説明

温度変化調整モジュール及び温度変化調整方法

【課題】集積回路の温度の変化を緩やかにすべく調整すること。
【解決手段】集積回路において回路が配置されていない空きエリアに配置される複数の発熱部と、空きエリアに配置され、集積回路の温度の変化に応じて各発熱部が発熱又は発熱を停止するよう個別に制御する制御部とを備え、制御部は、集積回路の温度を取得する温度取得部と、発熱部が発熱又は発熱を停止すべき閾値となる集積回路の温度の設定を受け付ける制御温度設定受付部と、温度取得部が取得した取得温度と、制御温度設定受付部が受け付けた設定温度とを比較する制御温度比較部と、制御温度比較部が比較した結果に基づいて、各発熱部が発熱又は発熱を停止するよう個別に制御する制御信号を生成する制御信号生成部と、制御信号生成部が生成した制御信号を、各発熱部に個別に出力する制御信号出力部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路の温度の変化を緩やかにすべく調整する温度変化調整モジュール及び温度変化調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI(Large Scale Integration)等の集積回路の温度は、処理負荷が増減することに伴って変化することが知られている。図9は、LSIの処理負荷の変化に伴う温度の変化を示す図である。LSIの電源が投入されると(t91)、LSIの温度は、温度T91から一定の温度T92まで上昇し安定する。そして、LSIがプログラムを実行する等の処理負荷がかかり始めると(t93)、LSIの温度は、処理負荷の大きさと相関する最高温度T94まで急激に上昇する。そして、LSIの処理の実行時における処理負荷が下がり始めると(t94)、LSIの温度は、最高温度T94よりも低い温度T93まで急激に下降する。温度T93は、下がった処理負荷の大きさと相関する。そして、処理負荷が再び上がり始めると(t95)、LSIの温度は、最高温度T94まで急激に上昇する。そして、プログラムの実行が終了する等して処理負荷がなくなると(t96)、LSIの温度は、温度T92まで急激に下降する(t97)。
【0003】
このように、LSI等の集積回路の温度は、プログラムの実行や終了等による処理負荷の有無の変化、ならびに処理負荷の増減によって急激に変化する。このように急激な温度変化が繰り返されることによって、LSI等の集積回路は、信頼性が低下するという問題がある。なお、集積回路の温度の問題に関する先行文献としては、下記の特許文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−286691号公報
【特許文献2】特開平05−067725号公報
【特許文献3】特開2000−269417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら文献に記載されている技術は、いずれも発熱手段を利用することによって、集積回路の温度を調節するものである。しかしながら、これら文献に記載されている技術にあっては、いずれの技術を用いても、あるいは、これら技術を組み合わせて用いても、集積回路の急激な温度変化を緩やかに変化させるよう制御することができない。例えば、特許文献1に記載されている技術は、複数の発熱回路を全て同時に制御するだけでなく、発熱する時間によって温度を調整しようとしているため、所望の温度となるよう制御することが難しく、温度が大きく振れてしまいやすいという欠点がある。
【0006】
そこで、本発明の一つの側面においては、上記の課題を解決することのできる温度変化調整モジュール及び温度変化調整方法を提供することを目的とする。この目的は、特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また、従属項は、本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の温度変化調整モジュールにおいては、集積回路の温度の変化を緩やかにすべく調整する温度変化調整モジュールであって、集積回路において回路が配置されていない空きエリアに配置される複数の発熱部と、空きエリアに配置され、集積回路の温度の変化に応じて各発熱部が発熱又は発熱を停止するよう個別に制御する制御部とを備え、制御部は、集積回路の温度を取得する温度取得部と、発熱部が発熱又は発熱を停止すべき閾値となる集積回路の温度の設定を受け付ける制御温度設定受付部と、温度取得部が取得した取得温度と、制御温度設定受付部が受け付けた設定温度とを比較する制御温度比較部と、制御温度比較部が比較した結果に基づいて、各発熱部が発熱又は発熱を停止するよう個別に制御する制御信号を生成する制御信号生成部と、制御信号生成部が生成した制御信号を、各発熱部に個別に出力する制御信号出力部とを有する。
【0008】
本発明の温度変化調整方法においては、集積回路の温度の変化を緩やかにすべく調整する温度変化調整方法であって、集積回路の温度を取得する温度取得ステップと、集積回路において回路が配置されていない空きエリアに配置される複数の発熱部が発熱又は発熱を停止すべき閾値となる集積回路の温度の設定を受け付ける制御温度設定受付ステップと、温度取得ステップにおいて取得された取得温度と、制御温度設定受付ステップにおいて受け付けられた設定温度とを比較する制御温度比較ステップと、制御温度比較ステップにおいて比較された結果に基づいて、各発熱部が発熱又は発熱を停止するよう個別に制御する制御信号を生成する制御信号生成ステップと、制御信号生成ステップにおいて生成された制御信号を、各発熱部に個別に出力する制御信号出力ステップとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、集積回路の温度変化が緩やかになるよう調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る温度変化調整モジュール100の構成例を示す図である。
【図2】制御回路110の構成例を示す図である。
【図3】発熱回路120の構成例を示す図である。
【図4】温度変化調整モジュール100の動作を示す流れ図である。
【図5】温度変化調整モジュール100が動作することによるLSI200の温度変化を示す図である。
【図6】図5に示す温度変化において、時間t〜tまでの間にLSI200の処理負荷が変化したときの温度変化を示す図である。
【図7】制御回路の別の構成例を示す図である。
【図8】制御回路130を有する温度変化調整モジュール100の動作を示す流れ図である。
【図9】LSIの処理負荷の変化に伴う温度の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は、特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る温度変化調整モジュール100の構成例を示す図である。
温度変化調整モジュール100は、LSI200を構成している入出力回路210a〜d(以下、入出力回路210と総称する。)や演算回路220が処理を実行することによって発熱する際に、発熱による温度変化が緩やかになるよう調整するモジュールである。温度変化調整モジュール100は、制御回路110、及び複数の発熱回路120a〜s(以下、発熱回路120と総称する。)を備える。制御回路110及び各発熱回路120は、LSI200の演算回路220や入出力回路210が配置されていない空きエリアに配置される。
【0013】
制御回路110は、LSI200の温度の変化に応じて各発熱回路120が発熱又は発熱を停止するよう制御する回路である。制御回路110の入力端子は、温度測定回路300、及び外部装置400の出力端子と接続される。温度測定回路300は、LSI200の温度を測定する回路である。外部装置400は、LSI200の処理状態を監視している装置である。また、制御回路110の出力端子は、各発熱回路120の入力端子と個別に接続される。制御回路110は、LSI200の温度を示す信号を温度測定回路300から受け取る。また、制御回路110は、発熱回路120が発熱又は発熱を停止すべき閾値となるLSI200の温度の設定を示す信号や、LSI200が初期化されたことを通知する信号を外部装置400から受け取る。そして、制御回路110は、各発熱回路120を個別に制御する制御信号を生成し、各発熱回路120に送る。なお、制御回路110は、本発明に係る制御部の一例である。
【0014】
発熱回路120は、制御回路110から制御されることによって発熱又は発熱を停止する回路である。発熱回路120は、例えば、全体として負のゲインを持つ複数個の遅延要素をリング状に結合した構成を持つ発振回路である。発熱回路120は、制御回路110から発熱するよう制御する制御信号を受け取った場合、発振することによって発熱する。
また、発熱回路120は、制御回路110から発熱を停止するよう制御する制御信号を受け取った場合、発振を停止することによって発熱を停止する。なお、発熱回路120は、本発明に係る発熱部の一例である。
【0015】
図2は、制御回路110の構成例を示す図である。
制御回路110は、AD変換回路111、上限温度設定回路112、下限温度設定回路113、上限温度コンペア回路114、下限温度コンペア回路115、制御信号生成回路116、及び複数の制御信号出力回路117a〜s(以下、制御信号出力回路117と総称する。)を有する。なお、制御信号生成回路116は、インターバルタイマ118を内蔵する。
【0016】
AD変換回路111は、アナログ信号をデジタル信号に変換する回路である。AD変換回路111の入力端子は、温度測定回路300の出力端子と接続される。また、AD変換回路111の出力端子は、上限温度コンペア回路114の入力端子と接続される。AD変換回路111は、LSI200の温度を示すアナログ信号を温度測定回路300から受け取って、デジタル信号に変換し、上限温度コンペア回路114に送る。なお、AD変換回路111は、本発明に係る温度取得部の一例である。
【0017】
上限温度設定回路112は、発熱回路120が発熱又は発熱を停止すべき閾値となるLSI200の温度を設定する回路である。上限温度設定回路112の入力端子は、外部装置400の出力端子と接続される。また、上限温度設定回路112の出力端子は、上限温度コンペア回路114の入力端子と接続される。上限温度設定回路112は、発熱回路120が発熱又は発熱を停止すべき閾値となるLSI200の温度を示す信号を外部装置400から受け取る。そして、上限温度設定回路112は、受け取った信号によって示される温度のデータをバッファに格納することによって上限閾値として設定し、設定した上限閾値を示す信号を上限温度コンペア回路114に送る。なお、上限温度設定回路112は、本発明に係る制御温度設定受付部の一例である。
【0018】
下限温度設定回路113は、発熱するよう制御する発熱回路120の数を増やす間隔を短く又は長くすべき閾値となるLSI200の温度を設定する回路である。下限温度設定回路113の入力端子は、外部装置400の出力端子と接続される。また、下限温度設定回路113の出力端子は、下限温度コンペア回路115の入力端子と接続される。下限温度設定回路113は、発熱するよう制御する発熱回路120の数を増やす間隔を短く又は長くすべき閾値となるLSI200の温度を示す信号を外部装置400から受け取る。そして、下限温度設定回路113は、受け取った信号によって示される温度のデータをバッファに格納することによって下限閾値として設定し、設定した下限閾値を示す信号を下限温度コンペア回路115に送る。なお、下限温度設定回路113は、本発明に係る間隔制御温度設定受付部の一例である。
【0019】
上限温度コンペア回路114は、計測された温度と、上限閾値として設定されている温度とを比較する回路である。上限温度コンペア回路114の入力端子は、AD変換回路111の出力端子、及び上限温度設定回路112の出力端子と接続される。また、上限温度コンペア回路114の出力端子は、制御信号生成回路116の入力端子と接続される。上限温度コンペア回路114は、測定されたLSI200の温度を示す信号をAD変換回路111から受け取る。また、上限温度コンペア回路114は、上限閾値として設定されている温度を示す信号を上限温度設定回路112から受け取る。そして、上限温度コンペア回路114は、これら信号によって示される計測された温度と、上限閾値として設定されている温度とを比較し、比較した結果を示す信号を制御信号生成回路116に送る。なお、上限温度コンペア回路114は、本発明に係る制御温度比較部の一例である。
【0020】
下限温度コンペア回路115は、計測された温度と、下限閾値として設定されている温度とを比較する回路である。下限温度コンペア回路115の入力端子は、AD変換回路111の出力端子、及び下限温度設定回路113の出力端子と接続される。また、下限温度コンペア回路115の出力端子は、制御信号生成回路116の入力端子と接続される。下限温度コンペア回路115は、測定されたLSI200の温度を示す信号をAD変換回路111から受け取る。また、下限温度コンペア回路115は、下限閾値として設定されている温度を示す信号を下限温度設定回路113から受け取る。そして、下限温度コンペア回路115は、これら信号によって示される計測された温度と、下限閾値として設定されている温度とを比較し、比較した結果を示す信号を制御信号生成回路116に送る。なお、下限温度コンペア回路115は、本発明に係る間隔制御温度比較部の一例である。
【0021】
制御信号生成回路116は、発熱回路120が発熱又は発熱を停止するよう個別に制御するための制御信号を生成する回路である。制御信号生成回路116の入力端子は、外部装置400の出力端子、上限温度コンペア回路114の出力端子、及び下限温度コンペア回路115の出力端子と接続される。また、制御信号生成回路116の出力端子は、各制御信号出力回路117の入力端子と接続される。さらに、制御信号生成回路116は、インターバルタイマ118を内蔵する。インターバルタイマ118は、制御信号生成回路116が制御信号を生成するためのトリガを一定時間毎に生成するタイマである。制御信号生成回路116は、LSI200が初期化されたことを示す信号を外部装置400から受け取る。また、制御信号回生成路116は、計測された温度と上限閾値とを比較した結果を示す信号を上限温度コンペア回路114から受け取る。また、制御信号生成回路116は、計測された温度と下限閾値とを比較した結果を示す信号を下限温度コンペア回路115から受け取る。そして、制御信号生成回路116は、インターバルタイマ118がトリガを生成する度に、これら信号によって示される比較結果に基づいて、各発熱回路120が発熱又は発熱を停止するよう個別に制御するための制御信号を生成し、各制御信号出力回路117に送る。制御信号生成回路116が生成する制御信号は、真又は偽の真理値を示す信号である。なお、制御信号生成回路116は、本発明に係る制御信号出力部の一例である。また、インターバルタイマ118は、本発明に係る制御信号生成要求部の一例である。
【0022】
制御信号出力回路117は、制御信号を発熱回路120に出力する回路である。好ましくは、制御信号出力回路117は、発熱回路120と同じ数だけ用意される。各制御信号出力回路117a〜sは、それぞれ各発熱回路120a〜sと1対1に対応する関係にある。制御信号出力回路117の入力端子は、制御信号生成回路116の出力端子と接続される。また、制御信号出力回路117の出力端子は、対応する発熱回路120の入力端子と接続される。そして、各制御信号出力回路117a〜sは、制御信号生成回路116から制御信号を受け取り、それぞれ対応する発熱回路120a〜sに出力する。なお、制御信号出力回路117は、本発明に係る制御信号出力部の一例である。
【0023】
図3は、発熱回路120の構成例を示す図である。
発熱回路120は、制御信号入力回路121、及び奇数個の遅延回路122a〜c(以下、遅延回路122と総称する。)を有する。奇数個の遅延回路122は、鎖状に接続される。発熱回路120は、これら制御信号入力回路121、及び鎖状に接続された奇数個の遅延回路122がリング状に接続されることによって、所謂リングオシレータの構成を呈する。
【0024】
制御信号入力回路121は、制御信号を入力する回路である。制御信号入力部121の入力端子は、制御回路110の対応する制御信号出力回路117の出力端子、及び鎖状に接続された遅延回路122a〜cのうち最終段の遅延回路122cの出力端子と接続される。また、制御信号入力部121の出力端子は、鎖状に接続された遅延回路122a〜cのうち初段の遅延回路122aの入力端子と接続される。制御信号入力回路121は、真又は偽の真理値を示す制御信号を制御信号出力回路117から受け取る。また、制御信号入力回路121は、真又は偽の真理値を示す出力信号を遅延回路122eから受け取る。そして、制御信号入力回路121は、これら信号によって示される真又は偽の各真理値に基づいて論理積演算を行い、演算結果の真理値を示す信号を遅延回路122aに送る。
【0025】
遅延回路122は、リングオシレータの遅延要素として機能する回路である。各遅延回路122の入力端子は、鎖状に別の遅延回路122の出力端子と接続される。但し、鎖状に接続された遅延回路122a〜cのうち初段の遅延回路122aの入力端子は、制御信号入力回路121の出力端子と接続される。また、鎖状に接続された遅延回路122a〜cのうち最終段の遅延回路121cの出力端子は、制御信号入力回路121の入力端子と接続される。そして、遅延回路122aは、真又は偽の真理値を示す信号を制御信号入力回路121から受け取り、この信号によった信号によって示される真又は偽の論理値に基づいて否定演算を行い、演算結果の真理値を示す信号を鎖状に接続された次の遅延回路122bに送る。遅延回路122bは、真又は偽の真理値を示す信号を遅延回路122aから受け取り、この信号によった信号によって示される真又は偽の論理値に基づいて否定演算を行い、演算結果の真理値を示す信号を鎖状に接続された最終段の遅延回路122cに送る。遅延回路122cは、真又は偽の真理値を示す信号を遅延回路122bから受け取り、この信号によった信号によって示される真又は偽の論理値に基づいて否定演算を行い、演算結果の真理値を示す信号を制御信号入力回路121に送る。
【0026】
このように、発熱回路120は、制御信号入力回路121の出力が初段の遅延回路122aに入力され、各遅延回路122の出力が別の遅延回路122に入力され、最終段の遅延回路122cの出力が制御信号入力回路121に入力されており、全体としてリング構造になっている。鎖状に接続された奇数個の遅延回路122の出力は、初段入力の論理否定となる。発熱回路120の全体においては、初段の遅延回路122aへの入力から有限の遅延時間後に最終段の遅延回路122eが初段入力の論理否定を出力し、これが再び制御信号入力回路121に入力される。
【0027】
したがって、発熱回路120は、制御信号入力回路121が真の真理値を示す制御信号を入力する場合、制御信号入力回路121が最終段の遅延回路122eの出力信号によって示される真理値とは逆の真理値を示す信号を出力することとなり、このプロセスが繰り返されることによって発振する。発熱回路120は、発振するに伴い遅延回路122に貫通電流が流れることによって発熱する。
【0028】
また、発熱回路120は、制御信号入力回路121が偽の真理値を示す制御信号を入力する場合、制御信号入力回路121が最終段の遅延回路122eの出力信号によって示される真理値の値に関係なく常に偽の真理値を示す信号を出力することとなり、発振は起こらない。したがって、発熱回路120は、制御信号によって示される真理値の値が真から偽に切り換わるとともに、発熱を停止する。
【0029】
図4は、温度変化調整モジュール100の動作を示す流れ図である。
図5は、温度変化調整モジュール100が動作することによるLSI200の温度変化を示す図である。
図6は、図5に示す温度変化において、時間t〜tまでの間にLSI200の処理負荷が変化したときの温度変化を示す図である。
温度変化調整モジュール100の制御回路110は、上述したように、LSI200の温度に対して2つの閾値を設定し、これら閾値に対するLSI200の温度の変化に基づいて発熱回路120を制御する。以下の説明における温度変化調整モジュール100の動作は、LSI200の電源が投入されてから、LSI200の演算回路220が所定の処理を開始し、終了するまでの動作である。なお、図中の破線は、温度変化調整モジュール100を利用しない場合のLSI200の温度変化を示している。
【0030】
LSI200の電源が投入されると(t)、制御回路110の上限温度設定回路112及び下限温度設定回路113は、発熱回路120を制御するのに用いる閾値とすべきLSI200の温度を示す信号を外部装置400から受け取る(S101)。具体的には、上限温度設定回路112が受け取る信号によって示される温度は、発熱回路120が発熱又は発熱を停止すべき閾値となる温度である。また、下限温度設定回路113が受け取る信号によって示される温度は、発熱するよう制御する発熱回路120の数を増やす時間の間隔を短く又は長くすべき閾値となる温度である。上限温度設定回路112は、受け取った信号によって示される温度のデータを、上限閾値Tとしてバッファに格納する。同様に、下限温度設定回路113は、受け取った信号によって示される温度のデータを、下限閾値Tとしてバッファに格納する。なお、LSI200の温度は、電源が投入されることによって、温度Tから温度Tまで上昇する。
【0031】
そして、LSI200が初期化されると(t)、制御回路110の制御信号生成回路116は、LSI200が初期化されたことを通知する信号を外部装置400から受け取る(S102)。制御回路110は、LSI200が初期化されたことを通知する信号を受け取ることによって、各発熱回路120の制御を開始する。具体的には、制御回路110のAD変換回路111は、LSI200の現在の温度を示す信号を温度測定回路300から受け取る。そして、制御回路110の上限温度コンペア回路114は、上限温度設定回路112が設定している上限閾値Tと、LSI200の現在の温度とを比較する。同様に、制御回路110の下限温度コンペア回路115は、下限温度設定回路113が設定している下限閾値Tと、LSI200の現在の温度とを比較する。そして、制御回路110の制御信号生成回路116は、これら比較結果に基づいて、各発熱回路120が発熱又は発熱を停止するよう制御する制御信号を生成する。
【0032】
上限温度コンペア回路114が比較した結果、LSI200の現在の温度が上限閾値Tよりも高い場合(S103:Yes)、制御信号生成回路116は、全ての発熱回路120が発熱を停止するよう制御する制御信号を生成する(S104)。具体的には、制御信号生成回路116は、全ての発熱回路120に対する制御信号として、偽の真理値を示す信号を生成する。そして、制御回路110の各制御信号出力回路117は、制御信号生成回路116が生成した制御信号を、対応する発熱回路120にそれぞれ出力する(S108)。各発熱回路120の制御信号入力回路121は、偽の真理値を示す制御信号を受け取ることによって、初段の遅延回路122aに対し、常に偽の真理値を示す信号を送ることとなる。即ち、各遅延回路122は、常に同じ真理値を示す信号を受け取ることとなるので、発振しない。したがって、各遅延回路122に貫通電流が流れないので、発熱回路120は、発熱しないか、発熱していれば発熱を停止する。
【0033】
上限温度コンペア回路114が比較した結果、LSI200の現在の温度が上限閾値Tよりも低く(S103:No)、下限温度コンペア回路115が比較した結果、LSI200の現在の温度が下限閾値Tよりも高い場合(S105:Yes)、制御信号生成回路116は、インターバルタイマ118がトリガを生成する度に、発熱するよう制御する対象の発熱回路120の数を徐々に増やすべく制御信号を生成する(S106)。この場合、インターバルタイマ118は、予め設定された通常の時間間隔毎にトリガを生成する。例えば、インターバルタイマ118が最初のトリガを生成すると、制御信号生成回路116は、1つの発熱回路120aに対する制御信号として、真の真理値を示す信号を生成し、その他の発熱回路120b〜sに対する制御信号として、偽の真理値を示す信号を生成する。そして、インターバルタイマ118が2回目のトリガを生成すると、制御信号生成回路116は、2つの発熱回路120a及び発熱回路120bに対する制御信号として、真の真理値を示す信号を生成し、その他の発熱回路120c〜sに対する制御信号として、偽の真理値を示す信号を生成する。このように、制御信号生成回路116は、LSI200の温度が上限閾値Tよりも低く下限閾値Tよりも高い間、インターバルタイマ118がトリガを生成する度に、発熱回路120への制御信号として、真の真理値を示す信号を生成する数を徐々に増やしていく。そして、制御回路110の各制御信号出力回路117は、制御信号生成回路116が生成した制御信号を、対応する発熱回路120にそれぞれ出力する(S108)。各発熱回路120の制御信号入力回路121は、真の真理値を示す制御信号を受け取ることによって、最終段の遅延回路122cから受け取る信号の真理値に応じて、真又は偽の真理値を示す信号を初段の遅延回路122aに送ることとなる。即ち、制御信号入力回路121は、真の真理値を示す信号を初段の遅延回路122aに送った場合、最終段の遅延回路122cから偽の真理値を示す信号を受け取ることとなるので、次回、偽の真理値を示す信号を初段の遅延回路122aに送ることとなる。また、制御信号入力回路121は、偽の真理値を示す信号を初段の遅延回路122aに送った場合、最終段の遅延回路122cから真の真理値を示す信号を受け取ることとなるので、次回、真の真理値を示す信号を初段の遅延回路122aに送ることとなる。このように、制御信号入力回路121が真の真理値を示す制御信号を制御回路110から受け取った場合、各遅延回路122は、発振することとなる。よって、発熱回路120は、各遅延回路122に貫通電流が流れることによって発熱する。また、上述したとおり、各発熱回路120は、偽の真理値を示す制御信号を受け取った場合発熱しない。
【0034】
下限コンペア回路115が比較した結果、LSI200の現在の温度が下限閾値Tよりも低い場合(S105:No)、インターバルタイマ118は、通常の時間間隔よりも短い間隔によってトリガを生成するよう設定を変更する(S107)。そして、制御信号生成回路116は、この通常の時間間隔よりも短い間隔によってトリガが生成される度に、発熱回路120への制御信号として、真の真理値を示す信号を生成する数を徐々に増やしていく。そして、制御回路110の各制御信号出力回路117は、制御信号生成回路116が生成した制御信号を、対応する発熱回路120にそれぞれ出力する(S108)。そして、上述したとおり、各発熱回路120は、真の真理値を示す制御信号を受け取った場合発熱し、偽の真理値を示す制御信号を受け取った場合発熱しない。
【0035】
例えば、LSI200が初期化された直後においては、LSI200の現在の温度が下限閾値Tよりも低いので、制御信号生成回路116は、通常の時間間隔よりも短い間隔によってトリガが生成される度に、発熱回路120への制御信号として、真の真理値を示す信号を生成する数を徐々に増やしていく。そして、例えば、LSI200の演算回路220が処理を開始する前に全ての発熱回路120が徐々に発熱すると、LSI200の温度は、温度Tから温度Tへ徐々に上昇する(t〜t)。
【0036】
そして、LSI200の演算回路220が処理を開始すると(t)、LSI220の温度は、温度Tから処理の内容に応じた最高温度Tまで徐々に上昇する(t〜t)。この過程において、LSI200の温度が上限閾値Tよりも高くなった時点で、制御信号生成回路116は、全ての発熱回路120への制御信号として、偽の真理値を示す信号を生成する。各発熱回路120は、この制御信号を受け取ることによって発熱を停止する。LSI200の演算回路210が処理を開始してから(t)、LSI200の温度が最高温度Tに達するまでの温度変化は、温度変化調整モジュール100を利用している場合、LSI200が初期化された直後から発熱回路120によって徐々に温度を上げているため、温度変化調整モジュール100を利用しない場合に比べ、緩やかに上昇していることが分かる。なお、制御回路110の上限温度設定回路112及び下限温度設定回路113は、この最高温度Tに応じて、これら閾値を更新すべくLSI200の温度を示す信号を外部装置400から新たに受け取るようにしてもよい。
【0037】
そして、LSI200の演算回路220が処理を開始した後、処理負荷が小さくなると(t)、LSI200の温度は下降し始める。そして、LSI200の温度が上限閾値Tよりも低くなると(t)、制御信号生成回路116は、通常の時間間隔によってトリガが生成される度に、真の真理値を示す制御信号を送る対象の発熱回路120の数を徐々に増やしていく。それでもなおLSI200の温度が下降し続け、下限閾値Tよりも低くなった場合(t)、制御信号生成回路116は、通常の時間間隔よりも短い時間間隔によってトリガが生成される度に、真の真理値を示す制御信号を送る対象の発熱回路120の数を徐々に増やしていく。そして、発熱する発熱回路120の数が増加するにつれ、LSI200の温度が上昇し始め、下限閾値Tよりも高くなると(t)、制御信号生成回路116は、通常の時間間隔によってトリガが生成される度に、真の真理値を示す制御信号を送る対象の発熱回路120の数を徐々に増やしていく。そして、発熱する発熱回路120の数が更に増加するにつれ、LSI200の温度が上限閾値Tよりも高くなると(t10)、制御信号生成回路116は、全ての発熱回路120が発熱を停止すべく制御する制御信号として、偽の真理値を示す制御信号を生成する。このようにして、全ての発熱回路120が発熱を停止することによって、LSI200の温度が下降し始め、上限閾値Tよりも低くなると(t11)、制御信号生成回路116は、通常の時間間隔によってトリガが生成される度に、真の真理値を示す制御信号を送る対象の発熱回路120の数を徐々に増やしていく。そして、LSI200の処理負荷が大きくなり始めると(t12)、LSI200の温度も上昇し始める。そして、LSI200の温度が上限閾値Tよりも高くなると(t13)、制御信号生成回路116は、全ての発熱回路120が発熱を停止すべく制御する制御信号として、偽の真理値を示す制御信号を生成する。LSI200の温度は、負荷が大きくなるにしたがって上昇し続け、最高温度Tまで達する(t14)。このように、LSI200の温度は、温度変化調整モジュール100が動作することによって、処理負荷が小さくなったときにも、急激な温度変化を起こすことなく、設定された上限閾値Tと下限閾値Tとの前後の温度を保つようにして変化させることができる。
【0038】
そして、LSI200の温度は、LSI200の演算回路220が処理を停止すると(t16)、低下し始める。この場合、制御信号生成回路116は、LSI200の温度が下限閾値Tよりも低くなると、通常の時間間隔よりも短い時間間隔によってトリガが生成される度に、真の真理値を示す制御信号を送る対象の発熱回路120の数を徐々に増やしていく。その結果、LSI200の温度は、LSIが初期化される前の温度Tまで降下することなく、発熱回路120が全て発熱しているときの温度Tまで緩やかに降下して一定となる(t17)。即ち、LSI200の演算回路220が再び処理を開始するにあたり、発熱回路120が全て発熱しているときの温度Tから上昇することとなるので、LSI200の温度は、LSIが初期化される前の温度Tから上昇する場合に比べ、緩やかに上昇することとなる。
【0039】
このように、本実施形態の温度変化調整モジュール100は、LSI200の温度の変化に応じて、発熱又は発熱を停止するよう制御回路110が発熱回路120を制御することができる。これにより、LSI200の温度は、急激に上昇したり下降したりすることなく、緩やかに変化することとなる。その結果、LSI200の信頼性は、大きく向上することとなる。
【0040】
図7は、制御回路の別の構成例を示す図である。
以下、別の実施形態の制御回路130を有する温度変化調整モジュール100について説明する。本実施形態における制御回路130は、LSI200の温度に対する1つの閾値と、LSI200の温度が単位時間当たりに変化した変化率によって、発熱回路120に対する制御信号を生成する。制御回路130は、AD変換回路131、上限温度設定回路132、上限温度コンペア回路134、LSI温度変化検出回路139、制御信号生成回路136、及び奇数個の制御信号出力回路137a〜s(以下、制御信号出力回路137と総称する。)を有する。なお、制御信号生成回路136は、インターバルタイマ138を内蔵する。なお、上限温度設定回路132、上限温度コンペア回路134、制御信号出力回路137、及びインターバルタイマ138は、上述した制御回路110の上限温度設定回路112、上限温度コンペア回路114、制御信号出力回路117、及びインターバルタイマ118と同様の構成及び動作を呈するため、詳細な説明を省略する。
【0041】
AD変換回路131は、アナログ信号をデジタル信号に変換する回路である。AD変換回路131の入力端子は、温度測定回路300の出力端子と接続される。また、AD変換回路131の出力端子は、上限温度コンペア回路134の入力端子、及びLSI温度変化検出回路139の入力端子と接続される。AD変換回路131は、LSI200の温度を示すアナログ信号を温度測定回路300から受け取って、デジタル信号に変換し、上限温度コンペア回路134、及びLSI温度変化検出回路139に送る。なお、AD変換回路131は、本発明に係る温度取得部の一例である。
【0042】
LSI温度変化検出回路139は、LSI200の温度が単位時間当たりに変化した変化率を算出する回路である。LSI温度変化検出回路139の入力端子は、AD変換回路131の出力端子と接続される。また、LSI温度変化検出回路139の出力端子は、制御信号生成回路136の入力端子と接続される。LSI温度変化検出回路139は、LSI200の温度を示す信号をAD変換回路131から順次受け取って、LSI200の温度が単位時間当たりに変化した変化率を算出し、算出した変化率を示す信号を制御信号生成回路136に送る。なお、LSI温度変化検出回路139は、本発明に係る温度変化率算出部の一例である。
【0043】
制御信号生成回路136は、発熱回路120が発熱又は発熱を停止するよう個別に制御するための制御信号を生成する回路である。制御信号生成回路136の入力端子は、外部装置400の出力端子、上限温度コンペア回路134の出力端子、及びLSI温度変化検出回路139の出力端子と接続される。また、制御信号生成回路136の出力端子は、各制御信号出力回路137の入力端子と接続される。さらに、制御信号生成回路136は、インターバルタイマ138を内蔵する。制御信号生成回路136は、LSI200が初期化されたことを示す信号を外部装置400から受け取る。また、制御信号回生成路136は、計測された温度と上限閾値とを比較した結果を示す信号を上限温度コンペア回路134から受け取る。また、制御信号生成回路136は、LSI200の温度が単位時間当たりに変化した変化率を示す信号をLSI温度変化検出回路139から受け取る。そして、制御信号生成回路136は、インターバルタイマ138がトリガを生成する度に、これら信号によって示される比較結果や変化率に基づいて、各発熱回路120が発熱又は発熱を停止するよう個別に制御するための制御信号を生成し、各制御信号出力回路137に送る。制御信号生成回路136が生成する制御信号は、真又は偽の真理値を示す信号である。なお、制御信号生成回路136は、本発明に係る制御信号出力部の一例である。
【0044】
図8は、制御回路130を有する温度変化調整モジュール100の動作を示す流れ図である。
本実施形態における温度変化調整モジュール100の制御回路130は、上述したように、LSI200の温度に対する1つの閾値と、LSI200の温度が単位時間当たりに変化した変化率によって、発熱回路120に対する制御信号を生成する。
【0045】
LSI200の電源が投入されると、制御回路130の上限温度設定回路132は、発熱回路120を制御するのに用いる閾値とすべきLSI200の温度を示す信号を外部装置400から受け取る(S201)。具体的には、上限温度設定回路122が受け取る信号によって示される温度は、発熱回路120が発熱又は発熱を停止すべき閾値となる温度である。上限温度設定回路122は、受け取った信号によって示される温度のデータをバッファに格納することによって、その温度を上限閾値として設定する。
【0046】
そして、LSI200が初期化されると、制御回路130の制御信号生成回路136は、LSI200が初期化されたことを通知する信号を外部装置400から受け取る(S202)。制御回路130は、LSI200が初期化されたことを通知する信号を受け取ることによって、各発熱回路120の制御を開始する。具体的には、制御回路130のAD変換回路131は、LSI200の現在の温度を示す信号を温度測定回路300から受け取る。そして、制御回路130の上限温度コンペア回路134は、上限温度設定回路132が設定している上限閾値と、LSI200の現在の温度とを比較する。また、LSI温度変化検出回路139は、LSI200の温度が単位時間当たりに変化した変化率を算出する。そして、制御回路130の制御信号生成回路136は、これら比較結果や算出値に基づいて、各発熱回路120が発熱又は発熱を停止するよう制御する制御信号を生成する。
【0047】
上限温度コンペア回路134が比較した結果、LSI200の現在の温度が上限閾値よりも高い場合(S203:Yes)、制御信号生成回路136は、全ての発熱回路120が発熱を停止するよう制御する制御信号を生成する(S204)。具体的には、制御信号生成回路136は、全ての発熱回路120に対する制御信号として、偽の真理値を示す信号を生成する。そして、制御回路130の各制御信号出力回路137は、制御信号生成回路136が生成した制御信号を、対応する発熱回路120にそれぞれ出力する(S208)。各発熱回路120の制御信号入力回路121は、偽の真理値を示す制御信号を受け取ることによって、初段の遅延回路122aに対し、常に偽の真理値を示す信号を送ることとなる。即ち、各遅延回路122は、常に同じ真理値を示す信号を受け取ることとなるので、発振しない。したがって、各遅延回路122に貫通電流が流れないので、発熱回路120は、発熱しないか、発熱していれば発熱を停止する。
【0048】
上限温度コンペア回路114が比較した結果、LSI200の現在の温度が上限閾値Tよりも低い場合(S203:No)、制御信号生成回路116は、制御信号生成回路136は、インターバルタイマ138がトリガを生成する度に、発熱するよう制御する対象の発熱回路120の数を徐々に増やすべく制御信号を生成する。このとき、制御信号生成回路136は、LSI温度変化検出回路139が算出する変化率の値に応じて、1回のトリガにより発熱するよう制御する対象の発熱回路120の数を決定する。例えば、変化率の値がx℃/sec未満の場合には(S205:No)、発熱すべき発熱回路120の数をa個ずつ増やすよう制御信号を生成し(S206)、x℃/sec以上の場合には(S205:Yes)、発熱すべき発熱回路120の数をb個(b>a)ずつ増やすよう制御信号を生成する(S207)。なお、いずれの場合においても、制御信号生成回路136は、発熱すべき発熱回路120に対し、真の真理値を示す制御信号を生成し、発熱すべきでない発熱回路120に対し、偽の真理値を示す制御信号を生成する。そして、制御回路130の各制御信号出力回路137は、制御信号生成回路136が生成した制御信号を、対応する発熱回路120にそれぞれ出力する(S208)。
【0049】
このように、本実施形態の制御回路130を有する温度変化調整モジュール100は、LSI200の温度の変化率に応じて、発熱又は発熱を停止するよう制御回路110が発熱回路120を制御することができる。これにより、LSI200の温度は、急激に上昇したり下降したりすることなく、緩やかに変化することとなる。その結果、LSI200の信頼性は、大きく向上することとなる。なお、本実施形態においては、変化率の値に応じて、一度に発熱すべき発熱回路120の数を変化させる例について説明したが、変化率の値に応じて、一度に発熱すべき発熱回路120の数を変化させずに、インターバルタイマ138がトリガを生成する時間間隔を変化させるようにしてもよい。
【0050】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0051】
100 温度変化調整モジュール
110 制御回路
111 AD変換回路
112 上限温度設定回路
113 下限温度設定回路
114 上限温度コンペア回路
115 下限温度コンペア回路
116 制御信号生成回路
117 制御信号出力回路
118 インターバルタイマ
120 発熱回路
121 制御信号入力回路
122 遅延回路
130 制御回路
131 AD変換回路
132 上限温度設定回路
134 上限温度コンペア回路
136 制御信号生成回路
137 制御信号出力回路
138 インターバルタイマ
139 LSI温度変化検出回路
200 LSI
210 演算回路
220 入出力回路
300 温度測定回路
400 外部装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路の温度の変化を緩やかにすべく調整する温度変化調整モジュールであって、
前記集積回路において回路が配置されていない空きエリアに配置される複数の発熱部と、
前記空きエリアに配置され、前記集積回路の温度の変化に応じて前記各発熱部が発熱又は発熱を停止するよう個別に制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記集積回路の温度を取得する温度取得部と、
前記発熱部が発熱又は発熱を停止すべき閾値となる前記集積回路の温度の設定を受け付ける制御温度設定受付部と、
前記温度取得部が取得した取得温度と、前記制御温度設定受付部が受け付けた設定温度とを比較する制御温度比較部と、
前記制御温度比較部が比較した結果に基づいて、前記各発熱部が発熱又は発熱を停止するよう個別に制御する制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記制御信号生成部が生成した制御信号を、前記各発熱部に個別に出力する制御信号出力部と
を有する温度変化調整モジュール。
【請求項2】
前記制御部は、
前記制御信号生成部に対し、制御信号を生成するよう一定時間毎に要求する制御信号生成要求部
を更に有し、
前記制御信号生成部は、前記制御信号生成要求部が要求を行う度に制御信号を生成する
請求項1に記載の温度変化調整モジュール。
【請求項3】
前記制御温度比較部が比較した結果、取得温度が設定温度よりも高かった場合、前記制御信号生成部は、前記制御信号生成要求部が要求を行う度に、全ての前記発熱部が発熱を停止するよう制御する制御信号を生成する
請求項2に記載の温度変化調整モジュール。
【請求項4】
前記制御温度比較部が比較した結果、取得温度が設定温度よりも低かった場合、前記制御信号生成部は、前記各発熱部が発熱するよう制御する制御信号を生成するにあたり、前記制御信号生成要求部が要求を行う度に、発熱するよう制御する前記発熱部の数を増やす
請求項2又は3に記載の温度変化調整モジュール。
【請求項5】
前記制御温度設定受付部は、前記集積回路が処理を実行したときに達する最高温度よりも低い温度の設定を受け付ける
請求項1乃至4のいずれかに記載の温度変化調整モジュール。
【請求項6】
前記制御信号生成要求部は、前記集積回路が初期化されたことの通知を外部の装置から受け付けることによって、制御信号を生成するよう要求を開始する
請求項2乃至5のいずれかに記載の温度変化調整モジュール。
【請求項7】
前記制御部は、
発熱するよう制御する前記発熱部の数を増やす時間の間隔を短く又は長くすべき閾値となる前記集積回路の温度の設定を受け付ける間隔制御温度設定受付部と、
前記温度取得部が取得した取得温度と、前記間隔制御温度設定受付部が受け付けた設定温度とを比較する間隔制御温度比較部と
を更に有し、
前記間隔制御温度比較部が比較した結果、取得温度が設定温度よりも低かった場合、前記制御信号生成要求部は、制御信号を生成するよう要求する時間の間隔を短くする
請求項4乃至6のいずれかに記載の温度変化調整モジュール。
【請求項8】
前記間隔制御温度設定受付部は、前記制御温度設定受付部が設定している温度よりも低い温度の設定を受け付ける
請求項7に記載の温度変化調整モジュール。
【請求項9】
前記制御部は、
前記温度取得部が取得した温度が単位時間当たりに変化した変化率を算出する温度変化率算出部
を更に有し、
前記制御信号生成部は、前記温度変化率算出部が算出した変化率に応じて、1回の制御信号の生成時において、発熱するよう制御する対象の発熱部の数を変化させる
請求項4乃至6のいずれかに記載の温度変化調整モジュール。
【請求項10】
前記制御部は、
前記温度取得部が取得した温度が単位時間当たりに変化した変化率を算出する温度変化率算出部
を更に有し、
前記制御信号生成要求部は、前記温度変化率算出部が算出した変化率が大きいほど、制御信号を生成するよう要求する時間の間隔を短くする
請求項4乃至6のいずれかに記載の温度変化調整モジュール。
【請求項11】
集積回路の温度の変化を緩やかにすべく調整する温度変化調整方法であって、
前記集積回路の温度を取得する温度取得ステップと、
前記集積回路において回路が配置されていない空きエリアに配置される複数の発熱部が発熱又は発熱を停止すべき閾値となる前記集積回路の温度の設定を受け付ける制御温度設定受付ステップと、
前記温度取得ステップにおいて取得された取得温度と、前記制御温度設定受付ステップにおいて受け付けられた設定温度とを比較する制御温度比較ステップと、
前記制御温度比較ステップにおいて比較された結果に基づいて、前記各発熱部が発熱又は発熱を停止するよう個別に制御する制御信号を生成する制御信号生成ステップと、
前記制御信号生成ステップにおいて生成された制御信号を、前記各発熱部に個別に出力する制御信号出力ステップと
を備えることを特徴とする温度変化調整方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−49242(P2011−49242A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194585(P2009−194585)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】