説明

混焼バーナおよびボイラ

【課題】 バイオマス燃料や廃棄物等から生成される液体燃料を用いた場合であっても、適切な燃焼状態(安定した着火性能、燃焼安定性)を維持して、低NOx化を図ることが可能な、混焼バーナを提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、複数種類の燃料を燃焼させ得る混焼バーナ100であって、一次燃焼燃料である気体燃料F0を燃焼させる気体燃焼部と、二次燃焼燃料である液体燃料F2を燃焼させる液体燃焼部とを備え、前記気体燃焼部にて生成された燃焼ガスが、前記液体燃焼部近傍に供給されることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混焼バーナおよびボイラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数種類の燃料を燃焼させるバーナについては、種々のものが知られている。一例としては、液体燃料とガス燃料等とを燃料可能に構成されたバーナが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる従来技術においては、液体燃料バーナの周囲にガス燃料バーナが設けられた構成が開示されており、液体燃料としては、圧力噴霧の容易性および煤の発生を抑える等の観点から、沸点が100℃以上350℃以下である「灯油」を用いる構成が開示されている。
【0004】
さて、近年においては、省エネルギ化等の観点から、バイオマス燃料や廃棄物等から生成される液体燃料を効果的に利用する技術が模索されている。しかしながら、これらの液体燃料は、動粘度、引火点、発熱量等の性状がそれぞれ異なるため、同一のバーナにて燃焼させる場合には、火炎温度の低下、着火時における不具合等が生ずる。したがって、煤、CO、NOxが発生しやすくなる。
【0005】
従来技術にかかるバーナにおいては、上述したように、液体燃料としては「灯油」を用いることが好ましいため、当然のことながら、上記バイオマス燃料や廃棄物等から生成される液体燃料に対応することはできない。仮に、従来技術にかかるバーナにて、上記バイオマス燃料や廃棄物等から生成される液体燃料を燃焼させたとしても、多量の煤、CO、NOxが発生するという問題が生ずる。
【0006】
【特許文献1】特開2003−294211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、バイオマス燃料や廃棄物等から生成される液体燃料を用いた場合であっても、適切な燃焼状態(安定した着火性能、燃焼安定性)を維持して、低NOx化を図ることが可能な、混焼バーナを提供することを課題とする。また、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、上述したバーナを用いることにより、バイオマス燃料や廃棄物等から生成される液体燃料を用いた場合であっても、適切な燃焼状態(安定した着火性能、燃焼安定性)を維持して、低NOx化を図ることが可能な、ボイラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、複数種類の燃料を燃焼させ得る混焼バーナであって、一次燃焼燃料である気体燃料を燃焼させる気体燃焼部と、二次燃焼燃料である液体燃料を燃焼させる液体燃焼部とを備え、前記気体燃焼部にて生成された燃焼ガスが、前記液体燃焼部近傍に供給されることを特徴としている。
【0009】
つまり、本発明においては、気体燃焼部で一段目の燃焼が行われ、液体燃焼部で二段目の燃焼が行われる。加えて、本発明においては、気体燃焼部にて生成された燃焼ガスが、液体燃焼部(およびその近傍)に供給されることとなる。このような構成によれば、気体燃焼部にて生成された燃焼ガスの予熱によって、液体燃焼部(液体燃料)における着火性能および燃焼安定性が高まる。したがって、このような構成によれば、広範な液体燃料(例えば、バイオマス燃料や廃棄物等から生成される液体燃料等)に対応可能な、混焼バーナを得ることができる。
また、このような構成によれば、気体燃焼部にて生成された燃焼ガスが液体燃焼部に供給されることにより、排ガス再循環(EGR)と略同様の効果が得られ、低NOx化を図ることができる。
さらに、このような構成によれば、気体燃焼部および液体燃焼部にて多段燃焼が行われるため、低NOx化を図ることができる。
【0010】
また、本発明にかかる混焼バーナにおいては、前記気体燃焼部は、前記気体燃料と一次燃焼燃料用空気とが混合された予混合燃料を燃焼させるべく構成されており、前記一次燃焼燃料用空気として、理論空気量よりも多くの空気が供給される構成が好ましい。
【0011】
この好ましい構成によれば、気体燃焼部においては、予混合希薄燃焼が行われるため、低NOx化を図ることができる。
【0012】
さらに、本発明にかかる混焼バーナにおいては、前記気体燃焼部は、前記気体燃料と一次燃焼燃料用空気とが混合された予混合燃料を燃焼させるべく構成されており、前記一次燃焼燃料用空気として、前記気体燃焼部にて生成される燃焼ガスの残存酸素濃度が5%〜10%となる空気が供給される構成が好ましい。
【0013】
この好ましい構成によれば、気体燃焼部においては、予混合希薄燃焼が行われるため、低NOx化を図ることができる。
【0014】
また、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、環状に配列された内側水管群と外側水管群とを有する缶体と、前記内側水管群の中央部に配設されたバーナとを備えたボイラであって、前記バーナが、上述したいずれかの構成にかかる混焼バーナであることを特徴としている。
【0015】
このような構成にかかるボイラによれば、上述した種々の効果を発揮し得る混焼バーナが搭載されているため、バイオマス燃料や廃棄物等から生成される液体燃料を用いた場合であっても、適切な燃焼状態(安定した着火性能、燃焼安定性)を維持して、低NOx化を図ることが可能な、ボイラを得ることができる。
【0016】
さらに、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、環状に配列された内側水管群と外側水管群とを有する缶体と、前記内側水管群の中央部に配設されたバーナとを備えたボイラであって、前記内側水管群を成す隣接する内側水管間が、ガス流路を設ける部分を除いて閉塞され、前記ガス流路が、前記内側水管群の一端側に環状に設けられており、前記バーナが、上述したいずれかの構成にかかる混焼バーナであることを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、上述した種々の効果を発揮し得る混焼バーナが搭載されているため、バイオマス燃料や廃棄物等から生成される液体燃料を用いた場合であっても、適切な燃焼状態(安定した着火性能、燃焼安定性)を維持して、低NOx化を図ることが可能な、ボイラを得ることができる。加えて、このような構成によれば、前記内側水管群を成す隣接する内側水管間が、ガス流路を設ける部分を除いて閉塞され、前記ガス流路が前記内側水管群の一端側に環状に設けられているため、前記内側水管群の一端側(上側あるいは下側)に燃焼ガスが均等に流れることとなる。つまり、このような構成によれば、バーナにて生成されたガスが、前記ガス流路に均等に流れるため、前記缶体内における燃焼状態が安定し、より効果的に燃焼性の向上および有害物質の低減を実現可能なボイラを得ることができる。
【0018】
また、本発明にかかるボイラにおいては、前記ガス流路近傍における前記内側水管群および前記外側水管群の少なくとも一方に、拡大伝熱面が設けられている構成が好ましい。
【0019】
この好ましい構成によれば、前記ガス流路近傍に拡大伝熱面を設け、早い段階で燃焼ガスから熱回収が行われ、燃焼ガス温度が早期に低下するため、サーマルNOxの発生を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、バイオマス燃料や廃棄物等から生成される液体燃料を用いた場合であっても、適切な燃焼状態(安定した着火性能、燃焼安定性)を維持して、低NOx化を図ることが可能な、混焼バーナを得ることができる。また、本発明によれば、上述した混焼バーナを用いることにより、バイオマス燃料や廃棄物等から生成される液体燃料を用いた場合であっても、適切な燃焼状態(安定した着火性能、燃焼安定性)を維持して、低NOx化を図ることが可能な、ボイラを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態を説明する前に、本明細書において使用する用語について説明する。
【0022】
本明細書において、単に「ガス」と称する場合、ガスとは、燃焼反応中のガスおよび燃焼反応が完了したガスの少なくとも一方を含む概念であり、燃焼ガスと称することもできる。つまり、ガスとは、燃焼反応中のガスおよび燃焼反応が完了したガスの両方を有する場合、燃焼反応中のガスのみを有する場合、あるいは燃焼反応が完了したガスのみを有する場合の、いずれをも含む概念である。以下、特に説明しない場合は同様の概念である。
【0023】
また、排ガスとは、燃焼反応が完了または殆ど完了したガスを意味する。さらに、特に説明しない場合は、排ガスとは、ボイラの缶体内を通過して煙突部に達したガス、および缶体内にて循環するガスの両方あるいはいずれかを意味するものとする。
【0024】
また、ガス温度は、特に説明しない限り、燃焼反応中のガスの温度を意味し、燃焼温度あるいは燃焼火炎温度と同義である。さらに、ガス温度の抑制とは、ガス(燃焼火炎)温度の最高値を低く抑えることを意味する。なお、通常、燃焼反応は、上述した「燃焼反応が完了したガス」中においても極微量であるが継続しているので、「燃焼反応の完了」とは、燃焼反応の100%完結を意味するものではない。
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0026】
まず、本実施形態の第一態様は、複数種類の燃料を燃焼させ得る混焼バーナであって、一次燃焼燃料である気体燃料を燃焼させる気体燃焼部と、二次燃焼燃料である液体燃料を燃焼させる液体燃焼部とを備え、前記気体燃焼部にて生成された燃焼ガスが、前記液体燃焼部近傍に供給されることを特徴としている。
【0027】
また、本実施形態の第二態様は、第一態様にかかる混焼バーナにおいて、前記気体燃焼部が、前記気体燃料と一次燃焼燃料用空気とが混合された予混合燃料を燃焼させるべく構成されており、前記一次燃焼燃料用空気として、理論空気量よりも多くの空気が供給されるべく構成されている。
【0028】
さらに、本実施形態の第三態様は、第一態様または第二態様にかかる混焼バーナにおいて、前記気体燃焼部が、前記気体燃料と一次燃焼燃料用空気とが混合された予混合燃料を燃焼させるべく構成されており、前記一次燃焼燃料用空気として、前記気体燃焼部にて生成される燃焼ガスの残存酸素濃度が5%〜10%となる空気が供給されるべく構成されている。
【0029】
また、本実施形態の第四態様は、環状に配列された内側水管群と外側水管群とを有する缶体と、前記内側水管群の中央部に配設されたバーナとを備えたボイラであって、前記バーナが、第一態様から第三態様のいずれかの構成にかかる混焼バーナであることを特徴としている。
【0030】
さらに、本実施形態の第五態様は、環状に配列された内側水管群と外側水管群とを有する缶体と、前記内側水管群の中央部に配設されたバーナとを備えたボイラであって、前記内側水管群を成す隣接する内側水管間が、ガス流路を設ける部分を除いて閉塞され、前記ガス流路が、前記内側水管群の一端側に環状に設けられており、前記バーナが、第一態様から第三態様のいずれかの構成にかかる混焼バーナであることを特徴としている。
【0031】
また、本実施形態の第六態様は、第五態様にかかるボイラにおいて、前記ガス流路近傍における前記内側水管群および前記外側水管群の少なくとも一方に、拡大伝熱面が設けられていることを特徴としている。
【0032】
<第一実施例>
以下、図面に基づき、本発明の第一実施例にかかるボイラについて説明する。
【0033】
図1は、本発明の第一実施例にかかるボイラの縦断面の説明図を示している。図2は、図1のII−II線に沿う横断面の簡略説明図を示している。図3は、図1のIII−III線に沿う横断面の簡略説明図を示している。図4は、図1のIV−IV線に沿う横断面の簡略説明図を示している。
【0034】
図1等に示すように、本実施例にかかるボイラ1は、環状に配列された水管群を有する缶体10と、これらの水管群の中央部に配設されたバーナ100とを用いて構成されており、バーナ100上方位置には、燃焼用空気をバーナ100に供給する、ウインドボックス70が設けられている。
【0035】
缶体10は、上部ヘッダ11と下部ヘッダ12との間に複数の水管群(内側水管群20、外側水管群30)を立設して構成されている。それぞれの水管群20,30は、略同心円上の環状に配列されており、内側水管群20から所定間隔を隔てて外側水管群30が設けられており、内側水管群20と外側水管群30との間に環状ガス流路80が形成されている。
【0036】
本実施例において、内側水管群20は、複数の内側水管21および第一縦ヒレ部24を用いて構成されている。それぞれの内側水管21は、略均等の所定間隔を有した状態で環状に構成されており、各内側水管21間には、隣接する内側水管21間の隙間をなくすべく連接された第一縦ヒレ部24が設けられている。つまり、本実施例においては、この第一縦ヒレ部24を用いて、内側水管群20は、密接状態で環状に構成されることとなる。
【0037】
また、各内側水管21の下端部21aは縮径部となっており、本実施例にかかる内側水管群20においては、この縮径された下端部21a周辺の空間が、環状に形成された内側ガス流路25(本発明の「ガス流路」に相当)として機能することとなる。すなわち、この内側ガス流路25は、内側水管群20内部で生成されたガスを環状ガス流路80に導くべく機能する。
【0038】
本実施例において、外側水管群30は、複数の外側水管31および第二縦ヒレ部34を用いて構成されている。それぞれの外側水管31は、略均等の所定間隔を有した状態で環状に構成されており、各外側水管31間には、隣接する外側水管31間の隙間をなくすべく連接された第二縦ヒレ部34が設けられている。つまり、本実施例においては、この第二縦ヒレ部34を用いて、外側水管群30は、密接状態で環状に構成されることとなる。
【0039】
また、各外側水管31間に連接された第二縦ヒレ部34は、図1に示すように、缶体10の内壁上方部に設けられた断熱材との間に所定の空間を有するべく設けられており、本実施例にかかる外側水管群30においては、この第二縦ヒレ部34の上方に形成された空間(第二縦ヒレ部34と上部断熱材との間に形成された空間)が、環状に形成された外側ガス流路35として機能することとなる。この外側ガス流路35は、環状ガス流路80内に導入されたガスを排気筒90側へ導くべく機能する。つまり、内側水管群20内部で生成されたガスは、内側ガス流路25、環状ガス流路80、および外側ガス流路35を介して排気筒90に集められ、この排気筒90を介して缶体10の外部に排出される。
【0040】
内側水管群20を構成する各内側水管21には、下端部21aの上方位置に(内側ガス流路25近傍に)複数の第一スタッドフィン22(本発明の「拡大伝熱面」に相当)が設けられている。より具体的には、環状ガス流路80側に面する各内側水管21の略中央部から下方位置にかけて(下端部21aの下流側(ガス流れの下流側)に)、複数の第一スタッドフィン22が設けられている。第一スタッドフィン22が設けられた箇所の下流側(ガス流れの下流側)に位置する内側水管21には、その環状ガス流路80側に、複数の平板状の第一フィン23(平板状のフィン)が設けられている。
【0041】
また、外側水管群30を構成する各外側水管31には、内側ガス流路25の近傍に複数の第二スタッドフィン32(本発明の「拡大伝熱面」に相当)が設けられている。より具体的には、環状ガス流路80側に面する各外側水管31の略中央部から下方位置にかけて、複数の第二スタッドフィン32が設けられている。第二スタッドフィン32が設けられた箇所の下流側(ガス流れの下流側)に位置する外側水管31には、その環状ガス流路80側に、複数の平板状の第二フィン33(平板状のフィン)が設けられている。
【0042】
すなわち、本実施例においては、内側ガス流路25の近傍における内側水管群20(を構成する内側水管21)および外側水管群30(を構成する外側水管31)にスタッドフィン(第一スタッドフィン22,第二スタッドフィン32)が設けられており、これらのスタッドフィンの下流側(ガス流れにおける下流側)に平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)が設けられている。本実施例においては、第一フィン23および第二フィン33は、ガス流れ(垂直方向の流れ)に対して20°〜85°程度の傾斜角度(水平に対して5°〜70°程度の傾斜角度)を有するように設けられている。
【0043】
図5および図6は、本実施例にかかるボイラに設けられた混焼バーナの概略図を示したものである。ここで、図5は、本実施例にかかる混焼バーナの縦断面の説明図を示し、図6は、図5に示した混焼バーナの下面図を示している。
【0044】
本実施例にかかるボイラ1を構成する混焼バーナ100は、この混焼バーナ100に対して燃焼用空気を供給する空気供給手段たるウインドボックス70内の隔壁71に設置されている(図1、図5参照)。具体的には、混焼バーナ100を構成する載置板101を隔壁71に上方から載置して、ボルト等の締結手段(図示省略)にて載置板101を隔壁71に締結することによって、混焼バーナ100をウインドボックス70内の隔壁71に設置している。なお、本実施例においては、ウインドボックス70内に空気を供給する送風機の構成は、周知の技術であるため省略している。
【0045】
本実施例にかかるバーナは、複数種類の燃料を燃焼させ得る混焼バーナ100であって、一次燃焼燃料である気体燃料を燃焼させる気体燃焼部と、二次燃焼燃料である液体燃料を燃焼させる液体燃焼部とを備え、この気体燃焼部にて生成された燃焼ガスが、液体燃焼部近傍に供給されるべく構成されている。
【0046】
本実施例にかかる混焼バーナ100は、外筒部111、この外筒部111に連接して設けられたメタルニットバーナ部112、このメタルニットバーナ部112の下方内側に設けられたガイド部113、外筒部111およびメタルニットバーナ部112の内側に設けられた内筒部121、この内筒部121の内側に設けられたバーナノズル部122、このバーナノズル部122の先端部近傍に設けられたバッフル板123等を用いて構成されている。
【0047】
本実施例においては、外筒部111と内筒部121との間に構成される領域が、第一予混合燃料流路115として機能し、メタルニットバーナ部112と内筒部121との間に構成される領域が、第二予混合燃料流路117として機能する。また、内筒部121とバーナノズル部122との間に構成される領域が、空気流路127として機能する。
【0048】
本実施例にかかる混焼バーナ100を構成する気体燃焼部は、一次燃焼燃料である気体燃料F0を燃焼させるべく構成されており、具体的には、気体燃料F0と一次燃焼燃料用空気A0とを混合させた予混合燃料F1をメタルニットバーナ部112から噴出させて、燃焼(予混合希薄燃焼)させるべく構成されている。図5等に示すように、気体燃焼部は、外筒部111、この外筒部111に連接して設けられたメタルニットバーナ部112、このメタルニットバーナ部112の下方内側に設けられたガイド部113、第一予混合燃料流路115、および第二予混合燃料流路117等を用いて構成されている。本実施例においては、気体燃料F0として、例えば、LPG、都市ガス等が用いられる。
【0049】
メタルニットバーナ部112は、円筒の全面に多数の細かい噴出孔部が設けられており、その構成は特に限定されない。例えば、複数の金網を積層して円筒形状に巻回して、メタルニットバーナ部112を構成してもよい。また、例えば、その表面に凹凸部を有する円板状部材を縦方向に複数積層して、メタルニットバーナ部112を構成してもよい。さらに、例えば、金属製の筒の全面に微小の孔部を穿孔することにより、メタルニットバーナ部112を構成してもよい。
【0050】
ガイド部113は、第二予混合燃料流路117に流入された予混合燃料F1が、メタルニットバーナ部112から均一に噴出されるべく、所定の角度を有するように設けられている。
【0051】
本実施例にかかる混焼バーナ100を構成する液体燃焼部は、二次燃焼燃料である液体燃料F2を燃焼させるべく構成されており、具体的には、バーナノズル部122から噴出される液体燃料F2と二次燃料燃焼用空気A2とを混合させて、バッフル板123近傍にて保炎して燃焼させるべく構成されている。図5等に示すように、液体燃焼部は、内筒部121、バーナノズル部122、バッフル板123、および空気流路127等を用いて構成されている。本実施例においては、液体燃料F2として、例えば、エタノール、バイオマス燃料、廃棄物等から生成される液体燃料、廃油等が用いられる。
【0052】
バッフル板123には、その中心部に、バーナノズル部122から噴出された液体燃料F2を通過させるべく、噴出孔部123aが設けられている。また、この噴出孔部123aからは、放射線状に複数(本実施例においては八つ)のスリット部123bが設けられている。このように構成されたバッフル板123は、空気流路127を経由して噴出される二次燃焼燃料用空気A2の流れを乱し、二次燃焼燃料用空気A2と液体燃料F2との効果的な混合状態を生み出し、適切に燃焼ガス(火炎)を保炎すべく機能する。
【0053】
本実施例にかかるボイラ1は、以上のように構成されており、その構成に基づき、次のように作用する。以下、上述した図1〜図6を用いて、その作用を具体的に説明する。
【0054】
本実施例にかかる混焼バーナ100を作動させる場合には、まず、送風機(図示省略)を駆動させ、ウインドボックス70を介して、一次燃焼燃料用空気A0と二次燃焼燃料用空気A2とが、第一予混合燃料流路115、第二予混合燃料流路117、および空気流路127に供給される。そして、気体燃焼部においては、着火のタイミングに合わせて、一次燃焼燃料である気体燃料F0が供給され、その結果、第一予混合燃料流路115および第二予混合燃料流路117には、一次燃焼燃料用空気A0と気体燃料F0とが混合された予混合燃料F1が供給されることとなる。すなわち、本実施例においては、予混合燃料F1(を構成する気体燃料F0)の供給時期に合わせて、着火器(図示省略)に通電がなされる。
【0055】
この際、本実施例にかかる気体燃焼部においては、供給される気体燃料F0に応じて理論空気量よりも多くの空気が供給される。より具体的には、この気体燃焼部を構成する第一予混合燃料流路115および第二予混合燃料流路117には、気体燃焼部(を構成するメタルニットバーナ部112)にて生成される燃焼ガスの残存酸素濃度が5%〜10%となるように、空気が供給される。つまり、本実施例においては、気体燃焼部を構成するメタルニットバーナ部112において、予混合希薄燃焼が行われることとなる。
【0056】
次いで、本実施例においては、バーナノズル部122からホローコーン状に液体燃料F2が噴霧され、上述した空気流路127を経由して供給された二次燃焼燃料用空気A2と液体燃料F2とのミキシングが行われる。このようにしてミキシングされた液体燃料F2は、既に着火している気体燃焼部からの燃焼ガスにより予熱されながら着火して、液体燃焼部においては、バッフル板123近傍にて火炎(燃焼ガス)が保炎される。
【0057】
本実施例にかかる混焼バーナ100においては、気体燃焼部に供給される気体燃料F0の供給圧力、および液体燃焼部に供給される液体燃料F2の供給圧力の少なくとも一方を適宜制御することによって、燃焼量の調整を行うことができる。つまり、例えば、混焼バーナ100を、停止状態、低燃焼状態、および高燃焼状態のいずれかへ切り換えるべく構成することが可能である。
【0058】
混焼バーナ100に対する空気の供給量は、一般にウインドボックス70と送風機との間のダクト内に設けられたダンパ(図示省略)や、送風機の回転数を制御するインバータ等(図示省略)を用いて調整される。そして、この空気は、気体燃料および液体燃料の供給量に対応して供給される。先にも述べた通り、本実施例においては、気体燃焼部に対して、多くの空気が供給されるため、気体燃焼部においては予混合希薄燃焼が行われ、液体燃焼部においては過濃燃焼が行われることとなる。そして、混焼バーナ100全体としては、必要に応じた適切な空気量にて燃焼状態が維持されることとなる。
【0059】
さて、以上のように構成され機能する混焼バーナ100においては、図5等に示したメタルニットバーナ部112近傍、およびバッフル板123近傍にて、燃焼ガス(火炎)(図示省略)が形成されることとなる。そして、混焼バーナ100にて生成された燃焼ガスG0は、内側水管群20に沿って下方向に流動する。内側水管群20に沿って下方向に流動したガスは、缶体10の下面に衝突した後、周方向に向けて放射状に流動するガスG1(図1および図2参照)の流れとなって、内側ガス流路25を介して環状ガス流路80内に導入される。
【0060】
内側ガス流路25を介して環状ガス流路80内に導入されたガスG2は、次いで、内側水管群20と外側水管群30に沿って、上方向に流動する。この際、内側水管群20と外側水管群30とに設けられている平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)の傾斜角度に応じて、ガスG2は上方向に流動する。そして、上方向に流動したガスG2は、缶体10の上面に衝突した後、周方向に向けて放射状に流動するガスG3(図1および図4参照)の流れとなって、外側ガス流路35を介して排気筒90に集められ、この排気筒90を介して缶体10の外部に排出される。
【0061】
上記のようなガスの流れにおいて、混焼バーナ100にて生成された火炎(燃焼ガス)の熱エネルギは、内側水管群20および外側水管群30にて回収される。
【0062】
より具体的には、まず、内側水管群20の内表面側(混焼バーナ100が設けられている側(燃焼室側))において、ガスG0,G1と内側水管群20の内表面とが接触することによって熱回収が行われる。次いで、ガスG1が内側ガス流路25を通過する際には、内側水管群20(を成す内側水管21の下端部21a)と、ガスG1とが接触することによって熱回収が行われる。
【0063】
次いで、ガスG1が内側ガス流路25を通過した後には、ガスが外側水管群30の下端部に衝突し、加えてこの内側ガス流路25近傍にはスタッドフィン22,32が設けられていることから、この内側ガス流路25近傍においては乱流状態が促進される。したがって、この内側ガス流路25近傍においては、第一スタッドフィン22および第二スタッドフィン32と、ガスとの接触が効果的に行われて、高効率の熱回収が行われることとなる。
【0064】
次いで、環状ガス流路80を上方向に流動するガスG2は、内側水管群20、外側水管群30、およびそれぞれの水管群20,30に設けられた平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)と接触し、これらとの接触を行うことによってガスG2からの熱回収が行われる。最後に、環状ガス流路80を上方向に流動したガスG3は、外側ガス流路35を介して排気筒90に集められるまでの間、外側水管群30の外側(排気筒90側)に接触することによって、熱回収が行われる。
【0065】
本実施例にかかる混焼バーナ100およびボイラ1は、以上のように構成され機能するため、次のような効果を得ることができる。
【0066】
本実施例にかかる混焼バーナ100は、一次燃焼燃料である気体燃料F0を燃焼させる気体燃焼部と、二次燃焼燃料である液体燃料F2を燃焼させる液体燃焼部とを備え、気体燃焼部にて生成された燃焼ガスが、液体燃焼部近傍に供給されるべく構成されている。つまり、本実施例においては、気体燃焼部で一段目の燃焼が行われ、液体燃焼部で二段目の燃焼が行われる。加えて、本実施例においては、気体燃焼部にて生成された燃焼ガスが、液体燃焼部(およびその近傍)に供給されることとなる。
【0067】
このような構成によれば、気体燃焼部にて生成された燃焼ガスの予熱によって、液体燃焼部(液体燃料F2)における着火性能および燃焼安定性が高まる。したがって、このような構成によれば、広範な液体燃料F2(例えば、バイオマス燃料や廃棄物等から生成される液体燃料等)に対応可能な、混焼バーナ100を得ることができる。また、このような構成によれば、気体燃焼部にて生成された燃焼ガスが液体燃焼部に供給されることにより、排ガス再循環(EGR)と略同様の効果が得られ、低NOx化を図ることができる。さらに、このような構成によれば、気体燃焼部および液体燃焼部にて多段燃焼が行われるため、低NOx化を図ることができる。
【0068】
また、本実施例にかかる混焼バーナ100においては、気体燃焼部が、気体燃料F0と一次燃焼燃料用空気A0とが混合された予混合燃料F1を燃焼させるべく構成されており、一次燃焼燃料用空気A0として、理論空気量よりも多くの空気が供給されるべく構成されている。
【0069】
このような構成によれば、気体燃焼部においては、予混合希薄燃焼が行われるため、低NOx化を図ることができる。
【0070】
さらに、本実施例にかかる混焼バーナ100においては、気体燃焼部が、気体燃料F0と一次燃焼燃料用空気A0とが混合された予混合燃料F1を燃焼させるべく構成されており、一次燃焼燃料用空気A0として、気体燃焼部にて生成される燃焼ガスの残存酸素濃度が5%〜10%となる空気が供給されるべく構成されている。
【0071】
このような構成によれば、気体燃焼部においては、予混合希薄燃焼が行われるため、低NOx化を図ることができる。
【0072】
また、本実施例にかかるボイラ1は、環状に配列された内側水管群20と外側水管群30とを有する缶体10と、内側水管群20の中央部に配設されたバーナとを備えたボイラ1であって、このバーナが、上述したいずれかの構成にかかる混焼バーナ100であることを特徴としている。
【0073】
このような構成にかかるボイラ1によれば、上述した種々の効果を発揮し得る混焼バーナ100が搭載されているため、バイオマス燃料や廃棄物等から生成される液体燃料を用いた場合であっても、適切な燃焼状態(安定した着火性能、燃焼安定性)を維持して、低NOx化を図ることが可能な、ボイラ1を得ることができる。
【0074】
さらに、本実施例にかかるボイラ1は、環状に配列された内側水管群20と外側水管群30とを有する缶体10と、内側水管群20の中央部に配設されたバーナとを備えたボイラ1であって、内側水管群20を成す隣接する内側水管間が、内側ガス流路25(ガス流路)を設ける部分を除いて閉塞され、内側ガス流路25が、内側水管群20の下端側に環状に設けられており、このバーナが、上述したいずれかの構成にかかる混焼バーナ100であることを特徴としている。
【0075】
このような構成によれば、上述した種々の効果を発揮し得る混焼バーナ100が搭載されているため、バイオマス燃料や廃棄物等から生成される液体燃料を用いた場合であっても、適切な燃焼状態(安定した着火性能、燃焼安定性)を維持して、低NOx化を図ることが可能な、ボイラを得ることができる。加えて、このような構成によれば、内側水管群20を成す隣接する内側水管間が、内側ガス流路25を設ける部分を除いて閉塞され、内側ガス流路25が内側水管群20の下端側に環状に設けられているため、内側水管群20の下端側に燃焼ガスが均等に流れることとなる。つまり、このような構成によれば、混焼バーナ100にて生成されたガスが、内側ガス流路25に均等に流れるため、缶体10内における燃焼状態が安定し、より効果的に燃焼性の向上および有害物質の低減を実現可能なボイラを得ることができる。
【0076】
また、本実施例にかかるボイラ1においては、内側ガス流路25近傍における内側水管群20および外側水管群30に、スタッドフィン22,32(拡大伝熱面)が設けられている。つまり、ボイラ1が以上のように構成され、その缶体10内にて上述したようにガスが流動するため、熱回収を効果的に行うと共に耐久性の高い拡大伝熱面(フィン等)を有する水管群を備えたボイラ1を得ることができる。
【0077】
具体的には、本実施例にかかるボイラ1によれば、温度差が大きくなる領域である内側ガス流路25(ガス流路)近傍に、スタッドフィン22,32(拡大伝熱面)が設けられているため、効果的に熱回収を行うことができる。また、この内側ガス流路25近傍に設けられている拡大伝熱面がスタッドフィン22,32であるため、仮に過熱状態となったとしても、亀裂や脱落等が発生しにくい。さらに、このような構成によれば、内側ガス流路25近傍にスタッドフィン22,32を設け、早い段階で燃焼ガスから熱回収を行い、燃焼ガス温度が早期に低下するため、サーマルNOxの発生を低減することが可能となる。
【0078】
さらに、本実施例にかかるボイラ1においては、内側ガス流路25近傍に設けられたスタッドフィン22,32の下流側に、ガスの流れに対して傾斜させた平板状のフィン23,33が設けられている。このような構成によれば、スタッドフィン22,32によって回収できなかった熱エネルギを無駄にすることなく、より効果的に回収し、高効率で運転可能なボイラ1を構成することが可能となる。
【0079】
また、本実施例にかかるボイラ1においては、スタッドフィン22,32の下流側に設けられた平板状のフィン23,33が、ガス流れに対して所定角度傾斜して設けられており、ガスは、環状ガス流路80内を上昇する。つまり、本実施例によれば、ガス流れに対して直角にフィンを設ける場合と比較して、フィン23,33がガス流れを邪魔しないため、低圧損を実現可能なボイラ1とすることができる。
【0080】
さらに、本実施例にかかるボイラ1によれば、上述したように、効果的に熱回収を実施することが可能となるため、これに起因して、ボイラの小型化を図ることが可能となる。つまり、熱回収率を高めることによって、ボイラの運転効率を高めることが可能となるため、その分、ボイラの小型化を図ることができる。
【0081】
<その他の実施例等>
なお、本発明は、上記実施形態および実施例(以下「上記実施形態等」という。)に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】
例えば、本発明にかかるボイラ1は、図1等にて説明した缶体10の構造に限定されず、必要に応じて、種々の変更が可能である。したがって、例えば、図7に示すような構成としてもよい。ここで、図7は、本発明の他の実施例にかかるボイラの横断面の簡略説明図を示したものである。
【0083】
この他の実施例にかかるボイラは、基本的な構成は、先に説明した第一実施例と同様である。そこで、以下においては、第一実施例と同様な部分については、第一実施例と同様の符号を付してその詳細な説明を省略し、主に第一実施例と異なる構成について説明を行う。
【0084】
図7は、本発明の他の実施例にかかるボイラの横断面の簡略説明図を示したものである。より具体的には、先に説明した第一実施例にかかる図2に相当する簡略説明図である。すなわち、この図7は、本実施例にかかるボイラの内側ガス流路25(本発明の「ガス流路」に相当)近傍における横断面の簡略説明図を示したものである。
【0085】
先にも説明した通り、本実施例にかかるボイラ1は、基本的には第一実施例と同様の構成を有しており、第一実施例との違いは、内側ガス流路25近傍に設けられたスタッドフィンの数である。本実施例においては、第一実施例と比較して、外側水管31の下端部により多くの第二スタッドフィン32が設けられている。
【0086】
第一実施例にて説明した通り、ガスG1が内側ガス流路25を通過した後、そのガスは、外側水管群30の下端部に衝突する。そして、その後、内側ガス流路25近傍において、ガスは主に外側水管群30を沿って上方向に流動する。そうとすれば、内側ガス流路25近傍においては、外側水管群30により多くのスタッドフィン(第二スタッドフィン32)を設けることによって、ガスとの接触回数を高めることが可能となる。
【0087】
本実施例は、このガス流動に着目して構成されたものであり、より高い効率で熱回収を行うことができるボイラ1を提供することを目的としている。
【0088】
本実施例にかかるボイラは、上述した通り、内側ガス流路25近傍における内側水管群20および外側水管群30に、スタッドフィン22,32が設けられており、外側水管群30に対してより多くのスタッドフィンが設けられている。
【0089】
本実施例にかかるボイラ1によれば、内側水管群20の中央部に設けられたバーナ100にて生成された燃焼ガスが、内側ガス流路25を介して外側水管群30に接触した後、水管群間(内側水管群20と外側水管群30との間)(環状ガス流路80)を流通する。この際、ガスは内側水管群20から外側水管群30に向かって連続的に流動するため、環状ガス流路80内においては、どうしてもガスの接触時間は内側水管群20よりも外側水管群30の方が長くなる。そして、本実施例によれば、外側水管群30の方が、内側水管群20よりも多くのスタッドフィンを設けているため、より効果的に燃焼ガスからの熱回収を行うことができる。
【0090】
また、この他の実施例にかかるボイラ1によれば、上記作用効果に加えて、第一実施例にて得られる作用効果も当然のごとく得ることができる。
【0091】
さらに、上記実施形態等においては、内側ガス流路25(ガス流路)近傍における内側水管群20および外側水管群30の両方にスタッドフィン22,32を設ける場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、内側ガス流路25近傍における外側水管群30にのみスタッドフィンを設ける構成としてもよい。上述したように、ガスは内側水管群20から外側水管群30に向かって連続的に流動するため、環状ガス流路80内において、ガスの接触時間は内側水管群20よりも外側水管群30の方が長くなる。よって、このように、内側ガス流路25近傍における外側水管群30にのみスタッドフィンを設ける構成としても、比較的効果的に燃焼ガスからの熱回収を行うことができる。
【0092】
また、上記実施形態等においては、略同心円状に二列の水管群を配設した缶体を用いてボイラを構成する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて、三列以上の水管群を配設して缶体を構成してもよい。仮に、略同心円状に三列の水管群(例えば、内側水管群、中間水管群、外側水管群)を配設して缶体を構成した場合、内側水管群の一端側(例えば、下端側)に内側ガス流路を設けたら、中間水管群の他端側(例えば、上端側)に中間ガス流路を設け、外側水管群の一端側(例えば、下端側)に外側ガス流を設けるべく構成することが好ましい。
【0093】
さらに、上記実施形態等においては、略同心円状に二列の水管群を配設した缶体、いわゆる「丸型缶体」を用いてボイラを構成する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて、「角型缶体」を用いてボイラを構成してもよい。すなわち、この「角型缶体」のボイラに対して、上述した混焼バーナ100を適用してもよい。ここで、「角型缶体」とは、例えば、平行な複数の水管列から成る缶体を角型のハウジングないしケーシング内に収容して構成されたものであり、これに送風機、給水ポンプ、バーナ等の機器を組み付けて、全体が極めて薄型構造にとなるように工夫された缶体である。
【0094】
また、上記実施形態等においては、円柱形状のスタッドフィン22,32を用いる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、水管に適切に溶接可能な耐久性の高い突起物であれば如何なる形状であってもよい。したがって、例えば、斜円柱形状、楕円柱形状(斜楕円柱形状も含む)、角柱形状(斜角柱形状も含む)、円錐形状(斜円錐形状も含む)、角錐形状(斜角錐形状も含む)等の形状を有するスタッドフィンを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第一実施例にかかるボイラの縦断面の説明図である。
【図2】図1のII−II線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図5】本発明の第一実施例にかかる混焼バーナの縦断面の説明図を示したものである。
【図6】図5に示した混焼バーナの下面図を示したものである。
【図7】本発明の他の実施例にかかるボイラの横断面の簡略説明図である。
【符号の説明】
【0096】
1…ボイラ
10…缶体
11…上部ヘッダ
12…下部ヘッダ
16…燃焼室
20…内側水管群
21…内側水管
21a…下端部
22…第一スタッドフィン
23…第一フィン(平板状のフィン)
24…第一縦ヒレ部
25…内側ガス流路
30…外側水管群
31…外側水管
32…第二スタッドフィン
33…第二フィン(平板状のフィン)
34…第二縦ヒレ部
35…外側ガス流路
70…ウインドボックス
71…隔壁
80…環状ガス流路
90…排気筒
100…バーナ
101…載置板
111…外筒部
112…メタルニットバーナ部
113…ガイド部
115…第一予混合燃料流路
117…第二予混合燃料流路
121…内筒部
122…バーナノズル部
123…バッフル板
123a…噴出孔部
123b…スリット部
127…空気流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の燃料を燃焼させ得る混焼バーナであって、
一次燃焼燃料である気体燃料を燃焼させる気体燃焼部と、二次燃焼燃料である液体燃料を燃焼させる液体燃焼部とを備え、
前記気体燃焼部にて生成された燃焼ガスが、前記液体燃焼部近傍に供給される
ことを特徴とする混焼バーナ。
【請求項2】
前記気体燃焼部は、前記気体燃料と一次燃焼燃料用空気とが混合された予混合燃料を燃焼させるべく構成されており、
前記一次燃焼燃料用空気として、理論空気量よりも多くの空気が供給される
請求項1に記載の混焼バーナ。
【請求項3】
前記気体燃焼部は、前記気体燃料と一次燃焼燃料用空気とが混合された予混合燃料を燃焼させるべく構成されており、
前記一次燃焼燃料用空気として、前記気体燃焼部にて生成される燃焼ガスの残存酸素濃度が5%〜10%となる空気が供給される
請求項1または2に記載の混焼バーナ。
【請求項4】
環状に配列された内側水管群と外側水管群とを有する缶体と、前記内側水管群の中央部に配設されたバーナとを備えたボイラであって、
前記バーナが、請求項1から3のいずれか1項に記載の混焼バーナである
ことを特徴とするボイラ。
【請求項5】
環状に配列された内側水管群と外側水管群とを有する缶体と、前記内側水管群の中央部に配設されたバーナとを備えたボイラであって、
前記内側水管群を成す隣接する内側水管間が、ガス流路を設ける部分を除いて閉塞され、前記ガス流路が、前記内側水管群の一端側に環状に設けられており、
前記バーナが、請求項1から3のいずれか1項に記載の混焼バーナである
ことを特徴とするボイラ。
【請求項6】
前記ガス流路近傍における前記内側水管群および前記外側水管群の少なくとも一方に、拡大伝熱面が設けられている
請求項5に記載のボイラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−109067(P2009−109067A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281000(P2007−281000)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】