説明

液滴噴射ヘッド、該液滴噴射ヘッドを備える筆記具、及び該液滴噴射ヘッドから液滴を噴射する方法

液滴噴射ヘッド(100)は、液体噴射装置(1)内に取り付けられるように設計される。液滴噴射ヘッドは、作動チャンバー(105)を含み、この作動チャンバー(105)が液体供給チャンバー(106)に接続された入口及び噴射ノズル(99)に接続された出口を有する。作動チャンバーもまた、制御装置から受容されたエネルギーによって作動される場合に、作動チャンバーに含有された液体内にパルス波を生み出すための作動手段(120)を含む。作動チャンバーの出口(108)は、単一の共通の噴射ノズル(99)に接続され、液滴が単一の共通の噴射ノズル(99)を通じて噴射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴噴射ヘッドに関し、そのようなヘッドを備えている液滴噴射装置に関する。本発明はまた、そのような液体噴射ヘッドから液滴を噴射する方法に関する。
【0002】
より具体的には、本願発明は、液体噴射装置内に取り付けられるように設計された液滴噴射ヘッドであって、液滴噴射ヘッドが複数の作動チャンバーを備え、作動チャンバーのそれぞれが、前記作動チャンバーに液体を供給するための少なくとも1つの液体供給チャンバーに接続された少なくとも1つの入口と、制御装置から受容されたエネルギーによって作動される場合に、作動チャンバーに含有された液体内でパルス波を生み出すのに適切な少なくとも1つの作動手段と、噴射ノズルに接続された少なくとも1つの出口と、を有している液滴噴射ヘッドに関する。
【背景技術】
【0003】
複数の作動チャンバーを含んでいる描写インク噴射ヘッドである先行技術が周知である。しかしながら、これらは、各インク噴射アクチュエータのための一つの噴射ノズルを有し、複数のノズルから生じる複数の液滴が噴射される。これらの噴射ヘッドは一般的に、保護された環境内で使用され、その環境内では空気の流通が極小であり、例えばディスク型のプリンタ内におけるように噴射距離が周知であり、一般的に一定の状態である。可変の精査速度を提供する場合、先行技術は一般的に、より多くのインクの付着を達成するために噴射頻度を変化することに依存している。しかしながら、これは、これらの噴射ヘッドが依然としてより長い距離に亘る噴射に直面するという問題を解決することはない。
【特許文献1】仏国特許出願第0408138号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の問題を考慮して想到され、且つ本発明の目的は、通常より長い距離で基盤から支持上に液滴を噴射するために、著しく適切な液滴噴射装置を提供することである。この目的のために、本発明の態様は、前記複数の作動チャンバーの出口が単一の共通の噴射ノズルに接続され、液滴が単一の共通の噴射ノズルを通じて前記ヘッドから噴射されることを特徴とする上述の種類の液滴噴射ヘッドを提供することである。
【0005】
より大きく、従ってより重い液滴が噴射され、この液滴は、より小さい液滴より遠くに、且つより正確に移動する。これは重要な利点であり、携帯用筆記具を使用する場合に、液滴噴射ヘッドと筆記表面との間の距離が、インクジェットプリンタなどの従来的なインク噴射技術が使用される用途より一般的にかなり大きい。本発明が、デスクトップ型のインクジェットプリンタ内において使用されるインク噴射ヘッドなどの従来型のアクチュエータの使用を可能にし、よって、複数の小さな液滴を組み合わせてより大きい噴射された液滴にすることによって、より大きいサイズの液滴を生み出すことに留意すべきである。より小さいアクチュエータのサイズによって、本発明は、液滴噴射ヘッド内のアクチュエータのより大きい位置決め及び配置の自由度を可能にする。
【0006】
補足的な利点は、使用者の入力又は噴射している各インクで異なる数のアクチュエータを作動するオプションを有することによって推定された結果に応じて、排出される液滴の量を変化させる可能性であり、支持部の方へ単一のノズルを通じて出る変化する大きさの単一の液滴を有している。これは、頻度を変えないで、厚みを変化する線を描くのに特に有益である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の様々な実施形態は、以下の規定をいずれか1つを付加的に含むことができる。
‐作動チャンバーの出口は共通の中央射出チャンバーに接続され、前記共通の中央射出チャンバーが噴射ノズルに連通している。
‐中央射出チャンバーはその中央に偏向部材を含み、それによって噴射ノズルの方へ液流パルスを偏向する。
‐複数の作動チャンバーは、放射状のパターンで共通の噴射ノズルの周囲に配置されている。
‐作動チャンバーは対称のパターン且つ偶数個で配置されている。
‐複数の作動チャンバーは奇数個で配置され、好ましくは3つの作動チャンバーが三角形状の平坦な胴部の3つの角部に向けてそれぞれ延在している。
‐複数の液体供給チャンバーが設けられ、液体供給チャンバーのそれぞれが少なくとも1つの作動チャンバーに連通し、液体リザーバに流体接続されるように貫通孔を有している、又は共有している。
‐液滴噴射ヘッドは、互いに平行である前面及び後面を有している略平坦な形状とされ、ノズルが前面内に形成され、作動チャンバーの入口に連通している孔が後面上に設けられている。
‐複数の作動チャンバーにおける入口及び出口は、平坦な胴部の主平面内に全体的に、好ましくは噴射ノズルの方向から放射状の方向に沿って延在している。
‐液滴噴射ヘッドがシリコンウェーハ又は他の適切な材料から製造されている。
‐作動手段は、静電作動手段、熱作動手段、及び圧電作動手段を含んでいるグループから選択された1つの手段を備え、好ましくは静電作動手段を備えている。
【0008】
上述された噴射ヘッドは、携帯用液体噴射装置内で使用されるのに特に適切であり、この携帯用液体噴射装置が前端部に開口部を有する略管状の胴部を有し、且つ液体リザーバ、エネルギー格納手段、制御ユニット、及び上記の規定のうちの1つによる液滴噴射ヘッドを含んでいる携帯用液体噴射装置であって、噴射ヘッドの噴射ノズルが管状の胴部の前方開口部に面している。
【0009】
本発明もまた、液体噴射装置内に取り付けられた液体噴射ヘッドによって液滴の噴射を制御する液滴噴射方法であって、
‐複数の作動チャンバーを準備するステップであって、作動チャンバーのそれぞれが、少なくとも1つの入口、作動チャンバー内に含有された液体内でパルス波を生み出すのに適切な少なくとも1つの作動手段、及び少なくとも1つの出口を有している、ステップと、
‐前記複数の作動チャンバーの出口に流体接続された単一の噴射ノズルを準備するステップと、
‐液体リザーバから提供された液体を、それらの入口を通じて作動チャンバーに供給するステップと、
‐一滴の液滴が共通の噴射ノズルを通じて噴射されるような方法で、制御ユニットからのエネルギーの供給によって作動手段の少なくとも1つを作動するステップと、
を備えていることを特徴とする方法に関係する。
【0010】
他の好ましい実施形態には、本発明は、以下のステップのうち任意の1つを付加的に含むことができる。
‐前記作動するステップが、少なくとも2つのアクチュエータの同時の作動を備えている。
‐前記作動するステップが、偶数個の作動手段の作動を備えており、作動手段が対向する対称的なペアに配置される。
‐前記作動するステップが、奇数個の作動手段、好ましくは3個又は5個の作動手段の作動を備えており、アクチュエータが共通の噴射ノズルに対して等距離且つ等角の位置に配置される。
‐前記方法は、作動するステップの前に、決定された液滴径を得るために作動されるように、作動手段の数を決定するステップをさらに備えている。
‐前記装置が距離検知手段及び/又は移動検知手段を備えている携帯用装置であり、前記装置内の液体はインクであり、前記方法は、
‐検知手段によって検知された信号から筆記状態を決定するステップと、
‐筆記状態が決定される間に繰り返してインクの液滴を噴射し、好ましくは一定の噴射頻度で噴射するステップと、
をさらに備えている。
‐筆記具の検知された精査速度、筆記表面と噴射ノズルとの間の検知された距離、及び描かれた線の所望される厚み又はスタイルを含んでいるグループのパラメーターのうちの少なくとも1つによる液滴径を測定しているステップをさらに備えている。
【0011】
他の特性及び利点は、以下の詳細な説明において当業者に理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
各図面において、同一の参照符号は、同一の構成要素又は類似の構成要素に言及する。
【0013】
図1は、非接触型筆記具1内に取り付けられた液滴噴射ヘッド100の特定の実施形態を示す。しかしながら、本発明もまた、携帯用プリンタ又はデスクトッププリンタ、又は他の類似の装置内で使用されるのに適している。
【0014】
非接触型筆記具は略管状の要素を有し、この略管状の要素がペンを形成するための前端部11と後端部12との間に延在する。管状の要素は中空の内部空間を画定している内部壁13及び使用者の手の中に保持されるように設計された外部壁14を有する。
【0015】
筆記具の内側中空部分は液体リザーバ15を備え、この液体リザーバ15は、末端利用者が容易に交換可能であるように取り外し可能な方法で取り付けられ、液体16を含有する。提案されているこの特定の実施形態、すなわち筆記具に使用される液体は、その液体として可視のインクを有することが、留意されるべきである。しかしながら、用途に依存して、液体もまた流体、接着剤、又は用途に適した他のものとすることができる。
【0016】
筆記具1は、エネルギー格納ユニット17をさらに備えることができ、それによって制御ユニット20及び液体噴射装置100にエネルギーを提供する。エネルギー格納ユニット17は筆記具1から取り付けることができ、よってこのエネルギー格納ユニットは容易に取り外し可能とされ、又はこのエネルギー格納ユニットは2004年7月22日に出願された特許文献1に記載されているように、液体リザーバ15と合体することができ、又は筆記具に、再注入するための手段を有することができる。
【0017】
また筆記具は、光学レンジファインダー21などの、液滴噴射ヘッド100と筆記媒体2との間の距離を測定する手段、及び、例えば加速度計22を有する、ペンの筆記作業を測定するための手段のような、他の装置を備えることができる。
【0018】
筆記具1は、第1の実施形態による液滴噴射ヘッド100をさらに備え、このヘッド100は、筆記具1の前端部に位置された前方開口部19に面する。ヘッドは物理的に小さく、よって使用者に対する視覚的障害を引き起こさずにペンの先端を形成する前端部11に近接して配置することができる。
【0019】
これがたった一つの可能な用途であり、この発明が携帯用プリンタ、デスクトッププリンタ、又は他の装置内で同様に有効な使用方法を有し、他の装置が装置と支持部との間で物理的な接触することなく支持部上に液体を放出することが、当業者に明らかである。
【0020】
少なくとも1つの流体接続部130は、液体リザーバ15と液滴噴射ヘッド100との間に存在する。
【0021】
制御ユニット20は、中央処理ユニット、システムクロック、及び他の部品を備え、それらの距離及び筆記作業測定などの全てのデータを処理するように作用し、また、ノズル99の外側に液体16を噴射するための責任を有する液滴噴射ヘッド100の動作のために提供されたエネルギーパルスを調整し、且つ作動させる。
【0022】
また、制御ユニット20は液滴噴射ヘッド100が液体16を噴射することのみを可能にするように適合することができる一方、加速度計22が媒体2に対する筆記具1の移動を検出し、同時に光学システム21がノズル99と筆記媒体2との間の距離が事前設定された最低値及び事前設定された最大値によって画定された値の範囲内にあることを検出する。これもまた、“既にマークされていない限り再びインクで書く”という原理に従うことができる。
【0023】
図2aに最も良く示されるように、取り付けブロック115の端部は噴射ヘッド100のための支持部として役立つと共に、液体リザーバ15から流れ出る液体の供給のための流路130としても作用する。
【0024】
液滴噴射ヘッド100はベースプレート101によって画定され、このベースプレート上に、アクチュエータと称される複数の作動手段120が液体16を噴射するために設けられ、さらにカバープレート102がベースプレートを覆うようにベースプレート上に配置され、よってそれら内に含有されたチャンバー内の液体を含有する。ベースプレート101は、ベースプレートにエッチングされた複数の流路107,108を含んでいる。
【0025】
複数の作動チャンバー105及び複数の供給流路106が設けられるけれども、作動チャンバー及び供給流路106は図2a上には1つしか示されていない。図5に最も良く示されるように、3つの流路107が供給流路106と作動チャンバー105との間で流体連通を確立し、作動チャンバー105の入口を形成する。流路108が作動チャンバー105と共通の噴射チャンバー104との間で流体連通を確立し、作動チャンバー105の出口を形成する。しかしながら、異なる数の流路が可能である。
【0026】
作動手段120を備える作動チャンバー105は、作動手段120を駆動するための信号線121によって制御ユニット20に接続される。カバープレート102は単一のノズル99を有し、この単一のノズル99がカバープレート102の中央に位置されてカバープレート内に形成され、ベースプレート101の中央噴射チャンバー104の中央に位置合わせされる。カバープレート102の外側面110は、噴射ヘッド100の前面を形成し、この噴射ヘッド100の前面にノズル99が現れる。
【0027】
図2bに示されように、6つの作動チャンバー105及び6つの供給チャンバー106は放射状のパターンで共通の噴射チャンバー104の周りに配置される。各経路は1つの作動チャンバー105及び1つの供給チャンバー106の流路107,108によって形成され、この各経路は、共通の噴射チャンバー104から放射状に延在し、ベースプレート101内に一体に形成された分離壁によって隣接する通路107,108から離隔される。周囲における作動チャンバー105及び供給チャンバー106は、中心から等距離に、互いから等角に、及び同一の前記経路上に存在する。全てのチャンバー104,105,106は、平坦な胴部によって構成されたベースプレート101の主平面内に全体的に延在する。液体16はアクチュエータ120によってパルスから中央噴射チャンバー104内に流れ、アクチュエータ120は作動チャンバー105の一部である。作動チャンバー105自体は液体供給チャンバー106から液体16を供給され、よって各作動チャンバー105は1つの液体供給チャンバー106と単独で接続される。しかしながら、他の実施形態においては、1つの作動チャンバー105よりも多い数の作動チャンバー105に接続された1つの液体供給チャンバー106を有することが、実現可能である。
【0028】
各液体供給チャンバー106内に配置されたインク供給孔109は、ベースプレート101の厚さを貫通して孔を開けられ、ベースプレート101の後面111に現れ、ベースプレート101は噴射ヘッドの後面を構成している。孔109は液体リザーバ15に連通する。ベースプレート101及びカバープレート102は実質的に平坦な矩形形状であり、シリコンウェーハを使用して半導体プロセスによって製造される。
【0029】
液体供給チャンバー106は液体リザーバ15との流体連通し、少量の液体16を一時的に蓄え、液体が供給チャンバー106から作動チャンバー105内に流れることを可能にしている。
【0030】
さらに、作動チャンバー105に接続する液体供給チャンバー106からの液体接続部は、作動チャンバー105内に液体16の流れを動かすように設計されるが、アクチュエータ120によって影響されたパルス状の圧力下で逆方向の流れに対してより大きい抵抗力を設ける。作動チャンバー105と中央射出チャンバー104との間の流路108は、ノズル99に向けてこの流路を移動するパルス状の液体に対する抵抗力をできるだけ設けないべきである。
【0031】
中央射出チャンバー内の中央部には、特異なノズル99の外側で液滴噴射パルスを案内するように偏向部材103(deflection member)を位置される。
【0032】
図6に示されるように、各モジュール部分は中央射出チャンバー104の周りで放射状の方向に位置されており、モジュールは供給チャンバー106、作動チャンバー105、供給チャンバー106と作動チャンバー105との間の流路107、作動チャンバー105の外側へ誘導する流路108を含む。各モジュールは、略扇形状である。
【0033】
しかしながら、それらは任意の形状で形成されてもよいが、好ましくは、アクチュエータ120と中央チャンバー104との間の距離は実質的に等しく維持されているか、及び/又は放射状のパターンである。
【0034】
この第1の実施形態に対しては、6つの作動チャンバーが設けられるが、他の実施形態は図3及び図4に図示された第2の実施形態及び第3の実施形態のようにすることも可能である。図3は、中央射出チャンバー104を囲むように4組の作動モジュールを有するベースプレート101を図示する。図4は、12組のセットのチャンバーを有するベースプレート101を図示する。しかしながら、実施形態はそれらの例に限定するものではなく、任意の数のチャンバー105を有することができる。
【0035】
図3及び図4に図示された実施形態は、これらの実施形態が中央射出チャンバー103内に位置された偏向部材103を有しない点でさらに異なる。これらの実施形態において、偏向部材103を使用する代わりに、偏向は、制御ユニット20によって供給された同一の量のエネルギーで、正確に同一時に、2つずつが対の状態で作動される動作を有することによって影響され、よって液滴は射出シャンバー103の中央で接触し、単一のノズル99を通じてそれ自体を偏向される。偶数個のチャンバー105は、中央噴射チャンバー及びノズル99を通じた出口における前面の衝突を得ることができる。
【0036】
図5に示される第4の実施形態においては、3つのアクチュエータが設けられる。同一のプロセスもまた、設けられた全ての3つのアクチュエータが同一のエネルギーで同時に作動するように影響される。この場合におけるベースプレート101は三角形状に形成され、3組の作動チャンバー105及び液体供給チャンバー106のそれぞれは、三角形形状の頂点に向けて位置され、且つ位置合わせされる。例えば、供給チャンバー106及び作動チャンバー105は互いから120°離隔してモジュールを形成する。また、これらの特性は、奇数個のチャンバーを有する任意の他の実施形態にも適用される。3つのチャンバー105の場合において、それは、50%の空間を有する点及び材料を節約する点における利点を有し、より少ないチャンバーが形成されなければならず、より少ない貫通孔109が液体供給チャンバー106内に加工されるような製造に対する時間の節約と同時に、大量生産に対して大幅な原価節約を達成することができる。
【0037】
作動チャンバー105及びより具体的にアクチュエータ120は、個々に、集団で、又は全てで並行して制御されることができる。しかしながら、実際問題として、アクチュエータ120は、存在しているチャンバーの数に関係なく、対向するペア又は集団で操作される。
【0038】
上部に記載されるように、液滴噴射装置100のような従来の構成において、作動チャンバー105からのパルス状のミクロの液滴は通常、25plから80plの範囲の量を有し、それによって、全てのチャンバーの合計量は約150pl−200plである。
【0039】
この考え方が圧電アクチュエータ、熱アクチュエータ、又は静電アクチュエータを含む任意の作動手段を使用して実行されることに留意することが重要である。動作の異なる手段は、異なる方法で作動チャンバー120内の液体16を加圧又は減圧するのに役立ち、それによって中央チャンバー104内に液体を脈動し、次いで筆記媒体2上に脈動する。
【0040】
図6は、1つの液体噴射モジュールの詳細図である。この特定の実施形態は、サーマルインク噴射ヘッド120を図示する。制御ユニット20にヘッドを接続する電気接続がベースプレート101内に埋め込まれるが、ベースプレート101上に積層される場合がある。この実施形態において、それらの接続121はウェーハ101の縁部に誘導し、そこで制御ユニット20にさらに接続される。
【0041】
液体パルスを作動する最も一般的な手段は、サーマルヘッドを備えることであるが、限られた寿命の不利点に苦しむ。この限られた寿命の問題を緩和するのにいくらか助けになるように、制御ユニットは、全てのアクチュエータ中の寿命を均一に広げるように先の動作に応じて、特定のアクチュエータの使用を回転するように構成されることができる。
【0042】
他の作動手段は、圧電アクチュエータを有するものである。それらは、非水性の液体と共に使用される場合に、一つの制限を有さない利点を有する。しかしながら、それらは、携帯用用途において、動作のために必要とされる高い電圧に苦しむ。
【0043】
動作の好ましい手段は、特に小さな寸法でその高いエネルギー効率によって静電アクチュエータを有するものである。水性の液体及び低電圧のみが必要とされることに制限されることはない。
【0044】
本発明下で可能なさらなる実施形態は、異なる液体を混合することができる点であり、例えば、異なる着色されたインクを混合することができる点である。単一の色を含む液体リザーバ15を有する代わりに、実施形態は、異なる色のための異なる容器内にリザーバをおそらく分離することができるが、それらは必ずしも等しい容積でなくてもよく、異なる秤量要因(weighing factors)又は使用頻度を考慮する。複数の供給チャンネル130は、液体噴射ヘッドの支持部110内に製作され、それによって総数のアクチュエータの部分集合が各色のために関与する。この実施形態と共に、青緑色(cyan)、赤紫色(magenta)、黄色及び黒を備える4つの異なる色を使用し、使用者が上記の色の組み合わせから任意の色で描くことができることを考え得る。
【0045】
次いで、実施形態による液滴噴射ヘッド100からの液滴を噴射する方法は記載される。
【0046】
上記に記載されるように、噴射ヘッド100は特定の実施形態のために筆記具1の端部に設けられ、液体具1は制御ユニット20、制御ユニット20に動力を供給するためのエネルギー源17、及び液体リザーバ15を備える。
【0047】
インクは、筆記具1の胴部内に固定されたインクリザーバ15又は取り外し可能なインクリザーバ15のどちらかの中に蓄えられ、少なくとも1つの流体連通流路130を通じてインク16を液滴噴射ヘッド100に供給する。液体供給チャンバー106は、インク16の小さな個々のリザーバがその対応する作動チャンバー105に利用できることを可能にし、前記供給チャンバー106内に設けられた貫通された穴109は液体リザーバ15に連通する。
【0048】
作動チャンバー105内に設けられたアクチュエータ120の種類は、制限されることはないが、以下の種類、すなわち、静電アクチュエータ、圧電アクチュエータ、熱アクチュエータを備えることができる。異なる種類のアクチュエータが様々な実施形態で存在するので、この明細書は、それらの異なる種類のアクチュエータの詳細な働きを記載しておらず、その詳細な働きは当業者に周知である。
【0049】
制御ユニット20がそれを適切に決定するとすぐに、作動チャンバー105内のアクチュエータ120は制御ユニット20によって提供されたパルス状のエネルギー入力から作動する。このエネルギーのバーストは、最も少ない抵抗力の経路を通じてほとんど方向づけられ、最も少ない抵抗力の経路は、特に設けられた流路108を通じて通過し、中央噴射チャンバー104に向けて半径(ray)に沿っている。作動チャンバー105からの少量の液体を含むパルス波は、ノズル99に向けて移動する。作動チャンバー105からのこの液体搬送パルス波はノズル99に向けて主平面に沿ってベースプレート101を移送する。
【0050】
実施形態が偏向部材103を収容する場合、そのとき液滴が偏向部材103上で偏向し、カバープレート102内に収容されたノズル99の外側へ射出され、好ましくは、同時に他の作動チャンバー105から同一の瞬間で影響された他のパルス状の液滴と同時に混交する。
【0051】
中央偏向部材103が無い場合、次いで、液体のパルス波は対向する幾何学状のペアで噴射され、それによって液体のパルス波の水平方向のエネルギーが相殺され、これの長手方向の構成要素のみが存在して、ノズル99から出る単一の滴として出て行く。同様に、この配置が120°又は72°離隔して配置された3つ又は5つのアクチュエータ120を有するように考え得ることに留意されたい。
【0052】
通常、中央噴射チャンバー104内に収容された偏向部材103が存在しようとしまいと、対向するペアに影響を与える偶数個のアクチュエータ120を有することが好ましい。
【0053】
アクチュエータ120の使用方法を広げることが所望可能とされ、各アクチュエータが約同一の数の動作を平均的に蓄積される。これは、熱アクチュエータのために特に最適である。ヘッド100及び制御ユニット20は、十分高い周波数でインキングを可能にし、インクの個々の小滴が可視できず、噴射が連続しているように見える。それ故に、制御ユニット20は、500Hz−800Hzの間で固定された周波数で変化する複数のアクチュエータ120を作動し、それによって筆記表面上に適切な液滴径を達成し、よって筆記具1の精査速度に依存して筆記された線の適切な認知された厚みを達成する。約150−200pLのノズルからの合計液滴量は、筆記表面2上に適切な線幅、例えば単一の経路上に0.3mmの幅を生成するように所望可能である。
【0054】
変化する液滴径を有するこの利点は、ペンの先端が素早く移動する場合でさえ、個々の液滴が目に見えるほどに分離することを妨げるように、インキング頻度が適切な割合で維持され得ることである。
【0055】
制御ユニット20は、加速度計22などの内部センサから供給されるペンの精査速度又はペングリップ上の圧力又は使用者の設定などの外部命令に応じて、線の幅を変化するように作動するためのアクチュエータ120の数を決定する。
【0056】
液滴径もまた、ノズル99と媒体2との間の検出された距離に応じて決定され、それによって媒体2に対して液滴の衝撃を調整する。筆記された線の厚みを変化するように液滴径を変化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1の実施形態による噴射ヘッドを備える筆記具の断面図である。
【図2a】取り付けブロック上に位置されたカバープレート及びベースプレートを備える噴射ヘッドの第1の実施形態の斜視断面図である。
【図2b】図2aに示されるヘッドのベースプレートを示す図である。
【図3】噴射ヘッドの第2の実施形態の図2bと同様の図である。
【図4】噴射ヘッドの第3の実施形態の図2bと同様の図である。
【図5】噴射ヘッドの第4の実施形態の図2bと同様の図である。
【図6】単一の噴射チャンバーを示す、噴射ヘッドのベースプレートの一部の斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
1 筆記具
2 筆記媒体
11 前端部
12 後端部
13 内部壁
14 外部壁
15 液体リザーバ
16 液体(インク)
17 エネルギー格納ユニット
19 前方開口部
20 制御ユニット
21 光学システム
22 加速度計
99 単一のノズル
100 液滴噴射ヘッド
101 ベースプレート
102 カバープレート
103 偏向部材
104 中央射出チャンバー
105 作動チャンバー
106 供給流路
107 3つの流路
108 流路
109 インク供給孔
110 外側面
111 後面
120 作動手段
115 取り付けブロック
120 作動手段
121 信号線
130 流体接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射装置(1)内に取り付けられるように設計された液滴噴射ヘッド(100)であって、
前記液滴噴射ヘッドが、複数の作動チャンバー(105)を備え、
前記作動チャンバーのそれぞれが、
前記作動チャンバー(105)に液体(16)を供給するための少なくとも1つの液体供給チャンバー(106)に接続された少なくとも1つの入口(107)と、
制御装置(20)から受容されたエネルギーによって作動される場合に前記作動チャンバー内に含有された液体内でパルス波を生み出すのに適切な少なくとも1つの作動手段(120)と、
噴射ノズル(99)に接続された少なくとも1つの出口(108)と、を有している前記液滴噴射ヘッドにおいて、
前記複数の作動チャンバー(105)の前記出口(108)が単一の共通の噴射ノズル(99)に接続され、液滴が前記単一の共通の噴射ノズルを通じて前記ヘッド(100)から噴射されていることを特徴とする液滴噴射ヘッド。
【請求項2】
前記作動チャンバー(105)の前記出口(108)が共通の中央射出チャンバー(104)に接続され、前記射出チャンバーが前記噴射ノズル(99)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴噴射ヘッド。
【請求項3】
前記中央射出チャンバー(104)が偏向部材(103)を含んでおり、それによって前記噴射ノズル(99)の方へ液流パルスを偏向していることを特徴とする請求項2に記載の液滴噴射ヘッド。
【請求項4】
前記複数の作動チャンバー(105)が放射状のパターンで前記共通の噴射ノズル(99)の周囲に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液滴噴射ヘッド。
【請求項5】
前記作動チャンバー(105)が対称のパターン且つ偶数個で配置されていることを特徴とする請求項4に記載の液滴噴射ヘッド。
【請求項6】
前記複数の作動チャンバー(105)が奇数個で配置され、好ましくは3つの作動チャンバーが三角形状の平坦な胴部(101)の3つの角部に向けてそれぞれ延在していることを特徴とする請求項4に記載の液滴噴射ヘッド。
【請求項7】
複数の液体供給チャンバー(106)が設けられ、前記液体供給チャンバーのそれぞれが少なくとも1つの作動チャンバー(105)に連通し、液体リザーバ(15)に流体接続された貫通孔(109)を有している、又は共有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の液滴噴射ヘッド。
【請求項8】
前記ヘッド(100)が互いに平行である前面(110)及び後面(111)を有する略平坦な形状とされ、前記ノズル(99)が前記前面(110)内に形成され、前記作動チャンバー(105)の前記入口に連通している孔(109)が前記後面(111)上に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の液滴噴射ヘッド。
【請求項9】
前記複数の作動チャンバーにおける前記入口(107)及び前記出口(108)が前記平坦な胴部(101)の主平面内に全体的に、好ましくは噴射ノズル(99)の方向から放射状の方向に沿って延在していることを特徴とする請求項7に記載の液滴噴射ヘッド。
【請求項10】
前記液滴噴射ヘッド(100)がシリコンウェーハ又は任意の適切な材料から製造されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の液滴噴射ヘッド。
【請求項11】
前記作動手段は、静電作動手段、熱作動手段、及び圧電作動手段を含んでいるグループから選択された1つの手段を備え、好ましくは、静電作動手段を備えていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の液滴噴射ヘッド。
【請求項12】
前端部(11)に開口部(19)を有する略管状の胴部(14)を有し、且つ液体リザーバ(15)、エネルギー格納手段(17)、制御ユニット(20)、及び請求項1〜11のいずれか一項に記載の液滴噴射ヘッド(100)を含んでいる携帯用液体噴射装置(1)であって、
前記噴射ヘッド(100)の噴射ノズル(99)が前記管状の胴部(14)の前方開口部(19)の外に面していることを特徴とする携帯用液体噴射装置。
【請求項13】
液体噴射装置(1)内に取り付けられた液体噴射ヘッド(100)から液滴を噴射する方法であって、
‐複数の作動チャンバー(105)を準備するステップであって、前記作動チャンバーのそれぞれが、少なくとも1つの入口(107)、前記作動チャンバー内に含有された液体内でパルス波を生み出すのに適切な少なくとも1つの作動手段、及び少なくとも1つの出口(108)を有している、ステップと、
‐前記複数の作動チャンバー(105)の前記出口(108)に流体接続された単一の噴射ノズルを準備するステップと、
‐液体リザーバ(15)から供給された液体(16)を、前記入口(107)を通じて前記作動チャンバー(105)に供給するステップと、
‐一滴の液滴が前記噴射ノズル(99)を通じて噴射されるような方法で、制御ユニット(20)からのエネルギーの供給によって前記作動手段(120)の少なくとも1つを作動するステップと、
を備えていることを特徴とする液体噴射ヘッドから液滴を噴射する方法。
【請求項14】
前記作動するステップが、少なくとも2つのアクチュエータ(120)の同時の作動を備えていることを特徴とする請求項13に記載の液体噴射ヘッドから液滴を噴射する方法。
【請求項15】
前記作動するステップが、偶数個の前記作動手段(120)の作動を備えており、前記作動手段(120)が対向する対称的なペアに配置されることを特徴とする請求項14に記載の液体噴射ヘッドから液滴を噴射する方法。
【請求項16】
前記作動するステップが、奇数個の前記作動手段(120)、好ましくは3個又は5個の前記作動手段の作動を備えており、前記アクチュエータ(120)が前記共通の噴射ノズル(99)に対して等距離且つ等角の位置に配置されることを特徴とする請求項14に記載の液体噴射ヘッドから液滴を噴射する方法。
【請求項17】
前記方法は、前記作動しているステップの前に、決定された液滴径を得るために作動されるように、前記作動手段(120)の数を決定するステップをさらに備えていることを特徴とする請求項14に記載の液体噴射ヘッドから液滴を噴射する方法。
【請求項18】
前記装置(1)が距離検知手段(21)及び/又は移動検知手段(22)を備えている携帯用装置(1)であり、
前記液体(16)はインクであり、
前記方法は、
‐検知手段によって検知された信号から筆記状態を決定するステップと、
‐筆記状態が決定される間に繰り返してインクの液滴を噴射し、好ましくは一定の噴射頻度で噴射するステップと、
をさらに備えていることを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドから液滴を噴射する方法。
【請求項19】
‐前記筆記具(1)の検知された精査速度、筆記表面と前記噴射ノズル(99)との間の検知された距離、及び描かれた線の所望される厚み又はスタイルを含んでいるグループのパラメーターのうちの少なくとも1つによる液滴径を測定するステップをさらに備えていることを特徴とする請求項17又は18に記載の液体噴射ヘッドから液滴を噴射する方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−502578(P2009−502578A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524364(P2008−524364)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009224
【国際公開番号】WO2007/014578
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(501325048)ソシエテ・ビック (24)
【Fターム(参考)】