説明

測光装置

【課題】測光装置において、被検面上で集光される照明光束の集光位置が被検面の面頂位置になるように被検体の位置を容易に調整して精度よく測光を行うことができるようにする。
【解決手段】光源1と、コリメータレンズ3と、照明光路に対して進退可能に保持され、進出時に、照明光束Lを被検面6aに集光しその反射光を測定光束Lとして集光する対物レンズ5と、測定光束Lを測定光束L4Aとして集光する集光光学系8と、分光器9と、第2ビームスプリッタ7と、対物レンズ5の進出時には被検面6aの像を結像し、退避時には被検面6aに照射された平行な照明光束Lの反射光による像を結像する観察光学系Obと、結像された光像を撮像するカメラ12と、この光像の位置を表示する位置表示部13と、被検体6を測定基準軸Pに沿う方向およびそれに直交する方向に移動可能に保持する移動ステージ14と、を備える測光装置50を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測光装置に関する。例えば、顕微測光装置、分光測光装置、顕微分光測光装置、分光反射率測定装置など被測定試料から出射された光の光量や光強度を測定する測光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、レンズ、ミラー等の光学素子を被検体として、被検面に照明光を照射して、その反射光を集光し、測光部によって測光を行う測光装置が種々知られている。
例えば、特許文献1には、計測光を発する光源と、前記光源からハーフミラーを介した計測光を測定試料面に到達させる対物レンズと、前記測定試料面からの反射光を前記対物レンズおよびハーフミラーを介して入射してその分光反射率を測定する分光反射率測定手段と、を備えた分光反射率測定装置において、前記ハーフミラーと前記分光反射率測定手段との間に、前記分光反射率測定手段に入射される反射光の光束を制限する光束制限手段を備えたことを特徴とする分光反射率測定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特解平10−90063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の測光装置には、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の分光反射率測定装置は、分光反射率測定手段に入射する前の平行光束の光路上に、被検面での反射光の光束径よりも小径の絞りを光束制限手段として設けている。
このため、被検体もしくは基準被検体の傾きが一定範囲内に収まっている場合には、反射光は絞りの開口を覆う範囲に向かって反射されるため、絞りを透過する光束の光量変動は生じないが、被検体もしくは基準被検体の配置誤差によって、許容範囲以上の傾きが生じていた場合には光量変動が生じることを防止することはできない。また、被検体もしくは基準被検体の配置誤差を検出する誤差検出手段を有しないため、このような被検面の性質によらない光量変動も被検面の測定値として測定され、不正確な測定になってしまうという問題がある。
また、近年、測定精度を向上するため、例えば、顕微分光装置などでは、測定波長によらない結像性能が得られる反射式対物光学系を用いる場合がある。このような反射式対物光学系は、凹面鏡と凸面鏡とを組み合わせて構成しているため、被検面からの反射光の出射方向によっては、対物光学系内部の凸面鏡などでのケラレが発生し、測光部で検出される光強度が変動するため、高精度の測定が困難になってしまうという問題がある。
したがって、特にこのような反射式対物光学系を用いる場合には、照明光束の光軸が被検面の面頂における法線と一致した状態で、照明光束を被検面の面頂位置に正確に集光させる必要がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、被検面上で集光される照明光束の集光位置が被検面の面頂位置になるように被検体の位置を容易に調整して精度よく測光を行うことができる測光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、光源と、該光源から出射された光束を平行な照明光束にするコリメータレンズと、前記照明光束の光路に対して進退可能に保持され、進出時に、前記照明光束を被検体の被検面に集光するとともに前記被検面からの反射光を集光して平行光束を形成する対物光学系と、該対物光学系によって形成された平行光束を集光する集光光学系と、前記対物光学系および前記集光光学系によって集光された前記被検面からの前記反射光を測光する測光部と、前記集光光学系に向かって進む光束の一部を分岐する光分岐素子と、前記対物光学系の進出時には、該対物光学系によって集光され前記光分岐素子によって分岐された光束による前記被検面の像を結像し、前記対物光学系の退避時には、前記被検面に照射された前記平行な照明光束の反射光による像を結像する観察光学系と、該観察光学系によって結像された光像を撮像する撮像部と、該撮像部によって撮像された画像に基づいて前記対物光学系および前記集光光学系の光軸が整列された測定光軸に対する前記光像の位置を表示する位置表示部と、前記被検体を、前記測定光軸に沿う方向および該測定光軸に直交する方向に移動可能に保持する被検体移動部と、を備える構成とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の測光装置において、前記観察光学系は、前記撮像部と前記光分岐素子との間の光路上に配置され、前記対物光学系の進出時に前記光分岐素子によって分岐された光束による前記被検面の像を結像する被検面観察光学系と、前記光分岐素子と前記被検面観察光学系との間の光路上に進退し、進出時に、前記被検面観察光学系と併せて、前記被検面の像が形成される像面に前記被検面に照射された前記平行な照明光束の反射光による像を結像する光学系を構成する偏心観察光学系と、を備える構成とする。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の測光装置において、前記対物光学系は、凹面鏡と凸面鏡とを組み合わせで構成される。
【0009】
請求項4に記載の発明では、光源と、該光源から出射された光束を平行な照明光束にするコリメータレンズと、前記照明光束の光路に対して進退可能に保持され、進出時に、前記照明光束を被検体の被検面に集光するとともに前記被検面からの反射光を集光して平行光束を形成する対物光学系と、該対物光学系によって形成された平行光束を集光する集光光学系と、前記対物光学系および前記集光光学系によって集光された前記被検面からの前記反射光を測光する測光部と、前記集光光学系に向かって進む光束の一部を分岐する光分岐素子と、前記対物光学系の進出時には、該対物光学系によって集光され前記光分岐素子によって分岐された光束による前記被検面の像を結像し、前記対物光学系の退避時には、前記平行な照明光束を前記被検面の球心位置に向けて集光するとともに集光された前記照明光束の前記被検面での反射光による像を結像する観察光学系と、該観察光学系によって結像された光像を撮像する撮像部と、該撮像部によって撮像された画像に基づいて前記対物光学系および前記集光光学系の光軸が整列された測定光軸に対する前記光像の位置を表示する位置表示部と、前記被検体を、前記測定光軸に沿う方向および該測定光軸に直交する方向に移動可能に保持する被検体移動部と、を備える構成とする。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の測光装置において、前記観察光学系は、前記撮像部と前記光分岐素子との間の光路上に配置され、前記対物光学系の進出時に前記光分岐素子によって分岐された光束による前記被検面の像を結像する被検面観察光学系と、前記光分岐素子と前記被検面との間の前記平行な照明光束の光路上において前記対物光学系と交替に進退し、進出時に、焦点面を前記被検面の球心位置に合わせる偏心観察光学系と、を備える構成とする。
【0011】
請求項6に記載の発明では、請求項4または5に記載の測光装置において、前記対物光学系は、凹面鏡と凸面鏡とを組み合わせで構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の測光装置によれば、対物光学系が退避した際に観察光学系によって被検面での反射光による像を結像し、位置表示部に表示された光像の位置を見て被検体移動部により被検面を移動できるため、対物光学系を介して被検面上で集光される照明光束の集光位置が被検面の面頂位置になるように被検体の位置を容易に調整して精度よく測光を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る測光装置の概略構成を示す模式的な構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る測光装置の位置調整時および測光時の模式的な光路図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る測光装置の位置調整前、位置調整後の被検面近傍の表示画面の一例を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る測光装置の位置表示部の位置調整工程における表示画面の一例を示す模式図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る測光装置の位置表示部の測光工程における表示画面の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の変形例に係る測光装置に用いる対物光学系の模式的な断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る測光装置の概略構成を示す模式的な構成図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る測光装置の対物光学系と偏心観察光学系の保持形態を示す模式的な正面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る測光装置の位置調整前、および位置調整後の模式的な光路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材等には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0015】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る測光装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る測光装置の概略構成を示す模式的な構成図である。図2(a)、(b)は、それぞれ本発明の第1の実施形態に係る測光装置の位置調整時、および測光時の模式的な光路図である。
なお、すべての図面において、楕円状に描かれた部材は、レンズ作用を有する光学素子を模式的に表示したものであり、特に断らない限りは、これらの構成が両凸単レンズに限定されることを表すものではない。また、本明細書において、特に断らない限りは、「レンズ」は、単レンズには限定されず、適宜枚数構成のレンズ群の場合を含むものとする。
【0016】
本実施形態の測光装置50は、図1に示すように、被検体6の被検面6a、あるいは分光反射率が既知の基準試料16の基準測定面16aを落射照明することによって、被検面6aあるいは基準測定面16aの分光スペクトルを測定し、それぞれの分光スペクトルの測定値から、基準測定面16aに対する被検面6aの相対分光反射率を算出して、被検面6aの分光反射率特性を測定(測光)するものである。
被検体6の種類は、被検面6aが曲率を有するものであれば、特に限定されず、例えば、レンズ、反射ミラー等の光学素子などを挙げることができる。被検体6の被検面6aは凹面であってもよいが、以下では、一例として、凸面の場合の例で説明する。
【0017】
測光装置50の概略構成は、光源1、ピンホール板2、コリメータレンズ3、第1ビームスプリッタ4、対物レンズ5(対物光学系)、保持台15、移動ステージ14(被検体移動部)、第2ビームスプリッタ7(光分岐素子)、集光光学系8、分光器9(測光部)、偏心観察光学系10、撮像光学系11(被検面観察光学系)、カメラ12(撮像部)、および位置表示部13を備える。
【0018】
後述するように、これら構成部材の一部は可動に保持され、測光動作時(以下、単に測光時と称する)の配置と、測光を開始する前の位置調整動作時(以下、単に位置調整時と称する)の配置とは異なる。
移動ステージ14、保持台15、対物レンズ5、第1ビームスプリッタ4、第2ビームスプリッタ7、集光光学系8、分光器9は、測光時において、分光器9の入射光軸で規定される測光装置50の測定基準軸P(測定光軸)上に、この順に配置される。位置調整時には、対物レンズ5が光路外に退避した配置とされる(図1の二点鎖線参照)。
また、コリメータレンズ3、ピンホール板2、光源1は、測光時、位置調整時とも、第1ビームスプリッタ4の側方において、第1ビームスプリッタ4の方からこの順に配置される。
また、撮像光学系11、カメラ12は、測光時、位置調整時とも、第2ビームスプリッタ7の側方において、第2ビームスプリッタ7の方からこの順に配置される。ただし、位置調整時には、第2ビームスプリッタ7と撮像光学系11との間の光路上に、偏心観察光学系10が進出した配置とされる(図1の二点鎖線参照)。
以下では、特に断らない限り、測光時の配置に基づいて説明する。
【0019】
光源1は、被検面6aを照明するための照明光束Lを発生するもので、例えば、ハロゲンランプや重水素ランプなどを採用することができる。また、被検体6の測定の目的によってはLEDや半導体レーザなどの発光素子からなる光源を採用してもよい。
光源1は、不図示のレンズを内蔵しており、内部で発生された照明光束Lを集光して、ピンホール板2を照明できるようになっている。
ピンホール板2は、被検面6aの一部をスポット状に照明するため、光源1から出射された照明光束Lの透過範囲を規制するピンホール2aを備える絞り部材である。
【0020】
コリメータレンズ3は、焦点位置がピンホール2aの中心に一致するように配置されたレンズであり、これにより、ピンホール2aから出射された照明光束Lを集光して平行光束である照明光束Lを形成し、光軸Pに沿って出射できるようになっている。
【0021】
第1ビームスプリッタ4は、集光光学系8と測光時の対物レンズ5との間の光路上で、コリメータレンズ3に対向する位置に配置され、コリメータレンズ3から出射された照明光束Lの一部を保持台15側に反射して、測定基準軸Pの軸上光束を形成する光路合成手段である。
また第1ビームスプリッタ4は、対物レンズ5側から入射する後述の測定光束Lの一部を透過させるようになっている。
第1ビームスプリッタ4としては、例えば、ハーフミラーなどを採用することができる。
【0022】
対物レンズ5は、第1ビームスプリッタ4で反射された照明光束Lを、保持台15によって保持された被検体6の被検面6aに向けて集光するとともに、照明光束Lが被検面6aで反射された測定光束Lを集光するため、レンズ光軸が測定基準軸Pと同軸に配置される無限遠設計の対物レンズである。
測定光束Lは、対物レンズ5の焦点位置が被検面6aの面上に位置する場合、および対物レンズ5の焦点位置が被検面6aの球心位置に位置する場合には、集光されて平行光束である測定光束Lを形成する。
また、対物レンズ5は、不図示の可動レンズホルダによって、測定基準軸P上に進退可能に保持されており、位置調整時には、測定基準軸Pに沿う光路から退避できるようになっている。
可動レンズホルダの構成は、例えば、顕微鏡に用いられるレボルバ等の回転保持機構や、測定基準軸Pに交差する方向にスライド移動する機構などを採用することができる。
また、可動レンズホルダの位置を切り替える構成は、手動で行う構成でもよいし、適宜コントローラを介して自動的に行う構成としてもよい。
【0023】
保持台15は、被検体6または基準試料16を、それぞれの被検面6a、基準測定面16aが対物レンズ5に対向するように保持する部材であり、移動ステージ14によって移動可能に保持されている。
【0024】
移動ステージ14は、保持台15を、測定基準軸Pに沿う方向と、測定基準軸Pに直交する2軸方向に移動可能に保持するものであり、例えば、XYZステージなどを好適に採用することができる。
なお、移動ステージ14は、測定の必要に応じて、例えば、測定基準軸Pに対する傾斜を調整する2軸のチルト機構などが設けられていてもよい。
【0025】
第2ビームスプリッタ7は、第1ビームスプリッタ4と集光光学系8との間の光路上で、撮像光学系11に対向する位置に配置され、対物レンズ5からの測定光束Lの一部を測定光束L3Aとして集光光学系8に向かって透過させるとともに、測定光束Lの他を被検面観察光束L3Bとして、撮像光学系11の光軸P上に反射する光分岐素子である。
第2ビームスプリッタ7としては、例えば、ハーフミラーなどを採用することができる。
【0026】
集光光学系8は、第2ビームスプリッタ7を透過した測定光束L3Aを集光し、測定光束L4Aとして、分光器9に入射させるものである。
【0027】
分光器9は、集光光学系8によって集光された測定光束L4Aの集光位置に入射開口を有するピンホール板9aと、回折格子9bと、受光素子9cとを備え、ピンホール板9aの入射開口から入射された測定光束L4Aを回折格子9bによって波長λごとに分解して、受光素子9c上の異なる画素位置に結像し、受光素子9cの受光量(光強度)を測定する測光部である。ここで、λの大きさは、回折格子9bと受光素子9cとの位置関係に応じて決まる受光素子9c上の画素位置と対応しているため、受光素子9cの出力からは、測定光束L4Aの分光スペクトルが得られる。
分光器9の入射光軸は測定基準軸Pを規定しており、ピンホール板9aの入射開口は集光光学系8の焦点位置に位置合わせして配置されている。
【0028】
偏心観察光学系10は、測定基準軸Pに沿う光路上から対物レンズ5が退避した位置調整時に、被検面6aからの反射光によって、撮像光学系11と併せて被検面6aの偏心を観察するための光学系を構成するものである。
偏心観察光学系10は、第2ビームスプリッタ7と撮像光学系11との間の光路上に進退可能に設けられ、進出時には、光軸Pと同軸となる位置に進出し、後述の撮像光学系11によって測光時に被検面6aの像が形成される像面と、被検面6aの測定基準軸Pに沿う方向の面頂から被検面6aの曲率中心Oの方に被検面6aの曲率半径の半分だけ離間した平面とを互いに共役の位置関係とする位置に配置される。
ここで、「被検面6aの面頂から被検面6aの曲率中心Oの方に被検面6aの曲率半径の1/2だけ離間した平面」は、被検面6aを反射面とする反射鏡の焦点面に相当する。
偏心観察光学系10を進退させる機構は、例えば、レボルバ等の回転保持機構や、光軸Pに交差する方向にスライド移動する機構などを採用することができる。
【0029】
撮像光学系11は、対物レンズ5が進出される測光時に、被検面観察光束L3Bによる被検面6aの像を結像させるレンズで構成される。
カメラ12は、撮像光学系11によって測光時の被検面6aの像が形成される像面に撮像面が配置された撮像素子12aを備え、被検面観察光束L3Bによる被検面6aの像を光電変換して画像信号を位置表示部13に送出する撮像部である。
【0030】
このように、測光装置50において、撮像光学系11と偏心観察光学系10とは、対物レンズ5の進出時には、偏心観察光学系10が退避して、撮像光学系11のみからなる光学系を形成し、対物レンズ5の退避時には、偏心観察光学系10が進出して、撮像光学系11と偏心観察光学系10とからなる光学系を形成するレンズ構成可変の観察光学系Obを構成している。
上記のような偏心観察光学系10の配置によれば、進出時の観察光学系Obは、測定基準軸Pに沿って平行光束を被検面6aに照射したときに、被検面6aの反射面としての焦点から発散する方向に進む被検面6aにおける反射光を結像することができる。すなわち、被検面6aにおける反射光のうち、測定基準軸Pに沿う方向の面頂を通る測定基準軸Pに平行な軸上の1点からから発散する反射光を結像することができる。
【0031】
位置表示部13は、カメラ12に電気的に接続され、カメラ12から送出される画像信号に基づいて、撮像光学系11によって結像された光像の測定基準軸Pに対する相対位置を表示画面13aに表示するものである。
本実施形態では、測定基準軸Pの位置に対応する十字線画像13bと、画像信号に基づく光像のスポット画像とを表示するモニタから構成されている。
ただし、位置表示部13は、画像処理や演算処理を行う処理部を備えることにより、これらの画像に加えて、測定基準軸Pに対する光像の位置ずれ量を数値化して表示する構成としてもよい。
【0032】
次に、本実施形態の測光装置50の動作について説明する。
図2(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る測光装置の位置調整時および測光時の模式的な光路図である。図3(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る測光装置の位置調整前、位置調整後の被検面近傍の表示画面の一例を模式的に示す説明図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る測光装置の位置表示部の位置調整工程における表示画面の一例を示す模式図である。図5は、本発明の第1の実施形態に係る測光装置の位置表示部の測光工程における表示画面の一例を示す模式図である。
【0033】
測光装置50によって、被検面6aの測光、例えば、被検面6aの相対分光反射率の測定を行う場合、測定者は、測光装置50の電源を投入し、保持台15に基準試料16を保持させて、基準測定面16aの面頂が対物レンズ5の集光位置に略一致するように予め設定された初期設置位置に移動ステージ14の位置を合わせる。また対物レンズ5および偏心観察光学系10の位置を測光時の配置に設定する。すなわち、対物レンズ5が測定基準軸P上の同軸位置に進出し、偏心観察光学系10が光軸Pに沿う光路から退避する配置とする。また、基準試料16の基準測定面16aを平面とする場合は、基準試料16配置時に、基準測定面16aが測定基準軸Pに対して所定の角度以下に配置されれば良いため、測定基準軸Pに沿う方向の調整は省略してよい。
次に、後述する位置調整工程と測光工程とを行って、基準試料16の基準測定面16aの分光スペクトルを測定する。
その後、保持台15の基準試料16を被検体6に交換して、対物レンズ5および偏心観察光学系10を測光時の配置として、基準試料16を配置した場合と同様な位置調整工程と測光工程とを行って、被検面6aの分光スペクトルを測定する。
そして、基準測定面16aの分光スペクトルに対する被検面6aの分光スペクトルの比を算出することにより、被検面6aの相対分光反射率が求められる。
ここで、測光の対象となる被検面が、基準試料16の基準測定面16aであっても被検体6の被検面6aであっても、位置調整工程と測光工程とにおける測光装置50の動作は同じであるため、以下では、被検面6aにおける位置調整工程と測光工程とを説明する。
【0034】
まず、測光装置50の光源1を点灯させると、図1に示すように、光源1から出射された照明光束Lによってピンホール板2が照明される。ピンホール板2のピンホール2aは、コリメータレンズ3の焦点位置に配置されているため、照明光束Lのうちピンホール2aを透過した照明光束Lは、コリメータレンズ3に入射して平行光束である照明光束Lとなって第1ビームスプリッタ4に到達する。
【0035】
第1ビームスプリッタ4では、照明光束Lの一部が対物レンズ5側に反射され、測定基準軸Pに沿って進む軸上光束として対物レンズ5に入射する。この照明光束Lは、対物レンズ5の焦点位置に向けて集光され、被検面6aに到達する。
ここで、対物レンズ5の焦点面には、コリメータレンズ3および対物レンズ5からなる照明光学系の光学倍率に応じたピンホール2aの像が投影される。
【0036】
被検面6aでは、照明光束Lの一部が反射され、測定光束Lとして対物レンズ5に入射して集光される。このとき、被検面6aは、初期設置位置に配置されているため、測定光束Lは、略平行光束である測定光束Lとして出射される。
対物レンズ5から出射された測定光束Lは、第1ビームスプリッタ4に入射して測定基準軸Pに沿って透過し、第2ビームスプリッタ7に到達する。
第2ビームスプリッタ7では、測定光束Lの一部が測定光束L3Aとして測定基準軸Pに沿って透過して、集光光学系8に入射する。この測定光束L3Aは、集光光学系8によって集光されて測定光束L4Aとしてピンホール板9aに向かう。
【0037】
このとき、被検面6aの面頂が対物レンズ5の集光位置とずれていると、ピンホール板9a上によってケラレが発生し、測定光束L4Aの一部が分光器9に入射できなくなる。
例えば、被検面6aが測定基準軸Pに沿う方向にずれていると、ピンホール板9aでの光束径がピンホール板9aの入射開口よりも大きくなって入射光量が減少する。
また、被検面6aが測定基準軸Pに交差する方向にずれていると、測定光束Lが面頂の周囲の被検面6aによって測定基準軸Pに対して傾斜する法線方向に沿って反射される。このため、対物レンズ5の開口に入射できない光束が遮光されて分光器9に入射できなくなる。
【0038】
そこで、本実施形態では、測光を行う前に、照明光束Lが被検面6aの面頂に集光されるように、被検面6aの面頂と対物レンズ5の集光位置との相対位置を調整する位置調整工程を行う。
本工程では、まず、対物レンズ5および偏心観察光学系10の位置を位置調整時の配置に設定する。すなわち、対物レンズ5が測定基準軸Pに沿う光路から退避し、偏心観察光学系10が光軸P上の同軸位置に進出する配置とする。
これにより、図2(a)に示すように、照明光束Lは、第1ビームスプリッタ4によって反射された平行光束の状態で照明光束L11として被検面6aに入射し、被検面6aによって一部が反射される。
【0039】
このとき、偏心観察光学系10が進出されているため、被検面6aの測定基準軸Pに沿う方向の面頂pから曲率中心Oの方に曲率半径の半分だけ離間した位置に相当する点Qを含む面と、測光時に撮像光学系11によって被検面6aの像が形成される像面とが共役の位置関係になる。このため、被検面6aに入射する照明光束L11は、被検面6aで反射されると、点Qから発散したのと同様な方向に進み、偏心観察光学系10進出時の観察光学系ObのNAで決まる光学開口に入射する光束である偏心観察光束L12が、測光時に撮像光学系11によって被検面6aの像が形成される像面に一致する撮像素子12aの撮像面上に結像される。
すなわち、図3(a)に示すように、被検面6aが測定基準軸Pに対して偏心し、面頂pが測定基準軸Pからずれていると、被検面6aでの反射光である偏心観察光束L12が第1ビームスプリッタ4を透過し、第2ビームスプリッタ7で反射されて偏心観察光学系10進出時の観察光学系Obに入射し、偏心観察光学系10進出時の観察光学系Obの像面において位置Q’に結像される。
【0040】
このため、撮像素子12aの撮像面には、点Qの位置に対応する微小スポットの光像が位置Q’を中心として形成される。この光像は、撮像素子12aによって光電変換された画像信号として位置表示部13に送出される。これにより、図4に示すように、表示画面13a上にスポットSが表示される。
本実施形態では、表示画面13a上には、光軸Pと撮像素子12aの撮像面との交点である基準原点Oの位置を示す十字線画像13bも併せて表示されるため、測定者は十字線画像13bの交点とスポットSの中心との位置ずれを見て、位置Q’のずれ量に対応する点Qの偏心量Qと、その偏心方向とを視覚的に確認することができる。ここで点Oは、点Qから測定基準軸Pに下ろした垂線の足を示す。
【0041】
そこで、測定者は、表示画面13aを見ながら、移動ステージ14を駆動して、被検面6aを測定基準軸Pに直交する方向に移動させる。このとき、移動ステージ14の移動とともに、被検面6aの点Qも移動するため、表示画面13a上でスポットSも移動する。
測定者は、スポットSの中心が、十字線画像13bの交点に一致するまで、移動ステージ14を移動させる(図4に二点鎖線で示すスポットS’参照)。
このとき、図3(b)に示すように、偏心量Qは0になるため、偏心観察光束L12の光軸が測定基準軸Pに整列し、被検面6aの面頂pが測定基準軸P上に移動された状態になる。
以上で、位置調整工程が終了する。
【0042】
なお、位置Q’の基準原点Oに対するずれ量の実寸法は、点Qの測定基準軸Pに対する偏心量Qに偏心観察光学系10進出時の観察光学系Obの光学倍率βを乗じたものになる。このため、撮像素子12a上の距離Q’Oを算出すれば、偏心量Qを求めることができる。このため、位置表示部13にこのような処理部を設けることにより、表示画面13a上に点Qの位置を、例えば、点Oを(0,0)とした座標値として表示してもよい。
この場合には、測定者は、表示画面13a上に表示された点Qの座標値を見て、座標値が(0,0)となるように移動ステージ14の移動を行うことができる。
【0043】
次に、測光工程を行う。
本工程では、図1、図2(b)に示すように、対物レンズ5および偏心観察光学系10の位置を位置調整時の配置から測光時の配置に切り替える。すなわち、対物レンズ5を照明光束Lの光路上に進出させるとともに、観察光学系Obにおいて偏心観察光学系10を光路外に退避させる。
すると、照明光束Lが対物レンズ5によって集光される。このため被検面6aが面頂pを中心とする微小スポットで照明される。
被検面6aでの反射光は、対物レンズ5によって、測定光束Lとして集光されて略平行光束とされる。測定光束Lは、第1ビームスプリッタ4を透過し、第2ビームスプリッタ7で反射され、被検面観察光束L3Bとして光軸P上に入射する。ここで、観察光学系Obにおいて偏心観察光学系10は光路外に退避されているため、被検面観察光束L3Bは、撮像光学系11に入射して撮像素子12a上に結像される。
このため、表示画面13aには、図5に示すように、十字線画像13bを中心とするスポットSが表示される。
【0044】
測定者は、表示画面13aを見ながら移動ステージ14を駆動して、被検面6aを測定基準軸Pに沿う方向に移動させ、スポットSが最小になるようにする(図5に二点鎖線で示すスポットS’参照)。
これにより、対物レンズ5の集光位置が、被検面6aの面頂pに一致され、対物レンズ5および集光光学系8からなる結像光学系によって、面頂pとピンホール板9aの入射開口とが共役の位置関係になる。
すなわち、図1に示すように、測定光束L、L3Aは平行光束となり、測定光束L4Aは、ピンホール板9aの入射開口の中心に結像され、入射開口によってケラレが生じることなく分光器9に入射する。
【0045】
測定光束L4Aが、ピンホール板9aの入射開口に入射すると、回折格子9bによって分光されて、波長毎に受光素子9c上の異なる画素位置で受光される。このため、各受光素子9cに出力信号によって被検面6aの分光スペクトルが測定される。
以上で、測光工程が終了する。
【0046】
以上に説明したように、測光装置50によれば、位置調整工程において、対物レンズ5が退避した際に偏心観察光学系10を進出させて被検面6a(基準測定面16a)の偏心観察光束L12による光像を撮像し、位置表示部13に点Qの位置に対応するスポットSを表示することで、点Qの偏心量を視覚的に確認することができる。このため、位置表示部13の表示を見ながら移動ステージ14を用いて被検面6aを測定基準軸Pに直交する方向に移動することにより、測光時における照明光束Lの集光位置が被検面6a(基準測定面16a)の面頂pの位置に一致する位置に、被検体6(基準試料16)を移動することができる。このため、被検面6aの位置調整が容易となり、被検面6aの偏心による測光の測定誤差を低減し、精度のよい測光を行うことができる。
【0047】
[変形例]
次に、本実施形態の変形例に係る測光装置50Aについて説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る測光装置に用いる対物光学系の模式的な断面図である。
【0048】
本変形例の測光装置50Aは、図1に示すように、上記第1の実施形態の測光装置50の対物レンズ5に代えて、対物レンズ5と焦点距離が等しい反射式対物光学系17(対物光学系)を備える。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0049】
反射式対物光学系17は、図6(a)に示すように、物体側(照明光束Lの入射側)から順に、主鏡17A(凹面鏡)と副鏡17B(凸面鏡)とを備え、これらの各光軸が同軸に配置された状態で、測定基準軸P上に進退可能に保持されたものである。
主鏡17Aは、像側(被検体6が配置される側)に凹反射面17aを有し、中心に貫通孔17bを有する凹面鏡である。
副鏡17Bは、主鏡17Aに対向して配置され、物体側に凸反射面17cを有する凸面鏡である。
凸反射面17cの曲率半径は、凹反射面17aの曲率半径の約1/2に設定されている。また、凸反射面17cの有効径は、貫通孔17bと同じかわずかに大きくなっており、貫通孔17bからの入射光を主鏡17Aの凹反射面17aに向けて、発散光束として反射できるようになっている。
【0050】
このような構成の主鏡17Aは、例えば、平凹レンズ形状のガラス基材の中心に貫通孔17bを形成し、凹面側に反射膜を蒸着するなどして製造することができる。
また、副鏡17Bは、例えば、凸平レンズ形状のガラス基材の凸面側に反射膜を蒸着したり、屈折力を有しないメニスカス形状を有するガラス基材の凸面側の中心部に反射膜をしたりして製造することができる。
【0051】
反射式対物光学系17では、貫通孔17bを通過して、凸反射面17cで反射され、凹反射面17aに到達した発散光束は、凹反射面17aの曲率半径に応じて集光されて副鏡17B側に進み、凸反射面17cの側方を通過して光軸上の集光位置に集光される。このため、対物レンズ5と同様の無限遠設計の対物光学系を構成している。
貫通孔17bから光軸に沿って入射された平行光束は、凸反射面17cの中心部で反射されて貫通孔17bから物体側に出射されたり、凹反射面17aに反射されてから凸反射面17cに再入射したりする光束部分を除いて、像側の集光位置に集光される。
したがって、本変形例の測光装置50Aは、対物レンズ5が反射式対物光学系17に置き換えられただけであるため、測光装置50とまったく同様にして、位置調整工程および測光工程を行って被検面6aの分光スペクトルや相対分光反射率を測定することができる。
【0052】
反射式対物光学系17は反射光学系であるため色収差が発生しない。このため、高精度な分光測定に特に好適である。
【0053】
ただし、反射式対物光学系17は、凸反射面17cの側方を通過する光束のみを集光するため、集光位置と被検面6aの面頂pとがずれていると、副鏡17Bによる光線のケラレが発生しやすくなっている。
例えば、図6(b)に示すように、被検面6aが測定基準軸Pに対して図示左側に偏心しているものとし、照明光束Lのうち貫通孔17bの図示左側に入射する最外光線routと、最内光線rinを考える。これらの最外光線routおよび最内光線rinはいずれも凸反射面17cの側方を通過して被検面6a上に到達して、それぞれ最外光線Routおよび最内光線Rinとして反射される。
ところが、被検面6aが偏心しているため、最外光線Routと最内光線Rinとは、面頂pからずれて法線が傾斜した湾曲面で反射されるため、偏心量に応じて測定基準軸Pに向かう図示右側に傾斜して進む。このため、少なくとも最内光線Rinは、副鏡17Bによって遮光される。すなわち、この場合の被検面6aでの反射光である測定光束L’は光束の内周側に光量損失が発生する。
したがって凹反射面17a、凸反射面17cによって反射されて平行光束とされた後に測定光束L’は、被検面6aでの反射光量よりも光量が低下することになり、測定光束L’を用いた測光では、測定光束L’が集光光学系8によって100%ピンホール板9aの入射開口に入射したとしても、測定誤差が生じてしまう。
【0054】
ところが、本変形例の測光装置50Aによれば、測光工程に先立って、位置調整工程を行うことができるため、被検面6aの面頂pが反射式対物光学系17の集光位置に一致した状態に位置調整することができるため、上記のような被検面6aの偏心による光線のケラレを容易に防止することができ、反射式対物光学系17を用いた高精度の測光を行うことができる。
【0055】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る測光装置51について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る測光装置の概略構成を示す模式的な構成図である。図8は、本発明の第2の実施形態に係る測光装置の対物光学系と偏心観察光学系の保持形態を示す模式的な正面図である。図9(a)、(b)は、本発明の第2の実施形態に係る測光装置の位置調整前、および位置調整後の模式的な光路図である。
【0056】
本実施形態の測光装置51は、図7に示すように、上記第1の実施形態の測光装置50の偏心観察光学系10を削除し、対物レンズ5が測定基準軸Pに沿う光路上から退避した際に、第1ビームスプリッタ4と保持台15に保持された被検面6aとの間の光路上に進退可能に保持された偏心観察光学系20を備える。
このように、測光装置51において、撮像光学系11と偏心観察光学系20とは、対物レンズ5の進出時には、偏心観察光学系20が退避して、撮像光学系11のみからなる光学系を形成し、対物レンズ5の退避時には、偏心観察光学系20が進出して、撮像光学系11と偏心観察光学系20とからなる光学系を形成するレンズ構成可変の観察光学系Obを構成している。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0057】
偏心観察光学系20は、測定基準軸Pに沿う光路上から対物レンズ5が退避した位置調整時に、被検面6aからの反射光によって、撮像光学系11と併せて被検面6aの偏心を観察するための光学系を構成するものである。
本実施形態の偏心観察光学系20は、物体側(第1ビームスプリッタ4側)から順に、固定レンズ20a、移動レンズ20bを備えた可変焦点の集光光学系である。
偏心観察光学系20の可変焦点の範囲は、測光すべき被検面6aの種類に応じた曲率半径の変化に対応して、焦点面を被検面6aの球心位置に合わせることができる範囲に設定される。
偏心観察光学系20の焦点面を被検面6aの球心位置に合わせることにより、進出時の観察光学系Obは、測定基準軸Pに沿って平行光束を偏心観察光学系20に入射して被検面6aに照射したときに、被検面6aの球心位置から発散する方向に進む被検面6aにおける反射光を結像することができる。すなわち、被検面6aにおける反射光のうち、測定基準軸Pに沿う方向の面頂を通る測定基準軸Pに平行な軸上の1点からから発散する反射光を結像することができる。
【0058】
また、本実施形態では、図8に示すように、対物レンズ5と偏心観察光学系20との進退機構はレボルバ21を採用している。
レボルバ21には、対物レンズ5を収容するレンズホルダ5cと、偏心観察光学系20を収容するレンズホルダ20cとが、レボルバ21の回転軸21aを中心とする円周上に周方向に離間して、例えば螺設などによって設置されている。
このため、レボルバ21を所定角度だけ回転軸21a回りに回転させることで、対物レンズ5および偏心観察光学系20のいずれかを、測定基準軸P上の同軸位置に進出させることができるようになっている。
測光装置51において、対物レンズ5が測定基準軸P上の同軸位置に進出し、偏心観察光学系20が測定基準軸Pに沿う光路から退避した配置は、上記第1の実施形態の測光時の配置に対応し、対物レンズ5が測定基準軸Pに沿う光路から退避し、偏心観察光学系20が測定基準軸P上の同軸位置に進出した配置は、上記第1の実施形態の位置調整時の配置に対応する。
このように、本実施形態では、レボルバ21を操作するのみで、位置調整時の配置と測光時の配置とを、容易かつ迅速に切り替えることができる。このため、測光の作業効率を向上することができる。
【0059】
測光装置51によれば、上記第1の実施形態の測光装置50と同様に、対物レンズ5および偏心観察光学系20を位置調整時の配置とすることで、位置調整工程を行うことができる。また、対物レンズ5および偏心観察光学系20を測光時の配置とすることで、測光工程を行うことができる。このため、被検面6aの分光スペクトルや相対分光反射率を測定することができる。
測光時の配置は、測光装置50の測光時の配置とまったく同様になるため、以下では、本実施形態の位置調整工程について、上記第1の実施形態と異なる点を中心に簡単に説明する。
【0060】
位置調整時の配置において、図9(a)に示すように、照明光束Lは、偏心観察光学系20によって、偏心観察光学系20の焦点面Fに向かって集光される照明光束L21が形成され、照明光束L21によって被検面6aが照明される。
照明光束L21は、収束光であるが、被検面6aにおける反射光のうち、被検面6aの球心である点Qから発散する方向に反射される光束成分である偏心観察光束L22が、撮像光学系11によって撮像素子12a上に結像される光束となる。
すなわち、偏心観察光束L22は、偏心観察光学系20によって集光されて平行光束とされ、第1ビームスプリッタ4を透過し、第2ビームスプリッタ7で反射されて撮像光学系11に入射し、観察光学系Obの像面に結像される。
点Qは、上記第1の実施形態の点Qと同様に、面頂pを通る測定基準軸Pに平行な軸上の1点であるため、被検面6aの偏心量Qqが同じであれば、表示画面13a上では、上記第1の実施形態と同様の点Q”に結像される。ここで、点qは、点Qから測定基準軸Pに下ろした垂線の足である。
【0061】
ただし、移動レンズ20bの位置調整が不十分で、偏心観察光学系20の焦点面Fが点Qから外れていると、撮像光学系11の像面にはぼけたスポットが形成される。このため、測定者は、位置表示部13の表示画面13aを見ながら、移動レンズ20bを測定基準軸Pに沿う方向に移動させて、スポットの光束径が最小になるように調整する。これにより、焦点面Fが被検面6aの点Qを含む面に一致し、スポットの輝度も最大となる。
【0062】
次に、測定者は、上記第1の実施形態と同様に、表示画面13aを見ながら、移動ステージ14を駆動して、被検面6aを測定基準軸Pに直交する方向に移動させ、表示画面13a上のスポットの中心が十字線画像13bの交点に一致するまで、移動ステージ14を移動させる。
このとき、図9(b)に示すように、偏心量Qqは0になるため、偏心観察光束L22の光軸は測定基準軸Pに整列し、被検面6aの面頂pが測定基準軸P上に移動された状態になる。
以上で、位置調整工程が終了する。
【0063】
以上に説明したように、測光装置51によれば、位置調整工程において、対物レンズ5が退避した際に偏心観察光学系20を進出させて被検面6a(基準測定面16a)の偏心観察光束L22による光像を撮像し、位置表示部13に点Qの位置に対応するスポットを表示することで、点Qの偏心量を視覚的に確認することができる。このため、位置表示部13の表示を見ながら移動ステージ14を用いて被検面6aを測定基準軸Pに直交する方向に移動することにより、測光時における照明光束Lの集光位置が被検面6a(基準測定面16a)の面頂pの位置に一致する位置に、被検体6(基準試料16)を移動することができる。このため、被検面6aの位置調整が容易となり、被検面6aの偏心による測光の測定誤差を低減し、精度のよい測光を行うことができる。
また、本実施形態では、位置調整時の照明光束L21が収束光であり、偏心観察光学系20の焦点面Fが点Qを含む面に一致したときには、照明光束L21の略全光量が、撮像光学系11の像面に結像されるため、スポットが高輝度となってより視認しやすくなり、容易に位置調整工程を行うことができる。
【0064】
なお、上記の説明では、測光部として、分光器9を採用した例で説明したが、分光器9に代えて、どのような測光部を備える構成としてもよい。
また、本発明の測光装置は、被測定試料から出射された光の光量や光強度を測定する測光装置であれば、分光測光装置に限定されるものではなく、顕微測光装置、顕微分光測光装置、反射率測定装置などであってもよい。
【0065】
また、上記の説明では、光分岐素子がハーフミラー等のビームスプリッタからなる場合の例で説明したが、光分岐素子はミラーとし、このミラーを位置調整工程時は光路上から退避し、測光工程時は所定の位置・姿勢に配置する移動機構で支持した構成を採用してもよい。
【0066】
また、上記の第1の実施形態の説明では、撮像光学系11と偏心観察光学系10とを別々の光学系として、偏心観察光学系10のみを光路上に進退させる構成とした場合の例で説明したが、撮像光学系11のみからなる光学系と、撮像光学系11と偏心観察光学系10とからなる光学系とを、光路上に進退可能に設けてもよい。
【0067】
また、上記第1の実施形態の説明では、偏心観察光学系10を光軸P上に進退させる場合の例で説明したが、光軸P上に、撮像光学系11に代えて、平行光束を撮像素子12aの撮像面に結像する撮像光学系11の機能と、撮像素子12aの撮像面と点Qを含む面とを共役の位置関係にする観察光学系Obの機能とを兼ねる可変焦点レンズを配置した構成としてもよい。この場合、上記第1の実施形態のように、観察光学系は光路に進退させず、対物光学系のみを光路に進退させる構成とすることができる。
【0068】
また、上記の実施形態、変形例で説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
例えば、上記第2の実施形態の測光装置51において、対物レンズ5に代えて、上記第1の実施形態の変形例の反射式対物光学系17を用いた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 光源
3 コリメータレンズ
4 第1ビームスプリッタ
5 対物レンズ(対物光学系)
6 被検体
6a 被検面
7 第2ビームスプリッタ(光分岐素子)
8 集光光学系
9 分光器(測光部)
10、20 偏心観察光学系(観察光学系)
11 撮像光学系(被検面観察光学系、観察光学系)
12 カメラ(撮像部)
12a 撮像素子
13 位置表示部
13a 表示画面
14 移動ステージ(被検体移動部)
15 保持台
16 基準試料(被検体)
16a 基準測定面(被検面)
17 反射式対物光学系(対物光学系)
17A 主鏡(凹面鏡)
17B 副鏡(凸面鏡)
21 レボルバ
50、50A、51 測光装置
F 焦点面
、L、L21 照明光束
12、L22 偏心観察光束
、L、L3A、L4A 測定光束
3B 被検面観察光束
基準原点
測定基準軸(測定光軸)
、P 光軸
面頂
、S’、S、S’ スポット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
該光源から出射された光束を平行な照明光束にするコリメータレンズと、
前記照明光束の光路に対して進退可能に保持され、進出時に、前記照明光束を被検体の被検面に集光するとともに前記被検面からの反射光を集光して平行光束を形成する対物光学系と、
該対物光学系によって形成された平行光束を集光する集光光学系と、
前記対物光学系および前記集光光学系によって集光された前記被検面からの前記反射光を測光する測光部と、
前記集光光学系に向かって進む光束の一部を分岐する光分岐素子と、
前記対物光学系の進出時には、該対物光学系によって集光され前記光分岐素子によって分岐された光束による前記被検面の像を結像し、前記対物光学系の退避時には、前記被検面に照射された前記平行な照明光束の反射光による像を結像する観察光学系と、
該観察光学系によって結像された光像を撮像する撮像部と、
該撮像部によって撮像された画像に基づいて前記対物光学系および前記集光光学系の光軸が整列された測定光軸に対する前記光像の位置を表示する位置表示部と、
前記被検体を、前記測定光軸に沿う方向および該測定光軸に直交する方向に移動可能に保持する被検体移動部と、
を備えることを特徴とする測光装置。
【請求項2】
前記観察光学系は、
前記撮像部と前記光分岐素子との間の光路上に配置され、前記対物光学系の進出時に前記光分岐素子によって分岐された光束による前記被検面の像を結像する被検面観察光学系と、
前記光分岐素子と前記被検面観察光学系との間の光路上に進退し、進出時に、前記被検面観察光学系と併せて、前記被検面の像が形成される像面に前記被検面に照射された前記平行な照明光束の反射光による像を結像する光学系を構成する偏心観察光学系と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の測光装置。
【請求項3】
前記対物光学系は、凹面鏡と凸面鏡とを組み合わせで構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の測光装置。
【請求項4】
光源と、
該光源から出射された光束を平行な照明光束にするコリメータレンズと、
前記照明光束の光路に対して進退可能に保持され、進出時に、前記照明光束を被検体の被検面に集光するとともに前記被検面からの反射光を集光して平行光束を形成する対物光学系と、
該対物光学系によって形成された平行光束を集光する集光光学系と、
前記対物光学系および前記集光光学系によって集光された前記被検面からの前記反射光を測光する測光部と、
前記集光光学系に向かって進む光束の一部を分岐する光分岐素子と、
前記対物光学系の進出時には、該対物光学系によって集光され前記光分岐素子によって分岐された光束による前記被検面の像を結像し、前記対物光学系の退避時には、前記平行な照明光束を前記被検面の球心位置に向けて集光するとともに集光された前記照明光束の前記被検面での反射光による像を結像する観察光学系と、
該観察光学系によって結像された光像を撮像する撮像部と、
該撮像部によって撮像された画像に基づいて前記対物光学系および前記集光光学系の光軸が整列された測定光軸に対する前記光像の位置を表示する位置表示部と、
前記被検体を、前記測定光軸に沿う方向および該測定光軸に直交する方向に移動可能に保持する被検体移動部と、
を備えることを特徴とする測光装置。
【請求項5】
前記観察光学系は、
前記撮像部と前記光分岐素子との間の光路上に配置され、前記対物光学系の進出時に前記光分岐素子によって分岐された光束による前記被検面の像を結像する被検面観察光学系と、
前記光分岐素子と前記被検面との間の前記平行な照明光束の光路上において前記対物光学系と交替に進退し、進出時に、焦点面を前記被検面の球心位置に合わせる偏心観察光学系と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の測光装置。
【請求項6】
前記対物光学系は、凹面鏡と凸面鏡とを組み合わせで構成されることを特徴とする請求項4または5に記載の測光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−122757(P2012−122757A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271594(P2010−271594)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】