説明

測位装置、測位方法、およびプログラム

【課題】交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することが可能な測位装置、測位方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】各交通機関の運行パターンがそれぞれ記録された運行パターン情報を少なくとも1以上記憶可能な記憶部と、交通機関の運行に伴う運行情報を測定する測定部と、測定部が測定した運行情報に基づいて、記憶部に記憶された運行パターン情報を特定するパターン特定情報を記録するパターン特定情報記録部と、パターン特定情報に基づいて、記憶部に記憶された運行パターン情報の中から運行パターン情報を選択するパターン照合部とを備える測位装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位装置、測位方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの携帯型通信装置や、PlayStation Portable(登録商標)などの携帯型ゲーム機など、市場型製品においてもGPS(Global Positioning System)機能が搭載(あるいは追加的に搭載)されている。上記のような各種機器を使用するユーザは、GPS機能を使用することによって自己の位置を特定し、移動などに役立てている。
【0003】
また、携帯電話などの携帯型通信装置の普及により、ユーザは、列車やバスなどの各交通機関の運行予定時刻や運行状況などをその場にいながら検索できるようになった。ここで、各交通機関の運行予定時刻や運行状況の検索に係る技術としては、例えば、特許文献1が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−6091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、GPS機能が搭載された携帯電話などの携帯型通信装置は、GPS用の電波などが受信できる場合には位置を特定することができるが、例えば、ユーザが、交通機関を使用して移動している場合などには、GPS機能が搭載された携帯電話などの携帯型通信装置は、GPS用の電波などが受信できずに位置を特定することができない場合がある。したがって、ユーザが交通機関を用いて移動している場合には、ユーザは、自己の位置を把握できない場合があった。
【0006】
また、各交通機関の運行予定時刻や運行状況の検索に係る従来の技術は、交通機関の停止地や路線ごとにアクセス番号が設定され、当該アクセス番号を用いて検索を行う。しかしながら、各交通機関の運行予定時刻や運行状況の検索に係る従来の技術は、ユーザが検索を所望する交通機関の停止地や路線などに対応するアクセス番号を指定しなければならないため、例えば、ユーザが自己の位置を把握できない場所、すなわちユーザが未知の場所では検索を行うことすら容易ではない。
【0007】
したがって、特にユーザが交通機関を用いて移動を行う場合において、ユーザに位置を把握させることが可能な仕組みが希求されていた。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することが可能な、新規かつ改良された測位装置、測位方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点によれば、各交通機関の運行パターンがそれぞれ記録された運行パターン情報を少なくとも1以上記憶可能な記憶部と、交通機関の運行に伴う運行情報を測定する測定部と、上記測定部が測定した上記運行情報に基づいて、上記記憶部に記憶された上記運行パターン情報を特定するパターン特定情報を記録するパターン特定情報記録部と、上記パターン特定情報に基づいて、上記記憶部に記憶された運行パターン情報の中から運行パターン情報を選択するパターン照合部とを備える測位装置が提供される。
【0010】
上記測位装置は、記憶部と、測定部と、パターン特定情報記録部と、パターン照合部とを備えることができる。記憶部は、例えば、各交通機関の運行パターンがそれぞれ記録された運行パターン情報を少なくとも1以上記憶することができる。測定部は、交通機関の運行に伴い測定可能な運行情報を測定することができる。パターン特定情報記録部は、記憶部に記憶された運行パターン情報を特定するためのパターン特定情報を記録することができる。また、パターン特定情報記録部は、測定部において測定される運行情報に基づいてパターン特定情報を記録することができる。パターン照合部は、パターン特定情報に基づいて、記憶部に記憶された運行パターン情報の中から運行パターン情報を選択することができる。かかる構成により、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0011】
また、上記測定部は、加速度の変化を検出する加速度センサを備え、上記運行情報として上記交通機関の運行に伴う加速度を測定し、上記パターン特定情報記録部は、上記測定部が測定した加速度に基づいて停止および発進を判定し、判定された停止と発進との時間間隔、および判定された発進と停止との時間間隔を上記パターン特定情報として記録してもよい。
【0012】
かかる構成により、交通機関の運行に伴う運行情報を測定することができ、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0013】
また、上記記憶部は、各交通機関の予め定められた各停止位置間における停止と発進との時間間隔、および発進と停止との時間間隔を上記運行パターン情報として記憶し、上記パターン照合部は、パターン特定情報記録部が記録した上記パターン特定情報と、上記運行パターン情報それぞれとを比較して運行パターン情報を選択してもよい。
【0014】
かかる構成により、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0015】
また、時刻を規定する時刻情報を生成する時刻情報生成部をさらに備え、上記測定部は、加速度の変化を検出する加速度センサを備え、上記運行情報として上記交通機関の運行に伴う加速度を測定し、上記パターン特定情報記録部は、上記測定部が測定した加速度に基づいて停止および発進を判定し、判定された停止の時刻、および判定された発進の時刻を上記パターン特定情報として記録してもよい。
【0016】
かかる構成により、交通機関の運行に伴う運行情報を測定することができ、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0017】
また、上記記憶部は、各交通機関の予め定められた各停止位置における停止の時刻、および発進の時刻を上記運行パターン情報として記憶し、上記パターン照合部は、パターン特定情報記録部が記録した上記パターン特定情報と、上記運行パターン情報それぞれとを比較して運行パターン情報を選択してもよい。
【0018】
かかる構成により、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0019】
また、上記測定部は、空気圧の変化を検出する空圧センサを備え、上記運行情報として上記交通機関の運行に伴う空気圧の変化を測定し、上記パターン特定情報記録部は、上記測定部が測定した空気圧の変化が所定の閾値を満たす場合の時間間隔を上記パターン特定情報として記録してもよい。
【0020】
かかる構成により、交通機関の運行に伴う運行情報を測定することができ、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0021】
また、上記記憶部は、各交通機関の予め定められた各停止位置間の時間間隔を上記運行パターン情報として記憶し、上記パターン照合部は、パターン特定情報記録部が記録した上記パターン特定情報と、上記運行パターン情報それぞれとを比較して運行パターン情報を選択してもよい。
【0022】
かかる構成により、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0023】
また、上記測定部は、集音のためのマイクロホンを備え、上記運行情報として上記交通機関の運行に伴う音声を測定し、上記パターン特定情報記録部は、上記測定部が測定した音声が所定のパターンを有する場合に、上記音声を上記パターン特定情報として記録してもよい。
【0024】
かかる構成により、交通機関の運行に伴う運行情報を測定することができ、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0025】
また、上記記憶部は、各交通機関の予め定められた各停止場所を特定する単語を上記運行パターン情報として記憶し、上記パターン照合部は、パターン特定情報記録部が記録した音声から認識される単語と、上記運行パターン情報それぞれとを比較して運行パターン情報を選択してもよい。
【0026】
かかる構成により、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0027】
また、上記測定部は、撮像を行う撮像部を備え、上記運行情報として撮像による画像を取得し、上記パターン特定情報記録部は、上記測定部が撮像した画像から所定の対象を認識した場合に、上記画像を上記パターン特定情報として記録してもよい。
【0028】
かかる構成により、交通機関の運行に伴う運行情報を測定することができ、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0029】
また、上記記憶部は、各交通機関の予め定められた各停止場所を特定する所定の対象を含む画像を上記運行パターン情報として記憶し、上記パターン照合部は、パターン特定情報記録部が記録した画像と、上記運行パターン情報それぞれとを比較して運行パターン情報を選択してもよい。
【0030】
かかる構成により、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0031】
また、上記パターン照合部は、上記パターン特定情報と選択された上記運行パターン情報とに基づいて、路線および/または位置を特定してもよい。
【0032】
かかる構成により、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0033】
また、上記パターン照合部が特定した上記路線および/または上記位置の情報を表示する表示部をさらに備えてもよい。
【0034】
かかる構成により、特定した路線や位置に関する情報をユーザに示すことができる。
【0035】
また、外部装置と通信を行う通信部をさらに備え、上記パターン照合部は、上記パターン照合部が特定した上記路線および/または上記位置の情報を上記外部装置へ送信させてもよい。
【0036】
かかる構成により、特定した路線や位置に関する情報を用いた様々なサービスを実現することができる。
【0037】
また、表示部をさらに備え、上記パターン照合部は、上記パターン特定情報と選択した運行パターン情報に基づいて、移動経路の情報を上記表示部に表示させてもよい。
【0038】
かかる構成により、特定した路線や位置に関する情報を移動履歴としてユーザに示すことができる。
【0039】
また、外部装置と通信を行う通信部をさらに備え、上記パターン照合部は、上記移動経路の情報を上記外部装置へ送信させてもよい。
【0040】
かかる構成により、特定した路線や位置に関する情報を用いた様々なサービスを実現することができる。
【0041】
また、上記パターン照合部における運行パターン情報の選択を補助するためのパターン特定補助情報を生成するパターン特定補助情報生成部をさらに備え、上記パターン照合部は、上記パターン特定補助情報に基づいて、上記記憶部に記憶された運行パターン情報の中から選択候補を絞り込んでもよい。
【0042】
かかる構成により、路線や位置の特定に関する処理の処理量を軽減することができる。
【0043】
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の観点によれば、各交通機関の運行パターンがそれぞれ記録された運行パターン情報を少なくとも1以上記憶可能な記憶部を備える測位装置における測位装置であって、交通機関の運行に伴う運行情報を測定するステップと、上記測定するステップにおいて測定された上記運行情報に基づいて、上記記憶部に記憶された上記運行パターン情報を特定するパターン特定情報を記録するステップと、上記記録するステップにおいて記録されたパターン特定情報に基づいて、上記記憶部に記憶された運行パターン情報の中から運行パターン情報を選択するステップとを有する測位方法が提供される。
【0044】
かかる方法を用いることにより、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0045】
また、上記目的を達成するために、本発明の第3の観点によれば、各交通機関の運行パターンがそれぞれ記録された運行パターン情報を少なくとも1以上記憶可能な記憶部を備える測位装置において用いることが可能なプログラムであって、交通機関の運行に伴う運行情報を測定するステップ、上記測定するステップにおいて測定された上記運行情報に基づいて、上記記憶部に記憶された上記運行パターン情報を特定するパターン特定情報を記録するステップ、上記記録するステップにおいて記録されたパターン特定情報に基づいて、上記記憶部に記憶された運行パターン情報の中から運行パターン情報を選択するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【0046】
かかるプログラムにより、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0049】
(本発明の実施形態に係る測位装置における測位の概要)
本発明の実施形態に係る測位装置の構成について説明する前に、まず、本発明の実施形態に係る測位装置における測位の概要について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る測位装置における測位の概要を説明するための説明図である。なお、以下では、測位の対象となる交通機関として鉄道を例に挙げて説明するが、本発明の実施形態に係る測位の対象となる交通機関は鉄道に限られず、例えば、バスを対象とすることもできる。
【0050】
図1に示すように、例えば、都市部では、路線A〜Cなど複数の路線が縦横無尽に張り巡らされている。ここで、図1は、ユーザが路線Cの列車を使用して移動した場合(図1の移動経路)を示している。
【0051】
[GPSを用いて位置測定を行う場合の問題]
ユーザが、路線Cの列車の乗車中にGPSを用いて測位を行った場合には、例えば、列車が移動することによってGPS用の電波を正常に受信できず、GPSを用いた位置の測定が行えない場合がある。上記の場合には、ユーザは、GPSを用いて自己の位置を把握できない。
【0052】
また、ユーザが初めて路線Cの列車に乗車した場合、あるいは路線A〜Cが敷設された地域がユーザにとって未知の場所である場合などには、GPS機能の使用がユーザをかえって不安にさせる結果となりかねない。
【0053】
なお、上記では、GPSを用いて位置測定を行う場合を例に挙げたが、GPSを用いる場合に限られず、例えば、携帯電話用の基地局IDを利用して位置を測定する場合も同様である。
【0054】
[本発明の実施形態に係る測位装置の測位の概要]
上記のように、GPSなどの従来の測位システムを用いたとしても、列車に乗車している間は、位置の特定が行えない場合がある。そこで、本発明の実施形態に係る測位装置では、予め位置が定められた停止位置(例えば、「駅」や「バス停」など)が交通機関に存在することに着目して、各交通機関の運行に伴って測定される情報(以下、「運行情報」という。)と、各交通機関それぞれにおける当該停車位置に関する情報(以下、「運行パターン情報」という。)とを用いて路線や位置の特定を行う。より具体的には、本発明の実施形態に係る測位装置は、予め交通機関ごとに運行パターン情報を記憶し、例えば、以下の(1)〜(4)により路線や位置の特定を行う。
【0055】
(1)運行情報の測定
(2)測定された運行情報に基づくパターン特定情報の記録
(3)記録されたパターン特定情報と、予め記憶された各運行パターン情報とのマッチング
(4)路線、位置の特定
(4−1)予め記憶された各運行パターン情報の中から、運行パターン情報を選択:路線の特定
(4−2)予め記憶された各運行パターン情報の中から運行パターン情報を選択し、選択された運行パターン情報に基づいて、移動経路や位置の特定:位置の特定
【0056】
ここで、上記(2)において記録されるパターン特定情報とは、運行パターン情報を特定するための情報であり、上記(1)で測定される運行情報に基づいて記録される。パターン特定情報としては、例えば、以下の(A)〜(F)が挙げられるが、本発明の実施形態に係るパターン特定情報は、以下の(A)〜(F)に限られない。また、本発明の実施形態に係るパターン特定情報は、運行パターン情報を特定するために、予め記憶された各運行パターン情報と対応する情報とすることができることは、言うまでもない。
(A)加速度の情報を用いた発進と停止との時間間隔、および停止と発進の時間間隔
(B)加速度の情報を用いた発進の時刻、および停止の時刻
(C)車内の空圧変化の情報を用いた空圧変化の時間間隔
(D)車内の空圧変化の情報を用いた発進の時刻、および停止の時刻
(E)交通機関の運行に伴う音声情報
(F)特定の対象物が写る画像情報
【0057】
図2は、本発明の実施形態に係る測位手段を説明するための説明図である。図2(a)は、本発明の実施形態に係るパターン特定情報の一例を示す説明図であり、例えば、上記(A)に示す発進と停止との時間間隔を示している。また、図2(b)は、本発明の実施形態に係る運行パターン情報の一例を示す説明図であり、図1に示す路線A〜Cそれぞれにおける各駅間における発進と停止との時間間隔を示している。ここで、図2(b)の路線Aは、図1に示す駅10を基点とした運行パターン情報であり、同様に、路線Bは図1に示す駅20、路線Cは図1に示す駅30をそれぞれ基点とした運行パターン情報である。また、図2では、A1〜A4、B1〜B3、C1〜C3、およびD1〜D4が発進を示しており、a1〜a4、b1〜b3、c1〜c3、およびd1〜d4が停止を示している。
【0058】
〔路線の特定〕
図2を参照すると、図2(a)に示すパターン特定情報と図2(b)に示す路線Cの運行パターン情報とが、一致していることが分かる。本発明の実施形態に係る測位装置は、記録されたパターン特定情報(図2(a))と、予め記憶された各運行パターン情報(図2(b))とのマッチング処理により、各運行パターン情報の中から一致する運行パターン情報、すなわち、路線Cを示す運行パターン情報を選択することができる。したがって、本発明の実施形態に係る測位装置は、路線を特定することができる。
【0059】
〔位置の特定〕
本発明の実施形態に係る測位装置は、図2(a)に示すパターン特定情報と、図2(b)に示す路線Cの運行パターン情報とを用いることにより、上記路線の特定に加え、さらに、位置の特定を行うこともできる。
【0060】
図2を参照すると、路線の特定に用いられたパターン特定情報(図2(a))には、3回の停止の情報が含まれており(または、発進−停止の組み合わせが3回含まれており)、また、路線の特定に用いられたパターン特定情報(図2(a))には、4回の発進の情報が含まれている。また、パターン特定情報(図2(a))と一致した路線Cの運行パターン情報は、図1に示す駅30を基点としている。したがって、本発明の実施形態に係る測位装置は、図1に示す駅30の出発後、3回停止してさらに発進しているので、図1に示す駅32と駅34との間に位置すると判定することができる。
【0061】
また、例えば、路線の特定に用いられたパターン特定情報に3回の発進の情報と3回の停止の情報とが含まれている場合には、本発明の実施形態に係る測位装置は、基点となった駅から3つ先の停車駅に列車が停車していると判定することができる。
【0062】
ここで、図1に示すように、各路線の駅の位置および各駅間の経路は予め決まっており、また、各路線の運行予定時刻も予め決まっている。したがって、本発明の実施形態に係る測位装置は、列車が停車している停車駅を特定することにより、位置を正確に特定することができる。
【0063】
また、本発明の実施形態に係る測位装置は、例えば、特定された停車駅を発車してからの時間の情報と、パターン特定情報と一致する運行パターン情報とを用いることによって、路線上のどの場所に位置するかを特定することもできる。例えば、運行パターン情報において一の駅と他の駅との間の運行における時間間隔が4分であり、特定された停車駅を発車してから2分が経過している場合には、本発明の実施形態に係る測位装置は、当該一の駅と当該他の駅との中間地点に位置すると判定することができる。
【0064】
したがって、本発明の実施形態に係る測位装置は、測定される運行情報に基づくパターン特定情報と、予め記憶された各交通機関に対応する運行パターン情報とを用いることにより、位置の特定を行うことができる。なお、上記では、パターン特定情報と対応する運行パターン情報が一意に選択される例を示したが、本発明の実施形態に係る運行パターン情報の選択は、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る測位装置は、パターン特定情報の情報量が増えるごとに、運行パターン情報の選択候補を絞り、最終的に一の運行パターン情報を選択することもできる。
【0065】
以上のように、本発明の実施形態に係る測位装置は、測定される運行情報に基づくパターン特定情報と、予め記憶された各交通機関に対応する運行パターン情報とを用いることにより、各交通機関の路線の特定、および/または、位置の特定を行うことができる。次に、本発明の実施形態に係る測位装置について、より具体的に説明する。
【0066】
(第1の実施形態)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る測位装置100を示すブロック図である。
【0067】
図3を参照すると、測位装置100は、記憶部102と、測定部104と、制御部106と、表示部108と、クロック生成部110と、時刻情報生成部112と、パターン特定補助情報生成部114とを備えることができる。
【0068】
また、測位装置100は、制御部106が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM(Read Only Memory;図示せず)、制御部106により実行されるプログラムなどを一次記憶するRAM(Random Access Memory;図示せず)、ユーザが操作可能な操作部(図示せず)、外部装置(図示せず)と接続し通信を行うための通信部(図示せず)などを備えてもよい。測位装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)で各構成要素間を接続することができる。ここで、操作部(図示せず)としては、例えば、ボタン、方向キー、ジョグダイヤルなどの回転型セレクター、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられるが、上記に限られない。また、測位装置100と外部装置(図示せず)とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子やIEEE1394規格の端子などを介して物理的に接続されてもよいし、また、WUSB(Wireless Universal Serial Bus)やIEEE802.11などを利用して無線で接続することもできる。さらに、測位装置100と外部装置(図示せず)とは、例えば、ネットワークを介して接続することもできる。ネットワークとしては、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)など有線ネットワーク、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)を用いたWLAN(Wireless Local Area Network)などの無線ネットワーク、あるいは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの通信プロトコルを用いたインターネット(Internet)などが挙げられるが、上記に限られない。したがって、通信部(図示せず)は、外部装置(図示せず)との接続形態に応じたインタフェースを有することができる。
【0069】
記憶部102は、測位装置100が備える記憶手段であり、各種の情報を記憶することができる。記憶部102に記憶される情報としては、例えば、運行パターン情報、パターン特定情報などが挙げられるが、上記に限られない。図3では、記憶部102に運行パターン情報A130、運行パターン情報B132、…、およびパターン特定情報134が記憶されている例を示している。ここで、測位装置100は、例えば、外部装置(図示せず)から運行パターン情報を取得して記憶部102に記憶することができる。また、パターン特定情報は、後述する制御部106(パターン特定情報記録部120)が記憶部102に記録することができる。
【0070】
また、記憶部102としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)が挙げられるが、上記に限られない。
【0071】
[運行パターン情報の一例]
図4は、本発明の実施形態に係る運行パターン情報の一例を示す説明図である。ここで、図4(a)、図4(b)、および図4(c)それぞれは、例えば、図1に示すような各路線(各交通機関)を示している。ここで、図4(a)〜図4(c)は、同様の構成をとることができるので、以下では、図4(a)を例として説明する。
【0072】
図4(a)を参照すると、運行パターン情報は、停止位置を規定する「駅」、列車が駅に到着する時刻を規定する「到着」、列車が駅から発車する時刻を規定する「発車」、発車時刻と到着時刻との差分ΔDを規定する「発車−到着の差分ΔD」、および到着時刻と発車時刻との差分ΔAを規定する「到着−発射の差分ΔA」の情報を有することができる。なお、本発明の実施形態に係る運行パターン情報は、図4(a)に示す例に限られず、例えば、各駅の緯度経度の情報や列車の進行方向の情報、各駅間の時間間隔を示す情報を有することもできる。
【0073】
[パターン特定情報の一例]
図5は、本発明の実施形態に係るパターン特定情報の一例を示す説明図である。図5を参照すると、パターン特定情報は、図4に示す運行パターン情報と同様に、停止位置を規定する「駅」、列車が駅に到着する時刻を規定する「到着」、列車が駅から発車する時刻を規定する「発車」、発車時刻と到着時刻との差分ΔDを規定する「発車−到着の差分ΔD」、および到着時刻と発車時刻との差分ΔAを規定する「到着−発射の差分ΔA」の情報を有することができる。
【0074】
ここで、パターン特定情報は、例えば、制御部106が記憶部102に記録することができる。パターン特定情報の記録については、後述する。
【0075】
図4、図5に示すように、各交通機関の運行パターン情報とパターン特定情報とが同様の構成を有することによって、パターン特定情報と各運行パターン情報とのマッチング処理により各交通機関の路線の特定、および/または、位置の特定を行うことができる。
【0076】
再度図3を参照して、測位装置100の構成要素について説明する。測定部104は、運行情報の測定を行う。ここで、運行情報とは、各交通機関の運行に伴って測定される情報であり、運行情報としては、例えば、以下の(a)〜(d)が挙げられる。なお、本発明の実施形態に係る運行情報が以下の(a)〜(d)に限られないことは、言うまでもない。
(a)加速度の情報
(b)列車内の空圧変化の情報
(c)音声情報
(d)画像情報
【0077】
〔1−1〕運行情報として加速度の情報を測定する場合
運行情報として加速度の情報を測定する場合には、測定部104は、例えば、加速度センサを備えることができる。測定部104は、加速度センサを備えることによって、例えば、列車の加速、減速により生じる加速度の変化を測定することができる。
【0078】
〔1−2〕運行情報として列車内の空圧変化の情報を測定する場合
運行情報として列車内の空圧変化の情報を測定する場合には、測定部104は、例えば、空圧センサを備えることができる。測定部104は、空圧センサを備えることによって、例えば、列車の扉の開閉により生じる気圧の変化を測定することができる。
【0079】
〔1−3〕運行情報として音声情報を測定する場合
運行情報として音声情報を測定する場合には、測定部104は、例えば、マイクロホン(microphone)を備えることができる。測定部104は、マイクロホンを備えることによって、例えば、列車の運行に伴う車内アナウンスや列車のドア開閉圧縮空気の音を録音(測定)することができる。
【0080】
〔1−4〕運行情報として画像情報を測定する場合
運行情報として画像情報を測定する場合には、測定部104は、例えば、静止画像あるいは動画像を撮像するカメラを備えることができる。測定部104は、カメラを備えることによって、例えば、車窓からの風景画像や、駅構内を写した画像を撮像(測定)することができる。
【0081】
〔1−5〕その他
測定部104は、上記〔1−1〕〜〔1−4〕に示した構成に限られず、例えば、上記〔1−1〕〜〔1−4〕に示す各種センサや装置を併せ持つこともできるし、また、ジャイロセンサや地磁気センサをさらに備えることもできる。
【0082】
上記のように、測定部104が測定する運行情報は、交通機関の運行に伴って測位装置100が測定する情報である。したがって、測定部104が測定する運行情報は、例えば、GPSのように、外部装置(例えば、人工衛星)から送信される電波などの受信結果に依存しないので、より確実に測定を行うことができる。
【0083】
制御部106は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などで構成され、ROM(図示せず)に記録された制御用プログラムなどを用いて様々な演算処理を行うことにより測位装置100全体を制御することができる。また、制御部106は、パターン特定情報記録部120と、パターン照合部122を備えることができる。
【0084】
パターン特定情報記録部120は、測定部104が測定した運行情報に基づいて、記憶部102に記憶された各交通機関に対応する運行パターン情報を特定するためのパターン特定情報を記録する。ここで、パターン特定情報記録部120は、例えば、パターン特定情報を記憶部102に記録することができるが、上記に限られない。例えば、パターン特定情報記録部120は、パターン特定情報をパターン特定情報記録部120(制御部106)が備える記憶手段に記録することもできる。ここで、パターン特定情報記録部120(制御部106)が備える記憶手段としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。
【0085】
〔2−1〕測定部104が測定した運行情報が加速度の情報である場合
測定部104が測定した運行情報が加速度の情報である場合には、パターン特定情報記録部120は、例えば、測定部104が測定した加速度の情報の中から、列車の発車(発進)時における加速度の情報と、列車の停止時における加速度の情報とを判別し、当該発車時の加速度の情報および停止時の加速度の情報が判別された時刻をパターン特定情報として記録する。例えば、パターン特定情報記録部120は、発車時の加速度の情報が判別された場合には、図5に示す「発車」に時刻を記録し、また、停止時の加速度の情報が判別された場合には、図5に示す「到着」に時刻を記録する。また、パターン特定情報記録部120は、図5に示す「発車」、「到着」の記録と共に、発車時刻と到着時刻との差分である「発車−到着の差分ΔD」、および到着時刻と発車時刻との差分である「到着−発射の差分ΔA」を算出して記録することもできる。
【0086】
図6は、本発明の実施形態に係る加速度の情報の一例を示す説明図である。図6(a)は、列車が駅から発車するときの加速度の変化の一例を示しており、図6(b)は、列車がカーブを曲がるときの加速度の変化の一例を示している。また、図6(c)は、例えば、ユーザが測位装置100を動かしたときの加速度の変化の一例を示しており、図6(d)は、列車が駅に停車するときの加速度の変化の一例を示している。
【0087】
図6(b)や図6(c)に示す加速度の変化は、路線の敷設経路やユーザの動作に大きく依存することから、加速度の変化のばらつきも大きくなる。これに対して、図6(a)や図6(d)に示す列車の発車や停車に係る加速度の変化は、列車が予め規定されたタイムスケジュールに従って運行されることから、図6(b)や図6(c)に示す加速度の変化と比較して、各駅ごとにおけるばらつきは小さくなる。そこで、パターン特定情報記録部120は、例えば、予め記憶された発車時および停車時における加速度の変化の情報と、測定部104が測定した加速度の情報とを比較することによって、列車の発車時における加速度の情報と、列車の停止時における加速度の情報とを判別する。パターン特定情報記録部120が予め記憶された発車時および停車時における加速度の変化の情報を用いて上記判別を行うことによって、例えば、図6(c)に示すようなユーザの動作に基づいて測定される加速度の変化の情報などが、列車の発車時または停止時における加速度の情報と判別されることを防止することができる。ここで、上記予め記憶された発車時および停車時における加速度の変化の情報は、例えば、記憶部102に記憶され、パターン特定情報記録部120が適宜読み出すことができるが、上記に限られない。例えば、上記予め記憶された発車時および停車時における加速度の変化の情報は、パターン特定情報記録部120(制御部106)が備える記憶手段に記憶されていてもよい。
【0088】
パターン特定情報記録部120は、例えば、クロック生成部110が生成する一定周期のクロック信号を用いて加速度の変化の開始と終了との時間間隔を把握し、把握された時間間隔に基づいて、列車の発車時における加速度の情報と、列車の停止時における加速度の情報との判別することができる。より具体的には、パターン特定情報記録部120は、例えば、把握された時間間隔および予め記憶された発車時および停車時における加速度の変化の情報における加速度の変化の開始と終了との時間間隔(例えば、図6(a)に示すT1や図6(d)に示すT2。)と、測定部104が測定した加速度の変化パターンおよび予め記憶された発車時および停車時における加速度の変化パターンとを比較することによって、列車の発車時における加速度の情報と、列車の停止時における加速度の情報との判別することができる。ここで、クロック生成部110は、例えば、水晶とオシレータとを備えることにより、クロック信号を生成することができるが、上記に限られない。
【0089】
また、パターン特定情報記録部120は、例えば、時刻情報生成部112が生成した時刻情報に基づいて、発車時の加速度の情報および停止時の加速度の情報が判別された時刻をパターン特定情報として記録することができる。ここで、時刻情報生成部112としては、例えば、機械式時計、クォーツ時計、電波時計などが挙げられるが、上記に限らない。
【0090】
〔2−2〕測定部104が測定した運行情報が列車内の空圧変化の情報である場合
測定部104が測定した運行情報が列車内の空圧変化の情報である場合には、パターン特定情報記録部120は、例えば、測定部104が測定した列車内の空圧変化の値が所定の閾値以上の場合に、列車の発車および停止を判定し、判定された時刻をパターン特定情報として記録する。ここで、上記所定の閾値の情報は、例えば、パターン特定情報記録部120(制御部106)が備える記憶手段に記憶され、パターン特定情報記録部120が適宜読み出すことができるが、上記に限られない。例えば、上記所定の閾値の情報が記憶部102に記憶され、パターン特定情報記録部120が記憶部102から適宜所定の閾値の情報を読み出してもよい。
【0091】
より具体的には、パターン特定情報記録部120は、例えば、測定が開始されてから最初に上記判定をした場合には、図5に示す「発車」に時刻を記録し、また、停止時の加速度の情報が判別された場合には、図5に示す「到着」に時刻を記録する。また、パターン特定情報記録部120は、図5に示す「発車」、「到着」の記録と共に、発車時刻と到着時刻との差分である「発車−到着の差分ΔD」、および到着時刻と発車時刻との差分である「到着−発射の差分ΔA」を算出して記録することもできる。
【0092】
〔2−3〕測定部104が測定した運行情報が音声情報である場合
測定部104が測定した運行情報が音声情報である場合には、パターン特定情報記録部120は、例えば、測定部104が測定した音声情報から、所定のフレーズ(phrase)や所定の音楽、あるいは列車のドア開閉圧縮空気の音が検出されたとき、当該フレーズなどを含む音声情報をパターン特定情報として記録する。ここで、上記所定のフレーズとしては、例えば、「ドアが閉まります。ご注意ください。」のような発車時の車内アナウンスや、「次は、〜」や「まもなく〜」のような停車時の車内アナウンスが挙げられるが、上記に限られない。また、上記所定の音楽としては、例えば、駅構内の構内音楽が挙げられる。ここで、上記所定のフレーズなどの情報は、例えば、パターン特定情報記録部120(制御部106)が備える記憶手段に記憶され、パターン特定情報記録部120が適宜読み出すことができるが、上記に限られない。例えば、上記所定のフレーズなどの情報が記憶部102に記憶され、パターン特定情報記録部120が記憶部102から適宜所定のフレーズなどの情報を読み出してもよい。
【0093】
なお、測定部104が測定した運行情報が音声情報である場合においてパターン特定情報記録部120が記録するパターン特定情報は、上記音声情報に限られない。例えば、パターン特定情報記録部120は、上記所定のフレーズなどの情報が検出された時刻情報をパターン特定情報として記録することによって、図5に示すようなパターン特定情報を記録することもできる。
【0094】
〔2−4〕測定部104が測定した運行情報が画像情報である場合
測定部104が測定した運行情報が画像情報である場合には、パターン特定情報記録部120は、例えば、測定部104が測定した画像情報から所定の対象物が検出された場合に、当該所定の対象物を含む画像情報をパターン特定情報として記録する。ここで、上記所定の対象物としては、例えば、建築物や、駅構内の駅名を示す案内板などが挙げられるが、上記に限られない。ここで、上記所定の対象物の情報は、例えば、パターン特定情報記録部120(制御部106)が備える記憶手段に記憶され、パターン特定情報記録部120が適宜読み出すことができるが、上記に限られない。例えば、上記所定の対象物の情報が記憶部102に記憶され、パターン特定情報記録部120が記憶部102から適宜所定の対象物の情報を読み出してもよい。
【0095】
〔2−5〕その他
パターン特定情報記録部120は、上記〔2−1〕〜〔2−4〕それぞれによってパターン特定情報を記録する構成に限られず、例えば、上記〔2−1〕〜〔2−4〕を複合的に組み合わせることにより列車の発車、停止を判定して、パターン特定情報を記録することもできる。ここで、上記〔2−1〕〜〔2−4〕を複合的に組み合わせることにより列車の発車、停止を判定する方法としては、例えば、上記〔2−1〕〜〔2−4〕のいずれかにおいて列車の発車、停止が判定されたとき、列車の発車、停止と判定することが挙げられるが、上記に限られず、上記〔2−1〕〜〔2−4〕のうち2以上が列車の発車、停止を判定したときに、列車の発車、停止と判定することもできる。
【0096】
パターン特定情報記録部120は、例えば、上記〔2−1〕〜〔2−5〕により、測定部104が測定した運行情報に基づいて、記憶部102に記憶された各交通機関に対応する運行パターン情報を特定するためのパターン特定情報を記録することができる。
【0097】
再度図3を参照して、測位装置100の構成要素について説明する。パターン照合部122は、記憶部102に記憶された各交通機関に対応する運行パターン情報と、パターン特定情報記録部120が記録したパターン特定情報とに基づいて、記憶部102に記憶された運行パターン情報の中から運行パターン情報を選択する。
【0098】
〔3−1〕選択処理の第1の例
パターン照合部122は、例えば、図4に示す運行パターン情報と、図5に示すパターン特定情報とのマッチング処理により、記憶部102に記憶された運行パターン情報の中から運行パターン情報を選択する。例えば、図4、図5に示す例では、記憶部102に記憶された図4(a)〜図4(c)に示す運行パターン情報の中から図4(b)に示す運行パターン情報が選択されることとなる。
【0099】
なお、図4に示す運行パターン情報、および図5に示すパターン特定情報では、各駅ごとに「到着」、「発車」などの時刻の情報が記録された例を示しているが、本発明の実施形態に係る運行パターン情報およびパターン特定情報は、図4、図5の例に限らない。例えば、本発明の実施形態に係る運行パターン情報およびパターン特定情報は、図2に示すように、各駅間における発車と停止との時間間隔、停止と発車との時間間隔の情報を記憶することもできる。上記の場合には、各駅間の時間間隔の情報を比較することによって、運行パターン情報が選択されることとなる。
【0100】
〔3−2〕選択処理の第2の例
パターン特定情報記録部120が記録したパターン特定情報が、音声情報の場合には、パターン照合部122は、例えば、記録されたそれぞれの音声情報の中から所定のフレーズに含まれる駅名(単語)を認識する。そして、パターン照合部122は、例えば、認識した駅名(単語)と、運行パターン情報に含まれる駅名(単語)の情報(例えば、図4の項目「駅」の情報)とを比較することによって、運行パターン情報を選択する。
【0101】
〔3−3〕選択処理の第3の例
パターン特定情報記録部120が記録したパターン特定情報が、画像情報の場合には、パターン照合部122は、例えば、記録されたそれぞれの画像情報に対して文字認識などを行うことによって駅名を認識する。そして、パターン照合部122は、例えば、認識した駅名と、運行パターン情報に含まれる駅名の情報(例えば、図4の項目「駅」の情報)とを比較することによって、運行パターン情報を選択する。
【0102】
パターン照合部122は、例えば、上記〔3−1〕〜〔3−3〕に示すような選択処理によって、記憶部102に記憶された各交通機関に対応する運行パターン情報と、パターン特定情報記録部120が記録したパターン特定情報とに基づいて、記憶部102に記憶された運行パターン情報の中から運行パターン情報を選択することができる。
【0103】
また、パターン照合部122は、パターン特定補助情報生成部114において生成されるパターン特定補助情報に基づいて、選択候補となる記憶部102に記憶された運行パターン情報を予め絞り込むこともできる。ここで、パターン特定補助情報生成部114は、例えば、GPS受信機や、基地局ID検出機を備え、パターン特定補助情報として緯度・経度の情報や、測位装置100が属する地域情報を生成することができる。パターン特定補助情報を用いる場合には、記憶部102に記憶される各交通機関に対応する運行パターン情報は、例えば、図4に示す運行パターン情報が有する情報に加え、さらに、各駅の緯度・経度情報や、地域番号などの情報を有することができる。
【0104】
なお、本発明の実施形態に係るパターン特定補助情報は、緯度・経度の情報や、測位装置100が属する地域情報に限られない。測位装置100は、パターン特定補助情報として、例えば、時刻情報や方角情報を用いることもできる。パターン照合部122が、各交通機関の通行予定時刻を特定可能な時刻情報や、各交通機関の進行方向を特定可能な方角情報をパターン特定補助情報として用いることにより、パターン照合部122が比較を行う運行パターン情報それぞれの情報量に制限をかけることができる。したがって、時刻情報や方角情報をパターン特定補助情報として用いる測位装置100は、パターン照合部122における処理量を軽減することができる。ここで、時刻情報をパターン特定補助情報として用いる場合には、測位装置100は、例えば、図3に示す時刻情報生成部112とパターン特定補助情報生成部114とを一体の部とすることができる。
【0105】
上述したように、ユーザが交通機関を利用する場合には、GPS用の電波や基地局IDを正常に取得できるとは限らない。そこで、測位装置100は、GPSの情報や基地局IDの情報を、選択候補となる記憶部102に記憶された運行パターン情報を予め絞り込むための補助的な情報として使用する。パターン特定補助情報により運行パターン情報が予め絞り込まれることによって、測位装置100は、パターン照合部122における処理量を軽減することができる。したがって、測位装置100は、例えば、処理時間の短縮化や省電力化を図ることができる。
【0106】
表示部108は、測位装置100が備える表示手段であり、例えば、パターン照合部122において選択されたパターン情報に基づく情報を適宜表示することができる。ここで、表示部108に表示される、パターン照合部122において選択されたパターン情報に基づく情報としては、例えば、以下の(i)〜(iv)が挙げられる。なお、表示部108に表示される情報が以下の(i)〜(iv)に限られないことは、言うまでもない。
(i)選択されたパターン情報が示す路線名を表示(または、複数の路線候補名)
(ii)ユーザの位置を表示:文字で表示(例えば、駅名、路線名および駅名など)
(iii)ユーザの位置を表示:路線(または地図)を示す画像上に表示
(iv)路線(または地図)を示す画像上に移動経路を表示(例えば、図1)
【0107】
また、表示部108としては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display;または、OLEDディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display)とも呼ばれる。)などが挙げられるが、上記に限られない。さらに、表示部108は、例えば、タッチスクリーン(touch screen)のように操作部(図示せず)と一体の部とすることもできる。
【0108】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る測位装置100は、各交通機関の運行に伴う運行情報を測定し、予め位置が定められた停止位置が交通機関に存在することに着目して、測定された運行情報に基づいて当該停止位置からの発進および当該停止位置への停止に係るパターン特定情報を記録する。測位装置100は、各交通機関それぞれに対応する運行パターン情報と、測定された運行情報に基づくパターン特定情報とを比較することによって、各交通機関それぞれに対応する運行パターン情報の中からパターン特定情報と合致する運行パターン情報(あるいは、選択候補となる複数の運行パターン情報)を選択する。したがって、測位装置100は、運行パターン情報が選択されることにより、路線の特定、および/または、位置の特定を行うことができる。
【0109】
また、測位装置100が測定する運行情報は、交通機関の運行に伴って測位装置100が主体となって測定する情報である。よって、測位装置100が測定する運行情報は、例えば、GPSのように、外部装置(例えば、人工衛星)から送信される電波などの受信結果に依存しないので、より確実に測定を行うことができる。したがって、測位装置100は、ユーザが交通機関を使用している場合において、GPSなどを用いて測位を行う従来の測位装置よりも、より確実に測位を行うことができる。
【0110】
さらに、測位装置100は、時刻情報やGPSなどを用いて生成された緯度・経度の情報などのパターン特定補助情報を、記憶部102に記憶された運行パターン情報を予め絞り込むための補助的な情報として使用することができる。パターン特定補助情報により運行パターン情報が予め絞り込まれることによって、測位装置100は、パターン照合部122における処理量を軽減することができるので、処理時間の短縮化や省電力化を図ることができる。
【0111】
また、本発明の第1の実施形態として測位装置100を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、係る形態に限られず、例えば、携帯電話などの携帯型通信装置、UMPC(Ultra Mobile Personal Computer)などのコンピュータ、腕時計などのウェアラブル装置、非接触IC(Integrated Circuit)カードを収納可能な電子財布装置、PlayStation Portable(登録商標)などの携帯型ゲーム機などに適用することができる。
【0112】
(第1の実施形態に係るプログラム)
第1の実施形態に係る測位装置100をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0113】
(第2の実施形態)
上記では、第1の実施形態に係る測位装置100として、パターン照合部122において選択されたパターン情報に基づく情報を、測位装置100が備える表示部108に表示する構成を示した。しかしながら、本発明の実施形態に係る測位装置は、選択されたパターン情報に基づく情報を自端末に表示する構成に限られない。そこで、次に、第2の実施形態に係る測位装置として、選択されたパターン情報(または、選択されたパターン情報に基づく情報)を外部装置へ送信することが可能な測位装置について説明する。
【0114】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る測位装置200を示すブロック図である。図7を参照すると、測位装置200は、第1の実施形態に係る測位装置100と基本的に同様の構成を有している。また、図3に示す第1の実施形態に係る測位装置100と比較すると、測位装置200は、通信部202をさらに備え、ネットワーク500を介して外部装置300、400、…と接続される。
【0115】
通信部202は、パターン照合部122からの指示に基づいて、パターン照合部122が選択したパターン情報(または、パターン照合部122が選択したパターン情報に基づく情報)を、ネットワーク500を介して外部装置300、400、…へ送信することができる。ここで、ネットワーク500としては、例えば、LANやWANなど有線ネットワーク、MIMOを用いたWLANなどの無線ネットワーク、あるいは、TCP/IPなどの通信プロトコルを用いたインターネットなどが挙げられるが、上記に限られない。また、測位装置200と外部装置300、400、…とは、ネットワーク500で接続されることに限られず、例えば、USB端子やIEEE1394規格の端子などを介して物理的に接続されてもよいし、また、WUSBやIEEE802.11などを利用して無線で接続することもできる。したがって、通信部202は、外部装置300、400、…との接続形態に応じたインタフェースを有することができる。
【0116】
また、通信部202は、例えば、ユーザが操作部(図示せず)を用いて行うユーザ入力に応じて、選択的に外部装置へパターン情報(または、パターン情報に基づく情報)を送信することができる。ここで、上記選択的とは、例えば、送信先の外部装置を選択すること、および/または、外部装置へ送信を行うか否かを選択すること、を意味する。
【0117】
[第2の実施形態に係る測位装置200の適用例]
測位装置200が選択されたパターン情報(または、選択されたパターン情報に基づく情報)を外部装置300、400、…へ送信することによって、例えば、以下の(I)、(II)が実現される。なお、測位装置200の適用例が以下の(I)、(II)に限られないことは、言うまでもない。
【0118】
(I)ライフログ
測位装置200は、例えば、PC(Personal Computer)やサーバ(Server)などユーザが所有する外部装置へと選択されたパターン情報(または、選択されたパターン情報に基づく情報)を送信することができる。上記外部装置が送信されたパターン情報(または、パターン情報に基づく情報)をログとして記憶することにより、ユーザは、何時、どのような交通機関を使用してどのような経路で移動したかなどのライフログを得ることができる。
【0119】
(II)連絡システム
測位装置200は、例えば、指定された第三者が所有する携帯電話やUMPCなどに対して、選択されたパターン情報(または、選択されたパターン情報に基づく情報)を送信することができる。ここで、指定された第三者が所有する携帯電話やUMPCへの送信は、例えば、送信先のIPアドレスなどが指定されることにより行うことができる。第三者が所有する外部装置にパターン情報(または、パターン情報に基づく情報)が送信されることによって、例えば、第三者は、待ち合わせの相手(測位装置200のユーザ)に連絡を行うことなく、待ち合わせの相手(測位装置200のユーザ)の現在位置を知ることができる。
【0120】
以上のように、第2の実施形態に係る測位装置200は、基本的に第1の実施形態に係る測位装置100と同様の構成を有することができる。したがって、測位装置200は、第1の実施形態に係る測位装置100と同様に、運行パターン情報が選択されることによって、路線の特定、および/または、位置の特定を行うことができる。また、測位装置200は、第1の実施形態に係る測位装置100と同様に、ユーザが交通機関を使用している場合において、GPSなどを用いて測位を行う従来の測位装置よりも、より確実に測位を行うことができる。さらに、測位装置200は、第1の実施形態に係る測位装置100と同様にパターン照合部122における処理量を軽減することができるので、処理時間の短縮化や省電力化を図ることができる。
【0121】
また、測位装置200は、選択されたパターン情報(または、選択されたパターン情報に基づく情報)を外部装置300、400、…へ送信することができる。測位装置200が適用されることによって、例えば、ライフログや連絡システムなど、選択されたパターン情報(または、選択されたパターン情報に基づく情報)を用いた様々なサービスを実現することができる。
【0122】
また、本発明の第2の実施形態として測位装置200を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、係る形態に限られず、第1の実施形態に係る測位装置100と同様に、例えば、携帯電話などの携帯型通信装置、UMPCなどのコンピュータ、腕時計などのウェアラブル装置、非接触ICカードを収納可能な電子財布装置、PlayStation Portable(登録商標)などの携帯型ゲーム機などに適用することができる。
【0123】
(第2の実施形態に係るプログラム)
第2の実施形態に係る測位装置200をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定し、外部装置へ特定された路線や位置を送信することができる。
【0124】
(測位方法)
次に、本発明の実施形態に係る測位方法について説明する。なお、以下では、本発明の実施形態に係る測位方法が適用される交通機関として、鉄道を例に挙げて説明するが、本発明の実施形態に係る測位方法が適用される交通機関が鉄道に限られないことは、言うまでもない。
【0125】
[測位方法の第1の例]
図8は、本発明の実施形態に係る測位方法の第1の例を示す流れ図である。
【0126】
まず、測位装置は、駅に入場したか否かを判定する(S100)。ステップS100における判定は、例えば、駅の改札機を通過するときに記録される、交通機関用の非接触ICカードの通信記録を取得することにより行うことができるが、上記に限られず、ユーザが測位装置の操作部を用いて行うユーザ入力に基づいて行うこともできる。
【0127】
ステップS100において駅に入場していないと判定された場合には、測位装置は、駅への入場が判定されるまで運行情報の測定を開始しない。
【0128】
また、ステップS100において駅に入場したと判定された場合には、測位装置は、運行情報の測定を開始する(S102)。ここで、ステップS102において測定が開始される運行情報としては、例えば、(a)加速度の情報、(b)列車内の空圧変化の情報、(c)音声情報、(d)画像情報、あるいは、これらの組み合わせが挙げられるが、上記に限られない。また、ステップS102において開始される運行情報の測定は、測定が終了するまで(後述するステップS122まで)継続的に行われる。
【0129】
ステップS102において運行情報の測定が開始されると、測位装置は、列車の駅からの発車が検知されたか否かを判定する(S104)。ステップS104における判定は、例えば、ステップS102において測定が開始された運行情報に基づいてパターン特定情報を記録するか否かで判定することができる。ここで、パターン特定情報は、測定される運行情報に応じた基準により記録される。
【0130】
ステップS104において列車の駅からの発車が検知されない場合には、測位装置は、列車の発車が検知されるまでステップS104の判定処理を繰り返す。
【0131】
また、ステップS104において列車の駅からの発車が検知された場合には、測位装置は、発車時刻をパターン特定情報に記録する(S106)。
【0132】
ステップS106において発車時刻がパターン特定情報に記録されると、測位装置は、列車の駅への到着が検知されたか否かを判定する(S108)。ステップS108における判定は、ステップS104と同様に、例えば、ステップS102において測定が開始された運行情報に基づいてパターン特定情報を記録するか否かで判定することができる。
【0133】
ステップS108において列車の駅への到着が検知されない場合には、測位装置は、列車の駅への到着が検知されるまでステップS108の判定処理を繰り返す。
【0134】
また、ステップS108において列車の駅への到着が検知された場合には、測位装置は、到着時刻をパターン特定情報に記録する(S110)。
【0135】
ステップS110において到着時刻がパターン特定情報に記録されると、測位装置は、各交通機関それぞれに対応する運行パターン情報と、記録されたパターン特定情報とのマッチング処理を行う(S112)。ここで、ステップS112において用いられる運行パターン情報は、測位装置に予め記憶された情報とすることができる。
【0136】
ステップS112においてマッチング処理が行われると、測位装置は、選択する運行パターン情報の候補があるか否かを判定する(S114)。
【0137】
ステップS114において選択する運行パターン情報の候補がないと判定された場合には、測位装置は、例外処理を行う(S118)。ステップS118における例外処理としては、例えば、選択候補がない旨の警告情報を測位装置が備える表示部に表示することが挙げられるが、上記に限られない。ここで、ステップS118において例外処理が行われる状況としては、例えば、交通機関の運行に遅延が生じた場合などが挙げられる。
【0138】
ステップS118の例外処理を行った測位装置は、例えば、ステップS104からの処理を繰り返す。なお、ステップS118の例外処理を行った測位装置における以後の処理は、ステップS104からの処理を繰り返すことに限られず、例えば、運行情報の測定を終了することもできる。
【0139】
また、ステップS114において、選択する運行パターン情報の候補があると判定された場合には、測位装置は、当該候補となる運行パターン情報に基づいて、現在地候補を表示する(S116)。なお、図8では、ステップS116において現在地候補を表示することを示しているが、本発明の実施形態に係る測位方法は、上記に限られず、例えば、路線の候補を表示してもよい。
【0140】
ステップS116において現在地候補を表示した測位装置は、駅から退場したか否かを判定する(S120)。ステップS120における判定は、ステップS100と同様に、例えば、駅の改札機を通過するときに記録される非接触ICカードの通信記録を取得することにより行うことができるが、上記に限られず、ユーザが測位装置の操作部を用いて行うユーザ入力に基づいて行うこともできる。
【0141】
ステップS120において駅から退場したと判定される前にステップS104に示す発車が検知された場合には、測位装置は、ステップS104からの処理を繰り返す。
【0142】
また、ステップS120において駅から退場したと判定された場合には、測位装置は、運行情報の測定を終了する(S122)。
【0143】
本発明の実施形態に係る測位装置は、例えば、図8に示す測位方法を用いることによって、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0144】
[測位方法の第2の例]
本発明の実施形態に係る測位方法は、図8に示す方法に限られない。そこで次に、本発明の実施形態に係る測位方法の第2の例について説明する。図9は、本発明の実施形態に係る測位方法の第2の例を示す流れ図である。
【0145】
測位装置は、パターン特定補助情報を取得する(S200)。ここで、ステップS200において取得するパターン特定補助情報は、例えば、GPSより得られる緯度・経度の情報とすることができるが、上記に限られない。
【0146】
ステップS200において取得されたパターン特定補助情報を用いて、運行パターン情報の候補を絞り込む(S202)。なお、測位装置は、駅への入場が判定されて運行情報の測定が開始されるまで(後述するステップS206の処理が行われるまで)、ステップS200およびステップS202の処理を繰り返し行うことができる。
【0147】
測位装置は、図8に示す第1の例と同様に、駅に入場したか否かを判定する(S204)。ステップS204において駅に入場していないと判定された場合には、測位装置は、駅への入場が判定されるまで運行情報の測定を開始しない。
【0148】
ステップS204において駅に入場したと判定された場合には、測位装置は、図8に示す第1の例と同様に、運行情報の測定を開始する(S206)。
【0149】
ステップS206において運行情報の測定が開始されると、測位装置は、図8に示す第1の例と同様に、列車の駅からの発車が検知されたか否かを判定する(S208)。ステップS208において列車の駅からの発車が検知されない場合には、測位装置は、列車の発車が検知されるまでステップS208の判定処理を繰り返す。
【0150】
また、ステップS208において列車の駅からの発車が検知された場合には、測位装置は、図8に示す第1の例と同様に、発車時刻をパターン特定情報に記録する(S210)。
【0151】
ステップS210において発車時刻がパターン特定情報に記録されると、測位装置は、図8に示す第1の例と同様に、列車の駅への到着が検知されたか否かを判定する(S212)。ステップS212において列車の駅への到着が検知されない場合には、測位装置は、列車の駅への到着が検知されるまでステップS212の判定処理を繰り返す。
【0152】
また、ステップS212において列車の駅への到着が検知された場合には、測位装置は、図8に示す第1の例と同様に、到着時刻をパターン特定情報に記録する(S214)。
【0153】
ステップS214において到着時刻がパターン特定情報に記録されると、測位装置は、図8に示す第1の例と同様に、各交通機関それぞれに対応する運行パターン情報と、記録されたパターン特定情報とのマッチング処理を行う(S216)。
【0154】
ステップS216においてマッチング処理が行われると、測位装置は、図8に示す第1の例と同様に、選択する運行パターン情報の候補があるか否かを判定する(S218)。
【0155】
ステップS218において選択する運行パターン情報の候補がないと判定された場合には、測位装置は、図8に示す第1の例と同様に、例外処理を行い(S222)、例えば、ステップS208からの処理を繰り返す。
【0156】
また、ステップS218において、選択する運行パターン情報の候補があると判定された場合には、測位装置は、図8に示す第1の例と同様に、当該候補となる運行パターン情報に基づいて、現在地候補を表示する(S220)。
【0157】
ステップS220において現在地候補を表示した測位装置は、図8に示す第1の例と同様に、駅から退場したか否かを判定する(S224)。ここで、ステップS224において駅から退場したと判定される前にステップS208に示す発車が検知された場合には、測位装置は、ステップS208からの処理を繰り返す。
【0158】
また、ステップS224において駅から退場したと判定された場合には、測位装置は、運行情報の測定を終了する(S226)。そして、測位装置は、再度パターン特定補助情報の取得を行う(S228)。ここで、図9に示すステップS228は、ステップS200と同義の処理とすることができる。したがって、測位装置は、ステップS228の後ステップS202の処理が行い、図9に示す処理が繰り返し行われる。
【0159】
本発明の実施形態に係る測位装置は、例えば、図9に示す測位方法を用いることによって、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。また、図9に示す測位方法は、パターン特定補助情報を用いて予め運行パターン情報の候補を絞るので、ステップS216に示すマッチング処理の処理量を軽減することができる。
【0160】
[測位方法の第3の例]
本発明の実施形態に係る測位方法は、図8、図9に示す方法に限られない。そこで次に、本発明の実施形態に係る測位方法の第3の例について説明する。図10は、本発明の実施形態に係る測位方法の第3の例を示す流れ図である。
【0161】
測位装置は、図9に示す第2の例と同様に、パターン特定補助情報を取得する(S300)。そして、測位装置は、図9に示す第2の例と同様に、ステップS300において取得されたパターン特定補助情報を用いて、運行パターン情報の候補を絞り込む(S302:第1の絞込み処理)。
【0162】
また、測位装置は、時刻情報を取得する(S304)。そして、測位装置は、ステップS304において取得された時刻情報を用いて、運行パターン情報の候補を絞り込む(S306:第2の絞込み処理)。ここで、ステップS304において取得した時刻情報は、一種のパターン特定補助情報として捉えることができる。なお、本発明の実施形態に係る測位方法の第3の例は、図10に示す方法に限られず、例えば、ステップS300およびステップS302の処理と、ステップS304およびステップS306の処理とを入れ替えることもできる。また、本発明の実施形態に係る測位方法の第3の例は、ステップS300〜S306までの処理を、例えば、測定開始後(後述するステップS310後)に行うこともできる。
【0163】
測位装置は、図8に示す第1の例と同様に、駅に入場したか否かを判定する(S308)。ステップS308において駅に入場していないと判定された場合には、測位装置は、駅への入場が判定されるまで運行情報の測定を開始しない。
【0164】
ステップS308において駅に入場したと判定された場合には、測位装置は、図8に示す第1の例と同様に、運行情報の測定を開始する(S310)。
【0165】
ステップS310において運行情報の測定が開始されると、測位装置は、図8に示す第1の例と同様の処理によって、列車の駅からの発車、または列車の駅への到着が検知されたか否かを判定する(S312)。ステップS312において列車の駅からの発車、または列車の駅への到着が検知されない場合には、測位装置は、列車の発車、または列車の駅への到着が検知されるまでステップS312の判定処理を繰り返す。
【0166】
ステップS312において列車の駅からの発車、または列車の駅への到着が検知されたと判定された場合には、測位装置は、発車時刻または到着時刻をパターン特定情報に記録し、ΔD/ΔAを算出する(S314)。ここで、上記ΔDは、例えば、図5に示す発車時刻と到着時刻との差分であり、また、上記ΔAは、例えば、図5に示す到着時刻と発車時刻との差分である。なお、図10では、図示していないが、ステップS314においてΔD/ΔAが算出できない場合(例えば、パターン特定情報の情報量が少ない場合)には、測位装置は、再度ステップS312からの処理を繰り返すことができる。
【0167】
ステップS314においてΔD/ΔAが算出されると、測位装置は、ステップS306において絞り込まれた各運行パターン情報において、ΔD/ΔAによりスコアを設定する(S316)。
【0168】
ここで、ステップS316において設定されるスコアは、例えば、ステップS314において算出されたΔD/ΔAと、ステップS306において絞り込まれた各運行パターン情報から得られるΔD/ΔAとの差の相加平均の値が小さい運行パターン情報を、高スコアに設定することができるが、上記に限らない。
【0169】
ステップS316において各運行パターン情報に対してスコアが設定されると、測位装置は、設定されたスコアに基づいて現在地候補を表示する(S318)。ステップS318における現在地候補は、例えば、スコアに対する閾値処理により選択することができる。また、閾値処理に用いる閾値は、例えば、測位装置がパターン特定情報の情報量と閾値の値とが対応付けられたルックアップテーブル(Look Up Table)を用いることによって、パターン特定情報の情報量に応じて変動させることもできる。なお、図10では、ステップS318において現在地候補を表示することを示しているが、本発明の実施形態に係る測位方法は、上記に限られず、例えば、路線の候補を表示してもよい。
【0170】
ステップS318において現在地候補を表示した測位装置は、図8に示す第1の例と同様に、駅から退場したか否かを判定する(S320)。ここで、ステップS320において駅から退場したと判定される前にステップS312に示す発車、または到着が検知された場合には、測位装置は、ステップS312からの処理を繰り返す。
【0171】
また、ステップS320において駅から退場したと判定された場合には、測位装置は、運行情報の測定を終了する(S322)。また、図10では示していないが、ステップS322の処理の後、再度ステップS300からの処理を繰り返してもよい。
【0172】
本発明の実施形態に係る測位装置は、例えば、図10に示す測位方法を用いることによって、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。また、図10に示す測位方法は、パターン特定補助情報や時刻情報を用いて予め運行パターン情報の候補を絞るので、ステップS316に示すマッチング処理の処理量を軽減することができる。
【0173】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0174】
例えば、図3、図7に示す本発明の第1、第2の実施形態に係る測位装置では、パターン特定補助情報生成部を備える構成を示したが、本発明の実施形態は、かかる構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る測位装置は、パターン特定補助情報生成部を備えない構成とすることもできる。かかる構成であっても、測位装置は、第1、第2の実施形態に係る測位装置と同様に、交通機関の運行に伴う運行情報を測定することができるので、交通機関を用いて移動を行う場合において路線や位置を特定することができる。
【0175】
上述した構成は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、当然に、本発明の技術的範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明の実施形態に係る測位装置における測位の概要を説明するための説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る測位手段を説明するための説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る測位装置を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る運行パターン情報の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係るパターン特定情報の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る加速度の情報の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る測位装置を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態に係る測位方法の第1の例を示す流れ図である。
【図9】本発明の実施形態に係る測位方法の第2の例を示す流れ図である。
【図10】本発明の実施形態に係る測位方法の第3の例を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0177】
100、200 測位装置
102 記憶部
104 測定部
106 制御部
108 表示部
110 クロック生成部
112 時刻情報生成部
114 パターン特定補助情報生成部
120 パターン特定情報記録部
122 パターン照合部
202 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各交通機関の運行パターンがそれぞれ記録された運行パターン情報を少なくとも1以上記憶可能な記憶部と;
交通機関の運行に伴う運行情報を測定する測定部と;
前記測定部が測定した前記運行情報に基づいて、前記記憶部に記憶された前記運行パターン情報を特定するパターン特定情報を記録するパターン特定情報記録部と;
前記パターン特定情報に基づいて、前記記憶部に記憶された運行パターン情報の中から運行パターン情報を選択するパターン照合部と;
を備えることを特徴とする、測位装置。
【請求項2】
前記測定部は、加速度の変化を検出する加速度センサを備え、前記運行情報として前記交通機関の運行に伴う加速度を測定し、
前記パターン特定情報記録部は、前記測定部が測定した加速度に基づいて停止および発進を判定し、判定された停止と発進との時間間隔、および判定された発進と停止との時間間隔を前記パターン特定情報として記録することを特徴とする、請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記記憶部は、各交通機関の予め定められた各停止位置間における停止と発進との時間間隔、および発進と停止との時間間隔を前記運行パターン情報として記憶し、
前記パターン照合部は、パターン特定情報記録部が記録した前記パターン特定情報と、前記運行パターン情報それぞれとを比較して運行パターン情報を選択することを特徴とする、請求項2に記載の測位装置。
【請求項4】
時刻を規定する時刻情報を生成する時刻情報生成部をさらに備え、
前記測定部は、加速度の変化を検出する加速度センサを備え、前記運行情報として前記交通機関の運行に伴う加速度を測定し、
前記パターン特定情報記録部は、前記測定部が測定した加速度に基づいて停止および発進を判定し、判定された停止の時刻、および判定された発進の時刻を前記パターン特定情報として記録することを特徴とする、請求項1に記載の測位装置。
【請求項5】
前記記憶部は、各交通機関の予め定められた各停止位置における停止の時刻、および発進の時刻を前記運行パターン情報として記憶し、
前記パターン照合部は、パターン特定情報記録部が記録した前記パターン特定情報と、前記運行パターン情報それぞれとを比較して運行パターン情報を選択することを特徴とする、請求項4に記載の測位装置。
【請求項6】
前記測定部は、空気圧の変化を検出する空圧センサを備え、前記運行情報として前記交通機関の運行に伴う空気圧の変化を測定し、
前記パターン特定情報記録部は、前記測定部が測定した空気圧の変化が所定の閾値を満たす場合の時間間隔を前記パターン特定情報として記録することを特徴とする、請求項1に記載の測位装置。
【請求項7】
前記記憶部は、各交通機関の予め定められた各停止位置間の時間間隔を前記運行パターン情報として記憶し、
前記パターン照合部は、パターン特定情報記録部が記録した前記パターン特定情報と、前記運行パターン情報それぞれとを比較して運行パターン情報を選択することを特徴とする、請求項6に記載の測位装置。
【請求項8】
前記測定部は、集音のためのマイクロホンを備え、前記運行情報として前記交通機関の運行に伴う音声を測定し、
前記パターン特定情報記録部は、前記測定部が測定した音声が所定のパターンを有する場合に、前記音声を前記パターン特定情報として記録することを特徴とする、請求項1に記載の測位装置。
【請求項9】
前記記憶部は、各交通機関の予め定められた各停止場所を特定する単語を前記運行パターン情報として記憶し、
前記パターン照合部は、パターン特定情報記録部が記録した音声から認識される単語と、前記運行パターン情報それぞれとを比較して運行パターン情報を選択することを特徴とする、請求項8に記載の測位装置。
【請求項10】
前記測定部は、撮像を行う撮像部を備え、前記運行情報として撮像による画像を取得し、
前記パターン特定情報記録部は、前記測定部が撮像した画像から所定の対象を認識した場合に、前記画像を前記パターン特定情報として記録することを特徴とする、請求項1に記載の測位装置。
【請求項11】
前記記憶部は、各交通機関の予め定められた各停止場所を特定する所定の対象を含む画像を前記運行パターン情報として記憶し、
前記パターン照合部は、パターン特定情報記録部が記録した画像と、前記運行パターン情報それぞれとを比較して運行パターン情報を選択することを特徴とする、請求項10に記載の測位装置。
【請求項12】
前記パターン照合部は、前記パターン特定情報と選択された前記運行パターン情報とに基づいて、路線および/または位置を特定することを特徴とする、請求項1に記載の測位装置。
【請求項13】
前記パターン照合部が特定した前記路線および/または前記位置の情報を表示する表示部をさらに備えることを特徴とする、請求項12に記載の測位装置。
【請求項14】
外部装置と通信を行う通信部をさらに備え、
前記パターン照合部は、前記パターン照合部が特定した前記路線および/または前記位置の情報を前記外部装置へ送信させることを特徴とする、請求項12に記載の測位装置。
【請求項15】
表示部をさらに備え、
前記パターン照合部は、前記パターン特定情報と選択した運行パターン情報に基づいて、移動経路の情報を前記表示部に表示させることを特徴とする、請求項1に記載の測位装置。
【請求項16】
外部装置と通信を行う通信部をさらに備え、
前記パターン照合部は、前記移動経路の情報を前記外部装置へ送信させることを特徴とする、請求項15に記載の測位装置。
【請求項17】
前記パターン照合部における運行パターン情報の選択を補助するためのパターン特定補助情報を生成するパターン特定補助情報生成部をさらに備え、
前記パターン照合部は、前記パターン特定補助情報に基づいて、前記記憶部に記憶された運行パターン情報の中から選択候補を絞り込むことを特徴とする、請求項1に記載の測位装置。
【請求項18】
各交通機関の運行パターンがそれぞれ記録された運行パターン情報を少なくとも1以上記憶可能な記憶部を備える測位装置における測位装置であって:
交通機関の運行に伴う運行情報を測定するステップと;
前記測定するステップにおいて測定された前記運行情報に基づいて、前記記憶部に記憶された前記運行パターン情報を特定するパターン特定情報を記録するステップと;
前記記録するステップにおいて記録されたパターン特定情報に基づいて、前記記憶部に記憶された運行パターン情報の中から運行パターン情報を選択するステップと;
を有することを特徴とする、測位方法。
【請求項19】
各交通機関の運行パターンがそれぞれ記録された運行パターン情報を少なくとも1以上記憶可能な記憶部を備える測位装置において用いることが可能なプログラムであって:
交通機関の運行に伴う運行情報を測定するステップ;
前記測定するステップにおいて測定された前記運行情報に基づいて、前記記憶部に記憶された前記運行パターン情報を特定するパターン特定情報を記録するステップ;
前記記録するステップにおいて記録されたパターン特定情報に基づいて、前記記憶部に記憶された運行パターン情報の中から運行パターン情報を選択するステップ;
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−63445(P2009−63445A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231906(P2007−231906)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】