説明

液滴吐出装置及び液滴吐出方法

【課題】吐出不良検査に要する時間を短縮し、ワークに対しての描画を効率良く行うことができる液滴吐出装置、液滴吐出方法及び電気光学装置の製造方法を提供する。
【解決手段】ワークWに描画するためのワーク描画データと、描画シート55に検査パターンを描画するための検査描画データとを含んだ描画データを生成する。ここで、ワーク描画データと検査描画データとを含んだ描画データは、図10の二点鎖線で示した描画範囲201を描画するように生成され、生成された描画データに基づいて、ワークWおよび描画シート55に対して描画を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに対して液滴吐出ヘッドから液滴を吐出する液滴吐出装置に係り、詳しくは液滴吐出ヘッドの吐出不良を検査する吐出不良検査装置を備えた液滴吐出装置、液滴吐出方法及び電気光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板等のワークに対して液滴を吐出して描画を行う装置として、インクジェット式の液滴吐出装置が知られている。このような液滴吐出装置には、液滴を吐出する液滴吐出ヘッドのノズルの目詰まりによる吐出不良を検査するために、吐出不良検査装置が備えられている。
例えば特許文献1に記載される液滴吐出装置においては、吐出不良検査装置が、ワークを搬送するテーブルの移動領域の外側に位置し、且つ、液滴吐出ヘッドの移動領域の下方に位置する場所に固定して設置されている。また、この吐出不良検査装置は、レーザー光を投光する投光部及び受光する受光部と、検査用に吐出された液滴を受ける検査用液受け部とを備えている。液滴吐出ヘッドの吐出不良検査を行う際には、液滴吐出ヘッドを移動させて吐出不良検査装置に臨ませ、液滴吐出ヘッド検査用の液滴を検査用液受け部に吐出させる。そして、吐出不良検査装置は、この吐出された液滴に対しレーザー光の投光・受光を行って、液滴吐出ヘッドのノズルの目詰まりによる吐出不良の有無を光学的に検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−202325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される液滴吐出装置においては、吐出不良検査装置が、ワークを搬送するテーブルの移動領域の外側に設置されているため、吐出不良検査を行う際に、液滴吐出ヘッドを吐出不良検査装置に臨む位置まで大きく移動させて検査用の液滴を吐出させる必要があり、また、吐出不良検査が終了した後は、液滴吐出ヘッドをワークへの吐出が可能な位置まで戻す必要がある。このため、吐出不良検査に多くの時間を要し、ワークに対しての描画の効率が低下してしまう問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、吐出不良検査に要する時間を短縮し、ワークに対しての描画を効率良く行うことができる液滴吐出装置、液滴吐出方法及び電気光学装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明の液滴吐出装置は、ワークを第1走査方向に移動させるテーブルと、ワークに液滴を吐出して描画する液滴吐出ヘッドを搭載するとともに第2走査方向に移動するキャリッジ装置と、液滴吐出ヘッドの吐出不良の有無を検査するための吐出不良検査装置と、テーブル、液滴吐出ヘッド、キャリッジ装置及び吐出不良検査装置を制御する制御装置とを備え、吐出不良検査装置は、テーブルと並設され液滴吐出ヘッドの液滴の吐出により検査用の所定の検査パターンが描画される被検査描画装置と、被検査描画装置に描画された検査パターンを検出する検出装置と、検出装置により検出された検査パターンに基づいて、液滴吐出ヘッドの吐出不良の有無を判断する吐出不良判断部とを有し、被検査描画装置は、第1走査方向にテーブルと一体に移動し、液滴吐出ヘッドは、ワークに対しての描画と、被検査描画装置に対しての検査パターンとなる描画とを含めて液滴を吐出して描画することを特徴とする。
【0007】
このような液滴吐出装置によれば、検査パターンが描画される被検査描画装置がテーブルと並設されていることにより、テーブル上に載置されたワークとともに被検査描画装置を第1走査方向に移動させ、液滴吐出ヘッドに臨ませることができ、液滴吐出ヘッドからテーブル上のワークに対しての描画と被検査描画装置に対しての描画とを一連の描画処理の中に含めて行うことができる。これにより、ワークに対しての描画と被検査描画装置に対しての描画とを分けて制御する必要がなくなり、テーブル、液滴吐出ヘッド、キャリッジ及び吐出不良検査装置について、より単純な制御により液滴吐出ヘッドの吐出不良の有無の検査ができる。ここで、特許文献1に記載された従来の液滴吐出装置にあっては、吐出不良検査装置が、ワークを搬送するテーブルの移動領域の外側に設置されていたため、ワークに対しての描画のための液滴吐出ヘッドの制御と、吐出不良検査のための液滴吐出ヘッドの制御とは別々に機能構成されている。これに対し、本発明の液滴吐出装置にあっては、ワークに対しての描画のための液滴吐出ヘッドの制御と、吐出不良検査のための液滴吐出ヘッドの制御とは1つの機能構成に含まれているため、吐出不良検査に要する時間を短縮し、ワークに対しての描画を効率良く行うことができる。
【0008】
上記液滴吐出装置において、制御装置は、検査パターンが被検査描画装置に描画される位置を所定の距離だけ第1走査方向にずらす被描画位置変更部を備えていることが好ましい。
【0009】
このような液滴吐出装置によれば、検査パターンが被検査描画装置に描画される都度、次に描画される位置を第1走査方向にずらすことができる。これにより、検査パターンは、前回描画された位置からずれた位置に描画されることになり、被検査描画装置に複数の検査パターンを描画することができる。このため、同一の被描画面の領域内で、ずらして検査パターンを吐出して複数回の検査を行うことが可能となり、吐出不良検査に要する時間を短縮する効果がある。
【0010】
上記液滴吐出装置において、液滴吐出ヘッドが液滴を吐出して描画するための描画データを生成する描画データ生成部を備え、描画データ生成部は、ワークに対して描画するためのワーク描画データと、被検査描画装置に対して描画するための検査描画データとを含めた描画データを生成することが好ましい。
【0011】
このような液滴吐出装置によれば、ワーク描画データと検査描画データとを含めて描画データを生成するので、ワークへの描画の中で被検査描画装置への描画を行うことができる。
【0012】
上記液滴吐出装置において、テーブル上に載置されたワークの水平方向の位置データを取得するワーク位置取得部を備え、描画データ生成部は、ワーク位置取得部により取得されたワークの位置データに基づいて、被検査描画装置に対して描画する位置を補正した前記描画データを生成することが好ましい。
【0013】
このような液滴吐出装置によれば、テーブル上のワークの位置データに基づいて、ワークの位置と被検査描画装置の位置との距離が補正された描画データを生成できる。これにより、テーブル上に載置されたワークの位置が載置される度に異なっても、その時のワークの位置と被検査描画装置に対して描画する位置とが補正された描画データが生成され、ワーク及び被検査描画装置に対して正しい位置に描画ができる。
【0014】
上記液滴吐出装置において、描画データ生成部は、被検査描画装置に描画される検査パターンの位置を所定の距離だけ第1走査方向にずらした描画データを生成することが好ましい。
【0015】
このような液滴吐出装置によれば、検査パターンが被検査描画装置に描画される都度、描画される位置が第1走査方向にずれた描画データを生成できる。これにより、生成された描画データに基づいて描画を行うと、検査パターンは、前回描画された位置からずれた位置に描画されることになり、被検査描画装置に複数の検査パターンを描画することができる。このため、同一の被描画面の領域内で、ずらして検査パターンを吐出して複数回の検査を行うことが可能となり、吐出不良検査に要する時間を短縮する効果がある。
【0016】
上記液滴吐出装置において、吐出不良検査装置は、被検査描画装置に描画された検査パターンの面に対抗して臨む検出装置を、第2走査方向に移動させる移動手段を有することが好ましい。
【0017】
このような液滴吐出装置によれば、被検査描画装置に描画された検査パターンの面に対抗して臨む検出装置を、移動手段により第2走査方向に移動させるため、第2走査方向に描画された検査パターンの全範囲を検出することができる。
【0018】
上記液滴吐出装置において、移動手段は、第2走査方向に直線上に並んで複数個配設された検出装置を移動させることが好ましい。
【0019】
このような液滴吐出装置によれば、被検査描画装置に描画された検査パターンの面に対抗して臨む複数の検出装置を個別に又は同時に第2走査方向に移動させるため、第2走査方向に描画された検査パターンの範囲を各々の検出装置で分担して検出することができ、検査パターンの検出に要する時間を短縮する効果がある。
【0020】
上記液滴吐出装置において、制御装置は、テーブルを第1走査方向に移動させて、被検査描画装置に描画された検査パターンを検出装置が検出可能な位置に臨ませることが好ましい。
【0021】
このような液滴吐出装置によれば、検出装置が第1走査方向に移動する必要がなくなり、検査パターンの検出に要する時間を短縮する効果がある。また、被検査描画装置に複数の検査パターンが描画されている場合、複数の検査パターンのうち、これから吐出不良検査を行う検査パターンを検出装置に臨ませることができる。
【0022】
上記液滴吐出装置において、制御装置は、ワークに対して描画の途中に、テーブルを第1走査方向に移動させることにより被検査描画装置に描画された検査パターンを検出装置が検出可能な位置に臨ませ、検出装置により検査パターンを検出させ、検出装置により検出された検査パターンに基づき、吐出不良判断部により液滴吐出ヘッドの吐出不良の有無を判断させることが好ましい。
【0023】
このような液滴吐出装置によれば、ワークに対しての描画の途中の段階で、吐出不良の有無を検査する。これにより、描画中に吐出不良が発生した液滴吐出ヘッドに対し、メンテナンス処理を適切に行うことができる。また、吐出不良の状況によっては、残りの描画を回避できるため、不要な描画を行うことに要する時間が削減できる。また、描画の最初又は最後に検査するのに比べて、吐出途中において液滴吐出ヘッドの吐出不良を検査するため、吐出品質の向上を図れる。
【0024】
上記液滴吐出装置において、制御装置は、テーブルを第1走査方向に移動させてワークを搬出可能な位置に臨ませるとともに、被検査描画装置に描画された検査パターンを検出装置が検出可能な位置に臨ませることが好ましい。
【0025】
このような液滴吐出装置によれば、ワークの搬出と併行して、検査パターンの検出と、検出した検査パターンに基づいての吐出不良の有無の判断とができる。これにより、ワークの搬出に対しての作業性向上と、検査の効率化とを同時に図れる。
【0026】
上記液滴吐出装置において、検出装置は、被検査描画装置に描画された検査パターンを撮像することにより検出することが好ましい。
【0027】
このような液滴吐出装置によれば、検査パターンを撮像して撮像内容を画像認識することにより、画像認識内容に基づき吐出不良の有無を判断することができる。これにより、従来のレーザー光を用いる構成に対して、簡素な構成の検出装置で検査パターンを検出できる。
【0028】
上記液滴吐出装置において、液滴吐出ヘッドのクリーニングに使用するクリーニング装置と、液滴吐出ヘッドを移動させてクリーニング装置に臨ませるヘッド移動部と、を備え、吐出不良判断部により吐出不良として判断されたときに、制御装置は、ヘッド移動部により液滴吐出ヘッドをクリーニング装置に臨ませ、クリーニング装置により液滴吐出ヘッドのクリーニングを行わせることが好ましい。
【0029】
このような液滴吐出装置によれば、液滴吐出ヘッドが吐出不良として判断された場合、液滴吐出ヘッドをクリーニング装置に移動させてクリーニングを行わせる。これにより、液滴の吐出が正常に行えるように液滴吐出ヘッドの保守ができる。
【0030】
上述した目的を達成するために、本発明の液滴吐出方法は、ワークに対して描画するためのワーク描画データと、被検査描画装置に対して描画するための検査描画データとを含めた描画データを生成する第1工程と、第1工程において生成された描画データに基づいて、ワーク及び被検査描画装置に対して液滴を吐出して描画する第2工程とを備えることを特徴とする。
【0031】
このような液滴吐出方法によれば、上記の、第1工程及び第2工程により、液滴吐出ヘッドは、ワークと被検査描画装置とを含めた一連の描画データに基づき、ワークと被検査描画装置とに対して描画を行う。これにより、ワークに対しての描画処理と、被検査描画装置に対しての描画処理とを分けて制御する必要がなくなり、1つの描画対象物として制御することができるので、制御処理を簡単にする効果がある。
【0032】
上述した目的を達成するために、本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴吐出装置を用い、ワークに対しての描画と被検査描画装置に対しての検査パターンとなる描画とを含めて液滴を吐出して描画する描画工程と、被検査描画装置に対しての検査パターンとなる描画に基づいて、液滴吐出ヘッドの吐出不良の有無を検査する検査工程とを備え、ワークに対しての描画によりワーク上に液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0033】
このような電気光学装置の製造方法によれば、本発明の液滴吐出装置を用い、上記の、描画工程及び検査工程により、液滴吐出ヘッドの吐出不良の有無を検査してワーク上に液滴による成膜部を形成する。これにより、吐出不良検査に要する時間を短縮し、ワークに対して成膜部を形成するための描画を効率良く行うことができ、電気光学装置を効率よく製造することができる。
【0034】
上述した目的を達成するために、本発明の電気光学装置の製造方法は、上記第1工程と上記第2工程とを含めた液滴吐出方法を用い、吐出不良検査装置により液滴吐出ヘッドの吐出不良の有無を検査することを特徴とする。
【0035】
このような電気光学装置の製造方法によれば、上記第1工程と上記第2工程とを含めた液滴吐出方法を用い、吐出不良検査装置により液滴吐出ヘッドの吐出不良の有無を検査する。これにより、吐出不良検査に要する時間を短縮し、ワークに対しての描画処理を効率良く行うことができ、電気光学装置を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の液滴吐出装置の説明図であり、セットテーブルがワーク載せ換え位置に臨んだときの外観斜視図。
【図2】セットテーブルがワーク載せ換え位置に臨んだ状態で、ブリッジプレートを除いた液滴吐出装置の平面図。
【図3】セットテーブルがワーク載せ換え位置に臨んだときの液滴吐出装置の側面図。
【図4】被検査描画装置及び吸着テーブル廻りの概観斜視図。
【図5】ヘッドプレート廻りの説明図であり、キャリッジ装置の下側から見たヘッドプレートの平面図。
【図6】液滴吐出ヘッドの外観斜視図。
【図7】ヘッド装置に搭載された液滴吐出ヘッドの配色パターンの説明図。
【図8】液滴吐出装置の主制御系のブロック図。
【図9】ワークWを搬入して描画処理及び吐出不良検査を行うまでの動作処理を示すフローチャート。
【図10】セットテーブル60に搬入されたワークWと被検査描画装置51とを示す平面図。
【図11】図10のワークWと描画シート55とを拡大した平面図。
【図12】描画処理から吐出不良検査までの動作処理を示すフローチャート。
【図13】液滴吐出装置による描画処理の説明図であり、(a)は、第1描画動作、(b)は、第2描画動作についての平面模式図。
【図14】液滴吐出装置による描画処理の説明図であり、(a)は、第3描画動作、(b)は、検査パターン描画動作についての平面模式図。
【図15】カラーフィルタの模式断面図であり、(a)は、バンク形成工程後、(b)は、着色層形成工程後のカラーフィルタの模式断面図。
【図16】カラーフィルタの配色パターンの説明図であり、(a)は、ストライプ配列、(b)は、モザイク配列、(c)は、デルタ配列。
【図17】第2の実施形態における描画処理及び吐出不良検査の動作処理を示すフローチャート。
【図18】被検査描画装置が2つ配設されたときの液滴吐出装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
【0038】
図1は、本発明の液滴吐出装置の説明図であり、セットテーブルがワーク載せ換え位置に臨んだときの外観斜視図である。図2は、セットテーブルがワーク載せ換え位置に臨んだ状態で、ブリッジプレートを除いた液滴吐出装置の平面図である。図3は、セットテーブルがワーク載せ換え位置に臨んだときの液滴吐出装置の側面図である。図1〜図3を用いて、本発明を適用した液滴吐出装置について説明する。
【0039】
図1〜図3に示すように、液滴吐出装置1は、X軸支持ベース21上に配設され、主走査方向となるX軸方向(第1走査方向)に延在して、ワークWをX軸方向に移動させるX軸テーブル11を備えている。また、液滴吐出装置1は、複数本の支柱24を介してX軸テーブル11を跨ぐように架け渡された1対のY軸支持ベース23上に配設されて副走査方向となるY軸方向(第2走査方向)に延在するY軸テーブル12と、Y軸テーブル12によりY軸方向に移動自在に支持されて複数の液滴吐出ヘッド32(図5,図6等に図示)が搭載された7つのキャリッジ装置31からなるヘッド装置30とを備えている。更に、液滴吐出装置1は、ヘッド装置30に搭載された液滴吐出ヘッド32から液滴が適切に吐出されているか否かを検査する吐出不良検査装置50を備えている。
そして、X軸テーブル11及びY軸テーブル12の駆動と同期して液滴吐出ヘッド32を吐出駆動させることにより、R・G・B3色の液滴を吐出させ、ワークWに所定の描画パターンを描画する。
【0040】
吐出不良検査装置50は、被検査描画装置51と、撮像装置90とを備えている。
被検査描画装置51は、ヘッド装置30の液滴吐出ヘッド32の吐出ノズル48(図6に図示)から検査用に吐出された液滴を受け、所定の検査パターンが描画される。撮像装置90は、被検査描画装置51に描画された検査パターンを撮像して検査する。
【0041】
X軸テーブル11は、セットテーブル60と、X軸エアースライダ63と、左右一対のX軸リニアモータ(図示省略)と、一対(2本)のX軸ガイドレール22とを備えている。
セットテーブル60には、ワークWがセットされ、X軸エアースライダ63は、セットテーブル60をX軸方向にスライド自在に支持する。左右一対のX軸リニアモータは、X軸方向に延在し、セットテーブル60を介してワークWをX軸方向に移動させる。一対のX軸ガイドレール22は、X軸リニアモータに並設され、X軸エアースライダ63の移動を案内する。
【0042】
セットテーブル60は、吸着テーブル61と、θテーブル62等とを有している。
吸着テーブル61には、ワークWが吸着セットされ、θテーブル62は、吸着テーブル61を支持し、吸着テーブル61にセットされたワークWの位置を水平方向に回動して補正(θ軸補正)する。
【0043】
X軸エアースライダ63は、スライダ本体65と、一対(2組4個)の掛合部64とを有している。
スライダ本体65は、セットテーブル60を支持し、セットテーブル60とともに、被検査描画装置51と、定期フラッシング装置71とが搭載されている。一対の掛合部64は、スライダ本体65の下部に固定され、一対のX軸ガイドレール22に係合する。一対のX軸リニアモータを同期させて駆動すると、X軸エアースライダ63がX軸方向に移動し、セットテーブル60にセットされたワークWがX軸方向に移動する。
【0044】
なお、図2における図示左側の位置が、ワークWの載せ換え位置となっており、未処理のワークWを吸着テーブル61に導入するときや、処理済のワークWを回収するときには、吸着テーブル61をこの位置まで移動させるようになっている。また、図中の符号25は、ワークWの位置認識を行うためのワークアライメントカメラであり、ワークアライメントカメラ25の撮像結果に基づいて、θテーブル62によるワークWのθ軸補正が行われる。
【0045】
Y軸テーブル12は、7つのブリッジプレート36と、7組14個のY軸スライダ(図示省略)と、一対のY軸リニアモータ(図示省略)と、一対のY軸ガイドレール(図示省略)とを備えている。
7つのブリッジプレート36は、ヘッド装置30を構成する7つの各キャリッジ装置31をそれぞれ挿通して固定し、7組14個のY軸スライダは、7つのブリッジプレート36を両持ちで支持する。一対のY軸リニアモータは、上記した一対のY軸支持ベース23上に設置され、7組14個のY軸スライダを介してブリッジプレート36をY軸方向に移動させる。一対のY軸ガイドレールは、Y軸リニアモータと並んでY軸支持ベース23上に設置され、7組14個のY軸スライダを支持して、各Y軸スライダの移動を案内する。
【0046】
一対のY軸リニアモータを同期して駆動すると、各Y軸スライダが一対のY軸ガイドレールを案内にして同時にY軸方向を平行移動する。これにより、ブリッジプレート36が両持ち状態でY軸方向を移動し、これとともにキャリッジ装置31がY軸方向に移動することになり、ヘッド装置30が移動する(ヘッド移動部)。なお、ヘッド装置30は、同様に構成された7つのキャリッジ装置31をY軸方向に整列させて構成されている。
【0047】
図4は被検査描画装置及び吸着テーブル廻りの概観斜視図である。図4を用いて、被検査描画装置の構成及び動作について詳しく説明する。
【0048】
図4に示すように、被検査描画装置51及び吸着テーブル61廻りには、装置ベース52と、巻取り支持部材54と、巻取り部53と、スライダ本体65と、セットテーブル60と、テーブル本体66と、支持ベース67と、2つの描画前フラッシング装置72と、定期フラッシング装置71とを備えている。
被検査描画装置51は、装置ベース52に配設され、装置ベース52は、セットテーブル60と定期フラッシング装置71との間に位置してスライダ本体65に支持されている。巻取り支持部材54は、定期フラッシング装置71側に位置する一方の描画前フラッシング装置72と、定期フラッシング装置71との間で巻取り部53を支持している。テーブル本体66は、厚板状の石盤で構成され、一辺1800mmの平面視略正方形に形成されている。テーブル本体66の表面には、ワークWを吸引するための吸引溝68が複数形成されている。また、描画前フラッシング装置72が支持ベース67に支持されている。
【0049】
被検査描画装置51は、長尺状の描画シート55(ロール紙等)と、巻取り部53と、巻取り支持部材54と、装置ベース52とを備えている。巻取り部53は、繰出しリール56と、巻取りリール57と、巻取りモータ(ギヤードモータ:図示省略)とを有している。
長尺状の描画シート55は、液滴吐出ヘッド32からの検査用の吐出を受け、ロール状に巻回され、検査パターンの描画を受ける。巻取り部53は、描画シート55を繰り出しながら巻き取り、巻取り支持部材54は、巻取り部53を支持して、装置ベース52は、巻取り支持部材54を支持する。
繰出された描画シート55は、外部に露出した状態でY軸方向に水平に走行し、巻取りリール57で巻き取られるようになっているが、この描画シート55の水平走行部が、検査パターンを受ける被描画面となっている。水平走行部のY軸方向の長辺の長さは、ヘッド装置の全液滴吐出ヘッド32からの検査吐出を受けることができるように設定されており、本実施形態では、1描画ラインの長さ+2ヘッド分の長さに対応して設定されている。
【0050】
なお、描画シート55の巻取りは、検査パターンを1回描画する毎に行うのではなく、繰出した描画シート55に所定回数の検査パターンが描画された後に行われる。この場合、前回描画された検査パターンに対して、今回描画される検査パターンは、X軸方向に僅かに位置をずらして描画される。そして、所定回数の検査パターンが描画されると、巻取りモータが駆動され、描画済みの描画シート55を巻き取るとともに、新しい描画シート55を繰出すようになっている。なお、本実施形態では、描画シート55の巻取りをモータ駆動により自動で行っているが、巻取り頻度が低い場合等には、手動の巻取り機構を設け、手動でこれを行うようにしてもよい。
【0051】
本実施形態では、ロール状に巻回した描画シート55を検査パターンの描画対象として用いているが、これに代えて検査パターン用のガラス基板等を用いることも可能である。この場合、ガラス基板は適宜交換されることとなるが、描画済みのガラス基板は、洗浄された後、繰り返し利用される。
【0052】
次に、撮像装置90の構成及び動作について詳しく説明する。
【0053】
図3に示すように、撮像装置90は、検出装置としての2個の検査カメラ91と、カメラホルダ92と、移動手段となるカメラ移動機構93及びカメラ移動モータ(図示省略)とを有している。
2個の検査カメラ91は、Y軸支持ベース23に直線状に並んで支持され、X軸テーブル11に上側から臨み、描画シート55に描画された検査パターンを撮像する。カメラホルダ92は、2個の検査カメラ91を保持している。カメラ移動機構93は、Y軸支持ベース23に固定され、カメラホルダ92を介して、2個の検査カメラ91をY軸方向にスライド自在に支持している。カメラ移動モータは、カメラ移動機構93を介して検査カメラをY軸方向に移動させる。また、撮像装置90は、吸着テーブル61がワーク載せ換え位置に臨んだときに、2個の検査カメラ91が描画シート55に臨むように配設されている。
【0054】
図5は、ヘッドプレート廻りの説明図であり、キャリッジ装置の下側から見たヘッドプレートの平面図である。図6は、液滴吐出ヘッドの外観斜視図である。図7は、ヘッド装置に搭載された液滴吐出ヘッドの配色パターンの説明図である。図5〜図7を用いて、各キャリッジ装置31の構成について詳しく説明する。
【0055】
図5に示すように、各キャリッジ装置31は、12個の液滴吐出ヘッド32と、12個の液滴吐出ヘッド32を2個ずつ保持する6個のヘッド保持プレート33と、6個のヘッド保持プレート33を介して、12個の液滴吐出ヘッド32を搭載するヘッドプレート34とを備えている。また、図1及び図2に示すように、各キャリッジ装置31は、ヘッドプレート34を支持するキャリッジ35を備えている。
【0056】
図6に示すように、液滴吐出ヘッド32は、接続針42を有する液滴導入部41と、液滴導入部41に連なるヘッド基板43と、液滴導入部41の下方(図では上方)に連なり、内部に液滴で満たされるヘッド内流路が形成されたヘッド本体44とを備えている。
【0057】
なお、ノズル面47に形成された多数の吐出ノズル48は、等ピッチ(2ドットピッチ間隔)に整列して、180個の吐出ノズル48からなる分割ノズル列48bを2列形成している。そして、2列の分割ノズル列48b同士は、相互に1ドットピッチ分位置ずれしている。すなわち、液滴吐出ヘッド32には、2列の分割ノズル列48bにより1ドットピッチ間隔のノズル列48aが形成され、1ドットピッチの描画が可能となっている。
【0058】
図5に示すように、ヘッドプレート34は、ステンレス等の材質で平面視略平行四辺形に形成されている。ヘッドプレート34には、ヘッド保持プレート33を位置決め・装着するための開口(図示省略)が設けられており、6個のヘッド保持プレート33が液滴吐出ヘッド32のノズル列方向に略1ヘッド分だけ位置ずれして階段状に配置されている。これにより、各ヘッドプレート34に搭載された12個の液滴吐出ヘッド32のノズル列48aがY軸方向において連続し、1本の分割描画ラインが形成される。
【0059】
そして、ヘッド装置30は、7つの各キャリッジ35を7つの各ブリッジプレート36にそれぞれ支持させ、7つのキャリッジ装置31をY軸方向に整列させることにより構成される。ヘッド装置30には、12×7個の全液滴吐出ヘッド32がY軸方向に連続している。各キャリッジ装置31の7本の分割描画ラインはY軸方向に連続し、描画を行うと1描画ラインが形成される。
【0060】
ヘッド装置30に搭載された12×7個の液滴吐出ヘッド32は、R・G・B3色の液滴のいずれかに対応しており、ワークWに3色の液滴からなる描画パターンを描画できるようになっている。図7に示すように、ヘッド装置30における液滴吐出ヘッド32の配色パターンは、Y軸方向に連続する12×7個の液滴吐出ヘッド32に対して、R・G・Bの3色を所定の順番(本実施形態では、図示右側からR・G・Bの順)で繰り返し1個ずつ対応させたものであり、7つの各キャリッジ装置31における液滴吐出ヘッド32の配色パターンはすべて同様となっている。
【0061】
したがって、ヘッド装置30を2ヘッド分だけ副走査移動させれば、移動方向3番目以下の液滴吐出ヘッド32が(副走査移動前に)臨んでいた領域にR・G・Bの3色分の液滴吐出ヘッド32を臨ませることができ、この領域内に3色からなる描画パターンを描画可能である。そこで、本実施形態では、2ヘッド分の副走査移動で(1枚の)ワークWに対する描画処理を終了できるように1描画ラインの長さが設定されている。具体的には、1描画ラインの長さは、セットテーブル60にセット可能なワークWの最大幅に基づいて設定されており、最大幅のワークWに対して1回の主走査移動で描画可能なノズル列長さ(最小数p個分のノズル)+2ヘッド分の長さであり、すなわち、(p+2)×Mとなっている。なお、本実施形態では、p=82である。
【0062】
図8は、液滴吐出装置の主制御系のブロック図である。図8を用いて、液滴吐出装置1の主制御系について説明する。
同図に示すように、液滴吐出装置1は、液滴吐出部101と、移動部102と、吐出不良検査部103と、メンテナンス部104と、検出部105と、駆動部106と、制御部107とを備えている。
液滴吐出部101は、ヘッド装置30を有する。移動部102は、X軸テーブル11及びY軸テーブル12を有し、ワークW及び被検査描画装置51をX軸方向へ移動させ、ヘッド装置30をY軸方向へ移動させる。吐出不良検査部103は、吐出不良検査装置50となる被検査描画装置51及び撮像装置90を有する。メンテナンス部104は、クリーニング装置73を有する。検出部105は、各種センサを有し各種検出を行う。駆動部106は、各部を駆動制御する各種ドライバを有する。制御装置となる制御部107は、前記各部に接続され液滴吐出装置1全体の制御を行う。
【0063】
制御部107には、各部を接続するためのインタフェース111と、一時的に記憶可能な記憶領域を有し、制御処理のための作業領域として使用されるRAM113と、各種記憶領域を有し、制御プログラムや制御データを記憶するROM114と、ワークWに所定の描画パターンを描画するための描画データや、各部からの各種データ等を記憶するとともに、各種データを処理するためのプログラム等を記憶するハードディスク115と、ROM114やハードディスク115に記憶されたプログラム等に従い、各種データを演算処理するCPU112と、これらを互いに接続するバス116とが備えられている。
【0064】
そして、制御部107は、各部からの各種データを、インタフェース111を介して入力されるとともに、ハードディスク115に記憶された(または、CD−ROMドライブ等により順次読み出される)プログラムに従ってCPU112に演算処理させ、その処理結果を、駆動部106(各種ドライバ)を介して各部に出力する。これにより、装置全体が制御され、液滴吐出装置1の各種処理が行われる。
【0065】
図9は、ワークWを搬入して描画処理及び吐出不良検査を行うまでの動作処理を示すフローチャートである。図10は、セットテーブル60に搬入されたワークWと被検査描画装置51とを示す平面図である。図11は、図10のワークWと描画シート55とを拡大した平面図である。図9〜図11を用いて、ワークWを搬入して描画処理及び吐出不良検査を行うまでの一連の動作について説明する。なお、図9に示すフローチャートの各ステップにおける動作は、すべてCPU112の制御により実行されている。
【0066】
図9のフローチャートに示すように、まず、ステップS11において、未処理のワークWが、図示しないロボットアーム(ワーク搬出入装置)を介して、ワーク載せ換え位置に臨むセットテーブル60に搬入される。
【0067】
次に、ステップS12において、ワークアライメントカメラ25を駆動してワークW上のアライメントマークM10(図10に図示、本実施形態では、2個所)を撮像するとともに、撮像結果を画像認識してワークWの水平方向の位置データを取得する。そして、この位置データに基づいて、θテーブル62を駆動し、セットテーブル60を水平方向に回動させて、ワークWのθ軸回りの角度を補正する。
【0068】
次に、ステップS13において、被検査描画装置51にセットされた描画シート55に対し、検査パターンが何回描画されるかをカウントする検査パターン描画回数に1を加算する。なお、最初のワークWの搬入の際、描画シート55に対し、検査パターンの描画は一切行われていない状態であり、検査パターン描画回数はクリアされている。
【0069】
次に、ステップS14において、ステップS12で取得されたワークWの位置データに基づいて、セットテーブル60に搬入されたワークWと被検査描画装置51との距離Lを取得して、ステップS13において加算された検査パターン描画回数と、距離Lとにより、描画シート55に描画される検査パターンの描画位置を算出する。ここで、図10に示すように、ワークWと被検査描画装置51との距離Lは、ワークWと被検査描画装置51との隣り合う端部間の距離となる。また、図11に示すように、本実施形態では1枚の描画シート55に検査パターンを4回描画する例を示しており、1回目の検査パターンの描画位置は、描画シート55のワークW側の端部からSaの距離としている。そして、隣り合う各検査パターンの間隔はSbとしている。この場合、ワークWの被検査描画装置51側の端部からn回目の検査パターンの描画位置までの距離Lnは、次の算式によって求められる。
Ln=L+Sa+(n−1)×Sb
【0070】
次に、ステップS15において、ワークWに描画するためのワーク描画データと、描画シート55に検査パターンを描画するための検査描画データとを含んだ描画データを生成する。ここで、ワーク描画データと検査描画データとを含んだ描画データは、図10の二点鎖線で示した描画範囲201を描画するように生成され、一連の描画処理中は、この描画領域内にヘッド装置30が臨むようにX軸テーブル11が駆動制御され、セットテーブル60(ワークW)の往復動が行われる。また、検査描画データは、ステップS14において算出した検査パターンの描画位置に基づいて生成される。
【0071】
次に、ステップS16において、ステップS15で生成された描画データに基づいて、ワークWおよび描画シート55に対して描画を行う。ここでは、最初に、X軸テーブル11を駆動して、ワーク載せ換え位置からセットテーブル60をヘッド装置30側へ移動させて、描画処理を開始させる。なお、描画処理の詳細は後述する。
【0072】
次に、ステップS17において、ステップS16で描画シート55に描画された検査パターンに基づいて吐出不良検査を行う。なお、吐出不良検査は、セットテーブル60(ワークW)をワーク載せ換え位置まで移動させて行うが、吐出不良検査の詳細は後述する。
【0073】
次に、ステップS18において、検査パターンの描画回数が規定回数(本実施形態では、4回とする)に達している場合(YES)は、ステップS19へ移行する。規定回数に達していない場合(NO)は、ワークWを搬入して描画処理及び吐出不良検査を行うまでの動作処理が終了する。
【0074】
次に、ステップS19において、検査パターン描画回数をクリアする。
【0075】
次に、ステップS20において、検査パターンが描画されている描画シート55を巻き取るとともに、新しい描画シート55を繰り出し、次に検査パターンが描画されるのを可能にする。これで、ワークWを搬入して描画処理及び吐出不良検査を行うまでの動作処理が終了する。
【0076】
なお、本実施形態では、上記の吐出不良検査〜描画シートの巻き取り(ステップS17〜S20)の動作処理と並行して、次のワークWの載せ換えを行うことができる。
【0077】
図12は、描画処理から吐出不良検査までの動作処理を示すフローチャートである。図13は、液滴吐出装置による描画処理の説明図であり、(a)は、第1描画動作、(b)は、第2描画動作についての平面模式図である。図14は、液滴吐出装置による描画処理の説明図であり、(a)は、第3描画動作、(b)は、検査パターン描画動作についての平面模式図である。図15は、カラーフィルタの模式断面図であり、(a)は、バンク形成工程後、(b)は、着色層形成工程後のカラーフィルタの模式断面図である。図16は、カラーフィルタの配色パターンの説明図であり、(a)は、ストライプ配列、(b)は、モザイク配列、(c)は、デルタ配列を示している。図12〜図16を用いて、液晶表示装置のカラーフィルタを作成する場合を例に、液滴吐出装置1における、ワークW及び被検査描画装置51への一連の描画処理と、吐出不良検査とについて詳しく説明する。
【0078】
図15(a)、(b)に示すように、カラーフィルタ200は、透光性の(透明)基板201と、ワークW上にX軸方向及びY軸方向にマトリクス状に並んだ多数の画素領域(フィルタエレメント)207と、画素領域207上に形成されたR・G・B3色の着色層208(208R,208G,208B)と、各画素領域207を仕切る遮光性のバンク203とを備えている。
そして、描画処理は、図15(a)に示すような、バンク203を作り込んだ基板201がワークWとして導入され、R・G・B3色のいずれか1色の液滴が所定の画素領域207内に吐出されることにより、ワークWに所定の描画パターンが描画される。
【0079】
なお、カラーフィルタの描画を行う場合に採用する配色パターンは、下記3パターンがある。1つは、図16(a)に示すように、Y軸方向に並ぶ画素領域207の横列すべてが同色であり、X軸方向においてR・G・Bの3色を繰り返し配列させたストライプ配列である。また1つは、同図(b)に示すように、X軸方向及びY軸方向に並ぶ、縦列及び横列の連続する3つの画素領域207が互いに異なるR・G・Bの3色となるモザイク配列である。また1つは、同図(c)に示すように、複数の画素領域207が千鳥状に(半ピッチずつずらして)配設され、隣接して並ぶ3つの画素領域207が互いに異なるR・G・Bの3色となるデルタ配列である。第1の実施形態では、説明の便宜上、同図(a)に示す、ストライプ配列のカラーフィルタを作成する事を前提に、図12のフローチャートに基づき、描画処理から吐出不良検査までの動作処理を説明する。なお、図12に示すフローチャートの各ステップにおける動作は、すべてCPU112の制御により実行されている。
【0080】
まず、ステップS31において、ワークWに対しての第1描画動作が行われる。ここで、描画処理は、ワーク載せ換え位置からのワークWの移動に引き続いて行われる。そして、第1描画動作では、X軸テーブル11がそのまま駆動され、セットテーブル60を介してワークWが往動するとともに、これと同期して、ホーム位置に臨むヘッド装置30の液滴吐出ヘッド32が選択的に吐出駆動され、ワークWに液滴が吐出される。
ワークWの往動が終了すると、Y軸テーブル12が駆動され、ヘッド装置30がY軸方向へ微少量移動する。そして、再度X軸テーブル11の駆動と液滴吐出ヘッド32の選択的な吐出駆動とが同期して行われ、復動するワークWに対して液滴が吐出される。
ワークWの復動が終了すると、更にY軸テーブル12が駆動され、ヘッド装置30がY軸方向へ微少量移動するとともに、上記した一連の動作が再び繰り返され、第1描画動作が終了する。
【0081】
図13(a)に示すように、ヘッド装置30の1描画ラインは、ワークWにマトリクス状に形成された画素領域207の縦列と直交しており、各画素領域列に液滴吐出ヘッド32が臨むようになっている。また、ヘッド装置30がホーム位置に臨んでいるとき、ヘッド装置30の図示右端の2つの液滴吐出ヘッド32(R・Gに対応する)は、図示最右端の画素領域列から更に右側に外れている。上記の第1描画動作を行うと、各液滴吐出ヘッド32が各列に臨み、当該液滴吐出ヘッド32が対応する色と同色に対応する画素領域207に液滴が吐出される。
【0082】
次に、ステップS32において、Y軸テーブル12が駆動され、ヘッド装置30が略1ヘッド分だけY軸方向(図示左側方向)に移動する。これにより、第1描画動作時においてR色に対応する液滴吐出ヘッド32が臨んでいた位置に、B色に対応する液滴吐出ヘッド32が、G色が対応していた位置にR色に対応する液滴吐出ヘッド32が、B色が対応していた位置にG色に対応する液滴吐出ヘッド32が臨む。
【0083】
次に、ステップS33において、ワークWに対しての第2描画動作が行われ、第1描画動作の場合と同様にワークWの往復動と、これに伴う液滴吐出ヘッド32の吐出駆動が2回繰り返され、第2描画動作が終了する。
これにより、図13(b)に示すように、第2描画動作では、第1描画動作において、R色が吐出された画素領域列にB色の液滴が、G色が吐出された画素領域列にR色の液滴が、B色が吐出された画素領域列にG色の液滴が吐出される。
【0084】
次に、ステップS34において、Y軸テーブル12が駆動されて、ヘッド装置30が、更に略1ヘッド分だけY軸方向(図示左側方向)に移動する。これにより、第1描画動作時においてR色に対応する液滴吐出ヘッド32が臨んでいた位置に、G色に対応する液滴吐出ヘッド32が、G色が対応していた位置にB色に対応する液滴吐出ヘッド32が、B色が対応していた位置にR色に対応する液滴吐出ヘッド32が臨むようになっている。
【0085】
次に、ステップS35において、第3描画動作が行われ、第1及び第2描画動作の場合と同様に、ワークWの往復動と、これに伴う液滴吐出ヘッド32の吐出駆動が2回繰り返される。
これにより、図14(a)に示すように、各画素領域列の全画素領域207に対してR・G・B全色分の液滴が吐出され、ワークWに対しての描画処理が終了する。また、ワークWに対しての描画処理の終了時には、ヘッド装置30の図示左端の2つの液滴吐出ヘッド32(G・Bに対応する)が、図示最左端の画素領域列から更に左側に外れている。
なお、本実施形態では、各画素領域207に対して、ヘッド装置30を2回往復動させることにより描画処理を行っているが、この回数は実情に合わせて任意に設定可能である。また、本実施形態では、上記の第1〜第3描画動作においてのワークWの往復動の際、被検査描画装置51はワークWとともに往復動を繰り返している。
【0086】
次に、ステップS36において、ワークWに対しての第3描画動作の最後に、全液滴吐出ヘッド32を吐出駆動して、被検査描画装置51にセットされた描画シート55に対して検査パターンを吐出させる。このとき、X軸テーブル11の駆動は続けられており、被検査描画装置51がワークWとともにワーク載せ換え位置の方向へ移動中に、図14(b)に示すように、ヘッド装置30(全液滴吐出ヘッド32)に臨む描画シート55に検査パターンが吐出される。ここで、描画シート55の検査パターンの描画位置は、前述したように、検査パターンの描画回数によりX軸方向にずらしている。図14(b)に示す図は、描画シート55に1回目の検査パターンが描画された例を示している。
そして、X軸テーブル11の駆動が更に続けられ、検査カメラ91が該当する検査パターンを撮像できる位置に臨むまで、被検査描画装置51をワークWとともに移動させる。
【0087】
次に、ステップS37において、ステップS36で描画シート55に描画された検査パターンに基づいて吐出不良検査を行う。ここで、被検査描画装置51の移動により、検査カメラ91が該当する検査パターンを撮像できる位置に臨むと、移動モータを駆動して2個の検査カメラ91をY軸方向に移動させ、描画シート55に描画された検査パターンを2個の検査カメラ91で撮像する。なお、該当する検査パターンが、検査カメラ91が撮像可能な位置に臨むように、検査パターンの描画回数により検査パターンの描画位置を算出して、被検査描画装置51をワークWとともにX軸方向に移動させる。そして、撮像結果を画像認識して、ヘッド装置30の各液滴吐出ヘッド32について吐出不良の有無を判断する。
なお、本実施形態では、検査パターンを検出する検出装置として、検査カメラを用いたが、検査パターンの検出が可能であれば他の検出装置を用いても良い。
【0088】
次に、ステップS38において、全液滴吐出ヘッド32が正常に液滴を吐出していると判断されれば(YES)、ワークWに対してのすべての描画処理、及びヘッド装置30の各液滴吐出ヘッド32についての吐出不良検査が終了する。また、吐出不良の液滴吐出ヘッド32が有ると判断されれば(NO)、ステップS39へ移行する。
【0089】
ステップS39において、液滴吐出ヘッド32に対しクリーニング処理を実施させる。液滴吐出ヘッド32のクリーニング処理は、吐出不良の液滴吐出ヘッド32を有するキャリッジ装置31を、クリーニング装置73に臨ませ、吐出不良の液滴吐出ヘッド32に対してクリーニング処理を実施させる。クリーニング処理が終了したら、ワークWに対してのすべての描画処理、及びヘッド装置30の各液滴吐出ヘッド32についての吐出不良検査が終了する。
【0090】
なお、請求項1に記載の吐出不良判断部は、図12のフローチャートのS37を実行するCPU112により構成される。請求項2に記載の被描画位置変更部は、図9のフローチャートのS14を実行するCPU112により構成される。請求項3に記載の描画データ生成部は、図9のフローチャートのS15を実行するCPU112により構成される。請求項4に記載のワーク位置取得部は、図9のフローチャートのS12を実行するCPU112により構成される。請求項13に記載の第1工程は、図9のフローチャートのS15に相当し、第2工程は、S16に相当する。請求項14に記載の描画工程は、図9のフローチャートのS14〜S16に相当し、検査工程は、S17に相当する。
【0091】
上述した第1の実施形態によれば以下に示す効果がある。
【0092】
(1)本実施形態によれば、被検査描画装置51がセットテーブル60と並設され、ワークWに対しての描画の際に、ワークWとともに被検査描画装置51も一緒にX軸方向に往復動の移動ができるようにしたことから、ワークWへの描画に引き続いて被検査描画装置51へも描画ができる。
【0093】
また、被検査描画装置51に対しての検査描画データを、ワークWに対してのワーク描画データの中に含めて生成するようにしたことから、ワークWに対しての描画の際に、被検査描画装置51に対しての描画を含めて描画ができる。この結果、被検査描画装置51への検査パターンの描画の制御が簡単になり、更に、検査パターンの描画を効率的に行うことができる。
【0094】
(2)本実施形態によれば、被検査描画装置51にセットされた描画シート55に描画される検査パターンの描画位置を、検査パターンの描画回数に応じて、X軸方向に所定の距離だけずらした描画データを生成して、その描画データに基づいて描画するようにした。この結果、描画シート55に複数の検査パターンを描画することができ、検査パターンを描画するために新しい描画シート55を準備する処理を、1つの検査パターンが描画される都度行うのではなく、規定数(本実施形態では、4回)の検査パターンが描画された後に行うことができるので、吐出不良検査に要する時間の短縮ができる。また、描画シート55に描画する検査パターンの描画位置を検査パターンの描画回数に応じてずらしていく制御も、ワークWに対しての描画位置から、描画回数に応じて算出した所定の距離分だけずらした描画データを生成することにより実現するので、複雑な制御を必要としないで簡単に行える。
【0095】
(3)本実施形態によれば、ワークアライメントカメラ25によるワークWの撮像結果に基づいて、ワークWの水平方向の位置データを取得して、その位置データを元に被検査描画装置51に描画される検査パターンの描画位置が補正された描画データを生成するようにした。この結果、セットテーブル60上に搬入されたワークWの位置がずれていても、ワークW及び被検査描画装置51に対して正しい位置に描画ができる。
【0096】
(4)本実施形態によれば、吐出不良検査において、Y軸方向に直線状に並んだ2個の検査カメラ91をY軸方向に移動させ、描画シート55に描画された検査パターンを2個の検査カメラ91で撮像した。これにより、2個の検査カメラ91は、描画シート55に描画された検査パターンをそれぞれ半分ずつ撮像することにより検査パターン全体を撮像できる。具体的には、2個の検査カメラ91を、ヘッド装置30の1描画ラインの長さの約半分の距離だけ離間して配設しておき、この状態で2個の検査カメラを移動させて、検査パターンの左側半分を左側の検査カメラ91で、右側半分を右側の検査カメラ91で撮像する。この結果、短時間で効率的に検査パターンを撮像することができ、液滴吐出ヘッド32の吐出不良検査に要する時間を削減することができる。
【0097】
(5)本実施形態によれば、ワークWの載せ換えと並行して、検査カメラ91による描画シート55に吐出された検査パターンの撮像と、この撮像結果に基づいて液滴吐出ヘッド32の吐出不良の有無の判断と、吐出不良が有る場合には液滴吐出ヘッド32のクリーニング処理を行えるようにした。この結果、ワークWの載せ換え時間を有効に活用することができ、ワークWに対して液滴吐出を行う全体に要する時間を短縮することができる。
(第2の実施形態)
【0098】
第1の実施形態では、ワークWに対するすべての描画処理の最後に、被検査描画装置51にセットされた描画シート55に対して検査パターンの吐出を行い、吐出不良の有無の判断を行っていたが、第2の実施形態では、描画処理の途中の段階で、描画シート55に対して検査パターンの吐出を行い、吐出不良の有無の判断を行っている。
【0099】
図17は、第2の実施形態における描画処理及び吐出不良検査の動作処理を示すフローチャートである。図17のフローチャートに基づき、第2の実施形態における描画処理及び吐出不良検査の動作処理を説明する。なお、図17に示すフローチャートの各ステップにおける動作は、すべてCPU112の制御により実行されている。
【0100】
まず、ステップS51において、ワークWに対しての第1描画動作が行われる。ここで、描画処理は、ワーク載せ換え位置からのワークWの移動に引き続いて行われる。なお、第2の実施形態におけるワークWに対しての、上記の第1描画動作及び以下に記述する第2及び第3描画動作の内容は、第1の実施形態における各描画動作の場合と同様である。
【0101】
次に、ステップS52において、ワークWに対しての第1描画動作の最後に、全液滴吐出ヘッド32を吐出駆動して、被検査描画装置51にセットされた描画シート55に対して検査パターンを吐出させる。このとき、X軸テーブル11の駆動は続けられており、被検査描画装置51がワークWとともにワーク載せ換え位置の方向へ移動中に、描画シート55に対して検査パターンが吐出される。そして、X軸テーブル11の駆動が更に続けられ、検査カメラ91が該当する検査パターンを撮像できる位置に臨むまで、被検査描画装置51をワークWとともに移動させる。ここで、描画シート55の検査パターンの描画位置は、第1の実施形態の場合と同様に、検査パターンの描画回数によりX軸方向へずらすようにしている。
【0102】
次に、ステップS53において、被検査描画装置51の移動により、検査カメラ91が該当する検査パターンを撮像できる位置に臨むと、第1の実施形態における吐出不良検査の場合と同様に、X軸テーブル11の駆動を停止させて、2個の検査カメラ91によって描画シート55に描画された検査パターンを撮像させ、この撮像結果を画像認識することにより、ヘッド装置30の各液滴吐出ヘッド32について、吐出不良の有無を判断する。
【0103】
次に、ステップS54において、ステップS53における吐出不良の有無の判断の結果、全液滴吐出ヘッド32が正常に液滴を吐出していると判断されれば(YES)、ステップS56へ移行し、吐出不良の液滴吐出ヘッド32が有ると判断されれば(NO)、ステップS55へ移行する。
【0104】
ステップS55において、液滴吐出ヘッド32に対しクリーニング処理を実施させ、クリーニング処理が終了したら、ステップS56へ移行する。なお、ここで、吐出不良の液滴吐出ヘッド32が多数存在する場合などは、以降の描画処理及び吐出不良検査を中止することができる。
【0105】
次に、ステップS56において、Y軸テーブル12が駆動され、ヘッド装置30が略1ヘッド分だけY軸方向に移動する。
【0106】
次に、ステップS57において、X軸テーブル11が駆動され、ワークWを被検査描画装置51とともに移動させて、ワークWに対しての第2描画動作が行われる。
【0107】
次に、ステップS58において、ワークWに対しての第2描画動作の最後に、全液滴吐出ヘッド32を吐出駆動して、被検査描画装置51にセットされた描画シート55に対して検査パターンを吐出させる。このとき、X軸テーブル11の駆動による被検査描画装置51及びワークWの移動は、第1描画の際の検査パターン描画(ステップS52)の場合と同様である。
【0108】
次に、ステップS59において、上記第2描画の最後に吐出した検査パターンに基づいて、第1描画における吐出不良検査(ステップS53)の場合と同様に、ヘッド装置30の各液滴吐出ヘッド32について、吐出不良の有無を判断する。
【0109】
次に、ステップS60において、全液滴吐出ヘッド32が正常に液滴を吐出していると判断されれば(YES)、ステップS62へ移行し、吐出不良の液滴吐出ヘッド32が有ると判断されれば(NO)、ステップS61へ移行する。
【0110】
ステップS61において、液滴吐出ヘッド32に対しクリーニング処理を実施させ、クリーニング処理が終了したら、ステップS62へ移行する。なお、ここで、吐出不良の液滴吐出ヘッド32が多数存在する場合などは、以降の描画処理及び吐出不良検査を中止することができる。
【0111】
次に、ステップS62において、Y軸テーブル12が駆動され、ヘッド装置30が略1ヘッド分だけY軸方向に移動する。
【0112】
次に、ステップS63において、X軸テーブル11が駆動され、ワークWを被検査描画装置51とともに移動させて、ワークWに対しての第3描画動作が行われる。
【0113】
次に、ステップS64において、ワークWに対しての第3描画動作の最後に、全液滴吐出ヘッド32を吐出駆動して、被検査描画装置51にセットされた描画シート55に対して検査パターンを吐出させる。このとき、X軸テーブル11の駆動による被検査描画装置51及びワークWの移動は、第1及び第2描画の際の検査パターン描画(ステップS52及びS58)の場合と同様である。
【0114】
次に、ステップS65において、前記第3描画の最後に吐出した検査パターンに基づいて、第1及び第2描画における吐出不良検査(ステップS53及びS59)の場合と同様に、ヘッド装置30の各液滴吐出ヘッド32について、吐出不良の有無を判断する。
【0115】
次に、ステップS66において、全液滴吐出ヘッド32が正常に液滴を吐出していると判断されれば(YES)、ワークWに対してのすべての描画処理、及びヘッド装置30の各液滴吐出ヘッド32についての吐出不良検査が終了し、吐出不良の液滴吐出ヘッド32が有ると判断されれば(NO)、ステップS67へ移行する。
【0116】
ステップS67において、液滴吐出ヘッド32に対しクリーニング処理を実施させ、クリーニング処理が終了したら、ワークWに対してのすべての描画処理、及びヘッド装置30の各液滴吐出ヘッド32についての吐出不良検査が終了する。
【0117】
なお、第2の実施形態では、上記第1〜第3描画動作の各描画動作の最後に吐出不良検査を行っているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1描画動作の最後にのみ吐出不良検査を行い、第2及び第3描画動作においては吐出不良検査を行わないとか、第1描画動作の最後には吐出不良検査を行わないで、第2描画動作の最後と第3描画動作の最後とに吐出不良検査を行うといったように、任意の描画動作の最後のタイミングで吐出不良検査を行っても良い。更に、各描画動作の最後のタイミングの吐出不良検査だけではなく、例えば、各描画動作におけるワークW及び被検査描画装置51の往復動の各々の動作による描画の前あるいは後の任意のタイミングで吐出不良検査を行っても良い。
【0118】
上述した第2の実施形態によれば、第1の実施形態の場合と同様な効果が得られることに加え、以下に示す効果がある。
【0119】
(1)第2の実施形態によれば、ワークWに対しての描画の途中の段階で、ヘッド装置30の各液滴吐出ヘッド32について吐出不良の有無の検査を行うことができる。この結果、ワークWに対しての描画中に液滴吐出ヘッド32の吐出不良が発生した場合、迅速に該当する液滴吐出ヘッド32に対しメンテナンス処理を施すことができるため、製造上の歩留まりを向上させることができる。また、ワークWに対しての描画中に吐出不良が多数発生したような場合、以降の描画処理及び吐出不良検査を中止することができ、描画に係る全体の費用の低減につなげられる。
【0120】
(変形例1)前記実施形態において、被検査描画装置51は、セットテーブル60と定期フラッシング装置71との間にのみ配設されている。しかし、被検査描画装置が配設される位置はこれに限られない。以下に、被検査描画装置が配設される位置について変形例を示す。
図18は、被検査描画装置が2つ配設されたときの液滴吐出装置の側面図である。図18に示すように、X軸エアースライダ63が図示左側の方向へ延長され、延長されたX軸エアースライダ63が有しているスライダ本体65に支持されて被検査描画装置51Aが配設されている。被検査描画装置51Aの構成は、被検査描画装置51と同様であり、被検査描画装置51Aには描画シート55A(図示省略)がセットされ、液滴吐出ヘッド32から所定回数の検査パターンが描画される。
この構成では、第1及び第2の実施形態の第1〜第3描画動作において、被検査描画装置51AがワークWとともに往動中に、ワークWへの描画の後に続いて描画シート55Aに検査パターンを吐出させる。次に、被検査描画装置51AがワークWとともに復動する際に、描画シート55Aに描画された上記検査パターンを検査カメラ91で撮像させて、吐出不良の有無の検査を行うことができる。これにより、復動するワークWに対して描画する前に、吐出不良の有無の検査を行うことができるので、吐出不良の有無の検査の回数が倍増することになり、更にきめ細かい吐出不良の有無の検査が実現する。
【0121】
(変形例2)前記実施形態においては、電気光学装置として液晶表示装置について説明したが、本発明に係る電気光学装置としては、液晶表示装置の他に、PDP(プラズマディスプレイパネル)、有機発光材を利用する有機EL(エレクトロルミネッセンス)、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0122】
1…液滴吐出装置、11…X軸テーブル、12…Y軸テーブル、21…X軸支持ベース、22…X軸ガイドレール、23…Y軸支持ベース、24…支柱、25…ワークアライメントカメラ、30…ヘッド装置、31…キャリッジ装置、32…液滴吐出ヘッド、33…ヘッド保持プレート、34…ヘッドプレート、35…キャリッジ、36…ブリッジプレート、41…液滴導入部、42…接続針、43…ヘッド基板、44…ヘッド本体、47…ノズル面、48…吐出ノズル、48a…ノズル列、48b…分割ノズル列、50…吐出不良検査装置、51,51A…被検査描画装置、52…装置ベース、53…巻き取り部、54…支持部材、55,55A…描画シート、56…繰出しリール、57…巻取りリール、60…テーブルとしてのセットテーブル、61…吸着テーブル、62…θテーブル、63…X軸エアースライダ、64…掛合部、65…スライダ本体、66…テーブル本体、67…支持ベース、68…吸引溝、71…定期フラッシング装置、72…描画前フラッシング装置、73…クリーニング装置、90…撮像装置、91…検出装置としての検査カメラ、92…カメラホルダ、93…カメラ移動機構、101…液滴吐出部、102…移動部、103…吐出不良検査部、104…メンテナンス部、105…検出部、106…駆動部、107…制御装置としての制御部、111…インタフェース、112…CPU、113…RAM、114…ROM、115…ハードディスク、116…バス、200…カラーフィルタ、201…描画範囲、203…バンク、207…画素領域、208…着色層、M10…アライメントマーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを第1走査方向に移動させるテーブルと、
前記ワークに液滴を吐出して描画する液滴吐出ヘッドを搭載するとともに第2走査方向に移動するキャリッジ装置と、
前記液滴吐出ヘッドの吐出不良の有無を検査するための吐出不良検査装置と、前記テーブル、前記液滴吐出ヘッド、前記キャリッジ装置及び前記吐出不良検査装置を制御する制御装置とを備え、
前記吐出不良検査装置は、前記テーブルと並設され前記液滴吐出ヘッドの液滴の吐出により検査用の所定の検査パターンが描画される被検査描画装置と、
前記被検査描画装置に描画された前記検査パターンを検出する検出装置と、
前記検出装置により検出された前記検査パターンに基づいて、前記液滴吐出ヘッドの吐出不良の有無を判断する吐出不良判断部とを有し、
前記被検査描画装置は、前記第1走査方向に前記テーブルと一体に移動し、前記液滴吐出ヘッドは、前記ワークに対しての描画と、前記被検査描画装置に対しての検査パターンとなる描画とを含めて液滴を吐出して描画することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記制御装置は、前記検査パターンが前記被検査描画装置に描画される位置を所定の距離だけ第1走査方向にずらす被描画位置変更部を備えていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液滴吐出装置において、
前記液滴吐出ヘッドが液滴を吐出して描画するための描画データを生成する描画データ生成部を備え、
前記描画データ生成部は、前記ワークに対して描画するためのワーク描画データと、
前記被検査描画装置に対して描画するための検査描画データとを含めた前記描画データを生成することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液滴吐出装置において、
前記テーブル上に載置された前記ワークの水平方向の位置データを取得するワーク位置取得部を備え、
前記描画データ生成部は、前記ワーク位置取得部により取得された前記ワークの前記位置データに基づいて、前記被検査描画装置に対して描画する位置を補正した前記描画データを生成することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の液滴吐出装置において、
前記描画データ生成部は、前記被検査描画装置に描画される前記検査パターンの位置を所定の距離だけ第1走査方向にずらした前記描画データを生成することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の液滴吐出装置において、
前記吐出不良検査装置は、前記被検査描画装置に描画された前記検査パターンの面に対抗して臨む前記検出装置を、前記第2走査方向に移動させる移動手段を有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液滴吐出装置において、
前記移動手段は、前記第2走査方向に直線上に並んで複数個配設された前記検出装置を移動させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の液滴吐出装置において、
前記制御装置は、前記テーブルを前記第1走査方向に移動させて、前記被検査描画装置に描画された前記検査パターンを前記検出装置が検出可能な位置に臨ませることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液滴吐出装置において、
前記制御装置は、前記ワークに対して描画の途中に、
前記テーブルを前記第1走査方向に移動させることにより前記被検査描画装置に描画された前記検査パターンを前記検出装置が検出可能な位置に臨ませ、前記検出装置により前記検査パターンを検出させ、前記検出装置により検出された前記検査パターンに基づき、前記吐出不良判断部により前記液滴吐出ヘッドの吐出不良の有無を判断させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項10】
請求項8に記載の液滴吐出装置において、
前記制御装置は、前記テーブルを前記第1走査方向に移動させて前記ワークを搬出可能な位置に臨ませるとともに、前記被検査描画装置に描画された前記検査パターンを前記検出装置が検出可能な位置に臨ませることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の液滴吐出装置において、
前記検出装置は、前記被検査描画装置に描画された検査パターンを撮像することにより検出することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の液滴吐出装置において、
前記液滴吐出ヘッドのクリーニングに使用するクリーニング装置と、
前記液滴吐出ヘッドを移動させて前記クリーニング装置に臨ませるヘッド移動部と、を備え、
前記吐出不良判断部により吐出不良として判断されたときに、
前記制御装置は、前記ヘッド移動部により前記液滴吐出ヘッドを前記クリーニング装置に臨ませ、該クリーニング装置により該液滴吐出ヘッドのクリーニングを行わせることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の液滴吐出装置における液滴吐出方法であって、
前記ワークに対して描画するための前記ワーク描画データと、
前記被検査描画装置に対して描画するための前記検査描画データとを含めた前記描画データを生成する第1工程と、
前記第1工程において生成された前記描画データに基づいて、前記ワーク及び前記被検査描画装置に対して液滴を吐出して描画する第2工程とを備えたことを特徴とする液滴吐出方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の液滴吐出装置を用い、前記ワークに対しての描画と前記被検査描画装置に対しての検査パターンとなる描画とを含めて液滴を吐出して描画する描画工程と、
前記被検査描画装置に対しての検査パターンとなる描画に基づいて、前記液滴吐出ヘッドの吐出不良の有無を検査する検査工程とを備え、
前記ワークに対しての描画により前記ワーク上に前記液滴による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載の前記第1工程と前記第2工程とを含めた液滴吐出方法を用い、前記吐出不良検査装置により前記液滴吐出ヘッドの吐出不良の有無を検査することを特徴とする電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−231211(P2010−231211A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84956(P2010−84956)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【分割の表示】特願2005−117870(P2005−117870)の分割
【原出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】