説明

液滴吐出装置

【課題】定期的に重量測定処理を行なう場合でも、描画処理におけるタクトタイムを短縮すること。
【解決手段】液滴吐出装置1は、ワークWにインクジェット方式で描画を行なう複数の機能液滴吐出ヘッド17と、ワークWを搭載するワークステージ21と、ワークWを主走査方向に移動させるワーク移動手段22と、複数の機能液滴吐出ヘッド17からの捨て吐出を受けるフラッシングユニット14と、複数の機能液滴吐出ヘッド17の吐出性能を検査する吐出検査ユニット18と、複数の機能液滴吐出ヘッド17から吐出された機能液滴の重量を測定する重量測定ユニット90と、フラッシングユニット14、吐出検査ユニット18および重量測定ユニット90を搭載すると共に、フラッシングユニット14、吐出検査ユニット18および重量測定ユニット90を、ワークステージ21と同一軌道上において主走査方向に移動させるユニット移動手段23と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを用いてワークに描画を行なう液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液滴吐出装置として、ワークをセットするセットテーブル(ワークステージ)と、機能液滴吐出ヘッドの吐出ノズルからの捨て吐出を行なうためのフラッシングユニットと、吐出ノズルから機能液が適切に吐出されているか否かを検査する吐出検査ユニットと、機能液滴吐出ヘッドの機能回復を行なう吸引ユニットと、吸引後の機能液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭するワイピングユニットと、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。フラッシングユニットおよび吐出検査ユニットは、ワークステージの移動軸上(主走査方向)に設けられ、吸引ユニットおよびワイピングユニットはワークステージの移動軸と直交する別軸(副走査方向)に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−076067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高精度の描画を行なうためには、機能液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから吐出した機能液の重量を測定して機能液滴の量を調整する重量測定ユニットを備えることが好ましい。重量測定ユニットは、例えば描画処理前に行なわれるため、メンテナンス処理を考慮して、吸引ユニットおよびワイピングユニットと共に上記の別軸に設けられることが考えられる。
【0005】
しかしながら、従来の液滴吐出装置において、描画精度の向上のために、定期的に重量測定を行なう場合、重量測定処理を行なう度に、機能液滴吐出ヘッドを別軸上に設けられた重量測定ユニットに臨ませる必要があるため、描画処理におけるタクトタイムが長くなってしまう問題が想定される。
【0006】
本発明は、定期的に重量測定処理を行なう場合でも、描画処理におけるタクトタイムを短縮することができる液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液滴吐出装置は、ワークにインクジェット方式で描画を行なう複数の機能液滴吐出ヘッドと、ワークを搭載するワークステージと、ワークステージを介して、複数の機能液滴吐出ヘッドに対しワークを主走査方向に移動させるワーク移動手段と、複数の機能液滴吐出ヘッドからの捨て吐出を受けるフラッシングユニットと、複数の機能液滴吐出ヘッドの吐出性能を検査する吐出検査ユニットと、複数の機能液滴吐出ヘッドから吐出された機能液滴の重量を測定する重量測定ユニットと、フラッシングユニット、吐出検査ユニットおよび重量測定ユニットを搭載すると共に、フラッシングユニット、吐出検査ユニットおよび重量測定ユニットを、ワークステージと同一軌道上において主走査方向に移動させるユニット移動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ワークステージを移動させるワーク移動手段と、フラッシングユニット、吐出検査ユニットおよび重量測定ユニットを移動させるユニット移動手段と、が同一軌道上にあるため、描画処理の直前に、重量測定を行なうことができる。このため、定期的に重量測定を行なった場合でも、重量測定処理から描画処理への移行を短時間で行なうことができ、全体としてのタクトタイムを短縮することができる。
【0009】
この場合、ワーク移動手段およびユニット移動手段は、共通のリニアモータを有し、リニアモータにより個別に駆動することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ワークや各ユニットを高精度に移動させることができると共に、ワーク移動手段およびユニット移動手段の構造を単純化することができる。
【0011】
これらの場合、重量測定ユニットは、複数の機能液滴吐出ヘッドに対しノズル列単位で測定を行うようになっており、重量測定ユニットに対し複数の機能液滴吐出ヘッドを、副走査方向に相対的に移動させるサブ移動手段を、を更に備えたことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、重量測定ユニットに対し複数の機能液滴吐出ヘッドを、副走査方向に相対的に移動させることで、1の重量測定ユニットにより複数の機能液滴吐出ヘッドの重量測定を行なうことができる。
【0013】
この場合、測定吐出のために、重量測定ユニットの受液容器に任意の1の機能液滴吐出ヘッドが臨んだ状態で、他の全ての機能液滴吐出ヘッドの捨て吐出を受け得るように、重量測定ユニットとフラッシングユニットとは、一体に形成されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、任意の1の機能液滴吐出ヘッドが重量測定にかかる測定吐出を行なっている間に、重量測定を待つその他の全ての機能液滴吐出ヘッドの捨て吐出を行なうことができる。これにより、重量測定の待ち状態の間に、機能液滴吐出ヘッドのノズルが乾燥等(機能液の増粘)の不具合を生ずることがない。
【0015】
この場合、フラッシングユニットは、受液容器を外れた位置において、複数の機能液滴吐出ヘッドの捨て吐出を同時に受け得る大きさに形成されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、フラッシングが受液容器を外れた位置にあるため、捨て吐出された機能液滴が受液容器に入ることがない。これにより、不要な受液容器の交換を防止することができる。
【0017】
これらの場合、吐出検査ユニットは、複数の機能液滴吐出ヘッドからの検査吐出を受けると共に、副走査方向に延在する帯状の検査シートと、検査シートに検査吐出された着弾ドットを画像認識すると共に、複数の機能液滴吐出ヘッドの近傍において主走査方向に対し固定的に設けた認識カメラと、を有し、フラッシングユニットは、画像認識のための認識カメラが検査シートの幅内のいずれかの位置に臨んだ場合であっても、複数の機能液滴吐出ヘッドの捨て吐出を同時に受け得る大きさに形成されていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、認識カメラが着弾ドットを画像認識している吐出検査時に、フラッシングユニットが複数の機能液滴吐出ヘッドの捨て吐出を受けることができ、機能液滴吐出ヘッドの機能維持を図ることができる。
【0019】
これらの場合、ワークのアライメントマークを画像認識すると共に、複数の機能液滴吐出ヘッドの近傍において主走査方向に対し固定的に設けたアライメントカメラを、更に備え、ワーク移動手段により、アライメントマークをアライメントカメラの画像認識可能な位置に臨ませた前記ワークステージに対し、ユニット移動手段によりフラッシングユニットを最大限接近させた状態で、フラッシングユニットは、複数の機能液滴吐出ヘッドの捨て吐出を同時に受け得る大きさに形成されていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、アライメントカメラがワークのアライメントマークを画像認識している時に、フラッシングユニットが複数の機能液滴吐出ヘッドの捨て吐出を受けることができ、機能液滴吐出ヘッドの機能維持を図ることができる。
【0021】
これらの場合、複数の機能液滴吐出ヘッドから主走査方向に逃げた軌道上に、重量測定ユニットの電子天秤が直下に臨む風防部材を配設したことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、重量測定時に、移動手段により重量測定ユニットの電子天秤を防風部材の直下に移動させることで、電子天秤は気流の影響を受けることなく、正確に重量測定を行なうことができる。
【0023】
これらの場合、複数の機能液滴吐出ヘッドから機能液を吸引する吸引ユニットと、複数の機能液滴吐出ヘッドの各ノズル面を払拭するワイピングユニットと、吸引ユニットおよびワイピングユニットを搭載すると共に、吸引ユニットおよびワイピングユニットを、ワークステージと同一軌道上において主走査方向に移動させるサブユニット移動手段と、を更に備えたことが好ましい。
【0024】
この構成によれば、吸引ユニットが機能液滴吐出ヘッドから機能液の吸引し、ワイピングユニットが吸引された機能液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭する。これにより、吸引、ワイピングおよび重量測定から成る一連処理におけるタクトタイムを短縮することができる。
【0025】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0026】
本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする。
【0027】
これらの構成によれば、上記液滴吐出装置を用いて、ワークのアライメント処理および機能液滴吐出ヘッドの吐出性能検査を並列に行うことで、製造のサイクルタイムを短縮することができ、ワークの生産性を向上させることができる。なお、電気光学装置(フラットパネルディスプレイ:FPD)としては、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、PDP装置、電子放出装置等が考えられる。なお、電子放出装置は、いわゆるFED(Field Emission Display)やSED(Surface-conduction Electron-Emitter Display)装置を含む概念である。さらに、電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等を包含する装置が考えられる。
【0028】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または上記した電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
【0029】
この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータのほか、各種の電気製品がこれに該当する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の平面図である。
【図2】本実施形態に係る液滴吐出装置を主走査方向から見た側面図である。
【図3】本実施形態に係る液滴吐出装置を副走査方向から見た側面図である。
【図4】機能液滴吐出ヘッドの外観斜視図である。
【図5】ヘッド群を構成する機能液滴吐出ヘッドの図である。
【図6】ヘッドユニットに搭載された機能液滴吐出ヘッドの配色パターンの説明図である。
【図7】カラーフィルタの配色パターンの説明図であり、(a)は、ストライプ配列、(b)は、モザイク配列、(c)は、デルタ配列を示している。
【図8】吐出検査ユニット廻りの外観斜視図である。
【図9】液滴吐出装置の主制御系について説明したブロック図である。
【図10】重量測定ユニットの平面図である。
【図11】重量測定ユニットの側面図である。
【図12】アライメント時の定期フラッシング処理を説明するための模式図である。
【図13】重量測定処理を説明するための模式図である。
【図14】重量測定処理を説明するための模式図である。
【図15】定期フラッシング処理を説明するための模式図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る液滴吐出装置の平面図である。
【図17】本実施形態に係る液滴吐出装置の側面図である。
【図18】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図19】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図20】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図21】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図22】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図23】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図24】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図25】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図26】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図27】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図28】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図29】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図30】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図31】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図32】陰極の形成を説明する工程図である。
【図33】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図34】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【図35】表示装置の電子放出部廻りの平面図(a)およびその形成方法を示す平面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態に係る液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。
【0032】
図1、図2および図3に示すように、液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース2上に配設され、主走査方向となるX軸方向に延在して、ワーク(基板)WをX軸方向(主走査方向)に移動させるX軸テーブル11と、複数本の支柱4を介してX軸テーブル11を跨ぐように架け渡された1対(2つ)のY軸支持ベース3上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在するY軸テーブル12と、一対のアライメントカメラ81を有し、X軸テーブル11を跨ぐように架け渡された画像認識ユニット80と、X軸テーブル11上に設けられたフラッシングユニット14、吐出検査ユニット18および重量測定ユニット90と、複数の機能液滴吐出ヘッド17(図示省略)が搭載された10個のキャリッジユニット51とから成り、10個のキャリッジユニット51は、Y軸テーブル12に吊設されている。そして、X軸テーブル11およびY軸テーブル12の駆動と同期して機能液滴吐出ヘッド17を吐出駆動させることにより、R・G・B3色の機能液滴を吐出させ、一対の基準マーク(アライメントマーク)Mの位置が異なる複数種のワークWに対して、所定の描画パターンを描画する。なお、重量測定ユニット90とフラッシングユニット14とは、一体に形成されている(詳細は後述する)。
【0033】
また、液滴吐出装置1は、吸引ユニット15およびワイピングユニット16、から成るメンテナンスユニット5を備えており、これらユニットを機能液滴吐出ヘッド17の保守に供して、機能液滴吐出ヘッド17の機能維持・機能回復を図るようになっている。吸引ユニット15およびワイピングユニット16は、X軸テーブル11から外れ、かつY軸テーブル12によりキャリッジユニット51が移動可能である位置に配設された架台6上に配設されている。
【0034】
吸引ユニット15は、複数の分割吸引ユニット141を有し、機能液滴吐出ヘッド17を吸引して、機能液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル98から機能液を強制的に排出させるものである。ワイピングユニット16は、洗浄液を噴霧したワイピングシート151を有し、吸引後の機能液滴吐出ヘッド17のノズル面97を拭取る(ワイピングを行なう)ものである。
【0035】
また、同図では省略したが、液滴吐出装置1には、装置全体を制御する制御手段7(図9参照)が備えられており、後述する重量測定処理、描画処理およびメンテナンス処理は、制御手段7による制御に基づいて行なわれている。
【0036】
以下、液滴吐出装置1の構成要素について説明する。図1または図2に示すように、X軸テーブル11は、ワークWをセットするワークステージ21と、ワークステージ21をX軸方向にスライド自在に支持するX軸第1スライダ22と、上記の重量測定ユニット90および吐出検査ユニット18をX軸方向にスライド自在に支持するX軸第2スライダ23と、X軸方向に延在し、X軸第1スライダ22を介してワークWをX軸方向に移動させると共に、X軸第2スライダ23を介して重量測定ユニット90および吐出検査ユニット18をX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモータ26と、X軸リニアモータ26に並設され、X軸第1スライダ22およびX軸第2スライダ23の移動を案内する一対(2本)のX軸共通支持ベース24と、を備えている。なお、X軸第1スライダ22とX軸共通支持ベース24とにより請求項に言うワーク移動手段が構成され、X軸第2スライダ23とX軸共通支持ベース24とにより請求項に言うユニット移動手段が構成され、これらはX軸リニアモータ26により個別に駆動可能となっている。
【0037】
ワークステージ21は、ワークWを吸着セットする吸着テーブル31と、吸着テーブル31を支持し、吸着テーブル31にセットしたワークWの位置をθ軸方向にθ補正するためのθテーブル32等を有している。図1における図示左側の位置が、ワークWのアライメントを行なうためのアライメント位置41(除給材位置)となっており、未処理のワークWを吸着テーブル31に導入(給材)するときや、処理済のワークWを回収(除材)するときには、吸着テーブル31をこの位置まで移動させるようになっている。そして、ロボットアーム(図示省略)により、吸着テーブル31に対するワークWの搬入・搬出(載換え)が行なわれる。また、吸着テーブル31には、給材されたワークWをX軸方向およびY軸方向に寄せこむようにして、これをプリアライメントする機構(図示省略)が組み込まれている。なお、ワークステージ21のY軸方向と平行な一対の辺には、描画前フラッシングユニット111の一対の描画前フラッシングボックス121が添設されている。
【0038】
画像認識ユニット80は、X軸テーブル11に上側から臨み、給材された各種ワークWの各基準マーク(アライメントマーク)Mを画像認識する2台のアライメントカメラ81と、X軸共通支持ベース24に支持され、カメラホルダ(図示省略)を介して、2台のアライメントカメラ81を副走査方向にのみ移動させるカメラ移動機構82と、を有している。各認識カメラ81は、ワークステージ21の主走査方向への移動と協働して、カメラ移動機構82により副走査方向に移動しながら、上記ロボットアームが給材した各種ワークWのアライメントマークを撮像して、各種ワークWの位置認識を行なう。そして、このアライメントカメラ81の撮像結果に基づいて、θテーブル32によるワークWのθ補正が行われる。
【0039】
Y軸テーブル12は、ヘッドユニット13を構成する10個の各キャリッジユニット51をそれぞれ固定した10個のブリッジプレート52と、10個のブリッジプレート52を両持ちで支持する10組のY軸スライダ(図示省略)と、上記した一対のY軸支持ベース3上に設置され、10組のY軸スライダを介してブリッジプレート52をY軸方向に移動させる一対のY軸リニアモータ(図示省略)と、を備えている。なお、Y軸テーブル12は、請求項で言うサブ移動手段を構成している。
【0040】
一対のY軸リニアモータを(同期して)駆動すると、各Y軸スライダが一対のY軸支持ベース3を案内にして同時にY軸方向を平行移動する。これにより、ブリッジプレート52がY軸方向を移動し、これと共にキャリッジユニット51がY軸方向に移動する(副走査)。なお、この場合、Y軸リニアモータの駆動を制御することにより、キャリッジユニット51を独立させて個別に移動させることも可能であるし、10個のキャリッジユニット51を一体として移動させることも可能である。なお、
【0041】
各キャリッジユニット51は、12個の機能液滴吐出ヘッド17と、12個の機能液滴吐出ヘッド17を6個ずつ2群に分けて支持するサブキャリッジ53と、から成るヘッドユニット13を備えている(図5参照)。また、各キャリッジユニット51は、ヘッドユニット13をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構61と、θ回転機構61を介して、ヘッドユニット13をY軸テーブル12(各ブリッジプレート52)に支持させる吊設部材62と、を備えている。
【0042】
図4に示すように、機能液滴吐出ヘッド17は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針92を有する機能液導入部91と、機能液導入部91に連なる2連のヘッド基板93と、機能液導入部91の下方に連なり、内部に機能液で満たされるヘッド内流路が形成されたヘッド本体94と、を備えている。接続針92は、図外の機能液タンクに接続され、機能液導入部91に機能液を供給する。ヘッド本体94は、キャビティ95(ピエゾ圧電素子)と、多数の吐出ノズル98が開口したノズル面97を有するノズルプレート96と、で構成されている。機能液滴吐出ヘッド17を吐出駆動すると、(ピエゾ圧電素子に電圧が印加され)キャビティ95のポンプ作用により、吐出ノズル98から機能液滴が吐出される。
【0043】
なお、ノズル面97には、多数の吐出ノズル98からなる2つのノズル列98bが相互に平行に形成されている。そして、2つのノズル列98b同士は、相互に半ノズルピッチ分位置ずれしている。また、機能液滴吐出ヘッド17は、各吐出ノズル98ごとに液滴を自在に吐出することができるように構成されている。
【0044】
図5に示すように、ヘッドユニット13には、サブキャリッジ53を介して、複数(12個)の機能液滴吐出ヘッド17が搭載されている。12個の機能液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向に2群に分かれ、6個ずつ(R・G・Bそれぞれ2個ずつ)X軸方向に階段状に並んでヘッド群54を構成している。本実施形態のものでは、全機能液滴吐出ヘッド17(12×10個)の2回の副走査により、Y軸方向に連続するRGB3色の描画ラインがそれぞれ形成される。この描画ラインの長さは、セットテーブル21に搭載可能な最大サイズのワークWの幅に対応している。
【0045】
ところで、ヘッドユニット13に搭載された12×10個の機能液滴吐出ヘッド17は、R・G・B3色の機能液のいずれかに対応しており(図6参照)、ワークWに3色の機能液から成る描画パターンを描画できるようになっている。この描画パターンには、図7に示すように3種類のパターンがあり、本実施形態では、図7(a)の描画パターン(ビットマップデータ)により描画が行われる。
【0046】
液滴吐出装置1の描画動作は、まず、ワークWをX軸テーブルにより、X軸方向で移動させながら(図1中左側へ)、第1描画動作(往動パス)を行う。その後、ヘッドユニット13を2ヘッド分Y軸方向に移動(副走査)させて、改めて、ワークWをX軸方向で移動させながら(図1中右側へ)、第2描画動作(復動パス)を行う。そして、再度ヘッドユニット13を2ヘッド分副走査し、もう一度、ワークWをX軸方向で移動させながら(図1中左側へ)、第3描画動作(往動パス)を行う。このような描画動作により、R・G・B3色の描画処理を効率良く行っている。
【0047】
次に、図9を参照して、液滴吐出装置1の主制御系について説明する。同図に示すように、液滴吐出装置1は、ヘッドユニット13(機能液滴吐出ヘッド17)を有する液滴吐出部191と、X軸テーブル11を有し、ワークWをX軸方向に移動させるワーク移動部192と、Y軸テーブル12を有し、ヘッドユニット13をY軸方向へ移動させるヘッド移動部193と、メンテナンスユニット5の各ユニットを有するメンテナンス部194と、各種センサを有し、各種検出を行なう検出部195と、各部を駆動制御する各種ドライバを有する駆動部196と、各部に接続され、液滴吐出装置1全体を制御する制御部197(制御手段7)と、を備えている。
【0048】
制御部197には、各部を接続するためのインタフェース201と、一時的に記憶可能な記憶領域を有し、制御処理のための作業領域として使用されるRAM202と、各種記憶領域を有し、制御プログラムや制御データを記憶するROM203と、ワークWに所定の描画パターンを描画するための描画データや、各部からの各種データ等を記憶すると共に、各種データを処理するためのプログラム等を記憶するハードディスク204と、ROM203やハードディスク204に記憶されたプログラム等に従い、各種データを演算処理するCPU205と、これらを互いに接続するバス206と、が備えられている。
【0049】
そして、制御部197は、各部からの各種データを、インタフェース201を介して入力すると共に、ハードディスク204に記憶された(または、CD−ROMドライブ等により順次読み出される)プログラムに従ってCPU205に演算処理させ、その処理結果を、駆動部196(各種ドライバ)を介して各手段に出力する。これにより、装置全体が制御され、液滴吐出装置1の各種処理が行なわれる。
【0050】
図1、図2および図8に示すように、吐出検査ユニット18は、ヘッドユニット13に搭載された全機能液滴吐出ヘッド17(の吐出ノズル98)から機能液が適切に吐出されているか否か(ドット抜け)を検査するためのものであり、ヘッドユニット13の全機能液滴吐出ヘッド17の全吐出ノズル98から検査吐出された機能液を受け、所定の検査パターンを描画させるための被描画ユニット161と、被描画ユニット161に描画された検査パターン(着弾ドット)を撮像して検査する撮像ユニット162と、を備えている。なお、被描画ユニット161はX軸テーブル11に搭載され、撮像ユニット162はY軸テーブル12直下の検査位置に固定的に設けられている(但し、後述する検査カメラ(認識カメラ)163は、移動する)。
【0051】
被描画ユニット161は、機能液滴吐出ヘッド17からの検査吐出を受けると共に、副走査方向に延在する帯状の検査シート171と、検査シート171が載置される検査ステージ172と、検査シート171の検査済み部分を検査ステージ172に送り出し、かつ非検査済み部分を検査ステージ172に送り込むように検査シート171を送るシート送り手段173と、シート送り手段173を支持するシート送り支持部材174と、シート送り支持部材174を支持するユニットベース175と、検査ステージ172上に載置される検査シート171のセット不良を検出する真空センサ178と、を備えている。
【0052】
図2に示すように、撮像ユニット162は、上記したY軸支持ベース3に支持されており、X軸テーブル11に上側から臨み、検査シート171に検査吐出された着弾ドットを画像認識する2個の検査カメラ163と、Y軸支持ベース3に固定され、カメラホルダを介して、2個の検査カメラ163をY軸方向にスライド自在に支持するカメラ移動機構164と、カメラ移動機構164を介して検査カメラ163をY軸方向に移動させるためのカメラ移動モータ(図示省略)と、を有している。
【0053】
撮像ユニット162は、吸着テーブル31がワーク載せ換え位置に臨んだときに、2個の検査カメラ163が検査シート171に臨むように配設されており、本実施形態では、ワークW載換え中およびアライメント中に、検査パターンの撮像を行なえるようになっている。そして、2個の検査カメラ163による撮像結果は、制御手段7に送信されて画像認識され、この画像認識に基づいて、各機能液滴吐出ヘッド17の各吐出ノズル98が正常に機能液を吐出しているか(ノズル詰まりがないか)否かが判断されるが、この判断もワーク載換え中およびアライメント中に行われる。すなわち、吐出検査手段は、撮像ユニット162および制御手段7により構成されている。
【0054】
図10および図11に示すように、重量測定ユニット90は、フラッシングユニット14と一体に形成されており、これらユニットは、複数(本実施形態では20個)の重量測定装置91と、4つの重量測定装置91毎に一括して支持する5つの支持フレーム92と、重量測定装置91内に収容される定期フラッシングボックス93と、を備えており、支持フレーム92がX軸第2スライダ23に副走査方向に並べて搭載されている。また、重量測定ユニット90の複数の機能液滴吐出ヘッド17に臨む位置から主走査方向に逃げた軌跡上に、電子天秤99が直下に臨む風防部材101が配設されている(図13参照)。複数の重量測定装置91は、Y軸方向に並設されており、1つの重量測定装置91が1つのヘッド群54に対応している。
【0055】
各重量測定装置91は、ヘッド群54を構成する6個の機能液滴吐出ヘッド17のうち、任意の1の機能液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受ける受液容器94と、受液容器94を介して機能液の重量を測定する電子天秤99と、受液容器94を挟むようX軸方向に配設され、重量測定時に測定対象外の機能液滴吐出ヘッド17の捨て吐出を受ける一対の重量測定時定期フラッシングボックス95と、これらを収容するケース96と、を有している。重量測定時定期フラッシングボックス95および定期フラッシングボックス93内には、機能液吸収材97が、その両長辺部を一対の押えプレート98により押え付けた状態で敷設されている。なお、受液容器94は、各機能液滴吐出ヘッド17に対し、ノズル列単位で機能液を受け得る大きさに形成されている。
【0056】
電子天秤99は、受液容器94に吐出された機能液の重量を測定し、測定結果を制御手段7に出力する。制御手段7は、電子天秤99から入力した測定結果に基づいて、ヘッドドライバ38から機能液滴吐出ヘッド17に印加する駆動電力(電圧値)を制御する。すなわち、重量測定結果が目標範囲内の場合は、電圧値を変更することなく、次のワークWに対する描画を行う。他方、重量測定結果が目標範囲外の場合は、予め求めた印加電圧値と重量測定値との分解能データに基づいて電圧値を変更し、変更後の電圧値で、再度重量測定を行なう。この重量測定および電圧値変更は、重量測定結果が目標の範囲内になるまで、繰り返し行なわれる。
【0057】
また、一対の重量測定時定期フラッシングボックス95の内、定期フラッシングボックス93側の重量測定時定期フラッシングボックス95aと、定期フラッシングボックス93とは、吐出検査時に用いられ、これらは検査シート171の幅内のいずれかの位置に検査カメラ163が臨んだ場合でも、複数の機能液滴吐出ヘッド17の捨て吐出を同時に受け得る大きさに形成されている。
【0058】
定期フラッシングボックス93は、ワークWの載換え時等の描画処理休止時に行なわれる、ヘッドユニット13の全機能液滴吐出ヘッド17の捨て吐出(フラッシング)を受けるためのものであり、受液容器94から外れた位置に設けられている。これにより、機能液滴吐出ヘッド17から捨て吐出された機能液滴が受液容器94に入ることがなく、不要な受液容器94の交換を防止することができる。また、定期フラッシングボックス93は、X軸第1スライダ22により、ワークWのアライメントマークMをアライメントカメラ81の画像認識可能な位置に臨ませたワークステージ21に対し、X軸第2スライダ23により定期フラッシングボックス93を最大限接近させた状態で、複数の機能液滴吐出ヘッド17の捨て吐出を同時に受け得る大きさに形成されている。より具体的には、図12(a)に示すように、センター中心にワークWがセットされたときに、アライメントマークMが機能液滴吐出ヘッド17から最も離れるワークWに対し、画像認識を行なう場合には、機能液滴吐出ヘッド17の直下には、定期フラッシングボックス93のワークステージ21から離れた側(図示右側)が臨み、複数の機能液滴吐出ヘッド17からの捨て吐出を受ける。一方、図12(b)に示すように、アライメントマークMが機能液滴吐出ヘッド17から最も近いワークWに対し、画像認識を行なう場合には、機能液滴吐出ヘッド17の直下に、定期フラッシングボックス93のワークステージ21に近い側(図示左側)が臨み、複数の機能液滴吐出ヘッド17からの捨て吐出を受ける。これにより、アライメントカメラ81がアライメントマークMを画像認識している際にも、定期フラッシングボックス93が複数の機能液滴吐出ヘッド17の捨て吐出を受けることができ、機能液滴吐出ヘッド17の機能維持を図ることができる。
【0059】
本実施形態では、1の重量測定装置91で6個の機能液滴吐出ヘッド17についてノズル列単位で測定を行うため、1の機能液滴吐出ヘッド17の1つのノズル列が測定吐出を行っている際に、その他の5個の機能液滴吐出ヘッド17はその測定吐出が終わるのを待つことになるが、その「待ち」状態の機能液滴吐出ヘッド17に捨て吐出を行わせることができる。このため、「待ち」状態の間に吐出ノズルが乾燥することなく、「待ち」状態後に測定吐出を良好に行うことができ、適切な測定結果を得ることができる。
【0060】
次に、図13、図14および図15を参照して、重量測定における一連の動作について説明する。重量測定を開始すると、X軸第2テーブル23が、各重量測定装置91の各受液容器94を、各ヘッド群16の1番目の機能液滴吐出ヘッド17aに臨ませる(図13(a)参照)。そして、各受液容器94に対し、各ヘッド群16の1番目の機能液滴吐出ヘッド17aの全ノズルから、ノズル列単位で測定吐出を行なう。このとき、各ヘッド群16の2番目から6番目の機能液滴吐出ヘッド17b〜17fは、重量測定時定期フラッシングボックス95に対し、捨て吐出を行なう(図14(a)参照)。
【0061】
機能液滴吐出ヘッド17aの測定吐出が終わると、X軸第2テーブル23が、各受液容器94を、重量測定ユニット91の移動軌跡上に設けられた風防部材101の直下に移動させる(図13(b)参照)。この状態で、電子天秤99により、ノズル列単位で液滴吐出量の測定を行う。これにより、電子天秤99は、気流(チャンバルームによるダウンフローや乱流)が風防部材101により遮断されるため、気流の影響を受けることなく、正確に重量測定を行うことができる。そして、1番目の機能液滴吐出ヘッド17aの残りのノズル列の液滴吐出量の重量測定後、2番目の機能液滴吐出ヘッド17bを受液容器94に臨ませ、同様にして、測定吐出を行う(図14(b))。以下同様にして、各ヘッド群54の6個の機能液滴吐出ヘッド17について順に液滴吐出量を測定する。
【0062】
また、ワークWの給材等の描画処理休止時には、X軸第2テーブル23が、各重量測定装置91の各定期フラッシングボックス93を、全ての機能液滴吐出ヘッド17に臨ませる(図15(a)参照)。そして、全ての機能液滴吐出ヘッド17は、各定期フラッシングボックス93に対し、捨て吐出を行なう(図15(b)参照)。
【0063】
以上のように、本実施形態の液滴吐出装置1では、ワークステージ21を移動させるワーク移動手段と、フラッシングユニット14、吐出検査ユニット18および重量測定ユニット90を移動させるユニット移動手段と、が同一軌道上にあるため、描画処理の直前に、重量測定を行なうことができる。このため、定期的に重量測定を行なった場合でも、重量測定処理から描画処理への移行を短時間で行なうことができ、全体としてのタクトタイムを短縮することができる。
【0064】
次に、図16および図17を参照して、本発明の第2実施形態に係る液滴吐出装置1について説明する。なお、上記実施形態1に係る液滴吐出装置1と同じ構成については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0065】
この実施形態では、液滴吐出装置1のX軸テーブル11上に、吐出検査ユニット18および重量測定ユニット90に加え、吸引ユニット15およびワイピングユニット16が設けられており、吸引ユニット15は、フラッシングユニット14(定期フラッシングユニット)を兼ねている。具体的には、ワークステージ21と同軸上において、機能液滴吐出ヘッド17から離れた側から、ワイピングユニット16、重量測定ユニット90、吸引ユニット15、吐出検査ユニット18の順に設けられ、重量測定ユニット90、吸引ユニット15および吐出検査ユニット18はX軸第2スライダ23に搭載され、ワイピングユニット16はX軸第3スライダ(サブユニット移動手段)102に搭載されている。
【0066】
吸引処理を行なう場合、X軸第2スライダ23により、吸引ユニット15を機能液滴吐出ヘッド17の下に臨ませて、機能液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル98から機能液を吸引する。その後、ワイピング処理を行なう場合には、X軸第2スライダ23により吸引ユニット15を微小移動させると共に、X軸第3スライダ102によりワイピングユニット16を機能液滴吐出ヘッド17の下に臨ませて、吸引後の機能液滴吐出ヘッド17のノズル面97を拭取る。そして、重量測定処理を行なう場合には、X軸第3スライダ102によりワイピングユニット16を機能液滴吐出ヘッド17から離れる方向に微小移動させると共に、X軸第2スライダ23により重量測定ユニット90を機能液滴吐出ヘッド17の下に臨ませて、上記した重量測定処理を行なう。
【0067】
以上のように、本実施形態の液滴吐出装置1では、吸引ユニット15が機能液滴吐出ヘッド17から機能液の吸引し、ワイピングユニット16が吸引された機能液滴吐出ヘッド17のノズル面97を払拭する。これにより、吸引、ワイピングおよび重量測定から成る一連処理におけるタクトタイムを短縮することができる。
【0068】
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、さらにこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板をいう。
【0069】
まず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図18は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図19は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S101)では、図19(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0070】
続いて、バンク形成工程(S102)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図19(b)に示すように、基板501およびブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図19(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド17により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0071】
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置のばらつきを自動補正できる。
【0072】
次に、着色層形成工程(S103)では、図19(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド17によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド17を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0073】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S104)に移り、図19(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、カラーフィルタ500は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
【0074】
図20は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図19に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0075】
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、および、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0076】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図20において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
【0077】
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0078】
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0079】
実施形態の液滴吐出装置1は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、機能液滴吐出ヘッド17で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を機能液滴吐出ヘッド17で行うことも可能である。
【0080】
図21は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0081】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
【0082】
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0083】
図22は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0084】
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
【0085】
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561および信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0086】
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0087】
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0088】
次に、図23は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
【0089】
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603および陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されると共に、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0090】
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
【0091】
また、回路素子部602には、下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
【0092】
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレイン領域607bに接続されている。
【0093】
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
【0094】
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613および機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、および、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
【0095】
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
【0096】
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成することも可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
【0097】
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
【0098】
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0099】
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0100】
次に、上記の表示装置600の製造工程を図24〜図32を参照して説明する。
この表示装置600は、図24に示すように、バンク部形成工程(S111)、表面処理工程(S112)、正孔注入/輸送層形成工程(S113)、発光層形成工程(S114)、および対向電極形成工程(S115)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0101】
まず、バンク部形成工程(S111)では、図25に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図26に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
【0102】
表面処理工程(S112)では、親液化処理および撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aaおよび画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618sおよび有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば四フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド17を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0103】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、図1に示した液滴吐出装置1のワークステージ21に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S113)および発光層形成工程(S114)が行われる。
【0104】
図27に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S113)では、機能液滴吐出ヘッド17から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図28に示すように、乾燥処理および熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
【0105】
次に発光層形成工程(S114)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒並びに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
【0106】
そして次に、図29に示すように、各色のうちのいずれか(図29の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
【0107】
その後、乾燥工程等を行うことにより、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図30に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
【0108】
同様に、機能液滴吐出ヘッド17を用い、図31に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)および緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決めることも可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0109】
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S115)に移行する。
【0110】
対向電極形成工程(S115)では、図32に示すように、発光層617bおよび有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0111】
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
【0112】
次に、図33は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、およびこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0113】
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
【0114】
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
【0115】
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、およびMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0116】
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、および蛍光体709を、図1に示した液滴吐出装置1を用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板701を液滴吐出装置1のワークステージ21に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド17により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、またはニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0117】
補充対象となるすべてのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
【0118】
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711および蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド17から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
【0119】
次に、図34は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、およびこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
【0120】
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した導電性膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807により複数の電子放出部805が構成されている。導電性膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、導電性膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0121】
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
【0122】
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、導電性膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0123】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806b、導電性膜807およびアノード電極809を、液滴吐出装置1を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、液滴吐出装置1を用いて形成することができる。
【0124】
第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807は、図35(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図35(b)に示すように、予め第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bを形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜807を形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)する。そして、導電性膜807を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板801および第2基板802に対する親液化処理や、バンク部811,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
【0125】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【符号の説明】
【0126】
1…液滴吐出装置 7…制御手段 11…X軸テーブル 12…Y軸テーブル 14フラッシングユニット 15…吸引ユニット 16…ワイピングユニット 17…機能液滴吐出ヘッド 18…吐出性能検査ユニット 21…ワークステージ 22…X軸第1スライダ 23…X軸第2スライダ 26…リニアモータ 90…重量測定ユニット 94…受液容器 99…電子天秤 101…風防部材 W…ワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークにインクジェット方式で描画を行なう複数の機能液滴吐出ヘッドと、
ワークを搭載するワークステージと、
前記ワークステージを介して、前記複数の機能液滴吐出ヘッドに対しワークを主走査方向に移動させるワーク移動手段と、
前記複数の機能液滴吐出ヘッドからの捨て吐出を受けるフラッシングユニットと、
前記複数の機能液滴吐出ヘッドの吐出性能を検査する吐出検査ユニットと、
前記複数の機能液滴吐出ヘッドから吐出された機能液滴の重量を測定する重量測定ユニットと、
前記フラッシングユニット、前記吐出検査ユニットおよび前記重量測定ユニットを搭載すると共に、前記フラッシングユニット、前記吐出検査ユニットおよび前記重量測定ユニットを、前記ワークステージと同一軌道上において主走査方向に移動させるユニット移動手段と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記ワーク移動手段およびユニット移動手段は、共通のリニアモータを有し、前記リニアモータにより個別に駆動することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記重量測定ユニットは、前記複数の機能液滴吐出ヘッドに対しノズル列単位で測定を行うようになっており、
前記重量測定ユニットに対し前記複数の機能液滴吐出ヘッドを、副走査方向に相対的に移動させるサブ移動手段を、を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
測定吐出のために、前記重量測定ユニットの受液容器に任意の1の前記機能液滴吐出ヘッドが臨んだ状態で、他の全ての前記機能液滴吐出ヘッドの捨て吐出を受け得るように、
前記重量測定ユニットと前記フラッシングユニットとは、一体に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記フラッシングユニットは、前記受液容器を外れた位置において、前記複数の機能液滴吐出ヘッドの捨て吐出を同時に受け得る大きさに形成されていることを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記吐出検査ユニットは、前記複数の機能液滴吐出ヘッドからの検査吐出を受けると共に、副走査方向に延在する帯状の検査シートと、
前記検査シートに検査吐出された着弾ドットを画像認識すると共に、前記複数の機能液滴吐出ヘッドの近傍において主走査方向に対し固定的に設けた認識カメラと、を有し、
前記フラッシングユニットは、画像認識のための前記認識カメラが前記検査シートの幅内のいずれかの位置に臨んだ場合であっても、前記複数の機能液滴吐出ヘッドの捨て吐出を同時に受け得る大きさに形成されていることを特徴する請求項1ないし5のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記ワークのアライメントマークを画像認識すると共に、前記複数の機能液滴吐出ヘッドの近傍において主走査方向に対し固定的に設けたアライメントカメラを、更に備え、
前記ワーク移動手段により、前記アライメントマークを前記アライメントカメラの画像認識可能な位置に臨ませた前記ワークステージに対し、前記ユニット移動手段により前記フラッシングユニットを最大限接近させた状態で、前記フラッシングユニットは、前記複数の機能液滴吐出ヘッドの捨て吐出を同時に受け得る大きさに形成されていることを特徴する請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記複数の機能液滴吐出ヘッドから主走査方向に逃げた前記軌道上に、重量測定ユニットの電子天秤が直下に臨む風防部材を配設したことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記複数の機能液滴吐出ヘッドから機能液を吸引する吸引ユニットと、
前記複数の機能液滴吐出ヘッドの各ノズル面を払拭するワイピングユニットと、
前記吸引ユニットおよび前記ワイピングユニットを搭載すると共に、前記吸引ユニットおよび前記ワイピングユニットを、前記ワークステージと同一軌道上において主走査方向に移動させるサブユニット移動手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれかに記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項10に記載の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または請求項11に記載の電気光学装置を搭載したことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2010−198028(P2010−198028A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85795(P2010−85795)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【分割の表示】特願2007−77531(P2007−77531)の分割
【原出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】