温度検出ユニット
【課題】 調理容器内で加熱する調理物の温度を正確に検出し、外部にその温度を正確に送信する温度検出ユニットを提供すること
【解決手段】 調理容器10内の調理物と直接接触する温度検出ユニット200であって、調理物と可動することで接触する接触部200aと、この接触部200aを支持する支持部11とを有し、前記接触部200aに調理物の温度を検出する温度検出手段203を設け、前記支持部11に前記温度検出手段203が検出した温度情報を送信する送信手段99と、この送信手段99に電源を供給する電源供給手段21を設けることを特徴とする温度検出ユニット。
【解決手段】 調理容器10内の調理物と直接接触する温度検出ユニット200であって、調理物と可動することで接触する接触部200aと、この接触部200aを支持する支持部11とを有し、前記接触部200aに調理物の温度を検出する温度検出手段203を設け、前記支持部11に前記温度検出手段203が検出した温度情報を送信する送信手段99と、この送信手段99に電源を供給する電源供給手段21を設けることを特徴とする温度検出ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度情報を送信する送信手段を備え、調理容器内の調理物に直接接触して温度を検出する温度検出ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように温度情報を送信する温度検出ユニットについては、調理鍋に一体的に温度センサーと複数の赤外線送信器を設け、複数の赤外線受信器を備える加熱調理器に調理鍋の温度情報を送信することで、調理鍋の取手をどのような位置においても赤外線送信器から送信される調理鍋の温度情報が途絶えることがないようにしたものが提案されている。
【特許文献1】特開2005−209373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような調理鍋においては、調理容器の壁面の外側の温度を検知して、その検知した温度情報を送信するように構成されている。
そのため、この検知する温度情報は内容物である調理物の温度を調理容器の壁面を通じて検知したものであり、壁面の熱伝導の影響で温度検知に対し温度追従性に問題があった。
また容器内で加熱されている調理物が中で偏ったりすると、その調理物と壁面表面の温度との乖離が大きくなり、正確な温度を送信することができないという問題も有していた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、調理容器内で加熱する調理物の温度を正確に検出し、外部にその温度を正確に送信する温度検出ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の温度検出ユニットによれば、調理容器内の調理物と直接接触するための温度検出ユニットであって、調理物と接触する接触部と、この接触部を支持する支持部とを有し、前記支持部に前記温度検出手段が検出した温度情報を送信する送信手段と、この送信手段に電源を供給する電源供給手段を設け、前記接触部は可動するように構成され、調理物の温度を検出する温度検出手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
調理物と直接接触する接触部に温度検出手段を設け、この接触部を可動できるようにし検出温度を外部に送信するようにしたから調理物の所望する位置の正確な温度を送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(第1実施例)
システムキッチン1に挿入されて加熱調理器100は、図1に示すようにこのキャビネット2とトッププレート3と併せて加熱調理器100を構成しており、そのうちシステムキッチン1の内部にキャビネット2が固定されている。そしてこのキャビネット2の上面には相当する耐熱ガラス製のトッププレート3が固定されており、トッププレート3はシステムキッチン1の上面から露出している。
このトッププレート3は、赤外線を投光する材質で形成されており、有色不透明に着色されてものであり、キャビネット2の内部はトッププレート3を通して視覚的に認識不能にされている。このキャビネット2の前面には操作パネル4が固定されており、操作パネル4には自動湯沸しキー5・火力調整ダイアル6・煮物キー7が装着されている。これら自動湯沸しキー5〜煮物キー7は調理条件の入力設定手段50に相当するものであり、前方から操作可能にされている。
【0007】
トッププレート3には円形状の加熱マーク8が左右二つ形成されている。この加熱マーク8は残余部分と異なる色彩に着色されたものであり、調理鍋9を載置する載置領域を使用者に表示する目印として機能する。調理鍋9は磁性材製の鍋からなるものであり、図2に示すように、調理物が投入される円筒状の容器部10(調理容器に相当)により構成されている。
そしてこの容器部10には、調理物に直接接触して温度を検知する温度検出ユニットが装着されている。
【0008】
また、トッププレート3には、図1に示すように、加熱マーク8の周囲4箇所に位置して窓部12が形成されている。この窓部12の下方には後述する赤外線受信器41(赤外線受信手段に相当)がそれぞれ設置されている。
キャビネット2の内部には、図2に示すように、加熱マーク8の下方に位置して円環状のコイルベース13が収納されており、コイルベース13の上面には加熱手段に相当する円環状のIHコイル14(加熱コイルに相当)が固定されている。このIHコイル14が左右に二つ設けられおり、マーク8a、8bの下方に右IHコイル14aと左IHコイル14bが配置されている。
【0009】
そしてキャビネット2の内部には、図3に示すように、IHコイル14に高周波電流を供給するための電気的回路が構成されていて、以下この回路について説明をする。
なおこの図3では、一方の右IHコイル14aを駆動させるための構成のみを示しているが、実際には、2個のIHコイル14a,14bを駆動させるための回路が構成されたものである。
直流電源回路128は、全波整流回路129の交流入力端子を商用交流電源130に接続し、直流出力端子をリアクタ131を介して平滑コンデンサ132の両端子間に接続した構成となっている。
平滑コンデンサ132の両端子間には直流母線133a,133bを介して正側および負側のIGBT134aおよび134bからなるアームが接続されており、ハーフブリッジ型のインバータ回路135を構成している。各IGBT134a,134bにはフリーホールダイオード136a,136bがそれぞれ並列に接続されている。このインバータ回路135の出力端子には、IHコイル14aの一端が接続され、そのIHコイル14aの他端子は、共振コンデンサ137を介して直流母線133bに接続され、IHコイル14aおよび共振コンデンサ137により共振回路138が構成されている。インバータ回路135の各IGBT134a,134bは、駆動部139からゲートに駆動信号が与えられるようになっている。
【0010】
インバータ回路135を駆動制御する主体としてのインバータ制御部140(インバータ制御手段に相当)は、マイクロコンピュータを主体に構成されたものであり、内部に制御マイコン35を含むROM、RAMなどを備えた構成をしている。インバータ制御部140は、入力設定手段50からの火力信号に基づいてインバータの駆動部139に駆動周波数の制御命令を出力する周波数可変回路144や、実際にIHコイル14aを流れる高周波の周波数を検知する周波数検出回路145(駆動周波数検知手段に相当)とにより構成されている。
【0011】
そして入力設定手段50は自動湯沸しキー5・火力調整ダイアル6・煮物キー7等の調理情報の入力手段を称するものであり、この調理条件の設定結果に基いてインバータ制御部140が駆動信号を生成するように制御マイコン35のROMに制御方法が記憶されている。
具体的には、入力設定手段50に基づくIHコイル14aの設定火力と、この火力と調理鍋の材質、大きさ等に基づくIGBT134a,134bの駆動周波数の制御方法との対応テーブルが予め記憶されており、駆動周波数は、共振回路138が、誘導性のインピーダンスになるように所定の範囲内で可変可能に設定されている。
そして制御マイコン35は、このテーブルを基に、調理鍋に応じて設定火力に対応した駆動周波数とするべく、周波数可変回路144を介して駆動部139に駆動周波数に対応した周波数信号を与えてインバータ回路135のIGBT134a,134bをスイッチング制御する。
またこのインバータ回路135の各IGBT134a,134bが駆動部139から与えられる駆動信号により交互にオンオフ制御されることで共振回路138に高周波電力が供給され、IHコイル14aに対応する位置に載置された被加熱物である調理鍋9が誘導加熱される。
そしてこの高周波電力の高周波周波数を検知するために周波数検出回路145が設けられており、IHコイル14aの高周波電流を検知することで駆動周波数を検知して、インバータ制御部140にフィードバックしている。
【0012】
なお、インバータ制御部140には、後述する赤外線を受信する赤外線受信器41からの出力信号が入力されるように構成されており、その他報知手段に相当する表示部42が電気的に接続されている。この表示部42は、図1に示すように、加熱情報等を使用者に認識させるべく操作パネル4に固定されたものである。
【0013】
次に上記した加熱調理器100に載置する調理鍋9内に置かれる温度検出ユニット200について説明する。
温度検出ユニット200は、調理物と直接接触する接触部200aと、この接触部200aに接続され、使用者が持って温度検出ユニット200を操作する取手部11(支持部に相当)とにより構成される。
【0014】
そしてこの接触部200aは、取手部11から垂直に接続される円筒状の外筒202と、外筒202の内部に収納され摺動可能に構成される内筒201とにより構成される。内筒201は外筒202より少し長く形成され外筒202に収納する時は内筒201の先端が少し露出されるように構成され、使用者はこの内筒201の露出した先端をつまんで下方に引っ張ることにより接触部200aが伸長できるように構成されている。
【0015】
また取手部11には、内筒201とは反対側に下方にL字状に形成される取付け部204が備えられており、この取付け部204は、容器部10の壁に係合できるようにバネ等の付勢手段により、容器部10の壁面を挟持して密着するように構成されている。
そしてこの温度検出ユニット200には、調理物の温度を測定し、この温度を赤外線により加熱調理器100に送信する機能が備わっている。
【0016】
まず、内筒201の内側側面には、調理物の温度を測定する内部温度センサー203(温度検出手段に相当)が設置されており、内部温度センサー203の感温部は、調理物と直接接触するように露出しており、内筒201の外面と面一に配置されている。この内部温度センサー203は、調理物の直接温度T0を直接的に検出するサーミスタから構成されている。
【0017】
そして取付け部204のL字状の下端の内側側面には、容器部10の外周面に位置して外部温度センサー20(第2の温度検出手段に相当)が機械的に固定されている。この外部温度センサー20は取付け部204を容器部10に挟んで係合した時に、容器部10の周囲側面に配置されるようにしたものであり、外部温度センサー20の感温部は容器部10の外周面に密着するようになっている。この外部温度センサー20も、調理鍋9の表面温度T1を直接的に検出するサーミスタから構成されている。
【0018】
そして使用者が持つ取手部11には電源21が機械的に固定されている。この電源21は9Vの一次電池から構成されたものであり、電源21には電源スイッチ22を介して温度データ送信部23が電気的に接続されている。この電源スイッチ22は取手部11に固定された自己保持形のスライドスイッチからなるものであり、プランジャ24のスライド操作に基いて給電路を閉成するオン状態および給電路を開放するオフ状態に機械的に保持される。即ち、電源スイッチ22がオン操作されたときには電源21から温度データ送信部23に9Vの主電源Vinが与えられ、電源スイッチ22がオフ操作されたときには主電源Vinが遮断される。
【0019】
温度データ送信部23は調理鍋9の取手部11に機械的に固定されたものであり、電源21から主電源Vinが与えられることに基いて起動し、主電源Vinが遮断されることに基いて停止する。この温度データ送信部23には内部温度センサー203および外部温度センサー20がリード線25を介して電気的に接続されており、温度データ送信部23は内部温度センサー203および外部温度センサー20からの温度信号をリード線25を介して検出し、温度信号の検出結果に応じた調理情報を赤外線で送信する。即ち、温度データ送信部23からの調理情報の送信は使用者が電源スイッチ22をオン操作することに基いて自動的に開始され、使用者が電源スイッチ22をオフ操作することに基いて自動的に停止する。
【0020】
温度データ送信部23は、図4に示すように、電源回路26と電圧検出回路27と発振回路28と温度検出回路29とLED駆動回路30と赤外線LED31と制御回路32とを赤外線送信可能な完成形態に電気的に相互接続することから構成されたものである。この温度データ送信部23は物理的に独立したユニットとして取扱うことが可能な赤外線送信モジュールに相当するものであり、電源回路26は電源21からの主電源Vinを降圧することに基いて5Vの安定化電源Voを生成する。この電源回路26はシリーズレギュレータから構成されたものであり、温度データ送信部23は電源回路26が生成する安定化電源Voを電源として駆動する。
【0021】
電圧検出回路27は主電源Vinのレベルに応じた電圧信号を生成するものであり、電圧信号は制御回路32に与えられる。温度検出回路29は温度センサーの抵抗変化に応じたレベルの電圧信号を生成するものであり、電圧信号は制御回路32に与えられる。この制御回路32は発振回路28からの8MHzのパルス信号を動作周波数とするマイクロコンピュータからなるものであり、CPU・ROM・RAM・I/Oを有している。尚、電圧検出回路27は出力検出部に相当するものである。
【0022】
制御回路32のROMには制御プログラムが記録されている。この制御プログラムは制御回路32のタイマ回路からINT信号が出力されることに基いて起動するものであり、1)電圧検出処理・2)温度検出処理・3)データ送信処理を有している。
このINT信号の出力は設定時間(設定周期)毎(具体的には1sec毎)に行われるものであり、制御回路32は制御プログラムを設定時間毎に起動することに基いて1)電圧検出処理〜3)データ送信処理を設定時間毎に実行する。この設定時間毎に送信処理する周期が、周期的に赤外線を送信する送信周期に該当する。以下、1)電圧検出処理〜3)データ送信処理について説明する。
【0023】
1)電圧検出処理
制御回路32のCPUは電圧検出回路27からの電圧信号をA/D変換する。この電圧信号のA/D変換結果に基いて主電源Vinの電圧レベルを検出し、電圧レベルの検出結果をROMに予め記録された判定値と比較する。そして、電圧レベルの検出結果が判定値を上回ることを検出したときには主電源Vinが正常レベルにあると判断し、電圧レベルの検出結果が判定値を下回ることを検出したときには主電源Vinが異常レベルにあると判断する。この異常レベルとは制御回路32が正常に処理動作を行うことができなくなる手前の電圧レベルを称するものであり、電圧検出処理とは電源21の消耗の有無を設定期間毎に判定するものである。
【0024】
2)温度検出処理
制御回路32のROMには、図5に示すように、温度検出回路29からの電圧信号(V)と温度(°C)との関係が記録されており、制御回路32のCPUは温度検出回路29からの電圧信号をA/D変換し、電圧信号のA/D変換結果に応じた温度To、T1をROMの記録データから取得することに基いて調理物の直接的な温度Toと調理鍋9の壁面温度T1を検出する。例えば電圧信号のA/D変換結果が「4.1V」であるときには温度Tとして「75°C」を検出する。即ち、温度検出処理とは度To、T1を設定期間毎に検出するものである。
【0025】
3)データ送信処理
制御回路32には、図4に示すように、LED駆動回路30を介して赤外線素子に相当する赤外線LED31が電気的に接続されており、制御回路32のCPUは1)電源電圧Vinの検出結果および2)温度To、T1の検出結果に基いて駆動信号を生成する。そして、LED駆動回路30を駆動信号に基いて駆動制御することで赤外線LED31を発光制御し、赤外線LED31から1)電源電圧Vinの検出結果および2)温度To、T1の検出結果を含む調理情報を赤外線で送信する。この駆動信号は設定周波数fc1(具体的には「31.25kHz」)および設定デューティ比のキャリア信号を変調することで行われるものであり、キャリア信号の変調はオンオフ期間を変更することで行われる。即ち、データ送信処理とは赤外線LED31の駆動信号を生成し、赤外線LED31を駆動信号に基いて発光制御することで調理情報を前述した制御回路32に記憶されている設定周波数(以降、キャリア周波数と称す)で赤外線送信するものであり、1)電圧検出処理および2)温度検出処理に連動して周期的に行われる。
そしてこの赤外線は、図8に示すように、周期的に送信されるように制御されており、一定時間温度情報を送信し続け、その後送信しない時間を経て再び送信する制御を繰り返している。
【0026】
図6の(a)および(b)は制御回路32が生成する駆動信号Sを示すものであり、駆動信号SはヘッダS1と温度データS2とストップビットS3とから構成されている。ヘッダS1は駆動信号の送信開始を確定するものであり、キャリア信号を5msecオンおよび3msecオフすることで生成される。ストップビットS3は駆動信号の送信終了を確定するものであり、キャリア信号を1msecオンおよび3msec以上オフすることで生成される。温度データS2はビット「0」およびビット「1」の組合せでデータの内容を特定するものであり、ビット「0」はキャリア信号を1msecオンおよび1msecオフすることで生成され、ビット「1」はキャリア信号を1msecオンおよび2msecオフすることで生成される。
【0027】
温度データS2は調理物の温度Toを特定する8ビットデータからなるものであり、制御回路32のCPUは、温度検出処理の検出結果Toを直後のデータ送信処理で温度データS2に設定する。例えば、温度検出処理の検出結果Toが「75°C」であるときには温度データS4として「11010010」が設定される。本実施例では、この温度データS2を1バイトのデータで送信しているので8ビットデータになるが、より高精度に調理物の情報等を伝える場合は、このビット数を増加させることで対応すればよい。
【0028】
また温度検出ユニット200には、図2に示すように、取手カバー33が固定されている。この取手カバー33は温度センサー・電源21・操作スイッチ22・温度データ送信部23・リード線25をプランジャ24を除いて覆うものであり、断熱材でかつさらに水で洗浄できるように機密性の高いプラスチック製のもので形成され、隙間にシリコンシール材を貼付するなどして防水加工を施している。
またこの取手カバー33には電池交換口が形成されており、電池交換口には電池カバーが開閉可能に装着されている。この電池交換口は電源21を交換するための開口部を称するものであり、電池カバーを操作することに基いて開閉される。なおこの電池には、小型でかつ高寿命な例えばボタン型リチウムイオン電池が望ましい。
【0029】
ここで加熱調理器100の赤外線の受信手段について図7を用いて説明する。
この赤外線受信手段である赤外線受信器41はフォトダイオードなどの赤外線センサーおよび信号出力回路をモジュール化してなるものであり、トッププレート3のマーク8aの周囲の4つの窓部12の下方にのみそれぞれ配置されている。
すなわち右IHコイル14aで誘導加熱する場合のみ、そのマーク8aに載置される赤外線送信可能な温度検出ユニット200と受信可能な加熱調理器100との間で赤外線の送受信をする加熱調理システムが可能となる。
またこの赤外線受信器41をマーク41aの周囲に4つ配置することで使用者が温度検出ユニット200の取手部11がどのような向きに位置されても、加熱調理器100は赤外線を受信することができるように構成されている。
【0030】
赤外線受信器41は、図7に示すようにまずフォトダイオード41aが赤外線を受信し、その信号をアンプ41bで増幅する。フォトダイオード41aはある波長に対して感度を上げており、その波長以外の光は受信しないように構成されており、照明などのからの光は受信されない。
そして増幅した信号について所定範囲の周波数の信号のみを通過させるバンドパスフィルタ41c(周波数フィルタ手段に相当)に通し、検波回路41dを通し波形整形をして平滑化して出力する。
【0031】
このバンドパスフィルタ41cは、温度検出ユニット200の赤外線送信器99に記憶されているキャリア周波数fc1の信号が通過できるようにそのfc1を含む所定の周波数帯Δfc(以降フィルタリング周波数帯と称す)が設定されており、この周波数帯Δfc以外の信号はフィルタリングされて通過できないようにして出力されないように構成されている。
このようにこの赤外線受信器41は赤外線送信器99からの温度情報を窓部12を通して受光することに基いて温度データを生成するものであり、温度データは、図6の(c)に示すように、調理情報の受光結果を包絡検波することで設定される。
【0032】
この出力を図4の制御マイコンの35の割り込み端子でリードし、制御マイコン35はフォーマットを解析して温度データの情報を取り出す。
すなわち制御マイコン35は、制御マイコン35に入力された信号が決められた条件(フォーマット)に合致する信号であれば、入力信号を正常の信号として認めるように構成しているもので、例えば図9を用いて説明すると(a)に示す波形整形されて平滑化された信号が所定の時間内に決まった矩形波形状で入力された場合はフォーマットに合致した信号と見なし、(b)のように所定時間内に矩形波信号以外のノイズが入力されている場合はフォーマットに合致していない信号と見なすことで正常の信号の適否を見分けている。
そして制御マイコン35は、赤外線受信器が4つ設けられているため、それぞれの割り込み端子に接続してそれぞれのフォーマットを解析し、正常に受信できている温度情報のみを使用する構成をしている。
したがって照明から出る赤外線成分やIHコイルが発する電磁波のノイズなどがバンドパスフィルタ41cが通過可能とする所定周波数帯内の周波数の信号であった場合で、赤外線受信器41から制御マイコン35に出力されたときはその信号は図9(b)のようになり制御マイコンのフォーマットに合わないので破棄される。
そのため制御マイコン35は、赤外線受信器41がフィルタリング周波数帯Δfc内の値であるキャリア周波数の赤外線がノイズと共に受信されない場合のみ、その赤外線の受信信号は正しいと判断する。
そして制御マイコンは、この受信信号に基づく温度情報を使用することで周波数可変回路44に命令をし、駆動周波数を可変制御することでIHコイル14の火力を制御し、自動湯沸しキー5、煮物キー7等で設定された自動調理を行うように構成されている。
【0033】
次に、この構成の加熱調理システムの動作について煮物調理を図10を参照して説明する。
制御マイコン35のROMには煮物調理用のメインプログラムが記録されており、制御マイコン35のCPUは煮物キー7のオン操作を検出したときには煮物調理用のメインプログラムを起動し、メインプログラムに基いて調理内容を制御する。以下、煮物調理用のメインプログラムについて説明する。
【0034】
調理物が収納されている調理鍋9を加熱マーク8a上にセットし、温度情報を送信する温度検出ユニット200を調理鍋の中に調理物と接触するように挿入して、使用者が温度検知したい位置(例えば調理物の中心位置)になるように内筒201をスライド伸長させてセットする。そして取付け部204が、容器部の壁面に挟持して係合するようにしてセットする。そして温度検出ユニット200の電源スイッチ22および操作パネル4の煮物キー7をオン操作する。
制御マイコン35は煮物キー7のオン操作を検出すると、目標温度を設定し、この目標温度に到達すべく火力を制御する。この火力はIHコイル14の前述したようにインバータ回路135に出力する高周波電力の駆動周波数を可変制御することに基づいて調整されるものである。
そして温度検出ユニット200の内筒201に接触している調理物の温度T0を内部温度センサー203が検知して、この温度を上記赤外線の送信方法に基づいて送信し、加熱調理器100は、この赤外線情報に基づいて調理物の直接の温度を検出しその温度情報に基づいて、制御マイコン35は周波数可変回路144に駆動周波数制御命令をする。
そして受信する調理物の温度情報に基づき目標温度の設定と火力制御を繰り返し、受信温度が最終的な目標温度に近づいてくると、IHコイルに流れる高周波電流の駆動周波数を徐々に小さく制御していくことで、火力を徐々に下げていき最終的には容器部10を一定の煮込み温度に保持する状態にする制御をする。
【0035】
同時に外部温度センサー20により、検知した容器部10の温度も赤外線送信器99から送信され、この容器部10の温度も赤外線受信器41が受信して、制御マイコン35にフィードバックしている。
そして容器部10内の内容物が蒸発するなどして空焚きになってしまった場合に、容器部10が赤熱し外部温度センサー20の温度情報が非常に高温となり、内部温度センサー203との温度差が乖離したことを検知して、加熱を停止するように制御している。
【0036】
このような煮込み調理中においては、使用者は温度検出ユニット200の接触部200aを伸長させて動かすことで所望の場所の温度を測定することができる。即ち煮込み調理において、例えば煮込み汁の深さの中心部周辺の温度を主として制御したいと所望する場合は、接触部200aの内筒201を外筒202からスライドさせて引き伸ばし伸長することで移動させ、内部温度センサー203の位置を移動させることで所望する位置の温度が測定可能であって、その温度が加熱調理器100に赤外線送信されることで、使用者はその煮込み調理を最適な温度により実行することができる。
すなわち従来のように調理鍋9の壁面温度を測定していると、壁面の熱伝導の影響で温度検知に対し温度追従性に問題があったが、本実施例では直接内容物の温度を測定しているため、加熱調理器100はより正確な温度に基づいて加熱制御することができる。
さらには、調理鍋9のように大きな体積を有するものに温度検出手段を設けず、このような調理物に直接触れる小型の温度検出ユニット200により、温度検出手段、赤外線送信手段を設けたため、保管場所も困る異なる使用者にとって利便性が高い。
【0037】
また内部温度センサー203と外部温度センサー20を設け、両方の温度を測定し、赤外線送信するようにしたため、加熱調理器100は精密な温度制御をすることができ、空焚きのような場合に、緊急停止することができるなど、安全性において効果的である。
また温度検出ユニット200に取付け部204を設けたことで、温度検出ユニット200全体が調理物内に落下して赤外線が送信されないといった可能性も回避できるようにした。
【0038】
なお、電源スイッチ22はどこに設けても良い。例えば、外筒202の内部にスイッチを設け、内筒201が引き出されることに基づいて電源がオンし、収納するとオフされるように構成してもよい。
【0039】
すなわちこのような構成にすると容器部10に係合させて、内筒201を動かした時に電源を自動的にオンすることができ、未使用のときは電源がオフとなり省電力化が図れる。
【0040】
また加熱調理器100に赤外線受信器41を4つ設けるようにした。これによって、温度検出ユニット200が調理鍋9のどの部分に取り付けられても、赤外線を受信できるようになるため、温度情報が受信できないといったことが回避できる。さらに赤外線により送信するようにしたから他の無線手段に比して低価格、低消費電力で構成でき、基板も小型化できる。
【0041】
また赤外線送信器99は、一定間隔を置いて赤外線を送信するようにした。このようにすることで送信回数の間引きすることができ省電力化が図れる。
なお、赤外線送信器に例えば、加熱調理器100の最大調理時間(例えば5時間)を記憶させ、温度検出ユニット200の電源が最大調理時間以上オンされていることを検知した時に、自動的に電源をオフするようにしても良い。このようにしても省電力化が図れる。
【0042】
なお、本実施例によれば、赤外線で温度情報を送信するようにしたが、勿論他の送信手段をしようしてもよい。例えば、電波送信により設定周波数が数百MHzの微弱無線方式を利用することも可能である。この場合、電波の通信有効範囲が広い為、送信情報に受信するべき加熱調理器100の情報を載せておくことが好ましい。すなわち加熱調理器はその情報を取得することで温度情報の適否を判断し加熱制御するようにできるから他の電波による誤動作をなくすことができる。
【0043】
(第2実施例)
次に、本発明に係る温度検出ユニットの第2の実施形態を、図11を参照して説明する。
第1の実施形態と同一部分については同一の符号を付して説明を省略し、以下異なるところについて説明する。
上記第1の実施形態と異なるところは、温度検出ユニット200の外筒202に調理容器の外壁に係合する係合部210(係合手段に相当)を設けた点である。
本実施例においては、取付け部204を有しておらず、外筒202をL字状に曲がった構成とし、この曲がり部を係合手段としている。
【0044】
そして温度検出ユニット200を容器部10内側に接触部200aを位置させ、容器部10外側に取手部11を位置させて、係合部210を容器部10の外壁の上面に載置することで容器部10に簡単に装着できる。
この構成の詳細を説明すると、図12に示すように取手部11の上部に外筒202が接続されている構成であり、この取手部11には上部にスライド溝11aを有し、このスライド溝11aに外筒202の係合部210が摺動可能に設けられており、不使用時は、外筒202と取手部11とが接触して閉じた状態をしている。
そして温度検出ユニット200の容器部10への装着時には、外筒202を容器部10内部方向にスライドし、取手部11と離間するようにし係合部210を露出させ、容器部10の上方から外壁の上面に係合部210を載置させる。そして接触部200aを閉じる方向にスライドさせることにより、接触部200aと取手部11とにより容器部10の外壁を狭持することで温度検出ユニット200が保持されるようになる。
そしてこのように安定して保持する状態で、内筒201を引き出して接触部200aを伸長することで使用者は所望の位置の温度を測定することができる。
【0045】
このように構成することにより、温度検出ユニット200を容器部10に簡単に装着でき、自由に温度検出ユニット200の接触部200aと取手部11の離間距離を変えることができるためどのような調理鍋9にも対応して取り付けることができる。
とくにこの場合、容器内部に位置する外筒202の取手部11側の面は、丸み形状を呈していると好ましい。これは通常調理鍋たる容器部10は円筒形状が多く、丸み形状と密着しやすく、安定しやすいからである。
【0046】
また外筒202と取手部11とを閉じた時に接触するようにしたから、温度検出ユニット200をコンパクトに収納できる。
またさらに狭持して装着することにより、磁石部221が鍋に接触し、より安定して保持可能であり、外部温度センサー220が容器部の外壁に密着するためその温度を正確に測定できるようになる。
このようにすることで内部温度センサー203と外部温度センサー220とにより二つの温度を正確に測定できる。
【0047】
(第3実施例)
次に、本発明に係る温度検出ユニットの第3の実施形態を、図13を参照して説明する。
第2の実施形態と同一部分については同一の符号を付して説明を省略し、以下異なるところについて説明する。
上記第2の実施形態と異なるところは、内筒201の変わりに可動筒301を有している点である。
【0048】
この可動筒301は、L字状に構成され、外筒202とヒンジ303cを介して接続される短筒部301aと内部温度センサー203を有する長筒部301bとにより構成されることで、短筒部301aがヒンジ303cにより回動して屈曲されることに基づき、長筒部301bも回動し、内部温度センサー203の位置を変更することができる(図13、図14参照)。
また、外筒202と短筒部301aとは、リード線25が外筒202に形成された開口から外部に出て、短筒部301aの開口に入ることにより電気的に接続されて、外部温度センサー20の温度情報を外部に送信することができるように構成されている。
【0049】
本実施例においては、温度検出ユニット200が挟持された状態で、可動筒301をヒンジ303cを介して矢印A方向に回動屈曲させることで、容器部10の外壁から離れた位置の調理物の温度を測定することができる。
また、この可動筒301は、矢印Aの方向に回動させていくと、長筒部301bと外筒202が接触して閉じるように構成されており、このように長筒部301bと外筒202を接触させて閉じるようにすることで、温度検出ユニット200をコンパクトに収納することができる。
【0050】
さらにこの温度検出ユニット200には、外筒202に可動筒301の可動範囲を制限するストッパー202a(制限手段に相当)が設けられている。
このストッパー202aは、外筒202の取手部11側に設けられており、図15に示すように、短筒部301aが外筒202と垂直位置になるまで回動したときに、短筒部301aがストッパー202aに接触するような位置に設けられている。
このような構成により、可動筒301を取手部11側に回動した場合に、所定の回動位置でストッパー202aによりそれ以上回動できないように制限されるから、可動筒301が容器部10に接触することによる接触部200aへの負荷をなくすことができる。
【0051】
なお、本実施例では、可動部301は、ヒンジ301cを介して外筒に回動自在に接続するように構成したが、図16に示すようにボールジョイントを使用して、全方向に回動できるようにしてもよい。
この構成は、短筒部301aの先端部にボールジョイント301dを設け、外筒202にボールジョイント301を全方向に回動できるように保持する保持部202bが具備されている。
そしてこの外筒202と短筒部301aとは、開口から露出するリード線25により電気的に接続されている。
このように可動部301が全方向に回動できるようにしたため、使用者が温度測定したい位置に外部温度センサー20を簡単に移動することができ、より正確な温度を外部に送信することができる。
【0052】
また図14、図16においては、リード線25が露出しているため、防水するための樹脂を塗布してもよいし、回動接続箇所全てを防水して被覆するような柔軟な素材を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施例を示す図(加熱調理器の外観を示す斜視図)
【図2】調理鍋と温度検出ユニットをトッププレートにセットした状態を示す図
【図3】インバータ回路およびインバータ制御部の電気的構成を示す図
【図4】赤外線送信器の電気的構成を示すブロック図
【図5】制御回路の検出電圧と認識温度との関係を示す図
【図6】(a)は赤外線LEDの駆動信号を示す図、(b)は赤外線LEDから投光される調理情報の内容を示す図、(c)は赤外線受信器から出力される調理情報の検波信号を示す図
【図7】赤外線受信器の電気構成図。
【図8】(a)赤外線送信器の赤外線送信状態の図
【図9】赤外線のキャリア周波数fcの出力波形の図
【図10】煮物の調理フローチャート
【図11】第2の実施例の図2相当図
【図12】温度検出ユニット容器部に装着した状態の上面図
【図13】温度検出ユニットの第3の実施例の図
【図14】温度検出ユニットの第3の実施例の拡大図
【図15】温度検出ユニットの第3の実施例の別の状態図
【図16】温度検出ユニットの別の実施形態図
【符号の説明】
【0054】
9は調理鍋、10容器部(調理容器)、11は取手部(支持部)、14はIHコイル(加熱コイル)、20は外部温度センサー(第2の温度検出手段)、21は電源(電源供給手段)、35は制御マイコン、41は赤外線受信器(赤外線受信手段)、41cはバンドパスフィルタ(周波数フィルタ手段)、99は赤外線送信器(送信手段)、135はインバータ回路、140はインバータ制御部(インバータ制御手段)、200は温度検出ユニット、200aは接触部、201は内筒、202は外筒、202aはストッパー(制限手段)、203は内部温度センサー(温度検出手段)、204は取付け部、210は係合部(係合手段)、221は磁石部、301は可動筒、301aは短筒部、301bは長筒部、301cはヒンジ、301dはボールジョイントを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度情報を送信する送信手段を備え、調理容器内の調理物に直接接触して温度を検出する温度検出ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように温度情報を送信する温度検出ユニットについては、調理鍋に一体的に温度センサーと複数の赤外線送信器を設け、複数の赤外線受信器を備える加熱調理器に調理鍋の温度情報を送信することで、調理鍋の取手をどのような位置においても赤外線送信器から送信される調理鍋の温度情報が途絶えることがないようにしたものが提案されている。
【特許文献1】特開2005−209373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような調理鍋においては、調理容器の壁面の外側の温度を検知して、その検知した温度情報を送信するように構成されている。
そのため、この検知する温度情報は内容物である調理物の温度を調理容器の壁面を通じて検知したものであり、壁面の熱伝導の影響で温度検知に対し温度追従性に問題があった。
また容器内で加熱されている調理物が中で偏ったりすると、その調理物と壁面表面の温度との乖離が大きくなり、正確な温度を送信することができないという問題も有していた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、調理容器内で加熱する調理物の温度を正確に検出し、外部にその温度を正確に送信する温度検出ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の温度検出ユニットによれば、調理容器内の調理物と直接接触するための温度検出ユニットであって、調理物と接触する接触部と、この接触部を支持する支持部とを有し、前記支持部に前記温度検出手段が検出した温度情報を送信する送信手段と、この送信手段に電源を供給する電源供給手段を設け、前記接触部は可動するように構成され、調理物の温度を検出する温度検出手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
調理物と直接接触する接触部に温度検出手段を設け、この接触部を可動できるようにし検出温度を外部に送信するようにしたから調理物の所望する位置の正確な温度を送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(第1実施例)
システムキッチン1に挿入されて加熱調理器100は、図1に示すようにこのキャビネット2とトッププレート3と併せて加熱調理器100を構成しており、そのうちシステムキッチン1の内部にキャビネット2が固定されている。そしてこのキャビネット2の上面には相当する耐熱ガラス製のトッププレート3が固定されており、トッププレート3はシステムキッチン1の上面から露出している。
このトッププレート3は、赤外線を投光する材質で形成されており、有色不透明に着色されてものであり、キャビネット2の内部はトッププレート3を通して視覚的に認識不能にされている。このキャビネット2の前面には操作パネル4が固定されており、操作パネル4には自動湯沸しキー5・火力調整ダイアル6・煮物キー7が装着されている。これら自動湯沸しキー5〜煮物キー7は調理条件の入力設定手段50に相当するものであり、前方から操作可能にされている。
【0007】
トッププレート3には円形状の加熱マーク8が左右二つ形成されている。この加熱マーク8は残余部分と異なる色彩に着色されたものであり、調理鍋9を載置する載置領域を使用者に表示する目印として機能する。調理鍋9は磁性材製の鍋からなるものであり、図2に示すように、調理物が投入される円筒状の容器部10(調理容器に相当)により構成されている。
そしてこの容器部10には、調理物に直接接触して温度を検知する温度検出ユニットが装着されている。
【0008】
また、トッププレート3には、図1に示すように、加熱マーク8の周囲4箇所に位置して窓部12が形成されている。この窓部12の下方には後述する赤外線受信器41(赤外線受信手段に相当)がそれぞれ設置されている。
キャビネット2の内部には、図2に示すように、加熱マーク8の下方に位置して円環状のコイルベース13が収納されており、コイルベース13の上面には加熱手段に相当する円環状のIHコイル14(加熱コイルに相当)が固定されている。このIHコイル14が左右に二つ設けられおり、マーク8a、8bの下方に右IHコイル14aと左IHコイル14bが配置されている。
【0009】
そしてキャビネット2の内部には、図3に示すように、IHコイル14に高周波電流を供給するための電気的回路が構成されていて、以下この回路について説明をする。
なおこの図3では、一方の右IHコイル14aを駆動させるための構成のみを示しているが、実際には、2個のIHコイル14a,14bを駆動させるための回路が構成されたものである。
直流電源回路128は、全波整流回路129の交流入力端子を商用交流電源130に接続し、直流出力端子をリアクタ131を介して平滑コンデンサ132の両端子間に接続した構成となっている。
平滑コンデンサ132の両端子間には直流母線133a,133bを介して正側および負側のIGBT134aおよび134bからなるアームが接続されており、ハーフブリッジ型のインバータ回路135を構成している。各IGBT134a,134bにはフリーホールダイオード136a,136bがそれぞれ並列に接続されている。このインバータ回路135の出力端子には、IHコイル14aの一端が接続され、そのIHコイル14aの他端子は、共振コンデンサ137を介して直流母線133bに接続され、IHコイル14aおよび共振コンデンサ137により共振回路138が構成されている。インバータ回路135の各IGBT134a,134bは、駆動部139からゲートに駆動信号が与えられるようになっている。
【0010】
インバータ回路135を駆動制御する主体としてのインバータ制御部140(インバータ制御手段に相当)は、マイクロコンピュータを主体に構成されたものであり、内部に制御マイコン35を含むROM、RAMなどを備えた構成をしている。インバータ制御部140は、入力設定手段50からの火力信号に基づいてインバータの駆動部139に駆動周波数の制御命令を出力する周波数可変回路144や、実際にIHコイル14aを流れる高周波の周波数を検知する周波数検出回路145(駆動周波数検知手段に相当)とにより構成されている。
【0011】
そして入力設定手段50は自動湯沸しキー5・火力調整ダイアル6・煮物キー7等の調理情報の入力手段を称するものであり、この調理条件の設定結果に基いてインバータ制御部140が駆動信号を生成するように制御マイコン35のROMに制御方法が記憶されている。
具体的には、入力設定手段50に基づくIHコイル14aの設定火力と、この火力と調理鍋の材質、大きさ等に基づくIGBT134a,134bの駆動周波数の制御方法との対応テーブルが予め記憶されており、駆動周波数は、共振回路138が、誘導性のインピーダンスになるように所定の範囲内で可変可能に設定されている。
そして制御マイコン35は、このテーブルを基に、調理鍋に応じて設定火力に対応した駆動周波数とするべく、周波数可変回路144を介して駆動部139に駆動周波数に対応した周波数信号を与えてインバータ回路135のIGBT134a,134bをスイッチング制御する。
またこのインバータ回路135の各IGBT134a,134bが駆動部139から与えられる駆動信号により交互にオンオフ制御されることで共振回路138に高周波電力が供給され、IHコイル14aに対応する位置に載置された被加熱物である調理鍋9が誘導加熱される。
そしてこの高周波電力の高周波周波数を検知するために周波数検出回路145が設けられており、IHコイル14aの高周波電流を検知することで駆動周波数を検知して、インバータ制御部140にフィードバックしている。
【0012】
なお、インバータ制御部140には、後述する赤外線を受信する赤外線受信器41からの出力信号が入力されるように構成されており、その他報知手段に相当する表示部42が電気的に接続されている。この表示部42は、図1に示すように、加熱情報等を使用者に認識させるべく操作パネル4に固定されたものである。
【0013】
次に上記した加熱調理器100に載置する調理鍋9内に置かれる温度検出ユニット200について説明する。
温度検出ユニット200は、調理物と直接接触する接触部200aと、この接触部200aに接続され、使用者が持って温度検出ユニット200を操作する取手部11(支持部に相当)とにより構成される。
【0014】
そしてこの接触部200aは、取手部11から垂直に接続される円筒状の外筒202と、外筒202の内部に収納され摺動可能に構成される内筒201とにより構成される。内筒201は外筒202より少し長く形成され外筒202に収納する時は内筒201の先端が少し露出されるように構成され、使用者はこの内筒201の露出した先端をつまんで下方に引っ張ることにより接触部200aが伸長できるように構成されている。
【0015】
また取手部11には、内筒201とは反対側に下方にL字状に形成される取付け部204が備えられており、この取付け部204は、容器部10の壁に係合できるようにバネ等の付勢手段により、容器部10の壁面を挟持して密着するように構成されている。
そしてこの温度検出ユニット200には、調理物の温度を測定し、この温度を赤外線により加熱調理器100に送信する機能が備わっている。
【0016】
まず、内筒201の内側側面には、調理物の温度を測定する内部温度センサー203(温度検出手段に相当)が設置されており、内部温度センサー203の感温部は、調理物と直接接触するように露出しており、内筒201の外面と面一に配置されている。この内部温度センサー203は、調理物の直接温度T0を直接的に検出するサーミスタから構成されている。
【0017】
そして取付け部204のL字状の下端の内側側面には、容器部10の外周面に位置して外部温度センサー20(第2の温度検出手段に相当)が機械的に固定されている。この外部温度センサー20は取付け部204を容器部10に挟んで係合した時に、容器部10の周囲側面に配置されるようにしたものであり、外部温度センサー20の感温部は容器部10の外周面に密着するようになっている。この外部温度センサー20も、調理鍋9の表面温度T1を直接的に検出するサーミスタから構成されている。
【0018】
そして使用者が持つ取手部11には電源21が機械的に固定されている。この電源21は9Vの一次電池から構成されたものであり、電源21には電源スイッチ22を介して温度データ送信部23が電気的に接続されている。この電源スイッチ22は取手部11に固定された自己保持形のスライドスイッチからなるものであり、プランジャ24のスライド操作に基いて給電路を閉成するオン状態および給電路を開放するオフ状態に機械的に保持される。即ち、電源スイッチ22がオン操作されたときには電源21から温度データ送信部23に9Vの主電源Vinが与えられ、電源スイッチ22がオフ操作されたときには主電源Vinが遮断される。
【0019】
温度データ送信部23は調理鍋9の取手部11に機械的に固定されたものであり、電源21から主電源Vinが与えられることに基いて起動し、主電源Vinが遮断されることに基いて停止する。この温度データ送信部23には内部温度センサー203および外部温度センサー20がリード線25を介して電気的に接続されており、温度データ送信部23は内部温度センサー203および外部温度センサー20からの温度信号をリード線25を介して検出し、温度信号の検出結果に応じた調理情報を赤外線で送信する。即ち、温度データ送信部23からの調理情報の送信は使用者が電源スイッチ22をオン操作することに基いて自動的に開始され、使用者が電源スイッチ22をオフ操作することに基いて自動的に停止する。
【0020】
温度データ送信部23は、図4に示すように、電源回路26と電圧検出回路27と発振回路28と温度検出回路29とLED駆動回路30と赤外線LED31と制御回路32とを赤外線送信可能な完成形態に電気的に相互接続することから構成されたものである。この温度データ送信部23は物理的に独立したユニットとして取扱うことが可能な赤外線送信モジュールに相当するものであり、電源回路26は電源21からの主電源Vinを降圧することに基いて5Vの安定化電源Voを生成する。この電源回路26はシリーズレギュレータから構成されたものであり、温度データ送信部23は電源回路26が生成する安定化電源Voを電源として駆動する。
【0021】
電圧検出回路27は主電源Vinのレベルに応じた電圧信号を生成するものであり、電圧信号は制御回路32に与えられる。温度検出回路29は温度センサーの抵抗変化に応じたレベルの電圧信号を生成するものであり、電圧信号は制御回路32に与えられる。この制御回路32は発振回路28からの8MHzのパルス信号を動作周波数とするマイクロコンピュータからなるものであり、CPU・ROM・RAM・I/Oを有している。尚、電圧検出回路27は出力検出部に相当するものである。
【0022】
制御回路32のROMには制御プログラムが記録されている。この制御プログラムは制御回路32のタイマ回路からINT信号が出力されることに基いて起動するものであり、1)電圧検出処理・2)温度検出処理・3)データ送信処理を有している。
このINT信号の出力は設定時間(設定周期)毎(具体的には1sec毎)に行われるものであり、制御回路32は制御プログラムを設定時間毎に起動することに基いて1)電圧検出処理〜3)データ送信処理を設定時間毎に実行する。この設定時間毎に送信処理する周期が、周期的に赤外線を送信する送信周期に該当する。以下、1)電圧検出処理〜3)データ送信処理について説明する。
【0023】
1)電圧検出処理
制御回路32のCPUは電圧検出回路27からの電圧信号をA/D変換する。この電圧信号のA/D変換結果に基いて主電源Vinの電圧レベルを検出し、電圧レベルの検出結果をROMに予め記録された判定値と比較する。そして、電圧レベルの検出結果が判定値を上回ることを検出したときには主電源Vinが正常レベルにあると判断し、電圧レベルの検出結果が判定値を下回ることを検出したときには主電源Vinが異常レベルにあると判断する。この異常レベルとは制御回路32が正常に処理動作を行うことができなくなる手前の電圧レベルを称するものであり、電圧検出処理とは電源21の消耗の有無を設定期間毎に判定するものである。
【0024】
2)温度検出処理
制御回路32のROMには、図5に示すように、温度検出回路29からの電圧信号(V)と温度(°C)との関係が記録されており、制御回路32のCPUは温度検出回路29からの電圧信号をA/D変換し、電圧信号のA/D変換結果に応じた温度To、T1をROMの記録データから取得することに基いて調理物の直接的な温度Toと調理鍋9の壁面温度T1を検出する。例えば電圧信号のA/D変換結果が「4.1V」であるときには温度Tとして「75°C」を検出する。即ち、温度検出処理とは度To、T1を設定期間毎に検出するものである。
【0025】
3)データ送信処理
制御回路32には、図4に示すように、LED駆動回路30を介して赤外線素子に相当する赤外線LED31が電気的に接続されており、制御回路32のCPUは1)電源電圧Vinの検出結果および2)温度To、T1の検出結果に基いて駆動信号を生成する。そして、LED駆動回路30を駆動信号に基いて駆動制御することで赤外線LED31を発光制御し、赤外線LED31から1)電源電圧Vinの検出結果および2)温度To、T1の検出結果を含む調理情報を赤外線で送信する。この駆動信号は設定周波数fc1(具体的には「31.25kHz」)および設定デューティ比のキャリア信号を変調することで行われるものであり、キャリア信号の変調はオンオフ期間を変更することで行われる。即ち、データ送信処理とは赤外線LED31の駆動信号を生成し、赤外線LED31を駆動信号に基いて発光制御することで調理情報を前述した制御回路32に記憶されている設定周波数(以降、キャリア周波数と称す)で赤外線送信するものであり、1)電圧検出処理および2)温度検出処理に連動して周期的に行われる。
そしてこの赤外線は、図8に示すように、周期的に送信されるように制御されており、一定時間温度情報を送信し続け、その後送信しない時間を経て再び送信する制御を繰り返している。
【0026】
図6の(a)および(b)は制御回路32が生成する駆動信号Sを示すものであり、駆動信号SはヘッダS1と温度データS2とストップビットS3とから構成されている。ヘッダS1は駆動信号の送信開始を確定するものであり、キャリア信号を5msecオンおよび3msecオフすることで生成される。ストップビットS3は駆動信号の送信終了を確定するものであり、キャリア信号を1msecオンおよび3msec以上オフすることで生成される。温度データS2はビット「0」およびビット「1」の組合せでデータの内容を特定するものであり、ビット「0」はキャリア信号を1msecオンおよび1msecオフすることで生成され、ビット「1」はキャリア信号を1msecオンおよび2msecオフすることで生成される。
【0027】
温度データS2は調理物の温度Toを特定する8ビットデータからなるものであり、制御回路32のCPUは、温度検出処理の検出結果Toを直後のデータ送信処理で温度データS2に設定する。例えば、温度検出処理の検出結果Toが「75°C」であるときには温度データS4として「11010010」が設定される。本実施例では、この温度データS2を1バイトのデータで送信しているので8ビットデータになるが、より高精度に調理物の情報等を伝える場合は、このビット数を増加させることで対応すればよい。
【0028】
また温度検出ユニット200には、図2に示すように、取手カバー33が固定されている。この取手カバー33は温度センサー・電源21・操作スイッチ22・温度データ送信部23・リード線25をプランジャ24を除いて覆うものであり、断熱材でかつさらに水で洗浄できるように機密性の高いプラスチック製のもので形成され、隙間にシリコンシール材を貼付するなどして防水加工を施している。
またこの取手カバー33には電池交換口が形成されており、電池交換口には電池カバーが開閉可能に装着されている。この電池交換口は電源21を交換するための開口部を称するものであり、電池カバーを操作することに基いて開閉される。なおこの電池には、小型でかつ高寿命な例えばボタン型リチウムイオン電池が望ましい。
【0029】
ここで加熱調理器100の赤外線の受信手段について図7を用いて説明する。
この赤外線受信手段である赤外線受信器41はフォトダイオードなどの赤外線センサーおよび信号出力回路をモジュール化してなるものであり、トッププレート3のマーク8aの周囲の4つの窓部12の下方にのみそれぞれ配置されている。
すなわち右IHコイル14aで誘導加熱する場合のみ、そのマーク8aに載置される赤外線送信可能な温度検出ユニット200と受信可能な加熱調理器100との間で赤外線の送受信をする加熱調理システムが可能となる。
またこの赤外線受信器41をマーク41aの周囲に4つ配置することで使用者が温度検出ユニット200の取手部11がどのような向きに位置されても、加熱調理器100は赤外線を受信することができるように構成されている。
【0030】
赤外線受信器41は、図7に示すようにまずフォトダイオード41aが赤外線を受信し、その信号をアンプ41bで増幅する。フォトダイオード41aはある波長に対して感度を上げており、その波長以外の光は受信しないように構成されており、照明などのからの光は受信されない。
そして増幅した信号について所定範囲の周波数の信号のみを通過させるバンドパスフィルタ41c(周波数フィルタ手段に相当)に通し、検波回路41dを通し波形整形をして平滑化して出力する。
【0031】
このバンドパスフィルタ41cは、温度検出ユニット200の赤外線送信器99に記憶されているキャリア周波数fc1の信号が通過できるようにそのfc1を含む所定の周波数帯Δfc(以降フィルタリング周波数帯と称す)が設定されており、この周波数帯Δfc以外の信号はフィルタリングされて通過できないようにして出力されないように構成されている。
このようにこの赤外線受信器41は赤外線送信器99からの温度情報を窓部12を通して受光することに基いて温度データを生成するものであり、温度データは、図6の(c)に示すように、調理情報の受光結果を包絡検波することで設定される。
【0032】
この出力を図4の制御マイコンの35の割り込み端子でリードし、制御マイコン35はフォーマットを解析して温度データの情報を取り出す。
すなわち制御マイコン35は、制御マイコン35に入力された信号が決められた条件(フォーマット)に合致する信号であれば、入力信号を正常の信号として認めるように構成しているもので、例えば図9を用いて説明すると(a)に示す波形整形されて平滑化された信号が所定の時間内に決まった矩形波形状で入力された場合はフォーマットに合致した信号と見なし、(b)のように所定時間内に矩形波信号以外のノイズが入力されている場合はフォーマットに合致していない信号と見なすことで正常の信号の適否を見分けている。
そして制御マイコン35は、赤外線受信器が4つ設けられているため、それぞれの割り込み端子に接続してそれぞれのフォーマットを解析し、正常に受信できている温度情報のみを使用する構成をしている。
したがって照明から出る赤外線成分やIHコイルが発する電磁波のノイズなどがバンドパスフィルタ41cが通過可能とする所定周波数帯内の周波数の信号であった場合で、赤外線受信器41から制御マイコン35に出力されたときはその信号は図9(b)のようになり制御マイコンのフォーマットに合わないので破棄される。
そのため制御マイコン35は、赤外線受信器41がフィルタリング周波数帯Δfc内の値であるキャリア周波数の赤外線がノイズと共に受信されない場合のみ、その赤外線の受信信号は正しいと判断する。
そして制御マイコンは、この受信信号に基づく温度情報を使用することで周波数可変回路44に命令をし、駆動周波数を可変制御することでIHコイル14の火力を制御し、自動湯沸しキー5、煮物キー7等で設定された自動調理を行うように構成されている。
【0033】
次に、この構成の加熱調理システムの動作について煮物調理を図10を参照して説明する。
制御マイコン35のROMには煮物調理用のメインプログラムが記録されており、制御マイコン35のCPUは煮物キー7のオン操作を検出したときには煮物調理用のメインプログラムを起動し、メインプログラムに基いて調理内容を制御する。以下、煮物調理用のメインプログラムについて説明する。
【0034】
調理物が収納されている調理鍋9を加熱マーク8a上にセットし、温度情報を送信する温度検出ユニット200を調理鍋の中に調理物と接触するように挿入して、使用者が温度検知したい位置(例えば調理物の中心位置)になるように内筒201をスライド伸長させてセットする。そして取付け部204が、容器部の壁面に挟持して係合するようにしてセットする。そして温度検出ユニット200の電源スイッチ22および操作パネル4の煮物キー7をオン操作する。
制御マイコン35は煮物キー7のオン操作を検出すると、目標温度を設定し、この目標温度に到達すべく火力を制御する。この火力はIHコイル14の前述したようにインバータ回路135に出力する高周波電力の駆動周波数を可変制御することに基づいて調整されるものである。
そして温度検出ユニット200の内筒201に接触している調理物の温度T0を内部温度センサー203が検知して、この温度を上記赤外線の送信方法に基づいて送信し、加熱調理器100は、この赤外線情報に基づいて調理物の直接の温度を検出しその温度情報に基づいて、制御マイコン35は周波数可変回路144に駆動周波数制御命令をする。
そして受信する調理物の温度情報に基づき目標温度の設定と火力制御を繰り返し、受信温度が最終的な目標温度に近づいてくると、IHコイルに流れる高周波電流の駆動周波数を徐々に小さく制御していくことで、火力を徐々に下げていき最終的には容器部10を一定の煮込み温度に保持する状態にする制御をする。
【0035】
同時に外部温度センサー20により、検知した容器部10の温度も赤外線送信器99から送信され、この容器部10の温度も赤外線受信器41が受信して、制御マイコン35にフィードバックしている。
そして容器部10内の内容物が蒸発するなどして空焚きになってしまった場合に、容器部10が赤熱し外部温度センサー20の温度情報が非常に高温となり、内部温度センサー203との温度差が乖離したことを検知して、加熱を停止するように制御している。
【0036】
このような煮込み調理中においては、使用者は温度検出ユニット200の接触部200aを伸長させて動かすことで所望の場所の温度を測定することができる。即ち煮込み調理において、例えば煮込み汁の深さの中心部周辺の温度を主として制御したいと所望する場合は、接触部200aの内筒201を外筒202からスライドさせて引き伸ばし伸長することで移動させ、内部温度センサー203の位置を移動させることで所望する位置の温度が測定可能であって、その温度が加熱調理器100に赤外線送信されることで、使用者はその煮込み調理を最適な温度により実行することができる。
すなわち従来のように調理鍋9の壁面温度を測定していると、壁面の熱伝導の影響で温度検知に対し温度追従性に問題があったが、本実施例では直接内容物の温度を測定しているため、加熱調理器100はより正確な温度に基づいて加熱制御することができる。
さらには、調理鍋9のように大きな体積を有するものに温度検出手段を設けず、このような調理物に直接触れる小型の温度検出ユニット200により、温度検出手段、赤外線送信手段を設けたため、保管場所も困る異なる使用者にとって利便性が高い。
【0037】
また内部温度センサー203と外部温度センサー20を設け、両方の温度を測定し、赤外線送信するようにしたため、加熱調理器100は精密な温度制御をすることができ、空焚きのような場合に、緊急停止することができるなど、安全性において効果的である。
また温度検出ユニット200に取付け部204を設けたことで、温度検出ユニット200全体が調理物内に落下して赤外線が送信されないといった可能性も回避できるようにした。
【0038】
なお、電源スイッチ22はどこに設けても良い。例えば、外筒202の内部にスイッチを設け、内筒201が引き出されることに基づいて電源がオンし、収納するとオフされるように構成してもよい。
【0039】
すなわちこのような構成にすると容器部10に係合させて、内筒201を動かした時に電源を自動的にオンすることができ、未使用のときは電源がオフとなり省電力化が図れる。
【0040】
また加熱調理器100に赤外線受信器41を4つ設けるようにした。これによって、温度検出ユニット200が調理鍋9のどの部分に取り付けられても、赤外線を受信できるようになるため、温度情報が受信できないといったことが回避できる。さらに赤外線により送信するようにしたから他の無線手段に比して低価格、低消費電力で構成でき、基板も小型化できる。
【0041】
また赤外線送信器99は、一定間隔を置いて赤外線を送信するようにした。このようにすることで送信回数の間引きすることができ省電力化が図れる。
なお、赤外線送信器に例えば、加熱調理器100の最大調理時間(例えば5時間)を記憶させ、温度検出ユニット200の電源が最大調理時間以上オンされていることを検知した時に、自動的に電源をオフするようにしても良い。このようにしても省電力化が図れる。
【0042】
なお、本実施例によれば、赤外線で温度情報を送信するようにしたが、勿論他の送信手段をしようしてもよい。例えば、電波送信により設定周波数が数百MHzの微弱無線方式を利用することも可能である。この場合、電波の通信有効範囲が広い為、送信情報に受信するべき加熱調理器100の情報を載せておくことが好ましい。すなわち加熱調理器はその情報を取得することで温度情報の適否を判断し加熱制御するようにできるから他の電波による誤動作をなくすことができる。
【0043】
(第2実施例)
次に、本発明に係る温度検出ユニットの第2の実施形態を、図11を参照して説明する。
第1の実施形態と同一部分については同一の符号を付して説明を省略し、以下異なるところについて説明する。
上記第1の実施形態と異なるところは、温度検出ユニット200の外筒202に調理容器の外壁に係合する係合部210(係合手段に相当)を設けた点である。
本実施例においては、取付け部204を有しておらず、外筒202をL字状に曲がった構成とし、この曲がり部を係合手段としている。
【0044】
そして温度検出ユニット200を容器部10内側に接触部200aを位置させ、容器部10外側に取手部11を位置させて、係合部210を容器部10の外壁の上面に載置することで容器部10に簡単に装着できる。
この構成の詳細を説明すると、図12に示すように取手部11の上部に外筒202が接続されている構成であり、この取手部11には上部にスライド溝11aを有し、このスライド溝11aに外筒202の係合部210が摺動可能に設けられており、不使用時は、外筒202と取手部11とが接触して閉じた状態をしている。
そして温度検出ユニット200の容器部10への装着時には、外筒202を容器部10内部方向にスライドし、取手部11と離間するようにし係合部210を露出させ、容器部10の上方から外壁の上面に係合部210を載置させる。そして接触部200aを閉じる方向にスライドさせることにより、接触部200aと取手部11とにより容器部10の外壁を狭持することで温度検出ユニット200が保持されるようになる。
そしてこのように安定して保持する状態で、内筒201を引き出して接触部200aを伸長することで使用者は所望の位置の温度を測定することができる。
【0045】
このように構成することにより、温度検出ユニット200を容器部10に簡単に装着でき、自由に温度検出ユニット200の接触部200aと取手部11の離間距離を変えることができるためどのような調理鍋9にも対応して取り付けることができる。
とくにこの場合、容器内部に位置する外筒202の取手部11側の面は、丸み形状を呈していると好ましい。これは通常調理鍋たる容器部10は円筒形状が多く、丸み形状と密着しやすく、安定しやすいからである。
【0046】
また外筒202と取手部11とを閉じた時に接触するようにしたから、温度検出ユニット200をコンパクトに収納できる。
またさらに狭持して装着することにより、磁石部221が鍋に接触し、より安定して保持可能であり、外部温度センサー220が容器部の外壁に密着するためその温度を正確に測定できるようになる。
このようにすることで内部温度センサー203と外部温度センサー220とにより二つの温度を正確に測定できる。
【0047】
(第3実施例)
次に、本発明に係る温度検出ユニットの第3の実施形態を、図13を参照して説明する。
第2の実施形態と同一部分については同一の符号を付して説明を省略し、以下異なるところについて説明する。
上記第2の実施形態と異なるところは、内筒201の変わりに可動筒301を有している点である。
【0048】
この可動筒301は、L字状に構成され、外筒202とヒンジ303cを介して接続される短筒部301aと内部温度センサー203を有する長筒部301bとにより構成されることで、短筒部301aがヒンジ303cにより回動して屈曲されることに基づき、長筒部301bも回動し、内部温度センサー203の位置を変更することができる(図13、図14参照)。
また、外筒202と短筒部301aとは、リード線25が外筒202に形成された開口から外部に出て、短筒部301aの開口に入ることにより電気的に接続されて、外部温度センサー20の温度情報を外部に送信することができるように構成されている。
【0049】
本実施例においては、温度検出ユニット200が挟持された状態で、可動筒301をヒンジ303cを介して矢印A方向に回動屈曲させることで、容器部10の外壁から離れた位置の調理物の温度を測定することができる。
また、この可動筒301は、矢印Aの方向に回動させていくと、長筒部301bと外筒202が接触して閉じるように構成されており、このように長筒部301bと外筒202を接触させて閉じるようにすることで、温度検出ユニット200をコンパクトに収納することができる。
【0050】
さらにこの温度検出ユニット200には、外筒202に可動筒301の可動範囲を制限するストッパー202a(制限手段に相当)が設けられている。
このストッパー202aは、外筒202の取手部11側に設けられており、図15に示すように、短筒部301aが外筒202と垂直位置になるまで回動したときに、短筒部301aがストッパー202aに接触するような位置に設けられている。
このような構成により、可動筒301を取手部11側に回動した場合に、所定の回動位置でストッパー202aによりそれ以上回動できないように制限されるから、可動筒301が容器部10に接触することによる接触部200aへの負荷をなくすことができる。
【0051】
なお、本実施例では、可動部301は、ヒンジ301cを介して外筒に回動自在に接続するように構成したが、図16に示すようにボールジョイントを使用して、全方向に回動できるようにしてもよい。
この構成は、短筒部301aの先端部にボールジョイント301dを設け、外筒202にボールジョイント301を全方向に回動できるように保持する保持部202bが具備されている。
そしてこの外筒202と短筒部301aとは、開口から露出するリード線25により電気的に接続されている。
このように可動部301が全方向に回動できるようにしたため、使用者が温度測定したい位置に外部温度センサー20を簡単に移動することができ、より正確な温度を外部に送信することができる。
【0052】
また図14、図16においては、リード線25が露出しているため、防水するための樹脂を塗布してもよいし、回動接続箇所全てを防水して被覆するような柔軟な素材を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施例を示す図(加熱調理器の外観を示す斜視図)
【図2】調理鍋と温度検出ユニットをトッププレートにセットした状態を示す図
【図3】インバータ回路およびインバータ制御部の電気的構成を示す図
【図4】赤外線送信器の電気的構成を示すブロック図
【図5】制御回路の検出電圧と認識温度との関係を示す図
【図6】(a)は赤外線LEDの駆動信号を示す図、(b)は赤外線LEDから投光される調理情報の内容を示す図、(c)は赤外線受信器から出力される調理情報の検波信号を示す図
【図7】赤外線受信器の電気構成図。
【図8】(a)赤外線送信器の赤外線送信状態の図
【図9】赤外線のキャリア周波数fcの出力波形の図
【図10】煮物の調理フローチャート
【図11】第2の実施例の図2相当図
【図12】温度検出ユニット容器部に装着した状態の上面図
【図13】温度検出ユニットの第3の実施例の図
【図14】温度検出ユニットの第3の実施例の拡大図
【図15】温度検出ユニットの第3の実施例の別の状態図
【図16】温度検出ユニットの別の実施形態図
【符号の説明】
【0054】
9は調理鍋、10容器部(調理容器)、11は取手部(支持部)、14はIHコイル(加熱コイル)、20は外部温度センサー(第2の温度検出手段)、21は電源(電源供給手段)、35は制御マイコン、41は赤外線受信器(赤外線受信手段)、41cはバンドパスフィルタ(周波数フィルタ手段)、99は赤外線送信器(送信手段)、135はインバータ回路、140はインバータ制御部(インバータ制御手段)、200は温度検出ユニット、200aは接触部、201は内筒、202は外筒、202aはストッパー(制限手段)、203は内部温度センサー(温度検出手段)、204は取付け部、210は係合部(係合手段)、221は磁石部、301は可動筒、301aは短筒部、301bは長筒部、301cはヒンジ、301dはボールジョイントを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理容器内の調理物と直接接触するための温度検出ユニットであって、
調理物と接触する接触部と、
この接触部を支持する支持部とを有し、
前記支持部に前記温度検出手段が検出した温度情報を送信する送信手段と、
この送信手段に電源を供給する電源供給手段を設け、
前記接触部は可動するように構成され、調理物の温度を検出する温度検出手段を備えることを特徴とする温度検出ユニット。
【請求項2】
接触部は、伸長可能であることを特徴とする請求項1記載の温度検出ユニット。
【請求項3】
接触部は、屈曲可能であることを特徴とする請求項1記載の温度検出ユニット。
【請求項4】
接触部は、全方向に可動できることを特徴とする請求項1記載の温度検出ユニット。
【請求項5】
接触部に可動する範囲を制限する制限手段を設けることを特徴とする請求項3または請求項4記載の温度検出ユニット。
【請求項6】
接触部は、調理容器の外壁に係合する係合手段を有し、
接触部と支持部とにより、前記調理容器の外壁を挟持することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の温度検出ユニット。
【請求項7】
支持部の調理容器の壁面と接触する位置に第2の温度検出手段を設けることを特徴とする請求項6記載の温度検出ユニット。
【請求項8】
支持部の調理容器の壁面と接触する位置に磁石が設けられていることを特徴とする請求項6または請求項7記載の温度検出ユニット。
【請求項1】
調理容器内の調理物と直接接触するための温度検出ユニットであって、
調理物と接触する接触部と、
この接触部を支持する支持部とを有し、
前記支持部に前記温度検出手段が検出した温度情報を送信する送信手段と、
この送信手段に電源を供給する電源供給手段を設け、
前記接触部は可動するように構成され、調理物の温度を検出する温度検出手段を備えることを特徴とする温度検出ユニット。
【請求項2】
接触部は、伸長可能であることを特徴とする請求項1記載の温度検出ユニット。
【請求項3】
接触部は、屈曲可能であることを特徴とする請求項1記載の温度検出ユニット。
【請求項4】
接触部は、全方向に可動できることを特徴とする請求項1記載の温度検出ユニット。
【請求項5】
接触部に可動する範囲を制限する制限手段を設けることを特徴とする請求項3または請求項4記載の温度検出ユニット。
【請求項6】
接触部は、調理容器の外壁に係合する係合手段を有し、
接触部と支持部とにより、前記調理容器の外壁を挟持することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の温度検出ユニット。
【請求項7】
支持部の調理容器の壁面と接触する位置に第2の温度検出手段を設けることを特徴とする請求項6記載の温度検出ユニット。
【請求項8】
支持部の調理容器の壁面と接触する位置に磁石が設けられていることを特徴とする請求項6または請求項7記載の温度検出ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−133501(P2009−133501A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307662(P2007−307662)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
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