基板は、当該一方の基板と他方の基板との間隔を規定するスペーサを有し、前記スペーサは、前記複数の色材膜と同じ材料が積層されることで形成されてもよい。この態様によれば、液晶パネルの材料費を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶パネルに形成された配線及び薄膜トランジスタの平面図である。
【図2】図1のII−II線で示される切断面で得られる液晶パネルの断面図である。
【図3】図1のIII−III線で示される切断面で得られる液晶パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態の例である液晶パネル1が備える第1の基板10に形成された配線及び薄膜トランジスタ2の平面図である。図2は、図1のII−II線で示される切断面で得られる液晶パネル1の断面図である。図3は、図1のIII−III線で示される切断面で得られる液晶パネル1の断面図である。なお、図1においては、後述する仕切り部32や遮蔽部31の部分に網掛けが施してある。
【0013】
図2に示すように、液晶パネル1は互いに向き合う第1の基板10と第2の基板12とを有している。第1の基板10と第2の基板12は、例えば透明なガラス基板である。第1の基板10と第2の基板12との間には液晶3が封入されている。
【0014】
液晶パネル1では、第1の基板10にカラーフィルタ層と複数の薄膜トランジスタ(以下において単にTFTとする)2の双方が形成されている。また、この例の液晶パネル1はIPS(In Plane Switching)方式のパネルである。そのため、各画素の階調値を表す映像信号がTFT2を介して印加される複数の画素電極23と、画素電極23に対向する共通電極21とが第1の基板10に形成されている。複数の画素電極23と共通電極21は、絶縁膜24を介して互いに積層されている。画素電極23と共通電極21は、酸化インジウム錫(ITO(Indium Tin Oxide))などの透明導電膜で形成されている。なお、図2に示す例では、第2の基板12の裏面にもITOからなる透明導電膜13が形成されている。
【0015】
図1及び図2に示すように、第1の基板10上には、TFT2をオン/オフするためのゲート電圧を当該TFT2に印加するための複数の走査線4が形成されている。複数の走査線4は互いに平行となっている。図2に示すように、走査線4上には、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiNx)などの透明絶縁材料で形成されたゲート絶縁膜6が形成されている。走査線4はゲート絶縁膜6によって覆われている。
【0016】
ゲート絶縁膜6上には、TFT2を介して画素電極23に映像信号を供給するための複数の信号線5が形成されている。複数の信号線5は互いに平行に形成されるとともに各走査線4に対して直交している。すなわち、信号線5と走査線4は格子状をなし、隣接する2つの信号線5と隣接する2つの走査線4とで囲まれる領域が1つの画素を構成している。
【0017】
TFT2は各画素に設けられている。図2に示すように、TFT2は走査線4上に形成されており、走査線4がTFT2のゲート電極として機能している。TFT2は、信号線5に接続されたソース電極7と、アモルファスシリコンなどの半導体層9と、半導体層9によって形成されるチャネル部を挟んでソース電極7とは反対側に位置するドレイン電極8とを有している。ソース電極7とドレイン電極8は、信号線5とともにゲート絶縁膜6上に形成されている。また、半導体層9もゲート絶縁膜6上に形成され、走査線4の上方に位置している。ソース電極7の端部とドレイン電極8の端部は半導体層9上に位置している。
【0018】
図2に示すように、TFT2と信号線5は、それらの上に形成された保護絶縁膜14によって覆われている。この保護絶縁膜14もSiO2やSiNxなどの透明絶縁材料で形成されている。
【0019】
保護絶縁膜14上には遮光部31が形成されている。遮光部31は、カーボンなどを含有する樹脂ブラックや金属クロムなど光透過率が抑えられた材料で、形成されている。遮光部31は走査線4の上方に位置し、当該走査線4に沿った方向に伸びている。また、遮光部31は走査線4の幅よりも大きな幅を有している。
【0020】
上述したように、第1の基板10にはカラーフィルタ層が形成されている。カラーフィルタ層は、互いに色の異なる3種(赤、緑、青)の色材膜18によって形成されている(図2では隣接する2つの色材膜18が示されている)。この例では、色材膜18は保護絶縁膜14上に形成されている。色材膜18は例えば着色された樹脂によって形成される。各画素に1つの色材膜18が設けられている。ここで説明する例の色材膜18は平面視において矩形であり、隣接する2つの走査線4と隣接する2つの信号線5とで囲まれる領域の概ね全域に広がっている。3種の色材膜18は走査線4の延伸方向において一定の順序で並んでいる。
【0021】
図2に示すように、隣接する2つの色材膜18(詳細には、走査線4の延伸方向において隣接する、互いに色の異なる2つの色材膜18)の間には仕切り部32が形成されている。仕切り部32はこれら2つの色材膜18を区画している。そのため、隣接する2つの色材膜18の縁は重なり部分を有していない。仕切り部32は色材膜18と同じ層に位置している。この例では、仕切り部32は色材膜18とともに保護絶縁膜14上に形成されている。図2に示す例では、仕切り部32の厚さと色材膜18の厚さは、それらの上面の高さが揃うように規定されている。
【0022】
仕切り部32は上述した信号線5の上側に形成されている。仕切り部32は信号線5に沿った方向に伸びている。図2に示すように、仕切り部32は信号線5の幅よりも小さな幅を有している。そのため、仕切り部32の全体が信号線5の上方に位置している。
【0023】
仕切り部32は、上述した遮光部31と同様に、カーボンを含有する樹脂ブラックや、金属クロムなど光透過率が抑えられた材料で形成され、遮光機能を有している。すなわち、仕切り部32は隣接する2つの色材膜18の間を通過しようとする光を遮る。図1に示すように、遮光部31は走査線4に沿った方向に伸びている。また、仕切り部32は信号線5に沿った方向に伸びている。仕切り部32と遮光部31は互いに直交し、全体として、格子状をなすブラックマトリクスを形成している。
【0024】
図2に示すように、色材膜18の上側には共通電極21が形成されている。共通電極21は複数の色材膜18に跨って形成されている。すなわち、隣接する2つの色材膜18に着目した場合、共通電極21は一方の色材膜18の上側から仕切り部32の上側を越えて他方の色材膜18の上側まで広がっている。この例では、共通電極21は色材膜18上と仕切り部32上とに形成されている。上述したように、3色の色材膜18は一定の順序で走査線4の延伸方向に並んでいる。共通電極21は色材膜18上で当該色材膜18の並び方向に広がり、複数の色材膜18及び複数の仕切り部32を覆っている。特にこの例では、後述するコンタクトホール26の部分を除く全域に、膜状の共通電極21が形成されている。そのため、1つの共通電極21によって全色材膜18及び全仕切り部32が覆われている。
【0025】
また、共通電極21をこのように形成することにより、仕切り部32の下方に形成された信号線5も共通電極21で覆われる。そのため、信号線5を流れる映像信号によって液晶3に電界が生じることが、抑えられている。なお、遮光部31上にも共通電極21が形成されている。これにより、走査線4に印加される信号によって液晶3に電界が生じることが、抑えられている。
【0026】
共通電極21上には、共通電極21を覆う絶縁性の層間膜(請求項における絶縁膜)24が形成されている。画素電極23は各色材膜18に対応して配置されている。この例では、複数の画素電極23は層間膜24上に形成されている。複数の画素電極23は、複数の色材膜18の上方に位置し、当該複数の色材膜18にそれぞれ対向している。走査線4の延伸方向に並ぶ複数の画素電極23は、1つの共通電極21に層間膜24を挟んで向き合っている。なお、画素電極23には複数のスリットが形成されている。
【0027】
本実施形態では、隣接する2つの色材膜18の縁が重なり部分を有しておらず、また、共通電極21が一方の色材膜18から他方の色材膜18まで連続的に形成されているため、隣接する2つの画素電極23の間隔D(図1参照)を小さくできている。
【0028】
図2に示すように、画素電極23はコンタクトホール26を介してドレイン電極8に接続されている。この例のドレイン電極8は、走査線4や遮光部31を越えて、各画素の内側に向かって(色材膜18に向かって)伸びている。コンタクトホール26は色材膜18と遮光部31との間に位置し、層間膜24と保護絶縁膜14とを貫通している。ドレイン電極8の端部はコンタクトホール26の下端に位置している。画素電極23はコンタクトホール26の内側に及んでおり、ドレイン電極8の端部はコンタクトホール26を介して画素電極23に接続されている。
【0029】
図3に示すように、第1の基板10には、当該第1の基板10と第2の基板12との間隔を規定する複数のスペーサ35が形成されている。この例では、スペーサ35は走査線4の上方に位置している。スペーサ35は、カラーフィルタ層を形成する3種の色材膜18と同じ材料からなる3つの色材膜19によって形成されている。すなわち、スペーサ35は互いに色の異なる3つの色材膜19を積層させることで形成されている。最下段の色材膜19は遮光部31上に形成されている。最下段の色材膜19の上に2つの色材膜19が積層されている。3つの色材膜19は上方に行くに従ってその面積が小さくなるように形成されている。3層の色材膜19は層間膜24によって覆われ、これら3層の色材膜19と層間膜24とによってスペーサ35が形成されている。このように、スペーサ35は遮光部31上に形成されているため、スペーサ35が各画素の開口率の低下の要因となることを防ぐことができている。
【0030】
なお、色材膜19は色材膜18を形成する工程と同じ工程で形成することができる。すなわち、3種の色材膜18のうち最初の色材膜18を形成する工程で、最下段の色材膜19を遮光部31上に形成する。そして、2番目の色材膜18を形成する工程で、中段の色材膜19を最下段の色材膜19上に形成する。最後の色材膜18を形成する工程において、最上段の色材膜19を中段の色材膜19上に形成する。
【0031】
以上説明したように、液晶パネル1では、隣接する2つの色材膜18の間に、それらを区画する仕切り部32が形成されている。このため、隣接する2つの色材膜18の縁が重なることを防ぐことができる。また、共通電極21は一方の色材膜18の上側から仕切り部32の上側を越えて他方の色材膜18の上側まで続いている。そのため、各色材膜18に対応して形成された画素電極23の間隔を狭めることができる。そのため、隣接する2つの色材膜18の重なりによって混色が生じることを抑えながら、各画素の開口率を向上できる。
【0032】
なお、本発明は以上説明した液晶パネル1に限られず、種々の変更が可能である。例えば、液晶パネル1では仕切り部32の幅は信号線5の幅よりも小さくなっていた。しかしながら、仕切り部32の幅は必ずしもこれに限定されず、信号線5の幅よりも太くてもよい。
【0033】
また、第1の基板10は色材膜19からなるスペーサ35を備えていた。しかしながら、第1の基板10は必ずしもそのようなスペーサ35を備えていなくてもよい。第1の基板10と第2の基板12との間に、それらとは別体のスペーサが配置されてもよい。
【0034】
また、以上の説明では、複数の画素電極23は共通電極21の上側に形成されていた。しかしながら、複数の画素電極23は共通電極21の下側に形成されてもよい。例えば、複数の画素電極23がそれぞれ複数の色材膜18上に形成され、絶縁膜である層間膜が複数の画素電極23上に形成されてもよい。そして、その層間膜上に共通電極21が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 液晶パネル、2 薄膜トランジスタ(TFT)、3 液晶、4 走査線、5 信号線、6 ゲート絶縁膜、7 ソース電極、8 ドレイン電極、9 半導体層、10 第1の基板、12 第2の基板、13 透明導電膜、14 保護絶縁膜、18 色材膜、19 色材膜、21 共通電極、23 画素電極、24 層間膜、26 コンタクトホール、31 遮光部、32 仕切り部、35 スペーサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶を挟む2つの基板を有する液晶パネルにおいて、
前記2つの基板のうち一方の基板は、複数の薄膜トランジスタと、複数の走査線と、複数の信号線と、複数の画素電極と、少なくとも1つの共通電極と、カラーフィルタ層を形成する複数の色材膜とを有し、
前記複数の色材膜のうち隣接する2つの色材膜の間には、当該2つの色材膜を区画し且つ遮光する仕切り部が形成され、
前記少なくとも1つの共通電極は、前記2つの色材膜のうち一方の色材膜の上側から前記仕切り部を越えて他方の色材膜の上側まで続くよう形成され、
前記複数の画素電極は、前記少なくとも1つの共通電極と絶縁膜を介して互いに積層され、前記複数の色材膜にそれぞれ対応して配置されている、
ことを特徴とする液晶パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶パネルにおいて、
前記仕切り部は、少なくとも前記信号線の上側に形成され、
前記仕切り部の幅は前記信号線の幅よりも小さい、
ことを特徴とする液晶パネル。
【請求項3】
請求項1に記載の液晶パネルにおいて、
前記複数の画素電極は前記少なくとも1つの共通電極の上側に形成されている、
ことを特徴とする液晶パネル。
【請求項4】
請求項1に記載の液晶パネルにおいて、
前記一方の基板は、当該一方の基板と他方の基板との間隔を規定するスペーサを有し、
前記スペーサは、前記複数の色材膜と同じ材料が積層されることで形成されている、
ことを特徴とする液晶パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−145797(P2012−145797A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4644(P2011−4644)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】