説明

測位装置、測位方法および測位プログラム

【課題】 状況に応じて精度の高い測位結果を取得する。
【解決手段】 測位サーバ100において、通信部110は移動体の擬似距離と擬似距離補正値とを受信する。擬似距離補正測位部120は擬似距離補正値で擬似距離を補正し、補正した擬似距離を用いて測位する。また、通信部110は基準局の擬似距離と移動体の単独測位の結果とを受信する。単独測位部130は基準局の擬似距離を用いて基準局についての単独測位を行う。位置補正データ生成部140は基準局の単独測位結果と正確な座標値との差分から位置補正値を算出する。位置補正データスムージング処理部150はこれまでの位置補正値を平滑化した位置補正値を算出する。位置補正測位部160は位置補正値で移動体の単独測位の結果を補正して測位する。そして、測位結果選択部170は擬似距離補正測位部120の測位結果と位置補正測位部160の測位結果とで精度の高い方の測位結果を選択し出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星測位システムにおける測位装置、測位方法および測位プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のセンター型DGPS(Differential Global Positioning System)方式では、各衛星の擬似距離データを端末側からセンターに送信し、センターで端末から送られてきた擬似距離データと補正データを用いてDGPS計算をして高精度化処理を行っていた。
【特許文献1】特開2001−014585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、擬似距離データはマルチパスの影響により実際の擬似距離に対して数百m以上の誤差を持つ場合があるため、端末で計算された単独測位結果より精度劣化する場合がある。
【0004】
本発明は、上記の課題などを解決するためになされたもので、状況に応じて、精度の高い測位結果を取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の測位装置は、擬似距離補正データと測位対象装置の擬似距離データとを入力し、前記擬似距離補正データに基づき前記擬似距離データを補正し、補正した擬似距離データに基づいて前記測位対象装置の位置を測位し、測位した前記測位対象装置の位置を示す第1の測位結果データを出力する第1の測位部と、DGPSにおける位置補正データと前記測位対象装置の位置データとを入力し、前記位置補正データに基づき前記位置データを補正して前記測位対象装置の位置を測位し、測位した前記測位対象装置の位置を示す第2の測位結果データを出力する第2の測位部と、前記第1の測位部が出力した第1の測位結果データと前記第2の測位部が出力した第2の測位結果データとのいずれかの測位結果データを選択し、選択した前記測位結果データを前記測位対象装置の位置を示す測位結果データとして出力する測位結果選択部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第1の測位結果と第2の測位結果とのいずれかの測位結果を選択することにより、より精度の高い測位結果を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
参考例1.
擬似距離を補正し、補正した擬似距離を用いて測位するDGPS(Differential Global Positioning System)について以下に説明する。
【0008】
ここで、GPSとは、測位衛星が発信する搬送波を観測し、観測情報に基づいて測位する測位システムのことである。
また、搬送波とは、測位衛星の軌道情報(エフェメリス、アルマナック)などのデータ(航法メッセージ)を表す測距信号を伝搬する電波のことである。
また、観測情報とは、測距信号の表すデータや擬似距離を含むデータのことである。
また、擬似距離は、搬送波を受信する受信機と測位衛星との距離を示し、搬送波の伝搬時間に光速を乗じて算出した距離のことである。搬送波の伝搬速度は、通常は光速であるが、電離層や対流圏などの影響により伝搬速度は減速する。このため、搬送波の伝搬は遅延し、伝搬時間に光速を乗じて算出した距離は、受信機と測位衛星との実際の距離と相違する誤差を含んだ距離であり、擬似距離と呼ばれる。受信機は、測位衛星と同期を取って生成した信号と受信した搬送波(測距信号)との位相差に基づいて搬送波の伝搬時間を算出する。
また、GPSでの測位処理では、測位対象(受信機)の座標(位置)を示す「緯度」、「経度」、「高さ」と、測距信号の同期を取るために用いる測位衛星の時計と受信機の時計との「時計誤差」との4つの値が未知数であるため、4つの擬似距離とそれぞれの擬似距離に対応する測位衛星の座標を用いて4つの連立方程式を生成し、連立方程式を計算することで測位対象の位置(座標)を算出する。測位衛星の座標は測距信号の表す測位衛星の軌道情報に基づいて算出し取得する。
【0009】
また、DGPSとは、基準局で観測した観測情報に基づいて擬似距離または測位結果(位置)を補正して測位する測位システムのことである。
また、基準局とは、正確な位置を示す座標値が既知である固定の設備であり、搬送波を受信し観測情報を取得する受信機を備える。
【0010】
以下、DGPSにおいて、擬似距離を補正する補正値を擬似距離補正値、測位結果(位置)を補正する補正値を位置補正値とする。
また、擬似距離補正値で補正した擬似距離を用いて行う測位を擬似距離補正測位とする。擬似距離補正測位では、補正した擬似距離を用いて上述のGPSでの測位処理と同様に測位処理を行う。
また、位置補正値で測位結果を補正する測位処理を位置補正測位とする。位置補正測位では、補正した測位結果の示す座標を測位対象の位置とする。
また、擬似距離補正測位、位置補正測位を用いないGPSの測位を単独測位とする。
また、単独測位により算出した座標値を座標概算値とする。
また、正確な位置を示す座標値を座標真値とする。
【0011】
DGPSでは、基準局と各測位衛星との実際の距離と擬似距離との差分に基づいて、各測位衛星毎に擬似距離補正値を算出する。
また、基準局が実際に位置する座標と測位結果の示す座標との差分に基づいて位置補正値を算出する。
また、各基準局毎に擬似距離補正値、位置補正値を算出する。
【0012】
そして、測位対象の近隣の基準局に対応する擬似距離補正値または位置補正値を用いて補正処理を行い測位する。近隣に位置する測位対象と基準局とでは電離層や対流圏の影響が同程度となり搬送波の伝搬の遅延により生じる誤差量が近似する。つまり、擬似距離補正値または位置補正値を用いた補正処理を行うことで、測位対象の位置する場所における搬送波の伝搬の遅延により生じる誤差量を補うことができ、DGPSはGPSに比べ高い精度の測位結果が得られる。
【0013】
図1は、衛星測位システム(DGPS)の構成図である。
擬似距離を補正し、補正した擬似距離を用いて測位するDGPSの構成例について、図1に基づいて以下に説明する。
【0014】
衛星測位システムは以下の構成要素を備える。
測位対象である移動体の測位用装置である移動体装置400。
各地を移動する各移動体の位置情報を管理する移動体管理サーバ500。
移動体装置400と移動体管理サーバ500との間でデータの転送を行う通信装置620。
基準局の測位用装置である基準局装置200。
各地に点在する基準局の観測情報(基準局擬似距離、航法メッセージ)を管理し、擬似距離補正値を算出する基準局管理サーバ300。
基準局装置200かと基準局管理サーバ300との間でデータの転送を行う通信装置610。
擬似距離補正測位を行う測位サーバ100。
【0015】
また、各構成要素はそれぞれ以下の構成をとる。
【0016】
移動体装置400は、GPS受信部410、単独測位部420および通信部430を備える。
GPS受信部410は、測位衛星から測距信号を乗せた搬送波を受信し、測位衛星と移動体との擬似距離(以下、移動体擬似距離とする)を算出する。
単独測位部420は単独測位を行う。
通信部430は通信装置620と無線でデータの送受信を行う。
【0017】
移動体管理サーバ500は、通信部510と管理部520とを備える。
通信部510は、通信装置620を介して移動体装置400とデータの送受信を行う。また、測位サーバ100とデータの送受信を行う。
管理部520は、測位サーバ100が測位した移動体の座標値に基づいて各移動体に対する管理処理を行う。
【0018】
基準局装置200は、GPS受信部210と通信部220とを備える。
GPS受信部210は、測位衛星から測距信号を乗せた搬送波を受信し、測位衛星と基準局との擬似距離(以下、基準局擬似距離とする)を算出する。
通信部220は、通信装置610と無線でデータの送受信を行う。
【0019】
基準局管理サーバ300は、通信部310、擬似距離補正データ生成部320および記憶部390を備える。
通信部310は、通信装置610を介して基準局装置200とデータの送受信を行う。また、測位サーバ100とデータの送受信を行う。
擬似距離補正データ生成部320は擬似距離補正値を算出する。
記憶部390は各基準局の座標真値を記憶する。
【0020】
測位サーバ100は、通信部110と擬似距離補正測位部120とを備える。
通信部110は、移動体管理サーバ500および基準局管理サーバ300とデータの送受信を行う。
擬似距離補正測位部120は擬似距離補正測位を行う。
【0021】
図2は、衛星測位システム(DGPS)の測位処理の流れを示すフローチャートである。
図1で説明した衛星測位システム(DGPS)の測位処理の流れについて、図2に基づいて以下に説明する。
【0022】
(擬似距離生成工程/処理)
まず、移動体装置400は、測位衛星から測距信号を乗せた搬送波を受信し(S101)、移動体擬似距離を移動体管理サーバ500に送信する(S102)。
【0023】
(擬似距離出力工程/処理)
次に、移動体管理サーバ500は、移動体装置400が送信した移動体擬似距離を受信し(S103)、測位サーバ100に送信する(S104)。
【0024】
(観測情報取得工程/処理)
また、基準局装置200は、測位衛星から測距信号を乗せた搬送波を受信し(S105)、観測情報を基準局管理サーバ300に送信する(S106)。
【0025】
(擬似距離補正値算出工程/処理)
次に、基準局管理サーバ300は、基準局装置200が送信した観測情報を受信し(S107)、擬似距離補正値を生成し(S108)、測位サーバ100に送信する(S109)。
【0026】
(擬似距離補正測位工程/処理)
次に、測位サーバ100は、移動体管理サーバ500が送信した移動体擬似距離を受信(S110)すると共に、基準局管理サーバ300が送信した擬似距離補正値を受信し(S111)、擬似距離補正値により移動体擬似距離を補正し(S112)、補正した擬似距離を用いて測位計算(S113)し、測位結果を移動体管理サーバ500に送信する(S114)。
【0027】
(測位結果管理工程/処理)
次に、移動体管理サーバ500は、測位サーバ100が送信した測位結果を受信し(S115)、各移動体に対する管理処理を行う(S116)。
【0028】
次に、各処理の詳細について説明する。
【0029】
S101〜S102の処理について以下に説明する。
移動体装置400において、GPS受信部410は、測位衛星から測距信号を乗せた搬送波を受信し、移動体擬似距離を算出し、移動体擬似距離を示す移動体擬似距離データを出力する。移動体擬似距離の算出方法は、上述のGPSでの擬似距離の算出方法を用いる。
また、単独測位部420は、GPS受信部410が出力した移動体擬似距離データを入力し、移動体擬似距離を用いて単独測位を行い、測位結果である移動体の座標値を示すデータ(移動体単独測位結果)を出力する。単独測位の処理方法は、上述のGPSでの測位処理方法を用いる。
また、通信部430は、GPS受信部410が出力した移動体擬似距離データと単独測位部420が出力した移動体単独測位結果とを無線で通信装置620に送信する。
【0030】
S103〜S104の処理について以下に説明する。
移動体管理サーバ500において、通信部510は、移動体装置400が送信し通信装置620が転送した移動体擬似距離データと移動体単独測位結果とを受信する。また、受信した移動体擬似距離データと移動体単独測位結果とを測位サーバ100に送信する。
【0031】
S105〜S106の処理について以下に説明する。
基準局装置200において、GPS受信部210は、測位衛星から測距信号を乗せた搬送波を受信し、基準局擬似距離を算出する。そして、基準局擬似距離を示す基準局擬似距離データを含む観測情報を出力する。観測情報には測位衛星の軌道情報のデータも含まれる。基準局擬似距離の算出方法は、上述のGPSでの擬似距離の算出方法を用いる。
また、通信部220は、GPS受信部210が出力した観測情報を無線で通信装置610に送信する。
【0032】
S107〜S109の処理について以下に説明する。
基準局管理サーバ300において、通信部310は、基準局装置200が送信し通信装置610が転送した観測情報を受信する。
次に、擬似距離補正データ生成部320は、通信部310が受信した観測情報を入力し、記憶部390から各基準局の座標真値を示す基準局座標真値データを入力する。次に、観測情報から軌道情報(エフェメリスなど)を取得し、軌道情報に基づいて測位衛星の座標値を算出する。次に、算出した測位衛星の座標値と基準局座標真値データの示す基準局の座標真値とに基づいて基準局と測位衛星との距離を算出する。そして、算出した基準局と測位衛星との距離と観測情報に含まれる基準局擬似距離との差分に基づいて擬似距離補正値を算出し、算出した擬似距離補正値を示す擬似距離補正データを出力する。
次に、通信部310は、擬似距離補正データ生成部320が出力した擬似距離補正データを測位サーバ100に送信する。
【0033】
S110〜S114の処理について以下に説明する。
測位サーバ100において、通信部110は、移動体管理サーバ500が送信した移動体擬似距離データと移動体単独測位結果とを受信する。また、基準局管理サーバ300が送信した擬似距離補正データを受信する。
次に、擬似距離補正測位部120は、通信部110が受信した移動体擬似距離データ、移動体単独測位結果および擬似距離補正データを入力して擬似距離補正測位処理を行い、測位結果である移動体の座標値を示すデータ(擬似距離補正測位結果)を出力する。擬似距離補正測位の処理方法は、上述のDGPSでの擬似距離補正測位の処理方法を用いる。このとき、擬似距離補正測位部120は、移動体単独測位結果の示す移動体の座標概算値に基づいて、移動体の近隣に位置する基準局に対応する擬似距離補正値を選択し、選択した擬似距離補正値を用いて補正処理して測位する。このため、擬似距離補正測位部120は、基準局(または基準局の座標真値)に対応して擬似距離補正値が示される擬似距離補正データを入力データとする。例えば、擬似距離補正データが擬似距離補正値と共に基準局の座標値を示してもよいし、測位サーバ100が各基準局の座標真値を記憶する記憶部(図示しない)を備え、擬似距離補正データが擬似補正値と共に基準局の識別情報を示し、測位サーバ100が基準局の識別情報に対応する基準局の座標値を記憶部から取得してもよい。
そして、通信部110は、擬似距離補正測位部120が出力した測位結果を示すデータを移動体管理サーバ500に送信する。
以下、測位サーバ100の測位結果のデータをサーバ測位結果とする。
【0034】
S115〜S116の処理について以下に説明する。
このとき、移動体管理サーバ500において、通信部510は、測位サーバ100が送信したサーバ測位結果を受信する。
そして、管理部520は、通信部510が受信したサーバ測位結果を入力し、サーバ測位結果の示す移動体の座標値に基づいて各種の管理処理を行う。例えば、タクシー会社の配車システムに利用する場合、移動体管理サーバ500は、各タクシーの走行位置に基づいて指定場所に配車する最適なタクシーを抽出するなどの管理処理を行う。
【0035】
上記参考例1では、擬似距離補正測位により高精度な測位結果を取得する衛星測位システム(DGPS)について説明した。
【0036】
擬似距離補正測位を行う衛星測位システムでは、利用者(例えば、上記参考例1における移動体管理サーバ500の運用者)の通信費用の削減のために、移動体装置400から測位サーバ100への移動体擬似距離データの送信回数を抑制する運用が考えられる。この場合、移動体管理サーバ500は、移動体装置400からの移動体擬似距離データの送信を行わないために測位サーバ100が測位処理できない時間帯の移動体の座標値を、外挿による測位計算により算出する。
しかし、移動体がオープンスカイ環境に位置しない場合には、搬送波のマルチパスが発生し、マルチパスの影響により移動体装置400が算出する擬似距離に大きな誤差が発生する。例えば、マルチパスの影響により数百m以上の誤差が発生する。マルチパスで発生するこのような大きな誤差は擬似距離補正値で補正することができない。このため、移動体がオープンスカイ環境に位置しない場合には、測位サーバ100の算出する測位結果の精度が低下する。つまり、精度の低い測位結果に基づいて移動体管理サーバ500が外挿により算出する測位結果の精度も低下する。
【0037】
実施の形態1.
実施の形態1では、測位サーバ100が状況に応じて最適な測位結果を取得する衛星測位システム(DGPS)について説明する。
以下、上記参考例1で示した衛星測位システム(DGPS)と異なる部分について主に説明する。
【0038】
実施の形態1において、移動体装置400の単独測位部420はカルマンフィルタ処理により測位を行う。カルマンフィルタ処理とは、測位結果に対して、移動体の位置、加速度、方位などの状態量を力学的にモデル化(状態方程式、観測方程式)し、モデル化した状態方程式、観測方程式で外挿して移動体の状態量(位置)の精度を高める処理である。上記参考例1で説明した単独測位により算出した位置と比べ、カルマンフィルタ処理により算出した位置の方が精度は高い。以下、カルマンフィルタ処理により算出した位置を示す座標値を座標外挿値とする。
また、基準局管理サーバ300は、基準局装置200から通信装置610を介して受信した基準局の観測情報を擬似距離補正データと共に測位サーバ100に送信する。
また、基準局管理サーバ300の擬似距離補正データ生成部320は面補正(FKP)方式により擬似距離補正値を算出する。面補正方式ではより精度の高い擬似距離補正値を算出することができる。つまり、面補正方式により算出した擬似距離補正値を用いた擬似距離補正測位ではより精度の高い測位結果を算出することができる。
【0039】
図3は、実施の形態1における測位サーバ100の構成図である。
実施の形態1における測位サーバ100の構成について、図3に基づいて以下に説明する。
【0040】
測位サーバ100は、通信部110、擬似距離補正測位部120、単独測位部130、位置補正データ生成部140、位置補正データスムージング処理部150、位置補正測位部160、測位結果選択部170および記憶部190を備える。
【0041】
通信部110は、基準局管理サーバ300および移動体管理サーバ500とデータの送受信を行う。
擬似距離補正測位部120は擬似距離補正測位を行う。
単独測位部130は単独測位を行う。
位置補正データ生成部140は位置補正値を算出する。
位置補正データスムージング処理部150は位置補正値について平滑化処理を行う。
位置補正測位部160は位置補正測位を行う。
測位結果選択部170は、擬似距離補正測位による測位結果と位置補正測位による測位結果とで精度の高い方の測位結果を選択する。
記憶部190は、各基準局の座標真値を記憶する。
【0042】
図4は、実施の形態1における測位サーバ100の測位処理の流れを示すフローチャートである。
実施の形態1における測位サーバ100の測位処理について、図4に基づいて以下に説明する。
【0043】
測位サーバ100は、擬似距離補正測位(S201〜S203)と位置補正測位(S204〜S208)とを行い、擬似距離補正測位の測位結果と位置補正測位の測位結果とで精度の高い方の測位結果を選択し(S209)、選択した測位結果を出力する(S210)。
【0044】
次に、各処理の詳細について説明する。
【0045】
S201〜S203(擬似距離補正測位)について説明する。
擬似距離補正測位については、上記参考例1で説明した処理と同様である。
【0046】
つまり、通信部110は、移動体管理サーバ500から移動体擬似距離データを受信し、基準局管理サーバ300から擬似距離補正データを受信する(S201:擬似距離補正測位入力工程/処理)。
次に、擬似距離補正測位部120は、通信部110が受信した移動体擬似距離データの示す移動体擬似距離を擬似距離補正データの示す擬似距離補正値で補正計算する(S202:擬似距離補正工程/処理)。
そして、擬似距離補正測位部120は、補正した擬似距離を用いて測位計算し、測位結果(擬似距離補正測位結果)を出力する(S203:擬似距離補正測位工程/処理)。
【0047】
S204〜S208(位置補正測位)について説明する。
【0048】
通信部110は、基準局管理サーバ300から基準局擬似距離データを受信し、移動体管理サーバ500から移動体単独測位結果を受信する(S204:位置補正測位入力工程/処理)。
【0049】
次に、単独測位部130は、通信部110が受信した基準局擬似距離データを入力し、基準局擬似距離を用いて単独測位を行い、測位結果である基準局の座標値を示すデータ(基準局単独測位結果)を出力する(S205:単独測位工程/処理)。
単独測位部130が行う単独測位処理は、上記参考例1で説明した移動体装置400の単独測位部420が行う単独測位処理と同様である。
【0050】
次に、位置補正データ生成部140は、位置補正値を算出し記憶部190に記憶する(S206:位置補正データ生成工程/処理)。
【0051】
次に、位置補正データスムージング処理部150は、位置補正値に対する平滑化処理を行い、平滑化処理した位置補正値を示す位置補正データを出力する(S207:位置補正データ平滑化工程/処理)。
【0052】
次に、位置補正測位部160は、位置補正データの示す位置補正値で移動局単独測位結果の示す移動局の座標値(位置)を補正し、補正した結果を示すデータ(位置補正測位結果)を出力する(S208:位置補正測位工程/処理)。
【0053】
次に、測位結果選択部170は、擬似距離補正測位結果と位置補正測位結果とで精度の高い方の測位結果を選択し出力する(S209:測位結果選択工程/処理)。
【0054】
次に、通信部110は、測位結果選択部170が出力した測位結果を示すデータ(サーバ測位結果)を移動体管理サーバ500に送信する(S210:測位結果出力工程/処理)。
【0055】
さらに、各処理の詳細について説明する。
【0056】
S206(位置補正データの生成)について以下に説明する。
【0057】
位置補正データ生成部140は、単独測位部130が出力した基準局単独測位結果と記憶部190に記憶された基準局座標真値データとを入力する。そして、基準局単独測位結果の示す基準局の座標概算値と基準局座標真値データの示す基準局の座標真値との差分に基づいて補正値を算出する。
【0058】
「経度」の補正値を「Δλ」、「緯度」の補正値を「Δφ」、「高さ」の補正値を「Δh」で表す場合の位置補正値(Δφ、Δλ、Δh)の算出式は以下の通りである。
【0059】
Δλ = (λcalc − λtrue)×la(φtrue) (式1)
Δφ = (φcalc − φtrue)×lb(φtrue) (式2)
Δh = hcalc − htrue (式3)
ここで、
Δλ、Δφ、Δhの単位をメートル[m]
とする。
また、
基準局の座標真値(φtrue[deg]、λtrue[deg]、htrue[m])、
基準局の座標概算値(φcalc[deg]、λcalc[deg]、hcalc[m])、
la(φtrue):緯度φtrueにおける経度1度分の弧長[m/deg]、
lb(φtrue):緯度φtrueにおける緯度1度分の弧長[m/deg]
とする。
【0060】
S207(位置補正データの平滑化)について以下に説明する。
位置補正データスムージング処理部150は、位置補正データ生成部140が新たに生成した位置補正データと位置補正データスムージング処理部150が前回に平滑化した位置補正データとを記憶部190から入力する。
次に、各位置補正データに基づいて平滑化処理を行う。
そして、平滑化した位置補正データを記憶部190に記憶し、位置補正測位部160に出力する。
【0061】
平滑化処理とは、搬送波受信時の雑音特性、周辺環境などの複雑な要因により擬似距離に含まれる誤差を軽減すために、つまりは擬似距離から算出した座標概算値に基づく位置補正値の誤差を軽減するために、行う補正値の時間軸フィルタ処理である。
【0062】
平滑化した位置補正値を「Xout」、新たに生成した位置補正値を「Xin」で表す場合の平滑化計算式は以下の通りである。
【0063】
Xout(k)
= Xin(k)×(1/K(k))+ Xout(k−1)×(1−1/K(k))
(式4)
K(k) = min( K(k−1)+1、 Kmax )
Xout(0) = Xin(0)
K(0) = 0
ここで、Xin(k)とXout(k)は、時刻kにおけるフィルタ入出力である。
さらに、K(k)は、1、2、3、 ... Kmax となる系列である。
【0064】
例えば、平滑化の基準とする処理回数(Kmax)を「10」、前回に平滑化した位置補正値(Xout(k−1))を「100」、新たに生成した位置補正値(Xin(k))を「90」とし、平滑化処理を既に10(平滑化の基準とする処理回数(Kmax))回以上行っている場合、新たな位置補正値(Xout(k))の値は「99」となる。
この場合の算出式は以下の通りである。
【0065】
Xout(k)
= Xin(k)×(1/K(k))+ Xout(k−1)×(1−1/K(k))
= 90×(1/10) + 100×(1−1/10)
= 90×0.1 + 100×0.9
= 9 + 90 = 99
【0066】
また、Xin(k)が得られなかった場合は、以下のように値を更新しないこととする。
Xout(k) = Xout(k−1) (式5)
K(k) = K(k−1)
【0067】
S208(位置補正測位)について以下に説明する。
位置補正測位部160は、通信部110が受信した移動局単独測位結果と位置補正データスムージング処理部150が出力した位置補正データとを入力する。
次に、位置補正データの示す位置補正値で、移動局単独測結果の示す移動局の座標値(位置)を補正する。
そして、補正した移動局の座標値を示すデータ(位置補正測位結果)を出力する。
【0068】
図5は、実施の形態1における位置補正方法を示す図である。
位置補正方法について、図5に基づいて以下に説明する。
【0069】
図5の右図は、基準局単独測位結果の示す基準局の座標概算値と基準局座標真値データの示す基準局の座標真値との誤差ベクトルを表している。この誤差ベクトルは位置補正値を表す。つまり、図5の左図に示すように、移動体単独測位結果の示す移動体の座標外挿値から誤差ベクトル分の減算を行うことで位置補正できる。
【0070】
位置補正後の経度を「λm」、緯度を「φm」、高さを「hm」で表す場合の位置補正計算式は以下の通りである。
【0071】
λm = λr − Δλ/la(φr) (式6)
φm = φr − Δφ/lb(φr) (式7)
hm = hr − Δh (式8)
ここで、
位置補正した座標値(φm[deg]、λm[deg]、hm[m])、
座標外挿値(φr[deg]、λr[deg]、hr[m])、
位置補正値(Δφ[m]、Δλ[m]、Δh[m])、
la(φr):緯度φrにおける経度1度分の弧長[m/deg]、
lb(φr):緯度φrにおける緯度1度分の弧長[m/deg]
とする。
【0072】
S209(測位結果の選択)について以下に説明する。
【0073】
図6は、実施の形態1における測位結果選択方法を示すフローチャートである。
測位結果選択部170が行う測位結果の選択処理について、図6に基づいて以下に説明する。
【0074】
測位結果選択部170は、図6に示すように、擬似距離補正測位結果と位置補正測位結果とを入力し、各測位結果の示す位置の隔たり、つまり、各測位結果の示す座標値間の距離(両測位結果の相対距離p)に基づいて選択する測位結果の判定を行う。
【0075】
両測位結果の相対距離pは、以下の式で求まる。
【0076】
p=
[{(λm−λfkp)/la}^2+{(φm−φfkp)/lb}^2]^(1/2)
(式9)
ここで、
λm:位置補正測位による経度[deg]
λfkp:擬似距離補正測位による経度[deg]
φm:位置補正測位による緯度[deg]
φfkp:擬似距離補正測位による緯度[deg]
la:経度1度分の弧長[m]
lb:緯度1度分の弧長[m]
とする。
【0077】
測位結果選択部170は、上記の式により両測位結果の相対距離pを算出し、相対距離pと相対距離の閾値Pとを比較し、両測位結果の相対距離pが相対距離の閾値Pより大きい場合は位置補正測位結果を選択し、両測位結果の相対距離pが相対距離の閾値P以下の場合は擬似距離補正測位結果を選択する。
上記の式では緯度、経度について相対距離を算出したが、高さを加えて相対距離を算出してもよい。
【0078】
両測位結果の相対距離pが相対距離の閾値Pより大きい場合に位置補正測位結果を選択し、両測位結果の相対距離pが相対距離の閾値P以下の場合に擬似距離補正測位結果を選択する理由は以下の通りである。
【0079】
上記の各測位結果(座標概算値(単独測位)、座標外挿値(単独測位(カルマンフィルタ処理))、擬似距離補正測位結果、位置補正測位結果)の精度は、通常、以下の順となる。
【0080】
(通常時の各測位結果の精度比較)
座標概算値 < 座標外挿値 < 位置補正測位結果 < 擬似距離補正測位結果
(右にある測位結果ほど精度は高い)
【0081】
しかし、前述の通り、搬送波のマルチパスが発生した場合には、擬似距離補正測位結果の精度が落ち、位置補正測位結果の方が精度が高くなる場合がある。
【0082】
(マルチパス発生時の各測位結果の精度比較)
座標概算値 < 座標外挿値 < 擬似距離補正測位結果 < 位置補正測位結果
(右にある測位結果ほど精度は高い)
または、
座標概算値 < 擬似距離補正測位結果 < 座標外挿値 < 位置補正測位結果
擬似距離補正測位結果 < 座標概算値 < 座標外挿値 < 位置補正測位結果
【0083】
そこで、位置補正測位結果の精度に対応して閾値Pを設け、擬似距離補正測位結果と位置補正測位結果との相対距離pと閾値Pとの大小関係を判定することで精度の高い測位結果を選択することができる。
相対距離pが相対距離の閾値P以下の場合は擬似距離補正測位結果が最も精度が高く、相対距離pが相対距離の閾値Pより大きい場合は位置補正測位結果が最も精度が高い。
【0084】
上記では、基準局に対する単独測位や位置補正値の算出を測位サーバ100が行ったが、基準局に対する単独測位や位置補正値の算出を基準局装置200や基準局管理サーバ300で行い、測位サーバ100は基準局単独測位結果、位置補正データを受信し、受信した基準局単独測位結果、位置補正データに基づいて位置補正測位を行っても構わない。
【0085】
図7は、実施の形態1および参考例1における測位サーバ100の外観を示す図である。
図7において、測位サーバ100は、システムユニット910、CRT(Cathode Ray Tube)表示装置901、キーボード(K/B)902、マウス903、コンパクトディスク装置(CDD)905、プリンタ装置906、スキャナ装置907を備え、これらはケーブルで接続されている。
さらに、測位サーバ100は、FAX機932、電話器931とケーブルで接続され、また、ローカルエリアネットワーク(LAN)942、ウェブサーバ941を介してインターネット940に接続されている。
【0086】
図8は、実施の形態1および参考例1における測位サーバ100のハードウェア構成図である。
図8において、測位サーバ100は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)911を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、CRT表示装置901、K/B902、マウス903、FDD(Flexible Disk Drive)904、磁気ディスク装置920、CDD905、プリンタ装置906、スキャナ装置907と接続されている。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920、光ディスク装置は、不揮発性メモリの一例である。これらは、測位サーバ100の記憶部190や基準局管理サーバ300の記憶部390の一例である。
通信ボード915は、FAX機932、電話器931、LAN942等に接続されている。通信部110は通信ボード915を備え、移動体管理サーバ500、基準局管理サーバ300に接続されている。
例えば、通信ボード915、K/B902、スキャナ装置907、FDD904などは、情報入力部の一例である。
また、例えば、通信ボード915、CRT表示装置901などは、出力部の一例である。
【0087】
ここで、通信ボード915は、LAN942に限らず、直接、インターネット940、或いはISDN等のWAN(ワイドエリアネットワーク)に接続されていても構わない。直接、インターネット940、或いはISDN等のWANに接続されている場合、測位サーバ100は、インターネット940、或いはISDN等のWANに接続され、ウェブサーバ941は不用となる。
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム(OS)921、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923は、CPU911、OS921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0088】
上記プログラム群923には、実施の形態1および参考例1の説明において「〜部」として説明した機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、実施の形態1および参考例1の説明において、「〜を判定し」、「〜を判定した結果」、「〜を計算し」、「〜を計算した結果」、「〜を処理し」、「〜を処理した結果」、「〜測位し」、「〜測位した結果」のような表現で説明した結果情報が、「〜ファイル」として記憶されている。
また、実施の形態1および参考例1の説明において説明したフローチャートの矢印の部分は主としてデータの入出力を示し、そのデータの入出力のためにデータは、磁気ディスク装置920、FD(Flexible Disk cartridge)、光ディスク、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(Digital Versatile Disk)、その他の記録媒体に記録される。あるいは、信号線やその他の伝送媒体により伝送される。
【0089】
また、実施の形態1および参考例1の説明において「〜部」として説明したものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、ハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
【0090】
また、実施の形態1および参考例1を実施するプログラムは、磁気ディスク装置920、FD、光ディスク、CD、MD、DVD、その他の記録媒体による記録装置を用いて記憶されても構わない。
【0091】
また、基準局管理サーバ300や移動体管理サーバ500も測位サーバ100と同様な外観、ハードウェア構成を持つ。
また、移動体装置400や基準局装置200も測位サーバ100と同様に、磁気ディスク装置や半導体メモリなどの記憶媒体に、「〜部」で表した各部の機能を実行するプログラム、OS、ファイルなどを記憶し、CPU、OSによりプログラムを実行し、上記で説明した処理を行う。
【0092】
上記実施の形態1で、補正計算を観測点(移動体装置400、基準局装置200)で行わず、管理センター(測位サーバ100)で一括して行うシステムにおいて、擬似距離データを用いたDGPS方式(擬似距離補正測位)と、移動体の単独測位結果に基準局の単独測位結果の誤差ベクトルを引く位置補正DGPS方式(位置補正測位)を組合せ、測位結果選択部170が条件により両方式を切替ることをポイントした測位システム、測位方法について説明した。
また、センター方式では通信費削減のため、ある地点のデータのみを使用してDGPSをするが、擬似距離にてDPGSをした場合、ビルなどで発生したマルチパスの影響により単独測位結果より極端に精度が劣化する場合があるが、位置補正方式を組合せることにより安定的に高精度な測位結果を得る事ができることについて説明した。
また、位置補正方式を組合せることにより安定的に高精度な測位結果を得る事ができるのは以下の理由によることを説明した。移動体装置400では連続したデータを用いカルマンフィルタ処理を行うことにより、ある地点の擬似距離データの異常値を軽減することが可能である。そこで、移動体装置400の単独測位結果に、基準局の単独測位結果誤差ベクトルを引くことにより、単独測位結果より高精度な結果を得る事が可能となるためである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】衛星測位システム(DGPS)の構成図。
【図2】衛星測位システム(DGPS)の測位処理の流れを示すフローチャート。
【図3】実施の形態1における測位サーバ100の構成図。
【図4】実施の形態1における測位サーバ100の測位処理の流れを示すフローチャート。
【図5】実施の形態1における位置補正方法を示す図。
【図6】実施の形態1における測位結果選択方法を示すフローチャート。
【図7】実施の形態1および参考例1における測位サーバ100の外観を示す図。
【図8】実施の形態1および参考例1における測位サーバ100のハードウェア構成図。
【符号の説明】
【0094】
100 測位サーバ、110 通信部、120 擬似距離補正測位部、130 単独測位部、140 位置補正データ生成部、150 位置補正データスムージング処理部、160 位置補正測位部、170 測位結果選択部、190 記憶部、200 基準局装置、210 GPS受信部、220 通信部、300 基準局管理サーバ、310 通信部、320 擬似距離補正データ生成部、390 記憶部、400 移動体装置、410 GPS受信部、420 単独測位部、430 通信部、500 移動体管理サーバ、510 通信部、520 管理部、610,620 通信装置、901 CRT表示装置、902 K/B、903 マウス、904 FDD、905 CDD、906 プリンタ装置、907 スキャナ装置、910 システムユニット、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群、931 電話器、932 FAX機、940 インターネット、941 ウェブサーバ、942 LAN。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DGPS(Differential Global Positioning System)における擬似距離補正データと測位対象装置の擬似距離データとを入力し、前記擬似距離補正データに基づき前記擬似距離データを補正し、補正した擬似距離データに基づいて前記測位対象装置の位置を測位し、測位した前記測位対象装置の位置を示す第1の測位結果データを出力する第1の測位部と、
DGPSにおける位置補正データと前記測位対象装置の位置データとを入力し、前記位置補正データに基づき前記位置データを補正して前記測位対象装置の位置を測位し、測位した前記測位対象装置の位置を示す第2の測位結果データを出力する第2の測位部と、
前記第1の測位部が出力した第1の測位結果データと前記第2の測位部が出力した第2の測位結果データとのいずれかの測位結果データを選択し、選択した前記測位結果データを前記測位対象装置の位置を示す測位結果データとして出力する測位結果選択部と
を備えたことを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記測位結果選択部は、
前記第1の測位結果データの示す位置と前記第2の測位結果データの示す位置との隔たりを示す距離値と特定の距離を示す閾値とを比較し、距離値が閾値より大きい場合に前記第2の測位結果データを選択し、距離値が閾値以下の場合に前記第1の測位結果データを選択する
ことを特徴とする請求項1記載の測位装置。
【請求項3】
前記測位装置は、さらに、
前記位置補正データを記憶する位置補正データ記憶部を備え、
前記第2の測位部は、
過去の測位の際に前記位置補正データ記憶部に記憶された前記位置補正データと今回の測位で前記位置補正データ記憶部に記憶された前記位置補正データとに基づいて前記位置データを補正する
ことを特徴とする請求項1または請求項2いずれかに記載の測位装置。
【請求項4】
前記測位装置は、さらに、
基準局の座標の真値を示す基準局座標真値データを記憶する基準局座標真値記憶部と、
DGPSにおける前記基準局の観測データを入力し、入力した前記観測データに基づいて前記基準局の位置を測位し、測位した前記基準局の位置を示す基準局測位結果データを出力する基準局測位部と、
前記基準局座標真値記憶部に記憶された前記基準局座標真値データと前記基準局測位部が出力した前記基準局測位結果データとに基づいて前記位置補正データを生成する位置補正データ生成部と
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載の測位装置。
【請求項5】
前記第1の測位部は、
面補正処理に基づいて生成された前記擬似距離補正データを入力する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかに記載の測位装置。
【請求項6】
前記第2の測位部は、
カルマンフィルタ処理を用いた測位結果である前記測位対象装置の前記位置データを入力する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5いずれかに記載の測位装置。
【請求項7】
第1の測位として、DGPS(Differential Global Positioning System)における擬似距離補正データと測位対象装置の擬似距離データとを入力して前記擬似距離補正データに基づいて前記擬似距離データを補正し、補正した擬似距離データに基づいて前記測位対象装置の位置を測位し、第2の測位として、DGPSにおける位置補正データと前記測位対象装置の位置データとを入力して前記位置補正データに基づき前記位置データを補正して前記測位対象装置の位置を測位し、第1の測位の結果と第2の測位の結果とのいずれかの結果を選択し、選択した結果を前記測位対象装置の位置とする
ことを特徴とする測位方法。
【請求項8】
第1の測位として、DGPS(Differential Global Positioning System)における擬似距離補正データと測位対象装置の擬似距離データとを入力して前記擬似距離補正データに基づいて前記擬似距離データを補正し、補正した擬似距離データに基づいて前記測位対象装置の位置を測位し、第2の測位として、DGPSにおける位置補正データと前記測位対象装置の位置データとを入力して前記位置補正データに基づいて前記位置データを補正して前記測位対象装置の位置を測位し、第1の測位の結果と第2の測位の結果とのそれぞれが示す前記測位対象装置の位置の隔たりを示す距離値と特定の距離を示す閾値とを比較し、距離値が閾値より大きい場合に前記第2の測位の結果を選択し、距離値が閾値以下の場合に前記第1の測位の結果を選択し、選択した結果を前記測位対象装置の位置とする
ことを特徴とする測位方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8いずれかに記載の測位方法をコンピュータに実行させる測位プログラム。
【請求項10】
第1の測位手法により測位対象装置の位置を測位し、測位した前記測位対象装置の位置を示す第1の測位結果データを出力する第1の測位部と、
第1の測位手法とは異なる第2の測位手法により前記測位対象装置の位置を測位し、測位した前記測位対象装置の位置を示す第2の測位結果データを出力する第2の測位部と、
前記第1の測位部が出力した第1の測位結果データと前記第2の測位部が出力した第2の測位結果データとのいずれかの測位結果データを選択し、選択した前記測位結果データを前記測位対象装置の位置を示す測位結果データとして出力する測位結果選択部と
を備えたことを特徴とする測位装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−258461(P2006−258461A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−72884(P2005−72884)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】