説明

潤滑膜を形成するためのパーフルオロポリエーテル油ベースの組成物

【課題】安定した潤滑膜を形成できる潤滑油組成物の提供。
【解決手段】A)少なくとも一つのパーフルオロポリエーテル油を0.15重量%〜50重量%;B) カルボキシ、アルコール、アミド、ケトン、アミノ、アルコキシ官能基から選択される少なくとも一つの末端基を有する(パー)フルオロポリエーテル化合物を0.5重量%〜10重量%;C)有機もしくは無機の、固形もしくは液状の、非フッ素化添加剤を0.01重量%〜2重量%;D) ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロポリエーテル、ヒドロフルオロカーボンから選択される、20℃〜250℃、好ましくは50℃〜190℃の範囲の沸点を有する、少なくとも一つのフッ素化された液体を50重量%〜95重量%;含み、成分A)、B)、C)、D)の合計が100重量%である組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑膜を形成することができる、安定したパーフルオロポリエーテルベースの組成物に関する。
より詳しくは、本発明は、長い製品寿命を有し、表面上に薄くて均一な潤滑膜を形成することができ、少なくとも一つのパーフルオロポリエーテル油、少なくとも一つのフッ素化された液体、および液体もしくは固体の非フッ素化添加剤を含む、安定した組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
溶媒を蒸発させた後に薄い潤滑層を堆積させることによって表面上に潤滑膜を形成することができる、フッ素化もしくは非フッ素化潤滑油、および潤滑油の溶媒を含む潤滑組成物が、従来技術において公知である。しかしながら、フッ素化された油を含む公知の組成物は、該油に防錆性、トレース性、染色性等を賦与するための固形の水素化添加剤を含まない。
【0003】
例えば、特許GB 2,358,189は、任意に他の非フッ素化有機溶媒と混和して該潤滑剤用の担体として用いられるC6F13OCH3およびC6F13Hから選択されるフッ素化された溶媒中に溶解した、フッ素化もしくは非フッ素化潤滑剤を含み、種々の表面上に潤滑膜を形成することができる組成物を記載している。
上記のように、フッ素化された油を含む組成物は、該油に防錆性、トレース性、染色性等を賦与するための固形の水素化添加剤を含まない。
【0004】
USP 5,663,127は、少なくとも一つの水素を含む末端基を有するパーフルオロポリエーテル、およびパーフッ素化された非芳香族の有機環式液状溶媒からなる、パーフルオロポリエーテル潤滑剤を含む、磁気媒体潤滑用のフッ素化された組成物を記載している。
【0005】
EP 760,809は、磁気ディスク潤滑用の、ヒドロフルオロエーテルおよび高度にフッ素化されたポリエーテル油の組成物を記載している。
潤滑油の性質、例えば耐摩耗性、防錆性、抗酸化性を改善するため、あるいは例えばトレース剤、染料等のように潤滑剤の存在もしくは欠乏を検出するための、フッ素化もしくは非フッ素化添加剤を加えた潤滑組成物も知られている。しかしながら、これらの添加剤は、該油に上記の性質を賦与するために、該組成物中に可溶性でなければならない。
【0006】
例えば、USP 5,718,942は、フルオロペンタン中に溶解した、部分的にフッ素化された抗酸化剤と混和したパーフルオロポリエーテル油を含み、磁気ディスク上に薄い潤滑膜を形成することができる組成物を記載している。
【0007】
また、USP 5,210,188は、染色性物質を含むパーフルオロポリエーテル油の組成物を記載している。
この場合も、該染色性物質は、該油中で染料可溶性を得るために、パーフルオロポリエーテルをベースとしている。
【0008】
これらの組成物は、潤滑油の存在もしくは不存在、および表面における連続膜の存在を検出することによって潤滑性の質を判定するために用いられていた。しかしながら、これらの染料には、フッ素化された染料の製造方法が長くて、複雑であり、かつ経済的に不利であるという欠点がある。この製造方法を参照されたい。さらに、染料を製造するために用いられる反応試剤も高価である。
この場合、組成物は着色されているため、染料で処理された後も、製品がもとのままであることが望まれる用途には適していない。
【0009】
蛍光のトレース剤は、製品の外観、特に色を変えることなく、高度の粗さもしくは不平滑性を有する基板上の潤滑膜の均質性をコントロールできるので、特に有用であることも、従来技術において知られている。
【0010】
例えば、特許出願US 2003/0201423は、固形の非フッ素化潤滑剤(セチルおよびステアリルアルコール)、固形の潤滑剤と矛盾しない非フッ素化希釈剤、例えばエタノール、および蛍光性の非フッ素化トレース剤からなる潤滑組成物を記載している。
【0011】
一般に、上記の特許に示されているように、添加剤は潤滑組成物の成分中に可溶性であるか、または微細に分散し得るものでなければならない。例えば、フッ素化された潤滑油が用いられるとき、添加剤はこの油中に可溶性でなければならない。USP 5,210,188では、油中に該化合物を溶解するために、特別な染料を製造している。
【0012】
フッ素化された潤滑組成物における非フッ素化添加剤の使用は、潤滑組成物が満たすべき全ての要件に合致する広範なフッ素化添加剤が存在しないので、きわめて望ましい。さらに、非フッ素化添加剤は、経済的にもより有利である。
【0013】
したがって、フッ素化された油および非フッ素化添加剤を含む溶媒をベースとし、相分離しないで、均質な潤滑膜を形成することができる、均質かつ安定した組成物を入手する必要性があると感じられていた。
【発明の開示】
【0014】
驚くべきことに、パーフルオロポリエーテル化合物をベースとする組成物が、上記の技術的問題を解決でき、従来技術の欠点を克服することができることが見出された。
【0015】
本発明の目的は、重量%で、
A)少なくとも一つのパーフルオロポリエーテル油を0.15%〜50%、好ましくは1%〜30%;
B) カルボキシ、アルコール、アミド、ケトン、アミノ、アルコキシ官能基から選択される少なくとも一つの末端基を有する(パー)フルオロポリエーテル化合物を0.5%〜10%、好ましくは1%〜5%;
C)有機もしくは無機の、固形もしくは液状の非フッ素化添加剤を0.01%〜2%、好ましくは0.1%〜0.8%;
D) ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロポリエーテル、ヒドロフルオロカーボンから選択される、20℃〜250℃、好ましくは50℃〜190℃の範囲の沸点を有する、少なくとも一つのフッ素化された液体を50%〜95%;
含み、成分A)、B)、C)、D)の合計が100重量%である、安定した組成物である。
【0016】
好ましくは、成分A)は、20℃で測定したときに10〜2,000cStの粘度を有する。さらに、成分A)は好ましくは、主鎖に沿って統計的に分布した一つ以上のユニット(CFXO)(ここで、XはF、CF3である);(CF2CF2O);(CF(CF3)CF2O);(CF2CF2CF2O)を含む。
【0017】
成分A)のパーフルオロポリエーテル油は、好ましくは、次の群から選択される:
(1)E-O-(CF(CF3)CF2O)m'(CFXO)n'−E'
(ここで:
XはFまたはCF3であり;
EおよびE'は、同一または互いに異なって、CF3、C2F5またはC3F7から選択され、一方もしくは両方の末端基の一つのフッ素原子はClおよび/またはHで置き換えられていてもよく;
m'およびn'は、m'/n'比が20〜1,000の間にあるような整数であり、n'は0ではなく、該物質の20℃での粘度が10〜4,000cStの間であり;該ユニットは主鎖に沿って統計的に分布している)
これらのポリマーは、GB 1,104,432に記載されているようにパーフルオロプロペンを光酸化させ、次いでGB 1,226,566に記載されているように末端基を変換することによって得ることができる;
【0018】
(2)C3F7O(CF(CF3)CF2O)O'−D
(ここで:
Dは−C2F5または−C3F7であり、一方もしくは両方の末端基の一つのフッ素原子はClおよび/またはHで置き換えられていてもよく;
o'は、該物質の粘度が(1)で示された範囲内にあるような整数である)
これらのポリマーは、USP 3,242,218に記載されているように、パーフルオロプロピレンオキサイドのイオン的オリゴマー化、次いでフッ素での処理によって得ることができる;
【0019】
(3)[C3F7O−(CF(CF3)CF2O)p'−CF(CF3)−]2
(ここで:
p'は、該物質の粘度が(1)で示された範囲内にあるような整数であり、一方もしくは両方のC3F7末端基の一つのF原子はClおよび/またはHで置き換えられていてもよい)
これらの物質は、USP 3,214,478に記載されているように、パーフルオロプロピレンオキサイドのイオン的テロマー化、次いで光化学的二量化によって得ることができる。
【0020】
(4)E−O−(CF(CF3)CF2O)q'(C2F4O)r'(CFX)s'−E'
(ここで:
XはFまたはCF3であり;
EおよびE'は、同一または互いに異なって、上記のとおりであり;
q'、r'およびs'は、該物質の粘度が(1)で示された範囲内にあるような、0を含む整数である)
これらのポリマーは、USP 3,665,041に記載されているように、C3F6とC2F4の混合物を光酸化し、次いでフッ素で処理することによって得ることができる。
【0021】
(5)E−O−(C2F4O)t'(CF2O)u'−E'
(ここで:
EおよびE'は、同一または互いに異なって、上記のとおりであり;
t'およびu'は、t'/u'比が0.1〜5の間であり、u'は0ではなく、該物質の粘度が上記の(1)の範囲内にあるような整数である)
これらのポリマーは、USP 3,715,378に記載されているようにC2F4を光酸化し、次いでUSP 3,665,041に記載されているようにフッ素で処理することによって得られる。
【0022】
(6)E−O−(CF2CF2CF2O)v'−E'
(ここで:
EおよびE'は、同一または互いに異なって、上記のとおりであり;
v'は、該物質の粘度が上記の(1)の範囲内にあるような数である)
これらのポリマーは、EP 148,482に記載のようにして得られる。
【0023】
(7)D−O−(CF2CF2O)z'−D'
(ここで:
DおよびD'は、同一または互いに異なって、C2F5またはC3F7から選択され、一方もしくは両方の末端基の一つのフッ素原子はClおよび/またはHで置き換えられていてもよく;
z'は該物質の粘度が上記の(1)の範囲内にあるような数である)
これらのポリマーは、USP 4,523,039に記載のようにして得ることができる。
【0024】
(8)E1−O(CF2O)n(CF2CF2O)m−(CF2CF2CF2O)p(CF2CF2CF2CF2O)q−E2
(ここで、E1およびE2は、同一または互いに異なり、式−(CF2zCF3(ここで、zは0〜3の整数である)を有するパーフルオロアルキル末端基であり;n、m、p、qは、同一または互いに異なって、0〜100の間の整数であり、該物質の粘度が上記の(1)の範囲内にあるように選択される)
【0025】
これらのポリマーは、EP 1,454,938および特許出願EP 04 022 780に従って得ることができる。
成分A)として、上記の群のパーフルオロポリエーテル油の混合物を用いることができる。
【0026】
好ましいパーフルオロポリエーテル油は、群(1)、(4)、(5)、(8)のもの、またはそれらの混合物であり、Solvay Solexisによって販売されているFOMBLIN(商標)として市場で入手可能である。
【0027】
好ましくは、成分B)は、主鎖に沿って統計的に分布した(CF2O)、(CF2CF2O)、−CF(CF3)CF2O−、−CF2CF2CF2O−ユニットを有する。好ましくは、化合物B)は、400〜10,000、好ましくは1,000〜5,000の範囲の数平均分子量を有する。
【0028】
好ましくは、(パー)フルオロポリエーテル化合物 B)は、次の一般式:
T−O−(CF2O)m−(CF2CF2O)n(CF2CF(CF3)O)s(CF(CF3)O)p−T'(I)
(ここで:
− m、n、s、pは、構造(I)の数平均分子量が400〜10,000、好ましくは1,000〜5,000の範囲にあるような整数であり;
− TおよびT'は、同一または互いに異なって、次の式:CF2X−、C2F4X−、C3F6X−(ここで、XはF、Clである)を有する不活性の基から選択されるか、またはカルボキシ、アルコール、アミド、ケトン、アミノ、アルコキシ官能基を含む、フッ素化された官能基から選択される、但し、TまたはT'の少なくとも一つは、上記のもののフッ素化された官能基である)を有する。
【0029】
T、T'の例は、以下のものである:
−CF2COOH、−CF(CF3)−COOH、−CF2−CO−CF3、−CF2CONR1R2、−CF(CF3)CONR1R2、−CF2C(CF3)(OH)2、−CF2CH2OH、−CF2C(CF3)(OH)(OH.HNR1R2)、−(CF(CF3)−CH2OH、−CF2CH(CF3)OH、−CF2CY(CF3)OH、−CF2−COOZ(ここで、R1、R2は同一または異なって、H、−OHまたはハロゲンで任意に置換されていてもよいアルキル、アルキルアリール、アリールから選択され;ZはH、Na、K、NH4、R’1(R’2)(R’3)N(ここで、R’1、R’2およびR’3は、H、アルキルまたはヒドロキシ−アルキルから選択される)であり;Yは−OCH3、−NH2、−NR1R2である)。
【0030】
好ましくは、B)における化合物は、以下の条件を満たすものである:インデックス(m、n、s、p)のいずれもが0でないとき、s/p比は8〜12の間であり、s/nは0.5〜1.5の間であり、n/m比は8〜12の間である;nが0であるとき、s/pは8〜12の範囲であり、s/mは18〜22の範囲である;s=p=0であるとき、n/mは0.6〜2の範囲である。
【0031】
一般的な構造(I)は、式(−CF2CF2CF2O−)および/または(−CF2CF2CF2CF2O−)のユニットも含み得る。
好ましい化合物 B)は、TがCF3であり、T'がCF2C(CF3)(OH)2とCF2COOHの混合であり、nが0であるもの、またはT=T'=CF2COOHであり、s=p=0であるものである。
【0032】
上記の成分 B)の混合物を用いることもできる。
成分 B)は公知であり、USP 5,124,058またはUSP 3,810,874に記載の方法によって、(PFPE主鎖中に)上記の官能性末端基を導入することにより得ることができる。
【0033】
非フッ素化添加剤 C)は、フッ素化されていない耐摩耗剤、防錆剤、抗酸化剤、染色剤およびトレース剤、好ましくは固形の添加剤から選択される。
より好ましくは、成分 C)は、セバシン酸塩、特にセバシン酸ナトリウム(C10H16O4Na2)、モリブデン有機塩、MoS2、窒化ホウ素、タルク、黒鉛、ベンゾトリアゾール、2,5−ビス(5−tert−ブチルベンズオキサゾール−2−イル)チオフェン(BBOTとして市場で知られている)、メチレンブルー、メチルレッドおよびこれらの混合物から選択される。
【0034】
フッ素化された溶媒D)のヒドロフルオロエーテルおよびヒドロフルオロポリエーテルは、次の一般式を有する:
R'−Rf−R (II)
(ここで:
R'は−(O)n0−CnF2nH、または−OR''であり、nは1〜4の整数、好ましくは1または2であり;n0は0、1の整数であり;R''はアルキル、好ましくはC1−C4であり;
Rは−CnF2nH、−CmF2m+1であるか、または−R''は上記のとおりであり;ここで、末端基R、R'における一つのフッ素原子は一つの塩素原子で任意に置き換えられていてもよく;Rにおけるnは、R'において定義されたとおりであり;mは1〜3の整数であり;
【0035】
Rfは、
− 少なくとも一つのエーテル酸素原子を含む、2〜12の炭素原子の、直鎖状もしくは分 枝鎖状のパーフルオロアルキレンであり、Rfがこの意味を有するとき、R'におけるn0 は好ましくは0である;
− 次の:
−(CFXO)(ここで、XはFまたはCF3である);
−(CF2(CF2dO)(ここで、dは1〜2の整数である);
−(C3F6O)(ここで、Rfにおけるユニット(C3F6O)は、次の意味:(CF2CF(CF3) O)、(CF(CF3)CF2O)を有し得る);
から選択され、鎖に沿って統計的に分布したユニットを含むパーフルオロポリオキシアルキレンである)
但し、Rfがパーフルオロポリオキシアルキレンであるとき、R'におけるnOは好ましくは1である。
【0036】
好ましくは、式(II)において、Rは次の:−CF2H、−CF2CF2H、−CFHCF3から選択される基である。
式(II)の化合物は、一般に、100〜3,000、好ましくは200〜800の数平均分子量を有する。
【0037】
式(II)の化合物において、好ましくはRfは、(パー)フルオロポリエーテル鎖であり、n0は1であり、Rfは好ましくは次の構造の一つを有する:
1)−(CF2O)a−(CF2CF2O)b
(ここで、aが0でないとき、b/aは両端を含んで0.3〜10の間であり;aが0であるとき、bは以下に定義される整数であり;
式(II)におけるRは、−CnF2nHである);
2)−(CF2−(CF2z'−CF2O)b'
(ここで、z’は1または2の整数であり;b'は以下に定義されるとおりである;
【0038】
3)−(C3F6O)r−(C2F4O)b−(CFLoO)t
(ここで、L0は−F、−CF3であり;
bおよびtが0でないとき、r/bは0.5〜2.0であり;(r+b)/tは10〜30であり、r、bおよびtインデックスを有する全てのユニットが存在する;
あるいは、b=t=0であり、rは以下に示される条件を満たす;
あるいはbは0であり、rおよびtは0ではない;
a、b、b'、r、t、またはこれらの合計は、二価の基Rfを含む式(II)の化合物が上記の範囲にある沸点を有するような整数である)。
【0039】
フッ素化された溶媒 D)は、式(II)の化合物の混合物でもあり得る。式(II)のフッ素化された溶媒 D)は、例えばUSP 3,704,214、USP 3,715,378、WO 95/32174およびUSP 5,969,192で知られている。
【0040】
溶媒D)のヒドロフルオロカーボン(HFC)は、一般式:
HxFyCz (III)
(ここで、zは4〜8の間の整数である)
を有し、互いに組み合わせて用いられ得る。
式(II)および(III)の化合物の混合物も、成分D)として用いられ得る。式(II)の化合物が好ましい。
【0041】
本発明の組成物は、例えば、化合物 A)、B)、C)およびD)を、室温で撹拌下に混合することによって製造することができる。好ましくは、化合物 C)が化合物 B)に加えられ、得られた混合物が A)、次いで D)に加えられる。
該組成物は、そのまま使用でき、希釈する必要がない。さらに、該組成物は、成分が明確に分離しないで、広い温度範囲で長期間安定(高度の製品寿命)である。
【0042】
本発明のさらなる目的は、上記の組成物の潤滑用の使用である。特に、金属、鋳鉄もしくはこれらの合金、セラミック材料、高分子材料、ガラス、木材の潤滑が挙げられる。
特に、本発明の組成物は、それらの高い湿潤力のために、高度の粗さおよび平滑性のある表面を処理するのに有利に用いられる。本発明の組成物は、潤滑化されるべき製品の処理された全表面に薄い均質な層を堆積させる。
【0043】
液状もしくは固形の非フッ素化添加剤を、パーフルオロポリエーテル油、およびフッ素化された溶媒からなる潤滑組成物に加えることによって得られる組成物、例えばEP 760,809に記載のものは、相分離のために不安定かつ不均質であり、そのためそれらは所期の用途、例えば油膜の存在を検出するためのトレース剤を堆積させるのには使用できないことを、本出願人によって行われた試験が示したので、本発明の結果は、予期せぬことであり、驚くべきことである(比較例参照)。
【0044】
特に、特許出願US 2003/0201423の教示に従って、固形の蛍光性非フッ素化添加剤を、パーフルオロポリエーテル油およびフッ素化された溶媒を含む組成物に加えると、潤滑組成物を不安定にすることを、本出願人は示した。
【0045】
前記のように、固形の非フッ素化添加剤を含む本発明の組成物は、実質的な相分離を全く示さず、外観的に透明であり、室温および5℃の両方で少なくとも15日間安定であり、好ましくは少なくとも2ヶ月間、より好ましくは少なくとも6ヶ月間安定である、均質な組成物をもたらす(実施例参照)。
【0046】
本発明の組成物は、公知の膜形成方法、例えばスプレー、ディップコーティングおよび展延、次いで、室温または100℃より高くない温度での蒸発による溶媒の除去によって、適用され得る。
以下のいくつかの実施例は、本発明を説明するものであり、制限するものではない。
【0047】
実施例
特徴付け
組成物の安定性
本発明の組成物を、スクリュープラグを備えたパイレックス(登録商標)ガラス試験管に入れ、サーモスタット浴またはクリオスタットによって、試験温度でサーモスタットに付す。15日経過後、試験管を取り出し、外観を観察する:外観が透明であって相が一つだけである場合、該組成物は安定であると評価され、試験結果はポジティブである。これとは逆に、試験管の外観が透明でないか、より多くの相が存在する場合、該組成物は不安定であると評価され、試験結果はネガティブである。
【0048】
実施例1
本発明の組成物を、撹拌下に次のようにして製造する:次の構造:2,5-ビス(5-tert-ブチル-ベンズオキサゾール-2-イル)チオフェン(BBOT)を有する、UVによって検出可能なトレース剤としての物質 C)(0.002 g)を、一般式(I)(ここで、Tは−CF3であり、T'は−CF2C(CF3)(OH)2(75モル%)および−CF2COOH(25モル%)であり、nは0であり、s/pは10であり、s/mは20であり、p/mは2である)の物質 B)(1 g)に加え;
次いで混合物 C)+B)を、20℃で1500cSTの運動粘度を有する、Fomblin(商標)YPL 1500として市場で知られている、群(1)の油 A)(MW=5500〜7300)(20 g)、および沸点が130℃であり、H−Galden(商標)ZT130として市場で知られている、式:
HCF2−O−(CF2CF2O)3−(CF2O)0.4−CF2H
のフッ素化された溶媒 D)(78.008 g)に加える。
このようにして得られた組成物を、室温および5℃で安定性評価に付す。試験結果は、両方の設定温度条件においてポジティブである。
さらに、該組成物は、その調製から2ヶ月後でも安定であるという結果が得られた。
【0049】
実施例2
沸点が60℃であり、H−Galden(商標)ZV60として市場で知られている、式
HCF2−O−(CF2CF2O)0.9−(CF2O)0.1−CF2H
のヒドロフルオロポリエーテルを、フッ素化された溶媒 D)として用いることによって、実施例1を繰り返した。
このようにして得られた組成物を、室温および5℃で安定性評価に付す。
試験結果は、両方の設定温度条件においてポジティブである。
さらに、該組成物は、その調製から2ヵ月後でも安定であるという結果が得られた。
【0050】
実施例3
沸点が61℃であり、HFE(商標)7100として市場で知られている、式:
C4F9OCH3
のヒドロフルオロエーテルを、フッ素化された溶媒 D)として用いることによって、実施例1を繰り返した。
このようにして得られた組成物を、室温および5℃で安定性評価に付す。
試験結果は、両方の設定温度条件においてポジティブである。
さらに、該組成物は、その調製から2ヵ月後でも安定であるという結果が得られた。
【0051】
実施例4
沸点が55℃であり、Vertrel(商標)XFとして市場で知られている、式:
CF2−CFH−CFH−CF2−CF3
のヒドロフルオロカーボンを、フッ素化された溶媒 D)として用いることによって、実施例1を繰り返した。
このようにして得られた組成物を、室温および5℃で安定性評価に付す。
試験結果は、両方の設定温度条件においてポジティブである。
さらに、該組成物は、その調製から2ヵ月後でも安定であるという結果が得られた。
【0052】
実施例5
20℃で300cStの運動粘度を有する、Fomblin(商標)M 30として市場で知られている、群(5)のパーフルオロポリエーテルを、パーフルオロポリエーテル油 A)として用いることによって、実施例1を繰り返した。
このようにして得られた組成物を、室温および5℃で安定性評価に付す。
試験結果は、両方の設定温度条件においてポジティブである。
さらに、該組成物は、その調製から1ヵ月後でも安定であるという結果が得られた。
【0053】
実施例6
Fluorolink(商標)C 10として市場で知られている、式(I)(ここで、T=T'=−CF2COOHであり、s=p=0であり、n/mは0.6〜2である)の化合物を、(パー)フルオロポリエーテル化合物 B)として用いることによって、実施例2を繰り返した。
このようにして得られた組成物を、室温および5℃で安定性評価に付す。
試験結果は、両方の設定温度条件においてポジティブである。
さらに、該組成物は、その調製から2ヵ月後でも安定であるという結果が得られた。
【0054】
実施例7
本発明の組成物を、撹拌下に、次のようにして製造する:セバシン酸ナトリウムとして知られている、抗酸化剤としての式C10H16O4Na2の物質 C)(1 g)を、一般式(I)(ここで、Tは−CF3であり、T'は−CF2C(CF3)(OH)2(75モル%)および−CF2COOH(25モル%)であり、nは0であり、s/pは10であり、s/mは20であり、p/mは2である)の、実施例1の成分B)(3 g)に加え;次いで、混合物 C)+B)を、Fomblin(商標)YPL 1500として市場で知られており、20℃で1500cStの運動粘度を有する、実施例1で用いた群(1)の成分 A) (MW=5500〜7300)(46 g)、および実施例1で用いた、沸点が130℃であり、H-Galden(商標)ZT130として市場で知られている、次の構造:
HCF2−O−(CF2CF2O)3−(CF2O)0.4−CF2H
を有する成分 D)(50 g)に加える。
このようにして得られた組成物を、室温および5℃で安定性評価に付す。
試験結果は、両方の設定温度条件においてポジティブである。
【0055】
実施例8(比較)
パーフッ素化された溶媒(沸点が70℃であるGalden SV 70)を、溶媒 D)として用いることによって、実施例1を繰り返した。
このようにして得られた組成物を、室温および5℃で安定性評価に付す。
試験結果は、両方の設定温度条件においてネガティブであり、特に2時間も経過しないうちに相の分離が見られる。
【0056】
実施例9(比較)
パーフッ素化された溶媒(沸点が70℃であるGalden SV 70)を、溶媒 D)として用いることによって、実施例7を繰り返した。
このようにして得られた組成物を、室温および5℃で安定性評価に付す。
試験結果は、両方の設定温度条件においてネガティブであり、特に2時間も経過しないうちに相の分離が見られる。
【0057】
実施例10(比較)
本発明の(パー)フルオロポリエーテル化合物 B)を用いないで、実施例6を繰り返した。
このようにして得られた組成物を、室温および5℃で安定性評価に付す。
試験結果は、両方の設定温度条件においてネガティブであり、特に2時間も経過しないうちに相の分離が見られる。
【0058】
実施例11(比較)
本発明の(パー)フルオロポリエーテル化合物 B)の不在下に、実施例7を繰り返した。
このようにして得られた組成物を、室温および5℃で安定性評価に付す。
試験結果は、両方の設定温度条件においてネガティブであり、特に2時間も経過しないうちに相の分離が見られる。
【0059】
実施例12(比較)
セバシン酸ナトリウムC10H16O4Na2(成分 C))(0.1 g)を、H−Galden(商標)ZT130として市場で知られている、式:
HCF2−O−(CF2CF2O)3−(CF2O)0.4−CF2H
のフッ素化された溶媒 D)(100 g)と、撹拌下に混合する。
長時間撹拌した後でも二つの非混和性の相が見られることより、二つの成分は化学的に同様の結果とならない。したがって、フッ素化された化合物 D)は、化合物 C)の溶媒とはならない。
【0060】
実施例13(比較)
次の構造:
HCF2−O−(CF2CF2O)0.9−(CF2O)0.1−CF2H
を有し、H−Galden(商標)ZV60として市場で知られている、ヒドロフルオロポリエーテルを、フッ素化された溶媒 D)として用いることによって、実施例12を繰り返す。
長時間撹拌した後でも、二つの非混和性の相が見られることより、二つの成分は化学的に同様の結果とならない。したがって、フッ素化された化合物 D)は、化合物 C)の溶媒とはならない。
【0061】
実施例14(比較)
セバシン酸ナトリウムC10H16O4Na2(成分 C)) (0.1 g)を、Fluorolink(商標)C 10として市場で知られている、一般式(I)(ここで、T=T'=−CF2COOHであり、s=p=0であり、n/mは0.6〜2である)の、実施例6の物質 B)(100 g)と、撹拌下に混合する。
長時間撹拌した後でも、二つの非混和性の相が見られることより、二つの成分は化学的に同様の結果を生じない。したがって、(パー)フルオロポリエーテル化合物 B)は、化合物 C)の溶媒とはならない。
【0062】
適用実施例
実施例15
実施例1の組成物を製造し、密閉した容器中に、室温で24時間放置した。次いで、15×6 mmの大きさの長方形の銅板を、予め調製した組成物中に、1分間完全に浸す。上記の時間が経過した後、この銅板を組成物から取り除き、空気中で15分間乾燥する。次いで、銅板を、堆積した潤滑膜の均質性を評価するためのUVランプ(370 nm)の下に置く。試験片全体に均一に分布した蛍光の存在が外観的に観察される。
【0063】
実施例16(比較)
実施例8の組成物を用いることによって、実施例15を繰り返した。処理した銅板は、UPランプの下に置いたとき、いかなる蛍光も示さない。
このことは、蛍光添加剤が銅板上で安定していないことを示す。
実施例15と実施例16との比較から、本発明の均質な組成物は、実質的に均質な方法で、トレース(蛍光)添加剤を処理表面に堆積させ、したがって潤滑膜を検出させるという結果が得られる。
このことは、連続して製造される部品の品質をコントロールするのに、非常に有用であり、かつ有利であるということになる。
事実、蛍光添加剤を含まない潤滑剤では、潤滑膜の存在を判定することができない。潤滑膜を含まない多くの部品は、最終使用者によって拒否され、返却されるので、このことは欠点を表す。
【0064】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、
A)少なくとも一つのパーフルオロポリエーテル油を0.15%〜50%、好ましくは1%〜30%;
B) カルボキシ、アルコール、アミド、ケトン、アミノ、アルコキシ官能基から選択される少なくとも一つの末端基を有する(パー)フルオロポリエーテル化合物を0.5%〜10%、好ましくは1%〜5%;
C) 固体もしくは液体の、有機もしくは無機の、非フッ素化添加剤を0.01%〜2%、好ましくは0.1%〜0.8%;
D) ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロポリエーテル、ヒドロフルオロカーボンから選択される、20℃〜250℃、好ましくは50℃〜190℃の範囲の沸点を有する、少なくとも一つのフッ素化された液体を50%〜95%;
含み、成分A)、B)、C)、D)の合計が100重量%である組成物。
【請求項2】
成分A)が、好ましくは、20℃で測定したときに10〜2,000cStの粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分A)が、主鎖に沿って統計的に分布した一つ以上のユニット(CFXO)(ここで、XはF、CF3である);(CF2CF2O);(CF(CF3)CF2O):(CF2CF2CF2O)を含む、請求項1〜2に記載の組成物。
【請求項4】
成分A)のパーフルオロポリエーテル油が、次の群:
(1)E-O-(CF(CF3)CF2O)m'(CFXO)n'−E'
(ここで:
XはFまたはCF3であり;
EおよびE'は、同一または互いに異なって、CF3、C2F5またはC3F7から選択され、一方もしくは両方の末端基の一つのフッ素原子はClおよび/またはHで置き換えられていてもよく;
m'およびn'は、m'/n'比が20〜1,000の間にあるような整数であり、n'は0ではなく、該物質の20℃での粘度が10〜4,000cStの間であり;該ユニットは主鎖に沿って統計的に分布している)
(2)C3F7O(CF(CF3)CF2O)O'−D
(ここで:
Dは−C2F5または−C3F7であり、一方もしくは両方の末端基の一つのフッ素原子はClおよび/またはHで置き換えられていてもよく;
o'は、該物質の粘度が(1)で示された範囲内にあるような整数である);
(3)[C3F7O−(CF(CF3)CF2O)p'−CF(CF3)−]2
(ここで:
p'は、該物質の粘度が(1)で示された範囲内にあるような整数であり、一方もしくは両方のC3F7末端基の、一つのF原子はClおよび/またはHで置き換えられていてもよい)
(4)E−O−(CF(CF3)CF2O)q'(C2F4O)r'(CFX)s'−E'
(ここで:
XはFまたはCF3であり;
EおよびE'は、同一または互いに異なって、上記のとおりであり;
q'、r'およびs'は、該物質の粘度が(1)で示された範囲内にあるような、0を含む整数である)
(5)E−O−(C2F4O)t'(CF2O)u'−E'
(ここで:
EおよびE'は、同一または互いに異なって、上記のとおりであり;
t'およびu'は、t'/u'比が0.1〜5の間であり、u'は0ではなく、該物質の粘度が上記の(1)の範囲内にあるような整数である)
(6)E−O−(CF2CF2CF2O)v'−E'
(ここで:
EおよびE'は、同一または互いに異なって、上記のとおりであり;
v'は該物質の粘度が上記の(1)の範囲内にあるような数である)
(7)D−O−(CF2CF2O)z'−D'
(ここで:
DおよびD'は、同一または互いに異なって、C2F5またはC3F7から選択され、一方もしくは両方の末端基の一つのフッ素原子はClおよび/またはHで置き換えられていてもよく;
z’は該物質の粘度が上記の(1)の範囲内にあるような数である)
(8)E1−O(CF2O)n(CF2CF2O)m−(CF2CF2CF2O)p(CF2CF2CF2CF2O)q−E2
(ここで、E1およびE2は、同一または互いに異なり、式−(CF2zCF3(ここで、zは0〜3の整数である)を有するパーフルオロアルキル末端基であり;n、m、p、qは、同一または互いに異なって、0〜100の間の整数であり、該物質の粘度が上記の(1)の範囲内にあるように選択される)
から選択される、請求項1〜3に記載の組成物。
【請求項5】
上記の群のパーフルオロポリエーテル油の混合物が、成分A)として用いられ得る、請求項1〜4に記載の組成物。
【請求項6】
成分A)のパーフルオロポリエーテル油が、群(1)、(4)、(5)、(8)のもの、またはそれらの混合物である、請求項4〜5に記載の組成物。
【請求項7】
成分B)が、主鎖に沿って統計的に分布した(CF2O)、(CF2CF2O)、−CF(CF3)CF2O−、−CF2CF2CF2O−ユニットを含む、請求項1〜6に記載の組成物。
【請求項8】
成分B)が400〜10,000、好ましくは1,000〜5,000の範囲の数平均分子量を有する、請求項1〜7に記載の組成物。
【請求項9】
(パー)フルオロポリエーテル化合物 B)が、次の式:
T−O−(CF2O)m−(CF2CF2O)n(CF2CF(CF3)O)s(CF(CF3)O)p−T'(I)
(ここで:
− m、n、s、pは、構造(I)の数平均分子量が400〜10,000、好ましくは1,000〜5,000の範囲にあるような整数であり;
− TおよびT'は、同一または互いに異なって、次の式:CF2X−、C2F4X−、C3F6X−(ここで、XはF、Clである)を有する不活性の基から選択されるか、またはカルボキシ、アルコール、アミド、ケトン、アミノ、アルコキシ官能基を含む、フッ素化された官能基から選択される、但し、TまたはT'の少なくとも一つは、上記のもののフッ素化された官能基である)
を有する、請求項1〜8に記載の組成物。
【請求項10】
(パー)フルオロポリエーテル化合物B)の末端基T、T'が、−CF2COOH、−CF(CF3)−COOH、−CF2−CO−CF3、−CF2CONR1R2、−CF(CF3)CONR1R2、−CF2C(CF3)(OH)2、−CF2CH2OH、−CF2C(CF3)(OH)(OH.HNR1R2)、−(CF(CF3)−CH2OH、−CF2CH(CF3)OH、−CF2CY(CF3)OH、−CF2−COOZ;(ここで、R1、R2は同一または異なって、H、−OHまたはハロゲンで任意に置換されていてもよいアルキル、アルキルアリール、アリールから選択され;ZはH、Na、K、NH4、R’1(R’2)(R’3)N(ここで、R’1、R’2およびR’3は、H、アルキルまたはヒドロキシアルキルから選択される)であり;Yは−OCH3、−NH2、−NR1R2である)から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
式(I)の(パー)フルオロポリエーテル化合物B)が、次の条件:インデックス(m、n、s、p)のいずれもが0でないとき、s/p比は8〜12の間であり、s/nは0.5〜1.5の間であり、かつn/m比は8〜12の間である;nが0であるとき、s/pは8〜12の範囲であり、s/mは18〜22の範囲である;s=p=0であるとき、n/mは0.6〜2の範囲である
を満たす、請求項9〜10に記載の組成物。
【請求項12】
化合物 B)のTがCF3であり、T'がCF2C(CF3)(OH)2とCF2COOHの混合物であり、nが0であるか、またはT=T'=CF2COOHであり、s=p=0である、請求項9〜11に記載の組成物。
【請求項13】
非フッ素化添加剤C)が、非フッ素化の耐磨耗剤、防錆剤、抗酸化剤、染料およびトレース剤、好ましくは固形の添加剤から選択される、請求項1〜12に記載の組成物。
【請求項14】
添加剤C)が、セバシン酸塩、好ましくはセバシン酸ナトリウム(C10H16O4Na2)、モリブデン有機塩、MoS2、窒化ホウ素、タルク、黒鉛、ベンゾトリアゾール、2,5−ビス(5−tert−ブチルベンズオキサゾール−2−イル)チオフェン(市場でBBOTとして知られている)、メチレンブルー、メチルレッドおよびこれらの混合物から選択される、請求項1〜13に記載の組成物。
【請求項15】
フッ素化された溶媒D)のヒドロフルオロエーテルおよびヒドロフルオロポリエーテルが、一般式
R'−Rf−R (II)
(ここで:
R'は−(O)n0−CnF2nH、または−OR''であり、nは1〜4の整数、好ましくは1または2であり;n0は0、1の整数であり;R''はアルキル、好ましくはC1−C4であり;
Rは−CnF2nH、−CmF2m+1であるか、または−R''は上記のとおりであり;ここで、末端基R、R'において、一つのフッ素原子は、一つの塩素原子で任意に置き換えられていてもよく;Rにおけるnは、R'において定義されたとおりであり;mは1〜3の整数であり;
Rfは、
− 少なくとも一つのエーテル酸素原子を含む、2〜12の炭素原子の直鎖状もしくは分枝 鎖状のパーフルオロアルキレンであり、Rfがこの意味を有するとき、R'におけるn0は 好ましくは0である;
− 以下の:
−(CFXO)(ここで、XはFまたはCF3である);
−(CF2(CF2dO)(ここで、dは1〜2の間の整数である);
−(C3F6O)(Rfにおけるユニット(C3F6O)は、次の意味:(CF2CF(CF3)O)、(CF(CF3)CF2O)を有し得る);
から選択され、主鎖に沿って統計的に分布しているユニットを含むパーフルオロポリオキシアルキレンである)
(但し、Rfがパーフルオロポリオキシアルキレンであるとき、R'におけるnOは好ましくは1である)
を有する、請求項1〜14に記載の組成物。
【請求項16】
式(II)において、Rが次の:−CF2H、−CF2CF2H、−CFHCF3から選択される基である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
式(II)の化合物が、100〜3,000、好ましくは200〜800の数平均分子量を有する、請求項15〜16に記載の組成物。
【請求項18】
式(II)の化合物において、Rfが、R'のn0が1である(パー)フルオロポリエーテル鎖である、請求項15〜17に記載の組成物。
【請求項19】
式(II)におけるRfが、次の構造:
1)−(CF2O)a−(CF2CF2O)b
(ここで、aが0でないとき、b/aは両端を含んで0.3〜10の間であり;aが0であるとき、bは以下に定義される整数であり;
式(II)におけるRは、−CnF2nHである);
2)−(CF2−(CF2z'−CF2O)b'
(ここで、z’は1または2の整数であり;b'は以下に定義されるとおりである;
3)−(C3F6O)r−(C2F4O)b−(CFL0O)t
(ここで、Loは−F、−CF3であり;
bおよびtが0でないとき、r/bは0.5〜2.0であり;(r+b)/tは10〜30であり、r、bおよびtインデックスを有する全てのユニットが存在するか;
または、b=t=0であり、rは以下に示される条件を満たすか;
または、b=0であり、rおよびtは0ではなく;
a、b、b'、r、t、あるいはこれらの合計は、二価の基Rfを含む式(II)の化合物が、上記の範囲にある沸点を有するような整数である)
のうちの一つを有する、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
フッ素化された溶媒D)が、式(II)の化合物の混合物であり得る、請求項15〜19に記載の組成物。
【請求項21】
溶媒D)のヒドロフルオロカーボンが、一般式:
HxFyCz(III)
(ここで、zは4〜8の間の整数である)
を有し、相互に混和して用いられ得る、請求項1〜14に記載の組成物。
【請求項22】
成分D)が、式(II)および(III)の化合物の混合物である、請求項1〜21に記載の組成物。
【請求項23】
式(II)の化合物が成分D)として用いられる、請求項1〜22に記載の組成物。
【請求項24】
潤滑用としての、請求項1〜23に記載の組成物の使用。
【請求項25】
金属、鋼鉄、鋳鉄もしくはこれらの合金、セラミック材料、高分子材料、ガラス、木材の潤滑用である、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
高度の粗さおよび滑らかさを有する表面を処理するための、請求項24〜25に記載の使用。

【公開番号】特開2006−188693(P2006−188693A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375488(P2005−375488)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(503023047)ソルヴェイ ソレクシス エス.ピー.エー. (40)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Solexis S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Turati 12 − MILANO,Italy
【Fターム(参考)】