説明

深掘掘削機

【課題】従来より掘削深さの増加を達成することが可能であり、その上、既存の構成をそれほど改変することなく、簡単な油圧回路の構成で実現できる深掘掘削機を提供する。
【解決手段】テレスコアームとクラムシェルバケット16との間に伸縮シリンダ17を設ける。バケット16を開閉するコントロール弁50と管路53,54を伸縮シリンダ17の伸縮に兼用する。シーケンス弁58Aにより、バケット16の開きを伸縮シリンダ17の伸長に先行させる。シーケンス弁58Bにより、バケット16の閉じを伸縮シリンダ17の収縮に先行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式車両にブーム等を介してテレスコアームを取付け、その先端にクラムシェルバケットを取付けて構成される深掘掘削機に関する。
【背景技術】
【0002】
縦穴等を掘削するため、自走式車両に起伏可能にブームを取付け、このブームに下方に延出可能なテレスコアーム(複数段のアームを油圧シリンダ等により伸縮可能に組み合わせたもの)を取付け、このテレスコアームの下端に油圧シリンダにより開閉されるクラムシェルバケットを取付けて構成される深掘掘削機が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような深掘掘削機において、より深い縦穴を掘削したいという要求に応えるために、テレスコアームとクラムシェルバケットとの間に深掘のための吊ブラケットを付加して作業を行なうことが行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平03−012179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような吊ブラケットを付加すると、クラムシェルバケットを地上に引き上げてトラックの荷台上に位置させ、クラムシェルバケットを開いて荷台上に掘削土砂を積み込む場合、クラムシェルバケットと荷台との高低差が小さくなり、十分な積み込み量の確保が困難となるので、あまり長い吊ブラケットを付加することはできない。このため、吊ブラケットの付加によれば掘削深さの増加をあまり期待できない。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、掘削深さの増加を達成するしながらも、トラックへの積み込み性を確保することができる深掘掘削機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の深掘掘削機は、
自走式車両に起伏可能にブームを取付け、前記ブームに傾斜可能にテレスコアームを取付け、前記テレスコアームの下端にクラムシェルバケットを取付けて構成される深掘掘削機において、
前記テレスコアームと前記クラムシェルバケットとの間に伸縮シリンダを設け、
前記伸縮シリンダと前記クラムシェルバケット開閉用のバケットシリンダとに兼用するコントロール弁を備え、
前記コントロール弁の一方の二次側ポートに接続された第1の管路に、前記バケットシリンダの開き側管路と前記伸縮シリンダの伸長側管路とを接続し、
前記コントロール弁の他方の二次側ポートに接続された第2の管路に、前記バケットシリンダの閉じ側管路と前記伸縮シリンダの収縮側管路とを接続し、
前記コントロール弁の一方の側への切換操作により、前記第1の管路に作動油が供給された際に、前記バケットの開きを先行させ、バケットが開いた後に前記伸縮シリンダを伸長させるように動作圧力が設定されたシーケンス弁を前記伸縮シリンダの伸長側管路に設け、
前記コントロール弁の他方の側への切換操作により、前記第2の管路に作動油が供給された際に、前記バケットの閉じ動作を前記伸縮シリンダの収縮より先行させ、バケットが閉じた後に前記伸縮シリンダを収縮させるように、動作圧力が設定されたシーケンス弁を前記伸縮シリンダの収縮側管路に設けた
ことを特徴とする。
【0008】
請求項2の深掘掘削機は、前記伸縮シリンダの伸長側管路における前記シーケンス弁と前記伸縮シリンダのボトム室との間に、前記伸縮シリンダの収縮側管路に設けたシーケンス弁と前記伸縮シリンダのロッド室との間の油圧をパイロット圧として開くパイロット逆止弁を設けた
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、コントロール弁をバケット開き側に操作して掘削を行なう際に、第1の管路に作動油が供給されると、まず伸縮シリンダの収縮側管路側に設けたシーケンス弁の作用により伸縮シリンダは伸長せず、バケットが開く。そして、バケットが開いた後、第1の管路の油圧上昇により前記シーケンス弁の一次側の油圧が上昇し、シーケンス弁が開いて伸縮シリンダが伸長する。このように、バケットが開き、かつ伸縮シリンダが伸長した状態でテレスコアームを伸長させて縦穴底部にバケットを到達させ、その後コントロール弁を切換えて第2の管路に作動油を供給すると、前記伸縮シリンダの伸長側管路に設けたシーケンス弁により、バケット閉じ動作が先行し、バケットが閉じた後に伸縮シリンダが収縮する。
【0010】
このように伸縮シリンダを収縮させた状態でバケットを地上に引き上げ、トラックの荷台上等にて排土すれば、伸縮シリンダが収縮した状態であるため、バケットが荷台や荷台上の土砂につかえることなく、排土が行なえ、トラックへの積み込み性を確保することができる。すなわち、掘削の際には伸縮シリンダを伸ばして掘削することができ、排土の際には伸縮シリンダを短かくして排土することができるので、従来の吊ブラケットに比較して排土におけるバケット高さの制約が緩和され、より深い箇所における掘削が行なえる。
【0011】
また、本発明の伸縮シリンダは、既存の深掘掘削機のテレスコアームに添設される油圧ホースを増加させることなく、油圧ホースやコントロール弁もそのまま兼用できるので、既存の深掘掘削機の若干の改変により実施することができ、安価に提供可能である。
【0012】
請求項2の発明によれば、パイロット逆止弁により、掘削時の反力を前記伸縮シリンダで受けられる構成としたので、掘削力が保持される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による深掘掘削機の一実施の形態を掘削作業状態で示す側面図である。
【図2】本実施の形態の深掘掘削機において、土砂をトラックに積み込んでいる状態を示す側面図である。
【図3】本実施の形態のテレスコアームの一例を示す構成図である。
【図4】本実施の形態の伸縮シリンダとバケットとの連結構造を示す側面図である。
【図5】本実施の形態のバケットの構成を示す側面図である。
【図6】本実施の形態のバケット開閉および伸縮シリンダ伸縮のための油圧回路図である。
【図7】本発明を適用するバケットの他の例を含む油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1、図2は本発明による深掘掘削機の一実施の形態を、それぞれ掘削状態と、トラックへの土砂積み込み状態とで示す側面図である。図1、2において、1は下部走行体、3はこの下部走行体1上に旋回装置2を介して設置された上部旋回体である。この上部旋回体3は、旋回フレーム3a上に油圧パワーユニット4、キャブ5およびカウンタウエイト6等を搭載して構成される。下部走行体1および上部旋回体2により自走式車輌でなる掘削機本体を構成する。なお、図1に示すように、キャブ5は前後に移動可能とし、掘削作業時にはキャブ5を前方に移動させることにより、キャブ5内のオペレータが縦穴7内の掘削箇所を目視可能となるようにしている。
【0015】
8は旋回フレーム2aにブームシリンダ9により起伏可能に取付けられたブームである。10はテレスコアームであり、この例においては、ブーム8にテレスコアーム8が直接取付けられているが、非伸縮式のアーム(図示せず)を介してテレスコアーム10が取付けられる場合もある。
【0016】
このテレスコアーム10は、アウタアーム10aとセンターアーム10bとインナアーム10cとをテレスコピックに組み合わせて構成される。このテレスコアーム10は、図2に示すように、アウタアーム10aをブーム8の先端にピン11により連結し、アウタアーム10aとブーム8との間に、両端をピン12,13により連結してアームシリンダ14を取付け、このアームシリンダ14の伸縮によりブーム8に対する傾斜角を変更可能としている。
【0017】
16はクラムシェルバケット、17はテレスコアーム10のインナアーム10cとクラムシェルバケット16との間に本発明により付加して設けた伸縮シリンダである。この伸縮シリンダ17はインナアーム10cにピン19により連結して取付けられる。
【0018】
図3はテレスコアーム10の構成例を示す。この例のテレスコアーム10は伸縮シリンダ20を内蔵し、伸縮シリンダ20のロッドをアウタアーム10aの上端部にピン21により連結し、チューブの上部をセンターアーム10bにピン22により連結している。23は伸縮シリンダ20を収縮させるときにセンターアーム10bに対してインナアーム10cを引き上げるロープである。この引き上げロープ23は、一端をアウタアーム10aに接続部24で接続し、中間部をセンターアーム10bの頂部に取付けたシーブ25に掛け、他端をインナアーム10cの頂部に設けた接続部26で接続して取付ける。
【0019】
28は伸縮シリンダ20を伸長させるときにセンターアーム10bに対してインナアーム10cを押し下げるロープである。この押し下げロープ28は、一端をアウタアーム10aに接続部29で接続し、中間部をセンターアーム10bの下端部に取付けたシーブ30に掛け、他端をインナアーム10cの頂部に設けた接続部31で接続して取付けられる。この構成により、伸縮シリンダ20の伸縮により、ロープ23,28およびシーブ25,30が連動してテレスコアーム10が伸縮する。引き上げロープ23はバケット16の開閉と伸縮シリンダ17の伸縮を行なわせるための作動油を流すための油圧ホース(図示せず)を添設したものである。インナアーム10c内には、バケット16の開閉と伸縮シリンダ17の伸縮を行なわせるための作動油を流すための油圧ホース32のみが設けられる。
【0020】
なお、テレスコアームの構成としてはこの他、例えば2本の油圧シリンダをそのロッドが反対向きに突出するように組み合わせ、2本の油圧シリンダのチューブをセンターアーム10bに連結し、一方の油圧シリンダのロッドをアウタアーム10aに連結し、他方の油圧シリンダのロッドをインナアーム10cに連結したもの等、図3のものに限らず、他の伸縮手段を有するテレスコアームを用いることができ、組み合わせるアームの本数も2本あるいは4本以上とすることもできる。
【0021】
図4はクラムシェルバケット(以下バケットと称す。)16と本発明により付加した伸縮シリンダ17の構造を拡大して示す側面図である。図4に示すように、伸縮シリンダ17に対して左右に向けたピン33aにより上ブラケット33を連結し、この上ブラケット33を、バケット16の上端にピン35aにより連結した下ブラケット35を、前後に向けたピン34によって連結することにより、伸縮シリンダ17に対してバケット16を前後、左右に揺動可能に取付ける。そして伸縮シリンダ17を収縮させると、バケット16の底部はHに示す上昇した位置となり、伸縮シリンダ17を伸長させると、Lに示す下降した位置となり、伸縮シリンダ17の長さを付加した深掘が可能となる。
【0022】
図5にバケット16の構造を示す。この実施の形態のバケット16は、中心部にバケットシリンダ36を設けたものであり、このバケットシリンダ36は、ピストン36aを中間部に固定したロッド36bに対してチューブ36cが上下動可能に外嵌された構造を有するものである。ロッド36bの上端に図4に示したピン35aに連結するピン孔37を有する。また、このロッド36bは後述のシェル41の支持体の役目も果たすものである。このバケットシリンダ36は、チューブ36c内におけるピストン36aより上部、下部にそれぞれ密閉した開き側室(バケットを開く際に作動油を供給する油室)36dと閉じ側室(バケットを閉じる際に作動油を供給する油室)36eを形成する。
【0023】
バケットシリンダ36のロッド36bの下端にフレーム40を溶接等により固定する。このフレーム40に、一対のシェル41,41をピン42,42により開閉可能に枢着する。43はチューブ36cの上下動によりシェル41を開閉させる連結アームであり、これらの連結アーム43は上端をチューブ36cにピン44により連結し、下端をピン45によりシェル41に連結して取付ける。
【0024】
図6は前記伸縮シリンダ17の伸縮とバケット16の開閉を行なうための油圧回路図である。図6において、47は地上の掘削機本体の旋回フレーム3aに搭載した油圧パワーユニット4に含まれる主油圧ポンプ、48は同じくパイロット油圧ポンプである。50はバケット16を開閉するコントロール弁であり、本発明においてはこのコントロール弁50を伸縮シリンダ17の伸縮に兼用する。51はこのコントロール弁50を操作するためのパイロット弁であり、操作ペダル51aを有するものである。
【0025】
53はコントロール弁50の一方の二次側ポートAに接続された第1の管路、54は他方の二次側ポートBに接続された第2の管路である。第1の管路53は管路53Aと管路53Bとに分岐する。管路53Aはバケットシリンダ36の開き側室36dに接続された開き側管路である。管路53Bは伸縮シリンダ17のボトム室17aに接続された伸長側管路である。
【0026】
第2の管路54は管路54Aと管路54Bとに分岐する。管路54Aはバケットシリンダ36の閉じ側室36eに接続された閉じ側管路である。54Bは伸縮シリンダ17のロッド室17bに接続された収縮側管路である。56,57はそれぞれ第1の管路53と第2の管路54の最高油圧を設定するリリーフ弁である。
【0027】
58Aは伸縮シリンダ17の伸長側管路53Bに設けたシーケンス弁であり、59Aはこのシーケンス弁58Aに並列に設けた逆止弁である。このシーケンス弁58Aは、コントロール弁50を左位置に切換操作して、前記第1の管路53を介してバケット16のバケットシリンダ36の開き側室36dと伸縮シリンダ17のボトム室17aに作動油が同時に供給された際に、バケット16の開きを先行させるものである。
【0028】
58Bは伸縮シリンダ17の収縮側管路54Bに設けたシーケンス弁であり、59Bはこのシーケンス弁58Bに並列に設けた逆止弁である。このシーケンス弁58Bは、コントロール弁50を右位置に切換操作して、前記第2の管路54を介してバケット16のバケットシリンダ36の閉じ側室36eと伸縮シリンダ17のロッド室17bに作動油が同時に供給された際に、バケット16の閉じを先行させるものである。
【0029】
60は伸縮シリンダ17のボトム室17aとロッド室17bとを結ぶバイパス管路、58Cはこのバイパス管路60に設けられたシーケンス弁であり、伸縮シリンダ17の伸長の際に、ロッド室17bの作動油をボトム室17aに還流させるためのものである。59Cはこのシーケンス弁58Cに並列に設けた逆止弁である。62は伸縮シリンダ17のロッド室17bとシーケンス弁58Bとの間に設けた逆止弁であり、伸縮シリンダ17を伸長させる際に、ロッド室17bからの作動油をボトム室17a側にのみ還流させるためのものである。
【0030】
61はシーケンス弁58Cのパイロット管路であり、このパイロット管路61は、伸縮シリンダ17の収縮側管路54Bにおけるシーケンス弁58Bと逆止弁62との間とシーケンス弁58Cのパイロット室との間を接続する。このパイロット管路61は、伸縮シリンダ17が収縮される際に、前記還流用のシーケンス弁58Cの動作圧力を高めてロッド室17bに加える作動油圧力を確保し、確実に伸縮シリンダ17を収縮させるために設けられる。
【0031】
65は伸縮シリンダ17の伸長側管路53Bにおけるシーケンス弁58Aと伸縮シリンダ17のボトム室17aとの間に設けたパイロット逆止弁である。66aはパイロット逆止弁65のパイロット管路であり、このパイロット管路66は、伸縮シリンダ17の収縮側管路54Bに設けたシーケンス弁58Bと逆止弁62との間の油圧をパイロット圧としてパイロット逆止弁65のパイロット室に加え、このパイロット管路の油圧がある場合にパイロット逆止弁65における逆方向への作動油の流れを許容するものである。
【0032】
この深掘掘削機により掘削を行なう場合は、図6に示したパイロット弁51を操作してコントロール弁50を左位置に切換える。これにより主油圧ポンプ47から吐出された作動油が第1の管路53に供給され、まずバケットシリンダ36の開き側室36dに管路53Aを介して供給されるため、チューブ36cが上昇してシェル41,41がピン42,42を中心として2点鎖線で示すように上方に回動し、バケット16が開く。
【0033】
ここで、シーケンス弁58Aは、バケットを開く際に必要とされる油圧では開かないように動作圧力が設定されているため、シーケンス弁58Aは開かず、伸縮シリンダ17は伸長しない。バケット16が最大開度に開くと、第1の管路53の油圧の上昇により、シーケンス弁58Aが開き、伸縮シリンダ17が伸長する。このため、図1に示した縦穴7の深い箇所を掘削する際には、まずバケット16が開いた状態で伸縮シリンダ17が伸長する。このように、伸縮シリンダ17を伸長させた状態でテレスコアーム10を伸長させることにより、バケット16を縦穴7の底部に押し付ける。
【0034】
前記伸縮シリンダ17の伸長の際には、逆止弁62の作用により、油圧シリンダ17のロッド室17bの作動油をシーケンス弁58Cを通してボトム室17aに還流させるので、伸縮シリンダ17を高速で伸長させることができる。
【0035】
次にキャブ5内のオペレータがパイロット弁51を操作してコントロール弁50を右位置に切換えると、主油圧ポンプ47から吐出された作動油は第2の管路54に供給される。ここで、通常の掘削においては、シーケンス弁58Bの動作圧力は、バケット16を閉じる際に必要とされる油圧では開かないように設定されているため、シーケンス弁58Bは開かず、伸縮シリンダ17は収縮しない。このため、バケットシリンダ36のチューブ36cが上昇したバケット開き状態から、チューブ36cが下降し、シェル41,41がピン42,42を中心に下方に回動し、バケット16が閉じて掘削が行なわれる。
【0036】
バケット16が閉じると、第2の管路54の油圧の上昇により、シーケンス弁58Bが開き、これに伴い、パイロット逆止弁65も開き、同時に、シーケンス弁58Cのパイロット室にパイロット管路66からパイロット圧が加わり、シーケンス弁58Cの動作圧力が高まってシーケンス弁58Cを通しての作動油の流れが阻止され、作動油がロッド室17bに導入され、ボトム室17aの作動油がパイロット逆止弁65を通して流出し、伸縮シリンダ17が収縮する。
【0037】
このように、バケット16内に土砂を収容し、かつ伸縮シリンダ17が収縮した状態となったら、コントロール弁50を中立位置に戻し、テレスコアーム10を収縮させ、図2に示したように、トラックの荷台63上にバケット16を位置させてコントロール弁50を再び左位置に切換えることにより、伸縮シリンダ17を閉じたままでバケット16を開き、バケット16内の土砂を荷台63上に積み込むことができる。
【0038】
このように、この実施の形態においては、テレスコアーム10の下端に伸縮シリンダ17を介してバケット16を取付け、掘削の際には伸縮シリンダ17を伸ばして掘削することができるので、より深い箇所の掘削が可能となり、一方、排土の際には伸縮シリンダ17を短かくして排土することができるので、バケット16が荷台63や荷台63上の土砂64につかえることなく、排土が行なえる。すなわち、従来の吊ブラケットに比較して排土におけるバケット高さの制約が緩和され、より深い箇所における掘削が行なえる。
【0039】
また、伸縮シリンダ17を作動させるための油圧管路53,54やコントロール弁50は、バケット16用のものを兼用しているので、既存の深掘掘削機のテレスコアーム10に添設される油圧ホースやコントロール弁50もそのまま用いることができるので、既存の深掘掘削機の若干の改変により実施することができ、安価に提供可能である。
【0040】
上記のようにバケット16を閉じて掘削を行なう際に、掘削対象に岩石が含まれる等の理由により、第2の管路54の油圧が上昇すると、伸縮シリンダ17のロッド室17bに加わる油圧の上昇により、伸縮シリンダ17が収縮して掘削対象から若干上昇し、第2の管路54の油圧の低下によりバケット16が再度閉じる方向に切換わる。このような動作により、掘削抵抗が過大になることを回避しながら掘削を行なえるので、効率のよい掘削が行なえる。
【0041】
また、この実施の形態においては、伸縮シリンダ17の伸長側管路53Bにおけるシーケンス弁58Aと伸縮シリンダ17のボトム室17aとの間に、伸縮シリンダ17の収縮側管路54Bに設けたシーケンス弁58Bと伸縮シリンダ17のロッド室17bとの間の油圧をパイロット圧として開くパイロット逆止弁65を設けたので、掘削時の反力を伸縮シリンダ17で受けることができ、掘削力を確保することができる。
【0042】
図7は図6の油圧回路が適用されるバケットの他の例を示す。図7の油圧回路は基本的構成が図6のものと同じである。図7に示すバケット16Aは、中心ロッド38の上端に前記ピン34により伸縮シリンダ17を接続するピン孔37を有する。また、ロッド38の下端にフレーム40を固定し、フレーム40にピン42,42を中心としてシェル41,41を回動可能に取付ける。シェル41を開閉するバケットシリンダ36は、一端をロッド38にピン44により連結し、他端をピン45によってシェル41に連結する。
【0043】
このバケット16Aは、バケットシリンダ36の伸長によりシェル41が実線で示すように閉じ、バケットシリンダ36の収縮によりシェル41が2点鎖線で示すように開く。この図7の油圧回路においても、バケット16Aの開きが伸縮シリンダ17の伸長に先行するように、シーケンス弁58Aの動作圧力が設定される。また、バケット16Aの閉じが伸縮シリンダ17の収縮に先行するように、シーケンス弁58Bの動作圧力が設定される。このようにバケット16Aが構成される場合も、前記同様の作用効果を発揮することができる。
【0044】
以上本発明を実施の形態により説明したが、本発明は、上記実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1:下部走行体、2:旋回装置、3:上部旋回体、3a:旋回フレーム、4:油圧パワーユニット、5:キャブ、6:カウンタウエイト、7:縦穴、8:ブーム、9:ブームシリンダ、10:テレスコアーム:10a:アウタアーム、10b:センターアーム、10c:インナアーム、14:アームシリンダ、16,16A:クラムシェルバケット、17:伸縮シリンダ、20:伸縮シリンダ、23:引き上げロープ、25:シーブ、28:押し下げロープ、30:シーブ、32:油圧ホース、36:バケットシリンダ、36a:ピストン、36b:ロッド、36c:チューブ、36d:開き側室、36e:閉じ側室、40:フレーム、41:シェル、43:連結アーム、47:主油圧ポンプ、48:パイロット油圧ポンプ、50:コントロール弁、51:パイロット弁、53:第1の管路、53A:開き側管路、53B:伸長側管路、54:第2の管路、54A:閉じ側管路、54B:収縮側管路、58A〜58C:シーケンス弁、59A〜59C:逆止弁、60:バイパス管路、61:パイロット管路、62:逆止弁、63:トラック荷台、64:土砂、65:パイロット逆止弁、66:パイロット管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走式車両に起伏可能にブームを取付け、前記ブームに傾斜可能にテレスコアームを取付け、前記テレスコアームの下端にクラムシェルバケットを取付けて構成される深掘掘削機において、
前記テレスコアームと前記クラムシェルバケットとの間に伸縮シリンダを設け、
前記伸縮シリンダと前記クラムシェルバケット開閉用のバケットシリンダとに兼用するコントロール弁を備え、
前記コントロール弁の一方の二次側ポートに接続された第1の管路に、前記バケットシリンダの開き側管路と前記伸縮シリンダの伸長側管路とを接続し、
前記コントロール弁の他方の二次側ポートに接続された第2の管路に、前記バケットシリンダの閉じ側管路と前記伸縮シリンダの収縮側管路とを接続し、
前記コントロール弁の一方の側への切換操作により、前記第1の管路に作動油が供給された際に、前記バケットの開きを先行させ、バケットが開いた後に前記伸縮シリンダを伸長させるように動作圧力が設定されたシーケンス弁を前記伸縮シリンダの伸長側管路に設け、
前記コントロール弁の他方の側への切換操作により、前記第2の管路に作動油が供給された際に、前記バケットの閉じ動作を前記伸縮シリンダの収縮より先行させ、バケットが閉じた後に前記伸縮シリンダを収縮させるように、動作圧力が設定されたシーケンス弁を前記伸縮シリンダの収縮側管路に設けた
ことを特徴とする深掘掘削機。
【請求項2】
請求項1に記載の深掘掘削機において、前記伸縮シリンダの伸長側管路における前記シーケンス弁と前記伸縮シリンダのボトム室との間に、前記伸縮シリンダの収縮側管路に設けたシーケンス弁と前記伸縮シリンダのロッド室との間の油圧をパイロット圧として開くパイロット逆止弁を設けた
ことを特徴とする深掘掘削機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−172362(P2012−172362A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34415(P2011−34415)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】