説明

測位システム及び制御方法

【課題】移動局無線機12の測位において、各地点の電界強度を事前に実測すること及びビーコン送信機11−移動局無線機12間の距離を計算することを省略し、かつビーコン送信機11の配備数を少なくする。
【解決手段】複数のビーコン送信機11は、測位空間19内にほぼ等密度で分布して配備され、自機のIDを含むビーコンを周囲へ発射する。移動局無線機12のビーコン受信機13は、近辺のビーコン送信機11からのビーコンを受信して、その電界強度を測定する。基地局15では、移動局無線機12からビーコン情報を受信し(S51)、ビーコン送信位置情報テーブルを参照して、ビーコン送信位置を求める(S52)。さらに、各ビーコンについて送信位置と移動局無線機12における電界強度の比とに基づき移動局無線機12の現在位置を算出する(S53)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末の現在位置を検出する測位システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、位置検出技術として最も普及しているのはGPS(Global Positioning System)を用いた方式であり、カーナビのみならず携帯電話などでも利用されている。しかしながら、屋内や地下などでは、GPSの電波が届かないので、GPSに代わる測位技術が必要になる。
【0003】
特許文献1は、赤外線ビーコンを屋内天井に格子状に配備し、各赤外線ビーコンからビーコンIDを下方へ照射し、携帯端末が、従業員に携帯されて移動し、受信した赤外線ビーコンからビーコンIDを抽出して、該ビーコンIDに基づき自機の現在位置を検出することを開示する(特許文献1の段落0059 0060)。各赤外線ビーコンは、床における照射面が半径8cmほどとなる広がりのものであり(特許文献1の段落0069)、各携帯端末を16cmの誤差で測位することができることになる。
【0004】
特許文献2は、移動端末と基地局との間でブルートゥースなどの近距離無線通信を実施し、移動端末は、送信電力を段階的に増大させながら、ブルートゥース接続要求を表すIDパケットを基地局へ送信するようにし、基地局が移動端末からのIDパケットを受信できた時の送信電力に対応する距離を移動端末と基地局との間の距離にすることを開示する(特許文献2の0055)。特許文献2は、また、移動端末から送信電力情報付き電波を送信し、これを3つの基地局で受信して、その伝播損失に基づき該3つの基地局から該移動端末までの距離を測定し、三点測量法により移動端末の絶対位置を算出することも開示する(特許文献2の段落0066、0069及び0070)。
【0005】
特許文献3は、複数の基地局をサービスエリア(移動局の移動範囲)内に分布して配置するとともに(特許文献3の図1)、該サービスエリア内の各測定地点について各基地局からの受信電界強度をあらかじめ複数回、測定し、測定データを記憶することを開示する(特許文献3の段落0028及び図2の電界強度データ記憶部)。そして、位置情報センターは、移動局が各基地局からの受信信号の内、電界強度が高い方から8つまでの受信信号に対応する基地局を選択して、それら基地局からの電界強度のデータを取得し、取得した電界強度データと記憶している各測定地点との電界強度データとを対比して、取得した電界強度データに最も近い電界強度データとなっている測定地点を該移動局の現在位置であると推定するようになっている(特許文献3の段落0028及び0031)。
【0006】
特許文献4は、位置検出対象としてのRFIDタグに対して、その移動範囲に複数のタグリーダを分布して配置し(特許文献4の図5)、RFIDタグからの電波を近辺の3つのタグリーダにおいて受信し、該3つのタグリーダにおける受信電界強度を測定し、各受信電界強度から該RFIDタグと該3つのタグリーダまでの距離を算出し、算出した3つの距離から該RFIDタグの位置を特定する(特許文献4の段落0011)ことを開示する。
【0007】
特許文献5は、小売店舗内に複数のアクセスポイントと複数のタグライタとを配備し(特許文献5の図1)、これらアクセスポイント及びタグライタからの無線を顧客の買い物カゴの無線タグへ送信する(特許文献5の図2)ことを開示する。該無線タグは、アクセスポイントからの無線の信号強度を測定するとともに、タグライタからの特定情報を受信し、位置特定装置は、アクセスポイント経由で各無線タグからの信号強度や特定情報を受信する(特許文献5の段落0074〜0076)。該位置特定装置は、各無線タグから受信した信号強度を、各地点であらかじめ実測しておいた信号強度と照合し、照合に基づき各無線タグの位置を確率的に推定する(特許文献5の段落0079)。該位置特定装置は、さらに、無線タグから受信したタグライタIDに基づき、該無線タグが該タグライタIDのタグライタの位置近辺に存在することを把握する(特許文献5の段落0087)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−309908号公報
【特許文献2】特開2005−086579号公報
【特許文献3】特開2001−128222公報
【特許文献4】特許第3587448号公報
【特許文献5】特許第4160107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1における携帯端末の測位では、測位の精度は高いものの、各赤外線ビーコンの照射範囲が半径8cmであり、携帯端末の全移動範囲を網羅して該携帯端末を測位する場合には、赤外線ビーコンをほぼ天井一面に配備する必要があり、赤外線ビーコンの総数が膨大になってしまう。
【0010】
特許文献2における移動端末の測位では、移動端末が送信電力を段階的に切り替えつつ、送信を行う必要があり、処理が煩雑になるとともに、複数の送信電力による送信を全部、終了するまでに時間がかかる。
【0011】
特許文献3における移動端末の測位では、サービスエリア内の各測定について各基地局からの受信電界強度をあらかじめ複数回、測定しておく必要があり、手間がかかる。
【0012】
特許文献4における移動端末の測位では、3つのタグリーダにおけるRFIDタグからの受信電界強度を測定するものの、それら受信電界強度からRFIDタグ−各タグリーダ間の距離を一旦、算出してから、RFIDタグの現在位置を算出する必要があり、処理が煩雑になる。
【0013】
特許文献5における移動端末の測位では、無線タグが各地点にあった場合の各アクセスポイントにおける受信信号強度を各各地点についてあらかじめ実測しておく必要があり、特許文献3の測位と同様に、手間がかかる。特許文献5におけるタグライタIDに基づく無線タグの測位では、小売店内のどの地点でも漏れのない測位を実現するためには、タグライタIDの配備数が膨大になってしまう。
【0014】
本発明の目的は、固定局までの距離の計算や、測位空間内の各地点の電界強度の事前の実測を省略することができるとともに、測位空間内に分布して配備する固定局の数を低減することができる測位システム及び制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、移動端末は、ユーザ等に携帯されるとともに、ビーコン受信機を装備する。固定局のビーコン送信機は、測位空間に分布して、配備され、自機のID情報を含むビーコンを発信する。ビーコン受信機は、ビーコン送信機からのビーコンを受信し、その強度を測定するとともに、IDを抽出する。移動端末の現在位置は、同一IDについてのID別受信強度の比から算出される。
【0016】
本発明の測位システムは次のものを備える。
測位空間に分布して配備され自機のID情報を含むビーコンを発信する固定局の複数のビーコン送信機、
前記ビーコン送信機からのビーコンを受信するビーコン受信機を装備する1以上の移動端末、及び
前記移動端末の現在位置を管理する管理装置。
【0017】
前記移動端末は次のものを備える。
受信したビーコンの強度を測定する強度測定手段、
受信したビーコンからその送信元のビーコン送信機のIDを抽出するID抽出手段、及び
IDとそれが抽出されたビーコンの受信強度とを対応付けたビーコン情報を前記管理装置へ無線送信するビーコン情報送信手段。
【0018】
前記管理装置は次のものを備える。
前記移動端末から前記ビーコン情報を受信するビーコン情報受信手段、
前記ビーコン情報から各移動端末におけるビーコン別受信強度を抽出するビーコン別受信強度抽出手段、及び
各移動端末におけるビーコン別受信強度の比に基づき該移動端末の現在位置を測位する現在位置測位手段。
【0019】
本発明の測位システム制御方法が適用される測位システムは次のものを備える。
測位空間に分布して配備され自機のID情報を含むビーコンを発信する固定局の複数のビーコン送信機、
前記ビーコン送信機からのビーコンを受信するビーコン受信機を装備する1以上の移動端末、及び
前記移動端末の現在位置を管理する管理装置。
【0020】
本発明の測位システム制御方法は次のステップを備える。
前記移動端末において受信したビーコンの強度を測定する強度測定ステップ、
前記移動端末において受信したビーコンからその送信元のビーコン送信機のIDを抽出するID抽出ステップ、
IDとそれが抽出されたビーコンの受信強度とを対応付けたビーコン情報を前記管理装置へ無線送信するビーコン情報送信ステップ、
前記管理装置において前記移動端末から前記ビーコン情報を受信するビーコン情報受信ステップ、
前記管理装置において前記ビーコン情報から各移動端末におけるビーコン別受信強度を抽出するビーコン別受信強度抽出ステップ、及び
前記管理装置において各移動端末におけるビーコン別受信強度の比に基づき該移動端末の現在位置を測位する現在位置測位ステップ。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、移動端末のビーコン受信機は、周囲のビーコン送信機からビーコンを受信して、その受信強度を測定するとともに、該ビーコンからその送信元のビーコン送信機のIDを抽出し、受信強度及びIDを含むビーコン情報を管理装置へ送る。管理装置は、移動端末におけるID別受信強度の比に基づき該移動端末の現在位置を算出する。結果、始動端末と固定局との間の距離の計算や、測位空間内の各地点の電界強度の事前の実測を省略することができる。また、測位空間内に分布して配備する固定局の数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ビーコンを利用した屋内用測位システムの構成図である。
【図2】各ビーコン送信機と配置場所との関係を示す図である。
【図3】ビーコン送信機がビーコンとして発信するパケットのデータ構造図である。
【図4】図1のビーコン送信機の配置分布において各ビーコン送信機からのビーコンの水平方向到達範囲を示す図である。
【図5】移動局無線機が自機の記憶装置内に格納するビーコン情報テーブルを示す図である。
【図6】移動局無線機におけるビーコン情報格納方法のフローチャートである。
【図7】各移動局無線機が基地局へ送信するビーコン情報のパケットのデータ構造図である。
【図8】パソコンにおいて実施する二次元測位方法のフローチャートである。
【図9】移動局無線機を三次元測位する場合のビーコン送信機の配置図である。
【図10】移動局無線機が複数の階に分布して配備される場合にパソコンの記憶装置に記憶されるビーコン送信位置情報テーブルを示す図である。
【図11】図10におけるビーコン送信機の配備に対してパソコンにおいて実施する三次元測位方法のフローチャートである。
【図12】屋内用測位システム全体におけるシーケンス図である。
【図13】測位システムの機能ブロック図である。
【図14】測位システム制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1はビーコンを利用した屋内用測位システム10の構成図である。屋内用測位システム10は、複数のビーコン送信機11と、測位対象としての移動局無線機12と、基地局15とを備える。屋内用測位システム10は、例えば、屋内や地下街など、GPS電波を使用できない測位空間19における移動局無線機12の測位を行う。
【0024】
移動局無線機12は、図1では、簡略化上、1つしか図示記載されていないが、現実の屋内用測位システム10では、複数、存在する。各移動局無線機12は、周囲のビーコン送信機11からのビーコンを受信するビーコン受信機13を内蔵し、屋内用測位システム10の利用例に応じてスタッフや顧客などのユーザに携帯される。基地局15は、データを相互に授受自在にケーブル接続されている基地局無線機16及びパソコン17を備え、無線通信を介して移動局無線機12との間で音声及びデータを授受する。
【0025】
測位空間19が高さを問題にしない二次元の水平空間であると想定する場合、複数のビーコン送信機11は、測位空間19において水平方向へほぼ等密度の分布となるように、各場所に固定的に配備される。各ビーコン送信機11は、例えば、天井、壁及び床、さらには、既設の敷設物を利用して、取り付けられる。
【0026】
図1では、ビーコン送信機11は、測位空間19において縦横3×3の等間隔配列で、配備されており、001〜009のIDを付与されている。図2は各ビーコン送信機11と配置場所との関係を示す。ビーコン送信機11の配置場所は、緯度及び経度で表され、ビーコン送信機11のIDに対応付けられて、パソコン17の記憶装置にあらかじめ登録されている。
【0027】
移動局無線機12のビーコン受信機13は、測位空間19における任意の場所において1以上のビーコン送信機11からそのIDをデータに含むビーコンを受信する。図3はビーコン送信機11がビーコンとして発信するパケットのデータ構造図である。パケットの先頭から順番に、ヘッダ、ID、チェックサム及びフッタが配置される。パケットのIDは、パケットの送信元のビーコン送信機11のIDを表す。
【0028】
該屋内用測位システム10では、ビーコン送信機11同士は、相互に等しい送信出力でかつ相互に等しい周波数でビーコンを相互に非同期で、自機のIDを含むパケット(図3)を発信する。したがって、各ビーコン送信機11からのビーコンの到達距離は等しくなる。図4は図1のビーコン送信機11の配置分布において各ビーコン送信機11からのビーコンの水平方向到達範囲を示す。各ビーコン送信機11のビーコンの到達圏は、半径が例えば約15mの等しい円形領域となっており、隣りのビーコン送信機11までには到達しない到達距離となっている。ここでは、該到達距離Rは、ビーコン送信機11の格子状配列における升目に相当する正方形の対角線の長さZに対し、Z/2<Rであり、該正方形の辺の長さLに対し、R<Lである。
【0029】
測位空間19内の各地点は、1以上のビーコン送信機11からビーコンを受信することができ、最大、4つのビーコン送信機11からビーコンを受信するようになっている。
【0030】
各ビーコン送信機11からのビーコンは、相互に非同期発信でかつ等周波数のビーコンの発信であるために、時間軸上、重複すると、相互に干渉して、移動局無線機12がビーコンを受信できなくなる。各ビーコン送信機11からのビーコン送信間隔(ビーコン送信間隔とは、ビーコン送信開始から次のビーコン送信開始までの時間を意味し、後述のTiに対応する。)を同一に設定すると、個々の時間基準(クロック発振子)の精度誤差によりいずれ送信タイミングが重複することになる。この場合、一度送信重複が生じると、相互の時間ずれがわずかであるため、長期にわたり送信重複が発生し続ける事態が生じる。このような送信重複の確率を低減するために、隣接するビーコン送信機11の送信間隔をビーコンの送信時間以上ずらした間隔に設定する。
【0031】
ビーコンの送信時間をTtx、或るビーコン送信機11におけるビーコンの送信間隔をTiにした場合、該或るビーコン送信機11に隣接するビーコン送信機11の送信間隔をTi+Ttx、Ti−Ttxのように設定する。この場合、両者の送信信号で重複が発生する確率は、Ttx/Tiとなる。
【0032】
図4のように4つのビーコンカバー範囲が重なる場合、4つのビーコン送信機11のビーコン送信間隔T1〜T4は、T1=Ti、T2=Ti+Ttx、T3=Ti− Ttx、T4=T1+2・Ttxのように設定する必要がある。
【0033】
この場合、隣接するビーコン送信機aとbとの間で送信重複Tabが発生する確率は、Ti >>Ttxとして、T12≒Ttx/Ti、T13≒Ttx/Ti、T14≒2・Ttx/Ti、T23≒2・Ttx/Ti、T24≒Ttx/Ti、T34≒3・Ttx/Tiとなる。何らかの重複が発生する確率Pはこれらの総和となるから、P=10・Ttx/Tiとなる。
【0034】
txは、送信パケット構成によって定まり、送信ビットレートを4800bpsとして図3のパケットを送信する場合約20msecとなる。Tiは、移動局がカバー範囲に入ってからそのIDを認識するまでの最大レスポンス時間に影響するためできるだけ短いことが望ましい。
【0035】
送信重複を3%以下の確率とするためには上式より、P=10・Ttx/Ti、Ti=10・Ttx/P=10×20/0.03≒6667[msec]となり、約7秒以上の間隔とする必要がある。ただし、2回分の送信で衝突を回避する場合、そのどちらもが衝突する確率は、P=(10・Ttx/Ti2となる。これを3%以下にするには、Ti=10・Ttx/sqrt(P)=10×20/0.173≒1155[msec]となり2秒程度以上の送信間隔とすればよい。
【0036】
移動局無線機12は、そのビーコン受信機13においてビーコンを受信すると、該ビーコンの電界強度を測定し、ビーコンの送信元のビーコン送信機11のIDと共に受信したビーコンの情報(受信電界強度RSSI:Receiving Signal Strength Indicator)を自機の記憶装置内の図5のビーコン情報テーブルに格納する。この時、同じIDのビーコン送信機11からビーコンを受信した場合は、ビーコン情報テーブルにおける該IDの行のRSSIを最新の情報に置き換える。またテーブルにおける行数が、ビーコンを受信したビーコン送信機11の個数を超えた場合は、一番古い情報のビーコン送信機11についてその行の情報を削除してから、該行に最後のビーコン送信機11からのビーコン情報を追加する。
【0037】
図6は移動局無線機12におけるビーコン情報格納方法30のフローチャートである。ビーコン情報格納方法30は、移動局無線機12がビーコンを受信するのに伴い実行される(S31)。S32では、受信したビーコンの電界強度を測定する。
【0038】
S33では、受信したビーコンのパケット(図3)から該ビーコンの送信元のビーコン送信機11のIDを抽出し、ビーコン受信テーブル(図5)に該IDがすでに存在するか否かを判定する。そして、判定が正であれば、S34へ進み、否であれば、S35へ進む。
【0039】
S34では、S33で存在を確認されたIDの行に今回のビーコン情報、すなわち今回受信したビーコンのID及び電界強度を上書きする。S34の後は、ビーコン情報格納方法30を終了する。
【0040】
S35では、ビーコン受信テーブル(図5)上に空き行があるか否かを判定し、判定が正であれば、S37へ進み、否であれば、S36へ進む。
【0041】
S36では、ビーコン受信テーブルから最古のビーコン情報の行を削除し、ビーコン受信テーブルに空き行を作る。S37では、ビーコン受信テーブルの空き行に今回のビーコン情報(今回受信のビーコンのID及び電界強度)を書き込む。
【0042】
図7は各移動局無線機12が基地局15へ送信するビーコン情報のパケットのデータ構造図である。各移動局無線機12は、定期的に又は基地局15からビーコン情報の送信要求があった時、図7のパケットを基地局15へ送信する。移動局無線機12から基地局15へのパケットの送信は、ビーコンとは別の周波数で行われ、ビーコンとの干渉を回避する。
【0043】
図7のパケットでは、先頭から順番にヘッダ、データ数、データ1、データ2、・・・、チェックサム及びフッタが配置される。データ1、データ2、・・・は、図5のテーブルの各行のビーコン情報に対応し、図7におけるパケットの各データは、図5のビーコン受信テーブルにおける各行のIDと電界強度とをコピーしたものである。図7のパケットのヘッダには、該パケットを送信する移動局無線機12のIDの情報が含まれる。
【0044】
図8はパソコン17において実施する二次元測位方法50のフローチャートである。二次元測位方法50は、パソコン17が基地局無線機16からビーコン情報を受信する毎に実施される。基地局無線機16は、移動局無線機12からビーコン情報を受信すると、位置情報管理システムが稼動しているパソコン17に該ビーコン情報を直ちに送信する。二次元測位方法50は該位置情報管理システムの具体的処理手順である。
【0045】
移動局無線機12は、一定周期毎又は基地局15からの問合せがあった時に、自機の記憶装置のビーコン受信テーブル(図5)に格納してあるビーコン受信情報を図7の形式のパケットを用いて基地局15へ送信する。該パケットのヘッダには、移動局無線機12のIDが含まれる。
【0046】
各移動局無線機12が一定周期毎にビーコン受信情報を送信する場合は、各移動局無線機12がら共通の基地局15へのビーコン受信情報の送信が重複しないようにするために、すなわち相互に干渉しないようにするために、各移動局無線機12は、基地局15へのパケット送信間隔を、(1回の送受信処理時間)×(ビーコン受信機付き移動局無線機12の台数)以上、空ける必要がある。各移動局無線機12は各々がこの送信間隔を保ちつつ、他の移動局無線機12との送信重複を起こさないように例えば、基地局無線機16から各移動局無線機12に対し、時間の補正コマンドを定期的に送るなどの方法で、送信タイミングの同期を取る必要がある。各移動局無線機12は、また、基地局15へビーコン受信情報を送信する毎に、図5のビーコン受信テーブルをクリアする。
【0047】
移動局無線機12と基地局無線機16との1回の送受信処理時間は、移動局無線機12のリトライ回数(初期値例:2回)及びリトライ間隔(初期値例:2秒)の設定と、基地局無線機16のACK返信時間(初期値例:0.5秒)によって決まる。初期値の例で考えると1回の送受信処理時間は最大 (2+0.5)×2=5(秒)となる。これに実際のデータ転送時間が少し加わるので、1回の送受信処理時間は、余裕を見て6秒くらいとなる。
【0048】
移動局無線機12が、前回、ビーコン受信情報を基地局15へ送信してから一度もビーコン送信機11からのビーコンを受信していない場合は、受信テーブルは空のままとなっている。移動局無線機12は、テーブルが空の状態である時に、ビーコン受信情報を送信する場合には、図7のパケットの”データ数”のフィールドに"0"を記入することで、テーブルが空であるという情報を基地局15へ送信する。
【0049】
二次元測位方法50において、S51では、パソコン17はビーコン情報を該ビーコン情報の送信元の移動局無線機12のIDと共に基地局無線機16から受信する。S52では、該ビーコン情報から抽出したビーコンID(ビーコンの送信元のビーコン送信機11のID)及び電界強度に対し、ビーコン送信位置情報テーブル(図2)を参照して、ビーコン送信位置、すなわち該ビーコンの送信元のビーコン送信機11の位置を取得する。S53では、各ビーコンについてそのビーコン送信位置と移動局無線機12における電界強度とに基づき、該移動局無線機12の位置を算出する。具体的な算出の仕方は次のとおりである。
【0050】
ID:001、ID:002、ID:004、ID:005のビーコン送信機11の設置位置の座標をそれぞれ(x1,y1)、(x2,y2)、(x4,y4)、(x5,y5)とし、ビーコン受信機で測定したそれぞれのビーコンの電界強度をE1、E2、E4、E5とすると、ビーコン受信機付き移動局無線機12の位置座標(x,y)は次のように求めることができる。
【0051】
x=(x1×E1+x2×E2+x4×E4+x5×E5)/(E1+E2+E4+E5)・・・(1)
【0052】
y=(y1×E1+y2×E2+y4×E4+y5×E5)/(E1+E2+E4+E5)・・・(2)
【0053】
(1)及び(2)式では、移動局無線機12は4つのビーコン送信機11からのビーコンを受信しているので、4つの電界強度E1、E2、E4、E5から移動局無線機12の現在位置(x,y)が計算されているが、移動局無線機12が受信できたビーコンの送信元のビーコン送信機11の個数が3つ以下である場合には、3つ以下の電界強度から移動局無線機12の現在位置(x,y)が計算される。移動局無線機12が受信できたビーコンの送信元のビーコン送信機11の個数が1つであり、それが例えばIDが001のビーコン送信機11である場合は、電界強度E1に関係なく、移動局無線機12の現在位置(x,y)は(x1,y1)となる。
【0054】
図8の二次元測位方法50に戻って、S54では、今回のビーコン情報の送信元の移動局無線機12に対し、その現在位置を、(1)及び(2)式で求めた位置(x,y)にして、パソコン17のディスプレイの地図上に表示する。二次元測位方法50は、各移動局無線機12に対して実施されるので、測位空間19の全部の移動局無線機12についてその現在位置がパソコン17のディスプレイの地図上に表示されることになる。
【0055】
図9は移動局無線機12を三次元測位する場合のビーコン送信機11の配置図である。ビーコン送信機11は、複数の階に分布して、測位空間19内に配備される。図9では、ID:004,005.0006のビーコン送信機11は1階に配備され、ID:001,002,003のビーコン送信機11は2階に配備されている。ビーコンはある程度の透過性があるので、階毎にビーコン送信機11をずらして設置することにより、ビーコン送信機11の設置数を抑えることができる。
【0056】
図10は移動局無線機12が複数の階に分布して配備される場合にパソコン17の記憶装置に記憶されるビーコン送信位置情報テーブルを示す。図10のビーコン送信位置情報テーブルでは、前述の図2のビーコン送信位置情報テーブルに対して設置階が追加されている。
【0057】
図11は図10におけるビーコン送信機11の配備に対してパソコン17において実施する三次元測位方法60のフローチャートである。三次元測位方法60において、図8の二次元測位方法50のステップと同一のステップは、二次元測位方法50の対応ステップと同一ステップ番号を付けて、説明は省略する。三次元測位方法60では、二次元測位方法50のS53がS61,S62に置き換えられている。
【0058】
S61では、ビーコン情報の送信元の移動局無線機12からのビーコン情報から抽出した電界強度であって、同一のビーコンID(同一のビーコン送信元のビーコン送信機11のID)についての電界強度の内の最大値であるビーコンの送信元の移動局無線機122の配備階を該移動端末の存在階とする。移動局無線機12の存在階を決定する別の仕方としては、(a)水平方向へ相互にほぼ同一位置にある2つのビーコン送信機11からのビーコンを受信している場合に、電界強度が大きい方のビーコンを発信したビーコン送信機11の配備階を移動局無線機12の存在階とすること、及び(b)ビーコン情報に、n+1階に配備されたビーコン送信機11とn−1階に配備されたビーコン送信機11が含まれている場合に、n階を移動局無線機12の存在階とすることがある。
【0059】
S62では、各ビーコンについてそのビーコン送信位置と同一の移動局無線機12における電界強度とに基づき、該移動局無線機12の水平方向位置を算出する。この場合、ビーコン送信機11の配備階が異なるために、移動局無線機12の存在階に配備されるビーコン送信機11からのビーコンと、存在階以外に配備されているビーコン送信機11からのビーコンとは、水平方向への移動局無線機12までの距離が等しくても、電界強度に差が生じるので、算出式は前述の(1)及び(2)式を補正する必要がある。具体的な算出の仕方は次のとおりである。
【0060】
ID:0001、ID:0002のビーコン送信機11は1階に配備され、ID:0004、ID:0005のビーコン送信機11は2階に配備されている。また、移動局無線機12は、S61の処理の結果、1階に存在すると仮定する。ID:001、ID:002、ID:004、ID:005のビーコン送信機11の設置位置の座標をそれぞれ(x1,y1)、(x2,y2)、(x4,y4)、(x5,y5)とし、ビーコン受信機で測定したそれぞれのビーコンの電界強度をE1、E2、E4、E5とすると、ビーコン受信機付き移動局無線機12の位置座標(x,y)は次のように求めることができる。ただし、α>1である。
【0061】
x=(x1×E1+x2×E2+x4×α・E4+x5×α・E5)/(E1+E2+α・E4+α・E5)・・・(3)
【0062】
y=(y1×E1+y2×E2+y4×α・E4+y5×α・E5)/(E1+E2+α・E4+α・E5)・・・(4)
【0063】
移動局無線機12の存在階に対し、隣りの階に配備されているビーコン送信機11から移動局無線機12へのビーコンの電界強度は、同一階に配備されているビーコン送信機11から移動局無線機12へのビーコンの電界強度より弱まるので、上記(3)及び(4)式では、αを掛けて、増大させてある。
【0064】
図12は屋内用測位システム10全体におけるシーケンス図である。該シーケンス図はビーコン情報格納方法30及び二次元測位方法50の処理を含んでいる。図12において、移動局無線機12は移動局無線機となっている。ビーコンIDは所定の周期(TimeOut)でビーコンによりビーコン送信機11からビーコン受信機13へ送信され、ビーコン受信機13では、該ビーコンの電界強度が測定され(ビーコン情報格納方法30のS32)、該電界強度がビーコンIDと共にビーコン受信機13の記憶装置のビーコン情報テーブル(図5)に格納される(ビーコン情報格納方法30のS34,S37)。
【0065】
ビーコン受信情報要求は、パソコン17の位置情報管理システムから基地局無線機16及び移動局無線機12を経てビーコン受信機13へ到達する。ビーコン受信機13は、移動局無線機12からのビーコン受信情報要求に応動して、又はビーコンIDの送信周期とは別の所定の周期でビーコン受信情報(図5のビーコン情報テーブル)を移動局無線機12へ送信し、該ビーコン受信情報は移動局無線機12から基地局無線機16を経てパソコン17の位置情報管理システムへ送信される(二次元測位方法50のS51)。位置情報管理システムは、該ビーコン受信情報に基づき移動局無線機12の現在位置を算出する(二次元測位方法50のS53)。
【0066】
図13は測位システム70の機能ブロック図である。測位システム70の一例は屋内用測位システム10である。測位システム70は、屋内や地下街等、GPS電波の利用できない測位空間における現在位置測位に限定されない。GPS電波が利用できる測位空間であっても、GPS受信機を装備することなく、使用することができる。図13では、ビーコン送信機71は2つしか図示していないが、これはあくまで図示の便宜上のためであり、ビーコン送信機71を2つに限定することを意味しない。
【0067】
測位システム70は、複数のビーコン送信機71、1以上の移動端末72及び管理装置74を備える。ビーコン送信機71、移動端末72及び管理装置74の具体例はそれぞれビーコン送信機11、移動局無線機12及び基地局15である。固定局の複数のビーコン送信機71は、測位空間に分布して配備され、自機のID情報を含むビーコンを発信する。各移動端末72は、ビーコン送信機71からのビーコンを受信するビーコン受信機73を装備する1以上の移動端末72、管理装置74は移動端末72の現在位置を管理する。
【0068】
移動端末72は強度測定手段78、ID抽出手段79及びビーコン情報送信手段80を備える。強度測定手段78は、受信したビーコンの強度を測定する。ID抽出手段79は、受信したビーコンからその送信元のビーコン送信機71のIDを抽出する。ビーコン情報送信手段80は、IDとそれが抽出されたビーコンの受信強度とを対応付けたビーコン情報を管理装置74へ無線送信する。
【0069】
管理装置74はビーコン情報受信手段84、ビーコン別受信強度抽出手段85及び現在位置測位手段86を備える。ビーコン情報受信手段84は、移動端末72からビーコン情報を受信する。ビーコン別受信強度抽出手段85は、ビーコン情報から各移動端末72におけるビーコン別受信強度を抽出する。現在位置測位手段86は、各移動端末72におけるビーコン別受信強度の比に基づき該移動端末72の現在位置を測位する。
【0070】
ビーコン送信機71、移動端末72及び管理装置74の具体例はそれぞれビーコン送信機11、移動局無線機12及び基地局15である。移動端末72は、人に携帯されることに限定されない。無人車やロボット等の他の移動体に装備されてもよい。強度測定手段78が測定するビーコンの受信強度とは、ビーコンの受信信号の強度に対応するすべての強度を意味し、屋内用測位システム10におけるビーコンの電界強度RSSIに対応する。
【0071】
現在位置測位手段86が各移動端末72におけるビーコン別受信強度の比に基づき該移動端末72の現在位置を測位する具体的な仕方は、前述の計算式(1)〜(4)に基づくものである。
【0072】
測位システム70によれば、各地点の電界強度をあらかじめ実測する手間を排除しつつ、ビーコン送信機71の配備数を少なくすることができる。さらに、ビーコン送信機71−移動端末72間の距離を算出することなく、移動端末72の現在位置を直接、測位することができるので、測位計算を簡単化することができる。
【0073】
典型的には、各ビーコン送信機71は、相互に非同期でビーコンを等時間Tだけ間欠発信し、ビーコンの電波圏が重複するビーコン送信機71同士は、ビーコンの間欠発信の周期をT以上ずらされる。典型的には、各ビーコン送信機71が発信するビーコンの周波数は相互に等しい。
【0074】
Tの具体例はビーコン送信機11におけるTtxである。ビーコン送信機71は、ビーコンの送信に関して相互に同期を取ることなく、ビーコンを送信することができるとともに、各ビーコン送信機71からのビーコン同士の干渉を十分に抑制することができる。
【0075】
典型的には、各ビーコン送信機71は、相互に等周波数でかつ等出力でビーコンを発信する。この結果、前述の計算式(1)〜(4)のように、測定した電界強度E1、E2、E4、E5に対し出力比に基づく係数を掛けて補正する手間を省略することができる。
【0076】
移動端末72の存在階を測位する場合には、複数のビーコン送信機71は屋内の各階に分布して配備される。そして、管理装置74の現在位置測位手段86は、各移動端末72におけるビーコン受信機別受信強度の比に基づき該移動端末72の存在階を測位する。
【0077】
移動端末72が存在する階とは別の階に配備されたビーコン送信機71から該移動端末72へ届くビーコンの電界強度は、床や天井等のために、該移動端末72の存在階と同一階に配備されたビーコン送信機71から該移動端末72へ届くビーコンの電界強度より著しく低下するので、典型的には、管理装置74の現在位置測位手段86は、各移動端末72におけるビーコン受信機別受信強度の中で最大値であるビーコン受信機別受信強度に対応するビーコン送信機71の配備階を該移動端末72の存在階とする。
【0078】
典型的には、管理装置74の現在位置測位手段86は、各移動端末72におけるビーコン受信機別受信強度を該移動端末72の存在階に基づき補正し、補正後のビーコン受信機別受信強度の比に基づき各移動端末72の水平方向の現在位置を測位する。補正後のビーコン受信機別受信強度の具体例は、前述の(3)及び(4)式におけるα・E4及びα・E5である。
【0079】
図14は測位システム制御方法100のフローチャートである。測位システム制御方法100は測位システム70に適用される。S101〜S103は移動端末72において実行される。S101,S102の順番は、逆にすることができる。すなわち、S102をS101の前に実行してもよい。
【0080】
S101では、移動端末72において受信したビーコンの強度を測定する。S102では、移動端末72において受信したビーコンからその送信元のビーコン送信機71のIDを抽出する。S103では、IDとそれが抽出されたビーコンの受信強度とを対応付けたビーコン情報を管理装置74へ無線送信する。
【0081】
S104〜S106は管理装置74において実行される。S104では、管理装置74において移動端末72からビーコン情報を受信する。S105では、管理装置74においてビーコン情報から各移動端末72におけるビーコン別受信強度を抽出する。S106では、管理装置74において各移動端末72におけるビーコン別受信強度の比に基づき該移動端末72の現在位置を測位する。
【0082】
S101〜S103の処理は、移動端末72の強度測定手段78〜ビーコン情報送信手段80の機能にそれぞれ対応している。また、S104〜S106の処理は、ビーコン受信機73のビーコン情報受信手段84〜現在位置測位手段86の機能にそれぞれ対応している。したがって、S101〜S106の処理についての具体的態様として、それらに対応する手段の機能について述べた具体的態様を適用可能である。
【0083】
本明細書は様々な範囲及びレベルの発明を開示している。それら発明は、本明細書で説明した様々な技術的範囲及び具体的レベルの各装置及び各方法だけでなく、拡張ないし一般化の範囲で、各装置及び各方法から独立の作用、効果を奏する1つ又は複数の要素を抽出したものや、1つ又は複数の要素を拡張ないし一般化の範囲で変更したものや、さらに、各装置間及び各方法間で1つ又は複数の要素の組合せを入れ換えたものを含む。
【符号の説明】
【0084】
70:測位システム、71:ビーコン送信機、72:移動端末、73:ビーコン受信機、74:管理装置、78:強度測定手段、79:ID抽出手段、80:ビーコン情報送信手段、84:ビーコン情報受信手段、85:ビーコン別受信強度抽出手段、86:現在位置測位手段、100:測位システム制御方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位空間に分布して配備され自機のID情報を含むビーコンを発信する固定局の複数のビーコン送信機、
前記ビーコン送信機からのビーコンを受信するビーコン受信機を装備する1以上の移動端末、及び
前記移動端末の現在位置を管理する管理装置、
を備え、
前記移動端末は、
受信したビーコンの強度を測定する強度測定手段、
受信したビーコンからその送信元のビーコン送信機のIDを抽出するID抽出手段、及び
IDとそれが抽出されたビーコンの受信強度とを対応付けたビーコン情報を前記管理装置へ無線送信するビーコン情報送信手段、
を備え、
前記管理装置は、
前記移動端末から前記ビーコン情報を受信するビーコン情報受信手段、
前記ビーコン情報から各移動端末におけるビーコン別受信強度を抽出するビーコン別受信強度抽出手段、及び
各移動端末におけるビーコン別受信強度の比に基づき該移動端末の現在位置を測位する現在位置測位手段、
を備えることを特徴とする測位システム。
【請求項2】
各ビーコン送信機は、相互に非同期でビーコンを等時間Tだけ間欠発信し、
ビーコンの電波圏が重複するビーコン送信機同士は、ビーコンの間欠発信の周期をT以上ずらされていることを特徴とする請求項1記載の測位システム。
【請求項3】
各ビーコン送信機は、相互に等周波数でかつ等出力でビーコンを発信することを特徴とする請求項1又は2記載の測位システム。
【請求項4】
前記複数のビーコン送信機は屋内の各階に分布して配備され、
前記管理装置の前記現在位置測位手段は、各移動端末におけるビーコン送信機別受信強度の比に基づき該移動端末の存在階を測位することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の測位システム。
【請求項5】
前記管理装置の前記現在位置測位手段は、各移動端末におけるビーコン送信機別受信強度の中で最大値であるビーコンの送信元のビーコン送信機の配備階を該移動端末の存在階とすることを特徴とする請求項4記載の測位システム。
【請求項6】
前記管理装置の前記現在位置測位手段は、各移動端末におけるビーコン送信機別受信強度を該移動端末の存在階に基づき補正し、補正後のビーコン送信機別受信強度の比に基づき各移動端末の水平方向の現在位置を測位することを特徴とする請求項4又は5記載の測位システム。
【請求項7】
測位空間に分布して配備され自機のID情報を含むビーコンを発信する固定局の複数のビーコン送信機、
前記ビーコン送信機からのビーコンを受信するビーコン受信機を装備する1以上の移動端末、及び
前記移動端末の現在位置を管理する管理装置、
を備える測位システムの制御方法であって、
前記移動端末において受信したビーコンの強度を測定する強度測定ステップ、
前記移動端末において受信したビーコンからその送信元のビーコン送信機のIDを抽出するID抽出ステップ、
IDとそれが抽出されたビーコンの受信強度とを対応付けたビーコン情報を前記管理装置へ無線送信するビーコン情報送信ステップ、
前記管理装置において前記移動端末から前記ビーコン情報を受信するビーコン情報受信ステップ、
前記管理装置において前記ビーコン情報から各移動端末におけるビーコン別受信強度を抽出するビーコン別受信強度抽出ステップ、及び
前記管理装置において各移動端末におけるビーコン別受信強度の比に基づき該移動端末の現在位置を測位する現在位置測位ステップ、
を備えることを特徴とする測位システム制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−17684(P2011−17684A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164271(P2009−164271)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】