説明

潜在的抗がん剤としての新規なベンゾフェノン化合物及びその作製方法

本発明は、潜在的な抗がん剤としての新規なベンゾフェノン化合物を提供する。本発明は式Aで表される脂肪族鎖長変化を有するN1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニ
ル]-2-[4-(アリル) ピペラジノ]アセタミドに関する。
[式A]


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜在的抗がん剤としての新規なベンゾフェノン化合物に関する。更に、本発明は式Aで表される脂肪族鎖長変化を有するN1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェ
ニル]-2-[4-(アリル)ピペラジノ]アセタミドに関する。
[式A]

【背景技術】
【0002】
過去数年間において、潜在的抗がん活性を有する新規なベンゾフェノン化合物の開発に関心が注がれている。ペティットのグループは最近、CA-4に匹敵する潜在的抗がん活性を発揮する2種類の新規なベンゾフェノンであるフェンスタチンとヒドロキシフェンスタチンを合成した。配列を比較した場合、フェンスタチンとヒドロキシフェンスタチンに存在するsp-ハイブリッドを形成するカルボニル基は、重要な生物学的活性に必要と思われ
る準シス型配列において二つのアリル環を拘束するということが提案されている。ベンゾフェノンは、配列の選択性(Z 及びE配列)が制御されず合成を容易にする重要な要素と
なるだけでなく薬剤安定性が高く水溶性であるため、より薬理学的効果が増大され、よってベンゾフェノン型CA-4類似体は抗腫瘍薬として魅力的ターゲットとなっている。現在の研究によると、B環のオルト位にアミド基を導入することで、準シス型配列が維持され、より有効な抗腫瘍薬が得られることが期待されている。(Liou, J. P.; Chang, C. W.; Song, J. S.; Yang, Y.N.; Yeh, C. F.; Tseng, H.Y.; Lo, Y. K.; Chang, Y.L; Chang, C. M.; Hsieh, H. P.; J. Med. Chem. 2002, 45, 2556-2562. Liou, J. P.; Chang, J. Y.; Chang, C. W. Chang, C. Y.; Mahindroo, N.; Kuo, F.M.; Hsieh, HP.; J. Med. Chem.
2004, 47, 2897-2905. Prabhakar, B.T.; Khanum, SA; Jayashree, K.; Bharathi P.; Salimath S.; Shashikanth; Bioorg & Med Chem, 2006, 14, 435-446. Hsing-Pang Hsieh,
Jing-Ping Liou, Ying-Ting Lin, Neeraj Mahindroo, Jang-Yang Chang, Yung-Ning Yang, Shuenn-Shing Chern, Uan-Kang Tan, Chun-Wei Chang, Tung-Wei Chen, Chi-Hung Lin, Ying-Ying Chang Chiung-Chiu Wang, Bioorg. Med. Chem Lett. 2003, 13, 101-105)
【0003】
我々は、一連のベンゾフェノン型コンブレタスタチンA-4類似体を合成し、これら化合
物の中の幾つかは有効な抗増殖薬、微小管重合阻害剤、及びコルヒチン結合部位による微小管(チューブリン)重合阻害剤であることを見出した。又、これら化合物はG2/M相細胞停止を引き起こし、潜在的に新規な有糸分裂阻害薬として臨床応用されるものである。
【0004】
各種鉛化合物はコルヒチン結合部位において微小管と非常に相互作用しやすく、多剤耐性腫瘍細胞を含むヒト癌細胞の強力な成長に対して阻害活性を呈する。
【0005】
化合物6c, 6d及び8aが、フェンスタチンとコンブレタスタチンA-4に比べて、数種類の
ヒト癌細胞株に対して10〜100倍の成長阻害を示すことは最も重要である。一連のベンゾフェノン型類似体におけるSARを検査し、オルト位にアミド基を導入することは成長
阻害を増進する上で多大な役割を果たしていることが明らかになった。

【0006】
しかしながら、これら有糸分裂阻害薬の臨床有効性には、難水溶性、心毒性、薬剤耐性の増長、及び代謝不活性等の限界がある。
【0007】
[発明の目的]
本発明の主目的は、式Aで表せる新規なベンゾフェノン化合物を抗腫瘍剤として提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、新規なベンゾフェノン化合物の作製方法を提供することである。
[式A]

【発明の概要】
【0009】
従って、本発明の目的は式Aで表される新規なベンゾフェノン化合物を潜在的抗がん剤として提供することである。

ただし、R1はピリジル、ピリミジル、2-メトキシ ピペラジン、4-クロロキナゾリン、2-(ターシャル-ブチル)イミダゾ[1,2- a]ピリジン-8-カルボニル、N1-[4-クロロ-2-(2-ク
ロロベンゾイル)フェニル]-2-クロロ アセタミド、1,3-ジブロモ プロパン) 及び ブチル
カルコンから選択される。
【0010】
本発明の実施形態によると、式Aで表されるベンゾフェノン化合物の典型的な化合物は以下の通りである。
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2-ピリジル)ピペラジノ]ア
セタミド(6a);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2-ピリミジニル)ピペラジノ] アセタミド(6b);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2-メトキシフェニル)ピペラジノ]アセタミド(6c);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(4-キナゾリニル)ピペラジノ]アセタミド(6d);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-[2-(ターシャル-ブチル)イミダゾ [1,2-a] ピリジン-8-yl]カルボニルピペラジノ)アセタミド(6e);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-2-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)アニリノ]-2-オキソエチルピペラジノ)アセタミド(6f);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-4-[3-(4-2-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)アニリノ]-2-オキソエチルピペラジノ)プロピル]ピペラジノ アセタミド(6g)
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(4-4-[(E)-3-(4-フルオロフェニル) - 3-オキソ-1 プロペニル]- 2-メトキシフェノキシブチル) ピペラジノ]アセタ
ミド(8);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-3-[(4-オキソ-3-フェニル-4H-2- クロメニル)オキシ]プロピルピペラジノ)アセタミド(8a)及び
2-(4-4-[4-(2-ベンゾイル-4-クロロフェノキシ)ブチル]ピペラジノブトキシ)-5-クロロフェニル](フェニル)メタノン(8b).
【0011】
更に、他の実施形態によると、式Aで表されるベンゾフェノン化合物の代表的な化合物の一般的な構造は次の通りである。


【0012】
更に、他の実施形態によると、式Aで表される新規なベンゾフェノン化合物は以下の特徴を備える。
【0013】
ベンゾフェノン化合物における仔ウシ胸腺(CT)DNAの熱変性データ

a pH 7.00 ± 0.01におけるCT-DNAのみに対し, Tm = 69.6 0C ± 0.01 (10例の個別測定
の平均値), b [配位子]/[DNA]のモル比1:5に対してΔTm 値はすべて ± 0.1 - 0.2℃
。 但し水溶性リン酸ナトリウムバッファ中 [10mM リン酸ナトリウム + 1mM EDTA, pH 7.00 ± 0.01]のCT-DNA濃度 = 100μM 及び配位子濃度 = 20μM。BPD = ベンゾフェノン誘
導体。
【0014】
更に、他の実施形態によると、式Aで表される新規なベンゾフェノン化合物はヒト細胞株に対し、インビトロ(体外)抗がん活性を発揮する。
【0015】
更に、他の実施形態によると、使用するヒト癌細胞株は大腸癌、白血病、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、腎臓癌、中枢神経系、黒色腫、及び乳癌等に由来するものを選択した。
【0016】
更に、他の実施形態によると、6a-e及び8a-bの化合物は、-5.5〜-7.0の範囲におけるヒト腫瘍細胞株に対し、グラフの平均中点値log10GI50(50%の細胞増殖阻害)を示す。
【0017】
更に、他の実施形態によると、6a-e及び8a-bの化合物は、-5.5〜-7.0の範囲におけるヒト腫瘍細胞株に対し、log10TGI(全細胞増殖阻害)のグラフ平均中点値を示す。
【0018】
更に、他の実施形態によると、6a-e及び8a-bの化合物は、-4.0〜-5.5の範囲におけるヒト腫瘍細胞株に対し、log10LC50(50% 細胞死)のグラフ平均中点値を示す。
【0019】
更に、他の実施形態によると、6a-e及び8a-bの化合物は、-5.0〜-7.0の範囲におけるヒト腫瘍細胞株に対し、log10GI50(50%の細胞増殖阻害を引き起こすmol/L)のグラフ平均中点値を示す。
【0020】
本発明は、更に式Aで表される潜在的抗がん剤としての新規なベンゾフェノン化合物の作製方法を提供する。

但し、R1はピリジル, ピリミジル, 2-メトキシ ピペラジン, 4-クロロキナゾリン, 2-
(ターシャル-ブチル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-8-カルボニル, N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-クロロ アセタミド, 1,3-ジブロモ プロパン)及びブチル
カルコンのいずれかより選択され、前記方法は、
a) 式5で表される化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-クロロアセタミドを式1から公知の方法により作製する、

b) 前記式5で表せる化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-クロ
ロアセタミドを、アセトン中の無水炭酸カリウムとa) 1-(2-ピリジル)ピペラジン, (b) 1-(2-ピリミジニル)ピペラジン, (c) 1-(2-メトキシフェニル) ピペラジン, (d) 4-ピペラジノキナゾリン, (e) (ターシャル-ブチル) イミダゾ [1,2-a] ピリジン-8- 塩化カルボニル, (f) N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-クロロアセタミド, (g) N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-ピペラジノアセタミドのいずれかより選んだ試薬と還流下、20〜30時間、反応させ、その後炭酸カリウムを吸引濾過法により除去し真空下、溶媒を蒸発させた。そして、その生産物を公知の方法により精製し、一般式Aで表される
所望の化合物6a-gを得る、
c) 式5で表される前記化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-ク
ロロアセタミドをアセトン中のBoc-ピペラジンを還流下において、15〜20時間反応させ、その後溶媒を蒸発させ式6’で表せる化合物を得る、

d) 工程(c)で得た前記化合物6'をTFA(トリフルオロ酢酸)と、ジクロロメタン中20℃
〜30℃の温度で反応させ、その後溶媒を蒸発させ、式7で表せる化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-ピペラジノアセタミドを得る、

e) 式7で表せる前記化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-ピペ
ラジノアセタミドを、アセトン中の(E)-3-[4-(3-ブロモプロポキシ) 3-メトキシフェニル]-1-(4-フルオロフェニル)-2-プロパン-1- オン 又は 3-(3-ブロモプロポキシ)-2-フェニル-4H-4-クロメノンと、炭酸カリウムの存在下、及び還流下にて、15〜20時間、反応させ、その後炭酸カリウムを吸引濾過法により除去し、真空下にて溶媒を蒸発させ、その生成物を公知の方法により精製し、所望の化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)
フェニル]-2-[4-(4-4-[(E)-3-(4-フルオロフェニル)-3-オキソ-1-プロペニル]-2-メトキ
シフェノキシ ブチル)ピペラジノ]アセタミド(8)又は、N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル) フェニル]-2-(4-3-[(4-オキソ-3-フェニル-4H-2-クロメニル)オキシ]プロピルピペラジノ)アセタミド(8a)を得る。
【0021】
[発明の詳細な説明]
異なる前駆体部位と結合したこれら新規なベンゾフェノン化合物は、さまざまな細胞株において、潜在的なDNA結合能と有効な抗がん活性を示している。合成された分子は選択
的DNA結合の潜在的配列を有し、これは生化学的に見ても非常に重要であり、ひいては化
1に示すように、新しい誘導体の配列や合成にもつながるものである。以下にプロセスを示す。
1.[2-(n-ブロモアルキル)-5-クロロフェニル](フェニル)メタノン基を有するベンゾ
フェノン中間体のC-2部位においてエーテル結合する。
2.クロロ置換基を異なる置換基と置換したC-2部位においてアミド結合する。
3.反応混合物を16時間還流する。
4.新規なベンゾフェノン化合物を抗腫瘍抗生剤として合成する。
5.エチルアセテート、ヘキサン、ジクロロメタン、及びメタノールのような異なる溶媒を使用してカラムクロマトグラフィーにより精製する。
【0022】
[化1]

R1= 6a) ピリジル, 6b) ピリミジル, 6c) 2-メトキシ フェニル ピペラジン
6d) 4 -クロロ キナゾリン
6e) 2-(ターシャル-ブチル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-8-カルボニル
6f) N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-クロロアセタミド
6g) 1,3-ジブロモ プロパン )
試薬と条件:i) 塩化チオニル、ベンゼン, (ii) AlCl3,CH2Cl2.クロロベンゼン (iii) Sn
Cl22H2O MeOH, 還流下, 40 min (iv) 塩化クロロアセチル, Et3N,rt (v) R1,アセトン 還流下16 時間
【0023】
[化2]

試薬と条件: i) Boc-ピペラジン, アセトン.還流下 16時間 (ii) TFA.ジクロロメタン rt
(iii) 3-(4-(3-ブロモプロポキシ)-3-メトキシフェニル)-1-(4-フルオロフェニル)-2-プロパン-1-オン, K2COアセトン.還流下, 16時間 (v) 3-(3-ブロモプロポキシ)-2-フェニル-4H-4-クロメノン, K2CO3アセトン.還流下, 16時間
【0024】
以下実施例を、化学式を参照しながら説明するが、これによって本発明の範囲が制限されると解釈されるべきではない。
[実験]
【実施例1】
【0025】
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2-メトキシフェニル)ピペラジノ]アセタミド(6c):
乾燥したアセトン (20mL) 中の化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-クロロアセタミド (600mg, 1.74mmol) に、無水炭酸カリウム (1.21g, 8.78mmol) と 1-(2-メトキシフェニル)ピペラジン(336mg, 1.98mmol)を添加した。反応混合物を24時間
還流させ、エチルアセテートヘキサン(6:4)を溶媒として使用し、反応をTLCによりモニターした。それから炭酸カリウムを吸引濾過法により除去し溶媒を真空下蒸発させ、粗生成物を得た。これを、エチルアセテートを使用して(ヘキサン(6:4)を溶媒として使用し)
、カラムクロマトグラフィーにより更に精製して、純生成物6cを得た(780mg, 89%の生成)。
1H NMR (CDCl3);δ2.0 (s,2H), 2.78-2.90 (m,4H), 3.20-3.35 (m,4H), 3.80 (s,3H) 6.80-7,00(m,4H), 7.20-7.60(m,6H), 8.80-8.90 (d,1H J= 9.06,Hz), 12.40 (s, 1H); FABMS: 498(M+H);
【実施例2】
【0026】
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2-ピリジル)ピペラジノ] アセタミド(6a):
乾燥したアセトン(20mL) 中の化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-クロロアセタミド(500mg, 1.46mmol) に、無水炭酸カリウム(1g, 7.30mmol) と1-(2-ピリジル)ピペラジン(238mg, 1.46mmol)を添加した。反応混合物を24時間還流させ、エチルアセテートヘキサン(6:4)を溶媒として使用し、反応をTLCによりモニターした。それから炭酸カリウムを吸引濾過法により除去し溶媒を真空下蒸発させ、粗生成物を得た。これを、エチルアセテートを使用して(ヘキサン(6:4)を溶媒として使用し)、カラムクロマト
グラフィーにより更に精製して、純生成物6aを得た(585mg,86%の生成)。
1H NMR (CDCl3)δ2.70-2.82 (m, 4H), 3.21-3.24 (S, 2H), 3.70-3.80 (m, 4H), 6.54- 6.62
(m, 2H), 7.20-7.56 (m, 7H), 8.10-8.14 (m, 1H), 8.80-8.12 (d, 2H J= 9.06Hz), 12.40 (s,1H); FABMS:469(M+H).
【実施例3】
【0027】
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2-ピリミニジル)ピペラジノ] アセタミド(6b):
乾燥したアセトン(20mL) 中の化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-クロロアセタミド(500mg, 1.46mmol) に、無水炭酸カリウム(1g, 7.30mmol) と1-(2-ピリミジニル)ピペラジン(239mg, 1.46mmol)を添加した。反応混合物を24時間還流させ、エチルアセテートヘキサン(6:4)を溶媒として使用し、反応をTLCによりモニターした。それから炭酸カリウムを吸引濾過法により除去し溶媒を真空下蒸発させ、粗生成物を得た。これを、エチルアセテートを使用して(ヘキサン(6:4)を溶媒として使用し)、カラムクロ
マトグラフィーにより更に精製して、純生成物6bを得た(575mg, 83% の生成)。
1H NMR (CDCl3) δ 2.68-2.72 (m, 4H), 3.40 (s, 2H), 4.0-4.16 (m, 4H), 6.42-6.44 (d, 1H J= 8.65 Hz), (7.25-7.80 (m, 6H), 8.22-8.25 (d, 2H J= 9.16 Hz), 8.80-8.92 (d, 2H J= 9.06, Hz), 12.40 (s, 1H); FABMS: 470 (M+H).
【実施例4】
【0028】
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(4-キナゾリニル)ピペラジノ] ア
セタミド(6d):
乾燥したアセトン(20mL)中の化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-クロロアセタミド(500mg, 1.46mmol)に、無水炭酸カリウム(1g, 7.30mmol) と 4-ピペラジノキナゾリン(312mg, 1.46mmol)を添加した。反応混合物を24時間還流させ、エチルア
セテートヘキサン(6:4)を溶媒として使用し、反応をTLCによりモニターした。それから炭酸カリウムを吸引濾過法により除去し溶媒を真空下蒸発させ、粗生成物を得た。これを、エチルアセテートを使用して(ヘキサン(6:4)を溶媒として使用し)、カラムクロマトグ
ラフィーにより更に精製して、純生成物6dを得た(672mg, 89% の生成)。
1H NMR (CDCl3) δ 3.15-3.30, (m, 4H), 3.90 (s, 2H), 4.06-4.12(m 4H), 6.75 (, 1H), 7.20-7.65,(m, 10H), 8.90-8.95 (d, 1H J=9.06, Hz), 12.40, (s, 1H); FABMS: 520(M+H).
【実施例5】
【0029】
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-4-[(E)-3(4-フルオロフェニル)-3-オキソ-1-プロペニル]-2-メトキシフェノキシブチル)ピペラジノ]アセタミド(8):
乾燥したアセトン(20mL) 中の化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-ピペラジノアセタミド(500mg, 1.27mmol)に、無水炭酸カリウム(880mg, 6.37mmol) と (E)-3-[4-(3-ブロモプロポキシ)-3- メトキシフェニル]-1-(4-フルオロフェニル)-2-プロパン-1-オン(501mg, 1.27mmol)を添加した。反応混合物を24時間還流させ、エチルアセテートヘキサン(6:4)を溶媒として使用し、反応をTLCによりモニターした。それから炭酸カリウムを吸引濾過法により除去し溶媒を真空下蒸発させ、粗生成物を得た。これを、エチルアセテートを使用して(ヘキサン(6:4)を溶媒として使用し)、カラムクロマトグラフィ
ーにより更に精製して、純生成物8を得た(865mg, 84% の生成)。
1H NMR (CDCl3)δ1.50-1.7(m, 2H), 2.00-2.20 (t, 2H), 2.60-2.80 (m, 8H), 3.20 (s, 2H) 3.90 (s, 3H), 4.10-4.20 (t, 2H), 6.94-6.98 (d, J= 5.33, 1H), 7.20-7,60 (m, 12H), 7.70-7.80 (d, 1H J= 5.33, Hz), 8.10-8.15 (t, 1H) 8.80-8.85 (d, 1H J= 5.33 Hz), 12.40 (s, 1 H); FABMS: 704 (M+H).
【実施例6】
【0030】
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-3-[(4-オキソ-3-フェニル-4H-2- クロメニル)オキシ]プロピルピペラジノ)アセタミド(8a):
乾燥したアセトン(20mL)中の化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-ピペラジノアセタミド(500mg, 1.46mmol)に、無水炭酸カリウム(1g, 7.30mmol)と 3-(3-ブロモプロポキシ)-2-フェニル-4H-4-クロメノン(524mg, 1.46mmol)を添加した。反応混
合物を24時間還流させ、エチルアセテートヘキサン(6:4)を溶媒として使用し、反応をTLCによりモニターした。それから炭酸カリウムを吸引濾過法により除去し溶媒を真空下蒸発させ、粗生成物を得た。これを、エチルアセテートを使用して(ヘキサン(6:4)を溶媒と
して使用し)、カラムクロマトグラフィーにより更に精製して、純生成物を得た(786 mg, 79%の生成)。
1H NMR (CDCl3) δ 1 :58-1.72 (m, 2H), 2.42-2.48 (t, 2H) 2.55-2.65 (m, 4H), 2.75-
2.82 (m, 4H), 3.20 (s, 2H), 3.85-3.90 (t, 2H), 6.85-6.98 (d, 1H J=9.06 Hz), 7.40- 7.80 (m, 12H) 8.20-8.35 (m, 2H), 8.40-8.45 (d, 1H J =7.33,Hz), 12.40 (s, 1 H); FABMS: 670 (M+H).
【実施例7】
【0031】
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-[2-(ターシャル-ブチル)イミダゾ
[1,2-a] ピリジン-8-yl]カルボニルピペラジノ)アセタミド(6e);
乾燥したアセトン(20mL)中の化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-クロロアセタミド(500mg, 1.27mmol)に、無水炭酸カリウム(876mg, 6.35mmol)と(ターシャル-ブチル)イミダゾ[1, 2-a]ピリジン-8-塩化カルボニル(310mg, 1.27mmol)を添加した。反応混合物を24時間還流させ、エチルアセテートヘキサン(6:4)を溶媒として使用し、
反応をTLCによりモニターした。それから炭酸カリウムを吸引濾過法により除去し溶媒を
真空下蒸発させ、粗生成物を得た。これを、エチルアセテートを使用して(ヘキサン(6:4)を溶媒として使用し)、カラムクロマトグラフィーにより更に精製して、純生成物6eを得た(650mg, 86%の生成)。
1H NMR (CDCl3) δ 1.30 (9,2H), 2.80-2.90 (m, 4H), 3.30 (s, 2H), 3.50-3.60 (m, 4H), 6.70-6.75 (t, 1H), 7.20-7.60, (m,8) 8.05-8.10 (d, 1H J =9.06, Hz), 8.85-8.90 (d, 1H J =7.93, Hz), 12.30 (s, 1H); FABMS: 592 (M+H).
【実施例8】
【0032】
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-2-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾ
イル) アニリノ]-2-オキソエチルピペラジノ)アセタミド(6f):
乾燥したアセトン(20mL) 中の化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-ピペラジノアセタミド(500mg, 1.46mmol)に、無水炭酸カリウム(880mg, 6.37mmol)とN1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-クロロアセタミド(434mg, 1.46mmol)を添加した。反応混合物を24時間還流させ、エチルアセテートヘキサン(6:4)を溶媒として
使用し、反応をTLCによりモニターした。それから炭酸カリウムを吸引濾過法により除去
し溶媒を真空下蒸発させ、粗生成物を得た。これを、エチルアセテートを使用して(ヘキサン(6:4)を溶媒として使用し)、カラムクロマトグラフィーにより更に精製して、純生
成物6fを得た(768mg, 86%の生成)。
1H NMR (CDCl3) 2.60 (s, 4H), 3.10-3.15 (m, 4H), 3.20-3.28 (m, 4H), 7.20-7.42 (m,
12H), 8.80-8.84 (d, 2H J=9.06 Hz), 12.40 (s, 1H); FABMS: 698 (M+H).
【実施例9】
【0033】
[2-(4-4-[4-(2-ベンゾイル-4-クロロフェノキシ)ブチル]ピペラジノブトキシ)-5-クロロ
フェニル (フェニル) メタノン(8b):
乾燥したアセトン(20mL)中の化合物[2-(4-ブロモブトキシ)-5-クロロフェニル](フェニル)メタノン(500mg, 1.36mmol)に、無水炭酸カリウム (940mg, 6.81mmol)とピペラジン(58mg, 0.68mmol)を添加した。反応混合物を24時間還流させ、エチルアセテートヘキサン(6:4)を溶媒として使用し、反応をTLCによりモニターした。それから炭酸カリウムを吸引濾過法により除去し溶媒を真空下蒸発させ、粗生成物を得た。これを、エチルアセテートを使用して(ヘキサン(6:4)を溶媒として使用し)、カラムクロマトグラフィーにより更に精製して、純生成物8bを得た(750mg, 84%の生成)。
1H NMR (CDCl3) δ 1.30-1.40 (m, 4H), 1.44-1.60 (m, 4H), 2.20-2.35 (m, 4H), 2.40-
2.65 (m, 8H), 3.80-4.00 (m, 4H), 6.80-7.00 (d, 2H J= 9.06, Hz), 7.30-7.65 (m, 12H), 7.70-7.70 (d, 2H J= 9.06, Hz); FABMS: 659 (M+H).
【実施例10】
【0034】
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-4-[3-(4-2-[4-クロロ-2-(2-クロロ
ベンゾイル) アニリノ]-2-オキソエチルピペラジノ)プロピル]ピペラジノ アセタミド (6g):
乾燥したアセトン(20mL)中の化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2- ピペラジノアセタミド (500mg, 1.27mmol)に、無水炭酸カリウム (876mg, 6.35mmol)と1,3-ジブロモ プロパン(128mg, 0.63mmol)を添加した。反応混合物を24時間還流させ、エチルアセテートヘキサン(6:4)を溶媒として使用し、反応をTLCによりモニターした。それから炭酸カリウムを吸引濾過法により除去し溶媒を真空下蒸発させ、粗生成物を得た。これを、エチルアセテートを使用して(ヘキサン(6:4)を溶媒として使用し)、カラムクロマトグラフィーにより更に精製して、純生成物を得た(610mg, 78%の生成)。
1H NMR (CDCl3) δ 1.50-1.62 (m, 2H), 2.50-2.56 (t, 4H), 2.60-2.75 (m, 8H), 2.80-
2.95, (m, 8H) 3.20 (s, 4H), 7.30-7.60, (m, 12) 8.78-8.82 (d, 2H J =5.33,Hz), 12.30 (s, 2H); FABMS: 824 (M+H).
【0035】
(熱変性試験)
上記化合物に対し、二重螺旋構造を有する仔ウシ胸腺DNA(CT-DNA)に関して、開示され
た方法を使用して熱変性試験が行われた。バッファ溶液中(10 mM NaH2PO4/Na2HPO4, 1 mM
Na2EDTA, pH 7.00+0.01)のCT-DNA(リン化合物における100μM) 及び BPD (20μM)を含む使用溶液を、DMSOにおける濃縮 BPD 溶液を添加することにより作製し、モル比1:5の凝固した[BPD]/[DNA]を得た。DNA-BPD溶液を37 0C で 0, 18 及び 36時間低温保持してから解析した。試料は、40-90 0Cの範囲で1 0C/分で加熱処理し、高精度制御装置を備えたベッ
クマンDU-7400分光計を260nmに設定してモニターした。
【0036】
DNAへリックスコイル転移度(T)を、(dA260)/dT微分プロットにおける最大値より求めた。結果は、3回測定の±標準偏差の平均値で示された。そして得られた値に対し、DMSO共溶媒の効果を得るため線形補正項により補正が施された。薬剤惹起性によるDNA融解
挙動の変化は、ΔTm=Tm(DNA+BPD)- Tm(DNAのみ)によって表せる。但し、BPDと結合していないCT-DNAにおけるTm値は69.0 ± 0.01であった。テストしたいかなる化合物に関しても、使用する[BPD]/[DNA]の固定比率では、どの化合物においてもホストDNA二重鎖との結合飽和に至らなかった。0 時間, 18 時間及び36 時間における化合物6a, 6b, 6c, 6d, 6e, 6f, 6g, 8, 8a及び8bは温度37°Cにおいて次第に増加した。
【0037】
[表1]ベンゾフェノン化合物における仔ウシ胸腺(CT)DNAの熱変性データ

a pH 7.00 ± 0.01におけるCT-DNA のみの場合, Tm = 69.6 0C ± 0.01 (10回の個別
測定から得られた平均値), b 1:5モル比の[配位子]/[DNA]において、ΔTm値はすべて ±
0.1 - 0.2 0Cであった。但し、リン酸ナトリウムバッファ[10mM リン酸ナトリウム + 1 mM EDTA, pH 7.00 ± 0.01]において、CT-DNA濃度 = 100μM 及び配位子 濃度= 20μMで
あった。BPD = ベンゾフェノン誘導体である。
生化学的活性:インビトロ(体外の)生化学的活性に対する研究が、米国メリーランド州
の国立癌研究所で行われた。
(細胞毒性)
6a) N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2-ピリジル)ピペラジノ] アセタミド
6b) N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2ピリミジニル)ピペラジ
ノ]アセタミド
6c) N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2-メトキシフェニル)ピペラジノ]アセタミド
6d) N1-4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(4-キナゾリニル) ピペラジノ]アセタミド
6e) N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-[2-(ターシャル-ブチル)イミダゾ [1,2-a] ピリジン-8-yl]カルボニルピペラジノ)アセタミド
6f) N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-2-[4-クロロ-2-(2-クロロ ベンゾイル)アニリノ]-2-オキソエチルピペラジノ)アセタミド
6g) N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-4-[3-(4-2-[4-クロロ-2-(2-
クロロベンゾイル)アニリノ]-2-オキソエチルピペラジノ)プロピル]ピペラジノ アセタミド
8) N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(4-4-[(E)-3-(4-フルオロフェニル)-3-オキソ-1 プロペニル]- 2-メトキシフェノキシブチル) ピペラジノ]アセタミ

8a) N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-3-[(4-オキソ-3-フェニル-
4H-2-クロメニル)オキシ]プロピルピペラジノ)アセタミド
8b) 2-(4-4-[4-(2-ベンゾイル-4-クロロフェノキシ)ブチル]ピペラジノブトキシ)-5-
クロロフェニル] (フェニル) メタノン,
等の化合物に関して、ヒト癌細胞株は大腸癌、白血病、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、腎臓癌、中枢神経系、黒色腫、及び乳癌等9種の癌種に由来するものを使用し、表2及び3に示すようにインビトロ抗がん活性を評価した。 各化合物において、各細胞株に対する用量
反応曲線に対し、10倍希釈溶液中最低でも濃縮液5例の測定を行った。48時間の連続薬剤暴露という手順を採用し、スルホローダミオンB(SRB)プロテイン分析を行い、細胞生存率又は成長を評価した。そして実験対照と比較して、50%の細胞増殖抑制(GI50)、
100%の細胞増殖抑制(0%のTGI成長)、及び50%の細胞死(LC50, -50%成長)の結果が計算された。6dと8aの化合物において、log10GI50と同様に、log10TGI 及び log10LC50のグラフ平均中間値を表2及び3に示す。
【0038】
グラフ平均値のパターンに示すように、化合物6d,8a及び8bは、さまざまな細胞株に対
して、興味深い選択的活性パターンを示した。
【0039】
グラフ平均中間値、log10TGI 及び log10LC50は、グラフ平均中間値、log10GI50と同
様なパターンを示した。
【0040】
[表2]ヒト腫瘍細胞株に対する代表的な化合物に関するインビトロ(体外の)データのグラフ平均中間値(MG_MID)、Log10GI50, log10TGI 及び log10LC50

【0041】
[表3]ベンゾフェノン化合物におけるLog GI50 値(50%の細胞増殖抑制を起こすmol/L濃度)

【0042】
細胞毒性のインビトロ(体外の)評価において、上記癌の種類はそれぞれ6種〜9種の異なる癌細胞株を示している。化合物6a, 6b, 6d, 6e, 8a及び8bは、表2に示す大腸癌、前立腺癌、口腔がん、肺がん、子宮頸がん、及び乳癌等の6種の癌に由来する9種のヒト腫瘍細胞に対するインビトロ抗がん活性に関して評価された。化合物6a, 6c, 6d, 6e, 及び8aは幾つかの癌細胞株に対して優れた抗腫瘍細胞毒性を示した(表2)。化合物6a, 6b, 6d, 6e, 8a及び8bは、大腸癌(Colo205)、肺がん(Hop-62),子宮頸がん(SiHa)、前立腺癌(DU 145, PC3),口腔がん(DWD, HT1080), 及び乳癌(MCF7, Zr-75-1)由来の選択的ヒトがん細
胞株におけるインビトロ(体外)細胞毒性に関し、評価された。48時間の連続薬剤暴露という手順を採用し、アドリアマイシン(ADR)プロテイン分析を行い、細胞生存率又は成
長を評価した。結果は、未治療の実験対照株と相対的に比較することによって、細胞株のパーセンテージとして表現された。
【0043】
とりわけ、GI50 値が20nM以下である化合物6a, 6d, 8a及び8bは、7枚のヒト癌細胞パ
ネルにおける60種の癌細胞株に対して活性がある広いスペクトルを有することがわかった。非小細胞性肺癌のパネルにおいて、HOP-62, NCI-H23細胞株の増殖はGI50値がそれぞ
れ11.7, 13.9及び17.2nMである化合物6dによる影響を受けることがわかった。
【0044】
大腸癌HCC-2988, HCT-116 及びKM12 細胞株に対する化合物6dのGl50 値は、それぞれ11.6, 11.2及び11.4nMであった。CNS SF-295, SF-539, SNB-19及びSNB-75細胞株に対する化合物6dのGI50 値は、11.6-24.2 nMの範囲であった。卵巣癌細胞パネルにおける4種のが
ん細胞株(OVCAR-4, OVCAR-5, OVCAR-8 及び SK-OV-3)は、Gl50 値がそれぞれ30.6, 14.9,
30.5及び78.6 nMである化合物6dの影響を受けることがわかった。この実験により、GI50値が11.6-43.4nMである化合物6dは,腎臓癌及び乳癌パネルにおいて、抗がん細胞毒性活性を示し、GI50 値が10 mM以下である化合物8aは、9枚の癌細胞パネルにおける55種の細胞株に対して活性を示した。又、Gl50 値が10mM以下である化合物8aは9枚の癌細胞パネ
ルにおける57種のガン細胞株に対して活性を示し、選択された癌細胞株に対する化合物6d, 8a, 及び 8bのインビトロ抗がん細胞毒性を表3に示した。化合物6a, 6b, 6d, 6e, 8a及び8bの各がん細胞パネルにおける平均GI50値を表2に示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Aで表せる潜在的抗がん剤としての新規なベンゾフェノン化合物であって、


R1はピリジル, ピリミジル, 2- メトキシ ピペラジン, 4-クロロキナゾリン,2-(タ
ーシャル-ブチル)イミダゾ[1 ,2- a]ピリジン-8-カルボニル, N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-クロロ アセタミド, 1,3-ジブロモ プロパン) 及びブチル カルコンから選択されるものであることを特徴とする新規なベンゾフェノン化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の新規なベンゾフェノン化合物において、式Aで表されるベンゾフェノン化合物の典型的な化合物は、
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2-ピリジル)ピペラジノ]
アセタミド(6a);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2-ピリミジニル)ピペラジノ] アセタミド(6b);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2-メトキシフェニル)ピペラジノ]アセタミド(6c);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(4-キナゾリニル)ピペラジノ]アセタミド(6d);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-[2-(ターシャル-ブチル)イミダゾ [1,2-a] ピリジン-8-yl]カルボニルピペラジノ)アセタミド(6e);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-2-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)アニリノ]-2-オキソエチルピペラジノ)アセタミド(6f);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-4-[3-(4-2-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)アニリノ]-2-オキソエチルピペラジノ)プロピル]ピペラジノ アセタミド(6g)
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(4-4-[(E)-3-(4-フルオロフ
ェニル) - 3-オキソ-1-プロペニル]- 2-メトキシフェノキシブチル) ピペラジノ]アセタ
ミド (8);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-3-[(4-オキソ-3-フェニル-4H-2- クロメニル)オキシ]プロピルピペラジノ)アセタミド(8a)及び
2-(4-4-[4-(2-ベンゾイル-4-クロロフェノキシ)ブチル]ピペラジノブトキシ)-5- ク
ロロフェニル](フェニル)メタノン(8b)
であることを特徴とする新規なベンゾフェノン化合物。
【請求項3】
請求項1及び2に記載の新規なベンゾフェノン化合物であって、式Aで表されるベンゾフェノン化合物の代表的な化合物の一般的な構造が、



であることを特徴とする新規なベンゾフェノン化合物。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の新規なベンゾフェノン化合物であって、ベンゾフェノン化合物における仔ウシ胸腺(CT)DNAの熱変性データが、

a pH 7.00 ± 0.01におけるCT-DNAのみに対し, Tm = 69.6 0C ± 0.01 (10例の個別測定の平均値), b [配位子]/[DNA]のモル比1:5に対してΔTm 値 はすべて ± 0.1 - 0.2℃。 但し水溶性リン酸ナトリウムバッファ中 [10 mM リン酸ナトリウム + 1mM EDTA, pH
7.00 ± 0.01]のCT-DNA 濃度 = 100μM 及び配位子濃度 = 20μM、BPD = ベンゾフェノ
ン誘導体、
で示されることを特徴とする新規なベンゾフェノン化合物。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の新規なベンゾフェノン化合物であって、式Aで表される化合物はヒト細胞株に対し、インビトロ(体外)抗がん活性を発揮することを特徴とする新規なベンゾフェノン化合物。
【請求項6】
請求項5に記載の新規なベンゾフェノン化合物であって、使用するヒト癌細胞株は大腸癌、白血病、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、腎臓癌、中枢神経系、黒色腫、及び乳癌等に由来するものを選択することを特徴とする新規なベンゾフェノン化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の新規なベンゾフェノン化合物であって、6a-e及び8a-bの化合物は、-5.5〜-7.0の範囲におけるヒト腫瘍細胞株に対し、log10GI50 (50%の細胞増殖阻害) のグラフ平均中点値を示すことを特徴とする新規なベンゾフェノン化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の新規なベンゾフェノン化合物であって、6a-e及び8a-bの化合物は、-5.5〜-7.0の範囲におけるヒト腫瘍細胞株に対し、log10TGI(全細胞増殖阻害)のグラフ平均中点値を示すことを特徴とする新規なベンゾフェノン化合物。
【請求項9】
請求項1に記載の新規なベンゾフェノン化合物であって、6a-e及び8a-bの化合物は、-4.0〜-5.5の範囲におけるヒト腫瘍細胞株に対し、log10LC50 (50% 細胞死)のグラフ平均
中点値を示すことを特徴とする新規なベンゾフェノン化合物。
【請求項10】
請求項1に記載の新規なベンゾフェノン化合物であって、6a-e及び8a-bの化合物は、-5.0〜-7.0の範囲におけるヒト腫瘍細胞株に対し、log10GI50 (50%の細胞増殖阻害を引き
起こすmol/L)のグラフ平均中点値を示すことを特徴とする新規なベンゾフェノン化合物。
【請求項11】
式Aで表される潜在的抗がん剤としての新規なベンゾフェノン化合物の作製方法であって、

R1はピリジル, ピリミジル, 2-メトキシ ピペラジン, 4-クロロキナゾリン,2-(ターシ
ャル-ブチル)イミダゾ[1 ,2- a]ピリジン-8-カルボニル, N1 -[4-クロロ-2-(2-クロロベ
ンゾイル)フェニル]-2-クロロ アセタミド, 1,3-ジブロモ プロパン)及びブチル カルコ
ンのいずれかより選択され、前記方法は、
a) 式5で表される化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2- クロロ
アセタミド を式1の化合物から公知の方法により作製する工程と、

b) 式5で表せる前記化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-クロ
ロアセタミドを、アセトン中の無水炭酸カリウムとa) 1-(2-ピリジル)ピペラジン, (b) 1-(2-ピリミジニル)ピペラジン, (c) 1-(2-メトキシフェニル) ピペラジン, (d) 4-ピペラジノキナゾリン, (e) (ターシャル-ブチル) イミダゾ [1, 2-a] ピリジン-8-塩化カルボ
ニル, (f) N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-クロロアセタミド, (g) N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-ピペラジノアセタミド のいずれかよ
り選んだ試薬と還流下、20〜30時間、反応させ、その後炭酸カリウムを吸引濾過法により除去し真空下、溶媒を蒸発させた。そして、その生産物を公知の方法により精製し、一般式Aで表される所望の化合物6a-gを得る工程と、
c) 式5で表される前記化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-ク
ロロアセタミドをアセトン中のBoc-ピペラジンと還流下、15〜20時間反応させ、その後溶媒を蒸発させ式6’で表せる化合物を得る工程と、

d) 工程(c)で得た前記化合物6'をTFA(トリフルオロ酢酸) と、ジクロロメタン中20℃〜30℃の温度で反応させ、その後溶媒を蒸発させ、
式7で表せる化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-ピペラジノ アセタミドを得る工程と、

e) 式7で表せる前記化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-ピペラジノアセタミドを、アセトン中の(E)-3-[4-(3-ブロモプロポキシ)-3-メトキシフェニル]-1 -(4-フルオロフェニル)-2-プロパン-1-オン又は 3-(3-ブロモプロポキシ)-2-フェニル-4H-4-クロメノンと、炭酸カリウムの存在下、及び還流下、15〜20時間、反応させ、
その後炭酸カリウムを吸引濾過法により除去し、真空下溶媒を蒸発させ、その生成物を公知の方法により精製し、所望の化合物N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(4-4-[(E)-3-(4-フルオロフェニル)-3-オキソ-1-プロペニル]-2-メトキシフェノキシ
ブチル)ピペラジノ]アセタミド(8) 又は、 N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル) フェニル]-2-(4-3-[(4-オキソ-3-フェニル-4H-2-クロメニル)オキシ]プロピルピペラジノ)ア
セタミド(8a)を得る工程とを有することを特徴とする新規なベンゾフェノン化合物の作製方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、式Aで表されるベンゾフェノン化合物の典型的な化合物は、
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2-ピリジル)ピペラジノ]
アセタミド (6a);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2-ピリミジニル)ピペラジノ] アセタミド (6b);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(2-メトキシフェニル)ピペラジノ]アセタミド (6c);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(4-キナゾリニル)ピペラジノ]アセタミド(6d);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-[2-(ターシャル-ブチル)イミダゾ [1,2-a] ピリジン-8-yl]カルボニルピペラジノ)アセタミド (6e);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-2-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)アニリノ]-2-オキソエチルピペラジノ)アセタミド (6f);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-4-[3-(4-2-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)アニリノ]-2-オキソエチルピペラジノ)プロピル]ピペラジノ アセタミド(6g)
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-[4-(4-4-[(E)-3-(4-フルオロフ
ェニル)-3-オキソ-1-プロペニル]-2-メトキシフェノキシブチル) ピペラジノ]アセタミド(8);
N1-[4-クロロ-2-(2-クロロベンゾイル)フェニル]-2-(4-3-[(4-オキソ-3-フェニル-4H-2- クロメニル)オキシ]プロピルピペラジノ)アセタミド (8a) 及び
2-(4-4-[4-(2-ベンゾイル-4-クロロフェノキシ)ブチル]ピペラジノブトキシ)-5- ク
ロロフェニル] (フェニル) メタノン(8b)
であることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、式Aで表されるベンゾフェノン化合物の代表的な化合物の一般的な構造は、


であることを特徴とする方法。
【請求項14】
潜在的な抗がん剤としての式Aで表される新規なベンゾフェノン化合物及びその作製方
法。

【公表番号】特表2010−523488(P2010−523488A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500443(P2010−500443)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【国際出願番号】PCT/IN2008/000192
【国際公開番号】WO2008/120235
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(596020691)カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ (42)
【氏名又は名称原語表記】COUNCIL OF SCIENTIFIC & INDUSTRIAL RESEARCH
【Fターム(参考)】