説明

災害対応通信システム、無線基地局装置、無線制御装置、携帯端末及び被災者端末情報データベース装置

【課題】災害発生時に避難場所を被災者に確実に報知可能で、被災者の安否問い合わせにも確実に応答可能な災害対応通信システムを提供する。
【解決手段】被災エリア1000にある無線基地局装置BTS20、21で検知した災害発生通知を受信した上位装置の無線制御装置30で、該災害に対する最適な避難場所を検索し、災害発生の旨と避難場所とを含む緊急報知情報を作成して、BTS20、21から報知チャンネルにてそれぞれの無線エリアに存在するすべての携帯端末に対して定期的に報知する。更に、無線基地局装置30から、被災者端末情報データベースDB40に被災者の携帯端末に関するユーザ情報を登録し、しかる後、該被災者の安否情報を入手の都度、更新登録する。DB40にて被災者の安否情報に関する問い合わせメールを受信すると、登録された安否情報を含む返信メールを自動的に作成して返送すると共に、その旨を当該被災者の携帯端末に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害対応通信システム、無線基地局装置、無線制御装置、携帯端末及び被災者端末情報データベース装置に関し、特に、災害発生時に被災者へ避難場所を確実に報知し、被災者の安否問い合わせへの応答を確実に行うことができる災害対応通信システム、無線基地局装置、無線制御装置、携帯端末及び被災者端末情報データベース装置に関する。本発明は、携帯電話機などの携帯端末向けの移動体無線通信や事業所内の無線LAN通信など、無線通信分野全般に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
近年、各地で大きな災害が発生し、大きな被害を被っている。このような大きな災害が発生した被災地では、ライフラインが途絶え、有線通信回線や無線通信回線などの通信手段もほとんど全滅してしまうことが多く、当該被災地の被災状況、当該被災地における被災者の安否情報のみならず、被災者への避難場所情報の提供も困難であり、更に、被災地の外部でも、被災状況や被災者の安否情報がまったく入手できなくなってしまうなど、防災上の大きな問題を抱えている。
【0003】
特許文献1に示す特開2004−56730号公報「携帯電話および携帯電話利用災害時情報ネットワーク」に記載されている災害対応通信システムでは、災害時に救援に向かう輸送手段に無線LANの基地局機能等を設置し、一方、被災地で使用するカメラ内蔵携帯電話機にLAN制御部と無線LANインタフェースとを設けて、該カメラ内蔵携帯電話機で撮影した被災状況を無線LANを介して無線LANの無線基地局に報告させるようにしている。しかし、大きな災害時には、無線LANから先の公衆電話網などの通信手段も途絶えている可能性が大きいこと、更には、大災害時には、救援に向かう輸送手段そのものも被災地のカメラ内蔵携帯電話機からの無線LANの信号を受信できる場所まで到着することが難しい場合がある。
【0004】
また、特許文献2に示す特開2005−17027号公報「避難誘導システムおよび避難誘導方法」に記載されている災害対応通信システムは、災害時にGPS付携帯電話機を使用して、被災者を避難場所まで案内することができるシステムであるが、避難場所に関する情報を取得できる範囲がGPS機能を搭載した携帯電話機の所有者のみに限られてしまうという点に問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−56730号公報(第4−5頁、図3)
【特許文献2】特開2005−17027号公報(第5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大きな災害発生時には、被災地ではライフラインが完全に停止してしまう場合が多く、通常の無線/有線通信として用いられているすべての通信手段が遮断してしまうことが一般的であり、前述のような従来の災害対応通信システムでは、被災情報、安否情報の収集や被災者への避難場所の通知が困難になることが多い。
【0007】
更には、たとえ、通常の無線/有線通信用の通信手段が遮断していない状態にあったとしても、被災地の外部から殺到する被災者の安否確認等の通信により、このような通信手段も輻輳状態に陥り、通常の通信手段が使用不能な状態に至る場合が多く、被災エリアにおける被災状況の収集や被災者への情報提供に混乱を招く恐れがあるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、災害が発生した場合、その被災エリアに設置された無線基地局装置BTS(Base Transceiver Station)が災害発生を検知し、かつ、報知情報(無線通信を行うための制御情報:無線エリアに存在する不特定多数の携帯電話機に対して、制御用専用の報知用チャンネルを用いて、無線通信に用いる無線通信チャンネル情報、方式情報、規制情報、位置情報等々の制御情報を、常時、定期的に報知する情報)を利用して、災害発生の旨と避難場所とを被災者の携帯端末に確実に報知する災害対応通信システム、無線基地局装置、無線制御装置、携帯端末及び被災者端末情報データベース装置を提供し、もって、たとえ、被災地のライフラインが停止し、通常の無線通信チャンネルが使用不能になったとしても、被災者の不安を除去することを可能にすることにある。
【0009】
更に、本発明の他の目的は、被災者ごとの安否情報などを蓄積し、被災者の安否情報の問い合わせメールに対して自動的に応答・返信する被災者端末情報データベース装置DBを設置することにより、災害発生時に、被災者の安否情報等、外部からの問い合わせが集中しても、被災者の安否情報を自動的にかつ確実に配信することができる災害対応通信システム、無線基地局装置、無線制御装置、携帯端末及び被災者端末情報データベース装置を提供し、もって、通信回線の輻輳状態が発生しても、自動的に通信の負荷を調整し、被災者の安否の問い合わせに確実に対応することを可能にすることにある。
【0010】
この結果、前記特許文献1、2のごとき従来技術に比し、被災エリアの被災者全員に対して災害の発生と避難場所とをより確実に通知することができ、更に、被災エリア内外からの被災者の安否の問い合わせにもより確実に応答することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため、本発明による災害対応通信システム、無線基地局装置、無線制御装置、携帯端末及び被災者端末情報データベース装置は、次のような特徴的な構成を採用している。
【0012】
(1)携帯端末との間で無線通信を行う無線基地局装置と該無線基地局装置を制御する無線制御装置とを備えた無線通信ネットワークを用いた災害対応通信システムにおいて、前記無線基地局装置が、災害発生を検知するセンサを備え、災害発生時に被災エリアに設置された前記無線基地局装置が、前記センサにより災害の発生を検知した場合、前記無線制御装置に対して災害発生の旨を通知する災害対応通信システム。
(2)前記無線基地局装置から災害発生の旨の通知を受け取った前記無線制御装置が、被災エリアに対して最適な避難場所を検索する検索手段を備え、前記無線基地局装置から受け取った災害発生通知に基づいて前記検索手段により避難場所を検索し、災害発生の旨と避難場所とを含む緊急報知情報を作成して、被災エリア及び/又は該被災エリアに隣接するエリアに設置された前記無線基地局装置に対して前記緊急報知情報を送信する上記(1)の災害対応通信システム。
(3)前記無線基地局装置が、当該無線基地局装置の無線エリアに存在するすべての携帯端末に対して報知用チャンネルを用いて定期的に報知情報を報知する報知手段を備え、前記無線制御装置から前記緊急報知情報を受け取った場合、受け取った前記緊急報知情報を前記報知手段により前記報知情報として前記報知用チャンネルを用いて、前記無線エリアに存在するすべての携帯端末に対して一斉に報知する上記(2)の災害対応通信システム。
(4)前記携帯端末が、無線基地局装置から前記緊急報知情報を前記報知用チャンネルで受信した場合、該緊急報知情報を音声及び/又は文字及び/又は図形により出力する上記(3)の災害対応通信システム。
(5)前記無線通信ネットワークとして、前記無線制御装置と接続することができ、被災者の携帯端末に関するユーザ情報と該被災者の安否情報と、安否の問い合わせがあった場合の問い合わせ元の宛先とを、被災者端末情報として少なくとも登録し、被災者の安否情報の問い合わせメールに対して自動的に応答し返信することができる被災者端末情報データベース装置を備えている上記(1)の災害対応通信システム。
(6)前記無線制御装置が、制御対象の前記無線基地局装置の無線エリアに存在する携帯端末の所有者、電話番号、メールアドレス、位置情報を少なくとも含むユーザ情報を保存しており、前記無線基地局装置から災害発生の旨の通知を受け取った際に、当該無線基地局装置の無線エリアに存在する携帯端末に関する前記ユーザ情報を、前記被災者端末情報データベース装置に送信する上記(5)の災害対応通信システム。
(7)前記被災者端末情報データベース装置が、前記無線制御装置から当該無線制御装置の制御対象の前記無線基地局装置の無線エリアに存在する携帯端末に関する前記ユーザ情報を受け取った際に、前記被災者端末情報のユーザ情報として登録する上記(6)の災害対応通信システム。
(8)前記無線通信ネットワークに接続された任意の通信端末から、予め定めたメールアドレスに対して被災者の安否を問い合わせる問い合わせメールを送信した場合、前記被災者端末情報データベース装置が、該問い合わせメールを受信し、問い合わせがあった被災者に関するユーザ情報が、前記被災者端末情報として登録されているか否かを検索し、検索した結果を応答メールとして問い合わせ元の通信端末に対して返信する上記(7)の災害対応通信システム。
(9)前記被災者端末情報データベース装置が、問い合わせがあった被災者に関するユーザ情報が、前記被災者端末情報として登録されているか否かを検索した結果、登録されているものの、当該被災者に関する安否情報がまだ登録されていなかった場合、問い合わせ元の前記通信端末のメールアドレスを前記被災者端末情報として更に登録する上記(8)の災害対応通信システム。
(10)被災エリアに存在していた被災者が被災エリアの近傍の無線基地局装置まで移動して該被災者の携帯端末の無線通信チャンネルによる通信が可能になった場合、あるいは、当該被災エリアに設置されていた前記無線基地局装置が復旧して、前記被災者の携帯端末の無線通信チャンネルによる通信が可能になった場合、前記被災者端末情報データベース装置に対して、当該被災者の携帯端末と通信を行った無線基地局装置から前記無線制御装置を介して当該被災者の安否情報を送信する上記(5)乃至(9)のいずれかの災害対応通信システム。
(11)前記被災者端末情報データベース装置が、前記無線基地局装置から前記無線制御装置を介して前記被災者の安否情報を受け取った際、あるいは、前記被災者の携帯端末から安否情報を通知するメールを受信した際に、前記被災者端末情報の安否情報として登録する上記(10)の災害対応通信システム。
(12)前記被災者端末情報データベース装置が、前記被災者端末情報として前記被災者の安否情報を登録する際に、問い合わせ元の前記通信端末のメールアドレスが問い合わせ元の宛先として既に登録されていた場合、前記被災者の安否情報を少なくとも含む安否通知メールを作成して、登録されていた前記問い合わせ元の通信端末のメールアドレスに対して返信する上記(11)の災害対応通信システム。
(13)前記被災者端末情報データベース装置が、登録されていた前記問い合わせ元の通信端末のメールアドレスに対して前記被災者の安否情報を返信した際に、安否の問い合わせがあった旨を示す安否問い合わせ情報を、当該被災者の携帯端末に対して送信する上記(12)の災害対応通信システム。
(14)携帯端末と無線通信を行う無線基地局装置であって、災害発生を検知するセンサを備え、災害発生時に前記センサにより災害の発生を検知した場合、当該無線基地局装置を制御する無線制御装置に対して災害発生の旨を通知する無線基地局装置。
(15)当該無線基地局装置の無線エリアに存在するすべての携帯端末に対して報知用チャンネルを用いて定期的に報知情報を報知する報知手段を更に備え、前記無線制御装置から災害発生の旨と避難場所とを含む緊急報知情報を受け取った際に、受け取った前記緊急報知情報を前記報知手段により前記報知情報として前記報知用チャンネルを用いて、前記無線エリアに存在するすべての携帯端末に対して一斉に報知する上記(14)の無線基地局装置。
(16)被災エリアに存在していて無線通信が不可能であった被災者の携帯端末が該被災エリアにて、あるいは、被災者が移動した新たな無線エリアにて、該被災者の携帯端末の無線通信チャンネルによる通信が可能になったことを検出した場合、当該無線基地局装置と接続することができ、被災者の携帯端末に関するユーザ情報と該被災者の安否情報とを被災者端末情報として少なくとも登録する被災者端末情報データベース装置に対して、通信が可能になった前記被災者の安否情報を送信する上記(14)又は(15)の無線基地局装置。
(17)携帯端末と無線通信を行う無線基地局装置を制御する無線制御装置であって、被災エリアに対して最適な避難場所を検索する検索手段を備え、前記無線基地局装置から災害発生の旨の通知を受け取った際に、受け取った災害発生通知に基づいて前記検索手段により避難場所を検索し、災害発生の旨と避難場所とを含む緊急報知情報を作成して、被災エリア及び/又は該被災エリアに隣接するエリアに設置された前記無線基地局装置に対して前記緊急報知情報を送信する無線制御装置。
(18)制御対象の前記無線基地局装置の無線エリアに存在する携帯端末の所有者、電話番号、メールアドレス、位置情報を少なくとも含むユーザ情報を保存し、前記無線基地局装置から災害発生の旨の通知を受け取った際に、当該無線基地局装置の無線エリアに存在する携帯端末に関する前記ユーザ情報を、被災者の携帯端末に関するユーザ情報と該被災者の安否情報とを被災者端末情報として少なくとも登録する被災者端末情報データベース装置に対して送信する上記(17)の無線制御装置。
(19)無線基地局装置から災害発生の旨と避難場所とを含む緊急報知情報を報知用チャンネルにより受信した場合、該緊急報知情報を音声及び/又は文字及び/又は図形により出力する携帯端末。
(20)携帯端末との間で無線通信を行う無線基地局装置と該無線基地局装置を制御する無線制御装置とを備えた無線通信ネットワークとして、前記無線制御装置と接続することができ、被災者の携帯端末に関するユーザ情報と該被災者の安否情報と、安否の問い合わせがあった場合の問い合わせ元の宛先とを被災者端末情報として少なくとも登録し、被災者の安否情報の問い合わせメールに対して自動的に応答し返信することができる被災者端末情報データベース装置。
(21)前記無線制御装置から該無線制御装置の制御対象とする前記無線基地局装置の無線エリアに存在する携帯端末に関するユーザ情報を受け取った際に、前記被災者端末情報のユーザ情報として登録する上記(20)の被災者端末情報データベース装置。
(22)前記無線通信ネットワークに接続された任意の通信端末から、予め定めたメールアドレスに対して被災者の安否を問い合わせる問い合わせメールを送信した場合、該問い合わせメールを受信し、問い合わせがあった被災者に関するユーザ情報が、前記被災者端末情報として登録されているか否かを検索し、検索した結果を応答メールとして問い合わせ元の通信端末に対して返信する上記(21)の被災者端末情報データベース装置。
(23)問い合わせがあった被災者に関するユーザ情報が、前記被災者端末情報として登録されているか否かを検索した結果、登録されているものの、当該被災者に関するまだ安否情報が登録されていなかった場合、問い合わせ元の前記通信端末のメールアドレスを前記被災者端末情報として更に登録する上記(22)の被災者端末情報データベース装置。
(24)前記無線基地局装置から前記無線制御装置を介して前記被災者の安否情報を受け取った際、あるいは、前記被災者の携帯端末から安否情報を通知するメールを受信した際に、前記被災者端末情報の安否情報として登録する上記(23)の被災者端末情報データベース装置。
(25)前記被災者端末情報として前記被災者の安否情報を登録する際に、問い合わせ元の前記通信端末のメールアドレスが問い合わせ元の宛先として既に登録されていた場合、前記被災者の安否情報を少なくとも含む安否通知メールを作成して、登録されていた前記問い合わせ元の通信端末のメールアドレスに対して返信する上記(24)の被災者端末情報データベース装置。
(26)登録されていた前記問い合わせ元の通信端末のメールアドレスに対して前記被災者の安否情報を返信した際に、安否の問い合わせがあった旨を示す安否問い合わせ情報を、当該被災者の携帯端末に対して送信する上記(25)の被災者端末情報データベース装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の災害対応通信システム、無線基地局装置、無線制御装置、携帯端末及び被災者端末情報データベース装置によれば、次のような効果を奏することができる。
【0014】
まず、無線基地局装置BTSに付与された報知情報の報知手段を用いて、一般の無線通信チャンネルとは異なる報知用チャンネルにより、災害の発生と避難場所とを無線エリアに存在するすべての被災者の携帯端末に一斉にかつ定期的に報知する動作を繰り返すので、被災者がどこへ避難すればよいかという情報を確実に指示することが可能であり、被災者の不安感を解消することができる。
【0015】
また、被災者のユーザ情報とその安否情報、及び、安否問い合わせがあった場合の問い合わせ元の宛先を少なくとも登録し、被災者の安否情報の問い合わせメールに対して自動的に応答・返信する被災者端末情報データベース装置DBを設置しているので、被災地の内外からの被災者の安否の問い合わせに対しても迅速かつ確実に応答することが可能になる。
【0016】
更に、災害発生時に電話による問い合わせが殺到して通信回線が輻輳状態になり、通信手段がダウンしやすいが、本発明においては、被災者端末情報データベース装置DBとの間の通信手段としてメールを用いているので、通信回線への負荷を自動的に調整して、負荷の集中を抑制することができ、通信回線のダウンを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明による災害対応通信システム、無線基地局装置、無線制御装置、携帯端末及び被災者端末情報データベース装置の好適実施形態例について添付図を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明による災害対応通信システムのネットワーク構成の一実施例を示す概念図である。本発明による災害対応通信システムは、通常の無線通信ネットワークとほぼ同様の構成のネットワークを利用する。携帯端末10、11、・・・との間で無線電波を送受信する無線基地局装置BTS(Base Transceiver Station)20、21,22、23及び、各無線基地局装置BTSと有線通信回線で接続されて、配下の1乃至複数の無線基地局装置BTSを制御する上位装置の無線制御装置30を備えている。ここに、無線制御装置30は、他の無線制御装置と有線通信回線で相互に接続されており、無線通信ネットワークに関する制御情報がやりとりされる。
【0019】
図1に示す本発明の一実施例である災害対応通信システムの場合、この他に、無線制御装置30とそれぞれ有線通信回線で接続されて、各携帯端末10、11、…の所有者の安否情報などを格納する被災者端末情報データベース装置DB40が配置されている。被災者端末情報データベース装置DB40は、無線通信ネットワーク全体で1箇所のみに集中配置しても良いし、あるいは、地域ごとに分散させて複数配置しても良く、災害対策上は、後者のように、複数配置する形態が望ましい。
【0020】
ここで、携帯端末10、11、…は、無線基地局装置BTS20、21を介して無線電波により情報を送受信する端末であるが、少なくともメール送受信機能を備えた端末であり、携帯電話機、簡易型携帯電話機PHS(Personal Handy-Phone)、携帯型情報端末PDA(Personal Digital Assistants)、携帯型ノートPC(Personal
Computer)などのいずれでも良いし、あるいは、場合によっては、携帯用に限らず、車載用などの移動体通信端末であっても良い。
【0021】
利用者が携帯する携帯端末10、11、・・・は、被災エリア1000の無線基地局装置BTS20、21との間で、一般の無線通信チャンネルを用いて利用者の情報を送受信することができるのみならず、無線基地局装置BTS20、21に付与された報知手段により報知されてくる報知情報を受信して自動的に応答することができる。この報知情報は、無線通信に用いる無線通信チャンネル情報、方式情報、規制情報、位置情報等々の制御情報であり、無線通信を行うための必須の情報である。無線基地局装置BTS20、21の報知手段は、無線制御装置30の制御に基づいて、無線通信を行うために、常時、前記報知情報を無線エリアに存在する不特定多数の携帯端末すべてに対して、通常の無線通信チャンネルとは異なる制御用の報知用チャンネルを用いて、前記のような報知情報を、一斉にかつ定期的に送信する。携帯端末10、11、…は、指示された情報を返送する。
【0022】
ここで、本発明による携帯端末10、11、…は、斯かる報知情報の一つとして、無線基地局装置BTS20、21から災害発生の旨やその避難場所を少なくとも含む緊急報知情報を報知用チャンネルで受信した場合は、通常の無線通信チャンネルにおける通信情報の場合と同様、該緊急報知情報を音声によりスピーカやイアホーンから出力したり、及び/又は、文字及び/又は図形によりディスプレイに画面表示したりすることが可能である。これにより、携帯端末10、11、…の所有者は、災害の発生という緊急事態を音声や文字や図形によって把握することができ、かつ、避難場所も音声や文字や図形によって把握することができる。
【0023】
なお、被災エリア1000の外部に存在する携帯端末19も、上位装置の無線制御装置39で制御される無線基地局装置BTS29を介して無線電波により情報を送受信する端末であるが、本実施例では、該携帯端末19により、被災エリア1000にて被災した被災者の安否を問い合わせる問い合わせメールを送信し、その返信メールを受信するために用いる端末として示している。ただし、問い合わせメールを送信する通信端末としては、斯かる携帯端末のみならず、固定設置型の通信端末であっても良く、メール送受信機能を少なくとも備えた機器であれば、如何なる通信端末であっても良い。
【0024】
更に、図1の災害対応通信システムについて補足して説明する。図1において、災害が発生した被災エリア1000には、携帯端末10、11が存在しており、その携帯端末10、11はいずれも平常時には当該被災エリア1000内に設置されている無線基地局装置BTS20、21との間で一般の無線通信チャンネルを用いて情報の送受信が可能な無線エリアに存在している。一方、携帯端末19は、被災エリア1000の外部に存在する携帯端末であり、被災エリア1000の外部に設置されている最寄りの無線基地局装置BTS29との間で無線通信チャンネルを用いて情報の送受信が可能である。
【0025】
また、無線基地局装置BTS20、21、22、23は、携帯端末10、11との間で、一般の無線通信チャンネルにより通信情報を送受信する送受信手段の他に、前述のように、制御用の報知情報を、それぞれの無線エリアの不特定多数の携帯端末すべてに対して制御用の報知用チャンネルを用いて定期的に報知する報知手段を備えている。ここに、無線基地局装置BTS22、23は、被災エリア1000に隣接する近傍のエリアに設置された無線基地局装置であり、被災エリア1000に存在する携帯端末10、11が無線基地局装置BTS22、23の無線エリアまで移動してきた場合、携帯端末10、11との間で無線通信チャンネルを用いて通信を行うことができ、携帯端末10、11に対しても報知情報を報知することができる。
【0026】
更に、無線基地局装置BTS20、21は、災害の発生を検知することができるセンサ(例えば、地震センサ、煙センサ、温度センサなど)を備えており、それぞれの設置場所で発生する災害を検知して、それぞれの上位装置である無線制御装置30に対して有線通信回線を用いて通知することができる。この際に、有線通信回線が通常の通信で混雑しているような場合であっても、災害の発生を緊急に無線制御装置30に通知できるように、災害通知用として制御信号用のチャンネルを用いて送信する。
【0027】
一方、無線制御装置30は、配下の無線基地局装置BTS20、21を制御して、携帯端末10、11、・・・との間で無線通信を行わせるための制御装置であるが、本発明においては、更に、被災エリアに対応する避難場所を示す情報例えば避難場所を示す地図データベースを記憶している。無線基地局装置BTS20、21から災害発生通知を受信すると、例えば地図データベースを参照しながら被災エリアを推定して、無線基地局装置BTS20、21それぞれの無線エリアに存在する被災者について、当該災害に対する最適の避難場所を求める。
【0028】
更に、無線制御装置30は、求めた避難場所情報を含む災害発生通知を、緊急報知情報として作成し、被災エリアにいる全員に報知するために、有線通信回線を用いて無線基地局装置BTS20、21に返送する。この際にも、有線通信回線が通常の通信で混雑しているような場合であっても、緊急報知情報を確実に無線基地局装置BTS20、21,・・・に送信できるように、報知情報通知用の制御用チャンネルを用いて送信する。
【0029】
上位装置の無線制御装置30から避難場所を含む緊急報知情報を受信した無線基地局装置BTS20、21は、定期的に制御情報を報知する報知用チャンネルを用いて、災害発生の旨と避難場所を示す緊急報知情報を、それぞれの無線エリアに存在するすべての携帯端末に対して定期的に繰り返して一斉に報知する。即ち、この緊急通知用の緊急報知情報は、通常の無線通信チャンネルとは異なる制御専用の報知用チャンネルを用いて繰り返し定期的に送信される。
【0030】
更に、この緊急報知情報を受信した携帯端末は、マナーモード(着信音等の鳴動を行わない状態)に設定されている携帯端末であっても、緊急通知用の緊急報知情報を受信した場合は、鳴動動作を起動することとしているので、それぞれの無線エリアに存在するすべての携帯端末の所有者に対して、確実に災害発生の旨と避難場所とを報知することができる。
【0031】
なお、被災エリア1000に隣接する近傍のエリアに設置された無線基地局装置BTS22、23でも、被災エリア1000の無線基地局装置BTS20、21の報知手段が被災により故障し、緊急報知情報の送出が不可能となった場合に備えて、隣接の被災エリア1000での災害発生の旨と避難場所とに関する緊急報知情報を、被災エリア1000に存在する携帯端末向けに定期的に送信するようにしても良い。
【0032】
これにより、無線基地局装置BTS20、21の無線エリアと重なりがある無線基地局装置BTS22、23であれば、被災エリア1000に存在する被災者でも、避難場所の情報を把握することができる。あるいは、被災エリア1000に居た被災者が、隣接の無線基地局装置BTS22、23の無線エリアまで移動することによっても、避難場所の情報を把握することができる。
【0033】
また、無線制御装置30と無線制御装置39とは、前述のように、無線通信用の制御情報として、それぞれの配下にある無線基地局装置BTS20〜23のそれぞれの無線エリア内に存在している携帯端末10、11、・・・と、無線基地局装置BTS29の無線エリア内に存在している携帯端末19とに関するユーザ情報(携帯端末の所有者、電話番号、メールアドレス、位置情報など)を保存しており、各携帯端末との間で無線通信を行う無線基地局装置BTSの動作を制御している。
【0034】
また、無線制御装置30、39と有線通信回線で接続されている被災者端末情報データベース装置DB40には、災害が発生した被災エリア1000に設置された無線基地局装置BTS20、21の無線エリアに存在する携帯端末10、11、・・・のユーザ情報を、被災エリア1000の無線基地局装置BTS20、21を制御する無線制御装置30から受け取ると共に、携帯端末10、11、・・・の所有者(被災者)ごとの安否情報を無線制御装置30から受け取って、被災者端末情報として、蓄積されている。
【0035】
この被災者端末情報データベース装置DB40は、被災エリア1000に属する無線基地局装置BTS20、21を制御する無線制御装置30のみならず、他の地域に設置された無線制御装置例えば無線制御装置39からも有線通信回線を介してアクセスすることができ、例えば、携帯端末19から無線基地局装置BTS29、無線制御装置39を介して、被災者端末情報データベース装置DB40に対して、指定した人物に関する安否をメールにて問い合わせすることができる。この問い合わせメールを受信した被災者端末情報データベース装置DB40は、該問い合わせメールにより問い合わせがあった人物の安否情報をデータベース内から検索して、その検索結果をメールにより自動的に返信する。
【0036】
以上のような構成を有する災害対応通信システムの動作について更に詳細に説明する。図1に示す被災エリア1000において、地震等の災害が発生した場合、その被災エリア1000内に設置された無線基地局装置BTS20及びBTS21は、それぞれに搭載しているセンサにより災害発生を検知して、災害発生を示すアラーム情報を有線通信回線上の災害通知用の制御チャンネルを用いて、上位装置の無線制御装置30に対して送信する。
【0037】
災害発生を示すアラーム情報を無線基地局装置BTS20及びBTS21から受信した無線制御装置30は、該アラーム情報に基づいて、災害が発生した被災エリア1000を推定し、避難場所を示す情報例えば地図データベースを検索することにより、被災エリア1000に所在している被災者の最適な避難場所を検索する。
【0038】
更に、無線制御装置30は、災害発生の旨を一斉に報知するための緊急通知用の緊急報知情報を、避難場所情報を付加した形で作成し、災害発生を通知してきた被災エリア1000の無線基地局装置BTS20、21に対して、有線通信回線上の緊急通知用の制御チャンネルを用いて送信する。この緊急報知情報を受信した無線基地局装置BTS20、21は、報知手段により、報知用チャンネルを用いて、それぞれの無線エリアに存在しているすべての携帯端末(被災エリア1000内に存在する携帯端末10、11はもちろん、当該被災エリア1000内に移動してきた新たな携帯端末をも含む)に対して一斉に災害発生の旨と最適の避難場所に関する情報とを定期的に報知する動作を繰り返す。
【0039】
これによって、被災エリア1000内に存在している携帯端末10、11や新たに移動してきた携帯端末の所有者に対して、災害発生の旨と避難場所とを確実に報知することができる。ここで、前述のように、緊急を知らせる緊急報知情報を受信した携帯端末は、たとえ、マナーモードなどの無鳴動状態に設定してあったとしても、緊急用として鳴動を伴う着信動作が行われ、かつ、緊急報知情報を、音声によりスピーカやイアホーンから出力し、及び/又は、文字及び/又は図形としてディスプレイに自動的に表示する。
【0040】
更に、無線制御装置30は、災害発生を通知してきた被災エリアの無線基地局装置BTS20、21の無線エリア内に存在している携帯端末10、11に関するそれぞれのユーザ情報(携帯端末の所有者、電話番号、メールアドレス、位置情報など)300、301を読み出して、被災者端末情報データベース装置DB40に対して送信し、被災者端末情報データベース装置DB40は、被災者端末情報として登録する。
【0041】
被災者端末情報データベース装置DB40に登録される被災者端末情報の構成の一例を図2に示している。ここに、図2は、被災者端末情報データベース装置に登録する被災者端末情報の構成の一例を示すデータ構成図である。図2に示すように、被災者端末情報400は、被災者情報401、被災エリア402、安否情報403、避難場所404を少なくとも有している。
【0042】
更に、安否情報403に安否がまだ登録されていない被災者に対する安否の問い合わせメールを受信した場合に、その問い合わせ元の連絡先を示すメールアドレスを登録する安否依頼ユーザ1、2、3 405a、405b、405c、・・・を備えている。これにより、問い合わせがあった被災者に関する安否の通知が被災者端末情報データベース装置DB40にあり、安否情報403として登録された際に、直ちに問い合わせ元の連絡先に対して安否情報を返送することを可能としている。
【0043】
図2において、被災者情報401は、携帯端末の電話番号あるいはメールアドレスである場合を示しているが、更に、携帯端末の所有者(被災者)の氏名など、被災者を特定できる情報を更に追加して登録するようにしても良い。なお、被災エリア402は、図1に示した被災エリア1000を更に細分化した情報であり、本実施例では、被災者の携帯端末が存在する無線エリアの無線基地局装置BTSを示す情報が登録されている。
【0044】
図1に示す本実施例では、被災エリア1000に設置された無線基地局装置BTSがBTS20、21の2つである場合を示しており、図2の場合、被災者情報××××1の携帯端末10が無線基地局装置BTS20の無線エリアに、被災者情報××××2の携帯端末11が無線基地局装置BTS21の無線エリアに存在している場合を示している。
【0045】
安否情報403は、被災者情報401に示す被災者の安否の有無に関する情報を受け取ったか否か、及び、受け取った内容は無事を示す内容か否かを登録する。図2の場合、被災者情報××××2の携帯端末11の所有者からは無事である旨の連絡があったが、被災者情報××××1の携帯端末10の所有者からの安否情報がまだ得られていないことを示している。
【0046】
避難場所404は、被災者情報401に示す被災者が避難した場所を示す情報である。最初は、各被災者に対して災害発生の旨と避難場所とを緊急報知情報として報知するために、無線制御装置30において検索された避難場所がまず登録されるが、しかる後、被災者の安否情報を取得した時点で、当該被災者が実際に連絡してきた避難場所が異なっていれば、その避難場所に変更して登録される。
【0047】
なお、安否情報403、避難場所404に関する情報は、通常、被災者の携帯端末10、11が存在している無線エリアの無線基地局装置BTS、即ち、被災エリア1000内の無線基地局装置BTS20、21を介して取得されて、無線制御装置30から被災者端末情報データベース装置DB40に通知されてくるものであるが、無線基地局装置BTS20、21も被災していて、携帯端末10、11との間の無線通信チャンネルによる無線電波の送受信が不可能となっている場合も存在する。
【0048】
したがって、被災エリア1000に隣接する近傍の無線基地局装置BTS22、23にて、被災者の携帯端末10、11の無線電波を受信した場合は、無線基地局装置BTS22、23からも、無線制御装置30に対して、被災者の安否情報や避難場所に関する情報を送信することが可能である。
【0049】
隣接の無線基地局装置BTS22、23から被災者の安否情報や避難場所に関する情報を取得した無線制御装置30は、被災者端末情報データベース装置DB40に対して、被災者の安否情報や避難場所に関する情報を送信することにより、被災者端末情報データベース装置DB40は、その被災者の安否情報や避難場所により登録内容を更新する。
【0050】
また、被災エリア1000に設置されている無線基地局装置BTS20、21が、その後、復旧した場合にも、隣接の無線基地局装置BTS22、23における場合と全く同様の処理が行われ、無線基地局装置BTS20、21から無線制御装置30を経由して被災者端末情報データベース装置DB40に対して被災者の安否情報や避難場所に関する情報が送信され、登録内容の更新が行われる。
【0051】
また、被災エリアとは隣接していない遠隔のエリアに存在している携帯端末19から被災エリア1000に存在している親族や友人などの人物の安否情報を確認したい場合、例えば、災害問い合わせ用の特定アドレスとして予め定めたメールアドレス(例えば、防災センタが管理するメールアドレス)に対して、その人物の安否を問い合わせる問い合わせメールを送信する。
【0052】
該問い合わせメールが送信されると、被災者端末情報データベース装置DB40に対するアクセスがなされ、問い合わせ対象の当該人物が被災者端末情報として登録されているか否か、登録されていた場合には、安否が既に確認されて安否情報403として登録済みか否かが確認される。被災者端末情報としてまだ登録されていない場合は、その旨のメールが直ちに作成されて被災者端末情報データベース装置DB40から自動的に問い合わせ元の携帯端末19に対して配信される。
【0053】
また、既に安否情報403が登録されている場合は、当該被災者に関する安否情報を含む安否通知メールが直ちに作成されて、被災者端末情報データベース装置DB40から自動的に問い合わせ元の携帯端末19に対して配信される。
【0054】
一方、被災者端末情報データベース装置DB40に登録されている人物であるがまだ安否が確認されていない場合は、問い合わせ元の携帯端末19のメールアドレスが安否依頼ユーザ1、2、3、・・・としてデータベースに順次登録されていく。しかる後、当該被災者の現在の状況や安否が確認された際には、当該被災者に関する安否情報を含む安否通知メールが直ちに作成され、安否依頼ユーザ1、2、3、・・・に登録されているメールアドレスを用いて、被災者端末情報データベース装置DB40から自動的に問い合わせ元の携帯端末19に対して配信される。
【0055】
次に、図3のタイムチャートを用いて本発明による災害対応通信システムの具体的な動作シーケンスの一例について更に説明する。ここに、図3は、本発明による災害対応通信システムの具体的な動作シーケンスの一例を示すタイムチャートである。
【0056】
まず、時刻T1の災害発生時点において、被災エリア1000に設置されている無線基地局装置BTS20、21がセンサにより災害発生を検知して、災害発生の旨を上位装置である無線制御装置30に対して送信する。
【0057】
次に、当該災害発生の旨の通知を受け取った無線制御装置30は災害発生情報に基づいて最適の避難場所を検索し、検索した最適の避難場所を示す避難場所情報を付加した災害発生の旨を示す緊急報知情報を作成して、時刻T2の時点で、作成した緊急報知情報を、災害発生通知を送信してきた無線基地局装置BTS20、21に対して送信し、無線基地局装置BTS20、21から報知用チャンネルを用いてそれぞれの無線エリア内に災害発生と避難場所とを指示する緊急報知情報を一斉に報知する。
【0058】
これにより、被災エリア1000内に存在している携帯端末10、11の所有者に対して災害の発生と避難場所とが通知される。災害の発生と避難場所とが通知された携帯端末10、11は、緊急着信用のアラーム音が鳴動すると共に、受信内容を、音声により出力したり、及び/又は、文字及び/又は図形により表示出力する。
【0059】
次に、時刻T3の時点で、無線制御装置30は、被災エリア1000に設置された無線基地局装置BTS20、21の無線エリア内に存在している携帯端末10、11に関するユーザ情報(携帯端末の所有者、電話番号、メールアドレス、位置情報など)を、被災者端末情報データベース装置DB40へ送信し、被災者端末情報データベース装置DB40は、被災者端末情報として登録する。これにより、それぞれの被災者が所有する携帯端末に関するユーザ情報に基づいて、被災エリア1000内に存在している被災者全員が被災者端末情報データベース装置DB40へ登録されたことになる。
【0060】
その後、被災エリア1000の外部の携帯端末例えば遠方の携帯端末19から被災者端末情報データベース装置DB40に対して被災者の安否を問い合わせるメールを送信したい場合、予め定めた特定のドメイン名例えば「anpi.jp」を用い、また、安否を問い合わせたい被災者を示すための情報として該被災者が所有する携帯端末の電話番号例えば「090xxxx0」(被災者電話番号)を用い、メールアドレス「090xxxx0@anpi.jp」として、時刻T4の時点で、特定の被災者に関する安否を問い合わせる問い合わせメールを携帯端末19から送信する。
【0061】
安否の問い合わせメールを受信した被災者端末情報データベース装置DB40では、データベースに登録されている被災者端末情報を直ちに検索して、問い合わせがあった被災者の情報を抽出する。ここで、問い合わせがあった被災者の安否がまだ確認されていない場合は、安否未確認の旨の返信メールを作成し、時刻T5の時点で、問い合わせ元の携帯端末19に対して送信すると共に、安否が確認された時点でその安否情報を返信できるように、問い合わせがあった被災者に関する安否依頼ユーザ1として、問い合わせ元の携帯端末19のメールアドレスを登録する。
【0062】
しかる後、時刻T6の時点において、被災エリア1000にいて一般の無線通信チャンネルによる無線電波の送受信が不可能であった被災者が移動して、該被災者の携帯端末が通話可能な無線エリアに移動した場合か、あるいは、被災エリア1000に設置されて無線通信が不可能な状態にあった無線基地局装置BTS20、21が復旧して通信が可能になった場合には、携帯端末10、11の位置が検出されて、その位置情報が無線制御装置30に通知され、その位置情報に基づいて一般の無線通信チャンネルによる通信が行われる。
【0063】
その後、時刻T7の時点で、被災者の携帯端末10、11と移動後の最寄りの無線基地局装置BTSあるいは無線基地局装置BTS20、21との無線通信が可能になり、当該被災者の安否が確認されたことを、無線基地局装置BTS20、21を経由して無線制御装置30が検出すると、無線制御装置30から被災者端末情報データベース装置DB40に対して携帯端末10、11の所有者(被災者)に関する安否情報が通知され、被災者端末情報データベース装置DB40の被災者端末情報の携帯端末10、11に関する安否情報403が更新される。あるいは、被災者端末情報データベース装置DB40が前記被災者の携帯端末から安否情報を通知するメールを受信した際にも、被災者端末情報の携帯端末10、11に関する安否情報403が更新される。
【0064】
この携帯端末10、11の安否情報403が更新されると、被災者端末情報データベース装置DB40は、被災者端末情報に登録されている問い合わせ情報即ち安否依頼ユーザ1に記録されている携帯端末19(時刻T4の時点で問い合わせがあった携帯端末)のメールアドレスに基づいて、携帯端末10、11の所有者に関する安否情報や避難場所を示す安否通知メールを作成して、時刻T8の時点で、問い合わせ元の携帯端末19に対して返信する。
【0065】
最後に、時刻T9の時点で、被災者端末情報データベース装置DB40にて、携帯端末19の所有者から安否の問い合わせがあった旨を示す安否問い合わせ情報を作成して、問い合わせがあった被災者が所有する携帯端末10、11に対して、無線制御装置30、移動後の最寄りの無線基地局装置BTSあるいは無線基地局装置BTS20、21を経由して通知する。
【0066】
(本発明の特徴)
以上に詳細に説明したように、本発明による災害対応通信システムの特徴は次の点にある。
(1)図1に示したように、本災害対応通信システムは、地震等の災害発生時に、被災エリア1000に設置された無線基地局装置BTS20、21のセンサにより災害の発生を検知して、当該無線基地局装置BTS20、21の無線通信を制御する上位装置の無線制御装置30に対して災害発生情報を通知する機能を有している。
【0067】
(2)災害発生情報を受け取った無線制御装置30では、該災害に対して最適の避難場所を検索して、該避難場所を付加した災害発生情報を被災エリア1000の全員に緊急に報知するための緊急報知情報を作成して、被災エリア1000に存在する携帯端末10、11のみならず、新たに当該被災エリア1000に移動してきた携帯端末も含むすべての携帯端末に対して無線基地局装置BTS20、21から報知用チャンネルを用いて一斉にかつ定期的に報知する。緊急報知情報を受信した携帯端末10、11は、アラーム着信音の鳴動と共に、緊急報知情報が示す災害発生の旨と避難場所とを、音声により出力したり、及び/又は、文字及び/又は図形により画面出力する。
【0068】
(3)また、災害発生情報を受け取った無線制御装置30は、被災エリア1000に設置された無線基地局装置BTS20、21の無線エリアに存在しているすべての携帯端末10、11のユーザ情報(携帯端末の所有者、電話番号、メールアドレス、位置情報など)を被災者端末情報データベース装置DB40に送信して、被災者端末情報として登録する。
【0069】
(4)被災エリア1000のみならず当該被災エリア1000の外部のエリアに存在する携帯端末や固定通信端末など、任意の通信端末の所有者から被災者の安否に関する問い合わせは、被災者の携帯端末に対してではなく、被災者端末情報データベース装置DB40に対する問い合わせメールとして送信される。
【0070】
(5)問い合わせメールを受け取った被災者端末情報データベース装置DB40では、問い合わせがあった被災者の安否をデータベース検索により把握して、直ちにその安否情報を問い合わせ元の携帯端末に対してメールで返信する。ここで、問い合わせがあった被災者の安否が未確認の状態であれば、安否が未確認である旨の返信メールを問い合わせ元の携帯端末に対して送信する一方、問い合わせ元のメールアドレスを安否依頼ユーザとしてデータベースに登録する。
【0071】
(6)しかる後、問い合わせがあった被災者が通信可能な無線エリアへ移動するか、あるいは、被災エリア1000に設置された無線基地局装置BTS20、21が復旧して通信可能な状態になり、携帯端末10、11の被災者から、その安否に関する情報が無線基地局装置BTSを経由して無線制御装置30に送信されてくると、あるいは、前記被災者の携帯端末から安否情報を通知するメールを受信すると、被災者端末情報データベース装置DB40に通知され、安否情報に関するデータベースの更新がなされる。
【0072】
(7)安否情報に関するデータベースの更新がなされると、被災者端末情報データベース装置DB40では、安否依頼ユーザとして登録されていた問い合わせ元の通信端末のメールアドレスをデータベースから読み出して、当該被災者の安否に関する安否通知メールを問い合わせ元の通信端末に対して返信する。
【0073】
(8)更に、安否の問い合わせがあった旨を示す安否問い合わせ情報を当該被災者の携帯端末10、11に対して送信する。
【0074】
(9)なお、被災エリア1000に設置された無線基地局装置BTS20、21が被災により災害発生や避難場所に関する報知動作が不可能になった場合に備えて、隣接する近傍の無線基地局装置BTS22、23に対しても無線制御装置30から避難場所を付加した災害発生情報を緊急報知情報として送信して、隣接の無線基地局装置BTS22、23の無線エリアに存在する携帯端末のみならず、当該無線エリアと重なりがある被災エリア1000に存在する携帯端末、あるいは、当該無線エリアへ被災エリア1000から移動してきた携帯端末に対しても、隣接の無線基地局装置BTS22、23から一斉に被災エリア1000における災害発生を示す緊急報知情報を報知する。
【0075】
(本発明の他の実施例)
前述の実施例においては、被災エリアに設置された無線基地局装置BTSが、当該無線基地局装置BTSに搭載されたセンサにより災害の発生を検知して、上位装置の無線制御装置に対して災害発生を通知する場合について説明したが、本発明は、斯かる場合のみに限るものではない。
【0076】
例えば、無線制御装置30自身が災害発生を検知するセンサを搭載していても良いし、無線制御装置30が配下の無線基地局装置BTSから平常時には受信している信号を受信できなくなった場合や予め定めた一定周期ごとに無線基地局装置BTSが正常に動作している旨を示すヘルスチェック通知を無線基地局装置BTSから受信しなくなった場合、災害の発生を含む何らかの原因で、無線基地局装置BTSが通信不能の状態に陥っているものと判断するようにしても良い。あるいは、無線制御装置30が配下の無線基地局装置BTSに対して予め定めた一定周期ごとに無線基地局装置BTSヘルスチェックメールを送信し、その返信メールを受信するようにしても良い。
【0077】
更には、台風や風水害等のように、ある程度、被災の発生を予測できるような場合も含め、無線基地局装置BTSから災害発生を通知するだけではなく、無線制御装置30のオペレータが自ら操作して、無線制御装置30に対して災害発生の旨と被災エリアとを通知するようにしても良い。
【0078】
また、本発明は、携帯電話機などの携帯端末向けのみならず、車載用の移動通信端末なども含む移動体無線通信や事業所内の無線LAN通信など、無線通信分野全般に適用することができる。
【0079】
なお、図1に示す実施例においては、無線基地局装置BTS20、21、23、24、無線基地局装置BTS29と上位装置の無線制御装置30、無線制御装置39との間、あるいは、無線制御装置30、39と被災者端末情報データベース装置DB40との間を有線通信回線により直結している場合について示しているが、本発明は、斯かる場合に限るものではなく、通信網として途中に交換機などのスイッチング機器が介在していてもかまわないし、あるいは、有線通信回線のみならず無線通信回線を用いて接続するようにしてもかまわない。
【0080】
(本発明による効果)
以上、詳細に説明したように、本発明により以下のような効果が得られる。
(1)災害発生時に、被災エリアの無線基地局装置BTSからの災害発生の通知を受信した無線制御装置にて、避難場所を含む災害発生の旨を示す緊急報知情報を作成して、被災エリアの無線基地局装置BTSから当該無線基地局装置BTSの無線エリアの存在するすべての携帯端末に対して、報知用チャンネルを用いて、一斉に報知する動作を定期的に繰り返すので、被災エリアの被災者全員は、どこへ避難すれば良いか確実にかつ迅速に知ることが可能になる。
【0081】
(2)被災者のユーザ情報とその安否情報と、安否問い合わせがあった場合の問い合わせ元の宛先とを少なくとも登録する被災者端末情報データベース装置DB40を設けているので、被災者の安否に関する問い合わせに対して迅速に対応することができる。
【0082】
(3)更に、被災者端末情報データベース装置DB40の情報を送受信する手段としてメールを用いるので、たとえ、通信回線が輻輳状態に陥ったとしても、負荷の調整を図ることができ、負荷の集中を防ぐことができるので、通信途絶による混乱の発生を解消することができる。
【0083】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であること、当業者には容易に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明による災害対応通信システムのネットワーク構成の一実施例を示す概念図である。
【図2】被災者端末情報データベース装置に登録する被災者端末情報の構成の一例を示すデータ構成図である。
【図3】本発明による災害対応通信システムの具体的な動作シーケンスの一例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0085】
10、11、19 携帯端末
1000 被災エリア
20、21、22、23、29 無線基地局装置BTS
30、39 無線制御装置
300、301 ユーザ情報
40 被災者端末情報データベース装置DB
400 被災者端末情報
401 被災者情報
402 被災エリア
403 安否情報
404 避難場所
405a、405b、405c 安否依頼ユーザ1、2、3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末との間で無線通信を行う無線基地局装置と該無線基地局装置を制御する無線制御装置とを備えた無線通信ネットワークを用いた災害対応通信システムにおいて、前記無線基地局装置が、災害発生を検知するセンサを備え、災害発生時に被災エリアに設置された前記無線基地局装置が、前記センサにより災害の発生を検知した場合、前記無線制御装置に対して災害発生の旨を通知することを特徴とする災害対応通信システム。
【請求項2】
前記無線基地局装置から災害発生の旨の通知を受け取った前記無線制御装置が、被災エリアに対して最適な避難場所を検索する検索手段を備え、前記無線基地局装置から受け取った災害発生通知に基づいて前記検索手段により避難場所を検索し、災害発生の旨と避難場所とを含む緊急報知情報を作成して、被災エリア及び/又は該被災エリアに隣接するエリアに設置された前記無線基地局装置に対して前記緊急報知情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の災害対応通信システム。
【請求項3】
前記無線基地局装置が、当該無線基地局装置の無線エリアに存在するすべての携帯端末に対して報知用チャンネルを用いて定期的に報知情報を報知する報知手段を備え、前記無線制御装置から前記緊急報知情報を受け取った場合、受け取った前記緊急報知情報を前記報知手段により前記報知情報として前記報知用チャンネルを用いて、前記無線エリアに存在するすべての携帯端末に対して一斉に報知することを特徴とする請求項2に記載の災害対応通信システム。
【請求項4】
前記携帯端末が、無線基地局装置から前記緊急報知情報を前記報知用チャンネルで受信した場合、該緊急報知情報を音声及び/又は文字及び/又は図形により出力することを特徴とする請求項3に記載の災害対応通信システム。
【請求項5】
前記無線通信ネットワークとして、前記無線制御装置と接続することができ、被災者の携帯端末に関するユーザ情報と該被災者の安否情報と、安否の問い合わせがあった場合の問い合わせ元の宛先とを、被災者端末情報として少なくとも登録し、被災者の安否情報の問い合わせメールに対して自動的に応答し返信することができる被災者端末情報データベース装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載の災害対応通信システム。
【請求項6】
前記無線制御装置が、制御対象の前記無線基地局装置の無線エリアに存在する携帯端末の所有者、電話番号、メールアドレス、位置情報を少なくとも含むユーザ情報を保存しており、前記無線基地局装置から災害発生の旨の通知を受け取った際に、当該無線基地局装置の無線エリアに存在する携帯端末に関する前記ユーザ情報を、前記被災者端末情報データベース装置に送信することを特徴とする請求項5に記載の災害対応通信システム。
【請求項7】
前記被災者端末情報データベース装置が、前記無線制御装置から当該無線制御装置の制御対象の前記無線基地局装置の無線エリアに存在する携帯端末に関する前記ユーザ情報を受け取った際に、前記被災者端末情報のユーザ情報として登録することを特徴とする請求項6に記載の災害対応通信システム。
【請求項8】
前記無線通信ネットワークに接続された任意の通信端末から、予め定めたメールアドレスに対して被災者の安否を問い合わせる問い合わせメールを送信した場合、前記被災者端末情報データベース装置が、該問い合わせメールを受信し、問い合わせがあった被災者に関するユーザ情報が、前記被災者端末情報として登録されているか否かを検索し、検索した結果を応答メールとして問い合わせ元の通信端末に対して返信することを特徴とする請求項7に記載の災害対応通信システム。
【請求項9】
前記被災者端末情報データベース装置が、問い合わせがあった被災者に関するユーザ情報が、前記被災者端末情報として登録されているか否かを検索した結果、登録されているものの、当該被災者に関する安否情報がまだ登録されていなかった場合、問い合わせ元の前記通信端末のメールアドレスを前記被災者端末情報として更に登録することを特徴とする請求項8に記載の災害対応通信システム。
【請求項10】
被災エリアに存在していた被災者が被災エリアの近傍の無線基地局装置まで移動して該被災者の携帯端末の無線通信チャンネルによる通信が可能になった場合、あるいは、当該被災エリアに設置されていた前記無線基地局装置が復旧して、前記被災者の携帯端末の無線通信チャンネルによる通信が可能になった場合、前記被災者端末情報データベース装置に対して、当該被災者の携帯端末と通信を行った無線基地局装置から前記無線制御装置を介して当該被災者の安否情報を送信することを特徴とする請求項5乃至9のいずれかに記載の災害対応通信システム。
【請求項11】
前記被災者端末情報データベース装置が、前記無線基地局装置から前記無線制御装置を介して前記被災者の安否情報を受け取った際、あるいは、前記被災者の携帯端末から安否情報を通知するメールを受信した際に、前記被災者端末情報の安否情報として登録することを特徴とする請求項10に記載の災害対応通信システム。
【請求項12】
前記被災者端末情報データベース装置が、前記被災者端末情報として前記被災者の安否情報を登録する際に、問い合わせ元の前記通信端末のメールアドレスが問い合わせ元の宛先として既に登録されていた場合、前記被災者の安否情報を少なくとも含む安否通知メールを作成して、登録されていた前記問い合わせ元の通信端末のメールアドレスに対して返信することを特徴とする請求項11に記載の災害対応通信システム。
【請求項13】
前記被災者端末情報データベース装置が、登録されていた前記問い合わせ元の通信端末のメールアドレスに対して前記被災者の安否情報を返信した際に、安否の問い合わせがあった旨を示す安否問い合わせ情報を、当該被災者の携帯端末に対して送信することを特徴とする請求項12に記載の災害対応通信システム。
【請求項14】
携帯端末と無線通信を行う無線基地局装置であって、災害発生を検知するセンサを備え、災害発生時に前記センサにより災害の発生を検知した場合、当該無線基地局装置を制御する無線制御装置に対して災害発生の旨を通知することを特徴とする無線基地局装置。
【請求項15】
当該無線基地局装置の無線エリアに存在するすべての携帯端末に対して報知用チャンネルを用いて定期的に報知情報を報知する報知手段を更に備え、前記無線制御装置から災害発生の旨と避難場所とを含む緊急報知情報を受け取った際に、受け取った前記緊急報知情報を前記報知手段により前記報知情報として前記報知用チャンネルを用いて、前記無線エリアに存在するすべての携帯端末に対して一斉に報知することを特徴とする請求項14に記載の無線基地局装置。
【請求項16】
被災エリアに存在していて無線通信が不可能であった被災者の携帯端末が該被災エリアにて、あるいは、被災者が移動した新たな無線エリアにて、該被災者の携帯端末の無線通信チャンネルによる通信が可能になったことを検出した場合、当該無線基地局装置と接続することができ、被災者の携帯端末に関するユーザ情報と該被災者の安否情報とを被災者端末情報として少なくとも登録する被災者端末情報データベース装置に対して、通信が可能になった前記被災者の安否情報を送信することを特徴とする請求項14又は15に記載の無線基地局装置。
【請求項17】
携帯端末と無線通信を行う無線基地局装置を制御する無線制御装置であって、被災エリアに対して最適な避難場所を検索する検索手段を備え、前記無線基地局装置から災害発生の旨の通知を受け取った際に、受け取った災害発生通知に基づいて前記検索手段により避難場所を検索し、災害発生の旨と避難場所とを含む緊急報知情報を作成して、被災エリア及び/又は該被災エリアに隣接するエリアに設置された前記無線基地局装置に対して前記緊急報知情報を送信することを特徴とする無線制御装置。
【請求項18】
制御対象の前記無線基地局装置の無線エリアに存在する携帯端末の所有者、電話番号、メールアドレス、位置情報を少なくとも含むユーザ情報を保存し、前記無線基地局装置から災害発生の旨の通知を受け取った際に、当該無線基地局装置の無線エリアに存在する携帯端末に関する前記ユーザ情報を、被災者の携帯端末に関するユーザ情報と該被災者の安否情報とを被災者端末情報として少なくとも登録する被災者端末情報データベース装置に対して送信することを特徴とする請求項17に記載の無線制御装置。
【請求項19】
無線基地局装置から災害発生の旨と避難場所とを含む緊急報知情報を報知用チャンネルにより受信した場合、該緊急報知情報を音声及び/又は文字及び/又は図形により出力することを特徴とする携帯端末。
【請求項20】
携帯端末との間で無線通信を行う無線基地局装置と該無線基地局装置を制御する無線制御装置とを備えた無線通信ネットワークとして、前記無線制御装置と接続することができ、被災者の携帯端末に関するユーザ情報と該被災者の安否情報と、安否の問い合わせがあった場合の問い合わせ元の宛先とを被災者端末情報として少なくとも登録し、被災者の安否情報の問い合わせメールに対して自動的に応答し返信することができることを特徴とする被災者端末情報データベース装置。
【請求項21】
前記無線制御装置から該無線制御装置の制御対象とする前記無線基地局装置の無線エリアに存在する携帯端末に関するユーザ情報を受け取った際に、前記被災者端末情報のユーザ情報として登録することを特徴とする請求項20に記載の被災者端末情報データベース装置。
【請求項22】
前記無線通信ネットワークに接続された任意の通信端末から、予め定めたメールアドレスに対して被災者の安否を問い合わせる問い合わせメールを送信した場合、該問い合わせメールを受信し、問い合わせがあった被災者に関するユーザ情報が、前記被災者端末情報として登録されているか否かを検索し、検索した結果を応答メールとして問い合わせ元の通信端末に対して返信することを特徴とする請求項21に記載の被災者端末情報データベース装置。
【請求項23】
問い合わせがあった被災者に関するユーザ情報が、前記被災者端末情報として登録されているか否かを検索した結果、登録されているものの、当該被災者に関するまだ安否情報が登録されていなかった場合、問い合わせ元の前記通信端末のメールアドレスを前記被災者端末情報として更に登録することを特徴とする請求項22に記載の被災者端末情報データベース装置。
【請求項24】
前記無線基地局装置から前記無線制御装置を介して前記被災者の安否情報を受け取った際、あるいは、前記被災者の携帯端末から安否情報を通知するメールを受信した際に、前記被災者端末情報の安否情報として登録することを特徴とする請求項23に記載の被災者端末情報データベース装置。
【請求項25】
前記被災者端末情報として前記被災者の安否情報を登録する際に、問い合わせ元の前記通信端末のメールアドレスが問い合わせ元の宛先として既に登録されていた場合、前記被災者の安否情報を少なくとも含む安否通知メールを作成して、登録されていた前記問い合わせ元の通信端末のメールアドレスに対して返信することを特徴とする請求項24に記載の被災者端末情報データベース装置。
【請求項26】
登録されていた前記問い合わせ元の通信端末のメールアドレスに対して前記被災者の安否情報を返信した際に、安否の問い合わせがあった旨を示す安否問い合わせ情報を、当該被災者の携帯端末に対して送信することを特徴とする請求項25に記載の被災者端末情報データベース装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−34966(P2007−34966A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221265(P2005−221265)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】